電波測角アンテナ、これを備えた電波測角装置、及び飛しょう体
【課題】従来のレドーム内に設置される電波測角アンテナでは、レドームの影響を受けるため正確な入射角が計測できないという問題がある。
【解決手段】そのために、本発明の電波測角アンテナは、同一の面に配設された複数の計測アンテナと、前記計測アンテナに対して交差する方向に配設された複数の補助アンテナとを備えたことを特徴とする。これにより、補助アンテナにより入射方向を算出し、その情報を用いて、計測アンテナの誤測角を低減するものである。
【解決手段】そのために、本発明の電波測角アンテナは、同一の面に配設された複数の計測アンテナと、前記計測アンテナに対して交差する方向に配設された複数の補助アンテナとを備えたことを特徴とする。これにより、補助アンテナにより入射方向を算出し、その情報を用いて、計測アンテナの誤測角を低減するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛しょう体の機体の頭部に設けられたレドーム内に設置される電波測角アンテナ、これを備えた電波測角装置、及び飛しょう体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図18に示すように、航空機100に搭載される型のレーダにおいて、内部にアンテナが設置されたレドームを、鼻部102、背部101、腹部103、尾部104、又は主翼、尾翼等の翼端に設置されたものが提案されている(例えば、特許文献1。)。
【0003】
この場合、図18(b)に示す曲率の大きなレドーム101は、レドームの正面(紙面上の上方)から到来する電波のみならず、側面方向から到来する電波についてもレドーム内での反射が起こりにくい形状となっている。
また、図18(c)に示すレドーム102は、レドーム102と機体100との接合部において表面がなだらかになるように装着されており、飛行体用レドーム102の空気抵抗が少なくなり、航空機の運行性能の向上(最高速度や燃費の向上)を実現できる。
なお、図18(b)に示すレドーム101、図18(c)に示すレドーム102において、アンテナは、レドームの影響(レドーム内面で乱反射する到来電波によるノイズ)を少なくすべく、各レドーム101、102内の中央に配置されている。
【0004】
通常、飛しょう体(ミサイル)は受信電波の入射方向に進路を取るため、レーダは一般的に飛しょう体の前面に配置される。
このとき、飛しょう体の頭部にはアンテナを保護するレドームが用いられ、アンテナはレドームの基底部(図1における符号3の位置)に設置される。
亜音速で飛行する飛しょう体であれば、空力特性からの要求がそれほど厳しくないため、航空機等で使用されている曲率の大きいレドームを使用することができる。
そのため、航空機搭載型のレーダと同様にレドーム内での反射は起こりにくく、問題なく測角が行える。
【0005】
一方、高速(音速以上)で飛行する小型の飛しょう体の場合もアンテナは飛しょう体の前面に配置されるが、アンテナを保護するレドームは空気抵抗を少なくすべく図1に示すような尖頭形状とする必要がある。
尖頭形状レドームは、曲率の大きなレドームに比べレドーム内での反射が起こりやすい形状をしているが、使用する周波数帯が狭帯域であれば、その周波数帯においてレドームの透過率を上げ、内面で反射が起こらないようにする(電波を透過させる)ことができるため、反射の影響による問題は発生しない。
【0006】
使用する周波数帯が広帯域のレーダを用いる場合、狭帯域の場合と異なり、全帯域で透過率が高いレドームを作ることが不可能であるため、周波数帯によってはレドームが鏡面のように働き反射が起きる。
そのため電波の到来方向が正面からずれてくると、アンテナ面上にレドーム内壁で反射された電波(反射波)の影響を受ける領域が発生し始め、その領域に配置されたアンテナは、反射の影響をうけるため、正確な測角ができないという問題がある。
【0007】
【特許文献1】特開2002−299938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、正確な測角ができる電波測角アンテナ、これを備えた電波測角装置、及び飛しょう体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の問題点に対し本発明は、以下の各手段を以って課題の解決を図る。
【0010】
第1の手段の電波測角アンテナは、
同一の面に配設された複数の計測アンテナと、
前記複数の計測アンテナの配設面に対して交差する方向に配設された複数の補助アンテナとを備えたことを特徴とする。
【0011】
第2の手段は、第1の手段の電波測角アンテナにおいて、
前記各補助アンテナの裏面側に配設された電波遮蔽手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
第3の手段は、第1又は2の手段の電波測角アンテナにおいて、
前記複数の補助アンテナは、前記複数の計測アンテナの配設エリアを挟むように配設されていることを特徴とする。
【0013】
第4の手段の電波測角装置は、
同一の面に配設された複数の計測アンテナと、
前記複数の計測アンテナの配設面に対して交差する方向に配設された複数の補助アンテナを有し、
前記複数の補助アンテナにて受信した到来電波の電波諸元に基づき、前記複数の計測アンテナで受信した到来電波から入射角出力値の算出を行う入射角演算装置とを備えたことを特徴とする。
【0014】
第5の手段の電波測角装置は、第4の手段の電波測角装置において、
前記入射角演算装置は、
前記複数の補助アンテナにより受信した到来電波の入射方向を判定し、
前記入射方向に基づき使用する前記計測アンテナを選択し、
選択された前記計測アンテナにより受信した前記電波の入射角出力値を抽出するものであることを特徴とする。
【0015】
第6の手段の電波測角装置は、第4の手段の電波測角装置において、
前記入射角演算装置は、
前記複数の補助アンテナにより受信した到来電波の入射方向を判定し、
前記入射方向が前記計測アンテナの計測角度範囲かどうか判定する機能を有することを特徴とする請求項4に記載の電波測角装置。
【0016】
第7の手段の電波測角装置は、第4の手段の電波測角装置において、
前記入射角演算装置は、
前記複数の補助アンテナにより受信した到来電波の入射方向を判定し
前記計測アンテナで計測した入射角度を補正する機能を有することを特徴とする請求項4に記載の電波測角装置。
【0017】
第8の手段の電波測角装置は、第5乃至7のいずれか手段の電波測角装置において、前記計測アンテナは、
飛しょう体の頭部に取り付けられた尖頭形状のレドーム内に配設されたことを特徴とする。
【0018】
第9の手段の飛しょう体は、
第8の手段の電波測角装置を備えたことを特徴とする。
【0019】
なお、上記の各手段において、複数の計測アンテナ4、及び複数の補助アンテナ6は、各々少なくとも1個以上のアンテナ素子により構成されている。
【0020】
また、第5から第7にそれぞれ記載されている特長は単独でも利用可能であるが、単独で使用するよりも、組み合わせて使用する事で測角精度を更に向上させる事ができる。
【発明の効果】
【0021】
特許請求の範囲に記載の各請求項に係る発明は、上記の各手段を採用しており、補助アンテナを有していない場合、レドーム内面反射の影響により誤った入射角算出してしまうところ、補助アンテナにより計測した到来方向情報を用いてそれを回避することができる。
各手段の効果として、計測アンテナを選択する方法は、レドーム内面反射の影響を受ける計測アンテナを避け、受信状態の良い計測アンテナを選択することで、誤った入射角度の算出を低減することができるものであり、計測アンテナの計測角度範囲かどうか判定する方法は、計測アンテナが正確に計測できない範囲を使用しないようにすることで、誤った入射角度の算出を低減することができるものであり、電波の入射角度を補正する方法は、レドーム内面反射により計測アンテナによる入射角度算出結果が大きくずれる、又は、複数得られた場合、補助アンテナにより得られた入射方向情報と照合を行うことで、誤った入射角度の算出を低減することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の各実施の形態に係る電波測角アンテナ、これを備えた電波測角装置、及び飛しょう体につき説明する。
【0023】
本発明の各実施の形態に係る電波測角アンテナ及び電波測角装置は、所謂パッシブレーダと称するものであり、高速(例えば、超音速)で飛行する飛しょう体1に搭載されて、目標物から発信された電波を受信し入射角度(飛しょう体の中心方向に対する入射角出力値)を算出する。
【0024】
なお、アクティブレーダであれば、自分で検知用の電波を発信し、目標物で反射し戻ってきた電波を受信し、目標物を認識するものであるため、受信する電波の周波数及び方向は限定される。
しかしながら、パッシブレーダにおいては、目標物が発信する電波を受信するため、その周波数及び方向は不明であるが、本発明の各実施の形態に係る電波測角アンテナ及び電波測角装置は、様々な目標物に対応できるように、広範囲且つ広帯域の周波数の電波を受信できるものとなっている。
【0025】
<<本発明の各実施の形態に共通の基本構成>>
本発明の各実施の形態のものは、例えば、図1に図示のように、同一の面に配設された複数の計測アンテナ4(4a、4b)と、複数の計測アンテナ4a、4bの配設面に対して交差する方向に配設された複数の補助アンテナ6(6a、6b)とを備えたことを基本の構成とする。
【0026】
この場合、各補助アンテナ6の裏面側に、電波遮蔽手段を配設することにより、各補助アンテナ6は、その前面側から到来する電波のみが受信されるのでより好適な結果を得られる。
また、複数の補助アンテナ6a、6bを、複数の計測アンテナ4a、4bの配設エリアを挟むように配設することにより、補助アンテナの受信電力値を比較することで電波の到来する方向に最も向いた補助アンテナ6a(又は6b)を抽出することができ、電波の入射方向θxを特定できる。
【0027】
この際、計測アンテナ4の代表受信電力値Vm(各計測アンテナ4の受信電力値の平均値、又は最大値、各計測アンテナ4の中から代表として設定した計測アンテナ4の受信電力値)又は、各補助アンテナ6の受信電力値の合計値を用い、補助アンテナ6の受信電力値を割り規格化することにより、その値を用いおおよその電波の入射方向θxを算出することができる。
計測アンテナ4の代表受信電力値を用いる方法は、計測アンテナ4と補助アンテナ6の受信電力比により入射方向θxを算出するものであり、補助アンテナ6の合計値を用いる方法は、振幅モノパルス測角の原理により測角するものである。
【0028】
これにより、アンテナ面に配置した複数の計測アンテナ4から、電波入射角度に応じたレドーム2内面反射の影響が少ないアンテナを予め計測等により把握しておくことで、補助アンテナ6により計測した入射方向θxの情報により、最適な(レドーム2内面反射の影響が少ない)アンテナ4a(又は4b)を選択することができ、それにより、周知の入射角度演算方法を用い、正確な入射角出力値θoutが算出される。
【0029】
また、レドーム2内面反射の影響により、計測アンテナ4で計測できない角度範囲がある場合は、予め計測等により正確に計測できない角度範囲を除いた角度範囲を計測アンテナ4の計測角度範囲θzとして設けることで、補助アンテナ6により計測した電波の入射方向θxが、その範囲内、外であるかを判定し、範囲外であれば計測アンテナ4による到来電波Kの入射角出力値θoutを無効と判定することで誤った計測(本来の入射角度と異なった入射角度が算出される)を避けることができる。
【0030】
また、計測アンテナ4により算出された入射角度が、レドーム2内面反射の影響、又は、測角方法の影響(例えば、空間に配置した2個のアンテナ素子間隔に基づく位相情報を用いる算出方法を用いた場合、アンテナ素子間隔が半波長以上に離れていれば、入射角候補θa1、θa2、θa3、・・・が複数算出される場合が生じる)により複数候補得られた場合、又は、入射角算出結果θoutに大きな誤差が生じる場合、補助アンテナ6により計測した入射方向θxと照合を行い、差が大きい入射角算出値は無効とすることで、複数の入射角候補θa1、θa2、θa3、・・・から正確な入射角を特定又は、大きな誤差を持った入射角算出値を排除することができる。
【0031】
以下に具体的な実施の形態を示す。
【0032】
<<本発明の第1の実施の形態>>
先ず、図1〜図8に基づき、本発明の第1の実施の形態に係る電波測角アンテナ、これを備えた電波測角装置、及び飛しょう体につき説明する。
本発明の第1の実施の形態のものは、2個の計測アンテナ4及び2個の補助アンテナを用いて、1次元の入射角出力値θoutを得る例(1次元測角)である。
なお、1次元の入射角とは、飛しょう体に対し、左右方向(x軸)の入射角である。
【0033】
図1は、本発明の各実施の形態に係るレドーム内に設置された電波測角アンテナ及び電波測角装置の平面模式図である。
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る図1の補助アンテナ、領域Z及び計測アンテナ4の第1の配置例の正面図である。
