電池配線モジュールのカバー、電池配線モジュール及び電池モジュール
【課題】複数の電池配線モジュールに装着されるカバーを共通化する。
【解決手段】電池配線モジュール20A,20Bのカバー35は、電池配線モジュール20A,20Bを覆う板状のカバー本体36と、カバー本体36の一方の面側に設けられ電池配線モジュール20Aの被係止突部33に係止される第1係止部37と、カバー本体36の他方の面側に設けられ電池配線モジュール20Aとは異なる電池配線モジュール20Bの被係止突部33に係止される第2係止部39とを備える。
【解決手段】電池配線モジュール20A,20Bのカバー35は、電池配線モジュール20A,20Bを覆う板状のカバー本体36と、カバー本体36の一方の面側に設けられ電池配線モジュール20Aの被係止突部33に係止される第1係止部37と、カバー本体36の他方の面側に設けられ電池配線モジュール20Aとは異なる電池配線モジュール20Bの被係止突部33に係止される第2係止部39とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池配線モジュールのカバー、電池配線モジュール及び電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド車等の車両用の電池モジュールは、正極及び負極の電極端子を有する単電池が複数個並んで配列されており、隣り合う単電池の電極端子間が接続部材(バスバー)で接続されることにより複数の単電池が直列や並列に接続されるようになっている(特許文献1参照)。
【0003】
ここで、接続部材の取付作業を簡素化等するために、特許文献2に示すように、複数の樹脂製の接続ユニットに接続部材を収容し、これら接続ユニット同士を連結した電池接続アセンブリを複数の単電池からなる単電池群に一体的に装着することが考えられた。
【0004】
そして、電池接続アセンブリが単電池群に装着されると、電極端子や接続部材等の外部との絶縁等のために電池接続アセンブリ(電池配線モジュール)にカバーが被せられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−067184号公報
【特許文献2】特開2011−8957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、複数の単電池群に電池配線モジュールが取付けられる場合、各電池配線モジュールごとにカバーが必要になるため、カバーの数も複数になる。しかし、電池配線モジュールの形状に応じた数のカバーを用意するのでは、カバーの種類が多くなり、カバーを成形するための金型費用が高くなったり、部品種類が多くなることによる作業性の低下等が懸念される。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、複数の電池配線モジュールに装着されるカバーを共通化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、正極及び負極の電極端子を有する単電池を複数並べて構成された単電池群の電極端子間を電気的に接続する接続部材を備えた電池配線モジュールのカバーであって、前記電池配線モジュールを覆う板状のカバー本体と、前記カバー本体の一方の面側に設けられ電池配線モジュールの被係止部に係止される第1係止部と、前記カバー本体の他方の面側に設けられ前記電池配線モジュールとは異なる電池配線モジュールの被係止部に係止される第2係止部とを備えるところに特徴を有する。
【0009】
本構成のカバーによれば、カバー本体の一方の面側から電池配線モジュールに係止させることが可能になるとともに、カバー本体の他方の面側から前記電池配線モジュールとは異なる電池配線モジュールに係止させることも可能になる。よって、1つのカバーで、形状の異なる複数の電池配線モジュールに対して取付けることができるため、複数の電池配線モジュールに装着されるカバーを共通化することが可能になる。また、電池配線モジュールのカバーが共通化されることにより、カバーを成形するための金型費用の低減や、部品種類の減少による誤組付けを抑制したり、部品管理の負担を低減をすることが可能になる。
【0010】
上記構成に加えて以下の構成を有すればより好ましい。
・前記被係止部は、電池配線モジュールの側壁から突出する突部であるとともに、前記第1係止部及び前記第2係止部は、前記カバー本体から突出するとともに前記突部が進入する係止孔を有し、前記係止孔の孔縁に前記突部が係止される。
このようにすれば、簡素な構成でカバーを係止することができる。
【0011】
・前記第1係止部と前記第2係止部とは、前記係止孔の開口方向に位置をずらして形成されている。
このようにすれば、金型による成形を容易にすることができる。
【0012】
・前記第1係止部と前記第2係止部とは、前記カバー本体の端縁に沿って並んで形成されている。
このようにすれば、金型による成形を容易にすることができる。また、第1係止部と第2係止部の双方をカバー本体の端縁に形成するため、カバー本体の面積を有効に利用することができる。
【0013】
・前記カバーによって覆われてなる電池配線モジュール。
・複数の単電池と、前記複数の単電池に取付けられる前記電池配線モジュールとからなる電池モジュール。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の電池配線モジュールに装着されるカバーを共通化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態1のカバーが取り付けられた状態の電池モジュールの一部を省略して表した正面図
【図2】カバーが取り付けられた状態の電池モジュールの一部を省略して表した側面図
【図3】カバーが取り付けられた状態の電池モジュールの一部を省略して表した正面図
【図4】カバーが取り付けられた状態の電池モジュールの一部を省略して表した側面図
【図5】カバーの第1係止部及び第2係止部の部分を拡大して表した図
【図6】2つの単電池群を表した平面図
【図7】一方の電池配線モジュールを表した平面図
【図8】他方の電池配線モジュールを表した平面図
【図9】カバーの第1係止部側の面を表した図
【図10】カバーの第2係止部側の面を表した図
【図11】カバーを表した側面図
【図12】図9のA−A断面図
【図13】カバー装着前の一方の電池モジュールを表した平面図
【図14】カバー装着前の他方の電池モジュールを表した平面図
【図15】実施形態2のカバーの第1係止部及び第2係止部を拡大して表した側面図
【図16】カバーの第1係止部及び第2係止部を拡大して表した正面図
【図17】第1係止部及び第2係止部が被係止突部に係止された状態を拡大して表した図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1を図1〜図14を参照しつつ説明する。
