説明

電子部品実装装置

【課題】電子部品や基板の損傷を防止する。
【解決手段】ヘッド106に固定された本体部60と、本体部で昇降動作を行う昇降体14と、昇降体を昇降させる昇降機構20と、吸着ノズルを下端部に保持する中空のノズルシャフト30と、スプラインナット55を介してノズルシャフトを回動させる回動機構50と、吸着ノズルが受ける上方への荷重を検出する荷重検出部40と、荷重検出により荷重制御を行う動作制御部70とを備え、昇降機構と回動機構とが本体部に支持され、ノズルシャフトの上端部が前記本体部の上部から突出装備され、荷重検出部が昇降体又は本体部に支持されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着ノズルによる加圧力を制御する電子部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子部品実装装置は、電子部品を吸着するコレット(ノズル)と、コレットを回動させる回動機構と、回動機構を内蔵する筐体と、筐体を上下動可能に支持するガイドと、筐体を上下動させるボールネジ機構とをヘッドに搭載し、回動機構とコレットとが筐体内部で上下動可能に支持されると共に回動機構から水平方向に延出された突起部を介してロードセルによりコレット下降時の電子部品に対する加圧力の検出を行っている(例えば、特許文献1参照)。
かかる電子部品実装装置は、電子部品の吸着状態のコレットをボールネジ機構により下降させ、下方にある基板に電子部品を介してコレットの先端部が当接すると、筐体に対してコレットと回動機構が上昇し、突起部を介してロードセルが押圧され、コレット先端部における基板に対する加圧力が検出される。そして、予め定められた所定の加圧力が検出されると、コレットから電子部品を解放すると共に下降を停止し、コレットを上昇させる。これにより、所定の加圧力で基板に対する電子部品の実装作業を行っている。
【0003】
また、他の電子部品実装装置は、電子部品を吸着する吸着ノズルと、吸着ノズルの上下動を許容しつつ保持するノズル保持体と、ノズル保持体を吸着ノズルを中心として回動可能に支持する支持枠と、支持枠を上下動可能に支持する本体フレームと、支持枠を上下動させるボールネジ機構と、ノズル保持体の上端部に固定装備されたスプライン軸を介して吸着ノズル及びノズル保持体に回動動作を付与する回動機構と、ノズル保持体に設けられると共に吸着ノズルの上方への加圧力を検出するロードセルと、支持枠に設けられると共にスプライン軸を介して吸着ノズルを上下動させるボイスコイルモータとを備えている(例えば、特許文献2参照)。
この電子部品実装装置は、電子部品の吸着状態の吸着ノズルをボールネジ機構により下降させ、下方にある基板に電子部品を介して吸着ノズルの先端部が当接すると、吸着ノズルが上昇してロードセルが押圧され、吸着ノズル先端部における基板に対する加圧力が検出される。そして、予め定められた所定の加圧力を所定時間維持するようボイスコイルモータを制御し、その後、吸着ノズルから電子部品を解放すると共にボールネジ機構により吸着ノズルを上昇させる。これにより、所定の加圧力で基板に対する電子部品の実装作業を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−127081号公報
【特許文献2】特開2004−158743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の電子部品実装装置は、コレットが回動機構と一体となって下降を行うため、総重量が大きくなることで応答性が低減し、電子部品の基板に対する加圧の制御が難しくなるという問題があった。
また、この電子部品実装装置は、コレットの上端部が回動機構の内部に入り込んでいるため、上方まで延出することができず、コレット上端部から側方にエアーのホースを延出し、吸引源と接続している。そして、このようにホースが側方に延出されているため、コレットの回動範囲が制限されるという問題も生じていた。
【0006】
また、特許文献2の電子部品実装装置は、スプライン軸を用いることで回動機構を吸着ノズルと分離し、加圧制御時に吸着ノズルとノズル保持体のみを上昇させることで、可動重量を低減し、応答性の高い制御を実現可能としているが、荷重検出器が吸着ノズルの上端部に配置され、また吸着ノズルと同心でその上方に回動機構を配置しているため、吸着ノズルを装置の上端部まで引き出すことができなかった。そのため、吸着ノズルに吸引源に接続するためのホースが側方に延出され、特許文献1と同様に、吸着ノズルの回動範囲が制限されていた。
また、ノズル保持体に装備されたロードセルの配線もノズル保持体の外側に引き出されるため、かかる配線も吸着ノズルの回動範囲を制限する原因となっていた。
【0007】
本発明は、吸着ノズルの上下動の際の応答性を向上し、吸着ノズルをより広範囲で回動可能とすることをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、電子部品の供給部と基板の保持部との間を移動可能なヘッドに設けられた吸着ノズルにより電子部品を吸着し、前記基板に前記電子部品を搭載する電子実装装置において、前記ヘッドに固定された本体部と、前記本体部に対して昇降可能に支持された昇降体と、前記昇降体に昇降動作を付与する昇降機構と、前記吸着ノズルを下端部に保持し、上端部が吸気源に接続される中空のノズルシャフトと、前記ノズルシャフトにスプライン溝が形成されると共にスプラインナットを介して前記ノズルシャフトに回動動作を付与する回動機構と、前記吸着ノズルが受ける上方への荷重を検出する荷重検出部と、前記荷重検出部が予め定められた所定の荷重を検出するまで前記昇降体を下降させて前記供給部から電子部品を吸着する制御を行う動作制御部とを備え、前記昇降機構と前記回動機構とが前記本体部に支持され、前記ノズルシャフトの上端部が前記本体部の上部から突出した状態で装備され、前記荷重検出部が前記昇降体又は前記本体部に支持されることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記荷重検出部は、前記昇降体に設けられると共に、前記ノズルシャフトを貫通させた状態で回転可能に保持する中空保持部と、当該中空保持部を前記昇降体に連結する連結部と、前記連結部の歪みを検出する歪み検出素子とを有することを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記昇降機構の駆動源と当該駆動源から前記昇降体に昇降動作を伝達する伝達部材とを有し、前記荷重検出部は、前記昇降機構の駆動源又は前記伝達部材を支持する部位の歪みを検出する歪み検出素子を有することを特徴とする請求項1記載の電子部品実装装置。