説明

電気式ドアロック装置

本発明の電気式ドアロック装置およびそれを備えたドア装置は、スライド移動可能な少なくとも1つの電気式ドア本体に適用される電気式ドアロック装置において、ドアフレームの一側に前記電気式ドア本体がスライドされる方向に沿って並んで配置され、正逆方向に回転可能なスクリューと、前記スクリューに隣接する位置に提供されるロックフックと、前記電気式ドア本体が閉じられるとき、ロックフックと結合される結合部を有し、回動可能に設けられるロックレバー、および前記ロックレバーの結合部がロックフックから結合解除されるように、ロックレバーを押圧するロックレバー押圧部を具備し、一端部は前記スクリューに回転可能に連結され、他端部は前記電気式ドア本体に連結されるスライドユニットとを備える。本発明によれば、簡単かつ単純な構造を有しながらも、ロック機能の信頼性を確保することができ、故障および誤動作の危険性を減らせるだけでなく、製作およびメンテナンスが容易なため、製作費用およびメンテナンス費用を従来よりも低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気式ドアロック装置およびそれを備えた電気式ドア装置に関し、より詳細には、簡単かつ単純な構造を有しながらも、ロック機能の信頼性を確保することができ、故障および誤動作の危険性を減らせるだけでなく、製作およびメンテナンスが容易なため、製作費用およびメンテナンス費用を従来よりも低減することができる電気式ドアロック装置およびそれを備えたドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両の場合を例にすると、現在通用されている電気式ドア(自動扉)は、鉄道車両が駅に着いたとき、乗客の乗り降りのために、乗務員が運転盤の開閉スイッチを操作することによって開かれ、乗客が乗り降りするのを眼で確認した後、開閉スイッチを操作することによって閉じられる動作を有する。
【0003】
このとき、電気式ドアが閉じられている間に電気式ドアに人やモノが挟まれると、電気式ドアは完全に閉まらなくなるが、このような状況が発生すると、当該状況または情報を乗務員にディスプレイ手段や警報手段を介して知らせ、電気式ドアが完全に閉じられていない状態を認知した乗務員は、電気式ドアが完全に閉じられるまでに電気式ドアを開閉する動作を繰り返し行うことにより、電気式ドアが完全に閉じられるようにしている。
【0004】
一方、火災や鉄道車両の故障などにより鉄道車両の運行が中断されたり、非常状況の発生により乗客が鉄道車両から降りなければならない場合が発生すると、乗務員が線路状態を確認した後、電気式ドアを直接開けたり、乗客が各々の電気式ドアの近傍に取付けられた手動開閉手段を直接作動させた後、電気式ドアを手動で開けなければならなかった。
【0005】
しかし、鉄道車両が運行中であるかまたは線路状態が危険な状態である場合、あるいはこのような非常状況ではないにもかかわらず、乗客がわずかな力で電気式ドアを開けられるようなことがあれば、非常に危険な状態をもたらしかねないため、鉄道車両には、電気式ドアロック装置が提供される。
【0006】
米国特許第5,077,938号に開示された従来の電気式ドアロック装置は、信頼性あるロック機能を達成するために、ロックローラ、ロックフィンガ部材、ガイドフィンガ部材、ロックローラスライドチャンネル、ローラキーパ、キャリッジなどからなっている。
【0007】
しかし、前記のような従来の電気式ドアロック装置は、多くて複雑な構成により、製作費用およびメンテナンス費用が増大する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、上述した問題を考慮して、より簡単かつ単純な構造を有しながらも、ロック機能の信頼性を確保することができ、故障および誤動作の危険性を減らせるだけでなく、製作およびメンテナンスが容易なため、製作費用およびメンテナンス費用を従来よりも低減することができる電気式ドアロック装置およびそれを備えた電気式ドアを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態にかかる電気式ドアロック装置は、スライド移動可能な少なくとも1つの電気式ドア本体に適用される電気式ドアロック装置において、ドアフレームの一側に前記電気式ドア本体がスライドされる方向に沿って並んで配置され、正逆方向に回転可能なスクリューと、前記スクリューに隣接する位置に提供されるロックフックと、前記電気式ドア本体が閉じられるとき、ロックフックと結合される結合部を有し、回動可能に設けられるロックレバー、および前記ロックレバーの結合部がロックフックから結合解除されるように、ロックレバーを押圧するロックレバー押圧部を具備し、一端部は前記スクリューに回転可能に連結され、他端部は前記電気式ドア本体に連結されるスライドユニットとを備える。
