電流均衡化装置及びその方法、LED照明器具、LCDB/Lモジュール、LCD表示機器
【課題】負荷に流れる電流バランス回路における損失低減を実現し高効率化を実現できる電流均衡化装置。
【解決手段】交番電流を出力する電力供給手段10と、電力供給手段10の出力に接続され且つ1以上の巻線N1,S1と1以上の整流素子D1,D2と1以上の負荷LED1a,LED2aとが直列に接続される複数の直列回路とを備え、複数の直列回路のそれぞれを流れる電流が、1以上の巻線N1,S1に生じる電磁力に基づき均衡化することを特徴とする。
【解決手段】交番電流を出力する電力供給手段10と、電力供給手段10の出力に接続され且つ1以上の巻線N1,S1と1以上の整流素子D1,D2と1以上の負荷LED1a,LED2aとが直列に接続される複数の直列回路とを備え、複数の直列回路のそれぞれを流れる電流が、1以上の巻線N1,S1に生じる電磁力に基づき均衡化することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、並列に接続された複数の負荷に流れる電流を均衡化させるための電流均衡化装置及びその方法、LED照明器具、LCD B/Lモジュール、LCD表示機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、直列に接続された複数のLED(Light Emitting Diode)を点灯させるLED点灯装置として、例えば特許文献1、特許文献2が知られている。
【0003】
特許文献1に開示されたLED照明装置は、複数のLEDを直列に接続したLEDユニットが複数個並列に接続されて構成されている。しかし、複数のLEDを直列に接続したLEDユニットが複数個並列に接続された状態で駆動されると、LEDユニットの電圧(各々のLEDの順方向電圧Vf)降下にばらつきがあるため、並列に接続されたLEDユニットの電流は、アンバランスとなってしまう。そこで、特許文献1では、定電流回路により各々のLEDユニットに定電流を流すことにより、LEDユニットに流れる電流をバランスさせている。
【0004】
特許文献2に開示された放電灯点灯回路は、並列に接続された複数のCCFL(冷陰極線管)に流れる電流をトランスを用いてバランスさせている。CCFLは交流で駆動されるので、バランストランスには正弦波の電流が流れている。このため、CCFLとバランストランスとを直列に接続し、バランストランスの2次巻線が閉回路となるように構成して電流をバランスさせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−319583号公報
【特許文献2】特開2006−12659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、定電流回路を接続すると、各々のLEDユニットの電圧降下の差が損失となってしまう。
【0007】
特許文献2では、バランストランスを用いて電流をバランスさせているため、CCFLの電圧のばらつきによる損失は発生しないが、直流電流のみを流すLEDでは、直流電流をトランスでバランスさせることはできない。即ち、バランストランスは、周波数が高くなると小さくできるが、周波数が低くなると大きくなる。また、直流では、トランスが飽和してしまうので、バランストランスは使用できない。
【0008】
本発明の課題は、インピーダンスが異なる複数の負荷に流れる電流バランス回路における損失低減を実現し高効率化を実現できる電流均衡化装置及びその方法、LED照明器具、LCD B/Lモジュール、LCD表示機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の電流均衡化装置は、交番電流を出力する電力供給手段と、前記電力供給手段の出力に接続され且つ1以上の巻線と1以上の整流素子と1以上の負荷とが直列に接続される複数の直列回路とを備え、前記複数の直列回路のそれぞれを流れる電流が、前記1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化することを特徴とする。
【0010】
本発明のマルチ負荷の電流均衡化方法は、1以上の巻線と1以上の整流素子と1以上の負荷とが直列に接続される複数の直列回路のそれぞれに流れる交番電流を、前記1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化することで、前記1以上の負荷に流れる電流を均衡化することを特徴とする。
【0011】
本発明のLED照明器具は、商用交流電源からの交流電力を任意の交番電力に変換して交番電流を供給する電力変換装置と、前記電力変換装置の出力に接続され且つ1以上の巻線と1以上の整流素子と1以上のLED負荷とが直列に接続される複数の直列回路のそれぞれと前記1以上のLED負荷とを流れる電流が、前記1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化する電流均衡化装置とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明のLCD B/Lモジュールは、LCDセルと、商用交流電源からの交流電力を任意の交番電力に変換して交番電流を供給する電力変換装置の出力に接続され且つ1以上の巻線と1以上の整流素子と前記LCDセルを光らせる1以上のLED負荷とが直列に接続される複数の直列回路のそれぞれと前記1以上のLED負荷とを流れる電流が、前記1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化する電流均衡化装置とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明のLCD表示機器は、LCDセルと、商用交流電源からの交流電力を任意の交番電力に変換して交番電流を供給する電力変換装置と、前記電力変換装置の出力に接続され且つ1以上の巻線と1以上の整流素子と前記LCDセルを光らせる1以上のLED負荷とが直列に接続される複数の直列回路のそれぞれと前記1以上のLED負荷とを流れる電流が、前記1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化する電流均衡化装置とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電力供給手段の出力から複数の負荷に供給する電流を、1以上の負荷に直列接続した1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化できる。また、1以上の巻線に生じる電磁力により電流を均衡化するため、複数の負荷のインピーダンスの相違による損失を低減できる。従って、インピーダンスが異なる複数の負荷に流れる電流バランス回路における損失低減を実現し高効率化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1の電流均衡化装置の構成図である。
【図2】本発明の実施例1の電流均衡化装置の動作波形である。
【図3】本発明の実施例2の電流均衡化装置の構成図である。
【図4】本発明の実施例3の電流均衡化装置の構成図である。
【図5】本発明の実施例4の電流均衡化装置の構成図である。
【図6】本発明の実施例5の電流均衡化装置の構成図である。
【図7】本発明の実施例6の電流均衡化装置の構成図である。
【図8】本発明の実施例6の電流均衡化装置の動作波形である。
【図9】本発明の実施例7の電流均衡化装置の構成図ある。
【図10】本発明の実施例8の電流均衡化装置の構成図である。
【図11】本発明の実施例8の電流均衡化装置の動作波形である。
【図12】本発明の実施例9の電流均衡化装置の構成図である。
【図13】本発明の実施例9の電流均衡化装置の動作波形である。
【図14】本発明の実施例10の電流均衡化装置の構成図である。
【図15】本発明の実施例10の電流均衡化装置の動作波形である。
【図16】本発明の実施例11の電流均衡化装置の構成図である。
【図17】本発明の実施例11の電流均衡化装置の動作波形である。
【図18】本発明の実施例12の電流均衡化装置の構成図である。
【図19】本発明の実施例13の電流均衡化装置の構成図である。
【図20】本発明の実施例14の電流均衡化装置の構成図である。
【図21】本発明の実施例14の電流均衡化装置のバランストランスのリセットの動作を説明するための動作波形である。
【図22】本発明の実施例14の電流均衡化装置のバランストランスのリセットの動作を説明するための動作波形である。
【図23】本発明の実施例15の電流均衡化装置の構成図である。
【図24】本発明の実施例15の電流均衡化装置のバランストランスのリセットの動作を説明するための動作波形である。
【図25】本発明の実施例15の電流均衡化装置のバランストランスのリセットの動作を説明するための動作波形である。
【図26】本発明の実施例16の電流均衡化装置の構成図である。
【図27】本発明の実施例17の電流均衡化装置の構成図である。
【図28】本発明の実施例18の電流均衡化装置の構成図である。
【図29】本発明の実施例19の電流均衡化装置の構成図である。
【図30】本発明の実施例20の電流均衡化装置の構成図である。
【図31】本発明の実施例21の電流均衡化装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態の電流均衡化装置を備えた電力供給装置を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
まず、トランスは交流電流をバランスすることができるが、LEDのような直流駆動回路ではトランスは直流電流をバランスすることができない。このため、本発明は、交番電流を出力する電力供給手段の出力に接続され且つ1以上の巻線と1以上の整流素子と1以上の負荷とが直列に接続される複数の直列回路を備え、複数の直列回路のそれぞれを流れる電流が、1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化することを特徴とする。
【0018】
以下に説明する各実施例では、この電流均衡化装置におけるインピーダンスが異なる負荷をLEDとした例を示している。
【実施例1】
【0019】
図1は本発明の実施例1に係る電流均衡化装置の構成図である。
【0020】
図1に示す実施例1において、交番電流を供給する電力供給手段10は、直流電源Vinと、直流電源Vinの両端に接続されたトランスTの1次巻線NpとMOSFETからなるスイッチング素子Q1との直列回路と、トランスTの2次巻線Nsとで構成されている。スイッチング素子Q1がオンオフ動作することでトランスTの2次巻線Nsの両端から交番電流が出力される。
【0021】
トランスTの2次巻線Nsの一端には巻線N1の一端が接続され、巻線N1の他端には交番電流を半波整流するダイオードD1のアノードが接続され、ダイオードD1のカソードと2次巻線Nsの他端との間には負荷LD1(LED1a〜LED1e)が接続される。実施例1において、第1の直列回路は、巻線N1とダイオードD1と負荷LD1とからなる。
【0022】
また、トランスTの2次巻線Nsの一端には巻線S1の一端が接続され、巻線S1の他端には交番電流を半波整流するダイオードD2のアノードが接続され、ダイオードD2のカソードと2次巻線Nsの他端との間には負荷LD2(LED2a〜LED2e)が接続される。実施例1において、第2の直列回路は、巻線S1とダイオードD2と負荷LD2とからなる。巻線N1と巻線S1とは、互いに電磁的に結合されトランスT1を構成する。また、実施例1における負荷LD1のインピーダンスと負荷LD2のインピーダンスとは互いに異なる。
【0023】
図2は、本発明の実施例1に係る電力均衡化装置の動作波形である。図2において、V(Q1)は、スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間電圧、I(Q1)は、スイッチング素子Q1のドレインに流れる電流、I(NS)は、トランスTの2次巻線に流れる電流、I(D1)及びI(D2)は、ダイオードD1及びD2に流れる電流、V(LED1a−e)は負荷LD1(LED1a〜LED1e)の両端電圧、V(LED2a−e)は負荷LD2(LED2a〜LED2e)の両端電圧である。
【0024】
まず、時刻t0において、スイッチング素子Q1がオンで、トランスTの巻線Npは巻始が負電位となり、巻線Nsも巻始が負電位となる。従って、時刻t0から始まる期間ST1では、巻線Nsに接続された第1の直列回路と第2の直列回路には、それぞれの直列回路に含まれるダイオードD1,D2により、巻線Nsから供給される交番電流は流れることがなく、トランスTと第1及び第2直列回路には電流が流れない。従って、トランスTの励磁電流がVin→Np→Q1→Vinの経路で流れる。
【0025】
時刻t1でスイッチQ1がオフすると、期間ST1でトランスTに蓄えられた励磁電流が巻線Npの巻始を正電位となるような逆起電力を発生する。従って、巻線Nsも巻始が正電圧となる。従って、時刻t1から始まる期間ST2では、直列回路に接続されるダイオードは導通し、Ns→N1→D1→負荷LD1→Nsの経路と、Ns→S1→D2→負荷LD2→Nsの経路で電流が流れる。このように、それぞれの直列回路には、時間的に大きさが変化する、即ち交流成分を持った電流I(D1)及びI(D2)が流れる。
【0026】
電流I(D1)及びI(D2)は、巻線N1及び巻線S1を流れ、それぞれの電流に応じた磁束を生じようとする。このとき、巻線N1及び巻線S1は、トランスT1を構成するため、それぞれの巻線に生じる磁束は、磁束の大きさを均一化するように相互作用する。従って、これらの電流I(D1)及びI(D2)は、本来それぞれの大きさが異なる場合であっても一定の値に均衡化(均一化)され、負荷LD1及び負荷LD2に供給される。このように、負荷LD1と負荷LD2とは互いにインピーダンスが異なるが、第1の直列回路の電流I(D1)と第2の直列回路の電流I(D2)とは互いに等しくなる。
【0027】
また、実施例1では、巻線に生じる電磁力により電流を均衡化するため、主に巻線抵抗に基づく損失を発生するが、この損失は特許文献1の定電流回路における損失に比べて小さいため、バランス回路における損失を低減することができる。
【0028】
また、実施例1では、負荷LD1及び負荷LD2がLEDを複数個直列に接続した照明装置であるため、負荷LD1及び負荷LD2に均衡化された電流を供給することで、複数のLEDを均一に発光させ、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)を均一に照明することができる。
【0029】
図3から図6で示される実施例2から実施例5は、電力供給手段10に接続される直列回路が複数個接続された場合のそれぞれの巻線電流が均衡化するようにトランスが磁気結合する方法である。
【実施例2】
【0030】
図3は本発明の実施例2に係る電流均衡化装置の構成を示すブロック図である。図3に示す実施例2において、電力供給手段10の出力には、巻線S4と巻線N1とダイオードD1とLED1a〜LED1eから構成される負荷LD1の直列回路と、巻線S1と巻線N2とダイオードD2とLED2a〜2eから構成される負荷LD2の直列回路と、巻線S2と巻線N3とダイオードD3とLED3a〜3eから構成される負荷LD3の直列回路と、巻線S3と巻線N4とダイオードD4とLED4a〜LED4eから構成される負荷LD4の直列回路とが接続されている。
