説明

電子部品収納装置、及び電子機器

【課題】防水を図った蓋を閉める際に浮きを防止する。
【解決手段】開口部12と、その開口部12から電子部品2を収納する収納部11と、防水を図って開口部12を塞ぐ蓋3と、その蓋3の防水部周囲に対して均等に嵌付力を与える機構と、を備える。その嵌付力を与える機構は、蓋3の防水部周囲に形成され、外周に突起33を有するリブ32と、開口部12の防水部周囲に設けられ、リブ32の突起33に重なり合って互いに固定可能な突起53を内周に有するベルト(5)と、ベルト(5)を移動操作する操作部7と、からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部から電子部品を収納する電子部品収納装置と、その電子部品収納装置を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機において、電池蓋に設けた突起、爪を引っ掛けて蓋を閉じるとともに、パッキンを押し付けて防水を図った電池蓋防水構造が特許文献1に開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−25940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電池蓋防水構造では、突起、爪を引っ掛けた部分は押し込みによりパッキンの弾性力に抗して嵌っていくが、突起、爪の無い蓋部分は浮いてしまう恐れがあった。
【0005】
本発明の課題は、防水を図った蓋を閉める際に浮きを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、開口部と、前記開口部から電子部品を収納する収納部と、防水を図って前記開口部を塞ぐ蓋と、前記蓋の防水部周囲に対して均等に嵌付力を与える機構と、を備える電子部品収納装置を特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子部品収納装置であって、前記嵌付力を与える機構は、前記蓋の防水部周囲に形成され、外周に突起を有するリブと、前記開口部の防水部周囲に設けられ、前記リブの突起に重なり合って互いに固定可能な突起を内周に有するベルトと、前記ベルトを移動操作する操作部と、からなることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の電子部品収納装置であって、前記操作部は、前記ベルトの外周に設けた歯に噛み合う歯を有する回転操作部材であることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の電子部品収納装置であって、前記ベルトの外れを規制するカバーを備えることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の電子部品収納装置であって、前記電子部品は電池であることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の電子部品収納装置を筐体に備える電子機器を特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、防水を図った蓋を閉める際に浮きを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明を適用した電子機器の一実施形態の構成を示すもので、携帯電話に電子部品を収納した状態を示す斜視図である。
【図2】図1の各部品及び蓋の分解斜視図である。
【図3】図1の携帯電話と図2の蓋の内面とを並べて示した平面図である。
【図4】図1の矢印A−A線に沿って蓋との関係を示した断面図である。
【図5】図1の矢印B−B線に沿って蓋との関係を示した断面図である。
【図6】図5の矢印C部の拡大図である。
【図7】ベルトの移動操作を説明する図である。
【図8】蓋を閉めてリブが入った状態を示した平面図である。
【図9】図8の矢印D部の拡大図である。
【図10】図8の状態から操作部を回転した状態を示した図である。
【図11】図10の矢印E部の拡大図である。
【図12】図10の状態から操作部をさらに回転した状態を示した図である。
【図13】図12の矢印F部の拡大図である。
【図14】操作部の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
(実施形態)
