説明

電気錠の制御装置およびプログラム

【課題】電気錠と監視端末機器を連携して制御することで防犯性と利便性を向上させる。
【解決手段】電気錠6および、開閉センサ4や人感センサ5などの監視端末機器を制御装置1が集中制御し、監視端末機器が警戒動作中の場合に万が一電気錠6からの開錠信号が上申された場合は即座に再施錠を行い、サムターンなど併設された機械的な手段による開錠を防止し、より防犯性を高める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気錠やドアホン、人感センサ機器などの監視端末機器、給湯器やエアコンといった家電機器を集中して制御できる制御装置において、この制御装置が他の機器の稼動状態などと連携して、電気錠をよりインテリジェントに制御する電気錠の制御装置およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
宅内ネットワーク技術の進歩や普及に伴い、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、照明機器などの家庭内の家電機器を、台所や居間などの設置した制御装置から集中制御できる制御装置が利用されるようになって来ている。
【0003】
また、窃盗犯罪の増加に伴い、住居における監視装置の需要が増加している。従来、この種の監視装置は、窓やドアの開閉センサや人感センサ、監視カメラなど侵入者検知用の複数の監視端末機器と、監視端末機器からの検知電文を受けて警報を発したり通報を行う制御装置との組合せであった。
【0004】
近年では、これら家電機器の制御装置と監視装置の制御装置の機能を併せもつ制御装置や、更に電気錠やドアホンなどの設備機器とも通信できうる制御装置も提案されている。
【0005】
通常、電気錠の施錠方式としては、停電時には機械的に施錠する停電時施錠タイプや、反対に停電時は開錠を行う停電時開錠タイプ、停電直前の状態を保持する状態保持タイプなどがある。一般家庭の玄関などには、鍵の掛け忘れなどへの防犯対策などとして、扉閉時や停電時には自動的に施錠するオートロック機能を果たす停電時施錠タイプが敷設される事が多い。ところが、停電時施錠タイプでは停電時に家人自身でも開錠できなくなる不便が残るため、サムターンなどの機械的に開錠できる機構を併設するものも多い(例えば、特許文献1)。特許文献1では、開閉手段は制御部は特定の個人を認識したか否かに従いドアを電気的に開錠又は施錠させると共に、停電時等の場合にはドアを機械的に開錠させる様に構成した事を特徴としたドア開閉装置となっている。
【特許文献1】特開2003−027786号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電気錠に機械的な開錠手段を併設して設けた場合、宅内の制御装置から遠隔操作で施開錠できるメリットや、暗証番号入力装置などの認証装置を電気錠と組み合わせることでキーレスにできるといった電気錠としてのメリットは得られるものの、サムターン回しなどの機械的な開錠に対する防犯性が低下することが危惧される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、ひとつまたは複数の電気錠との通信手段および、定常または非定常の状態を監視するひとつまたは複数の監視端末機器と通信する通信手段を備えた制御装置において、前記監視端末機器が警戒動作中である場合は、前記制御装置が前記電気錠から開錠された電文を受信した際には該電気錠に再施錠を行う電文を送出するようにしている。このことにより、制御手段は、警戒動作中などに電気錠が機械的に開錠された場合には、開錠や開扉された事を示す電文を受信したときは、電気錠を再施錠する電文を送出するものである。
【発明の効果】
【0008】
このように、警戒動作中などに不当に電気錠が機械的に開錠された場合には、電気的に再施錠を行うことが可能となり、電気錠に機械的な施開錠手段を設けた場合でも防犯性を高めることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、ひとつまたは複数の電気錠との通信手段および、定常または非定常の状態を監視するひとつまたは複数の監視端末機器と通信する通信手段を備えた制御装置において、前記監視端末機器が警戒動作中である場合は、前記制御装置が前記電気錠から開錠された電文を受信した際には該電気錠に再施錠を行う電文を送出するようにしている。このことにより、警戒動作を解除せずに不当に電気錠が機械的に開錠された場合には、電気的に再施錠する動作を行うことにより、より防犯性の高い制御が可能となっているものである。
【0010】
