説明

電池パックのリサイクル方法および電池パックのリサイクル装置

【課題】電池パックの部品と組電池からの有価金属とをより安全に効率よく従来より短い作業時間で回収可能な電池パックのリサイクル方法を提供する。
【解決手段】電池パックのリサイクル方法は、充電状態の組電池を収容した電池パックをそのまま焙焼する工程(S110)と、焙焼された電池パックを解体し(S112)、組電池とそれ以外の部品に分別する工程(S140)と、組電池から接続端子を切断する工程(S113)と、単電池を粉砕する工程(S114,S116)と、粉砕された電池を洗浄し篩い分ける工程(S118)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックのリサイクル方法および電池パックのリサイクル装置、特に、電池パックの自然放電を待たずに安全にリサイクル作業が可能な電池パックのリサイクル方法および電池パックのリサイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電池パック300は、例えば図10に示すように、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等の二次電池の電池セル(以下「単電池」ともいう)を複数(例えば6個から8個程度)直列に接続して1つの部品単位とした電池モジュール94を複数(例えば10個)直列に接続して構成された組電池を有し、個々の電池モジュール94及び電池モジュール94全体の充放電状態を監視し制御する制御装置95と、電気回路を切断するためのリレー及び機械的に回路を切断するセーフティプラグ96と、組電池を冷却する冷却ブロア99と、各部位とを接続する信号線98及び動力線97とを有し、これら全体は1つのケース91内に収納され、下部プレート92とケース91により密閉形成されている。さらに、電池パック300は、下部プレート92に設けられた孔を介して、例えば車両に接続ボルト93によって固定される。そして、通常、自動車部品としては、上述した電池パック300単位で取り扱われ、ケース91外部には、荷電部分が露出しない構造となっている。
【0003】
上述したような電池パック内の組電池が寿命に達した場合、組電池から有用な金属を回収するために、電池パックを解体して組電池を他の部品から分別している。この分別作業において、仮に電池パック内の組電池が充電状態(以下「活性状態」ともいう)である場合(通常、満充電の場合200V)、電圧のかかった部品や配線類を取り扱う作業が発生する。
【0004】
一方、特許文献1には、電池パックではないが、電極材中にコバルトを含む二次電池の電池廃品を600℃以上の温度で焙焼し、焙焼後の焙焼電池を裁断して篩い分けを行い、金属スクラップと焙焼アッシュとに分別し、分別された焙焼アッシュから磁石を用いてコバルト含有物を磁気分離して(磁選ともいう)、選別されたコバルト含有物を酸に溶解することによって、金属コバルトを回収する方法が開示されている。
【0005】
なお、特許文献2には、予め使用済みリチウム二次電池を破砕した後、第1次磁選により磁性体と非磁性体とに分別し、得られた非磁性体を非酸化性雰囲気中又は還元雰囲気中にて500〜1000℃に焙焼して非磁性体を還元し、さらに第2次磁選により磁性体と非磁性体とに分別して有価金属を回収する回収方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−46266号公報
【特許文献2】特開平6−322452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に記載の回収方法は、上述したように使用済み二次電池をリサイクルする方法であり、電池パックに収容されている二次電池からなる組電池をリサイクルする場合には、依然として、電池パックを解体して二次電池を取り出さなければならない。一方、二次電池からなる組電池が充電状態の場合、高電圧がかかっている二次電池や制御装置や配線などを電池パックから取り外して解体する作業は、十分な絶縁保護具を着用しての作業となるため手間を要する。
【0008】
また、作業の安全性を高めるために電池パック内の組電池を放電させた後組電池を取り出す場合、電池パックを長期間保管して自然放電させるか、または抵抗器等を用いて強制放電させる必要があるが、リサイクル作業が長時間化するか若しくは手間を要する。
【0009】
還元後の電池は、例えば、ステンレス原料等にリサイクルされるが、金属材料として有効に活用するためには、最終製品の成分にそぐわない成分を除去することが必要となる。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、電池パックの事前解体不要で且つ電池パックの部品と組電池からの有価金属とをより安全に従来より短い作業時間で回収することができ、且つ、リサイクル効率を向上させる電池パックのリサイクル方法および電池パックのリサイクル装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の電池パックのリサイクル方法および電池パックのリサイクル装置は、以下の特徴を有する。
【0012】