本実施形態のカバー35で覆われる電池配線モジュール20A,20Bは、図13,図14に示すように、複数の単電池11を電気的に接続する接続部材21,25を備えて構成されており、この電池配線モジュール20A,20Bが複数の単電池11に取り付けられて構成された電池モジュール10A,10Bは、例えば、電気自動車またはハイブリッド自動車等の車両の駆動源として使用される。以下では、上下方向については、図1,3を基準とし、前後方向については、図2,4の右方を前方、左方を後方として説明する。
【0017】
一方の電池モジュール10Aは、図2に示すように、複数個の単電池11を並べて構成された単電池群12Aと、単電池群12Aに取付けられて複数個の単電池11を直列に接続する電池配線モジュール20Aとを備えている。他方の電池モジュール10Bは、図4に示すように、複数個の単電池11からなる単電池群12Bと、単電池群12Aに取付けられて複数個の単電池11を直列に接続する電池配線モジュール20Bとを備えている。
【0018】
単電池群12A,12Bは、図6に示すように、共に4段の列と3段の列の2列からなる7個(複数個)の単電池11であり、単電池群12A,12Bは、これら単電池群12A,12Bの幅方向の中間を軸として対称に配置されている。
単電池11は、内部に図示しない発電要素が収容された扁平な直方体状の本体部の上面から垂直に突出する電極端子14A,14B(正極を14A,負極を14Bとして図示)を有する。
【0019】
各電極端子14A,14Bは角筒状のナットであって、中心に円形のネジ孔が貫通形成されている。これらのナットのネジ孔に各接続部材21,25の通し孔21A,25Aを合わせて、ボルトの軸部を螺合させて電池配線モジュール20A,20Bを固定するようになっている。
【0020】
各単電池11の向きは、前後方向(短手方向)及び左右方向(長手方向)について隣り合う電極端子14A,14Bの極性が反対になるように配置されている。
そして、これら単電池群12A,12Bは図示しない保持板によって固定されている。
【0021】
電池配線モジュール20A,20Bは、複数個の単電池11を一体的に接続するものであり、図7,図8に示すように、これらは互いに対称な形状であって、共に、左右に隣り合う電極端子14A,14B間を接続する長尺接続部材21(本発明の構成である「接続部材」の一例)と、長尺接続部材21よりも短い距離で前後に隣り合う単電池11の電極端子14A,14B間を接続する短尺接続部材25(本発明の構成である「接続部材」の一例)と、接続部材21,25を収容する合成樹脂製の保持部材30A(電池配線モジュール20Aの保持部材),30B(電池配線モジュール20Bの保持部材)とを備えて構成されている。
【0022】
長尺接続部材21は、銅、銅合金、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム等の金属からなり、左右に接続する電極端子14A,14B間の寸法に応じた長さの板状をなし、前後の端部側には、ボルト(締結部材)の軸部が挿通される通し孔21Aが一対貫通形成されている。この通し孔21Aの形状は、左右方向に長い長円形状をなす。
【0023】
短尺接続部材25は、銅、銅合金、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム等の金属からなり、前後に接続する電極端子14A,14B間の寸法に応じた長さの略長方形の板状をなし、ボルトの軸部が挿通される通し孔25Aが一対貫通形成されている。
【0024】
なお、直列接続の端部に位置する電極端子14A,14Bは、図示はしないが、端部接続部材の通し孔に挿通されており、この端部接続部材に設けられた外部接続端子(図示しない)を介して外部のインバータ等に連なる電線端末の端子に接続できるようになっている。また、接続部材21,25には、図示はしないが、単電池11の電圧を検知するための電圧検知端子が重ねられており、この電圧検知端子に電圧検知用電線が圧着等により接続されている。電圧検知用電線は、図示しない電池ECUに接続される。電池ECUは、マイクロコンピュータ、素子等が搭載されたものであって、単電池11の電圧・電流・温度等の検知、各単電池11の充放電コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0025】
保持部材30A,30Bは、接続部材21,25を保持可能な扁平な合成樹脂製の部材であって、概ねL字形(長方形の角部を長方形状に切欠いた形状)をなしており、左右方向について互いに対称な形状となっている。
この保持部材30A,30Bは、共に、接続部材21,25を収容する複数の収容部31を備えている。
【0026】
複数の収容部31は、短尺接続部材25を収容する短尺用収容部と、長尺接続部材21を収容する長尺用収容部とからなり、これらは共に、接続部材21,25が載置される底板と、接続部材21,25を包囲する角筒状の収容壁とを備えている。
底板のうち、電極端子14A,14Bが進入する部分は、底板のない開口部となっている。
【0027】
収容壁は、工具等が接続部材21,25やボルトの頭部に接触して短絡することを防止できる高さに設定されている。
収容壁の内面には、接続部材21,25の離脱を規制する離脱規制片32が撓み変形可能に設けられている。離脱規制片32は、収容壁をコ字状に切欠いて形成しており、爪状の先端部が接続部材21,25の上方に位置することで、接続部材21,25の離脱を規制する。なお、短尺接続部材25と収容部31における収容壁との間の隙間には、短尺接続部材25を位置決めする位置決め部がボルト締めの際に工具が接触しない高さまで形成されている。
【0028】
保持部材30A,30Bの全周に亘る側面のうち、前端側の側面34A(側壁)及び後端側の側面34B(側壁)には、それぞれ前方及び後方(側方(外方))に突出する複数の被係止突部33(本発明の構成である「突部」の一例)が所定間隔を空けて形成されている。被係止突部33の左右方向の位置は、概ね接続部材21,25の通し孔21A,25Aに近い位置に形成されている。
【0029】
被係止突部33の形状は、下端(単電池11側の端部)が段差状に突出し、上方側に向けて傾斜状に突出寸法が小さくなる形状をなしている。
ここで、電池配線モジュール20A,20Bには、外部との絶縁や内部の保護等のために共通のカバー35が被せられる。
【0030】
カバー35は、図11に示すように、平板状のカバー本体36と、カバー本体36の下方(一方の面側)に突出するように設けられ電池配線モジュール20Aの被係止突部33に係止される第1係止部37と、カバー本体36の上方(他方の面側)に突出するように設けられ電池配線モジュール20Aとは異なる電池配線モジュール20Bの被係止突部33に係止される第2係止部39とを備えている。
