説明

電子錠システム、およびそのプログラム

【課題】電子鍵の盗難等による使用に対して安全性の高い電子錠システムを提供する。
【解決手段】使用者の携帯する電子鍵2の使用における電子錠1の動作設定と、電子鍵2の使用における電子錠1の動作条件と、の少なくともいずれかの設定・変更を行う。電子錠1の動作設定は、電子錠の施錠、解錠、電子錠の状態の屋内への通知、電子錠の状態の他の場所への通知、を行なうかどうかの少なくとも1つ以上の設定であり、動作条件は、電子鍵の使用者、使用可能時間、使用可能場所、電子鍵の使用時に動作を許可するかどうか、の少なくとも1つ以上の条件である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入出門のための扉に用いて、扉の開錠/施錠を行う電子錠システム、およびそのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子錠システムは、電子鍵によって入力される鍵信号と電子錠側に登録されている情報とが電子的に照合されて、鍵信号の一致/不一致の判断を受けて扉の開錠/施錠が行われる入出門システムである。
【0003】
例えば、訪問者が携帯する電子鍵と、前記電子鍵と非接触で信号を送受する情報送受部を備えた電子錠と、扉開閉用センサとで構成して、前記電子鍵は、内部に電磁波を検知する検知部と、電磁波を検知した場合に信号を送信する信号送信部とを有し、前記情報送受部は、電磁波を発生する電磁波発生部と、扉開閉用センサを能動状態と非能動状態に切り替えるセンサ切替信号出力部とを有し、前記電子鍵が電子鍵挿入口に挿入されることにより、電子鍵からの信号を受信し、扉開閉用センサが訪問者を検知することにより、扉を開放する電子錠システムが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−336391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記のようなシステム構成では、電子錠に対応する電子鍵を入手すればいつでも開錠できるため、電子鍵が他人の手に渡ることによる危険性が通常の機械式鍵と同等に高いものである。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、電子鍵の盗難等による使用に対してより安全な電子錠システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の電子錠システムは、使用者の携帯する電子鍵の使用における電子錠の動作設定と、電子鍵の使用における電子錠の動作条件と、の少なくともいずれかの変更を行うものである。これによって、たとえば個々の電子鍵の使用者や時間等を限定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電子錠システムは、電子鍵の使用における電子錠の動作設定や動作条件の変更を行って電子鍵の使用者、使用可能時間、使用可能場所等を限定することができるので、例えば、電子鍵を盗難されても数日間使わなかった電子鍵は動作しないように設定しておく等により不正使用に対して安全性を高くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明の電子錠システムは、入出門のための扉に用いて、前記扉に設置して開錠/施錠を行う電子錠と、前記電子錠と通信を行うことで使用者の認証を行って前記電子錠を制御する電子鍵とによって構成して、使用者の携帯する前記電子鍵の使用における前記電子錠の動作設定と、前記電子鍵の使用における前記電子錠の動作条件と、の少なくともいずれかの設定・変更を行うようにしたものである。
【0009】
これにより、電子鍵の使用目的や時間等を限定して、電子鍵の盗難等による使用に対し
て安全性を高くすることができる。
【0010】
