説明

電気泳動法による複合誘電体のコンフォーマルな堆積

本明細書では一般に、複合誘電材料の設計、製造、および使用のための技術について述べられる。実施形態は非限定的に方法、装置、およびシステムを含む。他の実施形態も開示され特許請求され得る。本明細書で述べるいくつか技術は、エネルギー蓄積デバイスに用いるように誘電材料の薄い層をコンフォーマルに形成するための誘電体粒子の電気泳動堆積を含む。例示のエネルギー蓄積デバイスは、一部の場合に電池、ウルトラキャパシタ、および他の同様なデバイスの動作を置き換えるおよび/または補助するために用いることができるコンデンサデバイスを含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本明細書では特に明記しない限り、本項で述べる材料は本出願での特許請求の範囲に対する従来技術ではなく、本項に含むことによって従来技術であると認めるものではない。
【0002】
コンデンサは様々なエネルギー蓄積用途に用いることができる。通常は2つの導電層の間に誘電材料が挟まれてコンデンサが形成される。現在は誘電材料は、誘電体層の積層またはソルベントキャスティング(solvent casting)(たとえば、スプレーコーティング)、続いて誘電体の上のポリマーの層を溶融することによって誘電体層内のあらゆる空間を満たすなどの方法を用いて製造することができる。下にある導電層が平面でない場合は、通常はこれらの製造方法では平面ではあるが厚さが均一でない複合誘電体の層となる。
【発明の概要】
【0003】
本開示はとりわけ、電気泳動堆積によって形成される複合誘電体に関連する方法、装置、およびシステムを対象とする。本明細書では一般に、複合誘電材料の設計、製造、および使用のための技術について述べる。実施形態は非限定的に方法、装置、およびシステムを含む。他の実施形態も開示され特許請求され得る。本明細書で述べるいくつかの技術は、エネルギー蓄積デバイスで用いるように誘電材料の薄い層を形成するための誘電体粒子の電気泳動堆積を含む。例示のエネルギー蓄積デバイスは、一部の場合に電池、ウルトラキャパシタ、および他の同様なデバイスの動作を置き換えるおよび/または補助するために用いることができるコンデンサデバイスを含む。本明細書で用いる「複合誘電体」は、ポリマーで満たされた空間を有する誘電体層を備えることができる。
【0004】
様々な実施形態において複合誘電体装置を製作する方法は、電気泳動法によって第1の導電層上に誘電材料の層をコンフォーマルに(conformally)堆積し、誘電材料の層内の空間をポリマーで満たすことを含む。方法はさらに、ポリマーで満たされた誘電材料の層上に第2の導電層を形成して複合誘電体装置を形成することを含む。コンフォーマルに堆積することは、第1の導電層を溶媒内に浸漬し、誘電材料が第1の導電層に引き付けられて誘電材料の層をコンフォーマルに形成するように、第1の導電層に電気バイアスを印加することを含むことができる。溶媒は、その中に分散された誘電材料を含むことができる。さらに溶媒は、その中に分散された誘電材料を有する有機溶媒とすることができる。電気バイアスを印加することは、誘電材料を第1の導電層に引き付けて誘電材料の層をコンフォーマルに形成するように、第1の導電層をパルス的にバイアスする、または交互に順バイアスおよび逆バイアスすることを含むことができる。ポリマーは、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリプロピレン、ポリカーボネート、またはポリイミドの1つまたは複数を含むことができる。空間を満たすことは、誘電材料の層上にポリマーを堆積し、ポリマーが誘電材料の層内の空間内に引き入れられる(the polymer is drawn into the spaces in the layer of dielectric material)ように、ポリマーに熱または圧力のうちの1つまたは複数を印加することを含むことができる。
【0005】
様々な実施形態において複合誘電体装置を製作する方法は、第1の導電層上に粒子の層を電気泳動的に堆積することであって、粒子はポリマーで被覆された誘電材料を含む、堆積すること、およびポリマーを粒子の層内の空間内に引き入れるように、熱または圧力のうちの1つまたは複数を粒子の層に印加することを含むことができる。方法はさらに、ポリマーで満たされた粒子の層上に第2の導電層を形成して複合誘電体装置を形成することを含むことができる。電気泳動的に堆積することは、導電層上に粒子の層をコンフォーマルに堆積することを含むことができる。ポリマーは、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリプロピレン、ポリカーボネート、またはポリイミドの1つまたは複数を含むことができる。
【0006】
様々な実施形態において複合誘電体装置は、第1の導電層と、第1の導電層上にコンフォーマルに形成された誘電材料の層とを含むことができる。装置はさらに、誘電材料の層の空間内のポリマーと、ポリマーで満たされた誘電材料の層上の第2の導電層とを含むことができる。第1の導電層は平面でない表面を含むことができ、誘電材料の層は第1の導電層の平面でない表面上にコンフォーマルに形成される。第1の導電層は、アルミニウム、銅、白金、金、銀、またはニッケルの1つまたは複数から形成される金属材料とすることができる。ポリマーは、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリプロピレン、ポリカーボネート、またはポリイミドの1つまたは複数を含むことができる。誘電材料は、チタン酸バリウム、ケイ酸ハフニウム、ケイ酸ジルコニウム、二酸化ハフニウム、または二酸化ジルコニウムの1つを含むことができる。誘電材料はチタン酸バリウムを含むことができ、チタン酸バリウムは酸化アルミニウムで被覆される。誘電材料は、高k誘電材料を含むことができる。
【0007】
様々な実施形態において複合誘電体を有するシステムは、出力端子と、少なくとも1つのコンデンサを含むエネルギー蓄積モジュールとを含むことができる。エネルギー蓄積モジュールは、第1の導電層と、第1の導電層上にコンフォーマルに形成された誘電材料の層とを含むことができる。エネルギーモジュールはさらに、誘電材料の層の空間内のポリマーと、ポリマーで満たされた誘電材料の層上の第2の導電層とを含むことができる。さらにシステムは電池モジュールを含むことができる。電池およびエネルギー蓄積モジュールは、出力端子に並列に結合することができる。システムはさらに、電池モジュールと出力端子の間、およびエネルギー蓄積モジュールと出力端子の間に接続されたDC/DCコンバータを含むことができる。システムはさらに、出力端子に接続された負荷を含むことができる。エネルギー蓄積モジュールおよび電池モジュールは、中断されない電力供給を負荷にもたらすことができる。少なくとも1つのコンデンサは、高誘電率コンデンサとすることができる。
【0008】
