電池モジュール
【課題】部品点数の増加を伴うことなく、隣り合った単電池の電極端子同士を、十分な接触圧力を確保しつつ簡便な構造で電気的に接続した組電池を備える電池モジュールの提供。
【解決手段】本発明の電池モジュール1は、各々が正負一対の電極端子4を有する複数個の単電池21が、正負交互に前記電極端子4同士が隣り合うように並べられ、かつ隣り合った前記電極端子4同士が電気的に接続されてなる組電池2と、1個の、又は隣り合った2個以上の単電池21からなる単位電池毎の出力電圧を検出するために、隣り合った前記電極端子4間にそれぞれ電気的に接続される複数本の電圧検知線33とを備え、前記電極端子4が、隣り合った前記電極端子4同士が互いに重なり合うための接触部43を有し、前記電圧検知線33が、重なり合った前記電極端子4同士を挟み付けるクリップ状の接続端子32を有する。
【解決手段】本発明の電池モジュール1は、各々が正負一対の電極端子4を有する複数個の単電池21が、正負交互に前記電極端子4同士が隣り合うように並べられ、かつ隣り合った前記電極端子4同士が電気的に接続されてなる組電池2と、1個の、又は隣り合った2個以上の単電池21からなる単位電池毎の出力電圧を検出するために、隣り合った前記電極端子4間にそれぞれ電気的に接続される複数本の電圧検知線33とを備え、前記電極端子4が、隣り合った前記電極端子4同士が互いに重なり合うための接触部43を有し、前記電圧検知線33が、重なり合った前記電極端子4同士を挟み付けるクリップ状の接続端子32を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車、ハイブリッド車等には、動力用の電池モジュールが搭載されている。この種の電池モジュールは、主として、複数個の単電池(セル)が直列接続されてなる組電池と、この組電池における各単電池の出力電圧を測定するために、各単電池の電極端子に接続される電圧検知線とを備える。
【0003】
前記単電池における正負一対の各電極端子は、特許文献1等に示されるように、共に雄ねじが切られた軸状(所謂、ボルト状)の金属部材からなる。これらは、単電池の本体部から突出するように設けられている。なお前記電極端子の根元には、電極端子よりも太い円柱状の基台部が設けられている。
【0004】
隣り合う単電池同士の電気的な接続は、前記電極端子間に、細長い板状の金属部材からなるバスバーを介在させることによって行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このバスバーには、2つの孔が設けられており、これらの孔に隣り合う単電池の前記電極端子がそれぞれ差し込まれ、かつバスバーが前記電極端子の根元にある基台部上に載せられる。バスバーに差し込まれた各電極端子の先端には、内周面に雌ねじが切られた筒状の孔を有するナットがそれぞれ取り付けられる。これらのナットを前記電極端子に対してそれぞれ固く締付ける(ナット締めする)ことによって、電極端子とバスバーとの接触圧力が確保され、そしてこれらの間の接触抵抗が低減されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3707595号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のようにバスバーを利用して各単電池の電極端子同士を電気的に接続する場合、バスバーの孔に電極端子を差し込む作業、及びその後に接触圧力を確保するために前記電極端子をナット締めする作業は、作業者にとって非常に煩わしく、問題となっている。また、このような作業は、自動化し難いことも問題となっている。
【0008】
また、上記のように電極端子同士を電気的に接続する場合、電極端子以外に、バスバー、ナット等の他の部材を準備する必要がある。そのため、部品点数が増加してしまうという問題もある。
【0009】
本発明の目的は、部品点数の増加を伴うことなく、隣り合った単電池の電極端子同士を、十分な接触圧力を確保しつつ簡便な構造で電気的に接続した組電池を備える電池モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電池モジュールは、各々が正負一対の電極端子を有する複数個の単電池が、正負交互に前記電極端子同士が隣り合うように並べられ、かつ隣り合った前記電極端子同士が電気的に接続されてなる組電池と、1個の、又は隣り合った2個以上の単電池からなる単位電池毎の出力電圧を検出するために、隣り合った前記電極端子間にそれぞれ電気的に接続される複数本の電圧検知線と、を備える電池モジュールであって、前記電極端子が、隣り合った前記電極端子同士が互いに重なり合うための略板状の接触部を有し、前記電圧検知線が、重なり合った前記電極端子同士を挟み付けるクリップ状の接続端子を有することを特徴とする。
【0011】
前記電池モジュールにおいて、重なり合った正負一対の電極端子のうち、いずれか一方の電極端子における接触部が、他方の電極端子における接触部を挿着する筒状の挿着部を有することが好ましい。前記電池モジュールは、一方の電極端子における接触部が筒状の挿着部を有し、この挿着部に他方の電極端子における接触部が挿着されるため、電極端子同士が位置ずれし難くなる。そのため、前記電極端子に、クリップ状の接続端子を挟み付けやすい。
【0012】
前記電池モジュールにおいて、重なり合った正負一対の電極端子における両接触部が、平板部と、この平板部に対して段差状をなす受け板部と、この受け板部の端縁から板面に沿って突出して形成された平板状の差し込み部と、前記平板部及び前記受け板部を互いに連結する連結部とを備え、両接触部を互いに板厚方向に重ねつつ、板面に沿ってスライドさせることで、前記差し込み部を相手側の受け板部の裏側に進入させ、一方の接触部における前記平板部と前記差し込み部との間に設けられたスリットに他方の前記連結部を差し込み、更に、いずれか一方の接触部に板厚方向に突出して設けられた係止突起を相手側の接触部に設けられた係止孔に係合させることで、両接触部が互いに組み付けられることが好ましい。前記電池モジュールは、電極端子同士が位置ずれし難くなり、前記電極端子に、クリップ状の接続端子を挟み付けやすい。
【0013】
前記電池モジュールにおいて、重なり合った正負一対の電極端子のうち、いずれか一方の電極端子における接触部が、他方の電極端子における接触部に向けて突出した凸部を有し、他方の前記接触部が、前記凸部と嵌る凹部を有することが好ましい。前記電池モジュールは、一方の電極端子における接触部が凸部を有し、他方の電極端子における接触部が前記凸部と嵌る凹部をするため、電極端子同士が互いに係合して、位置ずれし難くなる。そのため、前記電極端子に、クリップ状の接続端子を挟み付けやすい。
【0014】
前記電池モジュールにおいて、重なり合った前記電極端子同士と、これを挟み付ける前記接続端子とが絶縁カバーで覆われることが好ましい。重なり合った前記電極端子同士と、これを挟みつける前記接続端子とが絶縁カバーで覆われることによって、組電池の短絡を防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、部品点数の増加を伴うことなく、隣り合った単電池の電極端子同士を、十分な接触圧力を確保しつつ簡便な構造で電気的に接続した組電池を備える電池モジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態1に係る電池モジュールの斜視図
【図2】一方の単電池の斜視図
【図3】他方の単電池の斜視図
【図4】組電池の斜視図
【図5】一方の電圧検知ユニットの斜視図
【図6】他方の電圧検知ユニットの斜視図
【図7】隣り合った正負一対の電極端子同士が繋がった部分に、接続端子が取り付けられた状態を示す断面図
【図8】実施形態2の組電池の斜視図
【図9】一方の単電池の斜視図
【図10】他方の単電池の斜視図
【図11】互いに向かい合わせた正極側の電極端子及び負極側の電極端子の斜視図
【図12】実施形態3の組電池の斜視図
【図13】単電池の斜視図
【図14】電圧検知ユニットの斜視図
【図15】絶縁カバーを装着した電池モジュールの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
本発明の一実施形態を、図1ないし図5を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る電池モジュール1の斜視図である。本実施形態の電池モジュール1は、電気自動車又はハイブリッド自動車等に搭載され、駆動源として使用される。図1に示されるように、電池モジュール1は、組電池(電池群)2と、電圧検知ユニット3(3A,3B)とを備える。
【0018】
組電池2は、複数個の単電池(セル)21が一列に並べられたものからなり、各単電池21が互いに直列接続されている。本実施形態の組電池2には、合計12個の単電池21が利用されている。組電池2は、後述するように電極端子4の向きが互いに異なっている2種類の単電池21A,21Bを含み、これらが交互に並べられたものからなる。
【0019】
図2は、一方の単電池21(21A)の斜視図である。図2に示されるように、単電池21(21A)は、扁平な直方体状(角筒状)の本体部22と、この本体部22の上端面から外側に向けて突出した正負一対の電極端子4(4A,4B)とを備える。なお、図2に示される一対の電極端子4のうち、手前側にある一方の電極端子4Aが正極であり、奥側にある他方の電極端子4Bが負極である。
【0020】
本体部22は、その内部に発電要素(不図示)を含んでおり、適宜、発電するように構成されている。この本体部22は、この種の単電池21(例えば、電気自動車用の単電池)で利用されているものと同種であり、公知の構成からなる。なお、発電要素によって生じた電気は、前記電極端子4を利用して外部へ取り出される。
【0021】
電極端子4(4A,4B)は、共に金属材料を所定形状に加工したものからなる。電極端子4に利用される金属材料としては、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼(SUS)等が挙げられる。電極端子4の表面には、Sn、Ni等のメッキが施されていてもよい。なお、ここでいう電極端子4とは、主として、単電池12の本体部22から外側に突出している部分のことである。各電極端子4A,4Bの根元側は、本体部22内にある発電要素が備える電極(不図示)とそれぞれ接続している。
【0022】
