電気光学装置
【課題】複数種類のシール材の使用や、基板への凹部の形成を行なわなくても、シール部からの水分の侵入を防止することのできる電気光学装置を提供すること。
【解決手段】電気光学装置100において、第1基板10と第2基板20とをシール材95で貼り合わせたシール部90では、第1基板10から第2基板20に向けて突出する第1突起91と、第2基板20から第1基板10に向けて突出する第2起92とが形成されており、シール部90を横切る仮想の線上には第1突起91および/または第2突起92が位置する。また、シール部90を横切る仮想の線C2上には第1突起91および第2突起92の双方が位置している。従って、シール部90からの水分の侵入を効果的に防止することができる。
【解決手段】電気光学装置100において、第1基板10と第2基板20とをシール材95で貼り合わせたシール部90では、第1基板10から第2基板20に向けて突出する第1突起91と、第2基板20から第1基板10に向けて突出する第2起92とが形成されており、シール部90を横切る仮想の線上には第1突起91および/または第2突起92が位置する。また、シール部90を横切る仮想の線C2上には第1突起91および第2突起92の双方が位置している。従って、シール部90からの水分の侵入を効果的に防止することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置や有機エレクトロルミネッセンス(以下有機ELという)装置などといった電気光学装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気光学装置として代表的なものとしては、液晶装置や有機EL装置などが挙げられ、かかる電気光学装置では、図13(a)に示すように、画素電極および画素トランジスタを備えた画素が複数、配列された画素領域が形成された第1基板10と、第1基板10に対向配置された第2基板20と、画素領域10bを外側で囲む位置で第1基板10と第2基板20とをシール材95Xで貼り合わせたシール部90Xとを有している。このような電気光学装置のうち、液晶装置においては、シール部90は液晶層を保持するとともに、内側に水分が侵入して液晶材料や配向膜が劣化することを防止する機能を担い、有機EL装置において、第2基板20およびシール部90は、内側に水分が侵入して有機EL素子の機能層などが劣化するのを防止する機能を担っている。
【0003】
しかしながら、図13(a)に示すシール部90Xでは、シール材95Xと第1基板10との界面を伝っての水分の侵入経路L11、シール材95Xと第2基板20との界面を伝っての水分の侵入経路L12、およびシール材95Xの内部自身を透過しての水分の侵入経路L13が存在するため、シール部90Xの内側に水分が侵入するのを完全に防止することは不可能である。
【0004】
そこで、図13(b)に示すように、シール部90Yに2種類のシール材951Y、952Yを用いることが提案されている(特許文献1参照)。また、図13(c)に示すように、シール部90Zにおいて、第2基板20に凹部92Zを形成する一方、第1基板10に、凹部92Z内に向けて突出する突起91Zを形成した上でシール材95Zにより封止することが提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2005−78003号公報
【特許文献2】特開2007−10888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図13(b)に示す構成では、2種類のシール材951Y、952Yを塗布、硬化するのに多大な手間がかかるため、生産性が低下するとともに、2種類のシール材951Y、952Yを用いても、シール材951Y、952Yと第1基板10との界面を伝っての水分の侵入や、シール材951Y、952Yと第2基板20との界面を伝っての水分の侵入を確実に防止することは不可能である。また、図13(c)に示す構成では、第2基板20に対する凹部92Zの形成や、凹部92Z内に届く程の高さ寸法をもった突起91Zの第1基板10への形成に多大な手間が発生するので、生産性が低下する。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、複数種類のシール材の使用や、基板への凹部の形成を行なわなくても、シール部からの水分の侵入を防止することのできる電気光学装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、画素電極および画素トランジスタを備えた画素が複数、配列された画素領域が形成された第1基板と、該第1基板に対向配置された第2基板と、前記画素領域を外側で囲む位置で前記第1基板と前記第2基板とをシール材で貼り合わせたシール部とを有する電気光学装置において、前記シール部には、前記第1基板から前記2基板に向けて突出する第1突起と、該第1突起からずれた位置で前記第2基板から前記1基板に向けて突出する第2突起とが形成され、前記シール部を平面視したとき、前記シール部を横切る仮想の線上には前記第1突起および前記第2突起のうちの少なくとも一方が位置していることを特徴とする。
【0008】
本発明において、第1基板と第2基板とをシール材で貼り合わせたシール部では、第1基板に第1突起が形成されているため、第1突起が形成されている部分では、シール材の内部を透過する水分の侵入経路が狭められている。また、第1突起が形成されている部分では、第1基板とシール材との界面を伝って水分が侵入することがないとともに、第1突起とシール材との界面を伝って水分が侵入する経路は、第1突起を回り込む必要がある分、長い。さらに、シール部では、第2基板に第2突起が形成されているため、第2突起が形成されている部分では、シール材の内部を透過する水分の侵入経路が狭められている。また、第2突起が形成されている部分では、第2基板とシール材との界面を伝って水分が侵入することがないとともに、第2突起とシール材との界面を伝って水分が侵入する経路は、第2突起を回り込む必要がある分、長い。それ故、複数種類のシール材の使用や、基板への凹部の形成を行なわなくても、シール部からの水分の侵入を防止することができる。
【0009】
本発明において、前記シール部を平面視したとき、前記シール部の一部では、当該シール部を横切る仮想の線上に前記第1突起および前記第2突起の双方が位置していることが好ましい。このように構成すると、前記第1突起および前記第2突起の双方が位置している部分では、シール材の内部を透過する水分の侵入経路を効果的に狭めることができ、シール部からの水分の侵入を効果的に防止することができる。
【0010】
このような構成は、例えば、前記シール部を平面視したとき、前記第1突起および前記第2突起のうちの少なくとも一方が、前記画素領域を囲む方向で分割されている構成を採用した場合に発生する。このように構成すると、第1突起と第2突起との間に充填されたシール材のうち、余剰なシール材を第1突起と第2突起との間からスムーズに排出することができるという利点がある。
【0011】
本発明において、前記シール部を平面視したとき、前記シール部の全体で、当該シール部を横切る仮想の線上に前記第1突起および前記第2突起の双方が位置していることが好ましい。このように構成すると、シール部の全体でシール材の内部を透過する水分の侵入経路を大幅に狭めることができ、シール部からの水分の侵入を大幅に防止することができる。
【0012】
このような構成は、例えば、前記シール部を平面視したとき、前記第1突起および前記第2突起はいずれも、前記画素領域を囲む方向で連続している構成を採用することにより実現することができる。
【0013】
本発明において、前記第1突起の前記第1基板からの突出寸法と前記第2突起の前記第2基板からの突出寸法との和は、前記第1基板と前記第2基板との隙間寸法より大きいことが好ましい。このように構成すると、第1突起および第2突起の双方が位置している部分では、シール材の内部を水分が直進して侵入する経路が存在せず、かつ、シール材の内部を透過する水分は、第1突起および第2突起を回り込む必要がある分、侵入経路が長いので、シール部からの水分の侵入を確実に防止することができる。
【0014】
本発明において、前記シール部を平面視したとき、前記第1突起および前記第2突起のうちの少なくとも一方は、前記仮想の線上で多重に形成され、当該仮想の線上では前記第1突起と前記第2突起とが交互に並んでいることが好ましい。このように構成すると、シール部からの水分の侵入をより確実に防止することができる。
【0015】
本発明において、前記第1突起および前記第2突起のうちの少なくとも一方の突起は、当該突起が形成されている基板において前記画素領域内に形成されている1乃至複数の膜と同一の膜からなることが好ましい。このように構成すると、新たな工程を追加しなくても、第1突起または/および第2突起を形成することができる。
【0016】
本発明に係る電気光学装置を液晶装置として構成する場合、前記第1基板と前記第2基板は、前記シール部で囲まれた領域内に液晶層を保持している構成とする。
【0017】
本発明に係る電気光学装置を有機EL装置として構成する場合、前記第1基板において、前記画素電極上に有機EL素子用の機能層が形成されている構成とする。
【0018】
本発明を適用した電気光学装置は、携帯電話機あるいはモバイルコンピュータなどの電子機器において直視型の表示部などとして用いられる。また、本発明を適用した液晶装置(電気光学装置)は、投射型表示装置のライトバルブとして用いることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を説明する。以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。なお、薄膜トランジスタでは、印加する電圧によってソースとドレインが入れ替わるが、以下の説明では、説明の便宜上、画素電極が接続されている側をドレインとして説明する。
【0020】
[実施の形態1]
(全体構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置(液晶装置)に用いた素子基板の電気的な構成を示す等価回路図である。図2(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図、およびそのH−H′断面図である。
【0021】
図1に示すように、本形態の電気光学装置100は液晶装置であり、矩形の平面形状を有する画素領域10bには複数の画素100aがマトリクス状に形成されている。複数の画素100aの各々には、画素電極9a、および画素電極9aを制御するための画素スイッチング用の薄膜トランジスタ30a(画素トランジスタ)が形成されている。データ線駆動回路101から延びたデータ線6aは、薄膜トランジスタ30aのソースに電気的に接続されており、データ線駆動回路101は、データ線6aに画像信号を線順次で供給する。走査線駆動回路104から延びた走査線3aは、薄膜トランジスタ30aのゲートに電気的に接続されており、走査線駆動回路104は、走査線3aに走査信号を線順次で供給する。画素電極9aは、薄膜トランジスタ30aのドレインに電気的に接続されており、電気光学装置100では、薄膜トランジスタ30aを一定期間だけそのオン状態とすることにより、データ線6aから供給される画像信号を各画素100aの液晶容量50aに所定のタイミングで書き込む。液晶容量50aに書き込まれた所定レベルの画像信号は、第1基板10に形成された画素電極9aと、後述する対向基板の共通電極との間で一定期間保持される。画素電極9aと共通電極との間には保持容量60が形成されており、画素電極9aの電圧は、例えば、ソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ保持される。これにより、電荷の保持特性は改善され、コントラスト比の高い表示を行うことのできる電気光学装置100が実現される。本形態では、保持容量60を構成するにあたって、走査線3aと並行するように容量線3bが形成されているが、前段の走査線3aとの間に保持容量60が形成される場合もある。また、フリンジフィールドスイッチング(FFS(Fring Field Switching))モードの液晶装置の場合、共通電極は、画素電極9aと同様、第1基板10上に形成される。
【0022】
図2(a)、(b)において、本形態の電気光学装置100は、透過型のアクティブマトリクス型液晶装置である。素子基板としての第1基板10の上には、シール部90が矩形枠状に設けられており、シール部90によって、対向基板としての第2基板20と、第1基板10とが貼り合わされている。第2基板20とシール部90とは略同一の輪郭を備えており、シール部90で囲まれた領域内に液晶層50が保持されている。液晶層50は、例えば一種または数種のネマティック液晶を混合したものなどからなる。なお、シール部90の角部分には第1基板10と第2基板20との間で電気的な接続を行なうための基板間導通部109が配置されている。また、シール部90は一部が途切れており、かかる途切れ部分を利用して、シール部90で囲まれた領域内に液晶が充填された後、途切れ部分は封止材107で塞がれる。
【0023】
第1基板10において、シール部90の外側領域(画素領域10bの外側領域)には、データ線駆動回路101、およびITO(Indium Tin Oxide)膜からなる端子102が第1基板10の一辺に沿って設けられており、端子102には、外部回路との電気的な接続を行なうフレキシブル配線基板(図示せず)が接続される。また、第1基板10において、シール部90の外側領域(画素領域10bの外側領域)には、端子102が配列された辺に隣接する2辺に沿って走査線駆動回路104が形成されている。第1基板10の残る一辺には、画像表示領域10aの両側に設けられた走査線駆動回路104間をつなぐための複数の配線103が設けられている。さらに、第2基板20に形成された遮光膜からなる額縁23bの下などを利用して、プリチャージ回路や検査回路などの周辺回路が設けられることもある。
【0024】
詳しくは後述するが、第1基板10には、画素電極9aがマトリクス状に形成されている。これに対して、第2基板20には、シール部90の内側領域に遮光性材料からなる額縁23bが形成され、その内側が画像表示領域10aとされている。第2基板20では、第1基板10の画素電極9aの縦横の境界領域と対向する領域にブラックマトリクス、あるいはブラックストライプなどと称せられる遮光膜23aが形成されている。遮光膜23aおよび額縁23bはいずれも同一の遮光材料から形成されている。
【0025】
このように構成した電気光学装置100において、画像表示領域10aは、図1を参照して説明した画素領域10bと重なる領域であるが、画素領域10bの外周に沿って、表示に直接寄与しないダミーの画素が形成される場合があり、この場合、画素領域10bのうち、ダミーの画素を除いた領域によって画像表示領域10aが構成される。
【0026】
(画素の詳細な構成)
図3(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置100の相隣接する画素2つ分の平面図、および画素1つ分の断面図である。なお、図3(b)は図3(a)のA−A′線における断面図であり、図3(a)では、画素電極9aは長い点線で示し、データ線6aおよびそれと同時形成された薄膜は一点鎖線で示し、走査線3aは実線で示し、半導体層は二点鎖線で示してある。
【0027】
図3(a)、(b)に示すように、第1基板10上には、マトリクス状に複数の透明な画素電極9aが画素100a毎に形成され、画素電極9aの縦横の境界領域に沿ってデータ線6a、および走査線3aが形成されている。また、第1基板10において、走査線3aと並列して容量線3bが形成されている。
【0028】
図3(b)に示す第1基板10の基体は、石英基板や耐熱性のガラス基板などの支持基板10dからなり、第2基板20の基体は、石英基板や耐熱性のガラス基板などの支持基板20dからなる。第1基板10には、支持基板10dの表面にシリコン酸化膜などからなる下地絶縁層12が形成されているとともに、その表面側において、画素電極9aと対応する領域に薄膜トランジスタ30aが形成されている。薄膜トランジスタ30aは、島状の半導体層1aに対して、チャネル領域1g、低濃度ソース領域1b、高濃度ソース領域1d、低濃度ドレイン領域1c、および高濃度ドレイン領域1eが形成されたLDD(Lightly Doped Drain)構造を備えている。半導体層1aの表面側には、シリコン酸化膜あるいはシリコン窒化膜からなるゲート絶縁層2が形成されており、ゲート絶縁層2の表面にゲート電極(走査線3a)が形成されている。半導体層1aは、第1基板10に対してアモルファスシリコン膜を形成した後、レーザアニールやランプアニールなどにより多結晶化されたポリシリコン膜、あるいは単結晶シリコン層である。図3(b)には、ゲート絶縁層2が半導体層1aの表面に熱酸化により形成されたものとして表されているが、ゲート絶縁層2はCVD法などにより形成される場合もある。なお、半導体層1aとしてはアモルファスシリコン膜が用いられることもある。
【0029】