上記の概要は例示のみであり、何ら限定するものではない。図面を参照することによりおよび以下の詳細な説明により、上述の例示的な態様、実施形態、および特徴に加えて、他の態様、実施形態、および特徴が明らかとなるであろう。
【0009】
主題については、本明細書の結びの部分において具体的に指摘され明瞭に特許請求される。本開示の上記その他の特徴は、添付の図面と併せ読めば、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲から、より十分に明らかとなるであろう。これらの図面は本開示によるいくつかの実施形態のみを示し、したがってその範囲を限定すると見なされるべきでないとの理解により、本開示について添付の図面の使用を通して追加の特定性および詳細によって説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本開示の様々な実施形態により構成された、複合誘電体を含む装置を製造するための例示のシステムのブロック図である。
【図2】本開示の様々な実施形態により構成された、複合誘電体装置を製作する例示の方法に関連する作業のいくつかを示すフロー図である。
【図3】本開示の様々な実施形態により構成された、複合誘電体装置を製作する例示の方法により製造されるデバイスの様々な段階の断面図である。
【図4】本開示の様々な実施形態により構成された、複合誘電体装置を製作する例示の方法により製造されるデバイスの様々な段階の断面図である。
【図5】本開示の様々な実施形態により構成された、複合誘電体装置を製作する例示の方法により製造されるデバイスの様々な段階の断面図である。
【図6】本開示の様々な実施形態により構成された、複合誘電体装置を製作する例示の方法により製造されるデバイスの様々な段階の断面図である。
【図7】本開示の様々な実施形態により構成された、複合誘電体装置を製作する例示の方法により製造されるデバイスの様々な段階の断面図である。
【図8】本開示の様々な実施形態により構成された、複合誘電体装置を製作する別の例示の方法により製造されるデバイスの様々な段階の断面図である。
【図9】本開示の様々な実施形態により構成された、複合誘電体装置を製作する別の例示の方法により製造されるデバイスの様々な段階の断面図である。
【図10】本開示の様々な実施形態により構成された、複合誘電体装置を製作する別の例示の方法により製造されるデバイスの様々な段階の断面図である。
【図11】本開示の様々な実施形態により構成された、複合誘電体を含む例示のシステムのブロック図である。
【図12】本開示の様々な実施形態により構成された、本図は例示のコンピューティングデバイスを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部となる添付の図面を参照する。図面においては同様な記号は、特に言及されない限り、通常は同様な構成要素を特定する。詳細な説明、図面、および特許請求の範囲にて述べられる例示的実施形態は限定を意味するものではない。本明細書に示された本主題の趣旨および範囲から逸脱せずに他の実施形態を利用することができ、他の変更を行うことができる。本明細書で全体的に述べられ、図に示される本開示の態様は、多様な異なる構成にて配置、置換、組み合わせ、分離、および設計を行えることは容易に理解され、それらのすべては明示的に本明細書において企図される。
【0012】
本開示は、下にある平面でない(たとえば、粗い、波打った、または一様でない)導電層の場合は、誘電体層の積層または溶液被覆に依存する方法は、結果として平面ではあるが厚さが均一でない誘電体層または複合体(すなわち、ポリマーで満たされた空間を有する誘電体層)となる傾向があることを認識するものである。誘電体層または複合体の平面な上面は、下にある平面でない導電層の表面積より小さいので、誘電体層または複合体の上に堆積された上部導電層は、誘電体層または複合体の平面な上面にほぼ等しく、下にある平面でない導電層の表面積より小さい表面積を有するようになる。コンデンサのエネルギー蓄積能力は、導電層(コンデンサ電極)の表面積に直接関係し得るので、平面でない表面を有する導電層から得ることができる恩恵は失われ得る。
【0013】
これと対照的に、述べられた誘電体層は電気泳動堆積によって形成することができ、下にある平面でない導電層上であっても、ほぼ厚さが均一な誘電体の層を生じることができる。言い換えれば述べられた誘電体層の表面積は、下にある導電層の表面積に対応させることができる。結果として、それに対応して上部コンデンサ電極の表面積は、積層されたまたは溶液被覆された誘電体層の上に形成された上部コンデンサ電極と比べて増加させることができる。
【0014】
図1は、本開示の少なくともいくつかの実施形態により構成された、複合誘電体を含む装置を製造するための例示のシステムのブロック図である。システム100の基本構成は、コントローラ102、溶媒槽104、ポリマー堆積チャンバ106、導電性材料堆積チャンバ108、および電源110を含むことができ、すべて図のように互いに結合され全体的に構成される。
【0015】
コントローラ102は、本明細書で述べる様々な方法により複合誘電体を製造するプロセスを、監視、調整、および/または制御するのに適した任意のデバイスとすることができる。たとえばコントローラ102は、コンピューティングデバイス(たとえばコンピュータシステム、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラなど)、または組み込み型コントローラ(たとえば特定用途向け集積回路(ASIC)、または他の等価なもの)でよい。コントローラ102は、本明細書で述べる様々な方法により複合誘電体を製造するプロセスを監視、調整、および/または制御するための1つまたは複数の命令を含む制御プロセス114を含むことができる。たとえば制御プロセス114は、第1の導電層上に誘電材料の層を電気泳動法によってコンフォーマルに堆積し、誘電材料の層内の空間をポリマーで満たし、ポリマーで満たされた誘電材料の層上に第2の導電層を形成して複合誘電体装置を形成することを含む、複合誘電体装置を製作する方法を実施するための命令を含むことができる。コントローラ102によって処理される様々な命令には、溶媒槽104内の様々な電極に供給される信号(たとえば電圧、電流など)を制御するように電源110を適合すること、ポリマー堆積チャンバ106内の加熱/冷却または圧力制御装置によって用いられる温度を適合すること、および/または導電性材料堆積チャンバ108に関連するその他の制御を含むことができる。
【0016】