【0031】
カバー本体36は、図9に示すように、一方の電池配線モジュール20Aを一方の面から覆うとともに他方の電池配線モジュール20Bを反対側の面から覆うことができるように電池配線モジュール20A,20Bの上面形状と同様のL字形をなしている。より詳しくは、長方形の角部を長方形状に切欠いた形状であって、前後方向に長径の長径部36Aと、長径部36Aから前後方向の径を段差状に縮径した短径部36Bとからなり、このカバー本体36の前後の端部(端縁)に第1係止部37及び第2係止部39が設けられるとともに、左右の端部には、第1係止部37及び第2係止部39が設けられていない。
【0032】
第1係止部37は、カバー本体36の端部(端縁)にてカバー本体36の面と直交する方向に角枠形(コ字状)に立ち上がっている。第1係止部37の内側には、図12に示すように、長方形状の第1係止孔38が貫通している。この第1係止孔38の孔縁が電池配線モジュール20Aの被係止突部33に係止される。
【0033】
第2係止部39は、第1係止部37と同形状であって、カバー本体36の端部(端縁)にてカバー本体36の面と直交する方向(第1係止部37とは180度反対の方向)に、角枠形(コ字状)に立ち上がっている。この第2係止部39は、第1係止部37と第1係止孔38の開口方向に概ね第1係止部37の厚み寸法よりやや大きい寸法(金型により第1係止部及び第2係止部を成形可能な寸法)だけ位置をずらして形成されている。第2係止部39の内側には長方形状の第2係止孔40が貫通している。この第2係止孔40の孔縁が電池配線モジュール20Bの被係止突部33に係止される(図5)。
【0034】
次に、電池モジュール10A,10Bの組み付けについて説明する。
予め同一形状のカバー35を複数用意しておく。そして、各保持部材30A,30Bに各接続部材21,25及び端部接続部材(図示しない)を装着するとともに電圧検知用電線の端末部に接続された電圧検知端子(図示しない)を接続部材21,25に重ねて配置することにより電池配線モジュール20A,20Bを形成する(図7,図8)。
【0035】
次に、電池配線モジュール20A,20Bを単電池群12A,12Bに対して取付け(図13,図14)、接続部材21,25の通し孔21A,25Aの位置で電極端子14A,14Bにボルト締めして電池配線モジュール20A,20Bを単電池群12A,12Bに固定する。
【0036】
次に、複数のカバー35のうちのいずれか1のカバー35の第1係止部37側の面を、単電池群12Aに固定された電池配線モジュール20Aを覆うように被せる。このとき、電池配線モジュール20Aの側面(側壁)に設けられた被係止突部33の傾斜33Bに第1係止部37が当接して撓み変形し、第1係止部37の先端側が被係止突部33を超えると復元変形する。これにより、カバー35が外れる方向に力が生じても第1係止孔38の孔縁が被係止突部33の下面の段差33Aに係止されるため、被せられたカバー35が外れないように保持される(図5)。
【0037】
次に、複数のカバー35のうちの他の1のカバー35の第2係止部39側の面を、単電池群12Bに固定された電池配線モジュール20Bに被せる。このとき、電池配線モジュール20Bの側面(側壁)に設けられた被係止突部33の傾斜33Bに第2係止部39が当接して撓み変形し、第2係止部39の先端が被係止突部33を超えると復元変形する。これにより、カバー35が外れる方向に力が生じても第2係止孔40の孔縁が被係止突部33の下面の段差33Aに係止されるため、被せられたカバー35が外れないように保持される。
これにより、電池配線モジュール20A,20Bにカバー35が取付けられた状態の電池モジュール10A,10Bが形成される。
【0038】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)正極及び負極の電極端子14A,14Bを有する単電池11を複数並べて構成された単電池群12A,12Bの電極端子14A,14B間を電気的に接続する接続部材21,25を備えた電池配線モジュール20A,20Bのカバー35であって、電池配線モジュール20A,20Bの上面を覆う板状のカバー本体36と、カバー本体36の一方の面側に設けられ電池配線モジュール20Aの被係止突部33(被係止部)に係止される第1係止部37と、カバー本体36の他方の面側に設けられ電池配線モジュール20Aとは異なる電池配線モジュール20Bの被係止突部33(被係止部)に係止される第2係止部39とを備える。
【0039】
本実施形態のカバー35によれば、カバー本体36の一方の面側から電池配線モジュール20Aに取り付けることが可能になるとともに、カバー本体36の他方の面側から電池配線モジュール20Aとは異なる電池配線モジュール20Bに取り付けることも可能になるため、1つのカバー35で、形状の異なる複数の電池配線モジュール20A,20Bに対して取付け可能となる。よって、複数の電池配線モジュール20A,20Bに装着されるカバー35を共通化することが可能になる。そして、カバー35が共通化されることにより、カバー35を成形するための金型費用の低減や、部品種類の減少による誤組付けを抑制したり、部品管理の負担を低減をすることが可能になる。
【0040】
(2)被係止部は、電池配線モジュール20A,20Bの側面34A,34B(側壁)から突出する突出する被係止突部33(突部)であるとともに、第1係止部37及び第2係止部39は、カバー本体36から突出するとともに被係止突部33が進入する係止孔38,40を有し、係止孔38,40の孔縁に被係止突部33が係止される。
このようにすれば、簡素な構成でカバー35を係止することができる。
【0041】
(3)第1係止部37と第2係止部39とは、係止孔38,40の開口方向に位置をずらして形成されている。
このようにすれば、金型による成形を容易にすることができる。
【0042】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図15ないし図17を参照して説明する。
実施形態1では、第1係止部37と第2係止部39とは、係止孔38,40の開口方向に位置をずらして配置されていたが、実施形態2では、第1係止部41と第2係止部43とは、図16に示すように、カバー本体36の端縁に沿う方向に位置をずらして配置したものである。以下では、実施形態1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0043】
カバー45は、平板状のカバー本体36と、カバー本体36の下方(一方の面側)に突出するように設けられ一方の電池配線モジュール20Aの被係止突部33に係止される第1係止部41と、カバー本体36の上方(他方の面側)に突出するように設けられ他方の電池配線モジュール20Bの被係止突部33に係止される第2係止部43とを備えている。