【0031】
巻線N1(及びN2、N3、N4)と巻線S1(及びS2、S3、S4)はダイオードの半波整流する電流が均衡化するように磁気的に結合されトランスT1(及びT2、T3、T4)を構成している。
【0032】
即ち、それぞれの直列回路が直列接続された2つの巻線を有し、2つの巻線のそれぞれがトランスの1次巻線及び2次巻線として電磁結合される。
【0033】
実施例2の接続では、トランスT1(及びT2、T3、T4)の巻線N1(及びN2、N3、N4)と巻線S1(及びS2、S3、S4)は、その特性から巻線N1(及びN2、N3、N4)と巻線S1(及びS2、S3、S4)に流れる電流が等しくなり、電力供給手段10から供給された電流を負荷LD1、負荷LD2、負荷LD3、負荷LD4に均衡化して供給できる。従って、実施例1に係る電流均衡化装置と同様の効果を得ることができる。また、直列回路に2つの巻線が接続されるので、バランストランスとして使用するトランスが小さくでき、同一のトランスを使用できる。
【実施例3】
【0034】
図4は本発明の実施例3に係る電流均衡化装置の構成を示すブロック図である。図4に示す実施例3において、電力供給手段10の出力には、巻線N1とダイオードD1とLED1a〜LED1eから構成される負荷LD1の直列回路と、巻線N2とダイオードD2とLED2a〜LED2eから構成される負荷LD2の直列回路と、巻線N3とダイオードD3とLED3a〜LED3eから構成される負荷LD3の直列回路と、巻線N4とダイオードD4とLED4a〜LED4eから構成される負荷LD4の直列回路とが接続されている。
【0035】
また、巻線S1と巻線S2と巻線S3と巻線S4とが閉ループで接続され、巻線N1(及びN2、N3、N4)と巻線S1(及びS2、S3、S4)とは、互いに電磁的に結合されトランスT1〜T4を構成する。即ちそれぞれの直列回路が1つの巻線を有し、それぞれの巻線に電磁結合された巻線が直列接続され閉ループを構成し、巻線S1と巻線S2と巻線S3と巻線S4には等しい電流が流れることになる。
【0036】
ダイオードD1(及びD2、D3、D4)で半波整流した電流が巻線N1(及びN2、N3、N4)に流れ、この電流と巻線S1(及びS2、S3、S4)に流れる電流とが均衡化するように磁気的に結合されトランスT1(及びT2、T3、T4)となっている。従って、実施例3の接続では、トランスT1(及びT2、T3、T4)の巻線N1(及びN2、N3、N4)と巻線S1(及びS2、S3、S4)は、その特性から巻線N1(及びN2、N3、N4)と巻線S1(及びS2、S3、S4)に流れる電流が等しくなり、電力供給手段10から供給された電流を負荷LD1、負荷LD2、負荷LD3、負荷LD4に均衡化して供給できる。従って、実施例1に係る電流均衡化装置と同様の効果を得ることができる。また、バランストランスとして同一のトランスを使用できる。
【実施例4】
【0037】
図5は本発明の実施例4に係る電流均衡化装置の構成を示すブロック図である。図5に示す実施例4において、電力供給手段10の出力には、巻線N1とダイオードD1とLED1a〜LED1eから構成される負荷LD1の直列回路と、巻線S1と巻線N2とダイオードD2とLED2a〜LED2eから構成される負荷LD2の直列回路と、巻線S2と巻線N3とダイオードD3とLED3a〜LED3eから構成される負荷LD3の直列回路と、巻線S3とダイオードD4とLED4a〜LED4eから構成される負荷LD4の直列回路とが接続されている。
【0038】
巻線N1(及びN2、N3)と巻線S1(及びS2、S3)はダイオードの半波整流する電流が均衡化するように磁気的に結合されトランスT1(及びT2、T3)となっている。即ち、1つの巻線を有する直列回路と2つの巻線を有する直列回路とを有し、それぞれの巻線がトランスの一次及び2次巻線として電磁結合される。
【0039】
実施例4の接続では、トランスT1(及びT2、T3)の巻線N1(及びN2、N3)と巻線S1(及びS2、S3)は、その特性から巻線N1(及びN2、N3)と巻線S1(及びS2、S3)に流れる電流が等しくなり、電力供給手段10から供給された電流を負荷LD1、負荷LD2、負荷LD3、負荷LD4に均衡化して供給する。従って、実施例1に係る電流均衡化装置と同様の効果を得ることができる。さらに、実施例4は実施例2及び3の巻線N4と巻線S4からなるトランスT4を取り除くことができるため、電流均衡化装置を安価に構成できる。
【実施例5】
【0040】
図6は本発明の実施例5に係る電流均衡化装置の構成を示すブロック図である。図6に示す実施例5において、電力供給手段10の出力には、巻線N3と巻線N1とダイオードD1とLED1a〜LED1eから構成される負荷LD1の直列回路と、巻線N3と巻線S1とダイオードD2とLED2a〜LED2eから構成される負荷LD2の直列回路と、巻線S3と巻線N2とダイオードD3とLED3a〜3eから構成される負荷LD3の直列回路と、巻線S3と巻線S2とダイオードD4とLED4a〜LED4eから構成される負荷LD4の直列回路とが接続されている。
【0041】
巻線N1(及びN2、N3)と巻線S1(及びS2、S3)はダイオードの半波整流する電流が均衡化するように磁気的に結合されトランスT1(及びT2、T3)となっている。実施例5の接続では、トランスT1(及びT2、T3)の巻線N1(及びN2、N3)と巻線S1(及びS2、S3)は、その特性から巻線N1(及びN2、N3)と巻線S1及びS2、S3)に流れる電流が等しくなり、電力供給手段10から供給された電流を負荷LD1、負荷LD2、負荷LD3、負荷LD4に均衡化して供給する。従って、実施例1に係る電流均衡化装置と同様の効果を得ることができる。さらに、実施例5は実施例2及び3の巻線N4と巻線S4からなるトランスT4を取り除くことができるため、電流均衡化装置を安価に構成できる。
【実施例6】
【0042】
図7は、本発明の実施例6に係る電流均衡化装置の構成図であり、電力供給手段10aから供給される交番電流が正弦波状の電流であることを特徴とする。
【0043】
図7に示す実施例6において、正弦波状の交番電流を供給するために、直流電源Vinの両端に、MOSFETからなるスイッチング素子QHとMOSFETからなるスイッチング素子QLとの直列回路が接続されている。スイッチング素子QHとスイッチング素子QLとの接続点にトランスTの1次巻線Npと電流共振コンデンサCriとの直列共振回路が接続されている。トランスTは、リーケージインダクタンスLr1,Lr2を有する。LpはトランスTの励磁インダクタンスである。ローサイドドライバ13は、スイッチング素子QLを駆動し、ハイサイドドライバ15は、スイッチング素子QHを駆動する。
【0044】
スイッチング素子QHとスイッチング素子QLは交互にオンオフをすることで、トランスTの巻線NsからリーケージインダクタンスLr1、Lr2と電流共振コンデンサCriで共振した正弦波状の電流を供給することができる。
【0045】
図8は本発明の実施例6に係る電力均衡化装置の動作波形である。図8において、V(QH)は、スイッチング素子QHのドレイン−ソース間電圧、I(QH)は、スイッチング素子QHのドレインに流れる電流、V(QL)は、スイッチング素子QLのドレイン−ソース間電圧、I(QL)は、スイッチング素子QLのドレインに流れる電流、I(NS)は巻線Nsに流れる電流、I(D1)はダイオードD1に流れる電流、I(D2)はダイオードD2に流れる電流、V(LED1a−e)は負荷LD1の両端電圧、V(LED2a−e)は負荷LD2の両端電圧である。
【0046】
まず、時刻t0において、スイッチング素子QLがオフ状態のときに、スイッチング素子QHがオンすると、トランスTの巻線Npは巻始が負電圧となり、巻線Nsの巻始も負電圧となる。従って、時刻t0から始まる期間ST1では、巻線Nsに接続された第1及び第2の直列回路はそれぞれの直列回路に含まれるダイオードD1,D2により巻線Nsから供給される交番電流は流れることがなく第1及び第2直列回路には電流が流れない。従って、スイッチング素子QHに流れる電流I(QH)は、Vin(正極)→QH(DH)→Lr1→Lp→Cri→Vin(負極) の経路でマイナスから流れはじめ、電流共振コンデンサCriと励磁インダクタンスLpとリーケージインダクタンスLr1との共振により時間とともに増加していく。また、このとき電流共振コンデンサCriが充電される。
【0047】
次に、時刻t1において、スイッチング素子QHがオフし、スイッチング素子QLがオンすると、励磁インダクタンスLpに流れていた電流は、Lp→Cri→DL(QL)→Lr1→Lpの経路で電流が流れる。従って、巻線Npの巻始は正電圧になり、巻線Nsの巻始も正電圧になる。
【0048】
従って、時刻t1から始まる期間ST2では、第1及び第2直列回路に接続されるダイオードD1及びD2は導通し、巻線N1を通る電流Ns→N1→D1→負荷LD1→Nsの経路とNs→S1→D2→負荷LD2→Nsの経路とで電流が流れる。
【0049】
この電流は、Cri→Np→Lr2→Lr1→QL(DL)→Criの経路でトランスTを介して電流共振コンデンサCriから供給されるので、電流共振コンデンサCriとリーケージインダクタンスLr1+Lr2の共振で電流が流れることになり、正弦波状の半波電流が供給される。このように、それぞれの直列回路には、時間的に大きさが変化する、即ち交流成分を持った電流I(D1)及びI(D2)が流れる。従って、実施例1に係る電流均衡化装置と同様の効果を得ることができる。さらに、電流均衡化回路に正弦波状の電流が流れるため、実施例1に係る電流均衡化装置に対して低ノイズ化できる。
【0050】
なお、実施例6に係る電力供給手段10aは、実施例2から実施例5で示す複数の直列回路を接続することができる。
【実施例7】
【0051】
図9は、本発明の実施例7に係る電流均衡化装置の構成図であり、電力供給手段10bから供給される交番電流が正弦波状の電流であることを特徴とし、実施例6に係る電流均衡化装置に対して、トランスTの入力側にフライバックアクティブクランプ方式を採用した点が異なる。
【0052】
図9に示す実施例7において、直流電源Vinの両端には、トランスTの1次巻線Npと電圧共振コンデンサCrvとの直列共振回路が接続されている。電圧共振コンデンサCrvの両端にはスイッチング素子QLとダイオードDLとが接続されている。
【0053】
トランスTの1次巻線Npの両端には、電流共振コンデンサCriとスイッチング素子QHとの直列回路が接続されている。スイッチング素子QHの両端には、ダイオードDHが接続されている。トランスTはリーケージインダクタンスLr1,Lr2を有する。LpはトランスTの励磁インダクタンスである。また、ダイオードDL,DHはスイッチング素子QL,QHの寄生Diでも良い。
【0054】
実施例7に係る電力供給手段10bは、実施例6の電力供給手段10aの構成を変更したもので、直流電源Vinと電流共振コンデンサCriを入れ替えた構成と同等になる。ほぼ同様の動作波形となり、実施例7に係る電力供給手段10bから供給される交番電流は、正弦波状の電流になる。従って、実施例6に係る電流均衡化装置と同様の効果を得ることができる。
【0055】
なお、実施例7に係る電力供給手段10bは、実施例2から実施例5で示す複数の直列回路を接続することができる。
【実施例8】
【0056】
図10は、本発明の実施例8に係る電流均衡化装置の構成図であり、電力供給手段10から供給される交番電流を平滑化して負荷に供給することを特徴とする。
【0057】
図10に示す実施例8において、交番電流を供給する電力供給手段10の両端には、巻線N1と交番電流を半波整流するダイオードD1と負荷LD1(LED1a〜LED1e)とからなる第1の直列回路と、巻線S1と交番電流を半波整流するダイオードD2と負荷LD2(LED2a〜LED2e)とからなる第2の直列回路とが接続されている。さらに、ダイオードD1(D2)には、負荷LD1(負荷LD2)と並列に平滑コンデンサC1(C2)が接続されている。即ち、実施例8に係る電流均衡化装置は、平滑コンデンサC1,C2を備える点で、実施例1に係る電流均衡化装置と異なる。
【0058】
図11は本発明の実施例8に係る電力均衡化装置の動作波形である。実施例8に係る電流均衡化装置では、コンデンサC1,C2で平滑化された電流が負荷に供給されるので、負荷電流I(LED1a−e)とI(LED2a−e)の電流は平滑した電流が流れる。平滑した電流を負荷に供給できるので、実施例1に係る電力均衡化装置と同様の効果を得ることができ、負荷に流れる電流ピークが下がることにより、負荷に与えるストレスが軽減できる。
【0059】
なお、実施例8に係る電力供給手段10を、実施例6及び7に係る電力供給手段10a,10bに置き換えることができる。また、実施例8に係る平滑コンデンサC1,C2は、実施例2から実施例5で示す複数の直列回路に適用することができる。
【実施例9】
【0060】
図12は、本発明の実施例9に係る電流均衡化装置の構成図であり、電力供給手段10aから供給される交番電流を平滑化した電流を負荷に供給することを特徴とする。図12に示す実施例9において、コンデンサC1、C2で平滑化された電流が負荷に供給されるので、負荷電流I(LED1a−e)とI(LED2a−e)の電流は平滑した電流が流れる。平滑した電流を負荷に供給できるので、実施例6に係る電力均衡化装置と同様の効果を得ることができ、負荷に流れる電流ピークが下がることにより、負荷に与えるストレスが軽減できる。
【0061】
なお、実施例9に係る電力供給手段10aを、実施例7に係る電力供給手段10bに置き換えることができる。
【実施例10】
【0062】
図14は、本発明の実施例10に係る電流均衡化装置の構成図であり、電力供給手段10aから供給される交番電流を全周期に渡って整流することを特徴とする。
【0063】
図14に示す実施例10において、正弦波状の交番電流を供給する電力供給手段10aの両端には、巻線N1と交番電流を半波整流するダイオードD1と負荷LD1(LED1a〜LED1e)とからなる第1の直列回路と、巻線S1と交番電流を半波整流するダイオードD2と負荷LD2(LED2a〜LED2e)とからなる第2の直列回路とが接続され、ダイオードD1(D2)には、負荷LD1(負荷LD2)と並列に平滑コンデンサC1(C2)が接続されている。さらに、負荷LD1(負荷LD2)は、コンデンサC10を介して電力供給手段10aと接続され、負荷LD1(負荷LD2)とコンデンサC10との接続点と巻線N1(S1)との間にダイオードD10が接続される。即ち、実施例10に係る電流均衡化装置は、コンデンサC1、C2で平滑化された電流と巻線Nsに発生する負電圧に対する半波電流をコンデンサC10で平滑化した電流とを負荷に供給する点で、実施例9に係る電流均衡化装置と異なる。
【0064】
図15は本発明の実施例10に係る電力均衡化装置の動作波形である。
【0065】
まず、時刻t0において、スイッチング素子QHがオフ状態のときに、スイッチング素子QLがオンすると、巻線Npの巻始の電圧は負電圧となり、巻線Nsも巻始が負電圧となる。従って、時刻t0から始まる期間ST1では、ダイオードD1,D2は逆方向電圧が印加されるので、第1及び第2の直列回路には電流が流れない。