正極側の電極端子4Aと、負極側の電極端子4Bとは、共に同じ金属材料からなるものの、形状が互いに異なっている。図2に示されるように、正極側の電極端子4Aは、その本体部22の上端面から露出した根元側の部分(根元部)41Aが、上方に向かって立ち上がっており、それよりも先側の部分(先端部)42Aが、手前側に向かって折れ曲がっている。これに対して、負極側の電極端子4Bは、その本体部22の上端面から露出した根元側の部分(根元部)41Bが、正極側の電極端子4Aと同様、上方に向かって立ち上がっているものの、それよりも先側の部分(先端部)42Bは、正極側の電極端子4Aとは反対に、奥側に向かって折れ曲がっている。つまり、電極端子4Aの先端部42Aと、電極端子4Bの先端部42Bとは、互いに逆方向を向いている。なお、電極端子4Aと、電極端子4Bとは所定の間隔を置いて、本体部22の上端面に配置されている。
【0023】
正極側の電極端子4Aにおける根元部41Aと、負極側の電極端子4Bにおける根元部41Bについては、共に略同じ形状であり、平板状である。ただし、本実施形態においては、正極側の根元部41Aの方が、負極側の根元部41Bよりも、若干、上端面からの高さが高くなるように設定されている。つまり、正極側の電極端子4Aにおける先端部4Aが、負極側の電極端子4Bにおける先端部4Bの上側に配置できるように、根元部41A及び根元部41Bの高さが設定されている。
【0024】
これに対して、正極側の電極端子4Aにおける先端部42Aと、負極側の電極端子4Bにおける先端部42Bとは、互いに形状が異なっている。正極側の電極端子4Aにおける先端部42Aは、平坦な板状(平板状)の接触部43Aと、この接触部43Aに設けられている筒状の挿着部44Aとを備える。この挿着部44Aは、接触部43Aの両縁から立ち上がった一対の羽板片45A,46Aを有し、これらが互いの先端が近付くように内側に向かって折れ曲がっている。これらの羽板片45A,46Aと、平板状の接触部43Aとの間には、扁平状の隙間(空間)47Aが形成されている。この隙間47Aの大きさは、負極側の電極端子4Bが備える先端部42Bが丁度、収まる程度に設定されている。
【0025】
負極側の電極端子4Bにおける先端部42Bは、平坦な板状(平板状)の接触部43Bを備える。この接触部43Bが、正極側の電極端子4Aが備える挿着部43Aの隙間47A内に挿し込まれる。挿し込まれた後の接触部43Bは、その下面(裏面)が正極側の接触部43Aの上面(表面)と接触するように重なり合う。なお、接触部43Bの上面(表面)は、挿着部44Aにおける羽板片45A,46Aの内面と接触する。
【0026】
図3は、他方の単電池21(21B)の斜視図である。この単電池21Bの基本的な構成は、上述した単電池21Aと同様である。つまり、単電池21Bは、本体部22と、正負一対の電極端子4(4A,4B)とを備える。ただし、この単電池21Bと、上述した単電池21Aとでは、各電極端子4A、4Bの先端部42A,42Bの向きが、逆になっている。なお、図3の単電池21Bは、奥側に正極側の電極端子4Aが配置し、手前側に負極側の電極端子4Bが配置するように示されており、図2に示される単電池21Aとは、正極側の電極端子4Aの位置と、負極側の電極端子4の位置とが入れ替わっている。
【0027】
図4は、組電池2の斜視図である。上述したように、組電池2は、2種類の単電池21(21A,21B)を含み、これらが交互に並べられたものからなる。各単電池21は、各本体部22の端面(上端面、側端面)が揃うように、並べられている。組電池2を構成する一方の単電池21Aは、その正極側の電極端子4Aが手前側に配置し、負極側の電極端子4Bが奥側に配置するように、並べられている。これに対して、他方の単電池21Bは、その正極側の電極端子4Aが奥側に配置し、負極側の電極端子4Bが手前側に配置するように、並べられている。
【0028】
このように各単電池21が並べられると、隣り合う単電池21間において、互いに異極の電極端子4A,4B同士が隣り合うことになる。つまり、組電池2を構成する各単電池21の電極端子4同士は、正負交互に隣り合うように並んでいる。また、隣り合う単電池21間において、隣り合った互いに異極同士の電極端子4A,4Bは、互いに重なり合うようにして直接、繋がっている。
【0029】
本実施形態の場合、負極側の電極端子4Bの先端部42B(接触部43B)が、正極側の電極端子4Aの先端部42A(挿着部44A)の隙間47Aに挿し込まれることによって、挿着部44Aに挿着される。このように前記先端部42Bが、前記挿着部44Aに挿着されると、電極端子4A,4B同士が互いに繋がって、電気的に接続される。このような、一方の電極端子4Aを、他方の電極端子4Bに挿着させる構成を採用すると、他の部品等を用いることなく、電極端子4A,4B同士を繋げた状態で保持できる。そして、前記電極端子4A,4B同士は、互いに重なった状態から位置ずれし難くなっている。
【0030】
なお、最も手前側にある単電池21Aの電極端子4Aには、図1に示されるように、一方の電力ケーブル5(5A)の端子が接続される。また、最も奥側にある単電池21Bの電極端子4Bには、図1に示されるように、他方の電力ケーブル5(5B)の端子が接続される。組電池2は、これらの電力ケーブル5(5A,5B)を利用して、外部の負荷(不図示)と接続している。
【0031】
電圧検知ユニット3は、単位電池毎の出力電圧を検出するために用いられる。ここでいう「単位電池」とは、組電池2を構成する1個の単電池21、又は隣り合った2個以上の単電池21からなる検出対象である。本実施形態の単位電池は、1個の単電池21からなる。つまり、本実施形態の電圧検知ユニット3は、単電池21毎の出力電圧を検出する。なお、本実施形態の電圧検知ユニット3は、後述するように接続端子32の個数が異なる2種類のユニット3A,3Bからなる。
【0032】
図5は、一方の電圧検知ユニット3(3A)の斜視図である。図5に示されるように、電圧検知ユニット3(3A)は、フレキシブルフラットケーブル(以下、FFC)からなる扁平な長尺状(帯状)の本体部31(31A)と、この本体部31(31A)に取り付けられている複数個(6個)のクリップ状の接続端子32とを備える。
【0033】
FFCからなる本体部31は、主として、複数本(6本)の細長い導体33と、これらの導体33の外周を被覆する絶縁層34とからなる。導体33は、断面形状が扁平であり、一般的にフラット導体と呼ばれているものからなる。このような導体33は、例えば、銅箔から形成される。絶縁層34中の導体33同士は、互いに間隔を置いて平行に並んでいる。絶縁層34は、例えば、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂を、導体33にラミネートしたものからなる。図5に示されるように、本体部31(FFC)の絶縁層34は、部分的に除去(剥離)されており、各導体33の一部が露出している。なお、各導体33の終端側の本体部31には、コネクタ部35が取り付けられている。
【0034】
接続端子32は、導電性を有する材料からなり、全体としてクリップ状である。この接続端子32は、重なり合った電極端子4A、4Bを、それらの外側から挟み付ける挟み部321と、その挟み部321の後端と、前記導体33とを電気的に接続する接続部322とからなる。
【0035】
挟み部321は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼(SUS)等からなる金属製の板材から製造される。挟み部321の表面には、Sn、Ni等のメッキが施されていてもよい。挟み部321は、例えば、前記板材を打ち抜き加工して得られた短冊状の金属板片を、先端同士が互いに近付くように折り曲げ加工して製造される。接続部322は、例えば、細長い短冊状の金属板片からなる。なお、挟み部321と前記接続部322とは、1つの部材(板材)から一体的に製造されてもよいし、或いは別々の部材(板材)から製造されてもよい。接続部322を挟み部321と一体的に製造する場合、例えば、挟み部321の材料となる前記金属板片の内側に、3辺が切り込まれ残りの1辺が前記金属片と繋がった矩形状の部分を起立させたものを、接続部322としてもよい。
【0036】
挟み部321は、上あご部333と、下あご部334とからなる。上あご部333の先端側と、下あご部334の先端側とは互いに向かい合い近付き合っている。本実施形態においては、上あご部333の先端側と、下あご部334の先端側との間には、若干の隙間が設けられている。また、上あご部333の後端側と、下あご部334の後端側とは互いに接続しており、これらは一体的に繋がっている。上あご部333と、下あご部334との間には、空間335がある。挟み部321は、弾性変形可能であり、上あご部333と、下あご部334との間(空間335)に、重なり合った部分の電極端子4A、4B(連結端子部6)が挿入されると、上あご部333と、下あご部334とが互いに離れるように拡がる。そして、挟み部321の上あご部333と、下あご部334とが、前記電極端子4A、4B(連結端子部6)を挟み付け、これらに外側から力を加える。
【0037】
接続端子32の接続部322は、本体部31(31A)の絶縁層34から露出した部分の導体33に対して、抵抗溶接、超音波溶接、半田付け等の各種溶接方法によって接続される。
【0038】
図6は、他方の電圧検知ユニット3(3B)の斜視図である。この電圧検知ユニット3Bの基本的な構成は、上述した電圧検知ユニット3Aと同様である。つまり、電圧検知ユニット3Bは、FFCからなる扁平な長尺状(帯状)の本体部31(31B)と、この本体部31(31B)に取り付けられている複数個(7個)のクリップ状の接続端子32とを備える。ただし、この電圧検知ユニット3Bと、上述した電圧検知ユニット3Aとでは、主に、FFCからなる本体部31に含まれる導体33の本数、及びこれらの導体33に接続される接続端子32の個数が異なっている。なお、前記導体33及び前記接続端子32その物の構成は、基本的に、電圧検知ユニット3Aのものと同様である。
【0039】
電圧検知ユニット3(3A,3B)の各接続端子32は、図1に示されるように、組電池2に取り付けられる。一方の電圧検知ユニット3Aにおける各接続端子32は、隣り合った正負一対の電極端子4A、4B同士が繋がった6個所存在する部分(連結端子部6)に、それぞれ取り付けられる(図2参照)。これに対して、他方の電圧検知ユニット3Bにおける各接続端子32は、5個所存在する連結端子部6と共に、最も手前側にあり電力ケーブル5Aの端子と接続する正極側の電極端子4A、及び最も奥側にあり電力ケーブル5Bの端子と接続する負極側の電極端子4Bに、それぞれ取り付けられる。
【0040】
