説明

電気コネクタ

【課題】相手コネクタの不用意な抜けを防止できるコネクタを提供することを課題とする。
【解決手段】ハウジング11と該ハウジングにより保持された金属板製の複数の端子20とを有し、該端子20は、相手端子40と接触する接触部22と、回路基板に接続される接続部23とを平坦な板状をなすようにして有し、接触部22は相手端子40と摺接する接触面25Aがコネクタ嵌合方向に延びて形成されていて、複数の端子20は隣接する端子20と接触面25A同士が平行面をなすように配列されている電気コネクタにおいて、接触部22は、相手端子40の相手接触部42との所定の接触位置まで達した際に、コネクタ抜出方向で該相手接触部42の一部が係止する段状の係止部25Bが接触面25Aに隣接して設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属板により作られた端子を有する電気コネクタに関し、特に、板状の接触部に形成された接触面が相手端子の相手接触部と上記接触面で摺接して接触位置にもたらされる端子を有する電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
かかる電気コネクタとしては、特許文献1に開示されているコネクタが知られている。
【0003】
この特許文献1のコネクタの端子は、板状の接触部がその板面に平行な状態で、相手端子の二股状をなす相手接触部の溝部へ進入する。板状の接触部がこの相手接触部の溝部へ進入すると、溝部はその溝幅が広げられて弾性変形し、その弾性力により上記接触部との接圧を得るようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−217641
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コネクタは相手コネクタとの嵌合後に、不用意な抜出方向力を受けることがある。
【0006】
特許文献1のコネクタにあっては、かかる不用意な抜出方向力を受けたときには、上記端子の接触部は相手接触部との間の摩擦力のみでこれに対抗することとなる。
【0007】
したがって、抜出方向力が上記摩擦力よりも大きい場合には、接触部と相手接触部との接触位置がずれて接触不良となったり、さらには、相手接触部が抜けてしまうことさえある。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑み、不用意な抜出方向力が作用しても、これに抗する力を増大して、相手接触部との接触位置のずれや相手接触部の抜出を防止する電気コネクタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電気コネクタは、ハウジングと該ハウジングにより保持された金属板製の複数の端子とを有し、該端子は、相手端子と接触する接触部と、回路基板に接続される接続部とを平坦な板状をなすようにして有し、接触部は相手端子と摺接する接触面がコネクタ嵌合方向に延びて形成されていて、複数の端子は隣接する端子と接触面同士が平行面をなすように配列されている。
【0010】
かかる電気コネクタにおいて、本発明では、接触部は、相手端子の相手接触部との所定の接触位置まで達した際に、コネクタ抜出方向で該相手接触部の一部が係止する段状の係止部が接触面に隣接して設けられていることを特徴としている。
【0011】
このような構成の本発明では、コネクタ嵌合時に、相手端子の相手接触部の一部が上記端子の接触面を摺接し、所定の接触位置にまで達する。その際、上記相手接触部の一部は、上記接触面に隣接して設けられた段状の係止部を乗り越えて上記所定の接触位置に到達する。
【0012】
かくして、所定の接触位置にある相手端子に不用意な抜出方向力が作用したときには、端子の接触面に隣接して形成された段状の係止部と上記相手接触部の一部とが上記抜出方向で互いに係止し合うため、相手端子は抜けが阻止される。
【0013】
本発明において、係止部は相手端子の接触部の先端が係止する段状凹部の縁部とすることができる。
【0014】
さらに、本発明では、接触部は接触面が端子の両側の板面に形成され、係止部が両方の接触面に設けられていることが好ましい。こうすることで、相手接触部の接圧が両方の接触面で挟圧力として作用し、その挟圧力で係止部での係止がより確実となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以上のように、板状をなす端子の接触部の接触面に隣接して段状の係止部を設けることとしたので、相手接触部の一部が抜出方向で段状の係止部に係止するので、不用意なコネクタの抜出が阻止される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る第一コネクタと第二コネクタの嵌合直前における状態を示す斜視図である。
【図2】図1の第一コネクタを上下反転した姿勢で示す斜視図である。
