説明

電流均衡化装置及びその方法、LED照明器具、LCDバックライトモジュール、LCD表示機器

【課題】負荷に流れる電流バランス回路における損失低減を実現し高効率化を実現できる電流均衡化装置。
【解決手段】交番電流を出力する電力供給手段10と、電力供給手段の出力に接続され且つ1以上の巻線N1,S1と整流素子D1,D11,D2,D12及びコンデンサC1,C11,C2,C12で構成される倍電圧整流回路とが直列に接続される複数の直列回路を備え、複数の直列回路に対応する複数の倍電圧整流回路の各々の出力に1以上の負荷LED1a~ LED1e,LED2 a~ LED2eを接続してなる複数の負荷群が接続され、複数の負荷群のそれぞれの1以上の負荷を流れる電流が、1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、並列に接続された複数の負荷に流れる電流を均衡化させるための電流均衡化装置及びその方法、LED照明器具、LCDバックライトモジュール、LCD表示機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、直列に接続された複数のLED(Light Emitting Diode)を点灯させるLED点灯装置として、例えば特許文献1、特許文献2が知られている。
【0003】
特許文献1に開示されたLED照明装置は、複数のLEDを直列に接続したLEDユニットが複数個並列に接続されて構成されている。しかし、複数のLEDを直列に接続したLEDユニットが複数個並列に接続された状態で駆動されると、LEDユニットの電圧(各々のLEDの順方向電圧Vf)降下にばらつきがあるため、並列に接続されたLEDユニットの電流は、アンバランスとなってしまう。そこで、特許文献1では、定電流回路により各々のLEDユニットに定電流を流すことにより、LEDユニットに流れる電流をバランスさせている。
【0004】
特許文献2に開示された放電灯点灯回路は、並列に接続された複数のCCFL(冷陰極線管)に流れる電流をトランスを用いてバランスさせている。CCFLは交流で駆動されるので、バランストランスには正弦波の電流が流れている。このため、CCFLとバランストランスとを直列に接続し、バランストランスの2次巻線が閉回路となるように構成して電流をバランスさせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−319583号公報
【特許文献2】特開2006−12659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、定電流回路を接続すると、各々のLEDユニットの電圧降下の差が損失となってしまう。
【0007】
特許文献2では、バランストランスを用いて電流をバランスさせているため、CCFLの電圧のばらつきによる損失は発生しないが、直流電流のみを流すLEDでは、直流電流をトランスでバランスさせることはできない。即ち、バランストランスは、周波数が高くなると小さくできるが、周波数が低くなると大きくなる。また、直流では、トランスが飽和してしまうので、バランストランスは使用できない。
【0008】
本発明の課題は、インピーダンスが異なる複数の負荷に流れる電流バランス回路における損失低減を実現し高効率化を実現できる電流均衡化装置及びその方法、LED照明器具、LCDバックライトモジュール、LCD表示機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の電流均衡化装置は、交番電流を出力する電力供給手段と、前記電力供給手段の出力に接続され且つ1以上の巻線と整流素子及びコンデンサで構成される倍電圧整流回路とが直列に接続される複数の直列回路を備え、前記複数の直列回路に対応する複数の前記倍電圧整流回路の各々の出力に1以上の負荷を接続してなる複数の負荷群が接続され、前記複数の負荷群のそれぞれの前記1以上の負荷を流れる電流が、前記1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化することを特徴とする。
【0010】
本発明のマルチ負荷の電流均衡化方法は、1以上の巻線と整流素子及びコンデンサで構成される倍電圧整流回路とが直列に接続される複数の直列回路に対応する複数の前記倍電圧整流回路の各々の出力に1以上の負荷を接続して構成された複数の負荷群のそれぞれの前記1以上の負荷を流れる電流を、前記1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化することを特徴とする。
【0011】