(1)複数の単電池を直列接続してなる組電池と前記組電池を制御する制御部とを含む電池パックをリサイクルする方法であって、充電状態の組電池を収容した前記電池パックをそのまま、非酸化性雰囲気下又は還元雰囲気下で前記電池パック内の組電池を焙焼する工程と、焙焼された電池パックを組電池と組電池以外の部品とに分別する工程と、分別された組電池から複数の単電離を同士を接続している接続端子を切断する工程と、を有する電池パックのリサイクル方法である。
【0013】
充電状態の組電池を収容する電池パックをそのまま、非酸化性雰囲気下又は還元雰囲気下で前記電池パック内の組電池を焙焼することによって、電池パック内の樹脂部品や絶縁材料が熱分解し、電池パック内にて短絡が生じ、これにより電池パックの機能を破壊して、確実に放電処理を行うことができる。したがって、高電圧下での電池パックの解体作業を回避できるとともに、焙焼前の自然放電のための長期保管も不要となり、また強制放電の手間も省け、従来に比べより短時間で且つ安全で作業効率が向上したリサイクル作業を行うことができ、さらに、組電池内のニッケルを酸化させることなく、金属ニッケルとして回収することができる。また、正極材料等に用いられる水酸化ニッケル、水酸化コバルトを金属に還元して回収することができる。また、組電池から接続端子を切断し、接続端子を除去した単電池を回収することで、次工程でのスパークを抑制することができる。
【0014】
(2)上記(1)に記載の電池パックのリサイクル方法において、前記接続端子は銅から成る電池パックのリサイクル方法である。
【0015】
銅から成る接続端子を予め組電池から分離することで、次工程における単電池(以下「電池セル」ともいう)由来の有価金属をリサイクルする際に、特に、ステンレス原料として活用する場合に、銅成分がステンレス原料に混入することを抑制することができ、その結果、リサイクルされた金属材料によって良好なステンレス鋼を生産することができる。
【0016】
(3)上記(1)または(2)に記載の電池パックのリサイクル方法において、前記焙焼する工程における焙焼温度は、前記電池パック内に樹脂製部品がある場合、樹脂製部品を形成する樹脂の炭化温度以上で且つ前記電池パックの金属部品の融点以下である電池パックのリサイクル方法である。
【0017】
前記電池パック内に樹脂製部品がある場合、樹脂製部品を形成する樹脂の炭化温度以上とすることによって、樹脂が炭化する際に、焙焼空間の酸素を消費し、その結果、電池パック内の組電池の焙焼が非酸化性雰囲気下または還元雰囲気下になり、電池材料としての水酸化ニッケルを金属ニッケルに還元できる。また、本来の電池材料である有価金属単体を回収することができる。一方、焙焼温度を電池パックの金属部品の融点以下とすることにより、電池パック内の金属部品をほぼその形状で回収することができ、再利用が容易になる。
【0018】
(4)上記(3)に記載の電池パックのリサイクル方法において、さらに、分別された単電池を粉砕する工程を有する電池パックのリサイクル方法である。
【0019】
焙焼された単電池を粉砕することによって、単電池由来の有価金属をさらに形態別及び/又は物理的特性別に分別回収することができる。
【0020】
(5)上記(4)に記載の電池パックのリサイクル方法において、さらに、粉砕された電池を洗浄し篩い分ける工程を有する電池パックのリサイクル方法である。
【0021】
この洗浄篩い分けにより、上述した形態別に単電池由来の有価金属を分別することができる。
【0022】
(6)上記(5)に記載の電池パックのリサイクル方法において、さらに、篩い分けの後に篩上の金属を磁石を用いて磁気分離してニッケルを含有する金属を回収する工程を有する電池パックのリサイクル方法である。
【0023】
篩上に残留した比較的粒子径の大きい金属を磁石を用いて磁気分離(磁選)することにより、さらに磁化力の強い金属と磁化力の弱い金属とに分別することができる。
【0024】
(7)上記(6)に記載の電池パックのリサイクル方法において、さらに、篩い分け後に篩下のスラリーを脱水して正極及び負極に用いられた金属を回収する工程を有する電池パックのリサイクル方法である。
【0025】
篩下に、比較的粒子径の小さい正極・負極材料に用いた金属を選択的に分別回収することができる。
【0026】
(8)上記(7)に記載の電池パックのリサイクル方法において、前記負極に用いられた金属が希土類金属である電池パックのリサイクル方法である。
【0027】
(9)複数の単電池を直列接続してなる組電池と前記組電池を制御する制御部とを含む電池パックをリサイクルする装置であって、充電状態の組電池を収容した前記電池パックをそのまま非酸化性雰囲気下又は還元雰囲気下で前記電池パック内の組電池を焙焼する焙焼装置と、焙焼された電池パックを組電池と組電池以外の部品とに分別する分別手段と、分別された組電池から複数の単電離を同士を接続している接続端子を切断する切断装置と、分別された単電池を粉砕する粉砕装置と、粉砕された電池を篩い分ける篩装置と、前記篩装置の篩上にある金属を磁石を用いて磁気分離する磁選機と、前記篩装置の篩下にある正極及び負極に用いた金属を回収する回収装置と、を有する電池パックのリサイクル装置である。
【0028】