薄膜トランジスタ30aの上層側には、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜からなる層間絶縁膜71、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜からなる層間絶縁膜72、および厚さが1.5〜2.0μmの厚い感光性樹脂からなる層間絶縁膜73(平坦化膜)が形成されている。層間絶縁膜71の表面(層間絶縁膜71、72の層間)にはデータ線6aおよびドレイン電極6bが形成され、データ線6aは、層間絶縁膜71に形成されたコンタクトホール71aを介して高濃度ソース領域1dに電気的に接続している。また、ドレイン電極6bは、層間絶縁膜71に形成されたコンタクトホール71bを介して高濃度ドレイン領域1eに電気的に接続している。
【0030】
層間絶縁膜73の表面にはITO膜からなる画素電極9aが形成されている。画素電極9aは、層間絶縁膜72、73に形成されたコンタクトホール73aを介してドレイン電極6bに電気的に接続している。画素電極9aの表面側にはポリイミド膜からなる配向膜16が形成されている。また、高濃度ドレイン領域1eからの延設部分1f(下電極)に対しては、ゲート絶縁層2と同時形成された絶縁層(誘電体膜)を介して、走査線3aと同層の容量線3bが上電極として対向することにより、保持容量60が構成されている。
【0031】
本形態において、走査線3aおよび容量線3bは同時形成された導電膜であり、モリブデン膜、アルミニウム膜、チタン膜、タングステン膜、タンタル膜、クロム膜などの金属単体膜、あるいはそれらの積層膜からなる。また、データ線6aおよびドレイン電極6bは同時形成された導電膜であり、モリブデン膜、アルミニウム膜、チタン膜、タングステン膜、タンタル膜、クロム膜などの金属単体膜、あるいはそれらの積層膜からなる。なお、図1および図2(a)、(b)に示す端子102は、層間絶縁膜71、72、73に形成したコンタクトホール、あるいは層間絶縁膜72、73に形成したコンタクトホールを介して、走査線3aやデータ線6aと同時形成された配線に電気的に接続されたITO膜からなる。
【0032】
第2基板20では、第1基板10の画素電極9aの間に対向する領域に遮光膜23aが形成されているとともに、遮光膜23aで挟まれた領域(画素電極9aと対向する領域)にカラーフィルタ22が形成されている。また、第2基板20では、遮光膜23aおよびカラーフィルタ22の表面に、樹脂層、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜などからなるオーバーコート層24が形成され、オーバーコート層24の表面には、ITO膜からなる共通電極21、および配向膜26が順に形成されている。遮光膜23aは遮光性を有する金属膜、あるいは遮光材料が配合されたアクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂、ポリイミド樹脂などの樹脂層からなる。
【0033】
このように構成した第1基板10と第2基板20とは、画素電極9aと共通電極21とが対面するように配置され、かつ、これらの基板間には、前記のシール部90(図2(a)、(b)参照)により囲まれた空間内に電気光学物質としての液晶層50が封入されている。液晶層50は、画素電極9aからの電界が印加されていない状態で配向膜16、26により所定の配向状態をとる。
【0034】
(シール部90の詳細構成)
図4(a)、(b)、(c)、(d)は各々、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置100において、第1基板10のシール部90に相当する領域を平面視したときの説明図、第2基板20のシール部90に相当する領域を平面視したときの説明図、第1基板10と第2基板20とをシール材で貼り合わせた後のシール部90を平面視したときの説明図、およびシール部90の断面図である。なお、図4(b)では、図4(a)に示す第1突起との位置関係が分りやすいように、外面から第2基板20を透視した様子を示してある。
【0035】
本形態の電気光学装置100において、図2(a)、(b)に示すシール部90では、第1基板10と第2基板20がエポキシ樹脂、フェノールノボラック樹脂などのシール95によって貼り合わされており、シール部90は、液晶層50を保持する機能と、外部から水分が侵入して液晶材料や配向膜16、26が劣化することを防止する機能とを担っている。本形態では、水分の侵入をより確実に防止する目的で、シール部90には以下の構成が採用されている。
【0036】
まず、図4(a)、(c)、(d)に示すように、第1基板10において、シール部90に相当する領域には、第1基板10から第2基板20に向けて突出する第1突起91が形成され、図4(b)、(c)、(d)に示すように、第2基板20において、シール部90に相当する領域には、第2基板20から第1基板10に向けて突出する第2突起92が形成されている。第1突起91と第2突起92は、図4(c)、(d)に示すように、第1基板10と第2基板20とをシール材95で貼り合わせた際、互いにずれた位置に形成されており、重なることはない。
【0037】
本形態において、第1突起91は、シール部90を直角に横切る方向Cに向かって4重に形成されている。ここで、第1突起91は、画素領域10bの周りを囲む方向R、およびシール部90を直角に横切る方向Cの双方で分割された複数の突起群からなり、第1突起91同士の間には隙間が形成されている。また、第1突起91は、シール部90を直角に横切る方向Cでは極めて狭い隙間を介して分割されているが、画素領域10bの周りを囲む方向Rでは、比較的広い隙間を介して分割されており、第1突起91の間には空きスペースがある。
【0038】
かかる第1突起91を形成するにあたって、本形態では、エポキシ樹脂などの樹脂材料をディスペンサからの吐出、あるいは転写などの方法で所定のパターンに塗布した後、樹脂材料に対する紫外線照射あるいは加熱により樹脂材料を硬化させる。また、第1突起91を形成するにあたって、感光性樹脂を用いた場合には、感光性樹脂を塗布した後、露光し、しかる後に現像してもよい。このような第1突起91は、シール材95と違って、帯状に塗布する必要がなく、かつ、基板の状態で形成できるなどの理由から材料面での制約が少なく、水分透過性が低い樹脂材料の使用や最適な条件での硬化が可能である。このため、第1突起91は、シール材95と比較して第1基板10に対する密着性が高くて水分の透過性が低い。
【0039】
第2突起92も、第1突起91と同様、シール部90を直角に横切る方向Cに向かって4重に形成されている。ここで、第2突起92も、第1突起91と同様、画素領域10bの周りを囲む方向R、およびシール部90を直角に横切る方向Cの双方で分割された複数の突起群からなる。但し、第2突起92は、第1突起91と違って、シール部90を直角に横切る方向C、および画素領域10bの周りを囲む方向Rのいずれにおいても、比較的広い隙間を介して分割されている。このようにして、第2突起92は、第1突起91の空き領域と重なる位置に形成されている。
【0040】
かかる第2突起92を形成するにあたって、本形態では、第1突起91と同様、エポキシ樹脂などの樹脂材料をディスペンサからの吐出、あるいは転写などの方法で所定のパターンに塗布した後、樹脂材料に対する紫外線照射あるいは加熱により樹脂材料を硬化させる。また、第2突起92を形成するにあたって、感光性樹脂を用いた場合には、感光性樹脂を塗布した後、露光し、しかる後に現像してもよい。このような第2突起92も、シール材95と違って、帯状に塗布する必要がなく、かつ、基板の状態で形成できるなどの理由から材料面での制約が少なく、水分透過性が低い樹脂材料の使用や最適な条件での硬化が可能である。このため、第2突起92は、シール材95と比較して第1基板10に対する密着性が高くて水分の透過性が低い。
【0041】
本形態において、第1突起91の第1基板10からの突出寸法h1と第2突起92の第2基板20からの突出寸法h2との和は、第1基板10と第2基板20との隙間寸法Gより大きい。従って、図4(d)に示すように、第1突起91の先端部分は、第2突起92の間に入り込んでおり、第2突起92の先端部分は、第1突起91の間に入り込んでいる。
【0042】
本形態の電気光学装置100を製造するにあたって、第1基板10と第2基板20とを貼り合わせるには、第1基板10および第2基板20のうちの一方、例えば、第2基板20に対して、ディスペンサからの吐出、あるいは転写などの方法で未硬化のシール材95を帯状に塗布した後、第1基板10と第2基板20とをシール材95を挟んで重ね合わせ、この状態で、シール材95を硬化させる。その際、第1基板10と第2基板20とは、第1突起91が第2突起92の空き領域内に位置し、第2突起92が第1突起91の空き領域内に位置するように重ね合わされる。
【0043】
その結果、シール部90を横切るいずれの仮想の線上にも第1突起91および第2突起92のうちの少なくとも一方が位置することになる。より具体的には、図4(c)に示すように、シール部90の一部では、シール部90を直角に横切る仮想の線C1上に計4重の第1突起91が位置し、シール部90の他の一部では、第1突起91および第2突起92の双方が2重ずつ位置し、2つの第1突起91と2つの第2突起92が交互に並んでいる。
【0044】
このように構成したシール部90では、シール材95にビーズ状あるいはファイバー状のギャップ材(図示せず)を配合しておけば、第1突起91の先端部と第2基板20との間、および第2突起92の先端部と第1基板10との間のうち、隙間が狭い方の間にギャップ材が介在するので、かかるギャップ材によって、第1基板10と第2基板20との隙間寸法Gを制御することができる。また、ギャップ材を用いない場合でも、第1基板10の画素境界領域などに第2基板20に向けて突出する柱状突起を形成しておけば、柱状突起の上端部が第2基板20に当接するので、第1基板10と第2基板20との隙間寸法Gを制御することができる。この場合、第1基板10に対する柱状突起の形成工程を利用して、第1突起91を形成してもよい。
【0045】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、第1基板10と第2基板30とをシール材95で貼り合わせたシール部90では、第1基板10に第1突起91が形成されているため、第1突起91が形成されている部分では、シール材95の内部を透過する水分の侵入経路が狭められている。また、第1突起90が形成されている部分では、第1基板10とシール材95との界面を伝って水分が侵入することがないとともに、第1突起91とシール材95との界面を伝って水分が侵入する経路は、図4(a)に矢印L2で示すように、第1突起91を回り込む必要がある分、長い。また、シール部90では、第2基板20に第2突起92が形成されているため、第2突起92が形成されている部分では、シール材95の内部を透過する水分の侵入経路が狭められている。また、第2突起92が形成されている部分では、第2基板20とシール材95との界面を伝って水分が侵入することがないとともに、第2突起92とシール材95との界面を伝って水分が侵入する経路は、図4(b)に矢印L3で示すように、第2突起92を回り込む必要がある分、長い。それ故、シール部90からの水分の侵入を防止することができる。
【0046】
また、シール部90の一部では、シール部90を横切る仮想の線C2上に第1突起91および第2突起92の双方が位置しているため、シール材95の内部を透過する水分の侵入経路を複数個所で狭めることができ、シール部90からの水分の侵入を効果的に防止することができる。しかも、第1突起91の第1基板10からの突出寸法h1と第2突起92の第2基板20からの突出寸法h2との和は、第1基板10と第2基板20との隙間寸法Gより大きい。従って、図4(d)に矢印L1で示すように、第1突起91および第2突起92の双方が位置している部分では、シール材95の内部を水分が直進して侵入する経路が存在せず、かつ、シール材95の内部を透過する水分は、第1突起91および第2突起92を回り込む必要がある分、侵入経路が長いので、シール部90からの水分の侵入を確実に防止することができる。
【0047】
さらに、本形態では、第1突起91および第2突起92が複数の突起群からなり、シール部90を直角に横切る方向C、および画素領域10bの周りを囲む方向Rのいずれにおいても分割されている。このため、第1基板10と第2基板20とを貼り合わせる際、第1突起91の間、第2突起92の間、第1突起91と第2突起92との間に充填されたシール材95のうち、余剰なシール材95を第1突起91と第2突起92との間からスムーズに排出することができ、第1基板10と第2基板20とをシール材95で好適に貼り合わせることができる。
【0048】
さらにまた、第1基板10に第1突起91が形成され、第2基板20に第2突起92が形成されているため、シール材95と第1基板10との接着面積、およびシール材95と第2基板20との接着面積が広いので、第1基板10と第1基板20との接着強度が大きいという利点もある。
【0049】
[実施の形態2]
図5(a)、(b)、(c)、(d)は各々、本発明の実施の形態2に係る電気光学装置100において、第1基板10のシール部90に相当する領域を平面視したときの説明図、第2基板20のシール部90に相当する領域を平面視したときの説明図、第1基板10と第2基板20とをシール材で貼り合わせた後のシール部90を平面視したときの説明図、およびシール部90の断面図である。なお、図5(b)では、図5(a)に示す第1突起との位置関係が分りやすいように、外面から第2基板20を透視した様子を示してある。また、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0050】
図5(a)、(c)、(d)に示すように、本形態の電気光学装置100では、第1基板10において、シール部90に相当する領域には、第1基板10から第2基板20に向けて突出する第1突起91が形成され、図5(b)、(c)、(d)に示すように、第2基板20において、シール部90に相当する領域には、第2基板20から第1基板10に向けて突出する第2突起92が形成されている。
【0051】
本形態において、第1突起91は、シール部90を直角に横切る方向Cに向かって4重に形成されている。ここで、第1突起91は、実施の形態1と略同様、画素領域10bの周りを囲む方向Rで離間するように配置された複数の突起群からなるが、実施の形態1と違って、シール部90を直角に横切る方向Cで近接する突起の角同士が繋がっている。このため、第1突起91は、全体としては、シール部90を直角に横切る方向Cおよび画素領域10bの周りを囲む方向Rで連続的に形成されている。
【0052】
第2突起92は、実施の形態1と同様、シール部90を直角に横切る方向Cに向かって4重に形成されており、画素領域10bの周りを囲む方向R、およびシール部90を直角に横切る方向Cの双方で分割された複数の突起群からなる。また、第2突起92は、第1突起91と違って、シール部90を直角に横切る方向C、および画素領域10bの周りを囲む方向Rのいずれにおいても、比較的広い隙間を介して分割されている。このようにして、第2突起92は、第1突起91の空き領域と重なる位置に形成されている。
【0053】
ここで、第1突起91の第1基板10からの突出寸法h1と第2突起92の第2基板20からの突出寸法h2との和は、第1基板10と第2基板20との隙間寸法Gより大きい。従って、図5(d)に示すように、第1突起91の先端部分は、第2突起92の間に入り込んでおり、第2突起92の先端部分は、第1突起91の間に入り込んでいる。
【0054】
本形態の電気光学装置100の製造するにあたっては、実施の形態1と同様、第1基板10と第2基板20とを貼り合わせる際、第1基板10および第2基板20のうちの一方、例えば、第2基板20に対して、ディスペンサからの吐出、あるいは転写などの方法で未硬化のシール材95を帯状に塗布した後、第1基板10と第2基板20とをシール材95を挟んで重ね合わせ、この状態で、シール材95を硬化させる。その際、第1基板10と第2基板20とは、第1突起91が第2突起92の空き領域内に位置し、第2突起92が第1突起91の空き領域内に位置するように重ね合わされる。
【0055】
その結果、実施の形態1と同様、図5(c)に示すように、シール部90の一部では、シール部90を直角に横切る仮想の線C1上に計4重の第1突起91が位置し、シール部90の他の一部では、第1突起91および第2突起92の双方が位置し、2つの第1突起91と2つの第2突起92が交互に並んでいる。
【0056】
このように構成した電気光学装置100では、実施の形態1と同様、シール材95の内部を水分が透過して侵入する経路が狭く、かつ、図5(d)に矢印L1で示すように、第1突起91および第2突起92の双方が位置している部分では、シール材95の内部を水分が直進して侵入する経路が存在しないなど、実施の形態1と同様な理由から、シール部90からの水分の侵入を確実に防止することができる。
【0057】
また、本形態において、第1突起91は、シール部90を直角に横切る方向Cおよび画素領域10bの周りを囲む方向Rで連続的に形成されているため、水分が第1突起91の間を通り抜けて侵入するという経路(図4(a)に矢印L2で示す経路)が存在しない。それ故、本形態によれば、実施の形態1に比較して、シール部90からの水分の侵入をより確実に防止することができる。
【0058】
[実施の形態3]
図6(a)、(b)、(c)、(d)は各々、本発明の実施の形態3に係る電気光学装置100において、第1基板10のシール部90に相当する領域を平面視したときの説明図、第2基板20のシール部90に相当する領域を平面視したときの説明図、第1基板10と第2基板20とをシール材で貼り合わせた後のシール部90を平面視したときの説明図、およびシール部90の断面図である。なお、図6(b)では、図6(a)に示す第1突起との位置関係が分りやすいように、外面から第2基板20を透視した様子を示してある。また、本形態の基本的な構成は、実施の形態1、2と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0059】
