説明

電気加熱調理器

【課題】誤検知を防止することができると共に構成が簡素な検知部を備えて、本体ケースと遮熱板と調理プレートとを誤って組み付けたままヒータをオンする誤使用を防止することができる電気加熱調理器を提供する。
【解決手段】グリル鍋1は、本体ケース70と遮熱板30と調理鍋10の組み付けを誤ったまま前記ヒータ50をオンする誤使用を防止する誤使用防止機構100を備え、誤使用防止機構100は、本体ケース70と遮熱板30と調理鍋10との組み付けを検知する検知部110と、検知部110の検知結果に応じてヒータ50をオンするスイッチ部130と、を備え、検知部110は、レバー111を備え、レバー111は、本体ケース70と遮熱板30と調理鍋10との組み付け過程に応じて、摺動と回動とを順次に動作することによって、本体ケース70と遮熱板30と調理鍋10との組み付けを検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気加熱調理器の技術に関し、より詳細には誤使用を防止する電気加熱調理器の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気加熱調理器においては、それぞれ単独の部材である、本体ケースと、ヒータを備えて前記本体ケースに着脱自在に載置される遮熱板と、前記遮熱板に着脱自在に収納される調理プレートと、を相互に組み付けて使用するものが好まれている。このような構成によれば、電気加熱調理器を使用した後に、本体ケースと遮熱板と調理プレートとをそれぞれ単独で(本体ケースと遮熱板と調理プレートとを組み付けていない状態で)拭き洗い等することができ、手入れが行き届き易い。
【0003】
しかしながら、本体ケースと遮熱板と調理プレートとを組み付ける際に、本体ケースと遮熱板と調理プレートとを誤って組み付けて、その誤った組み付け状態のままヒータをオンする誤使用があった。
【0004】
そこで、例えば特許文献1には、調理プレートと遮熱板とを本体ケースに載置したことを検知する検知部を設けると共に、この検知部の検知結果に応じて電源回路(換言すれば、ヒータ)をオンにするスイッチ部を設けた技術が記載されている。このような構成によれば、遮熱板と調理プレートと本体ケースとが誤った組み付け状態のままでは、ヒータがオンとならない。すなわち、電気加熱調理器の誤使用を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−191763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、本体ケースに、遮熱板と調理プレートとを載置したことを検知する検知部が設けられる。検知部には、遮熱板と調理プレートとの載置により回動可能に構成されたスイッチレバー(レバー部材)が設けられる。このような構成においては、遮熱板と調理プレートという二つの部材の載置を、(一つの部材である)レバー部材の回動という一つの動作によって検知するために、誤検知するおそれがあり、さらには検知部の構成が複雑になるという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、誤検知を防止することができると共に構成が簡素な検知部を備えて、本体ケースと遮熱板と調理プレートとを誤って組み付けたままヒータをオンする誤使用を防止することができる電気加熱調理器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、本体ケースと、ヒータを備えて前記本体ケースに着脱自在に載置される遮熱板と、前記遮熱板に着脱自在に収納される調理プレートと、を相互に組み付けて使用する電気加熱調理器であって、前記本体ケースと前記遮熱板と前記調理プレートとの組み付けを誤ったまま前記ヒータをオンする誤使用を防止する誤使用防止機構を備え、前記誤使用防止機構は、前記本体ケースと前記遮熱板と前記調理プレートとの組み付けを検知する検知機構と、前記検知機構の検知結果に応じて前記ヒータをオンするスイッチ部材と、を備え、前記検知機構は、レバー部材を備え、前記レバー部材は、前記本体ケースと前記遮熱板と前記調理プレートとの組み付け過程に応じた少なくても2以上の異なる動作によって、前記本体ケースと前記遮熱板と前記調理プレートとの組み付けを検知するものである。
【0010】