図1及び図2は本発明を適用した電子機器の一実施形態の構成として携帯電話に電子部品を収納した状態を示すもので、図3は携帯電話と蓋の内面とを並べて示したものであり、1は筐体、2は電池、3は電池蓋(電子部品)、4はパッキン、5はベルト、6はベルトカバー、7はロックノブ(操作部)、8はナット、9はパッキン、10はネジである。
【0015】
図示のように、筐体1の背面には、電子部品としての電池2を収納する収納部11が形成されており、電池2は、開口部12から収納部11に収納される。この収納部11の開口部12には、防水を図って塞ぐ電池蓋3が着脱自在となっている。収納部11の周囲には、その四辺に沿って囲むパッキン溝13が形成されるとともに、その外側に沿って囲む嵌付溝14が形成されている。パッキン溝13にパッキン4が嵌め込まれ、嵌付溝14には、ベルト5及びその上のベルトカバー6が組み付けられている。
【0016】
電池蓋3の内面には、図3に示すように、その四辺に沿って囲む防水用の第1リブ31が一体に形成されるとともに、その外側に沿って囲む嵌付用の第2リブ32が一体に形成されている。第1リブ31は、筐体1のパッキン溝13に対応する。そして、第2リブ32の外周には、電池蓋3の四辺に沿って二個一組の突起33がそれぞれ形成されるとともに、四隅部に沿って幅広突起34が形成されている。
【0017】
ベルト5は、硬めのエラストマ製で、嵌付溝14の上辺に対応する中央外周に三個の歯51が形成されるとともに、四辺に沿った内周に三個一組の突起53が形成されている。突起53の間隔は、電池蓋3の第2リブ32の突起33に対応する。さらに、ベルト5の嵌付溝14からの外れを防止するため、ベルト5の上に重ねてベルトカバー6が設けられている。
【0018】
ベルトカバー6は、嵌付溝14の上下辺に対応する左右外周に形成した一対の係止爪61を、嵌付溝14の上下辺の外周にそれぞれ差し込むことで抜け止め係止される。このベルトカバー6には、嵌付溝14の上辺に対応する中央外周に、ロックノブ7の下半部周囲を覆う突出片62が一体に形成されている。
【0019】
操作部としてのロックノブ7は、図4に示すように、電池蓋3のノブ通し穴37に位置するもので、筐体1の背面に対しナット8、パッキン9、及びネジ10で防水を図りつつ回転操作可能に組み付けられている。このロックノブ7の下部には、略半周に渡って四個の歯71が一体に形成されている。この歯71の間隔は、ベルト5の外周の歯51に対応する。なお、ロックノブ7の頭部には、工具やコイン等を当てて回転操作するための操作溝72が形成されている。
【0020】
図5は図1の矢印B−B線に沿って電池蓋3との関係を示した断面図で、図6は図5の矢印C部の拡大図である。
【0021】
図示のように、筐体1の収納部11に開口部12から電池2を収納して電池蓋3を装着した状態において、収納部11周囲のパッキン溝13内のパッキン4が、電池蓋3の第1リブ31で押圧されることにより防水されている。そして、パッキン溝13周囲の嵌付溝14内において、第1リブ31周囲の第2リブ32外周の突起33及び幅広突起34の上に、ベルトカバー6で抜け止めされたベルト5内周の突起53が重なることで、電池蓋3が全周囲を嵌め付けられた状態に保持されている。
【0022】
このように、電池蓋3の防水部となる第1リブ31周囲に形成され、外周に突起33及び幅広突起34を有する第2リブ32と、筐体1の開口部12の防水部となるパッキン溝13周囲の嵌付溝14において、電池蓋3の第2リブ32の突起33及び幅広突起34に重なり合って互いに固定可能な突起53を内周に有するベルト5と、そのベルト5を移動操作するロックノブ7とから、電池蓋3に嵌付力を与える機構が構成されている。
【0023】
次に、図7はベルト5の移動操作を説明するもので、ロックノブ7を矢印で示すように回転操作すると、ロックノブ7の歯71に歯51で噛み合うベルト5が矢印で示すように嵌付溝14内の外周に沿って移動する。
【0024】
図8は電池蓋3を閉めて第1リブ31及び第2リブ32が入った状態を示したもので、図9はその矢印D部の拡大図である。
【0025】
電池蓋3を閉める際は、先ず、図示のように、筐体1の嵌付溝14内において、ベルト5内周の突起53の間に、電池蓋3の第2リブ32外周の突起33及び幅広突起34が入り込む。そして、ロックノブ7を回転操作して、そのロックノブ7の歯71に歯51で噛み合うベルト5を嵌付溝14内の外周に沿って移動させる。
【0026】
図10はロックノブ7を回転した状態を示したもので、図11はその矢印E部の拡大図である。
【0027】
ロックノブ7の回転操作によりベルト5が移動すると、図示のように、電池蓋3の第2リブ32外周の突起33及び幅広突起34の上に、ベルト5内周の突起53がそれぞれ重なり始める。
