電気ヒータ装置およびその製造方法
【課題】熱効率に優れ、安価に製造可能であり、メンテナンス性に優れた電気ヒータ装置を提供すること。
【解決手段】PTC素子72を含む発熱部材70と、この発熱部材70で発生した熱を大気中に放熱するフィン部材80と、を備え、フィン部材80が、発熱部材70の外側に設けられたケーシング部材に接して設けられた電気ヒータ装置であって、ケーシング部材として、PTC素子72を含む発熱部材70構成要素をサンドイッチ状に上下から挟む一対の挟持プレート75,75を備え、これら一対の挟持プレート75,75の表面75aに、フィン部材80を蝋付けにより結合し、挟持プレート75,75に対して挟持方向に荷重を与えた状態で両挟持プレート75,75の端縁部どうしを係合するクリップ部材90を設けた。
【解決手段】PTC素子72を含む発熱部材70と、この発熱部材70で発生した熱を大気中に放熱するフィン部材80と、を備え、フィン部材80が、発熱部材70の外側に設けられたケーシング部材に接して設けられた電気ヒータ装置であって、ケーシング部材として、PTC素子72を含む発熱部材70構成要素をサンドイッチ状に上下から挟む一対の挟持プレート75,75を備え、これら一対の挟持プレート75,75の表面75aに、フィン部材80を蝋付けにより結合し、挟持プレート75,75に対して挟持方向に荷重を与えた状態で両挟持プレート75,75の端縁部どうしを係合するクリップ部材90を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PTC(Positive Temperature Coefficient)素子などの通電することで発熱する発熱素子を備えた電気ヒータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通電により発熱するPTC素子を備えた長尺状の発熱部材に接してフィンが設けられたヒータユニットと、このヒータユニットを、前記発熱部材とフィンの並び方向に複数積層して形成されたヒータ積層体と、このヒータ積層体の長手方向の両端部を支持する一対のハウジング部材と、を備えた電気ヒータ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような電気ヒータ装置は、PTC素子を電極プレートと絶縁プレートとを順に重ね合わせたものを導電性のチューブに収容し、このチューブをPTC素子と各板の重ね合わせ方向にプレスして、PTC素子に電極プレートおよびチューブを圧接させ、さらに、チューブの外側面のフィンを圧接あるいは接着した構造となっている。
【0004】
そして、フィンと電極プレートとをそれぞれ電源のプラス側とマイナス側とに接続することにより、PTC素子にチューブおよび電極プレートを介した通電が成されるようになっている。
【特許文献1】欧州特許第0575649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術にあっては、フィンとチューブとの接触が、圧接あるいは接着となっていたため、フィンとチューブとの間の密着性が充分に得られないおそれがある。このように、フィンとチューブとの密着性が充分でない場合、密着性が充分である場合に比べて、熱抵抗が大きくなり、放熱性が充分に得られない。
【0006】
さらに、チューブをプレスした接触では、PTC素子とチューブおよび電極との接圧が、経時的に低下するおそれがあり、接圧の管理が難しかった。そして、接圧が低下すると、通電性の悪化および熱抵抗の増大を招き、熱効率が悪化する。
【0007】
加えて、発熱部分であるPTC素子や電極などをチューブに収容した後にプレスするため、専用のプレス装置が必要であり、設備費がかかる。しかも、発熱部分に不良が発生した際に、その構成部品を取り出して修理することが難しく、メンテナンス性が悪い。
【0008】
本発明は、上述のような従来の問題に着目して成されたもので、熱効率に優れ、安価に製造可能であり、メンテナンス性に優れた電気ヒータ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため請求項1に記載の発明は、長尺状に形成され、通電により発熱する発熱素子を含む発熱部と、この発熱部で発生した熱を大気中に放熱するフィン部材と、を備え、このフィン部材は、前記発熱部の外側に設けられたケーシング部材に接して設けられた電気ヒータ装置であって、前記ケーシング部材として、前記発熱素子を含む発熱部の構成要素をサンドイッチ状に両側から挟む一対の挟持プレートを備え、これら一対の挟持プレートの前記構成要素を挟持する側の面とは反対側の面である表面に、前記フィン部材が蝋付けにより結合され、前記挟持プレートに対して挟持方向に荷重を与えた状態で両挟持プレートの端縁部どうしを係合する係合手段が設けられていることを特徴とする電気ヒータ装置とした。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電気ヒータ装置において、前記係合手段が、前記挟持プレートへの係合状態で係合手段自身と前記挟持プレートとの少なくとも一方を弾性変形させ、その復元力を前記挟持方向の荷重として作用させる構造であることを特徴とする電気ヒータ装置とした。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の電気ヒータ装置において、前記係合手段が、両挟持プレートの端縁部に装着されるクリップ部材であり、このクリップ部材は、両挟持プレートの端縁部の表面にそれぞれ係合する一対の係合片を備えているとともに、両係合片の間隔を拡げる方向に弾性変形して両係合片の間隔を狭める方向に復元力を作用させるよう形成されていることを特徴とする電気ヒータ装置とした。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の電気ヒータ装置において、前記挟持プレートの端縁部には、前記クリップ部材の係合片と挟持プレートの幅方向に係合してこの係合片が前記挟持プレートから脱落するのを規制する凹凸形状部が設けられていることを特徴とする電気ヒータ装置とした。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の電気ヒータ装置において、前記係合手段が、両挟持プレートの少なくとも一方に一体に形成され、他方の挟持プレートの端縁部と係合する係合爪を備えていることを特徴とする電気ヒータ装置とした。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の電気ヒータ装置において、前記係合爪と係合する前記他方の挟持プレートの端縁部に、前記係合爪との係合位置を前記他方の挟持プレートの表面から遠ざける突起部が形成されていることを特徴とする電気ヒータ装置とした。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の電気ヒータ装置において、前記係合爪と突起部とが、前記挟持プレートの端縁部において長手方向に交互に設けられ、かつ、一対の挟持プレートを対向させたときに、前記係合爪と突起部とが係合するよう幅方向で互い違いに配置されていることを特徴とする電気ヒータ装置とした。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の電気ヒータ装置において、前記フィン部材の前記挟持プレートに蝋付けされた基端部の幅方向両端部に、前記係合手段との干渉を避ける切欠部が形成されていることを特徴とする電気ヒータ装置とした。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の電気ヒータ装置において、前記発熱部の構成要素として、前記発熱素子の位置決めを行う位置決め穴が長手方向に複数並設された位置決めプレートと、前記発熱素子の上下両側面の一方に接して位置決めプレートに重ねられた電極プレートと、この電極プレートと挟持プレートとの間に介在されて電極プレートと挟持プレートとの間の絶縁を行う絶縁プレートと、が含まれ、前記挟持プレートと電極プレートとが、それぞれプラスマイナスの電極として用いられていることを特徴とする電気ヒータ装置とした。
【0018】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の電気ヒータ装置の製造方法であって、あらかじめ前記挟持プレート表面にフィン部材を蝋付けにより結合させておき、前記発熱部の構成要素を、一対の前記挟持プレートの裏面の間に挟み、その後、両挟持プレートの端縁部どうしを、前記係合手段により係合させることを特徴とする電気ヒータ装置の製造方法とした。
【発明の効果】
【0019】
本発明の電気ヒータ装置では、あらかじめ挟持プレートにフィン部材を蝋付けにより結合しておき、発熱素子などの発熱部の構成要素を、2枚の挟持プレートで挟み、その後、挟持プレートの端縁部を係合手段により係合する。
【0020】
このように、挟持プレートにフィン部材が蝋付けにより結合されているため、フィン部材をケーシングに圧接や接着している場合に比べ、熱の伝達効率を高めて熱効率向上を図ることができる。
しかも、発熱部の構成要素をチューブに収容してプレスするのと比較して、専用のプレス装置が不要で、設備費用低減を図ることができる。
さらに、挟持プレートの間に挟持されている発熱素子の接触圧が、係合手段が付与する荷重で得られるため、プレスで接触圧を設定するのに比べて、接触圧の設定が容易であるとともに、経時的な接圧の低下を防止することが可能であり、これにより、通電性および熱抵抗を良好に保ち、熱効率を向上させることができる。
加えて、係合手段による係合を外すことで、挟持プレートに挟持された発熱部の構成要素を取り出すことが可能であるため、チューブに発熱部の構成物を入れてプレスした場合に比べて、不良発生時の修理が容易であり、メンテナンス性に優れる。
【0021】
また、請求項2に記載の発明では、係合手段を挟持プレートに係合させる際に、係合手段と挟持プレートとの少なくとも一方が弾性変形され、その復元力が、両挟持プレートによる挟持方向の荷重として作用する。
したがって、挟持プレートにより発熱部を挟持する初期荷重を、係合手段と挟持プレートとの少なくとも一方の変形量により設定することができ、設定が容易である。また、上記弾性変形状態が維持されている限り、挟持プレートに、その復元力による荷重が入力され、経時的な挟持方向の荷重低下を抑えることができる。
これにより、発熱素子の接圧を確保し、発熱素子への通電状態ならびに発熱素子から挟持プレートへの熱伝達状態を良好に保ち、熱効率の安定化を図ることができる。
【0022】
請求項3に記載の発明では、両挟持プレートの端縁部にクリップ部材を装着して、両端縁部を係合状態とする。また、この装着時には、クリップ部材の一対の係合片を一対の挟持プレートの端縁部の表面に係合させ、この係合の際に、両係合片の間隔を拡げるよう弾性変形させる。
このように、請求項3に記載の発明では、係合手段により一対の挟持プレートを係合させる際には、クリップ材を両挟持プレートの端縁部に装着させるだけであり、係合作業が容易である。また、クリップ部材の弾性変形により、挟持プレートへ入力する初期荷重の設定を行うことができるとともに、経時的な接触圧の低下を抑えることができる。
【0023】
請求項4に記載の発明では、挟持プレートの端縁部どうしを係合させる際には、クリップ部材の係合片を、挟持プレートに設けられた凹凸形状部に係合させる。