図6(a)、(c)、(d)に示すように、本形態の電気光学装置100では、第1基板10において、シール部90に相当する領域には、第1基板10から第2基板20に向けて突出する第1突起91が形成され、図6(b)、(c)、(d)に示すように、第2基板20において、シール部90に相当する領域には、第2基板20から第1基板10に向けて突出する第2突起92が形成されている。
【0060】
本形態において、第1突起91は、画素領域10bの周りを囲む方向Rに沿って線状に連続的に延びており、シール部90を直角に横切る方向Cに2重に形成されている。第2突起92も、第1突起91と同様、画素領域10bの周りを囲む方向Rに沿って線状に連続的に延びており、シール部90を直角に横切る方向Cに2重に形成されている。ここで、第1突起91同士の間隔と第2突起92同士の間隔とは等しく、これらの幅寸法は、第1突起91および第2突起92の幅寸法よりわずかに広い。また、第1突起91の第1基板10からの突出寸法h1と第2突起92の第2基板20からの突出寸法h2との和は、第1基板10と第2基板20との隙間寸法Gより大きい。従って、第1基板10と第2基板20とをシール材95で貼り合わせると、図6(d)に示すように、第1突起91の先端部分は、第2突起92の間に入り込み、第2突起92の先端部分は、第1突起91の間に入り込む。また、本形態では、図6(c)に示すように、シール部90の全体において、シール部90を直角に横切る仮想の線C1上に第1突起91および第2突起92が各々、2つずつ位置し、2つの第1突起91と2つの第2突起92が交互に並んでいる。
【0061】
このように構成した電気光学装置100では、実施の形態1と同様、シール材95の内部を水分が透過して侵入する経路が狭く、かつ、図6(d)に矢印L1で示すように、第1突起91および第2突起92の双方が位置している部分では、シール材95の内部を水分が直進して侵入する経路が存在しないなど、実施の形態1と同様な理由から、シール部90からの水分の侵入を確実に防止することができる。
【0062】
また、本形態において、第1突起91および第2突起92の双方が、画素領域10bの周りを囲む方向Rで連続的に形成されているため、水分が第1突起91の間を通り抜けて侵入するという経路(図4(a)に矢印L2で示す経路)や第2突起92の間を通り抜けて侵入するという経路(図4(b)に矢印L3で示す経路)が存在しない。しかも、シール部90の全体において、シール部90を直角に横切る仮想の線C1上で2つの第1突起91と2つの第2突起92が交互に並んでいるため、水分がシール材95を透過していく経路が極めて長い。それ故、本形態によれば、実施の形態1に比較して、シール部90からの水分の侵入をより確実に防止することができる。
【0063】
[実施の形態4]
図7は、本発明の実施の形態4に係る電気光学装置100における第1基板10と第2基板20とのシール部90の断面図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1〜3と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。図7に示すように、本形態の電気光学装置100では、第1基板10と第2基板20とのシール部90には、第1基板10から第2基板20に向けて突出する第1突起91と、第2基板20から第1基板10に向けて突出する第2突起92とが形成されている。
【0064】
本形態では、第1突起91の第1基板10からの突出寸法h1と、第2突起92の第2基板20からの突出寸法h2とは等しい。このため、第1突起91の先端部と第2基板20との隙間寸法G1と、第2突起92先端部と第1基板10との隙間寸法G2とが等しい。それ故、シール材95にビーズ状あるいはファイバー状のギャップ材96を配合した場合、ギャップ材96は、第1突起91の先端部と第2基板20との間、および第2突起92先端部と第1基板10との間のいずれにおいても、第1基板10と第2基板20との隙間寸法Gを制御するので、第1基板10と第2基板20との隙間寸法Gに高い精度を得ることができる。
【0065】
また、第1突起91の第1基板10からの突出寸法h1と第2突起92の第2基板20からの突出寸法h2との和を第1基板10と第2基板20との隙間寸法Gより大きく設定すれば、第1突起91の先端部分は、第2突起92の間に入り込み、第2突起92の先端部分は、第1突起91の間に入り込む。このため、ギャップ材96が周辺に流出しないので、第1基板10と第2基板20との隙間寸法Gに高い精度を得ることができる。その他の構成は実施の形態1〜3と同様であるため、説明を省略する。
【0066】
[実施の形態5]
図8は、本発明の実施の形態5に係る電気光学装置100における第1基板10と第2基板20とのシール部90の断面図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1〜3と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。図8に示すように、本形態の電気光学装置100において、第1基板10と第2基板20とのシール部90に、第1基板10から第2基板20に向けて突出する第1突起91と、第2基板20から第1基板10に向けて突出する第2突起92とを形成するにあたっては、第1基板10の画素領域10bに形成された膜や、第2基板20の画素領域10bに相当する領域内に形成された膜と同一の膜を利用することが好ましい。
【0067】
すなわち、第1基板10には、図3(b)を参照して説明したように、下地絶縁層12の上層に半導体層1a、ゲート絶縁層2、走査線3a、層間絶縁膜71、データ線6a、層間絶縁膜72、層間絶縁膜73、および画素電極9aが形成されているので、これらの膜と同時形成された1s、2s、3s、71s、6s、72s、73s、9sの全て、あるいはその一部を積層して第1突起91を形成することが好ましい。また、第2基板20には、遮光膜23a、カラーフィルタ22、オーバーコート層24、および共通電極21が形成されているので、これらの膜と同時形成された膜23s、22s、24s、21sの全て、あるいはその一部を積層して第2突起92を形成することが好ましい。このように構成すると、第1突起91および第2突起92を形成するのに新たな工程を追加しなくてもよいという利点がある。
【0068】
またに、第1突起91の最上層が画素電極9aと同時形成された膜9sで、第2突起92の最上層が共通電極21と同時形成された膜21sである場合には、膜9sを所定の配線と接続しておくとともに、シール材95に導電粒子97を配合しておけば、第1基板10と第2基板20とを導通させることができ、共通電極21を定電位に保持できる。それ故、図2(a)を参照して説明した基板間導通部109を構成することができる。
【0069】
この場合も、第1突起91の第1基板10からの突出寸法h1と、第2突起92の第2基板20からの突出寸法h2とを等しく設定しておけば、第1突起91の先端部と第2基板20との隙間寸法G1と、第2突起92先端部と第1基板10との隙間寸法G2とが等しい。それ故、導電粒子97は、第1突起91の先端部と第2基板20との間、および第2突起92先端部と第1基板10との間のいずれにおいても、基板間導通を行なうので、確実な基板間導通を実現することができる。
【0070】
また、第1突起91の第1基板10からの突出寸法h1と第2突起92の第2基板20からの突出寸法h2との和を第1基板10と第2基板20との隙間寸法Gより大きく設定すれば、第1突起91の先端部分は、第2突起92の間に入り込み、第2突起92の先端部分は、第1突起91の間に入り込む。このため、導電粒子97が周辺に流出しないので、第1基板10と第2基板20との基板間導通を確実に行なうことができる。その他の構成は実施の形態1〜3と同様であるため、説明を省略する。
【0071】
[実施の形態6]
以下、本発明を有機EL装置に適用した例を説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1〜3との対応が分りやすいように、可能な限り、対応する部分には同一の符号を付して説明する。
【0072】
(全体構成)
図9は、本発明の実施の形態6に係る電気光学装置(有機EL装置)の電気的構成を示すブロック図である。図10(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態6に係る電気光学装置をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図、およびそのJ−J′断面図である。
【0073】
図9に示す電気光学装置100は、有機EL装置であり、第1基板10上には、複数の走査線3aと、走査線3aに対して交差する方向に延びる複数のデータ線6aと、走査線3aに対して並列して延在する複数の電源線3eとを有している。また、第1基板10において、矩形形状の画素領域10bには複数の画素100aがマトリクス状に配列されている。データ線6aにはデータ線駆動回路101が接続され、走査線3aには走査線駆動回路104が接続されている。画素領域10bの各々には、走査線3aを介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用の薄膜トランジスタ30bと、このスイッチング用の薄膜トランジスタ30bを介してデータ線6aから供給される画素信号を保持する保持容量70と、保持容量70によって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動用の薄膜トランジスタ30cと、この薄膜トランジスタ30cを介して電源線3eに電気的に接続したときに電源線3eから駆動電流が流れ込む画素電極9a(陽極層)と、この画素電極9aと陰極層との間に有機機能層が挟まれた有機EL素子80を構成している。
【0074】
かかる構成によれば、走査線3aが駆動されてスイッチング用の薄膜トランジスタ30bがオンになると、そのときのデータ線6aの電位が保持容量70に保持され、保持容量70が保持する電荷に応じて、駆動用の薄膜トランジスタ30cのオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用の薄膜トランジスタ30cのチャネルを介して、電源線3eから画素電極9aに電流が流れ、さらに有機機能層を介して対極層に電流が流れる。その結果、有機EL素子80は、これを流れる電流量に応じて発光する。
【0075】
なお、図9に示す構成では、電源線3eは走査線3aと並列していたが、電源線3eがデータ線6aに並列している構成を採用してもよい。また、図9に示す構成では、電源線3eを利用して保持容量70を構成していたが、電源線3eとは別に容量線を形成し、かかる容量線によって保持容量70を構成してもよい。
【0076】
図10(a)、(b)において、本形態の電気光学装置100では、素子基板としての第1基板10と、封止基板としての第2基板とがシール部90によって貼り合わされている。第1基板10と第2基板20との間は窒素雰囲気になっているとともに、乾燥剤(図示せず)が収納されている。第1基板10において、シール部90の外側の領域には、データ線駆動回路101、およびITO膜からなる端子102が第1基板10の一辺に沿って設けられており、端子102が配列された辺に隣接する2辺に沿って走査線駆動回路104が形成されている。第1基板10の残る一辺には、画像表示領域10aの両側に設けられた走査線駆動回路104間をつなぐための複数の配線103が設けられている。詳しくは後述するが、第1基板10には、画素電極(陽極)、有機機能層および陰極がこの順に積層された有機EL素子80がマトリクス状に形成されている。
【0077】
(画素の詳細な構成)
図11(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態6に係る電気光学装置100の相隣接する画素2つ分の平面図、および画素1つ分の断面図である。なお、図11(b)は図11(a)のB−B′線における断面図であり、図11(a)では、画素電極9aは長い点線で示し、データ線6aおよびそれと同時形成された薄膜は一点鎖線で示し、走査線3aは実線で示し、半導体層は短い点線で示してある。
【0078】
図11(a)、(b)に示すように、第1基板10上には、マトリクス状に複数の透明な画素電極9a(長い点線で囲まれた領域)が画素100a毎に形成され、画素電極9aの縦横の境界領域に沿ってデータ線6a(一点鎖線で示す領域)、および走査線3a(実線で示す領域)が形成されている。また、第1基板10において、走査線3aと並列して電源線3eが形成されている。
【0079】
図11(b)に示す第1基板10の基体は、石英基板や耐熱性のガラス基板などの支持基板10dからなる。第1基板10では、支持基板10dの表面にシリコン酸化膜などからなる下地絶縁層12が形成されているとともに、その表面側において、画素電極9aに対応する領域に薄膜トランジスタ30cが形成されている。薄膜トランジスタ30cは、島状の半導体層1aに対して、チャネル領域1g、ソース領域1h、およびドレイン領域1iが形成されている。半導体層1aの表面側にはゲート絶縁層2が形成されており、ゲート絶縁層2の表面にゲート電極3fが形成されている。かかるゲート電極3fは、薄膜トランジスタ30bのドレインに電気的に接続されている。なお、薄膜トランジスタ30bの基本的な構成は、薄膜トランジスタ30cと同様であるため、説明を省略する。
【0080】
薄膜トランジスタ30cの上層側には、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜からなる層間絶縁膜71、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜からなる層間絶縁膜72、および厚さが1.5〜2.0μmの厚い感光性樹脂からなる層間絶縁膜73(平坦化膜)が形成されている。層間絶縁膜71の表面(層間絶縁膜71、72の層間)にはソース電極6gおよびドレイン電極6hが形成され、ソース電極6gは、層間絶縁膜71に形成されたコンタクトホール71gを介してソース領域1hに電気的に接続している。また、ドレイン電極6hは、層間絶縁膜71に形成されたコンタクトホール71hを介してドレイン領域1iに電気的に接続している。層間絶縁膜73の表面にはITO膜からなる画素電極9aが形成されている。画素電極9aは、層間絶縁膜72、73に形成されたコンタクトホール73gを介してドレイン電極6hに電気的に接続している。
【0081】
また、画素電極9aの上層には、発光領域を規定するための開口部を備えたシリコン酸化膜などからなる隔壁層5a、および感光性樹脂などからなる厚い隔壁層5bが形成されている。隔壁層5aおよび隔壁層5bで囲まれた領域内において、画素電極9aの上層には、3、4−ポリエチレンジオシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)などからなる正孔注入層81、および発光層82からなる有機機能層が形成され、発光層82の上層には陰極層85が形成されている。このようにして、画素電極9a、正孔注入層81、発光層82および陰極層85によって、有機EL素子80が構成されている。発光層82は、例えば、ポリフルオレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン誘導体、またはこれらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素、例えばルブレン、ペリレン、9、10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等をドープした材料から構成される。また、発光層82としては、二重結合のπ電子がポリマー鎖上で非極在化しているπ共役系高分子材料が、導電性高分子でもあることから発光性能に優れるため、好適に用いられる。特に、その分子内にフルオレン骨格を有する化合物、すなわちポリフルオレン系化合物がより好適に用いられる。また、このような材料以外にも、共役系高分子有機化合物の前駆体と、発光特性を変化させるための少なくとも1種の蛍光色素とを含んでなる組成物も使用可能である。本形態において、有機機能層は、インクジェット法などの塗布法により形成される。なお、塗布法としては、フレキソ印刷法、スピンコート法、スリットコート法、ダイコート法などが採用される場合もある。また、有機機能層については、低分子材料を用いた場合、蒸着法などにより形成される場合もある。さらに、発光層82と陰極層85との層間にはLiFなどからなる電子注入層が形成されることもある。
【0082】
トップエミッション型の有機EL装置の場合、支持基板10dからみて有機EL素子80が形成されている側から光を取り出すので、陰極層85は、薄いアルミニウム膜や、マグネシウムやリチウムなどの薄い膜をつけて仕事関数を調整したITO膜などといった透光性電極として形成され、支持基板10dとしては、ガラスなどの透明基板の他、不透明基板も用いることができる。不透明基板としては、例えば、アルミナなどのセラミックス、ステンレススチールなどの金属板に表面酸化などの絶縁処理を施したもの、樹脂基板などが挙げられる。これに対して、ボトムエミッション型の有機EL装置の場合、支持基板10dの側から光を取り出すので、支持基板10dとしては、ガラスなどの透明基板が用いられる。