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る補助アンテナ6にて受信した受信電力値Hxa、Hxbの最大値Hzにて各補助アンテナ6の受信電力値Hxa、Hxbを割り、補助アンテナ6の受信電力比Pa、Pbを算出し、これを用いて入射方向θxを算出する処理フロー図である。
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る補助アンテナ6にて受信した受信電力値Hxa、Hxbの差Hαと各補助アンテナ6の受信電力値Hxa、Hxbの合計値Vsで割り規格化受信電力値Acを算出し、これを用いて入射方向θxを算出する処理フロー図である。
図5は、図4の各補助アンテナ6の受信電力値Hxa、Hxbの合計値Vsを、計測アンテナ4にて受信した受信電力値Gxa、Gxbの最大値、平均値、又は特定のアンテナ素子の受信電力値を計測アンテナ4の代表受信電力値Vmに置き換え、
更に、補助アンテナ6の受信電力差Hαをx軸方向の補助アンテナの最大受信電力値Hx1に置き換えたものであり、その他の処理は同じである。
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る、予めレドーム内面反射の影響を把握し、到来電波Kの入射方向θxにより使用する計測アンテナ4を選択し、選択された計測アンテナ4にて到来電波Kの入射角出力値θoutを算出する演算を行う処理フロー図である。
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る、予め入射角度と計測アンテナ4の計測角度範囲θzを把握し、計測アンテナ4の計測角度範囲θz内の到来電波Kに対し、その入射角出力値θoutを算出する演算を行う処理フロー図である。
図8は、本発明の第1の実施の形態に係る、計測アンテナ4にて受信した電波諸源から算出された一つもしくは複数の入射角候補θa1、θa2、θa3、・・・に対し、補助アンテナ6により算出した入射方向θxとの差が最小のものを選択し、更にその差が予め設定した許容値内であることを判定し、入射角出力値θoutを算出する演算を行う処理フロー図である。
【0034】
本発明の第1の実施の形態のものにおいては、図1に示すように、飛しょう体1の頭部にはレドーム2が取り付けられている。
レドーム2は、飛行時の空気抵抗を少なくするために尖頭形状となっている。
また、レドーム2の側面の縦断面形状は、外側に湾曲した形状となっている。
レドーム2の材質は、従来のものと同様に、電波透過性の優れたガラス繊維FRP、ガラス繊維強化エポキシ樹脂、シアネート樹脂のFRP等である。
【0035】
レドーム2内において、レドーム2の基底部には、板状(円板状のもののみならず、三角形、四角形、多角形のものも含む)の正面基台3が取り付けられている。
正面基台3の側面には、レドーム2内において、後方に延在する筒状(円筒状のもののみならず、円錐台、多角筒、多角錐台のものも含む)の側面基台5が取り付けられている。
この側面基台5は、正面基台3に対して所定の角度で傾いている(例えば、垂直)。
【0036】
<補助アンテナ、領域、計測アンテナの構成>
本発明の第1の実施の形態のものにおいては、図1、図2に示すように、正面基台3の前面に、レドーム2の前方から到来する広帯域な電波を受信するために、2個の広帯域の計測アンテナ4(4a、4b)が取り付けられている。
側面基台5の外部側面には、広帯域の2個の補助アンテナ6(6a、6b)が取り付けられている。
正面基台3の前面は、2つの領域Z(Za、Zb)に区画されている。
計測アンテナ4、補助アンテナ6及び領域Zの個数は2個に限定されるものではなく、後述するように、複数(2個以上)とすることができる。
【0037】
先ず、図2に基づき、補助アンテナ6、正面基台3の前面の領域Z、及び計測アンテナ4の第1の配置例につき説明する。
図2に示すように、正面基台3の前面は、領域Za、Zbにより左右に区画されている。
なお、領域Zaと領域Zbとは、境界部において部分的にオーバーラップしても差し支えない。
【0038】
各領域Za、Zbには、各々1個の計測アンテナ4a、4bが、飛しょう体1の正面基台3に左右対称に配設されている。
もちろん対称でなくてもなんら問題は無いが、対称が望ましい。
側面基台5の外部側面における飛しょう体1の左右には、各々1個の補助アンテナ6a、6bが取り付けられている。
各補助アンテナ6(6a、6b)は、各々1個の広帯域の補助アンテナ素子により構成されている。
広帯域の補助アンテナ素子は、例えば、スパイラルアンテナ素子を採用することができる。
補助アンテナ6を少なくとも2個設けることにより、図3〜図5の処理において、目標物から発信された電波が、飛しょう体1の左右おおよその入射方向θxを算出することができる。
【0039】
各補助アンテナ6は、補助アンテナ6正面からの電波を受信し、補助アンテナ6裏面からの電波は受信しないようにする必要がある。
そこで、補助アンテナ6a、6bの裏面、或いは側面基台5に、アンテナ裏面からの電波を遮蔽する電波遮蔽部材(電波遮蔽手段)が設けられている。
【0040】
なお、電波遮蔽手段としては、側面基台5そのものを電波遮蔽部材(例えば、金属基台、)としてもよく、他には、補助アンテナ6a、6bを飛しょう体1(金属製)の本体の側面に取り付け、飛しょう体1の本体を電波遮蔽手段、又は、補助アンテナ6a、6b自体を正面方向に指向性を有したアンテナとして、アンテナ背面の電波遮蔽部材相当の機能をアンテナに持たせても良い。
【0041】
補助アンテナ6a、6bは、図1に図示のようにレドーム2内に配設されたものに限定されるものではない。
例えば、飛しょう体1の左右の胴部、或いは左右の翼の先端に取付けるようにしても良い。
この場合、飛しょう体1の本体が、アンテナ裏面からの電波を遮蔽する電波遮蔽手段として機能する。
【0042】
補助アンテナ6による入射方向θxの算出は、補助アンテナ6a、6bの受信電力値を比較することで左右どちらから電波が入射するのか入射方向θxを特定でき、左右の受信電力比を算出すれば、おおよその入射方向θxを算出することができる。
また、計測アンテナ4の代表受信電力値Vm(各計測アンテナ4の受信電力値の平均値、又は最大値、各計測アンテナ4の中から代表として設定した計測アンテナ4の受信電力値)又は、各補助アンテナ6a、6bの受信電力値の合計値を用い、補助アンテナ6の受信電力値を規格化することにより、その値を用いおおよその電波の入射方向θxを算出することができる。
計測アンテナ4の代表受信電力値Vmを用いる方法は、計測アンテナ4と補助アンテナ6の受信電力比により入射方向θxを算出するものであり、補助アンテナ6の合計値を用いる方法は、振幅モノパルス測角の原理により測角するものである。
【0043】
各計測アンテナ4a、4bは、各領域Za、Zbにおいて、それぞれ1つ、または、複数のアンテナ素子により構成される。
アンテナ素子の構成方法については、計測アンテナ4a、4bにおける測角方式により決定される。
【0044】
計測アンテナ4a、4bにおける入射角度計測は、例えば目標電波の位相情報を利用した測角方式や振幅情報を利用した測角方式、および位相情報と振幅情報とを利用した測角方式など、既存の入射角測角方法を採用することができる。
位相情報を利用する場合は、各計測アンテナ4として、複数のアンテナ素子を配し、各アンテナ素子における受信信号の位相差に基づき、入射角度を求める方式がある。
また、振幅情報を利用する場合は、前記と同様に、各計測アンテナ4として、複数のアンテナ素子を配し、各アンテナ素子における振幅比に基づき、入射角度を求める方式がある。
さらに、振幅情報、位相情報を共に用いて、入射角度を求める方式がある。
レドーム2のような尖塔な形状の場合には、レドーム2の内面反射のために振幅情報、位相情報に、アンテナとレドームの位置関係の違いにより異なった影響を及ぼすことになる。
このため、異なる角度で同一の計測値となるために、複数の電波入射角候補が得られる場合がある。
【0045】
到来した電波は、後述する電波受信回路7a、7bを通して信号検出され、後述する入射角演算装置8において補助アンテナ6及び、計測アンテナ4で受信した電波諸元を用い入射角出力値θoutの演算抽出をおこなう。
【0046】
<電波受信回路の説明>
電波受信回路7a、7bは受信した電波から後段の入射角演算装置8の処理で使用する受信電力値、位相情報などの電波諸元を取り出し、それらをデジタル変換する機能を有する。
それにより、後段の入射角演算装置8で、補助アンテナ6、計測アンテナ4で受信した電波諸元を用いた信号処理が可能となる。
【0047】
入射角演算装置8は、プロセッサ、メモリなどで構成される信号処理装置であり、得られた電波諸元を処理し入射角出力値θoutを算出するものである。
以下、入射角演算装置8の演算内容について説明する。
なお、以下の説明は、便宜上、補助アンテナ6aでの受信電力値が最大の場合について説明するが、これに限定されるものではなく、補助アンテナ6b…での受信電力値が最大の場合は、当然、領域Zb…、計測アンテナ4b…のデータを使用して演算、処理が行われる。
また、本発明の第2以降の実施の形態のものも同様である。
【0048】
<入射角演算装置>
次に、補助アンテナ6、計測アンテナ4にて受信した電波に基づいた入射角度(飛しょう体の中心方向に対する入射角出力値θout)の算出について説明する。
図3〜図5は、本実施形態の入射方向θx算出方法フローの代表例を示し、図3、図4、図5のいずれの方法でも入射方向θxを算出することができる。
【0049】
まずは、図3について説明する。
電波受信回路7bより補助アンテナ6の到来電波Kを受信(S1)し、各補助アンテナ6a、6bの受信電力値Hxa、Hxbを比較する。
ここで受信電力値Hxa、Hxbのうちの最大受信電力値をHzとする。
また、最大受信電力値Hzを受信した補助アンテナ6を抽出する(S2)。
得られた最大受信電力値Hzで、各補助アンテナ6の受信電力値Hxa、Hxbを割ることで、抽出した補助アンテナ6に対する、他の補助アンテナ6の受信電力比Pa、Pbを算出する(S3)。
ここで、抽出した補助アンテナ6の指向方向(アンテナ面の法線方向)を電波の入射方向θxとして出力してもよいが、予め、本装置製造時に取得(実際に測定した計測データ、又はそれら計測データを基に計算機により算出したデータでもよい。)した入射方向θxに対する各補助アンテナ6の受信電力比Pの関係グラフ(演算式やデータテーブルでも良い)を入射角演算装置8のメモリに保持し、これを利用することで、得られた受信電力比Pに応じた入射方向θxを算出することができる(S4)。
【0050】
ここで、入射方向θxに対する各補助アンテナ6の受信電力比Pの関係グラフ、S1に周波数フィルタバンクなどの周波数を特定する機能を備えれば、S4の処理にてその周波数に応じた関係グラフと参照できるため、周波数による特性変動を抑えることで入射方向θxの精度は向上する。
この周波数に応じた関係グラフを用意することで得られる精度向上の効果は、後述するフローでも同様に処置することで効果は得られる。
【0051】
次に図4について説明する。
図3と同様に電波受信回路7bより補助アンテナ6の到来電波Kを受信(S11)し、補助アンテナ6a、6bの受信電力値Hxa、Hxbより受信電力差Hαを算出する。(Hα=Hxa−Hxb)(S12)。
一方、補助アンテナ6の代表受信電力値Vsとして、各補助アンテナ6の受信電力値Hxa、Hxbの合計値を算出する(Vs=Hxa+Hxb)(S14)。
得られた受信電力差Hαを代表受信電力値Vsで規格化(割る)することで、規格化受信電力値Acを算出する(S13)。
ここで、図3のS4の処理と同様に、予め、本装置製造時に取得(実際に測定した計測データ、又はそれら計測データを基に計算機により算出したデータでもよい。)した規格化受信電力値Acと入射方向θxの関係グラフ(演算式やデータテーブルでも良い)を入射角演算装置8のメモリに保持し、これを利用することで、得られた規格化受信電力値Acに応じた入射方向θxを算出することができる。
【0052】
図5は、図4の代表受信電力値Vsが計測アンテナ4の代表受信電力値Vmとなったものであり、その算出方法が補助アンテナ6の電波諸元を用いたものでなく、電波受信回路7aで受信された計測アンテナ4の電波諸元より、代表受信電力値Vmとして、計測アンテナ4の受信電力値Gxa、Gxbの、最大値、平均値、又は、特定のアンテナ素子の受信電力値となったものであり、更に、補助アンテナ6の受信電力差Hαをx軸方向の最大受信電力値Hx1に置き換えたものであり、その他の処理は同じである。
尚、Hx1は受信電力値Hxa、Hxbのうち、大きい方とする。
【0053】
図3〜図5で得られた入射方向θxは、次に示す図6〜図8の処理に用いることで、入射角出力値θoutが算出される。
図6〜図8の各処理は、その処理を実施ことにより計測アンテナ4がレドーム内面反射の影響により発生する誤測角を低減するものである。
【0054】
図6は、予め、本装置製造時に入射角度によるレドーム内面反射が計測アンテナ4に与える影響を実際に測定した計測データ(実測できない場合は計算機シミュレーションにて補完する方法もある。)などにより把握することで、入射方向θxにより使用する計測アンテナ4を決定する。
そのデータテーブルを入射角演算装置8のメモリに保持しておく。
これを利用し、得られた入射方向θxに応じた計測アンテナ4を選定する(S31)。
