説明

電気自動車

【課題】充電開始前から既に給電コイル上に存在している異物を除去すること。
【解決手段】
電気自動車10において、車両の底面に配置された受電部110は、地面に設置された給電部203から非接触で電気エネルギを供給され、蓄電池108は、電気エネルギを蓄積し、車両の底面に配置された掃出部109a,109bは、収納状態と掃出可能状態との間を可動であり、掃出可能状態において給電部203上の異物を掃き出し、制御部107は、車両と給電部203との間の距離が閾値未満になった場合に、掃出部109aまたは掃出部109bを収納状態から掃出可能状態に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車に関し、特に、車両に搭載された蓄電池を、車両の外部にある電源(外部電源)から、電磁誘導を用いた非接触充電によって充電する電気自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、外部電源から、電磁誘導を用いた非接触充電によって、車両に搭載された蓄電池を充電する充電システムが提案されている(電磁誘導方式の非接触充電システム)。例えば、駐車場の駐車領域に設置された給電コイルに外部電源から電気エネルギを供給することにより、車両に設置された受電コイルに電磁誘導による電気エネルギを発生させ、受電コイルからの電気エネルギを蓄電池に蓄積して充電する充電システムが提案されている。
【0003】
このような充電システムでは、受電コイルと給電コイルとの間に異物が存在すると、電磁誘導加熱により異物が異常発熱してしまい、受電コイルの筐体または給電コイルの筐体が溶解してしまう等の事故が生じる可能性がある。
【0004】
そこで、従来の技術では、充電開始時または充電中に、受電コイルと給電コイルとの間の空間を絶縁性の隔離材で包囲することにより、その空間に異物が侵入するのを防いでいる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−226946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の技術のような隔離材による包囲では、充電開始前には給電コイル上の空間は隔離されないため、充電中の異物の侵入を防ぐことはできても、車両が給電コイル上に駐車する前、すなわち、充電開始前から既に給電コイル上に存在している異物を除去することはできない。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、充電開始前から既に給電コイル上に存在している異物を除去することができる電気自動車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電気自動車は、車両の底面に配置され、地面に設置された給電部から非接触で供給される電気エネルギを受電する受電部と、前記電気エネルギを蓄積する蓄電池と、前記底面に配置され、収納状態と掃出可能状態との間を可動であり、前記掃出可能状態において前記給電部上の異物を掃き出す掃出部と、前記車両と前記給電部との間の距離が閾値未満になった場合に、前記掃出部を前記収納状態から前記掃出可能状態に移動させる制御部と、を具備する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、充電開始前から既に給電コイル上に存在している異物を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態に係る電気自動車の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態に係る掃出部の構成を示す図(構成例1)
【図3】本発明の実施の形態に係る掃出部の配置を示す図
【図4A】本発明の実施の形態に係る掃出部の構成を示す図(構成例2:掃出可能状態)
【図4B】本発明の実施の形態に係る掃出部の構成を示す図(構成例2:収納状態)
【図5】本発明の実施の形態に係る方位の関係を示す図
【図6】本発明の実施の形態に係る電気自動車の動作フローの一例を示す図
【図7】本発明の実施の形態に係る掃出部の掃出可能状態に一例を示す図
【図8】本発明の実施の形態に係る掃出部の構成を示す図(構成例3)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は本実施の形態に係る電気自動車10の構成を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、電気自動車10は、角速度センサ101、車速センサ102、シフトポジションセンサ103、GPS受信部104、地図データ105、自車位置検出部106、制御部107、蓄電池108、掃出部109a,109b、受電部110、および、通信部111を備える。
【0014】
また、電気自動車10に電気エネルギを供給する給電装置20は、通信部201、制御部202、および、給電部203を備える。
【0015】
