電池及びそれを用いた電源システム
【課題】温度が上昇した場合に自己放電を開始させ、これにより、電池をより安全な状態に戻す。
【解決手段】本発明の電池は、容器(1、1A)と、前記容器(1、1A)の蓋部(1a)に取り付けられた正極端子(3)と、前記蓋部(1a)に取り付けられた負極端子(2)と、正極端子(3)と前記負極端子(2)とを電気的に接続するための接続機構(6〜9)とを具備する。接続機構(6〜9)は、当該電池の温度上昇によって特定部材(6、8)が溶融すると、正極端子(3)と負極端子(2)とが電気的に接続されるように構成されている。
【解決手段】本発明の電池は、容器(1、1A)と、前記容器(1、1A)の蓋部(1a)に取り付けられた正極端子(3)と、前記蓋部(1a)に取り付けられた負極端子(2)と、正極端子(3)と前記負極端子(2)とを電気的に接続するための接続機構(6〜9)とを具備する。接続機構(6〜9)は、当該電池の温度上昇によって特定部材(6、8)が溶融すると、正極端子(3)と負極端子(2)とが電気的に接続されるように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池に関しており、特に、リチウムイオン二次電池のように、熱暴走が発生し得る電池の安全性を向上させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池は、鉛電池やニッケル水素電池その他の二次電池と比べて、高いエネルギー密度、高い出力電圧、長い寿命を有するという特長がある。このため、小型のリチウムイオン二次電池は、既に、電子機器の電源として商業的に利用されており、また、将来的に電力貯蔵装置、電気自動車の電源、自然エネルギーハイブリッドシステム等の蓄電システムに応用するために、大型のリチウムイオン二次電池を実用化するための研究・開発が進められている。
【0003】
リチウムイオン二次電池の運用において重要なことの一つは、安全性の確保である。リチウムイオン二次電池の運用を誤った場合(例えば、過充電状態になった場合)、正極材料の結晶構造が変化することによって発熱が生じ、発熱が過度に進行すると正極材料の熱分解が急激に進む熱暴走に到ってしまう。リチウムイオン二次電池は、熱暴走に到らないように安全性が確保される必要がある。リチウムイオン二次電池は、複数の電位を組み電池として使用することが多いが、直列接続の組電池の場合、使用中に何らかの要因で電池の容量のばらつきが生じた際に、容量の小さい電池は過充電を受けることがある。これは、安全性に影響を与えるので、制御回路にて過充電、過放電が生じないように制御することが行われる。しかしながら、制御回路が故障等の要因で正常に動作しない場合であっても、電池の安全性が確保できるように、電池自体に過充電に対する機構が備わっていることが望ましい。
【0004】
電池の安全性の確保のための1つの手法は、熱暴走が発生する前に、安全弁のような物理的な保護機構でリチウムイオン二次電池を安全な状態にすることである。一般的なリチウムイオン二次電池は、温度が上昇したときに、熱暴走に到る温度よりも少し低い温度で(例えば、80℃〜90℃で)安全弁が作動して内部のガスを放出し、安全性を確保するように構成されている。また、特開平7−192753号公報及び特開2004−259613号公報は、熱暴走が発生する温度で融解し、融解熱として周囲の熱を吸収する材料を電池容器の内部に設け、又は、電池容器の外側に接合し、これにより、安全性を確保する技術を開示している。
【0005】
温度の上昇に曝された場合、リチウムイオン二次電池は、なるべく安全な状態に戻されることが望ましい。しかしながら、従来の保護機構は、熱暴走を有効に回避する一方で、それが作動しても自己放電が進まず、正極端子と負極端子の間に高電圧が維持され得ることが問題である。リチウムイオン二次電池の温度が過剰に上昇するような事態が発生した場合には、点検・交換等のメンテナンス作業が行われる必要がある。しかしながら、正極端子と負極端子の間に高電圧が維持された状態でメンテナンス作業を行うことは作業の安全上、好ましくない。
【特許文献1】特開平7−192753号公報
【特許文献2】特開2004−259613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、温度が上昇した場合に自己放電を開始させ、これにより、電池をより安全な状態に戻すための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、以下に述べられる手段を採用する。その手段の記述には、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための最良の形態]の記載との対応関係を明らかにするために、[発明を実施するための最良の形態]で使用される番号・符号が付加されている。但し、付加された番号・符号は、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲を限定的に解釈するために用いてはならない。
【0008】
本発明による電池は、外装体(1、1A)と、前記外装体(1、1A)に取り付けられた正極端子(3)と、前記外装体(1、1A)に取り付けられた負極端子(2)と、正極端子(3)と前記負極端子(2)とを電気的に接続するための接続機構(6〜9、16〜19)とを具備する。接続機構(6〜9、16〜19)は、当該電池の温度上昇によって特定部材(6、8、18)が溶融すると、正極端子(3)と負極端子(2)とが電気的に接続されるように構成されている。このような構成の電池では、温度が上昇した場合に自己放電を開始させ、これにより、電池をより安全な状態に戻すことができる。
【0009】
好適な一実施形態では、前記外装体(1、1A)の少なくとも一部分の表面は導電性であり、接続機構(6〜9)は、前記負極端子(2)に接合され、先端部が前記外装体(1,1A)に向かって付勢された第1導通部材(6)と、第1導通部材(6)と前記外装体(1、1A)の間に設けられ、当該電池の温度上昇によって溶融可能に構成された第1絶縁部材(7)とを含み、接続機構(6〜9)は、第1絶縁部材(7)が溶融すると前記第1導通部材(6)が前記前記外装体(1、1A)に接触し、前記第1導通部材(6)と前記外装体(1、1A)とを介して前記正極端子(3)と前記負極端子(2)とを電気的に接続する。
【0010】
正極端子(3)と負極端子(2)との間に流れる短絡電流を制御するためには、第1導通部材(6)が抵抗素子(14)を含むことが好ましい。
【0011】
一実施形態では、接続機構(6〜9)は、更に、正極端子(3)に接合され、先端部が外装体(1,1A)に向かって付勢された第2導通部材(8)と、第2導通部材(8)と外装体(1,1A)の間に設けられ、当該電池の温度上昇によって溶融可能に構成された第2絶縁部材(9)とを含む。
【0012】
その代わりに、正極端子(3)は、直接リード線で、又は、抵抗素子(15)を介して電気的に前記外装体(1、1A)に接続されてもよい。
【0013】
上記の第1絶縁部材(7)は、当該電池が熱暴走を起こす温度よりも低い融点を有する絶縁材料で構成されていることが好適であり、当該電池が更に安全弁(図示されない)を備える場合には、第1絶縁部材(7)の融点は、前記安全弁が作動する温度よりも低いことが好ましい。
【0014】
好適には、第1絶縁部材(7)は、平均分子量が1000以上であるポリエチレングリコール、クロトン酸、又は固形パラフィンのいずれかで構成される。
【0015】
他の好適な実施形態では、接続機構(18、19)は、前記負極端子(2)に近接して設けられ、当該電池の温度上昇によって溶融可能な低融点合金で構成された合金片(18)と、合金片(18)を包囲するように設けられた流出防止部材(19)とを備える。流出防止部材(19)は、合金片(18)が溶融すると、合金片(18)が溶融してできる液体合金によって前記負極端子(2)と前記外装体(1、1A)とが電気的に接続されるように前記液体合金を保持するように形成される。接続機構(18、19)は、合金片(18)が溶融すると、前記液体合金と前記外装体(1、1A)とを介して正極端子(3)と負極端子(2)とを電気的に接続する。合金片(18)は、当該電池が熱暴走を起こす温度よりも低い融点を有することが好ましく、当該電池が更に安全弁を備える場合には、合金片(18)の融点は、前記安全弁が作動する温度よりも低いことが望ましい。
【0016】
本発明の電源システムは、少なくとも一部分の表面が導電性である前記外装体(1、1A)と、前記外装体(1、1A)に取り付けられた正極端子(3)及び負極端子(2)と、正極端子(3)と負極端子(2)とを電気的に接続するための接続機構(6〜9)を備え、接続機構(6〜9)が、前記負極端子(2)に接合され、先端部が前記外装体(1、1A)に向かって付勢された第1導通部材(6)と、第1導通部材(6)と前記外装体(1、1A)の間に設けられ、当該電池の温度上昇によって溶融可能に構成された第1絶縁部材(7)とを含む電池(10)の運用を制御するためのものである。当該電源システムは、制御回路(21)を備えており、制御回路(21)は、負極端子(2)と前記外装体(1、1A)との間の電圧、負極端子(2)と前記外装体(1、1A)との間で流れる電流、第1導通部材(6)で生じる電圧降下、前記第1導通部材(6)を流れる電流、又は第1導通部材(6)の温度によって第1絶縁部材(7)の溶融を検知し、第1絶縁部材(7)の溶融の有無に応じて電池(10)の運用を制御する。
【0017】
このような電源システムは、第1絶縁部材(7)の溶融を速やかに検知し、電池(10)を最適に運用することができる。
【0018】