【0044】
第1係止部41は、カバー本体36と直交する方向に角枠形(コ字状)に立ち上がっている。第1係止部41の内側には、長方形状の第1係止孔42が貫通している。
電池配線モジュール20Aにカバー45が被せられると、被係止突部33の傾斜33Bに第1係止部41が当接して撓み変形し、第1係止部41の先端側が被係止突部33を超えると復元変形する。これにより、カバー45が外れる方向に力が生じても第1係止孔41の孔縁が被係止突部33の下面の段差33Aに係止されるため(図17)、被せられたカバー45が外れないように保持される。
【0045】
第2係止部43は、図16に示すように、カバー本体36の端部(端縁)にてカバー本体36と直交する方向に、第1係止部41と同形状の角枠形(コ字状)に立ち上がっており、第1係止部41の内側に長方形状の第2係止孔44が貫通している。この第2係止部43は、第1係止部41と端縁に沿った方向に位置を所定寸法(金型による成形が可能な寸法)ずらして形成されているとともに、図15に示すように、第1係止部41及び第2係止部43は、カバー本体36の端縁(側縁)の同じ位置から180度反対側に立ち上がるように形成されている。
電池配線モジュール20Bにカバー45が被せられると、被係止突部33の傾斜33Bに第2係止部43が当接して撓み変形し、第2係止部43の先端側が被係止突部33を超えると復元変形する。これにより、カバー45が外れる方向に力が生じても第2係止部43の孔縁が被係止突部33の下面の段差33Aに係止されるため(図17)、被せられたカバー45が外れないように保持される。
【0046】
なお、第1係止部41と第2係止部43との位置がカバー本体36の端縁に沿う方向に位置がずれされているため、電池配線モジュール20Aと異なる電池配線モジュール20Bの保持部材30Bについては、被係止突部33の位置を第1係止部41と第2係止部43との間の寸法に応じた寸法だけ位置をずらすようにしてもよい。
【0047】
実施形態2によれば、第1係止部41と第2係止部43とは、カバー本体36の端縁に沿って並んで形成されているため、金型による成形を容易にすることができる。また、第1係止部41と第2係止部43の双方をカバー本体36の端縁に形成するため、カバー本体36の面積を有効に利用することができる。
【0048】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、単電池群12A,12Bが対称な位置に配置されているものを例示したが、これに限られない。上記実施形態のようにカバー35の両面に第1係止部37,41及び第2係止部39,43があれば、異なる形状の(取付け面を有する)電池配線モジュール20A,20Bのカバー35を共通化することが可能になる。
【0049】
(2)上記実施形態では、カバー35の第1係止部37及び第2係止部39が撓み変形する構成としたが、これに限らず、電池配線モジュール20A,20B側に撓み変形可能な被係止部を設け、カバー35の第1係止部及び第2係止部を被係止部に係止させるようにしてもよい。また、被係止部を凹設して、第1係止部及び第2係止部に突部を設けるようにしてもよい。
(3)第1係止部37と第2係止部39との位置関係は、上記実施形態の構成に限られない。例えば、第1係止部37,41と第2係止部39,43とが上記実施形態よりも互いに離間した位置関係にあるようにしてもよい。
【0050】
(4)第1係止部37,41及び第2係止部39,43の個数は、上記実施形態の個数に限られず、上記実施形態より多くしたり、少なくしてもよい。
(5)上記実施形態では、単電池11の電極端子14A,14Bがナット形で別部材のボルトを用いて締結する構成であったが、これに限らず、電極端子が外周面にネジ溝を有する棒状の軸部を有する構成とし、別部材のナットを上方から締結することにより、接続部材21,25を電極端子に固定する構成としてもよい。この場合には、各接続部材21,25の通し孔21A,25Aには、電極端子の軸部が通されることになる。
【0051】
(6)上記実施形態では、複数の単電池11を直列に接続する場合について説明したが、これに限られず、複数の単電池11を並列に接続する場合について適用してもよく、また、直列及び並列を組み合わせたものであってもよい。
(7)電池モジュール10A,10Bを構成する単電池11の数については、7個としたが、これに限られず、6個以下又は8個以上でもよく、電池配線モジュール20A,20Bの構成も単電池11の数に応じて適宜設定することができ、カバー35の形状も電池配線モジュール20A,20Bの形状に応じて適宜設定することができる。
【符号の説明】
【0052】
10A,10B…電池モジュール
11…単電池
12A,12B…単電池群
14A,14B…電極端子
20A,20B…電池配線モジュール
21…長尺接続部材(接続部材)
25…短尺接続部材(接続部材)
30A,30B…保持部材
31…収容部
32…離脱規制片
33…被係止突部(被係止部)
35,45…カバー
36…カバー本体
36A…長径部
36B…短径部
37,41…第1係止部
38,42…第1係止孔
39,43…第2係止部
40,44…第2係止孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池配線モジュールのカバー、電池配線モジュール及び電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド車等の車両用の電池モジュールは、正極及び負極の電極端子を有する単電池が複数個並んで配列されており、隣り合う単電池の電極端子間が接続部材(バスバー)で接続されることにより複数の単電池が直列や並列に接続されるようになっている(特許文献1参照)。
【0003】
ここで、接続部材の取付作業を簡素化等するために、特許文献2に示すように、複数の樹脂製の接続ユニットに接続部材を収容し、これら接続ユニット同士を連結した電池接続アセンブリを複数の単電池からなる単電池群に一体的に装着することが考えられた。
【0004】
そして、電池接続アセンブリが単電池群に装着されると、電極端子や接続部材等の外部との絶縁等のために電池接続アセンブリ(電池配線モジュール)にカバーが被せられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−067184号公報