図1に示す電気自動車10において、角速度センサ101は、車両の角速度を検出して検出結果を自車位置検出部106に出力する。
【0016】
車速センサ102は、車両の速度を検出して検出結果を自車位置検出部106に出力する。
【0017】
シフトポジションセンサ103は、車両のシフトポジションを検出して検出結果を制御部107に出力する。
【0018】
GPS受信部104は、車両のおおよその現在位置を取得し、現在位置周辺の地図データを地図データ105から読み出して、おおよその現在位置および地図データの双方を自車位置検出部106に出力する。なお、地図データ105には、給電装置20の給電部203の位置、および、車両駐車時の方位が予め記憶されている。
【0019】
なお、角速度センサ101、車速センサ102、GPS受信部104および地図データ105として、例えば電気自動車10に搭載されたカーナビゲーション装置を利用してもよい。
【0020】
自車位置検出部106は、車両のおおよその現在位置、車両の角速度および車両の速度から、車両の正確な現在位置、および、車両の方位を検出し、検出結果を制御部107に出力する。また、自車位置検出部106は、車両の正確な現在位置と地図データに記憶されている給電部203の位置とから、車両と給電部203との間の距離を算出し、算出結果を制御部107に出力する。
【0021】
制御部107は、掃出部109a,109bを動かして、掃出部109a,109bを収納状態または掃出可能状態のいずれかの状態にする。また、制御部107は、受電部110での電気エネルギの受電の開始・終了を制御する。また、制御部107は、受電部110での電気エネルギの受電を開始する際に給電開始要求を通信部111に出力する一方で、受電部110での電気エネルギの受電を終了する際に給電終了要求を通信部111に出力する。制御部107での制御の詳細は後述する。
【0022】
蓄電池108は、受電部110によって受電された電気エネルギを蓄積する。
【0023】
掃出部109a,109bは、車両の底面に配置され、収納状態と掃出可能状態との間を可動であり、掃出可能状態において給電部203上の異物を給電部203上から掃き出して除去する。掃出部109a,109bの詳細は後述する。
【0024】
なお、図1では、電気自動車10は、受電部110より車両の前方側に配置される掃出部109bと、受電部110より車両の後方側に配置される掃出部109aの2つの掃出部を備えているが、車両の前方側または後方側の一方にのみ掃出部を備える構成を採ってもよい。
【0025】
受電部110は、車両の底面に配置され、給電部203から非接触で供給される電気エネルギを受電し、受電した電気エネルギを蓄電池108に出力する。受電部110は、主に、受電コイルと受電コイルを覆う筐体とによって構成される。
【0026】
通信部111は、制御部107から出力された給電開始要求または給電終了要求を給電装置20の通信部201へ送信する。
【0027】
一方、給電装置20において、通信部201は通信部111から送信された給電開始要求または給電終了要求を受信して制御部202に出力する。
【0028】
制御部202は、給電部203の受電部110への電気エネルギの供給を制御する。すなわち、制御部202は、入力される給電開始要求に従って、給電部203に受電部110への電気エネルギの供給を開始させる。一方、制御部202は、入力される給電終了要求に従って、給電部203に受電部110への電気エネルギの供給を終了させる。
【0029】
給電部203は、外部電源30に接続されて地面に設置され、制御部202からの上記制御に従って、受電部110へ電気エネルギを供給する。給電部203には、外部電源30から電気エネルギが供給される。給電装置20が一般家庭に設置されるものである場合は、外部電源30は家庭用電源であり、例えば100〜240V程度の交流の電気エネルギを給電部203に出力する。また、給電装置20が急速充電用の充電スタンドとして設置されるものである場合は、外部電源30は例えば400V程度の直流の電気エネルギを給電部203に出力する。
【0030】
次いで、掃出部109a,109bの構成について説明する。掃出部109a,109bは、例えば以下に示す構成例1,2のような構成を採り、制御部107によって収納状態または掃出可能状態のいずれかの状態に制御される。
【0031】
<構成例1:図2>
図2に構成例1を示す。構成例1に示す掃出部109a,109bは、回転軸を中心とした移動により収納状態または掃出可能状態をとる。
【0032】
図2に示すように、構成例1の掃出部109a,109bは、刷毛部301と、取付台座302と、回転軸303とを備える。刷毛部301は、その根本を取付台座302に取り付けられている。取付台座302は、回転軸303を中心として制御部107によって回転させられる。制御部107は、掃出部109a,109bを収納状態とするときは取付台座302を車両の底面側に接するように回転させて刷毛部301を地面から離し、掃出部109a,109bを掃出可能状態とするときは取付台座302を車両の底面と反対側に回転させて刷毛部301を地面に接させる。回転軸303の一端または両端にモータ等の駆動装置を取り付け、制御部107は、この駆動装置を駆動させて回転軸303を回転させる。