本発明の他の電源システムは、少なくとも一部分の表面が導電性である外装体(1、1A)のと、前記外装体(1、1A)に取り付けられた正極端子(3)及び負極端子(2)と、正極端子(3)と負極端子(2)とを電気的に接続するための接続機構(18、19)を備え、接続機構(18、19)が、負極端子(2)に近接して設けられ、当該電池の温度上昇によって溶融可能な低融点合金で構成された合金片(18)と、合金片(18)を包囲するように設けられた流出防止部材(19)とを含む電池(10)の運用を制御するためのものである。当該他の電源システムは、制御回路(21)を備えており、制御回路(21)は、負極端子(2)と前記外装体(1、1A)との間の電圧、負極端子(2)と前記外装体(1、1A)との間で流れる電流、又は合金片(18)と前記外装体(1、1A)との間の電圧によって合金片(18)の溶融を検知し、合金片(18)の溶融の有無に応じて電池(10)の運用を制御する。
【0019】
このような電源システムは、合金片(18)の溶融を速やかに検知し、電池(10)を最適に運用することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、温度が上昇した場合に自己放電を開始させ、これにより、電池をより安全な状態に戻すための技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態のリチウムイオン二次電池10の構成を示す側面図である。第1の実施形態のリチウムイオン二次電池10は、外装体として使用される容器1と、容器1の蓋部1aに取り付けられた2つの電極端子:負極端子2及び正極端子3とを備えている。本実施形態では、容器1の蓋部1aは、少なくともその表面が導電性を有している。容器1(及びその蓋部1a)は、最も典型的には鉄、又はアルミニウムで形成される。負極端子2、正極端子3は、それぞれ、パッキング4、5によって容器1に取り付けられている。パッキング4、5は絶縁性である。
【0022】
本実施形態のリチウムイオン二次電池10は、温度が上昇した場合に自己放電を進行させるために、負極端子2に対応して導通部材6と絶縁部材7が設けられると共に、正極端子3に対応して導通部材8と絶縁部材9が設けられている。導通部材6は、負極端子2に物理的、電気的に接合されている。絶縁部材7は、導通部材6の先端部に接合され、導通部材6と容器1の蓋部1aの間に挟まれている。同様に、導通部材8は、物理的、電気的に正極端子3に接合されている。絶縁部材9は、導通部材6と容器1の蓋部1aの間に挟まれている。
【0023】
導通部材6、8は、導電性を有すると共に弾性が高い材料で形成されており、導通部材6は、それ自身の弾性によって、その先端部が容器1の蓋部1aに向かって付勢されている。導通部材6、8は、金属材料で形成されることが可能であり、また、炭素を含む樹脂材料で形成されることも可能である。また、導通部材6、8は、帯状、針状のいずれの形状も取り得る。
【0024】
絶縁部材7、9は、リチウムイオン二次電池10の許容動作温度(例えば60℃)よりも高く、且つ、リチウムイオン二次電池10が熱暴走を起こす温度よりも低い融点を有する絶縁材料で構成されている。絶縁部材7、9は、例えば、平均分子量が1000以上であるポリエチレングリコール(融点63〜65℃)、クロトン酸(融点71℃)、融点が68〜70℃である固形パラフィンで形成される。固形パラフィンとは、炭素数が20以上のアルカン(一般式:CnH2n+2)の総称であることに留意されたい。
【0025】
導通部材6、8、及び絶縁部材7、9は、(例えば過充電によって)リチウムイオン二次電池10の温度が上昇した場合に負極端子2と正極端子3とを電気的に接続し、これにより、自己放電を開始させる安全機構として機能する。図2は、負極端子2に対応して設けられた導通部材6及び絶縁部材7の、温度が上昇した場合の作用を示す図である。リチウムイオン二次電池10の温度が上昇すると、絶縁部材7が溶解し、導通部材6の先端部は、導通部材6自身の弾性によって容器1の蓋部1aに接触する。これにより、負極端子2は、蓋部1aに電気的に接続される。正極端子3の側でも同様に、リチウムイオン二次電池10の温度が上昇すると、絶縁部材9が溶解して導通部材8の先端部が容器1の蓋部1aに接触し、これにより、正極端子3が蓋部1aに電気的に接続される。この結果、負極端子2と正極端子3とは、蓋部1aを介して電気的に接続され、自己放電が開始される。自己放電が開始されることにより、負極端子2と正極端子3との間の電圧が低下し、これにより、安全性が高められる。
【0026】
温度が上昇した場合に負極端子2と正極端子3を電気的に接続させることは、過充電が行われた場合にリチウムイオン二次電池10の内部に流入する電流を抑制させる点でも有効である。負極端子2と正極端子3とが導通部材6、8及び蓋部1aによって電気的に接続されると、リチウムイオン二次電池10に供給された電流が導通部材6、8及び蓋部1aにバイパスされ、リチウムイオン二次電池10の内部に流入する電流が抑制される。リチウムイオン二次電池10に流入する電流を抑制することは、リチウムイオン二次電池10の温度上昇を抑制し、安全性の向上のために有効である。
【0027】
絶縁部材7、9の融点は、リチウムイオン二次電池10の許容動作温度(例えば60℃)よりも高く、リチウムイオン二次電池10に設けられている安全弁(図示されない)が作動する温度(典型的には、80〜90℃)よりも低いことが好ましい。安全弁が作動するとガスが噴出するため、安全性に問題が無い限りにおいては安全弁の作動は避けるべきである。絶縁部材7、9が溶融する温度を安全弁が作動する温度よりも低くすることにより、安全性を保ちながら安全弁の作動を遅らせることができる。上述された絶縁部材7、9の材料群:平均分子量が1000以上であるポリエチレングリコール(融点63〜65℃)、クロトン酸(融点71℃)、融点が68〜70℃である固形パラフィンは、このような要求を満足する材料であり、絶縁部材7、9の材料として好適である。
【0028】
負極端子2と正極端子3とが電気的に接続された場合にそれらの間に流れる短絡電流は、適切に調節される必要がある。過度に大きな短絡電流が流れると、大きなジュール熱が発生し、これは、安全性の観点から好ましくない。負極端子2と正極端子3の間に流れる短絡電流の大きさを制御するための一つの手法は、導通部材6、8の材料を適切に選択することである。導電率が低い材料を導通部材6、8として使用すれば、短絡電流は小さくなり、導電率が大きい材料を導通部材6、8として使用すれば、短絡電流は大きくなる。
【0029】
より積極的に短絡電流を調節するためには、導通部材に抵抗素子を挿入することが有効である。図3は、このような構成の導通部材6Aの構造を示している。図3の導通部材6Aは、導電片12、13と、その間に接続された抵抗素子14とを備えている。導電片12は、負極端子2に接合されている。導電片13は、弾性が高い材料で形成されており、それ自身の弾性によって容器1に向かって付勢されている。抵抗素子14の抵抗値は、所望の短絡電流の大きさに合わせて適切に決定される。絶縁部材7が溶解すると導電片13の先端が容器1の蓋部1aに接触し、これにより、負極端子2が蓋部1aに電気的に接続される。図3に示された導通部材の構造は、負極端子2に接合される導通部材ではなく、正極端子3に接合される導通部材8に適用されることも可能である。
【0030】
導通部材に抵抗素子を挿入する構造は、短絡電流の制御のみならず、ジュール熱が発生する位置を限定するという観点からも好適である。導通部材に抵抗素子が挿入される構成では、短絡電流によるジュール熱は実質的に抵抗素子においてのみ発生する。これは、熱の発生を制御する上で有効である。抵抗素子でのみジュール熱が発生する構成では、抵抗素子の放熱経路を確保したり、抵抗素子を積極的に冷却したりすることにより、ジュール熱の発生に対して容易に対処することができる。
【0031】
図1、図3には、導通部材6、8及び絶縁部材7、9が容器1の外部に設けられている構成が図示されているが、導通部材6、8、及び絶縁部材7、9が、容器1の内部に設けられることも可能である。図4は、導通部材6及び絶縁部材7が容器1の内部に設けられた、負極端子2の近傍の構造を示している。一実施形態では、負極端子2の容器1の内部に位置する端部2aの径が増大され、端部2aとパッキング4の間に導通部材6と集電箔11とが挟み込まれる。絶縁部材7は、導通部材6と容器1の蓋部1aの内面との間に設けられる。温度が上昇すると、導通部材6の先端が導通部材6自身の弾性によって蓋部1aに押し付けられ、負極端子2が蓋部1aに電気的に接続される。正極端子3についても同様の構造が採用され得る。
【0032】
図1には、負極端子2と正極端子3の両方の電極端子について、導通部材6、8と絶縁部材7、9とを組み合わせた安全機構を採用する構成が図示されているが、電極端子の一方にのみ導通部材と絶縁部材とを組み合わせた安全機構が採用されてもよい。この場合、他方の電極端子は、直接リード線によって容器1の蓋部1aに接続され、又は、抵抗素子を介して容器1の蓋部1aに接続される。図5は、負極端子2について導通部材6と絶縁部材7とを組み合わせた安全機構が採用される一方、正極端子3が抵抗素子15を介して容器1の蓋部1aに電気的に接続される構成を示している。抵抗素子15の一方のリードは正極端子3に接合され、他方のリードは蓋部1aに接合されている。この場合でも、リチウムイオン二次電池10の温度が上昇して絶縁部材7が溶融すると、負極端子2と正極端子3とが電気的に接続され、自己放電が開始される。図5の構成では、正極端子3が容器1の蓋部1aに電気的に常に接続されていることに留意されたい。
【0033】