【0066】
しかし、ダイオードD10は順方向電圧が印加され、巻線NsからNs→C10→D10→Nsという経路で電流が流れる。この電流は、トランスTを介してNp巻線から供給されるため、電流I(QL)が、Cri?Np?QL(DL)?Criの経路でマイナスから流れはじめ、電流共振コンデンサCriとインダクタンスLr1とインダクタンスLr2との共振により正弦波状の半波電流となり、時間とともに増加して時刻t1でゼロとなる。
【0067】
次に、時刻t2において、スイッチング素子QLがオフし、スイッチング素子QHがオンすると、インダクタンスLpに流れていた電流は、Lp→Lri→QH(DH)→Vin→Cri→Lpの経路で流れ、トランスTの巻線Npの巻始が正電圧となり、巻線Nsの巻始も正電圧となる。従って、時刻t2から始まる期間ST3では、直列回路に接続されるダイオードは導通し、巻線N1を通るNs→N1→D1→負荷LD1→Nsの経路とNs→S1→D2→負荷LD2→Nsの経路とで電流が流れる。
【0068】
この電流は、Vin→QH(DH)→Lr1→Lr2→Np→Cri→Vinの経路で流れ、トランスTを介してVinから供給され、電流共振コンデンサCriとリーケージインダクタンスLr1+Lr2の共振で電流が流れることになり、正弦波状の半波電流が供給される。
【0069】
このように、それぞれの直列回路には、時間的に大きさが変化する、即ち交流成分を持った電流I(D1)及びI(D2)が流れる。従って、実施例1に係る電流均衡化装置と同様の効果を得ることができる。また、本発明はトランスTの両波を使用するので、トランスTの利用率が向上するので、トランスTが小型でき、従って電流均衡化装置を安価に構成できる。
【0070】
なお、実施例10に係る電力供給手段10aを、実施例1及び7に係る電力供給手段10,10bに置き換えることができる。また、実施例10に係るコンデンサC10及びダイオードD10は、実施例2から実施例5で示す複数の直列回路に適用することができる。
【実施例11】
【0071】
図16は、本発明の実施例11に係る電流均衡化装置の構成図であり、電力供給手段10aから供給される交番電流を全周期に渡って整流し、且つ、平滑化した電流を負荷に供給することを特徴とする。
【0072】
図16に示す実施例11の電流均衡化装置は、図7に示す実施例6に対して、ダイオードD10とコンデンサC10とを追加することにより電力供給手段10aから供給される交番電流をコンデンサC10で平滑化し、平滑化した電流を負荷に供給するように構成される。実施例11はトランスTの両波を使用することでトランスTの利用率が向上するので、トランスTが小型でき、また、図14に示す実施例10に対して、コンデンサC1,C2を削除することができる。従って電流均衡化装置を安価に構成できる。
【0073】
図17は本発明の実施例11に係る電力均衡化装置の動作波形である。図17の実施例11の動作波形は図7の実施例6の動作波形の図8を組み合わせたものとなるので、説明は割愛する。
【0074】
なお、実施例11に係る電力供給手段10aを、実施例1及び7に係る電力供給手段10,10bに置き換えることができる。また、実施例11に係るコンデンサC10及びダイオードD10は、実施例2から実施例5で示す複数の直列回路に適用することができる。
【実施例12】
【0075】
図18は、本発明の実施例12に係る電流均衡化装置の構成図であり、複数の直列回路の電流を検出する電流検出手段と、電流検出手段で検出された電流検出値と基準電圧を比較する比較手段と、比較手段の出力に応じて交番電流を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0076】
図18に示す実施例12に係る電流均衡化装置は、実施例6に係る電力供給装置10aと同様の構成を含む電力供給手段10cを有し、電力供給手段10cの出力には、実施例2に係る直列回路が接続され、その一端がGNDに接続される負荷LD1(及びLD2、LD3、LD4)に平滑コンデンサC1(及びC2,C3,C4)で平滑された電流が供給されるように構成されている。さらに、負荷LD1(及びLD2、LD3、LD4)と2次巻線Nsとの間に電流検出手段として抵抗Rsが追加されて、2次巻線Nsと抵抗Rsとの接続点に、抵抗Ris及びコンデンサCisからなるフィルタ回路の入力端が接続される。比較回路及び制御回路としてのPRC回路1の一方の入力端子にはフィルタ回路の出力端が接続され、他方の入力端子には負電圧である基準電圧Vrefが接続される。
【0077】
抵抗Rsが、負荷LD1(及びLD2、LD3、LD4)に流れる電流を一括して検出し、フィルタ回路を介して電流検出値をPRC回路1に出力する。PRC回路1は、電流検出値と基準電圧Vrefとを比較して、その誤差出力に基づき、負荷に流れる電流が一定になるようにスイッチング素子QHとスイッチング素子QLとのオン時間の比率を制御する。
【0078】
なお、各部の波形は、図13に示す各部の波形と基本的に同じであるので、ここではその説明は省略する。
【0079】
従って、実施例12に係る電流均衡化装置によれば、実施例9に係る電流均衡化装置と同様な作用効果が得られると共に、負荷LD1(及びLD2、LD3、LD4)に流れる電流を一定に制御することができる。また、負荷の一端を直接GND電位に接続できるので、安価で低ノイズ化できる。
なお、実施例12に係る電流検出手段、比較手段及び制御回路は、実施例2から実施例5で示す複数の直列回路に適用することができる。また、フィルタ回路は省略することもできる。
【実施例13】
【0080】
図19は本発明の実施例13に係る電流均衡化装置の構成図であり、複数の直列回路の電流を検出する電流検出手段と、電流手段の検出値と基準電圧を比較する比較手段と、比較手段の出力に応じて交番電流を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0081】
図19に示す実施例13に係る電流均衡化装置は、実施例6に係る電力供給装置10aと同様の構成を含む電力供給手段10dを有し、電力供給手段10dの出力には、実施例2に係る直列回路が接続され、実施例10に係るコンデンサC10とダイオードD10とを有する。さらに、負荷LD1(及びLD2、LD3、LD4)とコンデンサC10及びダイオードD10の接続点との間に電流検出手段として抵抗Rsが追加されて、負荷LD1(及びLD2、LD3、LD4)と抵抗Rsとの接続点に、抵抗Ris及びコンデンサCisからなるフィルタ回路の入力端が接続される。比較回路及び制御回路としてのPFM回路1aの一方の入力端子にはフィルタ回路の出力端が接続され、他方の入力端子には正電圧である基準電圧Vrefが接続される。
【0082】
抵抗Rsが、負荷LD1(及びLD2、LD3、LD4)に流れる電流を一括して検出し、フィルタ回路を介して電流検出値をPFM回路1aに出力する。PFM回路1aは、電流検出値と基準電圧Vrefとを比較して、その誤差出力に基づき、負荷に流れる電流が一定になるようにスイッチング素子QHとスイッチング素子QLとのオンオフ周波数を制御する。
【0083】
なお、各部の波形は、図15に示す各部の波形と基本的に同じであるので、ここではその説明は省略する。
【0084】
従って、実施例13に係る電流均衡化装置によれば、実施例12に係る電流均衡化装置と同様な作用効果が得られる。また、図18に示す実施例12では、基準電圧Vrefが負電圧であったが、図19に示す実施例13は、基準電圧Vrefが正電圧であることを特徴とする。基準電圧が正電圧にできるため、負電圧が不必要で検出回路の構成が簡単化でき、安価に構成できる。
【0085】
なお、実施例13に係る電流検出手段、比較手段及び制御回路は、実施例2から実施例5で示す複数の直列回路に適用することができる。また、フィルタ回路は省略することもできる。
【実施例14】
【0086】
図20は、本発明の実施例14に係る電流均衡化装置の構成図である。図20に示す実施例14は、図12に示す実施例9に対して、直列回路の並列数を増加し、バランストランスを理想トランスT1a,T2a,T3a,T4aと励磁インダクタンスL1,L2,L3,L4とに分けて記載した回路図である。実施例14では、トランスT1a,T2a,T3a,T4aのリセットとスイッチング素子QLのオフ制御を主として説明する。
【0087】
図21は、本発明の実施例14に係る電流均衡化装置のバランストランスのリセットの動作を説明するための動作波形である。
【0088】
図21において、1次巻線Npから供給された電流が2次巻線Nsより流れる期間をST1、トランスT1a,T2a,T3a,T4aがリセットする期間をST2、トランスのリセットが終了してスイッチング素子QLがターンオフする期間をST3とする。
【0089】
期間ST1では、2次巻線Nsからの電流は、第1経路では、Ns?S2?N1?D1?C1?Ns、第2経路では、Ns?S3?N2?D2?C2?Nsとなる。第3経路では、Ns?S4?N3?D3?C3?Ns、第4経路では、Ns?S1?N4?D4?C4?Nsとなる。このため、1次巻線N1に流れる電流は2次巻線S1に流れる電流に等しく、1次巻線N2に流れる電流は2次巻線S2に流れる電流に等しくなる。このようにして、第1経路乃至第4経路の電流は等しくなる。
【0090】
平滑コンデンサCm(mは1〜4の整数)の電圧(LEDma〜LEDmeの順方向電圧降下の和と等しい)をVcm、巻線Nsの電圧をVns、巻線Sm(mは1〜4の整数)の電圧をVsm、巻線Nm(mは1〜4の整数)の電圧をVnm、ダイオードDm(mは1〜4の整数)の順方向電圧降下をVfとすると、この期間ST1の各経路の電圧は、
Vc1=Vns+Vs2−Vn1−Vf
Vc2=Vns+Vs3−Vn2−Vf
Vc3=Vns+Vs4−Vn3−Vf
Vc4=Vns+Vs1−Vn4−Vf
となる。
【0091】
Vn1=Vs1,Vn2=Vs2,Vn2=Vs2,Vn4=Vs4であるから、また、VcをVc1,Vc2,Vc3,Vc4の平均値とすると、
Vc=(Vc1+Vc2+Vc3+Vc4)/4
Vns=Vc+Vf
となる。
【0092】
また、各経路で直列接続する2つの巻線の両端電圧は、
Vs2−Vn1=Vc1−Vc
Vs3−Vn2=Vc2−Vc
Vs4−Vn3=Vc3−Vc
Vs1−Vn4=Vc4−Vc
となり、電圧Vc1、即ちLED1a〜LED1eの順方向電圧降下の和の電圧がLEDma〜LEDmeの順方向電圧降下の和の平均値より大きい場合には、Vc1−Vcは正となり、巻線S2と巻線N1の直列回路に正電圧が印加される。
【0093】
また、電圧Vc1、即ちLED1a〜LED1eの順方向電圧降下の和の電圧がLEDma〜LEDmeの順方向電圧降下の和の平均値より小さい場合には、Vc1−Vcは負となり、巻線S2と巻線N1の直列回路に負電圧が印加される。
【0094】
また、平均値Vcより小さいVcm(mは1〜4)ならば、励磁インダクタンスLmには正の電流が流れ、平均値Vcより大きいVcmならば、励磁インダクタンスLmには負の電流が流れることになる。
【0095】
期間ST2では、バランストランスT1a〜T4aの励磁インダクタンスL1〜L4に蓄えられた電流がリセットする期間である。期間ST1で、励磁インダクタンスL1〜L4に負の電流で蓄えられた電流は、ダイオードDmの順方向とは逆の電圧を発生するため、そのダイオードDmには逆電圧が印加される。
【0096】
リセット期間に逆電圧が最も大きく発生する条件は、Vc1即ちLED1a〜LED1eの順方向電圧降下の和がばらつきの最大値で、他のVc2,Vc3,Vc4、即ちLEDxa〜LEDxe(x=2〜4)の順方向電圧降下の和のばらつきの最小値の時などが考えられ、リセット期間ST2でのダイオードに逆電圧が印加されるのはダイオードD1のみである場合である。
【0097】
上記のような場合のダイオードD1の逆電圧は、
VD1=Vc1−Vns−Vn2+Vn1
となり、他の第2経路〜第4経路における順方向電圧は、
Vc2=Vns+Vn3−Vn2−Vf
Vc3=Vns+Vn4−Vn3−Vf
Vc4=Vns+Vn1−Vn4−Vf
である。従って、上記の3つの式から
Vn1−Vn2=Vc2+Vc3+Vc4−3Vns+3Vf
となり、ダイオードD1の逆方向電圧は、
VD1=Vc1+Vc2+Vc3+Vc4−4Vns+3Vfとなる。
【0098】
リセット期間ST2に逆耐圧がかかるダイオードの逆電圧は巻線電圧Vnsが正電圧である場合、小さくなることがわかる。
【0099】
図21に示す動作波形では、2次巻線の電流が正弦波状に流れ、ゼロになった後の期間ST2(バランストランスのリセット期間)もスイッチング素子QLをターンオフしていないので、2次巻線電圧Vnsは、リセット期間ST2には、僅かに電圧が下がっているが、ダイオードに電流が流れていた期間よりも僅かに電圧が下がっているだけである。このため、このわずかな電圧分をΔVとすると、VnsはVc−ΔVであり、
VD1=Vc1+Vc2+Vc3+Vc4−4Vns+3Vf
VD1=4Vc−4(Vc−ΔV)+3Vf=4ΔV+3Vf
であるから、ダイオードD1の逆電圧は低く抑えられる。即ち、インダクタンスL1(及びL2,L3,L4)を流れる電流がゼロになり、バランストランスT1a〜T4aのリセット期間が完了する時刻T3を過ぎた後、時刻T4でスイッチング素子QLをターンオフさせことで、ダイオードD1の逆電圧は低く抑えられる。
【0100】
図22は、本発明の実施例14に係る電流均衡化装置のスイッチング素子QLをバランストランスのリセット期間でターンオフした場合の各部の動作波形である。
【0101】
バランストランスT1a〜T4aのリセット期間ST2にスイッチング素子QLをターンオフすると、励磁インダクタンスLpに流れていた電流がダイオードDHに転流するので、トランスTの1次巻線電圧は巻き始めが負電圧となり、トランスTの2次巻線電圧の巻き始めも負電圧とになるので、VnsはトランスTの巻数比をNとすると、
Nns=−(Vin−Vcri)/N
となり、ダイオードD1の逆電圧は、
VD1=Vc1+Vc2+Vc3+Vc4+4(Vin−Vcri)/N+3Vfと、非常に大きな値となる。図22からもダイオードD1の電圧V(D1)が非常に大きいことがわかる。
【0102】
また、上記式からもわかるように、Vc1はLEDユニットの総Vf電圧(LEDのVf×直列接続数)とほぼ等しいので、LEDユニットの直列数が多くなると、ダイオードD1の逆電圧が大きくなることがわかる。
【0103】
LEDユニットの並列数を増やすと、高耐圧なダイオードが必要となり、あるいは、ダイオードの耐圧が制約される。このため、LEDユニットの直列数や並列数を増やすことができなくなる。従って、リセット期間ST2のスイッチング素子QL,QHのオンオフを制御して、バランストランスのリセットが終了した後、トランスの電圧を反転させる制御が非常に有効である。
【実施例15】
【0104】
図23は、本発明の実施例15に係る電流均衡化装置の構成図である。本発明はリセット期間が完了した後、スイッチング素子Q1をオンして電圧共振を終了することでダイオードD1の逆電圧を低くすることを特徴とする。
【0105】
