説明

電池ユニット

【課題】構造を簡素化することが可能な電池ユニットを提供すること。
【解決手段】電池の電極端子に接続するバスバー20〜25の電位検出端子20b〜25bと制御基板5の電圧検出回路とは、複数の金属導体70〜75で電気的に接続され、金属導体70〜75は、排煙用ダクト6にインサート成形されて、排煙用ダクト6と一体となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池の電極端子と電池の電圧を検出する電圧検出回路を有する制御基板とを電位伝達用の導電部材で接続した電池ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、例えば下記特許文献1に開示された電池ユニットがある。この電池ユニットでは、隣り合う電池セルの電極間をバスバーで接続しており、バスバーには充電状態検出端子が設けられている。この充電状態検出端子と電圧検出回路等を有する電圧制御装置とは、導通回路基板等により接続されており、電池の電極電位を電圧検出回路に伝達できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−59663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術の電池ユニットでは、電池の電極電位を電圧検出回路に伝達するために、導通回路基板からなる電位伝達用の専用部品を用いている。これにより、部品点数の増大を招きやすく構造が複雑になるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、構造を簡素化することが可能な電池ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、
外装ケースの外表面に設けられた正極端子(10b〜14b)および負極端子(10a〜14a)からなる電極端子を有する電池(10〜14)と、
電池の電圧を検出する検出回路を有する制御基板(5)と、
一端部(70a〜75a)が電極端子に電気的に接続し、他端部(70b〜75b)が検出回路に電気的に接続して、各電極端子の電位を検出回路に伝達する複数の導電部材(70〜75)と、
電池および電池以外の部品の少なくとも一部を内部に収容する樹脂製のケース体(7、8)、もしくは、内部に流体通路(6a)を形成する樹脂製の通路形成部材(6)と、を備え、
複数の導電部材は、ケース体もしくは通路形成部材にインサート成形されていることを特徴としている。
【0007】
これによると、電池の電極端子と制御基板の検出回路とは複数の導電部材で電気的に接続され、複数の導電部材は、インサート成形されて樹脂製のケース体もしくは通路形成部材と一体となっている。複数の導電部材は、電池および電池以外の部品の少なくとも一部を内部に収容するためのケース体、もしくは、内部を流体通路とするための通路形成部材と一体となっており、導電部材を保持する専用部品は用いられない。したがって、電池ユニットの構造を簡素化することが可能である。
【0008】
また、請求項2に記載の発明では、
外装ケースの正極端子および負極端子が設けられた端面に設けられ、電池内部の圧力が異常な圧力となるときに開弁する安全弁(10c〜14c)を備え、
通路形成部材は、安全弁に対応した流体導入口(61a)と、流体導入口を挟んで安全弁に対向する内壁面とを有し、流体導入口を介して流体通路に安全弁が露出するように設けられるダクト部(6)であり、
複数の導電部材は、ダクト部にインサート成形されていることを特徴としている。
【0009】
これによると、電池の外装ケースの電極端子形成面側に設けられて安全弁に接続するダクト部に、複数の導電部材をインサート成形して、複数の導電部材をダクト部と一体にすることができる。したがって、電池ユニットの構造を確実に簡素化することが可能である。
【0010】
また、請求項3に記載の発明では、ダクト部は、流体導入口を有する第1部分(61)と、流体導入口を有しない第2部分(62)とを組み合わせてなり、複数の導電部材は、第2部分のみにインサート成形されていることを特徴としている。
【0011】
これによると、ダクト部のうち流体導入口を有して電池側に位置する第1部分には導電部材は設けられず、流体導入口を有しない第2部分に複数の導電部材がインサート成形されている。したがって、第1部分を構成する部材内で流体導入口を迂回するように導電部材を配設する必要がなく、第2部分を構成する部材内で複数の導電部材を比較的余裕を持って配設することが可能である。
【0012】