請求項2においては、本体ケースと、ヒータを備えて前記本体ケースに着脱自在に載置される遮熱板と、前記遮熱板に着脱自在に収納される調理プレートと、を相互に組み付けて使用する電気加熱調理器であって、前記本体ケースと前記遮熱板と前記調理プレートとの組み付けを誤ったまま前記ヒータをオンする誤使用を防止する誤使用防止機構を備え、前記誤使用防止機構は、前記本体ケースと前記遮熱板と前記調理プレートとの組み付けを検知する検知機構と、前記検知機構の検知結果に応じて前記ヒータをオンするスイッチ部材と、を備え、前記検知機構は、レバー部材を備え、前記レバー部材は、前記本体ケースと前記遮熱板と前記調理プレートとの組み付け過程に応じて、スライド移動と回動とを順次に動作することによって、前記本体ケースと前記遮熱板と前記調理プレートとの組み付けを検知するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0012】
すなわち、本発明においては、誤検知を防止することができると共に構成が簡素な検知部を備えて、本体ケースと遮熱板と調理プレートとを誤って組み付けたままヒータをオンする誤使用を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るグリル鍋の全体的な構成を示した背面図。
【図2】同じく、斜視図。
【図3】同じく、鍋の斜視図。
【図4】(a)同じく、鍋の平面図。(b)同じく、図4(a)におけるA−A線矢視断面図。
【図5】同じく、調理ユニットの斜視図。
【図6】(a)同じく、調理ユニットの平面図。(b)同じく、図6(a)におけるB−B線矢視断面図。
【図7】同じく、本体ケースの斜視図。
【図8】(a)同じく、本体ケースの平面図。(b)同じく、図8(a)におけるC−C線矢視断面図。
【図9】(a)同じく、組み付けられた本体ケースと調理ユニットとの平面図。(b)同じく、図9(a)におけるD−D線矢視断面図。
【図10】(a)同じく、組み付けられた本体ケースと調理ユニットと鍋との平面図。(b)同じく、図10(a)におけるE−E線矢視断面図。
【図11】(a)同じく、レバーの斜視図。(b)同じく、誤使用防止機構の構成を示した側面断面模式図。
【図12】(a)同じく、本体ケースに調理ユニットを組み付ける場合の誤使用防止機構の配置構成を示した側面断面模式図。(b)同じく、本体ケースに調理ユニットを組み付ける場合の誤使用防止機構の配置構成を示した側面断面模式図。
【図13】(a)同じく、組み付けられた本体ケース及び調理ユニットに鍋を組み付ける場合の誤使用防止機構の配置構成を示した側面断面模式図。(b)同じく、組み付けられた本体ケース及び調理ユニットに鍋を組み付ける場合の誤使用防止機構の配置構成を示した側面断面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず、本発明に係る電気加熱調理器の一実施形態であるグリル鍋1の全体的な構成について図面を用いて説明する。
なお、以下の説明では、各図面に示す矢印に基づいて、前後方向、左右方向、及び上下方向を規定する。
また、説明の便宜上、図2以降では調理鍋10のうち蓋12の図示を省略する。
【0015】
図1及び図2に示す、グリル鍋1は、ヒータ50(図5参照)を加熱源とした電気調理器具である。グリル鍋1は、主として、調理鍋10と、調理ユニット20と、本体ケース70と、により構成される。
【0016】
図1から図4に示す、調理鍋10は、その内部に調理物を収容する部材である。調理鍋10は、主として、鍋11と、蓋12と、により構成される。
【0017】
図3及び図4に示す、調理鍋10の鍋11は、上側が開口された略筒状に形成された金属製の部材である。鍋11の表面には、フッ素加工が施されている。鍋11は、平面視で略円形状に形成された略平板状の底壁部13と、底壁部13の周縁部から外方へ行くに従って緩やかに上昇する傾斜部14と、傾斜部14の上端部から上方へ向けて立設された周壁部15と、により形成される。周壁部15の上端部には、外方へ向けて拡径する拡径部16が形成される。また、周壁部15の上端部には、取手17・17が配設される。
【0018】
なお、鍋11の底壁部13の下側面は、図4(b)に示すように、水平面に形成される。鍋11の底壁部13の下側面は、後述する感熱棒64と接触させる箇所を肉厚とし、その他の箇所を肉薄とした側面視で凸凹面としたものもあるが、本実施形態においては、感熱棒64と鍋11の底壁部13の下側面との接触させる箇所を特定しないことによって、肉厚の箇所を設けず、凸凹面ではなく水平面としたものである。すなわち、鍋11の底壁部13の下側面に感熱棒64と接触させるために肉厚とした箇所(リブ)や脚等がないため、鍋11の軽量化や感熱棒64への熱伝導を改良することができる。
【0019】
図1に示す、調理鍋10の蓋12は、下側が開口された略皿状に形成された部材である。蓋12は、下端部を鍋11の拡径部16に上方から当接させて、鍋11の上側の開口部を被覆可能に構成される。蓋12の上端部には、把持部18が形成される。
