説明

電池接続アセンブリ

【課題】製造コストを低減可能な電池接続アセンブリを提供する。
【解決手段】正極及び負極の電極端子12A,12Bを有する単電池10を複数個並べた単電池群2を有する電池モジュール1において、単電池群2を接続する電池接続アセンブリ20は、隣り合う単電池10の極性の異なる一対の電極端子12A,12B間を接続する複数の金属製の接続板材22と、隣り合う接続板材22,22の側縁部にそれぞれ取り付けられて接続板材22,22間を連結する樹脂製の連結部材30と、接続板材22または連結部材30に設けられ、隣り合う接続板材22,22間を仕切るとともに、全体が絶縁性材料から構成されるかまたは表面に絶縁性材料からなる第1絶縁層を有する絶縁仕切壁36と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池接続アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド車用の電池モジュールは、正極及び負極の電極端子を有する単電池を複数個、並べて配置した単電池群を備える。単電池群を構成する複数の単電池は、隣り合う単電池の電極端子間をバスバーなどの接続部材で接続することにより直列あるいは並列に接続されるようになっている。
【0003】
上記構成の電池モジュールを組み立てる際には、複数箇所の電極端子間を接続部材で接続する必要があるため、電極端子間にそれぞれ接続部材を接続する作業を繰り返すという煩雑な作業が必要になる。
【0004】
そこで、接続する電極端子間の数に応じて、インサート成形等により金型内に配置した複数の接続部材を樹脂内に一体成形した電池接続プレートを形成することが考えられる(たとえば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3990960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載されている電池接続プレートを用いると、複数の単電池から突出する複数の電極端子に1つの電池接続プレートを取り付けるだけで、隣り合う単電池の電極端子間を複数箇所についてまとめて接続することができ、作業効率を向上させることが可能になる。
【0007】
しかしながら、複数の接続部材を一体成形した電池接続プレート(一体型の接続プレートという)を用いる場合には、単電池の数が多くなると、電池接続プレートを成形するための金型が大型化し、そのためのコストが大きくなってしまう。また、単電池の数を変更する場合には、単電池の数に応じた長さの別の金型を新たに用意して、異なる長さの電池接続プレートを成形する必要が生じ、金型の形成等のコストが大きくなってしまう。さらに、一体型の接続プレートを作製する際には多量の樹脂材料を必要とする。したがって、上記のような一体型の接続プレートを用いる構成では、コスト高であることが問題となっていた。
【0008】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、製造コストを低減可能な電池接続アセンブリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するものとして、本発明は、正極及び負極の電極端子を有する単電池を複数個並べた単電池群を有する電池モジュールにおいて前記単電池群を接続するための電池接続アセンブリであって、隣り合う前記単電池の極性の異なる一対の電極端子間を接続する複数の金属製の接続板材と、隣り合う前記接続板材の側縁部にそれぞれ取り付けられて前記接続板材間を連結する樹脂製の連結部材と、前記接続板材または前記連結部材に設けられ、隣り合う前記接続板材間を仕切るとともに、全体が絶縁性材料から構成されるかまたは表面に絶縁性材料からなる第1絶縁層を有する絶縁仕切壁と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の電池接続アセンブリは、たとえば以下のようにして単電池群に接続される。まず、一対の電極端子間を接続する複数の接続板材を並べて、その側縁部を樹脂製の連結部材により連結する。次に、連結部材により連結された接続板材を、複数の端電池を並べてなる単電池群の電極端子が形成されている面に載置し、接続板材を電極端子に取り付けることにより電池接続アセンブリが単電池群に接続される。