【0033】
掃出部109a,109bが上記のように構成される場合、制御部107は、図3に示すように、掃出部109a,109bを受電部110側に回転させて収納状態にするのが好ましい。これにより、受電部110の一部または全部が掃出部109a,109bによって覆われるため、車両の走行中に受電部110が泥はね等により汚れてしまうことを防ぐことができる。
【0034】
<構成例2:図4A,B>
図4A,Bに構成例2を示す。構成例2に示す掃出部109a,109bは、上下方向の移動により収納状態(図4B)または掃出可能状態(図4A)をとる。
【0035】
図4A,Bに示すように、構成例2の掃出部109a,109bは、刷毛部405と、取付台座403と、車両側に設けられるガイド部402a,402bとを備える。また、構成例2の掃出部109a,109bは、車両の底面に設けられた開口部401に設置される。刷毛部301は、その根本を取付台座403に取り付けられている。取付台座403はその両端に凸部404a,404bを有し、この両端の凸部404a,404bをガイド部402a,402bに設けられた凹部に沿わせて制御部107によって上下に移動させられる。制御部107は、掃出部109a,109bを収納状態とするときは取付台座403を上方向に移動させて車両の内部に格納し(図4B),掃出部109a,109bを掃出可能状態とするときは取付台座403を下方向に移動させて刷毛部405を地面に接させる(図4A)。取付台座403の凸部404a,404bにモータ等の駆動装置を取り付け、制御部107は、この駆動装置を駆動させて取付台座403を上下方向に移動させる。
【0036】
このようして、掃出部109a,109bを車両内部に格納して収納状態とすることにより、車両の走行中に掃出部109a,109bが泥はね等により汚れてしまうことを防ぐことができる。
【0037】
なお、掃出部109a,109bは、図3に示すように、受電部110の近傍に配置されるのが好ましい。電気自動車10の充電時には、電気自動車10の利用者は受電部110と給電部203とを正対させるように車両を操作するため、掃出部109a,109bを受電部110の近傍に配置することにより、受電部110と給電部203との位置合わせの際に掃出部109a,109bを確実に給電部203上を通過させることができる。
【0038】
また、受電部110は電気自動車10の利用者から見えない、車両の底面に設置されるため、電気自動車10の利用者が受電部110と給電部203との位置合わせを行う際に、受電部110を給電部203に正確に正対させるように車両を操作するのは難しい。そこで、上記構成例1,2のいずれにおいても、掃出部109a,109bの車幅方向の長さを、給電部203の車幅方向の長さより大きくするのが好ましい。これにより、電気自動車10の利用者が受電部110を給電部203に正確に正対させることができない場合でも、受電部110と給電部203との位置合わせの際に掃出部109a,109bが給電部203上を通過する可能性を高くすることができる。
【0039】
次いで、制御部107による、掃出部109a,109bの制御例について説明する。
【0040】
制御部107は、自車位置検出部106により算出された、車両と給電部203との間の距離が閾値未満になった場合に、車両が給電部203の付近に位置していると判断し、掃出部109aまたは掃出部109bの一方を収納状態から掃出可能状態に移動させる。この閾値は、例えば、5〜10mに設定するのが好ましい。
【0041】
すなわち、電気自動車10が掃出部109aしか備えておらず、掃出部109bを備えていない場合には、制御部107は、車両と給電部203との間の距離が閾値未満になった場合に、掃出部109aを収納状態から掃出可能状態に移動させる。電気自動車10の利用者が電気自動車10を後進させて受電部110と給電部203とを対向させることにより、掃出部109aは給電部203上を通過して給電部203上に存在する異物を除去することができる。
【0042】
また、電気自動車10が掃出部109bしか備えておらず、掃出部109aを備えていない場合には、制御部107は、車両と給電部203との間の距離が閾値未満になった場合に、掃出部109bを収納状態から掃出可能状態に移動させる。電気自動車10の利用者が電気自動車10を前進させて受電部110と給電部203とを対向させることにより、掃出部109bは給電部203上を通過して給電部203上に存在する異物を除去することができる。
【0043】
また、電気自動車10が掃出部109aおよび掃出部109bの双方を備えている場合には、制御部107は、車両の進行方向に応じて、掃出部109aまたは掃出部109bのいずれか一方を収納状態から掃出可能状態に移動させる。
【0044】