導電性材料堆積チャンバ108は、任意の堆積方法によって、導電性、半導電性、または非導電性基板上に第1の導電層を形成するように構成することができる。たとえば導電性材料堆積チャンバ108は(たとえば、コントローラ102から導電性材料堆積チャンバ108への1つまたは複数の制御信号を通じて)、物理蒸着(たとえばスパッタリング)、化学気相成長(CVD)、電気メッキ、積層、シルクスクリーニングなどによって第1の導電層を形成するように構成することができる。導電性堆積チャンバ108は、本開示の少なくともいくつかの実施形態により複合誘電体装置を形成するのに適した、任意の材料を含む導電層を形成するように構成することができる。第1の導電層を形成するのに適した材料の例には、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、またはニッケル(Ni)、またはそれらの組み合わせを含むことができる。導電層を形成するのに適した他の材料としては、たとえばシリコン(Si)、窒化ガリウム(GaN)、またはガリウムヒ素(GaAs)などの半導電性材料を含むことができる。他の導電性または半導電性材料も同様に第1の導電層を形成するのに適したものとなり得る。
【0017】
溶媒槽104は(たとえば、電源110から溶媒槽104への1つまたは複数の信号を通じて)、電気泳動堆積により、第1の導電層上への誘電材料の層のコンフォーマルな堆積を容易にするように構成することができる。誘電材料は、複合誘電体を形成するのに適した任意の材料の粒子を含むことができる。様々な実施形態では、特定の用途に応じて高k(高誘電率)材料が適したものとなり得る。「高k」とは、二酸化シリコン(SiO)の誘電率3.9より大きな、またはいくつかの実施形態では約6000までの誘電率を有する誘電材料を含むことができる。適した誘電材料の例には、チタン酸バリウム(BaTiO)、ケイ酸ハフニウム(HfSiO)、ケイ酸ジルコニウム(ZrSiO)、酸化ハフニウム(HfO)、または二酸化ジルコニウム(ZrO)が含まれ得る。様々な実施形態では誘電材料104は、酸化アルミニウム(Al)で被覆されたチタン酸バリウムを含むことができる。他の誘電材料または誘電材料の組み合わせも同様に適したものとなり得る。
【0018】
この目的のために溶媒槽104は、溶媒、誘電材料、電極112a、および対向電極112bを含むことができる。溶媒は、たとえば約12と約35の間の誘電率を有する溶媒を含む、電気泳動堆積に適し粒子分散を維持することができる組成および流動性を確立するのに適した任意の溶媒を含むことができる。たとえばアセトン(OC(CH)、エタノール(COH)、イソプロパノール(COH)、またはメチルエチルケトン(CHC(O)CHCH)などの有機溶媒は、様々な実施形態に適したものとなり得る。たとえばアセトンとエタノール、またはエタノールとイソプロパノールの混合溶媒系も適したものとなり得る。
【0019】
電極112a、112bは共に電源110に接続することができる。電極112aは、第1の導電層と接触するように構成することができ、電極112aおよび対向電極112bは、電源110からの信号(たとえば電圧、電流など)を電極112a、112bの一方または両方に印加することによって導電層をバイアスし、それにより誘電材料の粒子が第1の導電層に引き付けられるように構成することができる。
【0020】
電源110による第1の導電層へのバイアスは、電極に供給される信号が時間と共に変化する、または時間的に一定、またはその両方など、望むものとなるように、(たとえばコントローラ102から電源110への1つまたは複数の制御信号を通じて)制御することができる。一実施例では順バイアス信号(1つまたは複数)は、所定の時間間隔の間、特定の信号振幅(たとえば電流レベル、電圧レベルなど)を有して、電極112aおよび対向電極112bに印加することができる。他の実施例ではバイアスは、電極112aおよび対向電極112bに印加されるバイアス信号(1つまたは複数)を所与のデューティサイクル、周期、振幅、およびパルス幅にて規則的間隔にて印加することができるパルス的バイアスを含むことができる。一部の実施例ではバイアス信号は、順バイアス信号と、時間的に交互の(たとえば時間多重化、または時間的に交互配置された)逆バイアス信号とのシーケンスとして印加することができる。他の実施例ではバイアス信号(1つまたは複数)は、ランプ、鋸歯状、正弦波、区分的線形、対数、指数、またはその他の多様な信号波形などの、振幅が変化する信号波形として印加することもできる。他の周期的および非周期的信号波形も、順バイアスまたは逆バイアスに対して企図される。
【0021】
溶媒槽104によって堆積される誘電体層は、その中に1つまたは複数の空間(または細孔)を含むことがあり、空間はポリマー堆積チャンバ106によって堆積されるポリマーによって満たすことができる。空間は潜在的に結果として誘電体層への電界に印加時にアークを発生し、その結果誘電体層を組み込んだ様々なデバイスの不良を生じ得るので、空間を満たすことが望ましい。
【0022】
空間を満たすためには、ポリマー堆積チャンバ106を利用することができる。ポリマー堆積チャンバ106は(たとえばコントローラ102からポリマー堆積チャンバ106への1つまたは複数の制御信号を通じて)、誘電体層上にポリマーを堆積するように構成することができる。ポリマーは、固体(たとえば粉体、粒子、シートなど)、流体、気体、またはプラズマとして堆積することができ、ポリマー堆積チャンバ106は、たとえばスプレーデポジション、スピンコーティング、化学気相成長、物理蒸着、その他の任意の適当な方法などの、任意の適当な方法によってポリマーを堆積するように構成することができる。
【0023】
様々な実施形態では、第1の導電層上に堆積される誘電材料の粒子は、ポリマーの被覆を含むことができる。ポリマーは、たとえば誘電材料表面の重合または誘電材料表面上へのポリマーの吸着を含む従来型の方法により、誘電材料粒子上にプレコートすることができる。ブロック共重合体は、一部のブロックは溶媒より誘電材料に引き付けられ、他のブロックは誘電材料より溶媒に引き付けられるように、異なる溶解特性を有するポリマーブロックを含み、それぞれのブロックは互いに共有結合してブロック化したポリマーを形成する。
【0024】
誘電体層上へのポリマーの堆積後に、またはポリマー被覆された誘電体粒子の堆積後に、ポリマーを誘電体層内の空間に引き入れて複合誘電体を形成するように、ポリマーおよび誘電体に熱および/または圧力を印加することができる。このためにポリマー堆積モジュール106は、それぞれ熱および/または圧力を印加するための加熱要素116および/または圧力要素120を含むことができる。様々なパラメータ(たとえば、加熱要素116および/または圧力要素120に関連する、加熱温度設定(1つまたは複数)、温度サイクル時間(1つまたは複数)、圧力設定(1つまたは複数)、圧力サイクル時間(1つまたは複数))の制御は、コントローラ102によって適応的に制御することができる。
【0025】