これにより、係止片が挟持プレートから脱落するのが規制され、上記係合状態をより確実に維持することができる。
【0024】
請求項5に記載の発明では、両挟持プレートの端縁部どうしを係合させる際には、両挟持プレートの一方に一体に形成された係合爪を他方の挟持プレートの端縁部表面に係合させる。
このように、係合時には、係合爪を他方の挟持プレートに係合させるだけであり、係合作業が容易である。しかも、係合爪が挟持プレートに一体に形成されているため、部品点数を削減して製造コストを低減させることができる。
【0025】
請求項6に記載の発明では、一方の挟持プレートの係合爪を他方の挟持プレートに形成された突起部に係合させる。このとき、突起部の突出代の分だけ、係合爪の係合位置が、他方の挟持プレート表面から遠ざけられ、挟持プレートの間隔が狭まり両挟持プレートの挟持方向の荷重として作用する。
このように、請求項6に記載の発明では、突起部の突起代により、発熱部を挟持する荷重を設定することができる。したがって、挟持荷重の初期設定が容易である。
しかも、両挟持プレートを、係止爪と突起部とが重ならない位置から、重なる位置に相対移動させることで、挟持方向の荷重を変更できる。したがって、挟持プレートをこのように相対移動させることで、発熱部を緩く挟んだ状態から、きつく挟んだ状態へ変更可能であり、組立作業のスムーズ化を図ることができる。
【0026】
請求項7に記載の発明では、一対の挟持プレートの端縁部を係合させる際には、両挟持プレートを対向させ、長手方向に交互に設けられた向かい合う係合爪と突起部とを係合させる。
したがって、一対の挟持プレートの一方のみに係合爪を設け、他方のみに突起部を設けた場合に比べて、挟持プレートの間に挟まされている発熱素子と電極プレートとの接触圧を全体で均一化を図ることが可能となり、これよる通電性および熱伝達性を向上させて熱効率の向上をより図ることができる。
【0027】
請求項8に記載の発明では、フィン部材の基端部の幅方向両端部に切欠部を形成したことで、フィン部材の基端部を除いた部分の幅方向寸法を、切欠部を設けない場合に比べて広くすることができる。
これにより、装置全体を大型化させずに、放熱性能を向上させることが可能となる。
【0028】
請求項9に記載の発明では、両挟持プレートにより、位置決めプレートに保持された発熱素子と、電極プレートと、絶縁プレートとが、重ね合わされた状態で挟持される。そして、両挟持プレートを係合手段により係合させた際に、挟持プレートから挟持方向に入力される荷重により、発熱素子の上下側面の一方の側面に、電極プレートが圧接され、発熱素子の上下他方の側面に挟持プレートが圧接され、発熱素子に対して電極プレートと挟持プレートとを介して通電される。なお、電極プレートと挟持プレートとの間は、絶縁プレートにより絶縁されて電気的短絡が防止される。
このように挟持プレートを電極として使用することにより、電極プレートおよび電極プレートと挟持プレートとの間の絶縁プレートの数を減らすことができ、部品点数を削減して重量および製造コストを低減することが可能となる。
【0029】
請求項10に記載の発明では、あらかじめ挟持プレート表面にフィン部材を蝋付けにより結合させるようにしたため、発熱部を挟持プレートで挟持した後に、フィン部材を蝋付けする場合のように、蝋付け時の熱が発熱部を構成する部材に悪影響を与えるのを防止することができるとともに、蝋付け作業が容易であり、作業性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
この実施の形態の電気ヒータ装置は、長尺状に形成され、通電により発熱する発熱素子(72)を含む発熱部(70)と、この発熱部(70)で発生した熱を大気中に放熱するフィン部材(80)と、を備え、このフィン部材(80)は、前記発熱部(70)の外側に設けられたケーシング部材に接して設けられた電気ヒータ装置であって、前記ケーシング部材として、前記発熱素子(72)を含む発熱部の構成要素をサンドイッチ状に上下から挟む一対の挟持プレート(75,75)を備え、これら一対の挟持プレート(75,75)の前記構成要素を挟持する側の面とは反対側の面である表面(75a)に、前記フィン部材(80)が蝋付けにより結合され、前記挟持プレート(75,75)に対して挟持方向に荷重を与えた状態で両挟持プレート(75,75)の端縁部どうしを係合する係合手段(90)が設けられていることを特徴とする電気ヒータ装置とした。
【実施例1】
【0031】
以下に、図1〜図7に基づいて、この発明の最良の実施の形態の実施例1の電気ヒータ装置Aについて説明する。
【0032】
この実施例1の電気ヒータ装置Aは、図7に示す車両用空調ユニットACUに適用されている。
この車両用空調ユニットACUは、ユニットハウジング1の空気取入口1a側から順にブロワファン2、エバポレータ3、ヒータコア4を備えている。また、ヒータコア4の近傍に、エアミックスドア5が設けられ、このエアミックスドア5の開度を調節することで、エバポレータ3を通過した冷気と、ヒータコア4を通過した暖気との混合割合を任意に調節し、各吹出口1b,1c,1dからの吹出空気温度を調節可能に構成されている。
【0033】
実施例1の電気ヒータ装置Aは、通電することで発熱するもので、ヒータコア4に並設され、ヒータコア4の発熱温度が不十分なときに通電されて発熱するようになっており、例えば、ディーゼル車など図外の推進装置の冷却水が比較的低い車両に用いられる。
【0034】
以下に、実施例1の電気ヒータ装置Aの詳細について説明する。
図2に示すように、電気ヒータ装置Aは、ヒータ積層体10の長手方向(矢印CD方向)の両端部に、フロントハウジング20とエンドハウジング30とを装着して形成されている。
【0035】
ヒータ積層体10は、3つのヒータユニット40,40,40を上下(この図において矢印UD方向であるヒータユニット40の積層方向を上下方向と称する)に積み重ね、この積層体の上下をエンドプレート60,60で挟んで形成されている。
【0036】
図3はヒータユニット40を示す斜視図であって、このヒータユニット40は、発熱部材(発熱部)70の上下にフィン部材80,80を結合させて形成されている。
【0037】
なお、フィン部材80は、熱伝導性に優れた金属板材(例えば、アルミやアルミ合金製の板材)により波形状に形成されており、発熱部材70から伝達された熱を、矢印FL方向である幅方向に流れる空気に伝達する。
【0038】
フロントハウジング20およびエンドハウジング30は、詳細な図示は省略するが、各ヒータ積層体10の両端を差し込んで支持可能な形状に形成されているとともに、発熱部材70に通電可能な構成を有している。また、フロントハウジング20には、図示を省略した電力供給用のコネクタを接続可能に形成されている。
【0039】
なお、フロントハウジング20およびエンドハウジング30は、電気絶縁性および耐熱性に優れた素材、例えば、繊維強化PBT(Polybutylene terephthalate)などにより形成されている。この繊維強化PBTは、吸水率や熱膨張係数が低いため優れた寸法安定性を示し、また、電気絶縁性にも優れ、吸湿による電気特性の変化が小さく、絶縁破壊電圧が高いという特長を有している。
【0040】
次に、上述した発熱部材70について詳細に説明する。
【0041】
発熱部材70は、図1に示すように、位置決めプレート71と、複数(本実施例1では4個)のPTC素子(発熱素子)72と、電極プレート73と絶縁プレート74と、挟持プレート75を備えている。
【0042】
位置決めプレート71は、複数のPTC素子72を長手方向(矢印CD方向)に所定の間隔で並べて配置するもので、絶縁性および耐熱性に優れた素材(例えば、ポリアミドなど)によりプレート状に形成されている。
さらに、位置決めプレート71には、PTC素子72の保持用の保持用穴71a,71a,71a,71aが4箇所に形成されており、かつ、位置決めプレート71の図中下側面には、後述する電極プレート73を挿入する凹形状の溝71bが形成されている。
また、位置決めプレート71の一端には、電極プレート73と係合して両者の相対位置を所定の位置とする係合爪71cが形成されている。
【0043】
PTC素子72は、一般にPTC(Positive Temperature Coefficient)と称されるチタン酸バリウム(BaTiO3)を主成分とする半導体セラミックで、通電により発熱する特性を有している。なお、本実施例1では、略長方形の板状に形成されており、位置決めプレート71の保持用穴71aに嵌めこまれて配置されている。
電極プレート73は、図示のように長方形の板状のプレートであり、導電性を有している。また、電極プレート73の端縁部には、図外のコネクタ接続用の接続端子部73aが屈曲して形成されている。
【0044】
絶縁プレート74は、絶縁性を有した樹脂などにより長方形の薄板状に形成されている。また、この絶縁プレート74は、電極プレート73よりも幅広に形成されている(図4参照)。
【0045】
挟持プレート75は、通電性を有した金属により略長方形の板状に形成されており、また、位置決めプレート71、電極プレート73、絶縁プレート74、フィン部材80よりも幅広に形成されている(図4参照)。
さらに、挟持プレート75の表面75aには、フィン部材80が蝋付けにより結合されている。そして、挟持プレート75の幅方向の両端部には、図5に示すように、表面75aの方へ反り返った凹凸形状部としての係止爪部75b,75bが形成されている。
【0046】
発熱部材70は、図4にも示すように、PTC素子72を保持した位置決めプレート71の図において下側に電極プレート73および絶縁プレート74を順に重ね合わせたものを、上下から挟持プレート75,75で挟んで支持して形成されている。
【0047】
また、挟持プレート75,75による発熱部材70の各部材71,72,73,74の挟持状態は、係合手段としてのクリップ部材90,90によりこれら一対の挟持プレート75,75の端縁部を係合することで維持される。
【0048】
すなわち、クリップ部材90は、図1に示すように、発熱部材70の略全長の長さを有しており、かつ、図4に示すように、本体91の上下に、挟持プレート75,75の係止爪部75bに係合される一対の係合片92,92が形成されている。そして、この係合片92には、対向する係合片92の方向へ突出するように湾曲された係合凸部92aが形成されている。
また、本体91は、中央部が係合片92の突出方向に突き出るように折曲された形状に形成されており、係合片92,92が相対的に離れる方向である上下方向に変位した際に、折曲を強める方向に弾性変形して係合片92,92の間隔を狭める方向の復元力を発生するよう形成されている。
【0049】
次に、実施例1の電気ヒータ装置Aの組立手順を説明する。
この組立において、まず、ヒータユニット40を組み立てる。
このヒータユニット40を組み立てる場合、あらかじめ、各挟持プレート75の表面75aに、フィン部材80を蝋付けしておく。
【0050】
そして、位置決めプレート71の各保持用穴71a,71a,71a,71aにPTC素子72、72,72,72を挿入し、さらに、この位置決めプレート71の下側に電極プレート73および絶縁プレート74を順に重ね、これにフィン部材80が結合された挟持プレート75,75の裏面75c,75c側を重ねる。この時点で、図6に示すように発熱部材70にフィン部材80,80が結合されたものが組み立てられる。