図23に示す実施例15は、図10に示す実施例8に対して、トランスTを励磁インダクタンスLpと理想トランスに分割して記載し、巻線Nsの電流がゼロになった後に励磁インダクタンスLpと電圧共振する共振コンデンサCvをスイッチング素子Q1に並列接続し、バランストランスを理想トランスT1’と励磁インダクタンスL1に分けて記載した回路図である。なお、コンデンサCvはFET(スイッチング素子Q1)の寄生容量でも良い。実施例15では、トランスT1’の励磁インダクタンスL1のリセットとスイッチング素子Q1のオン制御を主として説明する。
【0106】
図24図は、本発明の実施例15の電流均衡化装置のスイッチング素子Q1がバランストランスT1’のリセット期間でターンオフした場合の各部の動作波形である。
【0107】
図24において、時刻t0以前はスイッチング素子Q1がオンであり、Npの巻始が−Vinの負電圧となるので、2次巻線Nsの巻始も負電圧となり、ダイオードD1、D2は逆方向電圧が印加されるので、2次巻線Nsには電流が流れない。従って、1次側の電流はVin→Lp→Q1→Vinの経路で電流が流れ、Lpにエネルギーが蓄えられている。
【0108】
時刻t0でスイッチング素子Q1がオフになると、励磁インダクタンスLpに蓄えられたエネルギーは、逆起電力を発生し、巻線Npの巻始を正電圧とする。従って、2次巻線Nsの巻始も正電圧となり、2次巻線に電流が流れる。1次側の電流はLp→Np→Lpの経路で流れ、2次側の電流はNs→N1→D1→C1→Nsの経路とNs→S1→D2→C2→Nsの経路とで流れる。平滑コンデンサC1,C2で平滑化された電流が、負荷LD1と負荷LD2とに流れる。
【0109】
実施例8で説明したように巻線N1と巻線S1は均衡化された電流が流れる。時刻t1で励磁インダクタンスLpに蓄えられたエネルギーはゼロになり巻線Nsに流れる電流I(NS)がゼロになる。期間ST2からST3では共振コンデンサCvに蓄えられたエネルギーが励磁インダクタンスLpと電圧共振する期間で、その電圧共振動作により巻線Npの電圧が緩やかに減少する。従って、巻線Nsの電圧も緩やかに減少するので、実施例14で示したようにダイオードD1,D2に印加される逆電圧が低減できる。また、時刻t3でスイッチング素子がオンすることで共振期間が終わる。期間ST2はトランスT1’の励磁インダクタンスL1のリセット期間である。
【0110】
一方、図25は実施例15に係る電流均衡化装置において、リセット期間が完了する前に時刻t2でスイッチング素子Q1をオンした動作波形であって、実施例8と同様に大きな逆電圧がダイオードD1に印加される。従って、実施例14で説明したようなダイオードの耐圧の問題が発生する。
【0111】
実施例15に係る電流均衡化装置では、ダイオードD1,D2にかかる逆電圧が小さくできるので、低耐圧なダイオードを利用でき、或いはダイオードを削除できるため、安価な電流均衡化装置が構成できる。
【実施例16】
【0112】
図26は、本発明の実施例16に係る電流均衡化装置の構成図である。図26に示す実施例16は、図23に示す実施例15に対して、励磁インダクタンスLpからの電流をトランスTを介さず取り出すことを特徴とする。動作は同様であるので、説明は割愛するが、実施例15と同等の効果が得られる。また、実施例1、6及び7に係る電流均衡化装置に比べ、電力供給手段におけるトランスTを削除することができるため、電流均衡化装置を安価に構成できる。
【実施例17】
【0113】
図27は、本発明の実施例17に係る電流均衡化装置の構成図である。図27に示す実施例17は、図26に示す実施例16に対して、励磁インダクタンスLpと電圧源Vinとスイッチング素子Q1の接続を変形したもので、実施例16と同様な効果が得られる。
【0114】
なお、実施例2〜5に示したバランストランス接続方法を相互に組み合わせて使用することもできる。また、実施例12及び13で示す電流検出手段を実施例3に示す閉ループの電流を検出するように構成しても良い。
【0115】
また、本発明の電流均衡化装置は、例えば、LED照明器具、LCD B/L(LCDバックライト)モジュール、LCD表示機器に適用することができる。
【0116】
LED照明器具は、商用交流電源からの交流電力を任意の交番電力に変換して交番電流を供給する電力変換装置と、電力変換装置の出力に接続され且つ1以上の巻線と1以上の整流素子と1以上のLED負荷とが直列に接続される複数の直列回路のそれぞれと1以上のLED負荷とを流れる電流が、1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化する電流均衡化装置とを備える。
【0117】
LCD B/Lモジュールは、LCDセルと、商用交流電源からの交流電力を任意の交番電力に変換して交番電流を供給する電力変換装置の出力に接続され且つ1以上の巻線と1以上の整流素子と前記LCDセルを光らせる1以上のLED負荷とが直列に接続される複数の直列回路のそれぞれと1以上のLED負荷とを流れる電流が、1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化する電流均衡化装置とを備える。
【0118】
LCD表示機器は、LCDセルと、商用交流電源からの交流電力を任意の交番電力に変換して交番電流を供給する電力変換装置と、電力変換装置の出力に接続され且つ1以上の巻線と1以上の整流素子とLCDセルを光らせる1以上のLED負荷とが直列に接続される複数の直列回路のそれぞれと1以上のLED負荷とを流れる電流が、1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化する電流均衡化装置とを備える。LCD表示機器は、テレビジョン、モニター、看板などに用いられる。
【実施例18】
【0119】
次に、実施例18の電流均衡化装置について説明する。バランストランスの電流を整流するために整流素子をバランストランスに接続すると、バランストランスのリセット時に逆起電力が発生し整流素子に大きな逆方向電圧を印加することがある。
【0120】
バランストランスに接続された整流素子は、整流電圧(整流コンデンサの電圧)が主トランスの2次巻線の電圧より低い場合、リセット時に整流素子をオンする方向に電流が流れるが、整流電圧(整流コンデンサの電圧)が主トランスの2次巻線の電圧より高い場合にはリセット時に整流素子に逆方向電圧を印加する方向に逆起電力が発生する。逆方向電圧の発生を低く抑えるためには、主回路の回路方式やその動作条件に制約を受け、主回路の効率の低下や、主回路のトランスが大きくなる。
【0121】
実施例18の電流均衡化装置は、バランストランスに直列接続された整流素子の逆方向電圧を低減する。図28は本発明の実施例18の電流均衡化装置の構成図である。実施例18の電流均衡化装置は、図1に示す電力供給手段10、図18に示す複数の直列回路と、ダイオードD5,D6を有している。
【0122】
複数の直列回路は、バランストランスT1(T2〜T4)の巻線N1,S1(N2,S2〜N4,S4)とダイオードD1(D2〜D4)とコンデンサC1(C2〜C4)との直列回路が並列に接続されている。コンデンサC1(C2〜C4)には抵抗Rsを介して並列に負荷LD1(LD2〜LD4)が接続されている。
【0123】
ダイオードD6のカソードは、バランストランスT1(T2〜T4)に接続され、ダイオードD6のアノードは、コンデンサC1(C2〜C4)に接続されている。ダイオードD5のアノードは、トランスTの2次巻線Nsの一端に接続され、ダイオードD5のカソードは、バランストランスT1(T2〜T4)に接続されている。
【0124】
実施例18の電流均衡化装置は、ダイオードD6を追加し、正巻線の2次巻線Nsが負電圧以下になった場合に、リセット電流をダイオードD6に流し、2次巻線Nsの電圧が負電圧となっても、リセット電圧をある一定の電圧に保ち、バランストランスT1(T2〜T4)に接続したダイオードD1(D2〜D4)の逆方向電圧を低く抑え、回路全体の高効率・小型化を図ることを特徴とする。
【0125】
次にこのように構成された実施例18の電流均衡化装置の動作を説明する。まず、リセット時の逆方向電圧は、バランストランスT1(T2〜T4)の励磁電流が蓄えられる方向によって発生する逆起電力の方向が変わる。定常状態では主回路のトランスTの2次巻線Nsの電圧はD1(D2〜D4)の電圧降下、即ち、バランストランスT1(T2〜T4)に接続したダイオードD1(D2〜D4)の整流電圧の平均値となる。
【0126】
従って、バランストランスT1(T2〜T4)がリセット時にダイオードD1(D2〜D4)に充電する方向に励磁電流が蓄えられる(順バイアス)場合と、リセット時にダイオードD1(D2〜D4)に逆方向電圧を発生するように励磁電流が蓄えられる(逆バイアス)場合がある。
【0127】
リセット時のバランストランスに直列接続されたダイオードの逆方向電圧の最大値Vrは、バランストランスと整流回路の並列数がN個並列接続された場合、バランストランスの接続方法に関わらず、1つの整流電圧が平均整流電圧VCより大きくて、他の整流電圧が平均整流電圧VCより小さい場合であり、
VC=(VC1+VC2+・・・・VCN)/Nとして
VC1>VC>VC2=VC3=・・・・=VCNのときである。
【0128】
このとき、コンデンサC1に直列接続されているダイオードD1の逆方向電圧Vr1は
Vr1=VC1+VC2+・・・・VCN−N・VNS+N・Vf ‥(1)
となる。VNSはトランスTの2次巻線NS間の電圧、Vfは整流素子の順方向電圧である。
【0129】
従って、逆方向電圧Vr1は、主回路の2次巻線Nsの巻線電圧によって変化し、特に主回路の2次巻線Nsの電圧(VNS)が負になったときに逆方向電圧Vr1は最大になる。即ち、バランストランスT1(T2〜T4)がリセット期間中にトランスTの2次巻線Nsの電圧が反転した場合に、大きな逆方向電圧Vr1が発生する。
【0130】
実施例18では、スイッチング素子Q1がオフのとき、トランスTの2次巻線NsからダイオードD5を介してバランストランスT1(T2〜T4)に電流が流れる。
【0131】
次に、スイッチング素子Q1がオンして、トランスTの2次巻線Nsの電圧が正電圧から反転して負電圧が発生した場合には、ダイオードD6を介してバランストランスT1(T2〜T4)にリセット電流が流れる。即ち、2次巻線Nsの負電圧をダイオードD6がオンすることで順方向電圧Vfでクランプする。
【0132】
なお、このとき、ダイオードD5が逆バイアス状態となるので、ダイオードD6からダイオードD5へ電流が流れない。即ち、ダイオードD5を設けることにより、スイッチング素子Q1がオン時に2次巻線Nsの短絡を防止できる。
【0133】
リセット時のバランストランスと整流回路の並列数がN個並列接続された場合の逆方向電圧の最大値Vrは、1つの整流電圧が平均整流電圧VCより大きくて、他の整流電圧が平均整流電圧VCより小さい場合であり、
VC=(VC1+VC2+・・・・VCN)/Nとして
VC1>VC>VC2=VC3=・・・=VCNのときである。
【0134】
このとき、コンデンサC1に直列接続されている整流素子の逆方向電圧Vr1は
Vr1=VC1+VC2+・・・・VCN+N・Vf
となる。即ち、ダイオードD5,D6を追加した後の回路は、ダイオードD5,D6を追加する前の回路と比較して、−N・VNS(VNSは負電圧)だけ小さい逆方向電圧Vr1で済む。従って、バランストランスT1(T2〜T4)に接続されたダイオードD1(D2〜D4)の耐圧が低くできる。また、主回路の回路方式やその動作条件或いは主回路のトランス構成に制約を受けないため、電源装置を小型、安価に構成することができる。
【0135】
なお、実施例18に係る電力供給手段10を、図9に示す電力供給手段10b、図18に示す電力供給手段10cに置き換えることができる。また、実施例18に係る複数の直列回路は、実施例1、実施例3から実施例5で示す複数の直列回路に適用することができる。
【実施例19】
【0136】
図29は本発明の実施例19の電流均衡化装置の構成図である。図29に示す実施例19は、図28に示す実施例18に対して、ダイオードD6のアノードと2次巻線Nsの他端とコンデンサC1(C2〜C4)に直流電源VRSを接続し、リセット電流をダイオードD6と直流電源VRSとに流すようにしたことを特徴とする。
【0137】
実施例19の電流均衡化装置によれば、逆方向電圧Vr1は、主回路の2次巻線Nsの巻線電圧によって変化し、特に主回路の2次巻線Nsの電圧(VNS)が負になったときに逆方向電圧Vr1は最大になる。
【0138】
実施例19では、スイッチング素子Q1がオンして、トランスTの2次巻線Nsの電圧が正電圧から反転して負電圧が発生した場合には、2次巻線Nsから電圧源VRSとダイオードD6を介してバランストランスT1(T2〜T4)にリセット電流が流れる。
【0139】
このとき、コンデンサC1に直列接続されているダイオードD1の逆方向電圧Vr1は
Vr1=VC1+VC2+・・・・VCN−N・VRS+N・Vf ‥(2)
となる。
【0140】
即ち、ダイオードD5,D6、直流電源VRSを追加する前の回路では、式(1)に示すように、−N・VNSであり、VNSは負電圧となるので、−N・VNSが正電圧となり、逆方向電圧Vrが大きくなる。
【0141】
これに対して、実施例19では、ダイオードD5,D6、直流電源VRSを追加した後の回路において、式(2)に示すように、−N・VRSであり、VRSは正電圧であるので、小さい逆方向電圧Vr1で済む。即ち、直流電源VRSの電圧分だけ逆方向電圧を低く抑えることができる。従って、バランストランスT1(T2〜T4)に接続されたダイオードD1(D2〜D4)の耐圧が低くできる。
【0142】
また、直流電源VRSを負荷LD1〜LD4の電圧VLD1〜VLDNの平均値より小さい値に設定することで、バランストランスに直列接続されたダイオードに印加される逆方向電圧を非常に小さくできる。
【0143】
従って、LEDユニットのLEDの直列数を増やせるので、バランストランスの数が少なくでき、LEDユニットの並列数を増加できるので、主トランスの数(主回路の数)を減らすことができる。このため、回路全体で大幅にコストを低減でき、安価なLED駆動装置を構成できる。
【0144】
なお、実施例19に係る電力供給手段10を、図9に示す電力供給手段10b、図18に示す電力供給手段10cに置き換えることができる。また、実施例19に係る複数の直列回路は、実施例1、実施例3から実施例5で示す複数の直列回路に適用することができる。
【実施例20】
【0145】
図30は本発明の実施例20の電流均衡化装置の構成図である。図30に示す実施例20は、図29に示す実施例19に対して、直流電源VRSの代わりに2次巻線Ns2の両端にダイオードD7とコンデンサC7との直列回路を設け、2次巻線Ns2の電圧をダイオードD7とコンデンサC7とで整流平滑して直流電圧を得るようにしたことを特徴とする。
【0146】
図30に示す実施例20は、図29に示す実施例19に対して、電力供給手段10の代わりに図18に示す電力供給手段10cを用い、トランスTの代わりにトランスTaを用いている。トランスTaは、1次巻線Npと、直列に接続された2次巻線Ns1と2次巻線Ns2とを有する。
【0147】