【0083】
(シール部90の構成)
このように構成した電気光学装置100において、正孔注入層81および発光層82からなる有機機能層などは水分や酸素により劣化しやすい。従って、実施の形態1〜3で説明したシール部90の構成を本形態の電気光学装置100に適用すれば、シール部90を介しての水分や酸素の侵入を確実に防止することができるので、電気光学装置100の信頼性を向上することができる。また、第1基板10には、画素領域10b内に複数種類の膜が形成されているので、これらの膜の全部あるいは一部を積層して第1突起91を形成すれば、製造工程数が少なくてよいという利点がある。
【0084】
なお、上記形態では、第2基板20を封止基板として用いた例であったが、いずれの有機EL素子80からも白色光を出射し、それをカラーフィルタ基板で着色する場合、かかるカラーフィルタ基板を第2基板20として用いることになる。この場合、実施の形態1などで説明した液晶装置と同様、第2基板20にカラーフィルタやオーバーコート層が形成されるので、かかる膜と同一の膜を用いて第2突起92を形成すればよい。
【0085】
[他の実施の形態]
上記形態では、第1突起10および第2突起20が4重あるいは2重に形成されている場合を例に説明したが、第1突起10および第2突起20が3重あるいは1重でもよく、いずれの場合も、シール部90の略全体で、シール部90を横切る仮想の線上に第1突起10および第2突起20の双方が位置することが好ましい。但し、シール部90を横切る仮想の線上に第1突起10および第2突起20の一方のみが位置する場合でも、図13を参照して説明した構成に比較して水分の侵入を阻止する効果は向上する。
【0086】
[電子機器への搭載例]
次に、図12を参照して、上述した実施形態1〜6に係る電気光学装置100を適用した電子機器について説明する。図12は、本発明に係る電気光学装置を用いた電子機器の説明図である。
【0087】
図12(a)に、電気光学装置100を備えたモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す。パーソナルコンピュータ2000は、表示ユニットとしての電気光学装置100と本体部2010を備える。本体部2010には、電源スイッチ2001及びキーボード2002が設けられている。図12(b)に、電気光学装置100を備えた携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001及びスクロールボタン3002、並びに表示ユニットとしての電気光学装置100を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、電気光学装置100に表示される画面がスクロールされる。図12(c)に、電気光学装置100を適用した情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001及び電源スイッチ4002、並びに表示ユニットとしての電気光学装置100を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が電気光学装置100に表示される。なお、電気光学装置100が適用される電子機器としては、図12(a)〜(c)に示すものの他、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器の表示部として、前述した電気光学装置100が適用可能である。
【0088】
次に、図12(d)を参照して、本発明の実施の形態1〜5に係る電気光学装置100(液晶装置)をプロジェクタ(投射型表示装置)の液晶ライトバルブに採用した例について図面を参照して説明する。図12(d)は、プロジェクタの概略構成図である。プロジェクタ110は、観察者側に設けられたスクリーン111に光を照射し、このスクリーン111で反射した光を観察する、いわゆる投影型のプロジェクタである。そして、プロジェクタ110は、光源112と、ダイクロイックミラー113、114と、液晶ライトバルブ115〜117(電気光学装置100)と、投射光学系118と、クロスダイクロイックプリズム119と、リレー系120とを備えている。
【0089】
光源112は、赤色光、緑色光及び青色光を含む光を供給する超高圧水銀ランプで構成されている。ダイクロイックミラー113は、光源112からの赤色光を透過させると共に緑色光及び青色光を反射する構成となっている。また、ダイクロイックミラー114は、ダイクロイックミラー113で反射された緑色光及び青色光のうち青色光を透過させると共に緑色光を反射する構成となっている。このように、ダイクロイックミラー113、114は、光源112から出射した光を赤色光と緑色光と青色光とに分離する色分離光学系を構成する。ここで、ダイクロイックミラー113と光源112との間には、インテグレータ121及び偏光変換素子122が光源112から順に配置されている。インテグレータ121は、光源112から照射された光の照度分布を均一化する構成となっている。また、偏光変換素子122は、光源112からの光を例えばs偏光のような特定の振動方向を有する偏光にする構成となっている。
【0090】
液晶ライトバルブ115は、ダイクロイックミラー113を透過して反射ミラー123で反射した赤色光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶装置(電気光学装置)である。液晶ライトバルブ115は、λ/2位相差板115a、第1偏光板115b、液晶パネル115c及び第2偏光板115dを備えている。ここで、液晶ライトバルブ115に入射する赤色光は、ダイクロイックミラー113を透過しても光の偏光は変化しないことから、s偏光のままである。λ/2位相差板115aは、液晶ライトバルブ115に入射したs偏光をp偏光に変換する光学素子である。また、第1偏光板115bは、s偏光を遮断してp偏光を透過させる偏光板である。そして、液晶パネル115cは、p偏光を画像信号に応じた変調によってs偏光(中間調であれば円偏光又は楕円偏光)に変換する構成となっている。さらに、第2偏光板115dは、p偏光を遮断してs偏光を透過させる偏光板である。したがって、液晶ライトバルブ115は、画像信号に応じて赤色光を変調し、変調した赤色光をクロスダイクロイックプリズム119に向けて射出する構成となっている。なお、λ/2位相差板115a及び第1偏光板115bは、偏光を変換させない透光性のガラス板115eに接した状態で配置されており、λ/2位相差板115a及び第1偏光板115bが発熱によって歪むのを回避することができる。
【0091】
液晶ライトバルブ116は、ダイクロイックミラー113で反射した後にダイクロイックミラー114で反射した緑色光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶装置である。そして、液晶ライトバルブ116は、液晶ライトバルブ115と同様に、第1偏光板116b、液晶パネル116c及び第2偏光板116dを備えている。液晶ライトバルブ116に入射する緑色光は、ダイクロイックミラー113、114で反射されて入射するs偏光である。第1偏光板116bは、p偏光を遮断してs偏光を透過させる偏光板である。また、液晶パネル116cは、s偏光を画像信号に応じた変調によってp偏光(中間調であれば円偏光又は楕円偏光)に変換する構成となっている。そして、第2偏光板116dは、s偏光を遮断してp偏光を透過させる偏光板である。したがって、液晶ライトバルブ116は、画像信号に応じて緑色光を変調し、変調した緑色光をクロスダイクロイックプリズム119に向けて射出する構成となっている。
【0092】
液晶ライトバルブ117は、ダイクロイックミラー113で反射し、ダイクロイックミラー114を透過した後でリレー系120を経た青色光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶装置である。そして、液晶ライトバルブ117は、液晶ライトバルブ115、116と同様に、λ/2位相差板117a、第1偏光板117b、液晶パネル117c及び第2偏光板117dを備えている。ここで、液晶ライトバルブ117に入射する青色光は、ダイクロイックミラー113で反射してダイクロイックミラー114を透過した後にリレー系120の後述する2つの反射ミラー125a、125bで反射することから、s偏光となっている。λ/2位相差板117aは、液晶ライトバルブ117に入射したs偏光をp偏光に変換する光学素子である。また、第1偏光板117bは、s偏光を遮断してp偏光を透過させる偏光板である。そして、液晶パネル117cは、p偏光を画像信号に応じた変調によってs偏光(中間調であれば円偏光又は楕円偏光)に変換する構成となっている。さらに、第2偏光板117dは、p偏光を遮断してs偏光を透過させる偏光板である。したがって、液晶ライトバルブ117は、画像信号に応じて青色光を変調し、変調した青色光をクロスダイクロイックプリズム119に向けて射出する構成となっている。なお、λ/2位相差板117a及び第1偏光板117bは、ガラス板117eに接した状態で配置されている。
【0093】
リレー系120は、リレーレンズ124a、124bと反射ミラー125a、125bとを備えている。リレーレンズ124a、124bは、青色光の光路が長いことによる光損失を防止するために設けられている。ここで、リレーレンズ124aは、ダイクロイックミラー114と反射ミラー125aとの間に配置されている。また、リレーレンズ124bは、反射ミラー125a、125bの間に配置されている。反射ミラー125aは、ダイクロイックミラー114を透過してリレーレンズ124aから出射した青色光をリレーレンズ124bに向けて反射するように配置されている。また、反射ミラー125bは、リレーレンズ124bから出射した青色光を液晶ライトバルブ117に向けて反射するように配置されている。クロスダイクロイックプリズム119は、2つのダイクロイック膜119a、119bをX字型に直交配置した色合成光学系である。ダイクロイック膜119aは青色光を反射して緑色光を透過する膜であり、ダイクロイック膜119bは赤色光を反射して緑色光を透過する膜である。したがって、クロスダイクロイックプリズム119は、液晶ライトバルブ115〜117のそれぞれで変調された赤色光と緑色光と青色光とを合成し、投射光学系118に向けて射出するように構成されている。
【0094】
なお、液晶ライトバルブ115、117からクロスダイクロイックプリズム119に入射する光はs偏光であり、液晶ライトバルブ116からクロスダイクロイックプリズム119に入射する光はp偏光である。このようにクロスダイクロイックプリズム119に入射する光を異なる種類の偏光としていることで、クロスダイクロイックプリズム119において各液晶ライトバルブ115〜117から入射する光を有効に合成できる。ここで、一般に、ダイクロイック膜119a、119bはs偏光の反射特性に優れている。このため、ダイクロイック膜119a、119bで反射される赤色光及び青色光をs偏光とし、ダイクロイック膜119a、119bを透過する緑色光をp偏光としている。投射光学系118は、投影レンズ(図示略)を有しており、クロスダイクロイックプリズム119で合成された光をスクリーン111に投射するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の実施の形態1に係る電気光学装置(液晶装置)に用いた素子基板の電気的な構成を示す等価回路図である。
【図2】(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図、およびそのH−H′断面図である。
【図3】(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置の相隣接する画素2つ分の平面図、および画素1つ分の断面図である。
【図4】(a)、(b)、(c)、(d)は各々、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置において、第1基板のシール部に相当する領域を平面視したときの説明図、第2基板のシール部に相当する領域を平面視したときの説明図、第1基板と第2基板とをシール材で貼り合わせた後のシール部を平面視したときの説明図、およびシール部の断面図である。
【図5】(a)、(b)、(c)、(d)は各々、本発明の実施の形態2に係る電気光学装置において、第1基板のシール部に相当する領域を平面視したときの説明図、第2基板のシール部に相当する領域を平面視したときの説明図、第1基板と第2基板とをシール材で貼り合わせた後のシール部を平面視したときの説明図、およびシール部の断面図である。
【図6】(a)、(b)、(c)、(d)は各々、本発明の実施の形態3に係る電気光学装置において、第1基板のシール部に相当する領域を平面視したときの説明図、第2基板のシール部に相当する領域を平面視したときの説明図、第1基板と第2基板とをシール材で貼り合わせた後のシール部を平面視したときの説明図、およびシール部の断面図である。
【図7】本発明の実施の形態4に係る電気光学装置における第1基板と第2基板とのシール部の断面図である。
【図8】本発明の実施の形態5に係る電気光学装置における第1基板と第2基板とのシール部の断面図である。
【図9】本発明の実施の形態6に係る電気光学装置(有機EL装置)に用いた素子基板の電気的な構成を示す等価回路図である。
【図10】(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態6に係る電気光学装置をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図、およびそのJ−J′断面図である。
【図11】(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態6に係る電気光学装置の相隣接する画素2つ分の平面図、および画素1つ分の断面図である。
【図12】本発明に係る電気光学装置を用いた電子機器の説明図である。
【図13】従来の電気光学装置のシール部の断面図である。
【符号の説明】
【0096】
9a・・画素電極、10・・第1基板、10b・・画素領域、20・・第2基板、30a、30b、30c・・薄膜トランジスタ(画素トランジスタ)、50・・液晶、80・・有機EL素子、90・・シール部、91・・第1突起、92・・第2突起、95・・シール材、100・・電気光学装置、100a・・画素
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置や有機エレクトロルミネッセンス(以下有機ELという)装置などといった電気光学装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気光学装置として代表的なものとしては、液晶装置や有機EL装置などが挙げられ、かかる電気光学装置では、図13(a)に示すように、画素電極および画素トランジスタを備えた画素が複数、配列された画素領域が形成された第1基板10と、第1基板10に対向配置された第2基板20と、画素領域10bを外側で囲む位置で第1基板10と第2基板20とをシール材95Xで貼り合わせたシール部90Xとを有している。このような電気光学装置のうち、液晶装置においては、シール部90は液晶層を保持するとともに、内側に水分が侵入して液晶材料や配向膜が劣化することを防止する機能を担い、有機EL装置において、第2基板20およびシール部90は、内側に水分が侵入して有機EL素子の機能層などが劣化するのを防止する機能を担っている。
【0003】
しかしながら、図13(a)に示すシール部90Xでは、シール材95Xと第1基板10との界面を伝っての水分の侵入経路L11、シール材95Xと第2基板20との界面を伝っての水分の侵入経路L12、およびシール材95Xの内部自身を透過しての水分の侵入経路L13が存在するため、シール部90Xの内側に水分が侵入するのを完全に防止することは不可能である。
【0004】
そこで、図13(b)に示すように、シール部90Yに2種類のシール材951Y、952Yを用いることが提案されている(特許文献1参照)。また、図13(c)に示すように、シール部90Zにおいて、第2基板20に凹部92Zを形成する一方、第1基板10に、凹部92Z内に向けて突出する突起91Zを形成した上でシール材95Zにより封止することが提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2005−78003号公報
【特許文献2】特開2007−10888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図13(b)に示す構成では、2種類のシール材951Y、952Yを塗布、硬化するのに多大な手間がかかるため、生産性が低下するとともに、2種類のシール材951Y、952Yを用いても、シール材951Y、952Yと第1基板10との界面を伝っての水分の侵入や、シール材951Y、952Yと第2基板20との界面を伝っての水分の侵入を確実に防止することは不可能である。また、図13(c)に示す構成では、第2基板20に対する凹部92Zの形成や、凹部92Z内に届く程の高さ寸法をもった突起91Zの第1基板10への形成に多大な手間が発生するので、生産性が低下する。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、複数種類のシール材の使用や、基板への凹部の形成を行なわなくても、シール部からの水分の侵入を防止することのできる電気光学装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、画素電極および画素トランジスタを備えた画素が複数、配列された画素領域が形成された第1基板と、該第1基板に対向配置された第2基板と、前記画素領域を外側で囲む位置で前記第1基板と前記第2基板とをシール材で貼り合わせたシール部とを有する電気光学装置において、前記シール部には、前記第1基板から前記2基板に向けて突出する第1突起と、該第1突起からずれた位置で前記第2基板から前記1基板に向けて突出する第2突起とが形成され、前記シール部を平面視したとき、前記シール部を横切る仮想の線上には前記第1突起および前記第2突起のうちの少なくとも一方が位置していることを特徴とする。