また、請求項4に記載の発明では、ダクト部は、複数の導電部材のそれぞれの一部が流体通路に臨むように露出する露出部(70c〜75c)を有することを特徴としている。
【0013】
一般的に、電池内部の圧力が異常な圧力となり安全弁が開弁した際には、安全弁から電解液等の液体や、気体が排出される。本請求項の発明によれば、ダクト部内に排出された液体や気体が露出部において導電部材に接触し導電部材の電気抵抗を変化させたり、露出部において複数の導電部材を液体が短絡させたりすると、検出回路が検出する電位が大きく変化する。したがって、電池の安全弁が開弁する異常な状態になったにもかかわらず電極電位が大きく変化しなかったとしても、検出回路は電池の異常を検出することが可能である。
【0014】
なお、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を適用した第1の実施形態における組電池および制御基板の概略構成を示す正面図である。
【図2】第1の実施形態の電池ユニットである電池パックの主要部を構成する組電池、制御基板および排煙用ダクトの概略構成を示す正面図である。
【図3】第1の実施形態の組電池および排煙用ダクトの配置を説明するための斜視図である。
【図4】第1の実施形態の組電池および排煙用ダクトの配置を説明するための平面図である。
【図5】第1の実施形態の組電池および排煙用ダクトの構成を説明するための分解斜視図である。
【図6】第1の実施形態の組電池の構成を説明するための分解斜視図である。
【図7】第1の実施形態のバスバーの電位検出端子と金属導体との接続構成を説明するための要部斜視図である。
【図8】第1の実施形態の排煙用ダクトの一部である第1部分の構成を示す平面図である。
【図9】第1の実施形態の排煙用ダクトの残部である第2部分の構成を示す平面図である。
【図10】第1の実施形態の組電池、制御基板および排煙用ダクトを備える電池パックについてカバーを外した状態の平面図である。
【図11】第1の実施形態のカバーを装着した電池パックの斜視図である。
【図12】第2の実施形態の組電池および排煙用ダクトの配置を説明するための斜視図である。
【図13】第2の実施形態の組電池、制御基板および排煙用ダクトを備える電池パックについてカバーを外した状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、本発明を適用した第1の実施形態における組電池および制御基板の概略構成を示す正面図であり、図2は、電池ユニットである電池パックの主要部を構成する組電池、制御基板および排煙用ダクトの概略構成を示す正面図である。また、図3は、組電池および排煙用ダクトの配置を説明するための斜視図であり、図4は、組電池および排煙用ダクトの配置を説明するための平面図である。
【0018】
また、図5は、組電池および排煙用ダクトの構成を説明するための分解斜視図であり、図6は、組電池の構成を説明するための分解斜視図である。図7は、バスバーの電位検出端子と金属導体との接続構成を説明するための要部斜視図である。また、図8は、排煙用ダクトの一部である第1部分の構成を示す平面図であり、図9は、排煙用ダクトの残部である第2部分の構成を示す平面図である。
【0019】
また、図10は、組電池、制御基板および排煙用ダクトを備える電池パックについてカバーを外した状態の平面図であり、図11は、カバーを装着した電池パックの斜視図である。
【0020】
図11に示す電池パックは、例えばイグニッションスイッチがオン状態であっても車両が走行状態から停止した際にはエンジンを停止するアイドルストップ機能を備えるアイドルストップ車両に搭載される。電池パック内の組電池は、例えばリチウムイオン電池等の二次電池からなる単電池をバスバー等で複数個直列接続して構成され、鉛蓄電池の補助電池として使用されるものである。電池パックは、例えば車室内の前席シート下等に配設される。
【0021】
電池パックは、例えば内燃機関と電池に充電された電力によって駆動されるモータとを組み合わせて走行駆動源とするハイブリッド自動車、モータを走行駆動源とする電気自動車等に用いるものであってよい。電池パックの組電池を構成する二次電池は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン電池、有機ラジカル電池であり、ケース内に収納された状態で自動車の座席下、後部座席とトランクルームとの間の空間、運転席と助手席の間の空間などに配置することができる。
【0022】
本実施形態の組電池1を構成する複数個の単電池は、例えばアルミ缶等の外殻を構成する外装ケースを有し、直方体状の外装ケースの一端面から突出する正極端子及び負極端子からなる電極端子をそれぞれ有する。組電池1は、当該複数個の単電池を直列に結線するように電極端子間を接続する複数個のバスバーを備える。