【0011】
本発明においては、連結部材が樹脂で構成されており、絶縁仕切壁の全体または一部が絶縁性材料で構成され、接続板材は金属で構成されている。したがって、本発明によれば、一体型の接続プレートを用いて単電池を接続する場合よりも樹脂の使用量を大幅に減らすことができる。
また、本発明において、接続する単電池の個数を変更する場合には、接続板材の数と連結部材の数を変更すればよい。即ち、本発明においては、連結部材を作製するための金型を用意すればよく、単電池の接続個数が増えたとしても、その都度金型を用意する必要はない。その結果、本発明によれば、製造コストを低減することができる。
【0012】
なお、本発明の電池接続アセンブリは、隣り合う接続板材間を仕切る絶縁仕切壁を備えており、この絶縁仕切壁は全体が絶縁性材料で構成されているかまたはその表面に第1絶縁層を有するので、隣り合う接続板材間の短絡を防止することができる。
【0013】
本発明は以下の構成としてもよい。
前記接続板材または前記連結部材に設けられ、前記一対の電極端子に沿って起立するとともに、全体が絶縁性材料から構成されるか、または、少なくとも前記一対の電極端子とは反対側の面および端面に絶縁性材料からなる第2絶縁層を有する絶縁起立壁を備えていてもよい。
【0014】
たとえば、一つの面に正極と負極の電極端子が設けられている単電池を複数個、直列に並べてなる単電池群を接続する場合に、接続板材は2列に並んで配され、各電極端子が接続板材に接続される。この接続作業を行う際に、金属製の工具や金属製部品などが落下することなどにより電極端子同士がつながると短絡が懸念される。そこで、上記のような構成とすると、金属製部品などが落下したとしても、全体が絶縁性材料からなるか、または、少なくとも一対の電極端子とは反対側の面および端面に第2絶縁層を有する絶縁起立壁により、電極端子間の短絡を防止することができる。
【0015】
前記連結部材は、前記一対の電極端子が離れる方向に伸縮可能な弾性変形部を有し、前記弾性変形部には前記接続板材の側縁部に係合する係合爪が形成されていてもよい。
従来の一体型の接続プレートを電池モジュールに取り付ける場合、隣り合う単電池の電極端子の間隔に差があると、接続部材と電極端子との間に位置ずれが生じることがあり、このような場合には円滑な取付作業が阻害されるおそれがあった。さらに、電池モジュールを構成する単電池が、電池の並び方向に膨張・収縮することにより、電極端子の間隔の差が大きくなると、一体型の接続プレートでは接続部材と電極端子との間の位置ずれを十分に吸収できなくなるおそれがあった。
【0016】
しかし、上記のような構成とすると、連結部材が一対の電極端子が離れる方向に伸縮可能であるとともに、接続板材の側縁部に係合している弾性変形部により、位置ずれを吸収することができる。
【0017】
前記絶縁起立壁の少なくとも一部は、前記接続板材を折り曲げることにより起立させた起立壁の表面および端面に、前記第2絶縁層を形成して構成されていてもよい。
このような構成とすると、絶縁起立壁が接続板材と一体的に形成されているので、電流経路としても機能する。その結果、このような構成によれば、接続板材の板厚を薄くすることができる。
【0018】
前記絶縁仕切壁は前記連結部材と一体的に形成されていてもよい。このような構成とすると、仕切壁と連結部材とを一部材とすることができ、一つの金型で2つの機能を有する部材を作製することができる。
【0019】
前記弾性変形部は板状の樹脂を山形に折り返した形状に形成されて前記絶縁仕切壁として機能していてもよい。このような構成とすると、一部材で接続板材と電極端子との位置ずれを吸収する機能と、絶縁仕切壁としての機能とを持たせることができるので部品点数を減らすことができる。
【0020】
前記接続板材の側縁部には、前記連結部材の前記係合爪と係合するとともに、前記一対の電極端子が離れる方向に長い形状の係合孔が設けられていてもよい。このような構成とすると、接続板材に設けた係合孔により接続板材と電極端子との位置ずれを吸収可能となる。
【0021】