第2の発明の電子錠システムは、第1の発明の構成に加えて、前記電子錠と接続して前記電子錠の制御や状態の表示を行う制御端末を備え、前記制御端末によって前記電子鍵の使用における前記電子錠の前記動作設定や前記動作条件の入力や表示を行うようにしたものである。
【0011】
これにより、制御端末を用いて電子錠が使用される電子鍵の使用目的や時間等を限定して、電子鍵の盗難等による使用に対して安全性を高くすることができる。
【0012】
第3の発明の電子錠システムは、特に、第1または第2の発明における動作設定が、電子錠の開錠、電子錠の施錠、電子錠の状態の屋内への通知、電子錠の状態の他の場所への通知、の動作を行うかどうかの少なくとも1つ以上の設定であることとしたものである。
【0013】
これにより、個々の電子鍵の動作内容を限定して、電子鍵の盗難等による使用に対して安全性を高くすることができる。
【0014】
第4の発明の電子錠システムは、特に、第1または第2の発明における動作条件が、電子鍵の使用者、電子鍵の使用可能時間、電子鍵の使用可能場所、電子鍵を電子錠に使用した時に動作を許可するかどうかの少なくとも1つ以上の条件であることとしたものである。
【0015】
これにより、個々の電子鍵の動作条件を限定して、電子鍵の盗難等による使用に対して安全性を高くすることができる。
【0016】
第5の発明は、特に、第1または第2の発明における電子錠システムが、前記電子鍵との通信を行う携帯可能な認証鍵を設け、前記認証鍵が前記電子鍵からあらかじめ定めた距離以内の時に前記電子鍵との通信を行い、前記電子鍵は前記認証鍵との通信を行ったときのみ前記電子錠との通信を行うこととしたものである。
【0017】
これにより、認証鍵がないと電子鍵の動作を禁止するので、電子鍵の盗難等による使用に対して安全性を高くすることができる。
【0018】
第6の発明は、第1〜5の発明の電子錠システムにおいて、その制御の少なくとも一部を電子錠または電子鍵で実行させるプログラムで、これによって記録媒体や通信回線でのダウンロードによって運用途中でのプログラムの変更や追加を行うことができるので、新たな仕様変更に対応できる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
以下、本発明の第一の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0021】
図1は、本発明の第一の実施の形態における電子錠システムのシステム構成図である。
【0022】
電子錠1aおよび電子錠1bはRFタグリーダを内蔵しており、それぞれ住宅の入出門をする扉である玄関扉4と勝手口5に設置して、RFタグを内蔵した電子鍵2を近づけることによって開錠、施錠を行うことで扉の開閉制御を行う。
【0023】
また、制御端末3は、電子錠1と有線で接続されて居間や台所などの居住スペースに設置して、電子鍵2の開閉条件設定や電子錠1との通信と開閉制御を行い、電子錠1の開閉時の状態表示を行う。
【0024】
電子錠1は図2のブロック図で示すように、RFタグリーダを内蔵して電子鍵2との通信を無線で行う電子鍵通信部11と、タクトスイッチ等で構成されて開錠時に押す開錠ボタン12と、タクトスイッチ等で構成されて施錠時に押す施錠ボタン13と、LEDやブザー等で構成されて電子錠1の開閉状況を表示する表示部14と、制御端末3と有線で接続されて通信を行う制御端末通信部15と、CPUやメモリ等で構成されて全体の通信制御を行ったりデッドボルト(かんぬき)の駆動を行って扉の施錠/開錠の制御を行う電子錠制御部16とで構成される。
【0025】
制御端末3は図3のブロック図で示すように、電子錠1との通信を行う電子錠通信部31と、RFタグリーダを内蔵して電子鍵2よりデータを読み出す電子鍵読み取り部32と、キーパッドやタッチパネル等で構成されて使用者が入力を行う入力部33と、液晶ディスプレイ等で構成されて入力部33での入力内容の表示や電子錠1の状況を表示する表示部34と、電話回線に接続されて遠隔の電話機に電子錠1の状況を通知する電話通信部35と、ブザーやスピーカー等で構成されてチャイムや音声などを出力する音声出力部36と、CPUやメモリ等で構成されて全体の通信制御を行う制御部37とで構成される。
