説明

電子部材を有するタイヤ及びかかるタイヤの製造方法

【課題】タイヤ内への電子部材、例えばトランスポンダの配設位置を最適化する。
【解決手段】タイヤ(10)は、基準軸線回りに回転本体を形成する少なくとも1つの環状ビードワイヤ(16)を有する。ビードワイヤと同一の軸線回りにドーナツ形のカーカスプライ(42)が、ビードワイヤ周りに折り曲げられた部分(44)を有する。少なくとも一部がゴム製の第1の物体(48)と電子部材(54)を含む第2の物体(52)との間の接合部によって構成された材料インターフェイス(64)が設けられる。一例を挙げると、電子部材は、受動式無線周波数識別トランスポンダである。インターフェイス(64)は、基準軸線から半径方向に遠ざかってカーカスプライの折り曲げ部分の自由縁(66)からインターフェイスとカーカスプライとの間の円周方向接合線(68)まで延びている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部材を有するタイヤ及びかかるタイヤの製造方法に関する。
【0002】
本発明は、特に、重量物運搬車(heavy goods vehicle:HGV)又はトラック型の自動車用のタイヤに利用されるが、これには限定されない。トラック型車両用のタイヤは、一般に、プライベートカー用のタイヤとは異なり、金属製補強ワイヤを備えたカーカスプライを有しており、プライベートカーのカーカスプライは、一般に、非金属材料、例えばレーヨン、ナイロン又はポリエステルで補強されている。
【背景技術】
【0003】
タイヤの軸方向、半径方向及び円周方向は、タイヤの回転軸線に対して定められる。
【0004】
電子部材を有するタイヤは、技術の現状において、特に欧州特許第389,406号明細書から既に知られている。この特許文献では、電子部材は、ダイポールを形成する2つのアンテナを備えた受動式無線周波数識別トランスポンダ(passive radiofrequency identifiation transponder)を有している。この種のトランスポンダは、一般に、略してRFIDと呼ばれている。かかる部材は、データ、例えばタイヤの製造に関するデータをストレージすることができる。
【0005】
欧州特許第389,406号明細書に記載され、特に、この特許文献の図2に示されたタイヤは、基準軸線回りに回転本体を形成する少なくとも1つの環状ビードワイヤと、ビードワイヤと同一の軸線回りにドーナツ形の形をしていて、ビードワイヤ周りに折り曲げられた部分を含むカーカスプライとを有する。
【0006】
トランスポンダは、タイヤの塊状体内に位置決めされ、このトランスポンダは、タイヤ内の材料インターフェイス、具体的には、少なくともゴム製の第1の物体とトランスポンダによって形成された第2の物体との間の接合部によって構成されるインターフェイスを形成するようになっている。
【0007】
欧州特許第389,406号明細書では、トランスポンダの一部分、特にそのアンテナのうちの一方は、カーカスプライの折り曲げ部分と折り曲げ部分に軸方向に向いたカーカスプライの一部分との間に位置する容積部の内部に延びている。
【0008】
欧州特許第389,406号明細書で提案された仕方でトランスポンダを位置決めすることは、トランスポンダが相互作用する金属製物体、特にカーカスプライ内の金属製ワイヤが近くに位置するためにトランスポンダにストレージされたデータの無線周波数(高周波)伝送にとって最適ではないことが判明している。
【0009】
本発明の特別の目的は、タイヤの塊状体内の電子部材、例えばトランスポンダの位置を最適化してトランスポンダにストレージされているデータの伝送を最適化すると共にタイヤの主要な製造ステップを改変せず、しかもタイヤのアーキテクチャを改変しないで、かかる最適化を行うことにある。
【0010】
【特許文献1】欧州特許第389,406号明細書
【発明の開示】
【0011】
この目的のため、本発明は、タイヤであって、
・基準軸線回りに回転本体を形成する少なくとも1つの環状ビードワイヤと、
・ビードワイヤ周りに折り曲げられた部分を含む、ビードワイヤと同一の軸線回りにドーナツ形のカーカスプライと、