前記絶縁仕切壁の先端部および前記絶縁起立壁の先端部のうち少なくとも一方が、前記電極端子の先端よりも高い位置となるように設けられていてもよい。このような構成とすると、電極端子間の短絡や接続板材間の短絡を確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば製造コストを低減可能な電池接続アセンブリを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態1の電池接続アセンブリが組みつけられた電池モジュールを示す一部斜視図
【図2】電池モジュールの一部平面図
【図3】電池モジュールの一部側面図
【図4】電圧検知線を取り付けていない状態の電池モジュールを示す平面図
【図5】電池接続アセンブリの一部側面図
【図6】2個の接続板材を連結した状態を示す斜視図
【図7】2個の接続板材を連結した状態を示す平面図
【図8】図7のA−A線における一部断面図
【図9】図7のB−B線における一部断面図
【図10】連結部材と接続板材との接続関係を示す斜視図
【図11】接続板材の斜視図
【図12】連結部材の斜視図
【図13】実施形態2の電池接続アセンブリを構成する接続板材と連結部材の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0024】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図12によって説明する。
本実施形態の電池モジュール1は、例えば、電気自動車またはハイブリッド自動車等の駆動源として使用されるものであり、図1および図2に示すように、1列の単電池群2を接続する電池接続アセンブリ20を備える。以下では、上下方向については図3を基準として説明する。
【0025】
単電池群2は、複数の単電池10を縦列させてなる。単電池群2を構成する単電池10は、内部に図示しない発電要素が収容された本体部11と、本体部11の上端面11A(端子形成面11A)から垂直に突出するボルト状の電極端子12A,12B(正極を12A,負極を12Bとして図示)と、を有する。
【0026】
互いに隣り合う単電池10の電極端子12A,12Bの極性(正負)は、逆になるように配置されており、これにより、互いに異極の電極端子12A,12Bが隣り合うように構成されている。これら複数の単電池10は図示しない保持板によって固定されるようになっている。
【0027】
電池接続アセンブリ20は、図2に示すように、単電池10の隣り合う極性の異なる一対の電極端子12A,12B間を電気的に接続する金属製の接続板材22と、隣り合う接続板材22,22の側縁部にそれぞれ取り付けられて接続板材22,22間を連結する樹脂製の連結部材30と、電極端子12A,12Bに接続される電圧検知線29と、を備える。
【0028】
複数の接続板材22は、連結部材30により連結された状態で図2の左右方向(単電池10の並び方向)に並列して配置されており、単電池群2の上側面に2列に並んで配置されている。ここで、単電池群2に配置されている2つの接続板材列21A,21Bのうち図2の奥側の接続板材列を21Aとし、図2の手前側の接続板材列を21Bとする。
【0029】
単電池群2に配置されている2つの接続板材列21A,21Bには、それぞれ、電圧検知線29を収容するC字状の検知線収容部材40が載置されている。検知線収容部材40は、樹脂材料からなり、電極端子12A,12B側に開口部40Aを配して、接続板材22の起立壁24A(詳細は後述する)に設けた部材固定孔25に挿通させたタイバンド41により固定されている(図1ないし図3を参照)。
【0030】
図2の奥側の接続板材列21Aには同形同大の複数の接続板材22が配置されている。これら複数の接続板材22を第1接続板材22Aとする。図2の手前側の接続板材列21Bを構成する複数の接続板材22のうち、端部の接続板材22Bは第1接続板材22Aの略半分の大きさである。この端部の接続板材22Bを第2接続板材22Bとする。
【0031】
接続板材列21Bを構成する複数の接続板材22のうち、端部の接続板材22B以外は、接続板材列21Aを構成する第1接続板材22Aと同形同大であるので、これらも第1接続板材22Aとする。2種類の接続板材22A,22Bを区別するときは、第1接続板材22A、第2接続板材22Bとし、これらを区別しない場合には接続板材22という。
【0032】
第1接続板材22Aの長手方向の寸法は、図2および図4に示すように、2個の単電池10の幅方向の寸法よりわずかに小さくなっており、これにより複数の第1接続板材22Aを並べた際に第1接続板材22A,22A間にはわずかに隙間ができるようになっている。