【特許文献2】特開2011−8957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、複数の単電池群に電池配線モジュールが取付けられる場合、各電池配線モジュールごとにカバーが必要になるため、カバーの数も複数になる。しかし、電池配線モジュールの形状に応じた数のカバーを用意するのでは、カバーの種類が多くなり、カバーを成形するための金型費用が高くなったり、部品種類が多くなることによる作業性の低下等が懸念される。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、複数の電池配線モジュールに装着されるカバーを共通化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、正極及び負極の電極端子を有する単電池を複数並べて構成された単電池群の電極端子間を電気的に接続する接続部材を備えた電池配線モジュールのカバーであって、前記電池配線モジュールを覆う板状のカバー本体と、前記カバー本体の一方の面側に設けられ電池配線モジュールの被係止部に係止される第1係止部と、前記カバー本体の他方の面側に設けられ前記電池配線モジュールとは異なる電池配線モジュールの被係止部に係止される第2係止部とを備えるところに特徴を有する。
【0009】
本構成のカバーによれば、カバー本体の一方の面側から電池配線モジュールに係止させることが可能になるとともに、カバー本体の他方の面側から前記電池配線モジュールとは異なる電池配線モジュールに係止させることも可能になる。よって、1つのカバーで、形状の異なる複数の電池配線モジュールに対して取付けることができるため、複数の電池配線モジュールに装着されるカバーを共通化することが可能になる。また、電池配線モジュールのカバーが共通化されることにより、カバーを成形するための金型費用の低減や、部品種類の減少による誤組付けを抑制したり、部品管理の負担を低減をすることが可能になる。
【0010】
上記構成に加えて以下の構成を有すればより好ましい。
・前記被係止部は、電池配線モジュールの側壁から突出する突部であるとともに、前記第1係止部及び前記第2係止部は、前記カバー本体から突出するとともに前記突部が進入する係止孔を有し、前記係止孔の孔縁に前記突部が係止される。
このようにすれば、簡素な構成でカバーを係止することができる。
【0011】
・前記第1係止部と前記第2係止部とは、前記係止孔の開口方向に位置をずらして形成されている。
このようにすれば、金型による成形を容易にすることができる。
【0012】
・前記第1係止部と前記第2係止部とは、前記カバー本体の端縁に沿って並んで形成されている。
このようにすれば、金型による成形を容易にすることができる。また、第1係止部と第2係止部の双方をカバー本体の端縁に形成するため、カバー本体の面積を有効に利用することができる。
【0013】
・前記カバーによって覆われてなる電池配線モジュール。
・複数の単電池と、前記複数の単電池に取付けられる前記電池配線モジュールとからなる電池モジュール。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の電池配線モジュールに装着されるカバーを共通化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態1のカバーが取り付けられた状態の電池モジュールの一部を省略して表した正面図
【図2】カバーが取り付けられた状態の電池モジュールの一部を省略して表した側面図
【図3】カバーが取り付けられた状態の電池モジュールの一部を省略して表した正面図
【図4】カバーが取り付けられた状態の電池モジュールの一部を省略して表した側面図
【図5】カバーの第1係止部及び第2係止部の部分を拡大して表した図
【図6】2つの単電池群を表した平面図
【図7】一方の電池配線モジュールを表した平面図
【図8】他方の電池配線モジュールを表した平面図
【図9】カバーの第1係止部側の面を表した図
【図10】カバーの第2係止部側の面を表した図
【図11】カバーを表した側面図
【図12】図9のA−A断面図
【図13】カバー装着前の一方の電池モジュールを表した平面図
【図14】カバー装着前の他方の電池モジュールを表した平面図
【図15】実施形態2のカバーの第1係止部及び第2係止部を拡大して表した側面図
【図16】カバーの第1係止部及び第2係止部を拡大して表した正面図
【図17】第1係止部及び第2係止部が被係止突部に係止された状態を拡大して表した図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1を図1〜図14を参照しつつ説明する。
本実施形態のカバー35で覆われる電池配線モジュール20A,20Bは、図13,図14に示すように、複数の単電池11を電気的に接続する接続部材21,25を備えて構成されており、この電池配線モジュール20A,20Bが複数の単電池11に取り付けられて構成された電池モジュール10A,10Bは、例えば、電気自動車またはハイブリッド自動車等の車両の駆動源として使用される。以下では、上下方向については、図1,3を基準とし、前後方向については、図2,4の右方を前方、左方を後方として説明する。
【0017】
一方の電池モジュール10Aは、図2に示すように、複数個の単電池11を並べて構成された単電池群12Aと、単電池群12Aに取付けられて複数個の単電池11を直列に接続する電池配線モジュール20Aとを備えている。他方の電池モジュール10Bは、図4に示すように、複数個の単電池11からなる単電池群12Bと、単電池群12Aに取付けられて複数個の単電池11を直列に接続する電池配線モジュール20Bとを備えている。
【0018】
単電池群12A,12Bは、図6に示すように、共に4段の列と3段の列の2列からなる7個(複数個)の単電池11であり、単電池群12A,12Bは、これら単電池群12A,12Bの幅方向の中間を軸として対称に配置されている。
単電池11は、内部に図示しない発電要素が収容された扁平な直方体状の本体部の上面から垂直に突出する電極端子14A,14B(正極を14A,負極を14Bとして図示)を有する。
【0019】
各電極端子14A,14Bは角筒状のナットであって、中心に円形のネジ孔が貫通形成されている。これらのナットのネジ孔に各接続部材21,25の通し孔21A,25Aを合わせて、ボルトの軸部を螺合させて電池配線モジュール20A,20Bを固定するようになっている。
【0020】
各単電池11の向きは、前後方向(短手方向)及び左右方向(長手方向)について隣り合う電極端子14A,14Bの極性が反対になるように配置されている。
そして、これら単電池群12A,12Bは図示しない保持板によって固定されている。
【0021】
電池配線モジュール20A,20Bは、複数個の単電池11を一体的に接続するものであり、図7,図8に示すように、これらは互いに対称な形状であって、共に、左右に隣り合う電極端子14A,14B間を接続する長尺接続部材21(本発明の構成である「接続部材」の一例)と、長尺接続部材21よりも短い距離で前後に隣り合う単電池11の電極端子14A,14B間を接続する短尺接続部材25(本発明の構成である「接続部材」の一例)と、接続部材21,25を収容する合成樹脂製の保持部材30A(電池配線モジュール20Aの保持部材),30B(電池配線モジュール20Bの保持部材)とを備えて構成されている。