【0026】
次に、本電子錠システムによる扉の開閉の制御動作を示す。
【0027】
(1)まず、電子鍵2で電子錠1が開閉できるように、電子鍵2の登録を行う。
【0028】
電子鍵2を制御端末3の電子鍵読み取り部32に近接させると、電子鍵読み取り部32が電子鍵2に内蔵されたRFタグより電子鍵2のIDを読み出して、制御部37へ通知する。
【0029】
制御部37では、通知された電子鍵2のIDがこれまでに記憶されたことのない未登録の鍵の場合は、図4(A)のように、表示部34に鍵登録画面を表示し、電子鍵2のIDを表示部34に示して、このIDの鍵の登録画面であることを示している。
【0030】
使用者は、鍵登録画面に示された動作設定、使用時間、使用場所を表示部34の上に設置された入力部33であるタッチパネルによって選択しながら、それぞれの設定を行う。
【0031】
例えば、タッチパネルのボタンである「動作設定」301を押すと、図4(B)のように動作設定の画面を表示部34に表示し、開錠設定の列の「×」306を押すと、開錠機能を停止する設定を選択することができ、「決定」308を押すと、開錠および施錠の設定した機能を決定し、図4(A)の鍵登録画面に戻る。
【0032】
「中止」309を押すと、開錠および施錠の設定した機能を反映せずに、図4(A)の鍵登録画面に戻る。
【0033】
同様にして、「時間設定」302を押すと、図5(A)の時間設定画面を表示し、右三角や左三角のボタン310、311を押して使用停止、使用開始の時間を設定する。図5(A)の例では、10時に使用を停止し17時に使用を開始する設定となるので、10時から17時の日中は使用できず、電子鍵2を他人に奪われて日中に使われたとしても電子錠1を開錠される心配がない。
【0034】
また、「場所設定」303を押すと、図5(B)の場所設定画面を表示し、玄関の列の
「×」314を押すと、玄関扉4への使用機能を停止する設定を選択することができ、電子鍵2は勝手口5のみで使用することができる設定となる。
【0035】
鍵登録画面(図4(A))で「登録」304を押すと、電子鍵2の登録が完了する。また、「中止」305を押すと、電子鍵2は登録されず、電子鍵2は使用不可の状態のままとなる。
【0036】
(2)電子鍵2の登録を終了すると、表示部34に図6(A)の鍵情報変更画面が表示され、電子鍵2の名称の設定、鍵使用時の通知設定や、他の動作の再設定を行うことができる。
【0037】
「設定変更」318を押すと、図6(B)のような設定変更画面が表示される。設定できる内容は、前述の図4(A)の鍵登録画面での設定と同じであり、「設定」326または「中止」327を押すことで図6(A)の鍵情報変更画面に戻る。
【0038】
「名称設定」319を押すと、図7(A)のような名称設定画面が表示される。名称は表示ボタンを押すことで選択して、「決定」329を押すことで決定され、その後は図7(B)に示すように、その電子鍵2の表示は鍵IDの代わりに名称で行われる。
【0039】
「通知設定」320を押すと、図8(A)のような通知設定画面が表示される。通知の「あり」331を押すと、図8(B)の通知先設定画面が表示され、端末通知の列の「1」または「2」334を押すと、その電子鍵2で電子錠1が開錠されると制御端末3でチャイムがなる設定にすることができる。「1」と「2」を異なったチャイムで音声出力部36から出力することで誰が開錠したかを音で確認することができる。
【0040】
さらに、電話通知先の「あり」335を押すと、電話番号入力画面が表示され、テンキー等の表示を用いて通知先の電話番号を入力することで、電子鍵2で電子錠1が開錠されると電話機に通知される設定にすることができる。電話機では、“「わたし」が帰宅しました”等の合成音声を送出することで、誰が開錠したかがわかる。
【0041】
以上のような鍵登録および設定によって電子鍵2使用設定を制御部37に記憶する。
【0042】