選定された計測アンテナ4により、S32、S33の処理で計測することで、入射角出力値θoutを算出する。
【0055】
図7は、予め、本装置製造時に入射角度によるレドーム内面反射が計測アンテナ4に与える影響を実際に測定した計測データ(実測できない場合は計算機シミュレーションにて補完する方法もある。)などにより把握し、計測アンテナ4の計測角度範囲θzを決定する。
そのデータテーブルを図6と同様に入射角演算装置8のメモリに保持しておく。
これを利用し、得られた入射方向θxに応じ、そのデータテーブルより計測アンテナ4の計測角度範囲θz内かどうか判定を行い(S41)、計測アンテナ4の計測角度範囲θz内ならば、S43、S44の処理で計測することで、入射角出力値θoutを算出する。
尚、S41で計測アンテナ4の計測角度範囲θz外であれば、処理を終了し、他の到来波(フィルタバンクを有しているのであればその他の周波数の到来波、又は、一定時間経過後の到来波)について入射方向θxの算出(図3、図4又は、図5)から再度実施する(S42)。
このようにして、計測角度範囲θz外であった場合は処理を終了し、次の目標に対して入射方向算出を実施する。
【0056】
図8は、計測アンテナ4で受信した電波諸元より、S51、S52により複数の入射角候補θa1、θa2、θa3、・・・を算出(1個の場合も有りうる)する。
図3、図4、又は図5のフローより算出した入射方向θxと入射角候補θa1、θa2、θa3、・・・を比較し、差が一番小さい入射角候補(例えばθa1)を算出する(S53)。
予め設定した許容値と比較し、差が許容値以内であれば入射角出力値θoutとして出力する(S54)。
ここで、許容値以上であれば、処理を終了し、S42と同様の処置を行う(S55)。
【0057】
ここで、図6〜図8の処理を個別に示したが、入射角出力値θoutの入力を、図6であればS32、図7であればS43、図8であればS52の代わりにすることで、組合せることが可能であり、効果を向上させることができる。
【0058】
このようにして、入射角演算装置8により、正確な入射角出力値θoutが算出される。
【0059】
本発明の第1の実施の形態に係る電波測角アンテナによれば、同一の面に配設された2個の計測アンテナ4と、計測アンテナ4が配設された面に対して傾けて(例えば、垂直な方向)配設された2個の補助アンテナ6とを備えたことにより、入射角演算装置8により補助アンテナ6を用い入射方向θxを算出し、計測アンテナ4の演算結果を補完することで、より正確な入射角出力値θoutを算出することができる。
【0060】
<<本発明の第2の実施の形態>>
次に、図1、図9〜図17に基づき、本発明の第2の実施の形態に係る電波測角アンテナ、これを備えた電波測角装置、及び飛しょう体につき説明する。
本発明の第2の実施の形態のものは、4個の計測アンテナ4及び4個の補助アンテナ6を用いて、2次元の入射角出力値θoutを得る例(2次元測角)である。
なお、2次元の入射角とは、飛しょう体に対し、左右方向の入射角(x軸)及び上下方向の入射角(y軸)である。
【0061】
本発明の第2の実施の形態に係るレドーム2内に設置された電波測角アンテナ及び電波測角装置の平面模式図は、図1に図示のものと同じである(但し、上下方向の計測アンテナ4、補助アンテナ6は、図示を省略されている)。
図9は、本発明の第2の実施の形態に係る補助アンテナ6及び領域Zの第2の配置例である。
図10は、本発明の第2の実施の形態に係る補助アンテナ6及び領域Zの第3の配置例である。
図11は、本発明の第2の実施の形態に係る補助アンテナ6及び領域Zの第4の配置例である。
図12は本発明の第2の実施の形態に係る補助アンテナ6にて受信した受信電力値Hxa、Hxb、Hxc、Hxdの最大値Hzにて各補助アンテナ6の受信電力値Hxa、Hxb、Hxc、Hxdを割り、補助アンテナ6の受信電力比Pa、Pb、Pc、Pdを算出し、これを用いて入射方向θx、θyを算出する処理フロー図である。
図13は、本発明の第2の実施の形態に係る補助アンテナ6にて受信した受信電力値HxaとHxcの差Hαと、HxbとHxdの差Hβと、各補助アンテナ6の受信電力値Hxa、Hxb、Hxc、Hxdの合計値Vsから規格化受信電力値AcxおよびAcyを算出し、これを用いて入射方向θx、θyを算出する処理フロー図である。
図14は、図13の補助アンテナ6の受信電力値Hxa、Hxb、Hxc、Hxdの合計値である補助アンテナ6の代表受信電力値Vsを、計測アンテナ4で測定した受信電力値Gxa、Gxb、Gxc、Gxdの最大値、平均値、又は特定のアンテナ素子の受信電力値を計測アンテナ4の代表受信電力値Vmに置き換え、更に、補助アンテナ6の受信電力差Hα、Hβを、補助アンテナの最大受信電力値Hx1、Hy1に置き換えたものであり、その他の処理は同じである。
図15は、本発明の第2の実施の形態に係る、予めレドーム内面反射の影響を把握し、到来電波Kの入射方向θx、θyにより使用する計測アンテナ4を選択し、選択された計測アンテナ4にて到来電波Kの入射角出力値θoutを算出する演算を行う処理フロー図である。
図16は、本発明の第2の実施の形態に係る、予め入射角度と計測アンテナ4の計測角度範囲θzを把握し、計測アンテナ4の計測角度範囲θz内の到来電波Kに対し、入射角出力値θoutを算出する演算を行う処理フロー図である。
図17は、本発明の第2の実施の形態に係る、計測アンテナ4にて受信した電波諸源から算出された一つもしくは複数の入射角候補θa1、θa2、θa3、・・・に対し、補助アンテナ6により算出した入射方向θx、θyとの差が最小のものを選択し、更にその差が予め設定した許容値内であることを判定し、入射角出力値θoutを算出する演算を行う処理フロー図である。
【0062】
レドーム2、正面基台3、側面基台5等については、本発明の第1の実施の形態のものと同様のものを備えている。
【0063】
<補助アンテナ、領域、計測アンテナの構成>
図1、図9に示すように、本発明の第2の実施の形態のものにおいては、正面基台3の前面に、レドーム2の前方から到来する広帯域な電波を受信するために、4個の広帯域の計測アンテナ4(4a、4b、4c、4d)が取り付けられている。
また、側面基台5の外部側面には、広帯域の4個の補助アンテナ6(6a、6b、6c、6d)が取り付けられている。
そして、正面基台3の前面は、4つの領域Z(Za、Zb、Zc、Zd)に区画されている。
なお、計測アンテナ4、補助アンテナ6及び領域Zの個数は4個に限定されるものではなく、後述するように、3個以上とすることができる。
【0064】
先ず、図9に基づき、補助アンテナ6、正面基台3の前面の領域Z、及び計測アンテナ4の第2の配置例につき説明する。
図9に示すように、正面基台3の前面は、領域Za、Zb、Zc、Zdにより左右上下に区画されている。
なお、領域Za、Zb、Zc、Zdは、境界部において部分的にオーバーラップしても差し支えない。
【0065】
そして、各領域Za、Zb、Zc、Zdには、各々1個の計測アンテナ4a、4b、4c、4dが、飛しょう体1の中心軸或いは正面基台3(図1参照)の中心に対して対称に配設されている。
もちろん対称でなくてもなんら問題は無いが、対称が望ましい。
側面基台5の外部側面における飛しょう体1の左右及び上下には、各々1個の補助アンテナ6a、6b、6c、6dが取り付けられている。
補助アンテナ6を少なくとも4個設けることにより、後述する図12〜図14の処理において、目標物から発信された電波の2次元の到来方向の算出が可能となる。
【0066】
なお、補助アンテナ6a、6b、6c、6dの裏面には、本発明の第1の実施の形態のものと同様に電波遮蔽部材(電波遮蔽手段)が設けられている。
【0067】
各領域Za、Zb、Zc、Zdにおいて、各計測アンテナ4a、4b、4c、4dは、それぞれ1つ、または複数のアンテナ素子により構成される。
アンテナ素子の構成方法については、計測アンテナ4a、4b、4c、4dにおける測角方法により決定される。
【0068】
計測アンテナ4a、4b、4c、4dにおける角度計測は、第1の実施の形態のものと同様に、例えば目標電波の位相情報を利用した測角方式や振幅情報を利用した測角方式、および位相情報と振幅情報とを利用した測角方式など、既存の入射角測角方法を採用することができる。
しかしながら、これら既存の入射角測角方法には、第1の実施の形態において説明したものと同様に、複数の電波入射角候補θa1、θa2、θa3、・・・が得られる場合がある。
【0069】
到来した電波は、後述する電波受信回路7a、7bを通して信号検出され、後述する入射角演算装置8において補助アンテナ6及び、計測アンテナ4で受信した電波諸元を用い入射角出力値θoutの演算抽出をおこなう。
【0070】
<補助アンテナ、領域、計測アンテナの第3の配置例>
なお、補助アンテナ6、領域Z、計測アンテナ4は、例えば、図10に示すような第3の配置例の配置とすることができる。
図10に示すように、側面基台5の外部側面における飛しょう体1の左右上下に、等角度で3個の補助アンテナ6(6a〜6c)が取り付けられている。
一方、正面基台3の前面には、4個の領域Z(Za〜Zd)に区画されている。
そして、各領域Zには、各々、第1の配置例と同様に、少なくとも4個の計測アンテナ4(4a〜4d)が、飛しょう体1の中心軸或いは正面基台3(図1参照)の中心に対して対称に取り付けられている。
もちろん対称でなくてもなんら問題は無いが、対称が望ましい。
このような構成によっても、補助アンテナ6、領域Z、計測アンテナ4の第2の配置例のものと同様の処理、演算が可能となる。
【0071】
<補助アンテナ、領域、計測アンテナの第4の配置例>
次に、図11に基づき、補助アンテナ6と、正面基台3の前面の領域Zと、計測アンテナ4との第4の配置例につき説明する。
図11に示すように、側面基台5の外部側面に、8個の補助アンテナ6(6a〜6h)が取り付けられている。
8個の補助アンテナ6に対応して、正面基台3の前面も8個の領域Z(Za〜Zh)に区画されている。
そして、各領域Zには、各々、第1の配置例と同様に、少なくとも8個の計測アンテナ4(4a〜4h)が、飛しょう体1の中心軸或いは正面基台3(図1参照)の中心に対して対称に取り付けられている。
もちろん対称でなくてもなんら問題は無いが、対称が望ましい。
このような構成によれば、レドーム2による反射の影響の少ない計測アンテナ4をより的確に抽出することができ、より正確な処理、演算が可能となる。
【0072】
<入射角演算装置>
次に、補助アンテナ6、計測アンテナ4にて受信した電波に基づいた入射角度(飛しょう体の中心方向に対する入射角出力値θout)の算出について説明する。
図12〜図14は、本実施形態の入射方向θx、θy算出方法フローの代表例を示し、図12、図13、図14のいずれの方法でも入射方向θx、θyを算出することができる。
入射方向θx、θyの算出は、補助アンテナ6の配置がx軸、y軸の2次元配置になったことで、θx、θyを算出することが可能となり、入射方向θx、θyを2次元で特定できる。
【0073】
まずは、図12について説明する。
電波受信回路7bにて補助アンテナ6の到来電波Kを受信(S101)し、その受信した各補助アンテナ6の受信電力値Hxa、Hxb、Hxc、Hxdを用い、各補助アンテナ6a、6b、6c、6dの受信電力値Hxa、Hxb、Hxc、Hxdを比較する。
ここで受信電力値Hxa、Hxb、Hxc、Hxdのうち、x軸方向の最大値をHzとする。
また、最大受信電力値Hzを受信した補助アンテナ6を抽出する(S102)。
得られた最大受信電力値Hzで、各補助アンテナ6の受信電力値Hxa、Hxb、Hxc、Hxdを割ることで、抽出した補助アンテナ6に対する、他の補助アンテナ6の受信電力比Pa、Pb、Pc、Pdを算出する(S103)。
ここで、予め、本装置製造時に取得(実際に測定した計測データ、又はそれら計測データを基に計算機により算出したデータでもよい。)した入射方向θx、θy(x軸、y軸の2次元)に対する各補助アンテナ6の受信電力比Pの関係グラフ(演算式やデータテーブルでも良い)を入射角演算装置8のメモリに保持し、これを利用することで、得られた受信電力比Pに応じた入射方向θx、θyを算出することができる(S104)。
【0074】
次に図13について説明する。
図12と同様に電波受信回路7bにて補助アンテナ6の到来電波Kを受信(S111)し、x軸方向に対称に配置された補助アンテナ6の6a、6cの受信電力値Hxa、Hxcより受信電力差Hα(Hα=Hxa−Hxc)を算出し、y軸方向に対称に配置された6b、6dの受信電力値Hxb、Hxdより受信電力差Hβ(Hβ=Hxb−Hxd)を算出する(S112)。一方、補助アンテナ6の代表受信電力値をVsとして、各補助アンテナ6の受信電力値Hxa、Hxb、Hxc、Hxdの合計値を算出する(S114)。
得られた受信電力差Hαおよび受信電力差Hβを代表受信電力値Vsで規格化(割る)することで、規格化受信電力値AcxおよびAcyを算出する(S113)。
ここで、予め、本装置製造時に取得(実際に測定した計測データ、又はそれら計測データを基に計算機により算出したデータでもよい。)した規格化受信電力値AcxおよびAcyと入射方向θx、θyの関係グラフ(演算式やデータテーブルでも良い)を入射角演算装置8のメモリに保持し、これを利用することで、得られた規格化受信電力値AcxおよびAcyに応じた入射方向θx、θyを算出することができる。