【0020】
図1、図2、図5、及び図6に示す、調理ユニット20は、調理鍋10を加熱するための部材である。調理ユニット20は、主として、遮熱板30と、ヒータ50と、操作部60と、により構成される。
【0021】
図5及び図6に示す、遮熱板30は、調理鍋10を着脱自在に収納する部材である。遮熱板30は、平板状の金属製薄板がプレス加工により一体形成される。遮熱板30は、平面視で略円形状に形成された略平板状の底壁部31と、底壁部31の周縁部から上方へ向けて立設された周壁部32と、により形成される。
【0022】
遮熱板30の底壁部31の平面視で略中央には、平面視で略円形状であって、下方へ向けて窪んだ中央窪み部33が形成される。また、底壁部31には、上方へ向けて突出した3つの凸部34・34・34が、それぞれ適宜の間隔をあけて形成される。凸部34・34・34の下方には、脚部35・35・35が固設される。また、底壁部31には、後述するヒータ50を取り付けるための複数のヒータ取付金具36・36・・が配設される。複数のヒータ取付金具36・36・・は、底壁部31から上方へ向けて突出される。
【0023】
遮熱板30の周壁部32には、調理鍋10を保持するために内方へ向けて突出した複数の凸部37・37・・が形成される。また、周壁部32の前部には、内方へ向けて窪んだ周壁窪み部38が形成される。周壁窪み部38の中央には、当該周壁窪み部38を前後方向に貫通した中央開口部39が形成される。また、周壁窪み部38の中央開口部39を中央に挟んだ左右には、当該周壁窪み部38を前後方向に貫通した左開口部40と右開口部41とが形成される。また、周壁部32には、周壁窪み部38を中央に挟んだ左右には、当該周壁部32を前後方向に貫通した切り欠け部42・42が形成される。また、切り欠け部42・42のうち右側の切り欠け部42と周壁窪み部38との間には、当該周壁部32を前後方向に貫通したレバー用開口部43が形成される。
【0024】
図5及び図6に示す、ヒータ50は、発熱線を耐熱絶縁材で封入したシーズヒータであって、グリル鍋1の加熱源となる部材である。ヒータ50は、細長い棒状の部材が適宜に屈曲した形状に形成される。ヒータ50は、遮熱板30の内部に収容される。ヒータ50は、複数のヒータ取付金具36・36・・を介して遮熱板30の底壁部31から上方へ離間した状態で支持される。ヒータ50の一端部は、遮熱板30の左開口部40を通じて当該遮熱板30から外方へ向けて延出される。また、ヒータ50の他端部は、遮熱板30の右開口部41を通じて当該遮熱板30から外方へ向けて延出される。なお、ヒータ50の一端部及び他端部は、後述する操作部60の内部に挿入される。
【0025】
図1、図2、図5、及び図6に示す、操作部60は、例えばヒータ50の加熱温度を設定する等、グリル鍋1の操作のために用いられる部材である。操作部60は、遮熱板30の前方であって、当該遮熱板30の周壁部32から離間して配置される。操作部60は、周壁部32の外周に沿って湾曲した略矩形の箱状に形成される。操作部60の下端部には、後方へ向けて突出するステー(不図示)が配設され、当該ステーを介して遮熱板30と固定される。また、操作部60の左右端部には、後方へ向けて突出する平板状の係合板66・66が配設される。係合板66・66の後端部は、遮熱板30の切り欠け部42・42に係合される。これによって、操作部60と遮熱板30とのガタツキを防止することができる。
【0026】
また、図5及び図6に示すように、操作部60の前下部には、ヒータ50の加熱温度を設定するための温度設定つまみ61が配設される。また、操作部60の前部であって、温度設定つまみ61の上部には、当該温度設定つまみ61によるヒータ50の加熱温度の設定等を表示するための表示部62が配設される。また、操作部60の前下部であって、温度設定つまみ61の右方には、プラグ受け部63が配設される。プラグ受け部63には、マグネットプラグ(不図示)が接続されて、グリル鍋1に電力が供給される。また、操作部60の後部には、鍋11の温度を検出するための感熱棒64が後方へ向けて突出される。感熱棒64の後端部は、遮熱板30の中央開口部39を通じて当該遮熱板30の内部へ挿入される。また、図6(b)に示すように、操作部60の内部には、グリル鍋1の誤使用を防止するための誤使用防止機構100が配設される。なお、誤使用防止機構100の構成についての詳細な説明は後述するものとする。
【0027】