各電圧検知ユニット3A、3Bのコネクタ部35,35は、それぞれ電池ECU(Electronic Control Unit)(不図示)に接続されている。電池ECUは、マイクロコンピュータ、素子等が搭載されたものであり、単電池21における電圧、電流、温度等の検知、各単電池21の充放電コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0041】
図7は、隣り合った正負一対の電極端子4A,4B同士が繋がった部分(連結端子部6)に、接続端子32が取り付けられた状態を示す断面図である。図7に示されるように、接続端子32の挟み部321が、電極端子4A及び電極端子4Bを、それらの外側から挟み付ける。この際、挟み部321における上あご部333の内面(下面)が、電極端子4Aにおける挿着部44Aの外面と接触し、下あご部334の内面(上面)が、電極端子4Aにおける接触部43Aの下面(裏面)と接触している。このように接続端子32によって挟み付けられた正負一対の電極端子4A,4Bは、互いに密着する。特に、それらの接触部43A,43B同士が密着する。このように接続端子32を挟み付けることによって、正負一対の電極端子4A,4B間の接触圧力が十分に確保され、そして接触抵抗が低減される。
【0042】
本実施形態の電池モジュール1は、電圧検知ユニット3(3A,3A)を利用して、組電池2の各単電池21の出力電圧が検出される。なお、電圧検知ユニット3の本体部31に含まれる導体33が、本発明の「電圧検知線」に相当する。本実施形態の電池モジュール1は、電圧検知線に取り付けられているクリップ状の接続端子32を利用することによって、部品点数の増加を伴うことなく、組電池2における隣り合った単電池21の電極端子4同士を、十分な接触圧力を確保しつつ簡便な構造で電気的に接続できる。また、クリップ状の接続端子32は、重なり合った前記電極端子4の部分(連結端子部6)に挿し込むだけで取り付けられるため、作業性もよい。
【0043】
<実施形態2>
次いで、本発明の実施形態2を図8ないし図11を参照しつつ説明する。図8は、実施形態2の組電池20の斜視図である。本実施形態の電池モジュールは、上記実施形態1における電池モジュール1の組電池2に替えて、図8に示される組電池20を利用したものである。
【0044】
組電池20は、その基本的な構成は、実施形態1の組電池2のものと同じである。ただし、組電池20は、各単電池21における電極端子4(4C,4D)の構造が、実施形態1における各単電池21のものと異なっている。なお、本実施形態の組電池20も、電極端子4の向きが互いに異なっている2種類の単電池21C,21Dを含んでおり、これらが交互に並べられたものからなる。
【0045】
図9は、一方の単電池21(21C)の斜視図である。図10は、他方の単電池21(21D)の斜視図である。図9及び図10に示されるように、単電池21(21C,21D)は、扁平な直方体状(角筒状)の本体部21と、この本体部21の上端面から外側に向けて突出した正負一対の電極端子4C,4Dとを備える。なお、図9に示される一対の電極端子4C,4Dのうち、手前側にある一方の電極端子4Cが正極であり、奥側にある他方の電極端子4Dが負極である。電極端子4C,4Dは、いずれも所定形状に打ち抜いた金属板材を曲げ加工して形成される。
【0046】
ここで、図9を参照しつつ、各電極端子4C,4Dの大まかな構造を説明する。正極側の電極端子4Cは、その本体部22の上端面から露出した根元側の部分(根元部)41Cが、上方に向かって立ち上がっており、それよりも先側の部分(先端部)42Cが、手前側に向かって折れ曲がっている。これに対して、負極側の電極端子4Dは、その本体部22の上端面から露出した根元側の部分(根元部)41Dが、正極側の電極端子4Cと同様、上方に向かって立ち上がっているものの、それよりも先側の部分(先端部)42Dが、正極側の電極端子4Cとは反対に、奥側に向かって折れ曲がっている。つまり、電極端子4Cの先端部42Cと、電極端子4Dの先端部42Dとは、互いに逆を向いている。電極端子4Cと、電極端子4Dとは所定の間隔を置いて、本体部22の上端面に配置されている。
【0047】
なお、図10に示される単電池21(21D)では、各電極端子4C,4Dの各先端部42C,42Dの向きが、図9に示される単電池21(21C)のものとは、反対に(逆向きに)なっている。
【0048】
図9及び図10に示されるように、正極側の電極端子4Cにおける根元部41Cと、負極側の電極端子4Dにおける根元部41Dについては、互いに略同じ形状であり、平板状である。ただし、本実施形態においては、正極側の根元部41Cの方が、負極側の根元部41Dよりも、若干、上端面からの高さが低くなるように設定されている。つまり、負極側の電極端子4Dにおける先端部4Dが、正極側の電極端子4Cにおける先端部4Cの上側に配置できるように、根元部41C及び根元部41Dの高さが設定されている。
【0049】
図11は、互いに向かい合わせた正極側の電極端子4C及び負極側の電極端子4Dの斜視図である。ここで、図11を参照しつつ各電極端子4C,4Dの接触部43C,43Dの詳細な構造、及び電極端子43C,43D同士の接続構造について、説明する。
【0050】
負極側の電極端子4Dにおける先端部42Dは、全体として、平坦な板状(平板状)の接触部43Dを備える。接触部43Dは、前後方向に長くかつ互いに間隔を置いて配置する左右一対の平板部401,401と、これらの平板部401,401の前端部(奥側の端部)同士を橋渡し状に連結する第1係合部402と、両平板部401,401の後端部(手前側の端部)同士を橋渡し状に連結する第2係合部403とを備える。第1係合部402と第2係合部403との間には孔404が設けられている。両平板部401,401は、同じ高さに位置している。
【0051】
第1係合部402は、左右に長い略平板状の第1受け板部405を備え、その左右両端部が略上下方向に向けて曲げられた一対の連結部406,406を介して両平板部401,401の後端寄りに連結されており、第1受け板部405が平板部401,401に対して板厚略一枚分程度低くなるような段差状をなしている。また、第1受け板部405には、その後端縁から、平板状の第1差し込み部407が板面に沿って突出して形成されている。更に、この第1差し込み部407の左右端縁部と平板部401,401の端縁部と連結部406,406とで囲まれた領域には、前後方向に伸びて前方へ開放するスリット408,408が形成されている。また、第1差し込み部407の上面には、上方へ叩き出されかつ前方へ向かって下り勾配となる係止突起409が形成されている。
【0052】
第2係合部403は、左右に長い略平板状の第2受け板部410を備え、その左右両端部が略上下方向に向けて曲げられた一対の連結部411,411を介して両平板部401、401の後端に連結されており、第2受け板部410が平板部401,401に対して板厚略一枚分程度低くなるような段差状をなしている。また、第2受け板部410には、その前端縁から、平板状の第2差し込み部412が板面に沿って突出して形成されている。更に、この第2差し込み部412の左右端縁部と平板部401,401の端縁部と連結部411,411とで囲まれた領域には、前後方向に延びて前方へ開放するスリット部413,413が形成されている。また、第2受け板部410には、長方形の係止孔414が上下方向に貫通して形成されている。
【0053】
これに対して、相手側である正極側の電極端子4Cにおける先端部42Cは、全体として、平坦な板状(平板状)の接触部43Cを備える。接触部43Cは、左右一対の平板部401,401と、この平板部401,401の前端部同士を連結する第1係合部402,402と、両平板部401,401の後端同士を連結する第2係合部403,403とを備える。第1係合部402と第2係合部403との間には孔404が設けられている。この2つの係合部402,403は、上記負極側の電極端子4Dにおける係合部402,403を、図11に示される軸Lを中心として180°回転させたものであり、両電極端子4C,4Dの接触部43C,43Dにおける孔404回りの構造は、軸Lに関して概ね対象の関係となっている。また、両平板部401,401には、第2係合部403付近に接触突起415,415が上方へ叩き出されて形成されている。
【0054】
正極側の電極端子4Cにおける接触部43Cと、負極側の電極端子4Dにおける接触部43Dとを繋げるためには、両接触部43C,43Dを互いに板厚方向に重ねつつ、板面に沿ってスライドさせることで、第1差し込み部407を相手側の第2受け板部410受け板部の裏側に進入させ、かつ第2差し込み部412を相手側の第1受け板部405の裏側に進入させる。そして、各々のスリット408に相手側の連結部411を差し込み、かつ各々のスリット413に相手側の連結部406を差し込むことによって、接触部43Cと接触部43Dとが、互いに接続する。更に、一方の接触部43Dに板厚方向に突出して設けられた係止突起409を相手側の接触部43Cに設けられた係止孔(不図示)に係合させることで、両接触部43C,43Dが互いに確実に組み付けられる。
【0055】
本実施形態の組電池20には、上記実施形態1で用いた電圧検知ユニット3(3A,3B)(図1等参照)が取り付けられ、各単電池21の出力電圧が検出される。組電池20における各単電池21は、電極端子4C,4Dを備えるため、電極端子4C,4D同士を接続した場合に位置ずれし難くい。そのため、重なり合った部分の電極端子4C,4Dに、クリップ状の接続端子32を挟み付けやすくなっている。また、クリップ状の接続端子32は、重なり合った前記電極端子4の部分(連結端子部6)に挿し込むだけで取り付けられるため、作業性もよい。
【0056】
<実施形態3>
次いで、本発明の実施形態3を図12ないし図14を参照しつつ説明する。図12は、実施形態3の組電池200の斜視図である。本実施形態の組電池200は、複数個の単電池21Eが並べられたものからなり、各単電池21Eが互いに直列接続されている。本実施形態の組電池200には、合計12個の単電池21Eが利用されている。
【0057】
図13は、単電池21Eの斜視図である。図13に示されるように、単電池21Eは、円柱状の本体部22Eと、この本体部21の一方の端面(下端面)から外側に向けて突出した正極側の電極端子4(4E)と、他方の端面(上端面)から外側に向けて突出した負極側の電極端子4(4F)とを備える。
【0058】
