説明

電気二重層キャパシタ

【課題】情報表示機器の電源として、性能の劣化がなく、耐久性のある電源を採用する。
【解決手段】互いに形成された凹凸パターン4、5が対向して配置される下型2と上型3との間に、少なくとも電極活物質とバインダが含まれている活物質形成材料1が供給される。その活物質形成材料が前記下型と前記上型とで加圧されて後、それら下型と上型とが剥離されることにより蓄電デバイス用活物質6が製造される。その蓄電デバイス用活物質を活物質層として、その片面に集電体7が固着されて蓄電デバイス用電極10がつくられる。電気二重層キャパシタは、そのようにしてつくられた蓄電デバイス用電極を用いて形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報を表示する携帯型の情報表示機器と、その情報表示機器を充電する充電機器からなる情報表示システム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報を電子化して扱うことが一般化しているが、これらの電子情報を可視的に表す方法として、依然、紙に印刷する方法が広く用いられている。これは、紙に印刷した情報が見易く、扱い易いという利点からである。しかしながら、紙に印刷された情報は、紙に固着された状態となり、その書き換え、消去が困難であり、電子情報としての利用もできないといった欠点がある。また、近年、情報の紙への印刷により、紙の消費量が年々増加して資源保護の観点からも好ましくなく、環境上の問題も生じている。
【0003】
このため、紙の利点を持ちつつも、書き換えが可能であるなどの情報を電子情報として利用できる表示媒体が望まれている。これに応える表示媒体として、見易く、書き換えが可能であり、表示の保持にほとんどエネルギを必要とせず、携帯に優れている電子ペーパーが期待されており、電子ペーパーを用いた様々な情報表示機器が提案されている。また、電子ペーパーとしては、ツイストボール方式、電気泳動方式、電磁泳動方式などのいろいろな方式が検討されている。
【0004】
ところが、電子ペーパーは、表示情報を無電源状態で保持することができるために、消費電力は少なくて済むが、駆動するための電源は必要である。電源として、従来の電子ペーパーを用いたデバイスは、多くは二次電池を用いている。しかし、二次電池は、大きな電流を流すことができないために、充電に長い時間が必要であり、緊急時に電池が切れた場合に直ちに対応することができないなど、利便性を欠いていた。また、二次電池は、充放電を繰り返すと性能が劣化するために、電池に使用寿命が存在する。しかし、電子ペーパーを用いた表示デバイスは、紙に取って代わる情報表示媒体として長期間の使用に耐えうるように、電池の長寿命を確保する必要がある。
【0005】
一方、実際の使用上では、このような電子ペーパーを用いた情報表示機器を従来の紙に置き換えて、会議の資料表示、移動中のニュースの閲覧などに用いる場合を考えると、せいぜい数十ページ分の情報を表示できれば、十分に目的を果たすことができ、必要な電力はさほど大きくないと考えられる。このため、情報表示機器の電源に、必ずしも大きな電力を持たせる必要はない。その代わりに、必要なときに短い時間で充電を完了することができれば、利便性を確保することができる。さらに、会議での多人数への資料の配布、多人数へのニュースの配信などを想定した場合、複数の情報表示機器を効率よく充電し、また各種情報を効率よく配信する必要がある。
【0006】
以上のようなことから、情報表示機器の高速充電を可能として充電時間を短縮し、情報表示機器に大きな電力を必要とすることなく、長期間の繰り返し使用を可能とする耐久性を有する一方、情報表示機器に対して効率よく充電し、かつ効率よくデータ送受信を行うことが求められている。
【0007】
ところで、下記特許文献1に記載の電子ペーパー表示システム装置には、不揮発性のフレキシブルなシート状表示機器を用いて情報を表示し、そのシート状表示機器の充電を電磁誘導を用いて行うものが提案されている。また、下記特許文献2に記載の情報表示装置にも、同様に不揮発性のフレキシブルなシート状表示機器を用いて情報を表示し、そのシート状表示機器の充電を電磁誘導を用いて行うものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005-316672号公報
【特許文献2】特開2004-350439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載される装置は、ともに情報表示機器に対して効率よく充電し、かつ効率よくデータ送受信を行うものである、ということはできなかった。
【0010】
そこで、この発明の第1の目的は、情報表示機器の高速充電を可能として充電時間を短縮し、情報表示機器に大きな電力を必要とすることなく、長期間の繰り返し使用を可能とするとともに、情報表示機器に対して効率よく充電し、かつ効率よくデータ送受信を行うことにある。
【0011】
ところで、この種の情報表示システム装置の携帯型情報表示機器では、従来、情報表示部のディスプレイに、薄型化が可能であるなどの理由から、液晶ディスプレイが使用されていた。しかし、液晶ディスプレイには、視野角が狭い、バックライトを必要として消費電力が大きいなどの欠点があり、情報表示部のディスプレイとして必ずしも最適とはいえなかった。
そこで、この発明の第2の目的は、情報表示機器に備える情報表示部のディスプレイを最適化することにある。
【0012】
また、情報表示機器では、従来、電源に主として二次電池が用いられていた。しかし、二次電池は、大電流を流すことが困難なことから、充電に時間がかかる、充放電を繰り返すことによって性能が劣化するなどの欠点を持っていた。
そこで、この発明の第3の目的は、情報表示機器の電源として、性能の劣化がなく、耐久性のある電源を採用することにある。
【0013】