【0010】
前記ロックレバーは、例えば、ロックレバー押圧ばね部材により前記ロックフックに向かって接近する方向に弾性バイアス可能である。
【0011】
また、前記ロックレバーは、前記ロックレバー押圧部と接触するロックレバーローラをさらに備えることができる。前記ロックレバーの前記ロックフックと結合される結合部は、ロックローラからなることが好ましい。
【0012】
前記ロックフックは、前記スクリューに隣接する位置の前記ドアフレームまたはスクリュー中心固定ハウジングの隣接する位置に提供可能である。
【0013】
本発明の電気式ドアロック装置によれば、前記電気式ドア本体に提供され、前記ドア本体が閉じられるとき、前記ドア本体のロック状態を確認するロックスイッチと、前記ロックスイッチを作動させてロックスイッチによるロック信号を発生させるロックスイッチ押圧部とをさらに備えることができる。
【0014】
前記スライドユニットは、前記スクリューに回転可能に螺合し、前記スクリューの長手方向に沿って移動可能な移送ナットと、前記移送ナット、移送ナット支持部、およびロックレバー押圧部を具備する移送ナットボディと、前記移送ナットボディが所定角度回転可能となるように、前記移送ナットボディを外側から部分的に囲んで支持する移送ナットボディハウジングと、前記ロックレバーを前記スライドユニットの進行方向の垂直方向に一定角度回転移動させるロックレバーヒンジとを備えることができる。
【0015】
前記移送ナットボディハウジングは、ハウジング体と、前記ロックレバー押圧部が前記ロックレバーローラ側に露出するように、前記ハウジング体の一側に形成される開口部とを備えることができる。
【0016】
また、前記ロックフックは、前記ロックレバーのロックローラが円滑に前記ロックフックと結合できるように、前記電気式ドア本体が閉鎖される方向に沿って外側に一定の傾斜角度を有する傾斜部と、前記傾斜部の最上端位置から前記電気式ドア本体がスライドされる方向と交差する方向に形成される垂直端部とを備えることができる。
【0017】
前記スライドユニットは、前記電気式ドア本体に連結されるハンガーと、前記ハンガーの一側に連結され、前記ドアフレームに形成されたハンガーレールに転動可能に結合されるハンガーローラと、前記ハンガーの他側と前記移送ナットボディハウジングとを連結支持するリンクとをさらに備えることができる。
【0018】
本発明にかかる電気式ドアロック装置は、非常解除ローラと、非常解除ローラが取付けられる非常解除ローラプレートとからなる非常解除機構を備えることができる。
【0019】
前記ドアフレーム上において、前記電気式ドア本体、前記スクリュー、ロックフック、非常解除ローラ、非常解除ローラプレート、および前記スライドユニットは、単独またはそれぞれ相互対称となるように一対で提供可能であり、一対のスクリューのねじ山は、互いに反対方向である。
【0020】
また、前記電気式ドア本体に提供され、前記電気式ドア本体が閉じられるとき、前記ドア本体の閉状態の信号を発生させる閉スイッチをさらに備えることができる。
【0021】
前記スクリューナットボディと前記スクリューナットボディハウジングとの間には、前記スクリューナットボディが、前記スクリューナットボディハウジングに対して、前記電気式ドア本体のスライド方向または前記スライド方向と交差する方向に流動可能な流動空間がさらに形成可能である。
【0022】
また、本発明によれば、前述した電気式ドアロック装置を備えた電気式ドアが提供される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、より簡単かつ単純な構造を有しながらも、ロック機能の信頼性を確保することができ、故障および誤動作の危険性を減らせるだけでなく、製作およびメンテナンスが容易なため、製作費用およびメンテナンス費用を従来より低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態にかかる電気式ドアロック装置の閉動作が進行中であるときの斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる電気式ドアロック装置の閉動作が完了したときの斜視図である。
【図3】図2に示す閉状態の電気式ドアロック装置の平面図である。