(3)電子鍵2での電子錠1の開閉は以下の手順で行う。
【0043】
使用者が玄関扉4の前に立ち、電子鍵2を電子錠1a(以降、電子錠1とする)に近接させることで、電子鍵2に内蔵したRFタグを電子錠1の電子鍵通信部11のRFタグリーダが読み取り、読み取った鍵IDを制御端末通信部15より制御端末3に通知する。
【0044】
制御端末3では、電子錠通信部31で受信した鍵IDを制御部37に記憶している鍵設定情報と照合して、未登録または使用不可設定である場合は電子錠通信部31より電子錠1に対して使用不可通知を行う。
【0045】
電子錠1では、制御端末通信部15によって使用不可通知を受信すると、状況表示部14によって使用不可であることを表示する。例えば、LEDを点滅させたり、ブザーを鳴らすことで使用者に知らせる。
【0046】
使用不可設定は、動作設定において開錠と施錠のいずれも不可の設定になっているか、時間設定において現在時刻が使用停止時間内にあるか、場所設定において使用不可の電子錠であるかの少なくとも1項目を満たしている場合である。
【0047】
鍵IDが制御部37に記憶している鍵設定情報と照合して、登録済みであり、かつ使用可能設定となっている場合は、電子錠1からの次の通知を待つ。
【0048】
電子錠1で開錠ボタン12が押されると、制御端末通信部15より制御端末3へ開錠要求が通知される。
【0049】
制御端末3では、電子錠通信部31で受信した通知が開錠要求であった場合、制御部37に記憶している鍵設定情報と照合して、動作設定において開錠可の設定になっている場合には電子錠通信部31より電子錠1に対して開錠通知を行う。
【0050】
電子錠1は制御端末通信部15より開錠通知を受信すると、電子錠制御部16によって玄関扉4のデッドボルトを駆動して開錠を行う。これにより、使用者は玄関扉4のノブを回すことで扉を開けることができる。
【0051】
施錠時も同等の手順で動作する。
【0052】
以上のように、本実施の形態の電子錠システムによると、電子鍵2の登録や設定を制御端末3で行って、電子鍵2の使用者の特定や使用時間、使用場所を設定するので、電子鍵2を使用している人が住宅内から確認でき、使用目的や時間も限定することができるので電子鍵の盗難等による使用に対して安全性が高い。
【0053】
なお、本実施の形態では時間設定において一日の間の使用可能時間を設定することとしたが、未使用タイマを設けてあらかじめ定めた時間(例えば1ヶ月)以上使用されなかった時に使用停止を行うこととすれば、賃貸住宅での住人の入れ替え時などに前の住人が電子鍵を持ったまま引っ越してしまったとしても、一定時間が過ぎればその電子鍵は無効になるため鍵の削除の手間を省くことができるし、その他に、1ヶ月での使用時間や使用回数等を設定して使用制限付きの電子鍵を作ることも可能である。
【0054】
また、本実施の形態では、電子鍵2と電子錠1の認証時に制御端末3は電子鍵2が使用可か不可かの応答を行う通信のみとしたが、制御端末3で電子鍵2の使用者が確認できた時点で表示部33によって電子鍵2の名称表示(たとえば「おとうさん」と表示)を行い、制御端末3の入力部34によって住宅内にいる人が開錠許可または開錠不許可の選択を行うこととすればより安全性を高めることができる。
【0055】
また、本実施の形態では、電子鍵2と電子錠1とを近接させることによって通信を行うこととしたが、微弱無線、特定小電力無線などを用いたアクティブ無線タグのような1〜2m程度離れても通信できる仕組みとすれば、電子鍵2を電子錠1に近接させることなく、電子鍵2をポケットやかばんの中に入れたままで電子錠1の開錠や施錠の操作を行うことができる。
【0056】
また、本実施の形態では電子錠2と制御端末3との接続を有線としたが、無線通信によって行うこととすれば配線の必要がなくなり既築住宅の扉への後付設置が容易である。さらに、制御端末3を電子錠2とを別筐体とせず、電子錠2に制御端末3の機能を組み込むこととすれば、別に制御端末3の設置を行う必要もなくなる。
【0057】
(実施の形態2)
