説明

電池接続ユニット及び電源装置

【課題】2つ以上の検出線を含むフレキシブル配線材に接続されるバスバー同士の短絡を防止する。
【解決手段】本発明の電池接続ユニットは、所定の方向に並んで配置される単電池間の各電極端子を電気的に接続する端子間接続部材と、隣り合う端子間接続部材それぞれと接続される少なくとも2つ以上の検出線を含むフレキシブル配線材と、端子間接続部材及び検出線を接続し、端子間接続部材が隣り合う方向に離間してフレキシブル配線材上に配置される接合部とを含み、フレキシブル配線材が各接合部の間に対応する領域に曲げ部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組電池を構成する複数の単電池間を接続する電池接続ユニット及び電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2次電池等の組電池は、単電池を一方向に複数並べて構成することができ、単電池間がバスバー(端子間接続部材)によって電気的に接続される。
【0003】
組電池の個々の単電池の電圧、複数の単電池を複数のブロック(例えば、2つ以上の単電池のブロック)に分けたときの電圧、又は/及び組電池全体の電圧を検出するために、バスバーには電圧検出線に接続される。電圧検出線は、例えば、FFC(フレキシブルフラットケーブル)やFPC(フレキシブルプリントサーキット)のフレキシブル配線材を用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−018473号公報
【特許文献2】特開2010−257762号公報
【特許文献3】特開2006−331957号公報
【特許文献4】特開2000−333343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バスバーとフレキシブル配線材とは溶接等により電気的に接続される。2つ以上の複数の電圧検出線を含む1つのフレキシブル配線材と対応する各バスバーとを接続する場合、電圧検出線に接続されるバスバーとの接合部それぞれが、フレキシブル配線材上に配置されるので、結露が発生すると、フレキシブル配線材上の接合部同士、すなわち、隣り合うバスバー同士が短絡することがある。
【0006】
本発明は、2つ以上の検出線を含むフレキシブル配線材に接続される端子間接続部材同士の短絡を防止する電池接続ユニット及び電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数の単電池が所定の方向に並んで配置される組電池の単電池間を接続する電池接続ユニットであり、前記単電池間の各電極端子を電気的に接続する端子間接続部材と、前記所定の方向に隣り合う前記端子間接続部材それぞれと接続される少なくとも2つ以上の検出線を含むフレキシブル配線材と、前記端子間接続部材及び前記検出線を接続し、前記端子間接続部材が隣り合う方向に離間して前記フレキシブル配線材上に配置される接合部と、を含み、前記フレキシブル配線材が、前記フレキシブル配線材上に配置された各接合部の間に対応する領域に、曲げ部を有することを特徴とする。
【0008】
また、前記所定の方向に隣り合う前記端子間接続部材それぞれを保持する保持部を複数備え、前記保持部間に所定の間隙を形成する間隙形成部によって各保持部が連結された保持部材をさらに含むことができ、前記曲げ部は、前記フレキシブル配線材の前記間隙に対応する領域に設けるように構成することができる。
【0009】
また、前記曲げ部は、前記フレキシブル配線材上の前記接合部が位置する面から前記フレキシブル配線材の下方に凹状に形成することができる。また、前記曲げ部は、前記フレキシブル配線材の幅方向に傾斜するように構成することができる。
【0010】
また、前記フレキシブル配線材は、前記フレキシブル配線材上に配置された各接合部の間に対応する領域以外の領域を平面状に形成することができる。さらに、前記フレキシブル配線材を、複数の前記フレキシブル配線材を積層して構成することができ、第1フレキシブル配線材に設けられる第1の前記曲げ部の曲げ深さが、前記第1フレキシブル配線材上に積層される第2フレキシブル配線材に設けられる第2の前記曲げ部の曲げ深さよりも大きく構成することができる。
【0011】