【0075】
図14は、図13の代表受信電力値Vsが計測アンテナ4の代表受信電力値Vmとなったものであり、その算出方法が補助アンテナ6の電波諸元を用いたものでなく、電波受信回路7aにて受信された計測アンテナ4の電波諸元より、代表受信電力値Vmとして、計測アンテナ4の受信電力値Gxa、Gxb、Gxc、Gxdの、最大値、平均値、又は、特定のアンテナ素子の受信電力値となったものであり、更に、補助アンテナ6の受信電力差Hα、Hβを最大受信電力値Hx1、Hy1に置き換えたものであり、その他の処理は同じである。
尚、Hx1は受信電力値Hxa、Hxcのうち、大きい方とし、Hy1は受信電力値Hxb、Hxdのうち、大きい方とする。
【0076】
図12〜図14で得られた入射方向θx、θyは、x軸、y軸で表現される2次元であり、次に示す図15〜図17の処理は、図6〜図8の処理をそれぞれ2次元に拡張したものである。
【0077】
図15は、第1の実施の形態の図6と同様に、予め、本装置製造時に入射角度によるレドーム内面反射が計測アンテナ4に与える影響を実際に測定した計測データ(実測できない場合は計算機シミュレーションにて補完する方法もある。)などにより把握することで、入射方向θx、θyにより使用する計測アンテナ4を決定する。
前段の入射方向θx、θyの算出値θx、θyに対応する計測アンテナ4選択のデータテーブルを入射角演算装置8のメモリに保持しておく。
これを利用し、得られた入射方向θx、θyに応じた計測アンテナ4を選定する(S131)。
選定された計測アンテナ4により、入射角出力値θoutを算出する(S133)。
【0078】
図16は、第1の実施の形態の図7と同様に、予め、本装置製造時に入射角度によるレドーム内面反射が計測アンテナ4に与える影響を実際に測定した計測データ(実測できない場合は計算機シミュレーションにて補完する方法もある。)などにより把握し、計測アンテナ4の計測角度範囲θzを決定する。
計測角度範囲θzは、入射方向θx、θyの軸に合わせ、そのデータテーブルを図15と同様に入射角演算装置8のメモリに保持しておく。
これを利用し、得られた入射方向θx、θyに応じ、そのデータテーブルより計測アンテナ4の計測角度範囲θz内かどうか判定を行い(S141)、計測アンテナ4の計測角度範囲θz内ならば、S143、S144の処理で計測することで、入射角出力値θoutを算出する。
尚、S141で計測アンテナ4の計測角度範囲θz外であれば、処理を終了し、他の到来波(フィルタバンクを有しているのであればその他の周波数の到来波、又は、一定時間経過後の到来波)について入射方向θx、θyの算出(図12、図13又は、図14)から再度実施する(S142)。
このようにして、計測角度範囲θz外であった場合は処理を終了し、次の目標に対して入射方向算出を実施する。
【0079】
図17は、第1の実施の形態の図8と同様に、計測アンテナ4で受信した電波諸元より、S151、S152により複数の入射角候補θa1、θa2、θa3、・・・を算出(1個の場合も有りうる)する。
図12、図13、又は図14のフローより算出した入射方向θx、θyと入射角候補θa1、θa2、θa3、・・・を比較し、差が一番小さい入射角候補(例えばθa1)を選定する(S153)。
尚、比較の際、入射角候補θa1、θa2、θa3、・・・の算出値の軸が、入射方向θx、θyの軸と異なる場合、θx、θyの対応軸に座標変換を行い比較する。
予め設定した許容値と比較し、差が許容値以内であれば入射角出力値θoutとして出力する(S154)。
ここで、許容値以上であれば、処理を終了し、S142と同様の処置を行う(S155)。
【0080】
ここで、図15〜図17の処理を個別に示したが、第1の実施形態と同様に、入射角出力値θoutの入力を、図15であればS132、図16であればS143、図17であればS152の代わりにすることで、組合せることが可能であり、効果を向上させることができる。
【0081】
<<その他の実施の形態>>
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明は上記の各実施の形態に限定されず、本発明の範囲内で種々の変更を加えたり、各実施の形態の各構成を組み換えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0082】
また、本発明及び各実施の形態において、入射角演算装置8は、個々の電子回路の形態のものに限定されるものではなく、コンピュータにおける(サブ)プログラム、シーケンサー、メモリ等、各種の形態のものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1、2の実施の形態に係るレドーム内に設置された電波測角アンテナ及び電波測角装置の平面模式図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る図1の補助アンテナ6、領域Z及び計測アンテナ4の第1の配置例の正面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る補助アンテナ6にて受信した受信電力値Hxa、Hxbの最大値Hzにて各補助アンテナ6の受信電力値Hxa、Hxbを割り、補助アンテナ6の受信電力比Pa、Pbを算出し、これを用いて入射方向θxを算出する処理フロー図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る補助アンテナ6にて受信した受信電力値Hxa、Hxbの差Hαと各補助アンテナ6の受信電力値Hxa、Hxbの合計値Vsで割り規格化受信電力値Acを算出し、これを用いて入射方向θxを算出する処理フロー図である。
【図5】図4の各補助アンテナ6の受信電力値Hxa、Hxbの合計値Vsを、計測アンテナ4にて受信した受信電力値Gxa、Gxbの最大値、平均値、又は特定のアンテナ素子の受信電力値を計測アンテナ4の代表受信電力値Vmに置き換え、更に、補助アンテナ6の受信電力差Hαをx軸方向の補助アンテナの最大受信電力値Hx1に置き換えたものであり、その他の処理は同じである。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る、予めレドーム内面反射の影響を把握し、到来電波Kの入射方向θxにより使用する計測アンテナ4を選択し、選択された計測アンテナ4にて到来電波Kの入射角出力値θoutを算出する演算を行う処理フロー図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る、予め入射角度と計測アンテナ4の計測角度範囲θzを把握し、計測範囲内の到来電波Kに対し、その入射角出力値θoutを算出する演算を行う処理フロー図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る、計測アンテナ4にて受信した電波諸源から算出された複数の入射角候補θa1、θa2、θa3、・・・に対し、補助アンテナ6により算出した入射方向θxとの差を比較し、差が最小のものを選択し、更にその差が予め設定した許容値内であることを判定し、入射角出力値θoutを算出する演算を行う処理フロー図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る補助アンテナ6及び領域Zの第2の配置例である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る補助アンテナ6及び領域Zの第3の配置例である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る補助アンテナ6及び領域Zの第4の配置例である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る補助アンテナ6にて受信した受信電力値Hxa、Hxb、Hxc、Hxdの最大値Hzにて各補助アンテナ6の受信電力値Hxa、Hxb、Hxc、Hxdを割り、補助アンテナ6の受信電力比Pa、Pb、Pc、Pdを算出し、これを用いて入射方向θx、θyを算出する処理フロー図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係る補助アンテナ6にて受信した受信電力値HxaとHxcの差Hαと、HxbとHxdの差Hβと、各補助アンテナ6の受信電力値Hxa、Hxb、Hxc、Hxdの合計値Vsから規格化受信電力値AcxおよびAcyを算出し、これを用いて入射方向θx、θyを算出する処理フロー図である。
【図14】図13の補助アンテナ6の受信電力値Hxa、Hxb、Hxc、Hxdの合計値である補助アンテナ6の代表受信電力値Vsを、計測アンテナ4で測定した受信電力値Gxa、Gxb、Gxc、Gxdの、最大値、平均値、又は特定のアンテナ素子の受信電力値を計測アンテナ4の代表受信電力値Vmに置き換え、更に、補助アンテナ6の受信電力差Hα、Hβを、補助アンテナの最大受信電力値Hx1、Hy1に置き換えたものであり、その他の処理は同じである。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係る、予めレドーム内面反射の影響を把握し、到来電波Kの入射方向θx、θyにより使用する計測アンテナ4を選択し、選択された計測アンテナ4にて到来電波Kの入射角出力値θoutを算出する演算を行う処理フロー図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態に係る、予め入射角度と計測アンテナ4の計測角度範囲θzを把握し、計測範囲内の到来電波Kに対し、入射角出力値θoutを算出する演算を行う処理フロー図である。
【図17】本発明の第2の実施の形態に係る、計測アンテナ4にて受信した電波諸源から算出された複数の入射角候補θa1、θa2、θa3、・・・に対し、補助アンテナ6により算出した入射方向θx、θyとの差が最小のものを選択し、更にその差が予め設定した許容値内であることを判定し、入射角出力値θoutを算出する演算を行う処理フロー図である。
【図18】従来の飛行体用レドームの形状を示す図である。
【符号の説明】
【0084】
1 飛しょう体
2 レドーム
3 正面基台
4(4a〜4h) 計測アンテナ
5 側面基台
6(6a〜6h) 補助アンテナ
7(7a、7b) 電波受信回路
8 入射角演算装置
Ac、Acx、Acy 規格化受信電力値
P(Pa〜Pd) 補助アンテナの受信電力比
Gx(Gxa〜Gxh) 計測アンテナの受信電力値
Hx(Hxa〜Hxh) 補助アンテナの受信電力値
Hz 補助アンテナの最大受信電力値
Hx1 x軸方向の補助アンテナの最大受信電力値
Hy1 y軸方向の補助アンテナの最大受信電力値
Hα x軸方向の補助アンテナの受信電力差
Hβ y軸方向の補助アンテナの受信電力差
K 到来電波
Vm 計測アンテナの代表受信電力値
Vs 補助アンテナの代表受信電力値
Z(Za〜Zh) 領域
θout 入射角出力値
θz 計測アンテナの計測角度範囲
θx、θy 入射方向
θa1、θa2、θa3、 入射角候補
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛しょう体の機体の頭部に設けられたレドーム内に設置される電波測角アンテナ、これを備えた電波測角装置、及び飛しょう体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図18に示すように、航空機100に搭載される型のレーダにおいて、内部にアンテナが設置されたレドームを、鼻部102、背部101、腹部103、尾部104、又は主翼、尾翼等の翼端に設置されたものが提案されている(例えば、特許文献1。)。
【0003】
この場合、図18(b)に示す曲率の大きなレドーム101は、レドームの正面(紙面上の上方)から到来する電波のみならず、側面方向から到来する電波についてもレドーム内での反射が起こりにくい形状となっている。
また、図18(c)に示すレドーム102は、レドーム102と機体100との接合部において表面がなだらかになるように装着されており、飛行体用レドーム102の空気抵抗が少なくなり、航空機の運行性能の向上(最高速度や燃費の向上)を実現できる。
なお、図18(b)に示すレドーム101、図18(c)に示すレドーム102において、アンテナは、レドームの影響(レドーム内面で乱反射する到来電波によるノイズ)を少なくすべく、各レドーム101、102内の中央に配置されている。
【0004】
通常、飛しょう体(ミサイル)は受信電波の入射方向に進路を取るため、レーダは一般的に飛しょう体の前面に配置される。
このとき、飛しょう体の頭部にはアンテナを保護するレドームが用いられ、アンテナはレドームの基底部(図1における符号3の位置)に設置される。
亜音速で飛行する飛しょう体であれば、空力特性からの要求がそれほど厳しくないため、航空機等で使用されている曲率の大きいレドームを使用することができる。
そのため、航空機搭載型のレーダと同様にレドーム内での反射は起こりにくく、問題なく測角が行える。
【0005】
一方、高速(音速以上)で飛行する小型の飛しょう体の場合もアンテナは飛しょう体の前面に配置されるが、アンテナを保護するレドームは空気抵抗を少なくすべく図1に示すような尖頭形状とする必要がある。