なお、操作部60においては、ヒータ50の一端部及び他端部と、感熱棒64と、温度設定つまみ61と、表示部62と、制御部(不図示)と、が当該操作部60の内部で相互に電気的に接続されている。そして、温度設定つまみ61によってヒータ50の加熱温度が設定されると、前記制御手段によって、ヒータ50の加熱が開始されて、感熱棒64により検出される鍋11の温度が設定された加熱温度となるようにヒータ50の加熱が制御されるように構成される。
【0028】
図1、図2、図7、及び図8に示す、本体ケース70は、グリル鍋1の外郭を為す部材である。本体ケース70は、上側が開口された略皿状に形成された樹脂成形の部材である。本体ケース70は、平面視で略円形状に形成された略平板状の底壁部71と、底壁部71の周縁部から上方へ向けて拡径しながら立設された周壁部72と、により形成される。
【0029】
また、図7及び図8に示すように、本体ケース70の底壁部71の平面視の略中央には、当該底壁部71を上下方向に貫通した平面視で略円形の中央開口部73が形成される。また、底壁部71には、中央開口部73の周囲を取り囲むように、当該底壁部71を上下方向に貫通した複数の放熱用開口部74が形成される。また、底壁部71には、下方へ向けて凹んだ3つの凹み部75・75・75が、それぞれ適宜の間隔をあけて形成される。凹み部75・75・75の下方は、底壁部71よりも下方へ向けて突出して、脚部76・76・76が形成される。
【0030】
本体ケース70の周壁部72の左右部には、側面視で略矩形状に切り欠けられた左右の切り欠け部77・77がそれぞれ形成される。また、周壁部72の前部には、正面視で略矩形状に切り欠けられた正面切り欠け部78が形成される。正面切り欠け部78の下部には、支えボス79が配設される。支えボス79は、略棒状の部材であり、長手方向を上下方向として上方へ向けて立設される。支えボス79は、側面視で、後述するレバー111の前後中途部に位置するように配設される。
【0031】
以上のように構成された調理鍋10と調理ユニット20と本体ケース70とを備えるグリル鍋1は、これらの調理鍋10と調理ユニット20と本体ケース70とが組み付けられた状態で、操作部60によってヒータ50の加熱を開始し、調理鍋10の内部に収容した調理物を(加熱)調理するものである。
【0032】
次に、本体ケース70と調理ユニット20との組み付けの構成について、図9を用いて説明する。
【0033】
調理ユニット20は、本体ケース70の上方から当該本体ケース70の内部に組み付けられる。より詳細には、調理ユニット20の遮熱板30の脚部35・35・35は、本体ケース70の凹み部75・75・75に上方から当接される。これによって、調理ユニット20は、本体ケース70に載置される。なお、調理ユニット20の操作部60は、本体ケース70の周壁部72の正面切り欠け部78に嵌め込まれる。これによって、調理ユニット20は、本体ケース70に対してガタツキが生じないように構成される。なお、調理ユニット20が本体ケース70に組み付けられた状態で、調理ユニット20の遮熱板30の周壁部32は、本体ケース70の周壁部72から離間して配置される。また、調理ユニット20の遮熱板30の中央窪み部33は、側面視で、本体ケース70の底壁部71の中央開口部73の内側に配置される。
【0034】
次に、本体ケース70及び調理ユニット20と、調理鍋10との組み付けの構成について、図10を用いて説明する。
【0035】
調理鍋10は、組み付けられた状態の本体ケース70及び調理ユニット20の上方から当該調理ユニット20の内部に組み付けられる。より詳細には、調理鍋10の鍋11の底壁部13が、調理ユニット20の遮熱板30のヒータ50の上に当接される。これによって、調理鍋10は、調理ユニット20に載置される。
【0036】
このように、グリル鍋1は、調理鍋10と調理ユニット20と本体ケース70とが組み付けられて構成される。
【0037】
次に、誤使用防止機構100の配置構成について、図面を用いて詳細に説明する。
【0038】
図6及び図11に示す、誤使用防止機構100は、調理鍋10と調理ユニット20と本体ケース70とが誤って組み付けられて、その誤った組み付け状態のままヒータ50が加熱する誤使用を防止するための機構である。誤使用防止機構100は、主として、検知部110と、スイッチ部130と、により形成される。
【0039】
検知部110は、調理鍋10と調理ユニット20と本体ケース70とが正しく組み付けられているか否かを検知するものである。検知部110は、主として、レバー111と、支持板部112と、ばね113と、により形成される。なお、レバー111と支持板部112とばね113とは、調理ユニット20のうち操作部60に配置される。
【0040】