充電状態の組電池を収容する電池パックをそのまま焙焼した場合、電池パック内の樹脂部品や絶縁材料が熱分解し、電池パック内にて短絡が生じる。これにより、電池パックの機能を破壊して、確実に放電処理を行うことができる。このため、高電圧下での電池パックの解体作業を回避でき、また焙焼前の自然放電のための長期保管も不要となり、さらに強制放電の手間も省け、従来に比べより短時間で且つ安全で作業効率が向上したリサイクル作業を行うことができる。また、非酸化性雰囲気下又は還元雰囲気下で前記電池パック内の組電池を焙焼することによって、組電池内のニッケルを酸化させることなく、金属ニッケルとして回収することができる。また、正極材料等に用いられる水酸化ニッケル、水酸化コバルトを金属に還元して回収することができる。また、組電池から接続端子を切断し、接続端子を除去した単電池を回収することで、次工程でのスパークを抑制することができる。また、電池パック内の単電池以外の金属部品と、単電池由来の有価金属とを分別回収することができ、さらに、焙焼された単電池を粉砕することによって、単電池由来の有価金属をさらに形態別及び/又は物理的特性別に分別回収することができる。
【0029】
(10)上記(9)に記載の電池パックのリサイクル装置において、前記切断装置は、焙焼済みの組電池を固定する固定装置と、組電池における隣接する単電池の集電板の一面に当接するとともに歯具をガイドする一対の矯正ガイドと、単電池同士を接続する接続端子を切断し単電池と接続端子とを分離するため歯具を備えた切断機と、を有する電池パックのリサイクル装置である。
【0030】
焙焼済み組電池を固定し、一対の矯正ガイドによって、隣接する単電池の集電板の一面に当接しながら隣接する接続端子の位置を矯正し、歯具をガイドするので、安定的に接続端子を単電池から切断して分離することができる。
【0031】
(11)上記(10)に記載の電池パックのリサイクル装置において、前記切断機は、接続端子を単電池に固定するための電極端子を切断する、又は、集電板を単電池から分離するように切断する電池パックのリサイクル装置である。
【0032】
電極端子を切断することにより、接続端子と単電池を分離することができ、次工程でのスパークを抑制することができる。また、集電板と単電池を分離する場合には、単電池のみから有価金属を効率よくリサイクルすることができる。
【0033】
(12)上記(9)から(11)のいずれか1つに記載の電池パックのリサイクル装置において、前記焙焼装置は、前記電池パック内に樹脂製部品がある場合、樹脂製部品を形成する樹脂の炭化温度以上で且つ前記電池パックの金属部品の融点以下に制御されている電池パックのリサイクル装置である。
【0034】
前記電池パック内に樹脂製部品がある場合、樹脂製部品を形成する樹脂の炭化温度以上とすることによって、樹脂が炭化する際に、焙焼空間の酸素を消費し、その結果、電池パック内の組電池の焙焼が非酸化性雰囲気下または還元雰囲気下になり、有価金属単体を回収することができる。一方、焙焼温度を電池パックの金属部品の融点以下とすることにより、電池パック内の金属部品をほぼその形状で回収することができ、再利用が容易になる。また、樹脂製ケースは加熱されることにより、熱分解ガスを経由して炭化するが、この熱分解ガスを焙焼用熱源として有効利用することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、充電状態の組電池を収容する電池パックをそのまま、非酸化性雰囲気下又は還元雰囲気下で前記電池パック内の組電池を焙焼することによって、電池パック内の樹脂部品や絶縁材料が熱分解し、電池パック内にて短絡が生じ、これにより電池パックの機能を破壊して、確実に放電処理を行うことができる。したがって、高電圧下での電池パックの解体作業を回避できるとともに、焙焼前の自然放電のための長期保管も不要となり、また強制放電の手間も省け、従来に比べより短時間で且つ安全で作業効率が向上したリサイクル作業を行うことができ、さらに、組電池内のニッケルを酸化させることなく、金属ニッケルとして回収することができる。また、正極材料等に用いられる水酸化ニッケル、水酸化コバルトを金属に還元して回収することができる。また、組電池から接続端子を切断し、接続端子を除去した単電池を回収することで、次工程でのスパークを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施の形態の電池パックのリサイクル方法の一例を示すフロー図である。
【図2】本実施の形態の焙焼装置の一例の構成を説明する概略模式図である。
【図3】図2の点線で囲んだX部分の水噴霧冷却装置の一例の部分拡大断面図である。
【図4】電池パックの一例の透視斜視図である。
【図5】図4の点線で囲まれたY部分を拡大した組電池と接続端子の分離切断を工程を説明する図である。
【図6】本実施の形態の焙焼後の電池パック解体後の接続端子の切断する自動切断装置の一例を説明する図である。
【図7】図6の点線で囲んだZ部分を拡大した部分拡大斜視図である。
【図8】接続端子の切断の一例を説明する部分拡大断面図である。
【図9】本実施の形態の選別装置の構成の一例を説明する図である。
【図10】電池パックの構成の一例を説明する概略模式図である。