留意すべきことは、リード線によって電極端子と容器1の蓋部1aとが電気的に接続されると、それらが同一の電位になることである。特に、負極端子2をリード線によって、又は、抵抗素子15を介して容器1の蓋部1aに接続すると、通常運用時に容器1(又はその蓋部1a)を正極端子3に対して卑な電位に保つことになり、容器1の材質によってはリチウムの析出による腐食など、好ましくない現象が発生し得る。このような事態を避けるためには、図5に示されているように、負極端子2について導通部材6と絶縁部材7とを組み合わせた安全機構が採用される一方、正極端子3がリード線によって、又は、抵抗素子15を介して容器1の蓋部1aに接続する構成が好適である。
【0034】
容器1Aの蓋部1aの表面が絶縁性である場合には、図6Aに示されているように、導通部材6、8の一方が他方にオーバラップするように配置され、導通部材6、8の間に、温度の上昇によって溶融する絶縁部材16が設けられることも可能である。リチウムイオン二次電池10の温度が上昇すると、絶縁部材16が溶解して負極端子2と正極端子3が電気的に接続され、自己放電が開始される。
【0035】
その代わりに、図6Bに示されているように、容器1Aの蓋部1aに導通部材17が設けられ、絶縁部材7、9は、導通部材6、8と導通部材17の間に設けられることも可能である。リチウムイオン二次電池10の温度が上昇すると、絶縁部材7、9が溶解して導通部材6、8と導通部材17とが電気的に接続される。これにより、負極端子2と正極端子3が導通部材6、8と導通部材17を介して電気的に接続され、自己放電が開始される。
【0036】
本実施形態では、導通部材6、8が、それ自身の弾性によって容器1の蓋部1aに付勢されている構造が提示されているが、導通部材6、8の先端部を付勢する手段はこれに限定されない。導通部材6、8の先端部に、ばね等の付勢機構が接合され、その付勢機構によって導通部材6が容器1の蓋部1aに向かって付勢されることが可能である。
【0037】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態のリチウムイオン二次電池10の構成を示す側面図であり、図8は、上面図である。図7、図8は、特に、負極端子2の近傍の部分の構造を示している。図7の左図に示されているように、容器1の負極端子2に近接して低融点合金で形成された合金片18が設けられており、図8に示されているように、合金片18は、流出防止部材19によって包囲されている。通常の運用がなされている状態では、合金片18は、負極端子2から離れて配置されていることに留意されたい。正極端子3についても同様に、図7、図8に示された構成が採用される。図7、図8に示された構成を採用する代わりに、第1の実施形態と同様に、正極端子3を、直接リード線により、又は抵抗素子を介して蓋部1aに電気的に接続してもよい。
【0038】
合金片18は、リチウムイオン二次電池10の許容動作温度(例えば60℃)よりも高く、リチウムイオン二次電池10が熱暴走を起こす温度よりも低い融点を有する合金材料で構成される。合金片18は、例えば、すず(Sn)、ビスマス(Bi)、鉛(Pb)、カドミウム(Cd)の合金で形成されることが可能である。合金片18に含まれるすず(Sn)、ビスマス(Bi)、鉛(Pb)、カドミウム(Cd)の組成を、下記のようにすれば、合金片18の融点を70℃程度にすることができ、好適である(単位はいずれも重量パーセント):
Sn:11.3〜12.5%
Pb:25.0〜37.7%
Cd:8.5〜12.5%
Bi及び不可避的不純物:残部
【0039】
第2の実施形態の構成では、図7の右図に示されているように、リチウムイオン二次電池10の温度が上昇すると合金片18が溶解し、負極端子2は、合金片18が溶解してできる液体合金によって容器1の蓋部1aに電気的に接続される。このとき、流出防止部材19は、合金片18が溶融してできる液体合金によって負極端子2と蓋部1aとが電気的に接続されるように液体合金を保持する。正極端子3にも図7の構成が採用されている場合には、正極端子3も合金片18が溶解してできる液体合金によって容器1の蓋部1aに電気的に接続される。これにより、負極端子2と正極端子3とが電気的に接続され、自己放電が自動的に開始される。自己放電を自動的に開始させることは、リチウムイオン二次電池10の安全性を向上させるために有効である。
【0040】
合金片18の融点は、リチウムイオン二次電池10の許容動作温度(例えば60℃)よりも高く、リチウムイオン二次電池10に設けられている安全弁(図示されない)が作動する温度(典型的には、80〜90℃)よりも低いことが好ましい。合金片18の融点を安全弁が作動する温度よりも低くすることにより、第1の実施形態と同様に、安全性を保ちながら安全弁の作動を遅らせることができる。
【0041】
合金片18、及び流出防止部材19の構造は、合金片18が溶解したときに負極端子2(及び正極端子3)が容器1の蓋部1aに電気的に接続され、且つ、合金片18が流れ出さないような構造であれば、様々に変更可能である。
【0042】
(リチウムイオン二次電池の運用方法)
上述された実施形態のリチウムイオン二次電池10を組み込んだ電源システムでは、その運用において、絶縁部材7、9又は合金片18が溶解したことを検出することが好適である。絶縁部材7、9又は合金片18が溶解した場合には、リチウムイオン二次電池10に何らかの異常があることが考えられるので、その運用を停止することが望ましい。
【0043】
図9は、リチウムイオン二次電池10を組み込んだ電源システムの構成の例を示す図である。図9の電源システムは、制御回路21と、センサ22と、インターロックスイッチ23とを備えている。制御回路21は、センサ22を用いてリチウムイオン二次電池10の正極端子3と負極端子2の間の電圧、リチウムイオン二次電池10を流れる電流、及びリチウムイオン二次電池10の温度を監視し、必要であれば、インターロックスイッチ23を遮断して電源システムの運用を停止する。図9には、センサ22が一つしか図示されていないが、実際には、運用の制御に必要なパラメータを取得するのに充分な数及び種類のセンサ22が用意されていると理解すべきである。
【0044】
上述のように、リチウムイオン二次電池10は、温度が上昇したときに正極端子3と負極端子2とが電気的に接続されるように構成されているので、正極端子3と負極端子2の間の電圧を監視すれば、絶縁部材7、9又は合金片18が溶解したことを検知可能である。このような検知方法の一つの問題は、絶縁部材7、9又は合金片18が溶解しても、リチウムイオン二次電池10自体の起電力のために正極端子3と負極端子2の間の電圧は急激には変化しないことがあるため、絶縁部材7、9又は合金片18が溶解したことを速やかに検知できない場合があることである。以下では、絶縁部材7、9又は合金片18が溶解したことを速やかに検知するための手法が提示される。
【0045】
一実施形態では、図10に示されているように、負極端子2と容器1の蓋部1aとの間の電圧Vをセンサ22によって計測することにより、絶縁部材7の溶解が検知される。絶縁部材7が溶解していない場合には、負極端子2と容器1の蓋部1aとの間の電圧は、ある正常範囲の値をとる。絶縁部材7が溶解すると、負極端子2と容器1の蓋部1aとの間の電圧は、速やかに正常範囲から外れた異常値を示すようになる。したがって、負極端子2と容器1の蓋部1aとの間の電圧を監視することにより、絶縁部材7が溶解したことを速やかに検知することができる。また、絶縁部材7の溶解は、負極端子2と容器1の蓋部1aとの間の電圧Vの時間変化率dV/dtから検知することも可能である。
【0046】
正極端子3に対応して導通部材8及び絶縁部材9が設けられている場合も同様に、正極端子3と容器1の蓋部1aとの間の電圧を計測することにより、絶縁部材9の溶解を速やかに検知することができる。
【0047】
負極端子2(又は正極端子3)と容器1の蓋部1aとの間の電圧を計測する手法は、第2の実施形態のように、負極端子2(又は正極端子3)と容器1の蓋部1aとが溶融した合金片18によって電気的に接続される場合も、同様に適用可能である。この場合にも、負極端子2(又は正極端子3)と容器1の蓋部1aとの間の電圧Vの値、又は電圧Vの時間変化率dV/dtから合金片18の溶融を検知することが可能である。
【0048】
また、図6Bに示されているように、絶縁性の容器1Aに導通部材17が設けられる場合には、負極端子2(又は正極端子3)と導通部材17との間の電圧Vの値、又は電圧Vの時間変化率dV/dtから絶縁部材7(又は絶縁部材9)の溶融を検知することが可能である。
【0049】
また、負極端子2と容器1の蓋部1aとの間を流れる電流Iをセンサ22によって計測することにより、絶縁部材7の溶解を検知することが可能である。絶縁部材7が溶解していない場合には、負極端子2と容器1の蓋部1aとの間を流れる電流Iは0である。一方、絶縁部材7が溶解すると、負極端子2と容器1の蓋部1aとの間を流れる電流Iは、速やかに0でない異常値を示すようになる。したがって、負極端子2と容器1の蓋部1aとの間を流れる電流Iを監視することにより、絶縁部材7が溶解したことを速やかに検知することができる。負極端子2と容器1の蓋部1aとの間を流れる電流Iは、電流Iによって発生する磁界を測定することによって間接的に計測することができる。絶縁部材7の溶解は、負極端子2と容器1の蓋部1aとの間を流れる電流Iの時間変化率dI/dtから検知することも可能である。
【0050】
正極端子3に対応して導通部材8及び絶縁部材9が設けられている場合も同様に、正極端子3と容器1の蓋部1aとの間の電流を計測することにより、絶縁部材9の溶解を速やかに検知することができる。
【0051】
負極端子2(又は正極端子3)と容器1の蓋部1aとの間を流れる電流を計測する手法は、第2の実施形態のように、負極端子2(又は正極端子3)と容器1の蓋部1aとが溶融した合金片18によって電気的に接続される場合も、同様に適用可能である。この場合にも、負極端子2(又は正極端子3)と容器1の蓋部1aとの間の電流Iの値、又は電圧Iの時間変化率dI/dtから合金片18の溶融を検知することが可能である。
