説明

電気光学装置、その駆動方法および電子機器

【課題】相展開駆動方式を採用する場合において、プリチャージ電圧の調整についての簡易化等を図りつつ、表示ムラを抑えることが可能な電気光学装置、その駆動方法および電子機器を提供する。
【解決手段】画素110は、走査線112及びデータ線114が選択されたときに、データ線114に印加されたデータ信号に応じた階調となる。データ線114は、3列毎にブロック化されて、一の走査線に選択電圧が印加される期間にわたって、これらのブロックが順番に選択される。データ線の各々にはTFT146が設けられ、選択されたブロックに対応するものがオンする。各ブロックの選択の前に、複数列のデータ線114を、各ブロックに属する3列のデータ線で互いに異なる電圧にプリチャージする。このとき、各ブロックに属する3列のデータ線にプリチャージする電圧の組み合わせを、走査線を選択する毎に切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆる相展開したデータ信号をデータ線にサンプリングしたときに生じる表示品位の低下を目立たなくする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、ハイビジョンなどのように表示画像の高精細化が進行している。表示画像の高精細化は、走査線の行数およびデータ線の列数を増加させて、走査線とデータ線との交差に対応して設けられる画素数を増やすことで達成することができるが、フレーム周波数は固定であるので、走査線行数の増加によって1水平走査期間が短縮し、さらに、いわゆる点順次方式では、データ線列数の増加によってデータ線の選択期間も短縮する。このため、高精細化が進行するにつれてデータ線にデータ信号を供給する時間を充分に確保できなくなって、画素への書き込みが不十分となり始めた。
【0003】
そこで、書き込み不足を解消する目的で、相展開駆動という方式が考え出された(特許文献1参照)。この相展開駆動は、データ線を予め定められた列毎(例えば3列毎)にブロックとしてまとめ、1水平走査期間にわたってブロックを1つずつ選択するとともに、選択したブロックに属する3列のデータ線に、時間軸方向に対し3倍に伸長したデータ信号をそれぞれに供給する、という方式である。この相展開駆動方式では、データ線にデータ信号を供給する時間を、点順次方式と比較して、この例では3倍確保することができるので、高精細化に適している、と考えられた。
【0004】
ところで、相展開駆動方式では、同時に選択する列数の周期で画素の階調が異なる、という縦スジ状のムラが発生して、表示品位の低下が目立つ場合がある。そこで、ブロックに属する3列のデータ線に、階調に応じた電圧のデータ信号をサンプリングする前に、3列のデータ線のプリチャージ電位を一部異ならせる、という技術が提案された(特許文献2参照)。
なお、上記特許文献1および2は、いずれも1ブロックを構成するデータ線列数が「6」の場合を例示している。
【特許文献1】特開2000−112437号公報
【特許文献2】特開2002−221476号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、プリチャージ電圧を異ならせる技術では、その電圧調整が難しく、また、調整後における温度変化や経年変化などにより素子特性の変動に対処することができない、といった問題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、相展開駆動方式を採用する場合において、プリチャージ電圧の調整についての簡易化等を図りつつ、表示ムラを抑えることが可能な電気光学装置、その駆動方法および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明に係る電気光学装置は、複数行の走査線と、データ信号が供給されるm本の画像信号線と、前記m本の画像信号線のそれぞれと対をなすようにm列毎にブロック化された複数列のデータ線と、前記複数行の走査線を所定の順番で選択して選択電圧を印加する走査線駆動回路と、一の走査線に選択電圧が印加される期間にわたって、前記ブロックを所定の順番で選択するブロック選択回路と、前記複数列のデータ
線のそれぞれに設けられ、各々は、対をなす画像信号線とデータ線との間でオンまたはオフ状態となるサンプリングスイッチと、前記複数行の走査線と前記複数列のデータ線との交差に対応して設けられ、各々は、前記走査線に前記選択電圧が印加されたときに、前記データ線にサンプリングされたデータ信号に応じた階調となる画素と、を有する電気光学装置の駆動方法であって、前記ブロックの選択の前に、各ブロックに属するm列のデータ線を少なくとも2以上の異なる電圧にプリチャージし、各ブロックに属するm列のデータ線にプリチャージする電圧の組み合わせを、走査線を選択する毎に切り替えることを特徴とする。本発明によれば、ブロックに属するm列のデータ線のプリチャージ電圧が、走査線を選択する毎に切り替えられる。このため、縦方向の表示ムラの発生が抑えられる。
本発明において、前記m列のデータ線にプリチャージする電圧の組み合わせを、走査線を選択する毎に所定の順序でローテーションさせても良いし、さらに、フレーム毎にローテーションさせても良い。表示ムラが時間方向に分散するとともに、複数フレームを単位としたときの輝度差が平準化されるので、表示ムラがより抑制される。
なお、ここでいう「フレーム」とは、表示される1枚分の画像をいい、例えば、ノンインターレース方式ではあれば、垂直走査による表示される画像をいう。また、本発明は、電気光学装置の駆動方法のほか、電気光学装置としても、さらには、当該電気光学装置を有する電子機器としても概念することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る電気光学装置の全体構成を示すブロック図である。この図に示されるように、電気光学装置10は、制御回路50と表示パネル100とに大別される。このうち、制御回路50は、表示パネル100と別体の回路モジュールであり、表示パネル100とは、例えばFPC(flexible printed circuit)基板によって接続される。