以下、本発明の第二の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0058】
図9は第二の実施の形態における電子錠システムのシステム構成図で、第一の実施の形態(図1)との違いは、電子錠1や制御端末3が認証鍵6との通信を行うことである。
【0059】
電子錠1の構成は、図10に示すようなブロック構成図で、第一の実施の形態(図2)との違いは、電子鍵2のみでなく認証鍵6との無線通信も行うために認証鍵通信部17を設けていることである。
【0060】
同様に制御端末3においても、図11に示すようなブロック構成図で、第一の実施の形態(図3)との違いは、電子鍵2のみでなく認証鍵6との情報読み取りも行うために認証鍵読み取り部38を設けていることである。
【0061】
認証鍵6は、図12のブロック図に示すように、電子錠1や制御端末3との通信を行うための無線通信部61と、認証鍵6を電子鍵1と組み合わせ設定するときに用いる設定ボタン62と、LED等で構成して動作状態を表示する認証鍵表示部63と、通信や動作の制御を行う認証鍵制御部64とを備えるものである。
【0062】
認証鍵6の形態は、携帯電話、名刺型のカード、キーホルダー、ペンダント、腕時計等に内蔵して常に電子鍵2の使用者が携帯するようなものとしている。
【0063】
次に、本実施の形態における電子錠システムの動作を説明する。
【0064】
電子鍵1の制御端末3での登録は第一の実施の形態と同じ手順で行い、さらに制御端末3のそばで認証鍵6の設定ボタン62を押すことで認証鍵6と電子鍵1との組み合わせ設定を開始する。
【0065】
認証鍵6の設定ボタン62を押すと、認証鍵制御部64は無線通信部61より制御端末3へ認証鍵6の機器IDを含んだ設定要求を送信する。
【0066】
制御端末3は、認証鍵読み取り部38より認証鍵6の設定要求を受信すると、図13に示すような認証鍵設定画面を表示する。
【0067】
認証鍵設定画面には、認証鍵の機器ID338が表示され、同時に対応させることのできる電子鍵2の名称一覧339が表示される。名称を設定していない鍵は、鍵IDが表示される。
【0068】
使用者は、電子鍵2の名称一覧339の中から対応させたい電子鍵2を選択して、「決定」340を押すことで制御端末3の制御部37に電子鍵2と認証鍵6の対応が記憶される。
【0069】
電子鍵2での電子錠1の開閉は図14の電子錠の動作のフローチャートに示すように以下の手順で行う。
【0070】
使用者が玄関扉4の前に立ち、電子鍵2を電子錠1に近接させることで、電子鍵2に内蔵したRFタグを電子錠1の電子鍵通信部11のRFタグリーダが読み取り(S01)、読み取った鍵IDを制御端末通信部15より制御端末3に通知する(S02)。
【0071】
制御端末3では、電子錠通信部31で受信した鍵IDを制御部37に記憶している鍵設定情報と照合して、未登録または使用不可設定である場合は電子錠通信部31より電子錠1に対して使用不可通知を行う。登録されてかつ使用可能設定になっている場合は、制御部37に記憶している認証鍵設定情報と照合して、認証鍵6が登録されていない場合も電子錠通信部31より電子錠1に対して使用不可通知を行う(S03のYES)。
【0072】
認証鍵6が登録されている場合は、電子錠通信部31より電子錠1に対して認証鍵6の機器IDを含んだ認証鍵確認要求を行う。電子錠1は、制御端末通信部15により認証鍵確認要求を受信すると(S04)、認証鍵通信部17より無線で認証鍵6に対して応答要求を送信する(S05)。
【0073】
認証鍵6は、常に間欠受信動作(例えば2秒毎)を行っており、電子錠1より応答要求を受信して自分の機器IDと合っていた場合に応答電文を電子錠1に返す。
【0074】
電子錠1では、認証鍵通信部17より認証鍵6からの応答電文を受信すると(S06)、制御端末通信部15を介して制御端末3へ認証鍵確認応答を返す(S07)。
【0075】