【0023】
図1に示すように、本実施形態では、組電池1は、一例として5個の単電池10、11、12、13、14で構成されている。
【0024】
5個の単電池10〜14のそれぞれは、電池ケース7内の所定の位置に収納されることで、一体となって組電池1を構成している。組電池1を構成する5個の単電池10〜14は、直方体状の外装ケースの厚み方向Xに単電池を積層してなる第1の積層電池群2と第2の積層電池群3を複数形成する。第1の積層電池群2は、単電池10、単電池13及び単電池14を所定の間隔を設けて厚み方向Xに積層して構成されている。第2の積層電池群3は、単電池11及び単電池12を所定の間隔を設けて厚み方向Xに積層して構成されている。
【0025】
単電池10の負極端子10aは、バスバー20に通電接続されており、さらにバスバー20が螺子止め等で車両側に接続されることにより、車両のグランドに接続される。バスバー20の端部は、第1の積層電池群2下部から側方に延びており、すなわち、組電池1Cの下部側面から横方向に延びる形状である。単電池10の正極端子10bは、バスバー21によって単電池11の負極端子11aに接続されている。単電池11の正極端子11bは、バスバー22によって単電池12の負極端子12aに接続されている。単電池12の正極端子12bは、バスバー23によって単電池13の負極端子13aに接続されている。
【0026】
単電池13の正極端子13bは、バスバー24によって単電池14の負極端子14aに接続されている。単電池14の正極端子14bは、バスバー25に通電接続されており、さらにバスバー25が螺子止め、はんだ付け等でパワー基板50に接続されることにより、パワー基板50に電気的に接続される。これにより、組電池1のすべての単電池10〜14は、図1の破線で示したとおり、正面視で電流が蛇行状に流れるように各バスバーを介して電気的に直列接続される。このようにバスバー20〜25は、隣接する電池端子間を、斜め方向に接続する構成ではなく、上下方向及び左右方向にのみ接続する構成となっている。
【0027】
各単電池における外装ケースには、安全弁が設けられている。各安全弁は、正極端子と負極端子の間に位置し、単電池の内部圧力が異常な圧力になるときに破断し開弁するように設定されている。安全弁は、例えば、単電池の外装ケースの端面に開口した孔に薄い金属膜を貼り付けて塞いで構成されている。この場合には、単電池の内部圧力が異常な圧力になったときに、当該金属膜が破断して外装ケースの孔が開放されて、単電池の内部のガス等が外装ケース外部に放出されることにより、セル内圧が低下し、単電池自身の破裂を防止することができる。図1に示すように、正面視で、安全弁10c、安全弁13c及び安全弁14cが厚み方向Xに並ぶように配置され、安全弁11c及び安全弁12cが厚み方向Xに並ぶように配置されている。
【0028】
図5及び図6に示すように、絶縁カバー8は、バスバー20〜25と単電池10〜14の外装ケースとを絶縁し、少なくとも安全弁10c〜14c及び電極端子を除く外装ケースの端面部分を覆うように設けられている。すなわち、絶縁カバー8には、外装ケースの端面を覆うように絶縁カバー8を装着したときに、各安全弁の対応する位置に安全弁よりも大きい開口部が形成されるとともに、各電極端子の対応する位置に電極端子よりも大きい開口部が形成されている。したがって、各安全弁及び各電極端子は、電池ケース7に収容されて一体となる組電池1に絶縁カバー8を装着した状態では、各開口部の内側にあって、絶縁カバー8に覆われることなく露出することになる。
【0029】
さらに、絶縁カバー8は、各バスバーを位置決めするための凹部を、組電池1が必要とするバスバーの個数分備えている。各バスバーには、単電池の電極端子を挿通する開口部が形成されている。絶縁カバー8の各凹部に対応する各バスバーを嵌めこむと、接続対象の電極端子が各バスバーの開口部に嵌まり、各単電池とバスバーとの位置関係が適正に決まることになる。絶縁カバー8の各凹部に所定の各バスバーを嵌めこむ位置決め工程により、各バスバー20の位置が規制されるので、バスバーと接続対象の電極端子との溶接や接着等の接合工程を迅速、かつ正確に行うことに貢献し、またバスバーが接触すべきでない部品に触れることを妨げて短絡等の不適切な接続や部品の損傷等を未然に防止することができる。
【0030】