【図3】図2の姿勢の第一コネクタの端子位置における断面図である。
【図4】図1の姿勢における第一コネクタの第一端子と第二コネクタの第二端子とを一対だけ取り出して示す斜視図である。
【図5】図4の第一端子と第二ハウジングに保持されている第二端子についての端子延出方向における互いの接触部の位置での断面図である。
【図6】図5に対応した位置での断面で示す変形例である。
【図7】第一コネクタについての変形例を示す斜視図である。
【図8】図7における第一端子と第二端子とを一対だけ取り出して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面にもとづき、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
本実施形態では、図1に示されるように、互いに嵌合接続されるプラグコネクタ(以下、「第一コネクタ」)10とレセプタクルコネクタ(以下、「第二コネクタ」)30とを有している。両コネクタ10,30は、いずれも対応する回路基板に取り付けられ、回路基板の面同士が平行でコネクタの取付面を対向させた姿勢で嵌合される。したがって、コネクタ嵌合直前を示す図1の状態では、第一コネクタ10は対応回路基板の下面側に位置し、第二コネクタ30は対応回路基板の上面側に位置しており、互いに対向している。
【0019】
第一コネクタ10は、コネクタ嵌合直前の図1の姿勢に対して上下方向を反転した姿勢での該第一コネクタ10のみを示す図2にも見られるように、略H字状の平面形状をなす第一ハウジング11に、両側に向け延出するように、第一端子20が保持されている。
【0020】
第一ハウジング11は、電気絶縁材料で作られていて、長く延び四角形断面をなす棒状の端子保持部11Aと、該端子保持部11Aの長手方向両端で両側に張リ出す金具保持部11Bとを有し、全体として平面形状がH字状をなしている。
【0021】
上記第一ハウジング11により保持されている複数の第一端子20は、図2にも見られるように、該第一ハウジング11の端子保持部11Aの両側で長手方向に定間隔で配列されている。本実施形態では、両側に配列された第一端子20は、同一形状であり、上記端子保持部11Aに対して対称に配置されている。上記第一端子20は、金属板を抜き加工等により外形づけると共にその板面の一部を没入させる加工を行って得られている。図2は第一ハウジング11により保持されている複数の第一端子20が第一ハウジング11外に露出している外観、図3は第一ハウジング11により対称に保持されている二つの第一端子20の板厚方向中央での断面、図4は一つの第一端子20のみについての外観を図1と同じ姿勢で第二端子40とともに示している。該第一端子20は、その板面に直角方向(端子配列方向)に見た外形が、第一コネクタ10が取り付けられるべき回路基板の面に平行な方向で、上記第一ハウジング11の端子保持部11Aから離間する方向となる側方に延出した横長な形をなしている。該第一端子20は、この方向で区分される三つの領域を有している。図3に見られるように、この三つの領域とは、第一ハウジング11との一体モールド成形により該第一ハウジング11により保持される第一被保持部21と、第一ハウジング11外にあって第二コネクタ30の第二端子40と接触するための第一接触部22と、そして該第一接触部22から延出した、回路基板との接続のための第一接続部23である。上記第一接触部22と第一接続部23との間は、若干傾斜せる移行部24が存在しているが、この移行部24は省略可能である。すなわち、端子の延出方向たる横方向では、上記第一被保持部21、第一接触部22そして第一接続部23は互いに重複範囲をもつことなく、順次位置して形成されている。そして、本実施形態における第一端子20においては、上記第一ハウジング11により保持される第一被保持部21は、コネクタ嵌合(そして抜出)方向、すなわち図にて高さ(上下)方向で上記第一接触部22の範囲に位置している。図3で良く理解できるように、該第一被保持部21は、第一接触部22の高さ範囲で該第一接触部22から横方向に突出するように形成されていて、上縁が直線状部21Aそして下縁が波形状部21Bをなしている。この第一被保持部21は、その両方の板面そして上記上縁と下縁を含めた周面で第一ハウジング11の端子保持部11Aと全面的に接触した状態で、モールド一体成形されている。したがって、第一被保持部21は、上記第一接触部22の高さ範囲内の寸法しか有していないにも拘らず、端子保持部11Aの材料と全面的に接触していること、そして下縁が波形状部21Bをなしていることが相俟って、上記第一ハウジング11の端子保持部11Aによってしっかり保持されていると共に側方への引き抜き方向の外力に対しての抗力をさらに高めている。
【0022】