第2の発明は、ひとつまたは複数の電気錠との通信手段および、定常または非定常の状態を監視するひとつまたは複数の監視端末機器と通信する通信手段を備えた制御装置において、予め設定された時間帯において前記制御装置からの開錠させる電文に寄らずに、前記制御装置が前記電気錠から開錠された電文を受信した際には該電気錠に再施錠を行う電文を送出するようにしている。このことにより、夜間の就寝時間や階上に移動している場合など家人の意図せぬ時間帯に不当に電気錠が機械的に開錠された場合には、電気的に再施錠する動作を行うことにより、より防犯性の高い制御が可能となっているものである。
【0011】
第3の発明は、第1ないし第2の発明に加えて、制御装置は電気錠から前記電気錠を敷設した扉の開閉状態を示す電文を受信する扉モニタ手段を持ち、前記扉モニタ手段が前記扉の開閉状態の変化を示す電文を受信した際にも施錠を行う電文を送信するようにしている。このことにより、不当に電気錠が機械的に開錠された場合には、電気的に再施錠する動作を多重に行うことができ、より確実な制御が可能となっているものである。
【0012】
第4の発明は、ひとつまたは複数の電気錠との通信手段および、定常または非定常の状態を監視するひとつまたは複数の監視端末機器と通信する通信手段を備えた制御装置において、前記制御装置から前記監視端末機器を非警戒動作から警戒動作への移行する電文を送信する際に、前記電気錠から施錠した信号を受信するまでの猶予時間を設けるようにしている。このことにより、家人が外出するまで家人自身が警報などを発生させないために設けられている猶予時間を最適化して確保することができるものである。
【0013】
第5の発明は、第4の発明に加えて、制御装置は電気錠から前記電気錠を敷設した扉の開閉状態を示す電文を受信する扉モニタ手段を持ち、前記扉モニタ手段が前記扉の開閉状態の変化を示す電文を受信した際に監視端末機器に警戒動作に移行する電文を送信するようにしている。このことにより、警戒動作に移行する動作を多重にできより、確実に警戒動作に移行することができるものである。
【0014】
第6の発明は、第1ないし第5の発明のいずれかに記載の電気錠の制御装置の少なくとも一つの手段をコンピュータに実行させるためのプログラムとしている。この構成によれば、プログラムであるので電気・情報機器、コンピュータ、サーバー等のハードリソースを協働させて本発明の電気錠の制御装置の少なくとも一部を容易に実現することができる。また記録媒体に記録したり通信回線を用いてプログラムを配信したりすることでプログラムの配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
【0015】
以下、本発明の実施例について、図面を用いて説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施例1における制御装置を用いて構成したネットワークシステムの一例を模式化したブロック図である。
【0017】
制御装置1は、図1のシステム全体を制御する中央処理装置となっており、ネットワーク家電機器の一例として電気温水器2、エアコン3などを制御コマンドや運転状態に関する電文を送受信することにより制御する。窓やドアの開閉を検知する開閉センサ4、人の接近や動きを検知する人感センサ5は、制御装置1により制御される監視端末機器の一例である。
【0018】
監視端末機器は、家人が不在の場合に侵入者の接近や窓の開閉などを赤外線やホール素子などを使ったセンサにより検出して警報の吹鳴を行ったり検知電文の制御装置1への送信などの監視を行う「警戒動作」モードと、家人が在宅の場合に家人自身が検知されないように監視動作を停止し併せて内蔵電池などの省電力状態にする「非警戒動作」モードを切り替えるように構成し、これらのモード間の移行も制御装置1からの電文により制御する。
【0019】
またリモコン8は、宅内の開閉センサ4や人感センサ5などの監視端末機器を、家人の外出の際や帰宅の際に一括して「警戒動作」モードに設置したり解除するためのものであり、玄関に置いて家人が共用したり、家人の誰かが携帯したりして使用するものである。
【0020】
電気錠6は玄関などの扉7に敷設され、扉7に併設されたサムターンや鍵などの機械的手段により施開錠できる他、制御装置1からの電文によっても施開錠を行う。また、電気錠6は扉7に敷設されたマイクロスイッチなどにより扉の開閉状態を検知できる扉モニタ手段を有し、この開閉状態に関する電文を制御装置1に送信する。制御装置1ではこの扉モニタ手段からの電文を受信することで扉7の開閉をモニタすることができる。
【0021】
次に、図1の宅外回線9は、家人が外出先から宅内の制御装置1と通信するためのインターネット網や公衆電話回線などで構成する情報通信回線であり、携帯電話10は監視端末装置からの侵入者の検知電文を受けた制御装置1が通報メールや通報コールを受けたり、宅外から監視端末機器の「警戒動作」「非警戒動作」の各モードを切り替えたり、電気温水器2などの熱機器の運転開始や運転状態のモニタなどの遠隔操作を行う宅外通信装置として機能する。それゆえ、携帯電話10は、職場のパソコンや知人などの一般加入者電話など別の通信装置であっても構わないものである。