なお、誤使用防止機構100の配置構成は、調理鍋10と調理ユニット20と本体ケース70との組み付けの過程(より詳細には、調理鍋10と調理ユニット20と本体ケース70とのうち、何れの部材と部材とが組み付けられたか)によって変化するものである。以下の説明では、図11に基づいて、調理鍋10と調理ユニット20と本体ケース70とが組み付けられていない状態(すなわち、調理ユニット20の単独の状態)における誤使用防止機構100の配置構成(以下では、「第一の状態」と称する。)について説明する。
【0041】
図11に示す、検知部110のレバー111は、細長い金属製薄板がプレス加工により一体形成された部材である。レバー111の後端部115は、下側が開口された略U字状のU字部120が、上方へ向けて突出するように形成される。U字部120の上端部には、平面121が形成される。平面121は、側面視で後方へ行くに従って緩やかに上昇するように形成される。レバー111の前端部116は、下方へ向けて屈曲されている。また、レバー111の前後中途部には、支え板部117が形成される。支え板部117は、レバー111の左端部から、その板面を略左右方向へ向けた状態で、下方へ向けて延出される。支え板部117には、当該支え板部117を左右方向に貫通したネジ孔122が形成される。レバー111は、操作部60の前端部に配置される。
【0042】
図11(b)に示す、検知部110の支持板部112は、レバー111を支持するための略平板状の部材である。支持板部112は、操作部60の前端部に配置される。支持板部112は、その板面を略左右方向へ向けた状態で、後方へ向けて延出される。また、支持板部112には、長手方向を上下方向とした長孔118が、当該支持板部112を左右方向に貫通して形成される。
【0043】
また、図11(b)に示すように、レバー111は、当該レバー111のネジ孔122と支持板部112の長孔118との位置を合わせて、ネジ119を介して当該支持板部112に支持される。レバー111は、長手方向を略前後方向として配置される。ここで、ネジ119の外径は、長孔118の内径よりも小さく形成される。また、ネジ119のネジ山と支え板部117との間の巾は、支持板部112の板巾よりも大きく形成される。したがって、レバー111は、ネジ119を介して、支持板部112に対して上下方向に摺動(スライド移動)自在に支持される。また、レバー111は、ネジ119を支点として、支持板部112に対して側面視で時計回り及び反時計回りに回動自在に支持される。
【0044】
また、図11(b)に示すように、レバー111の前端部116は、操作部60の後端部に形成された開口部65を通じて、当該操作部60の内部に挿入される。レバー111における開口部65内の部分は、当該開口部65の下縁部の近傍に配置される。
また、図11(b)に示すように、レバー111の後端部115は、遮熱板30の周壁部32の前端部に形成されたレバー用開口部43を通じて、当該遮熱板30の内部に挿入される。レバー111におけるレバー用開口部43内の部分は、当該レバー用開口部43の下縁部の近傍に配置される。
【0045】
このように、第一の状態では、レバー111の前部は開口部65の下縁部の近傍に配置されると共に、レバー111の後部はレバー用開口部43の下縁部の近傍に配置される。したがって、レバー111を、ネジ119を支点として、側面視で時計回り又は反時計回りに回動しようとしても、レバー111が開口部65又はレバー用開口部43のいずれか一方の下縁部と干渉するため回動することができない。換言すれば、第一の状態では、レバー111は、長手方向を略前後方向とした姿勢を維持することとなる。
【0046】
なお、レバー111は、本発明に係る「レバー部材」の一実施形態であり、上記の如く構成に限定するものではない。例えば、レバー111は、1枚の支え板部117によって片持ち支持される構成であるが、2枚の支え板部117・117によって両持ち支持される構成であってもよい。
【0047】
図11(b)に示す、ばね113は、レバー111の前端部を下方へ向けて付勢する付勢手段であり、本実施形態ではスプリングバネである。ばね113の上端部は、レバー111の前端部に接続される。ばね113の下端部は、操作部60の内部の適宜な場所に接続される。なお、第一の状態では、ばね113の付勢力は、レバー111に及ばないように設定される。
【0048】
以上のように、第一の状態における検知部110では、レバー111が、支持板部112に対して、側面視で時計回り及び反時計回りに回動不能である一方、上方へ向けて摺動自在に構成される。
【0049】
図11(b)に示す、スイッチ部130は、検知部110の検知結果に応じてヒータ50の加熱を開始可能とするものである。より詳細には、スイッチ部130は、調理鍋10と調理ユニット20と本体ケース70とが正しく組み付けられたときにスイッチがONとなり、ヒータ50に電力供給を可能とするものである。本実施形態において、スイッチ部130は、本実施形態ではマイクロスイッチで構成される。