接続対象である複数個の電極端子を複数個のバスバーによって接続する工程を実施する場合には、まず、各単電池を電池ケース7の所定の位置に設置して収容する。次に、単電池10〜14が収容された電池ケース7に対して絶縁カバー8を装着する。このとき、電池ケース7及び絶縁カバー8の上部及び下部は、2個のクリップ33を用いて締結され、左右の側部は2個のクリップ32を用いて締結される。次に、電池ケース7及び単電池10〜14と一体に組み立てられた絶縁カバー8の6個の凹部に対して、それぞれ対応する所定のバスバーを嵌め込む。この状態で、各バスバーの開口部には、対応する所定の電極端子が挿通されている。さらに、例えばレーザー溶接、アーク溶接等の溶接により、各バスバーと各電極端子とを接合する。
【0031】
複数の積層電池群2、3のうち、第2の積層電池群3は、隣接する第1の積層電池群2よりも積層個数が少なく構成されている。第2の積層電池群3は、単電池11及び単電池12の2個分の積層高さであり、第1の積層電池群2は、単電池10、単電池13及び単電池14の3個分の積層高さである。このようにして、第2の積層電池群3と第1の積層電池群2は、積層個数の違いによる段差空間4を形成する。この場合、段差空間4は、単電池約1個分の厚み寸法に相当する段差をなしている。この段差空間4には、複数個の単電池10〜14の状態を検出するための制御基板5が配置されている。このため、制御基板5を含めた組電池1の厚み方向Xの高さを低く抑えることができる。また制御基板5の上端部は、隣接する第1の積層電池群2の厚み方向Xの上端部以下に収まるように設置されることが好ましい。なお、制御基板5は、単電池を収容する電池ケース7に立てられたボスに載置されて螺子止め固定されている。
【0032】
直列接続の一端をなす電極端子、すなわち本実施形態の場合、最も高電位となる単電池14の正極端子14bは、段差空間4に隣接する位置に設定されている。またパワー基板50は、端子台51に接続され、ワイヤハーネス52を介して制御基板5や車両に接続されている。このようにして、複数の積層電池群2、3を構成するすべての単電池10〜14は直列結線されている。
【0033】
組電池1は、内部の流体通路である排煙用通路6aにすべての安全弁10c〜14cを露出するように設けられる排煙用ダクト6を備えている。排煙用ダクト6は、本実施形態におけるダクト部であり通路形成部材に相当する。排煙用ダクト6は、耐熱性を有する材料で形成され、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、難燃剤を添加した各種樹脂等で形成される。
【0034】
排煙用ダクト6の有する耐熱性は、単電池の内部が異常な高圧状態になって、内部のガスや電解液等が安全弁の破断によって噴き出しても、ダクト部分が溶けないで破損しない耐熱能力を有することである。排煙用ダクト6を構成する樹脂は、200℃に1分以上耐えられる(流体通路の機能を維持する)耐熱性を有することが好ましい。これにより、ガスや電解液等により制御基板5やパワー基板50等がダメージを受けることを防止することができる。
【0035】
また、絶縁カバー8は、絶縁性を有し、例えばポリプロピレン(PP樹脂)、フィラーやタルクを含有するPP樹脂等の合成樹脂で形成されている。さらに、絶縁カバー8は、排煙用ダクト6と同様に耐熱性を有する樹脂で形成されていることが好ましい。
【0036】
排煙用ダクト6は、水平方向に延びる筒状体であり、絶縁カバー8に組み付けたときのすべての安全弁10c〜14cに対応する位置に安全弁よりも大きい開口部を備えている。当該開口部の周縁部は、絶縁カバー8に組み付けたときに、パッキン30、31を間に挟み込んで、安全弁10c〜14cの周囲の外装ケース表面に密着して接触する。当該開口部の周縁表面部とパッキン30及びパッキン31とは、排煙用ダクト6と外装ケースとの気密度の確保に寄与する。上述した開口部は、安全弁が開弁したときに、排煙用通路6a内にガス等を導入するための流体導入口に相当する導入口61aである。
【0037】
さらに排煙用ダクト6には、排煙用通路6aと連通し、側部から外方に延びる内部通路を形成する導出ダクト部6bを備えている。導出ダクト部6bは、排煙用通路6aに噴出したガスを組電池1から離れた外部へ排出する機能を果たす。
【0038】
パッキン30、31を備える代わりに、排煙用ダクト6において安全弁10c〜14cの周縁部を押さえる部分にエラストマー等の軟性の高い樹脂を二色成形等により設けるようにしてもよい。
【0039】
排煙用ダクト6には、導電部材である金属導体70〜75がインサート成形されている。排煙用ダクト6は、分割して成形された複数の(本例では2つの)部材を組み合わせて形成されている。図5からも明らかなように、本実施形態では、排煙用ダクト6は、組電池側に位置する第1部分61および反組電池側に位置する第2部分62を別体として成形し、これらを組み合わせて構成されている。