【0022】
長尺接続部材21は、銅、銅合金、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム等の金属からなり、左右に接続する電極端子14A,14B間の寸法に応じた長さの板状をなし、前後の端部側には、ボルト(締結部材)の軸部が挿通される通し孔21Aが一対貫通形成されている。この通し孔21Aの形状は、左右方向に長い長円形状をなす。
【0023】
短尺接続部材25は、銅、銅合金、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム等の金属からなり、前後に接続する電極端子14A,14B間の寸法に応じた長さの略長方形の板状をなし、ボルトの軸部が挿通される通し孔25Aが一対貫通形成されている。
【0024】
なお、直列接続の端部に位置する電極端子14A,14Bは、図示はしないが、端部接続部材の通し孔に挿通されており、この端部接続部材に設けられた外部接続端子(図示しない)を介して外部のインバータ等に連なる電線端末の端子に接続できるようになっている。また、接続部材21,25には、図示はしないが、単電池11の電圧を検知するための電圧検知端子が重ねられており、この電圧検知端子に電圧検知用電線が圧着等により接続されている。電圧検知用電線は、図示しない電池ECUに接続される。電池ECUは、マイクロコンピュータ、素子等が搭載されたものであって、単電池11の電圧・電流・温度等の検知、各単電池11の充放電コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0025】
保持部材30A,30Bは、接続部材21,25を保持可能な扁平な合成樹脂製の部材であって、概ねL字形(長方形の角部を長方形状に切欠いた形状)をなしており、左右方向について互いに対称な形状となっている。
この保持部材30A,30Bは、共に、接続部材21,25を収容する複数の収容部31を備えている。
【0026】
複数の収容部31は、短尺接続部材25を収容する短尺用収容部と、長尺接続部材21を収容する長尺用収容部とからなり、これらは共に、接続部材21,25が載置される底板と、接続部材21,25を包囲する角筒状の収容壁とを備えている。
底板のうち、電極端子14A,14Bが進入する部分は、底板のない開口部となっている。
【0027】
収容壁は、工具等が接続部材21,25やボルトの頭部に接触して短絡することを防止できる高さに設定されている。
収容壁の内面には、接続部材21,25の離脱を規制する離脱規制片32が撓み変形可能に設けられている。離脱規制片32は、収容壁をコ字状に切欠いて形成しており、爪状の先端部が接続部材21,25の上方に位置することで、接続部材21,25の離脱を規制する。なお、短尺接続部材25と収容部31における収容壁との間の隙間には、短尺接続部材25を位置決めする位置決め部がボルト締めの際に工具が接触しない高さまで形成されている。
【0028】
保持部材30A,30Bの全周に亘る側面のうち、前端側の側面34A(側壁)及び後端側の側面34B(側壁)には、それぞれ前方及び後方(側方(外方))に突出する複数の被係止突部33(本発明の構成である「突部」の一例)が所定間隔を空けて形成されている。被係止突部33の左右方向の位置は、概ね接続部材21,25の通し孔21A,25Aに近い位置に形成されている。
【0029】
被係止突部33の形状は、下端(単電池11側の端部)が段差状に突出し、上方側に向けて傾斜状に突出寸法が小さくなる形状をなしている。
ここで、電池配線モジュール20A,20Bには、外部との絶縁や内部の保護等のために共通のカバー35が被せられる。
【0030】
カバー35は、図11に示すように、平板状のカバー本体36と、カバー本体36の下方(一方の面側)に突出するように設けられ電池配線モジュール20Aの被係止突部33に係止される第1係止部37と、カバー本体36の上方(他方の面側)に突出するように設けられ電池配線モジュール20Aとは異なる電池配線モジュール20Bの被係止突部33に係止される第2係止部39とを備えている。
【0031】
カバー本体36は、図9に示すように、一方の電池配線モジュール20Aを一方の面から覆うとともに他方の電池配線モジュール20Bを反対側の面から覆うことができるように電池配線モジュール20A,20Bの上面形状と同様のL字形をなしている。より詳しくは、長方形の角部を長方形状に切欠いた形状であって、前後方向に長径の長径部36Aと、長径部36Aから前後方向の径を段差状に縮径した短径部36Bとからなり、このカバー本体36の前後の端部(端縁)に第1係止部37及び第2係止部39が設けられるとともに、左右の端部には、第1係止部37及び第2係止部39が設けられていない。
【0032】
第1係止部37は、カバー本体36の端部(端縁)にてカバー本体36の面と直交する方向に角枠形(コ字状)に立ち上がっている。第1係止部37の内側には、図12に示すように、長方形状の第1係止孔38が貫通している。この第1係止孔38の孔縁が電池配線モジュール20Aの被係止突部33に係止される。
【0033】
第2係止部39は、第1係止部37と同形状であって、カバー本体36の端部(端縁)にてカバー本体36の面と直交する方向(第1係止部37とは180度反対の方向)に、角枠形(コ字状)に立ち上がっている。この第2係止部39は、第1係止部37と第1係止孔38の開口方向に概ね第1係止部37の厚み寸法よりやや大きい寸法(金型により第1係止部及び第2係止部を成形可能な寸法)だけ位置をずらして形成されている。第2係止部39の内側には長方形状の第2係止孔40が貫通している。この第2係止孔40の孔縁が電池配線モジュール20Bの被係止突部33に係止される(図5)。
【0034】
次に、電池モジュール10A,10Bの組み付けについて説明する。
予め同一形状のカバー35を複数用意しておく。そして、各保持部材30A,30Bに各接続部材21,25及び端部接続部材(図示しない)を装着するとともに電圧検知用電線の端末部に接続された電圧検知端子(図示しない)を接続部材21,25に重ねて配置することにより電池配線モジュール20A,20Bを形成する(図7,図8)。
【0035】
次に、電池配線モジュール20A,20Bを単電池群12A,12Bに対して取付け(図13,図14)、接続部材21,25の通し孔21A,25Aの位置で電極端子14A,14Bにボルト締めして電池配線モジュール20A,20Bを単電池群12A,12Bに固定する。
【0036】
