説明

電気光学装置及びその製造方法、並びに電子機器

【課題】液晶装置等の電気光学装置において、表示画像の高品化を図る。
【解決方法】電気光学装置は、基板(10)と、画素領域(40b)において表面に凹部を有するように段差部(12´)が形成された下地膜(12)と、下地膜の凸部上に形成された導電層(15)と、段差部の表面を覆うように導電層と同一の工程及び材料から形成された反射層(16)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶装置等の電気光学装置及びその製造方法、並びに該電気光学装置を備えた、例えば液晶プロジェクタ等の電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置の一例として、ライトバルブとして用いられる液晶パネル等の液晶装置がある。このような液晶装置では、対向基板及び素子基板間に液晶が挟持されている。素子基板上には、例えば画素毎に画素電極が配置されると共に、該画素電極の選択的な駆動を行うための走査線、データ線、及び画素スイッチング用素子としてのTFT(Thin Film Transistor)が作り込まれ、アクティブマトリクス駆動可能に構成されている。画素が配列された画像表示領域に入射された光源光は、画素のうち遮光膜等が形成された非開口部によって規定される開口部を透過し出射されることにより、スクリーン上に画像が投影表示される。
【0003】
ここで、画像表示に用いられる光源光の利用効率を高めるために、例えば、特許文献1では、対向基板に光を集光させるための側壁反射層を画素毎に形成している。また、特許文献2では屈折率の異なる複数の層を基板上に積層することにより、光源光を屈折させ、画素毎に集光を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−208132号公報
【特許文献2】特開2005−321670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では対向基板に開孔し、側壁反射層を形成する必要があるため、製造工程が複雑化してしまうという技術的問題点がある。特に解像度を向上させるために画素数を増加させようとする場合に、高精細化な加工が困難になるため、このような問題点はより一層顕著なものとなってしまう。また、特許文献2では、光源光全体を屈折させるため、光源光の入射方向などの条件によっては、本来開口部に入射する光をも屈折させ、逆に非開口部に導き、無駄にしてしまうおそれがある。即ち、所定の条件下では、光の利用効率を逆に悪化させてしまう可能性があるという技術的問題点がある。
【0006】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、明るく高品位な画像を表示可能な電気光学装置及び該電気光学装置を備えた電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電気光学装置は上記課題を解決するために、基板と、該基板の画素領域において、表面に凹部を有するように段差部が形成された下地膜と、前記下地膜のうち凹部の周囲に位置する凸部上に形成され、電気光学動作のための配線、電極及び電子素子の少なくとも一部を構成する導電層と、前記段差部の表面を覆うように、前記導電層と同一の工程及び材料から形成された反射層とを備える。
【0008】
本発明の電気光学装置によれば、基板上に、下地膜を介して上層側に例えば、走査線、データ線等の配線や画素スイッチング用のTFT等の電子素子が必要に応じて積層されている。ここで、走査線、データ線等の配線や画素スイッチング用のTFT等の電子素子は、本発明に係る導電層の一例であり、電気光学動作のための配線、電極及び電子素子の少なくとも一部を構成する。
【0009】
尚、導電層としては、画素の保持特性を高めるための蓄積容量を構成する容量電極や、導電層間に生ずる電界を遮断するためのシールド電極であってもよい。この場合、導電層には一定又は不定の周期で変動する電圧が供給されてもよい。
【0010】
導電層は、下地膜の表面に設けられた凸部上に配置される。凸部は凹部の周囲に位置する部分である。凸部と凹部との間に形成された段差部の表面には、反射層が形成されている。反射層は光源光を反射することにより、その光路を変更することができる。
【0011】
反射層は、例えば、基板上で平面的に見て、画素領域に配列された各画素のうち光源光が透過可能な開口部の縁に沿って形成されている。この場合、画素領域の開口部(即ち、光源光が透過可能な領域)に入射しつつも、非開口部(例えば、データ線や走査線等が配置されているために、光源光が透過できない領域)に向かって進行する表示光は、仮に反射層がない場合、非開口部において吸収されることによって、無駄になってしまう。その点、本発明ではこのような光源光を反射層によって反射することにより、表示光として利用することができる。即ち、光源光の利用効率を高めることにより、明るく鮮明な画像を表示することが可能となる。
【0012】
本発明では特に、反射層は導電層と同一の工程及び材料から形成されている。即ち、同一膜から形成されている。ここで、同一膜とは、同一の成膜工程によって形成される膜を意味しており、反射層及び導電層が完全に同一の膜であることのみを意味するものではない。つまり、反射層及び導電層は一体的に形成されていてもよいし、互いに電気的に接続されていなくともよいし、厚さ等の各種条件が異なっていてもよい。このように同一膜から形成することにより、同一工程において反射層と導電層とを形成することができるため、工程数を削減することができ、製造コストを削減することができる。
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、明るく高品位な画像を表示可能な電気光学装置を実現することができる。
【0014】
本発明の電気光学装置の製造方法は上記課題を解決するために、基板上に、下地膜を形成する下地膜形成工程と、前記下地膜の表面に凹部を有するように段差部を形成する段差工程と、前記段差形成工程の後に、前記下地膜上に導電層を形成する導電層形成工程と、前記導電層をパターニングすることにより、前記下地膜のうち凹部の周囲に位置する凸部上において電気光学動作のための配線、電極及び電子素子の少なくとも一部を構成する導電層と、前記段差部の表面を覆うように形成された反射層とを形成するパターニング工程とを備える。