【0051】
この状態の上下一対の挟持プレート75,75の幅方向両端縁部に、クリップ部材90,90の係合片92,92を上下方向に係合させる。これにより、図3に示すヒータユニット40が組み立てられる。
【0052】
なお、このようにクリップ部材90で係合する場合、クリップ部材90,90の両係合片92,92を上下に拡げるよう弾性変形させ、図4に示すように、両係合片92,92の間に両挟持プレート75,75の端縁部を差し込んで係合させる。
このとき、クリップ部材90は、係合片92,92および本体91が弾性変形し、係合片92,92の間隔を狭める方向に復元力が作用する。この復元力により、挟持プレート75,75から、これらに挟まれている位置決めプレート71、PTC素子72、電極プレート73、絶縁プレート74に対して、挟持方向に荷重が与えられる。
したがって、この復元力による荷重により、PTC素子72に対する電極プレート73および挟持プレート75の接触圧力が得られる。この接触圧力は、クリップ部材90の弾性変形状態が保たれている間、確保される。
【0053】
また、この係合状態において、各係合片92の係合凸部92aが挟持プレート75の係止爪部75bと幅方向に係合して、クリップ部材90の抜け止め、すなわち、挟持プレート75,75からクリップ部材90が脱落するのが防止される。
【0054】
以上のようにしてヒータユニット40を組み立てたら、これらヒータユニット40を3段積み重ね、さらに、上下両端をエンドプレート60で挟んでこれらを一体化した状態に保持し、この状態の各ヒータユニット40,40,40およびエンドプレート60,60の一端をエンドハウジング30に差し込むとともに、他端をフロントハウジング20に差し込んで、図2に示す実施例1の電気ヒータ装置Aが組み立てられる。なお、フロントハウジング20およびエンドハウジング30には、各ヒータユニット40,40,40およびエンドプレート60,60と係脱可能な図示を省略した係合爪が設けられており、メンテナンス時に分解可能に構成されている。
【0055】
本実施例1では、PTC素子72への通電は、電極プレート73と挟持プレート75,75とにより行うものであり、フロントハウジング20に図外のコネクタを接続した場合に、電極プレート73の接続端子部73aと、挟持プレート75とに通電が行われるように構成されている。なお、絶縁プレート74により電極プレート73と挟持プレート75との短絡を防止している。
【0056】
以上説明したように、実施例1の電気ヒータ装置Aにあっては、PTC素子72から熱が伝達される挟持プレート75に、フィン部材80を蝋付けにより結合したため、フィン部材80を挟持プレート75に対して圧接や接着している場合に比べ、熱の伝達効率を高めて熱効率向上を図ることができる。
【0057】
しかも、発熱部材70においてPTC素子72などの構成要素71,72,73,74を2枚の挟持プレート75,75で挟んで支持し、これら挟持プレート75,75の端縁部をクリップ部材90,90により係合して、挟持状態を保つようにした。
したがって、発熱部材70の構成要素をチューブに収容してプレスするのと比較して、専用のプレス装置が不要で、設備費用低減を図ることができる。しかも、先にフィン部材80を蝋付けした挟持プレート75により、PTC素子72などの発熱部材70の構成要素である位置決めプレート71,PTC素子72,電極プレート73,絶縁プレート74を挟持することが可能となる。
すなわち、従来のようにチューブでプレスする構造では、先にフィン部材80を蝋付けするとプレスができず、プレス後に蝋付けすると蝋付け時の熱によりPTC素子72の性能が劣化するが、本実施例1では、先に蝋付けを行いながらも、PTC素子72などの発熱部材70の構成要素71,72,73,74を支持することが可能となる。
【0058】
さらに、実施例1では、挟持プレート75,75にクリップ部材90を係合させるのにあたり、係合凸部92aを形成しており、この係合凸部92aの突出代により、クリップ部材90から挟持プレート75に入力される荷重を設定することができる。したがって、挟持荷重の初期設定が容易である。
【0059】
また、実施例1では、PTC素子72に接触して通電および熱の伝達を行う電極プレート73および挟持プレート75とPTC素子72との接触圧が、クリップ部材90の弾性変形による復元力により付与する荷重で得られる。したがって、プレスで接触圧を設定するのに比べて、接触圧の設定が容易であるとともに、経時的な接圧の低下を防止することが可能であり、これにより、通電性および熱抵抗を良好に保ち、熱効率を向上させることができる。
加えて、クリップ部材90による係合を外すことで、挟持プレート75,75に挟まれた発熱部材70の構成要素71,72,73,74を取り出すことが可能であり、チューブにこれら構成要素71,72,73,74を収容してプレスした場合に比べて、不良発生時の修理が容易である。
【0060】
また、実施例1では、両挟持プレート75,75の両端縁部に一対のクリップ部材90,90を装着して、両端縁部を係合状態とするようにした。
このように本実施例1では、装着するクリップ部材90の数が少なく、作業数が少なくて済み作業性に優れる。加えて、クリップ部材90の本体91を、その中央部が折曲された略くの字断面形状に形成したことにより、係合片92,92を拡げた際に本体91の上下方向の中央部から弾性変形し、本体91を真っ直ぐな形状に形成した場合のように、係合片92,92の基端部から変形するのに比べて、変形代を大きく確保することができる。よって、挟持プレート75,75に加える荷重の設定が容易であるとともに、安定して荷重を得ることが可能となる。
【0061】
さらに、挟持プレート75の端縁部に係止爪部75b,75bを形成し、かつ、クリップ部材90の係合片92には係合凸部92aを形成し、クリップ部材90を挟持プレート75,75に係合させたときに、係止爪部75bと係合凸部92aとが幅方向に係合してクリップ部材90の抜け止めが成されるようにした。
このように、クリップ部材90の抜け止めが成されることから、上記係合状態をより確実に維持することができ、上記の熱効率の向上効果を確実に得ることができる。
【0062】
また、実施例1では、両挟持プレート75,75の一方を電極として用いるようにしたため、PTC素子72を2枚の電極プレート73により通電を行う場合に比べて、必要な電極プレート73および絶縁プレート74の数を減らすことができる。
これにより、部品点数を削減して重量および製造コストを低減することが可能となる。
【実施例2】
【0063】
次に、図8に基づいてこの発明の実施の形態の実施例2の電気ヒータ装置について説明する。なお、この実施例2は、実施例1の変形例であるため、その相違点についてのみ説明し、実施例1と同様の構成および作用効果については説明を省略する。
【0064】
この実施例2では、フィン部材280の基端部に切欠部280a,280aを形成した例である。
すなわち、ヒータユニット240の側面図である図8に示すように、フィン部材280には、挟持プレート75に蝋付けされた基端部において、幅方向(矢印FL方向)の両端部に、クリップ部材90と上下方向に重なる位置に、クリップ部材90との干渉を避ける切欠部280a,280aが形成されている。
【0065】
したがって、実施例2にあっては、フィン部材280の基端部を除いた部分の幅方向寸法を、切欠部280aを設けない場合に比べて広くすることができる。
これにより、装置全体を大型化させずに、放熱性能を向上させることが可能となり、さらに熱効率を向上させることができる。
なお、他の構成および作用効果は、実施例1と同様であるから説明を省略する。
【実施例3】
【0066】
次に、図9〜図14に基づいてこの発明の実施の形態の実施例3の電気ヒータ装置Cについて説明する。なお、この実施例3は、実施例1の変形例であるため、その相違点についてのみ説明し、実施例1と同様の構成および作用効果については説明を省略する。
【0067】
実施例3の電気ヒータ装置Cは、図9に示すように、実施例1と同様に、3個のヒータユニット340を上下に積層して構成されている。
【0068】
この実施例3におけるヒータユニット340は、図10に示すように、挟持プレート375の端縁部どうしを係合させる係合手段の構成が実施例1と相違しており、以下、この相違点について説明する。
【0069】
実施例3では、係合手段としての係合爪375dが挟持プレート375に一体に形成されている。
すなわち、係合爪375dは、挟持プレート375の端縁部に連続する一部を裏面375bの方向に略直角に折り曲げ、さらに、その先端部で裏面375bと向かい合うように略直角に折り曲げて形成されており、先端に、爪部375eが形成されている(図11参照)。
なお、この係合爪375dは、図示のように、挟持プレート375の端縁部において、長手方向に一定間隔で3箇所に形成されている。また、係合爪375dは、図示のように、挟持プレート375の幅方向両端縁部において、幅方向で係合爪375dが重ならないように互い違いに配置されている。
【0070】
さらに、挟持プレート375の端縁部には、係合爪375dと交互に突起部375fが形成されており、しかも、係合爪375dと突起部375fとの間には、係合爪375dの長手方向寸法と略同寸法の間隔375hが空けられている。
【0071】
この突起部375fは、挟持プレート375の裏面375bどうしを対向させたときに係合爪375dと対向する位置に配置されており、かつ、係合爪375dと係合可能に形成されている。
そして、この突起部375fは、係合爪375dと係合したときに、この係合爪375dとの係合位置を、係合爪375dが設けられている側の挟持プレート375から遠ざけることを目的として、図14に示すように、挟持プレート375の表面方向に突出して形成されているとともに、長手方向(矢印CD方向)の両端部には、傾斜面375gが形成されている。
【0072】
次に、ヒータユニット340の組立手順について説明する。
この実施例3にあっても、実施例1と同様に、図12に示すように、挟持プレート375の表面375aに、あらかじめフィン部材80を蝋付けにより結合しておく。
【0073】
次に、実施例1と同様に、図10に示すように、位置決めプレート71の各保持用穴71aにPTC素子72を保持させ、さらに、位置決めプレート71の下側に電極プレート73および絶縁プレート74を重ねたものを、一方の挟持プレート375に重ね合わせる。
【0074】
そして、挟持プレート375,375どうしを係合させるが、この場合、本実施例3では、まず、図13に示すように、一方の挟持プレート375の間隔375hの部分に他方の挟持プレート375の各係合爪375dおよび突起部375fを配置させる。
【0075】
次に、この状態から、図13の矢印SL方向に相対スライドさせ、突起部375fをそれぞれ対応する係合爪375dの爪部375eの裏側に潜り込ませる。これにより、係合爪375dの爪部375eが、上下方向で係合相手の挟持プレート375の表面375aの方向へ移動し、両挟持プレート375の裏面375bどうしの間隔が狭められる。
【0076】
したがって、係合爪375dを含み挟持プレート375,375が弾性変形して、その復元力が挟持方向に作用する。
なお、この挟持プレート375,375の相対スライド時には、係合爪375dの爪部375eが、突起部375fの傾斜面375gに沿って徐々に上下方向に移動するため、上述の両挟持プレート375の裏面375bどうしの間隔変化、すなわち、上述の弾性変形も緩やかに行われる。