【0052】
また、図11に示されているように、第1の実施形態のリチウムイオン二次電池10については、導通部材6で生じる電圧降下Vdropを計測することによって絶縁部材7の溶融を検知することが可能である。絶縁部材7が溶解していない場合には、導通部材6には電流が流れないから、導通部材6で生じる電圧降下Vdropは0Vである。一方、絶縁部材7が溶解すると導通部材6には電流が流れるから、導通部材6で生じる電圧降下Vdropは、速やかに0でない異常値をとるようになる。したがって、導通部材6で生じる電圧降下Vdropを監視することにより、絶縁部材7が溶解したことを速やかに検知することができる。このような手法は、特に、図3に示されているように、導通部材6Aに抵抗素子14が挿入されている場合に特に有効である。また、絶縁部材7の溶解は、導通部材6で生じる電圧降下Vdropの時間変化率dVdrop/dtから検知することも可能である。
【0053】
正極端子3に対応して導通部材8及び絶縁部材9が設けられている場合も同様に、導通部材8で生じる電圧降下を計測することにより、絶縁部材9の溶解を速やかに検知することができる。
【0054】
第1の実施形態のリチウムイオン二次電池10については、更に、導通部材6を流れる電流を計測することによって、絶縁部材7の溶融を検知することも可能である。絶縁部材7が溶解していない場合には、導通部材6を流れる電流は0である。一方、絶縁部材7が溶解すると、導通部材6を流れる電流は、速やかに0でない異常値を示すようになる。したがって、導通部材6を流れる電流を監視することにより、絶縁部材7が溶解したことを速やかに検知することができる。導通部材6を流れる電流は、該電流によって発生する磁界を測定することによって間接的に計測することができる。絶縁部材7の溶解は、導通部材6を流れる電流の時間変化率dI/dtから検知することも可能である。
【0055】
正極端子3に対応して導通部材8及び絶縁部材9が設けられている場合も同様に、導通部材8を流れる電流を計測することにより、絶縁部材9の溶解を速やかに検知することができる。
【0056】
加えて、第1の実施形態のリチウムイオン二次電池10については、更に、導通部材6の温度Tを計測することによって、絶縁部材7の溶融を検知することも可能である。絶縁部材7が溶解していない場合には、導通部材6の温度Tは或る通常範囲内にある。一方、絶縁部材7が溶解すると、導通部材6に電流が流れ、ジュール熱によって導通部材6の温度が上昇する。したがって、導通部材6の温度Tは、速やかに異常値を示すようになる。したがって、導通部材6の温度Tを監視することにより、絶縁部材7が溶解したことを速やかに検知することができる。絶縁部材7の溶解は、導通部材6の温度Tの時間変化率dT/dtから検知することも可能である。
【0057】
一方、第2の実施形態のリチウムイオン二次電池10については、図12に示されているように、合金片18と容器1の蓋部1aとの間の電圧を計測することにより、合金片18の溶融を検知することも可能である。この場合、センサ22として電圧センサが使用され、センサ22の一方の端子22aは、合金片18が溶融していない状態では合金片18に接し、合金片18が溶融した状態では合金片18から離れるような位置に設けられる。合金片18が溶融していない状態では、センサ22によって検知される合金片18と容器1の蓋部1aとの間の電圧は、所定の正常範囲にある。合金片18が溶融すると、センサ22の一方の端子22aがフローティングになるので、センサ22によって計測される電圧は、速やかに異常値を示すようになる。したがって、合金片18と容器1の蓋部1aとの間の電圧を監視することにより、合金片18が溶解したことを速やかに検知することができる。
【0058】
以上には、本発明の実施形態が様々に記述されているが、本発明は、上述の実施形態に限定して解釈してはならない。特に、上述の実施形態では、リチウムイオン二次電池について記述されているが、本発明が、熱暴走が発生し得る他の電池についても適用可能なことは、当業者には自明的であろう。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態のリチウムイオン二次電池の構成を示す側面図である。
【図2】図2は、第1の実施形態のリチウムイオン二次電池の動作を示す側面図である。
【図3】図3は、第1の実施形態のリチウムイオン二次電池の他の構成を示す側面図である。
【図4】図4は、第1の実施形態のリチウムイオン二次電池の更に他の構成を示す側面図である。
【図5】図5は、第1の実施形態のリチウムイオン二次電池の更に他の構成を示す側面図である。
【図6A】図6Aは、第1の実施形態のリチウムイオン二次電池の更に他の構成を示す側面図である。
【図6B】図6Bは、第1の実施形態のリチウムイオン二次電池の更に他の構成を示す側面図である。
【図7】図7は、本発明の第2の実施形態のリチウムイオン二次電池の構成を示す側面図である。
【図8】図8は、本発明の第2の実施形態のリチウムイオン二次電池の構成を示す上面図である。
【図9】図9は、本発明のリチウムイオン二次電池を組み込んだ電源システムの構成を示すブロック図である。
【図10】図10は、本発明のリチウムイオン二次電池の電源システムの動作の一例を示す図である。
【図11】図11は、本発明のリチウムイオン二次電池の電源システムの動作の一例を示す図である。
【図12】図12は、本発明のリチウムイオン二次電池の電源システムの動作の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
1、1A:容器
1a:蓋部
2:負極端子
3:正極端子
4、5:パッキング
6、6A、8:導通部材
7、9:絶縁部材
10:リチウムイオン二次電池
11:集電箔
12、13:導電片
14:抵抗素子
15:抵抗素子
16:絶縁部材
17:導通部材
18:合金片
19:流出防止部材
21:制御回路
22:センサ
23:インターロックスイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池に関しており、特に、リチウムイオン二次電池のように、熱暴走が発生し得る電池の安全性を向上させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池は、鉛電池やニッケル水素電池その他の二次電池と比べて、高いエネルギー密度、高い出力電圧、長い寿命を有するという特長がある。このため、小型のリチウムイオン二次電池は、既に、電子機器の電源として商業的に利用されており、また、将来的に電力貯蔵装置、電気自動車の電源、自然エネルギーハイブリッドシステム等の蓄電システムに応用するために、大型のリチウムイオン二次電池を実用化するための研究・開発が進められている。
【0003】
リチウムイオン二次電池の運用において重要なことの一つは、安全性の確保である。リチウムイオン二次電池の運用を誤った場合(例えば、過充電状態になった場合)、正極材料の結晶構造が変化することによって発熱が生じ、発熱が過度に進行すると正極材料の熱分解が急激に進む熱暴走に到ってしまう。リチウムイオン二次電池は、熱暴走に到らないように安全性が確保される必要がある。リチウムイオン二次電池は、複数の電位を組み電池として使用することが多いが、直列接続の組電池の場合、使用中に何らかの要因で電池の容量のばらつきが生じた際に、容量の小さい電池は過充電を受けることがある。これは、安全性に影響を与えるので、制御回路にて過充電、過放電が生じないように制御することが行われる。しかしながら、制御回路が故障等の要因で正常に動作しない場合であっても、電池の安全性が確保できるように、電池自体に過充電に対する機構が備わっていることが望ましい。
【0004】
電池の安全性の確保のための1つの手法は、熱暴走が発生する前に、安全弁のような物理的な保護機構でリチウムイオン二次電池を安全な状態にすることである。一般的なリチウムイオン二次電池は、温度が上昇したときに、熱暴走に到る温度よりも少し低い温度で(例えば、80℃〜90℃で)安全弁が作動して内部のガスを放出し、安全性を確保するように構成されている。また、特開平7−192753号公報及び特開2004−259613号公報は、熱暴走が発生する温度で融解し、融解熱として周囲の熱を吸収する材料を電池容器の内部に設け、又は、電池容器の外側に接合し、これにより、安全性を確保する技術を開示している。
【0005】
温度の上昇に曝された場合、リチウムイオン二次電池は、なるべく安全な状態に戻されることが望ましい。しかしながら、従来の保護機構は、熱暴走を有効に回避する一方で、それが作動しても自己放電が進まず、正極端子と負極端子の間に高電圧が維持され得ることが問題である。リチウムイオン二次電池の温度が過剰に上昇するような事態が発生した場合には、点検・交換等のメンテナンス作業が行われる必要がある。しかしながら、正極端子と負極端子の間に高電圧が維持された状態でメンテナンス作業を行うことは作業の安全上、好ましくない。
【特許文献1】特開平7−192753号公報
【特許文献2】特開2004−259613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、温度が上昇した場合に自己放電を開始させ、これにより、電池をより安全な状態に戻すための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、以下に述べられる手段を採用する。その手段の記述には、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための最良の形態]の記載との対応関係を明らかにするために、[発明を実施するための最良の形態]で使用される番号・符号が付加されている。但し、付加された番号・符号は、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲を限定的に解釈するために用いてはならない。