さらに、本発明の電源装置は、複数の単電池が所定の方向に並んで配置され、隣り合う2つの単電池の間に絶縁材料で形成された仕切り部材を有する組電池と、前記組電池の単電池間を接続する電池接続ユニットと、を含み、前記電池接続ユニットが、前記単電池間の各電極端子を電気的に接続する端子間接続部材と、前記所定の方向に隣り合う前記端子間接続部材それぞれと接続される複数の検出線を含むフレキシブル配線材と、前記端子間接続部材及び前記検出線を接続し、前記端子間接続部材が隣り合う方向に離間して前記フレキシブル配線材上に配置される接合部と、前記フレキシブル配線材に形成され、前記フレキシブル配線材上に配置された各接合部の間に対応する領域に形成される曲げ部と、を有する。そして、前記仕切り部材が、前記曲げ部から流れ出る結露水が導かれる流入孔と、前記仕切り部材の外部に前記結露水を排出させるための排出孔と、を有することを特徴とする。
【0012】
上記電源装置の前記曲げ部は、前記仕切り部材に対応する領域に設けられるように構成できる。また、前記電池接続ユニットは、前記所定の方向に隣り合う前記端子間接続部材それぞれを保持する保持部を複数備え、前記保持部間に所定の間隙を形成する間隙形成部によって各保持部が連結された保持部材をさらに含むことができ、前記流入孔が、前記フレキシブル配線材が設置される前記仕切り部材上部であって、前記間隙に対応する位置に形成されるように構成することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、フレキシブル配線材上に配置される端子間接続部材と検出線とを接続する各接合部の間に対応する領域に曲げ部を有するので、結露による短絡を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1の電池接続ユニットの平面図である。
【図2】図1のA−A断面におけるフレキシブル配線材の断面図である。
【図3】実施例1の組電池と電池接続ユニットの外観図である。
【図4】実施例1の電池接続ユニットが設置された組電池の平面図である。
【図5】単電池間に配置される仕切り部材の正面図である。
【図6】実施例1の電池システムの一部の構成を示す図である。
【図7】実施例2の電池接続ユニットのフレキシブル配線材の一例である。
【図8】実施例3の電池接続ユニットのフレキシブル配線材の一例である。
【図9】実施例3の電池接続ユニットのフレキシブル配線材の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0016】
(実施例1)
図1から図6は、実施例1を示す図である。図1は、本実施例の電池接続ユニット10の平面図である。
【0017】
電池接続ユニット10は、複数の単電池20が一定の方向に積層されて並んで構成される組電池30に設けられ、単電池20間を直列に接続する複数のバスバー11と、各バスバー11を保持する保持部材12と、少なくとも2つ以上の電圧検出線13aが配列されたフレキシブル配線材13とを含んで構成される。
【0018】
バスバー11は、X方向に並んで配置された隣り合う単電池20間の正極端子と負極端子とを電気的に接続する導電性の端子間接続部材であり、組電池30を構成する複数の単電池20の個数に応じて複数配置される。
【0019】
1つのバスバー11は、一方の単電池20の電極端子21(正極又は負極)が挿通する挿通孔11a及び他方の単電池20の電極端子22(負極又は正極)が挿通する挿通孔11bが形成される基部11dと、基部11dから延設され、フレキシブル配線材13に接続される接合部11cとを含んで構成される。挿通孔11aと挿通孔11bとは、接続する単電池20間の各電極端子が配置される間隔に応じて離間している。
【0020】
接合部11cは、バスバー11の基部11dから所定の方向、例えば、バスバー11に対してフレキシブル配線材13が配置される方向(Y方向)に延びる細長い板状の導電性部材である。なお、基部11dと接合部11cとを一体的に形成したり、接合部11cを別部材で構成することができる。接合部11cは、バスバー11とフレキシブル配線材13の電圧検出線13aとを電気的に接続する電気接合部である。
【0021】
図1の例では、複数のバスバー11が、挿通孔11a、11bに挿通される各単電池20の電極端子が並んで配置されるX方向に、複数並んで配置される。フレキシブル配線材13は、バスバー11の基部11dからX方向に直交するY方向にずれた位置で、複数のバスバー11が並んで配置される方向に平行に配置される。