本発明のLED照明器具は、商用交流電源からの交流電力を任意の交番電力に変換して交番電流を供給する電力変換装置と、前記電力変換装置の出力に接続され且つ1以上の巻線と整流素子及びコンデンサで構成される倍電圧整流回路とが直列に接続される複数の直列回路に対応する複数の前記倍電圧整流回路の各々の出力に1以上のLED負荷を接続して構成された複数の負荷群のそれぞれの前記1以上のLED負荷を流れる電流を、前記1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化する電流均衡化装置とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明のLCD B/Lモジュールは、LCDセルと、商用交流電源からの交流電力を任意の交番電力に変換して交番電流を供給する電力変換装置の出力に接続され且つ1以上の巻線と整流素子及びコンデンサで構成される倍電圧整流回路とが直列に接続される複数の直列回路に対応する複数の前記倍電圧整流回路の各々の出力に前記LCDセルを光らせる1以上のLED負荷を接続して構成された複数の負荷群のそれぞれの前記1以上のLED負荷を流れる電流を、前記1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化する電流均衡化装置とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明のLCD表示機器は、LCDセルと、商用交流電源からの交流電力を任意の交番電力に変換して交番電流を供給する電力変換装置と、前記電力変換装置の出力に接続され且つ1以上の巻線と整流素子及びコンデンサで構成される倍電圧整流回路とが直列に接続される複数の直列回路に対応する複数の前記倍電圧整流回路の各々の出力に前記LCDセルを光らせる1以上のLED負荷を接続して構成された複数の負荷群のそれぞれの前記1以上のLED負荷を流れる電流を、前記1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化する電流均衡化装置とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電力供給手段の出力から複数の負荷に供給する電流を、1以上の負荷に直列接続した1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化できる。また、1以上の巻線に生じる電磁力により電流を均衡化するため、複数の負荷のインピーダンスの相違による損失を低減できる。従って、インピーダンスが異なる複数の負荷に流れる電流バランス回路における損失低減を実現し高効率化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1の電流均衡化装置の構成図である。
【図2】本発明の実施例2の電流均衡化装置の構成図である。
【図3】本発明の実施例3の電流均衡化装置の構成図である。
【図4】本発明の実施例4の電流均衡化装置の構成図である。
【図5】本発明の実施例5の電流均衡化装置の構成図である。
【図6】半波2倍電圧整流回路の一例を示す図である。
【図7】半波3倍電圧整流回路の一例を示す図である。
【図8】半波4倍電圧整流回路の一例を示す図である。
【図9】両波倍電圧整流回路の一例を示す図である。
【図10】本発明の実施例6の電流均衡化装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態の電流均衡化装置を備えた電力供給装置を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
まず、トランスは交流電流をバランスすることができるが、LEDのような直流駆動回路ではトランスは直流電流をバランスすることができない。このため、本発明は、交番電流を出力する電力供給手段の出力に接続され且つ1以上の巻線と整流素子及びコンデンサで構成される倍電圧整流回路とが直列に接続される複数の直列回路を備え、複数の直列回路に対応する複数の倍電圧整流回路の各々の出力に1以上の負荷を接続して複数の負荷群を構成し、複数の負荷群のそれぞれの1以上の負荷を流れる電流が、1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化することを特徴とする。
【0018】
以下に説明する各実施例では、この電流均衡化装置におけるインピーダンスが異なる負荷をLEDとした例を示している。
【実施例1】
【0019】
図1は本発明の実施例1に係る電流均衡化装置の構成図である。電力供給手段10は、正弦波状の交番電流を供給するために、直流電源Vinの両端に、MOSFETからなるスイッチング素子QHとMOSFETからなるスイッチング素子QLとの直列回路が接続されている。
【0020】