すなわち、制御部107は、車両と給電部203との間の距離が閾値未満になり、かつ、車両が後進して給電部203へ接近する場合、掃出部109aおよび掃出部109bのうち掃出部109aのみを掃出可能状態にする。これにより、車両の後進に伴って掃出部109aは給電部203上を通過して給電部203上に存在する異物を除去することができる。
【0045】
一方で、制御部107は、車両と給電部203との間の距離が閾値未満になり、かつ、車両が前進して給電部203へ接近する場合、掃出部109aおよび掃出部109bのうち掃出部109bのみを掃出可能状態にする。これにより、車両の前進に伴って掃出部109bは給電部203上を通過して給電部203上に存在する異物を除去することができる。
【0046】
なお、制御部107は、シフトポジションセンサ103によって検出されたシフトポジションによって車両の進行方向を判断する。すなわち、制御部107は、シフトポジションが「リバース」の場合に車両が後進すると判断し、シフトポジションが「リバース」以外の場合に車両が前進すると判断する。
【0047】
このように、電気自動車10への充電開始前に掃出部109aまたは掃出部109bの一方を収納状態から掃出可能状態に移動させることにより、車両の移動に伴って、充電開始前から既に給電コイル上に存在している異物を除去することができる。
【0048】
また、電気自動車10が掃出部109aおよび掃出部109bの双方を備えることにより、給電コイル上の異物の除去にあたって、車両の進行方向に制限を受けることがなくなる。すなわち、電気自動車10の駐車領域への駐車方向(前向き駐車または後ろ向き駐車)に依らずに、給電コイル上の異物の除去が可能となる。
【0049】
また、電気自動車10が掃出部109aおよび掃出部109bの双方を備える場合に、車両の進行方向に応じて上記のようにいずれか一方の掃出部のみを掃出可能状態にすることにより、掃出部109aまたは掃出部109bによる異物の巻き込みを防止して、新たな異物が給電部203上にのってしまうことを防止できる。
【0050】
なお、制御部107は、車両が停止状態にあり、かつ、受電部110が電気エネルギを受電している間は、掃出部109aおよび掃出部109bの双方を掃出可能状態にしてもよい。これにより、充電中の車両周辺からの給電部203上への異物侵入の可能性を低くすることができる。車両が停止状態にあるか否かは、車速により判断可能である(車速=0)。また、制御部107は、上記のように受電部110での電気エネルギの受電の開始・終了を制御するため、受電部110が電気エネルギを受電しているか否かを判断可能である。
【0051】
また、制御部107は、車両と給電部203との間の距離が閾値未満になり、かつ、車両の現在の方位(自車方位)と車両駐車時の所定の方位との差が閾値未満にある場合に、掃出部109aまたは掃出部109bの一方を収納状態から掃出可能状態に移動させてもよい。すなわち、制御部107は、たとえ車両と給電部203との間の距離が閾値未満になった場合でも、この所定の方位と自車方位との差が閾値未満になるまで、掃出部109aおよび掃出部109bを掃出可能状態にしない。図5に示すように、車両が駐車領域に設置された給電部203に接近するほど、自車方位と車両駐車時の所定の方位との差が徐々に小さくなる。つまり、方位の差が閾値未満になると、距離の差が閾値未満になった時点よりも、さらに車両が給電部203に接近したことになる。このようにして、より給電部203に接近した時点で掃出部109a,109bを掃出可能状態にすることにより、掃出部109a,109bによる駐車領域付近の異物の巻き込みをさらに防止することができる。また、掃出部109a,109bが給電部203上を通過する可能性がさらに高まった時点で掃出部109a,109bを掃出可能状態にすることができるため、掃出部109a,109bの大きさ(例えば車幅方向の長さ)を小さくすることが可能になる。なお、方位の差の閾値は、例えば、20°程度に設定するのが好ましい。また、車両の駐車領域への駐車方向(前向き駐車または後ろ向き駐車)によって自車方位は180°異なるため、制御部107は、その相違を考慮して駐車方向に応じて自車方位を補正するとよい。
【0052】
また、制御部107は、蓄電池108の充電率(SOC:State of Charge)を監視し、その充電率が閾値以上の場合は、車両と給電部203との間の距離が閾値未満になった場合でも、掃出部109a,109bを収納状態のまま維持するのが好ましい。また、蓄電池108の充電率が閾値以上の場合は、制御部107は、給電開始要求を通信部111に出力しない。ここで、充電率の閾値は、蓄電池108の満充電に相当する充電率に設定される。蓄電池108が満充電の状態にあるときは充電の必要がないため、制御部107から給電開始要求が出力されない。よって、給電部203から受電部110への電気エネルギの供給も行われないため、給電部203上の異物を除去する必要がないからである。掃出部109a,109bを収納状態のまま維持することにより、掃出部109a,109bを掃出可能状態に移動させるための電力の消費を抑えることができる。なお、充電率の閾値は、満充電により蓄電池108が劣化してしまわないように、100%より小さい値に設定されてもよい。