制御回路50は、外部上位回路(図示省略)から供給される垂直同期信号Vs、水平同
期信号Hsおよびクロック信号Clkにしたがって表示パネル100の各部を制御するとと
もに、ディジタルの画像データVdを、アナログで3チャネルに変換したデータ信号を、
または、3チャネルのプリチャージ用の信号を表示パネル100の画像信号線148に供給するものである。
なお、制御回路50の詳細については後述する。
【0008】
表示パネル100は、液晶を用いて所定の表示を行うものであり、表示領域100aの周辺に、走査線駆動回路130およびデータ線駆動回路140が配置した周辺回路内蔵型となっている。
表示領域100aは、画素110が配列する領域であり、本実施形態では、1080行の走査線112が横方向(X方向)に設けられる一方、1920(=640×3)列のデータ線114が図において縦方向(Y方向)に設けられている。そして、これらの走査線112とデータ線114との交差の各々に対応するように画素110がそれぞれ設けられている。したがって、本実施形態では、画素110が表示領域100aにおいて縦1080行×横1920列でマトリクス状に配列することになるが、本発明をこの配列に限定する趣旨ではない。
ここで、1〜1920列のデータ線114は、本実施形態では3列毎にブロック化されている。データ線114の列数は「1920」であるので、ブロック数は「640」となる。
【0009】
走査線駆動回路130は、制御回路50による制御にしたがって、垂直走査期間(フレーム)にわたって走査信号G1、G2、G3、…、G1080を、それぞれ1、2、3、…、1
080行目の走査線112に供給するものである。詳細には、走査線駆動回路130は、走査線112を図1において上から数えて1、2、3、…、1080行目という順番で水平走査期間(H)毎に選択して、選択した走査線への走査信号を、水平走査期間(H)に
おける有効表示期間Haにおいてのみ電圧Vddに相当するHレベルとする。
走査線駆動回路130の構成については、本発明と直接関連しないので省略するが、制御回路50から供給されるスタートパルスDyを、図5に示されるように、クロック信号
Clyのレベルが遷移する(立ち上がる又は立ち下がる)毎に順次シフトした後、パルス幅を狭めて、走査信号G1、G2、G3、…、G1080として出力する。
なお、パルス幅を狭めずに、選択された走査線への走査信号を、水平走査期間(H)の全域にわたってHレベルとしても良い。
【0010】
データ線駆動回路140は、サンプリング信号出力回路142と、ブロック毎に設けられるOR回路144と、データ線114毎に対応して設けられるnチャネル型の薄膜トランジスタ(thin film transistor、以下「TFT」と称する)146とによって構成される。
サンプリング信号出力回路(ブロック選択回路)142は、制御回路50による制御にしたがって、各ブロックに対応してサンプリング信号S1、S2、S3、…、S640を出力するものである。詳細には、サンプリング信号出力回路142は、図6に示されるように、水平走査期間(H)のうち、有効表示期間Haの最初に供給されるスタートパルスDxを、クロック信号Clxのレベルが遷移する毎に順次シフトし、サンプリング信号S1、S2、S3、…、S640として出力する。
【0011】
OR回路144は、サンプリング信号と信号Nrgとの論理和信号を出力するものである。ここで、信号Nrgは、水平走査期間の帰線期間Hb(の一部期間)でHレベルとなり、
データ線114へのプリチャージを指定する信号である。
TFT146は、1〜1920列のデータ線114の各々に設けられ、それぞれサンプリングスイッチとして機能するものであり、そのドレイン電極は、データ線114の一端に接続されている。
ここで、TFT146のソース電極は、3本の画像信号線148のいずれか1本に、次のような関係で接続される。すなわち、データ線114を一般化して説明するために、1≦j≦1920を満たす整数のjを用いると、図1において左から数えてj列目のデータ線114に対応するTFT146のソース電極は、列数であるjを3で割った余りが「1」であるならば、データ信号Vid1が供給される画像信号線148に接続され、jを3で
割った余りが「2」、「0」であるデータ線114に対応するTFT146のソース電極は、それぞれデータ信号Vid2、Vid3が供給される画像信号線148に接続される。例えば、左から数えて8列目のデータ線114に対応するTFT146のソース電極は、「8」を3で割った余りが「2」であるから、データ信号Vid2が供給される画像信号線14
8に接続される。
また、TFT146のゲート電極は、同一ブロックに対応するもの同士で共通接続されて、ブロックに対応したOR回路144による論理和信号が供給される。例えば、左から数えて2番目のブロックは、4、5および6列目のデータ線114に対応するので、これらのデータ線114に対応するTFT146のゲート電極には、サンプリング信号S2と
信号Nrgとの論理和信号が共通に供給される。このため、ブロックに属する3列のデータ線114は、信号NrgがHレベルになるか、または、サンプリング信号がHレベルになると、TFT146がソース・ドレイン電極間で導通(オン)状態となるので、それぞれ画像信号線148に接続されることになる。
【0012】
次に、画素110について説明する。図2は、画素110の構成を示す図であり、i行及びこれに下方向で隣接する(i+1)行と、j列及びこれに右方向で隣接する(j+1)列との交差に対応する2×2の計4画素分の構成が示されている。なお、i、(i+1)は、画素110が配列する行を一般的に示す場合の記号であって、本実施形態では、それぞれ1以上1080以下を満たす整数である。
この図に示されるように、各画素110は、nチャネル型のTFT116と液晶容量1
20とを有する。各画素110については互いに同一構成なので、i行j列に位置するもので代表して説明すると、当該i行j列の画素110において、TFT116のゲート電極はi行目の走査線112に接続される一方、そのソース電極はj列目のデータ線114に接続され、そのドレイン電極は画素電極118に接続されている。