尖頭形状レドームは、曲率の大きなレドームに比べレドーム内での反射が起こりやすい形状をしているが、使用する周波数帯が狭帯域であれば、その周波数帯においてレドームの透過率を上げ、内面で反射が起こらないようにする(電波を透過させる)ことができるため、反射の影響による問題は発生しない。
【0006】
使用する周波数帯が広帯域のレーダを用いる場合、狭帯域の場合と異なり、全帯域で透過率が高いレドームを作ることが不可能であるため、周波数帯によってはレドームが鏡面のように働き反射が起きる。
そのため電波の到来方向が正面からずれてくると、アンテナ面上にレドーム内壁で反射された電波(反射波)の影響を受ける領域が発生し始め、その領域に配置されたアンテナは、反射の影響をうけるため、正確な測角ができないという問題がある。
【0007】
【特許文献1】特開2002−299938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、正確な測角ができる電波測角アンテナ、これを備えた電波測角装置、及び飛しょう体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の問題点に対し本発明は、以下の各手段を以って課題の解決を図る。
【0010】
第1の手段の電波測角アンテナは、
同一の面に配設された複数の計測アンテナと、
前記複数の計測アンテナの配設面に対して交差する方向に配設された複数の補助アンテナとを備えたことを特徴とする。
【0011】
第2の手段は、第1の手段の電波測角アンテナにおいて、
前記各補助アンテナの裏面側に配設された電波遮蔽手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
第3の手段は、第1又は2の手段の電波測角アンテナにおいて、
前記複数の補助アンテナは、前記複数の計測アンテナの配設エリアを挟むように配設されていることを特徴とする。
【0013】
第4の手段の電波測角装置は、
同一の面に配設された複数の計測アンテナと、
前記複数の計測アンテナの配設面に対して交差する方向に配設された複数の補助アンテナを有し、
前記複数の補助アンテナにて受信した到来電波の電波諸元に基づき、前記複数の計測アンテナで受信した到来電波から入射角出力値の算出を行う入射角演算装置とを備えたことを特徴とする。
【0014】
第5の手段の電波測角装置は、第4の手段の電波測角装置において、
前記入射角演算装置は、
前記複数の補助アンテナにより受信した到来電波の入射方向を判定し、
前記入射方向に基づき使用する前記計測アンテナを選択し、
選択された前記計測アンテナにより受信した前記電波の入射角出力値を抽出するものであることを特徴とする。
【0015】
第6の手段の電波測角装置は、第4の手段の電波測角装置において、
前記入射角演算装置は、
前記複数の補助アンテナにより受信した到来電波の入射方向を判定し、
前記入射方向が前記計測アンテナの計測角度範囲かどうか判定する機能を有することを特徴とする請求項4に記載の電波測角装置。
【0016】
第7の手段の電波測角装置は、第4の手段の電波測角装置において、
前記入射角演算装置は、
前記複数の補助アンテナにより受信した到来電波の入射方向を判定し
前記計測アンテナで計測した入射角度を補正する機能を有することを特徴とする請求項4に記載の電波測角装置。
【0017】
第8の手段の電波測角装置は、第5乃至7のいずれか手段の電波測角装置において、前記計測アンテナは、
飛しょう体の頭部に取り付けられた尖頭形状のレドーム内に配設されたことを特徴とする。
【0018】
第9の手段の飛しょう体は、
第8の手段の電波測角装置を備えたことを特徴とする。
【0019】
なお、上記の各手段において、複数の計測アンテナ4、及び複数の補助アンテナ6は、各々少なくとも1個以上のアンテナ素子により構成されている。
【0020】
また、第5から第7にそれぞれ記載されている特長は単独でも利用可能であるが、単独で使用するよりも、組み合わせて使用する事で測角精度を更に向上させる事ができる。
【発明の効果】
【0021】
特許請求の範囲に記載の各請求項に係る発明は、上記の各手段を採用しており、補助アンテナを有していない場合、レドーム内面反射の影響により誤った入射角算出してしまうところ、補助アンテナにより計測した到来方向情報を用いてそれを回避することができる。
各手段の効果として、計測アンテナを選択する方法は、レドーム内面反射の影響を受ける計測アンテナを避け、受信状態の良い計測アンテナを選択することで、誤った入射角度の算出を低減することができるものであり、計測アンテナの計測角度範囲かどうか判定する方法は、計測アンテナが正確に計測できない範囲を使用しないようにすることで、誤った入射角度の算出を低減することができるものであり、電波の入射角度を補正する方法は、レドーム内面反射により計測アンテナによる入射角度算出結果が大きくずれる、又は、複数得られた場合、補助アンテナにより得られた入射方向情報と照合を行うことで、誤った入射角度の算出を低減することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の各実施の形態に係る電波測角アンテナ、これを備えた電波測角装置、及び飛しょう体につき説明する。
【0023】
本発明の各実施の形態に係る電波測角アンテナ及び電波測角装置は、所謂パッシブレーダと称するものであり、高速(例えば、超音速)で飛行する飛しょう体1に搭載されて、目標物から発信された電波を受信し入射角度(飛しょう体の中心方向に対する入射角出力値)を算出する。
【0024】
なお、アクティブレーダであれば、自分で検知用の電波を発信し、目標物で反射し戻ってきた電波を受信し、目標物を認識するものであるため、受信する電波の周波数及び方向は限定される。
しかしながら、パッシブレーダにおいては、目標物が発信する電波を受信するため、その周波数及び方向は不明であるが、本発明の各実施の形態に係る電波測角アンテナ及び電波測角装置は、様々な目標物に対応できるように、広範囲且つ広帯域の周波数の電波を受信できるものとなっている。
【0025】
<<本発明の各実施の形態に共通の基本構成>>
本発明の各実施の形態のものは、例えば、図1に図示のように、同一の面に配設された複数の計測アンテナ4(4a、4b)と、複数の計測アンテナ4a、4bの配設面に対して交差する方向に配設された複数の補助アンテナ6(6a、6b)とを備えたことを基本の構成とする。
【0026】
この場合、各補助アンテナ6の裏面側に、電波遮蔽手段を配設することにより、各補助アンテナ6は、その前面側から到来する電波のみが受信されるのでより好適な結果を得られる。
また、複数の補助アンテナ6a、6bを、複数の計測アンテナ4a、4bの配設エリアを挟むように配設することにより、補助アンテナの受信電力値を比較することで電波の到来する方向に最も向いた補助アンテナ6a(又は6b)を抽出することができ、電波の入射方向θxを特定できる。
【0027】
この際、計測アンテナ4の代表受信電力値Vm(各計測アンテナ4の受信電力値の平均値、又は最大値、各計測アンテナ4の中から代表として設定した計測アンテナ4の受信電力値)又は、各補助アンテナ6の受信電力値の合計値を用い、補助アンテナ6の受信電力値を割り規格化することにより、その値を用いおおよその電波の入射方向θxを算出することができる。
計測アンテナ4の代表受信電力値を用いる方法は、計測アンテナ4と補助アンテナ6の受信電力比により入射方向θxを算出するものであり、補助アンテナ6の合計値を用いる方法は、振幅モノパルス測角の原理により測角するものである。
【0028】
これにより、アンテナ面に配置した複数の計測アンテナ4から、電波入射角度に応じたレドーム2内面反射の影響が少ないアンテナを予め計測等により把握しておくことで、補助アンテナ6により計測した入射方向θxの情報により、最適な(レドーム2内面反射の影響が少ない)アンテナ4a(又は4b)を選択することができ、それにより、周知の入射角度演算方法を用い、正確な入射角出力値θoutが算出される。
【0029】
また、レドーム2内面反射の影響により、計測アンテナ4で計測できない角度範囲がある場合は、予め計測等により正確に計測できない角度範囲を除いた角度範囲を計測アンテナ4の計測角度範囲θzとして設けることで、補助アンテナ6により計測した電波の入射方向θxが、その範囲内、外であるかを判定し、範囲外であれば計測アンテナ4による到来電波Kの入射角出力値θoutを無効と判定することで誤った計測(本来の入射角度と異なった入射角度が算出される)を避けることができる。
【0030】
また、計測アンテナ4により算出された入射角度が、レドーム2内面反射の影響、又は、測角方法の影響(例えば、空間に配置した2個のアンテナ素子間隔に基づく位相情報を用いる算出方法を用いた場合、アンテナ素子間隔が半波長以上に離れていれば、入射角候補θa1、θa2、θa3、・・・が複数算出される場合が生じる)により複数候補得られた場合、又は、入射角算出結果θoutに大きな誤差が生じる場合、補助アンテナ6により計測した入射方向θxと照合を行い、差が大きい入射角算出値は無効とすることで、複数の入射角候補θa1、θa2、θa3、・・・から正確な入射角を特定又は、大きな誤差を持った入射角算出値を排除することができる。
【0031】
以下に具体的な実施の形態を示す。
【0032】
<<本発明の第1の実施の形態>>
先ず、図1〜図8に基づき、本発明の第1の実施の形態に係る電波測角アンテナ、これを備えた電波測角装置、及び飛しょう体につき説明する。
本発明の第1の実施の形態のものは、2個の計測アンテナ4及び2個の補助アンテナを用いて、1次元の入射角出力値θoutを得る例(1次元測角)である。
なお、1次元の入射角とは、飛しょう体に対し、左右方向(x軸)の入射角である。
【0033】
図1は、本発明の各実施の形態に係るレドーム内に設置された電波測角アンテナ及び電波測角装置の平面模式図である。
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る図1の補助アンテナ、領域Z及び計測アンテナ4の第1の配置例の正面図である。
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る補助アンテナ6にて受信した受信電力値Hxa、Hxbの最大値Hzにて各補助アンテナ6の受信電力値Hxa、Hxbを割り、補助アンテナ6の受信電力比Pa、Pbを算出し、これを用いて入射方向θxを算出する処理フロー図である。
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る補助アンテナ6にて受信した受信電力値Hxa、Hxbの差Hαと各補助アンテナ6の受信電力値Hxa、Hxbの合計値Vsで割り規格化受信電力値Acを算出し、これを用いて入射方向θxを算出する処理フロー図である。
図5は、図4の各補助アンテナ6の受信電力値Hxa、Hxbの合計値Vsを、計測アンテナ4にて受信した受信電力値Gxa、Gxbの最大値、平均値、又は特定のアンテナ素子の受信電力値を計測アンテナ4の代表受信電力値Vmに置き換え、
更に、補助アンテナ6の受信電力差Hαをx軸方向の補助アンテナの最大受信電力値Hx1に置き換えたものであり、その他の処理は同じである。
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る、予めレドーム内面反射の影響を把握し、到来電波Kの入射方向θxにより使用する計測アンテナ4を選択し、選択された計測アンテナ4にて到来電波Kの入射角出力値θoutを算出する演算を行う処理フロー図である。
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る、予め入射角度と計測アンテナ4の計測角度範囲θzを把握し、計測アンテナ4の計測角度範囲θz内の到来電波Kに対し、その入射角出力値θoutを算出する演算を行う処理フロー図である。
図8は、本発明の第1の実施の形態に係る、計測アンテナ4にて受信した電波諸源から算出された一つもしくは複数の入射角候補θa1、θa2、θa3、・・・に対し、補助アンテナ6により算出した入射方向θxとの差が最小のものを選択し、更にその差が予め設定した許容値内であることを判定し、入射角出力値θoutを算出する演算を行う処理フロー図である。
【0034】
本発明の第1の実施の形態のものにおいては、図1に示すように、飛しょう体1の頭部にはレドーム2が取り付けられている。
レドーム2は、飛行時の空気抵抗を少なくするために尖頭形状となっている。
また、レドーム2の側面の縦断面形状は、外側に湾曲した形状となっている。
レドーム2の材質は、従来のものと同様に、電波透過性の優れたガラス繊維FRP、ガラス繊維強化エポキシ樹脂、シアネート樹脂のFRP等である。
【0035】
レドーム2内において、レドーム2の基底部には、板状(円板状のもののみならず、三角形、四角形、多角形のものも含む)の正面基台3が取り付けられている。
正面基台3の側面には、レドーム2内において、後方に延在する筒状(円筒状のもののみならず、円錐台、多角筒、多角錐台のものも含む)の側面基台5が取り付けられている。
この側面基台5は、正面基台3に対して所定の角度で傾いている(例えば、垂直)。
【0036】
<補助アンテナ、領域、計測アンテナの構成>