【0022】
これら携帯電話10と制御装置1間の通信は、宅外回線網9を介して直接行うものであってもよいし、専門の組織やインターネットプロバイダなどが運用するサーバ装置(図示せず)を介したものであってもよい。
【0023】
図2は、図1の電気温水器2やエアコン3などの家電機器、開閉センサ4や人感センサ5などに代表される監視端末機器を取りつけた宅内の一例を示す上透視図であり、電気錠6の設置された玄関ドア14の外には宅内を留守にして外出しようとする家人12が立っており、宅内の開閉センサ4、人感センサ5を警戒中動作に設定(または解除)を行うリモコン8を手にしている。
【0024】
破線矢印11は、各端末機器と制御装置1間の通信電文の送受信を模式的に示したものである。図2では、各端末機器と制御装置1とは、無線にて通信を行う例を示しているが、これは有線による通信を行うものが有っても構わないものである。
【0025】
開閉センサ4は、窓10の開閉を検知して制御装置1と電文を送受信する。この他、図2の破線矢印11に示すように各端末機器や機器も制御装置1と電文を送受信する。家人12がリモコン8で監視端末装置を「警戒動作」モードに設定した場合、制御装置1で「非警戒動作」モードに解除されるまで、電気錠6を常時施錠状態に保持し続けようとする。
【0026】
例えば、家人がリモコン8により監視端末機器を「警戒動作」モードに設定した留守中に、玄関ドア14の電気錠6の制御盤を不当に操作して開錠したり、サムターンを回すなどの機械的な手段で開錠を図った者がいた場合、電気錠6から開錠を示す電文が送信され、制御装置1はこの電文を受信次第、再度電気錠6を施錠する電文を送信する。これに応じて電気錠6は再び施錠を行い、結局侵入者がサムターンで機械的に開錠しても即座に電気的に再施錠されて、結果的に侵入者は侵入できなくなる。
【0027】
以下、図3を使ってこの場合の動作フローについて説明する。
【0028】
図3において、家人がリモコン8を使い、制御装置1を介して各制御装置を「警戒動作」モードに設定する(ステップS0)。今、侵入者などが電気錠6に併設されたサムターンを回すなどして不法に機械的に開錠された場合(ステップS1)は、電気錠6がこれを検出して開錠信号を制御装置1に送信する(ステップS2)。
【0029】
制御装置1は、監視端末装置が「警戒動作」モード中などの「開錠禁止モード」中かどうかを判定し(ステップS3)、YESの場合は制御装置1から電気錠6に対して施錠信号を送信して再度施錠させる(ステップS4)。ステップS4で施錠ができた場合は、電気錠6から施錠信号が返される(ステップS5)。この施錠信号が返されない場合(ステップS6)は、再びステップS4まで戻り、規定回数の施錠電文の送出を繰り返す。また、ステップS3で、家人がリモコン8などで「非警戒動作」モードなどに解除した場合はNO判定となり正当な開錠と見なし、そのまま終了する。
【0030】
図3において、ステップS2の開錠信号を受けてからステップS5の再施錠までを、実際に門扉が引かれて開くまでの間に、レスポンス時間を高速に行うことで機械的に開錠しても即在に再施錠されるため見かけ上サムターン回しなどの機械的な開錠が不可能となり、防犯性をより高めた電気錠の制御装置を提供できることになる。
【0031】
なお、本実施の形態では、ステップS3で「開錠禁止モード」として「警戒動作」中を例に挙げ、警戒動作中にサムターン回しなどにより機械的な開錠をブロックする例を示したが、「開錠禁止モード」に該当する時間帯として、就寝時間帯や電気錠6を敷設した扉から離れた階上に居在する時間帯などを予め登録できるようにしておけば、有効なものである。
【0032】
本発明は、制御装置1が電気錠6以外の監視端末機器などを集中制御していることを利用して、本実施の形態の「警戒動作」モードなどの状況に応じた電気錠6の制御が可能となり、家人の利便を保ってセキュリティレベルを一層改善できるものである。
【0033】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2として、制御装置1が電気錠6と各監視端末機器を連携させて制御することにより、家人の利便を改善する構成を説明する。
【0034】
図4に、家人が制御装置1の画面上から、各監視端末機器を「非警戒動作」から一斉に「警戒動作」に切り替える場合のフロー図である。制御装置1を用いて構成したネットワークシステムを構築する一例としては実施の形態1の図1および図2と同様にできる。
【0035】