【0053】
また、電気自動車10の利用者が、掃出部109a,109bが掃出可能状態にあるまま誤って車両を発進させてしまうと、車両の走行中に掃出部109a,109bが大きな異物を巻き込んでしまう等、好ましくない状況になってしまうことが考えられる。そこで、電気自動車10は、掃出部109a,109bが収納状態または掃出可能状態のいずれの状態にあるかを電気自動車10の利用者に報知する報知部を備えてもよい。これにより、電気自動車10の利用者が、掃出部109a,109bが掃出可能状態にあるまま誤って車両を発進させてしまうことを予防できる。なお、上記報知部は、例えば、掃出部109a,109bの状態を画像で表示する表示部、掃出部109a,109bの状態を音声で出力する音声出力部、または、掃出部109a,109bの状態をライトの点灯状態または点滅状態で示す灯火部等により構成することができる。
【0054】
また、電気自動車10の利用者が電気自動車10の充電の途中で充電を中断して車両を発進させたい場合等を考慮して、電気自動車10は、掃出可能状態にある掃出部109a,109bを強制的に収納状態にさせる指示を制御部107に行うための指示入力部を備えてもよい。電気自動車10の利用者が指示入力部を用いて上記指示を行うことにより、掃出部109a,109bが掃出可能状態にあるまま車両が発進してしまうことを防止できる。
【0055】
次いで、図6を用いて、本実施の形態に係る電気自動車10の動作フローの一例について説明する。図6には、一例として、制御部107が行う上記複数の制御を組み合わせて実施する場合を示す。
【0056】
図6のS601において、制御部107は、車両が給電部203の付近にいるか否か判断する。すなわち、制御部107は、車両と給電部203との間の距離が閾値未満になった場合に、車両が給電部203の付近に位置していると判断する。
【0057】
車両が給電部203の付近に位置している場合(S601:YES)、制御部107は、自車方位と車両駐車時の所定の方位との差が閾値未満か否か判断する(S602)。
【0058】
S601およびS602の双方が「YES」となるまで、S601およびS602の処理が繰り返し実行される(S601:NOまたはS602:NO)。
【0059】
自車方位と車両駐車時の所定の方位との差が閾値未満の場合(S602:YES)、制御部107は、車両のシフトポジションが「リバース」か否か判断する(S603)。
【0060】
シフトポジションが「リバース」の場合(S603:YES)、制御部107は、受電部110より車両の後方側に配置される掃出部109aを収納状態から掃出可能状態にする(S604)。一方で、シフトポジションが「リバース以外」の場合(S603:NO)、制御部107は、受電部110より車両の前方側に配置される掃出部109bを収納状態から掃出可能状態にする(S605)。
【0061】
そして、S604またはS605からS606までの間に、電気自動車10の利用者は車両を駐車領域に移動させて受電部110を給電部203に正対させる。この移動の過程において、掃出部109aまたは掃出部109bが給電部203上を通過して、給電部203上にのっている異物を給電部203上から掃き出して除去する。
【0062】
次いで、S606では、制御部107は、電気自動車10の利用者からの充電開始要求を待つ(S606:NO)。この充電開始要求は、車速がゼロのときにのみ、すなわち、車両が停止中のときにのみ行えるようにするのが好ましい。
【0063】
電気自動車10の利用者からの充電開始要求があった場合(S606:YES)、制御部107は、給電部203から受電部110への電気エネルギの供給開始(S608)に備えて、収納状態にあるいずれか一方の掃出部も掃出可能状態にして、給電部203上への新たな異物の侵入を防ぐ(S607)。
【0064】
S608では、制御部107は、給電開始要求を通信部111に出力して、給電装置20に電気自動車10への電気エネルギの供給を開始させる。これにより、電気自動車10への充電が開示される。
【0065】
S609では、制御部107は、電気自動車の充電の終了を待つ(S609:NO)。そして、制御部107は、例えば、蓄電池108の充電率が所定の閾値に達したとき、または、電気自動車10の利用者から充電終了要求があったとき等に給電終了要求を通信部111に出力して、電気自動車10への充電を終了させる(S609:YES)。
【0066】
S610では、制御部107は、掃出部109aおよび掃出部109bの双方を掃出可能状態から収納状態にする。
【0067】
以上、電気自動車10の動作フローの一例について説明した。
【0068】
なお、掃出部109a,109bを掃出可能状態にする際には、掃出部109a,109bの刷毛部301を地面に対して垂直にするのではなく、図7に示すように、掃出部109a,109bの刷毛部301を地面に対してやや斜めにするのが好ましい。掃出部109a,109bの刷毛部301を地面に対して斜めにすることにより、刷毛部301と給電部203との接触面積が大きくなるため、給電部203上の異物の除去効率を高めることができる。