【0022】
つまり、フレキシブル配線材13は、隣り合って配置される複数のバスバー11の配列方向(X方向)に対して略平行に配置され、後述する保持部材12とフレキシブル配線材13とが、略平行して配置される。
【0023】
また、フレキシブル配線材13は、組電池30に電池接続ユニット10が接続された状態において、組電池30の周方向外側に向かう方向、すなわち、組電池30のバスバー11の取り付け位置よりも組電池30の縁部方向外側に配置される。接合部11cは、基部11dからY方向に突出し、X方向に延びるフレキシブル配線材13に対して直交するように、フレキシブル配線材13上に配置される。
【0024】
保持部材12は、単電池20が並んで配置される方向に配置される複数のバスバー11それぞれを保持する樹脂等の絶縁材で形成されたホルダーである。保持部材12は、バスバー11の基部11dを収容する保持部12aを含み、隣り合う保持部12aが間隙形成部12bによって連結されている。間隙形成部12bは、バスバー11が隣り合う方向に所定長さの隙間Sを保持部12a間に形成するアーチ状の部材であり、間隙形成部12bによって、X方向に隣り合う保持部12aそれぞれが、間隙Sを介して連結している。
【0025】
間隙形成部12bは、組電池30に接続される電池接続ユニット10の公差吸収部としての機能を担う。組電池30は、単電池20の積層方向の厚みの各寸法公差などによって積層方向の長さ、すまわち、隣り合うバスバー11間の距離が変動する。間隙形成部12bは、複数の単電池20が一定の方向に並んで配置される組電池30に対する各バスバー11の位置変動を吸収する公差吸収部として機能し、アーチ状の間隙形成部12bによって形成された間隙Sが、隣り合うバスバー11同士の距離に応じて狭くなったり、広くなったりすることで、組電池30に対する適切な電池接続ユニット10の接続を提供する。
【0026】
フレキシブル配線材13は、少なくとも2つ以上の電圧検出線13aを含んで構成される。例えば、所定の長さ方向に延びる複数の銅線(電圧検出線)を平行に配置し、塩化ビニルなどの絶縁材で被覆したFFC(フレキシブルフラットケーブル)や、フレキシブル基板上に電圧検出線13aをエッチングで形成したFPC(フレキシブルプリントサーキット)を用いることができる。本実施例では、電圧検出線13aが所定の長さ方向に複数平行に設けられるFFCを一例に説明する。
【0027】
フレキシブル配線材13は、複数のバスバー11が隣り合って配置される方向(X方向)に長尺状に形成され、複数の各電圧検出線13aが、フレキシブル配線材13の幅方向(Y方向)に所定の間隔で配置される。電圧検出線13aは、X方向に延び、後述するフレキシブル配線材13のX方向終端に設けられる接続アダプタ13fを介して所定の機器に接続される。なお、所定の間隔で配置される電圧検出線13aそれぞれは、樹脂等の絶縁部材で被覆されており、電圧検出線13aは互いに絶縁されている。
【0028】
電圧検出線13aは、バスバー11と接続する接合部11cと溶接等によって電気的に接続される。バスバー11の接合部11cは、X方向に延びる電圧検出線13aに対して直交するようにフレキシブル配線材13上に配置される。図1の例では、接合部11cが、電圧検出線13aが複数平行に配置されるフレキシブル配線材の幅方向(Y方向)に横たわるように位置し、接合部11cと対応する電圧検出線とが溶接(例えば、抵抗溶接など)されて、バスバー11とフレキシブル配線材13とが接続される。
【0029】
フレキシブル配線材13は、接合部11cが配置されるフレキシブル配線材13の表面13bから厚さ方向(Z方向)に凹状に形成された曲げ部13dが設けられている。曲げ部13dは、隣り合うバスバー11同士の間、つまり、フレキシブル配線材13の表面13b上に配置される接合部11c間に相当する領域に形成される屈曲部である。
【0030】