【0040】
図8は、第1部分61を組電池側から見た平面図であり、図9は、第2部分62を組電池側から見た平面図である。全ての導入口61aは、第1部分61に形成されている。一方、金属導体70〜75は、いずれも第2部分62にインサートされている。金属導体70〜75は、いずれも断面矩形状の平角導体であり、導電性に優れる例えば銅板等を打ち抜き加工して形成されている。
【0041】
金属導体70のうち、第2部分62から突出して露出した一端部は、バスバー20に形成された電位検出端子(電圧検出端子)20bに接続する接続端子70aとなっている。金属導体70のうち、第2部分62から突出して露出した他端部は、制御基板5の電圧検出回路に接続する接続端子70bとなっている。金属導体71のうち、第2部分62から突出して露出した一端部は、バスバー21に形成された電位検出端子(電圧検出端子)21bに接続する接続端子71aとなっている。金属導体71のうち、第2部分62から突出して露出した他端部は、制御基板5の電圧検出回路に接続する接続端子71bとなっている。
【0042】
金属導体72のうち、第2部分62から突出して露出した一端部は、バスバー22に形成された電位検出端子(電圧検出端子)22bに接続する接続端子72aとなっている。金属導体72のうち、第2部分62から突出して露出した他端部は、制御基板5の電圧検出回路に接続する接続端子72bとなっている。金属導体73のうち、第2部分62から突出して露出した一端部は、バスバー23に形成された電位検出端子(電圧検出端子)23bに接続する接続端子73aとなっている。金属導体73のうち、第2部分62から突出して露出した他端部は、制御基板5の電圧検出回路に接続する接続端子73bとなっている。
【0043】
金属導体74のうち、第2部分62から突出して露出した一端部は、バスバー24に形成された電位検出端子(電圧検出端子)24bに接続する接続端子74aとなっている。金属導体74のうち、第2部分62から突出して露出した他端部は、制御基板5の電圧検出回路に接続する接続端子74bとなっている。金属導体75のうち、第2部分62から突出して露出した一端部は、バスバー25に形成された電位検出端子(電圧検出端子)25bに接続する接続端子75aとなっている。金属導体75のうち、第2部分62から突出して露出した他端部は、制御基板5の電圧検出回路に接続する接続端子75bとなっている。
【0044】
各金属導体の一端部の接続端子70a〜75aは、例えば図7に一部を例示するように、接続端子に形成された挿設孔内に電位検出端子が挿設され、半田付け等により電気的に接続されている。接続端子と電位検出端子との接続は半田付けに限定されず、溶接、接着、螺子止め等によるものであってもよい。接続端子と電位検出端子との接続は、相互に圧接させることによっても可能であるが、車両に搭載される電池パックの場合には、振動が加わった際の電気的接続信頼性を確保するために、半田付け、溶接、接着、螺子止め等によることが好ましい。
【0045】
また、各金属導体の他端部の接続端子70b〜75bは、例えば、ピン状に形成されて、制御基板5のスルーホール内に挿設され、半田付け等により電気的に接続されている。接続端子と制御基板5(具体的には電圧検出回路)との接続も半田付けに限定されず、溶接、接着、螺子止め等によるものであってもよい。接続端子と電圧検出回路との接続も、相互圧接によっても可能であるが、車両に搭載される電池パックの場合には、振動が加わった際の電気的接続信頼性を確保するために、半田付け、溶接、接着、螺子止め等によることが好ましい。
【0046】
各金属導体70〜75の少なくとも各接続端子70a〜75a、70b〜75bには、錫めっきあるいはニッケルめっき等の表面処理が施されている。この表面処理により、各接続部における電気的接続の信頼性を長期間に亘って維持し、安定した電圧検出を可能としている。
【0047】
各金属導体70〜75は、図9では既に除去され図示されていない連結部により相互に連結した状態で第2部分62にインサート成形され、成形後に連結部が例えばプレス加工等により除去されて、相互に絶縁された導体(電位伝達ライン)を構成している。
【0048】
図9に示すように、各金属導体70〜75は、それぞれが、排煙用通路6aが延びる方向にほぼ沿うように延びている。各金属導体70〜75は、それぞれの一部が排煙用通路6a臨むように第2部分62から露出している。各金属導体70〜75の露出部70c〜75cは、例えば円形状の露出形状をなしており、隣り合う金属導体間においては、露出部同士が比較的近接して配設されている。
【0049】