従来、情報表示機器と充電機器とからなる情報表示システム装置では、電磁誘導によるデータの送受信は、データ送信側とデータ受信側の一対一で行われていた。このため、複数の情報表示機器とデータの送受信を行う場合は、それぞれ別個にデータの送受信を行わなければならず、効率が悪いといった問題があった。
そこで、この発明の第4の目的は、複数の情報表示機器への一括データ送受信を可能とするシステムを構築することにある。
【0014】
この発明の第5の目的は、情報表示機器の利便性をより高めることにある。
【0015】
ところで、情報表示部のディスプレイに情報を表示する情報表示機器と、その情報表示機器を充電する充電機器とからなる情報表示システム装置では、従来、電磁誘導により充電機器を用いて情報表示機器の充電を行うものもある。しかし、この種の情報表示システム装置では、電磁誘導により複数の情報表示機器に充電を行っている途中で、充電機器に対して情報表示機器を挿脱すると、電磁誘導における磁界が変化して磁気回路の状態が変わり、最適状態で充電することができなくなってしまう。
そこで、この発明の第6の目的は、複数の情報表示機器への充電途中で、充電機器に対して情報表示機器の挿脱を行ったとしても、最適な状態で電力の供給を可能とするシステムを構築することにある。
【0016】
従来、情報表示機器と充電機器とからなる情報表示システム装置では、複数の情報表示機器に異なるデータを任意に配信することができなかった。
そこで、この発明の第7の目的は、複数の情報表示機器に対してそれぞれ異なる内容の情報を任意に配信可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この発明は、上述した第1の目的を達成すべく、情報表示システム装置であって、
情報を表示する情報表示部と、データ送受信制御部、充放電制御部、蓄電部を有するデータ通信・制御部とを備える携帯型の情報表示機器と、
その情報表示機器に対するデータの送受信を制御するデータ送受信制御部、前記情報表示機器に対する電力の供給を制御する電力供給制御部を有するデータ通信・電力供給部と、電源部と、操作部とを備え、前記情報表示機器に対して電磁誘導により充電と同時にデータ送受信を行う充電機器と、
からなることを特徴とする。
【0018】
そして、電磁誘導により、情報表示機器に対して充電を行うとき、同時にデータ送受信を行う。充電機器から情報表示機器への送信データは、主に情報表示機器で表示する内容のデータなどである。反対に、情報表示機器から充電機器への送信データは、複数の情報表示機器を個別認識するための通信用ID、各情報表示機器の充電状況、データ受信状況などである。
【0019】
請求項2に記載の発明は、上述した第2の目的を達成すべく、請求項1に記載の情報表示システム装置であって、前記情報表示部に不揮発性電子表示素子を用いることを特徴とする。そして、携帯型の情報表示機器では、不揮発性電子表示素子を用いて情報を表示する。
【0020】
請求項3に記載の発明は、上述した第3の目的を達成すべく、請求項1または2に記載の情報表示システム装置であって、前記データ通信・制御部に有する蓄電部に電気二重層キャパシタを用いることを特徴とする。そして、電気二重層キャパシタを情報表示機器の電源とする。
【0021】
請求項4に記載の発明は、上述した第3の目的を達成すべく、請求項3に記載の情報表示システム装置であって、互いに形成された凹凸パターンが対向して配置される下型と上型との間に、少なくとも電極活物質とバインダが含まれている活物質形成材料が供給され、その活物質形成材料が前記下型と前記上型とで加圧されて後、それら下型と上型とが剥離されることにより蓄電デバイス用活物質が製造され、その蓄電デバイス用活物質を活物質層としてその片面に集電体が固着されて蓄電デバイス用電極がつくられ、その蓄電デバイス用電極を用いて前記電気二重層キャパシタが形成されることを特徴とする。
【0022】
請求項5に記載の発明は、上述した第3の目的を達成すべく、請求項3に記載の情報表示システム装置であって、下型に形成された凹凸パターンに、少なくとも電極活物質とバインダが含まれている活物質形成材料が供給され、その活物質形成材料が、上型に形成された凹凸パターンに入り込むまで前記上型が前記活物質形成材料に押し当てられて後、それら上型と下型とが剥離されることにより蓄電デバイス用活物質が製造され、その蓄電デバイス用活物質を活物質層としてその片面に集電体が固着されて蓄電デバイス用電極がつくられ、その蓄電デバイス用電極を用いて前記電気二重層キャパシタが形成されることを特徴とする。
【0023】
請求項6に記載の発明は、上述した第3の目的を達成すべく、請求項3に記載の情報表示システム装置であって、金型に形成される凹凸パターンに、少なくとも電極活物質とバインダが含まれている活物質形成材料が供給される第1工程と、前記活物質形成材料に集電体が固着される第2工程と、前記活物質形成材料から前記金型が剥離される第3工程とから蓄電デバイス用電極がつくられ、その蓄電デバイス用電極を用いて前記電気二重層キャパシタが形成されることを特徴とする。
【0024】
請求項7に記載の発明は、上述した第4の目的を達成すべく、請求項1ないし6のいずれか1に記載の情報表示システム装置であって、前記充電機器に、その充電機器が発生する電力供給磁束およびデータ通信磁束と交叉するように、前記情報表示機器を複数設置する表示機器設置部を設けることを特徴とする。そして、情報表示機器の充電を行うとき、複数の情報表示機器を充電機器の表示機器設置部に設置し、その設置を検知して最適な大きさの電力を伝送し、また最適なデータ送受信状態に調整し、複数の情報表示機器に対して一括して充電とデータ送受信を行う。
【0025】
請求項8に記載の発明は、上述した第5の目的を達成すべく、請求項7に記載の情報表示システム装置であって、前記情報表示機器をシート状に形成することを特徴とする。そして、情報表示機器の充電を行うとき、充電機器上に複数の情報表示機器を横置きしたり縦置きしたりして重ねて設置する。
【0026】