【0033】
接続板材22は、銅、銅合金、ステンレス鋼(SUS)等の金属を、略コの字状に折り曲げてなる。詳しくは各接続板材22は、単電池10の端子形成面11Aに載置される上面視方形状の底壁部23と、底壁部23に対して略垂直に起立する一対の起立壁24(24A,24B)と、を有している。接続板材22の底壁部23には、電極端子12A,12Bを挿通可能な端子挿通孔23A,23Bが形成されている。詳しくは、第1接続板材22Aの底壁部23には一対の電極端子12A,12Bが挿通される2つの端子挿通孔23A,23Bが設けられており、第2接続板材22Bの底壁部23には端子挿通孔23Aが1つだけ設けられている。
【0034】
また、接続板材22の底壁部23の側縁部には、図6および図7に示すように、形状の相違する2種類の孔23C,23D(長円形の孔23Cと方形状の孔23D)が形成されている。これらの孔23C,23Dは連結部材30に形成された係合爪35,33を係合する係合孔23C,23Dとして機能する。長円形状係合孔23Cは、一対の電極端子12A,12Bが離れる方向(単電池10の並び方向)に長い形状であり、接続板材22と電極端子12A,12Bとの間の位置ずれを吸収可能とされる。
【0035】
第1接続板材22Aの端子挿通孔23A,23Bに挿通された2つの電極端子12A,12Bのうち一方の電極端子および第2接続板材22Bの端子挿通孔23Aに挿通された電極端子12Aには、電圧検知端子28が接続されており、電圧検知端子28にはそれぞれ電圧検知線29が溶接により接続されている。電圧検知線29は、詳細は図示しないが、導体(芯線)が絶縁層で覆われた被覆電線であり、その端末(電圧検知端子28との接続部分)では、絶縁層が剥ぎ取られて芯線が露出している。電圧検知線29は、検知線収容部材40に集められて図示しない電池ECUに接続される。この電池ECUは、マイクロコンピュータ、素子等が搭載されたものであって、単電池10の電圧・電流・温度等の検知、各単電池10の充放電コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0036】
接続板材22の底壁部23から起立する一対の起立壁24A,24Bは電極端子12A,12Bに沿って起立している。一対の起立壁24A,24Bは、その先端が、図3に示すように、電極端子12A,12Bの先端よりも高い位置に配されるように設けられている。一対の起立壁24A,24Bのうち単電池群2の外側方向に配される起立壁24A(外側起立壁24A)には、図3および図5に示すように方形状の孔25が2つずつ形成されている。この方形状の孔25は上述したタイバンド41を挿通させる部材固定孔25である。接続板材22の一対の起立壁24A,24Bのうち、単電池群2の内側方向に配される起立壁24B(内側起立壁24B)の下端部241Bの一部は方形状に切り欠かれており、これにより、連結部材30との干渉を防いでいる。以下の記載において2つの起立壁24A,24Bを区別せずに説明する場合には起立壁24とする。
【0037】
さて、一対の起立壁24A,24Bの電極端子12A,12B側の面およびその反対側の面、ならびに、その上端面には、それぞれ絶縁性材料からなる絶縁層26(第2絶縁層26)が形成されている。接続板材22において絶縁層26が形成されている様子を、図11に模式的に示した。図11において、絶縁層26が形成されている部分は網かけで示されている。絶縁層26を形成する絶縁材料としては、ポリ塩化ビニリデン(PVC)、エポキシ樹脂などがあげられる。
【0038】
接続板材22に絶縁層26を形成する方法としては、絶縁性材料からなるテープを貼着する方法、絶縁性材料からなる塗料を接続板材22の所定領域に塗布する方法などが挙げられる。ここで、絶縁性材料からなる塗料を塗布する場合には、底壁部23に相当する部分をマスクしておき、起立壁24に相当する部分に塗料を塗布するようにすれば、起立壁24のみに絶縁層26が形成される。
【0039】
次に、複数の接続板材22を連結する樹脂製の連結部材30について説明する。連結部材30を構成する樹脂としては、たとえば、ポリプロピレンなどの絶縁性の樹脂材料があげられる。