ここで、画素電極118に対向するように対向電極108が全画素に対して共通に設けられるとともに、一定の電圧LCcomに維持される。そして、画素電極118と対向電極
108との間には液晶105が挟持されている。このため、画素毎に、画素電極118、対向電極108および液晶105からなる液晶容量120が構成されることになる。
【0013】
特に図示はしないが、両基板の各対向面には、液晶分子の長軸方向が両基板間で例えば約90度連続的に捻れるようにラビング処理された配向膜がそれぞれ設けられる一方、両基板の各背面側には配向方向に応じた偏光子がそれぞれ設けられる。
画素電極118と対向電極108との間を通過する光は、液晶容量120に保持された電圧の実効値がゼロ(またはゼロ近傍)であれば、液晶分子の捻れに沿って約90度旋光する一方、当該電圧実効値が大きくなるにつれて、液晶分子が電界方向に傾く結果、その旋光性が消失する。このため、例えば透過型において、入射側と背面側とに、配向方向に合わせて偏光軸が互いに直交する偏光子をそれぞれ配置させると、当該電圧実効値がゼロに近ければ、光の透過率が最大となる白色表示になる一方、電圧実効値が大きくなるにつれて透過する光量が減少して、ついには透過率が最小となる黒色表示になる(ノーマリーホワイトモード)。
【0014】
続いて、制御回路50について説明する。図3は、制御回路50の構成を示すブロック図である。
この図に示されるように、画像データVdがデータ信号変換回路54に供給される。画
像データVdは、図示省略した外部上位回路から、垂直走査信号Vs、水平走査信号Hsお
よびクロック信号Clkに同期して供給される。画像データVdは、縦1080行×横19
20列の画素110の階調を例えば8ビットで指定するデジタルデータであり、特に図示しないが、垂直同期信号Vsで規定される垂直走査期間(F)にわたって、1行1列〜1
行1920列、2行1列〜2行1920列、3行1列〜3行1920列、…、1080行1列〜1080行1920列という画素の順番で供給される。この供給の際に、水平同期信号Hsで規定される水平走査期間(H)において1行分の画像データVdが供給され、さらに、クロック信号Clkの1周期で1画素分の画像データVdが供給される。
【0015】
走査制御回路52は、垂直同期信号Vs、水平同期信号Hsおよびクロック信号Clkに同期して、スタートパルスDx、Dyおよびクロック信号Clx、Clyを出力する。
詳細には、走査制御回路52は、1行目の画像データVdが供給される水平走査期間(
H)に1行目の走査線112が選択されるように、同様に、2、3、4、…、1080行の画像データVdが供給される水平走査期間(H)にそれぞれ2、3、4、…、1080
行目の走査線112が選択されるように、スタートパルスDyおよびクロック信号Clyを
出力して走査線駆動回路130を制御する。
さらに、走査制御回路52は、ある行の走査線112が選択される水平走査期間(H)において当該行に対応する画像データVdが供給されたとき、図7に示されるように、デ
ータ信号変換回路54に対して、3チャネルに分配させて時間軸に3倍に伸長させる相展開処理を実行させるとともに、当該相展開処理された画像データを正極性または負極性電圧のデータ信号Vda1、Vda2、Vda3に変換させるように制御する。
なお、便宜的にデータ信号Vda1が分配されるチャネルをCh1とし、データ信号Vda2、Vda3が分配されるチャネルをそれぞれCh2、Ch3と表記する場合がある。
【0016】
このとき、走査制御回路52は、1(2、3)列目の画素に対応するデータ信号Vda1
(Vda2、Vda3)を出力するときにサンプリング信号S1がHレベルとなるように、以下
4(5、6)列目、7(8、9)列目、10(11、12)列目、…、1918(1919、1920)列目の画素に対応するデータ信号Vda1(Vda2、Vda3)を出力するとき
にサンプリング信号S2、S3、S4、…、S640がHレベルとなるように、スタートパルスDxおよびクロック信号Clxを出力してサンプリング信号出力回路142を制御する。
【0017】
走査制御回路52は、また、極性指定信号Pol、信号Nrgおよび信号Selを出力する。このうち、極性指定信号Polは、液晶容量120に対する電圧の書込極性を指定する信号であり、例えばHレベルであれば正極性を、Lレベルであれば負極性を、それぞれ指定する。ここで、正極性書込とは、液晶容量120に階調に応じた電圧を保持させる際に、画素電極118が対向電極108よりも高位側となる場合をいい、反対に、負極性書込とは、画素電極118が対向電極108よりも低位側となる場合をいう。データ信号変換回路54は、データ信号Vda1、Vda2、Vda3を、階調に応じた電圧であって、正極性書込が
指定されていれば、対向電極108への印加電圧LCcomよりもやや高位側に設定された
基準電圧Vc(図6参照)に対して高位側の電圧として、負極性書込が指定されていれば
、当該電圧Vcに対して低位側の電圧とする。
なお、極性を切り替える理由は、直流成分の印加によって液晶が劣化するのを防止するためである。ここで、各画素に対してどの極性で書き込むかについては、走査線毎、データ線毎、画素毎、面(フレーム)毎などの様々な態様があるが、この実施形態にあっては説明の便宜上、フレーム毎の極性反転であるとする。ただし、本発明をこれに限定する趣旨ではない。
【0018】
信号Nrgは、上述したようにデータ線114へのプリチャージを指定する信号であり、図5に示されるように水平帰線期間Hb(一部期間)においてHレベルとなり、それ以外
の期間においてLレベルとなる。
信号Selは、後述するセレクタにおける入出力端同士の接続関係を規定する。
なお、この説明において、水平走査期間(H)の有効表示期間Haとは、図6に示され
るように、ある1行の走査線が選択される水平走査期間(H)において、サンプリング信号S1〜S640がHレベルで順番に出力される期間をいい、帰線期間Hbとは、水平走査期
間(H)のうち、有効表示期間Haを除いた期間をいう。
【0019】