次に、複数のカバー35のうちのいずれか1のカバー35の第1係止部37側の面を、単電池群12Aに固定された電池配線モジュール20Aを覆うように被せる。このとき、電池配線モジュール20Aの側面(側壁)に設けられた被係止突部33の傾斜33Bに第1係止部37が当接して撓み変形し、第1係止部37の先端側が被係止突部33を超えると復元変形する。これにより、カバー35が外れる方向に力が生じても第1係止孔38の孔縁が被係止突部33の下面の段差33Aに係止されるため、被せられたカバー35が外れないように保持される(図5)。
【0037】
次に、複数のカバー35のうちの他の1のカバー35の第2係止部39側の面を、単電池群12Bに固定された電池配線モジュール20Bに被せる。このとき、電池配線モジュール20Bの側面(側壁)に設けられた被係止突部33の傾斜33Bに第2係止部39が当接して撓み変形し、第2係止部39の先端が被係止突部33を超えると復元変形する。これにより、カバー35が外れる方向に力が生じても第2係止孔40の孔縁が被係止突部33の下面の段差33Aに係止されるため、被せられたカバー35が外れないように保持される。
これにより、電池配線モジュール20A,20Bにカバー35が取付けられた状態の電池モジュール10A,10Bが形成される。
【0038】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)正極及び負極の電極端子14A,14Bを有する単電池11を複数並べて構成された単電池群12A,12Bの電極端子14A,14B間を電気的に接続する接続部材21,25を備えた電池配線モジュール20A,20Bのカバー35であって、電池配線モジュール20A,20Bの上面を覆う板状のカバー本体36と、カバー本体36の一方の面側に設けられ電池配線モジュール20Aの被係止突部33(被係止部)に係止される第1係止部37と、カバー本体36の他方の面側に設けられ電池配線モジュール20Aとは異なる電池配線モジュール20Bの被係止突部33(被係止部)に係止される第2係止部39とを備える。
【0039】
本実施形態のカバー35によれば、カバー本体36の一方の面側から電池配線モジュール20Aに取り付けることが可能になるとともに、カバー本体36の他方の面側から電池配線モジュール20Aとは異なる電池配線モジュール20Bに取り付けることも可能になるため、1つのカバー35で、形状の異なる複数の電池配線モジュール20A,20Bに対して取付け可能となる。よって、複数の電池配線モジュール20A,20Bに装着されるカバー35を共通化することが可能になる。そして、カバー35が共通化されることにより、カバー35を成形するための金型費用の低減や、部品種類の減少による誤組付けを抑制したり、部品管理の負担を低減をすることが可能になる。
【0040】
(2)被係止部は、電池配線モジュール20A,20Bの側面34A,34B(側壁)から突出する突出する被係止突部33(突部)であるとともに、第1係止部37及び第2係止部39は、カバー本体36から突出するとともに被係止突部33が進入する係止孔38,40を有し、係止孔38,40の孔縁に被係止突部33が係止される。
このようにすれば、簡素な構成でカバー35を係止することができる。
【0041】
(3)第1係止部37と第2係止部39とは、係止孔38,40の開口方向に位置をずらして形成されている。
このようにすれば、金型による成形を容易にすることができる。
【0042】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図15ないし図17を参照して説明する。
実施形態1では、第1係止部37と第2係止部39とは、係止孔38,40の開口方向に位置をずらして配置されていたが、実施形態2では、第1係止部41と第2係止部43とは、図16に示すように、カバー本体36の端縁に沿う方向に位置をずらして配置したものである。以下では、実施形態1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0043】
カバー45は、平板状のカバー本体36と、カバー本体36の下方(一方の面側)に突出するように設けられ一方の電池配線モジュール20Aの被係止突部33に係止される第1係止部41と、カバー本体36の上方(他方の面側)に突出するように設けられ他方の電池配線モジュール20Bの被係止突部33に係止される第2係止部43とを備えている。
【0044】
第1係止部41は、カバー本体36と直交する方向に角枠形(コ字状)に立ち上がっている。第1係止部41の内側には、長方形状の第1係止孔42が貫通している。
電池配線モジュール20Aにカバー45が被せられると、被係止突部33の傾斜33Bに第1係止部41が当接して撓み変形し、第1係止部41の先端側が被係止突部33を超えると復元変形する。これにより、カバー45が外れる方向に力が生じても第1係止孔41の孔縁が被係止突部33の下面の段差33Aに係止されるため(図17)、被せられたカバー45が外れないように保持される。
【0045】
第2係止部43は、図16に示すように、カバー本体36の端部(端縁)にてカバー本体36と直交する方向に、第1係止部41と同形状の角枠形(コ字状)に立ち上がっており、第1係止部41の内側に長方形状の第2係止孔44が貫通している。この第2係止部43は、第1係止部41と端縁に沿った方向に位置を所定寸法(金型による成形が可能な寸法)ずらして形成されているとともに、図15に示すように、第1係止部41及び第2係止部43は、カバー本体36の端縁(側縁)の同じ位置から180度反対側に立ち上がるように形成されている。
電池配線モジュール20Bにカバー45が被せられると、被係止突部33の傾斜33Bに第2係止部43が当接して撓み変形し、第2係止部43の先端側が被係止突部33を超えると復元変形する。これにより、カバー45が外れる方向に力が生じても第2係止部43の孔縁が被係止突部33の下面の段差33Aに係止されるため(図17)、被せられたカバー45が外れないように保持される。
【0046】
なお、第1係止部41と第2係止部43との位置がカバー本体36の端縁に沿う方向に位置がずれされているため、電池配線モジュール20Aと異なる電池配線モジュール20Bの保持部材30Bについては、被係止突部33の位置を第1係止部41と第2係止部43との間の寸法に応じた寸法だけ位置をずらすようにしてもよい。
【0047】
実施形態2によれば、第1係止部41と第2係止部43とは、カバー本体36の端縁に沿って並んで形成されているため、金型による成形を容易にすることができる。また、第1係止部41と第2係止部43の双方をカバー本体36の端縁に形成するため、カバー本体36の面積を有効に利用することができる。