・少なくとも一部がゴム製の第1の物体と電子部材を含む第2の物体との間の接合部によって構成された材料インターフェイスとを有する形式のタイヤにおいて、
インターフェイスは、基準軸線から半径方向に遠ざかってカーカスプライの折り曲げ部分の自由縁からインターフェイスとカーカスプライとの間の円周方向接合線まで延びていることを特徴とするタイヤを提供する。
【0012】
本発明による電子部材の位置により、電子部材に記録されているデータを最適な仕方で伝送することができる。具体的に言えば、この位置は、電子部材の一部分が折り曲げ部分とこれに軸方向に向いているカーカスプライの部分との間に存在する容積部内に延びるのを回避するのに役立つ。かくして、金属製物体、特に、カーカスプライの金属製ワイヤは、電子部材に記録されているデータの伝送に対する外乱を殆ど生じさせないようにする。
【0013】
さらに、タイヤ内において一般に3つのゾーン、即ち、地面に接触するタイヤの部分を実質的に形成するクラウン、タイヤの半径方向内側部分を形成して、特に、タイヤをホイールリムに固定するのに役立つビード、及びビードとクラウンを相互に連結するサイドウォールが識別されるべきである。本発明に従って構成されるインターフェイスは、タイヤのビードのうちの1つの中に位置する。サイドウォールと比較してビードの高い剛性により、タイヤが道路上を走行している間、ビードの変形度が制限される。したがって、この変形、特に電子部材の近接度の歪により、低いレベル状態にあるのでタイヤの機械的耐久性又は電子部材の健全性を損なうことはない応力がインターフェイスの付近に生じる。
【0014】
最後に、電子部材は、外部応力に対して保護される。第2の物体は、外部応力、例えば衝突又は歩道に対するタイヤのこすれを減衰させるのに役立つゴムの厚さによって保護される。
【0015】
有利には、電子部材は、少なくとも10mm、好ましくは少なくとも15mmだけ折り曲げ部分の自由縁から半径方向に遠ざかってずれている。電子部材を自由縁からずらすことは、タイヤの機械的耐久性を保つのに役立つ。カーカス層プライの自由縁は、その性質が剛性の金属なのでタイヤの構造中の特異な部分を形成している。タイヤの構造体中に位置する半径方向特異部分は、タイヤの機械的耐久性にとって重要なゾーンを形成する。かくして、電子部材を自由縁から遠ざけてずらすことは、かかる特異部分を大きくするのを回避し、それにより、タイヤにとって良好な機械的耐久性を得ることができる。
【0016】
有利には、基準軸線と電子部材との間に半径方向に介在して設けられた環状金属製補強プライを有するタイヤの場合、電子部材は、少なくとも10mm、好ましくは少なくとも15mmだけ補強プライの半径方向外縁から遠ざかってずれている。
【0017】
補強プライの半径方向外縁も又、タイヤ中の構造的特異部分を形成している。したがって、電子部材を補強プライのこの外縁から遠ざけてずらすことにより得られる利点は、電子部材をカーカスプライの自由縁から遠ざけてずらした場合の利点に類似している。
【0018】
好ましくは、インターフェイスは、ゴム製の第1物体とゴム製の第3物体との間の接合部によっても構成され、第2物体は、ゴム製第1物体とゴム製第3物体との間に局所的に軸方向に介在して設けられる。
【0019】
必要に応じて、第1物体は、カーカスプライの折り曲げ部分と折り曲げ部分へ軸方向に向いたカーカスプライの部分との間に延びる容積部を充填する物体である。
【0020】
好ましくは、ゴム製第3物体は、少なくとも一部がカーカスプライの折り曲げ部分を覆うと共に折り曲げ部分によって第1物体から局所的に分離された充填材としての物体である。
【0021】
一般に、種々のゴム製物体相互間の材料インターフェイスは又、重要なゾーンを形成する。かくして、タイヤが走行している間、ゴム製物体が出会うインターフェイスを構成するゴム製物体の各々は、変形を生じ、この変形は、これらゴムの性状相互間の差が大きい場合に大きくなる特定の応力をインターフェイスのところに生じさせる場合がある。これらの差は、インターフェイスのところに剪断力を生じさせ、これは、互いに異なるゴム製物体相互間のインターフェイスが重要だからである。