【0008】
本発明において、第1基板と第2基板とをシール材で貼り合わせたシール部では、第1基板に第1突起が形成されているため、第1突起が形成されている部分では、シール材の内部を透過する水分の侵入経路が狭められている。また、第1突起が形成されている部分では、第1基板とシール材との界面を伝って水分が侵入することがないとともに、第1突起とシール材との界面を伝って水分が侵入する経路は、第1突起を回り込む必要がある分、長い。さらに、シール部では、第2基板に第2突起が形成されているため、第2突起が形成されている部分では、シール材の内部を透過する水分の侵入経路が狭められている。また、第2突起が形成されている部分では、第2基板とシール材との界面を伝って水分が侵入することがないとともに、第2突起とシール材との界面を伝って水分が侵入する経路は、第2突起を回り込む必要がある分、長い。それ故、複数種類のシール材の使用や、基板への凹部の形成を行なわなくても、シール部からの水分の侵入を防止することができる。
【0009】
本発明において、前記シール部を平面視したとき、前記シール部の一部では、当該シール部を横切る仮想の線上に前記第1突起および前記第2突起の双方が位置していることが好ましい。このように構成すると、前記第1突起および前記第2突起の双方が位置している部分では、シール材の内部を透過する水分の侵入経路を効果的に狭めることができ、シール部からの水分の侵入を効果的に防止することができる。
【0010】
このような構成は、例えば、前記シール部を平面視したとき、前記第1突起および前記第2突起のうちの少なくとも一方が、前記画素領域を囲む方向で分割されている構成を採用した場合に発生する。このように構成すると、第1突起と第2突起との間に充填されたシール材のうち、余剰なシール材を第1突起と第2突起との間からスムーズに排出することができるという利点がある。
【0011】
本発明において、前記シール部を平面視したとき、前記シール部の全体で、当該シール部を横切る仮想の線上に前記第1突起および前記第2突起の双方が位置していることが好ましい。このように構成すると、シール部の全体でシール材の内部を透過する水分の侵入経路を大幅に狭めることができ、シール部からの水分の侵入を大幅に防止することができる。
【0012】
このような構成は、例えば、前記シール部を平面視したとき、前記第1突起および前記第2突起はいずれも、前記画素領域を囲む方向で連続している構成を採用することにより実現することができる。
【0013】
本発明において、前記第1突起の前記第1基板からの突出寸法と前記第2突起の前記第2基板からの突出寸法との和は、前記第1基板と前記第2基板との隙間寸法より大きいことが好ましい。このように構成すると、第1突起および第2突起の双方が位置している部分では、シール材の内部を水分が直進して侵入する経路が存在せず、かつ、シール材の内部を透過する水分は、第1突起および第2突起を回り込む必要がある分、侵入経路が長いので、シール部からの水分の侵入を確実に防止することができる。
【0014】
本発明において、前記シール部を平面視したとき、前記第1突起および前記第2突起のうちの少なくとも一方は、前記仮想の線上で多重に形成され、当該仮想の線上では前記第1突起と前記第2突起とが交互に並んでいることが好ましい。このように構成すると、シール部からの水分の侵入をより確実に防止することができる。
【0015】
本発明において、前記第1突起および前記第2突起のうちの少なくとも一方の突起は、当該突起が形成されている基板において前記画素領域内に形成されている1乃至複数の膜と同一の膜からなることが好ましい。このように構成すると、新たな工程を追加しなくても、第1突起または/および第2突起を形成することができる。
【0016】
本発明に係る電気光学装置を液晶装置として構成する場合、前記第1基板と前記第2基板は、前記シール部で囲まれた領域内に液晶層を保持している構成とする。
【0017】
本発明に係る電気光学装置を有機EL装置として構成する場合、前記第1基板において、前記画素電極上に有機EL素子用の機能層が形成されている構成とする。
【0018】
本発明を適用した電気光学装置は、携帯電話機あるいはモバイルコンピュータなどの電子機器において直視型の表示部などとして用いられる。また、本発明を適用した液晶装置(電気光学装置)は、投射型表示装置のライトバルブとして用いることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を説明する。以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。なお、薄膜トランジスタでは、印加する電圧によってソースとドレインが入れ替わるが、以下の説明では、説明の便宜上、画素電極が接続されている側をドレインとして説明する。
【0020】
[実施の形態1]
(全体構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置(液晶装置)に用いた素子基板の電気的な構成を示す等価回路図である。図2(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図、およびそのH−H′断面図である。
【0021】
図1に示すように、本形態の電気光学装置100は液晶装置であり、矩形の平面形状を有する画素領域10bには複数の画素100aがマトリクス状に形成されている。複数の画素100aの各々には、画素電極9a、および画素電極9aを制御するための画素スイッチング用の薄膜トランジスタ30a(画素トランジスタ)が形成されている。データ線駆動回路101から延びたデータ線6aは、薄膜トランジスタ30aのソースに電気的に接続されており、データ線駆動回路101は、データ線6aに画像信号を線順次で供給する。走査線駆動回路104から延びた走査線3aは、薄膜トランジスタ30aのゲートに電気的に接続されており、走査線駆動回路104は、走査線3aに走査信号を線順次で供給する。画素電極9aは、薄膜トランジスタ30aのドレインに電気的に接続されており、電気光学装置100では、薄膜トランジスタ30aを一定期間だけそのオン状態とすることにより、データ線6aから供給される画像信号を各画素100aの液晶容量50aに所定のタイミングで書き込む。液晶容量50aに書き込まれた所定レベルの画像信号は、第1基板10に形成された画素電極9aと、後述する対向基板の共通電極との間で一定期間保持される。画素電極9aと共通電極との間には保持容量60が形成されており、画素電極9aの電圧は、例えば、ソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ保持される。これにより、電荷の保持特性は改善され、コントラスト比の高い表示を行うことのできる電気光学装置100が実現される。本形態では、保持容量60を構成するにあたって、走査線3aと並行するように容量線3bが形成されているが、前段の走査線3aとの間に保持容量60が形成される場合もある。また、フリンジフィールドスイッチング(FFS(Fring Field Switching))モードの液晶装置の場合、共通電極は、画素電極9aと同様、第1基板10上に形成される。
【0022】
図2(a)、(b)において、本形態の電気光学装置100は、透過型のアクティブマトリクス型液晶装置である。素子基板としての第1基板10の上には、シール部90が矩形枠状に設けられており、シール部90によって、対向基板としての第2基板20と、第1基板10とが貼り合わされている。第2基板20とシール部90とは略同一の輪郭を備えており、シール部90で囲まれた領域内に液晶層50が保持されている。液晶層50は、例えば一種または数種のネマティック液晶を混合したものなどからなる。なお、シール部90の角部分には第1基板10と第2基板20との間で電気的な接続を行なうための基板間導通部109が配置されている。また、シール部90は一部が途切れており、かかる途切れ部分を利用して、シール部90で囲まれた領域内に液晶が充填された後、途切れ部分は封止材107で塞がれる。
【0023】
第1基板10において、シール部90の外側領域(画素領域10bの外側領域)には、データ線駆動回路101、およびITO(Indium Tin Oxide)膜からなる端子102が第1基板10の一辺に沿って設けられており、端子102には、外部回路との電気的な接続を行なうフレキシブル配線基板(図示せず)が接続される。また、第1基板10において、シール部90の外側領域(画素領域10bの外側領域)には、端子102が配列された辺に隣接する2辺に沿って走査線駆動回路104が形成されている。第1基板10の残る一辺には、画像表示領域10aの両側に設けられた走査線駆動回路104間をつなぐための複数の配線103が設けられている。さらに、第2基板20に形成された遮光膜からなる額縁23bの下などを利用して、プリチャージ回路や検査回路などの周辺回路が設けられることもある。
【0024】
詳しくは後述するが、第1基板10には、画素電極9aがマトリクス状に形成されている。これに対して、第2基板20には、シール部90の内側領域に遮光性材料からなる額縁23bが形成され、その内側が画像表示領域10aとされている。第2基板20では、第1基板10の画素電極9aの縦横の境界領域と対向する領域にブラックマトリクス、あるいはブラックストライプなどと称せられる遮光膜23aが形成されている。遮光膜23aおよび額縁23bはいずれも同一の遮光材料から形成されている。
【0025】
このように構成した電気光学装置100において、画像表示領域10aは、図1を参照して説明した画素領域10bと重なる領域であるが、画素領域10bの外周に沿って、表示に直接寄与しないダミーの画素が形成される場合があり、この場合、画素領域10bのうち、ダミーの画素を除いた領域によって画像表示領域10aが構成される。
【0026】
(画素の詳細な構成)
図3(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置100の相隣接する画素2つ分の平面図、および画素1つ分の断面図である。なお、図3(b)は図3(a)のA−A′線における断面図であり、図3(a)では、画素電極9aは長い点線で示し、データ線6aおよびそれと同時形成された薄膜は一点鎖線で示し、走査線3aは実線で示し、半導体層は二点鎖線で示してある。
【0027】
図3(a)、(b)に示すように、第1基板10上には、マトリクス状に複数の透明な画素電極9aが画素100a毎に形成され、画素電極9aの縦横の境界領域に沿ってデータ線6a、および走査線3aが形成されている。また、第1基板10において、走査線3aと並列して容量線3bが形成されている。
【0028】
図3(b)に示す第1基板10の基体は、石英基板や耐熱性のガラス基板などの支持基板10dからなり、第2基板20の基体は、石英基板や耐熱性のガラス基板などの支持基板20dからなる。第1基板10には、支持基板10dの表面にシリコン酸化膜などからなる下地絶縁層12が形成されているとともに、その表面側において、画素電極9aと対応する領域に薄膜トランジスタ30aが形成されている。薄膜トランジスタ30aは、島状の半導体層1aに対して、チャネル領域1g、低濃度ソース領域1b、高濃度ソース領域1d、低濃度ドレイン領域1c、および高濃度ドレイン領域1eが形成されたLDD(Lightly Doped Drain)構造を備えている。半導体層1aの表面側には、シリコン酸化膜あるいはシリコン窒化膜からなるゲート絶縁層2が形成されており、ゲート絶縁層2の表面にゲート電極(走査線3a)が形成されている。半導体層1aは、第1基板10に対してアモルファスシリコン膜を形成した後、レーザアニールやランプアニールなどにより多結晶化されたポリシリコン膜、あるいは単結晶シリコン層である。図3(b)には、ゲート絶縁層2が半導体層1aの表面に熱酸化により形成されたものとして表されているが、ゲート絶縁層2はCVD法などにより形成される場合もある。なお、半導体層1aとしてはアモルファスシリコン膜が用いられることもある。
【0029】
薄膜トランジスタ30aの上層側には、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜からなる層間絶縁膜71、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜からなる層間絶縁膜72、および厚さが1.5〜2.0μmの厚い感光性樹脂からなる層間絶縁膜73(平坦化膜)が形成されている。層間絶縁膜71の表面(層間絶縁膜71、72の層間)にはデータ線6aおよびドレイン電極6bが形成され、データ線6aは、層間絶縁膜71に形成されたコンタクトホール71aを介して高濃度ソース領域1dに電気的に接続している。また、ドレイン電極6bは、層間絶縁膜71に形成されたコンタクトホール71bを介して高濃度ドレイン領域1eに電気的に接続している。
【0030】
層間絶縁膜73の表面にはITO膜からなる画素電極9aが形成されている。画素電極9aは、層間絶縁膜72、73に形成されたコンタクトホール73aを介してドレイン電極6bに電気的に接続している。画素電極9aの表面側にはポリイミド膜からなる配向膜16が形成されている。また、高濃度ドレイン領域1eからの延設部分1f(下電極)に対しては、ゲート絶縁層2と同時形成された絶縁層(誘電体膜)を介して、走査線3aと同層の容量線3bが上電極として対向することにより、保持容量60が構成されている。
【0031】
本形態において、走査線3aおよび容量線3bは同時形成された導電膜であり、モリブデン膜、アルミニウム膜、チタン膜、タングステン膜、タンタル膜、クロム膜などの金属単体膜、あるいはそれらの積層膜からなる。また、データ線6aおよびドレイン電極6bは同時形成された導電膜であり、モリブデン膜、アルミニウム膜、チタン膜、タングステン膜、タンタル膜、クロム膜などの金属単体膜、あるいはそれらの積層膜からなる。なお、図1および図2(a)、(b)に示す端子102は、層間絶縁膜71、72、73に形成したコンタクトホール、あるいは層間絶縁膜72、73に形成したコンタクトホールを介して、走査線3aやデータ線6aと同時形成された配線に電気的に接続されたITO膜からなる。
【0032】
第2基板20では、第1基板10の画素電極9aの間に対向する領域に遮光膜23aが形成されているとともに、遮光膜23aで挟まれた領域(画素電極9aと対向する領域)にカラーフィルタ22が形成されている。また、第2基板20では、遮光膜23aおよびカラーフィルタ22の表面に、樹脂層、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜などからなるオーバーコート層24が形成され、オーバーコート層24の表面には、ITO膜からなる共通電極21、および配向膜26が順に形成されている。遮光膜23aは遮光性を有する金属膜、あるいは遮光材料が配合されたアクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂、ポリイミド樹脂などの樹脂層からなる。
【0033】
このように構成した第1基板10と第2基板20とは、画素電極9aと共通電極21とが対面するように配置され、かつ、これらの基板間には、前記のシール部90(図2(a)、(b)参照)により囲まれた空間内に電気光学物質としての液晶層50が封入されている。液晶層50は、画素電極9aからの電界が印加されていない状態で配向膜16、26により所定の配向状態をとる。
【0034】
(シール部90の詳細構成)
図4(a)、(b)、(c)、(d)は各々、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置100において、第1基板10のシール部90に相当する領域を平面視したときの説明図、第2基板20のシール部90に相当する領域を平面視したときの説明図、第1基板10と第2基板20とをシール材で貼り合わせた後のシール部90を平面視したときの説明図、およびシール部90の断面図である。なお、図4(b)では、図4(a)に示す第1突起との位置関係が分りやすいように、外面から第2基板20を透視した様子を示してある。
【0035】
本形態の電気光学装置100において、図2(a)、(b)に示すシール部90では、第1基板10と第2基板20がエポキシ樹脂、フェノールノボラック樹脂などのシール95によって貼り合わされており、シール部90は、液晶層50を保持する機能と、外部から水分が侵入して液晶材料や配向膜16、26が劣化することを防止する機能とを担っている。本形態では、水分の侵入をより確実に防止する目的で、シール部90には以下の構成が採用されている。
【0036】