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記昇降体は、前記昇降機構からの昇降動作入力部と、前記ノズルシャフトの支持部とに分割構成されると共に、前記支持部と前記昇降動作入力部の各々の対向部位を互いに引き寄せ合うような力を付与する弾性体が設けられ、前記支持部が前記昇降動作入力部に対して上側に配置されると共に、前記荷重検出部は、前記支持部と前記昇降動作入力部との対向部位の相互間の加圧力を検出する圧力検出素子を有することを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記昇降体は、前記昇降機構からの昇降動作入力部と、前記ノズルシャフトの支持部とに分割構成され、前記荷重検出部は、前記昇降動作入力部が上側で前記支持部が下側となる対向部位の相互間の加圧力を検出する圧力検出素子を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明は、昇降機構と回動機構とがいずれも本体部に支持されているため、昇降体に回動機構が搭載されている場合に比べて軽量化することができ、吸着ノズルの下降による電子部品の荷重の付加制御が容易となり、精度良く荷重を加えることが可能となる。
また、ノズルシャフトが中空であり、その上端部が本体部の上部から突出した状態で装備されているため、ノズルシャフトの上端部を吸気源と接続することができ、側方に接続チューブ等を延ばす必要がなく、吸着ノズルの回動が制限されなくなり、回動可能角度を拡大することが可能となる。
さらに、荷重検出部が昇降体又は本体部に支持されているので、吸着ノズルの回動時に荷重検出部は回動を行わず、従って、荷重検出部の配線などにより吸着ノズルの回動が制限されなくなり、かかる面からも回動可能角度を拡大することが可能となる。また、荷重検出部の配線電流を伝達するための可動接点構造なども不要とすることが可能である。
【0014】
請求項2記載の発明は、荷重検出部は、ノズルシャフトを貫通させた中空保持部に連結された連結部の歪みを検出するので、ノズルシャフトを本体部が上下に貫通する配置としても荷重検出部が妨げとならず、さらに、ノズルシャフトの周囲で荷重検出を行うので、吸着ノズル及びノズルシャフトに加わる荷重をより正確に検出することが可能となる。
【0015】
請求項3記載の発明は、荷重検出部が昇降機構の駆動源又は伝達部材の支持部位の歪みを検出するので、荷重検出部をノズルシャフトから離れて配置することができ、ノズルシャフトが本体部を上下に貫通する配置とした場合でも荷重検出部が妨げとならず、さらに、荷重検出部を本体部に設けるので、ノズルシャフトと共に回動したり昇降したりしないことから、その配線が昇降体の昇降動作の妨げとならず、また、昇降動作に対応する配線構造を不要とすることが可能となる。
【0016】
請求項4記載の発明は、圧力検出素子が昇降動作入力部と支持部との間に配置されると共に支持部が昇降動作入力部に対して上側に配置されているので、吸着ノズルの下降により下方に当接した時に、支持部が上昇して昇降動作入力部と支持部の間隔が開かれることとなり、当接時の荷重が過大となることで圧力検出素子が破壊されることを効果的に回避することが可能である。
【0017】
請求項5記載の発明は、荷重検出部が昇降動作入力部と支持部との対向部位の相互間の加圧力を検出するので、昇降動作入力部と支持部との間に圧力検出素子を介挿することで荷重検出が可能となり、構造の簡略化及び構成部品数の低減を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第一の実施形態における電子部品実装装置の斜視図である。
【図2】第一の実施形態における吸着ノズルのノズル駆動装置の側断面図である。
【図3】荷重検出部の中心線に沿った断面図である。
【図4】図4(A)は荷重検出部におけるロードセルの部分のみを示した平面図、図4(B)は斜視図である。
【図5】電子部品実装装置の制御系を示すブロック図である。
【図6】電子部品が基板に搭載される際の吸着ノズルの駆動制御を示すフローチャートである。
【図7】電子部品が基板に搭載される際の吸着ノズルの駆動制御を示すタイミングチャートである。
【図8】第一の実施形態におけるノズル駆動装置の他の例の部分断面図である。
【図9】第一の実施形態におけるノズル駆動装置のさらに他の例の部分断面図である。
【図10】第二の実施形態におけるノズル駆動装置の側断面図である。
【図11】荷重検出部の平面図である。
【図12】第三の実施形態におけるノズル駆動装置の他の例の側断面図である。
【図13】第三の実施形態におけるノズル駆動装置の側断面図である。
【図14】荷重検出部の拡大断面図であって、図14(A)は連結部同士が近接した状態、図14(B)は連結部同士が離間した状態を示す。
【図15】第三の実施形態における荷重検出部の検出量と吸着ノズル下降量との関係を示す線図である。
【図16】第三の実施形態における荷重検出部の他の例の拡大断面図である。
【図17】第三の実施形態における荷重検出部のさらに他の例の拡大断面図である。
【図18】第四の実施形態におけるノズル駆動装置の側断面図である。
【図19】第四の実施形態における荷重検出部の斜視図である。
【図20】第四の実施形態におけるノズル駆動装置の他の例の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第一の実施形態:全体構成)
本発明の第一の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、電子部品実装装置100の斜視図である。以下、図示のように、水平面において互いに直交する二方向をそれぞれX軸方向(基板搬送方向)とY軸方向(基板搬送方向との直交方向)とし、これらに直交する鉛直方向をZ軸方向というものとする。