請求項9に記載の発明は、上述した第6の目的を達成すべく、請求項7または8に記載の情報表示システム装置であって、前記充電機器に、前記情報表示機器の挿脱を検知する磁界比較部を備えることを特徴とする。そして、充電機器に対して情報表示機器を挿脱したとき、磁界比較部で情報表示機器の挿脱を検知して電磁誘導の磁束の制御を行う。
【0027】
請求項10に記載の発明は、上述した第7の目的を達成すべく、請求項1ないし9のいずれか1に記載の情報表示システム装置であって、前記情報表示機器にそれぞれ通信用IDを持たせることを特徴とする。そして、情報表示機器に情報を配信するとき、各情報表示機器の通信用IDを検出することで識別し、複数の情報表示機器に対してそれぞれ異なる内容の情報を配信する。
【発明の効果】
【0028】
請求項1に記載の発明によれば、電磁誘導により情報表示機器に対して充電とデータ送受信を同時に行うので、情報表示機器の高速充電を可能として充電時間を短縮し、情報表示機器に大きな電力を必要とすることなく、長期間の繰り返し使用を可能とする一方、情報表示機器に対して効率よく充電すると同時に、効率よくデータ送受信を行い、より利便性を高めることができる。
【0029】
請求項2に記載の発明によれば、情報表示部のディスプレイとして従来の液晶ディスプレイに代えて不揮発性電子表示素子を採用するので、ディスプレイ画面を書き換えるときのみに電力を必要とし、一度書き換えた情報を無電源で保持することができるから、液晶ディスプレイに比べてディスプレイに必要な電力を抑えることができる。また、ディスプレイが広い視野角を確保することができる。さらに、ディスプレイを薄いシート状として、情報表示機器をより薄くして扱い易くすることができる。これにより、情報表示部のディスプレイを最適化した情報表示機器を実現することができる。
【0030】
請求項3に記載の発明によれば、情報表示機器の電源として、従来良く用いられている二次電池に変えて電気二重層キャパシタを用いるので、電源に大電流を流すことができ、急速充電を可能として充電時間の短縮を図ることができる。また、繰り返し充放電による劣化もほとんど起こらないことから、電源の耐久性を向上し、電源に関してメンテナンスフリーの情報表示機器を実現することができる。
【0031】
請求項4ないし6に記載の発明によれば、情報表示機器の電源として電気二重層キャパシタを用いるので、活物質層自体の内部抵抗が低く、活物質層と集電体の電気的接続も良好であり、高出力の特性を有する電源を用いた情報表示機器を実現することができる。
【0032】
請求項7に記載の発明によれば、情報表示機器の充電を行うとき、複数の情報表示機器を充電機器の表示機器設置部に設置し、複数の情報表示機器に対して一括して効率よく充電と同時にデータ送受信を行うことができる。
【0033】
請求項8に記載の発明によれば、情報表示機器をシート状に形成するので、扱い易くし、また充電機器上に重ねて設置して複数の情報表示機器に対する充電を容易とし、情報表示機器の利便性をより高めることができる。
【0034】
請求項9に記載の発明によれば、充電機器に対して情報表示機器を挿脱したとき、磁界比較部で情報表示機器の挿脱を検知して電磁誘導の磁束の制御を行うので、最適な電力伝送状態に調整して、効率のよい充電を継続することができるとともに、最適なデータ送受信状態に調整して、データ送受信を継続することができる。
【0035】
請求項10に記載の発明によれば、情報表示機器に情報を配信するとき、複数の情報表示機器に対してそれぞれ情報を選択的に配信し、各情報表示機器で異なる内容の情報を任意に表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明に係る情報表示システム装置の構成ブロック図である。
【図2】複数の情報表示機器を充電機器に設置した情報表示システム装置を示す斜視図であり、(A)は情報表示機器を平積み状態で設置した例、(B)は縦置き状態で設置した例を示す。
【図3】複数の情報表示機器と充電機器との間の充電およびデータ送信の一例を示す図である。
【図4】情報表示機器の電源に、蓄電部として用いる電気二重層キャパシタの構成例を示す図である。
【図5】電気二重層キャパシタ用電極の一例の製造工程図である。
【図6】電気二重層キャパシタ用電極の別例の製造工程図である。
【図7】電気二重層キャパシタ用電極のさらに別例の製造工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の最良形態につき説明する。
図1には、この発明に係る情報表示システム装置の構成ブロック図を示す。図示するように、情報表示システム装置は、携帯型の情報表示機器100と充電機器200とからなる。
【0038】
情報表示機器100には、データ通信・制御部30と情報表示部40とを備える。データ通信・制御部30には、データ送受信制御部31と充放電制御部32を有し、一方のデータ送受信制御部31には記憶制御部33を介して記憶部34を接続する一方、アンテナ35に接続してなり、他方の充放電制御部32にはそのアンテナ35とともに、電源36を接続してなる。また、情報表示部40には、データ通信・制御部30の記憶制御部33と接続して表示制御部41を有し、その表示制御部41に接続して、情報を表示するディスプレイ42と表示操作部43を有する。
【0039】
一方、充電機器200には、データ通信・電力供給部50と、電源56と、操作部60と、外部インターフェース部70を備える。データ通信・電力供給部50には、情報表示機器100に対するデータの送受信を制御するデータ送受信制御部51、情報表示機器100に対する電力の供給を制御する電力供給制御部52を有し、一方のデータ送受信制御部51には記憶制御部53を介して記憶部54を接続する一方、アンテナ55に接続してなり、他方の電力供給制御部52にはそのアンテナ55とともに、電源56を接続してなる。充電機器200には、また、データ通信・電力供給部50に、情報表示機器100の挿脱を検知する磁界比較部58を備えてなる。
【0040】