【0069】
また、掃出部109a,109bは、刷毛部に代えて、図8に示すような、刷毛部よりも耐久性に優れるローラ部を備えてもよい。ローラ部は回転力により異物を除去するため、刷毛部よりも異物除去効率が高い。さらにローラ部をモータ等で強制的に回転させることにより、さらに異物除去効率を高めることができる。
【0070】
以上、本発明の実施の形態について説明した。
【0071】
なお、上記実施の形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はハードウェアとの連携においてソフトウェアでも実現することも可能である。
【0072】
また、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0073】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。
【0074】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、電磁誘導を用いた非接触充電によって充電される電気自動車等に好適である。
【符号の説明】
【0076】
10 電気自動車
20 給電装置
30 外部電源
101 角速度センサ
102 車速センサ
103 シフトポジションセンサ
104 GPS受信部
105 地図データ
106 自車位置検出部
107 制御部
108 蓄電池
109a,109b 掃出部
110 受電部
111 通信部
201 通信部
202 制御部
203 給電部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の底面に配置され、地面に設置された給電部から非接触で供給される電気エネルギを受電する受電部と、
前記電気エネルギを蓄積する蓄電池と、
前記底面に配置され、収納状態と掃出可能状態との間を可動であり、前記掃出可能状態において前記給電部上の異物を掃き出す掃出部と、
前記車両と前記給電部との間の距離が閾値未満になった場合に、前記掃出部を前記収納状態から前記掃出可能状態に移動させる制御部と、
を具備する電気自動車。
【請求項2】
前記制御部は、前記距離が前記閾値未満になった場合で、かつ、前記車両の現在の方位と車両駐車時の所定の方位との差が前記閾値未満にある場合に、前記掃出部を前記収納状態から前記掃出可能状態に移動させる、
請求項1記載の電気自動車。
【請求項3】
前記制御部は、前記蓄電池の充電率が閾値以上の場合は、前記距離が前記閾値未満になった場合でも、前記掃出部を前記収納状態のまま維持する、
請求項1記載の電気自動車。
【請求項4】
前記掃出部は、
前記受電部より前記車両の前方側に配置される第1掃出部と、
前記受電部より前記車両の後方側に配置される第2掃出部と、を具備する、
請求項1記載の電気自動車。
【請求項5】
前記制御部は、前記車両が前進して前記給電部へ接近する場合、前記第1掃出部と前記第2掃出部のうち前記第1掃出部のみを前記収納状態から前記掃出可能状態に移動させる、
請求項4記載の電気自動車。
【請求項6】
前記制御部は、前記車両が後進して前記給電部へ接近する場合、前記第1掃出部と前記第2掃出部のうち前記第2掃出部のみを前記収納状態から前記掃出可能状態に移動させる、
請求項4記載の電気自動車。
【請求項7】
前記制御部は、前記車両が停止状態にあり、かつ、前記受電部が前記電気エネルギを受電している間は、前記第1掃出部および前記第2掃出部の双方を前記掃出可能状態にする、
請求項4記載の電気自動車。
【請求項8】
前記掃出部の車幅方向の長さは、前記給電部の車幅方向の長さより大きい、
請求項1記載の電気自動車。
【請求項9】
前記掃出部は、前記受電部より前記車両の前方側または前記受電部より前記車両の後方側の少なくとも一方に配置され、回転軸を中心とした移動により前記収納状態または前記掃出可能状態をとり、
前記制御部は、前記掃出部を前記受電部側に回転させて前記収納状態にする、
請求項1記載の電気自動車。
【請求項10】
前記掃出部が前記収納状態または前記掃出可能状態のいずれの状態にあるかを報知する報知部、をさらに具備する、
請求項1記載の電気自動車。
【請求項11】
前記掃出可能状態にある前記掃出部を強制的に前記収納状態にさせる指示を前記制御部に行うための指示入力部、をさらに具備する、
請求項1記載の電気自動車。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−48511(P2013−48511A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185779(P2011−185779)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】