電子部品実装装置100は、基板に各種の電子部品の搭載を行うものであって、図1に示すように、搭載される電子部品を供給する複数の電子部品フィーダー101及び電子部品フィーダー101を複数並べて保持するフィーダーバンク102からなる二組の部品供給部と、X軸方向に基板を搬送する基板搬送手段103と、当該基板搬送手段103による基板搬送経路の途中に設けられた基板に対する電子部品搭載作業を行うための基板保持部104と、複数(この例では三基)の吸着ノズル12をそれぞれ昇降可能に保持するノズル駆動装置10と、各ノズル駆動装置10が固定されて電子部品の保持を行うヘッド106と、ヘッド106を二組の部品供給部と基板保持部104とを含んだ作業エリア内の任意の位置に駆動搬送するヘッド移動機構としてのX−Yガントリ107と、ヘッド106に搭載され、基板の撮像を行う複数(この例では三基)の撮像手段としての基板認識カメラ108と、フィーダーバンク102の近傍で垂直上方に視線を向けて吸着ノズル12に吸着された電子部品Cを下方から撮像する部品認識カメラ120と、上記各構成の動作制御を行う動作制御手段70とを備えている。
【0020】
かかる電子部品実装装置100の動作制御手段70は、電子部品フィーダー101の電子部品の受け渡し部101aから各吸着ノズル12に電子部品を吸着させる。また、動作制御手段70は、各吸着ノズル12に吸着された電子部品を部品認識カメラ120で撮像して得られた撮像画像データから画像処理を行ってノズル先端部に対する電子部品の位置及びノズルの中心線を中心とする角度(向き)を求め、基板に対する吸着ノズル12の位置決めの補正並びに吸着ノズル12を回転させて電子部品の角度の補正を行い、電子部品の実装制御を行う。
【0021】
(吸着ノズルのノズル駆動装置)
図2は吸着ノズル12のノズル駆動装置10の側断面図である。この図に示すように、吸着ノズル12のノズル駆動装置10は、ヘッド106に固定支持された本体部としての本体フレーム60と、電子部品Cをその先端部で吸着する吸着ノズル12を保持するノズルホルダ31と、当該ノズルホルダ31を介して下端部で吸着ノズル12を保持するノズルシャフト30と、上下動可能に本体フレーム60に支持された昇降体としての可動ブラケット14と、可動ブラケット14を上下方向に駆動する昇降機構20と、吸着ノズル12に付与される荷重を検出する荷重検出部40と、Z軸方向に沿った中心線回りに吸着ノズル12の回転角度調節を行う回動機構50と、上記各構成の動作制御を行う動作制御手段70(図5参照)とを備えている。以下に各部を詳説する。
【0022】
(本体フレーム)
本体フレーム60は、ヘッド106に固定される背面板61と、背面板61の上部からY軸方向に沿って延出された第一と第二の延出支持部62,63と、背面板61の下部に設けられて可動ブラケット14をZ軸方向に沿って滑動可能に支持するスライドガイド64とを備えている。
【0023】
背面板61はX−Z平面に沿った平板であり、その一方の面がヘッド106に固定され、他方の面に第一と第二の延出支持部62,63及びリニアガイド64が設けられている。
第一の延出部62は、X−Y平面に沿った板状であって昇降機構20を支持している。
第二の延出部63は、X−Y平面に沿った板状であって回動機構50を支持している。また、この第二の延出部63は、第一の延出部62のすぐ下側に位置している。
【0024】
(可動ブラケット)
可動ブラケット14は、背面板61の下部に設けられたリニアガイド64に対して可動ブロック14aを介して上下に滑動可能に支持されている。この可動ブラケット14は、第一の延出部62に設けられた昇降機構20により上下方向に駆動される。
【0025】
(昇降機構)
昇降機構20は、本体フレーム60の第一の延出支持部62において下方に出力軸を向けた状態で配設された回転駆動式のZ軸モータ21(昇降駆動源)と、その回転角度量を検出するエンコーダ22(図5参照)と、Z軸モータ21の出力軸にカップリング26を介して連結され,上下方向に沿った状態で回転自在に本体フレーム60に支持された伝達部材としてのボールネジシャフト23と、このボールネジシャフト23により上下動が付与されるボールネジナット24とを有している。
ボールネジシャフト23はZ軸モータ21の出力軸に同心で連結され、Z軸方向に沿った状態で下方に垂下されると共に、第二の延出支持部63により軸受け25を介して回転可能に支持されている。
ボールネジナット24は、可動ブラケット14に固定されており、Z軸モータ21の回転駆動により回転角度量に応じて可動ブラケット14を上下動させると共にZ軸方向の位置決めを行う。また、上記エンコーダ22は、その検出信号が動作制御手段70に出力され、動作制御手段70がこれに基づいて可動ブラケット14の現在位置を認識してZ軸モータ21の動作制御を行うことを可能としている。
【0026】
(ノズルシャフト)
吸着ノズル12は、下端部が先細に形成された管状体であり、当該先端部を電子部品Cに向けた状態で吸着保持が行われる。
ノズルシャフト30は、下端部にノズルホルダ31を有し、当該ノズルホルダ31を介して吸着ノズル12を保持する。また、このノズルシャフト30は、内部が全長に渡って中空であり、ノズルシャフト30の上端部には、吸引源となる吸引ポンプやエジェクター等と接続するためのホースの継ぎ手32が設けられている。即ち、このノズルシャフト30は、上端部のホース継ぎ手32から吸引源による吸引が行われると、下端部に装備された吸着ノズル12による吸引を可能とする。
【0027】
また、このノズルシャフト30は、その上部の外周面にスプライン溝が形成されており、当該ノズルシャフト30の上部が第一及び第二の延出支持部62,63により回転可能に支持された後述するスプラインナット55を貫通した状態で嵌合している。
また、ノズルシャフト30の下部は、可動ブラケット14に取り付けられた荷重検出部40により可動ブラケット14に対してZ軸回りに回転可能に支持されている。なお、荷重検出部40によりノズルシャフト30の支持状態については後に詳述する。
かかる構造により、ノズルシャフト30は、可動ブラケット14と共に上下動を行うこととなるが、その上部はスプラインナット55により支持されているので、その上下動は阻害されないようになっている。