第1プリチャージ信号生成回路61は、極性指定信号Polで指定された書込極性に応じた電圧の信号P1を出力する。同様に、第2プリチャージ信号生成回路62および第3プ
リチャージ信号生成回路63は、それぞれ極性指定信号Polで指定された書込極性に応じた電圧の信号P2、P3を出力する。
【0020】
信号P1、P2、P3の電圧波形について図5を参照して説明する。この図に示されるよ
うに、信号P1は、正極性書込が指定される垂直走査期間(F)では、電圧Vp1(+)となり、負極性書込が指定される垂直走査期間(F)では、電圧Vp1(-)となる。同様に、信号
P2、P3は、正極性書込が指定される垂直走査期間(F)では、それぞれ電圧Vp2(+)、
Vp3(+)となり、負極性書込が指定される垂直走査期間(F)では、それぞれ電圧Vp2(-)、Vp3(-)となる。
なお、データ信号Vda1〜Vda3の電圧は、正極性書込であれば、ノーマリーホワイトモードにおいて最も暗い状態に相当する電圧Vb(+)から最も明るい状態に相当する電圧Vw(+)までの範囲で、負極性書込であれば、最も暗い状態に相当する電圧Vb(-)から最も明るい状態に相当する電圧Vw(-)までの範囲で、それぞれ電圧Vcから画素の階調に応じた差
を有する電圧となる。このような電圧範囲に対して、電圧Vp1(+)、Vp2(+)、Vp3(+)は
、 Vb(+)>Vp1(+)>Vp2(+)>Vp3(+)>Vw(+)なる関係を有し、また、電圧Vp1(-)、Vp2(-)、Vp3(-)は、Vb(-)NVp1(-)<Vp2(-)<Vp3(-)<Vw(-)なる関係を有する。
電圧の表記について、(+)は正極性を示し、(-)は負極性を示す。このため、極性表記部分が同一である電圧同士は、電圧Vcを中心にして、互いに対称の関係にある。
また、図5における信号P1、P2、P3の電圧を示す縦スケールは、走査信号や選択信
号などの論理信号の電圧波形と比較して拡大してある。図6におけるデータ信号の電圧を示す縦スケールについても同様である。
【0021】
セレクタ72における入力端A、B、Cには、それぞれ信号P1、P2、P3が供給され
る。セレクタ72は、入力端A、B、Cと、出力端a、b、cとの接続を、図4に示される(a)、(b)、(c)のパターンで順番に、信号Selにしたがって切り替えるものである。詳細には、例えば入力端Aと出力端aとが接続状態にあることをA−aというように「−」で結んで表すと、パターン(a)では、A−a、B−b、C−cとなり、パターン(b)では、A−b、B−c、C−aとなり、パターン(c)では、A−c、B−a、C−bとなる。そして、セレクタ72は、1、2、3、4、5、6、…、1078、1079、1080行目の走査線112が選択される水平走査期間(H)毎に、(a)→(b)→(c)→(a)→(b)→(c)→…→(a)→(b)→(c)という順番でパターンを切り替える。
【0022】
スイッチ群74は、双投型の3連スイッチであり、信号NrgがLレベルであれば、図において実線で示される位置をとり、データ信号Vda1〜Vda3を選択して、信号Nr gがH
レベルであれば、図において破線で示される位置をとり、セレクタ72による出力信号を選択して、それぞれデータ信号Vid1〜Vid3として出力するものである。
【0023】
次に、この電気光学装置10の動作について説明する。
画像データVdが、上述したように、垂直同期信号Vsで規定される垂直走査期間(F)にわたって1行1列〜1行1920列、2行1列〜2行1920列、3行1列〜3行1920列、…、1080行1列〜1080行1920列という画素の順番で供給される。この供給の際に、水平同期信号Hsで規定される水平走査期間(H)において1行分の画像
データVdが供給され、さらに、クロック信号Clkの1周期で1画素分の画像データVdが供給される。
このように供給される画像データVdのうち、1行分についてみたとき、走査制御回路
52は、次のようにデータ信号変換回路54、走査線駆動回路130およびデータ線駆動回路140を制御する。すなわち、走査制御回路52は、1、4、7、10、…、1918列目の画素に対応するものをチャネルCh1に、2、5、8、11、…、1919列目の画素に対応するものをチャネルCh2に、3、6、9、12、…、1920列目の画素に対応するものをチャネルCh3に、それぞれ分配するようにデータ信号変換理回路54を制御するとともに、画像データVdの供給行に対応する走査信号がHレベルとなるように走査
線駆動回路130を制御する。
さらに、走査制御回路52は、チャネルCh1〜Ch3にそれぞれ分配された1〜3列目の画素に対応する画像データVdがデータ信号Vid1〜Vid3に変換出力される期間において
サンプリング信号S1がHレベルとなるように、4〜6列目の画素に対応する画像データ
Vdがデータ信号Vid1〜Vid3に変換出力される期間においてサンプリング信号S2がHレベルとなるように、以下同様にして、1918〜1920列目の画素に対応する画像データVdがデータ信号Vid1〜Vid3に変換出力される期間においてサンプリング信号S640がHレベルとなるように、それぞれサンプリング信号出力回路142を制御する。
【0024】
本実施形態では、上述したようにフレーム毎に書込極性を反転する構成とするが、あるフレーム(「nフレーム」とする)において正極性書込を指定するものとする。
このnフレームにおいて、まず1行目の走査線112が選択される水平走査期間(H)の帰線期間Hbで信号NrgがHレベルになる。
信号P1、P2、P3は、それぞれ正極性の電圧Vp1(+)、Vp2(+)、Vp3(+)となる。1行目の走査線112が選択される水平走査期間(H)においてセレクタ72は、図4のパターン(a)で示した接続となる。信号NrgがHレベルになると、スイッチ群74では、図
3において破線で示した位置をとるので、画像信号線148には供給されるデータ信号Vid1、Vid2、Vid3は、それぞれ信号P1、P2、P3となる。信号NrgがHレベルになると、すべてのOR回路144の出力信号は、サンプリング信号とは無関係にHレベルになるので、1〜1920列のTFT146がすべてオンする。
したがって、1、4、7、10、…、1918列目のデータ線114は、信号P1の電