【0015】
本発明によれば、上述の電気光学装置(各種態様を含む)を好適に製造することができる。
【0016】
本発明の電子機器によれば、上述した本発明の電気光学装置を具備してなるので、高品質な画像を表示可能な、投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、携帯オーディオプレーヤ、ワードプロセッサ、デジタルカメラ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネル等の各種電子機器を実現できる。
【0017】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る液晶装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】図1のH−H´線断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る液晶装置の複数の画素部の等価回路図である。
【図4】本実施形態に係る液晶装置の画素の平面構造を示す平面図である。
【図5】図4のI−I´線断面図である。
【図6】本実施形態に係る液晶装置のTFTアレイ基板上の積層構造を製造するための各工程を順を追って示す工程断面図である。
【図7】電気光学装置を適用した電子機器の一例たるプロジェクタの構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下図面を参照しながら、本発明に係る電気光学装置及びその製造方法、並びに電子機器の各実施形態を説明する。尚、本実施形態では、電気光学装置の一例として、駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリックス駆動方式の液晶装置を挙げる。
【0020】
先ず、本実施形態に係る液晶装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。ここに図1は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側からみた平面図であり、図2は、図1のH−H´線断面図である。
【0021】
図1及び図2において、本実施形態に係る液晶装置では、TFTアレイ基板10及び対向基板20が対向配置されている。TFTアレイ基板10及び対向基板20は、例えば、石英基板、ガラス基板、シリコン基板等の透明基板からなる。TFTアレイ基板10と対向基板20との間には液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、複数の画素が設けられた領域に対応する、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
【0022】
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂や熱硬化樹脂、又は紫外線・熱併用型硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(即ち、ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。尚、ギャップ材を、シール材52に混入されるものに加えて若しくは代えて、画像表示領域10a又は画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域に、配置するようにしてもよい。
【0023】
図1において、シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
【0024】
周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。この一辺に沿ったシール領域よりも内側に、サンプリング回路7が額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿ったシール領域の内側に、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。
【0025】
TFTアレイ基板10上には、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、両基板間を上下導通材107で接続するための上下導通端子106が配置されている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。更に、外部回路接続端子102と、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104、上下導通端子106等とを電気的に接続するための引回配線90が形成されている。
【0026】
図2において、TFTアレイ基板10上には、駆動素子である画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成される。この積層構造の詳細な構成については図2では図示を省略してあるが、この積層構造の上に、ITO等の透明材料からなる画素電極9aが、画素毎に所定のパターンで島状に形成されている。
【0027】
画素電極9aは、後述する対向電極21に対向するように、TFTアレイ基板10上の画像表示領域10aに形成されている。TFTアレイ基板10における液晶層50の面する側の表面、即ち画素電極9a上には、配向膜16が画素電極9aを覆うように形成されている。
【0028】
対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上に、ブラックマトリクス23が形成されている。ブラックマトリクス23は、例えば対向基板20における対向面上に平面的に見て、格子状に形成されている。対向基板20の対向面上における、対向電極21上には、配向膜22が形成されている。
【0029】