なお、ノズルシャフト30は、実際には、その上半分は外周面にスプライン溝が形成された内部中空のスプラインシャフトであり、その下半分はスプライン溝のない内部中空の管状体であり、これらがカップリング35により一体的に連結されているものである。
【0028】
また、ノズルシャフト30の上端部は、可動ブラケット14が可動範囲における最低位置まで下降した場合でも、本体フレーム60の上端面よりも上方に突出するように取り付けられている。これにより、ノズルシャフト30の上端部の継ぎ手32に取り付けられたホースは、常に本体フレーム60の上方に位置する状態が維持され、ノズルシャフト30が回動を行っても、これに伴い回動するホースが周囲の他の構成と干渉する可能性が十分に低減され、吸着ノズル12の回動角度範囲を制限する必要が排除される。
【0029】
(回動機構)
回動機構50は、第二の延出支持部63において上方に出力軸を向けた状態で配設されたθ軸モータ51(回転駆動源)と、その回動角度の原点位置を検出する原点センサ52(図5参照)と、θ軸モータ51の出力軸に設けられたプーリ53からタイミングベルト54を介して連結されたスプラインナット55とを備えている。
スプラインナット55は、前述したように、第一の延出支持部62と第二の延出支持部63との間でZ軸回りに回転可能に支持されており、ノズルシャフト30が挿入されると、相互のスプライン溝が嵌合し、これらがZ軸回りに同時回転を行うようになる。
また、このスプラインナット55は、その外周面がタイミングベルト54のプーリとなっており、θ軸モータ51の駆動により回動動作が付与され、ノズルシャフト30にも回動を伝達する。
つまり、ノズルシャフト30は、回動機構50により回動が行われる際には、荷重検出部40によりその回動が許容され、昇降機構20により上下動が行われる際には、スプラインナット55により上下動が許容される。これにより、ノズルシャフト30は、可動ブラケット14に支持されて上下動を行いつつも回動を行うことも可能となっている。
【0030】
また、原点センサ52は原点検索時にθ軸モータ51の出力軸の原点位置を動作制御手段70に出力し、これに基づいて動作制御手段70はθ軸モータ51に所定の角度量の回転を生じるように回転駆動制御を行うことを可能としている。その結果、θ軸モータ51の出力軸からスプラインナット55,ノズルシャフト30を介して吸着ノズル12の回転駆動が行われ、吸着ノズル12の先端部に吸着保持された電子部品Cの向きを調節することが可能である。
【0031】
(荷重検出部)
荷重検出部40及び可動ブラケット14におけるノズルシャフト30の支持状態について説明する。
図3は荷重検出部40の中心線に沿った断面図、図4(A)は荷重検出部40におけるロードセルの部分のみを示した平面図、図4(B)は斜視図である。この荷重検出部40は、ノズルシャフト30を貫通させた状態で内部の軸受け47により回転可能に保持する円筒状の中空保持部41と当該中空保持部41を可動ブラケット14に連結する複数の連結部としての連結腕部42と連結腕部42の歪みを検出する歪み検出素子としてのひずみゲージ43とからなるロードセル44と、ロードセル44の上側にスペーサ45を介して装備されたストッパ46とを備えている。
【0032】
これに対して、ノズルシャフト30は、その長手方向におけるほぼ中間位置に設けられたフランジ状の段部33が軸受け47の内輪に下方から当接し、円筒状のカラー34を介してカップリング35が上方から軸受け47の内輪を締結している。これにより、ノズルシャフト30は、軸受け47を上下に挟み込んだ状態を形成し、ロードセル44に対してZ軸回りに回転が許容されつつもZ軸方向については固定された状態で保持されている。
なお、ノズルシャフト30は、ロードセル44の下方において、ストロークロータリーベアリング36により可動ブラケット14に支持されており、当該可動ブラケット14に対してZ軸回りの回動とZ軸方向に沿った直動とが許容された状態となっている。
【0033】
ロードセル44の連結腕部42は中空保持部41に二本設けられており、各連結腕部42は中空保持部41を中心として図4(A)における上下方向にそれぞれ一本ずつ延出されている。そして、各連結腕部42は、その延出端部において、スペーサ45及びストッパ46と共に可動ブラケット14の上面に図示しない止めネジにより固定されている。
そして、各連結腕部42は、中空保持部41と一体的に形成されており、当該各連結腕部42が撓むことにより、可動ブラケット14に対して中空保持部41がZ軸方向(上下方向)に揺動することを可能としている。
また、各連結腕部42は、延出部の中間位置の上面に二つずつ歪みゲージ43が貼着装備されており、各歪みゲージ43は、中空保持部41がZ軸方向に沿って揺動した時にその動作量に応じた検出出力を動作制御手段70に行うようになっている。
【0034】
ストッパ46は、連結腕部42よりも剛性の高い素材から形成されると共に、中空保持部41の上端面に対してスペーサ45の厚さに応じた距離だけ離れて設けられている。
そして、吸着ノズル12及びノズルシャフト30が上方に押し上げられた時に、中空保持部41の上端面がストッパ46に当接し、それ以上の上方移動を規制する。
即ち、この電子部品実装装置100では、吸着ノズル12により電子部品Cが基板に加える最大押圧荷重を50Nに設定しており、当該最大押圧荷重50Nで吸着ノズル12が下方に押圧した時に中空保持部41に生じる上方移動量と等しくなるようにスペーサ45の厚さが設定されている。
これにより、ストッパ46によって各連結腕部42には最大押圧荷重に応じた撓み量しか生じないように規制され、各歪みゲージに過大な負荷が生じないようになる。また、ストッパ46により、各連結腕部42の過剰な撓みを規制し、破壊を防止することができる。
【0035】
(電子部品実装装置の制御系)
図5は電子部品実装装置100の制御系を示すブロック図である。電子部品実装装置100は、図5に示すように、電子部品実装装置100の各部の動作制御を行う動作制御手段70を備え、この動作制御手段70には、ヘッド106をX軸方向とY軸方向とに移動させるX−Yガントリ107のX軸モータ121及びY軸モータ122と、吸着ノズル12を上下動させるZ軸モータ21と、吸着ノズル12を回動させるθ軸モータ51とが、それぞれ駆動回路121a,122a,21a,51aを介して接続されている。