また、操作部60には、表示器61と操作器62を有し、データ送受信制御部51と電力供給制御部52に接続してなる。また、外部インターフェース部70には、外部インターフェース71と外部通信制御部72とを有し、外部通信制御部72を介して外部インターフェース71をデータ送受信制御部51に接続してなる。
【0041】
なお、図1に示す情報表示システム装置では、制御部をいくつかに分けて設け、個別に各種制御を行っているが、それらの制御部を1つまたは複数にまとめて、情報表示システム装置の全体制御を行う構成としてもよい。
【0042】
さて、情報表示機器100において、データ通信・制御部30の記憶部34は、書き換え可能な不揮発性メモリで構成されており、受信データ、操作情報、通信用IDなどの各種データを保存する。
【0043】
情報表示機器100のアンテナ35は、ループアンテナとし、空芯でもよいが、フェライト等の磁性材を内部に配置することで磁束の集中を高め、より効果の高いアンテナとすることができる。アンテナの材料は、抵抗率の低い金属や有機材料を用いることで磁気特性を向上させることができる。情報表示機器100のアンテナ35は、バイファラ巻きとして、アンテナ誘起電流による磁界の発生を抑え、充電側への影響を極力排した構造としてもよい。そして、大型のループアンテナを機器周囲全体に設置したり、小型のループアンテナを機器の任意の位置に設置したり、複数のループアンテナを機器の任意の位置に設置したりする。
【0044】
また、情報表示機器100の電源36には、蓄電部37を設け、蓄電部37として、大電流を流すことができるため充電時間が短く、化学反応を伴わないために充放電を繰り返しても劣化がほとんど発生しない蓄電素子である電気二重層キャパシタ(EDLC)を用いる。ここで用いる電気二重層キャパシタは、扱い易さを考慮し、薄いシート型でフレキシブルであるものがよい。しかし、フレキシブルは、必須条件ではない。そして、そのような薄いシート型などの電気二重層キャパシタを、例えばシート状の情報表示機器100の内部や裏面の全部または一部を占有するように設置する。他にも、コイン型、捲回型などの小型の電気二重層キャパシタを情報表示機器100の任意の位置に設置してもよい。
【0045】
次に、情報表示部40のディスプレイ42は、表示書き換え時にのみ電力を必要とし、無電源状態で情報を保持することが可能であり、シート状の不揮発性電子表示素子である電子ペーパーを用いる。ただし、駆動に電子ペーパーと同等の少ない電力しか必要としないシート状であれば、電子ペーパー以外の表示素子であってもよい。ディスプレイ42への情報の表示は、表示制御部41を構成する制御回路によって制御される。
【0046】
情報表示部40の表示操作部43は、表示のON/OFF、コンテンツの選択、ページ送りやジャンプ、明度・彩度・コントラストの調整、データの送受信操作、表示の拡大縮小などの表示情報の操作が行えるように構成され、スイッチ方式、タッチ入力方式、ジョグダイヤル方式などで入力される。また、ディスプレイ上のタッチパネルセンサによって入力される方式でもよい。
【0047】
他方、充電機器200において、データ通信・電力供給部50の記憶部54は、書き換え可能な不揮発性メモリで構成されており、外部機器、通信網および情報表示機器100との間での送受信データを保存する。メモリースティック・ハードディスクなどに代表される外部記憶機器やPCなどの外部機器および通信網との接続は、LAN、WANおよびUSBに代表される接続インターフェースを用いる。
【0048】
充電機器200のアンテナ55は、情報表示機器100のアンテナ35と同様に、ループアンテナとし、空芯でもよいが、フェライト等の磁性材を内部に配置するとよい。アンテナの材料は、同様に、抵抗率の低い金属や有機材料を用いることで磁気特性を向上させることができる。
【0049】
充電機器200の電源56は、電源部57が、AC/DCコンバータ、DC/DCコンバータや一次電池・二次電池、キャパシタ、または太陽電池、燃料電池の少なくともいずれかで構成されている。また、充電機器200は、パソコン等に接続の場合は、USB端子より電源を取り出して使用することも可能である。これにより、商用交流電源がある場合では、AC/DCコンバータを電源として用い、商用交流電源がない場合は、DC/DCコンバータ、一次電池、二次電池、キャパシタ、または太陽電池、燃料電池の中から少なくとも1つを電源として用いる。
【0050】
充電機器200の操作部60に設ける表示器61は、液晶、LED、有機ELなどで構成され、各情報表示機器100の充電状態・データの送受信の状態・エラーなどの情報が表示される。操作部60に設ける操作器62は、充電・データ送受信の開始・停止、送信データの選択、外部機器との通信、モードの選択などの操作が行えるように構成され、スイッチ方式、タッチ入力方式、ジョグダイヤル方式などで入力される。
【0051】
さて、図2には、複数の情報表示機器100を充電機器200に設置した状態を示す。(A)は情報表示機器100を平積み状態で設置した例であり、(B)は縦置き状態で設置した例である。なお、これらの例で用いるシート状の情報表示機器100は、全体もしくは一部が折れ曲がるフレキシブル性を有するものであっても、または折れ曲がらないフレキシブル性を有しないものであってもいずれでもよい。
【0052】
図2(A)に示す例では、平板状に形成した充電機器200の表面に表示機器設置部80を大きく設けて、その手前に操作部60を備えて表示器61と操作器62を横に並べて設ける。そして、表示機器設置部80上に、携帯に便利なシート状の情報表示機器100を積載して、充電機器200が発生する電力供給磁束およびデータ通信磁束と交叉するように情報表示機器100を複数枚重ねて設置する。情報表示機器100の表面には、ディスプレイ42を大きく設け、その手前に表示操作部43を備えてなる。
【0053】