【図11】水噴霧による1次燃焼室の冷却効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、電池パックのリサイクル方法および電池パックのリサイクル装置の一例を、以下に、図面に基づいて説明する。なお、本実施の形態における電池パック2,17は、上述した図10に示す電池パック300と同じ構成を有するため、その説明を省略する。
【0038】
本実施の形態における電池パックのリサイクル方法は、複数の単電池を直列接続してなる組電池と前記組電池を制御する制御部とを含む電池パックをリサイクルする方法であって、図1に示すように、充電状態の組電池を収容した前記電池パックをそのまま、非酸化性雰囲気下又は還元雰囲気下で前記電池パック内の組電池を焙焼する工程(S110)を有する。さらに、本実施の形態の電池パックのリサイクル方法は、焙焼された電池パックを解体し(S112)、組電池と組電池以外の部品とに分別する工程(S140)と、組電池から単電池同士を接続している接続端子を切断する工程(S113)と、分別され単電池単位に解体された単電池(以下「電池セル」ともいう)を粉砕する工程(S114,S116)と、粉砕された電池を洗浄し篩い分ける工程(S118)と、篩い分け後に篩下のスラリーを脱水して正極及び負極に用いられた金属を回収する工程(S120,S122)と、篩い分けの後に篩上の金属を磁石を用いて磁気分離してニッケルを含有する金属を回収する工程(S130,S132)とを有する。
【0039】
また、本実施の形態における電池パックのリサイクル装置は、充電状態の組電池を収容した前記電池パックをそのまま非酸化性雰囲気下又は還元雰囲気下で前記電池パック内の組電池を焙焼する焙焼装置と、焙焼された電池パックを組電池と組電池以外の部品とに分別する分別手段と、分別された組電池から複数の単電離を同士を接続している接続端子を切断する切断装置と、分別された単電池を粉砕する粉砕装置と、粉砕された電池を篩い分ける篩装置と、前記篩装置の篩上にある金属を磁石を用いて磁気分離する磁選機と、前記篩装置の篩下にある正極及び負極に用いた金属を回収する回収装置とを有する。
【0040】
次に、本実施の形態における電池パックのリサイクル方法の各工程と、各工程に用いられる電池パックのリサイクル装置の構成について、図1から図9を用いて説明する。
【0041】
[焙焼工程]
まず、図1に示す充電状態の組電池を収容した前記電池パックをそのまま焙焼する工程(S110)は、例えばニッケル水素電池やリチウムイオン電池等の二次電池からなる単電池を直列接続してなる組電池を収容する電池パックを解体せず、そのまま、電池パック内の樹脂部品や絶縁材料に用いた樹脂の熱分解可能温度以上で且つ電池パック内の金属部品の融点以下の第1焙焼温度、例えば500℃から600℃程度の焙焼温度で焙焼する。これにより、電池パック内の樹脂部品や絶縁材料が熱分解し、電池パック内にて短絡が生じ、その結果、電池パックの機能を破壊して確実に放電処理を行うことができる。また、電池パック内の樹脂部品や絶縁材料に用いた樹脂や電解質を熱分解することができる。電池パックでは、上述した組電池、組電池などを収容するケースや冷却ブロアなどの部品に樹脂部品が多用され、これらの樹脂部品の樹脂が焙焼工程にて熱分解ガスに転換して、自己加熱する熱源として有効利用することができる。一方、第1焙焼温度を例えば500℃から600℃程度に制御することによって、電池パック内の金属部品、例えばアルミ部品の溶融を防ぎ、鉄ケース部品の酸化及び熱変形、焼き付けを最小限に留め、後工程の分別工程における金属素材の接続ボルトの取り外しなどの素材選別作業を容易にすることができる。
【0042】
上記焙焼工程に用いるバッチ式の電池パックのリサイクル装置の焙焼装置の一例を、図2を用いて説明する。図2に示す焙焼装置は1次燃料室1(以下「還元炉」ともいう)と2次燃料室6とを有し、1次燃焼室1と2次燃焼室6には、それぞれ加熱バーナー3,7と、各燃料室内の温度を測定する温度センサ(図示せず)とバーナー制御装置(図示せず)とが設けられ、温度センサからの出力に応じてバーナー制御装置は、加熱バーナー3,7をそれぞれ制御する。ここで、温度センサは、例えば熱電対を用いることができる。
【0043】
さらに詳細に説明すると、1次燃焼室1の火格子上に、例えばニッケル水素電池やリチウムイオン電池等の二次電池からなる単電池を直列接続してなる組電池を収容する電池パック2を一つまたは複数個配置し、適宜空気を1次燃焼室1内に送風しながら、電池パック2の配置位置に対して下方から加熱バーナー3を用いて加熱する。1次燃焼室1内の温度を第1焙焼温度(例えば500〜600℃)に保つように、温度センサからの出力をもとにバーナー制御装置によって加熱バーナー3の燃焼量を制御する。これにより、加熱により電池パック2内の樹脂材料が熱分解して生じた熱分解ガス4が、1次燃焼室1の下部にて空気と接触して可燃範囲でバランスしながら燃焼し、この熱は電池パック加熱用熱源として利用されるとともに、樹脂が燃焼する際に、1次燃焼室1内の酸素を消費し、その結果、電池パック2内の組電池の焙焼が非酸化性雰囲気下または還元雰囲気下で行われ、酸化を抑制して、有価金属単体を効率よく回収することができる。特に、電池パック2の側面、上部を密閉し、下部のみ開放して加熱することにより、熱分解ガスは、1次燃焼室1の下部に生成し易くなる。なお、第1焙焼温度における第1焙焼時間は、電池パック2内の樹脂材料の消失に必要な時間で適宜選択される。例えば、ある電池パックを用いた実証試験においては、第1焙焼温度を500℃、第1焙焼時間を1時間に設定することで有価金属単体を効率よく回収することが確認できた。