まず、図4(a)、(c)、(d)に示すように、第1基板10において、シール部90に相当する領域には、第1基板10から第2基板20に向けて突出する第1突起91が形成され、図4(b)、(c)、(d)に示すように、第2基板20において、シール部90に相当する領域には、第2基板20から第1基板10に向けて突出する第2突起92が形成されている。第1突起91と第2突起92は、図4(c)、(d)に示すように、第1基板10と第2基板20とをシール材95で貼り合わせた際、互いにずれた位置に形成されており、重なることはない。
【0037】
本形態において、第1突起91は、シール部90を直角に横切る方向Cに向かって4重に形成されている。ここで、第1突起91は、画素領域10bの周りを囲む方向R、およびシール部90を直角に横切る方向Cの双方で分割された複数の突起群からなり、第1突起91同士の間には隙間が形成されている。また、第1突起91は、シール部90を直角に横切る方向Cでは極めて狭い隙間を介して分割されているが、画素領域10bの周りを囲む方向Rでは、比較的広い隙間を介して分割されており、第1突起91の間には空きスペースがある。
【0038】
かかる第1突起91を形成するにあたって、本形態では、エポキシ樹脂などの樹脂材料をディスペンサからの吐出、あるいは転写などの方法で所定のパターンに塗布した後、樹脂材料に対する紫外線照射あるいは加熱により樹脂材料を硬化させる。また、第1突起91を形成するにあたって、感光性樹脂を用いた場合には、感光性樹脂を塗布した後、露光し、しかる後に現像してもよい。このような第1突起91は、シール材95と違って、帯状に塗布する必要がなく、かつ、基板の状態で形成できるなどの理由から材料面での制約が少なく、水分透過性が低い樹脂材料の使用や最適な条件での硬化が可能である。このため、第1突起91は、シール材95と比較して第1基板10に対する密着性が高くて水分の透過性が低い。
【0039】
第2突起92も、第1突起91と同様、シール部90を直角に横切る方向Cに向かって4重に形成されている。ここで、第2突起92も、第1突起91と同様、画素領域10bの周りを囲む方向R、およびシール部90を直角に横切る方向Cの双方で分割された複数の突起群からなる。但し、第2突起92は、第1突起91と違って、シール部90を直角に横切る方向C、および画素領域10bの周りを囲む方向Rのいずれにおいても、比較的広い隙間を介して分割されている。このようにして、第2突起92は、第1突起91の空き領域と重なる位置に形成されている。
【0040】
かかる第2突起92を形成するにあたって、本形態では、第1突起91と同様、エポキシ樹脂などの樹脂材料をディスペンサからの吐出、あるいは転写などの方法で所定のパターンに塗布した後、樹脂材料に対する紫外線照射あるいは加熱により樹脂材料を硬化させる。また、第2突起92を形成するにあたって、感光性樹脂を用いた場合には、感光性樹脂を塗布した後、露光し、しかる後に現像してもよい。このような第2突起92も、シール材95と違って、帯状に塗布する必要がなく、かつ、基板の状態で形成できるなどの理由から材料面での制約が少なく、水分透過性が低い樹脂材料の使用や最適な条件での硬化が可能である。このため、第2突起92は、シール材95と比較して第1基板10に対する密着性が高くて水分の透過性が低い。
【0041】
本形態において、第1突起91の第1基板10からの突出寸法h1と第2突起92の第2基板20からの突出寸法h2との和は、第1基板10と第2基板20との隙間寸法Gより大きい。従って、図4(d)に示すように、第1突起91の先端部分は、第2突起92の間に入り込んでおり、第2突起92の先端部分は、第1突起91の間に入り込んでいる。
【0042】
本形態の電気光学装置100を製造するにあたって、第1基板10と第2基板20とを貼り合わせるには、第1基板10および第2基板20のうちの一方、例えば、第2基板20に対して、ディスペンサからの吐出、あるいは転写などの方法で未硬化のシール材95を帯状に塗布した後、第1基板10と第2基板20とをシール材95を挟んで重ね合わせ、この状態で、シール材95を硬化させる。その際、第1基板10と第2基板20とは、第1突起91が第2突起92の空き領域内に位置し、第2突起92が第1突起91の空き領域内に位置するように重ね合わされる。
【0043】
その結果、シール部90を横切るいずれの仮想の線上にも第1突起91および第2突起92のうちの少なくとも一方が位置することになる。より具体的には、図4(c)に示すように、シール部90の一部では、シール部90を直角に横切る仮想の線C1上に計4重の第1突起91が位置し、シール部90の他の一部では、第1突起91および第2突起92の双方が2重ずつ位置し、2つの第1突起91と2つの第2突起92が交互に並んでいる。
【0044】
このように構成したシール部90では、シール材95にビーズ状あるいはファイバー状のギャップ材(図示せず)を配合しておけば、第1突起91の先端部と第2基板20との間、および第2突起92の先端部と第1基板10との間のうち、隙間が狭い方の間にギャップ材が介在するので、かかるギャップ材によって、第1基板10と第2基板20との隙間寸法Gを制御することができる。また、ギャップ材を用いない場合でも、第1基板10の画素境界領域などに第2基板20に向けて突出する柱状突起を形成しておけば、柱状突起の上端部が第2基板20に当接するので、第1基板10と第2基板20との隙間寸法Gを制御することができる。この場合、第1基板10に対する柱状突起の形成工程を利用して、第1突起91を形成してもよい。
【0045】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、第1基板10と第2基板30とをシール材95で貼り合わせたシール部90では、第1基板10に第1突起91が形成されているため、第1突起91が形成されている部分では、シール材95の内部を透過する水分の侵入経路が狭められている。また、第1突起90が形成されている部分では、第1基板10とシール材95との界面を伝って水分が侵入することがないとともに、第1突起91とシール材95との界面を伝って水分が侵入する経路は、図4(a)に矢印L2で示すように、第1突起91を回り込む必要がある分、長い。また、シール部90では、第2基板20に第2突起92が形成されているため、第2突起92が形成されている部分では、シール材95の内部を透過する水分の侵入経路が狭められている。また、第2突起92が形成されている部分では、第2基板20とシール材95との界面を伝って水分が侵入することがないとともに、第2突起92とシール材95との界面を伝って水分が侵入する経路は、図4(b)に矢印L3で示すように、第2突起92を回り込む必要がある分、長い。それ故、シール部90からの水分の侵入を防止することができる。
【0046】
また、シール部90の一部では、シール部90を横切る仮想の線C2上に第1突起91および第2突起92の双方が位置しているため、シール材95の内部を透過する水分の侵入経路を複数個所で狭めることができ、シール部90からの水分の侵入を効果的に防止することができる。しかも、第1突起91の第1基板10からの突出寸法h1と第2突起92の第2基板20からの突出寸法h2との和は、第1基板10と第2基板20との隙間寸法Gより大きい。従って、図4(d)に矢印L1で示すように、第1突起91および第2突起92の双方が位置している部分では、シール材95の内部を水分が直進して侵入する経路が存在せず、かつ、シール材95の内部を透過する水分は、第1突起91および第2突起92を回り込む必要がある分、侵入経路が長いので、シール部90からの水分の侵入を確実に防止することができる。
【0047】
さらに、本形態では、第1突起91および第2突起92が複数の突起群からなり、シール部90を直角に横切る方向C、および画素領域10bの周りを囲む方向Rのいずれにおいても分割されている。このため、第1基板10と第2基板20とを貼り合わせる際、第1突起91の間、第2突起92の間、第1突起91と第2突起92との間に充填されたシール材95のうち、余剰なシール材95を第1突起91と第2突起92との間からスムーズに排出することができ、第1基板10と第2基板20とをシール材95で好適に貼り合わせることができる。
【0048】
さらにまた、第1基板10に第1突起91が形成され、第2基板20に第2突起92が形成されているため、シール材95と第1基板10との接着面積、およびシール材95と第2基板20との接着面積が広いので、第1基板10と第1基板20との接着強度が大きいという利点もある。
【0049】
[実施の形態2]
図5(a)、(b)、(c)、(d)は各々、本発明の実施の形態2に係る電気光学装置100において、第1基板10のシール部90に相当する領域を平面視したときの説明図、第2基板20のシール部90に相当する領域を平面視したときの説明図、第1基板10と第2基板20とをシール材で貼り合わせた後のシール部90を平面視したときの説明図、およびシール部90の断面図である。なお、図5(b)では、図5(a)に示す第1突起との位置関係が分りやすいように、外面から第2基板20を透視した様子を示してある。また、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0050】
図5(a)、(c)、(d)に示すように、本形態の電気光学装置100では、第1基板10において、シール部90に相当する領域には、第1基板10から第2基板20に向けて突出する第1突起91が形成され、図5(b)、(c)、(d)に示すように、第2基板20において、シール部90に相当する領域には、第2基板20から第1基板10に向けて突出する第2突起92が形成されている。
【0051】
本形態において、第1突起91は、シール部90を直角に横切る方向Cに向かって4重に形成されている。ここで、第1突起91は、実施の形態1と略同様、画素領域10bの周りを囲む方向Rで離間するように配置された複数の突起群からなるが、実施の形態1と違って、シール部90を直角に横切る方向Cで近接する突起の角同士が繋がっている。このため、第1突起91は、全体としては、シール部90を直角に横切る方向Cおよび画素領域10bの周りを囲む方向Rで連続的に形成されている。
【0052】
第2突起92は、実施の形態1と同様、シール部90を直角に横切る方向Cに向かって4重に形成されており、画素領域10bの周りを囲む方向R、およびシール部90を直角に横切る方向Cの双方で分割された複数の突起群からなる。また、第2突起92は、第1突起91と違って、シール部90を直角に横切る方向C、および画素領域10bの周りを囲む方向Rのいずれにおいても、比較的広い隙間を介して分割されている。このようにして、第2突起92は、第1突起91の空き領域と重なる位置に形成されている。
【0053】
ここで、第1突起91の第1基板10からの突出寸法h1と第2突起92の第2基板20からの突出寸法h2との和は、第1基板10と第2基板20との隙間寸法Gより大きい。従って、図5(d)に示すように、第1突起91の先端部分は、第2突起92の間に入り込んでおり、第2突起92の先端部分は、第1突起91の間に入り込んでいる。
【0054】
本形態の電気光学装置100の製造するにあたっては、実施の形態1と同様、第1基板10と第2基板20とを貼り合わせる際、第1基板10および第2基板20のうちの一方、例えば、第2基板20に対して、ディスペンサからの吐出、あるいは転写などの方法で未硬化のシール材95を帯状に塗布した後、第1基板10と第2基板20とをシール材95を挟んで重ね合わせ、この状態で、シール材95を硬化させる。その際、第1基板10と第2基板20とは、第1突起91が第2突起92の空き領域内に位置し、第2突起92が第1突起91の空き領域内に位置するように重ね合わされる。
【0055】
その結果、実施の形態1と同様、図5(c)に示すように、シール部90の一部では、シール部90を直角に横切る仮想の線C1上に計4重の第1突起91が位置し、シール部90の他の一部では、第1突起91および第2突起92の双方が位置し、2つの第1突起91と2つの第2突起92が交互に並んでいる。
【0056】
このように構成した電気光学装置100では、実施の形態1と同様、シール材95の内部を水分が透過して侵入する経路が狭く、かつ、図5(d)に矢印L1で示すように、第1突起91および第2突起92の双方が位置している部分では、シール材95の内部を水分が直進して侵入する経路が存在しないなど、実施の形態1と同様な理由から、シール部90からの水分の侵入を確実に防止することができる。
【0057】
また、本形態において、第1突起91は、シール部90を直角に横切る方向Cおよび画素領域10bの周りを囲む方向Rで連続的に形成されているため、水分が第1突起91の間を通り抜けて侵入するという経路(図4(a)に矢印L2で示す経路)が存在しない。それ故、本形態によれば、実施の形態1に比較して、シール部90からの水分の侵入をより確実に防止することができる。
【0058】
[実施の形態3]
図6(a)、(b)、(c)、(d)は各々、本発明の実施の形態3に係る電気光学装置100において、第1基板10のシール部90に相当する領域を平面視したときの説明図、第2基板20のシール部90に相当する領域を平面視したときの説明図、第1基板10と第2基板20とをシール材で貼り合わせた後のシール部90を平面視したときの説明図、およびシール部90の断面図である。なお、図6(b)では、図6(a)に示す第1突起との位置関係が分りやすいように、外面から第2基板20を透視した様子を示してある。また、本形態の基本的な構成は、実施の形態1、2と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0059】
図6(a)、(c)、(d)に示すように、本形態の電気光学装置100では、第1基板10において、シール部90に相当する領域には、第1基板10から第2基板20に向けて突出する第1突起91が形成され、図6(b)、(c)、(d)に示すように、第2基板20において、シール部90に相当する領域には、第2基板20から第1基板10に向けて突出する第2突起92が形成されている。
【0060】
本形態において、第1突起91は、画素領域10bの周りを囲む方向Rに沿って線状に連続的に延びており、シール部90を直角に横切る方向Cに2重に形成されている。第2突起92も、第1突起91と同様、画素領域10bの周りを囲む方向Rに沿って線状に連続的に延びており、シール部90を直角に横切る方向Cに2重に形成されている。ここで、第1突起91同士の間隔と第2突起92同士の間隔とは等しく、これらの幅寸法は、第1突起91および第2突起92の幅寸法よりわずかに広い。また、第1突起91の第1基板10からの突出寸法h1と第2突起92の第2基板20からの突出寸法h2との和は、第1基板10と第2基板20との隙間寸法Gより大きい。従って、第1基板10と第2基板20とをシール材95で貼り合わせると、図6(d)に示すように、第1突起91の先端部分は、第2突起92の間に入り込み、第2突起92の先端部分は、第1突起91の間に入り込む。また、本形態では、図6(c)に示すように、シール部90の全体において、シール部90を直角に横切る仮想の線C1上に第1突起91および第2突起92が各々、2つずつ位置し、2つの第1突起91と2つの第2突起92が交互に並んでいる。
【0061】
このように構成した電気光学装置100では、実施の形態1と同様、シール材95の内部を水分が透過して侵入する経路が狭く、かつ、図6(d)に矢印L1で示すように、第1突起91および第2突起92の双方が位置している部分では、シール材95の内部を水分が直進して侵入する経路が存在しないなど、実施の形態1と同様な理由から、シール部90からの水分の侵入を確実に防止することができる。
【0062】
また、本形態において、第1突起91および第2突起92の双方が、画素領域10bの周りを囲む方向Rで連続的に形成されているため、水分が第1突起91の間を通り抜けて侵入するという経路(図4(a)に矢印L2で示す経路)や第2突起92の間を通り抜けて侵入するという経路(図4(b)に矢印L3で示す経路)が存在しない。しかも、シール部90の全体において、シール部90を直角に横切る仮想の線C1上で2つの第1突起91と2つの第2突起92が交互に並んでいるため、水分がシール材95を透過していく経路が極めて長い。それ故、本形態によれば、実施の形態1に比較して、シール部90からの水分の侵入をより確実に防止することができる。
【0063】
[実施の形態4]
図7は、本発明の実施の形態4に係る電気光学装置100における第1基板10と第2基板20とのシール部90の断面図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1〜3と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。図7に示すように、本形態の電気光学装置100では、第1基板10と第2基板20とのシール部90には、第1基板10から第2基板20に向けて突出する第1突起91と、第2基板20から第1基板10に向けて突出する第2突起92とが形成されている。
【0064】
本形態では、第1突起91の第1基板10からの突出寸法h1と、第2突起92の第2基板20からの突出寸法h2とは等しい。このため、第1突起91の先端部と第2基板20との隙間寸法G1と、第2突起92先端部と第1基板10との隙間寸法G2とが等しい。それ故、シール材95にビーズ状あるいはファイバー状のギャップ材96を配合した場合、ギャップ材96は、第1突起91の先端部と第2基板20との間、および第2突起92先端部と第1基板10との間のいずれにおいても、第1基板10と第2基板20との隙間寸法Gを制御するので、第1基板10と第2基板20との隙間寸法Gに高い精度を得ることができる。