加熱要素116によって熱を印加することにより、ポリマーを流動させ、結果としてポリマーは毛管現象により誘電体層の空間に流入する。したがって加熱要素116は(たとえばコントローラ102から加熱要素116への1つまたは複数の制御信号に応答して)、ポリマーを流動させるには十分であるが、誘電体層の分解温度よりは低い熱を印加するように構成することができる。たとえばポリマーとしてポリ(エチレンテレフタレート)((C10)を用いる実施形態の場合は、加熱要素116は、ポリ(エチレンテレフタレート)の融点である約260℃を超える熱を印加するように構成することができる。誘電材料の例としてチタン酸バリウム(BaTiO)の分解は、ほぼ550℃で起きる傾向があるので、一部の実施形態では加熱要素116は、約260℃より高く、およそ約550℃より低く熱を印加するように構成することができる。
【0026】
圧力要素120は(たとえばコントローラ102から圧力要素120への1つまたは複数の制御信号に応答して)、加熱要素116により同時加熱しながら、または同時加熱せずに、誘電体層およびその上のポリマーに圧力を受けさせるように構成することができる。同時加熱ありまたはなしで圧力を印加することにより、誘電体層の空間へのポリマーの流入を、結果として生じるまたは促進することができる。したがって圧力要素120は、誘電体層の空間内へのポリマーの流れを引き起こすまたは補助するのに十分な圧力を印加するように構成することができる。たとえば圧力要素120は、加熱要素116がポリマーを溶解しているときに、圧力を印加し、それによりポリマーが誘電体層の空間内に引き入れられるように構成することができる。様々な実施形態において圧力要素120は、ポリマーを等方静的に(isostatically)誘電体層の空間内に押しつけるように、約1000psiまで、または約50000psi以上までの高い圧力を印加するように構成することができる。
【0027】
加熱要素116は温度制御部118を含むことができ、圧力要素120は圧力制御部122を含むことができ、共に図のようにコントローラ102に接続され、それによりコントローラ102は、熱および圧力の印加を監視、調整、および/または制御することができる。
【0028】
様々な実施形態において、さらに導電性材料堆積チャンバ108は(たとえばコントローラ102から導電性材料堆積チャンバ108への1つまたは複数の制御信号を通じて)、複合誘電体上に第2の導電層を形成するように構成することができる。第1の導電層と同様に、第2の導電層は、複合誘電体、または複合誘電体を含む装置を形成するのに適した任意の材料を含むことができる。第2の導電層を形成するのに適した材料の例は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、またはニッケル(Ni)を含むことができる。導電層を形成するのに適した他の材料の例は、たとえばシリコン(Si)、窒化ガリウム(GaN)、またはガリウムヒ素(GaAs)などの半導電性材料を含むことができる。他の導電性または半導電性材料も、第2の導電層を形成するのに同様に適したものとなり得る。
【0029】
図1のシステム100は、図2を参照して、より明らかに理解することができる。図2は、本開示の少なくともいくつかの実施形態により構成された、複合誘電体装置を製作する例示の方法に関連する作業のいくつかを示すフロー図である。方法は一連の順次的なステップとして示されるが、方法は必ずしも順序に依存しないことを理解されたい。さらに本開示の範囲内の方法は、図示のものより多い、または少ないステップを含むことができる。
【0030】
次に図2、および引き続き図1に示すシステム100を参照すると、方法200はブロック202、ブロック204、ブロック206、ブロック208、ブロック210、ブロック212、ブロック214、および/またはブロック216によって示されるように、1つまたは複数の機能、作業、または動作を含むことができる。方法200のための処理は、ブロック202「第1の導電層を形成する」で開始することができ、これはシステム100の導電性材料堆積チャンバ108によって行うことができる。
【0031】
ブロック202から方法200は、ブロック204「誘電材料を含む溶媒槽内に第1の導電層を浸漬する」に進むことができる。ブロック204では導電層は、システム100の溶媒槽104などの溶媒槽内に浸漬することができる。様々な実施形態において誘電材料は、本明細書で別に述べたようにポリマー被覆された誘電材料を含むことができる。
【0032】
ブロック204から方法200は、ブロック206「第1の導電層にバイアス信号を印加して第1の導電層上への誘電材料の電気泳動堆積を促進し、第1の基板を形成する」に進むことができ、第1の基板は導電層と、導電層上の誘電体層とを含む。ブロック206では方法100は、たとえばシステム100の電極112a(第1の導電層に電気的に接続される)、対向電極112b、および電源110を用いて、第1の導電層にバイアス信号を印加するように適合することができる。
【0033】
ブロック206から方法200は、ブロック208「(システム100のポリマー堆積チャンバ108などの)ポリマー堆積チャンバへ、溶媒槽から第1の基板を移動する」に進むことができる。
【0034】
ブロック208から方法200は、ブロック210「第1の基板上にポリマーを堆積し、第2の基板を形成する」に進むことができ、第2の基板は導電層、導電層上の誘電体層、および誘電体層上のポリマーを含む。ポリマーは、ポリマー堆積チャンバ108を用いて第1の基板上に堆積することができる。
【0035】
ブロック210から方法200は、ブロック212「熱および/または圧力を第2の基板に印加してポリマーを空間内に引き入れ、複合誘電体を形成する」に進むことができ、複合誘電体は、誘電体層と、誘電体層の空間内のポリマーとを備える。熱および/または圧力は、それぞれシステム100の加熱要素116および/または圧力要素120によってポリマー堆積の後にまたはポリマー堆積時に印加することができる。
【0036】
いくつかの実施形態では方法200はブロック208からブロック210へ進む代わりに、ブロック208からブロック214「熱および/または圧力を第1の基板に印加してポリマーを空間内に引き入れ、複合誘電体を形成する」に進むことができる。本明細書で別に述べたように、導電層上に堆積される誘電材料の粒子は、ポリマーの被覆を含むことができる。熱および/または圧力は、複合誘電体を形成するように、ポリマーが誘電体層内の空間内に引き入れられるようにすることができる。
【0037】
ブロック212またはブロック214から方法200は、ブロック216「複合誘電体上に第2の導電層を堆積し、最終構造体を形成する」に進むことができる。第2の導電層は、システム100の導電性材料堆積チャンバ108によって堆積することができる。
【0038】
図3〜7は、本明細書で述べられる少なくともいくつかの実施形態により構成された、複合誘電体装置を製作する例示の方法を用いて製造されるデバイスの様々な段階の断面図を示す。本明細書で述べたように複合誘電体は、電気泳動堆積法によって導電層上にコンフォーマルに堆積することができる。
【0039】