【0028】
図12はロックノブ7をさらに回転した状態を示したもので、図13はその矢印F部の拡大図である。
【0029】
さらに、ロックノブ7を回転操作してベルト5を移動させると、図示のように、電池蓋3の第2リブ32外周の突起33及び幅広突起34の上に、ベルト5内周の突起53が完全にそれぞれ重なり、電池蓋3が全周囲に渡って密閉された状態になる。
【0030】
なお、電池蓋3を開ける際は、ロックノブ7を矢印方向と逆方向に回転操作する。
【0031】
以上、実施形態の携帯電話によれば、筐体1のパッキン溝13周囲の嵌付溝14内において、電池蓋3の第1リブ31周囲の第2リブ32外周の突起33及び幅広突起34の上に、ベルトカバー6で抜け止めされたベルト5内周の突起53が重なって、電池蓋3が全周囲を嵌め付けられた状態に保持されるため、電池蓋3を閉める際の浮きを防止することができる。
【0032】
(変形例)
図14は操作部の変形例を示すもので、図示のように、筐体1の嵌付溝14から一側部に開口させて形成した貫通穴15に、ベルト5の外周に一体形成したスライド摘み55を配置して外部に突出させる。なお、貫通穴15の開口部側には、スライド摘み55のスライド動作を許容しながら防水を図るシールラバー16を設けておく。
【0033】
このように、スライド摘み55のスライド操作によりベルト5を移動させる構成としてもよい。
【0034】
(他の変形例)
以上の実施形態においては、携帯電話としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、PDA、ノートパソコン、ウェアラブルパソコン、電卓、電子辞書、車両など電池などの電子機器収納装置を用いた電子機器の全てに用いることができる。
また、実施形態とは逆に、リブが筐体、溝が蓋に設けられたものでも良い。
さらに、収納されるのは電池以外にメモリーカードなど他の電子部品であってもよい。
【0035】
また、開口部、収納部、防水部、リブ、ベルト、突起の形状等も任意であり、例えば、筐体にも嵌付溝内で電池蓋の第2リブに重なるリブを設けて、ベルトに上下の突起を設け、重なり合った両方のリブの突起を、ベルトの上下の突起による断面コ字形部で挟み込むようにしてもよい。
さらに、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0036】
1 筐体
11 収納部
12 開口部
13 パッキン溝
14 嵌付溝
2 電池
3 電池蓋
32 リブ
33 突起
34 幅広突起
37 ノブ通し穴
4 パッキン
5 ベルト
51 歯
53 突起
55 操作部
6 ベルトカバー
61 係止爪
62 突出片
7 操作部
71 歯
72 操作溝
8 ナット
9 パッキン
10 ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部と、
前記開口部から電子部品を収納する収納部と、
防水を図って前記開口部を塞ぐ蓋と、
前記蓋の防水部周囲に対して均等に嵌付力を与える機構と、を備えることを特徴とする電子部品収納装置。
【請求項2】
前記嵌付力を与える機構は、
前記蓋の防水部周囲に形成され、外周に突起を有するリブと、
前記開口部の防水部周囲に設けられ、前記リブの突起に重なり合って互いに固定可能な突起を内周に有するベルトと、
前記ベルトを移動操作する操作部と、からなることを特徴とする請求項1に記載の電子部品収納装置。
【請求項3】
前記操作部は、前記ベルトの外周に設けた歯に噛み合う歯を有する回転操作部材であることを特徴とする請求項2に記載の電子部品収納装置。
【請求項4】
前記ベルトの外れを規制するカバーを備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電子部品収納装置。
【請求項5】
前記電子部品は電池であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電子部品収納装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の電子部品収納装置を筐体に備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−109221(P2011−109221A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259668(P2009−259668)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】