【0008】
本発明による電池は、外装体(1、1A)と、前記外装体(1、1A)に取り付けられた正極端子(3)と、前記外装体(1、1A)に取り付けられた負極端子(2)と、正極端子(3)と前記負極端子(2)とを電気的に接続するための接続機構(6〜9、16〜19)とを具備する。接続機構(6〜9、16〜19)は、当該電池の温度上昇によって特定部材(6、8、18)が溶融すると、正極端子(3)と負極端子(2)とが電気的に接続されるように構成されている。このような構成の電池では、温度が上昇した場合に自己放電を開始させ、これにより、電池をより安全な状態に戻すことができる。
【0009】
好適な一実施形態では、前記外装体(1、1A)の少なくとも一部分の表面は導電性であり、接続機構(6〜9)は、前記負極端子(2)に接合され、先端部が前記外装体(1,1A)に向かって付勢された第1導通部材(6)と、第1導通部材(6)と前記外装体(1、1A)の間に設けられ、当該電池の温度上昇によって溶融可能に構成された第1絶縁部材(7)とを含み、接続機構(6〜9)は、第1絶縁部材(7)が溶融すると前記第1導通部材(6)が前記前記外装体(1、1A)に接触し、前記第1導通部材(6)と前記外装体(1、1A)とを介して前記正極端子(3)と前記負極端子(2)とを電気的に接続する。
【0010】
正極端子(3)と負極端子(2)との間に流れる短絡電流を制御するためには、第1導通部材(6)が抵抗素子(14)を含むことが好ましい。
【0011】
一実施形態では、接続機構(6〜9)は、更に、正極端子(3)に接合され、先端部が外装体(1,1A)に向かって付勢された第2導通部材(8)と、第2導通部材(8)と外装体(1,1A)の間に設けられ、当該電池の温度上昇によって溶融可能に構成された第2絶縁部材(9)とを含む。
【0012】
その代わりに、正極端子(3)は、直接リード線で、又は、抵抗素子(15)を介して電気的に前記外装体(1、1A)に接続されてもよい。
【0013】
上記の第1絶縁部材(7)は、当該電池が熱暴走を起こす温度よりも低い融点を有する絶縁材料で構成されていることが好適であり、当該電池が更に安全弁(図示されない)を備える場合には、第1絶縁部材(7)の融点は、前記安全弁が作動する温度よりも低いことが好ましい。
【0014】
好適には、第1絶縁部材(7)は、平均分子量が1000以上であるポリエチレングリコール、クロトン酸、又は固形パラフィンのいずれかで構成される。
【0015】
他の好適な実施形態では、接続機構(18、19)は、前記負極端子(2)に近接して設けられ、当該電池の温度上昇によって溶融可能な低融点合金で構成された合金片(18)と、合金片(18)を包囲するように設けられた流出防止部材(19)とを備える。流出防止部材(19)は、合金片(18)が溶融すると、合金片(18)が溶融してできる液体合金によって前記負極端子(2)と前記外装体(1、1A)とが電気的に接続されるように前記液体合金を保持するように形成される。接続機構(18、19)は、合金片(18)が溶融すると、前記液体合金と前記外装体(1、1A)とを介して正極端子(3)と負極端子(2)とを電気的に接続する。合金片(18)は、当該電池が熱暴走を起こす温度よりも低い融点を有することが好ましく、当該電池が更に安全弁を備える場合には、合金片(18)の融点は、前記安全弁が作動する温度よりも低いことが望ましい。
【0016】
本発明の電源システムは、少なくとも一部分の表面が導電性である前記外装体(1、1A)と、前記外装体(1、1A)に取り付けられた正極端子(3)及び負極端子(2)と、正極端子(3)と負極端子(2)とを電気的に接続するための接続機構(6〜9)を備え、接続機構(6〜9)が、前記負極端子(2)に接合され、先端部が前記外装体(1、1A)に向かって付勢された第1導通部材(6)と、第1導通部材(6)と前記外装体(1、1A)の間に設けられ、当該電池の温度上昇によって溶融可能に構成された第1絶縁部材(7)とを含む電池(10)の運用を制御するためのものである。当該電源システムは、制御回路(21)を備えており、制御回路(21)は、負極端子(2)と前記外装体(1、1A)との間の電圧、負極端子(2)と前記外装体(1、1A)との間で流れる電流、第1導通部材(6)で生じる電圧降下、前記第1導通部材(6)を流れる電流、又は第1導通部材(6)の温度によって第1絶縁部材(7)の溶融を検知し、第1絶縁部材(7)の溶融の有無に応じて電池(10)の運用を制御する。
【0017】
このような電源システムは、第1絶縁部材(7)の溶融を速やかに検知し、電池(10)を最適に運用することができる。
【0018】
本発明の他の電源システムは、少なくとも一部分の表面が導電性である外装体(1、1A)のと、前記外装体(1、1A)に取り付けられた正極端子(3)及び負極端子(2)と、正極端子(3)と負極端子(2)とを電気的に接続するための接続機構(18、19)を備え、接続機構(18、19)が、負極端子(2)に近接して設けられ、当該電池の温度上昇によって溶融可能な低融点合金で構成された合金片(18)と、合金片(18)を包囲するように設けられた流出防止部材(19)とを含む電池(10)の運用を制御するためのものである。当該他の電源システムは、制御回路(21)を備えており、制御回路(21)は、負極端子(2)と前記外装体(1、1A)との間の電圧、負極端子(2)と前記外装体(1、1A)との間で流れる電流、又は合金片(18)と前記外装体(1、1A)との間の電圧によって合金片(18)の溶融を検知し、合金片(18)の溶融の有無に応じて電池(10)の運用を制御する。
【0019】
このような電源システムは、合金片(18)の溶融を速やかに検知し、電池(10)を最適に運用することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、温度が上昇した場合に自己放電を開始させ、これにより、電池をより安全な状態に戻すための技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態のリチウムイオン二次電池10の構成を示す側面図である。第1の実施形態のリチウムイオン二次電池10は、外装体として使用される容器1と、容器1の蓋部1aに取り付けられた2つの電極端子:負極端子2及び正極端子3とを備えている。本実施形態では、容器1の蓋部1aは、少なくともその表面が導電性を有している。容器1(及びその蓋部1a)は、最も典型的には鉄、又はアルミニウムで形成される。負極端子2、正極端子3は、それぞれ、パッキング4、5によって容器1に取り付けられている。パッキング4、5は絶縁性である。
【0022】
本実施形態のリチウムイオン二次電池10は、温度が上昇した場合に自己放電を進行させるために、負極端子2に対応して導通部材6と絶縁部材7が設けられると共に、正極端子3に対応して導通部材8と絶縁部材9が設けられている。導通部材6は、負極端子2に物理的、電気的に接合されている。絶縁部材7は、導通部材6の先端部に接合され、導通部材6と容器1の蓋部1aの間に挟まれている。同様に、導通部材8は、物理的、電気的に正極端子3に接合されている。絶縁部材9は、導通部材6と容器1の蓋部1aの間に挟まれている。
【0023】
導通部材6、8は、導電性を有すると共に弾性が高い材料で形成されており、導通部材6は、それ自身の弾性によって、その先端部が容器1の蓋部1aに向かって付勢されている。導通部材6、8は、金属材料で形成されることが可能であり、また、炭素を含む樹脂材料で形成されることも可能である。また、導通部材6、8は、帯状、針状のいずれの形状も取り得る。
【0024】
絶縁部材7、9は、リチウムイオン二次電池10の許容動作温度(例えば60℃)よりも高く、且つ、リチウムイオン二次電池10が熱暴走を起こす温度よりも低い融点を有する絶縁材料で構成されている。絶縁部材7、9は、例えば、平均分子量が1000以上であるポリエチレングリコール(融点63〜65℃)、クロトン酸(融点71℃)、融点が68〜70℃である固形パラフィンで形成される。固形パラフィンとは、炭素数が20以上のアルカン(一般式:CnH2n+2)の総称であることに留意されたい。
【0025】
導通部材6、8、及び絶縁部材7、9は、(例えば過充電によって)リチウムイオン二次電池10の温度が上昇した場合に負極端子2と正極端子3とを電気的に接続し、これにより、自己放電を開始させる安全機構として機能する。図2は、負極端子2に対応して設けられた導通部材6及び絶縁部材7の、温度が上昇した場合の作用を示す図である。リチウムイオン二次電池10の温度が上昇すると、絶縁部材7が溶解し、導通部材6の先端部は、導通部材6自身の弾性によって容器1の蓋部1aに接触する。これにより、負極端子2は、蓋部1aに電気的に接続される。正極端子3の側でも同様に、リチウムイオン二次電池10の温度が上昇すると、絶縁部材9が溶解して導通部材8の先端部が容器1の蓋部1aに接触し、これにより、正極端子3が蓋部1aに電気的に接続される。この結果、負極端子2と正極端子3とは、蓋部1aを介して電気的に接続され、自己放電が開始される。自己放電が開始されることにより、負極端子2と正極端子3との間の電圧が低下し、これにより、安全性が高められる。
【0026】