【0077】
以上説明したように、実施例3の電気ヒータ装置Cでは、両挟持プレート375,375の端縁部どうしを係合させる際には、一方の挟持プレート375に形成された係合爪375dを、他方の挟持プレート375に形成された突起部375fに係合させるようにしたため、挟持プレート375と別体の係合手段が不要であり、部品点数を削減して製造コストを低減させることができる。
【0078】
しかも、突起部375fを設けたため、係合爪375dの係合位置が、係合相手の挟持プレート375の表面375aから遠ざけられ、これにより挟持プレート375,375の間隔が狭まり、その分両挟持プレート375,375の挟持方向の荷重として作用する。このため、挟持荷重が確実に得られるとともに、挟持荷重を、突起部375fの突起代により設定することができるため、挟持荷重の初期設定が容易である。
【0079】
加えて、係合爪375dと突起部375fとを挟持プレート375の端縁部に交互に配置したため、端縁部が引っ張られる方向が交互に異なることになり、挟持荷重の均一化を図ることができる。これにより、挟持プレート375,375の間に挟まされているPTC素子72に対する接触圧の全体で均一化を図ることが可能となり、これよる通電性および熱伝達性を向上させて熱効率の向上をより図ることができる。
【0080】
さらに、本実施例3では、係合爪375dと突起部375fとの間に係合爪375dの長手方向寸法と略同寸法の間隔375hを形成し、組付時には、係合爪375dをこの間隔375hに配置した後に、挟持プレート375どうしを相対スライドさせることで係合状態が得られるようにした。
このように、係合時に係合爪375dなどを弾性変形させる操作が不要であるため、組立作業をスムーズに行うことができる。
【0081】
なお、他の作用効果については実施例1と同様である。
すなわち、挟持プレート375に、フィン部材80を蝋付けにより結合したことにより熱効率向上を図ることができる点、プレスするのと比較して、専用のプレス装置が不要で、設備費用低減を図ることができる点、PTC素子72との接触圧の設定が容易であるとともに、経時的な接圧の低下を防止することを可能として、熱効率を向上させることができる点、不良発生時に挟持プレート375,375の係合を外して分解可能で、メンテナンス性に優れる点、挟持プレート375を電極として用いて必要な電極プレート73および絶縁プレート74の数を減らすことができる点は、実施例1と同様である。
【0082】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態および実施例1〜3を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態および実施例1〜3に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0083】
例えば、実施例1〜3では、ヒータ積層体10としてヒータユニット40を3段重ねして形成した例を示したが、これに限定されるものではなく、2段重ねあるいは4段重ねなど3段以外の複数重ね合わせたものや、ヒータユニット40を1つだけ有したものなど、3段重ね以外の構成としてもよい。
【0084】
また、実施例1〜3では、挟持プレート75,375を上下2枚用いた例を示したが、図15に示すように、ヒンジ部475dにより相対化移動可能な2枚の挟持プレート475,475を用いてもよい。この構造では、係合手段としてのクリップ部材90は、挟持プレート475,475の一方の端縁のみに設ければよく、部品点数を削減して、組付の手間およびコスト低減を図ることが可能である。
【0085】
また、実施例1〜3では、PTC素子72への通電を電極プレート73と挟持プレート75,375とにより行うようにした例を示したが、これに限定されず、電極プレート73を2枚設けて通電を行うようにしてもよいし、あるいは、図16に示すように、2枚の挟持プレート575,575をそれぞれ電極として用いてもよい。
この図16の例では、クリップ部材590として、絶縁性を有した部材を用いる。また、必要であれば、挟持プレート575,575の間に、絶縁部材500,500を設けてもよい。
【0086】
また、挟持プレートと別体の係合手段としては、実施例1で示したクリップ部材90に限定されるものではなく、挟持プレート75の端部に係合して、両挟持プレートに荷重を与えることができるものであれば、他の手段を用いることができる。
【0087】
また、実施例1では、凹凸形状部として、挟持プレート75の表面方向に突出した係止爪部75bを示したが、これに限定されず、挟持プレートの端縁部の一部を裏面方向に凹ませて、係合片92と係合可能に形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の最良の実施の形態の実施例1の電気ヒータ装置Aにおけるヒータユニット40を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態の実施例1の電気ヒータ装置Aを示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態の実施例1の電気ヒータ装置Aにおけるヒータユニット40を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態の実施例1の電気ヒータ装置Aにおけるヒータユニット40を示す側面図である。
【図5】本発明の実施の形態の実施例1の電気ヒータ装置Aに適用された挟持プレート75の一端部を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態の実施例1の電気ヒータ装置Aにおけるヒータユニット40を示す斜視図であり、クリップ部材90を係合する直前の状態を示している。
【図7】本発明の最良の実施の形態の実施例1の電気ヒータ装置Aが適用された車両用空調ユニットACUの構成の概略を示す構成説明図である。
【図8】本発明の実施の形態の実施例2の電気ヒータ装置におけるヒータユニット240を示す側面図である。
【図9】本発明の実施の形態の実施例3の電気ヒータ装置Cを示す斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態の実施例3の電気ヒータ装置Cに適用されたヒータユニット340を示す分解斜視図である。
【図11】本発明の実施の形態の実施例3の電気ヒータ装置Cに適用されたヒータユニット340における挟持プレート375の一端部を示す斜視図である。
【図12】本発明の実施の形態の実施例3の電気ヒータ装置Cに適用されたヒータユニット340に適用されたフィン部材80が結合された挟持プレート375を示す斜視図である。
【図13】本発明の実施の形態の実施例3の電気ヒータ装置Cに適用されたヒータユニット340の組付手順を説明する斜視図である。
【図14】本発明の実施の形態の実施例3の電気ヒータ装置Cに適用されたヒータユニット340の組付作業途中の要部を示す斜視図である。
【図15】本発明の実施の形態の電気ヒータ装置の他の例に適用されたヒータユニットを示す側面図である。
【図16】本発明の実施の形態の電気ヒータ装置の他の例に適用されたヒータユニットを示す側面図である。
【符号の説明】
【0089】
70 発熱部材(発熱部)
71 位置決めプレート(構成要素)
72 PTC素子(発熱素子)
73 電極プレート(構成要素)
74 絶縁プレート(構成要素)
75 挟持プレート
75a 表面
75b 係止爪部(凹凸形状部)
75c 裏面
80 フィン部材
90 クリップ部材(係合手段)
280 フィン部材
280a切欠部
375 挟持プレート
375a表面
375b裏面
375d係合爪(係合手段)
375f突起部
【技術分野】
【0001】
本発明は、PTC(Positive Temperature Coefficient)素子などの通電することで発熱する発熱素子を備えた電気ヒータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通電により発熱するPTC素子を備えた長尺状の発熱部材に接してフィンが設けられたヒータユニットと、このヒータユニットを、前記発熱部材とフィンの並び方向に複数積層して形成されたヒータ積層体と、このヒータ積層体の長手方向の両端部を支持する一対のハウジング部材と、を備えた電気ヒータ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような電気ヒータ装置は、PTC素子を電極プレートと絶縁プレートとを順に重ね合わせたものを導電性のチューブに収容し、このチューブをPTC素子と各板の重ね合わせ方向にプレスして、PTC素子に電極プレートおよびチューブを圧接させ、さらに、チューブの外側面のフィンを圧接あるいは接着した構造となっている。
【0004】
そして、フィンと電極プレートとをそれぞれ電源のプラス側とマイナス側とに接続することにより、PTC素子にチューブおよび電極プレートを介した通電が成されるようになっている。
【特許文献1】欧州特許第0575649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術にあっては、フィンとチューブとの接触が、圧接あるいは接着となっていたため、フィンとチューブとの間の密着性が充分に得られないおそれがある。このように、フィンとチューブとの密着性が充分でない場合、密着性が充分である場合に比べて、熱抵抗が大きくなり、放熱性が充分に得られない。
【0006】
さらに、チューブをプレスした接触では、PTC素子とチューブおよび電極との接圧が、経時的に低下するおそれがあり、接圧の管理が難しかった。そして、接圧が低下すると、通電性の悪化および熱抵抗の増大を招き、熱効率が悪化する。
【0007】
加えて、発熱部分であるPTC素子や電極などをチューブに収容した後にプレスするため、専用のプレス装置が必要であり、設備費がかかる。しかも、発熱部分に不良が発生した際に、その構成部品を取り出して修理することが難しく、メンテナンス性が悪い。
【0008】