スイッチング素子QHとスイッチング素子QLとの接続点にトランスTの1次巻線Npと電流共振コンデンサCriとの直列共振回路が接続されている。トランスTは、リーケージインダクタンスLr1,Lr2を有する。LpはトランスTの励磁インダクタンスである。スイッチング素子QLとスイッチング素子QHとが交互にオンオフすることで、トランスTの巻線NsからリーケージインダクタンスLr1、Lr2と電流共振コンデンサCriで共振した正弦波状の交番電流を供給することができる。
【0021】
トランスTの2次巻線Nsの一端には巻線N1の一端が接続され、巻線N1の他端にはコンデンサC11を介して交番電流を半波整流するダイオードD1のアノードとダイオードD11のカソードとが接続される。ダイオードD1のカソードと2次巻線Nsの他端との間には、コンデンサC1が接続され、コンデンサC1の両端には、負荷LD1(LED1a〜LED1e)と抵抗Rsとの直列回路が接続される。ダイオードD11のアノードは、2次巻線Nsの他端とコンデンサC1と抵抗Rsとに接続される。コンデンサC1,C11とダイオードD1,D11は、第1の半波2倍電圧整流回路を構成する。実施例1において、第1の直列回路は、巻線N1と第1の半波2倍電圧整流回路とからなる。従って、2次巻線Nsと第1の半波2倍電圧整流回路とが直列回路を構成し、第1の半波2倍電圧整流回路の出力に負荷LD1(LED1a〜LED1e)が接続される。
【0022】
また、トランスTの2次巻線Nsの一端には巻線S1の一端が接続され、巻線S1の他端にはコンデンサC12を介して交番電流を半波整流するダイオードD2のアノードとダイオードD12のカソードとが接続される。ダイオードD2のカソードと2次巻線Nsの他端との間には、コンデンサC2が接続され、コンデンサC2の両端には、負荷LD2(LED2a〜LED2e)と抵抗Rsとの直列回路が接続される。ダイオードD12のアノードは、2次巻線Nsの他端とコンデンサC2と抵抗Rsとに接続される。コンデンサC2,C12とダイオードD2,D12は、第2の半波2倍電圧整流回路を構成する。実施例1において、第2の直列回路は、巻線S1と第2の半波2倍電圧整流回路とからなる。従って、2次巻線Nsと第2の半波2倍電圧整流回路とが直列回路を構成し、第2の半波2倍電圧整流回路の出力に負荷LD2(LED2a〜LED2e)が接続される。
【0023】
巻線N1と巻線S1とは、互いに電磁的に結合されトランスT1を構成する。また、LEDの順方向電圧(Vf)のバラツキにより、に実施例1における負荷LD1のインピーダンスと負荷LD2のインピーダンスとは互いに異なる。
【0024】
また、図1に示す電流均衡化装置は、複数の直列回路の電流を検出する電流検出手段と、電流検出手段で検出された電流検出値と基準電圧を比較する比較手段と、比較手段の出力に応じて交番電流を制御する制御手段とを備える。
【0025】
負荷LD1(LD2)と2次巻線Nsとの間に電流検出手段として抵抗Rsが追加されて、負荷LD1(LD2)と抵抗Rsとの接続点に、抵抗Ris及びコンデンサCisからなるフィルタ回路の入力端が接続される。比較回路及び制御回路としてのPFM回路1の一方の入力端子にはフィルタ回路の出力端が接続され、他方の入力端子には正電圧である基準電圧Vrefが接続される。
【0026】
抵抗Rsが、負荷LD1(及びLD2)に流れる電流を一括して検出し、フィルタ回路を介して電流検出値をPFM回路1に出力する。PFM回路1は、電流検出値と基準電圧Vrefとを比較して、その誤差出力に基づき、負荷に流れる電流が一定になるようにスイッチング素子QHとスイッチング素子QLとのオンオフ周波数を制御する。
【0027】
次に実施例1の電流均衡化装置の動作を説明する。まず、スイッチング素子QLがオフからオンになると、即ち、電力供給手段10の出力である2次巻線Nsが負電圧のときに、Ns(負極)→D11→C11→N1→Ns(正極)の経路と、Ns(負極)→D12→C12→S1→Ns(正極)の経路とで電流が流れる。トランスT1の1次巻線N1と2次巻線S1とはそれぞれに流れる電流が均衡するように磁気結合されているので、コンデンサC11とコンデンサC12とには同一の電流が充電される。このとき、電流共振コンデンサCriとリーケージインダクタンスLr1+Lr2の共振で電流が流れることになり、正弦波状の半波電流が供給される。
【0028】
次に、スイッチング素子QHがオフからオンになると、即ち、電力供給手段10の出力である2次巻線Nsが正電圧のときに、Ns(正極)→N1→C11→D1→C1→Ns(負極)の経路と、Ns(正極)→S1→C12→D2→C2→Ns(負極)の経路とで電流が流れる。
【0029】
このときも、トランスT1の1次巻線N1と2次巻線S1とはそれぞれに流れる電流が均衡するように磁気結合されているので、コンデンサC1とコンデンサC2とには同一の電流が充電される。従って、コンデンサC1に接続される負荷LD1とコンデンサC2に接続される負荷LD2は、インピーダンスが異なる場合でも均衡化された電流が流れることになる。