曲げ部13dは、フレキシブル配線材13の幅方向(Y方向)に曲げ幅Dで当該幅方向全体に形成されている。曲げ部13dの底部13eは、幅方向にわたって少なくともフレキシブル配線材13上に配置される接合部11cが位置する表面13bよりも下方に位置している。このため、フレキシブル配線材13の表面13b上に発生した結露水は、表面13bから曲げ部13dに導かれてフレキシブル配線13上からZ方向に流れ落ち、フレキシブル配線材13上に配置される接合部11c同士、すなわち、隣り合うバスバー11同士が結露水によって短絡することを防止することができる。
【0031】
また、図1に示すように、曲げ部13dは、フレキシブル配線材13とバスバー11とが接続された状態において、保持部材12の間隙Sが設けられる位置と同じ位置に形成することができる。つまり、間隙Sと曲げ部13dとが、Y方向において同軸方向付近に位置するように、曲げ部13dをフレキシブル配線材13の間隙Sに対応する領域に設けることで、曲げ部13dのバスバー11側に流れる水滴を、保持部材12に遮られることなく間隙Sからフレキシブル配線材13の下方に逃がすことができる。
【0032】
曲げ部13dは、成形性を有する樹脂材料で電圧検出線13aを被覆したフレキシブル配線材13を、例えば、プレス加工することによって形成したり、曲げ部13dが設けられるフレキシブル配線材13の領域に、フレキシブル配線材13の裏面13c(接合部11cが載設される表面13bの逆の面)から凹状のガイド部材を当てて、ガイド部材の凹面にフレキシブル配線材13を接着することにより、曲げ部13dを形成することができる。
【0033】
図2は、図1のフレキシブル配線材13のA−A断面図である。図2に示すように、フレキシブル配線材13の表面13b上に接合部11cが所定の間隔(バスバー11が組電池30の積層方向に配置される間隔に応じた距離)で配置され、電圧検出線13aそれぞれと接続される。
【0034】
曲げ部13dは、フレキシブル配線材13の接合部11cが配置される表面13b上から逆側の裏面13cに向かって凹状に形成されており、隣り合う接合部11cの間の領域に位置している。曲げ部13dは、接合部11cが配置される表面13b上から厚み方向に窪んだ屈曲部であることから、表面13b上に発生した結露水は、表面張力によって曲げ部13dに導かれ、曲げ部13dのフレキシブル配線材13における幅方向端部から下方に流れ落ちる。
【0035】
また、曲げ部13dの曲げ幅Dがフレキシブル配線材13のX方向(長尺方向)において変動可能であるため、隣り合うバスバー11同士の距離に応じて曲げ幅DがX方向に狭くなったり、広くなったりすることで、上述した公差吸収部として機能する。
【0036】
図3は、所定の方向に複数の単電池20が積層された組電池30と電池接続ユニット10との接続関係を示す斜視図である。図3では、説明の便宜上、保持部材12を省略している。
【0037】
組電池30は、電池接続ユニット10によって電気的に直列に接続された複数の単電池20で構成される。組電池30を構成する単電池20の数は、組電池30の要求出力等に基づいて、適宜設定することができる。単電池(蓄電素子)20としては、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池といった二次電池を用いることができる。また、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタ(コンデンサ)を用いることができる。
【0038】
図3の例の組電池30は、複数の単電池20がX方向に並んで配置され、隣り合う2つの単電池20の間に絶縁材で形成された仕切り部材40を有する。各単電池20の上面には、2つの電極端子(正極、負極)がY方向の各端部付近に離間して設けられている。複数の単電池20がX方向に積層されることで、単電池20の一方の電極端子が、図3の例のようにX方向に一列に並んで配置される。X方向に隣り合う電極端子は、互いに異なる極(正極又は負極)を有し、正極端子及び負極端子がX方向に交互に配置される。
【0039】
電池接続ユニット10は、組電池30の積層方向(X方向)にバスバー11が複数隣り合って配置されるとともに、バスバー11が隣り合って配置される方向に長尺状に延びるフレキシブル配線材13が、略平行に配置される。
【0040】
バスバー11の挿通孔11a、11bには、積層方向に隣り合う単電池20間の電極端子21、22が挿通され、挿通孔11a、11bに挿通された電極端子21、22をバスバー11の基部11dに締結部材で締結してバスバー11と単電池20とを電気的に接続することができる。なお、電極端子21、22には、ねじ部が設けられており、ねじ部に対応した導電性を有するナット等の締結部材で、バスバー11と単電池20とを電気的に接続することができる。