本発明は、上述のような従来の問題に着目して成されたもので、熱効率に優れ、安価に製造可能であり、メンテナンス性に優れた電気ヒータ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため請求項1に記載の発明は、長尺状に形成され、通電により発熱する発熱素子を含む発熱部と、この発熱部で発生した熱を大気中に放熱するフィン部材と、を備え、このフィン部材は、前記発熱部の外側に設けられたケーシング部材に接して設けられた電気ヒータ装置であって、前記ケーシング部材として、前記発熱素子を含む発熱部の構成要素をサンドイッチ状に両側から挟む一対の挟持プレートを備え、これら一対の挟持プレートの前記構成要素を挟持する側の面とは反対側の面である表面に、前記フィン部材が蝋付けにより結合され、前記挟持プレートに対して挟持方向に荷重を与えた状態で両挟持プレートの端縁部どうしを係合する係合手段が設けられていることを特徴とする電気ヒータ装置とした。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電気ヒータ装置において、前記係合手段が、前記挟持プレートへの係合状態で係合手段自身と前記挟持プレートとの少なくとも一方を弾性変形させ、その復元力を前記挟持方向の荷重として作用させる構造であることを特徴とする電気ヒータ装置とした。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の電気ヒータ装置において、前記係合手段が、両挟持プレートの端縁部に装着されるクリップ部材であり、このクリップ部材は、両挟持プレートの端縁部の表面にそれぞれ係合する一対の係合片を備えているとともに、両係合片の間隔を拡げる方向に弾性変形して両係合片の間隔を狭める方向に復元力を作用させるよう形成されていることを特徴とする電気ヒータ装置とした。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の電気ヒータ装置において、前記挟持プレートの端縁部には、前記クリップ部材の係合片と挟持プレートの幅方向に係合してこの係合片が前記挟持プレートから脱落するのを規制する凹凸形状部が設けられていることを特徴とする電気ヒータ装置とした。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の電気ヒータ装置において、前記係合手段が、両挟持プレートの少なくとも一方に一体に形成され、他方の挟持プレートの端縁部と係合する係合爪を備えていることを特徴とする電気ヒータ装置とした。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の電気ヒータ装置において、前記係合爪と係合する前記他方の挟持プレートの端縁部に、前記係合爪との係合位置を前記他方の挟持プレートの表面から遠ざける突起部が形成されていることを特徴とする電気ヒータ装置とした。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の電気ヒータ装置において、前記係合爪と突起部とが、前記挟持プレートの端縁部において長手方向に交互に設けられ、かつ、一対の挟持プレートを対向させたときに、前記係合爪と突起部とが係合するよう幅方向で互い違いに配置されていることを特徴とする電気ヒータ装置とした。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の電気ヒータ装置において、前記フィン部材の前記挟持プレートに蝋付けされた基端部の幅方向両端部に、前記係合手段との干渉を避ける切欠部が形成されていることを特徴とする電気ヒータ装置とした。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の電気ヒータ装置において、前記発熱部の構成要素として、前記発熱素子の位置決めを行う位置決め穴が長手方向に複数並設された位置決めプレートと、前記発熱素子の上下両側面の一方に接して位置決めプレートに重ねられた電極プレートと、この電極プレートと挟持プレートとの間に介在されて電極プレートと挟持プレートとの間の絶縁を行う絶縁プレートと、が含まれ、前記挟持プレートと電極プレートとが、それぞれプラスマイナスの電極として用いられていることを特徴とする電気ヒータ装置とした。
【0018】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の電気ヒータ装置の製造方法であって、あらかじめ前記挟持プレート表面にフィン部材を蝋付けにより結合させておき、前記発熱部の構成要素を、一対の前記挟持プレートの裏面の間に挟み、その後、両挟持プレートの端縁部どうしを、前記係合手段により係合させることを特徴とする電気ヒータ装置の製造方法とした。
【発明の効果】
【0019】
本発明の電気ヒータ装置では、あらかじめ挟持プレートにフィン部材を蝋付けにより結合しておき、発熱素子などの発熱部の構成要素を、2枚の挟持プレートで挟み、その後、挟持プレートの端縁部を係合手段により係合する。
【0020】
このように、挟持プレートにフィン部材が蝋付けにより結合されているため、フィン部材をケーシングに圧接や接着している場合に比べ、熱の伝達効率を高めて熱効率向上を図ることができる。
しかも、発熱部の構成要素をチューブに収容してプレスするのと比較して、専用のプレス装置が不要で、設備費用低減を図ることができる。
さらに、挟持プレートの間に挟持されている発熱素子の接触圧が、係合手段が付与する荷重で得られるため、プレスで接触圧を設定するのに比べて、接触圧の設定が容易であるとともに、経時的な接圧の低下を防止することが可能であり、これにより、通電性および熱抵抗を良好に保ち、熱効率を向上させることができる。
加えて、係合手段による係合を外すことで、挟持プレートに挟持された発熱部の構成要素を取り出すことが可能であるため、チューブに発熱部の構成物を入れてプレスした場合に比べて、不良発生時の修理が容易であり、メンテナンス性に優れる。
【0021】
また、請求項2に記載の発明では、係合手段を挟持プレートに係合させる際に、係合手段と挟持プレートとの少なくとも一方が弾性変形され、その復元力が、両挟持プレートによる挟持方向の荷重として作用する。
したがって、挟持プレートにより発熱部を挟持する初期荷重を、係合手段と挟持プレートとの少なくとも一方の変形量により設定することができ、設定が容易である。また、上記弾性変形状態が維持されている限り、挟持プレートに、その復元力による荷重が入力され、経時的な挟持方向の荷重低下を抑えることができる。
これにより、発熱素子の接圧を確保し、発熱素子への通電状態ならびに発熱素子から挟持プレートへの熱伝達状態を良好に保ち、熱効率の安定化を図ることができる。
【0022】
請求項3に記載の発明では、両挟持プレートの端縁部にクリップ部材を装着して、両端縁部を係合状態とする。また、この装着時には、クリップ部材の一対の係合片を一対の挟持プレートの端縁部の表面に係合させ、この係合の際に、両係合片の間隔を拡げるよう弾性変形させる。
このように、請求項3に記載の発明では、係合手段により一対の挟持プレートを係合させる際には、クリップ材を両挟持プレートの端縁部に装着させるだけであり、係合作業が容易である。また、クリップ部材の弾性変形により、挟持プレートへ入力する初期荷重の設定を行うことができるとともに、経時的な接触圧の低下を抑えることができる。
【0023】
請求項4に記載の発明では、挟持プレートの端縁部どうしを係合させる際には、クリップ部材の係合片を、挟持プレートに設けられた凹凸形状部に係合させる。
これにより、係止片が挟持プレートから脱落するのが規制され、上記係合状態をより確実に維持することができる。
【0024】
請求項5に記載の発明では、両挟持プレートの端縁部どうしを係合させる際には、両挟持プレートの一方に一体に形成された係合爪を他方の挟持プレートの端縁部表面に係合させる。
このように、係合時には、係合爪を他方の挟持プレートに係合させるだけであり、係合作業が容易である。しかも、係合爪が挟持プレートに一体に形成されているため、部品点数を削減して製造コストを低減させることができる。
【0025】
請求項6に記載の発明では、一方の挟持プレートの係合爪を他方の挟持プレートに形成された突起部に係合させる。このとき、突起部の突出代の分だけ、係合爪の係合位置が、他方の挟持プレート表面から遠ざけられ、挟持プレートの間隔が狭まり両挟持プレートの挟持方向の荷重として作用する。
このように、請求項6に記載の発明では、突起部の突起代により、発熱部を挟持する荷重を設定することができる。したがって、挟持荷重の初期設定が容易である。
しかも、両挟持プレートを、係止爪と突起部とが重ならない位置から、重なる位置に相対移動させることで、挟持方向の荷重を変更できる。したがって、挟持プレートをこのように相対移動させることで、発熱部を緩く挟んだ状態から、きつく挟んだ状態へ変更可能であり、組立作業のスムーズ化を図ることができる。
【0026】
請求項7に記載の発明では、一対の挟持プレートの端縁部を係合させる際には、両挟持プレートを対向させ、長手方向に交互に設けられた向かい合う係合爪と突起部とを係合させる。
したがって、一対の挟持プレートの一方のみに係合爪を設け、他方のみに突起部を設けた場合に比べて、挟持プレートの間に挟まされている発熱素子と電極プレートとの接触圧を全体で均一化を図ることが可能となり、これよる通電性および熱伝達性を向上させて熱効率の向上をより図ることができる。
【0027】
請求項8に記載の発明では、フィン部材の基端部の幅方向両端部に切欠部を形成したことで、フィン部材の基端部を除いた部分の幅方向寸法を、切欠部を設けない場合に比べて広くすることができる。
これにより、装置全体を大型化させずに、放熱性能を向上させることが可能となる。
【0028】
請求項9に記載の発明では、両挟持プレートにより、位置決めプレートに保持された発熱素子と、電極プレートと、絶縁プレートとが、重ね合わされた状態で挟持される。そして、両挟持プレートを係合手段により係合させた際に、挟持プレートから挟持方向に入力される荷重により、発熱素子の上下側面の一方の側面に、電極プレートが圧接され、発熱素子の上下他方の側面に挟持プレートが圧接され、発熱素子に対して電極プレートと挟持プレートとを介して通電される。なお、電極プレートと挟持プレートとの間は、絶縁プレートにより絶縁されて電気的短絡が防止される。
このように挟持プレートを電極として使用することにより、電極プレートおよび電極プレートと挟持プレートとの間の絶縁プレートの数を減らすことができ、部品点数を削減して重量および製造コストを低減することが可能となる。
【0029】
請求項10に記載の発明では、あらかじめ挟持プレート表面にフィン部材を蝋付けにより結合させるようにしたため、発熱部を挟持プレートで挟持した後に、フィン部材を蝋付けする場合のように、蝋付け時の熱が発熱部を構成する部材に悪影響を与えるのを防止することができるとともに、蝋付け作業が容易であり、作業性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
この実施の形態の電気ヒータ装置は、長尺状に形成され、通電により発熱する発熱素子(72)を含む発熱部(70)と、この発熱部(70)で発生した熱を大気中に放熱するフィン部材(80)と、を備え、このフィン部材(80)は、前記発熱部(70)の外側に設けられたケーシング部材に接して設けられた電気ヒータ装置であって、前記ケーシング部材として、前記発熱素子(72)を含む発熱部の構成要素をサンドイッチ状に上下から挟む一対の挟持プレート(75,75)を備え、これら一対の挟持プレート(75,75)の前記構成要素を挟持する側の面とは反対側の面である表面(75a)に、前記フィン部材(80)が蝋付けにより結合され、前記挟持プレート(75,75)に対して挟持方向に荷重を与えた状態で両挟持プレート(75,75)の端縁部どうしを係合する係合手段(90)が設けられていることを特徴とする電気ヒータ装置とした。
【実施例1】
【0031】
以下に、図1〜図7に基づいて、この発明の最良の実施の形態の実施例1の電気ヒータ装置Aについて説明する。
【0032】
この実施例1の電気ヒータ装置Aは、図7に示す車両用空調ユニットACUに適用されている。
この車両用空調ユニットACUは、ユニットハウジング1の空気取入口1a側から順にブロワファン2、エバポレータ3、ヒータコア4を備えている。また、ヒータコア4の近傍に、エアミックスドア5が設けられ、このエアミックスドア5の開度を調節することで、エバポレータ3を通過した冷気と、ヒータコア4を通過した暖気との混合割合を任意に調節し、各吹出口1b,1c,1dからの吹出空気温度を調節可能に構成されている。