図2(B)に示す例では、ブロック状に形成した充電機器200に上向きの凹部を設けてその凹部を表示機器設置部80とし、その表示機器設置部80の手前片側に操作部60を備えて表示器61と操作器62を横に並べて設ける。そして、シート状の情報表示機器100を立てた状態で前後方向に重ね合わせて下部を表示機器設置部80に挿入し、充電機器200が発生する電力供給磁束およびデータ通信磁束と交叉するように情報表示機器100を複数枚重ねて設置する。情報表示機器100の表面には、ディスプレイ42を大きく設け、その下方の図中充電機器200で隠れる位置に表示操作部を備えてなる。
【0054】
これにより、複数の情報表示機器100に一括して、電磁誘導により非接触で充電とデータ送受信を同時に行うことができる。
【0055】
はじめに、情報表示機器100の電源36への充電について説明する。
まず、充電を開始する前に、充電対象の情報表示機器100から通信用IDを含む応答信号を充電機器200が受信する。そして、情報表示機器100の数を検知して、その数に適した電力で充電を開始する。その後、磁気回路の状態を最適の状態に制御しながら、充電を続ける。
【0056】
充電は、電圧値のモニタにより情報表示機器100の電源36の満充電を検知したとき、またはタイマにより一定時間が経過したとき、充電磁界を停止することで終了する。充電完了時には、情報表示機器100側から充電完了信号を送信し、充電機器200の表示器61で充電完了の表示を行う。また、このときは、情報表示機器100側で、または情報表示機器100および充電機器200の双方で、充電完了の表示を行うようにしてもよい。
【0057】
充電完了信号を受信したときにデータの送受信が完了していない場合には、充電磁界の送信は継続し、データ送受信完了時に停止する。複数の情報表示機器100の充電中にその1つまたはいくつかが挿脱されたときは、磁界比較部58で磁気回路の変化を検知して、回路系を効率のよい充電が継続できる適切な状態に調整し、電磁誘導の磁束の制御を行う。
【0058】
次に、情報表示機器100と充電機器200との間のデータ送受信について説明する。
複数の情報表示機器100にデータを一括して送信する場合は、はじめに通信用IDを含む応答信号を充電機器200が受けて、情報表示機器100の数を検出する。そして、磁気回路状態を最適な状態に制御して、各情報表示機器100に一括してデータを送信する。
【0059】
途中でいくつかの情報表示機器100の抜出があった場合、その都度、充電機器200が受信する応答信号により情報表示機器100の数を検知し、または磁気回路の変化を検知して、その回路状態を最適に制御してデータの送信を継続する。このとき、抜出した情報表示機器100には、データが不完全であることを示す表示が出されてもよい。反対に、途中でいくつかの情報表示機器100の挿入があった場合、通信用IDを含む応答信号の解析により情報表示機器100の数、各情報表示機器100のデータ受信状況を検知し、磁気回路状態を最適に制御するとともに、各情報表示機器100のデータ受信状況に応じたデータを送信する。
【0060】
複数の情報表示機器100にデータをセレクティブに送信する場合は、充電機器200が対象となっている情報表示機器100からの通信用IDを含む応答信号を受信し、情報表示機器100の数、各情報表示機器100のデータ受信状況を検知する。そして、磁気回路状態を最適に制御するとともに、各情報表示機器100のデータ受信状況に応じたデータを送信する。また、データの送信途中に情報表示機器100の挿脱があった場合は、磁気回路状態の最適制御を行い、通信用IDより挿抜された情報表示機器100を検出し、挿入の場合はその情報表示機器100へのデータ送信を新たに開始し、抜出の場合はその情報表示機器100へのデータの送信を停止する。
【0061】
図3には、通信用IDとしてID1〜IDnを有する複数の情報表示機器100と、充電機器200との間の充電およびデータ送信の一例を示す。この例では、説明の簡略化のため、各制御を1つの制御部で行っている場合について説明する。
【0062】
情報表示機器100が検出されると(1)、充電機器200の記憶部54中に記憶する情報表示機器100への送信データの有無を確認し(2)、タイマをONし(3)、充電磁界を送出する(4)。このとき、充電機器200側からの充電磁界は、ON/OFFを断続的に繰り返して送出する。また、充電磁界のOFF時に定期的に、ID符号、充電状況、データ受信状況を含む応答信号(10)が各情報表示機器100から充電機器200に送信される。
【0063】
なお、(2)で送信データがあれば、記憶部54の記憶素子のデータを読み出しながら(5)、そのデータにIDの符号をヘッダーとして加えた上で順次充電磁界に重畳して送出する(6)。これらの各データをIDに対応した情報表示機器100がそれぞれ受け取ることで、異なるデータを情報表示機器100ごとにセレクティブに送出することができる。また、各情報表示機器100への同一の情報の送信は、ヘッダーを持たないか複数のIDの符号をヘッダーに持つ同一のデータを送出することで行う。
【0064】
外部インターフェース部70では、外部装置(PC等)との通信によりデータの授受を行い、記憶部54の記憶素子に保存/読出しができる。また、外部の通信網(LAN、WAN)との接続により、その外部通信網から情報を取り込み、または外部通信網上へ情報を発信することができる。
【0065】
情報表示機器100は、充電磁界を受け(4)、蓄電部37を構成する電気二重層キャパシタ(EDLC)に充電する(7)。電気二重層キャパシタの充電電圧をモニタし、充電完了が確認されたら(8)、充電磁界OFFのタイミングの間に充電機器200側に自IDを付して充電完了信号を返信する(10)。情報表示機器100は、電気二重層キャパシタの充電完了が確認された場合、電気二重層キャパシタが過充電にならないように制御を行う。また、充電機器200より送出されたデータは、自IDが付されたデータのみ抽出し、情報表示機器100の記憶部34の記憶素子に保存される(9)。
【0066】
情報表示機器100の充電状況、データ受信状況などのデータは、充電機器200において表示器61にステータス表示される。同様に、情報表示機器100は、充電中のその動作の状態によりディスプレイ42にステータス表示してもよい。
【0067】