圧Vp1(+)にプリチャージされ、2、5、8、11、…、1919列目のデータ線114
は、信号P2の電圧Vp2(+)にプリチャージされ、3、6、9、12、…、1920列目のデータ線114は、信号P3の電圧Vp3(+)にプリチャージされる。
【0025】
このプリチャージの後に、信号NrgがLレベルになって帰線期間Hbが終了する。
信号NrgがLレベルになると、スイッチ群74は、図3において実線で示した位置をとるので、画像信号線148には供給されるデータ信号Vid1、Vid2、Vid3は、それぞれ
データ信号変換回路54によるデータ信号Vda1、Vda2、Vda3となる。また、信号Nrg
がLレベルになると、OR回路144による論理和信号は、サンプリング信号と同一論理となる。
【0026】
次に、走査信号G1がHレベルなるとともに、有効表示期間Haとなる。
まず、走査信号G1がHレベルになると、1行目に位置する画素110、すなわち、1
行1列〜1行1920列のTFT116がオンする。走査信号G1がHレベルになる有効
表示期間Haでは、はじめにサンプリング信号S1がHレベルになる。詳細には、3本の画像信号線148に供給されるデータ信号Vid1、Vid2、Vid3が、それぞれ1行1列、1
行2列、1行3列の画素の階調に応じた正極性電圧となる期間において、サンプリング信号S1がHレベルとなる。
サンプリング信号S1がHレベルになると、第1番目のブロックに属する1、2、3列
目のTFT146がオンする。このため、画像信号線148に供給されたデータ信号Vid1、Vid2、Vid3が、それぞれ1列、2列、3列目のデータ線114にサンプリングされ
るので、1行1列、1行2列、1行3列の画素電極118には、オン状態にあるTFT116を介して、それぞれ階調に応じた正極性電圧が印加されることになる。
【0027】
次に、データ信号Vid1、Vid2、Vid3が、それぞれ1行4列、1行5列、1行6列の
画素の階調に応じた正極性電圧となる期間において、サンプリング信号S2がHレベルと
なる。サンプリング信号S2がHレベルになると、第2番目のブロックに属する4、5、
6列目のTFT146がオンする。このため、データ信号Vid1、Vid2、Vid3が、それ
ぞれ4列、5列、6列目のデータ線114にサンプリングされるので、1行4列、1行5列、1行6列の画素電極118には、それぞれ階調に応じた正極性電圧が印加されることになる。
以降同様にして、サンプリング信号S3、S4、…、S640が順次Hレベルになると、第
3番目、第4番目、…、第640番目のブロックに属する3列のデータ線114にそれぞれ順番にデータ信号Vid1〜Vid3がサンプリングされ、これにより、1行目に位置する1〜1920列の画素に対して、階調に応じた正極性の書き込みがなされることになる。
【0028】
続いて2行目の走査線112が選択される。
2行目の走査線112が選択される水平走査期間(H)の帰線期間Hbで信号NrgがH
レベルになる。ここで、信号P1、P2、P3は、1行目の走査線112が選択される水平
走査期間(H)における正極性の電圧Vp1(+)、Vp2(+)、Vp3(+)で変更されないものの
、2行目の走査線112が選択される水平走査期間(H)においてセレクタ72は、図4のパターン(b)で示した接続となる。このため、信号NrgがHレベルになったときに、画像信号線148には供給されるデータ信号Vid1、Vid2、Vid3は、それぞれ信号P3、P1、P2となる。
したがって、2行目の走査線112が選択される水平走査期間(H)の帰線期間Hbで
は、チャネルCh1に対応する1、4、7、10、…、1918列目のデータ線114は、信号P3の電圧Vp3(+)にプリチャージされ、チャネルCh2に対応する2、5、8、11、…、1919列目のデータ線114は、信号P1の電圧Vp1(+)にプリチャージされ、チャネルCh3に対応する3、6、9、12、…、1920列目のデータ線114は、信号P2
の電圧Vp2(+)にプリチャージされる。
なお、2行目の走査線が選択される水平走査期間(H)の有効表示期間Haでは、2行
目の画素110に対して、1行目と同様な動作が実行されて、これにより、2行目に位置する1〜1920列の画素に対して、階調に応じた正極性の書き込みがなされることになる。
【0029】
次に3行目の走査線112が選択される。
3行目の走査線112が選択される水平走査期間(H)の帰線期間Hbで信号NrgがH
レベルになる。信号P1、P2、P3は、1、2行目の走査線112が選択される水平走査
期間(H)における正極性の電圧Vp1(+)、Vp2(+)、Vp3(+)で変更されないものの、3
行目の走査線112が選択される水平走査期間(H)においてセレクタ72は、図4のパターン(c)で示した接続となる。このため、信号NrgがHレベルになったときに、画像信号線148には供給されるデータ信号Vid1、Vid2、Vid3は、それぞれプリチャージ
信号P2、P3、P1となる。
したがって、3行目の走査線112が選択される水平走査期間(H)の帰線期間Hbで
は、チャネルCh1に対応するデータ線114は、信号P2の電圧Vp2(+)にプリチャージされ、チャネルCh2に対応するデータ線114は、信号P3の電圧Vp3(+)にプリチャージされ、チャネルCh3に対応するデータ線114は、信号P1の電圧Vp1(+)にプリチャージされる。
なお、3行目の走査線が選択される水平走査期間(H)の有効表示期間Haでは、3行
目の画素110に対して、1、2行目と同様な動作が実行されて、これにより、3行目に位置する1〜1920列の画素に対して、階調に応じた正極性の書き込みがなされることになる。
【0030】
以下同様に4、7、10、…、1078行目の走査線112が選択される水平走査期間(H)の帰線期間Hbにおいて、チャネルCh1に対応するデータ線114が電圧Vp1(+)にプリチャージされ、チャネルCh2に対応するデータ線114が電圧Vp2(+)にプリチャー
ジされ、チャネルCh3に対応するデータ線114が電圧Vp3(+)にプリチャージされる。