【図4】図2に示す閉状態の電気式ドアロック装置の正面図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる電気式ドアロック装置の開動作が始まるときの斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態にかかる電気式ドアロック装置の開動作が進行中であるときの斜視図である。
【図7】図6に示す開状態であるときの電気式ドアロック装置の平面図である。
【図8】図6に示す開状態であるときの電気式ドアロック装置の正面図である。
【図9】本発明の一実施形態にかかる電気式ドアロック装置の非常ロック解除動作時の斜視図である。
【図10】図9に示す非常ロック解除動作時の電気式ドアロック装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
上述した目的、特徴および利点は、添付した図面に関する以下の実施形態によってより明確になるはずである。以下、添付した図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳細に説明する。各図面に示す同一の参照符号は、同一の構成要素を表す。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態にかかる電気式ドアロック装置が閉動作中であるときの斜視図であり、図2は、本発明の電気式ドアロック装置の閉動作が完了したときの斜視図であり、図3は、図2に示す閉状態のドアロック装置の平面図であり、図4は、図2に示す閉状態のドアロック装置の正面図である。
【0027】
図5は、本発明の一実施形態にかかる電気式ドアロック装置が開動作を始めるときの斜視図であり、図6は、本発明の電気式ドアロック装置の開動作が進行中であるときの斜視図であり、図7は、図6に示す開状態であるときのドアロック装置の平面図であり、図8は、図6に示す開状態のドアロック装置の正面図である。
【0028】
図9は、本発明の一実施形態にかかる電気式ドアロック装置の非常ロック解除動作を始めるときの斜視図であり、図10は、図9に示す非常ロック解除動作時のドアロック装置の平面図である。
【0029】
図1〜図10に示すように、本発明の一実施形態にかかる電気式ドアロック装置は、スライド移動可能な少なくとも1つの電気式ドア本体(図示せず)に適用される電気式ドアロック装置において、電気式ドア本体に提供され、ドア本体が閉じられるとき、ロック状態を確認するロックスイッチ27と、ドアフレーム(図示せず)の一側に電気式ドア本体がスライドされる方向に沿って並んで配置され、正逆方向に回転可能なスクリュー10と、スクリューに隣接する位置のドアフレームまたはスクリュー中心固定ハウジング21に提供されるロックフック20と、電気式ドア本体が閉じられるとき、ロックフック20と結合されるロックローラ16を有し、回動可能に設けられるロックレバー17、前記ロックレバーのロックローラ16がロックフック20から結合解除されるように、ロックレバー17のローラ18を押圧するロックレバー押圧部13、および前記ロックスイッチ27を作動させてロックスイッチによるロック信号を発生させるロックスイッチ押圧部28を具備し、一端部は前記スクリューに回転可能に連結され、他端部は前記電気式ドア本体に連結されるスライドユニット30とを備える。前記ロックレバー17は、例えば、ロックレバー押圧ばね19により前記ロックフック20に向かって接近する方向に弾性バイアスされる。前記ロックフック20は、前記ロックレバー17のロックローラ16が円滑に前記ロックフック20と結合できるように、前記電気式ドア本体が閉鎖される方向に沿って外側に一定の傾斜角度を有する傾斜部と、前記傾斜部の最上端位置から前記電気式ドア本体がスライドされる方向と交差する方向に形成される垂直端部とを備えることができる。前記ロックフック20と前記ロックレバー17のロックローラ16との結合および解除動作が円滑にできるように、前記ロックフックの傾斜部と垂直端部との境界部がラウンド状になることが好ましい。
【0030】
本発明の電気式ドアロック装置によれば、図1に示すように、スライドユニット30が閉方向に移動しながら、ロックレバー17のロックローラ16がロックフック20と出会うと、ロックフック20の傾斜角により、ロックローラ16は、ロックレバー押圧ばね19の力に逆行して一定の角度だけ移動し、ロックフック20の傾斜面に乗って上昇した後、ロックフック20の傾斜面の最上端位置から垂直に落下して、図2のように、ロック位置にいくようになり、このとき、ロックスイッチ押圧部28がロックスイッチ27を作動してロック信号が発生し、この信号はユーザに伝達され、ドアのロック行程が完了する。