【0050】
スイッチ部130は、主として、スイッチ本体131と、可動片132と、により形成される。可動片132は、スイッチ本体131の下方に配置され、上下方向に回動自在に構成される。スイッチ部130は、可動片132が上方へ回動すると、接点が押されてスイッチがONとされる一方、可動片132が下方へ回動すると、スイッチがOFFとされる。なお、図11(b)においては、スイッチがOFFの状態のスイッチ部130を示している。
【0051】
なお、スイッチ部130は、本発明に係る「スイッチ部材」の一実施形態であり、上記の如く構成に限定するものではない。スイッチ部130は、レバー111の前端部が所定の位置(ON位置)まで上昇したことを検知できるものであれば、フォトカプラ等の光センサや近接センサ等を用いることが可能である。
【0052】
スイッチ部130は、操作部60の内部において、前記制御部に電気的に接続されている。そして、スイッチ部130のスイッチがOFFの状態では、前記制御部によって、ヒータ50に電力が供給されず、当該ヒータ50が加熱されないように構成される。一方、スイッチ部130のスイッチがONの状態では、前記制御部によって、電力が供給可能となり、電源と接続されて操作部60において加熱位置まで操作されていると、ヒータ50が加熱されるように構成される。
【0053】
このような構成における誤使用防止機構100は、調理鍋10と調理ユニット20と本体ケース70とが正しく組み付けられた状態でなければ、スイッチ部130のスイッチがONとならないように構成される。換言すれば、誤使用防止機構100は、調理鍋10と調理ユニット20と本体ケース70とが誤って組み付けられた状態であれば、ヒータ50の加熱が開始されないように構成される。
【0054】
次に、調理鍋10と調理ユニット20と本体ケース70とを組み付け途中における誤使用防止機構100の配置構成について、図12及び図13を用いて説明する。
【0055】
なお、以下の説明では、本体ケース70と調理ユニット20とが正しく組み付けられた状態における誤使用防止機構100の配置構成を、「第二の状態」と称する。また、本体ケース70と調理ユニット20と調理鍋10とが正しく組み付けられた状態における誤使用防止機構100の配置構成を、「第三の状態」と称する。
【0056】
ここで、調理鍋10と調理ユニット20と本体ケース70とを正しく組み付けた場合には、誤使用防止機構100の配置構成は、第一の状態、第二の状態、第三の状態、と、順次に移行していくものである。つまり、誤使用防止機構100の配置構成が、第一の状態、第二の状態、第三の状態、と、順次に移行していくと、調理鍋10と調理ユニット20と本体ケース70とを正しく組み付けられたと検知部110によって検知され、ヒータ50が加熱可能となるように構成される。一方、誤使用防止機構100の配置構成が、第一の状態、第二の状態、第三の状態、と、順次に移行しなければ、調理鍋10と調理ユニット20と本体ケース70とが正しく組み付けられていないと検知部110によって検知され、ヒータ50が加熱不能となる(誤使用を防止する)ように構成される。
【0057】
まず、誤使用防止機構100の第二の状態について、図12を用いて説明する。
【0058】
図12(a)に示すように、調理ユニット20が本体ケース70に上方から組み付けられる場合、その組み付け途中において、レバー111の前後中途部の下側面に、遮熱板30の支えボス79の上端部が当接される。そして、図12(b)に示すように、さらに組み付けを進行させると、レバー111が支えボス79によって支持板部112に対して上方へ摺動する。そして、組み付けが終了した場合に、レバー111の上方への摺動が終了する。その結果、レバー111は、支持板部112に対して第一の状態の場合と比べて高さ位置が高くなると共に、支えボス79によって下方から支持される。
【0059】
なお、支えボス79はレバー111の前後中途部に当接して、当該レバー111を前後のバランスをとりながら上方へ摺動させる。したがって、レバー111は、長手方向を略前後方向とした(第一の状態の)姿勢のまま上方へ摺動するか(図12(b)参照)、又はばね113の付勢力によってレバー111の前端部116を下降させながら(後端部115を上昇させながら)、上方へ摺動する。なお、第二の状態において、レバー111の前端部は、スイッチ部130の可動片132の下方にて当該可動片132から離間した(スイッチ部130のスイッチがOFFの)状態で配置される。