上記第一被接触部22には、図1、図2そして図4に見られるように、端子の板面に没入加工を施した段状凹部25が形成されている。この段状凹部25は、図4に良く見られるように、図4における第一接触部22の上縁側に開放され、他の三方の側に段状縁部を有する四角形領域をなして、平坦な底面を有し、平坦な該底面は相手方たる第二端子との接触面25Aを形成する。そして図4における該段状凹部25の下縁の段部は上記第二端子と係止し合う係止部25Bを形成する。該係止部25Bより下方は、第二端子との接触開始のためのテーパ面をもつ導入部26であり、上記接触面25A、係止部25Bそして導入部26が第一接触部22を形成する。
【0023】
上記第一接続部23は、図2そして図3に見られるように、第一ハウジング11の端子保持部11Aから離間する方向で若干下方に傾斜する移行部24を経て横方向に延出している。該第一接続部23は、本実施形態では、コネクタ嵌合方向となる高さ方向で上記第一接触部22と半分位が重複範囲をなしている。この第一接続部23は、第一コネクタ10が回路基板上に配されたときに、該回路基板の回路部と接面した状態で半田接続される。したがって、第一接続部23はその下縁が第一ハウジング11の底面と同一レベルの面もしくは若干下方に位置している必要があるので、上述のごとく、第一接触部22から傾斜する移行部24を経て下方に位置している。しかし、第一接触部22の下縁は図3に示される例よりも下方に位置して第一ハウジング11の底面近くにあってもよく、第一接続部23の下縁よりも僅かでも上方に位置していれば十分である。その場合には、第一接続部23は、高さ方向で、その殆どが上記第一接触部22の範囲に収まることとなり、また、該第一接触部22の高さ方向寸法、すなわち、相手方たる第二端子との接触長さを大きく確保することも可能となる。
【0024】
第一ハウジング11の両端における金具保持部11Bには、取付金具27が保持されている。該取付金具27も第一端子20と同様に、上記第一ハウジング11とのモールド一体成形により該第一ハウジング11により保持されている。該取付金具27は、上記金具保持部11Bから横方向に延出しており、延出した脚状取付部27Aは高さ方向にて、その下縁が上記第一端子20の第一接続部23の下縁と同じレベルにあり、該第一接続部23と同様に、回路基板の対応取付部に半田で取り付けられるようになっている。
【0025】
このような形態の第一コネクタ10と嵌合接続される第二コネクタ30は、嵌合直前の第一コネクタ10と共に図示されている図1に見られるように、全体として矩形平板状の第二ハウジング31に第二端子40が配列保持されている。
【0026】
第二コネクタ30の第二ハウジング31は、第一コネクタ10の第一ハウジング11と同様に、電気絶縁材料で作られていて、第一コネクタ10の第一ハウジング11そして第一端子20をも受け入れる受入凹部32が形成されている。該受入凹部32は、上記第一ハウジング11の端子保持部11Aを受け入れるように長手方向に延びる中央凹部33と、その長手方向両端から短手方向に延びて上記第一ハウジング11の金具保持部11Bを受け入れる端部凹部34と、さらには、上記中央凹部33から両側に櫛歯状に延びて上記第一コネクタ10の第一端子20の第一接触部22そして第一接続部23をも収める溝状の分岐した複数の端子用凹部35とを有している。上記中央凹部33と端部凹部34は、それぞれ受入相手たる第一コネクタ10の上記端子保持部11Aと金具保持部11Bの外形に適合した凹部内面形状を有している。
【0027】
上記端子用凹部35は、図1に見られるように、上記第一端子20の延出方向に対して直角な方向での溝幅(上方から見たときの該端子用凹部35の対向内面間距離)が上記延出方向での位置により異なっている。上記端子用凹部35の溝幅は、該延出方向で上記第一端子20の第一接触部22に対応する範囲で狭く、第一接続部23に対応する範囲で広く形成されている。上記第一接触部22に対応する範囲では、この端子用凹部35内に板状の第一接触部22が進入してくるので、それに見合った幅、すなわち進入する該第一接触部22の板厚に対し十分な溝幅そしてその進入に際して案内をもできる溝幅をなし、入口上縁にテーパ面35A−1を有する端子溝35Aを形成している。これに対して、これよりも端子延出方向先方の範囲には、上記第一端子20の第一接続部23および半田が進入するため広くなっている。
【0028】
上記端子用凹部35の平面形状は上述のごとくであるが、嵌合方向かつ端子配列方向に延びる面における断面形状については、第二端子40と係りがあるので、該第二端子40の説明後に、改めて説明する。
【0029】
第二端子40は、図4に見られるごとく、金属板を外形づけると共に板厚方向に屈曲加工を受けて作られている。そして、その板厚面に直角な方向で第一端子20の第一接触部22を受け入れるようになっている。横方向に延びる上記第二端子40は、その延出方向での中間部に第二被保持部41を有し、その一方の側で上記第一端子20の第一接触部22に対応して位置する一端部に第二接触部42を、他端部に第二接続部43を有している。