連結部材30は、図12に示すように、板状の樹脂を山形に折り返した形状(山形状)をなす部分34(山形部34)と、中央部分が下方に凹んで溝状をなす部分31(溝状部31)とが一体的に連なった構成の部材である。
【0040】
溝状部31には検知線収容部材40が載置されるようになっている(図2を参照)。溝状部31の溝部分32は、一対の電極端子12A,12Bが離れる方向に伸縮可能に弾性変形するようになっている(弾性変形部に相当)。溝状部31の下端部には図12に示すように接続板材22の底壁部23の方形状係合孔23Dに係合する係合爪33(第1係合爪33)が設けられている(係合状態は図8を参照)。
【0041】
山形部34は、隣り合う接続板材22,22間を仕切る絶縁仕切壁36として機能する部分であり、詳細は図示しないが、山形部34の先端34Aは電極端子12A,12Bの先端よりも高い位置に配されるようになっている。また、山形部34は、溝状部31と同様に、一対の電極端子12A,12Bが離れる方向に伸縮可能に弾性変形するようになっている(弾性変形部に相当)。さらに、山形部34の下端部には、図12に示すように、接続板材22の底壁部23の長円形状係合孔23Cに係合する係合爪35(第2係合爪35)が設けられている(係合状態は図9を参照)。
【0042】
次に、本実施形態の電池接続アセンブリ20の組立及び取り付け方法について説明する。所定個数の単電池10を用意し、単電池10を端子形成面11Aを上側に配して並べて単電池群2を作製する。
【0043】
単電池群2を構成する単電池10の数に合わせて用意した複数個の接続板材22を連結部材3030で連結して一括することで接続板材列21A,21Bを作製する。ここで、図2の奥側の接続板材列21Aを作製する際には、所定数の第1接続板材22Aを連結部材30で連結し、図2の手前側の接続板材列21Bを作製する際には、第2接続板材22Bを端部に配置して端部以外の接続板材22として所定数の第1接続板材22Aを配置して連結部材30により連結する。
【0044】
連結部材30による接続板材22の連結作業を詳しく説明する。図10に示すように、隣り合う接続板材22,22の間に連結部材30を配し、溝状部31の第1係合爪33を連結部材30の側縁に設けた方形状係合孔23Dに挿入し、山形部34の第2係合爪35を連結部材30の側縁に設けた長円形状係合孔23Cに挿入する。各係合爪33,35は弾性変形しながら各係合孔23D,23Cに挿入され、所定位置まで挿入されると、各係合爪33,35が対応する係合孔23D,23Cと係合する。
【0045】
次に、一括した複数の接続板材22を、端子挿通孔23A,23Bと電極端子12A,12Bとを対応させて、一括した接続板材22を単電池群2の上面に配置し、接続板材22の端子挿通孔23A,23Bに各電極端子12A,12Bを挿通させる。ここで、接続板材22が接続される一対の電極端子12A,12Bの間隔に差があったとしても、連結部材30の山形部34および溝状部31が弾性変形して吸収し、接続板材22の長円形係合孔23Cも電極端子12A,12Bの間隔の差を吸収するので、取り付け作業を円滑に行うことができる。
【0046】
ところで、本実施形態の電池接続アセンブリ20は、一つの面11Aに正極と負極の電極端子12A,12Bが設けられている単電池10を複数個、直列に並べた単電池群2に対して接続される。本実施形態においては、接続板材22は2列に並んで配されるため、各電極端子12A,12Bを接続板材22に接続する接続作業を行う際に、金属製の工具や金属製部品などが落下することなどにより別の列の電極端子12A,12Bがつながることに起因する短絡が懸念される。
【0047】
しかしながら、本実施形態では、隣り合う接続板材22,22間を仕切る絶縁仕切壁36(絶縁樹脂製の山形部34)と、一対の電極端子12A,12Bに沿って起立する絶縁製の起立壁24(絶縁起立壁)とが設けられており、しかも、絶縁仕切壁36および絶縁起立壁24はともに、その先端が電極端子12A,12Bの先端よりも高い位置となるように設けられているので、金属製の工具などの落下に起因する電極端子12A,12B間の短絡が発生しにくくなっている。
【0048】