【0044】
さらに、1次燃焼室1において未燃焼分の熱分解ガスは、1次燃焼室1の下部の煙道5から2次燃焼室6に移行し、2次燃焼室6にて、温度センサ(図示せず)、バーナー制御装置(図示せず)、加熱バーナー7、空気供給ノズル8を用い、空気過剰状態にして、2次燃焼室6内を2秒間以上2次焙焼温度、例えば800℃に保ちながら、空気を用いて熱分解ガス4を完全燃焼させる。なお、2次燃焼室6の内容積は、1次燃焼室1からの燃焼排ガスを2秒間以上保てる容積にすることが好ましい。これにより、廃掃法の維持管理基準も満たすことができる。
【0045】
さらに、2次燃焼室6における2次焙焼後の排ガスは煙道9を介して、図示しない活性炭吸収塔及び集塵機を有する排ガス処理装置を介して浄化されて大気中に放出される。
【0046】
本実施の形態の1次燃料室1の上部には、1次燃焼室1において電池パック2の焙焼が完了したのち、焙焼後の電池パックを取り出し可能な温度まで(例えば、500〜600℃から300℃まで)冷却するための、水噴霧冷却装置が設けられている。水噴霧冷却装置の水噴霧ノズル10は、水滴が1次燃焼室1を構成する炉材に到達する前に蒸発する程度に、冷却水を霧状に噴霧可能なノズルであって、例えば、圧力噴霧式ノズルや2流体噴霧式ノズルなどの水を微粒化する機能を有するものであれば、機種を問わず利用可能である。
【0047】
また、図2では、水噴霧ノズル10は、1個設置されているが、これに限定するものではなく、1次燃焼室1の上部に複数個設けられていてもよく、また、1次燃焼室1の側壁上部に設けられていてもよく、設置箇所及び設置個数は冷却速度に応じて任意に選択することができる。なお、水噴霧ノズル10は、1次燃焼室1の天井部、壁面部など、電池パックの形状又は配置に応じて、冷却効率の高い位置に配置することが好ましい。
【0048】
水噴霧ノズル10から、水滴が1次燃焼室1を構成する炉材に到達する前に蒸発する程度に冷却水を霧状に噴霧することにより、直接、1次燃焼室1を構成する炉材に水滴が当たらず、炉材が部分的に冷却されることによる熱歪みの発生を抑制することができ、また、水噴霧により、1次燃焼室1内で瞬間的に気化することで、蒸発潜熱として、1次燃焼室1内に低温のガス噴流が生成し、1次燃焼室1の電池パック2に直接低温のガス噴流が当たり、電池パックの冷却が促進すると共に、1次燃焼室1の炉壁部分の冷却効果を相対的に低く抑えることができる。すなわち、焙焼後の電池パックを選択に冷却すると共に、次の電池パック2の焙焼のための1次燃焼室1の炉材温度を高温に保持することができる。
【0049】
本実施の形態では、水噴霧ノズル10として、図3に示すような、空気により水を噴霧する2流体噴霧式のスプレーノズルを例に取って説明する。2流体噴霧式の水噴霧ノズル10は、水配管11と空気配管12に接続されており、ノズル先端部13から1次燃焼室1内に水を微粒化して放出する構造になっている。放出パターンは、ノズルの種類により任意に選択可能であり、例えば、図3に示すようにコーン状に広がるパターン、又は扇状に広がるパターンでもよい。また、空気配管12の空気放出流量を一定にして、水配管11の水放出流量を調節することによって、微粒化した水粒子15の微粒化度や水噴霧量を調節してもよい。水噴霧ノズル10によって1次燃焼室1内に放出された水粒子15は、焙焼・還元処理終了時の1次燃焼室1内の高温度(例えば500℃以上)において、瞬時に蒸発し、水蒸発潜熱によって、冷却された低温のガス噴流16になり、焙焼・還元後の電池パックを選択的に冷却することができる。
【0050】
また、図11に、水噴霧による冷却効果の例を示す。1次燃焼室(「還元炉」ともいう)に電池パック6個を550℃で焙焼・還元処理した後に、加熱バーナーを停止し、10分後に水噴霧を実施した場合と水噴霧をしなかった場合の1次燃焼室の室内温度の変化が、図11に示されている。1次燃焼室の室内温度は、1次燃焼室内昼間部に設置された温度センサにより測定した。水噴霧を行わなかった場合の冷却時間と室内温度の推移を実線で示し、水噴霧を行った場合を、点線及び一点破線で示した。ここで、点線は、水噴霧の事例1の冷却時間と室内温度の推移を示し、一点破線は、水噴霧の事例2の冷却時間と室内温度の推移を示す。また、単位時間の水噴霧量は、事例1<事例2の関係になっている。また、図11において、点線及び一点破線で示す水噴霧を実施した場合、水噴霧を行わなかった場合に比べ、1次燃焼室が急速に冷却されていることが分かる。なお、冷却時間や冷却到達温度等の目的に応じて、水噴霧時の冷却速度は水噴霧量を調節することにより制御することができる。
【0051】
例えば、図2に示す1次燃焼室1に電池パックを上下段にそれぞれ3個ずつ配置して、550℃前後で焙焼・還元処理を行った場合、焙焼・還元処理後、電池パックを水噴霧なしで400℃まで冷却するのに4時間必要であったものが、焙焼・還元処理後、水噴霧ノズル10より、図11に示す事例2の条件で水を噴霧し400℃まで冷却した場合には、約20分間に短縮された。すなわち、水噴霧冷却装置を用いることにより、冷却時間を従来のものに比べ、1/12に短縮することができる。