次に、本実施形態に係る液晶装置の画素部の電気的な構成について、図3を参照して説明する。ここに図3は、本実施形態に係る液晶装置の画像表示領域10aを構成するマトリックス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図である。図3では点線で囲まれている領域が、個々の画素40に対応している。
【0030】
図3において、画像表示領域10aを構成するマトリックス状に形成された複数の画素40の夫々には、画素電極9a、及びTFT30が形成されている。TFT30は、画素電極9aに電気的に接続されており、液晶装置の動作時に画素電極9aをスイッチング制御する。画像信号が供給されるデータ線6aは、TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
【0031】
TFT30のゲートに走査線11が電気的に接続されており、液晶装置は、所定のタイミングで、走査線11にパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snが所定のタイミングで書き込まれる。画素電極9aを介して電気光学物質の一例としての液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、対向基板に形成された対向電極との間で一定期間保持される。
【0032】
液晶層50(図2参照)を構成する液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として液晶装置からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射される。
【0033】
ここで保持された画像信号がリークすることを防ぐために、画素電極9aと対向電極21(図2参照)との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70が付加されている。蓄積容量70は、画像信号の供給に応じて各画素電極9aの電位を一時的に保持する保持容量として機能する容量素子である。蓄積容量70の一方の電極は、画素電極9aと並列してTFT30のドレインに接続され、他方の電極は、定電位となるように、電位固定の容量線300に接続されている。蓄積容量70によれば、画素電極9aにおける電位保持特性が向上し、コントラスト向上やフリッカーの低減といった表示特性の向上が可能となる。
【0034】
次に本実施形態に係る液晶装置の画素40の構造について説明する。ここに、図4は、本実施形態に係る液晶装置の画素40の平面構造を示す平面図である。図5は、図4のI−I´線断面図である。尚、図4及び図5では、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。
【0035】
図4において、画素40のうち光源光が透過可能な開口部40aは、非開口部40bによって規定されている。非開口部40bには、上述の走査線11及びデータ線6a等の各種配線及び素子等が配置されている。これらの配線及び素子等は光源光を透過させない(即ち、反射性或いは遮光性のある)材料から形成されており、非開口部40bを規定している。尚、画素スイッチング用のTFT30は、半導体層に光源光が照射されることによって光リーク電流が発生することを防ぐべく、非開口部40bに配置されている(図4において図不示)。
【0036】
画素電極9aは、画素40毎に島状に形成されている。図4に示す点線9a´は、画素電極9aの外輪郭を示している。このように画素電極9aは、TFTアレイ基板10上で平面的に見て、開口部40aに比べて若干広く(即ち、縁部が非開口部40bに重なるように)形成されている。
【0037】
図5に示すように、非開口部10bには、走査線11及びデータ線6a等の各種配線及び素子等が配置されている。以下、説明の便宜上、これらの各種配線及び素子等をまとめて導電層15と称することとする。図5では、TFTアレイ基板10上に複数層に亘って層間絶縁膜12を介して形成された導電層15を例示している。本実施形態では特に、導電層15は上下方向に3層に亘って形成されることにより、非開口部40bにおける遮光性を向上させている。ここで、3層に亘って形成された導電層15を、下層側から順に導電層15a、15b及び15cと称することとする。
【0038】
導電層15a、15b及び15cの下地膜として機能する層間絶縁膜12a、12b及び12cの表面には、それぞれ段差12a´、12b´及び12c´が形成されている。当該段差12a´、12b´及び12c´の表面はテーパ状に傾斜するように形成されており、当該表面に反射層16a、16b及び16cが形成されている。反射層16a、16b及び16cは、後に詳述するが、導電層15a、15b及び15cと同一膜(即ち、同一工程において同一材料)から形成される。
【0039】
TFTアレイ基板10の上層側から入射する光源光は、その大部分は開口部40aを透過してTFTアレイ基板10の反対側に透過する。しかしながら、開口部40aに入射する光源光の一部(例えば、図5において実線で示すように斜めに入射する光源光)は、非開口部40bに向かって進行されるものがある。そのため、仮に反射層16がない場合、このような開口部40bに向かって進行する光源光は、例えば図5において点線で示すような光路をとり、非開口部40bに配置された導電層15によって反射又は吸収され、無駄になってしまう。
【0040】
本実施形態に係る液晶装置では、このように本来無駄になってしまう光源光を反射層16a、16b及び16cによって反射し、開口部40aに戻すことができる。そのため、このような反射光を表示光の一部として利用することができる。
【0041】
図4に示すように、このような反射層16a、16b及び16cは、TFTアレイ基板10上で平面的に見て、開口部40aの縁に沿って延在するように形成されている。従って、開口部40aに入射し、非開口部40bにおいてロスされる光源光を反射層16によって反射することにより、開口部40aに集光することができる。その結果、明るく鮮明な画像を高品位に表示可能な電気光学装置を実現することができる。
【0042】
尚、画素40毎に光源光を集光するためのマイクロレンズが形成されたマイクロレンズ基板を、TFTアレイ基板10又は対抗基板20に貼り合わせることによって、光源光の利用効率を更に向上させることもできる。また、このようなマイクロレンズは、TFTアレイ基板10又は対抗基板20上の積層構造として形成されていてもよい。