【0031】
ロックスイッチ27は、図1に示すように、ドアフレームの上部またはスクリュー中心固定ハウジング21に結合可能である。ロックスイッチ27は、ロックスイッチ押圧部28によって作動し、すなわち、押圧動作によってロック信号を発生させるセンサとして適用されるため、ロックレバー17に結合されることが好ましい。もちろん、これは一実施形態にすぎない。すなわち、本実施形態の場合は、電気式ドア本体が閉じられるとき、その動作に連動して、ロックスイッチ押圧部28が一定角度回転移動しながら、ロックスイッチ27を作動する構成を開示しているが、ロックスイッチ27を図1の位置よりもドアフレーム側により偏って配置し、ロックスイッチ押圧部28が回転移動してロックスイッチ27に近接したときにはじめてロック信号を発生させる、例えば、近接センサなどとして適用することもできる。どのような方式が適用されても、電気式ドア本体1が閉鎖された場合、ロック機能の信頼性が確保できれば、それで十分である。
【0032】
スクリュー10は、電気式ドア本体が開放または閉鎖される動作が行われるように、電気式ドア本体に実質的な駆動力をモータ(図示せず)から受けて伝達するものである。
【0033】
本実施形態の場合、一組の電気式ドア本体が提供されているため、スクリュー10も一組で提供されるが、一組の電気式ドア本体が開放または閉鎖される方向は互いに反対方向であるため、一組のスクリュー10に形成されるねじ山は、互いに反対方向となる。すなわち、図1〜図10の左側のスクリュー10は右ねじ山、そして、右側のスクリュー10は左ねじ山を有する。これらのスクリュー10は、電気式ドア本体に実質的な駆動力を伝達するものであるため、モータのモータ軸(図示せず)に連結され、正逆方向に回転する。参考として、ドアの開閉は、ユーザによる手動制御も可能であり、自動制御も可能である。
【0034】
スライドユニット30は、一端部はスクリュー10に回転可能に螺合し、他端部は電気式ドア本体(図示せず)に連結されるものであって、スクリュー10の回転動作時、その動力を電気式ドア本体に伝達して電気式ドア本体を開閉する役割を果たす。
【0035】
前記のように構成された本発明の一実施形態にかかる電気式ドアロック装置のスライドユニット30には、後述する細部構成のほか、ロックスイッチ27を作動するロックスイッチ押圧部28と、ロックフック20と相互作用するロックローラ16を具備するロックレバー17とが一体化されているため、構成が非常に簡単になるという利点がある。
【0036】
より具体的に説明すると、本実施形態の場合、スクリュー中心固定ハウジング21を除くほとんどの構成がスライドユニット30に一体化されているため、簡単かつ単純な構造を有しながらも、ロック機能の信頼性を確保することができ、故障および誤動作の危険性を減らせるだけでなく、製作およびメンテナンスが容易なため、製作費用およびメンテナンス費用を従来よりも低減することができるのである。
【0037】
このようなスライドユニット30は、前記スクリュー10に回転可能に螺合し、スクリュー10の長手方向に沿って移動可能な移送ナットボディと、前記移送ナット11を外側から囲んで支持し、一側にロックレバーローラ18およびロックローラ16を具備するロックレバー17に連結され、前記移送ナットボディが所定角度回転可能となるように、前記移送ナットボディを外側から部分的に囲んで支持する移送ナットボディハウジング12と、移送ナットボディハウジング12およびロックレバーヒンジ18に連結されるロックレバー17と、移送ナットボディハウジング12とハンガー(図示せず)とを連結させるリンクと、リンクと電気式ドア本体とを連結するハンガーとを備えることができる。
【0038】
前記移送ナットボディは、スクリュー10と直接締結され、内側にはスクリュー10の溝と一致する螺旋状溝と、スクリューの回転運動をスライドユニットの直線運動に転換する移送ナット11と、移送ナットに取付けられ、ロックレバーローラ18を具備したロックレバー17をロック位置まで移動させるロックレバー押圧部13と、移送ナットと一体となるかまたは取付けられ、移送ナットボディを一定角度だけ回転できるように支持する移送ナット支持部14とから構成されている。前記ロックレバー押圧部13は、一側に突出部が形成された所定厚さの円板状になってもよく、所定厚さの円板を前記スクリュー10の軸中心から偏心して取付けてもよい。また、前記ロックレバーは、前記ロックレバー押圧部と接触するロックレバーローラをさらに備えることにより、ロックレバー押圧部とロックレバーローラとは相互転動接触することが好ましい。
【0039】