2次巻線Ns1の一端と2次巻線Ns2の一端とには、ダイオードD7のアノードが接続され、ダイオードD7のカソードはコンデンサC7を介して2次巻線Ns2の他端とコンデンサC1(C2〜C4)に接続されている。ダイオードD7のカソードとコンデンサC7の一端とはダイオードD6のアノードに接続され、ダイオードD6のカソードはバランストランスT1(T2〜T4)に接続されている。ダイオードD5のアノードは、2次巻線Ns1の他端に接続され、ダイオードD5のカソードは、バランストランスT1(T2〜T4)に接続されている。
【0148】
2次巻線Ns1の他端とダイオードD5のアノードとは、ダイオードD10のカソードに接続され、ダイオードD10のアノードは、抵抗Rsの一端とコンデンサC10の一端とに接続されている。コンデンサC10の他端は2次巻線Ns2の他端とコンデンサC1(C2〜C4)とに接続されている。
【0149】
以上の構成の実施例20によれば、スイッチング素子QLがオンからオフになると、トランスTの2次巻線Nsの電圧が正電圧から反転して負電圧が発生した場合には、コンデンサC7とダイオードD6を介してバランストランスT1(T2〜T4)にリセット電流が流れる。
【0150】
即ち、実施例20では、ダイオードD7とコンデンサC7とで直流電源VRSを生成しているので、実施例19と同様に、小さい逆方向電圧Vr1で済む。即ち、逆方向電圧の発生を低く抑えることができる。従って、バランストランスT1(T2〜T4)に接続されたダイオードD1(D2〜D4)の耐圧が低くできる。
【0151】
なお、実施例20に係る電力供給手段10cを、図9に示す電力供給手段10bに置き換えることができる。また、実施例18に係る複数の直列回路は、実施例1、実施例3から実施例5で示す複数の直列回路に適用することができる。
【実施例21】
【0152】
図31は本発明の実施例21の電流均衡化装置の構成図である。図31に示す実施例21は、電力供給手段10を有し、トランスTaの2次巻線Ns1の一端はバランストランスT1(T2〜T4)に接続され、2次巻線Ns2の一端には、ダイオードD10のアノードが接続され、ダイオードD10のカソードはコンデンサC10を介して2次巻線Ns2の他端に接続されている。ダイオードD10のカソードとコンデンサC10の一端はコンデンサC1〜C4に接続されている。2次巻線Ns1の他端はコンデンサC10及びコンデンサC1〜C4に接続されている。
【0153】
実施例21では、2次巻線Ns1にバランストランスT1(T2〜T4)とダイオードD1(D2〜D4)を直列に接続した複数の直列回路を接続し、2次巻線Ns2にダイオードD10とコンデンサC10とで構成される電圧源を直列に接続したことにより、バランストランスT1(T2〜T4)に接続したトランスTaの2次巻線Ns1,Ns2の巻数を小さくできる。即ち、上記式(1)の−N・VNSのVNSの電圧を小さくすることで、バランストランスT1(T2〜T4)に接続するダイオードD1(D2〜D4)の逆方向電圧を小さくできる。
【0154】
また、図19に示した電流均衡化装置では、負荷LD1はLED1a−LED1eのLEDユニット、負荷LD2はLED2a−LED2eのLEDユニット、負荷LD3はLED3a−LED3eのLEDユニット、負荷LD4はLED4a−LED4eのLEDユニットであり、バランストランスT1(T2〜T4)により定電流バランスされた電圧源はコンデンサC1〜C4の電圧であり、これらは、トランスTの2次巻線Nsの正電圧整流からなる。
【0155】
トランスTの2次巻線Nsの負電圧整流は、ダイオードD10とコンデンサC10とからなる電圧源を構成する。それぞれの負荷LD1(LD2〜LD4)は、コンデンサC1(C2〜C4)とコンデンサC10との直列回路に接続される。
【0156】
図19に示した電流均衡化装置のように、2次巻線Nsが1つでも、上述したように、正電圧整流と負電圧整流とに分けることで、バランストランスT1(T2〜T4)に接続されたダイオードD1(D2〜D4)の逆方向電圧を半分にすることができる。従って、バランストランスT1(T2〜T4)に接続されたダイオードD1(D2〜D4)の耐圧を低くできる。
【産業上の利用可能性】
【0157】
本発明は、例えば液晶ディスプレイのバックライトとして使用されるLEDを点灯させるためのLED点灯装置やLED照明に適用可能である。
【符号の説明】
【0158】
10,10a,10b,10c 電力供給手段
13 ローサイドドライバ
15 ハイサイドドライバ
Vin,VRS 直流電源
Q1,QL,QH スイッチング素子
D1,D2,D3,D4,D5,D6,D7,D10,DL,DH ダイオード
Cri 電流共振コンデンサ
T,Ta,T1〜T4 トランス
Np,N1〜N4 1次巻線
Ns,Ns1,Ns2,S1〜S4 2次巻線
Vref 基準電源
LD1〜LD4 負荷
【技術分野】
【0001】
本発明は、並列に接続された複数の負荷に流れる電流を均衡化させるための電流均衡化装置及びその方法、LED照明器具、LCD B/Lモジュール、LCD表示機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、直列に接続された複数のLED(Light Emitting Diode)を点灯させるLED点灯装置として、例えば特許文献1、特許文献2が知られている。
【0003】
特許文献1に開示されたLED照明装置は、複数のLEDを直列に接続したLEDユニットが複数個並列に接続されて構成されている。しかし、複数のLEDを直列に接続したLEDユニットが複数個並列に接続された状態で駆動されると、LEDユニットの電圧(各々のLEDの順方向電圧Vf)降下にばらつきがあるため、並列に接続されたLEDユニットの電流は、アンバランスとなってしまう。そこで、特許文献1では、定電流回路により各々のLEDユニットに定電流を流すことにより、LEDユニットに流れる電流をバランスさせている。
【0004】
特許文献2に開示された放電灯点灯回路は、並列に接続された複数のCCFL(冷陰極線管)に流れる電流をトランスを用いてバランスさせている。CCFLは交流で駆動されるので、バランストランスには正弦波の電流が流れている。このため、CCFLとバランストランスとを直列に接続し、バランストランスの2次巻線が閉回路となるように構成して電流をバランスさせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−319583号公報
【特許文献2】特開2006−12659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、定電流回路を接続すると、各々のLEDユニットの電圧降下の差が損失となってしまう。
【0007】
特許文献2では、バランストランスを用いて電流をバランスさせているため、CCFLの電圧のばらつきによる損失は発生しないが、直流電流のみを流すLEDでは、直流電流をトランスでバランスさせることはできない。即ち、バランストランスは、周波数が高くなると小さくできるが、周波数が低くなると大きくなる。また、直流では、トランスが飽和してしまうので、バランストランスは使用できない。
【0008】
本発明の課題は、インピーダンスが異なる複数の負荷に流れる電流バランス回路における損失低減を実現し高効率化を実現できる電流均衡化装置及びその方法、LED照明器具、LCD B/Lモジュール、LCD表示機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の電流均衡化装置は、交番電流を出力する電力供給手段と、前記電力供給手段の出力に接続され且つ1以上の巻線と1以上の整流素子と1以上の負荷とが直列に接続される複数の直列回路とを備え、前記複数の直列回路のそれぞれを流れる電流が、前記1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化することを特徴とする。
【0010】
本発明のマルチ負荷の電流均衡化方法は、1以上の巻線と1以上の整流素子と1以上の負荷とが直列に接続される複数の直列回路のそれぞれに流れる交番電流を、前記1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化することで、前記1以上の負荷に流れる電流を均衡化することを特徴とする。
【0011】
本発明のLED照明器具は、商用交流電源からの交流電力を任意の交番電力に変換して交番電流を供給する電力変換装置と、前記電力変換装置の出力に接続され且つ1以上の巻線と1以上の整流素子と1以上のLED負荷とが直列に接続される複数の直列回路のそれぞれと前記1以上のLED負荷とを流れる電流が、前記1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化する電流均衡化装置とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明のLCD B/Lモジュールは、LCDセルと、商用交流電源からの交流電力を任意の交番電力に変換して交番電流を供給する電力変換装置の出力に接続され且つ1以上の巻線と1以上の整流素子と前記LCDセルを光らせる1以上のLED負荷とが直列に接続される複数の直列回路のそれぞれと前記1以上のLED負荷とを流れる電流が、前記1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化する電流均衡化装置とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明のLCD表示機器は、LCDセルと、商用交流電源からの交流電力を任意の交番電力に変換して交番電流を供給する電力変換装置と、前記電力変換装置の出力に接続され且つ1以上の巻線と1以上の整流素子と前記LCDセルを光らせる1以上のLED負荷とが直列に接続される複数の直列回路のそれぞれと前記1以上のLED負荷とを流れる電流が、前記1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化する電流均衡化装置とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電力供給手段の出力から複数の負荷に供給する電流を、1以上の負荷に直列接続した1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化できる。また、1以上の巻線に生じる電磁力により電流を均衡化するため、複数の負荷のインピーダンスの相違による損失を低減できる。従って、インピーダンスが異なる複数の負荷に流れる電流バランス回路における損失低減を実現し高効率化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1の電流均衡化装置の構成図である。
【図2】本発明の実施例1の電流均衡化装置の動作波形である。
【図3】本発明の実施例2の電流均衡化装置の構成図である。
【図4】本発明の実施例3の電流均衡化装置の構成図である。
【図5】本発明の実施例4の電流均衡化装置の構成図である。
【図6】本発明の実施例5の電流均衡化装置の構成図である。
【図7】本発明の実施例6の電流均衡化装置の構成図である。
【図8】本発明の実施例6の電流均衡化装置の動作波形である。
【図9】本発明の実施例7の電流均衡化装置の構成図ある。
【図10】本発明の実施例8の電流均衡化装置の構成図である。
【図11】本発明の実施例8の電流均衡化装置の動作波形である。
【図12】本発明の実施例9の電流均衡化装置の構成図である。
【図13】本発明の実施例9の電流均衡化装置の動作波形である。
【図14】本発明の実施例10の電流均衡化装置の構成図である。
【図15】本発明の実施例10の電流均衡化装置の動作波形である。
【図16】本発明の実施例11の電流均衡化装置の構成図である。
【図17】本発明の実施例11の電流均衡化装置の動作波形である。
【図18】本発明の実施例12の電流均衡化装置の構成図である。
【図19】本発明の実施例13の電流均衡化装置の構成図である。
【図20】本発明の実施例14の電流均衡化装置の構成図である。
【図21】本発明の実施例14の電流均衡化装置のバランストランスのリセットの動作を説明するための動作波形である。
【図22】本発明の実施例14の電流均衡化装置のバランストランスのリセットの動作を説明するための動作波形である。
【図23】本発明の実施例15の電流均衡化装置の構成図である。
【図24】本発明の実施例15の電流均衡化装置のバランストランスのリセットの動作を説明するための動作波形である。
【図25】本発明の実施例15の電流均衡化装置のバランストランスのリセットの動作を説明するための動作波形である。
【図26】本発明の実施例16の電流均衡化装置の構成図である。
【図27】本発明の実施例17の電流均衡化装置の構成図である。
【図28】本発明の実施例18の電流均衡化装置の構成図である。
【図29】本発明の実施例19の電流均衡化装置の構成図である。
【図30】本発明の実施例20の電流均衡化装置の構成図である。
【図31】本発明の実施例21の電流均衡化装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態の電流均衡化装置を備えた電力供給装置を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
まず、トランスは交流電流をバランスすることができるが、LEDのような直流駆動回路ではトランスは直流電流をバランスすることができない。このため、本発明は、交番電流を出力する電力供給手段の出力に接続され且つ1以上の巻線と1以上の整流素子と1以上の負荷とが直列に接続される複数の直列回路を備え、複数の直列回路のそれぞれを流れる電流が、1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化することを特徴とする。
【0018】
以下に説明する各実施例では、この電流均衡化装置におけるインピーダンスが異なる負荷をLEDとした例を示している。
【実施例1】
【0019】
図1は本発明の実施例1に係る電流均衡化装置の構成図である。
【0020】
図1に示す実施例1において、交番電流を供給する電力供給手段10は、直流電源Vinと、直流電源Vinの両端に接続されたトランスTの1次巻線NpとMOSFETからなるスイッチング素子Q1との直列回路と、トランスTの2次巻線Nsとで構成されている。スイッチング素子Q1がオンオフ動作することでトランスTの2次巻線Nsの両端から交番電流が出力される。
【0021】
トランスTの2次巻線Nsの一端には巻線N1の一端が接続され、巻線N1の他端には交番電流を半波整流するダイオードD1のアノードが接続され、ダイオードD1のカソードと2次巻線Nsの他端との間には負荷LD1(LED1a〜LED1e)が接続される。実施例1において、第1の直列回路は、巻線N1とダイオードD1と負荷LD1とからなる。
【0022】
また、トランスTの2次巻線Nsの一端には巻線S1の一端が接続され、巻線S1の他端には交番電流を半波整流するダイオードD2のアノードが接続され、ダイオードD2のカソードと2次巻線Nsの他端との間には負荷LD2(LED2a〜LED2e)が接続される。実施例1において、第2の直列回路は、巻線S1とダイオードD2と負荷LD2とからなる。巻線N1と巻線S1とは、互いに電磁的に結合されトランスT1を構成する。また、実施例1における負荷LD1のインピーダンスと負荷LD2のインピーダンスとは互いに異なる。