また、5、8、11、…、1079行目の走査線112が選択される水平走査期間(H)の帰線期間Hbにおいて、チャネルCh1に対応するデータ線114が電圧Vp3(+)にプリチャージされ、チャネルCh2に対応するデータ線114が電圧Vp1(+)にプリチャージさ
れ、チャネルCh3に対応するデータ線114が電圧Vp2(+)にプリチャージされる。
6、9、12、…、1080行目の走査線112が選択される水平走査期間(H)の帰線期間Hbにおいて、チャネルCh1に対応するデータ線114が電圧Vp2(+)にプリチャージされ、チャネルCh2対応するデータ線114が電圧Vp3(+)にプリチャージされ、チャ
ネルCh3に対応するデータ線114が電圧Vp1(+)にプリチャージされる。
いずれもプリチャージ後の水平有効期間Haにおいて、1〜1920列の画素に対し、
選択された行の画素の階調に応じた正極性の書き込みがなされる。
【0031】
次の(n+1)フレームにおいても、同様な書き込みが行われるが、この際、各行に対する書込極性は、正極性から負極性に切り替えられる。このため、プリチャージ信号P1
、P2、P3は、それぞれ負極性の電圧Vp1(-)、Vp2(-)、Vp3(-)となるので、1、4、
7、10、…、1078行目の走査線112が選択される水平走査期間(H)の帰線期間Hbにおいて、チャネルCh1に対応するデータ線114が電圧Vp1(-)にプリチャージされ、チャネルCh2に対応するデータ線114が電圧Vp2(-)にプリチャージされ、チャネル
Ch3に対応するデータ線114が電圧Vp3(-)にプリチャージされる。
また、2、5、8、11、…、1079行目の走査線112が選択される水平走査期間(H)の帰線期間Hbにおいて、チャネルCh1に対応するデータ線114が電圧Vp3(-)にプリチャージされ、チャネルCh2に対応するデータ線114が電圧Vp1(-)にプリチャー
ジされ、チャネルCh3に対応するデータ線114が電圧Vp2(-)にプリチャージされる。
3、6、9、12、…、1080行目の走査線112が選択される水平走査期間(H)の帰線期間Hbにおいて、チャネルCh1に対応するデータ線114が電圧Vp2(-)にプリチャージされ、チャネルCh2対応するデータ線114が電圧Vp3(-)にプリチャージされ、
チャネルCh3に対応するデータ線114が電圧Vp1(-)にプリチャージされる。
いずれもプリチャージ後の水平有効期間Haにおいて、1〜1920列の画素に対し、
選択された行の画素の階調に応じた負極性の書き込みがなされる。
これにより、(n+1)フレームにおいては、各行の画素については負極性書込がなされるので、nフレームにおける正極性書込とあいまって、各画素において液晶に直流成分が印加されるのを防止することができる。
【0032】
なお、図6は、i行目の走査線が選択される水平走査期間(H)において、サンプリング信号S1〜S640の出力波形と、データ信号Vid1(Vid2、Vid3)との波形の一例とを示す図である。
画像信号線148に供給されるデータ信号Vid1の電圧は、正極性書込が指定されてい
るれば、信号NrgがHレベルであれば、信号Vp1(+)、Vp2(+)、Vp3(+)のいずれかとな
り、この後、Hレベルとなるサンプリング信号に合わせて変化する。詳細には、k番目のブロックに対応するサンプリング信号SkがHレベルとなるとき、データ信号Vid1は、正極性書込が指定されていれば、図において↑で示されるようにi行目であって(3k−2)列目の画素の階調に対応した正極性電圧となり、負極性書込が指定されていれば、図において↓で示されるように、i行目であって(3k−2)列目の画素の階調に対応した負極性電圧となる。
【0033】
ところで、データ信号変換回路54においてチャネル同士の変換特性に相違があったり、3本の画像信号線148における配線抵抗や寄生容量に差が生じたりしていると、データ信号Vid1〜Vid3では、たとえ同一階調とすべき場合であっても、チャネル毎にデータ線114にサンプリングされる電圧が異なってしまう。このため、各チャネル間でプリチャージ電圧を揃え、または、プリチャージ電圧をローテーションしない場合、データ線114にサンプリングされる電圧がチャネル毎に差が生じるので、その差は、データ線に沿った縦方向の表示ムラとなって現れる。これが相展開における特徴的な表示ムラである。
【0034】
これに対して本実施形態では、有効表示期間Haにおいて階調に応じた電圧をデータ線
114にサンプリングする前に、帰線期間Hbにおいて、すべてのデータ線114をプリ
チャージしている。ただし、チャネルCh1、Ch2、Ch3に対応するデータ線114では、互いに異なる電圧にプリチャージされるとともに、各チャネルに供給されるプリチャージ信号の電圧が水平走査期間毎に切り替えられる。
ここで、プリチャージ電圧は、データ線114に階調に応じた電圧をサンプリングする直前の初期状態を規定する。階調に応じた電圧をサンプリングする期間が短ければ、または、TFT146の駆動能力が十分でなければ、たとえ同一電圧をサンプリングする場合であっても、初期状態が違うことになるので、データ線にサンプリングされる電圧が異なる。ただし、本実施形態では、データ線のプリチャージ電圧を、走査線を1行選択する毎に切り替えるので、プリチャージ電圧が異なることによる影響は、図8に示されるように、走査線毎に横方向に順次シフトすることになる。
したがって、本実施形態によれば、相展開の特徴的な縦方向の表示ムラに、横方向に順次シフトさせたことによる表示ムラが加わるので、両者のムラが合わせられて視覚的に目立たなくなるのである。
図8において、□は画素を示し、□内の数字である1、2、3はそれぞれ信号P1、P2
、P3によってプリチャージされたことを示している。
なお、このような表示ムラを解消するには、データ信号Vid1〜Vid3と、これを供給する3本の画像信号線148との組み合わせをローテーションさせる構成によっても実現できるが、この構成は、画像信号線をデータ線にサンプリングする回路が複雑化するので、現実的でない。
【0035】
上述した実施形態では、例えば1行目の走査線が選択される水平走査期間において、チャネルCh1、Ch2、Ch3に対応するデータ線114のプリチャージ電圧は、正極性書込の指定であれば、それぞれ電圧Vp1(+)、Vp2(+)、Vp3(+)であり、負極性書込の指定であ