【0041】
バスバー11の接合部11cは、X方向に延びるフレキシブル配線材13上に所定の間隔で位置し、フレキシブル配線材13の電圧検出線13aに溶接される。電圧検出線13aと接続された隣り合う接合部11cの間の領域には、曲げ部13dが形成されている。なお、図3の例では、電圧検出線13aと接続される接合部11cが、フレキシブル配線材13の幅方向全体に横たわっているが、接合部11cに対応する電圧検出線13aの幅方向における位置に応じて、幅方向よりも短い長さの接合部11cの一部がフレキシブル配線材13の幅方向に位置するように構成することも可能である。
【0042】
フレキシブル配線材13のX方向終端には、接続アダプタ13fが設けられる。接続アダプタ13fは、各電圧検出線13aを所定の機器に接続するためのアダプタである。
【0043】
図4は、本実施例の電池接続ユニット10が取り付けられた組電池30の平面図である。
【0044】
図4の例では、電池接続ユニット10のフレキシブル配線材13の少なくとも一部が、組電池30の上面31に位置する。例えば、組電池30の上面31に、フレキシブル配線材13が載設されるように、電池接続ユニット10を組電池13に取り付けることができる。
【0045】
図4に示すように、電池接続ユニット10のバスバー11は、X方向に単電池20及び仕切り部材40が交互に配置された単電池20間の各電極端子21、22の位置に、挿通孔11a、11bが位置するように配置される。このとき、フレキシブル配線材13上に配置される接合部11cの間の曲げ部13dは、バスバー11を保持する保持部12間に形成される間隙SとY方向において同軸付近に位置するとともに、単電池20間に設けられる仕切り部材40の上方に位置する。
【0046】
曲げ部13dのY方向におけるバスバー11側の端部は、仕切り部材40の上面部44に形成された孔42の開口領域に位置し、曲げ部13dのバスバー11側の端部から流れ出る結露水が、孔42に導かれるようになっている。孔42は、曲げ部13dから組電池30に流れる結露水を、仕切り部材40の内部に誘い込む誘い込み口であり、孔42を通じて仕切り部材40内部を流れた結露水は、仕切り部材40の下方に設けられた排出孔43から組電池30の外部に排出される。
【0047】
曲げ部13dのバスバー11側に流れる水滴は、組電池30の上面に流れ落ちても、仕切り部材40の上部に設けられた孔42に導かれ、排出孔43から組電池30の外部に排出されるので、フレキシブル配線材13の曲げ部13dから組電池30の上面に流れ落ちた水滴によって単電池20間の短絡を抑制することができる。
【0048】
また、図4に示すように、孔42が、隣接する単電池20の電極端子21(22)よりもY方向外側に形成されることで、フレキシブル配線材13の曲げ部13dから組電池30の上面に流れ落ちる水滴が、電極端子21(22)に導かれることを防止できる。
【0049】
図5は、X方向から見た仕切り部材40の正面図であり、図4のB−B断面におけるフレキシブル配線材13の曲げ部13dと仕切り部材40の上面部44に形成された孔42との位置関係を示している。
【0050】
仕切り部材40は、第1リブ41aおよび第2リブ41bを有する。第1リブ41aは、Z方向に延び、複数の第1リブ41aがY方向に並んでいる。Z方向における第1リブ41aの両端は、仕切り部材40の外縁まで延びていない。
【0051】
第2リブ41bは、X方向に突出しており、X方向における第2リブ41bの先端は、単電池20と接触する。第2リブ41bは、仕切り部材40の上部および下部まで延びており、仕切り部材40を3つの領域に区画している。第1領域R1は、2つの第2リブ41bによって挟まれた領域であり、例えば、温度調節用の空気が移動するスペースとなる。
【0052】
第2領域R2は、第2リブ41bと仕切り部材40の外縁とによって囲まれた領域であり、第2領域R2には、温度調節用の空気が進入しないようになっており、第2領域R2に相当するスペースは、仕切り部材40および単電池10によって囲まれている。また、第2領域R2において、仕切り部材40の上部(上面部44)には、外部と連通する孔42が形成され、仕切り部材40の下部には、排出孔43が形成されている。孔42は、上述した誘い込み口である。排出孔43は、結露水等の水滴を組電池30の外部に排出させるために用いられる。