図3に示すように基板320上とすることができる、第1の導電層300を用意することができる。基板320は、任意の適当な導電性、半導電性、または非導電性材料でよい。基板320用に適した材料の例には、シリコン(Si)、窒化ガリウム(GaN)、ガリウムヒ素(GaAs)、ガラス、またはサファイアを含むことができる。他の導電性、半導電性、または非導電性材料も同様に基板320用に適切なものとなり得る。
【0040】
第1の導電層300は、溶媒302内に分散された誘電材料304を有する、溶媒302の槽304内に浸漬することができ、溶媒槽304は、電気泳動堆積による第1の導電層上への誘電材料の層のコンフォーマルな堆積を容易にするように構成される。電源110によって信号(たとえば電圧、電流、電界、磁界など)を第1の導電層300に接続された電極112aに、およびまた対向電極112bに供給することができ、それにより誘電材料304の粒子が導電層300に引き付けられるようにすることができる。電界の力が誘電材料304の粒子間の反発力に打ち勝つことができるので、誘電材料304の後続の粒子は、すでに第1の導電層300上に付着した誘電材料304に付着することができる。結果として図4に示すように、誘電材料304の粒子は、誘電材料304の層308をコンフォーマルに形成することができる。したがって様々な実施形態において、第1の導電層300は平面でない表面を有し得るが、誘電材料304の層308は第1の導電層300の輪郭に従う。
【0041】
また図4に示すように層308は、その中に1つまたは複数の空間310(または細孔)を含み得る。本明細書で別に述べたように、空間310は潜在的に結果として、電界印加時にアークを生じ得る。したがって空間310はポリマーで満たすことが望ましい。
【0042】
図5に示すように、その上に堆積された誘電材料の層308を有する第1の導電層300は槽304から取り出すことができ、空間310を有する誘電材料の層308上に、たとえば図1のシステム100のポリマー堆積チャンバ106を用いて、ポリマー312を堆積することができる。熱または圧力または両方を第1の導電層300およびポリマー312に印加してポリマー312を層308内の空間310内に引き入れることができ、結果として図6に示す複合誘電体314を含む構造体を生じる。
【0043】
次いで図7に示すように、複合誘電体314上に第2の導電層316を形成することができ、結果として最終構造体を生じる。第1の導電層300および第2の導電層316は、たとえば図1のシステム100の導電性材料堆積チャンバ108を用いて形成することができる。
【0044】
図8〜10は本明細書で述べられる少なくともいくつかの実施形態により構成された、複合誘電体装置を製作する別の例示の方法を用いて製造されるデバイスの様々な段階の断面図を示す。様々な実施形態では、図3〜7の作業の1つまたは複数、および図8〜10の作業の1つまたは複数は、様々に互いに入れ替えるまたは組み合わせ得ることに留意されたい。分かりやすくするために図8〜10は、同じまたは同様な要素を表す参照番号については、図3〜7で用いたものと同じ参照番号を含む。
【0045】
図示の実施形態の場合は、誘電材料の層を形成し、次いで誘電材料の層上にポリマーを適用するのではなく、ポリマー被覆された誘電材料の粒子が誘電体層上に堆積される。図8に示すように、第1の導電層300は溶媒302の槽304内に浸漬することができ、溶媒槽304は電気泳動堆積による、第1の導電層上への誘電材料の層のコンフォーマルな堆積を容易にするように構成される。誘電材料のみを含むのではなく、ポリマー312で被覆された誘電材料304からなる粒子818が溶媒302内に分散される。
【0046】
第1の導電層300に接続された電極112a、およびまた対向電極112bに、信号(たとえば電圧、電流、電界、磁界など)を印加することができ、それにより粒子818が導電層300に引き付けられるようにすることができる。信号が印加し続けられるのに従い、電界の力が粒子818の間の反発力に打ち勝つことができるので、後続の粒子818は、すでに第1の導電層300上に付着した粒子818に付着することができる。結果として図9に示すように粒子818は、ポリマー312および誘電材料304の層308をコンフォーマルに形成することができる。したがって様々な実施形態において第1の導電層300は平面でない表面を有し得るが、層308は第1の導電層300の輪郭に従う。
【0047】
層308はその中に1つまたは複数の空間310(または細孔)を含み、空間310を満たすために、その上にポリマー312および誘電材料304の層308が堆積された第1の導電層300は、槽304から取り出すことができ、図10に示すようにたとえば図1のシステム100のポリマー堆積チャンバ106を用いて、熱または圧力または両方を第1の導電層300および層308に印加することができる。熱および/または圧力の結果として、ポリマー312は層308内の空間310内に引き入れられ、その結果図6に示すような複合誘電体314を含む構造体を生じる。
【0048】
次いで図7に示すように複合誘電体314上に第2の導電層316を形成することができ、結果として最終構造体を生じる。第1の導電層300および第2の導電層316は、たとえば図1のシステム100の導電性材料堆積チャンバ108を用いて形成することができる。
【0049】
本明細書で述べられる複合誘電体の実施形態は、様々な回路、デバイス、装置、およびシステムに組み込むことができる。図11は、本開示の少なくともいくつかの実施形態による複合誘電体を含む例示のシステムブロック図である。システム1100の基本構成は、出力端子1124に結合された、電池モジュール1120およびエネルギー蓄積モジュール1122を含むことができる。
【0050】
エネルギー蓄積モジュール1122は、本明細書で別に述べた複合誘電体を有する少なくとも1つのコンデンサ1126を含むことができる。コンデンサ1126はたとえば、第1の導電層上にコンフォーマルに形成された誘電材料の層、および誘電材料の層の空間内のポリマーを含むことができる。様々な実施形態においてコンデンサ1126は、高k誘電材料を用いて形成された複合誘電体を含む高誘電率コンデンサを備えることができる。
【0051】
システム1100はさらに、電池モジュール1120と出力端子1124の間、およびエネルギー蓄積モジュール1122と出力端子1124の間に接続された、DC/DCコンバータ1128を備えることができる。DC/DCコンバータ1128は、特定の用途に応じて、電池モジュール1120および/またはエネルギー蓄積モジュール1124からの電圧を、1つの電圧レベルから別の電圧レベルに変換するように構成することができる。
【0052】
一部の実施例では、電池モジュール1120および/またはエネルギー蓄積モジュール1122は、出力端子1124に並列に結合することができる。一部の他の実施例では、電池モジュール1120および/またはエネルギー蓄積モジュール1122の1つまたは複数は、出力端子1124から分離することができる。出力端子1124は負荷1126に接続することができる。この構成では、エネルギー蓄積モジュール1122および/または電池モジュール1120は、負荷1126に中断されない電力供給をもたらすように構成することができ、エネルギー蓄積モジュール1122は、電池モジュール1120が故障した場合に電力供給をもたらすように構成することができ、逆も同様である。負荷1126は、たとえば中断されない電力供給が望ましいものとなり得るコンピュータ、サーバーシステム、電子回路、または任意の他の電気システムなどの、任意の電気装置を含むことができる。