移送ナット11は、スクリュー10と螺合するものである。したがって、スクリュー10が回転すると、電気式ドア本体側に連結される移送ナットボディハウジング12は、スクリュー10の長手方向に沿って移動可能である。このように、移送ナットボディハウジング12の内側に入っている移送ナット11がスクリュー10の長手方向に沿って移動可能なため、移送ナットボディハウジング12に連結される電気式ドア本体が動作できるのである。
【0040】
移送ナットボディハウジング12は、移送ナットボディを外側から部分的に囲んで支持するものであるが、移送ナット11およびロックレバー押圧部13は、移送ナットボディに連結された状態で動作しながら、特に、回転動作しながらロックレバーローラ18と相互作用しなければならないため、移送ナットボディハウジング12は、移送ナット11およびロックレバーローラ押圧部13の動作を妨げないように製作される。このような移送ナットボディハウジング12は、ロックレバー押圧部13がロックレバーローラ18側に移動を許容するように、移送ナットボディハウジング12体の一側に形成される開口部を備える。
【0041】
前記ロックレバー押圧部13は、移送ナットボディがスライドドアの開方向に移送されるとき、移送ナットボディと一体で回転しながら、ロックレバーローラ18に加圧して移動させることにより、ロックローラ16がロックフック20からのロックされた状態から抜け出すことができるようにする。
【0042】
前記移送ナット支持部14は、移送ナットボディの一側面に直角の形態を有しているため、移送ナットボディがロック状態であるときおよび開状態であるときに、一定角度以上を動くことができないように支持する役割を果たす。
【0043】
前記ロックレバー17は、移送ナットボディハウジング12およびロックレバーヒンジ26に連結され、スライドドアの進行方向の垂直方向に一定の距離だけロックレバーヒンジを中心に回転移動することができ、より詳細には、ロックレバー押圧部13を具備した移送ナットが回転するとき、ロックレバー押圧部13と接触して、ロックレバー17がロックレバーヒンジ26を中心に一定の距離だけ回転して移動できるようにするロックレバーローラ18と、ロックスイッチ押圧部28およびロックフック20に連動して、実際のロック動作を行うロックローラ16とを備えることができる。
【0044】
前記ロックレバー17は、ロックローラ16がドアの閉方向にロックフックと結合される方向に弾性バイアスされるように提供可能である。
【0045】
前記移送ナットボディハウジング12は、移送ナットを外側から囲んで支持し、一側にロックレバーローラ18およびロックローラ16を具備するロックレバー17に連結され、前記移送ナットボディが所定角度回転可能となるように、前記移送ナットボディを外側から部分的に囲んで支持されるように提供可能である。
【0046】
前記ロックフック20は、ロックローラ16に連動してロックの機能を果たす。前記ロックフック20は、ロックフック固定板24に取付けられるかまたは一体となっており、スクリュー中心固定ハウジング21に取付けられるか、(空間の制約を受ける場合などには)必要に応じて好適な場所に取付け可能である。
【0047】
本発明の一実施形態にかかる電気式ドアロック装置は、非常時に任意にロック装置を解除可能な非常解除機構を備えることができる。前記非常解除機構は、非常解除ローラ25と、非常解除ローラが取付けられる非常解除ローラ取付プレート23とを備える。前記非常解除ローラプレート23は、スクリュー中心固定ハウジング21に一定の角度だけ回転可能に取付けられており、前記非常解除ローラ25と結合されているため、非常解除時、非常解除ローラ25と同様に一定の角度だけ回転し、非常解除ローラ25がロックレバー17の内側に形成された突出部41に接触して、前記内側突出部41を前方に押し出す。これにより、ロックレバー押圧部13がロックレバー17のロックレバーローラ18を前方に押し出さなくても、ロックローラ16がロックフック20から離脱する方向に一定の距離だけ移動可能である。前記非常解除ローラプレート連結ピン22は、左右の非常解除ローラプレート23を連結させ、左右の非常解除ローラプレート23が同一の角度だけ回転できるようにする。
【0048】
本発明の実施形態において、ドアフレーム(図示せず)は、電気式ドア本体をスライド移動可能に固定した取付板である。前記ドアフレームは、一定の剛性を確保するために、金属フレームで製作可能である。
【0049】
次に、本発明の電気式ドアロック装置の作動について、鉄道車両を例として説明する。
【0050】
まず、図1〜図4を参照して、本発明の電気式ドアロック装置の閉動作について説明する。