また、動作制御手段70には、インターフェイス71を介して、Z軸モータ21のエンコーダ22と、θ軸モータ51の原点センサ52と、荷重検出部40の歪みゲージ43と、基板認識カメラ108及び部品認識カメラ120の撮像画像から基板及び電子部品の位置認識等を行う画像認識装置123とが接続されている。
なお、Z軸モータ21,θ軸モータ、エンコーダ22,原点センサ52,歪みゲージ43は、実際には複数搭載されているが、図5ではそれぞれ一つのみ図示するものとする。
【0036】
動作制御手段70は、吸着ノズル12のノズル駆動装置10について後述する各種制御を行う制御プログラムが記憶されたROM72と、制御プログラムに従って各種の構成を集中制御するCPU73と、CPU73の処理データを格納するワークエリアとして機能するRAM74と、処理データや設定データを保存するデータメモリ75とを備えている。
【0037】
(吸着ノズルの駆動制御方法)
続いて、電子部品Cが基板に搭載される際にCPU73が実行する吸着ノズル12の駆動制御方法について、図6のフローチャート及び図7のタイミングチャートを参照して説明する。これは、CPU73がROM72に格納された所定のプログラムを実行することにより行われる処理である。
なお、ここでは、吸着ノズル12が電子部品Cの吸着を行い、θ軸モータ51により吸着ノズル12の先端部の電子部品Cの向きが既に調節されて、基板の搭載位置にヘッド106が搬送された状態にあることを前提とする。また、この制御は、一つの吸着ノズル12に対する駆動制御であり、複数の吸着を行う際には、各吸着ノズル12ごとに下記の制御を順番に実行する。
【0038】
まず、CPU73は、Z軸モータ21を駆動させて、吸着ノズル12の先端部をヘッド106搬送時の高さZ4(図7(1))から基板上面(以下、搭載面とする)に近い高さZ3まで高速で下降させる(ステップS1:図7(2))。なお、高さZ3は、搭載面Z0に近接する高さであるが吸着ノズル12の下端部が電子部品Cに届くことがない高さに設定されている。また、かかる状態における歪みゲージ43による検出荷重はL0となっている。
【0039】
その後、吸着ノズル12の動作が安定するのを待ってから(図7(3))、Z軸モータ21のゲインを低速の荷重制御モードに切り替えて低速下降を開始する(ステップS3:図7(4))。
そして、CPU73は、吸着ノズル12に吸着された電子部品Cが搭載面に到達することにより歪みゲージ43による検出荷重がL0から上昇するか否かを監視する(ステップS5:図7(5))。
そして、電子部品Cの搭載面への到達が検出されると(図7(6)、高さZ1(電子部品Cが搭載面に当接した時の高さ))、下降を継続して(ステップS7)、さらに、目標荷重(歪みゲージ出力L1)に検出荷重が到達したかを監視する(ステップS9)。
【0040】
そして、検出荷重が目標荷重(歪みゲージ出力L1)に到達したことが検出されるとZ軸モータ21を停止し、可動ブラケット14をその高さに維持すると共に所定の加圧時間の計時を開始する(ステップS11:図7(7)及び図7(8))。
そして、予め設定された加圧時間T1の経過が検出されると(ステップS13:図7(9) 及び図7(10))、Z軸モータ21を駆動して吸着ノズル12を高さZ2まで上昇させる(ステップS15:図7(11))。
なお、高さZ2は、搭載面Z0より幾分上方であって高さZ3よりも低い位置としているが、Z3と同じ高さとしても良い。
【0041】
Z軸モータ21を一時停止した後、Z軸モータ21のゲインを高速の通常モードに切り替えて高さZ4まで高速上昇を行い(ステップS17:図7(12))、吸着ノズルの駆動制御を終了する。
【0042】
(第一の実施形態における効果)
上記電子部品実装装置100は、昇降機構20と回動機構50とがいずれも本体フレーム60に支持されているため、可動ブラケット14に回動機構50を搭載する場合と異なり、昇降動作を行う構成の軽量化を図ることができ、吸着ノズル12の下降による電子部品Cの荷重の付加制御が容易となり、精度良く荷重を加えることが可能となる。
【0043】
また、ノズルシャフト30を中空とし、その上端部を本体フレーム60の上部から突出した状態で装備したことから、吸気源との接続を行うチューブ等の配管がノズルシャフト30と共に回動を行った場合でも、周囲との干渉を回避することが容易であり、吸着ノズル12の回動可能角度を拡大することが可能となる。
さらに、荷重検出部40が可動ブラケット14に設けられているので、吸着ノズル12の回動時に荷重検出部40も回動を行わず、歪みゲージ43の配線などにより吸着ノズル12の回動が制限されなくなり、かかる面からも回動可能角度を拡大することが可能となる。
【0044】
また、荷重検出部40は、ノズルシャフト30を貫通させた中空保持部41に連結された連結腕部42の歪みを検出する歪みゲージ43を有するので、ノズルシャフト30を本体フレーム60の上方まで延出する際に、荷重検出部40が妨げとならず、また、ノズルシャフト30の周囲で荷重検出を行うので、吸着ノズル12及びノズルシャフト30に加わる荷重をより正確に検出することが可能となる。
【0045】
(第一の実施形態の他の例)
なお、前述した電子部品実装装置100では、荷重検出部40を可動ブラケット14の上部に搭載する場合を例示したが、その配置はこれに限定されるものではない。例えば、図8に示すように、荷重検出部40を可動ブラケット14の下部に装備しても良い。この荷重検出部40は前述した荷重検出部40と同一構造のものである。この場合、ノズルシャフト30の段部33は下端部近傍に形成され、これにより荷重検出部40の軸受け47の保持を行う。また、軸受け47を上方から保持するカラーとカップリングは図示を省略している。
【0046】
また、前述した電子部品実装装置100では、ノズルシャフト30をヘッド106の近傍に、昇降機構20をヘッド106の遠方に配置したが、これに限定されるものではなく、図9に示すように、ノズルシャフト30をヘッド106の遠方とし、昇降機構20をヘッド106の近傍に配置しても良い(図9では昇降機構20のボールネジシャフト23とボールネジナット24のみを図示)。また、これと同様に、回動機構50の配置も変更しても良い。