【0053】
このように、フレキシブル配線材13上に配置される接合部11cの間の曲げ部13dは、組電池30の仕切り部材40に対応する領域に設けられ、仕切り部材40の上部に形成される孔42は、バスバー11を保持する保持部12間に形成された間隙Sに対応する領域に形成されている。曲げ部13dのバスバー11側に流れる水滴を、間隙Sを介して確実にフレキシブル配線材13の下方に導くことができ、かつ組電池30の上面に水滴が流れ落ちても、仕切り部材40の上部に設けられた孔42に導かれて、排出孔43から組電池30の外部に排出されるので、バスバー11間の短絡及び単電池20間の短絡を抑制することができる。
【0054】
図6は、本実施例の電池接続ユニット10が取り付けられた組電池30(電源装置)の電池システムの一部の構成を示す図である。
【0055】
図6に示すように、各単電池20には、電圧監視IC(電圧センサ)50が電気的に並列に接続されており、接合部11cを介してバスバー11と接続する電圧検出線13aが電圧監視IC50に接続される。電圧監視IC50は、単電池20の電圧を検出し、検出結果をコントローラ60に出力する。電圧監視IC50は、対応する単電池20からの電力を受けて動作することができる。
【0056】
図3に示すように、フレキシブル配線材13の各電圧検出線13aは、フレキシブル配線材13の端部に設けられた接続アダプタ13fを介して電圧監視IC50と接続することができる。コントローラ60は、電圧監視IC50の出力に基づいて、組電池30の充放電制御等の各種制御を遂行する制御部である。
【0057】
なお、図6に示すように、組電池30には、直列に接続された複数の単電池20の充放電時に流れる電流の電力線が設けられる。電力線には、昇圧回路や電流センサ51等が接続される。
【0058】
図7は、本実施例の曲げ部13dの変形例を示す図である。図7(a)に示すように、曲げ部13dのフレキシブル配線材13のX方向における曲げ幅が、バスバー11側の縁部13gから縁部13gの反対側の縁部13hに向かって狭く(小さく)形成されている(バスバー11側の縁部13gの曲げ幅D1>縁部13hの曲げ幅D2)。
【0059】
図7(b)は、図7(a)のC−C断面における曲げ部13dの断面図である。図7(b)に示すように、バスバー11側の縁部13gのZ方向における曲げ深さH1が縁部13gの反対側の縁部13hのZ方向における曲げ深H2よりも浅く形成され(H1<H2)、バスバー11側の縁部13gから縁部13hに向かって(Y方向)に底部13eが傾斜している。
【0060】
図7に示した曲げ部13dは、バスバー11側の縁部13gから縁部13hに向かって(Y方向に)底部13eがZ方向下方に傾斜しているので、バスバー11側と反対側の縁部13hの曲げ部13dの端部から結露水が流れ易くなり、かつ曲げ部13dから結露水がバスバー11から遠い位置の反対側の縁部13hの曲げ部13dの端部から流れ出ることにより、単電池20の電極端子に曲げ部13dから結露水が導かれることを防止でき、結露による短絡を抑制することが可能となる。
【0061】
なお、縁部13hからバスバー11側の縁部13gに向かって底部13eがZ方向下方に傾斜するように構成してもよく、この場合、バスバー11側の縁部13gの曲げ部13dの端部から結露水が流れ易くなり、かつ仕切り部材40の上部に設けられた孔42を通じて排出孔43から組電池30の外部に適切に排出することができる。
【0062】
(実施例2)
図8、図9は、実施例2を示す図である。本実施例は、実施例1のフレキシブル配線材13が複数枚積層されて構成されたフレキシブル配線材130について説明する。なお、図8、図9の例では、2つのフレキシブル配線材13がZ方向に積層された一例を示しているが、3つ以上のフレキシブル配線材13がZ方向に積層されてもよい。
【0063】
フレキシブル配線材13に配置される電圧検出線13aと対応するバスバー11を接続する場合、バスバー11の数に対応して所定数の電圧検出線13aが設けられた1つのフレキシブル配線材13を複数枚使用する場合がある。
【0064】