れば、それぞれ電圧Vp1(-)、Vp2(-)、Vp3(-)であって各フレームで固定的であったが
、フレーム毎に切り替えても良い。
フレーム毎に切り替える構成について述べると、セレクタ72を、例えば図9に示されるような接続パターンとすれば良い。すなわち、正極性書込が指定される、あるフレームを1フレームとしたときに、セレクタ72における接続パターンの開始点を、1および4フレーム目においては(a)とし、2および5フレーム目においては(b)とし、3および6フレーム目においては(c)として、いずれのフレームにおいても(a)→(b)→(c)→(a)→(b)→(c)という順番でローテーションさせながら切り替えれば良い。
【0036】
このようにフレーム毎で切り替えると、奇数(1、3、5)フレームでは正極性書込が指定され、偶数(2、4、6)フレームでは負極性書込が指定されるので、接続パターンの開始点が(a)、(b)、(c)であるフレームが、それぞれ正極性書込および負極性書込のそれぞれについて実行されることになる。
このとき、プリチャージ電圧が異なることによる影響は、1、4フレームでは図10(a)に、2、5フレームでは図10(b)に、3、6フレームでは図10(c)に、それぞれ示される。このように、プリチャージ電圧をフレーム毎でもローテーションさせると、プリチャージ電圧が異なることによる影響は、空間的のみならず、時間的にも分散するので、表示ムラをさらに目立たなくすることができる。
【0037】
なお、セレクタ72は、接続パターンを規則的な順番で、すなわち、(a)→(b)→(c)という順番でローテーションさせたが、3相展開であれば確率1/3の割合で、いずれかのパターンをランダムに選択する構成としても良い。
また、電圧Vp1(+)、Vp2(+)、Vp3(+)は、Vb(+)=Vp1(+)、Vp3(+)=Vw(+)であっ
ても良い。このとき、Vb(- )=Vp1(-)、Vp3(-)=Vw(-)となる。
3相展開である場合に、1ブロックに属する3列のデータ線114のプリチャージ電圧は、すべて異なる必要はなく、2種類以上で異なれば良い。このため、例えばVp1(+)=
Vp2(+)≠Vp3(+)、Vp1(-)=Vp2(-)≠Vp3(-)としても良い。
上述した実施形態にあっては、3列のデータ線114を1ブロックにまとめて、1ブロックに属する3列のデータ線114に対し、3チャネルに分配・変換したデータ信号Vid1〜Vid3をサンプリングする構成したが、分配数および同時に印加するデータ線の数(すなわち、1ブロックを構成するデータ線の列数)は、「3」に限られるものではなく、「2」以上であれば良い。
【0038】
さらに、上述した実施形態にあっては、対向電極108と画素電極118との電圧実効値が小さい場合に白色表示を行うノーマリーホワイトモードとして説明したが、黒色表示を行うノーマリーブラックモードとしても良い。
くわえて、実施形態にあっては、透過型として説明したが反射型としても良い。さらに、上述した実施形態では、液晶としてTN型を用いたが、BTN(Bi-stable Twisted Nematic)型・強誘電型などのメモリ性を有する双安定型や、高分子分散型、さらには、分
子の長軸方向と短軸方向とで可視光の吸収に異方性を有する染料(ゲスト)を一定の分子
配列の液晶(ホスト)に溶解して、染料分子を液晶分子と平行に配列させたGH(ゲストホスト)型などの液晶を用いても良い。
また、電圧無印加時には液晶分子が両基板に対して垂直方向に配列する一方、電圧印加時には液晶分子が両基板に対して水平方向に配列する、という垂直配向(ホメオトロピック配向)の構成としても良いし、電圧無印加時には液晶分子が両基板に対して水平方向に配列する一方、電圧印加時には液晶分子が両基板に対して垂直方向に配列する、という平行(水平)配向(ホモジニアス配向)の構成としても良い。このように、本発明では、液晶や配向方式として、種々のものに適用することが可能である。
【0039】
次に、上述した実施形態に係る電気光学装置を用いた電子機器の一例として、上述した電気光学装置10の表示パネル100をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。図11は、このプロジェクタの構成を示す平面図である。
この図に示されるように、プロジェクタ2100の内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット2102が設けられている。このランプユニット2102から射出された投射光は、内部に配置された3枚のミラー2106および2枚のダイクロイックミラー2108によってR(赤)、G(緑)、B(青)の3原色に分離されて、各原色に対応するライトバルブ100R、100Gおよび100Bにそれぞれ導かれる。なお、B色の光は、他のR色やG色と比較すると、光路が長いので、その損失を防ぐために、入射レンズ2122、リレーレンズ2123および出射レンズ2124からなるリレーレンズ系2121を介して導かれる。
【0040】
ここで、ライトバルブ100R、100Gおよび100Bの構成は、上述した実施形態における表示パネル100と同様であり、制御回路(図11では省略)から供給されるR、G、Bの各色に対応するデータ信号でそれぞれ駆動されるものである。すなわち、このプロジェクタ2100では、表示パネル100を含む電気光学装置が、R、G、Bの各色に対応して3組設けられて、R、G、Bの各色に対応する画像データがそれぞれ供給される構成となっている。
ライトバルブ100R、100G、100Bによってそれぞれ変調された光は、ダイクロイックプリズム2112に3方向から入射する。そして、このダイクロイックプリズム2112において、R色およびB色の光は90度に屈折する一方、G色の光は直進する。したがって、各色の画像が合成された後、スクリーン2120には、投射レンズ2114によってカラー画像が投射されることとなる。
【0041】