【0033】
実施例1の電気ヒータ装置Aは、通電することで発熱するもので、ヒータコア4に並設され、ヒータコア4の発熱温度が不十分なときに通電されて発熱するようになっており、例えば、ディーゼル車など図外の推進装置の冷却水が比較的低い車両に用いられる。
【0034】
以下に、実施例1の電気ヒータ装置Aの詳細について説明する。
図2に示すように、電気ヒータ装置Aは、ヒータ積層体10の長手方向(矢印CD方向)の両端部に、フロントハウジング20とエンドハウジング30とを装着して形成されている。
【0035】
ヒータ積層体10は、3つのヒータユニット40,40,40を上下(この図において矢印UD方向であるヒータユニット40の積層方向を上下方向と称する)に積み重ね、この積層体の上下をエンドプレート60,60で挟んで形成されている。
【0036】
図3はヒータユニット40を示す斜視図であって、このヒータユニット40は、発熱部材(発熱部)70の上下にフィン部材80,80を結合させて形成されている。
【0037】
なお、フィン部材80は、熱伝導性に優れた金属板材(例えば、アルミやアルミ合金製の板材)により波形状に形成されており、発熱部材70から伝達された熱を、矢印FL方向である幅方向に流れる空気に伝達する。
【0038】
フロントハウジング20およびエンドハウジング30は、詳細な図示は省略するが、各ヒータ積層体10の両端を差し込んで支持可能な形状に形成されているとともに、発熱部材70に通電可能な構成を有している。また、フロントハウジング20には、図示を省略した電力供給用のコネクタを接続可能に形成されている。
【0039】
なお、フロントハウジング20およびエンドハウジング30は、電気絶縁性および耐熱性に優れた素材、例えば、繊維強化PBT(Polybutylene terephthalate)などにより形成されている。この繊維強化PBTは、吸水率や熱膨張係数が低いため優れた寸法安定性を示し、また、電気絶縁性にも優れ、吸湿による電気特性の変化が小さく、絶縁破壊電圧が高いという特長を有している。
【0040】
次に、上述した発熱部材70について詳細に説明する。
【0041】
発熱部材70は、図1に示すように、位置決めプレート71と、複数(本実施例1では4個)のPTC素子(発熱素子)72と、電極プレート73と絶縁プレート74と、挟持プレート75を備えている。
【0042】
位置決めプレート71は、複数のPTC素子72を長手方向(矢印CD方向)に所定の間隔で並べて配置するもので、絶縁性および耐熱性に優れた素材(例えば、ポリアミドなど)によりプレート状に形成されている。
さらに、位置決めプレート71には、PTC素子72の保持用の保持用穴71a,71a,71a,71aが4箇所に形成されており、かつ、位置決めプレート71の図中下側面には、後述する電極プレート73を挿入する凹形状の溝71bが形成されている。
また、位置決めプレート71の一端には、電極プレート73と係合して両者の相対位置を所定の位置とする係合爪71cが形成されている。
【0043】
PTC素子72は、一般にPTC(Positive Temperature Coefficient)と称されるチタン酸バリウム(BaTiO3)を主成分とする半導体セラミックで、通電により発熱する特性を有している。なお、本実施例1では、略長方形の板状に形成されており、位置決めプレート71の保持用穴71aに嵌めこまれて配置されている。
電極プレート73は、図示のように長方形の板状のプレートであり、導電性を有している。また、電極プレート73の端縁部には、図外のコネクタ接続用の接続端子部73aが屈曲して形成されている。
【0044】
絶縁プレート74は、絶縁性を有した樹脂などにより長方形の薄板状に形成されている。また、この絶縁プレート74は、電極プレート73よりも幅広に形成されている(図4参照)。
【0045】
挟持プレート75は、通電性を有した金属により略長方形の板状に形成されており、また、位置決めプレート71、電極プレート73、絶縁プレート74、フィン部材80よりも幅広に形成されている(図4参照)。
さらに、挟持プレート75の表面75aには、フィン部材80が蝋付けにより結合されている。そして、挟持プレート75の幅方向の両端部には、図5に示すように、表面75aの方へ反り返った凹凸形状部としての係止爪部75b,75bが形成されている。
【0046】
発熱部材70は、図4にも示すように、PTC素子72を保持した位置決めプレート71の図において下側に電極プレート73および絶縁プレート74を順に重ね合わせたものを、上下から挟持プレート75,75で挟んで支持して形成されている。
【0047】
また、挟持プレート75,75による発熱部材70の各部材71,72,73,74の挟持状態は、係合手段としてのクリップ部材90,90によりこれら一対の挟持プレート75,75の端縁部を係合することで維持される。
【0048】
すなわち、クリップ部材90は、図1に示すように、発熱部材70の略全長の長さを有しており、かつ、図4に示すように、本体91の上下に、挟持プレート75,75の係止爪部75bに係合される一対の係合片92,92が形成されている。そして、この係合片92には、対向する係合片92の方向へ突出するように湾曲された係合凸部92aが形成されている。
また、本体91は、中央部が係合片92の突出方向に突き出るように折曲された形状に形成されており、係合片92,92が相対的に離れる方向である上下方向に変位した際に、折曲を強める方向に弾性変形して係合片92,92の間隔を狭める方向の復元力を発生するよう形成されている。
【0049】
次に、実施例1の電気ヒータ装置Aの組立手順を説明する。
この組立において、まず、ヒータユニット40を組み立てる。
このヒータユニット40を組み立てる場合、あらかじめ、各挟持プレート75の表面75aに、フィン部材80を蝋付けしておく。
【0050】
そして、位置決めプレート71の各保持用穴71a,71a,71a,71aにPTC素子72、72,72,72を挿入し、さらに、この位置決めプレート71の下側に電極プレート73および絶縁プレート74を順に重ね、これにフィン部材80が結合された挟持プレート75,75の裏面75c,75c側を重ねる。この時点で、図6に示すように発熱部材70にフィン部材80,80が結合されたものが組み立てられる。
【0051】
この状態の上下一対の挟持プレート75,75の幅方向両端縁部に、クリップ部材90,90の係合片92,92を上下方向に係合させる。これにより、図3に示すヒータユニット40が組み立てられる。
【0052】
なお、このようにクリップ部材90で係合する場合、クリップ部材90,90の両係合片92,92を上下に拡げるよう弾性変形させ、図4に示すように、両係合片92,92の間に両挟持プレート75,75の端縁部を差し込んで係合させる。
このとき、クリップ部材90は、係合片92,92および本体91が弾性変形し、係合片92,92の間隔を狭める方向に復元力が作用する。この復元力により、挟持プレート75,75から、これらに挟まれている位置決めプレート71、PTC素子72、電極プレート73、絶縁プレート74に対して、挟持方向に荷重が与えられる。
したがって、この復元力による荷重により、PTC素子72に対する電極プレート73および挟持プレート75の接触圧力が得られる。この接触圧力は、クリップ部材90の弾性変形状態が保たれている間、確保される。
【0053】
また、この係合状態において、各係合片92の係合凸部92aが挟持プレート75の係止爪部75bと幅方向に係合して、クリップ部材90の抜け止め、すなわち、挟持プレート75,75からクリップ部材90が脱落するのが防止される。
【0054】
以上のようにしてヒータユニット40を組み立てたら、これらヒータユニット40を3段積み重ね、さらに、上下両端をエンドプレート60で挟んでこれらを一体化した状態に保持し、この状態の各ヒータユニット40,40,40およびエンドプレート60,60の一端をエンドハウジング30に差し込むとともに、他端をフロントハウジング20に差し込んで、図2に示す実施例1の電気ヒータ装置Aが組み立てられる。なお、フロントハウジング20およびエンドハウジング30には、各ヒータユニット40,40,40およびエンドプレート60,60と係脱可能な図示を省略した係合爪が設けられており、メンテナンス時に分解可能に構成されている。
【0055】
本実施例1では、PTC素子72への通電は、電極プレート73と挟持プレート75,75とにより行うものであり、フロントハウジング20に図外のコネクタを接続した場合に、電極プレート73の接続端子部73aと、挟持プレート75とに通電が行われるように構成されている。なお、絶縁プレート74により電極プレート73と挟持プレート75との短絡を防止している。
【0056】
以上説明したように、実施例1の電気ヒータ装置Aにあっては、PTC素子72から熱が伝達される挟持プレート75に、フィン部材80を蝋付けにより結合したため、フィン部材80を挟持プレート75に対して圧接や接着している場合に比べ、熱の伝達効率を高めて熱効率向上を図ることができる。
【0057】
しかも、発熱部材70においてPTC素子72などの構成要素71,72,73,74を2枚の挟持プレート75,75で挟んで支持し、これら挟持プレート75,75の端縁部をクリップ部材90,90により係合して、挟持状態を保つようにした。
したがって、発熱部材70の構成要素をチューブに収容してプレスするのと比較して、専用のプレス装置が不要で、設備費用低減を図ることができる。しかも、先にフィン部材80を蝋付けした挟持プレート75により、PTC素子72などの発熱部材70の構成要素である位置決めプレート71,PTC素子72,電極プレート73,絶縁プレート74を挟持することが可能となる。
すなわち、従来のようにチューブでプレスする構造では、先にフィン部材80を蝋付けするとプレスができず、プレス後に蝋付けすると蝋付け時の熱によりPTC素子72の性能が劣化するが、本実施例1では、先に蝋付けを行いながらも、PTC素子72などの発熱部材70の構成要素71,72,73,74を支持することが可能となる。
【0058】
さらに、実施例1では、挟持プレート75,75にクリップ部材90を係合させるのにあたり、係合凸部92aを形成しており、この係合凸部92aの突出代により、クリップ部材90から挟持プレート75に入力される荷重を設定することができる。したがって、挟持荷重の初期設定が容易である。
【0059】
また、実施例1では、PTC素子72に接触して通電および熱の伝達を行う電極プレート73および挟持プレート75とPTC素子72との接触圧が、クリップ部材90の弾性変形による復元力により付与する荷重で得られる。したがって、プレスで接触圧を設定するのに比べて、接触圧の設定が容易であるとともに、経時的な接圧の低下を防止することが可能であり、これにより、通電性および熱抵抗を良好に保ち、熱効率を向上させることができる。
加えて、クリップ部材90による係合を外すことで、挟持プレート75,75に挟まれた発熱部材70の構成要素71,72,73,74を取り出すことが可能であり、チューブにこれら構成要素71,72,73,74を収容してプレスした場合に比べて、不良発生時の修理が容易である。
【0060】
また、実施例1では、両挟持プレート75,75の両端縁部に一対のクリップ部材90,90を装着して、両端縁部を係合状態とするようにした。