【0051】
図1は、電気式ドアロック装置が閉動作中であるときの斜視図であり、図2は、閉動作が完了したときの斜視図であり、図3は、図2に示す閉状態のドアロック装置の平面図であり、図4は、図2に示す閉状態のドアロック装置の正面図である。
【0052】
モータによってスクリュー10が正方向または逆方向に回転すると、このようなスクリュー10の正方向または逆方向の回転に基づいて電気式ドア本体が閉鎖または開放される動作が行われる。
【0053】
電気式ドア本体が閉じられるとき、図1および図2に示すように、スクリュー10を逆方向に動作させればよいが、ロックレバー押圧部13は、ロックレバーローラ18を押し出すのではなく、ロックレバー押圧ばね19が、ロックレバー17のロックローラ16がロックフック20と動作してロック動作を行うことができるように、ロックレバー17を開放時とは異なる方向に力を加える。
【0054】
すなわち、図1に示すように、スライドユニットが閉方向に移動しながら、ロックレバー17のロックローラ16がロックフック20と出会うと、ロックフック20の傾斜角により、ロックローラ16は、ロックレバー押圧ばね19の力に逆行して一定の角度だけ移動し、ロックフック20の傾斜面に乗って上昇した後、ロックフック20の傾斜面の最上端位置から垂直に落下して、図2のように、ロック位置にいくようになる。このとき、ロックスイッチ押圧部28がロックスイッチ27を作動してロック信号が発生し、この信号はユーザに伝達され、ドアのロック行程が完了する。もちろん、このような状態は、ロック状態を最終的に確認するステップであるため、ロック信号が発生する前に、図示しない閉スイッチによる閉信号はすでにユーザに伝達された状態である。
【0055】
このように、閉スイッチ(図示せず)による閉信号と、ロックスイッチ27によるロック信号とがユーザの制御システムに伝送されてはじめてドアの閉行程が完了するが、このときはすでにロックローラ16がロックフック20の内側に配置された状態であるため、仮に乗客が電気式ドア本体を任意に開けようとしても、電気式ドア本体は、ロック状態をそのまま維持することができるため、電気式ドア本体は開放されない。
【0056】
次に、図5〜図8を参照して、本発明の電気式ドアロック装置の開動作について説明する。
【0057】
図5は、本発明の電気式ドアロック装置が開動作を始めるときの斜視図であり、図6は、電気式ドアロック装置の開動作が進行中であるときの斜視図であり、図7は、図6に示す開状態であるときのドアロック装置の平面図であり、図8は、図6に示す開状態のドアロック装置の正面図である。
【0058】
電気式ドア本体が開かれるとき、ロックレバーローラ押圧部13がロックレバーローラ18を作動するためには、移送ナットボディハウジング12の内側で移送ナット11が一定の角度で回転できなければならない。
【0059】
これにより、例えば、スクリュー10の正方向の回転に基づいて電気式ドア本体が開放される動作が行われると、図5および図6に示すように、スクリュー10を動作させる。スクリュー10の動作時、初期の強い回転トルク(torque)によって移送ナットボディのロックレバー押圧部13がロック位置から一定の角度で回転することにより、ロックレバー17のロックレバーローラ18を前方向(図5および図6の「F」方向)に押し出すと、ロックレバー17のロックローラ16がロックフック20から離脱してロック解除され、開動作が行われ、ドア本体が正常に開放できる。
【0060】
電気式ドア本体の開閉時、電気式ドア本体は、スクリュー10の軸に沿って移動するものの、ドアフレームに形成されたハンガーレール(図示せず)に沿ってハンガーローラが転動することにより、電気式ドア本体は円滑に開閉できる。
【0061】
次に、図9および図10を参照して、本発明の電気式ドアロック装置の非常解除機構の動作について説明する。
【0062】
図9は、本発明の電気式ドアロック装置の非常ロック解除動作を始めるときの斜視図であり、図10は、図9に示す非常ロック解除動作時のドアロック装置の平面図である。
【0063】
図9および図10に示すように、非常時にロック装置を任意に解除しようとする場合は、非常解除ローラ25が取付けられた非常解除ローラプレート23を回転させると、非常解除ローラ25がロックレバー17の内側突出部41に接触して、前記内側突出部41を前方に押し出す。これにより、ロックレバー押圧部13がロックレバー17のロックレバーローラ18を前方に押し出さなくても、ロックレバー17がロックレバーヒンジ26を中心に回転し、ロックレバー17のロックローラ16がロックフック20から離脱してロック解除できる。