本体部22Eは、上記実施形態1等のものと同様、その内部に発電要素(不図示)を含んでおり、適宜、発電するように構成されている。正極側の電極端子4Eの基本的な構造は、上記実施形態2における正極側の電極端子4Cのものと同様である。つまり、電極端子4Eは、根元部41Eと、先端部42Eとからなり、先端部42Eは、接触部43Eを備えている。この接触部43Eの基本的な構造は、実施形態2の接触部43Cと同様である。また、負極側の電極端子4Fの基本的な構造は、上記実施形態2における電極端子4Dのものと同様である。つまり、電極端子4Fは、根元部41Fと、先端部42Fとからなり、先端部42Fは、接触部43Fを備えている。この接触部43Fの基本的な構造は、実施形態2の接触部43Dと同様である。なお、正極側の電極端子4Fにおける先端部42Fの向きは、負極側の電極端子4Eにおける先端部42Eの向きに対して、45°ずらして設定されている。
【0059】
図12に示されるように、組電池200を構成する各単電池21Eには、負極側の電極端子4Fが上側になるように配置されるものと、反対に、正極側の負極端子4Eが上側になるように配置されるものとがある。組電池200は、電極端子4Fが上側に配置された複数個(6個)の単電池21Eが並んだ手前側の列(以下、手前側列)と、電極端子4Eが上側に配置された複数個(6個)の単電池21Fが並んだ奥側の列(以下、奥側列)からなる。これらの列は、一方の列が他方の列に対して、単電池21E半個(1/2個)分位置がずれるように並べられている。このように手前側列と奥側列とが並べられると、手前側列の各単電池21Eと、奥側列の各単電池21Eとが、互いに異極の電極端子4E,4F同士が隣り合うように並ぶことになる。
【0060】
隣り合った電極端子4E,4F同士は、上記実施形態2と同様の仕組みで、互いに接続される。この際、手前側列の単電池21Eは、上側に配置する負極側の電極端子4Fが、隣接する奥側列の単電池21Eが備える上側の電極端子4Eと接続する。また、奥側列の単電池21Eは、下側に配置する負極側の電極端子4Fが、隣接する手前側列の単電池21Eが備える下側の電極端子4Eと接続する。つまり、組電池200を構成する各単電池21Eは、手前側列と奥側とを交互に行き来するように(所謂、ジグザグ状に)、互いに直列接続されている。
【0061】
図14は、電圧検知ユニット3(3E)の斜視図である。図14に示されるように、電圧検知ユニット3(3E)は、フレキシブルプリント基板(以下、FPC)からなる扁平な本体部31(31E)と、この本体部31(31E)に取り付けられている複数個(6個)のクリップ状の接続端子32とを備える。
【0062】
FPCからなる本体部31Eは、可撓性を有する長尺状の幹部311と、この幹部311から分岐した複数本(6本)の可撓性を有する枝部312とに分けられる。枝部312は、幹部311の長手方向に沿って略等間隔で配置している。このような形状の本体部31Eは、複数本(6本)の細長い導体(不図示)と、これらの導体の外周を被覆する絶縁層34Eとからなる。導体は、例えば、銅箔からなる。なお、本体部31E(幹部311)の後端には、コネクタ部35が取り付けられている。
【0063】
各導体は、コネクタ部35側の本体部31E(幹部311)から、各枝部312に向かうように、それぞれ絶縁層34E中に設けられている。各導体の先端は、それぞれ各枝部312の先側まで延びている。なお、各枝部312の先側における絶縁層34Eの一部は、除去されている。除去された部分からは、導体の一部が露出している。
【0064】
このようなFPCからなる本体部31Eとしては、例えば、絶縁性のベースフィルム(例えば、ポリイミド製フィルム)上に、銅箔(導体)のパターンを形成し、その銅箔の上面を保護フィルム(例えば、ポリイミド製フィルム)で覆ったものからなる。
【0065】
各枝部312の先側には、それぞれクリップ状の接続端子32が取り付けられている。接続端子32の基本的な構造は、上記実施形態1のものと同様である。各接続端子32の接続部322は、枝部312の絶縁層34Eから露出している導体に、それぞれ抵抗溶接等によって接続されている。
【0066】
電圧検知ユニット3(3E)の各接続端子32は、組電池200における正負一対の電極端子4E,4F同士が繋がった部分(連結端子部6)に、挟み付けるようにして取り付けられる。各接続端子32は、可撓性を有する枝部312に取り付けられているため、挟み部321を連結端子部6に挟み付ける作業を行いやすい。なお、組電池200の最も手前側に配置している単電池21Eの接続端子4Eと、最も奥側に配置している単電池21Eの接続端子4Fには、それぞれ外部で負荷と繋がった電力ケーブルの端子が接続される。
【0067】
本実施形態の単位電池は、隣り合った2個の単電池21Eからなる。つまり、本実施形態の電圧検知ユニット3(3E)は、電池ECU(不図示)の制御下で、2個の単電池21Eからなる単位電池毎に、出力電圧を検出する。
【0068】
なお、電圧検知ユニット3Eの本体部31Eに含まれる導体が、本発明の「電圧検知線」に相当する。本実施形態の電池モジュールは、電圧検知線に取り付けられているクリップ状の接続端子32を利用することによって、部品点数の増加を伴うことなく、組電池200における隣り合った単電池21Eの電極端子4同士を、十分な接触圧力を確保しつつ簡便な構造で電気的に接続できる。また、クリップ状の接続端子32は、重なり合った前記電極端子4の部分(連結端子部6)に挿し込むだけで取り付けられるため、作業性もよい。
【0069】
<実施形態4>
次いで、本発明の実施形態4を、図15を参照しつつ説明する。図15は、絶縁カバー7(7A,7B)を装着した電池モジュール1の斜視図である。図15に示される電池モジュール1は、図1に示される実施形態1の電池モジュール1に、更に、絶縁カバー7(7A,7B)を装着したものからなる。
【0070】
絶縁カバー7は、組電池2に取り付けられている電圧検知ユニット3(3A,3B)に対してそれぞれ装着される一対のもの(絶縁カバー7A,7B)からなる。絶縁カバー7は、電圧検知ユニット3の各接続端子32の周りを囲むような、上方が開放した複数個の収容室71と、各収容室の上方を塞ぐ複数個の天井蓋72とを備える。収容室71は、接続端子32の左右及び後方を囲むような壁状の部材からなる。収容室71同士は、横並びで一体的に形成されている。天井蓋72は、収容室71の上方を覆うように、かつ収容室71に対して着脱可能に取り付けられている。天井蓋72は、収容室71の後方側に配置するように設けられている。なお、天井蓋72同士も、横並びで一体的に形成されている。天井蓋72と、収容室71との間には、電圧検知ユニット3における長尺状の本体部34を収容する上方が開放した長尺状収容室73が設けられている。なお、天井蓋72は、収容室71の上方を塞ぐ際に、この長尺状収容室73の上方も塞ぐように構成されている。
【0071】
各収容室71の後方の壁には、切り欠き状の孔71aがそれぞれ設けられており、これらの孔71aに接続端子32の接続部322がそれぞれ通される。絶縁カバー7は、例えば、絶縁性のプラスチック材料からなり、所定形状の金型を用いた射出成型等によって製造される。
【0072】
本実施形態のように、電池モジュール1に絶縁カバー7を装着すると、組電池2の各連結端子部6に対して、金属製の工具等が接触して、組電池2が短絡(ショート)することを防止できる。つまり、電圧検知ユニット3(3A,3B)を組電池2に取り付けた後に、取り付け時に使用した工具等が組電池2に接触しても、連結端子部6及び接続端子32が絶縁カバー7(7A,7B)によって保護されているため、組電池2の短絡を防止できる。
【0073】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0074】
(1)上記実施形態では、1個の単電池における正極側の電極端子と、負極側の電極端子とが、互いに異なる構造(形状)を有していたが、他の実施形態においては、例えば、1個の単電池における正極側の電極端子と、負極側の電極端子とが、共に同じ構造(形状)であってもよい。したがって、一方の形状を有する両電極端子(例えば、電極端子4Aのような形状)を備えた単電池と、相手側となる他方の形状を有する両電極端子(例えば、電極端子4Bのような形状)を備えた単電池とを、交互に並べて隣接する単電池間の正負一対の電極端子同士を繋いだものを組電池としてもよい。
【0075】
(2)上記実施形態では、単電池の電極端子は、根元部と先端部との間で折れ曲がった形状であったが、他の実施形態においては、隣接する単電池における相手側の電極端子と接続可能であれば、例えば、真っ直ぐに延びた形状の電極端子であってもよい。
【0076】
(3)上記実施形態では、電圧検知線として、FFC又はFPCを利用していたが、他の実施形態においては、例えば、線状の導体(導線)を絶縁層で被覆した所謂、被覆電線等の他の電線を利用してもよい。
【0077】
(4)上記実施形態1では、筒状の挿着部が略板状の接触部の上側に配置していたが、他の実施形態においては、例えば、筒状の挿着部が接触部の下側に配置してもよい。
【0078】
(5)上記実施形態1では、筒状の挿着部が一対の羽板片からなるものであったが、他の実施形態においては、例えば、一枚の羽板片が折り曲げられて形成されてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1…電池モジュール
2,20,200…組電池
21…単電池
3…電圧検知ユニット
33…電圧検知線
32…接続端子
4…電極端子
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車、ハイブリッド車等には、動力用の電池モジュールが搭載されている。この種の電池モジュールは、主として、複数個の単電池(セル)が直列接続されてなる組電池と、この組電池における各単電池の出力電圧を測定するために、各単電池の電極端子に接続される電圧検知線とを備える。
【0003】
前記単電池における正負一対の各電極端子は、特許文献1等に示されるように、共に雄ねじが切られた軸状(所謂、ボルト状)の金属部材からなる。これらは、単電池の本体部から突出するように設けられている。なお前記電極端子の根元には、電極端子よりも太い円柱状の基台部が設けられている。
【0004】
隣り合う単電池同士の電気的な接続は、前記電極端子間に、細長い板状の金属部材からなるバスバーを介在させることによって行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このバスバーには、2つの孔が設けられており、これらの孔に隣り合う単電池の前記電極端子がそれぞれ差し込まれ、かつバスバーが前記電極端子の根元にある基台部上に載せられる。バスバーに差し込まれた各電極端子の先端には、内周面に雌ねじが切られた筒状の孔を有するナットがそれぞれ取り付けられる。これらのナットを前記電極端子に対してそれぞれ固く締付ける(ナット締めする)ことによって、電極端子とバスバーとの接触圧力が確保され、そしてこれらの間の接触抵抗が低減されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3707595号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のようにバスバーを利用して各単電池の電極端子同士を電気的に接続する場合、バスバーの孔に電極端子を差し込む作業、及びその後に接触圧力を確保するために前記電極端子をナット締めする作業は、作業者にとって非常に煩わしく、問題となっている。また、このような作業は、自動化し難いことも問題となっている。