このように本実施例1では、装着するクリップ部材90の数が少なく、作業数が少なくて済み作業性に優れる。加えて、クリップ部材90の本体91を、その中央部が折曲された略くの字断面形状に形成したことにより、係合片92,92を拡げた際に本体91の上下方向の中央部から弾性変形し、本体91を真っ直ぐな形状に形成した場合のように、係合片92,92の基端部から変形するのに比べて、変形代を大きく確保することができる。よって、挟持プレート75,75に加える荷重の設定が容易であるとともに、安定して荷重を得ることが可能となる。
【0061】
さらに、挟持プレート75の端縁部に係止爪部75b,75bを形成し、かつ、クリップ部材90の係合片92には係合凸部92aを形成し、クリップ部材90を挟持プレート75,75に係合させたときに、係止爪部75bと係合凸部92aとが幅方向に係合してクリップ部材90の抜け止めが成されるようにした。
このように、クリップ部材90の抜け止めが成されることから、上記係合状態をより確実に維持することができ、上記の熱効率の向上効果を確実に得ることができる。
【0062】
また、実施例1では、両挟持プレート75,75の一方を電極として用いるようにしたため、PTC素子72を2枚の電極プレート73により通電を行う場合に比べて、必要な電極プレート73および絶縁プレート74の数を減らすことができる。
これにより、部品点数を削減して重量および製造コストを低減することが可能となる。
【実施例2】
【0063】
次に、図8に基づいてこの発明の実施の形態の実施例2の電気ヒータ装置について説明する。なお、この実施例2は、実施例1の変形例であるため、その相違点についてのみ説明し、実施例1と同様の構成および作用効果については説明を省略する。
【0064】
この実施例2では、フィン部材280の基端部に切欠部280a,280aを形成した例である。
すなわち、ヒータユニット240の側面図である図8に示すように、フィン部材280には、挟持プレート75に蝋付けされた基端部において、幅方向(矢印FL方向)の両端部に、クリップ部材90と上下方向に重なる位置に、クリップ部材90との干渉を避ける切欠部280a,280aが形成されている。
【0065】
したがって、実施例2にあっては、フィン部材280の基端部を除いた部分の幅方向寸法を、切欠部280aを設けない場合に比べて広くすることができる。
これにより、装置全体を大型化させずに、放熱性能を向上させることが可能となり、さらに熱効率を向上させることができる。
なお、他の構成および作用効果は、実施例1と同様であるから説明を省略する。
【実施例3】
【0066】
次に、図9〜図14に基づいてこの発明の実施の形態の実施例3の電気ヒータ装置Cについて説明する。なお、この実施例3は、実施例1の変形例であるため、その相違点についてのみ説明し、実施例1と同様の構成および作用効果については説明を省略する。
【0067】
実施例3の電気ヒータ装置Cは、図9に示すように、実施例1と同様に、3個のヒータユニット340を上下に積層して構成されている。
【0068】
この実施例3におけるヒータユニット340は、図10に示すように、挟持プレート375の端縁部どうしを係合させる係合手段の構成が実施例1と相違しており、以下、この相違点について説明する。
【0069】
実施例3では、係合手段としての係合爪375dが挟持プレート375に一体に形成されている。
すなわち、係合爪375dは、挟持プレート375の端縁部に連続する一部を裏面375bの方向に略直角に折り曲げ、さらに、その先端部で裏面375bと向かい合うように略直角に折り曲げて形成されており、先端に、爪部375eが形成されている(図11参照)。
なお、この係合爪375dは、図示のように、挟持プレート375の端縁部において、長手方向に一定間隔で3箇所に形成されている。また、係合爪375dは、図示のように、挟持プレート375の幅方向両端縁部において、幅方向で係合爪375dが重ならないように互い違いに配置されている。
【0070】
さらに、挟持プレート375の端縁部には、係合爪375dと交互に突起部375fが形成されており、しかも、係合爪375dと突起部375fとの間には、係合爪375dの長手方向寸法と略同寸法の間隔375hが空けられている。
【0071】
この突起部375fは、挟持プレート375の裏面375bどうしを対向させたときに係合爪375dと対向する位置に配置されており、かつ、係合爪375dと係合可能に形成されている。
そして、この突起部375fは、係合爪375dと係合したときに、この係合爪375dとの係合位置を、係合爪375dが設けられている側の挟持プレート375から遠ざけることを目的として、図14に示すように、挟持プレート375の表面方向に突出して形成されているとともに、長手方向(矢印CD方向)の両端部には、傾斜面375gが形成されている。
【0072】
次に、ヒータユニット340の組立手順について説明する。
この実施例3にあっても、実施例1と同様に、図12に示すように、挟持プレート375の表面375aに、あらかじめフィン部材80を蝋付けにより結合しておく。
【0073】
次に、実施例1と同様に、図10に示すように、位置決めプレート71の各保持用穴71aにPTC素子72を保持させ、さらに、位置決めプレート71の下側に電極プレート73および絶縁プレート74を重ねたものを、一方の挟持プレート375に重ね合わせる。
【0074】
そして、挟持プレート375,375どうしを係合させるが、この場合、本実施例3では、まず、図13に示すように、一方の挟持プレート375の間隔375hの部分に他方の挟持プレート375の各係合爪375dおよび突起部375fを配置させる。
【0075】
次に、この状態から、図13の矢印SL方向に相対スライドさせ、突起部375fをそれぞれ対応する係合爪375dの爪部375eの裏側に潜り込ませる。これにより、係合爪375dの爪部375eが、上下方向で係合相手の挟持プレート375の表面375aの方向へ移動し、両挟持プレート375の裏面375bどうしの間隔が狭められる。
【0076】
したがって、係合爪375dを含み挟持プレート375,375が弾性変形して、その復元力が挟持方向に作用する。
なお、この挟持プレート375,375の相対スライド時には、係合爪375dの爪部375eが、突起部375fの傾斜面375gに沿って徐々に上下方向に移動するため、上述の両挟持プレート375の裏面375bどうしの間隔変化、すなわち、上述の弾性変形も緩やかに行われる。
【0077】
以上説明したように、実施例3の電気ヒータ装置Cでは、両挟持プレート375,375の端縁部どうしを係合させる際には、一方の挟持プレート375に形成された係合爪375dを、他方の挟持プレート375に形成された突起部375fに係合させるようにしたため、挟持プレート375と別体の係合手段が不要であり、部品点数を削減して製造コストを低減させることができる。
【0078】
しかも、突起部375fを設けたため、係合爪375dの係合位置が、係合相手の挟持プレート375の表面375aから遠ざけられ、これにより挟持プレート375,375の間隔が狭まり、その分両挟持プレート375,375の挟持方向の荷重として作用する。このため、挟持荷重が確実に得られるとともに、挟持荷重を、突起部375fの突起代により設定することができるため、挟持荷重の初期設定が容易である。
【0079】
加えて、係合爪375dと突起部375fとを挟持プレート375の端縁部に交互に配置したため、端縁部が引っ張られる方向が交互に異なることになり、挟持荷重の均一化を図ることができる。これにより、挟持プレート375,375の間に挟まされているPTC素子72に対する接触圧の全体で均一化を図ることが可能となり、これよる通電性および熱伝達性を向上させて熱効率の向上をより図ることができる。
【0080】
さらに、本実施例3では、係合爪375dと突起部375fとの間に係合爪375dの長手方向寸法と略同寸法の間隔375hを形成し、組付時には、係合爪375dをこの間隔375hに配置した後に、挟持プレート375どうしを相対スライドさせることで係合状態が得られるようにした。
このように、係合時に係合爪375dなどを弾性変形させる操作が不要であるため、組立作業をスムーズに行うことができる。
【0081】
なお、他の作用効果については実施例1と同様である。
すなわち、挟持プレート375に、フィン部材80を蝋付けにより結合したことにより熱効率向上を図ることができる点、プレスするのと比較して、専用のプレス装置が不要で、設備費用低減を図ることができる点、PTC素子72との接触圧の設定が容易であるとともに、経時的な接圧の低下を防止することを可能として、熱効率を向上させることができる点、不良発生時に挟持プレート375,375の係合を外して分解可能で、メンテナンス性に優れる点、挟持プレート375を電極として用いて必要な電極プレート73および絶縁プレート74の数を減らすことができる点は、実施例1と同様である。
【0082】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態および実施例1〜3を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態および実施例1〜3に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0083】
例えば、実施例1〜3では、ヒータ積層体10としてヒータユニット40を3段重ねして形成した例を示したが、これに限定されるものではなく、2段重ねあるいは4段重ねなど3段以外の複数重ね合わせたものや、ヒータユニット40を1つだけ有したものなど、3段重ね以外の構成としてもよい。
【0084】
また、実施例1〜3では、挟持プレート75,375を上下2枚用いた例を示したが、図15に示すように、ヒンジ部475dにより相対化移動可能な2枚の挟持プレート475,475を用いてもよい。この構造では、係合手段としてのクリップ部材90は、挟持プレート475,475の一方の端縁のみに設ければよく、部品点数を削減して、組付の手間およびコスト低減を図ることが可能である。
【0085】
また、実施例1〜3では、PTC素子72への通電を電極プレート73と挟持プレート75,375とにより行うようにした例を示したが、これに限定されず、電極プレート73を2枚設けて通電を行うようにしてもよいし、あるいは、図16に示すように、2枚の挟持プレート575,575をそれぞれ電極として用いてもよい。
この図16の例では、クリップ部材590として、絶縁性を有した部材を用いる。また、必要であれば、挟持プレート575,575の間に、絶縁部材500,500を設けてもよい。
【0086】
また、挟持プレートと別体の係合手段としては、実施例1で示したクリップ部材90に限定されるものではなく、挟持プレート75の端部に係合して、両挟持プレートに荷重を与えることができるものであれば、他の手段を用いることができる。
【0087】