【0030】
上記第二被保持部41は、上記第二ハウジング31の後述の対応せる保持孔へ挿入されて保持される関係上、幅広に形成されている。該第二被保持部41からは、くびれ部分を経て一端側に二股状の第二接触部42が延出している。この第二接触部42は平面形状が音叉状をなして一端に向け開口する溝部42Aを形成して、二つの接触片44を対向して有している。両接触片44はその対向内縁同士の距離、すなわち溝幅が一端(先端)たる自由端に向け狭めていると共に、上縁部に溝内方に向け、テーパ部44Aが形成されている。先端では、丸みをおびた接触突部44Bが互いの近接方向に突出して形成されている。該接触突部44B同士間距離は、上記第一端子20の第一接触部22に形成された両側の段状凹部25の接触面25A同士間距離、すなわち該接触面25Aにおける板厚よりも若干小さい。この対向せる二つの接触突部44Bは、上記端子の延出方向で、図4にも見られるごとく、対応する接触面25Aの範囲内に位置している。
【0031】
第二接続部43は、第二被保持部41に対して板厚方向で下方に向けクランク状に屈曲された後に上記第二被保持部41と平行な面を形成している。
【0032】
このような第二端子40は、図1にも見られるように、第二接触部42が上記第二ハウジング31の溝状の端子用凹部35内に位置し、第二接続部43が第二ハウジング31外に延出するように位置しており、第二被保持部41にて第二ハウジング31の保持孔36により保持される。該保持孔36は、端子用凹部35と連通していて第二ハウジング31の側面に窓状に開口している。上記第二端子40をこの開口を通して第二接触部42側から上記保持孔36へ挿入すると、第二接触部42が上記端子用凹部35に達して第二被保持部41が上記保持孔36で保持され、第二接続部43が第二ハウジング31外に位置するようになる。上記端子用凹部35は、中央凹部33側に位置する端子溝35Aが第一端子20の第一接触部22の板厚よりも若干大きい溝幅をもって形成されていて、溝縁張出部35Bが溝内方に張り出されている形をなしている。この溝縁張出部35Bの直下には、上記保持孔36の内幅をそのまま上記中央凹部33に連通する位置まで延ばして規制溝37が形成されている。該規制溝37は、図5に見られるように、嵌合方向に上下に貫通する端子溝35Aの内面側に該端子溝35Aに開口するように形成されていて、第二端子40の第二接触部42をなす二つの接触片44の外側縁部44Cを収めている。
【0033】
上記規制溝37は、図5に見られるように、その溝上内面が端子溝35Aに向けて上方に傾斜する面をなしていて、平坦な第二端子40の第二接触部42の接触片44上面に対し当接して、該接触片44が上方へ変位することを規制する規制部37Aを形成する。したがって、これに対面する上記接触片44の上面は、この規制部37Aにより規制を受ける被規制部44Dをなす。上記規制部37Aと被規制部44Dは互いに当接する作用部を形成し、該作用部にて、上記規制部37Aが傾斜していることにより、第二端子40の溝部42Aの幅を狭める方向の分力を生ずる。
【0034】
次に、本実施形態の両コネクタについての使用要領、作動原理について説明する。
【0035】
先ず、第一コネクタ10そして第二コネクタ30をそれぞれ対応の回路基板に接続し取り付ける。両コネクタ10,30の嵌合直前を示す図1では、回路基板の図示が省略されているが、既述のごとく、第一コネクタ10の上面側に対応の回路基板が、そして第二コネクタ30の下面側に対応の回路基板がそれぞれ位置していて、互いに対向する姿勢をとっている。すなわち、第一コネクタ10に関しては、図2そして図3に示される姿勢の第一コネクタ10を回路基板上に配して該回路基板に接続そして取り付けた後、その回路基板の上下面を反転させて、図1の姿勢をとる。
【0036】
図1の位置そして姿勢で、回路基板に取り付けられている第一コネクタ10を降下させ、第二コネクタ30に嵌合させる。嵌合時には、溝縁張出部35Bのテーパ面()に誘われて第一コネクタ10の第一ハウジング11が第二コネクタ30の第二ハウジング31の受入凹部32で受け入れられ、第一コネクタ10の第一端子20の第一接触部22は第二ハウジング31の端子溝35Aにテーパ面35A−1を経て案内されつつ端子用凹部35内に進入する。図5に見られるように、上記端子溝35A内には、対向溝内面に開口して形成された規制溝37に外側縁部44Cが収められた上記第二コネクタ30の接触片44の接触突部44Bが突入していて、この接触片44同士間に形成された溝部42Aが上記第一端子20の第一接触部22直下に位置している。該第一接触部22の下端部はテーパ面をもつ導入部26となっており、上記第一接触部22は該導入部26が、上記接触片44の溝部42Aの上縁に形成されたテーパ部44Aで案内されつつ、上記接触片44を接触突部44Bで押し広げるように弾性変位させて上記溝部42Aの溝幅を広げる。さらに、上記第一接触部22の上記溝部42Aへの進入が進行すると、上記導入部26が接触突部44Bの位置を通過し、段状凹部25が該接触突部44Bと接触するようになる。すなわち、接触突部44Bから見ると、該接触突部44Bが、上記第一接触部22に対して相対的に移動し、上記導入部26を乗り越えて、段状の係止部25Bを経て、平坦な接触面25Aに達する。そして、上記接触突部44Bは、係止部25Bにおける段差の分だけ弾性変位量を減じて、所定の接圧で上記接触面25Aとの接触状態を保つ。