また、図9図示右上部に示すように、各金属導体70〜75は、排煙用通路6aの形成領域から外れるように上方に突出し、突出先端部が接続端子70b〜75bとなっている。図2に示すように、各金属導体70〜75の接続端子70b〜75bが制御基板5に接続する部分は、カバー60を外した状態において視認可能となっており、半田付け等による接続状態を容易に確認できるようになっている。
【0050】
第2部分62は、突出した各接続端子70b〜75bの基端部よりも図示下方部、かつ、排煙用通路6aの形成領域から外れた部分に、各金属導体70〜75が第2部材62から露出する窓部62aを有している。各金属導体70〜75のうち、窓部62aにおいて露出し等間隔に配置された部分は、各電位伝達ラインの断線の有無を確認するテスト等の際に用いることができる。
【0051】
図5にも示すように、排煙用ダクト6は、長手方向(横方向)の中央付近に位置する上端部及び下端部のそれぞれに、外方に向けて突出する凸部が形成された爪部6cを備えている。さらに、排煙用ダクト6は、長手方向(横方向)の一方側に位置する上端部及び下端部のそれぞれに、外方に向けて突出する凸部が形成された爪部6dを備えている。一方、絶縁カバー8には、2個の爪部6cのそれぞれが対応する位置に嵌合穴部を形成するコの字状の係合片8aが設けられ、2個の爪部6dのそれぞれが対応する位置に嵌合穴部を形成するコの字状の係合片8bが設けられている。排煙用ダクト6を絶縁カバー8に組み付けたときに、上下2個の各爪部6cが対応する係合片8aの内壁面に係合し、上下2個の各爪部6dが対応する係合片8bの内壁面に係合するため、排煙用ダクト6の移動方向が規制されて、排煙用ダクト6が絶縁カバー8側に押し付けられるようにパッキン30、31を圧縮し、安全弁10c〜14cの表面と排煙用通路6aとの気密確保を実現することができる。
【0052】
図10および図11に示すように、ベース9は、制御基板5が載置固定された組電池1、パワー基板50、端子台51等の電池パックを構成する主要部品が固定され、これらの部品を下方から支持している。ベース9は、例えば、絶縁性を有し、例えばポリプロピレン(PP)、強度向上のためのフィラーやタルク含有のPP等の合成樹脂で形成されている。ベース9は、車両側にボルト締め等により固定するための固定部と、組電池1等を上方から覆うカバー60を取り付けるための取付部とを備えている。このように主要部品が固定されるベース9にカバー60で蓋をしてパッキングすることにより、電池パックとして車両に搭載される。
【0053】
電池監視装置は、組電池1の状態を監視する電池ECUであり、制御基板5に搭載される。電池監視装置は、組電池1の状態に関する情報を検出するために、組電池1の所定の位置に設置された検出端子から延びる、金属導体70〜75を含む複数の検出線を介して、組電池1に接続されている。検出線は、例えば、組電池1の電圧、温度等の情報を電池監視装置に送信するための通信線である。検出端子は、組電池1の状態に関わる情報を検出する温度センサ、その他の各種センサ等を含む。
【0054】
電池パックは、複数個の単電池10〜14の充電、放電、電池温度監視等を行う電子部品を有する。例えば、電子部品は、DC/DCコンバータ、インバータ、パワー基板50に搭載されるパワー素子、制御基板5に搭載される各種電子部品、各種の電子式制御装置等である。電池パックには、例えば電圧、温度等の電池の状態を監視する各種センサからの検出結果が入力される電池監視装置と、電池監視装置と通信可能に構成されDC/DCコンバータの電力授受を制御する制御装置と、各機器を接続するワイヤハーネス等と、が含まれる。また、電池パックには、送風を提供して各単電池を冷却する送風装置を含むようにしてもよい。
【0055】
上述の構成の電池パックによれば、単電池の電極端子に接続するバスバー20〜25の電位検出端子20b〜25bと制御基板5の電圧検出回路とは、複数の金属導体70〜75で電気的に接続され、金属導体70〜75は、排煙用ダクト6にインサート成形されて、排煙用ダクト6と一体となっている。したがって、複数の金属導体70〜75を支持するための専用部品を用いる必要がない。これにより、電池パックの構造を簡素化することができる。
【0056】
また、複数の金属導体70〜75は、排煙用ダクト6の第2部分62のみにインサートされている。これによると、排煙用ダクト6のうち導入口61aが形成されて組電池側に位置する第1部分61には電位伝達用の導電部材を設ける必要がない。したがって、第1部分61を構成する部材内で導入口61aを迂回するように導電部材を配設する必要がなく、第2部分62を構成する部材内で複数の金属導体70〜75を比較的余裕を持って配設することができる。
【0057】