【0060】
第二の状態において、レバー111の前部は、開口部65の下縁部及び上縁部から離間した状態で配置される。また、レバー111の後部は、レバー用開口部43の下縁部及び上縁部から離間した状態で配置される。したがって、レバー111を、ネジ119を支点として、側面視で時計回り又は反時計回りに回動しようとしても、レバー111が開口部65又はレバー用開口部43のいずれか一方の上下縁部と干渉することがない。したがって、レバー111は、側面視で時計回り又は反時計回りに回動可能に支持される。
【0061】
また、第二の状態において、レバー111を支持板部112に支持しているネジ119は、当該支持板部112の長孔118の上縁部の近傍に配置される。また、レバー111は、下方から支えボス79によって支持されている。したがって、レバー111は、ネジ119の上方に配置される長孔118の上縁部及び当該レバー111の下方に配置される支えボス79によって上下方向に摺動することができない。
【0062】
以上のように、第二の状態における検知部110では、レバー111が、支持板部112に対して側面視で時計回り及び反時計回りに回動可能である一方、上下方向へ向けて摺動不能に構成される。
なお、例えば本体ケース70に調理ユニット20を組み付けていない状態で当該調理ユニット20に調理鍋10を組み付けた(誤使用の)場合には、第二の状態とはならない。
【0063】
次に、誤使用防止機構100の第三の状態について、図13を用いて説明する。
【0064】
図13(a)に示すように、組み付けられた本体ケース70及び調理ユニット20に、調理鍋10が上方から組み付けられる場合、その組み付け途中において、レバー111の後端部115のU字部120に調理鍋10の下側面が当接される。より詳細には、U字部120に調理鍋10の(傾斜部14ではなく)底壁部13が当接する。そして、図13(b)に示すように、さらに組み付けを進行させると、レバー111の後端部が、調理鍋10によって下方へと押圧される。レバー111は、ネジ119及び支えボス79の上端部を支点として側面視で時計回りに回動を開始する。また、レバー111の側面視で時計回りの回動によって、調理鍋10の底壁部13は、レバー111のU字部120の平面121上を摺動しながら、当該レバー111の下方への押圧を継続する。
【0065】
そして、本体ケース70及び調理ユニット20に対して、調理鍋10の組み付けが終了した場合、レバー111の側面視で時計回りへの回動が終了する。かかる場合、レバー111は、側面視で前端部116が高くて後端部115が低い傾斜した姿勢となる。すなわち、レバー111の後端部115は、調理鍋10によってネジ119の高さ位置よりも下方に位置する。また、レバー111の前端部116は、ネジ119の高さ位置よりも上方に位置する。そして、レバー111の前端部116は、スイッチ部130の可動片132を上方へ向けて押圧している。つまり、スイッチ部130のスイッチがONの状態とされる。
【0066】
このように、第三の状態において、検知部110は、本体ケース70と調理ユニット20と調理鍋10とが組み付けられた状態を検知して、スイッチ部130のスイッチをONすることができる。すなわち、検知部110は、本体ケース70と調理ユニット20と調理鍋10とが正しく組み付けられた場合に、スイッチ部130のスイッチをONしてヒータ50の加熱が開始可能に構成する。
【0067】
なお、本体ケース70と調理ユニット20と調理鍋10とを誤って組み付けた(誤使用の)状態の場合には、第三の状態とならない。より詳細には、検知部110は、本体ケース70と調理ユニット20と調理鍋10との組み付け過程(第一の状態、第二の状態、第三の状態に順次に移行する過程)において、レバー111の摺動と回動という二つの動作を順番に行うことによって、スイッチ部130のスイッチをONするものである。したがって、検知部110は、本体ケース70と調理ユニット20と調理鍋10とを誤って組み付けて(誤使用の)状態の場合には、レバー111の摺動と回動という二つの動作が行われていないこととなり、スイッチ部130のスイッチがONとされない。
【0068】
なお、本体ケース70と調理ユニット20と調理鍋10との組み付けを解除する場合には、誤使用防止機構100の配置構成は、上述の説明とは逆の順序で、第三の状態から第二の状態、第一の状態へと順次に移行していくものであり、その説明は省略する。
【0069】
以上のように、
本発明に係る電気加熱調理器の一実施形態であるグリル鍋1は、
本体ケース70と、ヒータ50を備えて前記本体ケース70に着脱自在に載置される遮熱板30と、前記遮熱板30に着脱自在に収納される調理鍋10(調理プレート)と、を相互に組み付けて使用する電気加熱調理器であって、