【0053】
図12は、本開示の少なくともいくつかの実施形態により構成された例示のコンピューティングデバイスを示すブロック図である。非常に基本的な構成1201では、典型的にはコンピューティングデバイス1200は、1つまたは複数のプロセッサ1210と、システムメモリ1220とを含む。プロセッサ1210とシステムメモリ1220の間の通信のために、メモリバス1230を用いることができる。様々な実施形態においてコンピューティングデバイス1200は、本明細書で述べられる複合誘電体装置を製造するプロセスを監視、調整、および/または制御するように適合することができる。コンピューティングデバイス1200はたとえば、図1のシステム100のコントローラ102として実装することができる。
【0054】
所望の構成に応じてプロセッサ1210は、非限定的にマイクロプロセッサ(μP)、マイクロコントローラ(μC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、またはそれらの任意の組み合わせを含む任意のタイプとすることができる。プロセッサ1210は、レベル1キャッシュ1211、およびレベル2キャッシュ1212などの1つまたは複数のレベルのキャッシュ、プロセッサコア1213、およびレジスタ1214を含むことができる。プロセッサコア1213の例には、演算論理ユニット(ALU)、浮動小数点ユニット(FPU)、デジタル信号処理コア(DSPコア)、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。例示のメモリコントローラ1215はまた、プロセッサ1210と共に用いることができ、または一部の実装形態ではメモリコントローラ1215は、プロセッサ1210の内部部分とすることができる。
【0055】
所望の構成に応じてシステムメモリ1220は、非限定的に揮発性メモリ(RAMなど)、不揮発性メモリ(ROM、フラッシュメモリなど)、またはそれらの任意の組み合わせを含む任意のタイプのものとすることができる。システムメモリ1220は、オペレーティングシステム1221、1つまたは複数のアプリケーション1222、およびプログラムデータ1224を含むことができる。アプリケーション1222は、本明細書で述べられる複合誘電体装置を製造するプロセスの上述の制御、調整、および/または監視を実施するためのプログラム命令供給ロジック1292を含むことができる。プログラムデータ1224は、適用可能なプロセスパラメータ1294、および関連する値を含むことができる。
【0056】
コンピューティングデバイス1200は、追加の特徴または機能、および基本構成1201と任意の必要なデバイスおよびインターフェースとの間の通信を容易するための追加のインターフェースをもつことができる。たとえば記憶装置インターフェースバス1241を通じて、基本構成1201と、1つまたは複数のデータ記憶装置1250との間の通信を容易にするために、バス/インターフェースコントローラ1240を用いることができる。データ記憶装置1250は、リムーバブル記憶装置1251、ノンリムーバブル記憶装置1252、またはそれらの組み合わせとすることができる。リムーバブル記憶装置およびノンリムーバブル記憶装置の例としては、いくつかの例を挙げるとフレキシブルディスク装置およびハードディスク装置(HDD)などの磁気ディスク装置、コンパクトディスク(CD)装置またはデジタル多用途ディスク(DVD)などの光ディスク装置、ソリッドステートドライブ(SSD)、およびテープ装置が含まれる。コンピュータ記憶媒体の例には、コンピュータ可読命令、データ構造体、プログラムモジュール、その他のデータなどの情報を記憶するための任意の方法および技術で実現された揮発性および不揮発性、リムーバブルおよびノンリムーバブル媒体を含むことができる。
【0057】
システムメモリ1220、リムーバブル記憶装置1251、およびノンリムーバブル記憶装置1252は、すべてコンピュータ記憶媒体の例である。コンピュータ記憶媒体は、非限定的にRAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリその他のメモリ技術、CD−ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)または他の光記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶装置、あるいは所望の情報を記憶するために用いることができ、コンピューティングデバイス1200によってアクセスすることができるその他の任意の媒体を含む。任意のこのようなコンピュータ記憶媒体はデバイス1200の一部とすることができる。
【0058】
コンピューティングデバイス1200はまた、バス/インターフェースコントローラ1240を通じて、様々なインターフェースデバイス(たとえば出力インターフェース、周辺装置インターフェース、および通信インターフェース)から基本構成1201への通信を容易にするためのインターフェースバス1242を含むことができる。例示の出力デバイス1260は、グラフィックス処理ユニット1261および音声処理ユニット1262を含み、これらは1つまたは複数のA/Vポート1263を通じて、ディスプレイまたはスピーカなどの様々な外部装置と通信するように構成することができる。例示の周辺装置インターフェース1270は、シリアルインターフェースコントローラ1271、またはパラレルインターフェースコントローラ1272を含み、これらは1つまたは複数のI/Oポート1273を通じて、入力デバイス(たとえばキーボード、マウス、ペン、音声入力装置タッチ入力装置など)、または他の周辺装置(たとえばプリンタ、スキャナなど)などの外部装置と通信するように構成することができる。例示の通信デバイス1280は、ネットワークコントローラ1281を含み、これは1つまたは複数の通信ポート1282を通じて、ネットワーク通信リンクを通して1つまたは複数の他のコンピューティングデバイス1290と通信するの容易にするように構成することができる。
【0059】
ネットワーク通信リンクは通信媒体の一例となり得る。通信媒体は典型的には、コンピュータ可読命令、データ構造体、プログラムモジュール、あるいは搬送波または他の伝送機構などの変調されたデータ信号での他のデータによって具現化することができ、任意の情報伝達媒体を含むことができる。「変調されたデータ信号」は、その特性の組の1つまたは複数を有し、または信号内に情報を符号化するように変化される信号とすることができる。例として非限定的に通信媒体は、有線ネットワークまたは直接配線接続などの有線媒体、および音響、無線(RF)、マイクロ波、赤外線(IR)、その他の無線媒体などの、無線媒体を含むことができる。本明細書で用いるコンピュータ可読媒体という用語は、記憶媒体および通信媒体の両方を含むことができる。