【0022】
充填目的で用いられるゴム製の第1の物体及び第3の物体について通常そうであるようにインターフェイスが同一ではない場合であっても、類似した性状を有するゴム製物体相互間の接合部によって形成される場合、タイヤの機械的耐久性は、劣化しない。ゴム製物体の各々の変形は、実質的に互いにほぼ同じである。その結果、ゴム製物体相互間の変形の差は、僅かである。かくして、インターフェイスは、これが本発明に従って定められた場合、重要なゾーンを形成するが、かかるインターフェイスは、タイヤの機械的耐久性を劣化させない。
【0023】
本発明のタイヤのオプションとしての特徴によれば、電子部材は、実質的に円周方向である方向に沿って形状が全体として細長い。
【0024】
かくして、電子部材により、電子部材がストレージしているデータを最適化された仕方で伝送することができる。具体的に言えば、電子部材は実質的に円周方向に細長いので、電子部材の全ての部分は、環状ビードワイヤ及び任意の金属含有プライ、特にカーカスプライ及び補強プライから軸方向と半径方向の両方において実質的に一定の距離を置いたところに位置する。
【0025】
本発明のタイヤの別のオプションとしての特徴によれば、第2物体は、電子部材を被覆した被覆ゴム製物体を含む。
【0026】
好ましくは、被覆ゴム製物体のゴムの伸び弾性率は、第1物体及び第3物体のゴムのうちの少なくとも一方の伸び弾性率とほぼ同じである。
【0027】
「ほぼ同じ」という用語は、弾性率相互間の差が10%未満であることを意味するために用いられており、「伸び弾性率」という用語は、受容サイクル後に単一軸線に沿って且つ22℃の温度状態で10%の延びを得るために応力を変えることによって得られる弾性率を意味するために用いられている。
【0028】
有利には、被覆ゴム製物体のゴムの比誘電率は、第1物体及び第3物体のゴムのうちの少なくとも一方の比誘電率よりも低い。
【0029】
かかる被覆ゴムを用いることにより、電子部材によってストレージされているデータの伝送具合が改善される。一般に、電子部材を被覆するゴムの物体の誘電率が高ければ高いほど、電子部材によって受け取られたり送られたりする電気信号の減衰度がそれだけ一層大きくなることが判明している。第1及び第3のゴム物体の誘電率が高く、一般に、超高周波(UHF)範囲(300メガヘルツ(MHz)よりも高い)では10よりも高いので、データ伝送具合は、被覆物体のゴムの比誘電率が用いられる周波数範囲内において第1の物体及び第3の物体のゴムの比誘電率よりも低い場合、大幅に改善される。好ましくは、被覆ゴム製物体の誘電率は、UHF周波数範囲では3未満である。
【0030】
好ましくは、被覆ゴム製物体は、円周方向長さが制限されているが、被覆ゴム製物体の端部の各々のところが円周方向における電子部材の長さよりも数ミリメートルだけ長い。「数」ミリメートルという用語は、約2又は3ミリメートルを意味するために用いられている。
【0031】
好ましくは、電子部材は、ダイポールを形成する2つのアンテナを備えた受動式無線周波数識別トランスポンダを有する。
【0032】
本発明は又、電子部材を有するタイヤの製造方法であって、
・環状カーカスプライとゴム製の第1物体との間に介在して設けられた環状ビードワイヤを有する円筒形ブランクを製作するステップと、
・第1物体の表面を自由状態にしておくようカーカスプライの一部分をビードワイヤ周りにゴム製第1物体上に折り曲げるステップとを有する方法において、
電子部材を、カーカスプライが第1物体上に折り曲げられたときに自由状態にされたゴム製第1物体の表面上に位置決めすることを特徴とする方法を提供する。
【0033】
かかる方法により、電子部材を備えていないタイヤを製造する方法のステップの順序を変更することなく、しかも、かかるタイヤの構造を変更することなく、電子部材を備えたタイヤを製造することが可能になる。
【0034】
本発明は、純粋に非限定的な例によって与えられると共に図面を参照して行われる以下の説明を読むと一層良く理解できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