また、実施例1では、凹凸形状部として、挟持プレート75の表面方向に突出した係止爪部75bを示したが、これに限定されず、挟持プレートの端縁部の一部を裏面方向に凹ませて、係合片92と係合可能に形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の最良の実施の形態の実施例1の電気ヒータ装置Aにおけるヒータユニット40を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態の実施例1の電気ヒータ装置Aを示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態の実施例1の電気ヒータ装置Aにおけるヒータユニット40を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態の実施例1の電気ヒータ装置Aにおけるヒータユニット40を示す側面図である。
【図5】本発明の実施の形態の実施例1の電気ヒータ装置Aに適用された挟持プレート75の一端部を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態の実施例1の電気ヒータ装置Aにおけるヒータユニット40を示す斜視図であり、クリップ部材90を係合する直前の状態を示している。
【図7】本発明の最良の実施の形態の実施例1の電気ヒータ装置Aが適用された車両用空調ユニットACUの構成の概略を示す構成説明図である。
【図8】本発明の実施の形態の実施例2の電気ヒータ装置におけるヒータユニット240を示す側面図である。
【図9】本発明の実施の形態の実施例3の電気ヒータ装置Cを示す斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態の実施例3の電気ヒータ装置Cに適用されたヒータユニット340を示す分解斜視図である。
【図11】本発明の実施の形態の実施例3の電気ヒータ装置Cに適用されたヒータユニット340における挟持プレート375の一端部を示す斜視図である。
【図12】本発明の実施の形態の実施例3の電気ヒータ装置Cに適用されたヒータユニット340に適用されたフィン部材80が結合された挟持プレート375を示す斜視図である。
【図13】本発明の実施の形態の実施例3の電気ヒータ装置Cに適用されたヒータユニット340の組付手順を説明する斜視図である。
【図14】本発明の実施の形態の実施例3の電気ヒータ装置Cに適用されたヒータユニット340の組付作業途中の要部を示す斜視図である。
【図15】本発明の実施の形態の電気ヒータ装置の他の例に適用されたヒータユニットを示す側面図である。
【図16】本発明の実施の形態の電気ヒータ装置の他の例に適用されたヒータユニットを示す側面図である。
【符号の説明】
【0089】
70 発熱部材(発熱部)
71 位置決めプレート(構成要素)
72 PTC素子(発熱素子)
73 電極プレート(構成要素)
74 絶縁プレート(構成要素)
75 挟持プレート
75a 表面
75b 係止爪部(凹凸形状部)
75c 裏面
80 フィン部材
90 クリップ部材(係合手段)
280 フィン部材
280a切欠部
375 挟持プレート
375a表面
375b裏面
375d係合爪(係合手段)
375f突起部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状に形成され、通電により発熱する発熱素子を含む発熱部と、この発熱部で発生した熱を大気中に放熱するフィン部材と、を備え、
このフィン部材は、前記発熱部の外側に設けられたケーシング部材に接して設けられた電気ヒータ装置であって、
前記ケーシング部材として、前記発熱素子を含む発熱部の構成要素をサンドイッチ状に両側から挟む一対の挟持プレートを備え、
これら一対の挟持プレートの前記構成要素を挟持する側の面とは反対側の面である表面に、前記フィン部材が蝋付けにより結合され、
前記挟持プレートに対して挟持方向に荷重を与えた状態で両挟持プレートの端縁部どうしを係合する係合手段が設けられていることを特徴とする電気ヒータ装置。
【請求項2】
前記係合手段が、前記挟持プレートへの係合状態で係合手段自身と前記挟持プレートとの少なくとも一方を弾性変形させ、その復元力を前記挟持方向の荷重として作用させる構造であることを特徴とする請求項1に記載の電気ヒータ装置。
【請求項3】
前記係合手段が、両挟持プレートの端縁部に装着されるクリップ部材であり、
このクリップ部材は、両挟持プレートの端縁部の表面にそれぞれ係合する一対の係合片を備えているとともに、両係合片の間隔を拡げる方向に弾性変形して両係合片の間隔を狭める方向に復元力を作用させるよう形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気ヒータ装置。
【請求項4】
前記挟持プレートの端縁部には、前記クリップ部材の係合片と挟持プレートの幅方向に係合してこの係合片が前記挟持プレートから脱落するのを規制する凹凸形状部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の電気ヒータ装置。
【請求項5】
前記係合手段が、両挟持プレートの少なくとも一方に一体に形成され、他方の挟持プレートの端縁部と係合する係合爪を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気ヒータ装置。
【請求項6】
前記係合爪と係合する前記他方の挟持プレートの端縁部に、前記係合爪との係合位置を前記他方の挟持プレートの表面から遠ざける突起部が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の電気ヒータ装置。
【請求項7】
前記係合爪と突起部とが、前記挟持プレートの端縁部において長手方向に交互に設けられ、かつ、一対の挟持プレートを対向させたときに、前記係合爪と突起部とが係合するよう幅方向で互い違いに配置されていることを特徴とする請求項6に記載の電気ヒータ装置。
【請求項8】
前記フィン部材の前記挟持プレートに蝋付けされた基端部の幅方向両端部に、前記係合手段との干渉を避ける切欠部が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の電気ヒータ装置。
【請求項9】
前記発熱部の構成要素として、前記発熱素子の位置決めを行う位置決め穴が長手方向に複数並設された位置決めプレートと、前記発熱素子の上下両側面の一方に接して位置決めプレートに重ねられた電極プレートと、この電極プレートと挟持プレートとの間に介在されて電極プレートと挟持プレートとの間の絶縁を行う絶縁プレートと、が含まれ、
前記挟持プレートと電極プレートとが、それぞれプラスマイナスの電極として用いられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電気ヒータ装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の電気ヒータ装置の製造方法であって、
あらかじめ前記挟持プレート表面にフィン部材を蝋付けにより結合させておき、
前記発熱部の構成要素を、一対の前記挟持プレートの裏面の間に挟み、
その後、両挟持プレートの端縁部どうしを、前記係合手段により係合させることを特徴とする電気ヒータ装置の製造方法。
【請求項1】
長尺状に形成され、通電により発熱する発熱素子を含む発熱部と、この発熱部で発生した熱を大気中に放熱するフィン部材と、を備え、
このフィン部材は、前記発熱部の外側に設けられたケーシング部材に接して設けられた電気ヒータ装置であって、
前記ケーシング部材として、前記発熱素子を含む発熱部の構成要素をサンドイッチ状に両側から挟む一対の挟持プレートを備え、
これら一対の挟持プレートの前記構成要素を挟持する側の面とは反対側の面である表面に、前記フィン部材が蝋付けにより結合され、
前記挟持プレートに対して挟持方向に荷重を与えた状態で両挟持プレートの端縁部どうしを係合する係合手段が設けられていることを特徴とする電気ヒータ装置。
【請求項2】
前記係合手段が、前記挟持プレートへの係合状態で係合手段自身と前記挟持プレートとの少なくとも一方を弾性変形させ、その復元力を前記挟持方向の荷重として作用させる構造であることを特徴とする請求項1に記載の電気ヒータ装置。
【請求項3】
前記係合手段が、両挟持プレートの端縁部に装着されるクリップ部材であり、
このクリップ部材は、両挟持プレートの端縁部の表面にそれぞれ係合する一対の係合片を備えているとともに、両係合片の間隔を拡げる方向に弾性変形して両係合片の間隔を狭める方向に復元力を作用させるよう形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気ヒータ装置。
【請求項4】
前記挟持プレートの端縁部には、前記クリップ部材の係合片と挟持プレートの幅方向に係合してこの係合片が前記挟持プレートから脱落するのを規制する凹凸形状部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の電気ヒータ装置。
【請求項5】
前記係合手段が、両挟持プレートの少なくとも一方に一体に形成され、他方の挟持プレートの端縁部と係合する係合爪を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気ヒータ装置。
【請求項6】
前記係合爪と係合する前記他方の挟持プレートの端縁部に、前記係合爪との係合位置を前記他方の挟持プレートの表面から遠ざける突起部が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の電気ヒータ装置。
【請求項7】
前記係合爪と突起部とが、前記挟持プレートの端縁部において長手方向に交互に設けられ、かつ、一対の挟持プレートを対向させたときに、前記係合爪と突起部とが係合するよう幅方向で互い違いに配置されていることを特徴とする請求項6に記載の電気ヒータ装置。
【請求項8】
前記フィン部材の前記挟持プレートに蝋付けされた基端部の幅方向両端部に、前記係合手段との干渉を避ける切欠部が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の電気ヒータ装置。
【請求項9】
前記発熱部の構成要素として、前記発熱素子の位置決めを行う位置決め穴が長手方向に複数並設された位置決めプレートと、前記発熱素子の上下両側面の一方に接して位置決めプレートに重ねられた電極プレートと、この電極プレートと挟持プレートとの間に介在されて電極プレートと挟持プレートとの間の絶縁を行う絶縁プレートと、が含まれ、
前記挟持プレートと電極プレートとが、それぞれプラスマイナスの電極として用いられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電気ヒータ装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の電気ヒータ装置の製造方法であって、
あらかじめ前記挟持プレート表面にフィン部材を蝋付けにより結合させておき、
前記発熱部の構成要素を、一対の前記挟持プレートの裏面の間に挟み、
その後、両挟持プレートの端縁部どうしを、前記係合手段により係合させることを特徴とする電気ヒータ装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−71553(P2008−71553A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−247573(P2006−247573)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】
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