充電機器200は、すべての情報表示機器100からの充電完了信号を受信した場合(10)、または設定したタイマがOFFとなった場合は(3)、表示器61に充電完了のステータス表示し、利用者にその状態を報知するとともに、充電磁界をOFFにする。
【0068】
情報表示機器100からの充電完了信号を検出した場合(10)、または設定したタイマがOFFした場合でも、任意のIDに対して送出データが終了していない場合には、充電磁界はOFFせず、そのデータ通信が終了するまで継続する。
【0069】
充電中に任意の情報表示機器100を抜出した場合は、充電磁界系の状態変化による磁気回路の1次側/2次側間の状態の変化を検出し、磁気回路を最適状態に制御するとともに、応答信号の解析により抜出した情報表示機器100を特定し、この情報表示機器100へのデータ送信を停止する。ただし、同一データを一括して送出している場合は、データ送信停止動作は不要である。また、充電中に新たに情報表示機器100を挿入した場合には、抜出と同様に磁気回路状態の変化を検出し、磁気回路状態を最適に制御するとともに、追加された情報表示機器100からの応答信号を解析し、IDに対応したデータの送信を開始する。
【0070】
図4には、情報表示機器100の電源36に、蓄電部37として用いる電気二重層キャパシタの構成例を示す。
【0071】
図示するとおり、電気二重層キャパシタは、1つの電気二重層キャパシタ用電極を、電気を外部とやり取りするための集電体101と活物質層102とから構成される正極体103とし、別の1つの電気二重層キャパシタ用電極を、同じく集電体101と活物質層102とから構成される負極体104として用いる。そして、それらの正極体103と負極体104との接触を防止するためにそれらの間にセパレータ105を設け、正極体103と負極体104とセパレータ105に電解液が含浸されてケース106内に密封して構成される。
【0072】
これにより、活物質形成材料の表裏両面に凹凸パターンが形成されているので、活物質層自体の内部抵抗が低く、活物質層と集電体の電気的接続も良好であり、高出力の特性を有する電気二重層キャパシタを得ることができる。
【0073】
図5には、電気二重層キャパシタを構成する正極体103または負極体104として用いる電気二重層キャパシタ用電極の製造方法の一例を示す。この図5に示す製造方法においては、発明内容を判りやすくするため、各構成部材の縮尺は考慮していない。
【0074】
まず、図5においては、(A)に示すように、下型2と上型3を用意する。下型2および上型3は、金属、セラミックス、ガラスなどの材料を使用し、フォトリソグラフィ技術、X線リソグラフィ技術、エッチング技術、電鋳技術、機械加工技術などの既知の型加工技術を用い、またはこれらの型加工技術を組み合わせて用いてつくる。図示例では、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術とを用いて加工したSi製マスター金型に電鋳を施して製作したニッケル基合金製のものを使用している。
【0075】
下型2および上型3には、各々任意の大きさで任意の形状の凹凸パターン4、5が任意の位置に形成されている。この例では、凸部の上面が0.5μm角で、基部が1μm角であり、高さが0.5μmであって、テーパー側面を有するパターンが多数形成されている。そして、下型2および上型3は、互いに形成された凹凸パターン4、5を対向して配置される。
【0076】
次に、(B)に示すように、下型2と上型3との間に活物質形成材料1が供給される。活物質形成材料1は、少なくとも電極活物質とバインダが含まれていればよく、ここでは電極活物質とバインダと導電補助材とで構成し、電極活物質としては粒状の活性炭粒子、バインダとしてはフッ素系高分子、導電補助材としてはカーボンブラックを使用し、これらの材料を混練しているが、特にこのようなものに限定されない。
【0077】
それから、(C)に示すように、活物質形成材料1が下型2と上型3とで加圧されることにより凹凸パターン4、5に充填されながら乾燥される。凹凸パターン4、5に活物質形成材料1を充填する方法としては、この他にも、スピンコーティングやスプレーなどにより塗布する方法、ディッピングする方法、ドクターブレード法、ローラ等により圧延する方法などがある。
【0078】
つまり、この例では、下型2と上型3の各々に形成された互いの凹凸パターン4、5が対向するように下型2と上型3とが配置され、それら下型2と上型3との間に、少なくとも電極活物質とバインダが含まれている活物質材料1が供給され、不図示のプレス機構などを用いることにより下型2と上型3とでその活物質形成材料1が加圧されるようになっている。
【0079】
その後、(D)に示すように、活物質形成材料1から下型2と上型3とが剥離されることにより、表裏両面に任意の大きさで任意の形状を有する凹凸パターン9、8が形成される蓄電デバイス用活物質6が製造される。なお、下型2の凹凸パターン4が形成される面および上型3の凹凸パターン5が形成される面には、活物質形成材料1が容易に剥離できるように、各々表面処理を施しておくとよい。
【0080】
次いで、(E)に示すように、蓄電デバイス用活物質6を活物質層としてその片面に集電体7が固着されて電気二重層キャパシタ用電極10が製造される。
【0081】
図6には、電気二重層キャパシタ用電極の別の製造方法を示す。同様に、この図6に示す製造方法においても、発明内容を判りやすくするため、各構成部材の縮尺は考慮していない。
【0082】
まず、図6においても、(A)に示すように、下型12と上型13を用意する。下型12および上型13は、図5に示す製造方法で用いたと同様な材料を使用し、同様な既知の型加工技術を用いてつくる。図示例では、同じく、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術とを用いて加工したSi製マスター金型に電鋳を施して製作したニッケル基合金製のものを使用している。
【0083】