本発明の第1の実施の形態のものにおいては、図1、図2に示すように、正面基台3の前面に、レドーム2の前方から到来する広帯域な電波を受信するために、2個の広帯域の計測アンテナ4(4a、4b)が取り付けられている。
側面基台5の外部側面には、広帯域の2個の補助アンテナ6(6a、6b)が取り付けられている。
正面基台3の前面は、2つの領域Z(Za、Zb)に区画されている。
計測アンテナ4、補助アンテナ6及び領域Zの個数は2個に限定されるものではなく、後述するように、複数(2個以上)とすることができる。
【0037】
先ず、図2に基づき、補助アンテナ6、正面基台3の前面の領域Z、及び計測アンテナ4の第1の配置例につき説明する。
図2に示すように、正面基台3の前面は、領域Za、Zbにより左右に区画されている。
なお、領域Zaと領域Zbとは、境界部において部分的にオーバーラップしても差し支えない。
【0038】
各領域Za、Zbには、各々1個の計測アンテナ4a、4bが、飛しょう体1の正面基台3に左右対称に配設されている。
もちろん対称でなくてもなんら問題は無いが、対称が望ましい。
側面基台5の外部側面における飛しょう体1の左右には、各々1個の補助アンテナ6a、6bが取り付けられている。
各補助アンテナ6(6a、6b)は、各々1個の広帯域の補助アンテナ素子により構成されている。
広帯域の補助アンテナ素子は、例えば、スパイラルアンテナ素子を採用することができる。
補助アンテナ6を少なくとも2個設けることにより、図3〜図5の処理において、目標物から発信された電波が、飛しょう体1の左右おおよその入射方向θxを算出することができる。
【0039】
各補助アンテナ6は、補助アンテナ6正面からの電波を受信し、補助アンテナ6裏面からの電波は受信しないようにする必要がある。
そこで、補助アンテナ6a、6bの裏面、或いは側面基台5に、アンテナ裏面からの電波を遮蔽する電波遮蔽部材(電波遮蔽手段)が設けられている。
【0040】
なお、電波遮蔽手段としては、側面基台5そのものを電波遮蔽部材(例えば、金属基台、)としてもよく、他には、補助アンテナ6a、6bを飛しょう体1(金属製)の本体の側面に取り付け、飛しょう体1の本体を電波遮蔽手段、又は、補助アンテナ6a、6b自体を正面方向に指向性を有したアンテナとして、アンテナ背面の電波遮蔽部材相当の機能をアンテナに持たせても良い。
【0041】
補助アンテナ6a、6bは、図1に図示のようにレドーム2内に配設されたものに限定されるものではない。
例えば、飛しょう体1の左右の胴部、或いは左右の翼の先端に取付けるようにしても良い。
この場合、飛しょう体1の本体が、アンテナ裏面からの電波を遮蔽する電波遮蔽手段として機能する。
【0042】
補助アンテナ6による入射方向θxの算出は、補助アンテナ6a、6bの受信電力値を比較することで左右どちらから電波が入射するのか入射方向θxを特定でき、左右の受信電力比を算出すれば、おおよその入射方向θxを算出することができる。
また、計測アンテナ4の代表受信電力値Vm(各計測アンテナ4の受信電力値の平均値、又は最大値、各計測アンテナ4の中から代表として設定した計測アンテナ4の受信電力値)又は、各補助アンテナ6a、6bの受信電力値の合計値を用い、補助アンテナ6の受信電力値を規格化することにより、その値を用いおおよその電波の入射方向θxを算出することができる。
計測アンテナ4の代表受信電力値Vmを用いる方法は、計測アンテナ4と補助アンテナ6の受信電力比により入射方向θxを算出するものであり、補助アンテナ6の合計値を用いる方法は、振幅モノパルス測角の原理により測角するものである。
【0043】
各計測アンテナ4a、4bは、各領域Za、Zbにおいて、それぞれ1つ、または、複数のアンテナ素子により構成される。
アンテナ素子の構成方法については、計測アンテナ4a、4bにおける測角方式により決定される。
【0044】
計測アンテナ4a、4bにおける入射角度計測は、例えば目標電波の位相情報を利用した測角方式や振幅情報を利用した測角方式、および位相情報と振幅情報とを利用した測角方式など、既存の入射角測角方法を採用することができる。
位相情報を利用する場合は、各計測アンテナ4として、複数のアンテナ素子を配し、各アンテナ素子における受信信号の位相差に基づき、入射角度を求める方式がある。
また、振幅情報を利用する場合は、前記と同様に、各計測アンテナ4として、複数のアンテナ素子を配し、各アンテナ素子における振幅比に基づき、入射角度を求める方式がある。
さらに、振幅情報、位相情報を共に用いて、入射角度を求める方式がある。
レドーム2のような尖塔な形状の場合には、レドーム2の内面反射のために振幅情報、位相情報に、アンテナとレドームの位置関係の違いにより異なった影響を及ぼすことになる。
このため、異なる角度で同一の計測値となるために、複数の電波入射角候補が得られる場合がある。
【0045】
到来した電波は、後述する電波受信回路7a、7bを通して信号検出され、後述する入射角演算装置8において補助アンテナ6及び、計測アンテナ4で受信した電波諸元を用い入射角出力値θoutの演算抽出をおこなう。
【0046】
<電波受信回路の説明>
電波受信回路7a、7bは受信した電波から後段の入射角演算装置8の処理で使用する受信電力値、位相情報などの電波諸元を取り出し、それらをデジタル変換する機能を有する。
それにより、後段の入射角演算装置8で、補助アンテナ6、計測アンテナ4で受信した電波諸元を用いた信号処理が可能となる。
【0047】
入射角演算装置8は、プロセッサ、メモリなどで構成される信号処理装置であり、得られた電波諸元を処理し入射角出力値θoutを算出するものである。
以下、入射角演算装置8の演算内容について説明する。
なお、以下の説明は、便宜上、補助アンテナ6aでの受信電力値が最大の場合について説明するが、これに限定されるものではなく、補助アンテナ6b…での受信電力値が最大の場合は、当然、領域Zb…、計測アンテナ4b…のデータを使用して演算、処理が行われる。
また、本発明の第2以降の実施の形態のものも同様である。
【0048】
<入射角演算装置>
次に、補助アンテナ6、計測アンテナ4にて受信した電波に基づいた入射角度(飛しょう体の中心方向に対する入射角出力値θout)の算出について説明する。
図3〜図5は、本実施形態の入射方向θx算出方法フローの代表例を示し、図3、図4、図5のいずれの方法でも入射方向θxを算出することができる。
【0049】
まずは、図3について説明する。
電波受信回路7bより補助アンテナ6の到来電波Kを受信(S1)し、各補助アンテナ6a、6bの受信電力値Hxa、Hxbを比較する。
ここで受信電力値Hxa、Hxbのうちの最大受信電力値をHzとする。
また、最大受信電力値Hzを受信した補助アンテナ6を抽出する(S2)。
得られた最大受信電力値Hzで、各補助アンテナ6の受信電力値Hxa、Hxbを割ることで、抽出した補助アンテナ6に対する、他の補助アンテナ6の受信電力比Pa、Pbを算出する(S3)。
ここで、抽出した補助アンテナ6の指向方向(アンテナ面の法線方向)を電波の入射方向θxとして出力してもよいが、予め、本装置製造時に取得(実際に測定した計測データ、又はそれら計測データを基に計算機により算出したデータでもよい。)した入射方向θxに対する各補助アンテナ6の受信電力比Pの関係グラフ(演算式やデータテーブルでも良い)を入射角演算装置8のメモリに保持し、これを利用することで、得られた受信電力比Pに応じた入射方向θxを算出することができる(S4)。
【0050】
ここで、入射方向θxに対する各補助アンテナ6の受信電力比Pの関係グラフ、S1に周波数フィルタバンクなどの周波数を特定する機能を備えれば、S4の処理にてその周波数に応じた関係グラフと参照できるため、周波数による特性変動を抑えることで入射方向θxの精度は向上する。
この周波数に応じた関係グラフを用意することで得られる精度向上の効果は、後述するフローでも同様に処置することで効果は得られる。
【0051】
次に図4について説明する。
図3と同様に電波受信回路7bより補助アンテナ6の到来電波Kを受信(S11)し、補助アンテナ6a、6bの受信電力値Hxa、Hxbより受信電力差Hαを算出する。(Hα=Hxa−Hxb)(S12)。
一方、補助アンテナ6の代表受信電力値Vsとして、各補助アンテナ6の受信電力値Hxa、Hxbの合計値を算出する(Vs=Hxa+Hxb)(S14)。
得られた受信電力差Hαを代表受信電力値Vsで規格化(割る)することで、規格化受信電力値Acを算出する(S13)。
ここで、図3のS4の処理と同様に、予め、本装置製造時に取得(実際に測定した計測データ、又はそれら計測データを基に計算機により算出したデータでもよい。)した規格化受信電力値Acと入射方向θxの関係グラフ(演算式やデータテーブルでも良い)を入射角演算装置8のメモリに保持し、これを利用することで、得られた規格化受信電力値Acに応じた入射方向θxを算出することができる。
【0052】
図5は、図4の代表受信電力値Vsが計測アンテナ4の代表受信電力値Vmとなったものであり、その算出方法が補助アンテナ6の電波諸元を用いたものでなく、電波受信回路7aで受信された計測アンテナ4の電波諸元より、代表受信電力値Vmとして、計測アンテナ4の受信電力値Gxa、Gxbの、最大値、平均値、又は、特定のアンテナ素子の受信電力値となったものであり、更に、補助アンテナ6の受信電力差Hαをx軸方向の最大受信電力値Hx1に置き換えたものであり、その他の処理は同じである。
尚、Hx1は受信電力値Hxa、Hxbのうち、大きい方とする。
【0053】
図3〜図5で得られた入射方向θxは、次に示す図6〜図8の処理に用いることで、入射角出力値θoutが算出される。
図6〜図8の各処理は、その処理を実施ことにより計測アンテナ4がレドーム内面反射の影響により発生する誤測角を低減するものである。
【0054】
図6は、予め、本装置製造時に入射角度によるレドーム内面反射が計測アンテナ4に与える影響を実際に測定した計測データ(実測できない場合は計算機シミュレーションにて補完する方法もある。)などにより把握することで、入射方向θxにより使用する計測アンテナ4を決定する。
そのデータテーブルを入射角演算装置8のメモリに保持しておく。
これを利用し、得られた入射方向θxに応じた計測アンテナ4を選定する(S31)。
選定された計測アンテナ4により、S32、S33の処理で計測することで、入射角出力値θoutを算出する。
【0055】
図7は、予め、本装置製造時に入射角度によるレドーム内面反射が計測アンテナ4に与える影響を実際に測定した計測データ(実測できない場合は計算機シミュレーションにて補完する方法もある。)などにより把握し、計測アンテナ4の計測角度範囲θzを決定する。
そのデータテーブルを図6と同様に入射角演算装置8のメモリに保持しておく。
これを利用し、得られた入射方向θxに応じ、そのデータテーブルより計測アンテナ4の計測角度範囲θz内かどうか判定を行い(S41)、計測アンテナ4の計測角度範囲θz内ならば、S43、S44の処理で計測することで、入射角出力値θoutを算出する。
尚、S41で計測アンテナ4の計測角度範囲θz外であれば、処理を終了し、他の到来波(フィルタバンクを有しているのであればその他の周波数の到来波、又は、一定時間経過後の到来波)について入射方向θxの算出(図3、図4又は、図5)から再度実施する(S42)。
このようにして、計測角度範囲θz外であった場合は処理を終了し、次の目標に対して入射方向算出を実施する。
【0056】
図8は、計測アンテナ4で受信した電波諸元より、S51、S52により複数の入射角候補θa1、θa2、θa3、・・・を算出(1個の場合も有りうる)する。
図3、図4、又は図5のフローより算出した入射方向θxと入射角候補θa1、θa2、θa3、・・・を比較し、差が一番小さい入射角候補(例えばθa1)を算出する(S53)。
予め設定した許容値と比較し、差が許容値以内であれば入射角出力値θoutとして出力する(S54)。
ここで、許容値以上であれば、処理を終了し、S42と同様の処置を行う(S55)。
【0057】
ここで、図6〜図8の処理を個別に示したが、入射角出力値θoutの入力を、図6であればS32、図7であればS43、図8であればS52の代わりにすることで、組合せることが可能であり、効果を向上させることができる。
【0058】
このようにして、入射角演算装置8により、正確な入射角出力値θoutが算出される。
【0059】
本発明の第1の実施の形態に係る電波測角アンテナによれば、同一の面に配設された2個の計測アンテナ4と、計測アンテナ4が配設された面に対して傾けて(例えば、垂直な方向)配設された2個の補助アンテナ6とを備えたことにより、入射角演算装置8により補助アンテナ6を用い入射方向θxを算出し、計測アンテナ4の演算結果を補完することで、より正確な入射角出力値θoutを算出することができる。
【0060】
<<本発明の第2の実施の形態>>
次に、図1、図9〜図17に基づき、本発明の第2の実施の形態に係る電波測角アンテナ、これを備えた電波測角装置、及び飛しょう体につき説明する。
本発明の第2の実施の形態のものは、4個の計測アンテナ4及び4個の補助アンテナ6を用いて、2次元の入射角出力値θoutを得る例(2次元測角)である。
なお、2次元の入射角とは、飛しょう体に対し、左右方向の入射角(x軸)及び上下方向の入射角(y軸)である。
【0061】