【0030】
なお、スイッチング素子QHに流れる電流は、電流共振コンデンサCriと励磁インダクタンスLpとリーケージインダクタンスLr1との共振により時間とともに増加していく。このとき電流共振コンデンサCriが充電される。
【0031】
また、実施例1では、巻線に生じる電磁力により電流を均衡化するため、主に巻線抵抗に基づく損失を発生するが、この損失は特許文献1の定電流回路における損失に比べて小さいため、バランス回路における損失を低減することができる。
【0032】
また、実施例1では、負荷LD1及び負荷LD2がLEDを複数個直列に接続した照明装置であるため、負荷LD1及び負荷LD2に均衡化された電流を供給することで、複数のLEDを均一に発光させ、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)を均一に照明することができる。
【0033】
さらに、実施例1では、巻線N1及びS1に交番電流を流すためにトランスTの2次側を両波整流回路で構成する場合に比べ、トランスTの構成が簡易化でき、電流を均衡化するためのトランスの使用数が削減できるため、バランス回路を安価に構成することができる。
【0034】
また、ダイオードD11(ダイオードD12)及びコンデンサC11(コンデンサC12)がない場合、トランスTが反転し2次巻線Nsの負極の電圧が正極の電圧よりも高くなると、整流素子としてのダイオードD1(D2)には、コンデンサC1(C2)の整流電圧と2次巻線Nsの巻線電圧とトランスT1の巻線N1及び巻線S1に発生するフライバック電圧(リセット電圧)とが重畳した逆電圧が印加される。このリセット電圧は、負荷LD1及びLD2のインピーダンスが互いに異なることによってダイオードD1(D2)のいずれか一方に集中することがあり、巻線と整流素子とコンデンサとからなる直列回路の並列接続数が多いほど高電圧になりやすい。これらのことから、巻線と整流素子とコンデンサとからなる直列回路の並列接続数が増加すると、整流素子の逆耐圧を高くしなければならない。
【0035】
一方、実施例1では、トランスTの反転時にはダイオードD11(D12)及びコンデンサC11(C12)を介して電流が流れるため、トランスT1が良好にリセットされ、ダイオードD1(D2)の逆耐圧はトランスT1のリセット電圧に影響されない。即ち、逆耐圧の低い整流素子を用いて直列回路及び負荷の並列数を増加させることが可能となる。
【0036】
図2から図5で示される実施例2から実施例5は、電力供給手段10に接続される直列回路が複数個接続された場合の複数の半波2倍電圧整流回路に接続される複数の負荷の電流が均衡化するようにトランスが磁気結合する方法である。
【実施例2】
【0037】
図2は本発明の実施例2に係る電流均衡化装置の構成を示すブロック図である。図2に示す実施例2において、電力供給手段10の出力には、巻線S4と巻線N1とコンデンサC1,C11及びダイオードD1,D11で構成される第1の半波2倍電圧整流回路とから構成される第1の直列回路と、巻線S1と巻線N2とコンデンサC2,C12及びダイオードD2,D12で構成される第2の半波2倍電圧整流回路とから構成される第2の直列回路と、巻線S2と巻線N3とコンデンサC3,C13及びダイオードD3,D13で構成される第3の半波2倍電圧整流回路とから構成される第3の直列回路と、巻線S3と巻線N4とコンデンサC4,C14及びダイオードD4,D14で構成される第4の半波2倍電圧整流回路とから構成される第4の直列回路とが接続されている。
【0038】
コンデンサC1(C2〜C4)の両端には、負荷LD1(LD2〜LD4)と抵抗Rsとの直列回路が接続される。ダイオードD11(D12〜D14)のアノードは、2次巻線Nsの他端とコンデンサC1(C2〜C4)とに接続される。
【0039】
巻線N1(N2、N3、N4)と巻線S1(S2、S3、S4)はダイオードの半波整流する電流が均衡化するように磁気的に結合されトランスT1(及びT2、T3、T4)を構成している。
【0040】
即ち、それぞれの直列回路が直列接続された2つの巻線を有し、2つの巻線のそれぞれがトランスの1次巻線及び2次巻線として電磁結合される。
【0041】
実施例2の接続では、トランスT1(T2、T3、T4)の巻線N1(N2、N3、N4)と巻線S1(S2、S3、S4)は、その特性から巻線N1(N2、N3、N4)と巻線S1(S2、S3、S4)に流れる電流が等しくなり、コンデンサC1、C2、C3、C4には等しい電流が流れる。従って、コンデンサC1、C2、C3、C4に接続される負荷LD1、LD2、LD3、LD4には均衡化された電流が流れる。従って、実施例1に係る電流均衡化装置と同様の効果を得ることができる。また、直列回路に2つの巻線が接続されるので、バランストランスとして使用するトランスが小さくでき、同一のトランスを使用できる。