下型12および上型13には、同様に、各々任意の大きさで任意の形状の凹凸パターン14、15が任意の位置に形成されており、この例では、凸部の上面が0.5μm角で、基部が1μm角であり、高さが0.5μmのテーパー側面を有するパターンが多数形成されている。そして、下型12および上型13は、互いに形成された凹凸パターン14、15を対向して配置される。
【0084】
それから、(B)に示すように、例えばスピンコーティング法により活物質形成材料11が、下型12に形成された凹凸パターン14に充填される。活物質形成材料11は、少なくとも電極活物質とバインダが含まれていればよく、ここでは電極活物質として粒状の活性炭粒子、バインダとしてフッ素系高分子、導電補助材としてカーボンブラックを用い、それらを溶液中に分散したものが使用されている。
【0085】
次に、(C)に示すように、活物質形成材料11が、上型13に形成された凹凸パターン15の凹部に入り込むまで、上型13が下型12上の活物質形成材料11に押し当てられながら乾燥される。
【0086】
その後、(D)に示すように、活物質形成材料11から下型12と上型13とが剥離されることにより、表裏両面に任意の大きさで任意の形状を有する凹凸パターン19、18が形成される蓄電デバイス用活物質16が製造される。この例では、蓄電デバイス用活物質16の密度を高めるために、活物質形成材料11を乾燥する際、活物質形成材料11に圧縮荷重を加えている。なお、この場合も、下型12の凹凸パターン14が形成される面および上型13の凹凸パターン15が形成される面には、活物質形成材料11が容易に剥離できるように、各々表面処理を施しておくとよい。
【0087】
次いで、(E)に示すように、蓄電デバイス用活物質16を活物質層としてその片面に集電体17が固着されて電気二重層キャパシタ用電極20が製造される。
【0088】
図7には、電気二重層キャパシタ用電極のさらに別例の製造方法を示す。同様に、この図7に示す製造方法においても、発明内容を判りやすくするため、各構成部材の縮尺は考慮していない。
【0089】
まず、図7に示す製造方法においては、(A)に示すように、金型22を用意する。金型22は、金属、セラミックス、ガラスなどの材料を使用し、フォトリソグラフィ技術、X線リソグラフィ技術、エッチング技術、電鋳技術、機械加工技術などの既知の型加工技術を用い、またはこれらの型加工技術を組み合わせて用いてつくる。図示例では、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術とを用いて加工したSi製マスター金型に電鋳を施して製作したニッケル基合金製のものを使用している。
【0090】
金型22には、任意の大きさで任意の形状の凹凸パターン23が任意の位置に形成されている。この例では、凸部の上面が0.5μm角で、基部が1μm角であり、高さが0.5μmであって、テーパー側面を有するパターンが多数形成されている。
【0091】
次に、(B)に示すように、金型22に形成される凹凸パターン23に活物質形成材料21が供給される。活物質形成材料21は、少なくとも電極活物質とバインダが含まれていればよく、ここでは電極活物質とバインダと導電補助材とで構成し、電極活物質としては粒状の活性炭粒子、バインダとしてはフッ素系高分子、導電補助材としてはカーボンブラックを使用し、これらの材料を混練しているが、特にこのようなものに限定されない。
【0092】
それから、(C)に示すように、プレスヘッドや押付け板などからなる加圧部材25により活物質形成材料21を直接加圧してもよいが、ここでは活物質形成材料21の上に接着部材27を介して集電体26が載せられる。そして、(D)に示すように、集電体26が加圧部材25により加圧されることにより、凹凸パターン23の凹部に活物質形成材料21を充填しながら乾燥され、その活物質形成材料21に集電体26が固着される。
【0093】
凹凸パターン23に活物質形成材料1を充填する方法としては、加圧による他、スピンコーティングやスプレーなどにより塗布する方法、ディッピングする方法、ドクターブレード法、ローラ等により圧延する方法などがある。
【0094】
なお、図示例では、活物質形成材料21と集電体26との固着をより強固なものとするため、導電性を有する接着部材27を使用するが、接着部材27は、導電性を有するものに限るものではない。
【0095】
その後、(E)に示すように、加圧部材25が外され、活物質形成材料21から金型22が剥離されることにより、活物質形成材料21よりなる活物質層24に集電体26が固着された電気二重層キャパシタ用電極29が製造される。活物質形成材料21により形成された活物質層24には、片面に任意の大きさで任意の形状を有する凹凸パターン28が形成される。なお、金型22の凹凸パターン23が形成される面には、活物質形成材料21が容易に剥離できるように、各々表面処理を施しておくとよい。
【0096】
ここで、凹凸パターン23の凸部側面をテーパー側面として抜き勾配を設け、その抜き勾配により活物質形成材料21から金型22が剥離されるようにするので、活物質形成材料21からの金型22の剥離を容易として、離型性に優れた成形加工技術を用いて生産性を向上し、電気二重層キャパシタ用電極の製造を簡単とすることができる。
【0097】
以上のように、金型22に形成される凹凸パターン23に活物質形成材料21が供給される第1工程(図7(A)、(B)で示す工程)と、活物質形成材料21に集電体26が固着される第2工程(図7(C)、(D)で示す工程)と、活物質形成材料21から金型22が剥離される第3工程(図7(E)で示す工程)とからなるので、離型性に優れた成形加工技術を用いて活物質形成材料21により形成される活物質層24の片面に、大きさがμm、サブμmと非常に微細で任意の形状を備える凹凸パターン23を再現性よく形成することで、活物質層24自体の内部抵抗が小さく、高出力の特性を有する電気二重層キャパシタ用電極を製造することができる。
【0098】