制御端末3では電子錠通信部31より電子錠1から認証鍵確認応答が返ってくると、電子錠1からの次の通知を待ち、電子錠1で開錠ボタン12や施錠ボタン13が押されると(S08)、第一の実施の形態と同様の制御を行う。
【0076】
例えば、電子錠1で開錠ボタン12が押されると、制御端末通信部15より制御端末3へ開錠要求が通知される(S09)。
【0077】
制御端末3では、電子錠通信部31で受信した通知が開錠要求であった場合、制御部37に記憶している鍵設定情報と照合して、動作設定において開錠可の設定になっている場合には電子錠通信部31より電子錠1に対して開錠通知を行う。
【0078】
電子錠1は制御端末通信部15より開錠通知を受信すると(S10)、電子錠制御部16によって玄関扉4のデッドボルトを駆動して開錠を行う(S11)。これにより、使用者は玄関扉4のノブを回すことで扉を開けることができる。
【0079】
電子錠1では、一定時間内(例えば5秒以内)に認証鍵6からの応答電文を受信しなければ、制御端末通信部15を介して制御端末3へ認証鍵確認不可を返す(S12)。
【0080】
制御端末3では電子錠通信部31より電子錠1から認証鍵確認不可が返ってくると、電子錠通信部31より電子錠1に対して使用不可通知を行う(S03のYES)。
【0081】
以上のように、本実施の形態の電子錠システムによると、電子鍵2の登録や設定に加えて認証鍵6による使用者認証を行うことができるので、電子鍵の盗難等による使用に対して非常に安全性が高い。
【0082】
なお、本実施の形態では、認証鍵6は電子錠1との通信を行って制御端末3によって使用者認証を行うこととしたが、電子鍵2に認証鍵6との登録・通信機能を設けて認証鍵6の機器IDを電子鍵2に登録して、電子鍵2を使用する(電子錠1と近接した)時点で認証鍵6との通信を行い、電子鍵2は認証鍵6からの応答がなければ電子錠1との通信を行わないこととしてもよい。
【0083】
この構成の場合、電子鍵2と認証鍵6とがあらかじめ定めた距離(例えば3m)以上離れると、電子鍵2が認証鍵6との通信ができなくなり、電子鍵2は動作を停止して電子錠1との通信を行わなくなる。その後、電子鍵2は、間欠送信または受信(例えば10秒毎)で認証鍵6との通信を繰り返し試みることで、電子鍵2と認証鍵6とがあらかじめ定めた距離(例えば3m)以内に近づいたことを検出すると、電子鍵2は電子錠1との通信が再び可能な状態になる。
【0084】
これにより、制御端末3への認証鍵6の登録の必要がなくなり、また電子鍵2を他の場
所の電子錠や他の認証システムに利用する場合にもそのまま高い安全性を保って使用することができる。
【0085】
また、上記各実施の形態において、電子錠1や電子鍵2や認証鍵6の通信では暗号化された電文や「ローリングコード方式」や「チャレンジ/レスポンス方式」等のアクセス毎に変更されるIDを用いたりすることで電子コピー(電子鍵の盗難や信号の盗聴によるコピー鍵の作成)に対する安全対策を行っておくことはもちろんである。
【0086】
また、上記各実施の形態において、電子鍵2は電子錠1に近接することで通信する形としたが、キーやカード形状として電子錠1の読み取り部に挿入することとしてもよいし、1メートル程度離れても電子錠1と通信のできる無線通信としてもよく、扉の形状や場所に合わせて決定すればよい。
【0087】
また、本発明は上記各実施の形態を各機器に実現させるプログラムであっても、そのプログラムを記録した記録媒体(ROM内蔵カセットなど)であってもよい。プログラムを用いることで、そのプログラムを記録した記録媒体を交換して用いたり、ネットワークを介して書き換えたりすることで制御を変更することが容易にできる。
【0088】
また図14において制御端末は、表示部や入力部、音声出力部など図14のフローチャートに関係しない手段を備えていなくてもよい。
【0089】
また、電話通信部のかわりにインターネットなどのネットワーク通信部を備えて、サーバや携帯電話やパソコンに電子メールで通知するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