次に、所定の電極端子12A,12Bに電圧検知線29を接続した電圧検知端子28を配置した後、端子挿通孔23A,23Bに挿通させた電極端子12A,12Bにナット(図示せず)を螺合させて締め付けることにより電極端子12A,12Bと接続板材22とを接続する。次に電圧検知線29を検知線収容部材40に収容し、この検知線収容部材40を、部材固定孔25に挿通させたタイバンド41で固定すると、本実施形態の電池接続アセンブリ20が単電池群2に接続され、電池モジュール1が完成する。
【0049】
次に,本実施形態の作用・効果について説明する。
本実施形態においては、絶縁仕切壁36を有する連結部材30が絶縁性の樹脂で構成されており、接続板材22は金属で構成されており、接続板材22を折り曲げて形成された一対の起立壁24A,24Bの表面には絶縁層26が形成されている。したがって、本実施形態の電池接続アセンブリ20においては、連結部材30を作製するため、および、起立壁24の表面の絶縁層26を形成するために、樹脂を使用するだけであり、一体型の接続プレートを用いて単電池10を接続する場合よりも樹脂の使用量を大幅に減らすことができる。
【0050】
また本実施形態において、接続する単電池10の個数を変更する場合には、接続板材22の数と連結部材30の数を変更すればよい。即ち、本実施形態においては、連結部材30を作製するための金型を用意すればよく、単電池10の接続個数が増えたとしても、その都度金型を用意する必要はない。その結果、本実施形態によれば、製造コストを低減することができる。
また、本実施形態によれば、連結部材30が隣り合う接続板材22間を仕切る絶縁仕切壁36を備えているので、隣り合う接続板材22間の短絡を防止することができる。
【0051】
また、本実施形態においては、接続板材22が、一対の電極端子12A,12Bに沿って起立するとともに、その表面および端面に絶縁性材料からなる第2絶縁層26を有する絶縁起立壁24を備えるから、金属製の工具などが落下したとしても、電極端子12A,12B間の短絡の発生を防止することができる。特に、本実施形態によれば、絶縁仕切壁36の先端部および絶縁起立壁24の先端部の双方が、電極端子12A,12Bの先端よりも高い位置となるように設けられているから、電極端子12A,12B間の短絡や接続板材22,22間の短絡を確実に防止することができる。
【0052】
ところで、従来の一体型の接続プレートを電池モジュールに取り付ける場合、隣り合う単電池の電極端子の間隔に差があると、接続部材と電極端子との間に位置ずれが生じることがあり、このような場合には円滑な取付作業が阻害されるおそれがあり、電池モジュールを構成する単電池が、電池の並び方向に膨張・収縮することにより、電極端子の間隔の差が大きくなると、接続部材と電極端子との間の位置ずれを十分に吸収できなくなるおそれがあった。
【0053】
これに対して、本実施形態では、連結部材30は、一対の電極端子12A,12Bが離れる方向に伸縮可能な溝状部31および山形部34(弾性変形部)を有し、溝状部31および山形部34には、接続板材22の側縁部の係合孔23D,23Cに係合する係合爪33,35が形成されているから、連結部材30が一対の電極端子12A,12Bが離れる方向に伸縮可能であるとともに、接続板材22の側縁部に係合している弾性変形部31,34により、位置ずれを吸収することができる。
特に本実施形態では、接続板材22の側縁部に、連結部材30の第2係合爪35と係合するとともに、一対の電極端子12A,12Bが離れる方向に長い形状の長円形状係合孔23Cが設けられているから、接続板材22と電極端子12A,12Bとの位置ずれを確実に吸収することができる。
【0054】
また、本実施形態においては、絶縁起立壁24が、接続板材22を折り曲げることにより起立させた起立壁24の表面および端面に、第2絶縁層26を形成して構成されているから、絶縁起立壁24が接続板材22と一体的に形成されており、電流経路としても機能する。その結果、本実施形態によれば、接続板材22の板厚を薄くすることができる。
【0055】
また、本実施形態によれば、絶縁仕切壁36は連結部材30を兼ねて形成されているから、絶縁仕切壁36と連結部材30とを一部材とすることができ、一つの金型で2つの機能を有する部材を作製することができる。
【0056】
さらに本実施形態によれば、山形部34が絶縁仕切壁36として機能するから、一部材で接続板材22と電極端子12A,12Bとの位置ずれを吸収する機能と、絶縁仕切壁36としての機能とを持たせることができるので部品点数を減らすことができる。