図中、3つの相互に直交する軸線X,Y,Zが、示されており、これら軸線は、タイヤの通常の半径方向(X)、軸方向(Y)及び円周方向(Z)に一致している。
【0036】
図1及び図2において、全体が符号10で示された本発明のタイヤが見える。具体的に言えば、タイヤ10は、重量物運搬車(HGV)又はトラック型の自動車のホイールに取り付けられるよう設計されている。
【0037】
従来通り、タイヤ10は、クラウンSを有し、このクラウンの延長部として、2つのサイドウォールF及び2つのビードBが設けられている。図には、サイドウォールF及びビードBがそれぞれ1つしか示されていない。
【0038】
2本のビードワイヤ16(1つしか示されていない)は、ビードB内に埋め込まれている。2本のワイヤ16は、タイヤの半径方向中央平面Mに関し対称に配置されている。
各ワイヤ16は、基準軸線回りの回転本体を形成している。この基準軸線は、実質的に方向Yに平行であり且つ実質的にタイヤの回転軸線と一致している。
【0039】
クラウンSは、トレッド設計物22を備えたトレッド20と補強材24の両方から成る。補強材24は、ゴム製物体32,34内に植え込まれた金属製プライ26,28,30から成る。
【0040】
ゴム製物体36が、クラウンからビードBのワイヤ16の高さ位置まで半径方向に延びていて、サイドウォールF及びビードBの外面37を構成している。
【0041】
加うるに、図示の例では、ビードBは、金属製補強材によって構成された環状プライ38を有し、この環状プライは、円周方向に対して傾斜している。
【0042】
タイヤ10は、気密ゴム内側ライナープライ40及びケーシング又はカーカスプライ42を更に有している。これらプライ40,42は、一般に、両方ともビードワイヤ16の軸線回りに形状がドーナツ形である。プライ40,42は、クラウンSを経由した状態でタイヤ10の2本の環状ビードワイヤ16相互間に延びている。
【0043】
タイヤ10のビードB内では、カーカスプライ42は、ワイヤ16周りに折り曲げられた部分44を有している。ビードBは、一部がタイヤ10を半径方向且つ軸方向にリムに固定するのに役立つ保護ゴムの環状物体46を更に有している。
【0044】
タイヤ10のビードBは、カーカスプライ42の折り曲げ部分44と折り曲げ部分44に軸方向に向いたカーカス42の部分50との間に延びる容積部Vを充填するゴム製の第1の物体48を更に有している。
【0045】
タイヤ10のビードBは、少なくとも図1〜図3に示す例では、オプションとしてゴム製物体55で被覆された電子部材54を含む第2の物体52を更に有している。電子部材54は、好ましくは、実質的に円周方向である(Z軸に平行な)方向に形状が全体として細長い。具体的に言えば、部材54は、ダイポールを形成する2つのアンテナ58を備えた受動式無線周波数識別(RFID)トランスポンダ56を有する。
【0046】
図示のように、ビードBは、ゴム製の第3の物体62を更に有している。この第3物体62は、カーカスプライ42の折り曲げ部分44を少なくとも部分的に覆った充填材としての物体を形成している。第3物体62は、折り曲げ部分44によって第1の物体48から局所的に分離されている。
【0047】
第1物体48と電子部材54を含む第2物体52との間の接合部は、図1及び図3において破線で示されている材料インターフェイス64の少なくとも一部を構成している。このインターフェイス64は、第1物体48と第3物体62との間の接合部によっても構成されている。
【0048】
このように且つ図示のように、第2物体52は、ゴム製の第1物体48とゴム製の第3物体52との間に局所的に軸方向に介在して設けられている。
【0049】
インターフェイス64は、基準軸線から半径方向にカーカスプライ42の折り曲げ部分44の自由縁66からインターフェイス64とカーカスプライ42との間の円周方向接合線68まで延びている。
【0050】