【0047】
また、電子部品実装装置100では、可動ブラケット14においてストロークロータリーベアリング36によりノズルシャフト30を回動及び上下動可能に支持しているが、例えば、荷重検出部40において荷重付加時に生じるZ軸方向の変位が十分に小さい場合には、ストロークロータリーベアリング36に換えて、通常の玉軸受けによりノズルシャフト30を支持し、その内輪と外輪のガタによりノズルシャフト30のZ軸方向の変位を許容する構成としても良い。
【0048】
(第二の実施形態)
本発明の第二の実施形態であるノズル駆動装置10Aについて図面を参照して説明する。かかる第二の実施形態は、ノズル駆動装置10Aに特徴を有し、他の構成は前述した電子部品実装装置100と同一であるため、主にノズル駆動装置10Aについて説明するものとする。また、前述したノズル駆動装置10と同一の構成については同一の符号を付して重複する説明は省略するものとする。
【0049】
図10はノズル駆動装置10Aの側断面図、図11は荷重検出部40Aの平面図である。
このノズル駆動装置10Aは、荷重検出部40Aを可動ブラケット14Aではなく、本体フレーム60に設けた点がノズル駆動装置10と異なっている。
即ち、本体フレーム60の第二の延出支持部63において、軸受け25の周囲四カ所について略扇形状に貫通穴41Aを形成することで、軸受け25とのその周囲の部分を四方から支持する四つのビーム構造部42Aを形成し、当該各ビーム構造部42Aの上面と下面とそれぞれ歪みゲージ43Aを貼着装備することにより、荷重検出部40Aを構成している。
【0050】
また、荷重検出部40Aを本体フレーム60側に設けたことにより、可動ブラケット14Aでは、ノズルシャフト30をZ軸方向に揺動可能に支持する必要がないため、ストロークロータリーベアリング36ではなく、通常の玉軸受け36A,36Aにより支持し、Z軸方向に揺動は生じないが、Z軸回りに回動可能に支持する構造としている。
【0051】
上記の構成により、ノズル駆動装置10Aは、電子部品Cを吸着した状態で吸着ノズル12を基板に向かって下降させ、電子部品Cが基板に到達すると、その反力により、ノズルシャフト30,可動ブラケット14A,ボールネジナット24,ボールネジシャフト23を介して軸受け25及び第二の延出支持部63におけるその周囲の支持部が上方に押圧される。これにより、各ビーム構造部42Aに歪みが生じ、各歪みゲージ43Aの検出により、基板に対する押圧荷重を求めることが可能となっている。
また、このノズル駆動装置10Aに対する動作制御は、前述した図6のフローチャートと図7のタイミングチャートに基づく処理と同一の処理により実行することが可能である。
【0052】
(第二の実施形態における効果)
上記ノズル駆動装置10Aは、前述したノズル駆動装置10と同様の効果を有すると共に、荷重検出部40Aが昇降機構20のボールネジシャフト23の支持部位の歪みを検出するので、荷重検出部40Aをノズルシャフト30から離れて配置することができ、ノズルシャフト30が本体フレーム60を上下に貫通する配置とした場合に、荷重検出部40Aがその配置の妨げとならない。
さらに、荷重検出部40Aを本体フレーム60に設けるので、ノズルシャフト30と共に回動したり昇降したりしないことから、荷重検出部40Aの各歪みゲージ43Aの配線が昇降体の昇降動作の妨げとならず、また、昇降動作に対応する配線構造を不要とすることが可能となる。
【0053】
(第二の実施形態の他の例)
なお、前述したノズル駆動装置10Aでは、荷重検出部40Aを第二の延出支持部63における軸受け25の周囲に設ける場合を例示したが、その配置はこれに限定されるものではない。例えば、図12に示すように、軸受け25よりも第二の延出支持部63におけるその根本側(背面板61側)の位置に荷重検出部40Aを設けても良い。
例えば、軸受け25よりも第二の延出支持部63におけるその根本側の一部について、Z軸方向の厚さが薄くなるようにX軸方向に貫通穴41Aを穿設し、薄肉となるビーム構造部42Aを形成し、その上面と下面に二カ所ずつ歪みゲージ43Aを貼着装備して荷重検出部40Aを構成しても良い。
【0054】
また、第二の延出支持部63がボールネジシャフト23を支持しないで、加圧時の反力がZ軸モータ21まで伝わる支持構造の場合には、図12のS1の位置に図11と同じ構造の荷重検出部40Aを形成しても良い。また或いは、Z軸モータ21よりも第一の延出支持部62におけるその根本側(背面板61側)の位置S2に図12と同じ構造の荷重検出部40Aを形成しても良い。
【0055】
(第三の実施形態)
本発明の第三の実施形態であるノズル駆動装置10Bについて図面を参照して説明する。かかる第三の実施形態は、ノズル駆動装置10Bに特徴を有し、他の構成は前述した電子部品実装装置100と同一であるため、主にノズル駆動装置10Bについて説明するものとする。また、前述したノズル駆動装置10と同一の構成については同一の符号を付して重複する説明は省略するものとする。
【0056】
図13はノズル駆動装置10Bの側断面図、図14は荷重検出部40Bの拡大断面図である。
このノズル駆動装置10Bは、可動ブラケット14Bを昇降機構20からの昇降動作入力部141Bとノズルシャフト30の支持部142Bとに分割構成し、互いの連結部において支持部142Bを昇降動作入力部141Bの上方に配置し、当該支持部142Bと昇降動作入力部141Bの各々の対向部位を互いに引き寄せ合う弾性体としての引っ張りバネ143Bを設け、これらの対向部位の間に荷重検出部40Bを設けたことを特徴とする。
【0057】
上記前提により、可動ブラケット14Bは、昇降動作入力部141Bとノズルシャフト30の支持部142Bとに二分割され、昇降動作入力部141Bには、昇降機構20のボールネジナット24が装備され、支持部142Bには、ノズルシャフト30が二つの玉軸受け36B,36BによりZ軸回りに回動可能に装備される。
【0058】
さらに、図14に示すように、昇降動作入力部141Bと支持部142Bの連結部144B,145Bは、Z軸方向について重合する配置となっており、互いに対向する対向面が形成されている。