【0064】
このように、本実施形態によれば、簡単かつ単純な構造を有しながらも、ロック機能の信頼性を確保することができ、故障および誤動作の危険性を減らせるだけでなく、製作およびメンテナンスが容易なため、製作費用およびメンテナンス費用を従来よりも低減することができる。
【0065】
前述した本発明の一実施形態の場合、ドアフレーム(図示せず)上において、スクリュー10、スクリュー中心固定ハウジング21、およびスライドユニット30は、それぞれ相互対称となるように一組(セット)で提供されるが、これは、電気式ドア本体が一組で提供され、互いに接近しながら閉鎖されるか、離隔しながら開放されるからである。
【0066】
しかし、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではないため、ドアフレーム上に1つの電気式ドア本体が提供されてもよい。このように、1つの電気式ドア本体が提供される場合であれば、スクリュー10、ロックスイッチ27、スライドユニット30も、それに対応して1つずつ提供されれば、それで十分であり、スクリュー中心固定ハウジング21も、一方向でのみ提供されれば十分である。もちろん、ドアフレーム上に1つの電気式ドア本体が提供されるとしても、本実施形態と同様の動作を行うことができる。
【0067】
前述した本発明の一実施形態にかかる電気式ドアロック装置は、鉄道車両内の電気式ドアに取付けられて使用されてもよく、あるいは地下鉄の駅舎などのスクリーンドアなどに取付けられて使用されてもよい。
【0068】
以上で説明した本発明は、上述した実施形態および添付した図面によって限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々な置換、変形および変更が可能であることは、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者にとって自明である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライド移動可能な少なくとも1つの電気式ドア本体に適用される電気式ドアロック装置において、
ドアフレームの一側に前記電気式ドア本体がスライドされる方向に沿って並んで配置され、正逆方向に回転可能なスクリューと、
前記スクリューに隣接する位置に提供されるロックフックと、
前記電気式ドア本体が閉じられるとき、ロックフックと結合される結合部を有し、回動可能に設けられるロックレバー、および前記ロックレバーの結合部がロックフックから結合解除されるように、ロックレバーを押圧するロックレバー押圧部を具備し、一端部は前記スクリューに回転可能に連結され、他端部は前記電気式ドア本体に連結されるスライドユニットとを備えることを特徴とする電気式ドアロック装置。
【請求項2】
前記ロックレバーは、前記ロックフックに向かって接近する方向に弾性バイアスされることを特徴とする請求項1に記載の電気式ドアロック装置。
【請求項3】
前記ロックレバー押圧部は、一側に突出部が形成された所定厚さの円板状となることを特徴とする請求項1に記載の電気式ドアロック装置。
【請求項4】
前記ロックレバー押圧部は、所定の厚さの円板状となっており、前記スクリューの軸中心から偏心して取付けられることを特徴とする請求項1に記載の電気式ドアロック装置。
【請求項5】
前記ロックレバーは、前記ロックレバー押圧部と接触するロックレバーローラをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電気式ドアロック装置。
【請求項6】
前記ロックレバーは、前記ロックフックと結合される結合部をなすロックローラをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電気式ドアロック装置。
【請求項7】
前記ロックフックは、前記スクリューに隣接する位置の前記ドアフレームまたはスクリュー中心固定ハウジングの隣接する位置に提供されることを特徴とする請求項1に記載の電気式ドアロック装置。
【請求項8】
前記電気式ドア本体に提供され、前記ドア本体が閉じられるとき、前記ドア本体のロック状態を確認するロックスイッチと、前記ロックスイッチを作動させてロックスイッチによるロック信号を発生させるロックスイッチ押圧部とをさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の電気式ドアロック装置。
【請求項9】
前記スライドユニットは、
前記スクリューに回転可能に螺合し、前記スクリューの長手方向に沿って移動可能な移送ナットと、