【実施例3】
【0042】
図3は本発明の実施例3に係る電流均衡化装置の構成を示すブロック図である。図3に示す実施例3において、電力供給手段10の出力には、巻線N1とコンデンサC1,C11及びダイオードD1,D11で構成される第1の半波2倍電圧整流回路とから構成される第1の直列回路と、巻線N2とコンデンサC2,C12及びダイオードD2,D12で構成される第2の半波2倍電圧整流回路とから構成される第2の直列回路と、巻線N3とコンデンサC3,C13及びダイオードD3,D13で構成される第3の半波2倍電圧整流回路とから構成される第3の直列回路と、巻線N4とコンデンサC4,C14及びダイオードD4,D14で構成される第4の半波2倍電圧整流回路とから構成される第4の直列回路とが接続されている。
【0043】
コンデンサC1(C2〜C4)の両端には、負荷LD1(LD2〜LD4)と抵抗Rsとの直列回路が接続される。ダイオードD11(D12〜D14)のアノードは、2次巻線Nsの他端とコンデンサC1(C2〜C4)とに接続される。
【0044】
また、巻線S1と巻線S2と巻線S3と巻線S4とが閉ループで接続され、巻線N1(N2、N3、N4)と巻線S1(S2、S3、S4)とは、互いに電磁的に結合されトランスT1〜T4を構成する。即ちそれぞれの直列回路が1つの巻線を有し、それぞれの巻線に電磁結合された巻線が直列接続され閉ループを構成し、巻線S1と巻線S2と巻線S3と巻線S4には等しい電流が流れることになる。
【0045】
ダイオードD1(D2、D3、D4)で半波整流した電流が巻線N1(N2、N3、N4)に流れ、この電流と巻線S1(S2、S3、S4)に流れる電流とが均衡化するように磁気的に結合されトランスT1(T2、T3、T4)となっている。従って、実施例3の接続では、トランスT1(T2、T3、T4)の巻線N1(N2、N3、N4)と巻線S1(S2、S3、S4)は、その特性から巻線N1(N2、N3、N4)と巻線S1(S2、S3、S4)に流れる電流が等しくなり、コンデンサC1、C2、C3、C4には等しい電流が流れる。従って、コンデンサC1、C2、C3、C4に接続される負荷LD1、LD2、LD3、LD4には均衡化された電流が流れる。従って、実施例1に係る電流均衡化装置と同様の効果を得ることができる。また、バランストランスとして同一のトランスを使用できる。
【実施例4】
【0046】
図4は本発明の実施例4に係る電流均衡化装置の構成を示すブロック図である。図4に示す実施例4において、電力供給手段10の出力には、巻線N1とコンデンサC1,C11及びダイオードD1,D11で構成される第1の半波2倍電圧整流回路とから構成される第1の直列回路と、巻線S1と巻線N2とコンデンサC2,C12及びダイオードD2,D12で構成される第2の半波2倍電圧整流回路とから構成される第2の直列回路と、巻線S2と巻線N3とコンデンサC3,C13及びダイオードD3,D13で構成される第3の半波2倍電圧整流回路とから構成される第3の直列回路と、巻線S3とコンデンサC4,C14及びダイオードD4,D14で構成される第4の半波2倍電圧整流回路とから構成される第4の直列回路とが接続されている。
【0047】
コンデンサC1(C2〜C4)の両端には、負荷LD1(LD2〜LD4)と抵抗Rsとの直列回路が接続される。ダイオードD11(D12〜D14)のアノードは、2次巻線Nsの他端とコンデンサC1(C2〜C4)とに接続される。
【0048】
巻線N1(N2、N3)と巻線S1(S2、S3)はダイオードの半波整流する電流が均衡化するように磁気的に結合されトランスT1(T2、T3)となっている。即ち、1つの巻線を有する直列回路と2つの巻線を有する直列回路とを有し、それぞれの巻線がトランスの1次及び2次巻線として電磁結合される。
【0049】
実施例4の接続では、トランスT1(T2、T3)の巻線N1(N2、N3)と巻線S1(S2、S3)は、その特性から巻線N1(N2、N3)と巻線S1(S2、S3)に流れる電流が等しくなり、コンデンサC1、C2、C3、C4には等しい電流が流れる。従って、コンデンサC1、C2、C3、C4に接続される負荷LD1、負荷LD2、負荷LD3、負荷LD4には均衡化された電流が流れる。従って、実施例1に係る電流均衡化装置と同様の効果を得ることができる。さらに、実施例4は実施例2及び3の巻線N4と巻線S4からなるトランスT4を取り除くことができるため、電流均衡化装置を安価に構成できる。
【実施例5】
【0050】