【0043】
<製造方法>
次に、本発明に係る電気光学装置の製造方法の実施形態を、図6を参照して説明する。図6は、本実施形態に係る液晶装置の製造方法の一部の工程を示す工程断面図である。
【0044】
図6(a)に示すように、例えばシリコン基板、石英基板、ガラス基板等の基板10を用意し、層間絶縁膜12を形成する。そして層間絶縁膜12上に、当該層間絶縁膜12をパターニングする際にマスクとして利用するためのレジスト32を形成する。レジスト32は露光及び現像されることにより、マスクとして好適な形状にパターニングされている。
【0045】
続いて、図6(b)に示すように、レジスト32をマスクとして、下地絶縁膜12にエッチングを施すことにより、下地絶縁膜12の表面に段差12´を形成する。
【0046】
続いて、図6(c)に示すように、段差12´が形成された下地絶縁膜12の表面に導電層15をベタ状に形成する。導電層15は例えば、アルミニウムや銀などの光反射性に優れた導電性材料から形成するとよい。
【0047】
続いて、図6(d)に示すように、導電層15上に、当該導電層15をパターニングする際にマスクとして用いられるレジスト34を形成する。レジスト34は露光及び現像されることにより、マスクとして好適な形状にパターニングされている。
【0048】
続いて、図6(e)に示すように、レジスト34をマスクとして、導電層15にエッチングを施すことにより、導電層15及び反射層16を形成する。このとき反射層は、層間絶縁膜12に形成された段差12´に残存するように形成される。
【0049】
<電子機器>
次に、図7を参照しながら、上述した液晶装置を電子機器の一例であるプロジェクタに適用した場合を説明する。上述した液晶装置は、プロジェクタのライトバルブとして用いられている。図7は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。
【0050】
図7に示すように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gに入射される。
【0051】
液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等の構成を有しており、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、RおよびBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。したがって、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
【0052】
ここで、各液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像は、液晶パネル1110Gによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
【0053】
尚、液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
【0054】
尚、図7を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型のパーソナルコンピュータや、携帯電話、液晶テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
【0055】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置及びその製造方法、並びに電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0056】
9a…画素電極、10…TFTアレイ基板、10a…画像表示領域、11…走査線、12…層間絶縁膜、12´…段差、15…導電層、16…反射層、20…対向基板、30…TFT、32、34…レジスト、40a…開口部、40b…非開口部、50…液晶層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
該基板の画素領域において、表面に凹部を有するように段差部が形成された下地膜と、
前記下地膜のうち凹部の周囲に位置する凸部上に形成され、電気光学動作のための配線、電極及び電子素子の少なくとも一部を構成する導電層と、
前記段差部の表面を覆うように、前記導電層と同一の工程及び材料から形成された反射層と
を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記反射層は、前記基板上で平面的に見て、前記画素領域に配列された各画素のうち光源光が透過可能な開口部の縁に沿って形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記導電層は、前記反射層と一体的に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
基板上に、
下地膜を形成する下地膜形成工程と、
前記下地膜の表面に凹部を有するように段差部を形成する段差工程と、
前記段差形成工程の後に、前記下地膜上に導電層を形成する導電層形成工程と、
前記導電層をパターニングすることにより、前記下地膜のうち凹部の周囲に位置する凸部上において電気光学動作のための配線、電極及び電子素子の少なくとも一部を構成する導電層と、前記段差部の表面を覆うように形成された反射層とを形成するパターニング工程と
を備えることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載の電気光学装置を具備することを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−191475(P2011−191475A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57133(P2010−57133)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】