また、排煙用ダクト6の第2部分62には、各金属導体70〜75のそれぞれの一部を排煙用通路6a臨むように露出する露出部70c〜75cが形成されている。単電池10〜14の内部圧力が異常な圧力となり安全弁10c〜14cのいずれかが開弁した際には、安全弁10c〜14cからガスや電解液等が排出される。排煙用ダクト6の排煙用通路6aに排出されたガスや電解液等は、露出部70c〜75cにおいて金属導体70〜75に接触すると、腐食等により金属導体70〜75の電気抵抗を変化させる。また、露出部70c〜75cに電解液等が付着し複数の金属導体間を短絡させると、電圧検出回路が検出する電位が大きく変化する。
【0058】
したがって、単電池10〜14の安全弁10c〜14cの少なくともいずれかが開弁する異常な状態になったにもかかわらず単電池10〜14の電極電位が大きく変化しなかったとしても、電圧検出回路は電池の異常を検出することができる。
【0059】
すなわち、本来の単電池の電極端子から金属導体を介して伝達される電位情報による電池が異常状態であることの検出と、金属導体の露出部に電解液等が付着したことによる電位変化による電池が異常状態であることの検出とを、同時に行うことが可能である。したがって、上記2つの検出手段の一方で電池異常が検出できない場合であっても、他方により電池異常を検出することが可能である。このように、電池が異常状態であるか否かをダブルチェックすることが可能である。
【0060】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態に対する他の形態について図12及び図13を参照して説明する。また、第1実施形態に係る図面と同一符号を付した構成部品、第2実施形態において説明しない他の構成は、第1実施形態と同様であり、また同様の作用効果を奏するものである。
【0061】
第2実施形態の電池パックは、第1実施形態の制御基板5とパワー基板50とが一つの基板で構成された制御基板205を備えている。制御基板205は、図12及び図13に示すように、金属導体70〜75の接続端子70b〜75bとバスバー25Bの両方に電気的に接続されている。バスバー25Bは、制御基板205側、あるいは段差空間4側に延びる端部がさらに、上方に突出する3本の端子形状を呈している。当該3本の端子は、制御基板205の所定の端子部に電気的に接続され、段差空間4で上方に突出する接続端子70b〜75bも段差空間4に配置される制御基板205の電圧検出回路に電気的に接続される。
【0062】
組電池1Bに一体に取り付けられる排煙用ダクト6Aは、長手方向(横方向)の中央付近に位置する上端部及び下端部のそれぞれと、長手方向の一方側に位置する上端部及び下端部のそれぞれとの合計4箇所において、ボルトとナット締めにより、絶縁カバー8Aに取り付けられる。この締結固定手段により、排煙用ダクト6Aが絶縁カバー8A側に押し付けられるようにパッキン30、31を圧縮し、安全弁10c〜14cの表面と排煙用通路6aとの気密確保を実現することができる。
【0063】
排煙用ダクト6Aの第1部分61には、組電池1Bを構成する単電池の電極端子および単電池間を接続するバスバーを覆う略平板状のカバー部61bが形成されている。このカバー部61bにより、単電池の電極端子やバスバーに水や異物が付着することを抑制している。
【0064】
また、図13に示すように、ベース9Aは、制御基板70が載置固定された組電池1B、端子台51等の電池パックを構成する主要部品が固定され、これらの部品を下方から支持している。ベース9Aは、車両側にボルト締め等により固定するための固定部と、組電池1B等を上方から覆うカバーを取り付けるための取付部とを備える。主要部品が固定されるベース9Aにカバーで蓋をしてパッキングすることにより、電池パックとして車両に搭載される。
【0065】
(他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0066】
上記各実施形態では、金属導体70〜75を導電部材としていたが、これに限定されるものではない。例えば、カーボン材からなる導電部材を採用してもかまわない。
【0067】
また、上記各実施形態では、金属導体70〜75の接続端子70a〜75aは、単電池の電極端子に接続するバスバー20〜25の電位検出端子に接続したが、単電池の電極端子に電気的に接続していればこれに限定されるものではない。例えば、接続端子70a〜75aは、単電池の電極端子に直接接続するものであってよい。
【0068】