本発明の第2の実施の形態に係るレドーム2内に設置された電波測角アンテナ及び電波測角装置の平面模式図は、図1に図示のものと同じである(但し、上下方向の計測アンテナ4、補助アンテナ6は、図示を省略されている)。
図9は、本発明の第2の実施の形態に係る補助アンテナ6及び領域Zの第2の配置例である。
図10は、本発明の第2の実施の形態に係る補助アンテナ6及び領域Zの第3の配置例である。
図11は、本発明の第2の実施の形態に係る補助アンテナ6及び領域Zの第4の配置例である。
図12は本発明の第2の実施の形態に係る補助アンテナ6にて受信した受信電力値Hxa、Hxb、Hxc、Hxdの最大値Hzにて各補助アンテナ6の受信電力値Hxa、Hxb、Hxc、Hxdを割り、補助アンテナ6の受信電力比Pa、Pb、Pc、Pdを算出し、これを用いて入射方向θx、θyを算出する処理フロー図である。
図13は、本発明の第2の実施の形態に係る補助アンテナ6にて受信した受信電力値HxaとHxcの差Hαと、HxbとHxdの差Hβと、各補助アンテナ6の受信電力値Hxa、Hxb、Hxc、Hxdの合計値Vsから規格化受信電力値AcxおよびAcyを算出し、これを用いて入射方向θx、θyを算出する処理フロー図である。
図14は、図13の補助アンテナ6の受信電力値Hxa、Hxb、Hxc、Hxdの合計値である補助アンテナ6の代表受信電力値Vsを、計測アンテナ4で測定した受信電力値Gxa、Gxb、Gxc、Gxdの最大値、平均値、又は特定のアンテナ素子の受信電力値を計測アンテナ4の代表受信電力値Vmに置き換え、更に、補助アンテナ6の受信電力差Hα、Hβを、補助アンテナの最大受信電力値Hx1、Hy1に置き換えたものであり、その他の処理は同じである。
図15は、本発明の第2の実施の形態に係る、予めレドーム内面反射の影響を把握し、到来電波Kの入射方向θx、θyにより使用する計測アンテナ4を選択し、選択された計測アンテナ4にて到来電波Kの入射角出力値θoutを算出する演算を行う処理フロー図である。
図16は、本発明の第2の実施の形態に係る、予め入射角度と計測アンテナ4の計測角度範囲θzを把握し、計測アンテナ4の計測角度範囲θz内の到来電波Kに対し、入射角出力値θoutを算出する演算を行う処理フロー図である。
図17は、本発明の第2の実施の形態に係る、計測アンテナ4にて受信した電波諸源から算出された一つもしくは複数の入射角候補θa1、θa2、θa3、・・・に対し、補助アンテナ6により算出した入射方向θx、θyとの差が最小のものを選択し、更にその差が予め設定した許容値内であることを判定し、入射角出力値θoutを算出する演算を行う処理フロー図である。
【0062】
レドーム2、正面基台3、側面基台5等については、本発明の第1の実施の形態のものと同様のものを備えている。
【0063】
<補助アンテナ、領域、計測アンテナの構成>
図1、図9に示すように、本発明の第2の実施の形態のものにおいては、正面基台3の前面に、レドーム2の前方から到来する広帯域な電波を受信するために、4個の広帯域の計測アンテナ4(4a、4b、4c、4d)が取り付けられている。
また、側面基台5の外部側面には、広帯域の4個の補助アンテナ6(6a、6b、6c、6d)が取り付けられている。
そして、正面基台3の前面は、4つの領域Z(Za、Zb、Zc、Zd)に区画されている。
なお、計測アンテナ4、補助アンテナ6及び領域Zの個数は4個に限定されるものではなく、後述するように、3個以上とすることができる。
【0064】
先ず、図9に基づき、補助アンテナ6、正面基台3の前面の領域Z、及び計測アンテナ4の第2の配置例につき説明する。
図9に示すように、正面基台3の前面は、領域Za、Zb、Zc、Zdにより左右上下に区画されている。
なお、領域Za、Zb、Zc、Zdは、境界部において部分的にオーバーラップしても差し支えない。
【0065】
そして、各領域Za、Zb、Zc、Zdには、各々1個の計測アンテナ4a、4b、4c、4dが、飛しょう体1の中心軸或いは正面基台3(図1参照)の中心に対して対称に配設されている。
もちろん対称でなくてもなんら問題は無いが、対称が望ましい。
側面基台5の外部側面における飛しょう体1の左右及び上下には、各々1個の補助アンテナ6a、6b、6c、6dが取り付けられている。
補助アンテナ6を少なくとも4個設けることにより、後述する図12〜図14の処理において、目標物から発信された電波の2次元の到来方向の算出が可能となる。
【0066】
なお、補助アンテナ6a、6b、6c、6dの裏面には、本発明の第1の実施の形態のものと同様に電波遮蔽部材(電波遮蔽手段)が設けられている。
【0067】
各領域Za、Zb、Zc、Zdにおいて、各計測アンテナ4a、4b、4c、4dは、それぞれ1つ、または複数のアンテナ素子により構成される。
アンテナ素子の構成方法については、計測アンテナ4a、4b、4c、4dにおける測角方法により決定される。
【0068】
計測アンテナ4a、4b、4c、4dにおける角度計測は、第1の実施の形態のものと同様に、例えば目標電波の位相情報を利用した測角方式や振幅情報を利用した測角方式、および位相情報と振幅情報とを利用した測角方式など、既存の入射角測角方法を採用することができる。
しかしながら、これら既存の入射角測角方法には、第1の実施の形態において説明したものと同様に、複数の電波入射角候補θa1、θa2、θa3、・・・が得られる場合がある。
【0069】
到来した電波は、後述する電波受信回路7a、7bを通して信号検出され、後述する入射角演算装置8において補助アンテナ6及び、計測アンテナ4で受信した電波諸元を用い入射角出力値θoutの演算抽出をおこなう。
【0070】
<補助アンテナ、領域、計測アンテナの第3の配置例>
なお、補助アンテナ6、領域Z、計測アンテナ4は、例えば、図10に示すような第3の配置例の配置とすることができる。
図10に示すように、側面基台5の外部側面における飛しょう体1の左右上下に、等角度で3個の補助アンテナ6(6a〜6c)が取り付けられている。
一方、正面基台3の前面には、4個の領域Z(Za〜Zd)に区画されている。
そして、各領域Zには、各々、第1の配置例と同様に、少なくとも4個の計測アンテナ4(4a〜4d)が、飛しょう体1の中心軸或いは正面基台3(図1参照)の中心に対して対称に取り付けられている。
もちろん対称でなくてもなんら問題は無いが、対称が望ましい。
このような構成によっても、補助アンテナ6、領域Z、計測アンテナ4の第2の配置例のものと同様の処理、演算が可能となる。
【0071】
<補助アンテナ、領域、計測アンテナの第4の配置例>
次に、図11に基づき、補助アンテナ6と、正面基台3の前面の領域Zと、計測アンテナ4との第4の配置例につき説明する。
図11に示すように、側面基台5の外部側面に、8個の補助アンテナ6(6a〜6h)が取り付けられている。
8個の補助アンテナ6に対応して、正面基台3の前面も8個の領域Z(Za〜Zh)に区画されている。
そして、各領域Zには、各々、第1の配置例と同様に、少なくとも8個の計測アンテナ4(4a〜4h)が、飛しょう体1の中心軸或いは正面基台3(図1参照)の中心に対して対称に取り付けられている。
もちろん対称でなくてもなんら問題は無いが、対称が望ましい。
このような構成によれば、レドーム2による反射の影響の少ない計測アンテナ4をより的確に抽出することができ、より正確な処理、演算が可能となる。
【0072】
<入射角演算装置>
次に、補助アンテナ6、計測アンテナ4にて受信した電波に基づいた入射角度(飛しょう体の中心方向に対する入射角出力値θout)の算出について説明する。
図12〜図14は、本実施形態の入射方向θx、θy算出方法フローの代表例を示し、図12、図13、図14のいずれの方法でも入射方向θx、θyを算出することができる。
入射方向θx、θyの算出は、補助アンテナ6の配置がx軸、y軸の2次元配置になったことで、θx、θyを算出することが可能となり、入射方向θx、θyを2次元で特定できる。
【0073】
まずは、図12について説明する。
電波受信回路7bにて補助アンテナ6の到来電波Kを受信(S101)し、その受信した各補助アンテナ6の受信電力値Hxa、Hxb、Hxc、Hxdを用い、各補助アンテナ6a、6b、6c、6dの受信電力値Hxa、Hxb、Hxc、Hxdを比較する。
ここで受信電力値Hxa、Hxb、Hxc、Hxdのうち、x軸方向の最大値をHzとする。
また、最大受信電力値Hzを受信した補助アンテナ6を抽出する(S102)。
得られた最大受信電力値Hzで、各補助アンテナ6の受信電力値Hxa、Hxb、Hxc、Hxdを割ることで、抽出した補助アンテナ6に対する、他の補助アンテナ6の受信電力比Pa、Pb、Pc、Pdを算出する(S103)。
ここで、予め、本装置製造時に取得(実際に測定した計測データ、又はそれら計測データを基に計算機により算出したデータでもよい。)した入射方向θx、θy(x軸、y軸の2次元)に対する各補助アンテナ6の受信電力比Pの関係グラフ(演算式やデータテーブルでも良い)を入射角演算装置8のメモリに保持し、これを利用することで、得られた受信電力比Pに応じた入射方向θx、θyを算出することができる(S104)。
【0074】
次に図13について説明する。
図12と同様に電波受信回路7bにて補助アンテナ6の到来電波Kを受信(S111)し、x軸方向に対称に配置された補助アンテナ6の6a、6cの受信電力値Hxa、Hxcより受信電力差Hα(Hα=Hxa−Hxc)を算出し、y軸方向に対称に配置された6b、6dの受信電力値Hxb、Hxdより受信電力差Hβ(Hβ=Hxb−Hxd)を算出する(S112)。一方、補助アンテナ6の代表受信電力値をVsとして、各補助アンテナ6の受信電力値Hxa、Hxb、Hxc、Hxdの合計値を算出する(S114)。
得られた受信電力差Hαおよび受信電力差Hβを代表受信電力値Vsで規格化(割る)することで、規格化受信電力値AcxおよびAcyを算出する(S113)。
ここで、予め、本装置製造時に取得(実際に測定した計測データ、又はそれら計測データを基に計算機により算出したデータでもよい。)した規格化受信電力値AcxおよびAcyと入射方向θx、θyの関係グラフ(演算式やデータテーブルでも良い)を入射角演算装置8のメモリに保持し、これを利用することで、得られた規格化受信電力値AcxおよびAcyに応じた入射方向θx、θyを算出することができる。
【0075】
図14は、図13の代表受信電力値Vsが計測アンテナ4の代表受信電力値Vmとなったものであり、その算出方法が補助アンテナ6の電波諸元を用いたものでなく、電波受信回路7aにて受信された計測アンテナ4の電波諸元より、代表受信電力値Vmとして、計測アンテナ4の受信電力値Gxa、Gxb、Gxc、Gxdの、最大値、平均値、又は、特定のアンテナ素子の受信電力値となったものであり、更に、補助アンテナ6の受信電力差Hα、Hβを最大受信電力値Hx1、Hy1に置き換えたものであり、その他の処理は同じである。
尚、Hx1は受信電力値Hxa、Hxcのうち、大きい方とし、Hy1は受信電力値Hxb、Hxdのうち、大きい方とする。
【0076】
図12〜図14で得られた入射方向θx、θyは、x軸、y軸で表現される2次元であり、次に示す図15〜図17の処理は、図6〜図8の処理をそれぞれ2次元に拡張したものである。
【0077】
図15は、第1の実施の形態の図6と同様に、予め、本装置製造時に入射角度によるレドーム内面反射が計測アンテナ4に与える影響を実際に測定した計測データ(実測できない場合は計算機シミュレーションにて補完する方法もある。)などにより把握することで、入射方向θx、θyにより使用する計測アンテナ4を決定する。
前段の入射方向θx、θyの算出値θx、θyに対応する計測アンテナ4選択のデータテーブルを入射角演算装置8のメモリに保持しておく。
これを利用し、得られた入射方向θx、θyに応じた計測アンテナ4を選定する(S131)。
選定された計測アンテナ4により、入射角出力値θoutを算出する(S133)。
【0078】
図16は、第1の実施の形態の図7と同様に、予め、本装置製造時に入射角度によるレドーム内面反射が計測アンテナ4に与える影響を実際に測定した計測データ(実測できない場合は計算機シミュレーションにて補完する方法もある。)などにより把握し、計測アンテナ4の計測角度範囲θzを決定する。
計測角度範囲θzは、入射方向θx、θyの軸に合わせ、そのデータテーブルを図15と同様に入射角演算装置8のメモリに保持しておく。
これを利用し、得られた入射方向θx、θyに応じ、そのデータテーブルより計測アンテナ4の計測角度範囲θz内かどうか判定を行い(S141)、計測アンテナ4の計測角度範囲θz内ならば、S143、S144の処理で計測することで、入射角出力値θoutを算出する。
尚、S141で計測アンテナ4の計測角度範囲θz外であれば、処理を終了し、他の到来波(フィルタバンクを有しているのであればその他の周波数の到来波、又は、一定時間経過後の到来波)について入射方向θx、θyの算出(図12、図13又は、図14)から再度実施する(S142)。
このようにして、計測角度範囲θz外であった場合は処理を終了し、次の目標に対して入射方向算出を実施する。
【0079】
図17は、第1の実施の形態の図8と同様に、計測アンテナ4で受信した電波諸元より、S151、S152により複数の入射角候補θa1、θa2、θa3、・・・を算出(1個の場合も有りうる)する。