なお、ライトバルブ100R、100Gおよび100Bには、ダイクロイックミラー2108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、上述したようにカラーフィルタを設ける必要はない。また、ライトバルブ100R、100Bの透過像は、ダイクロイックプリズム2112により反射した後に投射されるのに対し、ライトバルブ100Gの透過像はそのまま投射されるので、ライトバルブ100R、100Bによる水平走査方向は、ライトバルブ100Gによる水平走査方向と逆向きにして、左右を反転させた像を表示する構成となっている。
【0042】
電子機器としては、図11を参照して説明した他にも、テレビジョンや、ビューファインダ型・モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、ディジタルスチルカメラ、携帯電話機、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。そして、これらの各種の電子機器に対して、本発明に係る電気光学装置が適用可能なのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。
【図2】同電気光学装置における画素の構成を示す図である。
【図3】同電気光学装置における制御回路の構成を示す図である。
【図4】同制御回路におけるセレクタの切り替えを示す図である。
【図5】同電気光学装置における表示動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図6】同電気光学装置における表示動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図7】同電気光学装置における表示動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図8】同電気光学装置における表示ムラの改善を示す図である。
【図9】同電気光学装置の応用例に係る動作を示す図である。
【図10】同応用例における表示ムラの改善を示す図である。
【図11】実施形態に係る電気光学装置を適用したプロジェクタの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0044】
10…電気光学装置、50…制御回路、61…第1プリチャージ信号生成回路、62…第2プリチャージ信号生成回路、63…第3プリチャージ信号生成回路、72…セレクタ、74…スイッチ群、100…表示パネル、110…画素、112…走査線、114…データ線、116…TFT、118…画素電極、130…走査線駆動回路、140…データ線駆動回路、144…OR回路、146…TFT、148…画像信号線、154…TFT、2100…プロジェクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数行の走査線と、
データ信号が供給されるm本の画像信号線と、
前記m本の画像信号線のそれぞれと対をなすようにm列毎にブロック化された複数列のデータ線と、
前記複数行の走査線を所定の順番で選択して選択電圧を印加する走査線駆動回路と、
一の走査線に選択電圧が印加される期間にわたって、前記ブロックを所定の順番で選択するブロック選択回路と、
前記複数列のデータ線のそれぞれに設けられ、各々は、対をなす画像信号線とデータ線との間でオンまたはオフ状態となるサンプリングスイッチと、
前記複数行の走査線と前記複数列のデータ線との交差に対応して設けられ、各々は、前記走査線に前記選択電圧が印加されたときに、前記データ線にサンプリングされたデータ信号に応じた階調となる画素と、
を有する電気光学装置の駆動方法であって、
前記ブロックの選択の前に、各ブロックに属するm列のデータ線を少なくとも2以上の異なる電圧にプリチャージし、
各ブロックに属するm列のデータ線にプリチャージする電圧の組み合わせを、走査線を選択する毎に切り替える
ことを特徴とする電気光学装置の駆動方法。
【請求項2】
前記m列のデータ線にプリチャージする電圧の組み合わせを、走査線を選択する毎に所定の順序でローテーションさせる
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項3】
前記m列のデータ線にプリチャージする電圧の組み合わせを、フレーム毎に、かつ、走査線を選択する毎に所定の順序でローテーションさせる
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項4】
複数行の走査線と、
データ信号が供給されるm本の画像信号線と、
前記m本の画像信号線のそれぞれと対をなすようにm列毎にブロック化された複数列のデータ線と、
前記複数行の走査線を所定の順番で選択して選択電圧を印加する走査線駆動回路と、
一の走査線に選択電圧が印加される期間にわたって、前記ブロックを所定の順番で選択するブロック選択回路と、
前記複数列のデータ線のそれぞれに設けられ、各々は、対をなす画像信号線とデータ線との間でオンまたはオフ状態となるサンプリングスイッチと、
前記複数行の走査線と前記複数列のデータ線との交差に対応して設けられ、各々は、前記走査線に前記選択電圧が印加されたときに、前記データ線にサンプリングされたデータ信号に応じた階調となる画素と、
前記ブロックの選択の前に、各ブロックに属するm列のデータ線を少なくとも2以上の異なる電圧にプリチャージするプリチャージ回路と、
各ブロックに属するm列のデータ線にプリチャージする電圧の組み合わせを、走査線を選択する毎に切り替えるセレクタと、
を具備することを特徴とする電気光学装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電気光学装置を有することを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−242160(P2008−242160A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−83697(P2007−83697)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】