【0008】
また、上記のように電極端子同士を電気的に接続する場合、電極端子以外に、バスバー、ナット等の他の部材を準備する必要がある。そのため、部品点数が増加してしまうという問題もある。
【0009】
本発明の目的は、部品点数の増加を伴うことなく、隣り合った単電池の電極端子同士を、十分な接触圧力を確保しつつ簡便な構造で電気的に接続した組電池を備える電池モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電池モジュールは、各々が正負一対の電極端子を有する複数個の単電池が、正負交互に前記電極端子同士が隣り合うように並べられ、かつ隣り合った前記電極端子同士が電気的に接続されてなる組電池と、1個の、又は隣り合った2個以上の単電池からなる単位電池毎の出力電圧を検出するために、隣り合った前記電極端子間にそれぞれ電気的に接続される複数本の電圧検知線と、を備える電池モジュールであって、前記電極端子が、隣り合った前記電極端子同士が互いに重なり合うための略板状の接触部を有し、前記電圧検知線が、重なり合った前記電極端子同士を挟み付けるクリップ状の接続端子を有することを特徴とする。
【0011】
前記電池モジュールにおいて、重なり合った正負一対の電極端子のうち、いずれか一方の電極端子における接触部が、他方の電極端子における接触部を挿着する筒状の挿着部を有することが好ましい。前記電池モジュールは、一方の電極端子における接触部が筒状の挿着部を有し、この挿着部に他方の電極端子における接触部が挿着されるため、電極端子同士が位置ずれし難くなる。そのため、前記電極端子に、クリップ状の接続端子を挟み付けやすい。
【0012】
前記電池モジュールにおいて、重なり合った正負一対の電極端子における両接触部が、平板部と、この平板部に対して段差状をなす受け板部と、この受け板部の端縁から板面に沿って突出して形成された平板状の差し込み部と、前記平板部及び前記受け板部を互いに連結する連結部とを備え、両接触部を互いに板厚方向に重ねつつ、板面に沿ってスライドさせることで、前記差し込み部を相手側の受け板部の裏側に進入させ、一方の接触部における前記平板部と前記差し込み部との間に設けられたスリットに他方の前記連結部を差し込み、更に、いずれか一方の接触部に板厚方向に突出して設けられた係止突起を相手側の接触部に設けられた係止孔に係合させることで、両接触部が互いに組み付けられることが好ましい。前記電池モジュールは、電極端子同士が位置ずれし難くなり、前記電極端子に、クリップ状の接続端子を挟み付けやすい。
【0013】
前記電池モジュールにおいて、重なり合った正負一対の電極端子のうち、いずれか一方の電極端子における接触部が、他方の電極端子における接触部に向けて突出した凸部を有し、他方の前記接触部が、前記凸部と嵌る凹部を有することが好ましい。前記電池モジュールは、一方の電極端子における接触部が凸部を有し、他方の電極端子における接触部が前記凸部と嵌る凹部をするため、電極端子同士が互いに係合して、位置ずれし難くなる。そのため、前記電極端子に、クリップ状の接続端子を挟み付けやすい。
【0014】
前記電池モジュールにおいて、重なり合った前記電極端子同士と、これを挟み付ける前記接続端子とが絶縁カバーで覆われることが好ましい。重なり合った前記電極端子同士と、これを挟みつける前記接続端子とが絶縁カバーで覆われることによって、組電池の短絡を防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、部品点数の増加を伴うことなく、隣り合った単電池の電極端子同士を、十分な接触圧力を確保しつつ簡便な構造で電気的に接続した組電池を備える電池モジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態1に係る電池モジュールの斜視図
【図2】一方の単電池の斜視図
【図3】他方の単電池の斜視図
【図4】組電池の斜視図
【図5】一方の電圧検知ユニットの斜視図
【図6】他方の電圧検知ユニットの斜視図
【図7】隣り合った正負一対の電極端子同士が繋がった部分に、接続端子が取り付けられた状態を示す断面図
【図8】実施形態2の組電池の斜視図
【図9】一方の単電池の斜視図
【図10】他方の単電池の斜視図
【図11】互いに向かい合わせた正極側の電極端子及び負極側の電極端子の斜視図
【図12】実施形態3の組電池の斜視図
【図13】単電池の斜視図
【図14】電圧検知ユニットの斜視図
【図15】絶縁カバーを装着した電池モジュールの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
本発明の一実施形態を、図1ないし図5を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る電池モジュール1の斜視図である。本実施形態の電池モジュール1は、電気自動車又はハイブリッド自動車等に搭載され、駆動源として使用される。図1に示されるように、電池モジュール1は、組電池(電池群)2と、電圧検知ユニット3(3A,3B)とを備える。
【0018】
組電池2は、複数個の単電池(セル)21が一列に並べられたものからなり、各単電池21が互いに直列接続されている。本実施形態の組電池2には、合計12個の単電池21が利用されている。組電池2は、後述するように電極端子4の向きが互いに異なっている2種類の単電池21A,21Bを含み、これらが交互に並べられたものからなる。
【0019】
図2は、一方の単電池21(21A)の斜視図である。図2に示されるように、単電池21(21A)は、扁平な直方体状(角筒状)の本体部22と、この本体部22の上端面から外側に向けて突出した正負一対の電極端子4(4A,4B)とを備える。なお、図2に示される一対の電極端子4のうち、手前側にある一方の電極端子4Aが正極であり、奥側にある他方の電極端子4Bが負極である。
【0020】
本体部22は、その内部に発電要素(不図示)を含んでおり、適宜、発電するように構成されている。この本体部22は、この種の単電池21(例えば、電気自動車用の単電池)で利用されているものと同種であり、公知の構成からなる。なお、発電要素によって生じた電気は、前記電極端子4を利用して外部へ取り出される。
【0021】
電極端子4(4A,4B)は、共に金属材料を所定形状に加工したものからなる。電極端子4に利用される金属材料としては、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼(SUS)等が挙げられる。電極端子4の表面には、Sn、Ni等のメッキが施されていてもよい。なお、ここでいう電極端子4とは、主として、単電池12の本体部22から外側に突出している部分のことである。各電極端子4A,4Bの根元側は、本体部22内にある発電要素が備える電極(不図示)とそれぞれ接続している。
【0022】
正極側の電極端子4Aと、負極側の電極端子4Bとは、共に同じ金属材料からなるものの、形状が互いに異なっている。図2に示されるように、正極側の電極端子4Aは、その本体部22の上端面から露出した根元側の部分(根元部)41Aが、上方に向かって立ち上がっており、それよりも先側の部分(先端部)42Aが、手前側に向かって折れ曲がっている。これに対して、負極側の電極端子4Bは、その本体部22の上端面から露出した根元側の部分(根元部)41Bが、正極側の電極端子4Aと同様、上方に向かって立ち上がっているものの、それよりも先側の部分(先端部)42Bは、正極側の電極端子4Aとは反対に、奥側に向かって折れ曲がっている。つまり、電極端子4Aの先端部42Aと、電極端子4Bの先端部42Bとは、互いに逆方向を向いている。なお、電極端子4Aと、電極端子4Bとは所定の間隔を置いて、本体部22の上端面に配置されている。
【0023】
正極側の電極端子4Aにおける根元部41Aと、負極側の電極端子4Bにおける根元部41Bについては、共に略同じ形状であり、平板状である。ただし、本実施形態においては、正極側の根元部41Aの方が、負極側の根元部41Bよりも、若干、上端面からの高さが高くなるように設定されている。つまり、正極側の電極端子4Aにおける先端部4Aが、負極側の電極端子4Bにおける先端部4Bの上側に配置できるように、根元部41A及び根元部41Bの高さが設定されている。
【0024】
これに対して、正極側の電極端子4Aにおける先端部42Aと、負極側の電極端子4Bにおける先端部42Bとは、互いに形状が異なっている。正極側の電極端子4Aにおける先端部42Aは、平坦な板状(平板状)の接触部43Aと、この接触部43Aに設けられている筒状の挿着部44Aとを備える。この挿着部44Aは、接触部43Aの両縁から立ち上がった一対の羽板片45A,46Aを有し、これらが互いの先端が近付くように内側に向かって折れ曲がっている。これらの羽板片45A,46Aと、平板状の接触部43Aとの間には、扁平状の隙間(空間)47Aが形成されている。この隙間47Aの大きさは、負極側の電極端子4Bが備える先端部42Bが丁度、収まる程度に設定されている。
【0025】
負極側の電極端子4Bにおける先端部42Bは、平坦な板状(平板状)の接触部43Bを備える。この接触部43Bが、正極側の電極端子4Aが備える挿着部43Aの隙間47A内に挿し込まれる。挿し込まれた後の接触部43Bは、その下面(裏面)が正極側の接触部43Aの上面(表面)と接触するように重なり合う。なお、接触部43Bの上面(表面)は、挿着部44Aにおける羽板片45A,46Aの内面と接触する。
【0026】
図3は、他方の単電池21(21B)の斜視図である。この単電池21Bの基本的な構成は、上述した単電池21Aと同様である。つまり、単電池21Bは、本体部22と、正負一対の電極端子4(4A,4B)とを備える。ただし、この単電池21Bと、上述した単電池21Aとでは、各電極端子4A、4Bの先端部42A,42Bの向きが、逆になっている。なお、図3の単電池21Bは、奥側に正極側の電極端子4Aが配置し、手前側に負極側の電極端子4Bが配置するように示されており、図2に示される単電池21Aとは、正極側の電極端子4Aの位置と、負極側の電極端子4の位置とが入れ替わっている。
【0027】