【0023】
図2は、本発明の実施例1に係る電力均衡化装置の動作波形である。図2において、V(Q1)は、スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間電圧、I(Q1)は、スイッチング素子Q1のドレインに流れる電流、I(NS)は、トランスTの2次巻線に流れる電流、I(D1)及びI(D2)は、ダイオードD1及びD2に流れる電流、V(LED1a−e)は負荷LD1(LED1a〜LED1e)の両端電圧、V(LED2a−e)は負荷LD2(LED2a〜LED2e)の両端電圧である。
【0024】
まず、時刻t0において、スイッチング素子Q1がオンで、トランスTの巻線Npは巻始が負電位となり、巻線Nsも巻始が負電位となる。従って、時刻t0から始まる期間ST1では、巻線Nsに接続された第1の直列回路と第2の直列回路には、それぞれの直列回路に含まれるダイオードD1,D2により、巻線Nsから供給される交番電流は流れることがなく、トランスTと第1及び第2直列回路には電流が流れない。従って、トランスTの励磁電流がVin→Np→Q1→Vinの経路で流れる。
【0025】
時刻t1でスイッチQ1がオフすると、期間ST1でトランスTに蓄えられた励磁電流が巻線Npの巻始を正電位となるような逆起電力を発生する。従って、巻線Nsも巻始が正電圧となる。従って、時刻t1から始まる期間ST2では、直列回路に接続されるダイオードは導通し、Ns→N1→D1→負荷LD1→Nsの経路と、Ns→S1→D2→負荷LD2→Nsの経路で電流が流れる。このように、それぞれの直列回路には、時間的に大きさが変化する、即ち交流成分を持った電流I(D1)及びI(D2)が流れる。
【0026】
電流I(D1)及びI(D2)は、巻線N1及び巻線S1を流れ、それぞれの電流に応じた磁束を生じようとする。このとき、巻線N1及び巻線S1は、トランスT1を構成するため、それぞれの巻線に生じる磁束は、磁束の大きさを均一化するように相互作用する。従って、これらの電流I(D1)及びI(D2)は、本来それぞれの大きさが異なる場合であっても一定の値に均衡化(均一化)され、負荷LD1及び負荷LD2に供給される。このように、負荷LD1と負荷LD2とは互いにインピーダンスが異なるが、第1の直列回路の電流I(D1)と第2の直列回路の電流I(D2)とは互いに等しくなる。
【0027】
また、実施例1では、巻線に生じる電磁力により電流を均衡化するため、主に巻線抵抗に基づく損失を発生するが、この損失は特許文献1の定電流回路における損失に比べて小さいため、バランス回路における損失を低減することができる。
【0028】
また、実施例1では、負荷LD1及び負荷LD2がLEDを複数個直列に接続した照明装置であるため、負荷LD1及び負荷LD2に均衡化された電流を供給することで、複数のLEDを均一に発光させ、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)を均一に照明することができる。
【0029】
図3から図6で示される実施例2から実施例5は、電力供給手段10に接続される直列回路が複数個接続された場合のそれぞれの巻線電流が均衡化するようにトランスが磁気結合する方法である。
【実施例2】
【0030】
図3は本発明の実施例2に係る電流均衡化装置の構成を示すブロック図である。図3に示す実施例2において、電力供給手段10の出力には、巻線S4と巻線N1とダイオードD1とLED1a〜LED1eから構成される負荷LD1の直列回路と、巻線S1と巻線N2とダイオードD2とLED2a〜2eから構成される負荷LD2の直列回路と、巻線S2と巻線N3とダイオードD3とLED3a〜3eから構成される負荷LD3の直列回路と、巻線S3と巻線N4とダイオードD4とLED4a〜LED4eから構成される負荷LD4の直列回路とが接続されている。
【0031】
巻線N1(及びN2、N3、N4)と巻線S1(及びS2、S3、S4)はダイオードの半波整流する電流が均衡化するように磁気的に結合されトランスT1(及びT2、T3、T4)を構成している。
【0032】
即ち、それぞれの直列回路が直列接続された2つの巻線を有し、2つの巻線のそれぞれがトランスの1次巻線及び2次巻線として電磁結合される。
【0033】
実施例2の接続では、トランスT1(及びT2、T3、T4)の巻線N1(及びN2、N3、N4)と巻線S1(及びS2、S3、S4)は、その特性から巻線N1(及びN2、N3、N4)と巻線S1(及びS2、S3、S4)に流れる電流が等しくなり、電力供給手段10から供給された電流を負荷LD1、負荷LD2、負荷LD3、負荷LD4に均衡化して供給できる。従って、実施例1に係る電流均衡化装置と同様の効果を得ることができる。また、直列回路に2つの巻線が接続されるので、バランストランスとして使用するトランスが小さくでき、同一のトランスを使用できる。
【実施例3】
【0034】
図4は本発明の実施例3に係る電流均衡化装置の構成を示すブロック図である。図4に示す実施例3において、電力供給手段10の出力には、巻線N1とダイオードD1とLED1a〜LED1eから構成される負荷LD1の直列回路と、巻線N2とダイオードD2とLED2a〜LED2eから構成される負荷LD2の直列回路と、巻線N3とダイオードD3とLED3a〜LED3eから構成される負荷LD3の直列回路と、巻線N4とダイオードD4とLED4a〜LED4eから構成される負荷LD4の直列回路とが接続されている。
【0035】
また、巻線S1と巻線S2と巻線S3と巻線S4とが閉ループで接続され、巻線N1(及びN2、N3、N4)と巻線S1(及びS2、S3、S4)とは、互いに電磁的に結合されトランスT1〜T4を構成する。即ちそれぞれの直列回路が1つの巻線を有し、それぞれの巻線に電磁結合された巻線が直列接続され閉ループを構成し、巻線S1と巻線S2と巻線S3と巻線S4には等しい電流が流れることになる。
【0036】
ダイオードD1(及びD2、D3、D4)で半波整流した電流が巻線N1(及びN2、N3、N4)に流れ、この電流と巻線S1(及びS2、S3、S4)に流れる電流とが均衡化するように磁気的に結合されトランスT1(及びT2、T3、T4)となっている。従って、実施例3の接続では、トランスT1(及びT2、T3、T4)の巻線N1(及びN2、N3、N4)と巻線S1(及びS2、S3、S4)は、その特性から巻線N1(及びN2、N3、N4)と巻線S1(及びS2、S3、S4)に流れる電流が等しくなり、電力供給手段10から供給された電流を負荷LD1、負荷LD2、負荷LD3、負荷LD4に均衡化して供給できる。従って、実施例1に係る電流均衡化装置と同様の効果を得ることができる。また、バランストランスとして同一のトランスを使用できる。
【実施例4】
【0037】
図5は本発明の実施例4に係る電流均衡化装置の構成を示すブロック図である。図5に示す実施例4において、電力供給手段10の出力には、巻線N1とダイオードD1とLED1a〜LED1eから構成される負荷LD1の直列回路と、巻線S1と巻線N2とダイオードD2とLED2a〜LED2eから構成される負荷LD2の直列回路と、巻線S2と巻線N3とダイオードD3とLED3a〜LED3eから構成される負荷LD3の直列回路と、巻線S3とダイオードD4とLED4a〜LED4eから構成される負荷LD4の直列回路とが接続されている。
【0038】
巻線N1(及びN2、N3)と巻線S1(及びS2、S3)はダイオードの半波整流する電流が均衡化するように磁気的に結合されトランスT1(及びT2、T3)となっている。即ち、1つの巻線を有する直列回路と2つの巻線を有する直列回路とを有し、それぞれの巻線がトランスの一次及び2次巻線として電磁結合される。
【0039】
実施例4の接続では、トランスT1(及びT2、T3)の巻線N1(及びN2、N3)と巻線S1(及びS2、S3)は、その特性から巻線N1(及びN2、N3)と巻線S1(及びS2、S3)に流れる電流が等しくなり、電力供給手段10から供給された電流を負荷LD1、負荷LD2、負荷LD3、負荷LD4に均衡化して供給する。従って、実施例1に係る電流均衡化装置と同様の効果を得ることができる。さらに、実施例4は実施例2及び3の巻線N4と巻線S4からなるトランスT4を取り除くことができるため、電流均衡化装置を安価に構成できる。
【実施例5】
【0040】
図6は本発明の実施例5に係る電流均衡化装置の構成を示すブロック図である。図6に示す実施例5において、電力供給手段10の出力には、巻線N3と巻線N1とダイオードD1とLED1a〜LED1eから構成される負荷LD1の直列回路と、巻線N3と巻線S1とダイオードD2とLED2a〜LED2eから構成される負荷LD2の直列回路と、巻線S3と巻線N2とダイオードD3とLED3a〜3eから構成される負荷LD3の直列回路と、巻線S3と巻線S2とダイオードD4とLED4a〜LED4eから構成される負荷LD4の直列回路とが接続されている。
【0041】
巻線N1(及びN2、N3)と巻線S1(及びS2、S3)はダイオードの半波整流する電流が均衡化するように磁気的に結合されトランスT1(及びT2、T3)となっている。実施例5の接続では、トランスT1(及びT2、T3)の巻線N1(及びN2、N3)と巻線S1(及びS2、S3)は、その特性から巻線N1(及びN2、N3)と巻線S1及びS2、S3)に流れる電流が等しくなり、電力供給手段10から供給された電流を負荷LD1、負荷LD2、負荷LD3、負荷LD4に均衡化して供給する。従って、実施例1に係る電流均衡化装置と同様の効果を得ることができる。さらに、実施例5は実施例2及び3の巻線N4と巻線S4からなるトランスT4を取り除くことができるため、電流均衡化装置を安価に構成できる。
【実施例6】
【0042】
図7は、本発明の実施例6に係る電流均衡化装置の構成図であり、電力供給手段10aから供給される交番電流が正弦波状の電流であることを特徴とする。
【0043】
図7に示す実施例6において、正弦波状の交番電流を供給するために、直流電源Vinの両端に、MOSFETからなるスイッチング素子QHとMOSFETからなるスイッチング素子QLとの直列回路が接続されている。スイッチング素子QHとスイッチング素子QLとの接続点にトランスTの1次巻線Npと電流共振コンデンサCriとの直列共振回路が接続されている。トランスTは、リーケージインダクタンスLr1,Lr2を有する。LpはトランスTの励磁インダクタンスである。ローサイドドライバ13は、スイッチング素子QLを駆動し、ハイサイドドライバ15は、スイッチング素子QHを駆動する。
【0044】
スイッチング素子QHとスイッチング素子QLは交互にオンオフをすることで、トランスTの巻線NsからリーケージインダクタンスLr1、Lr2と電流共振コンデンサCriで共振した正弦波状の電流を供給することができる。
【0045】
図8は本発明の実施例6に係る電力均衡化装置の動作波形である。図8において、V(QH)は、スイッチング素子QHのドレイン−ソース間電圧、I(QH)は、スイッチング素子QHのドレインに流れる電流、V(QL)は、スイッチング素子QLのドレイン−ソース間電圧、I(QL)は、スイッチング素子QLのドレインに流れる電流、I(NS)は巻線Nsに流れる電流、I(D1)はダイオードD1に流れる電流、I(D2)はダイオードD2に流れる電流、V(LED1a−e)は負荷LD1の両端電圧、V(LED2a−e)は負荷LD2の両端電圧である。
【0046】
まず、時刻t0において、スイッチング素子QLがオフ状態のときに、スイッチング素子QHがオンすると、トランスTの巻線Npは巻始が負電圧となり、巻線Nsの巻始も負電圧となる。従って、時刻t0から始まる期間ST1では、巻線Nsに接続された第1及び第2の直列回路はそれぞれの直列回路に含まれるダイオードD1,D2により巻線Nsから供給される交番電流は流れることがなく第1及び第2直列回路には電流が流れない。従って、スイッチング素子QHに流れる電流I(QH)は、Vin(正極)→QH(DH)→Lr1→Lp→Cri→Vin(負極) の経路でマイナスから流れはじめ、電流共振コンデンサCriと励磁インダクタンスLpとリーケージインダクタンスLr1との共振により時間とともに増加していく。また、このとき電流共振コンデンサCriが充電される。
【0047】
次に、時刻t1において、スイッチング素子QHがオフし、スイッチング素子QLがオンすると、励磁インダクタンスLpに流れていた電流は、Lp→Cri→DL(QL)→Lr1→Lpの経路で電流が流れる。従って、巻線Npの巻始は正電圧になり、巻線Nsの巻始も正電圧になる。
【0048】
従って、時刻t1から始まる期間ST2では、第1及び第2直列回路に接続されるダイオードD1及びD2は導通し、巻線N1を通る電流Ns→N1→D1→負荷LD1→Nsの経路とNs→S1→D2→負荷LD2→Nsの経路とで電流が流れる。
【0049】
この電流は、Cri→Np→Lr2→Lr1→QL(DL)→Criの経路でトランスTを介して電流共振コンデンサCriから供給されるので、電流共振コンデンサCriとリーケージインダクタンスLr1+Lr2の共振で電流が流れることになり、正弦波状の半波電流が供給される。このように、それぞれの直列回路には、時間的に大きさが変化する、即ち交流成分を持った電流I(D1)及びI(D2)が流れる。従って、実施例1に係る電流均衡化装置と同様の効果を得ることができる。さらに、電流均衡化回路に正弦波状の電流が流れるため、実施例1に係る電流均衡化装置に対して低ノイズ化できる。
【0050】
なお、実施例6に係る電力供給手段10aは、実施例2から実施例5で示す複数の直列回路を接続することができる。
【実施例7】
【0051】
図9は、本発明の実施例7に係る電流均衡化装置の構成図であり、電力供給手段10bから供給される交番電流が正弦波状の電流であることを特徴とし、実施例6に係る電流均衡化装置に対して、トランスTの入力側にフライバックアクティブクランプ方式を採用した点が異なる。
【0052】
図9に示す実施例7において、直流電源Vinの両端には、トランスTの1次巻線Npと電圧共振コンデンサCrvとの直列共振回路が接続されている。電圧共振コンデンサCrvの両端にはスイッチング素子QLとダイオードDLとが接続されている。
【0053】
トランスTの1次巻線Npの両端には、電流共振コンデンサCriとスイッチング素子QHとの直列回路が接続されている。スイッチング素子QHの両端には、ダイオードDHが接続されている。トランスTはリーケージインダクタンスLr1,Lr2を有する。LpはトランスTの励磁インダクタンスである。また、ダイオードDL,DHはスイッチング素子QL,QHの寄生Diでも良い。
【0054】
実施例7に係る電力供給手段10bは、実施例6の電力供給手段10aの構成を変更したもので、直流電源Vinと電流共振コンデンサCriを入れ替えた構成と同等になる。ほぼ同様の動作波形となり、実施例7に係る電力供給手段10bから供給される交番電流は、正弦波状の電流になる。従って、実施例6に係る電流均衡化装置と同様の効果を得ることができる。
【0055】
なお、実施例7に係る電力供給手段10bは、実施例2から実施例5で示す複数の直列回路を接続することができる。
【実施例8】
【0056】