特に、組電池30を構成する単電池20の数は、組電池30の要求出力に応じて異なるが、要求出力を大きくなると単電池20の数が増加し、バスバー11の数も増加するので、所定数の電圧検出線13aが設けられたX方向に延びる複数のフレキシブル配線材13をZ方向に積層して使用する。
【0065】
実施例1のフレキシブル配線材13をZ方向に複数積層して使用する場合、上層のフレキシブル配線材13の曲げ部13dと、下層のフレキシブル配線材13の曲げ部13dがX方向において同じ個所に位置し、凹状の各曲げ部13dが同じZ方向下方に向いて配置されると、上層のフレキシブル配線材13の下面13cと下層のフレキシブル配線13の表面13bとの間のスペースが、曲げ部13dを含めてX方向に一定の高さとなってしまう。
【0066】
このため、結露水の表面張力により、上層のフレキシブル配線材13の下面13cと下層のフレキシブル配線13の表面13bとの間のスペースに発生した結露水が表面張力によって曲げ部13dから流れ出ずに滞留してしまい、上層のフレキシブル配線材13の下面13cと下層のフレキシブル配線材13の表面13bとの間のスペースに配置される接合部間が短絡してしまう。
【0067】
図8は、上層に位置するフレキシブル配線材13の表面13b上に配置された各接合部13dの間に対応する領域以外の領域(接合部13dが配置されない領域)R3を、曲げ部13dが設けられないフラットな平面状に形成したZ方向に複数積層されるフレキシブル配線材130の正面図である。
【0068】
図8に示すように、少なくとも上層に位置するフレキシブル配線材13において、接合部13dが配置されない領域R3を、曲げ部13dが設けられないフラットな平面状に形成することで、平面状の上層のフレキシブル配線材13の下面13cと下層のフレキシブル配線13の曲げ部13dとの間のスペース(高さ)が、上層のフレキシブル配線材13の下面13cと下層のフレキシブル配線材13の表面13bとの間に配置される接合部が位置するスペースの高さよりも大きくなり、上層のフレキシブル配線材13の下面13cと下層のフレキシブル配線13の表面13bとの間のスペースに発生した結露水が、下層の曲げ部13dによって適切に流れ出る。
【0069】
図9(a)は、下層のフレキシブル配線材13の曲げ部13dの曲げ深さH4が、上層のフレキシブル配線材13の曲げ部13dの曲げ深さH3よりも深く形成されたZ方向に複数積層されたフレキシブル配線材130の正面図である。
【0070】
下層のフレキシブル配線材13の曲げ部13dの曲げ深さH4が、上層のフレキシブル配線材13の曲げ部13dの曲げ深さH3よりも深く形成されることで、上層のフレキシブル配線材13の曲げ部13dと、下層のフレキシブル配線材13の曲げ部13dとがX方向において同じ個所に位置し、凹状の各曲げ部13dが同じZ方向下方に向いて配置されても、上層のフレキシブル配線材13の曲げ部13dと下層のフレキシブル配線13の曲げ部13dとの間のスペースの高さが、上層のフレキシブル配線材13の下面13cと下層のフレキシブル配線材13の表面13bとの間に配置される接合部が位置するスペースの高さよりも大きくなり、上層のフレキシブル配線材13の下面13cと下層のフレキシブル配線13の表面13bとの間のスペースに発生した結露水が、下層の曲げ部13dによって適切に流れ出る。
【0071】
図9(b)は、図9(a)の一点鎖線で囲まれた領域Xの拡大図である。X方向において下層のフレキシブル配線材13の曲げ部13dの曲げ幅D4が、上層の曲げ部13dのフレキシブル配線材13の曲げ幅D3よりも大きく形成され(D4>D3)、かつ下層のフレキシブル配線材13の曲げ部13dの曲げ深さH4が、上層のフレキシブル配線材13の曲げ部13dの曲げ深さH3よりも大きく形成される。
【符号の説明】
【0072】
10 電池接続ユニット
11 バスバー(端子間接続部材)
11a、11b 挿通孔
11c 接合部
12 保持部材
12a 保持部
12b 間隙形成部
13 フレキシブル配線材
13a 電圧検出線
13d 曲げ部
20 単電池
21、22 電極端子
30 組電池
40 仕切り部材
42 孔(流入孔)
43 排出孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単電池が所定の方向に並んで配置される組電池の前記単電池間を接続する電池接続ユニットであって、