図4は、組電池2の斜視図である。上述したように、組電池2は、2種類の単電池21(21A,21B)を含み、これらが交互に並べられたものからなる。各単電池21は、各本体部22の端面(上端面、側端面)が揃うように、並べられている。組電池2を構成する一方の単電池21Aは、その正極側の電極端子4Aが手前側に配置し、負極側の電極端子4Bが奥側に配置するように、並べられている。これに対して、他方の単電池21Bは、その正極側の電極端子4Aが奥側に配置し、負極側の電極端子4Bが手前側に配置するように、並べられている。
【0028】
このように各単電池21が並べられると、隣り合う単電池21間において、互いに異極の電極端子4A,4B同士が隣り合うことになる。つまり、組電池2を構成する各単電池21の電極端子4同士は、正負交互に隣り合うように並んでいる。また、隣り合う単電池21間において、隣り合った互いに異極同士の電極端子4A,4Bは、互いに重なり合うようにして直接、繋がっている。
【0029】
本実施形態の場合、負極側の電極端子4Bの先端部42B(接触部43B)が、正極側の電極端子4Aの先端部42A(挿着部44A)の隙間47Aに挿し込まれることによって、挿着部44Aに挿着される。このように前記先端部42Bが、前記挿着部44Aに挿着されると、電極端子4A,4B同士が互いに繋がって、電気的に接続される。このような、一方の電極端子4Aを、他方の電極端子4Bに挿着させる構成を採用すると、他の部品等を用いることなく、電極端子4A,4B同士を繋げた状態で保持できる。そして、前記電極端子4A,4B同士は、互いに重なった状態から位置ずれし難くなっている。
【0030】
なお、最も手前側にある単電池21Aの電極端子4Aには、図1に示されるように、一方の電力ケーブル5(5A)の端子が接続される。また、最も奥側にある単電池21Bの電極端子4Bには、図1に示されるように、他方の電力ケーブル5(5B)の端子が接続される。組電池2は、これらの電力ケーブル5(5A,5B)を利用して、外部の負荷(不図示)と接続している。
【0031】
電圧検知ユニット3は、単位電池毎の出力電圧を検出するために用いられる。ここでいう「単位電池」とは、組電池2を構成する1個の単電池21、又は隣り合った2個以上の単電池21からなる検出対象である。本実施形態の単位電池は、1個の単電池21からなる。つまり、本実施形態の電圧検知ユニット3は、単電池21毎の出力電圧を検出する。なお、本実施形態の電圧検知ユニット3は、後述するように接続端子32の個数が異なる2種類のユニット3A,3Bからなる。
【0032】
図5は、一方の電圧検知ユニット3(3A)の斜視図である。図5に示されるように、電圧検知ユニット3(3A)は、フレキシブルフラットケーブル(以下、FFC)からなる扁平な長尺状(帯状)の本体部31(31A)と、この本体部31(31A)に取り付けられている複数個(6個)のクリップ状の接続端子32とを備える。
【0033】
FFCからなる本体部31は、主として、複数本(6本)の細長い導体33と、これらの導体33の外周を被覆する絶縁層34とからなる。導体33は、断面形状が扁平であり、一般的にフラット導体と呼ばれているものからなる。このような導体33は、例えば、銅箔から形成される。絶縁層34中の導体33同士は、互いに間隔を置いて平行に並んでいる。絶縁層34は、例えば、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂を、導体33にラミネートしたものからなる。図5に示されるように、本体部31(FFC)の絶縁層34は、部分的に除去(剥離)されており、各導体33の一部が露出している。なお、各導体33の終端側の本体部31には、コネクタ部35が取り付けられている。
【0034】
接続端子32は、導電性を有する材料からなり、全体としてクリップ状である。この接続端子32は、重なり合った電極端子4A、4Bを、それらの外側から挟み付ける挟み部321と、その挟み部321の後端と、前記導体33とを電気的に接続する接続部322とからなる。
【0035】
挟み部321は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼(SUS)等からなる金属製の板材から製造される。挟み部321の表面には、Sn、Ni等のメッキが施されていてもよい。挟み部321は、例えば、前記板材を打ち抜き加工して得られた短冊状の金属板片を、先端同士が互いに近付くように折り曲げ加工して製造される。接続部322は、例えば、細長い短冊状の金属板片からなる。なお、挟み部321と前記接続部322とは、1つの部材(板材)から一体的に製造されてもよいし、或いは別々の部材(板材)から製造されてもよい。接続部322を挟み部321と一体的に製造する場合、例えば、挟み部321の材料となる前記金属板片の内側に、3辺が切り込まれ残りの1辺が前記金属片と繋がった矩形状の部分を起立させたものを、接続部322としてもよい。
【0036】
挟み部321は、上あご部333と、下あご部334とからなる。上あご部333の先端側と、下あご部334の先端側とは互いに向かい合い近付き合っている。本実施形態においては、上あご部333の先端側と、下あご部334の先端側との間には、若干の隙間が設けられている。また、上あご部333の後端側と、下あご部334の後端側とは互いに接続しており、これらは一体的に繋がっている。上あご部333と、下あご部334との間には、空間335がある。挟み部321は、弾性変形可能であり、上あご部333と、下あご部334との間(空間335)に、重なり合った部分の電極端子4A、4B(連結端子部6)が挿入されると、上あご部333と、下あご部334とが互いに離れるように拡がる。そして、挟み部321の上あご部333と、下あご部334とが、前記電極端子4A、4B(連結端子部6)を挟み付け、これらに外側から力を加える。
【0037】
接続端子32の接続部322は、本体部31(31A)の絶縁層34から露出した部分の導体33に対して、抵抗溶接、超音波溶接、半田付け等の各種溶接方法によって接続される。
【0038】
図6は、他方の電圧検知ユニット3(3B)の斜視図である。この電圧検知ユニット3Bの基本的な構成は、上述した電圧検知ユニット3Aと同様である。つまり、電圧検知ユニット3Bは、FFCからなる扁平な長尺状(帯状)の本体部31(31B)と、この本体部31(31B)に取り付けられている複数個(7個)のクリップ状の接続端子32とを備える。ただし、この電圧検知ユニット3Bと、上述した電圧検知ユニット3Aとでは、主に、FFCからなる本体部31に含まれる導体33の本数、及びこれらの導体33に接続される接続端子32の個数が異なっている。なお、前記導体33及び前記接続端子32その物の構成は、基本的に、電圧検知ユニット3Aのものと同様である。
【0039】
電圧検知ユニット3(3A,3B)の各接続端子32は、図1に示されるように、組電池2に取り付けられる。一方の電圧検知ユニット3Aにおける各接続端子32は、隣り合った正負一対の電極端子4A、4B同士が繋がった6個所存在する部分(連結端子部6)に、それぞれ取り付けられる(図2参照)。これに対して、他方の電圧検知ユニット3Bにおける各接続端子32は、5個所存在する連結端子部6と共に、最も手前側にあり電力ケーブル5Aの端子と接続する正極側の電極端子4A、及び最も奥側にあり電力ケーブル5Bの端子と接続する負極側の電極端子4Bに、それぞれ取り付けられる。
【0040】
各電圧検知ユニット3A、3Bのコネクタ部35,35は、それぞれ電池ECU(Electronic Control Unit)(不図示)に接続されている。電池ECUは、マイクロコンピュータ、素子等が搭載されたものであり、単電池21における電圧、電流、温度等の検知、各単電池21の充放電コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0041】
図7は、隣り合った正負一対の電極端子4A,4B同士が繋がった部分(連結端子部6)に、接続端子32が取り付けられた状態を示す断面図である。図7に示されるように、接続端子32の挟み部321が、電極端子4A及び電極端子4Bを、それらの外側から挟み付ける。この際、挟み部321における上あご部333の内面(下面)が、電極端子4Aにおける挿着部44Aの外面と接触し、下あご部334の内面(上面)が、電極端子4Aにおける接触部43Aの下面(裏面)と接触している。このように接続端子32によって挟み付けられた正負一対の電極端子4A,4Bは、互いに密着する。特に、それらの接触部43A,43B同士が密着する。このように接続端子32を挟み付けることによって、正負一対の電極端子4A,4B間の接触圧力が十分に確保され、そして接触抵抗が低減される。
【0042】
本実施形態の電池モジュール1は、電圧検知ユニット3(3A,3A)を利用して、組電池2の各単電池21の出力電圧が検出される。なお、電圧検知ユニット3の本体部31に含まれる導体33が、本発明の「電圧検知線」に相当する。本実施形態の電池モジュール1は、電圧検知線に取り付けられているクリップ状の接続端子32を利用することによって、部品点数の増加を伴うことなく、組電池2における隣り合った単電池21の電極端子4同士を、十分な接触圧力を確保しつつ簡便な構造で電気的に接続できる。また、クリップ状の接続端子32は、重なり合った前記電極端子4の部分(連結端子部6)に挿し込むだけで取り付けられるため、作業性もよい。
【0043】
<実施形態2>
次いで、本発明の実施形態2を図8ないし図11を参照しつつ説明する。図8は、実施形態2の組電池20の斜視図である。本実施形態の電池モジュールは、上記実施形態1における電池モジュール1の組電池2に替えて、図8に示される組電池20を利用したものである。
【0044】
組電池20は、その基本的な構成は、実施形態1の組電池2のものと同じである。ただし、組電池20は、各単電池21における電極端子4(4C,4D)の構造が、実施形態1における各単電池21のものと異なっている。なお、本実施形態の組電池20も、電極端子4の向きが互いに異なっている2種類の単電池21C,21Dを含んでおり、これらが交互に並べられたものからなる。
【0045】
図9は、一方の単電池21(21C)の斜視図である。図10は、他方の単電池21(21D)の斜視図である。図9及び図10に示されるように、単電池21(21C,21D)は、扁平な直方体状(角筒状)の本体部21と、この本体部21の上端面から外側に向けて突出した正負一対の電極端子4C,4Dとを備える。なお、図9に示される一対の電極端子4C,4Dのうち、手前側にある一方の電極端子4Cが正極であり、奥側にある他方の電極端子4Dが負極である。電極端子4C,4Dは、いずれも所定形状に打ち抜いた金属板材を曲げ加工して形成される。