【0052】
[解体・分別工程]
次に、図1に示す焙焼された電池パックを解体し(S112)、組電池と組電池以外の部品とに分別する工程(S140)と、組電池から単電池同士を接続している接続端子を切断する工程(S113)について、図4から図8を用いて説明する。
【0053】
電池パックを解体せずそのまま焙焼することにより、各種部品に使用されている樹脂材料が熱分解により消滅する。これにより、焙焼後の電池パックを解体するためのボルト・ナットの取り外し工程を大幅に削減することができる。例えばニッケル水素電池からなる単電池は外装部分が樹脂により作製されており、この樹脂製外装は、外装に埋め込まれているナットをボルト締めすることによって電池パックと一体化される。したがって、焙焼により樹脂が消滅すると、ボルトを外さなくても、図4に示す組電池20を容易に取り出せる。また、焙焼による短絡によって放電済みの電池パック17は解体されると、図4及び図6に示すように、例えば、単電池からなる組電池20と、単電池以外の電気部品19とケース18等とに分別することができる。
【0054】
しかしながら、焙焼済みの電池パック17内の組電池20の両長手側面上部には、図5に示すように、隣接する単電池40を接続する接続端子32が設けられており、接続端子32は、ナット33を介して電極端子30によって組電池20に接続されている。一般に、接続端子32は、銅からなり、焙焼・還元処理後の組電池20のリサイクルにおいて、接続端子32を付けたままで、リサイクルしてしまうと、特に、ステンレス原料として活用する場合に、銅成分がステンレス原料に混入してしまい、良質なステンレス鋼の生産の妨げになってしまうおそれがある。
【0055】
そこで、本実施の形態では、銅から成る接続端子32を、予め、図5に示す自動切断装置の歯具34により組電池20から分離することによって、手作業で接続端子32、ナット33,電極端子30を取り外す手間も省け、また、ナット33が加熱により焼き付いて手作業では取り外せない場合であっても容易に接続端子32を組電池20から分離させることができ、次工程における単電池由来の有価金属をリサイクルすることにより、良質なステンレス鋼を生産することを可能にしている。
【0056】
ところで、焙焼・還元処理後の組電池20は、樹脂が熱分解して消失すると共に、金属部分も加熱により変形するため、組電池20本体に固定されている複数の接続端子32、電極端子30、ナット33の位置が一定ではなくなる。このため、切断装置の歯具34と接続端子32等が一定の位置関係にならず、安定的な切断が難しい。
【0057】
そこで、本実施の形態の自動切断装置は、図6に示すように、焙焼・還元処理された電池パック17を、組電池20と電気部品19とケース18に分離した後、組電池20を載せるテーブル21と、組電池の長手両方向から挟み込む固定用ストッパー22及びワークガイドアンドクランプ23と、ワークガイドアンドクランプ23を組電池20に進退可能に移動させるワーククランプ24と、組電池20を載せたテーブル21を進退可能に移動させる送り用シリンダ25と、送り用シリンダ25の進退方向をガイドするガイド26と、組電池20の長手側面上部の接続端子を止める電極端子を切断するための歯具を備えた切断機27と、切断機27が設けられた切断機架台28と、これらが固定されたフレームベッド29とを有する。
【0058】
従って、組電池20は、フレームベッド29のテーブル21に載せられ、固定用ストッパー22及びワークガイドアンドクランプ23により、組電池20の長手両側面から挟み込み、さらに、ワーククランプ24により、ワークガイドアンドクランプ23を白抜き矢印方向に移動させることによって、組電池20を固定し、次いで、テーブル21に組電池20を載せた状態でガイド26に沿って送り用シリンダ25により、テーブル21を移動させて組電池20を切断機27に送ることによって、組電池20の長手側面上部の接続端子を止める電極端子を間欠的に又は連続的に切断することができる。
【0059】
さらに、図7、図8を用いて、本実施の形態の切断機27の構成について詳細に説明する。切断機27は、組電池20の隣接する単電池40の集電板31の一面と電子端子30に当接可能な一対の矯正ガイド35と、単電池40同士を接続する接続端子32を取り付けている電極端子30を切断し、集電板31付き組電池20とナット33付き接続端子32とに分離する歯具34とからなる。また、歯具34としては、例えばグラインダーを用いる。
【0060】
従って、本実施の形態の自動切断装置によれば、焙焼済み組電池20を固定し、一対の矯正ガイド35によって、隣接する単電池40の集電板31の一面に当接させながら隣接する接続端子32の位置を矯正し、さらに歯具34をガイドすることにより、安定的に接続端子32を組電池20及び単電池40から切断して分離することができる。
【0061】
ここで、本実施の形態の一対の矯正ガイド35は、図7に示すように、位置ずれした集電板31を随時狭持していくための幅広部分と、集電板31を両面狭持すると共に歯具34をガイドする一定の間隔部分とを有する構造を有する。これにより、連続して安定的に、接続端子32を組電池20及び単電池40から切断して分離することができる。