また、上記各実施形態では、金属導体70〜75の接続端子70b〜75bは、1枚の制御基板に接続していたが、これに限定されるものではない。例えば、複数の制御基板に接続するものであってもよい。すなわち、接続端子70b〜75bは、複数の基板を接続する接続ターミナル機能を有するものであってもよい。また、金属導体は、電池の電極電位を伝達するものであったが、蓄電池の電圧以外の状態情報を伝達するものであってもよい。
【0069】
また、上記各実施形態では、排煙用ダクト6は、第1部分61を構成する部材と、第2部分62を構成する部材との、2つの部材を組み合わせて構成されていたが、これに限定されるものではない。例えば、第1部分61および第2部分62の少なくともいずれかを複数の部材で構成してもかまわない。すなわち、排煙用ダクトは、3つ以上の部材で構成してもかまわない。また、排煙用ダクトは、1つの部材で構成するものであってもよい。
【0070】
また、上記各実施形態では、金属導体70〜75を排煙用ダクト6にインサート成形していたが、これに限定されるものではない。電池および電池以外の部品の少なくとも一部を内部に収容する樹脂製のケース体、もしくは、内部に流体通路を形成する排煙用ダクト以外の樹脂製の通路形成部材に、金属導体をインサート成形してもかまわない。例えば、電池ケース7、もしくは、絶縁カバー8に、金属導体をインサート成形したものであってもよい。
【0071】
また、上記各実施形態では、複数の電池からなる組電池の電極端子と制御基板の電圧検出回路とを金属導体で電気的に接続していたが、これに限定されるものではない。本発明は、電池が1つの場合であっても、適用して有効である。
【0072】
また、上記各実施形態では、単電池10〜14は蓄電池(二次電池)であったが、これに限定されるものではなく、一次電池であってもかまわない。
【符号の説明】
【0073】
1、1B 組電池
5、205 制御基板
6、6A 排煙用ダクト(ダクト部)
6a 排煙用通路(流体通路)
10〜14 単電池(電池)
10c〜14c 安全弁
61 第1部分
62 第2部分
61a 導入口(流体導入口)
70〜75 金属導体(導電部材)
70a〜75a 接続端子(一端部)
70b〜75b 接続端子(他端部)
70c〜75c 露出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装ケースの外表面に設けられた正極端子(10b〜14b)および負極端子(10a〜14a)からなる電極端子を有する電池(10〜14)と、
前記電池の電圧を検出する検出回路を有する制御基板(5)と、
一端部(70a〜75a)が前記電極端子に電気的に接続し、他端部(70b〜75b)が前記検出回路に電気的に接続して、各電極端子の電位を前記検出回路に伝達する複数の導電部材(70〜75)と、
前記電池および前記電池以外の部品の少なくとも一部を内部に収容する樹脂製のケース体(7、8)、もしくは、内部に流体通路(6a)を形成する樹脂製の通路形成部材(6)と、を備え、
前記複数の導電部材は、前記ケース体もしくは前記通路形成部材にインサート成形されていることを特徴とする電池ユニット。
【請求項2】
前記外装ケースの前記正極端子および前記負極端子が設けられた端面に設けられ、前記電池内部の圧力が異常な圧力となるときに開弁する安全弁(10c〜14c)を備え、
前記通路形成部材は、前記安全弁に対応した流体導入口(61a)と、前記流体導入口を挟んで前記安全弁に対向する内壁面とを有し、前記流体導入口を介して前記流体通路に前記安全弁が露出するように設けられるダクト部(6)であり、
前記複数の導電部材は、前記ダクト部にインサート成形されていることを特徴とする請求項1に記載の電池ユニット。
【請求項3】
前記ダクト部は、前記流体導入口を有する第1部分(61)と、前記流体導入口を有しない第2部分(62)とを組み合わせてなり、
前記複数の導電部材は、前記第2部分のみにインサート成形されていることを特徴とする請求項2に記載の電池ユニット。
【請求項4】
前記ダクト部は、前記複数の導電部材のそれぞれの一部が前記流体通路に臨むように露出する露出部(70c〜75c)を有することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の電池ユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2013−110040(P2013−110040A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255635(P2011−255635)
【出願日】平成23年11月23日(2011.11.23)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】