そして、昇降動作入力部141Bの連結部144Bは、支持部142Bの連結部145Bの下側に配置されている。
また、それぞれの連結部144B,145Bには、Z軸方向に沿った連結ピン146B,147Bが互いに相手側に向かって延出装備されており、各連結部144B,145Bには相手側の連結ピン147B,146Bを挿入可能なスラストカラー148B,149Bが装備されている。
これにより、昇降動作入力部141Bの連結部144Bと支持部142Bの連結部145Bとは、互いにZ軸方向に沿った相対移動が可能となっている。
また、前述したように、昇降動作入力部141Bの連結部144Bと支持部142Bの連結部145Bとは、引っ張りバネ143Bにより連結されており、互いの対向面が常時近接する方向に張力を受けている状態にある。
【0059】
そして、支持部142Bの連結部145B側の対向面上には、連結部144B側の対向面との接触圧力を検出する荷重検出部40Bとしてのロードセル(圧力検出素子)が装備されており、可動ブラケット14Bに外力が加わっていない状態では、引っ張りバネにより、常時一定の加圧力を受けてこれを検出した状態にある(図14(A))。
ここで、吸着ノズル12による電子部品Cに付与する最大設定荷重を50Nとした場合、引っ張りバネ143Bは最大設定荷重より若干大きめの押圧荷重を生じるもの(例えば60N)が使用される。
【0060】
吸着ノズル12の下降による基板に対する電子部品Cの加圧時には、引っ張りバネ143Bに抗して連結部144Bと連結部145Bとは、互いに離間する方向に作用するので、吸着ノズル12の押し込みが進むと、図15に示すように、荷重検出部40Bによる検出出力は、引っ張りバネ143Bの荷重である60Nから徐々に低減することとなる。引っ張りバネ143Bの荷重を超える荷重となるまで吸着ノズル12が押し込まれると、図14(B)のように連結部144Bと連結部145Bとが互いに離間して、荷重検出不能となるが、引っ張りバネ143Bが最大設定荷重より大きな引っ張り荷重のものが選択されているので、通常の電子部品実装動作時にはそのような事態は生じない。
【0061】
なお、このノズル駆動装置10Bに対する動作制御は、前述した図6のフローチャートと図7のタイミングチャートに基づく処理と同一の処理により実行することが可能である。
【0062】
(第三の実施形態における効果)
上記ノズル駆動装置10Bは、前述したノズル駆動装置10と同様の効果を有すると共に、荷重検出部40Bが昇降動作入力部141Bと支持部142Bとの間に配置されるので、吸着ノズル12の下降により電子部品Cが基板に当接した時に、支持部142Bが上昇して昇降動作入力部141Bと支持部142Bの間隔が開かれることとなり、当接時の荷重が過大となることで荷重検出部40Bが破壊されることを効果的に回避することが可能である。
【0063】
(第三の実施形態の他の例)
なお、前述した可動ブラケット14Bの昇降動作入力部141Bと支持部142Bの連結部144B,145Bは、図16(A)に示すように、X軸方向に沿った軸によるヒンジ150Bにより相互に回動可能に連結すると共に、互いの対向面が引っ張り合うように引っ張りバネ143Bを設ける構成としても良い。そして。接離可能な対向面のいずれか一方に荷重検出部40Bを他方の対向面に向けて装備しても良い。この場合、図16(B)に示すように、荷重検出部40Bが他方の対向面から離れないように、最大設定荷重で加圧した場合でも荷重検出部40Bと他方の対向面とが離れない荷重の引っ張りバネ143Bを選定する必要がある。
【0064】
また、前述した可動ブラケット14Bの昇降動作入力部141Bと支持部142Bの連結部144B,145Bは、図17(A)に示すように、四節リンク機構を構成する平行且つ同じ長さの二つのリンク体151B、152Bにより連結すると共に、互いの対向面が引っ張り合うように引っ張りバネ143Bを設ける構成としても良い。そして。接離可能な対向面のいずれか一方に荷重検出部40Bを他方の対向面に向けて装備しても良い。この場合も、図17(B)に示すように、荷重検出部40Bが他方の対向面から離れないように、最大設定荷重で加圧した場合でも荷重検出部40Bと他方の対向面とが離れない荷重の引っ張りバネ143Bを選定する必要がある。
【0065】
(第四の実施形態)
本発明の第四の実施形態であるノズル駆動装置10Cについて図面を参照して説明する。かかる第四の実施形態は、ノズル駆動装置10Cに特徴を有し、他の構成は前述した電子部品実装装置100と同一であるため、主にノズル駆動装置10Cについて説明するものとする。また、前述したノズル駆動装置10と同一の構成については同一の符号を付して重複する説明は省略するものとする。
【0066】
図18はノズル駆動装置10Cの側断面図、図19は荷重検出部40Cの平面図である。
このノズル駆動装置10Cは、可動ブラケット14Cを昇降機構20からの昇降動作入力部141Cとノズルシャフト30の支持部142Cとに分割構成し、支持部142Cを昇降動作入力部141Cの下方に配置し、当該支持部142Cと昇降動作入力部141Cの各々の対向部位の間に荷重検出部40Bを設け、昇降動作入力部141Cと支持部142Cとを荷重検出部40Cにより連結したことを特徴とする。
【0067】
上記前提により、可動ブラケット14Cは、昇降動作入力部141Cとノズルシャフト30の支持部142Cとに二分割され、昇降動作入力部141Cには、昇降機構20のボールネジナット24が装備され、支持部142Cには、ノズルシャフト30が二つの玉軸受け36C,36CによりZ軸回りに回動可能に装備される。
また、ノズルシャフト30は、支持部142Cと昇降動作入力部141Cとに同心で形成された貫通穴を通じて同時に貫通配置される。
【0068】
さらに、昇降動作入力部141Cの下面と支持部142Cの上面とが対向し、これら対向面を荷重検出部40Cが連結するように取り付けられている。
荷重検出部40Cは、略直方体形状の起歪体41Cと、起歪体41CにX軸方向に沿って貫通穴を設けることでその上面部と下面部とを薄肉状態とし、当該上面と下面の薄肉部におけるY軸方向に沿って対象にそれぞれ二つずつ設けられた歪みゲージ43Cとからなるロードセルである。起歪体41Cには、上面の中央部には下面まで貫通するノズルシャフト30の挿通穴44Cが形成されている。