【0060】
コンピューティングデバイス1200は、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、パーソナルメディアプレーヤ装置、無線ウェブ視聴装置、パーソナルヘッドセット装置、特定用途向け装置、または上記の機能のいずれかを含む複合装置などの、小型の可搬(または携帯)電子装置の一部として実装することができる。コンピューティングデバイス1200はまた、ラップトップコンピュータおよび非ラップトップコンピュータ構成の両方を含むパーソナルコンピュータとして実装することができる。
【0061】
本明細書における実質的にすべての複数形および/または単数形の用語の使用に対して、当業者は、状況および/または用途に適切なように、複数形から単数形に、および/または単数形から複数形に変換することができる。様々な単数形/複数形の置き換えは、理解しやすいように、本明細書で明確に説明することができる。
【0062】
通常、本明細書において、特に添付の特許請求の範囲(たとえば、添付の特許請求の範囲の本体部)において使用される用語は、全体を通じて「オープンな(open)」用語として意図されていることが、当業者には理解されよう(たとえば、用語「含む(including)」は、「含むがそれに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、用語「有する(having)」は、「少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、用語「含む(includes)」は、「含むがそれに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきである、など)。導入される請求項で具体的な数の記載が意図される場合、そのような意図は、当該請求項において明示的に記載されることになり、そのような記載がない場合、そのような意図は存在しないことが、当業者にはさらに理解されよう。たとえば、理解の一助として、添付の特許請求の範囲は、導入句「少なくとも1つの(at least one)」および「1つまたは複数の(one or more)」を使用して請求項の記載を導くことを含む場合がある。しかし、そのような句の使用は、同一の請求項が、導入句「1つまたは複数の」または「少なくとも1つの」および「a」または「an」などの不定冠詞を含む場合であっても、不定冠詞「a」または「an」による請求項の記載の導入が、そのように導入される請求項の記載を含む任意の特定の請求項を、単に1つのそのような記載を含む発明に限定する、ということを示唆していると解釈されるべきではない(たとえば、「a」および/または「an」は、通常、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味すると解釈されるべきである)。同じことが、請求項の記載を導入するのに使用される定冠詞の使用にも当てはまる。また、導入される請求項の記載で具体的な数が明示的に記載されている場合でも、そのような記載は、通常、少なくとも記載された数を意味すると解釈されるべきであることが、当業者には理解されよう(たとえば、他の修飾語なしでの「2つの記載(two recitations)」の単なる記載は、通常、少なくとも2つの記載、または2つ以上の記載を意味する)。さらに、「A、BおよびC、などの少なくとも1つ」に類似の慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(たとえば、「A、B、およびCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBを共に、AおよびCを共に、BおよびCを共に、ならびに/またはA、B、およびCを共に、などを有するシステムを含むが、それに限定されない)。「A、B、またはC、などの少なくとも1つ」に類似の慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(たとえば、「A、B、またはCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBを共に、AおよびCを共に、BおよびCを共に、ならびに/またはA、B、およびCを共に、などを有するシステムを含むが、それに限定されない)。2つ以上の代替用語を提示する事実上いかなる離接する語および/または句も、明細書、特許請求の範囲、または図面のどこにあっても、当該用語の一方(one of the terms)、当該用語のいずれか(either of the terms)、または両方の用語(both terms)を含む可能性を企図すると理解されるべきであることが、当業者にはさらに理解されよう。たとえば、句「AまたはB」は、「A」または「B」あるいは「AおよびB」の可能性を含むことが理解されよう。
【0063】
様々な作業は実施形態の理解に役立つように複数の個別の作業を順に説明される場合があるが、説明の順序はこれらの作業が順序に依存すると解釈されるべきではない。また実施形態は、述べたものより少ない作業を有してもよい。複数の個別の作業の説明は、すべての作業が必要であることを意味すると解釈されるべきではない。
【0064】
加えて、本開示の特徴または態様がマーカッシュグループ(Markush group)によって述べられる場合は、当業者には、それによって本開示はまたマーカッシュグループの任意の個別のメンバまたはメンバのサブグループによって説明されていることが理解されよう。
【0065】
当業者には理解されるように、文書での説明を用いるなど、あらゆる目的のために、本明細書で開示されたすべての範囲は、そのあらゆる可能な部分範囲および部分範囲の組み合わせも包含するものである。いずれの列挙された範囲も、同じ範囲が少なくとも等しい半分、1/3、1/4、1/5、1/10などが分割されることを十分に説明し可能にしていると容易に理解され得る。非限定的な例として、本明細書で述べられる各範囲は、下位の1/3、中間の1/3、上位の1/3などに容易に分割することができる。また当業者には理解されるように、「までの」、「少なくとも」、「を超える」、「未満の」などは記載された数を含み、上述のように部分範囲にさらに分割することができる範囲を指す。最後に当業者には理解されるように、1つの範囲は各個別の数を含む。したがってたとえば、1〜3個のセルを有する群は、1、2、または3個のセルを有する群を指す。同様に1〜5個のセルを有する群は、1、2、3、4、または5個のセルを有する群を指すなどとなる。
【0066】