図4において、家人が制御装置1のボタンやタッチパネルから開閉センサ4や人感センサ5などの各監視端末機器の一斉「警戒動作」移行を選択すると(ステップS10)、制御装置1は、電気錠6からの施錠信号が来たかどうかを待ち受ける(ステップS11)。
【0036】
今、家人が外出準備をして電気錠6を敷設した玄関ドアから出ると電気錠6から制御装置1に施錠信号を伝える電文が送信される(ステップS12)。S11で待ち受けていた制御装置1は、この施錠信号を受けて、開閉センサ4や人感センサ5などの各監視端末機器に「警戒動作」モード移行の電文を送出する(ステップ13)。各監視端末機器は、この電文を受信してそれぞれ「警戒動作」に移行する。
【0037】
従来は家人が家庭の状況にあわせて、「非警戒動作」から「警戒動作」への移行猶予時間を制御装置1に設定していたが、家人自身が監視端末装置に検知されて警報が吹鳴したりする不都合を避けていたが、本発明はこの不便をさけることができ、家人が外出した適切なタイミングで「警戒動作」へ移行することができるものである。
【0038】
なお、本実施の形態で「警戒動作」に移行する監視端末機器は、制御装置1で予めグルーピングして設定できうるようにしておいてももちろん構わないものである。また、図4のステップS12で「警戒動作」への移行のトリガとする信号は、電気錠6の扉モニタ手段による玄関ドアが閉じた際の信号を用いても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上のように、本発明によれば、ひとつまたは複数の電気錠との通信手段および、定常または非定常の状態を監視するひとつまたは複数の監視端末機器と通信する通信手段を備えた制御装置において、前記監視端末機器が警戒動作中である場合は、前記制御装置が前記電気錠から開錠された電文を受信した際には該電気錠に再施錠を行う電文を送出するような構成などとしているので、制御装置が電気錠や監視端末機器を連携して制御することで、家人の利便を保った上で防犯性をより改善した電気錠の制御装置を提供できうるものである。
【0040】
また、再施錠したことを制御装置や家人の携帯電話で報知してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態1の制御装置を用いたネットワークシステムの一例を示す図
【図2】本発明の実施の形態1の制御装置を用いたネットワークシステムを設置した家屋の一例を示す図
【図3】本発明の実施の形態1の電気錠の制御アルゴリズムの一例を示すフロー図
【図4】本発明の実施の形態2の電気錠の制御アルゴリズムの一例を示すフロー図
【符号の説明】
【0042】
1 制御装置
2 電気温水器
3 エアコン
4 開閉センサ(監視端末機器)
5 人感センサ(監視端末機器)
6 電気錠(扉モニタ手段を含む)
8 リモコン(監視端末機器)
7 宅外回線網
9 携帯電話(宅外通信機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ひとつまたは複数の監視端末機器と通信して、定常または非定常の状態を監視する制御装置において、前記監視端末機器が警戒動作中である場合は、前記制御装置が電気錠から開錠された電文を受信した際には該電気錠に再施錠を行う電気錠の制御装置。
【請求項2】
ひとつまたは複数の監視端末機器と通信して、定常または非定常の状態を監視する制御装置において、予め設定された時間帯において、前記制御装置からの開錠させる電文に寄らずに、電気錠から開錠された電文を前記制御装置が受信した際には該電気錠に再施錠を行う電気錠の制御装置。
【請求項3】
制御装置は電気錠を敷設した扉の開閉状態を示す扉モニタ手段を持ち、前記扉モニタ手段が前記扉の開閉状態の変化を示した際に施錠を行う請求項1ないし2に記載の電気錠の制御装置。
【請求項4】
ひとつまたは複数の監視端末機器と通信して、定常または非定常の状態を監視する制御装置において、前記制御装置から前記監視端末機器を非警戒動作から警戒動作へ移行する際に、施錠した信号を電気錠から受信するまでの猶予時間を設けた電気錠の制御装置。
【請求項5】
制御装置は電気錠を敷設した扉の開閉状態を示す信する扉モニタ手段を持ち、前記扉モニタ手段が前記扉の開閉状態の変化を示した際に監視端末機器を警戒動作に移行する請求項4記載の電気錠の制御装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の電気錠の制御装置の少なくとも一つの手段をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−37344(P2006−37344A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−214048(P2004−214048)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】