温度が上昇した場合に負極端子2と正極端子3を電気的に接続させることは、過充電が行われた場合にリチウムイオン二次電池10の内部に流入する電流を抑制させる点でも有効である。負極端子2と正極端子3とが導通部材6、8及び蓋部1aによって電気的に接続されると、リチウムイオン二次電池10に供給された電流が導通部材6、8及び蓋部1aにバイパスされ、リチウムイオン二次電池10の内部に流入する電流が抑制される。リチウムイオン二次電池10に流入する電流を抑制することは、リチウムイオン二次電池10の温度上昇を抑制し、安全性の向上のために有効である。
【0027】
絶縁部材7、9の融点は、リチウムイオン二次電池10の許容動作温度(例えば60℃)よりも高く、リチウムイオン二次電池10に設けられている安全弁(図示されない)が作動する温度(典型的には、80〜90℃)よりも低いことが好ましい。安全弁が作動するとガスが噴出するため、安全性に問題が無い限りにおいては安全弁の作動は避けるべきである。絶縁部材7、9が溶融する温度を安全弁が作動する温度よりも低くすることにより、安全性を保ちながら安全弁の作動を遅らせることができる。上述された絶縁部材7、9の材料群:平均分子量が1000以上であるポリエチレングリコール(融点63〜65℃)、クロトン酸(融点71℃)、融点が68〜70℃である固形パラフィンは、このような要求を満足する材料であり、絶縁部材7、9の材料として好適である。
【0028】
負極端子2と正極端子3とが電気的に接続された場合にそれらの間に流れる短絡電流は、適切に調節される必要がある。過度に大きな短絡電流が流れると、大きなジュール熱が発生し、これは、安全性の観点から好ましくない。負極端子2と正極端子3の間に流れる短絡電流の大きさを制御するための一つの手法は、導通部材6、8の材料を適切に選択することである。導電率が低い材料を導通部材6、8として使用すれば、短絡電流は小さくなり、導電率が大きい材料を導通部材6、8として使用すれば、短絡電流は大きくなる。
【0029】
より積極的に短絡電流を調節するためには、導通部材に抵抗素子を挿入することが有効である。図3は、このような構成の導通部材6Aの構造を示している。図3の導通部材6Aは、導電片12、13と、その間に接続された抵抗素子14とを備えている。導電片12は、負極端子2に接合されている。導電片13は、弾性が高い材料で形成されており、それ自身の弾性によって容器1に向かって付勢されている。抵抗素子14の抵抗値は、所望の短絡電流の大きさに合わせて適切に決定される。絶縁部材7が溶解すると導電片13の先端が容器1の蓋部1aに接触し、これにより、負極端子2が蓋部1aに電気的に接続される。図3に示された導通部材の構造は、負極端子2に接合される導通部材ではなく、正極端子3に接合される導通部材8に適用されることも可能である。
【0030】
導通部材に抵抗素子を挿入する構造は、短絡電流の制御のみならず、ジュール熱が発生する位置を限定するという観点からも好適である。導通部材に抵抗素子が挿入される構成では、短絡電流によるジュール熱は実質的に抵抗素子においてのみ発生する。これは、熱の発生を制御する上で有効である。抵抗素子でのみジュール熱が発生する構成では、抵抗素子の放熱経路を確保したり、抵抗素子を積極的に冷却したりすることにより、ジュール熱の発生に対して容易に対処することができる。
【0031】
図1、図3には、導通部材6、8及び絶縁部材7、9が容器1の外部に設けられている構成が図示されているが、導通部材6、8、及び絶縁部材7、9が、容器1の内部に設けられることも可能である。図4は、導通部材6及び絶縁部材7が容器1の内部に設けられた、負極端子2の近傍の構造を示している。一実施形態では、負極端子2の容器1の内部に位置する端部2aの径が増大され、端部2aとパッキング4の間に導通部材6と集電箔11とが挟み込まれる。絶縁部材7は、導通部材6と容器1の蓋部1aの内面との間に設けられる。温度が上昇すると、導通部材6の先端が導通部材6自身の弾性によって蓋部1aに押し付けられ、負極端子2が蓋部1aに電気的に接続される。正極端子3についても同様の構造が採用され得る。
【0032】
図1には、負極端子2と正極端子3の両方の電極端子について、導通部材6、8と絶縁部材7、9とを組み合わせた安全機構を採用する構成が図示されているが、電極端子の一方にのみ導通部材と絶縁部材とを組み合わせた安全機構が採用されてもよい。この場合、他方の電極端子は、直接リード線によって容器1の蓋部1aに接続され、又は、抵抗素子を介して容器1の蓋部1aに接続される。図5は、負極端子2について導通部材6と絶縁部材7とを組み合わせた安全機構が採用される一方、正極端子3が抵抗素子15を介して容器1の蓋部1aに電気的に接続される構成を示している。抵抗素子15の一方のリードは正極端子3に接合され、他方のリードは蓋部1aに接合されている。この場合でも、リチウムイオン二次電池10の温度が上昇して絶縁部材7が溶融すると、負極端子2と正極端子3とが電気的に接続され、自己放電が開始される。図5の構成では、正極端子3が容器1の蓋部1aに電気的に常に接続されていることに留意されたい。
【0033】
留意すべきことは、リード線によって電極端子と容器1の蓋部1aとが電気的に接続されると、それらが同一の電位になることである。特に、負極端子2をリード線によって、又は、抵抗素子15を介して容器1の蓋部1aに接続すると、通常運用時に容器1(又はその蓋部1a)を正極端子3に対して卑な電位に保つことになり、容器1の材質によってはリチウムの析出による腐食など、好ましくない現象が発生し得る。このような事態を避けるためには、図5に示されているように、負極端子2について導通部材6と絶縁部材7とを組み合わせた安全機構が採用される一方、正極端子3がリード線によって、又は、抵抗素子15を介して容器1の蓋部1aに接続する構成が好適である。
【0034】
容器1Aの蓋部1aの表面が絶縁性である場合には、図6Aに示されているように、導通部材6、8の一方が他方にオーバラップするように配置され、導通部材6、8の間に、温度の上昇によって溶融する絶縁部材16が設けられることも可能である。リチウムイオン二次電池10の温度が上昇すると、絶縁部材16が溶解して負極端子2と正極端子3が電気的に接続され、自己放電が開始される。
【0035】
その代わりに、図6Bに示されているように、容器1Aの蓋部1aに導通部材17が設けられ、絶縁部材7、9は、導通部材6、8と導通部材17の間に設けられることも可能である。リチウムイオン二次電池10の温度が上昇すると、絶縁部材7、9が溶解して導通部材6、8と導通部材17とが電気的に接続される。これにより、負極端子2と正極端子3が導通部材6、8と導通部材17を介して電気的に接続され、自己放電が開始される。
【0036】
本実施形態では、導通部材6、8が、それ自身の弾性によって容器1の蓋部1aに付勢されている構造が提示されているが、導通部材6、8の先端部を付勢する手段はこれに限定されない。導通部材6、8の先端部に、ばね等の付勢機構が接合され、その付勢機構によって導通部材6が容器1の蓋部1aに向かって付勢されることが可能である。
【0037】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態のリチウムイオン二次電池10の構成を示す側面図であり、図8は、上面図である。図7、図8は、特に、負極端子2の近傍の部分の構造を示している。図7の左図に示されているように、容器1の負極端子2に近接して低融点合金で形成された合金片18が設けられており、図8に示されているように、合金片18は、流出防止部材19によって包囲されている。通常の運用がなされている状態では、合金片18は、負極端子2から離れて配置されていることに留意されたい。正極端子3についても同様に、図7、図8に示された構成が採用される。図7、図8に示された構成を採用する代わりに、第1の実施形態と同様に、正極端子3を、直接リード線により、又は抵抗素子を介して蓋部1aに電気的に接続してもよい。
【0038】
合金片18は、リチウムイオン二次電池10の許容動作温度(例えば60℃)よりも高く、リチウムイオン二次電池10が熱暴走を起こす温度よりも低い融点を有する合金材料で構成される。合金片18は、例えば、すず(Sn)、ビスマス(Bi)、鉛(Pb)、カドミウム(Cd)の合金で形成されることが可能である。合金片18に含まれるすず(Sn)、ビスマス(Bi)、鉛(Pb)、カドミウム(Cd)の組成を、下記のようにすれば、合金片18の融点を70℃程度にすることができ、好適である(単位はいずれも重量パーセント):
Sn:11.3〜12.5%
Pb:25.0〜37.7%
Cd:8.5〜12.5%
Bi及び不可避的不純物:残部
【0039】
第2の実施形態の構成では、図7の右図に示されているように、リチウムイオン二次電池10の温度が上昇すると合金片18が溶解し、負極端子2は、合金片18が溶解してできる液体合金によって容器1の蓋部1aに電気的に接続される。このとき、流出防止部材19は、合金片18が溶融してできる液体合金によって負極端子2と蓋部1aとが電気的に接続されるように液体合金を保持する。正極端子3にも図7の構成が採用されている場合には、正極端子3も合金片18が溶解してできる液体合金によって容器1の蓋部1aに電気的に接続される。これにより、負極端子2と正極端子3とが電気的に接続され、自己放電が自動的に開始される。自己放電を自動的に開始させることは、リチウムイオン二次電池10の安全性を向上させるために有効である。
【0040】
合金片18の融点は、リチウムイオン二次電池10の許容動作温度(例えば60℃)よりも高く、リチウムイオン二次電池10に設けられている安全弁(図示されない)が作動する温度(典型的には、80〜90℃)よりも低いことが好ましい。合金片18の融点を安全弁が作動する温度よりも低くすることにより、第1の実施形態と同様に、安全性を保ちながら安全弁の作動を遅らせることができる。
【0041】
合金片18、及び流出防止部材19の構造は、合金片18が溶解したときに負極端子2(及び正極端子3)が容器1の蓋部1aに電気的に接続され、且つ、合金片18が流れ出さないような構造であれば、様々に変更可能である。