【0057】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2の電池接続アセンブリ50を図13によって説明する。
本実施形態は、絶縁仕切壁を連結部材60ではなく、接続板材52に設けた点、連結部材60の形状などが実施形態1と相違する(図13を参照)。上記実施形態1と同様の構成部位については同一符号を付して重複する記載は省略する。
【0058】
本実施形態においては、図13に示すように一対の起立壁54A,54Bのうち、内側起立壁54Bが外側起立壁54Aよりも長く設定されており、接続板材52の側縁52Aに相当する位置で略垂直に折り曲げられている。接続板材52の側縁52Aに相当する位置で折り曲げられた部分55は、隣り合う接続板材52,52間を仕切る仕切壁55として機能する部分である。なお、本実施形態の一対の起立壁54A,54Bの表面と端面には、詳細は図示しないが、絶縁材料からなる絶縁層が形成されており、仕切壁55として機能する部分にも絶縁層(第1絶縁層)が形成されているので、仕切壁55は絶縁性の絶縁仕切壁55として機能する。
【0059】
接続板材52の底壁部53の側縁52Aには、同形同大の長円状係合孔53C,53Cが2つずつ形成されている。この2つずつ形成された長円状係合孔53C,53Cには、それぞれ連結部材60の係合爪63が係合するようになっている。
【0060】
連結部材60は中央が凹んだ側面視V字状の部材であり、中央のV字状の部分60Aが、一対の電極端子12A,12Bが離れる方向に伸縮可能に弾性変形するようになっている(弾性変形部に相当)。
【0061】
次に本実施形態の作用・効果について説明する。
本実施形態においては、連結部材60が樹脂から構成され、金属製の接続板材52のうち、一対の起立壁54A,54Bおよび仕切壁55に相当する部分の表面と端面に絶縁層が形成されている。したがって、本実施形態の電池接続アセンブリ50においては、実施形態1と同様に、連結部材60を作製するためと、起立壁54A,54Bの表面の絶縁層を形成するために、樹脂を使用するだけであり、一体型の接続プレートを用いて単電池10を接続する場合よりも樹脂の使用量を大幅に減らすことができる。
【0062】
本実施形態においても、連結部材60に弾性変形部60Aが設けられており、係合孔53Cの形状が一対の電極端子12A,12Bが離れる方向に長い形状をなしているので、電極端子12A,12B間の位置ずれを吸収することが可能である。
【0063】
さらに、本実施形態では、実施形態1と比較すると非常に簡易な形状の連結部材60を備えるので、樹脂使用量をさらに減らすことができ、金型形状も簡易なものとすることができる。
【0064】
加えて、本実施形態では、金属材料で構成される部分の割合が増えるので、電流経路として機能する部分が増える。その結果、本実施形態によれば、接続板材52の板厚を薄く設定することができる。
【0065】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、絶縁起立壁を接続板材の一部を折り曲げて形成したものを示したが、樹脂製の連結部材の一部を延長させて一対の電極端子に沿うような構成の絶縁起立壁であってもよい。
(2)上記実施形態では、一対の起立壁の両側面と端面に絶縁層が形成されている絶縁起立壁を備えるものを示したが、これに限定されない。絶縁層は、一対の起立壁のうち、一方の起立壁にのみ形成されていてもよいし、電極端子とは反対側の面と、端面とに形成されているだけでもよい。
(3)上記実施形態では、連結部材の弾性変形部と、接続板材の長円形状の係合孔とにより位置ずれを吸収する構成としたが、いずれか一方のみを備える構成であってもよい。
(4)上記実施形態では、連結部材の端部に係合爪を備える構成としたが、接続板材の側縁に取り付け可能な構成であればこれに限定されない。たとえば接続板材に係合爪を設け、連結部材に係合孔を設けたような構成であってもかまわない。
(5)上記実施形態では、その先端が電極端子の先端よりも高い位置に配されるように設けられた絶縁起立壁および絶縁仕切壁を備えるものを示したが、いずれか一方のみにおいて、その先端が電極端子の先端よりも高い位置に配されるように設けられていてもよいし、双方において、その先端が電極端子の先端以下の低い位置に配されるように設けられていてもよい。