図5は本発明の実施例5に係る電流均衡化装置の構成を示すブロック図である。図5に示す実施例5において、電力供給手段10の出力には、巻線N3と巻線N1とコンデンサC1,C11及びダイオードD1,D11で構成される第1の半波2倍電圧整流回路とから構成される第1の直列回路と、巻線N3と巻線S1とコンデンサC2,C12及びダイオードD2,D12で構成される第2の半波2倍電圧整流回路とから構成される第2の直列回路と、巻線S3と巻線N2とコンデンサC3,C13及びダイオードD3,D13で構成される第3の半波2倍電圧整流回路とから構成される第3の直列回路と、巻線S3と巻線S2とコンデンサC4,C14及びダイオードD4,D14で構成される第4の半波2倍電圧整流回路とから構成される第4の直列回路とが接続されている。
【0051】
コンデンサC1(C2〜C4)の両端には、負荷LD1(LD2〜LD4)と抵抗Rsとの直列回路が接続される。ダイオードD11(D12〜D14)のアノードは、2次巻線Nsの他端とコンデンサC1(C2〜C4)とに接続される。
【0052】
巻線N1(N2、N3)と巻線S1(S2、S3)はダイオードの半波整流する電流が均衡化するように磁気的に結合されトランスT1(T2、T3)となっている。実施例5の接続では、トランスT1(T2、T3)の巻線N1(N2、N3)と巻線S1(S2、S3)は、その特性から巻線N1(N2、N3)と巻線S1及びS2、S3)に流れる電流が等しくなり、コンデンサC1、C2、C3、C4には等しい電流が流れる。従って、コンデンサC1、C2、C3、C4に接続される負荷LD1、LD2、LD3、LD4には均衡化された電流が流れる。従って、実施例1に係る電流均衡化装置と同様の効果を得ることができる。さらに、実施例5は実施例2及び3の巻線N4と巻線S4からなるトランスT4を取り除くことができるため、電流均衡化装置を安価に構成できる。
【0053】
(半波倍電圧整流回路の例)
次に、実施例1乃至5に用いられる倍電圧整流回路の例を上げて説明する。図6は半波2倍電圧整流回路の一例を示す図である。図6に示す半波2倍電圧整流回路は、図1乃至図5に示す半波2倍電圧整流回路に対応し、交流電圧を入力するトランスTの2次巻線Sの一端はコンデンサC1の一端に接続され、コンデンサC1の他端はダイオードD1のカソードとダイオードD2のアノードに接続される。ダイオードD2のカソードはコンデンサC2の一端と負荷RLの一端とに接続され、ダイオードD1のアノードはコンデンサC2の他端と負荷RLの他端とに接続される。コンデンサC2の両端出力電圧は、コンデンサC1の両端電圧VDCの2倍の半波電圧となる。
【0054】
図7は半波3倍電圧整流回路の一例を示す図である。図7に示す半波3倍電圧整流回路は、交流電圧を入力するトランスTの2次巻線Sの一端はダイオードD1のアノードとコンデンサC2の一端とに接続され、ダイオードD1のカソードはダイオードD2のアノードとコンデンサC1の一端とコンデンサC3の一端とに接続される。コンデンサC1の他端は2次巻線Sの他端と負荷RLの一端とに接続される。ダイオードD2のカソードはコンデンサC2の他端とダイオードD3のアノードに接続され、ダイオードD3のカソードはコンデンサC3の他端と負荷RLの他端とに接続される。コンデンサC1とコンデンサC3との直列回路の両端出力電圧は、コンデンサC1の両端電圧VDCの3倍の半波電圧となる。
【0055】
図8は半波4倍電圧整流回路の一例を示す図である。図8に示す半波4倍電圧整流回路は、交流電圧を入力するトランスTの2次巻線Sの一端はコンデンサC1の一端に接続され、コンデンサC1の他端はコンデンサC3の一端とダイオードD1のカソードとダイオードD2のアノードに接続される。ダイオードD1のアノードは2次巻線Sの他端とコンデンサC2の一端と負荷RLの一端とに接続される。
【0056】
ダイオードD2のカソードはコンデンサC2の他端とコンデンサC4の一端とダイオードD3のアノードに接続され、ダイオードD3のカソードはコンデンサC3の他端とダイオードD4のアノードに接続される。ダイオードD4のカソードはコンデンサC4の他端と負荷RLの他端とに接続される。コンデンサC2とコンデンサC4との直列回路の両端出力電圧は、コンデンサC1の両端電圧VDCの4倍の半波電圧となる。
【0057】
図9は両波倍電圧整流回路の一例を示す図である。図9に示す両波倍電圧整流回路は、交流電圧を入力するトランスTの2次巻線Sの一端はダイオードD1のアノードとダイオードD2のカソードに接続され、ダイオードD1のカソードはコンデンサC1の一端と負荷RLの一端とに接続される。2次巻線Sの他端はコンデンサC1の他端とコンデンサC2の一端とに接続され、コンデンサC2の他端はダイオードD2のアノードと負荷RLの他端に接続される。コンデンサC1とコンデンサC2との直列回路の両端出力電圧は、2次巻線Sの電圧の両波2倍電圧が得られる。
【0058】