図12、図13、又は図14のフローより算出した入射方向θx、θyと入射角候補θa1、θa2、θa3、・・・を比較し、差が一番小さい入射角候補(例えばθa1)を選定する(S153)。
尚、比較の際、入射角候補θa1、θa2、θa3、・・・の算出値の軸が、入射方向θx、θyの軸と異なる場合、θx、θyの対応軸に座標変換を行い比較する。
予め設定した許容値と比較し、差が許容値以内であれば入射角出力値θoutとして出力する(S154)。
ここで、許容値以上であれば、処理を終了し、S142と同様の処置を行う(S155)。
【0080】
ここで、図15〜図17の処理を個別に示したが、第1の実施形態と同様に、入射角出力値θoutの入力を、図15であればS132、図16であればS143、図17であればS152の代わりにすることで、組合せることが可能であり、効果を向上させることができる。
【0081】
<<その他の実施の形態>>
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明は上記の各実施の形態に限定されず、本発明の範囲内で種々の変更を加えたり、各実施の形態の各構成を組み換えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0082】
また、本発明及び各実施の形態において、入射角演算装置8は、個々の電子回路の形態のものに限定されるものではなく、コンピュータにおける(サブ)プログラム、シーケンサー、メモリ等、各種の形態のものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1、2の実施の形態に係るレドーム内に設置された電波測角アンテナ及び電波測角装置の平面模式図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る図1の補助アンテナ6、領域Z及び計測アンテナ4の第1の配置例の正面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る補助アンテナ6にて受信した受信電力値Hxa、Hxbの最大値Hzにて各補助アンテナ6の受信電力値Hxa、Hxbを割り、補助アンテナ6の受信電力比Pa、Pbを算出し、これを用いて入射方向θxを算出する処理フロー図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る補助アンテナ6にて受信した受信電力値Hxa、Hxbの差Hαと各補助アンテナ6の受信電力値Hxa、Hxbの合計値Vsで割り規格化受信電力値Acを算出し、これを用いて入射方向θxを算出する処理フロー図である。
【図5】図4の各補助アンテナ6の受信電力値Hxa、Hxbの合計値Vsを、計測アンテナ4にて受信した受信電力値Gxa、Gxbの最大値、平均値、又は特定のアンテナ素子の受信電力値を計測アンテナ4の代表受信電力値Vmに置き換え、更に、補助アンテナ6の受信電力差Hαをx軸方向の補助アンテナの最大受信電力値Hx1に置き換えたものであり、その他の処理は同じである。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る、予めレドーム内面反射の影響を把握し、到来電波Kの入射方向θxにより使用する計測アンテナ4を選択し、選択された計測アンテナ4にて到来電波Kの入射角出力値θoutを算出する演算を行う処理フロー図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る、予め入射角度と計測アンテナ4の計測角度範囲θzを把握し、計測範囲内の到来電波Kに対し、その入射角出力値θoutを算出する演算を行う処理フロー図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る、計測アンテナ4にて受信した電波諸源から算出された複数の入射角候補θa1、θa2、θa3、・・・に対し、補助アンテナ6により算出した入射方向θxとの差を比較し、差が最小のものを選択し、更にその差が予め設定した許容値内であることを判定し、入射角出力値θoutを算出する演算を行う処理フロー図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る補助アンテナ6及び領域Zの第2の配置例である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る補助アンテナ6及び領域Zの第3の配置例である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る補助アンテナ6及び領域Zの第4の配置例である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る補助アンテナ6にて受信した受信電力値Hxa、Hxb、Hxc、Hxdの最大値Hzにて各補助アンテナ6の受信電力値Hxa、Hxb、Hxc、Hxdを割り、補助アンテナ6の受信電力比Pa、Pb、Pc、Pdを算出し、これを用いて入射方向θx、θyを算出する処理フロー図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係る補助アンテナ6にて受信した受信電力値HxaとHxcの差Hαと、HxbとHxdの差Hβと、各補助アンテナ6の受信電力値Hxa、Hxb、Hxc、Hxdの合計値Vsから規格化受信電力値AcxおよびAcyを算出し、これを用いて入射方向θx、θyを算出する処理フロー図である。
【図14】図13の補助アンテナ6の受信電力値Hxa、Hxb、Hxc、Hxdの合計値である補助アンテナ6の代表受信電力値Vsを、計測アンテナ4で測定した受信電力値Gxa、Gxb、Gxc、Gxdの、最大値、平均値、又は特定のアンテナ素子の受信電力値を計測アンテナ4の代表受信電力値Vmに置き換え、更に、補助アンテナ6の受信電力差Hα、Hβを、補助アンテナの最大受信電力値Hx1、Hy1に置き換えたものであり、その他の処理は同じである。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係る、予めレドーム内面反射の影響を把握し、到来電波Kの入射方向θx、θyにより使用する計測アンテナ4を選択し、選択された計測アンテナ4にて到来電波Kの入射角出力値θoutを算出する演算を行う処理フロー図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態に係る、予め入射角度と計測アンテナ4の計測角度範囲θzを把握し、計測範囲内の到来電波Kに対し、入射角出力値θoutを算出する演算を行う処理フロー図である。
【図17】本発明の第2の実施の形態に係る、計測アンテナ4にて受信した電波諸源から算出された複数の入射角候補θa1、θa2、θa3、・・・に対し、補助アンテナ6により算出した入射方向θx、θyとの差が最小のものを選択し、更にその差が予め設定した許容値内であることを判定し、入射角出力値θoutを算出する演算を行う処理フロー図である。
【図18】従来の飛行体用レドームの形状を示す図である。
【符号の説明】
【0084】
1 飛しょう体
2 レドーム
3 正面基台
4(4a〜4h) 計測アンテナ
5 側面基台
6(6a〜6h) 補助アンテナ
7(7a、7b) 電波受信回路
8 入射角演算装置
Ac、Acx、Acy 規格化受信電力値
P(Pa〜Pd) 補助アンテナの受信電力比
Gx(Gxa〜Gxh) 計測アンテナの受信電力値
Hx(Hxa〜Hxh) 補助アンテナの受信電力値
Hz 補助アンテナの最大受信電力値
Hx1 x軸方向の補助アンテナの最大受信電力値
Hy1 y軸方向の補助アンテナの最大受信電力値
Hα x軸方向の補助アンテナの受信電力差
Hβ y軸方向の補助アンテナの受信電力差
K 到来電波
Vm 計測アンテナの代表受信電力値
Vs 補助アンテナの代表受信電力値
Z(Za〜Zh) 領域
θout 入射角出力値
θz 計測アンテナの計測角度範囲
θx、θy 入射方向
θa1、θa2、θa3、 入射角候補
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の面に配設された複数の計測アンテナと、
前記複数の計測アンテナの配設面に対して交差する方向に配設された複数の補助アンテナとを備えたことを特徴とする電波測角アンテナ。
【請求項2】
前記各補助アンテナの裏面側に配設された電波遮蔽手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の電波測角アンテナ。
【請求項3】
前記複数の補助アンテナは、前記複数の計測アンテナの配設エリアを挟むように配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電波測角アンテナ。
【請求項4】
同一の面に配設された複数の計測アンテナと、
前記複数の計測アンテナの配設面に対して交差する方向に配設された複数の補助アンテナを有し、
前記複数の補助アンテナにて受信した到来電波の電波諸元に基づき、前記複数の計測アンテナで受信した到来電波から入射角出力値の算出を行う入射角演算装置とを備えたことを特徴とする電波測角装置。
【請求項5】
前記入射角演算装置は、
前記複数の補助アンテナにより受信した到来電波の入射方向を判定し、
前記入射方向に基づき使用する前記計測アンテナを選択し、
選択された前記計測アンテナにより受信した前記電波の入射角出力値を抽出するものであることを特徴とする請求項4に記載の電波測角装置。
【請求項6】
前記入射角演算装置は、
前記複数の補助アンテナにより受信した到来電波の入射方向を判定し、
前記入射方向が前記計測アンテナの計測角度範囲かどうか判定する機能を有することを特徴とする請求項4に記載の電波測角装置。
【請求項7】
前記入射角演算装置は、
前記複数の補助アンテナにより受信した到来電波の入射方向を判定し
前記計測アンテナで計測した入射角度を補正する機能を有することを特徴とする請求項4に記載の電波測角装置。
【請求項8】
前記計測アンテナは、
飛しょう体の頭部に取り付けられた尖頭形状のレドーム内に配設されたことを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の電波測角装置。
【請求項9】
請求項8に記載の電波測角装置を備えたことを特徴とする飛しょう体。
【請求項1】
同一の面に配設された複数の計測アンテナと、
前記複数の計測アンテナの配設面に対して交差する方向に配設された複数の補助アンテナとを備えたことを特徴とする電波測角アンテナ。
【請求項2】
前記各補助アンテナの裏面側に配設された電波遮蔽手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の電波測角アンテナ。
【請求項3】
前記複数の補助アンテナは、前記複数の計測アンテナの配設エリアを挟むように配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電波測角アンテナ。
【請求項4】
同一の面に配設された複数の計測アンテナと、
前記複数の計測アンテナの配設面に対して交差する方向に配設された複数の補助アンテナを有し、
前記複数の補助アンテナにて受信した到来電波の電波諸元に基づき、前記複数の計測アンテナで受信した到来電波から入射角出力値の算出を行う入射角演算装置とを備えたことを特徴とする電波測角装置。
【請求項5】
前記入射角演算装置は、
前記複数の補助アンテナにより受信した到来電波の入射方向を判定し、
前記入射方向に基づき使用する前記計測アンテナを選択し、
選択された前記計測アンテナにより受信した前記電波の入射角出力値を抽出するものであることを特徴とする請求項4に記載の電波測角装置。
【請求項6】
前記入射角演算装置は、
前記複数の補助アンテナにより受信した到来電波の入射方向を判定し、
前記入射方向が前記計測アンテナの計測角度範囲かどうか判定する機能を有することを特徴とする請求項4に記載の電波測角装置。
【請求項7】
前記入射角演算装置は、
前記複数の補助アンテナにより受信した到来電波の入射方向を判定し
前記計測アンテナで計測した入射角度を補正する機能を有することを特徴とする請求項4に記載の電波測角装置。
【請求項8】
前記計測アンテナは、
飛しょう体の頭部に取り付けられた尖頭形状のレドーム内に配設されたことを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の電波測角装置。
【請求項9】
請求項8に記載の電波測角装置を備えたことを特徴とする飛しょう体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−139403(P2010−139403A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−316621(P2008−316621)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(000003388)東京計器株式会社 (103)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(000003388)東京計器株式会社 (103)
【Fターム(参考)】
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