前記単電池間の各電極端子を電気的に接続する端子間接続部材と、
前記所定の方向に隣り合う前記端子間接続部材それぞれと接続される少なくとも2つ以上の検出線を含むフレキシブル配線材と、
前記端子間接続部材及び前記検出線を接続し、前記端子間接続部材が隣り合う方向に離間して前記フレキシブル配線材上に配置される接合部と、を含み、
前記フレキシブル配線材は、前記フレキシブル配線材上に配置された各接合部の間に対応する領域に、曲げ部を有することを特徴とする電池接続ユニット。
【請求項2】
前記所定の方向に隣り合う前記端子間接続部材それぞれを保持する保持部を複数備え、前記保持部間に所定の間隙を形成する間隙形成部によって各保持部が連結された保持部材をさらに含み、
前記曲げ部は、前記間隙に対応する領域に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電池接続ユニット。
【請求項3】
前記曲げ部は、前記フレキシブル配線材上に配置される前記接合部が位置する面から前記フレキシブル配線材の下方に凹状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電池接続ユニット。
【請求項4】
前記曲げ部は、前記フレキシブル配線材の幅方向に傾斜していることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の電池接続ユニット。
【請求項5】
前記フレキシブル配線材は、前記フレキシブル配線材上に配置された各接合部の間に対応する領域以外の領域が、平面状に形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の電池接続ユニット。
【請求項6】
前記フレキシブル配線材は、複数の前記フレキシブル配線材が積層されて構成され、
第1フレキシブル配線材に設けられる第1の前記曲げ部の曲げ深さが、前記第1フレキシブル配線材上に積層される第2フレキシブル配線材に設けられる第2の前記曲げ部の曲げ深さよりも大きいことを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の電池接続ユニット。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載された電池接続ユニットを備える電源装置。
【請求項8】
複数の単電池が所定の方向に並んで配置され、隣り合う2つの単電池の間に絶縁材料で形成された仕切り部材を有する組電池と、
前記組電池の単電池間を接続する電池接続ユニットと、を含み、
前記電池接続ユニットは、
前記単電池間の各電極端子を電気的に接続する端子間接続部材と、
前記所定の方向に隣り合う前記端子間接続部材それぞれと接続される複数の検出線を含むフレキシブル配線材と、
前記端子間接続部材及び前記検出線を接続し、前記端子間接続部材が隣り合う方向に離間して前記フレキシブル配線材上に配置される接合部と、
前記フレキシブル配線材に形成され、前記フレキシブル配線上に配置された各接合部の間に対応する領域に形成される曲げ部と、を有し、
前記仕切り部材は、前記曲げ部から流れ出る結露水が導かれる流入孔と、前記仕切り部材の外部に前記結露水を排出させるための排出孔と、を有することを特徴とする電源装置。
【請求項9】
前記曲げ部は、前記仕切り部材に対応する領域に設けられていることを特徴とする請求項8に記載の電源装置。
【請求項10】
前記電池接続ユニットは、前記所定の方向に隣り合う前記端子間接続部材それぞれを保持する保持部を複数備え、前記保持部間に所定の間隙を形成する間隙形成部によって各保持部が連結された保持部材をさらに含み、
前記流入孔は、前記フレキシブル配線材が設置される前記仕切り部材上部であって、前記間隙に対応する位置に形成されていることを特徴とする請求項8又は9に記載の電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−54940(P2013−54940A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192709(P2011−192709)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】