図10は、本発明の実施例8に係る電流均衡化装置の構成図であり、電力供給手段10から供給される交番電流を平滑化して負荷に供給することを特徴とする。
【0057】
図10に示す実施例8において、交番電流を供給する電力供給手段10の両端には、巻線N1と交番電流を半波整流するダイオードD1と負荷LD1(LED1a〜LED1e)とからなる第1の直列回路と、巻線S1と交番電流を半波整流するダイオードD2と負荷LD2(LED2a〜LED2e)とからなる第2の直列回路とが接続されている。さらに、ダイオードD1(D2)には、負荷LD1(負荷LD2)と並列に平滑コンデンサC1(C2)が接続されている。即ち、実施例8に係る電流均衡化装置は、平滑コンデンサC1,C2を備える点で、実施例1に係る電流均衡化装置と異なる。
【0058】
図11は本発明の実施例8に係る電力均衡化装置の動作波形である。実施例8に係る電流均衡化装置では、コンデンサC1,C2で平滑化された電流が負荷に供給されるので、負荷電流I(LED1a−e)とI(LED2a−e)の電流は平滑した電流が流れる。平滑した電流を負荷に供給できるので、実施例1に係る電力均衡化装置と同様の効果を得ることができ、負荷に流れる電流ピークが下がることにより、負荷に与えるストレスが軽減できる。
【0059】
なお、実施例8に係る電力供給手段10を、実施例6及び7に係る電力供給手段10a,10bに置き換えることができる。また、実施例8に係る平滑コンデンサC1,C2は、実施例2から実施例5で示す複数の直列回路に適用することができる。
【実施例9】
【0060】
図12は、本発明の実施例9に係る電流均衡化装置の構成図であり、電力供給手段10aから供給される交番電流を平滑化した電流を負荷に供給することを特徴とする。図12に示す実施例9において、コンデンサC1、C2で平滑化された電流が負荷に供給されるので、負荷電流I(LED1a−e)とI(LED2a−e)の電流は平滑した電流が流れる。平滑した電流を負荷に供給できるので、実施例6に係る電力均衡化装置と同様の効果を得ることができ、負荷に流れる電流ピークが下がることにより、負荷に与えるストレスが軽減できる。
【0061】
なお、実施例9に係る電力供給手段10aを、実施例7に係る電力供給手段10bに置き換えることができる。
【実施例10】
【0062】
図14は、本発明の実施例10に係る電流均衡化装置の構成図であり、電力供給手段10aから供給される交番電流を全周期に渡って整流することを特徴とする。
【0063】
図14に示す実施例10において、正弦波状の交番電流を供給する電力供給手段10aの両端には、巻線N1と交番電流を半波整流するダイオードD1と負荷LD1(LED1a〜LED1e)とからなる第1の直列回路と、巻線S1と交番電流を半波整流するダイオードD2と負荷LD2(LED2a〜LED2e)とからなる第2の直列回路とが接続され、ダイオードD1(D2)には、負荷LD1(負荷LD2)と並列に平滑コンデンサC1(C2)が接続されている。さらに、負荷LD1(負荷LD2)は、コンデンサC10を介して電力供給手段10aと接続され、負荷LD1(負荷LD2)とコンデンサC10との接続点と巻線N1(S1)との間にダイオードD10が接続される。即ち、実施例10に係る電流均衡化装置は、コンデンサC1、C2で平滑化された電流と巻線Nsに発生する負電圧に対する半波電流をコンデンサC10で平滑化した電流とを負荷に供給する点で、実施例9に係る電流均衡化装置と異なる。
【0064】
図15は本発明の実施例10に係る電力均衡化装置の動作波形である。
【0065】
まず、時刻t0において、スイッチング素子QHがオフ状態のときに、スイッチング素子QLがオンすると、巻線Npの巻始の電圧は負電圧となり、巻線Nsも巻始が負電圧となる。従って、時刻t0から始まる期間ST1では、ダイオードD1,D2は逆方向電圧が印加されるので、第1及び第2の直列回路には電流が流れない。
【0066】
しかし、ダイオードD10は順方向電圧が印加され、巻線NsからNs→C10→D10→Nsという経路で電流が流れる。この電流は、トランスTを介してNp巻線から供給されるため、電流I(QL)が、Cri?Np?QL(DL)?Criの経路でマイナスから流れはじめ、電流共振コンデンサCriとインダクタンスLr1とインダクタンスLr2との共振により正弦波状の半波電流となり、時間とともに増加して時刻t1でゼロとなる。
【0067】
次に、時刻t2において、スイッチング素子QLがオフし、スイッチング素子QHがオンすると、インダクタンスLpに流れていた電流は、Lp→Lri→QH(DH)→Vin→Cri→Lpの経路で流れ、トランスTの巻線Npの巻始が正電圧となり、巻線Nsの巻始も正電圧となる。従って、時刻t2から始まる期間ST3では、直列回路に接続されるダイオードは導通し、巻線N1を通るNs→N1→D1→負荷LD1→Nsの経路とNs→S1→D2→負荷LD2→Nsの経路とで電流が流れる。
【0068】
この電流は、Vin→QH(DH)→Lr1→Lr2→Np→Cri→Vinの経路で流れ、トランスTを介してVinから供給され、電流共振コンデンサCriとリーケージインダクタンスLr1+Lr2の共振で電流が流れることになり、正弦波状の半波電流が供給される。
【0069】
このように、それぞれの直列回路には、時間的に大きさが変化する、即ち交流成分を持った電流I(D1)及びI(D2)が流れる。従って、実施例1に係る電流均衡化装置と同様の効果を得ることができる。また、本発明はトランスTの両波を使用するので、トランスTの利用率が向上するので、トランスTが小型でき、従って電流均衡化装置を安価に構成できる。
【0070】
なお、実施例10に係る電力供給手段10aを、実施例1及び7に係る電力供給手段10,10bに置き換えることができる。また、実施例10に係るコンデンサC10及びダイオードD10は、実施例2から実施例5で示す複数の直列回路に適用することができる。
【実施例11】
【0071】
図16は、本発明の実施例11に係る電流均衡化装置の構成図であり、電力供給手段10aから供給される交番電流を全周期に渡って整流し、且つ、平滑化した電流を負荷に供給することを特徴とする。
【0072】
図16に示す実施例11の電流均衡化装置は、図7に示す実施例6に対して、ダイオードD10とコンデンサC10とを追加することにより電力供給手段10aから供給される交番電流をコンデンサC10で平滑化し、平滑化した電流を負荷に供給するように構成される。実施例11はトランスTの両波を使用することでトランスTの利用率が向上するので、トランスTが小型でき、また、図14に示す実施例10に対して、コンデンサC1,C2を削除することができる。従って電流均衡化装置を安価に構成できる。
【0073】
図17は本発明の実施例11に係る電力均衡化装置の動作波形である。図17の実施例11の動作波形は図7の実施例6の動作波形の図8を組み合わせたものとなるので、説明は割愛する。
【0074】
なお、実施例11に係る電力供給手段10aを、実施例1及び7に係る電力供給手段10,10bに置き換えることができる。また、実施例11に係るコンデンサC10及びダイオードD10は、実施例2から実施例5で示す複数の直列回路に適用することができる。
【実施例12】
【0075】
図18は、本発明の実施例12に係る電流均衡化装置の構成図であり、複数の直列回路の電流を検出する電流検出手段と、電流検出手段で検出された電流検出値と基準電圧を比較する比較手段と、比較手段の出力に応じて交番電流を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0076】
図18に示す実施例12に係る電流均衡化装置は、実施例6に係る電力供給装置10aと同様の構成を含む電力供給手段10cを有し、電力供給手段10cの出力には、実施例2に係る直列回路が接続され、その一端がGNDに接続される負荷LD1(及びLD2、LD3、LD4)に平滑コンデンサC1(及びC2,C3,C4)で平滑された電流が供給されるように構成されている。さらに、負荷LD1(及びLD2、LD3、LD4)と2次巻線Nsとの間に電流検出手段として抵抗Rsが追加されて、2次巻線Nsと抵抗Rsとの接続点に、抵抗Ris及びコンデンサCisからなるフィルタ回路の入力端が接続される。比較回路及び制御回路としてのPRC回路1の一方の入力端子にはフィルタ回路の出力端が接続され、他方の入力端子には負電圧である基準電圧Vrefが接続される。
【0077】
抵抗Rsが、負荷LD1(及びLD2、LD3、LD4)に流れる電流を一括して検出し、フィルタ回路を介して電流検出値をPRC回路1に出力する。PRC回路1は、電流検出値と基準電圧Vrefとを比較して、その誤差出力に基づき、負荷に流れる電流が一定になるようにスイッチング素子QHとスイッチング素子QLとのオン時間の比率を制御する。
【0078】
なお、各部の波形は、図13に示す各部の波形と基本的に同じであるので、ここではその説明は省略する。
【0079】
従って、実施例12に係る電流均衡化装置によれば、実施例9に係る電流均衡化装置と同様な作用効果が得られると共に、負荷LD1(及びLD2、LD3、LD4)に流れる電流を一定に制御することができる。また、負荷の一端を直接GND電位に接続できるので、安価で低ノイズ化できる。
なお、実施例12に係る電流検出手段、比較手段及び制御回路は、実施例2から実施例5で示す複数の直列回路に適用することができる。また、フィルタ回路は省略することもできる。
【実施例13】
【0080】
図19は本発明の実施例13に係る電流均衡化装置の構成図であり、複数の直列回路の電流を検出する電流検出手段と、電流手段の検出値と基準電圧を比較する比較手段と、比較手段の出力に応じて交番電流を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0081】
図19に示す実施例13に係る電流均衡化装置は、実施例6に係る電力供給装置10aと同様の構成を含む電力供給手段10dを有し、電力供給手段10dの出力には、実施例2に係る直列回路が接続され、実施例10に係るコンデンサC10とダイオードD10とを有する。さらに、負荷LD1(及びLD2、LD3、LD4)とコンデンサC10及びダイオードD10の接続点との間に電流検出手段として抵抗Rsが追加されて、負荷LD1(及びLD2、LD3、LD4)と抵抗Rsとの接続点に、抵抗Ris及びコンデンサCisからなるフィルタ回路の入力端が接続される。比較回路及び制御回路としてのPFM回路1aの一方の入力端子にはフィルタ回路の出力端が接続され、他方の入力端子には正電圧である基準電圧Vrefが接続される。
【0082】
抵抗Rsが、負荷LD1(及びLD2、LD3、LD4)に流れる電流を一括して検出し、フィルタ回路を介して電流検出値をPFM回路1aに出力する。PFM回路1aは、電流検出値と基準電圧Vrefとを比較して、その誤差出力に基づき、負荷に流れる電流が一定になるようにスイッチング素子QHとスイッチング素子QLとのオンオフ周波数を制御する。
【0083】
なお、各部の波形は、図15に示す各部の波形と基本的に同じであるので、ここではその説明は省略する。
【0084】
従って、実施例13に係る電流均衡化装置によれば、実施例12に係る電流均衡化装置と同様な作用効果が得られる。また、図18に示す実施例12では、基準電圧Vrefが負電圧であったが、図19に示す実施例13は、基準電圧Vrefが正電圧であることを特徴とする。基準電圧が正電圧にできるため、負電圧が不必要で検出回路の構成が簡単化でき、安価に構成できる。
【0085】
なお、実施例13に係る電流検出手段、比較手段及び制御回路は、実施例2から実施例5で示す複数の直列回路に適用することができる。また、フィルタ回路は省略することもできる。
【実施例14】
【0086】
図20は、本発明の実施例14に係る電流均衡化装置の構成図である。図20に示す実施例14は、図12に示す実施例9に対して、直列回路の並列数を増加し、バランストランスを理想トランスT1a,T2a,T3a,T4aと励磁インダクタンスL1,L2,L3,L4とに分けて記載した回路図である。実施例14では、トランスT1a,T2a,T3a,T4aのリセットとスイッチング素子QLのオフ制御を主として説明する。
【0087】
図21は、本発明の実施例14に係る電流均衡化装置のバランストランスのリセットの動作を説明するための動作波形である。
【0088】
図21において、1次巻線Npから供給された電流が2次巻線Nsより流れる期間をST1、トランスT1a,T2a,T3a,T4aがリセットする期間をST2、トランスのリセットが終了してスイッチング素子QLがターンオフする期間をST3とする。
【0089】
期間ST1では、2次巻線Nsからの電流は、第1経路では、Ns?S2?N1?D1?C1?Ns、第2経路では、Ns?S3?N2?D2?C2?Nsとなる。第3経路では、Ns?S4?N3?D3?C3?Ns、第4経路では、Ns?S1?N4?D4?C4?Nsとなる。このため、1次巻線N1に流れる電流は2次巻線S1に流れる電流に等しく、1次巻線N2に流れる電流は2次巻線S2に流れる電流に等しくなる。このようにして、第1経路乃至第4経路の電流は等しくなる。
【0090】
平滑コンデンサCm(mは1〜4の整数)の電圧(LEDma〜LEDmeの順方向電圧降下の和と等しい)をVcm、巻線Nsの電圧をVns、巻線Sm(mは1〜4の整数)の電圧をVsm、巻線Nm(mは1〜4の整数)の電圧をVnm、ダイオードDm(mは1〜4の整数)の順方向電圧降下をVfとすると、この期間ST1の各経路の電圧は、
Vc1=Vns+Vs2−Vn1−Vf
Vc2=Vns+Vs3−Vn2−Vf
Vc3=Vns+Vs4−Vn3−Vf
Vc4=Vns+Vs1−Vn4−Vf
となる。
【0091】
Vn1=Vs1,Vn2=Vs2,Vn2=Vs2,Vn4=Vs4であるから、また、VcをVc1,Vc2,Vc3,Vc4の平均値とすると、
Vc=(Vc1+Vc2+Vc3+Vc4)/4
Vns=Vc+Vf
となる。
【0092】
また、各経路で直列接続する2つの巻線の両端電圧は、
Vs2−Vn1=Vc1−Vc
Vs3−Vn2=Vc2−Vc
Vs4−Vn3=Vc3−Vc
Vs1−Vn4=Vc4−Vc
となり、電圧Vc1、即ちLED1a〜LED1eの順方向電圧降下の和の電圧がLEDma〜LEDmeの順方向電圧降下の和の平均値より大きい場合には、Vc1−Vcは正となり、巻線S2と巻線N1の直列回路に正電圧が印加される。
【0093】
また、電圧Vc1、即ちLED1a〜LED1eの順方向電圧降下の和の電圧がLEDma〜LEDmeの順方向電圧降下の和の平均値より小さい場合には、Vc1−Vcは負となり、巻線S2と巻線N1の直列回路に負電圧が印加される。
【0094】
また、平均値Vcより小さいVcm(mは1〜4)ならば、励磁インダクタンスLmには正の電流が流れ、平均値Vcより大きいVcmならば、励磁インダクタンスLmには負の電流が流れることになる。
【0095】
期間ST2では、バランストランスT1a〜T4aの励磁インダクタンスL1〜L4に蓄えられた電流がリセットする期間である。期間ST1で、励磁インダクタンスL1〜L4に負の電流で蓄えられた電流は、ダイオードDmの順方向とは逆の電圧を発生するため、そのダイオードDmには逆電圧が印加される。
【0096】