また、第2工程で、加圧されることにより活物質形成材料21に集電体26が固着されるので、活物質形成材料21により形成される活物質層の密度を高めると同時に、活物質層と集電体26との固着をより強固なものとし、活物質層に対する集電体26の固着を容易として生産性を向上し、電気二重層キャパシタ用電極の製造を簡単とするとともに、さらなる内部抵抗の低減を実現することができる。
【0099】
さらに、第2工程で、加圧されることにより凹凸パターン23の凹部に活物質形成材料21を充填しながらその活物質形成材料21に集電体26が固着されるので、活物質形成材料21の表面に凹凸パターン23を精度よく形成することができるとともに、活物質形成材料21と集電体26との固着を行うときに併せて、金型22に形成された凹凸パターン23の凹部への活物質形成材料21の充填を行い、凹凸パターン23に対する活物質形成材料21の充填を容易として生産性を向上し、電気二重層キャパシタ用電極の製造を簡単とすることができる。
【符号の説明】
【0100】
1 活物質形成材料
2 下型
3 上型
4 下型の凹凸パターン
5 上型の凹凸パターン
6 蓄電デバイス用活物質
7 集電体
8 蓄電デバイス用活物質の裏面の凹凸パターン
9 蓄電デバイス用活物質の表面の凹凸パターン
10 電気二重層キャパシタ用電極
11 活物質形成材料
12 下型
13 上型
14 下型の凹凸パターン
15 上型の凹凸パターン
16 蓄電デバイス用活物質
17 集電体
18 蓄電デバイス用活物質の裏面の凹凸パターン
19 蓄電デバイス用活物質の表面の凹凸パターン
20 電気二重層キャパシタ用電極
21 活物質形成材料
22 金型
23 金型の凹凸パターン
24 活物質層
25 加圧部材
26 集電体
27 接着部材
28 活物質層の凹凸パターン
29 電気二重層キャパシタ用電極
30 データ通信・制御部
31 データ送受信制御部
32 充放電制御部
37 蓄電部
40 情報表示部
50 データ通信・電力供給部
51 データ送受信制御部
52 電力供給制御部
57 電源部
58 磁界比較部
60 操作部
80 表示機器設置部
100 情報表示機器
200 充電機器



【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を表示する情報表示部と、データ送受信制御部、充放電制御部、蓄電部を有するデータ通信・制御部とを備える携帯型の情報表示機器と、
その情報表示機器に対するデータの送受信を制御するデータ送受信制御部、前記情報表示機器に対する電力の供給を制御する電力供給制御部を有するデータ通信・電力供給部と、電源部と、操作部とを備え、前記情報表示機器に対して電磁誘導により充電と同時にデータ送受信を行う充電機器と、
からなることを特徴とする、情報表示システム装置。
【請求項2】
前記情報表示部に不揮発性電子表示素子を用いることを特徴とする、請求項1に記載の情報表示システム装置。
【請求項3】
前記データ通信・制御部に有する蓄電部に電気二重層キャパシタを用いることを特徴とする、請求項1または2に記載の情報表示システム装置。
【請求項4】
互いに形成された凹凸パターンが対向して配置される下型と上型との間に、少なくとも電極活物質とバインダが含まれている活物質形成材料が供給され、その活物質形成材料が前記下型と前記上型とで加圧されて後、それら下型と上型とが剥離されることにより蓄電デバイス用活物質が製造され、その蓄電デバイス用活物質を活物質層としてその片面に集電体が固着されて蓄電デバイス用電極がつくられ、その蓄電デバイス用電極を用いて前記電気二重層キャパシタが形成されることを特徴とする、請求項3に記載の情報表示システム装置。
【請求項5】
下型に形成された凹凸パターンに、少なくとも電極活物質とバインダが含まれている活物質形成材料が供給され、その活物質形成材料が、上型に形成された凹凸パターンに入り込むまで前記上型が前記活物質形成材料に押し当てられて後、それら上型と下型とが剥離されることにより蓄電デバイス用活物質が製造され、その蓄電デバイス用活物質を活物質層としてその片面に集電体が固着されて蓄電デバイス用電極がつくられ、その蓄電デバイス用電極を用いて前記電気二重層キャパシタが形成されることを特徴とする、請求項3に記載の情報表示システム装置。
【請求項6】
金型に形成される凹凸パターンに、少なくとも電極活物質とバインダが含まれている活物質形成材料が供給される第1工程と、前記活物質形成材料に集電体が固着される第2工程と、前記活物質形成材料から前記金型が剥離される第3工程とから蓄電デバイス用電極がつくられ、その蓄電デバイス用電極を用いて前記電気二重層キャパシタが形成されることを特徴とする、請求項3に記載の情報表示システム装置。
【請求項7】
前記充電機器に、その充電機器が発生する電力供給磁束およびデータ通信磁束と交叉するように、前記情報表示機器を複数設置する表示機器設置部を設けることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1に記載の情報表示システム装置。
【請求項8】
前記情報表示機器をシート状に形成することを特徴とする、請求項7に記載の情報表示システム装置。
【請求項9】
前記充電機器に、前記情報表示機器の挿脱を検知する磁界比較部を備えることを特徴とする、請求項7または8に記載の情報表示システム装置。
【請求項10】
前記情報表示機器にそれぞれ通信用IDを持たせることを特徴とする、請求項1ないし9のいずれか1に記載の情報表示システム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−284075(P2010−284075A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140174(P2010−140174)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【分割の表示】特願2006−185119(P2006−185119)の分割
【原出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】