【0048】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、単電池群12A,12Bが対称な位置に配置されているものを例示したが、これに限られない。上記実施形態のようにカバー35の両面に第1係止部37,41及び第2係止部39,43があれば、異なる形状の(取付け面を有する)電池配線モジュール20A,20Bのカバー35を共通化することが可能になる。
【0049】
(2)上記実施形態では、カバー35の第1係止部37及び第2係止部39が撓み変形する構成としたが、これに限らず、電池配線モジュール20A,20B側に撓み変形可能な被係止部を設け、カバー35の第1係止部及び第2係止部を被係止部に係止させるようにしてもよい。また、被係止部を凹設して、第1係止部及び第2係止部に突部を設けるようにしてもよい。
(3)第1係止部37と第2係止部39との位置関係は、上記実施形態の構成に限られない。例えば、第1係止部37,41と第2係止部39,43とが上記実施形態よりも互いに離間した位置関係にあるようにしてもよい。
【0050】
(4)第1係止部37,41及び第2係止部39,43の個数は、上記実施形態の個数に限られず、上記実施形態より多くしたり、少なくしてもよい。
(5)上記実施形態では、単電池11の電極端子14A,14Bがナット形で別部材のボルトを用いて締結する構成であったが、これに限らず、電極端子が外周面にネジ溝を有する棒状の軸部を有する構成とし、別部材のナットを上方から締結することにより、接続部材21,25を電極端子に固定する構成としてもよい。この場合には、各接続部材21,25の通し孔21A,25Aには、電極端子の軸部が通されることになる。
【0051】
(6)上記実施形態では、複数の単電池11を直列に接続する場合について説明したが、これに限られず、複数の単電池11を並列に接続する場合について適用してもよく、また、直列及び並列を組み合わせたものであってもよい。
(7)電池モジュール10A,10Bを構成する単電池11の数については、7個としたが、これに限られず、6個以下又は8個以上でもよく、電池配線モジュール20A,20Bの構成も単電池11の数に応じて適宜設定することができ、カバー35の形状も電池配線モジュール20A,20Bの形状に応じて適宜設定することができる。
【符号の説明】
【0052】
10A,10B…電池モジュール
11…単電池
12A,12B…単電池群
14A,14B…電極端子
20A,20B…電池配線モジュール
21…長尺接続部材(接続部材)
25…短尺接続部材(接続部材)
30A,30B…保持部材
31…収容部
32…離脱規制片
33…被係止突部(被係止部)
35,45…カバー
36…カバー本体
36A…長径部
36B…短径部
37,41…第1係止部
38,42…第1係止孔
39,43…第2係止部
40,44…第2係止孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極及び負極の電極端子を有する単電池を複数並べて構成された単電池群の電極端子間を電気的に接続する接続部材を備えた電池配線モジュールのカバーであって、
前記電池配線モジュールを覆う板状のカバー本体と、
前記カバー本体の一方の面側に設けられ電池配線モジュールの被係止部に係止される第1係止部と、
前記カバー本体の他方の面側に設けられ前記電池配線モジュールとは異なる電池配線モジュールの被係止部に係止される第2係止部とを備える電池配線モジュールのカバー。
【請求項2】
前記被係止部は、電池配線モジュールの側壁から突出する突部であるとともに、前記第1係止部及び前記第2係止部は、前記カバー本体から突出するとともに前記突部が進入する係止孔を有し、前記係止孔の孔縁に前記突部が係止されることを特徴とする請求項1に記載の電池配線モジュールのカバー。
【請求項3】
前記第1係止部と前記第2係止部とは、前記係止孔の開口方向に位置をずらして形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電池配線モジュールのカバー。
【請求項4】
前記第1係止部と前記第2係止部とは、前記カバー本体の端縁に沿って並んで形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電池配線モジュールのカバー。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載されたカバーによって覆われてなる電池配線モジュール。
【請求項6】
複数の単電池と、前記複数の単電池に取付けられる請求項5に記載の電池配線モジュールとからなる電池モジュール。
【請求項1】
正極及び負極の電極端子を有する単電池を複数並べて構成された単電池群の電極端子間を電気的に接続する接続部材を備えた電池配線モジュールのカバーであって、
前記電池配線モジュールを覆う板状のカバー本体と、
前記カバー本体の一方の面側に設けられ電池配線モジュールの被係止部に係止される第1係止部と、
前記カバー本体の他方の面側に設けられ前記電池配線モジュールとは異なる電池配線モジュールの被係止部に係止される第2係止部とを備える電池配線モジュールのカバー。
【請求項2】
前記被係止部は、電池配線モジュールの側壁から突出する突部であるとともに、前記第1係止部及び前記第2係止部は、前記カバー本体から突出するとともに前記突部が進入する係止孔を有し、前記係止孔の孔縁に前記突部が係止されることを特徴とする請求項1に記載の電池配線モジュールのカバー。
【請求項3】
前記第1係止部と前記第2係止部とは、前記係止孔の開口方向に位置をずらして形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電池配線モジュールのカバー。
【請求項4】
前記第1係止部と前記第2係止部とは、前記カバー本体の端縁に沿って並んで形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電池配線モジュールのカバー。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載されたカバーによって覆われてなる電池配線モジュール。
【請求項6】
複数の単電池と、前記複数の単電池に取付けられる請求項5に記載の電池配線モジュールとからなる電池モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−20798(P2013−20798A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152962(P2011−152962)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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