前記移送ナット、移送ナット支持部、およびロックレバー押圧部を具備する移送ナットボディと、
前記移送ナットボディが所定角度回転可能となるように、前記移送ナットボディを外側から部分的に囲んで支持する移送ナットボディハウジングと、
前記ロックレバーを前記スライドユニットの進行方向の垂直方向に一定角度回転移動させるロックレバーヒンジとを備えることを特徴とする請求項1に記載の電気式ドアロック装置。
【請求項10】
前記移送ナットボディハウジングは、
ハウジング体と、
前記ロックレバー押圧部が前記ロックレバーローラ側に露出するように、前記ハウジング体の一側に形成される開口部とを備えることを特徴とする請求項9に記載の電気式ドアロック装置。
【請求項11】
前記ロックフックは、
前記ロックレバーのロックローラが円滑に前記ロックフックと結合できるように、前記電気式ドア本体が閉鎖される方向に沿って外側に一定の傾斜角度を有する傾斜部と、
前記傾斜部の最上端位置から前記電気式ドア本体がスライドされる方向と交差する方向に形成される垂直端部とを備えることを特徴とする請求項1または7に記載の電気式ドアロック装置。
【請求項12】
前記ロックフックの傾斜部と垂直端部との境界部がラウンド状となることを特徴とする請求項11に記載の電気式ドアロック装置。
【請求項13】
前記スライドユニットは、
前記電気式ドア本体に連結されるハンガーと、
前記ハンガーの一側に連結され、前記ドアフレームに形成されたハンガーレールに転動可能に結合されるハンガーローラと、
前記ハンガーの他側と前記移送ナットボディハウジングとを連結支持するリンクとをさらに備えることを特徴とする請求項1または9に記載の電気式ドアロック装置。
【請求項14】
非常解除機構をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の電気式ドアロック装置。
【請求項15】
前記非常解除機構が、非常解除ローラと、非常解除ローラ取付プレートとを備えることを特徴とする請求項14に記載の電気式ドアロック装置。
【請求項16】
前記ドアフレーム上において、前記電気式ドア本体、前記スクリュー、ロックフック、非常解除ローラ、非常解除ローラ取付プレート、および前記スライドユニットは、それぞれ相互対称となるように一対で提供されることを特徴とする請求項1または2に記載の電気式ドアロック装置。
【請求項17】
一対の前記スクリューのねじ山は、互いに反対方向であることを特徴とする請求項1または2に記載の電気式ドアロック装置。
【請求項18】
前記電気式ドア本体に提供され、前記電気式ドア本体が閉じられるとき、前記ドア本体の閉状態の信号を発生させる閉スイッチをさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の電気式ドアロック装置。
【請求項19】
前記スクリューナットボディと前記スクリューナットボディハウジングとの間には、
前記スクリューナットボディが、前記スクリューナットボディハウジングに対して、前記電気式ドア本体のスライド方向または前記スライド方向と交差する方向に流動可能な流動空間がさらに形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の電気式ドアロック装置。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の電気式ドアロック装置を備えたことを特徴とする電気式ドア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−522914(P2012−522914A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503336(P2012−503336)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【国際出願番号】PCT/KR2010/002027
【国際公開番号】WO2010/114326
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(511238859)ボチェス株式会社 (3)
【氏名又は名称原語表記】VOCES CO., LTD
【住所又は居所原語表記】302,Jinchul Bldg.,623−8,Jugyo−dong,Deokyang−gu,Goyang−si,Gyeonggi−Do 412−010 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】