【0062】
なお、本実施の形態では、接続端子32を組電池20から分離するために、電極端子30を切断する自動切断装置について説明したが、これに限るものではなく、歯具34としてカッターを用い、組電池20と集電板31とを分離してもよい。
【0063】
また、組電池20の形状や大きさに応じて、切断機27の矯正ガイド35の狭持幅や狭持位置を調整し、歯具34の切断位置を調整される。また、歯具34の摩耗に応じて、歯具34の固定された位置を下方にずらして固定してもよい。
【0064】
[粉砕・洗浄篩い分け・選別回収工程]
次に、本実施の形態における分別され単電池単位に解体された単電池を粉砕する工程(S114,S116)と、粉砕された電池を洗浄し篩い分ける工程(S118)と、篩い分け後に篩下のスラリーを脱水して(正極及び負極に用いられた金属を回収する工程S120,S122)と、篩い分けの後に篩上の金属を磁石を用いて磁気分離してニッケルを含有する金属を回収する工程(S130,S132)とについて、図8を用いて説明する。
【0065】
図8には、上記粉砕、洗浄篩い分け、選別回収工程を行うための選別装置の一例が示されている。図8に示すように、選別装置は、複数個の単電池40からなる組電池を投入するためのホッパー62と、例えば剪断破砕機からなる粉砕装置64と、粉砕装置64に一定量フィードするための定量フィーダ63と、振動篩装置74と、粉砕装置64において粉砕された粉砕物を振動篩装置74に搬送するベルトコンベア65と、振動篩装置74に投入された粉砕物を洗浄液により洗浄するスプレー69と、洗浄液と共に振動篩装置74のスクリーン76(「篩」ともいう)を通過した電池構成材料の正極及び負極金属材料を沈殿分離するための沈殿分離装置80と、振動篩装置74のスクリーン76上に残留した粒径の大きい金属固形物を磁石による磁気分離により分別する磁選機84とを有する。さらに、沈殿分離装置80内には、掻き出し装置81がその底部から側面にかけて設けられ、これにより沈殿分離装置80内に沈殿した電池構成材料の正極及び負極金属材料82が回収される。一方、沈殿分離装置80内には、フィルタ83が設けられ、フィルタ83を通過した洗浄液は、ポンプ68を介して、スプレー69より洗浄用洗浄液として噴射される。ここで、洗浄液は水であってもよい。また、振動篩装置74には、篩下物を取り出す取出口77と、篩上物を取り出す取出口78が設けられている。さらに、取出口78から取り出された金属固形物はベルトコンベア66により搬送され、この搬送過程で、上記磁選機により磁選される。
【0066】
上記選別装置を用いた選別操作を以下に説明する。まず、ホッパー62内に焙焼済み単電池40からなる組電池を投入して、定量フィーダー63により定量しながら、一定量ずつ粉砕装置64に投入され、粉砕装置64にて例えば30mm以下程度に破砕する。次いで、粉砕された焙焼済みの単電池の粉砕物は、ベルトコンベア65により搬送され、振動篩装置74に投入される。振動篩装置74内のスクリーン76上の粉砕物に、スプレー69により例えば水からなる洗浄液がスプレーされ、粉砕物が洗浄される。ここで、スクリーン76の目は、例えば5mmから10mmに設定しておくことにより、スクリーン76を洗浄液とともに通過した微小粒子の正極及び負極金属材料は、取出口77を介して沈殿分離装置80に投入され、その後静置分離されて、比重の大きい正極及び負極金属材料を沈降させ、掻き出し装置81を用いて、正極及び負極金属材料82が回収される。一方、スプレー69のスプレーの後、振動篩装置74のスクリーン76上に残留した金属固形物は、取出口78を介してベルトコンベア66に投下され、ベルトコンベア66上にて、磁選機84により、相対的に磁化力の強い鉄分リッチ金属成分85と、相対的に磁化力の弱いニッケル分リッチ金属成分86とに選別される。なお、沈殿分離装置80からフィルタ83を介して振動篩装置74にスプレーされる洗浄液は、適宜、図示しない給水装置により給水され、またpH調整されて、一定の条件を維持するようにして循環されている。
【0067】
回収されたニッケル分リッチ金属成分86は、本実施の形態の焙焼工程にて、非酸化性雰囲気又は還元雰囲気下で電池パック内の金属類が焙焼されるため、電極材料の発泡ニッケルをほぼ金属ニッケルとして回収することができる。したがって、得られた金属ニッケルは、水酸化ニッケル製造原料などの電池原料に再利用することができる。また、回収された鉄分リッチ金属成分85は、ステンレス原料として価値を有する。
【0068】