本明細書において様々な態様および実施形態が開示されたが、当業者には他の態様および実施形態が明らかとなるであろう。本明細書で開示された様々な態様および実施形態は、説明のためのみであり限定するものではなく、実際の範囲および趣旨は添付の特許請求の範囲によって示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合誘電体装置を製作する方法であって、
電気泳動法によって第1の導電層上に誘電材料の層をコンフォーマルに堆積し、
前記誘電材料の層の空間をポリマーで満たし、
前記ポリマーで満たされた前記誘電材料の層上に第2の導電層を形成して前記複合誘電体装置を形成すること
を含む方法。
【請求項2】
前記コンフォーマルに堆積することが、
前記第1の導電層を溶媒内に浸漬することであって、前記溶媒はその中に分散された前記誘電材料を含む、浸漬すること、および
前記誘電材料が前記第1の導電層に引き付けられて前記誘電材料の層をコンフォーマルに形成するように、前記第1の導電層に電気バイアスを印加すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶媒が、その中に分散された前記誘電材料を有する有機溶媒である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記電気バイアスを印加することが、前記誘電材料を前記第1の導電層に引き付けて前記誘電材料の層をコンフォーマルに形成するように、前記第1の導電層をパルス的にバイアスすること、または交互に順バイアスおよび逆バイアスすることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリマーが、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリプロピレン、ポリカーボネート、またはポリイミドの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記空間を満たすことが、
前記誘電材料の層上に前記ポリマーを堆積し、
前記ポリマーが前記誘電材料の層内の前記空間内に引き入れられるように、前記ポリマーに熱または圧力のうちの1つまたは複数を印加すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
複合誘電体装置を製作する方法であって、
第1の導電層上に粒子の層を電気泳動的に堆積することであって、前記粒子はポリマーで被覆された誘電材料を備え、
前記ポリマーが前記粒子の層内の空間内に引き入れられるように、熱または圧力のうちの1つまたは複数を前記粒子の層に印加すること、および
前記複合誘電体装置を形成するように、前記ポリマーで満たされた前記粒子の層上に第2の導電層を形成すること
を含む方法。
【請求項8】
前記電気泳動的に堆積することが、前記導電層上に前記粒子の層をコンフォーマルに堆積することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリマーが、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリプロピレン、ポリカーボネート、またはポリイミドの1つまたは複数を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
第1の導電層と、
前記第1の導電層上にコンフォーマルに形成された誘電材料の層と、
前記誘電材料の層の空間内のポリマーと、
前記ポリマーで満たされた前記誘電材料の層上の第2の導電層と
を備える複合誘電体装置。
【請求項11】
前記第1の導電層は平面でない表面を備え、前記誘電材料の層は前記第1の導電層の前記平面でない表面上にコンフォーマルに形成される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の導電層が、アルミニウム、銅、白金、金、銀、またはニッケルの1つまたは複数から形成される金属材料である、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記ポリマーが、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリプロピレン、ポリカーボネート、またはポリイミドの1つまたは複数を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記誘電材料が、チタン酸バリウム、ケイ酸ハフニウム、ケイ酸ジルコニウム、二酸化ハフニウム、または二酸化ジルコニウムの1つまたは複数を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項15】
前記誘電材料がチタン酸バリウムを含み、前記チタン酸バリウムが酸化アルミニウムで被覆されている、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記誘電材料が高k誘電材料を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項17】
複合誘電体を有するシステムであって、
出力端子と、
エネルギー蓄積モジュールであって、
第1の導電層と、
前記第1の導電層上にコンフォーマルに形成された誘電材料の層と、
前記誘電材料の層の空間内のポリマーと、
前記ポリマーで満たされた前記誘電材料の層上の第2の導電層と
を備える少なくとも1つのコンデンサを含む、エネルギー蓄積モジュールと、
電池モジュールと
を備え、前記電池および前記エネルギー蓄積モジュールは前記出力端子に並列に結合される、システム。
【請求項18】
前記電池モジュールと前記出力端子の間、および前記エネルギー蓄積モジュールと前記出力端子の間に接続されたDC/DCコンバータをさらに備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記出力端子に接続された負荷をさらに備え、前記エネルギー蓄積モジュールおよび電池モジュールは中断されない電力供給を前記負荷にもたらす、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記少なくとも1つのコンデンサが高誘電率コンデンサである、請求項17に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2013−514670(P2013−514670A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544712(P2012−544712)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/060298
【国際公開番号】WO2011/081933
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(509348786)エンパイア テクノロジー ディベロップメント エルエルシー (117)
【Fターム(参考)】