【0046】
ここで、図9を参照しつつ、各電極端子4C,4Dの大まかな構造を説明する。正極側の電極端子4Cは、その本体部22の上端面から露出した根元側の部分(根元部)41Cが、上方に向かって立ち上がっており、それよりも先側の部分(先端部)42Cが、手前側に向かって折れ曲がっている。これに対して、負極側の電極端子4Dは、その本体部22の上端面から露出した根元側の部分(根元部)41Dが、正極側の電極端子4Cと同様、上方に向かって立ち上がっているものの、それよりも先側の部分(先端部)42Dが、正極側の電極端子4Cとは反対に、奥側に向かって折れ曲がっている。つまり、電極端子4Cの先端部42Cと、電極端子4Dの先端部42Dとは、互いに逆を向いている。電極端子4Cと、電極端子4Dとは所定の間隔を置いて、本体部22の上端面に配置されている。
【0047】
なお、図10に示される単電池21(21D)では、各電極端子4C,4Dの各先端部42C,42Dの向きが、図9に示される単電池21(21C)のものとは、反対に(逆向きに)なっている。
【0048】
図9及び図10に示されるように、正極側の電極端子4Cにおける根元部41Cと、負極側の電極端子4Dにおける根元部41Dについては、互いに略同じ形状であり、平板状である。ただし、本実施形態においては、正極側の根元部41Cの方が、負極側の根元部41Dよりも、若干、上端面からの高さが低くなるように設定されている。つまり、負極側の電極端子4Dにおける先端部4Dが、正極側の電極端子4Cにおける先端部4Cの上側に配置できるように、根元部41C及び根元部41Dの高さが設定されている。
【0049】
図11は、互いに向かい合わせた正極側の電極端子4C及び負極側の電極端子4Dの斜視図である。ここで、図11を参照しつつ各電極端子4C,4Dの接触部43C,43Dの詳細な構造、及び電極端子43C,43D同士の接続構造について、説明する。
【0050】
負極側の電極端子4Dにおける先端部42Dは、全体として、平坦な板状(平板状)の接触部43Dを備える。接触部43Dは、前後方向に長くかつ互いに間隔を置いて配置する左右一対の平板部401,401と、これらの平板部401,401の前端部(奥側の端部)同士を橋渡し状に連結する第1係合部402と、両平板部401,401の後端部(手前側の端部)同士を橋渡し状に連結する第2係合部403とを備える。第1係合部402と第2係合部403との間には孔404が設けられている。両平板部401,401は、同じ高さに位置している。
【0051】
第1係合部402は、左右に長い略平板状の第1受け板部405を備え、その左右両端部が略上下方向に向けて曲げられた一対の連結部406,406を介して両平板部401,401の後端寄りに連結されており、第1受け板部405が平板部401,401に対して板厚略一枚分程度低くなるような段差状をなしている。また、第1受け板部405には、その後端縁から、平板状の第1差し込み部407が板面に沿って突出して形成されている。更に、この第1差し込み部407の左右端縁部と平板部401,401の端縁部と連結部406,406とで囲まれた領域には、前後方向に伸びて前方へ開放するスリット408,408が形成されている。また、第1差し込み部407の上面には、上方へ叩き出されかつ前方へ向かって下り勾配となる係止突起409が形成されている。
【0052】
第2係合部403は、左右に長い略平板状の第2受け板部410を備え、その左右両端部が略上下方向に向けて曲げられた一対の連結部411,411を介して両平板部401、401の後端に連結されており、第2受け板部410が平板部401,401に対して板厚略一枚分程度低くなるような段差状をなしている。また、第2受け板部410には、その前端縁から、平板状の第2差し込み部412が板面に沿って突出して形成されている。更に、この第2差し込み部412の左右端縁部と平板部401,401の端縁部と連結部411,411とで囲まれた領域には、前後方向に延びて前方へ開放するスリット部413,413が形成されている。また、第2受け板部410には、長方形の係止孔414が上下方向に貫通して形成されている。
【0053】
これに対して、相手側である正極側の電極端子4Cにおける先端部42Cは、全体として、平坦な板状(平板状)の接触部43Cを備える。接触部43Cは、左右一対の平板部401,401と、この平板部401,401の前端部同士を連結する第1係合部402,402と、両平板部401,401の後端同士を連結する第2係合部403,403とを備える。第1係合部402と第2係合部403との間には孔404が設けられている。この2つの係合部402,403は、上記負極側の電極端子4Dにおける係合部402,403を、図11に示される軸Lを中心として180°回転させたものであり、両電極端子4C,4Dの接触部43C,43Dにおける孔404回りの構造は、軸Lに関して概ね対象の関係となっている。また、両平板部401,401には、第2係合部403付近に接触突起415,415が上方へ叩き出されて形成されている。
【0054】
正極側の電極端子4Cにおける接触部43Cと、負極側の電極端子4Dにおける接触部43Dとを繋げるためには、両接触部43C,43Dを互いに板厚方向に重ねつつ、板面に沿ってスライドさせることで、第1差し込み部407を相手側の第2受け板部410受け板部の裏側に進入させ、かつ第2差し込み部412を相手側の第1受け板部405の裏側に進入させる。そして、各々のスリット408に相手側の連結部411を差し込み、かつ各々のスリット413に相手側の連結部406を差し込むことによって、接触部43Cと接触部43Dとが、互いに接続する。更に、一方の接触部43Dに板厚方向に突出して設けられた係止突起409を相手側の接触部43Cに設けられた係止孔(不図示)に係合させることで、両接触部43C,43Dが互いに確実に組み付けられる。
【0055】
本実施形態の組電池20には、上記実施形態1で用いた電圧検知ユニット3(3A,3B)(図1等参照)が取り付けられ、各単電池21の出力電圧が検出される。組電池20における各単電池21は、電極端子4C,4Dを備えるため、電極端子4C,4D同士を接続した場合に位置ずれし難くい。そのため、重なり合った部分の電極端子4C,4Dに、クリップ状の接続端子32を挟み付けやすくなっている。また、クリップ状の接続端子32は、重なり合った前記電極端子4の部分(連結端子部6)に挿し込むだけで取り付けられるため、作業性もよい。
【0056】
<実施形態3>
次いで、本発明の実施形態3を図12ないし図14を参照しつつ説明する。図12は、実施形態3の組電池200の斜視図である。本実施形態の組電池200は、複数個の単電池21Eが並べられたものからなり、各単電池21Eが互いに直列接続されている。本実施形態の組電池200には、合計12個の単電池21Eが利用されている。
【0057】
図13は、単電池21Eの斜視図である。図13に示されるように、単電池21Eは、円柱状の本体部22Eと、この本体部21の一方の端面(下端面)から外側に向けて突出した正極側の電極端子4(4E)と、他方の端面(上端面)から外側に向けて突出した負極側の電極端子4(4F)とを備える。
【0058】
本体部22Eは、上記実施形態1等のものと同様、その内部に発電要素(不図示)を含んでおり、適宜、発電するように構成されている。正極側の電極端子4Eの基本的な構造は、上記実施形態2における正極側の電極端子4Cのものと同様である。つまり、電極端子4Eは、根元部41Eと、先端部42Eとからなり、先端部42Eは、接触部43Eを備えている。この接触部43Eの基本的な構造は、実施形態2の接触部43Cと同様である。また、負極側の電極端子4Fの基本的な構造は、上記実施形態2における電極端子4Dのものと同様である。つまり、電極端子4Fは、根元部41Fと、先端部42Fとからなり、先端部42Fは、接触部43Fを備えている。この接触部43Fの基本的な構造は、実施形態2の接触部43Dと同様である。なお、正極側の電極端子4Fにおける先端部42Fの向きは、負極側の電極端子4Eにおける先端部42Eの向きに対して、45°ずらして設定されている。
【0059】
図12に示されるように、組電池200を構成する各単電池21Eには、負極側の電極端子4Fが上側になるように配置されるものと、反対に、正極側の負極端子4Eが上側になるように配置されるものとがある。組電池200は、電極端子4Fが上側に配置された複数個(6個)の単電池21Eが並んだ手前側の列(以下、手前側列)と、電極端子4Eが上側に配置された複数個(6個)の単電池21Fが並んだ奥側の列(以下、奥側列)からなる。これらの列は、一方の列が他方の列に対して、単電池21E半個(1/2個)分位置がずれるように並べられている。このように手前側列と奥側列とが並べられると、手前側列の各単電池21Eと、奥側列の各単電池21Eとが、互いに異極の電極端子4E,4F同士が隣り合うように並ぶことになる。
【0060】
隣り合った電極端子4E,4F同士は、上記実施形態2と同様の仕組みで、互いに接続される。この際、手前側列の単電池21Eは、上側に配置する負極側の電極端子4Fが、隣接する奥側列の単電池21Eが備える上側の電極端子4Eと接続する。また、奥側列の単電池21Eは、下側に配置する負極側の電極端子4Fが、隣接する手前側列の単電池21Eが備える下側の電極端子4Eと接続する。つまり、組電池200を構成する各単電池21Eは、手前側列と奥側とを交互に行き来するように(所謂、ジグザグ状に)、互いに直列接続されている。
【0061】
図14は、電圧検知ユニット3(3E)の斜視図である。図14に示されるように、電圧検知ユニット3(3E)は、フレキシブルプリント基板(以下、FPC)からなる扁平な本体部31(31E)と、この本体部31(31E)に取り付けられている複数個(6個)のクリップ状の接続端子32とを備える。
【0062】
FPCからなる本体部31Eは、可撓性を有する長尺状の幹部311と、この幹部311から分岐した複数本(6本)の可撓性を有する枝部312とに分けられる。枝部312は、幹部311の長手方向に沿って略等間隔で配置している。このような形状の本体部31Eは、複数本(6本)の細長い導体(不図示)と、これらの導体の外周を被覆する絶縁層34Eとからなる。導体は、例えば、銅箔からなる。なお、本体部31E(幹部311)の後端には、コネクタ部35が取り付けられている。
【0063】
各導体は、コネクタ部35側の本体部31E(幹部311)から、各枝部312に向かうように、それぞれ絶縁層34E中に設けられている。各導体の先端は、それぞれ各枝部312の先側まで延びている。なお、各枝部312の先側における絶縁層34Eの一部は、除去されている。除去された部分からは、導体の一部が露出している。