以上のように本発明の電流均衡化装置における倍電圧整流回路の回路例を示したが、倍電圧整流回路としては、これらに限定されるものではない。
【実施例6】
【0059】
図10は本発明の実施例6の電流均衡化装置の構成図である。図10に示す実施例6の電流均衡化装置は、図1に示す実施例1の電流均衡化装置に対して、トランスTに代えてトランスTaを設けるとともに、ダイオードD100,D101、コンデンサC100を設けた点が異なる。
【0060】
トランスTaは、1次巻線Npと2次巻線Nsとを有するとともに直列に接続された第1の2次巻線Ns1及び第2の2次巻線Ns2を有する。第1の2次巻線Ns1の一端にはダイオードD100のアノードが接続され、ダイオードD100のカソードにはダイオードD101のカソードとコンデンサC100の一端と抵抗Rsと抵抗Risが接続される。
【0061】
第1の2次巻線Ns1の他端と第2の2次巻線Ns2の一端にはコンデンサC100の他端と負荷LD1の一端と負荷LD2の一端とが接続され、第2の2次巻線Ns2の他端はダイオードD101のアノードが接続される。
【0062】
なお、コンデンサC100は電圧源でも良い。コンデンサC1とコンデンサC2は負荷のインピーダンスの違いによっても電流が一定となるように電圧が調整される。コンデンサC1(C2)の電圧は、負荷LD1(LD2)の電圧と抵抗Rsの電圧とコンデンサC100の電圧との総和に等しい。このため、使用するダイオードの耐圧を低くできるので、負荷であるLEDの直列数を増加できる。また、同数の負荷を使用する場合には、バランストランスや倍電圧整流回路の使用数を削減できる。
【0063】
また、負荷の異常時にコンデンサC1,C2の電圧が変化するので、コンデンサC1,C2の電圧がある定められた範囲外の時に、負荷の異常を検出でき、この検出電圧が低くなるので、保護回路を安価に構成できるという利点がある。
【0064】
なお、実施例6の電流均衡化装置の倍電圧整流回路としては、図2乃至図5に示す倍電圧整流回路が用いられる。
【0065】
また、実施例6の電流均衡化装置のA部のバランストランス回路を、図2から図5に示すバランストランス回路に置き換えても良い。
【0066】
また、本発明の電流均衡化装置は、例えば、LED照明器具、LCD B/L(LCDバックライト)モジュール、LCD表示機器に適用することができる。
【0067】
LED照明器具は、商用交流電源からの交流電力を任意の交番電力に変換して交番電流を供給する電力変換装置と、電力変換装置の出力に接続され且つ1以上の巻線と整流素子及びコンデンサで構成される倍電圧整流回路とが直列に接続される複数の直列回路に対応する複数の倍電圧整流回路の各々の出力に1以上のLED負荷を接続して構成された複数の負荷群のそれぞれの1以上のLED負荷を流れる電流を、1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化する電流均衡化装置とを備える。
【0068】
LCD バックライトモジュールは、LCDセルと、商用交流電源からの交流電力を任意の交番電力に変換して交番電流を供給する電力変換装置の出力に接続され且つ1以上の巻線と整流素子及びコンデンサで構成される倍電圧整流回路とが直列に接続される複数の直列回路に対応する複数の倍電圧整流回路の各々の出力にLCDセルを光らせる1以上のLED負荷を接続して構成された複数の負荷群のそれぞれの1以上のLED負荷を流れる電流を、1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化する電流均衡化装置とを備える。
【0069】
LCD表示機器は、LCDセルと、商用交流電源からの交流電力を任意の交番電力に変換して交番電流を供給する電力変換装置と、電力変換装置の出力に接続され且つ1以上の巻線と整流素子及びコンデンサで構成される倍電圧整流回路とが直列に接続される複数の直列回路に対応する複数の倍電圧整流回路の各々の出力にLCDセルを光らせる1以上のLED負荷を接続して構成された複数の負荷群のそれぞれの1以上のLED負荷を流れる電流を、1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化する電流均衡化装置とを備える。LCD表示機器は、テレビジョン、モニター、看板などに用いられる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、例えば液晶ディスプレイのバックライトとして使用されるLEDを点灯させるためのLED点灯装置やLED照明に適用可能である。
【符号の説明】
【0071】
10 電力供給手段
Vin 直流電源
QL,QH スイッチング素子
D1〜D4,D11〜D14,DL,DH ダイオード
Cri 電流共振コンデンサ
C1〜C4,C11〜C14 コンデンサ