一方、回収された正極及び負極金属材料82は、希土類金属などのレアメタルが濃縮されており、不純物としての鉄分の含有量が少なく、酸溶解等の精製プロセスにて容易に純度の高いレアメタルを得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の電池パックのリサイクル方法及び電池パックのリサイクル装置は、電池パックの用途であれば、いかなる用途にも有効であるが、特に自動車部品としての電池パックのリサイクルに供することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 1次燃料室、2,17 電池パック、3,7 加熱バーナー、4 熱分解ガス、5,9 煙道、6 2次燃料室、8 空気供給ノズル、10 水噴霧ノズル、11 水配管、12 空気配管、13 ノズル先端部、15 水粒子、16 ガス噴流、18 ケース、19 電気部品、20 組電池、21 テーブル、22 固定用ストッパー、23 ワークガイドアンドクランプ、24 ワーククランプ、25 送り用シリンダ、26 ガイド、27 切断機、28 切断機架台、29 フレームベッド、30 電極端子、31 集電板、32 接続端子、33 ナット、34 歯具、35 矯正ガイド、40 単電池。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単電池を直列接続してなる組電池と前記組電池を制御する制御部とを含む電池パックをリサイクルする方法であって、
充電状態の組電池を収容した前記電池パックをそのまま、非酸化性雰囲気下又は還元雰囲気下で前記電池パック内の組電池を焙焼する工程と、
焙焼された電池パックを組電池と組電池以外の部品とに分別する工程と、
分別された組電池から複数の単電離を同士を接続している接続端子を切断する工程と、
を有することを特徴とする電池パックのリサイクル方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電池パックのリサイクル方法において、
前記接続端子は銅から成ることを特徴とする電池パックのリサイクル方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電池パックのリサイクル方法において、
前記焙焼する工程における焙焼温度は、前記電池パック内に樹脂製部品がある場合、樹脂製部品を形成する樹脂の炭化温度以上で且つ前記電池パックの金属部品の融点以下であることを特徴とする電池パックのリサイクル方法。
【請求項4】
請求項3に記載の電池パックのリサイクル方法において、
さらに、分別された単電池を粉砕する工程を有することを特徴とする電池パックのリサイクル方法。
【請求項5】
請求項4に記載の電池パックのリサイクル方法において、
さらに、粉砕された電池を洗浄し篩い分ける工程を有することを特徴とする電池パックのリサイクル方法。
【請求項6】
請求項5に記載の電池パックのリサイクル方法において、
さらに、篩い分けの後に篩上の金属を磁石を用いて磁気分離してニッケルを含有する金属を回収する工程を有することを特徴とする電池パックのリサイクル方法。
【請求項7】
請求項6に記載の電池パックのリサイクル方法において、
さらに、篩い分け後に篩下のスラリーを脱水して正極及び負極に用いられた金属を回収する工程を有することを特徴とする電池パックのリサイクル方法。
【請求項8】
請求項7に記載の電池パックのリサイクル方法において、
前記負極に用いられた金属が希土類金属であることを特徴とする電池パックのリサイクル方法。
【請求項9】
複数の単電池を直列接続してなる組電池と前記組電池を制御する制御部とを含む電池パックをリサイクルする装置であって、
充電状態の組電池を収容した前記電池パックをそのまま非酸化性雰囲気下又は還元雰囲気下で前記電池パック内の組電池を焙焼する焙焼装置と、
焙焼された電池パックを組電池と組電池以外の部品とに分別する分別手段と、
分別された組電池から複数の単電離を同士を接続している接続端子を切断する切断装置と、
分別された単電池を粉砕する粉砕装置と、
粉砕された電池を篩い分ける篩装置と、
前記篩装置の篩上にある金属を磁石を用いて磁気分離する磁選機と、
前記篩装置の篩下にある正極及び負極に用いた金属を回収する回収装置と、
を有することを特徴とする電池パックのリサイクル装置。
【請求項10】
請求項9に記載の電池パックのリサイクル装置において、
前記切断装置は、
焙焼済みの組電池を固定する固定装置と、
組電池における隣接する単電池の集電板の一面に当接するとともに歯具をガイドする一対の矯正ガイドと、
単電池同士を接続する接続端子を切断し単電池と接続端子とを分離するため歯具を備えた切断機と、
を有することを特徴とする電池パックのリサイクル装置。
【請求項11】
請求項10に記載の電池パックのリサイクル装置において、
前記切断機は、接続端子を単電池に固定するための電極端子を切断する、又は、集電板を単電池から分離するように切断することを特徴とする電池パックのリサイクル装置。
【請求項12】
請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の電池パックのリサイクル装置において、
前記焙焼装置は、前記電池パック内に樹脂製部品がある場合、樹脂製部品を形成する樹脂の炭化温度以上で且つ前記電池パックの金属部品の融点以下に制御されていることを特徴とする電池パックのリサイクル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−124127(P2011−124127A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281553(P2009−281553)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】