【0065】
また、第1突起91の第1基板10からの突出寸法h1と第2突起92の第2基板20からの突出寸法h2との和を第1基板10と第2基板20との隙間寸法Gより大きく設定すれば、第1突起91の先端部分は、第2突起92の間に入り込み、第2突起92の先端部分は、第1突起91の間に入り込む。このため、ギャップ材96が周辺に流出しないので、第1基板10と第2基板20との隙間寸法Gに高い精度を得ることができる。その他の構成は実施の形態1〜3と同様であるため、説明を省略する。
【0066】
[実施の形態5]
図8は、本発明の実施の形態5に係る電気光学装置100における第1基板10と第2基板20とのシール部90の断面図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1〜3と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。図8に示すように、本形態の電気光学装置100において、第1基板10と第2基板20とのシール部90に、第1基板10から第2基板20に向けて突出する第1突起91と、第2基板20から第1基板10に向けて突出する第2突起92とを形成するにあたっては、第1基板10の画素領域10bに形成された膜や、第2基板20の画素領域10bに相当する領域内に形成された膜と同一の膜を利用することが好ましい。
【0067】
すなわち、第1基板10には、図3(b)を参照して説明したように、下地絶縁層12の上層に半導体層1a、ゲート絶縁層2、走査線3a、層間絶縁膜71、データ線6a、層間絶縁膜72、層間絶縁膜73、および画素電極9aが形成されているので、これらの膜と同時形成された1s、2s、3s、71s、6s、72s、73s、9sの全て、あるいはその一部を積層して第1突起91を形成することが好ましい。また、第2基板20には、遮光膜23a、カラーフィルタ22、オーバーコート層24、および共通電極21が形成されているので、これらの膜と同時形成された膜23s、22s、24s、21sの全て、あるいはその一部を積層して第2突起92を形成することが好ましい。このように構成すると、第1突起91および第2突起92を形成するのに新たな工程を追加しなくてもよいという利点がある。
【0068】
またに、第1突起91の最上層が画素電極9aと同時形成された膜9sで、第2突起92の最上層が共通電極21と同時形成された膜21sである場合には、膜9sを所定の配線と接続しておくとともに、シール材95に導電粒子97を配合しておけば、第1基板10と第2基板20とを導通させることができ、共通電極21を定電位に保持できる。それ故、図2(a)を参照して説明した基板間導通部109を構成することができる。
【0069】
この場合も、第1突起91の第1基板10からの突出寸法h1と、第2突起92の第2基板20からの突出寸法h2とを等しく設定しておけば、第1突起91の先端部と第2基板20との隙間寸法G1と、第2突起92先端部と第1基板10との隙間寸法G2とが等しい。それ故、導電粒子97は、第1突起91の先端部と第2基板20との間、および第2突起92先端部と第1基板10との間のいずれにおいても、基板間導通を行なうので、確実な基板間導通を実現することができる。
【0070】
また、第1突起91の第1基板10からの突出寸法h1と第2突起92の第2基板20からの突出寸法h2との和を第1基板10と第2基板20との隙間寸法Gより大きく設定すれば、第1突起91の先端部分は、第2突起92の間に入り込み、第2突起92の先端部分は、第1突起91の間に入り込む。このため、導電粒子97が周辺に流出しないので、第1基板10と第2基板20との基板間導通を確実に行なうことができる。その他の構成は実施の形態1〜3と同様であるため、説明を省略する。
【0071】
[実施の形態6]
以下、本発明を有機EL装置に適用した例を説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1〜3との対応が分りやすいように、可能な限り、対応する部分には同一の符号を付して説明する。
【0072】
(全体構成)
図9は、本発明の実施の形態6に係る電気光学装置(有機EL装置)の電気的構成を示すブロック図である。図10(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態6に係る電気光学装置をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図、およびそのJ−J′断面図である。
【0073】
図9に示す電気光学装置100は、有機EL装置であり、第1基板10上には、複数の走査線3aと、走査線3aに対して交差する方向に延びる複数のデータ線6aと、走査線3aに対して並列して延在する複数の電源線3eとを有している。また、第1基板10において、矩形形状の画素領域10bには複数の画素100aがマトリクス状に配列されている。データ線6aにはデータ線駆動回路101が接続され、走査線3aには走査線駆動回路104が接続されている。画素領域10bの各々には、走査線3aを介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用の薄膜トランジスタ30bと、このスイッチング用の薄膜トランジスタ30bを介してデータ線6aから供給される画素信号を保持する保持容量70と、保持容量70によって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動用の薄膜トランジスタ30cと、この薄膜トランジスタ30cを介して電源線3eに電気的に接続したときに電源線3eから駆動電流が流れ込む画素電極9a(陽極層)と、この画素電極9aと陰極層との間に有機機能層が挟まれた有機EL素子80を構成している。
【0074】
かかる構成によれば、走査線3aが駆動されてスイッチング用の薄膜トランジスタ30bがオンになると、そのときのデータ線6aの電位が保持容量70に保持され、保持容量70が保持する電荷に応じて、駆動用の薄膜トランジスタ30cのオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用の薄膜トランジスタ30cのチャネルを介して、電源線3eから画素電極9aに電流が流れ、さらに有機機能層を介して対極層に電流が流れる。その結果、有機EL素子80は、これを流れる電流量に応じて発光する。
【0075】
なお、図9に示す構成では、電源線3eは走査線3aと並列していたが、電源線3eがデータ線6aに並列している構成を採用してもよい。また、図9に示す構成では、電源線3eを利用して保持容量70を構成していたが、電源線3eとは別に容量線を形成し、かかる容量線によって保持容量70を構成してもよい。
【0076】
図10(a)、(b)において、本形態の電気光学装置100では、素子基板としての第1基板10と、封止基板としての第2基板とがシール部90によって貼り合わされている。第1基板10と第2基板20との間は窒素雰囲気になっているとともに、乾燥剤(図示せず)が収納されている。第1基板10において、シール部90の外側の領域には、データ線駆動回路101、およびITO膜からなる端子102が第1基板10の一辺に沿って設けられており、端子102が配列された辺に隣接する2辺に沿って走査線駆動回路104が形成されている。第1基板10の残る一辺には、画像表示領域10aの両側に設けられた走査線駆動回路104間をつなぐための複数の配線103が設けられている。詳しくは後述するが、第1基板10には、画素電極(陽極)、有機機能層および陰極がこの順に積層された有機EL素子80がマトリクス状に形成されている。
【0077】
(画素の詳細な構成)
図11(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態6に係る電気光学装置100の相隣接する画素2つ分の平面図、および画素1つ分の断面図である。なお、図11(b)は図11(a)のB−B′線における断面図であり、図11(a)では、画素電極9aは長い点線で示し、データ線6aおよびそれと同時形成された薄膜は一点鎖線で示し、走査線3aは実線で示し、半導体層は短い点線で示してある。
【0078】
図11(a)、(b)に示すように、第1基板10上には、マトリクス状に複数の透明な画素電極9a(長い点線で囲まれた領域)が画素100a毎に形成され、画素電極9aの縦横の境界領域に沿ってデータ線6a(一点鎖線で示す領域)、および走査線3a(実線で示す領域)が形成されている。また、第1基板10において、走査線3aと並列して電源線3eが形成されている。
【0079】
図11(b)に示す第1基板10の基体は、石英基板や耐熱性のガラス基板などの支持基板10dからなる。第1基板10では、支持基板10dの表面にシリコン酸化膜などからなる下地絶縁層12が形成されているとともに、その表面側において、画素電極9aに対応する領域に薄膜トランジスタ30cが形成されている。薄膜トランジスタ30cは、島状の半導体層1aに対して、チャネル領域1g、ソース領域1h、およびドレイン領域1iが形成されている。半導体層1aの表面側にはゲート絶縁層2が形成されており、ゲート絶縁層2の表面にゲート電極3fが形成されている。かかるゲート電極3fは、薄膜トランジスタ30bのドレインに電気的に接続されている。なお、薄膜トランジスタ30bの基本的な構成は、薄膜トランジスタ30cと同様であるため、説明を省略する。
【0080】
薄膜トランジスタ30cの上層側には、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜からなる層間絶縁膜71、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜からなる層間絶縁膜72、および厚さが1.5〜2.0μmの厚い感光性樹脂からなる層間絶縁膜73(平坦化膜)が形成されている。層間絶縁膜71の表面(層間絶縁膜71、72の層間)にはソース電極6gおよびドレイン電極6hが形成され、ソース電極6gは、層間絶縁膜71に形成されたコンタクトホール71gを介してソース領域1hに電気的に接続している。また、ドレイン電極6hは、層間絶縁膜71に形成されたコンタクトホール71hを介してドレイン領域1iに電気的に接続している。層間絶縁膜73の表面にはITO膜からなる画素電極9aが形成されている。画素電極9aは、層間絶縁膜72、73に形成されたコンタクトホール73gを介してドレイン電極6hに電気的に接続している。
【0081】
また、画素電極9aの上層には、発光領域を規定するための開口部を備えたシリコン酸化膜などからなる隔壁層5a、および感光性樹脂などからなる厚い隔壁層5bが形成されている。隔壁層5aおよび隔壁層5bで囲まれた領域内において、画素電極9aの上層には、3、4−ポリエチレンジオシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)などからなる正孔注入層81、および発光層82からなる有機機能層が形成され、発光層82の上層には陰極層85が形成されている。このようにして、画素電極9a、正孔注入層81、発光層82および陰極層85によって、有機EL素子80が構成されている。発光層82は、例えば、ポリフルオレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン誘導体、またはこれらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素、例えばルブレン、ペリレン、9、10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等をドープした材料から構成される。また、発光層82としては、二重結合のπ電子がポリマー鎖上で非極在化しているπ共役系高分子材料が、導電性高分子でもあることから発光性能に優れるため、好適に用いられる。特に、その分子内にフルオレン骨格を有する化合物、すなわちポリフルオレン系化合物がより好適に用いられる。また、このような材料以外にも、共役系高分子有機化合物の前駆体と、発光特性を変化させるための少なくとも1種の蛍光色素とを含んでなる組成物も使用可能である。本形態において、有機機能層は、インクジェット法などの塗布法により形成される。なお、塗布法としては、フレキソ印刷法、スピンコート法、スリットコート法、ダイコート法などが採用される場合もある。また、有機機能層については、低分子材料を用いた場合、蒸着法などにより形成される場合もある。さらに、発光層82と陰極層85との層間にはLiFなどからなる電子注入層が形成されることもある。
【0082】
トップエミッション型の有機EL装置の場合、支持基板10dからみて有機EL素子80が形成されている側から光を取り出すので、陰極層85は、薄いアルミニウム膜や、マグネシウムやリチウムなどの薄い膜をつけて仕事関数を調整したITO膜などといった透光性電極として形成され、支持基板10dとしては、ガラスなどの透明基板の他、不透明基板も用いることができる。不透明基板としては、例えば、アルミナなどのセラミックス、ステンレススチールなどの金属板に表面酸化などの絶縁処理を施したもの、樹脂基板などが挙げられる。これに対して、ボトムエミッション型の有機EL装置の場合、支持基板10dの側から光を取り出すので、支持基板10dとしては、ガラスなどの透明基板が用いられる。
【0083】
(シール部90の構成)
このように構成した電気光学装置100において、正孔注入層81および発光層82からなる有機機能層などは水分や酸素により劣化しやすい。従って、実施の形態1〜3で説明したシール部90の構成を本形態の電気光学装置100に適用すれば、シール部90を介しての水分や酸素の侵入を確実に防止することができるので、電気光学装置100の信頼性を向上することができる。また、第1基板10には、画素領域10b内に複数種類の膜が形成されているので、これらの膜の全部あるいは一部を積層して第1突起91を形成すれば、製造工程数が少なくてよいという利点がある。
【0084】
なお、上記形態では、第2基板20を封止基板として用いた例であったが、いずれの有機EL素子80からも白色光を出射し、それをカラーフィルタ基板で着色する場合、かかるカラーフィルタ基板を第2基板20として用いることになる。この場合、実施の形態1などで説明した液晶装置と同様、第2基板20にカラーフィルタやオーバーコート層が形成されるので、かかる膜と同一の膜を用いて第2突起92を形成すればよい。
【0085】
[他の実施の形態]
上記形態では、第1突起10および第2突起20が4重あるいは2重に形成されている場合を例に説明したが、第1突起10および第2突起20が3重あるいは1重でもよく、いずれの場合も、シール部90の略全体で、シール部90を横切る仮想の線上に第1突起10および第2突起20の双方が位置することが好ましい。但し、シール部90を横切る仮想の線上に第1突起10および第2突起20の一方のみが位置する場合でも、図13を参照して説明した構成に比較して水分の侵入を阻止する効果は向上する。
【0086】
[電子機器への搭載例]
次に、図12を参照して、上述した実施形態1〜6に係る電気光学装置100を適用した電子機器について説明する。図12は、本発明に係る電気光学装置を用いた電子機器の説明図である。
【0087】
図12(a)に、電気光学装置100を備えたモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す。パーソナルコンピュータ2000は、表示ユニットとしての電気光学装置100と本体部2010を備える。本体部2010には、電源スイッチ2001及びキーボード2002が設けられている。図12(b)に、電気光学装置100を備えた携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001及びスクロールボタン3002、並びに表示ユニットとしての電気光学装置100を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、電気光学装置100に表示される画面がスクロールされる。図12(c)に、電気光学装置100を適用した情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001及び電源スイッチ4002、並びに表示ユニットとしての電気光学装置100を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が電気光学装置100に表示される。なお、電気光学装置100が適用される電子機器としては、図12(a)〜(c)に示すものの他、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器の表示部として、前述した電気光学装置100が適用可能である。
【0088】
次に、図12(d)を参照して、本発明の実施の形態1〜5に係る電気光学装置100(液晶装置)をプロジェクタ(投射型表示装置)の液晶ライトバルブに採用した例について図面を参照して説明する。図12(d)は、プロジェクタの概略構成図である。プロジェクタ110は、観察者側に設けられたスクリーン111に光を照射し、このスクリーン111で反射した光を観察する、いわゆる投影型のプロジェクタである。そして、プロジェクタ110は、光源112と、ダイクロイックミラー113、114と、液晶ライトバルブ115〜117(電気光学装置100)と、投射光学系118と、クロスダイクロイックプリズム119と、リレー系120とを備えている。