【0042】
(リチウムイオン二次電池の運用方法)
上述された実施形態のリチウムイオン二次電池10を組み込んだ電源システムでは、その運用において、絶縁部材7、9又は合金片18が溶解したことを検出することが好適である。絶縁部材7、9又は合金片18が溶解した場合には、リチウムイオン二次電池10に何らかの異常があることが考えられるので、その運用を停止することが望ましい。
【0043】
図9は、リチウムイオン二次電池10を組み込んだ電源システムの構成の例を示す図である。図9の電源システムは、制御回路21と、センサ22と、インターロックスイッチ23とを備えている。制御回路21は、センサ22を用いてリチウムイオン二次電池10の正極端子3と負極端子2の間の電圧、リチウムイオン二次電池10を流れる電流、及びリチウムイオン二次電池10の温度を監視し、必要であれば、インターロックスイッチ23を遮断して電源システムの運用を停止する。図9には、センサ22が一つしか図示されていないが、実際には、運用の制御に必要なパラメータを取得するのに充分な数及び種類のセンサ22が用意されていると理解すべきである。
【0044】
上述のように、リチウムイオン二次電池10は、温度が上昇したときに正極端子3と負極端子2とが電気的に接続されるように構成されているので、正極端子3と負極端子2の間の電圧を監視すれば、絶縁部材7、9又は合金片18が溶解したことを検知可能である。このような検知方法の一つの問題は、絶縁部材7、9又は合金片18が溶解しても、リチウムイオン二次電池10自体の起電力のために正極端子3と負極端子2の間の電圧は急激には変化しないことがあるため、絶縁部材7、9又は合金片18が溶解したことを速やかに検知できない場合があることである。以下では、絶縁部材7、9又は合金片18が溶解したことを速やかに検知するための手法が提示される。
【0045】
一実施形態では、図10に示されているように、負極端子2と容器1の蓋部1aとの間の電圧Vをセンサ22によって計測することにより、絶縁部材7の溶解が検知される。絶縁部材7が溶解していない場合には、負極端子2と容器1の蓋部1aとの間の電圧は、ある正常範囲の値をとる。絶縁部材7が溶解すると、負極端子2と容器1の蓋部1aとの間の電圧は、速やかに正常範囲から外れた異常値を示すようになる。したがって、負極端子2と容器1の蓋部1aとの間の電圧を監視することにより、絶縁部材7が溶解したことを速やかに検知することができる。また、絶縁部材7の溶解は、負極端子2と容器1の蓋部1aとの間の電圧Vの時間変化率dV/dtから検知することも可能である。
【0046】
正極端子3に対応して導通部材8及び絶縁部材9が設けられている場合も同様に、正極端子3と容器1の蓋部1aとの間の電圧を計測することにより、絶縁部材9の溶解を速やかに検知することができる。
【0047】
負極端子2(又は正極端子3)と容器1の蓋部1aとの間の電圧を計測する手法は、第2の実施形態のように、負極端子2(又は正極端子3)と容器1の蓋部1aとが溶融した合金片18によって電気的に接続される場合も、同様に適用可能である。この場合にも、負極端子2(又は正極端子3)と容器1の蓋部1aとの間の電圧Vの値、又は電圧Vの時間変化率dV/dtから合金片18の溶融を検知することが可能である。
【0048】
また、図6Bに示されているように、絶縁性の容器1Aに導通部材17が設けられる場合には、負極端子2(又は正極端子3)と導通部材17との間の電圧Vの値、又は電圧Vの時間変化率dV/dtから絶縁部材7(又は絶縁部材9)の溶融を検知することが可能である。
【0049】
また、負極端子2と容器1の蓋部1aとの間を流れる電流Iをセンサ22によって計測することにより、絶縁部材7の溶解を検知することが可能である。絶縁部材7が溶解していない場合には、負極端子2と容器1の蓋部1aとの間を流れる電流Iは0である。一方、絶縁部材7が溶解すると、負極端子2と容器1の蓋部1aとの間を流れる電流Iは、速やかに0でない異常値を示すようになる。したがって、負極端子2と容器1の蓋部1aとの間を流れる電流Iを監視することにより、絶縁部材7が溶解したことを速やかに検知することができる。負極端子2と容器1の蓋部1aとの間を流れる電流Iは、電流Iによって発生する磁界を測定することによって間接的に計測することができる。絶縁部材7の溶解は、負極端子2と容器1の蓋部1aとの間を流れる電流Iの時間変化率dI/dtから検知することも可能である。
【0050】
正極端子3に対応して導通部材8及び絶縁部材9が設けられている場合も同様に、正極端子3と容器1の蓋部1aとの間の電流を計測することにより、絶縁部材9の溶解を速やかに検知することができる。
【0051】
負極端子2(又は正極端子3)と容器1の蓋部1aとの間を流れる電流を計測する手法は、第2の実施形態のように、負極端子2(又は正極端子3)と容器1の蓋部1aとが溶融した合金片18によって電気的に接続される場合も、同様に適用可能である。この場合にも、負極端子2(又は正極端子3)と容器1の蓋部1aとの間の電流Iの値、又は電圧Iの時間変化率dI/dtから合金片18の溶融を検知することが可能である。
【0052】
また、図11に示されているように、第1の実施形態のリチウムイオン二次電池10については、導通部材6で生じる電圧降下Vdropを計測することによって絶縁部材7の溶融を検知することが可能である。絶縁部材7が溶解していない場合には、導通部材6には電流が流れないから、導通部材6で生じる電圧降下Vdropは0Vである。一方、絶縁部材7が溶解すると導通部材6には電流が流れるから、導通部材6で生じる電圧降下Vdropは、速やかに0でない異常値をとるようになる。したがって、導通部材6で生じる電圧降下Vdropを監視することにより、絶縁部材7が溶解したことを速やかに検知することができる。このような手法は、特に、図3に示されているように、導通部材6Aに抵抗素子14が挿入されている場合に特に有効である。また、絶縁部材7の溶解は、導通部材6で生じる電圧降下Vdropの時間変化率dVdrop/dtから検知することも可能である。
【0053】
正極端子3に対応して導通部材8及び絶縁部材9が設けられている場合も同様に、導通部材8で生じる電圧降下を計測することにより、絶縁部材9の溶解を速やかに検知することができる。
【0054】
第1の実施形態のリチウムイオン二次電池10については、更に、導通部材6を流れる電流を計測することによって、絶縁部材7の溶融を検知することも可能である。絶縁部材7が溶解していない場合には、導通部材6を流れる電流は0である。一方、絶縁部材7が溶解すると、導通部材6を流れる電流は、速やかに0でない異常値を示すようになる。したがって、導通部材6を流れる電流を監視することにより、絶縁部材7が溶解したことを速やかに検知することができる。導通部材6を流れる電流は、該電流によって発生する磁界を測定することによって間接的に計測することができる。絶縁部材7の溶解は、導通部材6を流れる電流の時間変化率dI/dtから検知することも可能である。
【0055】
正極端子3に対応して導通部材8及び絶縁部材9が設けられている場合も同様に、導通部材8を流れる電流を計測することにより、絶縁部材9の溶解を速やかに検知することができる。
【0056】
加えて、第1の実施形態のリチウムイオン二次電池10については、更に、導通部材6の温度Tを計測することによって、絶縁部材7の溶融を検知することも可能である。絶縁部材7が溶解していない場合には、導通部材6の温度Tは或る通常範囲内にある。一方、絶縁部材7が溶解すると、導通部材6に電流が流れ、ジュール熱によって導通部材6の温度が上昇する。したがって、導通部材6の温度Tは、速やかに異常値を示すようになる。したがって、導通部材6の温度Tを監視することにより、絶縁部材7が溶解したことを速やかに検知することができる。絶縁部材7の溶解は、導通部材6の温度Tの時間変化率dT/dtから検知することも可能である。
【0057】
一方、第2の実施形態のリチウムイオン二次電池10については、図12に示されているように、合金片18と容器1の蓋部1aとの間の電圧を計測することにより、合金片18の溶融を検知することも可能である。この場合、センサ22として電圧センサが使用され、センサ22の一方の端子22aは、合金片18が溶融していない状態では合金片18に接し、合金片18が溶融した状態では合金片18から離れるような位置に設けられる。合金片18が溶融していない状態では、センサ22によって検知される合金片18と容器1の蓋部1aとの間の電圧は、所定の正常範囲にある。合金片18が溶融すると、センサ22の一方の端子22aがフローティングになるので、センサ22によって計測される電圧は、速やかに異常値を示すようになる。したがって、合金片18と容器1の蓋部1aとの間の電圧を監視することにより、合金片18が溶解したことを速やかに検知することができる。
【0058】
以上には、本発明の実施形態が様々に記述されているが、本発明は、上述の実施形態に限定して解釈してはならない。特に、上述の実施形態では、リチウムイオン二次電池について記述されているが、本発明が、熱暴走が発生し得る他の電池についても適用可能なことは、当業者には自明的であろう。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態のリチウムイオン二次電池の構成を示す側面図である。
【図2】図2は、第1の実施形態のリチウムイオン二次電池の動作を示す側面図である。
【図3】図3は、第1の実施形態のリチウムイオン二次電池の他の構成を示す側面図である。
【図4】図4は、第1の実施形態のリチウムイオン二次電池の更に他の構成を示す側面図である。
【図5】図5は、第1の実施形態のリチウムイオン二次電池の更に他の構成を示す側面図である。