T,Ta,T1〜T4 トランス
Np,N1〜N4 1次巻線
Ns,S1〜S4 2次巻線
Vref 基準電源
LD1〜LD4 負荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交番電流を出力する電力供給手段と、
前記電力供給手段の出力に接続され且つ1以上の巻線と整流素子及びコンデンサで構成される倍電圧整流回路とが直列に接続される複数の直列回路を備え、前記複数の直列回路に対応する複数の前記倍電圧整流回路の各々の出力に1以上の負荷を接続してなる複数の負荷群が接続され、
前記複数の負荷群のそれぞれの前記1以上の負荷を流れる電流が、前記1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化することを特徴とする電流均衡化装置。
【請求項2】
前記負荷が整流特性を有することを特徴とする請求項1記載の電流均衡化装置。
【請求項3】
前記交番電流が、正弦波状の電流であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電流均衡化装置。
【請求項4】
前記倍電圧整流回路は、半波2倍電圧整流回路であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の電流均衡化装置。
【請求項5】
前記複数の直列回路に流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段で検出された電流検出値と基準値とを比較する比較手段と、
前記比較手段の出力に応じて前記交番電流を制御する制御回路と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の電流均衡化装置。
【請求項6】
1以上の巻線と整流素子及びコンデンサで構成される倍電圧整流回路とが直列に接続される複数の直列回路に対応する複数の前記倍電圧整流回路の各々の出力に1以上の負荷を接続して構成された複数の負荷群のそれぞれの前記1以上の負荷を流れる電流を、前記1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化することを特徴とするマルチ負荷の電流均衡化方法。
【請求項7】
商用交流電源からの交流電力を任意の交番電力に変換して交番電流を供給する電力変換装置と、
前記電力変換装置の出力に接続され且つ1以上の巻線と整流素子及びコンデンサで構成される倍電圧整流回路とが直列に接続される複数の直列回路に対応する複数の前記倍電圧整流回路の各々の出力に1以上のLED負荷を接続して構成された複数の負荷群のそれぞれの前記1以上のLED負荷を流れる電流を、前記1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化する電流均衡化装置と、
を備えることを特徴とするLED照明器具。
【請求項8】
LCDセルと、
商用交流電源からの交流電力を任意の交番電力に変換して交番電流を供給する電力変換装置の出力に接続され且つ1以上の巻線と整流素子及びコンデンサで構成される倍電圧整流回路とが直列に接続される複数の直列回路に対応する複数の前記倍電圧整流回路の各々の出力に前記LCDセルを光らせる1以上のLED負荷を接続して構成された複数の負荷群のそれぞれの前記1以上のLED負荷を流れる電流を、前記1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化する電流均衡化装置と、
を備えることを特徴とするLCDバックライトモジュール。
【請求項9】
LCDセルと、
商用交流電源からの交流電力を任意の交番電力に変換して交番電流を供給する電力変換装置と、
前記電力変換装置の出力に接続され且つ1以上の巻線と整流素子及びコンデンサで構成される倍電圧整流回路とが直列に接続される複数の直列回路に対応する複数の前記倍電圧整流回路の各々の出力に前記LCDセルを光らせる1以上のLED負荷を接続して構成された複数の負荷群のそれぞれの前記1以上のLED負荷を流れる電流を、前記1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化する電流均衡化装置と、
を備えることを特徴とするLCD表示機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−273503(P2010−273503A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−125027(P2009−125027)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(000106276)サンケン電気株式会社 (982)
【Fターム(参考)】