【0089】
光源112は、赤色光、緑色光及び青色光を含む光を供給する超高圧水銀ランプで構成されている。ダイクロイックミラー113は、光源112からの赤色光を透過させると共に緑色光及び青色光を反射する構成となっている。また、ダイクロイックミラー114は、ダイクロイックミラー113で反射された緑色光及び青色光のうち青色光を透過させると共に緑色光を反射する構成となっている。このように、ダイクロイックミラー113、114は、光源112から出射した光を赤色光と緑色光と青色光とに分離する色分離光学系を構成する。ここで、ダイクロイックミラー113と光源112との間には、インテグレータ121及び偏光変換素子122が光源112から順に配置されている。インテグレータ121は、光源112から照射された光の照度分布を均一化する構成となっている。また、偏光変換素子122は、光源112からの光を例えばs偏光のような特定の振動方向を有する偏光にする構成となっている。
【0090】
液晶ライトバルブ115は、ダイクロイックミラー113を透過して反射ミラー123で反射した赤色光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶装置(電気光学装置)である。液晶ライトバルブ115は、λ/2位相差板115a、第1偏光板115b、液晶パネル115c及び第2偏光板115dを備えている。ここで、液晶ライトバルブ115に入射する赤色光は、ダイクロイックミラー113を透過しても光の偏光は変化しないことから、s偏光のままである。λ/2位相差板115aは、液晶ライトバルブ115に入射したs偏光をp偏光に変換する光学素子である。また、第1偏光板115bは、s偏光を遮断してp偏光を透過させる偏光板である。そして、液晶パネル115cは、p偏光を画像信号に応じた変調によってs偏光(中間調であれば円偏光又は楕円偏光)に変換する構成となっている。さらに、第2偏光板115dは、p偏光を遮断してs偏光を透過させる偏光板である。したがって、液晶ライトバルブ115は、画像信号に応じて赤色光を変調し、変調した赤色光をクロスダイクロイックプリズム119に向けて射出する構成となっている。なお、λ/2位相差板115a及び第1偏光板115bは、偏光を変換させない透光性のガラス板115eに接した状態で配置されており、λ/2位相差板115a及び第1偏光板115bが発熱によって歪むのを回避することができる。
【0091】
液晶ライトバルブ116は、ダイクロイックミラー113で反射した後にダイクロイックミラー114で反射した緑色光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶装置である。そして、液晶ライトバルブ116は、液晶ライトバルブ115と同様に、第1偏光板116b、液晶パネル116c及び第2偏光板116dを備えている。液晶ライトバルブ116に入射する緑色光は、ダイクロイックミラー113、114で反射されて入射するs偏光である。第1偏光板116bは、p偏光を遮断してs偏光を透過させる偏光板である。また、液晶パネル116cは、s偏光を画像信号に応じた変調によってp偏光(中間調であれば円偏光又は楕円偏光)に変換する構成となっている。そして、第2偏光板116dは、s偏光を遮断してp偏光を透過させる偏光板である。したがって、液晶ライトバルブ116は、画像信号に応じて緑色光を変調し、変調した緑色光をクロスダイクロイックプリズム119に向けて射出する構成となっている。
【0092】
液晶ライトバルブ117は、ダイクロイックミラー113で反射し、ダイクロイックミラー114を透過した後でリレー系120を経た青色光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶装置である。そして、液晶ライトバルブ117は、液晶ライトバルブ115、116と同様に、λ/2位相差板117a、第1偏光板117b、液晶パネル117c及び第2偏光板117dを備えている。ここで、液晶ライトバルブ117に入射する青色光は、ダイクロイックミラー113で反射してダイクロイックミラー114を透過した後にリレー系120の後述する2つの反射ミラー125a、125bで反射することから、s偏光となっている。λ/2位相差板117aは、液晶ライトバルブ117に入射したs偏光をp偏光に変換する光学素子である。また、第1偏光板117bは、s偏光を遮断してp偏光を透過させる偏光板である。そして、液晶パネル117cは、p偏光を画像信号に応じた変調によってs偏光(中間調であれば円偏光又は楕円偏光)に変換する構成となっている。さらに、第2偏光板117dは、p偏光を遮断してs偏光を透過させる偏光板である。したがって、液晶ライトバルブ117は、画像信号に応じて青色光を変調し、変調した青色光をクロスダイクロイックプリズム119に向けて射出する構成となっている。なお、λ/2位相差板117a及び第1偏光板117bは、ガラス板117eに接した状態で配置されている。
【0093】
リレー系120は、リレーレンズ124a、124bと反射ミラー125a、125bとを備えている。リレーレンズ124a、124bは、青色光の光路が長いことによる光損失を防止するために設けられている。ここで、リレーレンズ124aは、ダイクロイックミラー114と反射ミラー125aとの間に配置されている。また、リレーレンズ124bは、反射ミラー125a、125bの間に配置されている。反射ミラー125aは、ダイクロイックミラー114を透過してリレーレンズ124aから出射した青色光をリレーレンズ124bに向けて反射するように配置されている。また、反射ミラー125bは、リレーレンズ124bから出射した青色光を液晶ライトバルブ117に向けて反射するように配置されている。クロスダイクロイックプリズム119は、2つのダイクロイック膜119a、119bをX字型に直交配置した色合成光学系である。ダイクロイック膜119aは青色光を反射して緑色光を透過する膜であり、ダイクロイック膜119bは赤色光を反射して緑色光を透過する膜である。したがって、クロスダイクロイックプリズム119は、液晶ライトバルブ115〜117のそれぞれで変調された赤色光と緑色光と青色光とを合成し、投射光学系118に向けて射出するように構成されている。
【0094】
なお、液晶ライトバルブ115、117からクロスダイクロイックプリズム119に入射する光はs偏光であり、液晶ライトバルブ116からクロスダイクロイックプリズム119に入射する光はp偏光である。このようにクロスダイクロイックプリズム119に入射する光を異なる種類の偏光としていることで、クロスダイクロイックプリズム119において各液晶ライトバルブ115〜117から入射する光を有効に合成できる。ここで、一般に、ダイクロイック膜119a、119bはs偏光の反射特性に優れている。このため、ダイクロイック膜119a、119bで反射される赤色光及び青色光をs偏光とし、ダイクロイック膜119a、119bを透過する緑色光をp偏光としている。投射光学系118は、投影レンズ(図示略)を有しており、クロスダイクロイックプリズム119で合成された光をスクリーン111に投射するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の実施の形態1に係る電気光学装置(液晶装置)に用いた素子基板の電気的な構成を示す等価回路図である。
【図2】(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図、およびそのH−H′断面図である。
【図3】(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置の相隣接する画素2つ分の平面図、および画素1つ分の断面図である。
【図4】(a)、(b)、(c)、(d)は各々、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置において、第1基板のシール部に相当する領域を平面視したときの説明図、第2基板のシール部に相当する領域を平面視したときの説明図、第1基板と第2基板とをシール材で貼り合わせた後のシール部を平面視したときの説明図、およびシール部の断面図である。
【図5】(a)、(b)、(c)、(d)は各々、本発明の実施の形態2に係る電気光学装置において、第1基板のシール部に相当する領域を平面視したときの説明図、第2基板のシール部に相当する領域を平面視したときの説明図、第1基板と第2基板とをシール材で貼り合わせた後のシール部を平面視したときの説明図、およびシール部の断面図である。
【図6】(a)、(b)、(c)、(d)は各々、本発明の実施の形態3に係る電気光学装置において、第1基板のシール部に相当する領域を平面視したときの説明図、第2基板のシール部に相当する領域を平面視したときの説明図、第1基板と第2基板とをシール材で貼り合わせた後のシール部を平面視したときの説明図、およびシール部の断面図である。
【図7】本発明の実施の形態4に係る電気光学装置における第1基板と第2基板とのシール部の断面図である。
【図8】本発明の実施の形態5に係る電気光学装置における第1基板と第2基板とのシール部の断面図である。
【図9】本発明の実施の形態6に係る電気光学装置(有機EL装置)に用いた素子基板の電気的な構成を示す等価回路図である。
【図10】(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態6に係る電気光学装置をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図、およびそのJ−J′断面図である。
【図11】(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態6に係る電気光学装置の相隣接する画素2つ分の平面図、および画素1つ分の断面図である。
【図12】本発明に係る電気光学装置を用いた電子機器の説明図である。
【図13】従来の電気光学装置のシール部の断面図である。
【符号の説明】
【0096】
9a・・画素電極、10・・第1基板、10b・・画素領域、20・・第2基板、30a、30b、30c・・薄膜トランジスタ(画素トランジスタ)、50・・液晶、80・・有機EL素子、90・・シール部、91・・第1突起、92・・第2突起、95・・シール材、100・・電気光学装置、100a・・画素
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素電極および画素トランジスタを備えた画素が複数、配列された画素領域が形成された第1基板と、該第1基板に対向配置された第2基板と、前記画素領域を外側で囲む位置で前記第1基板と前記第2基板とをシール材で貼り合わせたシール部とを有する電気光学装置において、
前記シール部には、前記第1基板から前記2基板に向けて突出する第1突起と、該第1突起からずれた位置で前記第2基板から前記1基板に向けて突出する第2突起とが形成され、
前記シール部を平面視したとき、
前記シール部を横切る仮想の線上には前記第1突起および前記第2突起のうちの少なくとも一方が位置していることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記シール部を平面視したとき、
前記シール部の一部では、当該シール部を横切る仮想の線上に前記第1突起および前記第2突起の双方が位置していることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記シール部を平面視したとき、
前記第1突起および前記第2突起のうちの少なくとも一方は、前記画素領域を囲む方向で分割されていることを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記シール部を平面視したとき、
前記シール部の全体で、当該シール部を横切る仮想の線上に前記第1突起および前記第2突起の双方が位置していることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記シール部を平面視したとき、
前記第1突起および前記第2突起はいずれも、前記画素領域を囲む方向で連続していることを特徴とする請求項4に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記第1突起の前記第1基板からの突出寸法と前記第2突起の前記第2基板からの突出寸法との和は、前記第1基板と前記第2基板との隙間寸法より大きいことを特徴とする請求項2乃至5の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記シール部を平面視したとき、
前記第1突起および前記第2突起のうちの少なくとも一方は、前記仮想の線上で多重に形成され、当該仮想の線上では前記第1突起と前記第2突起とが交互に並んでいることを特徴とする請求項2乃至6の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記第1突起および前記第2突起のうちの少なくとも一方の突起は、当該突起が形成されている基板において前記画素領域内に形成されている1乃至複数の膜と同一の膜からなることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項9】
前記第1基板と前記第2基板は、前記シール部で囲まれた領域内に液晶層を保持していることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項10】
前記第1基板において、前記画素電極上には有機エレクトロルミネッセンス素子用の機能層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項1】
画素電極および画素トランジスタを備えた画素が複数、配列された画素領域が形成された第1基板と、該第1基板に対向配置された第2基板と、前記画素領域を外側で囲む位置で前記第1基板と前記第2基板とをシール材で貼り合わせたシール部とを有する電気光学装置において、
前記シール部には、前記第1基板から前記2基板に向けて突出する第1突起と、該第1突起からずれた位置で前記第2基板から前記1基板に向けて突出する第2突起とが形成され、
前記シール部を平面視したとき、
前記シール部を横切る仮想の線上には前記第1突起および前記第2突起のうちの少なくとも一方が位置していることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記シール部を平面視したとき、
前記シール部の一部では、当該シール部を横切る仮想の線上に前記第1突起および前記第2突起の双方が位置していることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記シール部を平面視したとき、
前記第1突起および前記第2突起のうちの少なくとも一方は、前記画素領域を囲む方向で分割されていることを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記シール部を平面視したとき、
前記シール部の全体で、当該シール部を横切る仮想の線上に前記第1突起および前記第2突起の双方が位置していることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記シール部を平面視したとき、
前記第1突起および前記第2突起はいずれも、前記画素領域を囲む方向で連続していることを特徴とする請求項4に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記第1突起の前記第1基板からの突出寸法と前記第2突起の前記第2基板からの突出寸法との和は、前記第1基板と前記第2基板との隙間寸法より大きいことを特徴とする請求項2乃至5の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記シール部を平面視したとき、
前記第1突起および前記第2突起のうちの少なくとも一方は、前記仮想の線上で多重に形成され、当該仮想の線上では前記第1突起と前記第2突起とが交互に並んでいることを特徴とする請求項2乃至6の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記第1突起および前記第2突起のうちの少なくとも一方の突起は、当該突起が形成されている基板において前記画素領域内に形成されている1乃至複数の膜と同一の膜からなることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項9】
前記第1基板と前記第2基板は、前記シール部で囲まれた領域内に液晶層を保持していることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項10】
前記第1基板において、前記画素電極上には有機エレクトロルミネッセンス素子用の機能層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の電気光学装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−122410(P2009−122410A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−296360(P2007−296360)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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