かかる荷重検出部40Cは、上面中央部からZ軸方向に沿った方向に荷重を受けると、各歪みゲージ43Cが荷重に応じた検出出力を行い、荷重を検出することが可能となっている。
そして、起歪体41Cの上面中央部は昇降動作入力部141Cの下面に固定装備され、起歪体41Cの下面中央部は支持部142Cの上面に固定装備され、昇降動作入力部141Cと支持部142Cとを連結している。
これにより、吸着ノズル12が電子部品Cを吸着した状態を下降して、基板を加圧すると、昇降動作入力部141Cと支持部142Cとの間で起歪体41Cが加圧され、押圧荷重に応じて各歪みゲージ43Cが検出出力を行い、電子部品Cによる加圧荷重を検出することが可能となっている。
【0069】
なお、このノズル駆動装置10Cに対する動作制御は、前述した図6のフローチャートと図7のタイミングチャートに基づく処理と同一の処理により実行することが可能である。
【0070】
(第四の実施形態における効果)
上記ノズル駆動装置10Cは、前述したノズル駆動装置10と同様の効果を有すると共に、荷重検出部40Cが昇降動作入力部141Cと支持部142Cとの対向部位の相互間の加圧力を検出するので、昇降動作入力部141Cと支持部142Cとの間に荷重検出部40Cの起歪体41Cを介挿することで荷重検出が可能となり、構造の簡略化及び構成部品数の低減を図ることが可能となる。
また、起歪体41Cには、X−Y平面における中央部に挿通穴44Cを形成し、ノズルシャフト30を挿通して荷重検出部40Cを昇降動作入力部141Cと支持部142Cとの間に配置したので、吸着ノズル12に加わる荷重をその真上の位置で検出することができ、より制度の高い検出が可能となる。
【0071】
(第四の実施形態の他の例)
なお、前述した荷重検出部40Cは、昇降動作入力部141Cと支持部142Cの間でノズルシャフト30が貫通する配置で設けられているが、これに限らず、図20に示すように、昇降動作入力部141Cと支持部142Cの間であって、ノズルシャフト30を回避した配置としても良い。
その場合、起歪体41Cに挿通穴44Cを設ける必要がなく、また、荷重検出部40Cの取り付けにおいて、ノズルシャフト30の中心線に合わせて位置決めする等の必要もなくなり、構成の簡易化、生産性の向上を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0072】
10,10A,10B,10C ノズル駆動装置
12 吸着ノズル
14,14A,14B,14C 可動ブラケット(昇降体)
20 昇降機構
23 ボールネジシャフト(伝達部材)
24 ボールネジナット
30 ノズルシャフト
40,40A,40C 荷重検出部
40B 荷重検出部(圧力検出素子)
41 中空保持部
41A 貫通穴
41C 起歪体
42 連結腕部(連結部)
42A ビーム構造部
43,43A 歪みゲージ(歪み検出素子)
43C 歪みゲージ(圧力検出素子)
44 ロードセル
50 回動機構
55 スプラインナット
60 本体フレーム(本体フレーム)
70 動作制御手段
100 電子部品実装装置
106 ヘッド
141B,141C 昇降動作入力部
142B,142C 支持部
143B バネ(弾性体)
144B,145B 連結部
C 電子部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品の供給部と基板の保持部との間を移動可能なヘッドに設けられた吸着ノズルにより電子部品を吸着し、前記基板に前記電子部品を搭載する電子実装装置において、
前記ヘッドに固定された本体部と、
前記本体部に対して昇降可能に支持された昇降体と、
前記昇降体に昇降動作を付与する昇降機構と、
前記吸着ノズルを下端部に保持し、上端部が吸気源に接続される中空のノズルシャフトと、
前記ノズルシャフトにスプライン溝が形成されると共にスプラインナットを介して前記ノズルシャフトに回動動作を付与する回動機構と、
前記吸着ノズルが受ける上方への荷重を検出する荷重検出部と、
前記荷重検出部が予め定められた所定の荷重を検出するまで前記昇降体を下降させて前記供給部から電子部品を吸着する制御を行う動作制御部とを備え、
前記昇降機構と前記回動機構とが前記本体部に支持され、
前記ノズルシャフトの上端部が前記本体部の上部から突出した状態で装備され、
前記荷重検出部が前記昇降体又は前記本体部に支持されることを特徴とする電子部品実装装置。
【請求項2】
前記荷重検出部は、
前記昇降体に設けられると共に、前記ノズルシャフトを貫通させた状態で回転可能に保持する中空保持部と、当該中空保持部を前記昇降体に連結する連結部と、前記連結部の歪みを検出する歪み検出素子とを有することを特徴とする請求項1記載の電子部品実装装置。
【請求項3】
前記昇降機構の駆動源と当該駆動源から前記昇降体に昇降動作を伝達する伝達部材とを有し、
前記荷重検出部は、前記昇降機構の駆動源又は前記伝達部材を支持する部位の歪みを検出する歪み検出素子を有することを特徴とする請求項1記載の電子部品実装装置。
【請求項4】
前記昇降体は、前記昇降機構からの昇降動作入力部と、前記ノズルシャフトの支持部とに分割構成されると共に、前記支持部と前記昇降動作入力部の各々の対向部位を互いに引き寄せ合うような力を付与する弾性体が設けられ、
前記支持部が前記昇降動作入力部に対して上側に配置されると共に、
前記荷重検出部は、前記支持部と前記昇降動作入力部との対向部位の相互間の加圧力を検出する圧力検出素子を有することを特徴とする請求項1記載の電子部品実装装置。
【請求項5】
前記昇降体は、前記昇降機構からの昇降動作入力部と、前記ノズルシャフトの支持部とに分割構成され、
前記荷重検出部は、前記昇降動作入力部が上側で前記支持部が下側となる対向部位の相互間の加圧力を検出する圧力検出素子を有することを特徴とする請求項1記載の電子部品実装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−146762(P2012−146762A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2663(P2011−2663)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】