図示のように、電子部材54は、少なくとも10mmだけ折り曲げ部分44の自由縁66から遠ざかって半径方向にずれている。好ましくは、電子部材44は、少なくとも15mmだけ、折り曲げ部分44の自由縁66から遠ざかって半径方向にずれている。
【0051】
環状金属製補強プライ38が基準軸線と電子部材54との間に半径方向に介在して設けられると共にこの環状金属製補強プライが問題のインターフェイスの軸方向外側に位置しているので、電子部材54は、少なくとも10mm、好ましくは少なくとも15mmだけ、補強プライ38の半径方向外縁70から遠ざかってずれている。
【0052】
さらに、図示の例では被覆ゴム製物体55を構成するゴムの伸び弾性率は、第1物体48及び第3物体62のゴムのうちの少なくとも一方の伸び弾性率とほぼ同じである。
【0053】
また、被覆ゴム製物体55のゴムの比誘電率は、第1物体48及び第3物体62のゴムのうちの少なくとも一方の比誘電率よりも低い。
【0054】
加うるに、被覆ゴム製物体55は、円周方向長さが制限されているが、被覆ゴム製物体の端部の各々のところが円周方向における電子部材54の長さよりも数ミリメートルだけ長い。
【0055】
本発明のタイヤ10の製造方法の主要な特徴について以下に説明する。
【0056】
全体として円筒形の形をした生のブランクを最初に製作し、この生のブランクは、加硫時にタイヤ10を構成することになる。
【0057】
本方法の説明にあたり、種々の加硫ゴム製物体を特定するために上記において用いられた符号は又、加硫される前の対応のゴム製物体を特定するために用いられていることは注目されるべきである。
【0058】
通常、ブランクを製作するためには、カーカスプライ42を定位置に置き、次にビードワイヤ16及び第1物体48をカーカスプライ42上の定位置に置く。次に端部44を折り返して2本のワイヤ及び第1物体48の部分を被覆し、かくして、自由表面を後に残すようにする。第1の形態では、第2物体52を第1物体48の自由表面上に被着させる。
【0059】
第2の形態では、第2物体52を自由状態にされた第1物体48の表面に被着させ、その後、第1物体48をそれ自体カーカスプライ42上に配置する。
【0060】
最後に、ブランク(その形態がどのようなものであれ)上には、タイヤ10の製造の際に従来通りであるステップの実施の際に他のゴム製物体及び他の金属製物体が配置される。説明対象の例では、具体的には、ゴム製の第3物体62、サイドウォール及びビードの外面を構成するゴム製物体36、保護ゴム製物体46、金属製プライ26,28,30及びゴム製物体32,34を定位置に置く。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明のタイヤの一部分の半径方向断面図である。
【図2】図1のタイヤ部分の部分切除斜視図である。
【図3】図1の細部を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
10 タイヤ
16 ビードワイヤ
20 トレッド
24 補強材
36,48,62 ゴム製物体
42 カーカスプライ
44 折り曲げ部分
54 電子部材
56 トランスポンダ
64 材料インターフェイス
68 円周方向接合線
B ビード
S クラウン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
・基準軸線回りに回転本体を形成する少なくとも1つの環状ビードワイヤ(16)と、
・前記ビードワイヤ(16)周りに折り曲げられた部分(44)を含む、前記ビードワイヤ(16)と同一の軸線回りにドーナツ形のカーカスプライ(42)と、
・少なくとも一部が、ゴム製の第1の物体(48)と電子部材(54)を含む第2の物体(52)との間の接合部によって構成された材料インターフェイス(64)とを有するタイヤ(10)において、
前記インターフェイス(64)は、前記基準軸線から半径方向に遠ざかって前記カーカスプライ(42)の前記折り曲げ部分(44)の自由縁(66)から前記インターフェイスと前記カーカスプライ(42)との間の円周方向接合線(68)まで延びていることを特徴とするタイヤ(10)。
【請求項2】