【0037】
このようにして、第二コネクタ30に対して第一コネクタ10を嵌合接続した後に、第一コネクタ10に不用意な抜出方向力が作用したときには、第一コネクタ10の第一接触部22に形成された段状の係止部25Bと第二コネクタ30の接触突部44Bとが上記抜出方向に互いに係止し合い抜けを防止する。上記抜出方向力が予想外に大きいときには、上記係止部25Bが接触突部44Bを上方に弾性変位させて、その係止から外れようとする。しかしながら、本発明では、第二ハウジング31の規制溝37の溝上内面にテーパ状の規制部37Aが形成され、また、上記第二接触部42の接触片44の上面には上記規制部37Aに対面する被規制部44Dが形成されている。したがって、抜出方向力を上記係止部25Bを介して上記接触片44が受けて上方へ弾性変位しても、係止が外れる前に上記規制部37Aに対し被規制部44Dが当接し、上記規制部37Aのテーパ面からの反力の横方向分力により、上記溝部42Aの溝幅を小さくする方向に二つの接触片44が弾性変位し、該二つの接触片44の接触突部44Bが上記第一接触部22の両側の接触面25Aに対する挟圧力を一段と高める。その結果、第一接触部22は、最早抜出方向に移動できず、したがって、上記段状の係止部25Bでの接触突部44Bとの係止は外れることはない。
【0038】
本発明は、図1ないし図5に示された形態に限定されず、種々変更可能である。
【0039】
例えば、第二コネクタ30における第二ハウジング31の規制部37Aと第二端子40の被規制部44Dは、図5の形態のように規制部37Aをテーパ面とせずとも、図6に見られるように、該規制部37Aを水平な平坦面とし被規制部44Dをテーパ面とすることも可能である。勿論、図示していないが規制部と被規制部の両方をテーパ面としてもよい。さらには、規制部と被規制部は、直線な傾斜をなすテーパ面としなくとも、少なくとも互いの当接部分が傾斜している曲面で形成することも可能である。
【0040】
次に、第一コネクタ10の第一端子20に設けられる係止部25Bは、図2,4に見られるような段状凹部25の段状縁部でなくとも、図7に見られるような突起として形成された係止部25Bであってもよい。図8に見られるように、第二コネクタ30の第二端子40の接触突部44Bは、この突起として形成された係止部25Bを乗り越えて該係止部25Bと係止し、コネクタの抜け防止を図る。
【符号の説明】
【0041】
11 ハウジング(第一ハウジング) 25A 接触面
20 端子(第一端子) 25B 係止部
22 接触部(第一接触部) 40 相手端子(第二端子)
23 接続部(第一接続部) 42 相手接触部(第二接触部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと該ハウジングにより保持された金属板製の複数の端子とを有し、該端子は、相手端子と接触する接触部と、回路基板に接続される接続部とを平坦な板状をなすようにして有し、接触部は相手端子と摺接する接触面がコネクタ嵌合方向に延びて形成されていて、複数の端子は隣接する端子と接触面同士が平行面をなすように配列されている電気コネクタにおいて、
接触部は、相手端子の相手接触部との所定の接触位置まで達した際に、コネクタ抜出方向で該相手接触部の一部が係止する段状の係止部が接触面に隣接して設けられていることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
係止部は相手端子の接触部の先端が係止する段状凹部の縁部であることとする請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
接触部は接触面が端子の両側の板面に形成され、係止部が両方の接触面に設けられていることとする請求項1又は請求項2に記載の電気コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−49015(P2012−49015A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190698(P2010−190698)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(390005049)ヒロセ電機株式会社 (383)
【Fターム(参考)】