前記本体ケース70と前記遮熱板30と前記調理鍋10の組み付けを誤ったまま前記ヒータ50をオンする誤使用を防止する誤使用防止機構100を備え、
前記誤使用防止機構100は、
前記本体ケース70と前記遮熱板30と前記調理鍋10との組み付けを検知する検知部110(検知機構)と、
前記検知部110(検知機構)の検知結果に応じて前記ヒータ50をオンするスイッチ部130(スイッチ部材)と、を備え、
前記検知部110(検知機構)は、レバー111(レバー部材)を備え、
前記レバー111(レバー部材)は、前記本体ケース70と前記遮熱板30と前記調理鍋10(調理プレート)との組み付け過程に応じて、摺動(スライド移動)と回動とを順次に動作することによって、前記本体ケース70と前記遮熱板30と前記調理鍋10(調理プレート)との組み付けを検知するものである。
【0070】
このような構成によって、検知部110は、本体ケース70に対する調理ユニット20と調理鍋10という、二つの部材の載置(組み付け)を、(一つの部材である)レバー111の摺動と回動という二つの動作によって検知するため、一つの動作によって検知する構成と比べて誤検知を防止できると共に、検知部110の構成を簡素にすることができる。また、このような検知部110を備えた誤使用防止機構100によって、本体ケース70と遮熱板30と調理鍋10とを誤って組み付けたままヒータ50をオンする誤使用を防止することができる。
【0071】
また、誤使用防止機構100の検知部110、及びスイッチ部130は、操作部60の内部に配置されている。したがって、本体ケース70には、レバー111等の検知部110を構成する部材は配置されておらず、水洗い等の手入れを容易に行うことができる。
【0072】
また、上述の如く、誤使用防止機構100の検知部110、及びスイッチ部130は、操作部60の内部に配置されている。また、操作部60とヒータ50とは一体的に形成される。したがって、遮熱板30は、操作部60とヒータ50と別体(着脱可能に)に構成することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 グリル鍋
10 調理鍋
30 遮熱版
50 ヒータ
70 本体ケース
100 誤使用防止機構
110 検知部
111 レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースと、ヒータを備えて前記本体ケースに着脱自在に載置される遮熱板と、前記遮熱板に着脱自在に収納される調理プレートと、を相互に組み付けて使用する電気加熱調理器であって、
前記本体ケースと前記遮熱板と前記調理プレートとの組み付けを誤ったまま前記ヒータをオンする誤使用を防止する誤使用防止機構を備え、
前記誤使用防止機構は、
前記本体ケースと前記遮熱板と前記調理プレートとの組み付けを検知する検知機構と、
前記検知機構の検知結果に応じて前記ヒータをオンするスイッチ部材と、を備え、
前記検知機構は、レバー部材を備え、
前記レバー部材は、前記本体ケースと前記遮熱板と前記調理プレートとの組み付け過程に応じた少なくても2以上の異なる動作によって、前記本体ケースと前記遮熱板と前記調理プレートとの組み付けを検知する、
ことを特徴とする電気加熱調理器。
【請求項2】
本体ケースと、ヒータを備えて前記本体ケースに着脱自在に載置される遮熱板と、前記遮熱板に着脱自在に収納される調理プレートと、を相互に組み付けて使用する電気加熱調理器であって、
前記本体ケースと前記遮熱板と前記調理プレートとの組み付けを誤ったまま前記ヒータをオンする誤使用を防止する誤使用防止機構を備え、
前記誤使用防止機構は、
前記本体ケースと前記遮熱板と前記調理プレートとの組み付けを検知する検知機構と、
前記検知機構の検知結果に応じて前記ヒータをオンするスイッチ部材と、を備え、
前記検知機構は、レバー部材を備え、
前記レバー部材は、前記本体ケースと前記遮熱板と前記調理プレートとの組み付け過程に応じて、スライド移動と回動とを順次に動作することによって、前記本体ケースと前記遮熱板と前記調理プレートとの組み付けを検知する、
ことを特徴とする電気加熱調理器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−249979(P2012−249979A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126805(P2011−126805)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】