【0064】
このようなFPCからなる本体部31Eとしては、例えば、絶縁性のベースフィルム(例えば、ポリイミド製フィルム)上に、銅箔(導体)のパターンを形成し、その銅箔の上面を保護フィルム(例えば、ポリイミド製フィルム)で覆ったものからなる。
【0065】
各枝部312の先側には、それぞれクリップ状の接続端子32が取り付けられている。接続端子32の基本的な構造は、上記実施形態1のものと同様である。各接続端子32の接続部322は、枝部312の絶縁層34Eから露出している導体に、それぞれ抵抗溶接等によって接続されている。
【0066】
電圧検知ユニット3(3E)の各接続端子32は、組電池200における正負一対の電極端子4E,4F同士が繋がった部分(連結端子部6)に、挟み付けるようにして取り付けられる。各接続端子32は、可撓性を有する枝部312に取り付けられているため、挟み部321を連結端子部6に挟み付ける作業を行いやすい。なお、組電池200の最も手前側に配置している単電池21Eの接続端子4Eと、最も奥側に配置している単電池21Eの接続端子4Fには、それぞれ外部で負荷と繋がった電力ケーブルの端子が接続される。
【0067】
本実施形態の単位電池は、隣り合った2個の単電池21Eからなる。つまり、本実施形態の電圧検知ユニット3(3E)は、電池ECU(不図示)の制御下で、2個の単電池21Eからなる単位電池毎に、出力電圧を検出する。
【0068】
なお、電圧検知ユニット3Eの本体部31Eに含まれる導体が、本発明の「電圧検知線」に相当する。本実施形態の電池モジュールは、電圧検知線に取り付けられているクリップ状の接続端子32を利用することによって、部品点数の増加を伴うことなく、組電池200における隣り合った単電池21Eの電極端子4同士を、十分な接触圧力を確保しつつ簡便な構造で電気的に接続できる。また、クリップ状の接続端子32は、重なり合った前記電極端子4の部分(連結端子部6)に挿し込むだけで取り付けられるため、作業性もよい。
【0069】
<実施形態4>
次いで、本発明の実施形態4を、図15を参照しつつ説明する。図15は、絶縁カバー7(7A,7B)を装着した電池モジュール1の斜視図である。図15に示される電池モジュール1は、図1に示される実施形態1の電池モジュール1に、更に、絶縁カバー7(7A,7B)を装着したものからなる。
【0070】
絶縁カバー7は、組電池2に取り付けられている電圧検知ユニット3(3A,3B)に対してそれぞれ装着される一対のもの(絶縁カバー7A,7B)からなる。絶縁カバー7は、電圧検知ユニット3の各接続端子32の周りを囲むような、上方が開放した複数個の収容室71と、各収容室の上方を塞ぐ複数個の天井蓋72とを備える。収容室71は、接続端子32の左右及び後方を囲むような壁状の部材からなる。収容室71同士は、横並びで一体的に形成されている。天井蓋72は、収容室71の上方を覆うように、かつ収容室71に対して着脱可能に取り付けられている。天井蓋72は、収容室71の後方側に配置するように設けられている。なお、天井蓋72同士も、横並びで一体的に形成されている。天井蓋72と、収容室71との間には、電圧検知ユニット3における長尺状の本体部34を収容する上方が開放した長尺状収容室73が設けられている。なお、天井蓋72は、収容室71の上方を塞ぐ際に、この長尺状収容室73の上方も塞ぐように構成されている。
【0071】
各収容室71の後方の壁には、切り欠き状の孔71aがそれぞれ設けられており、これらの孔71aに接続端子32の接続部322がそれぞれ通される。絶縁カバー7は、例えば、絶縁性のプラスチック材料からなり、所定形状の金型を用いた射出成型等によって製造される。
【0072】
本実施形態のように、電池モジュール1に絶縁カバー7を装着すると、組電池2の各連結端子部6に対して、金属製の工具等が接触して、組電池2が短絡(ショート)することを防止できる。つまり、電圧検知ユニット3(3A,3B)を組電池2に取り付けた後に、取り付け時に使用した工具等が組電池2に接触しても、連結端子部6及び接続端子32が絶縁カバー7(7A,7B)によって保護されているため、組電池2の短絡を防止できる。
【0073】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0074】
(1)上記実施形態では、1個の単電池における正極側の電極端子と、負極側の電極端子とが、互いに異なる構造(形状)を有していたが、他の実施形態においては、例えば、1個の単電池における正極側の電極端子と、負極側の電極端子とが、共に同じ構造(形状)であってもよい。したがって、一方の形状を有する両電極端子(例えば、電極端子4Aのような形状)を備えた単電池と、相手側となる他方の形状を有する両電極端子(例えば、電極端子4Bのような形状)を備えた単電池とを、交互に並べて隣接する単電池間の正負一対の電極端子同士を繋いだものを組電池としてもよい。
【0075】
(2)上記実施形態では、単電池の電極端子は、根元部と先端部との間で折れ曲がった形状であったが、他の実施形態においては、隣接する単電池における相手側の電極端子と接続可能であれば、例えば、真っ直ぐに延びた形状の電極端子であってもよい。
【0076】
(3)上記実施形態では、電圧検知線として、FFC又はFPCを利用していたが、他の実施形態においては、例えば、線状の導体(導線)を絶縁層で被覆した所謂、被覆電線等の他の電線を利用してもよい。
【0077】
(4)上記実施形態1では、筒状の挿着部が略板状の接触部の上側に配置していたが、他の実施形態においては、例えば、筒状の挿着部が接触部の下側に配置してもよい。
【0078】
(5)上記実施形態1では、筒状の挿着部が一対の羽板片からなるものであったが、他の実施形態においては、例えば、一枚の羽板片が折り曲げられて形成されてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1…電池モジュール
2,20,200…組電池
21…単電池
3…電圧検知ユニット
33…電圧検知線
32…接続端子
4…電極端子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が正負一対の電極端子を有する複数個の単電池が、正負交互に前記電極端子同士が隣り合うように並べられ、かつ隣り合った前記電極端子同士が電気的に接続されてなる組電池と、
1個の、又は隣り合った2個以上の単電池からなる単位電池毎の出力電圧を検出するために、隣り合った前記電極端子間にそれぞれ電気的に接続される複数本の電圧検知線と、を備える電池モジュールであって、
前記電極端子が、隣り合った前記電極端子同士が互いに重なり合うための略板状の接触部を有し、
前記電圧検知線が、重なり合った前記電極端子同士を挟み付けるクリップ状の接続端子を有することを特徴とする電池モジュール。
【請求項2】
重なり合った正負一対の電極端子のうち、いずれか一方の電極端子における接触部が、他方の電極端子における接触部を挿着する筒状の挿着部を有する請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
重なり合った正負一対の電極端子における両接触部が、平板部と、この平板部に対して段差状をなす受け板部と、この受け板部の端縁から板面に沿って突出して形成された平板状の差し込み部と、前記平板部及び前記受け板部を互いに連結する連結部とを備え、両接触部を互いに板厚方向に重ねつつ、板面に沿ってスライドさせることで、前記差し込み部を相手側の受け板部の裏側に進入させ、一方の接触部における前記平板部と前記差し込み部との間に設けられたスリットに他方の前記連結部を差し込み、更に、いずれか一方の接触部に板厚方向に突出して設けられた係止突起を相手側の接触部に設けられた係止孔に係合させることで、両接触部が互いに組み付けられることを特徴とする請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項4】
重なり合った前記電極端子同士と、これを挟み付ける前記接続端子とが絶縁カバーで覆われる請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項1】
各々が正負一対の電極端子を有する複数個の単電池が、正負交互に前記電極端子同士が隣り合うように並べられ、かつ隣り合った前記電極端子同士が電気的に接続されてなる組電池と、
1個の、又は隣り合った2個以上の単電池からなる単位電池毎の出力電圧を検出するために、隣り合った前記電極端子間にそれぞれ電気的に接続される複数本の電圧検知線と、を備える電池モジュールであって、
前記電極端子が、隣り合った前記電極端子同士が互いに重なり合うための略板状の接触部を有し、
前記電圧検知線が、重なり合った前記電極端子同士を挟み付けるクリップ状の接続端子を有することを特徴とする電池モジュール。
【請求項2】
重なり合った正負一対の電極端子のうち、いずれか一方の電極端子における接触部が、他方の電極端子における接触部を挿着する筒状の挿着部を有する請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
重なり合った正負一対の電極端子における両接触部が、平板部と、この平板部に対して段差状をなす受け板部と、この受け板部の端縁から板面に沿って突出して形成された平板状の差し込み部と、前記平板部及び前記受け板部を互いに連結する連結部とを備え、両接触部を互いに板厚方向に重ねつつ、板面に沿ってスライドさせることで、前記差し込み部を相手側の受け板部の裏側に進入させ、一方の接触部における前記平板部と前記差し込み部との間に設けられたスリットに他方の前記連結部を差し込み、更に、いずれか一方の接触部に板厚方向に突出して設けられた係止突起を相手側の接触部に設けられた係止孔に係合させることで、両接触部が互いに組み付けられることを特徴とする請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項4】
重なり合った前記電極端子同士と、これを挟み付ける前記接続端子とが絶縁カバーで覆われる請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−138284(P2012−138284A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290549(P2010−290549)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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