以上のように、本発明にかかる電子錠システムおよびそのプログラムは、個々の電子鍵の動作内容や条件を限定して、電子鍵の盗難等による使用に対して安全性を高くすることが可能なので、住宅用の扉のみでなく、いろいろな施設の入出門の管理やロッカー等の開閉制御に適用し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の第一の実施の形態における電子錠システムのシステム構成図
【図2】本発明の第一の実施の形態における電子錠のブロック構成図
【図3】本発明の第一の実施の形態における制御端末のブロック構成図
【図4】本発明の第一の実施の形態における鍵登録画面と動作設定画面を示す図
【図5】本発明の第一の実施の形態における時間設定画面と場所設定画面を示す図
【図6】本発明の第一の実施の形態における鍵情報変更画面と設定変更画面を示す図
【図7】本発明の第一の実施の形態における名称設定画面と鍵名称を表示した鍵情報変更画面を示す図
【図8】本発明の第一の実施の形態における通知設定画面と通知先設定画面を示す図
【図9】本発明の第二の実施の形態における電子錠システムのシステム構成図
【図10】本発明の第二の実施の形態における電子錠のブロック構成図
【図11】本発明の第二の実施の形態における制御端末のブロック構成図
【図12】本発明の第二の実施の形態における認証鍵のブロック構成図
【図13】本発明の第二の実施の形態における認証鍵設定画面を示す図
【図14】本発明の第二の実施の形態における電子錠システムの開錠制御を示すフローチャート
【符号の説明】
【0092】
1 電子錠
2 電子鍵
3 制御端末
4 玄関扉(扉)
5 勝手口(扉)
6 認証鍵
11 電子鍵通信部
16 電子錠制御部
31 電子錠通信部
32 電子鍵読み取り部
33 表示部
34 入力部
37 制御部
61 無線通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入出門のための扉に用いて、前記扉に設置して開錠/施錠を行う電子錠と、前記電子錠と通信を行うことで使用者の認証を行って前記電子錠を制御する電子鍵とによって構成して、使用者の携帯する前記電子鍵の使用における前記電子錠の動作設定と、前記電子鍵の使用における前記電子錠の動作条件と、の少なくともいずれかの設定・変更を行う電子錠システム。
【請求項2】
請求項1の構成に加えて、前記電子錠と接続して前記電子錠の制御や状態の表示を行う制御端末を備え、前記制御端末によって前記電子鍵の使用における前記電子錠の前記動作設定や前記動作条件の入力や表示を行う電子錠システム。
【請求項3】
前記動作設定は、電子錠の開錠、電子錠の施錠、電子錠の状態の屋内への通知、電子錠の状態の他の場所への通知、の動作を行うかどうかの少なくとも1つ以上の設定である請求項1または2記載の電子錠システム。
【請求項4】
前記動作条件は、電子鍵の使用者、電子鍵の使用可能時間、電子鍵の使用可能場所、電子鍵を電子錠に使用した時に動作を許可するかどうかの少なくとも1つ以上の条件である請求項1または2記載の電子錠システム。
【請求項5】
前記電子錠との通信を行う携帯可能な認証鍵を設け、前記認証鍵が前記電子錠からあらかじめ定めた距離以内の時に前記電子錠との通信を行い、前記電子錠は前記認証鍵との通信を行ったときのみ前記電子鍵との通信を行う請求項1または2に記載の電子錠システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載の電子錠システムの制御の少なくとも一部を電子機器で実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−77692(P2007−77692A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−267846(P2005−267846)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】