(6)上記実施形態では、単電池群として1列のものを示したが、単電池群は2列以上であってもよい。
(7)上記実施形態では、単電池として一つの面から正極および負極の電極端子が形成されている構成のものを示したが、正極および負極の電極端子が別々の面に形成されている構成の端電池であっても、本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1…電池モジュール
2…単電池群
10…単電池
12A…(正極)電極端子
12B…(負極)電極端子
20,50…電池接続アセンブリ
22,52…接続板材
22A…第1接続板材
22B…第2接続板材
23,53 底壁部
23A,23B,53A,53B…端子挿通孔
23C,53C…長円形状係合孔
23D…方形状係合孔
24,54…起立壁
24A,54A…外側起立壁
24B,54B…内側起立壁
26…絶縁層(第2絶縁層)
30,60…連結部材
31…溝状部
32…溝部分(弾性変形部)
33…第1係合爪
34…山形部(絶縁仕切壁、弾性変形部)
34A…山形部の先端
35…第2係合爪
36…絶縁仕切壁
55…絶縁仕切壁
60…連結部材
60A…V字部分(弾性変形部)
63…係合爪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極及び負極の電極端子を有する単電池を複数個並べた単電池群を有する電池モジュールにおいて前記単電池群を接続するための電池接続アセンブリであって、
隣り合う前記単電池の極性の異なる一対の電極端子間を接続する複数の金属製の接続板材と、
隣り合う前記接続板材の側縁部にそれぞれ取り付けられて前記接続板材間を連結する樹脂製の連結部材と、
前記接続板材または前記連結部材に設けられ、隣り合う前記接続板材間を仕切るとともに、全体が絶縁性材料から構成されるかまたは表面に絶縁性材料からなる第1絶縁層を有する絶縁仕切壁と、を備えることを特徴とする電池接続アセンブリ。
【請求項2】
前記接続板材または前記連結部材に設けられ、前記一対の電極端子に沿って起立するとともに、全体が絶縁性材料から構成されるか、または、少なくとも前記一対の電極端子とは反対側の面および端面に絶縁性材料からなる第2絶縁層を有する絶縁起立壁を備えることを特徴とする請求項1に記載の電池接続アセンブリ。
【請求項3】
前記連結部材は、前記一対の電極端子が離れる方向に伸縮可能な弾性変形部を有し、前記弾性変形部には前記接続板材の側縁部に係合する係合爪が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電池接続アセンブリ。
【請求項4】
前記絶縁起立壁の少なくとも一部は、前記接続板材を折り曲げることにより設けられた起立壁の表面および端面に、前記第2絶縁層を形成して構成されることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の電池接続アセンブリ。
【請求項5】
前記絶縁仕切壁は前記連結部材と一体的に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の電池接続アセンブリ。
【請求項6】
前記弾性変形部は板状の樹脂を山形に折り返した形状に形成されて前記絶縁仕切壁として機能することを特徴とする請求項3ないし請求項5のいずれか一項に記載の電池接続アセンブリ。
【請求項7】
前記接続板材の側縁部には、前記連結部材の前記係合爪と係合するとともに、前記一対の電極端子が離れる方向に長い形状の係合孔が設けられていることを特徴とする請求項3ないし請求項6のいずれか一項に記載の電池接続アセンブリ。
【請求項8】
前記絶縁仕切壁の先端部および前記絶縁起立壁の先端部のうち少なくとも一方が、前記電極端子の先端よりも高い位置となるように設けられていることを特徴とする請求項2ないし請求項7のいずれか一項に記載の電池接続アセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−164437(P2012−164437A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22011(P2011−22011)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】