前記電子部材(54)は、少なくとも10mm、好ましくは少なくとも15mmだけ前記折り曲げ部分(44)の前記自由縁(66)から半径方向に遠ざかってずれている請求項1記載のタイヤ(10)。
【請求項3】
前記基準軸線と前記電子部材(54)との間に半径方向に介在して設けられた環状金属製補強プライ(38)を有する前記タイヤ(10)の場合、前記電子部材(54)は、少なくとも10mm、好ましくは少なくとも15mmだけ前記補強プライ(38)の半径方向外縁(70)から遠ざかってずれている請求項1又は請求項2に記載のタイヤ(10)。
【請求項4】
前記インターフェイス(64)は、前記ゴム製の第1物体(48)とゴム製の第3物体(62)との間の接合部によっても構成され、前記第2物体(52)は、前記ゴム製第1物体(48)と前記ゴム製第3物体(62)との間に局所的に軸方向に介在して設けられている請求項1乃至3の何れか1項に記載のタイヤ(10)。
【請求項5】
前記第1物体(48)は、前記カーカスプライ(42)の前記折り曲げ部分(44)と前記折り曲げ部分(44)へ軸方向に向いた前記カーカスプライ(42)の部分(50)との間に延びる容積部を充填する物体である請求項1乃至4の何れか1項に記載のタイヤ(10)。
【請求項6】
前記ゴム製第3物体(62)は、少なくとも一部が前記カーカスプライ(42)の前記折り曲げ部分(44)を覆うと共に前記折り曲げ部分(44)によって前記第1物体(48)から局所的に分離された充填材としての物体である請求項4記載のタイヤ(10)。
【請求項7】
前記電子部材(54)は、実質的に円周方向である方向に沿って形状が全体として細長い請求項1乃至6の何れか1項に記載のタイヤ(10)。
【請求項8】
前記第2物体(52)は、前記電子部材(54)を被覆した被覆ゴム製物体(55)を含む請求項1乃至7の何れか1項に記載のタイヤ(10)。
【請求項9】
前記被覆ゴム製物体(55)のゴムの伸び弾性率は、前記第1物体(48)及び前記第3物体(62)のゴムのうちの少なくとも一方の伸び弾性率とほぼ同じである請求項4又は請求項8に記載のタイヤ(10)。
【請求項10】
前記被覆ゴム製物体(55)のゴムの比誘電率は、前記第1物体(48)及び前記第3物体(62)のゴムのうちの少なくとも一方の比誘電率よりも低い請求項4又は請求項8に記載のタイヤ(10)。
【請求項11】
前記被覆ゴム製物体(55)は、円周方向長さが制限されているが、前記被覆ゴム製物体の端部の各々のところが円周方向における前記電子部材(54)の長さよりも数ミリメートルだけ長い請求項8乃至10の何れか1項に記載のタイヤ(10)。
【請求項12】
前記電子部材(54)は、ダイポール(58)を形成する2つのアンテナを備えた受動式無線周波数識別トランスポンダ(56)を有する請求項1乃至11の何れか1項に記載のタイヤ(10)。
【請求項13】
電子部材(54)を有するタイヤ(10)の製造方法であって、
・環状カーカスプライとゴム製の第1物体(48)との間に介在して設けられた環状ビードワイヤ(16)を有する円筒形ブランクを製作するステップと、
・前記第1物体の表面を自由状態にしておくよう前記カーカスプライ(42)の一部分(44)を前記ビードワイヤ(16)周りに前記ゴム製第1物体(48)上に折り曲げるステップとを有する方法において、
前記電子部材を、前記カーカスプライが前記第1物体上に折り曲げられたときに自由状態にされた前記ゴム製第1物体の前記表面上に位置決めすることを特徴とする製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−265750(P2008−265750A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−120004(P2008−120004)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(599093568)ソシエテ ド テクノロジー ミシュラン (552)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)
【Fターム(参考)】