【図6A】図6Aは、第1の実施形態のリチウムイオン二次電池の更に他の構成を示す側面図である。
【図6B】図6Bは、第1の実施形態のリチウムイオン二次電池の更に他の構成を示す側面図である。
【図7】図7は、本発明の第2の実施形態のリチウムイオン二次電池の構成を示す側面図である。
【図8】図8は、本発明の第2の実施形態のリチウムイオン二次電池の構成を示す上面図である。
【図9】図9は、本発明のリチウムイオン二次電池を組み込んだ電源システムの構成を示すブロック図である。
【図10】図10は、本発明のリチウムイオン二次電池の電源システムの動作の一例を示す図である。
【図11】図11は、本発明のリチウムイオン二次電池の電源システムの動作の一例を示す図である。
【図12】図12は、本発明のリチウムイオン二次電池の電源システムの動作の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
1、1A:容器
1a:蓋部
2:負極端子
3:正極端子
4、5:パッキング
6、6A、8:導通部材
7、9:絶縁部材
10:リチウムイオン二次電池
11:集電箔
12、13:導電片
14:抵抗素子
15:抵抗素子
16:絶縁部材
17:導通部材
18:合金片
19:流出防止部材
21:制御回路
22:センサ
23:インターロックスイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装体と、
前記外装体に取り付けられた正極端子と、
前記外装体に取り付けられた負極端子と、
前記正極端子と前記負極端子とを電気的に接続するための接続機構
とを具備する電池であって、
前記接続機構は、当該電池の温度上昇によって特定部材が溶融すると、前記正極端子と前記負極端子とが電気的に接続されるように構成されている
電池。
【請求項2】
請求項1に記載の電池であって、
前記外装体の少なくとも一部分の表面は導電性であり、
前記接続機構は、
前記負極端子に接合され、先端部が前記外装体に向かって付勢された第1導通部材と、
前記第1導通部材と前記外装体の間に設けられ、当該電池の温度上昇によって溶融可能に構成された第1絶縁部材
とを含み、
前記接続機構は、前記第1絶縁部材が溶融すると前記第1導通部材が前記外装体に接触し、前記第1導通部材と前記外装体とを介して前記正極端子と前記負極端子とを電気的に接続する
電池。
【請求項3】
請求項2に記載の電池であって、
前記第1導通部材は、抵抗素子を含む
電池。
【請求項4】
請求項2に記載の電池であって、
前記接続機構は、更に、
前記正極端子に接合され、先端部が前記外装体に向かって付勢された第2導通部材と、
前記第2導通部材と前記外装体の間に設けられ、当該電池の温度上昇によって溶融可能に構成された第2絶縁部材
とを含む
電池。
【請求項5】
請求項2に記載の電池であって、
更に、
前記正極端子は、直接リード線で、又は、抵抗素子を介して電気的に前記外装体に接続された
電池。
【請求項6】
請求項2に記載の電池であって、
前記第1絶縁部材は、当該電池が熱暴走を起こす温度よりも低い融点を有する絶縁材料で構成されている
電池。
【請求項7】
請求項6に記載の電池であって、
更に、
安全弁を備え、
前記第1絶縁部材の融点は、前記安全弁が作動する温度よりも低い
電池。
【請求項8】
請求項2に記載の電池であって、
前記第1絶縁部材は、平均分子量が1000以上であるポリエチレングリコール、クロトン酸、又は固形パラフィンのいずれかで構成された
電池。
【請求項9】
請求項1に記載の電池であって、
前記接続機構は、
前記負極端子に近接して設けられ、当該電池の温度上昇によって溶融可能な低融点合金で構成された合金片と、
前記合金片を包囲するように設けられた流出防止部材
とを備え、
前記流出防止部材は、前記合金片が溶融すると、前記合金片が溶融してできる液体合金によって前記負極端子と前記外装体とが電気的に接続されるように、前記液体合金を保持するように形成され、
前記接続機構は、前記合金片が溶融すると、前記液体合金と前記外装体とを介して前記正極端子と前記負極端子とを電気的に接続する
電池。
【請求項10】
請求項9に記載の電池であって、
前記合金片は、当該電池が熱暴走を起こす温度よりも低い融点を有する
電池。
【請求項11】
請求項10に記載の電池であって、
更に、
安全弁を備え、
前記合金片の融点は、前記安全弁が作動する温度よりも低い
電池。
【請求項12】
請求項2に記載の電池と、
制御回路
とを備え、
前記制御回路は、前記負極端子と前記外装体との間の電圧、前記負極端子と前記外装体との間で流れる電流、前記第1導通部材で生じる電圧降下、前記第1導通部材を流れる電流、又は前記第1導通部材の温度によって前記第1絶縁部材の溶融を検知し、前記第1絶縁部材の溶融の有無に応じて前記電池の運用を制御する
電源システム。
【請求項13】
請求項9に記載の電池と、
制御回路
とを備え、
前記制御回路は、前記負極端子と前記外装体との間の電圧、前記負極端子と前記外装体との間で流れる電流、又は前記合金片と前記外装体との間の電圧によって前記合金片の溶融を検知し、前記合金片の溶融の有無に応じて前記電池の運用を制御する
電源システム。
【請求項1】
外装体と、
前記外装体に取り付けられた正極端子と、
前記外装体に取り付けられた負極端子と、
前記正極端子と前記負極端子とを電気的に接続するための接続機構
とを具備する電池であって、
前記接続機構は、当該電池の温度上昇によって特定部材が溶融すると、前記正極端子と前記負極端子とが電気的に接続されるように構成されている
電池。
【請求項2】
請求項1に記載の電池であって、
前記外装体の少なくとも一部分の表面は導電性であり、
前記接続機構は、
前記負極端子に接合され、先端部が前記外装体に向かって付勢された第1導通部材と、
前記第1導通部材と前記外装体の間に設けられ、当該電池の温度上昇によって溶融可能に構成された第1絶縁部材
とを含み、
前記接続機構は、前記第1絶縁部材が溶融すると前記第1導通部材が前記外装体に接触し、前記第1導通部材と前記外装体とを介して前記正極端子と前記負極端子とを電気的に接続する
電池。
【請求項3】
請求項2に記載の電池であって、
前記第1導通部材は、抵抗素子を含む
電池。
【請求項4】
請求項2に記載の電池であって、
前記接続機構は、更に、
前記正極端子に接合され、先端部が前記外装体に向かって付勢された第2導通部材と、
前記第2導通部材と前記外装体の間に設けられ、当該電池の温度上昇によって溶融可能に構成された第2絶縁部材
とを含む
電池。
【請求項5】
請求項2に記載の電池であって、
更に、
前記正極端子は、直接リード線で、又は、抵抗素子を介して電気的に前記外装体に接続された
電池。
【請求項6】
請求項2に記載の電池であって、
前記第1絶縁部材は、当該電池が熱暴走を起こす温度よりも低い融点を有する絶縁材料で構成されている
電池。
【請求項7】
請求項6に記載の電池であって、
更に、
安全弁を備え、
前記第1絶縁部材の融点は、前記安全弁が作動する温度よりも低い
電池。
【請求項8】
請求項2に記載の電池であって、
前記第1絶縁部材は、平均分子量が1000以上であるポリエチレングリコール、クロトン酸、又は固形パラフィンのいずれかで構成された
電池。
【請求項9】
請求項1に記載の電池であって、
前記接続機構は、
前記負極端子に近接して設けられ、当該電池の温度上昇によって溶融可能な低融点合金で構成された合金片と、
前記合金片を包囲するように設けられた流出防止部材
とを備え、
前記流出防止部材は、前記合金片が溶融すると、前記合金片が溶融してできる液体合金によって前記負極端子と前記外装体とが電気的に接続されるように、前記液体合金を保持するように形成され、
前記接続機構は、前記合金片が溶融すると、前記液体合金と前記外装体とを介して前記正極端子と前記負極端子とを電気的に接続する
電池。
【請求項10】
請求項9に記載の電池であって、
前記合金片は、当該電池が熱暴走を起こす温度よりも低い融点を有する
電池。
【請求項11】
請求項10に記載の電池であって、
更に、
安全弁を備え、
前記合金片の融点は、前記安全弁が作動する温度よりも低い
電池。
【請求項12】
請求項2に記載の電池と、
制御回路
とを備え、
前記制御回路は、前記負極端子と前記外装体との間の電圧、前記負極端子と前記外装体との間で流れる電流、前記第1導通部材で生じる電圧降下、前記第1導通部材を流れる電流、又は前記第1導通部材の温度によって前記第1絶縁部材の溶融を検知し、前記第1絶縁部材の溶融の有無に応じて前記電池の運用を制御する
電源システム。
【請求項13】
請求項9に記載の電池と、
制御回路
とを備え、
前記制御回路は、前記負極端子と前記外装体との間の電圧、前記負極端子と前記外装体との間で流れる電流、又は前記合金片と前記外装体との間の電圧によって前記合金片の溶融を検知し、前記合金片の溶融の有無に応じて前記電池の運用を制御する
電源システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−76270(P2009−76270A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−242854(P2007−242854)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(000164438)九州電力株式会社 (245)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(000164438)九州電力株式会社 (245)
【Fターム(参考)】
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