リセット期間に逆電圧が最も大きく発生する条件は、Vc1即ちLED1a〜LED1eの順方向電圧降下の和がばらつきの最大値で、他のVc2,Vc3,Vc4、即ちLEDxa〜LEDxe(x=2〜4)の順方向電圧降下の和のばらつきの最小値の時などが考えられ、リセット期間ST2でのダイオードに逆電圧が印加されるのはダイオードD1のみである場合である。
【0097】
上記のような場合のダイオードD1の逆電圧は、
VD1=Vc1−Vns−Vn2+Vn1
となり、他の第2経路〜第4経路における順方向電圧は、
Vc2=Vns+Vn3−Vn2−Vf
Vc3=Vns+Vn4−Vn3−Vf
Vc4=Vns+Vn1−Vn4−Vf
である。従って、上記の3つの式から
Vn1−Vn2=Vc2+Vc3+Vc4−3Vns+3Vf
となり、ダイオードD1の逆方向電圧は、
VD1=Vc1+Vc2+Vc3+Vc4−4Vns+3Vfとなる。
【0098】
リセット期間ST2に逆耐圧がかかるダイオードの逆電圧は巻線電圧Vnsが正電圧である場合、小さくなることがわかる。
【0099】
図21に示す動作波形では、2次巻線の電流が正弦波状に流れ、ゼロになった後の期間ST2(バランストランスのリセット期間)もスイッチング素子QLをターンオフしていないので、2次巻線電圧Vnsは、リセット期間ST2には、僅かに電圧が下がっているが、ダイオードに電流が流れていた期間よりも僅かに電圧が下がっているだけである。このため、このわずかな電圧分をΔVとすると、VnsはVc−ΔVであり、
VD1=Vc1+Vc2+Vc3+Vc4−4Vns+3Vf
VD1=4Vc−4(Vc−ΔV)+3Vf=4ΔV+3Vf
であるから、ダイオードD1の逆電圧は低く抑えられる。即ち、インダクタンスL1(及びL2,L3,L4)を流れる電流がゼロになり、バランストランスT1a〜T4aのリセット期間が完了する時刻T3を過ぎた後、時刻T4でスイッチング素子QLをターンオフさせことで、ダイオードD1の逆電圧は低く抑えられる。
【0100】
図22は、本発明の実施例14に係る電流均衡化装置のスイッチング素子QLをバランストランスのリセット期間でターンオフした場合の各部の動作波形である。
【0101】
バランストランスT1a〜T4aのリセット期間ST2にスイッチング素子QLをターンオフすると、励磁インダクタンスLpに流れていた電流がダイオードDHに転流するので、トランスTの1次巻線電圧は巻き始めが負電圧となり、トランスTの2次巻線電圧の巻き始めも負電圧とになるので、VnsはトランスTの巻数比をNとすると、
Nns=−(Vin−Vcri)/N
となり、ダイオードD1の逆電圧は、
VD1=Vc1+Vc2+Vc3+Vc4+4(Vin−Vcri)/N+3Vfと、非常に大きな値となる。図22からもダイオードD1の電圧V(D1)が非常に大きいことがわかる。
【0102】
また、上記式からもわかるように、Vc1はLEDユニットの総Vf電圧(LEDのVf×直列接続数)とほぼ等しいので、LEDユニットの直列数が多くなると、ダイオードD1の逆電圧が大きくなることがわかる。
【0103】
LEDユニットの並列数を増やすと、高耐圧なダイオードが必要となり、あるいは、ダイオードの耐圧が制約される。このため、LEDユニットの直列数や並列数を増やすことができなくなる。従って、リセット期間ST2のスイッチング素子QL,QHのオンオフを制御して、バランストランスのリセットが終了した後、トランスの電圧を反転させる制御が非常に有効である。
【実施例15】
【0104】
図23は、本発明の実施例15に係る電流均衡化装置の構成図である。本発明はリセット期間が完了した後、スイッチング素子Q1をオンして電圧共振を終了することでダイオードD1の逆電圧を低くすることを特徴とする。
【0105】
図23に示す実施例15は、図10に示す実施例8に対して、トランスTを励磁インダクタンスLpと理想トランスに分割して記載し、巻線Nsの電流がゼロになった後に励磁インダクタンスLpと電圧共振する共振コンデンサCvをスイッチング素子Q1に並列接続し、バランストランスを理想トランスT1’と励磁インダクタンスL1に分けて記載した回路図である。なお、コンデンサCvはFET(スイッチング素子Q1)の寄生容量でも良い。実施例15では、トランスT1’の励磁インダクタンスL1のリセットとスイッチング素子Q1のオン制御を主として説明する。
【0106】
図24図は、本発明の実施例15の電流均衡化装置のスイッチング素子Q1がバランストランスT1’のリセット期間でターンオフした場合の各部の動作波形である。
【0107】
図24において、時刻t0以前はスイッチング素子Q1がオンであり、Npの巻始が−Vinの負電圧となるので、2次巻線Nsの巻始も負電圧となり、ダイオードD1、D2は逆方向電圧が印加されるので、2次巻線Nsには電流が流れない。従って、1次側の電流はVin→Lp→Q1→Vinの経路で電流が流れ、Lpにエネルギーが蓄えられている。
【0108】
時刻t0でスイッチング素子Q1がオフになると、励磁インダクタンスLpに蓄えられたエネルギーは、逆起電力を発生し、巻線Npの巻始を正電圧とする。従って、2次巻線Nsの巻始も正電圧となり、2次巻線に電流が流れる。1次側の電流はLp→Np→Lpの経路で流れ、2次側の電流はNs→N1→D1→C1→Nsの経路とNs→S1→D2→C2→Nsの経路とで流れる。平滑コンデンサC1,C2で平滑化された電流が、負荷LD1と負荷LD2とに流れる。
【0109】
実施例8で説明したように巻線N1と巻線S1は均衡化された電流が流れる。時刻t1で励磁インダクタンスLpに蓄えられたエネルギーはゼロになり巻線Nsに流れる電流I(NS)がゼロになる。期間ST2からST3では共振コンデンサCvに蓄えられたエネルギーが励磁インダクタンスLpと電圧共振する期間で、その電圧共振動作により巻線Npの電圧が緩やかに減少する。従って、巻線Nsの電圧も緩やかに減少するので、実施例14で示したようにダイオードD1,D2に印加される逆電圧が低減できる。また、時刻t3でスイッチング素子がオンすることで共振期間が終わる。期間ST2はトランスT1’の励磁インダクタンスL1のリセット期間である。
【0110】
一方、図25は実施例15に係る電流均衡化装置において、リセット期間が完了する前に時刻t2でスイッチング素子Q1をオンした動作波形であって、実施例8と同様に大きな逆電圧がダイオードD1に印加される。従って、実施例14で説明したようなダイオードの耐圧の問題が発生する。
【0111】
実施例15に係る電流均衡化装置では、ダイオードD1,D2にかかる逆電圧が小さくできるので、低耐圧なダイオードを利用でき、或いはダイオードを削除できるため、安価な電流均衡化装置が構成できる。
【実施例16】
【0112】
図26は、本発明の実施例16に係る電流均衡化装置の構成図である。図26に示す実施例16は、図23に示す実施例15に対して、励磁インダクタンスLpからの電流をトランスTを介さず取り出すことを特徴とする。動作は同様であるので、説明は割愛するが、実施例15と同等の効果が得られる。また、実施例1、6及び7に係る電流均衡化装置に比べ、電力供給手段におけるトランスTを削除することができるため、電流均衡化装置を安価に構成できる。
【実施例17】
【0113】
図27は、本発明の実施例17に係る電流均衡化装置の構成図である。図27に示す実施例17は、図26に示す実施例16に対して、励磁インダクタンスLpと電圧源Vinとスイッチング素子Q1の接続を変形したもので、実施例16と同様な効果が得られる。
【0114】
なお、実施例2〜5に示したバランストランス接続方法を相互に組み合わせて使用することもできる。また、実施例12及び13で示す電流検出手段を実施例3に示す閉ループの電流を検出するように構成しても良い。
【0115】
また、本発明の電流均衡化装置は、例えば、LED照明器具、LCD B/L(LCDバックライト)モジュール、LCD表示機器に適用することができる。
【0116】
LED照明器具は、商用交流電源からの交流電力を任意の交番電力に変換して交番電流を供給する電力変換装置と、電力変換装置の出力に接続され且つ1以上の巻線と1以上の整流素子と1以上のLED負荷とが直列に接続される複数の直列回路のそれぞれと1以上のLED負荷とを流れる電流が、1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化する電流均衡化装置とを備える。
【0117】
LCD B/Lモジュールは、LCDセルと、商用交流電源からの交流電力を任意の交番電力に変換して交番電流を供給する電力変換装置の出力に接続され且つ1以上の巻線と1以上の整流素子と前記LCDセルを光らせる1以上のLED負荷とが直列に接続される複数の直列回路のそれぞれと1以上のLED負荷とを流れる電流が、1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化する電流均衡化装置とを備える。
【0118】
LCD表示機器は、LCDセルと、商用交流電源からの交流電力を任意の交番電力に変換して交番電流を供給する電力変換装置と、電力変換装置の出力に接続され且つ1以上の巻線と1以上の整流素子とLCDセルを光らせる1以上のLED負荷とが直列に接続される複数の直列回路のそれぞれと1以上のLED負荷とを流れる電流が、1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化する電流均衡化装置とを備える。LCD表示機器は、テレビジョン、モニター、看板などに用いられる。
【実施例18】
【0119】
次に、実施例18の電流均衡化装置について説明する。バランストランスの電流を整流するために整流素子をバランストランスに接続すると、バランストランスのリセット時に逆起電力が発生し整流素子に大きな逆方向電圧を印加することがある。
【0120】
バランストランスに接続された整流素子は、整流電圧(整流コンデンサの電圧)が主トランスの2次巻線の電圧より低い場合、リセット時に整流素子をオンする方向に電流が流れるが、整流電圧(整流コンデンサの電圧)が主トランスの2次巻線の電圧より高い場合にはリセット時に整流素子に逆方向電圧を印加する方向に逆起電力が発生する。逆方向電圧の発生を低く抑えるためには、主回路の回路方式やその動作条件に制約を受け、主回路の効率の低下や、主回路のトランスが大きくなる。
【0121】
実施例18の電流均衡化装置は、バランストランスに直列接続された整流素子の逆方向電圧を低減する。図28は本発明の実施例18の電流均衡化装置の構成図である。実施例18の電流均衡化装置は、図1に示す電力供給手段10、図18に示す複数の直列回路と、ダイオードD5,D6を有している。
【0122】
複数の直列回路は、バランストランスT1(T2〜T4)の巻線N1,S1(N2,S2〜N4,S4)とダイオードD1(D2〜D4)とコンデンサC1(C2〜C4)との直列回路が並列に接続されている。コンデンサC1(C2〜C4)には抵抗Rsを介して並列に負荷LD1(LD2〜LD4)が接続されている。
【0123】
ダイオードD6のカソードは、バランストランスT1(T2〜T4)に接続され、ダイオードD6のアノードは、コンデンサC1(C2〜C4)に接続されている。ダイオードD5のアノードは、トランスTの2次巻線Nsの一端に接続され、ダイオードD5のカソードは、バランストランスT1(T2〜T4)に接続されている。
【0124】
実施例18の電流均衡化装置は、ダイオードD6を追加し、正巻線の2次巻線Nsが負電圧以下になった場合に、リセット電流をダイオードD6に流し、2次巻線Nsの電圧が負電圧となっても、リセット電圧をある一定の電圧に保ち、バランストランスT1(T2〜T4)に接続したダイオードD1(D2〜D4)の逆方向電圧を低く抑え、回路全体の高効率・小型化を図ることを特徴とする。
【0125】
次にこのように構成された実施例18の電流均衡化装置の動作を説明する。まず、リセット時の逆方向電圧は、バランストランスT1(T2〜T4)の励磁電流が蓄えられる方向によって発生する逆起電力の方向が変わる。定常状態では主回路のトランスTの2次巻線Nsの電圧はD1(D2〜D4)の電圧降下、即ち、バランストランスT1(T2〜T4)に接続したダイオードD1(D2〜D4)の整流電圧の平均値となる。
【0126】
従って、バランストランスT1(T2〜T4)がリセット時にダイオードD1(D2〜D4)に充電する方向に励磁電流が蓄えられる(順バイアス)場合と、リセット時にダイオードD1(D2〜D4)に逆方向電圧を発生するように励磁電流が蓄えられる(逆バイアス)場合がある。
【0127】
リセット時のバランストランスに直列接続されたダイオードの逆方向電圧の最大値Vrは、バランストランスと整流回路の並列数がN個並列接続された場合、バランストランスの接続方法に関わらず、1つの整流電圧が平均整流電圧VCより大きくて、他の整流電圧が平均整流電圧VCより小さい場合であり、
VC=(VC1+VC2+・・・・VCN)/Nとして
VC1>VC>VC2=VC3=・・・・=VCNのときである。
【0128】
このとき、コンデンサC1に直列接続されているダイオードD1の逆方向電圧Vr1は
Vr1=VC1+VC2+・・・・VCN−N・VNS+N・Vf ‥(1)
となる。VNSはトランスTの2次巻線NS間の電圧、Vfは整流素子の順方向電圧である。
【0129】
従って、逆方向電圧Vr1は、主回路の2次巻線Nsの巻線電圧によって変化し、特に主回路の2次巻線Nsの電圧(VNS)が負になったときに逆方向電圧Vr1は最大になる。即ち、バランストランスT1(T2〜T4)がリセット期間中にトランスTの2次巻線Nsの電圧が反転した場合に、大きな逆方向電圧Vr1が発生する。
【0130】
実施例18では、スイッチング素子Q1がオフのとき、トランスTの2次巻線NsからダイオードD5を介してバランストランスT1(T2〜T4)に電流が流れる。
【0131】
次に、スイッチング素子Q1がオンして、トランスTの2次巻線Nsの電圧が正電圧から反転して負電圧が発生した場合には、ダイオードD6を介してバランストランスT1(T2〜T4)にリセット電流が流れる。即ち、2次巻線Nsの負電圧をダイオードD6がオンすることで順方向電圧Vfでクランプする。
【0132】
なお、このとき、ダイオードD5が逆バイアス状態となるので、ダイオードD6からダイオードD5へ電流が流れない。即ち、ダイオードD5を設けることにより、スイッチング素子Q1がオン時に2次巻線Nsの短絡を防止できる。
【0133】
リセット時のバランストランスと整流回路の並列数がN個並列接続された場合の逆方向電圧の最大値Vrは、1つの整流電圧が平均整流電圧VCより大きくて、他の整流電圧が平均整流電圧VCより小さい場合であり、
VC=(VC1+VC2+・・・・VCN)/Nとして
VC1>VC>VC2=VC3=・・・=VCNのときである。
【0134】
このとき、コンデンサC1に直列接続されている整流素子の逆方向電圧Vr1は
Vr1=VC1+VC2+・・・・VCN+N・Vf
となる。即ち、ダイオードD5,D6を追加した後の回路は、ダイオードD5,D6を追加する前の回路と比較して、−N・VNS(VNSは負電圧)だけ小さい逆方向電圧Vr1で済む。従って、バランストランスT1(T2〜T4)に接続されたダイオードD1(D2〜D4)の耐圧が低くできる。また、主回路の回路方式やその動作条件或いは主回路のトランス構成に制約を受けないため、電源装置を小型、安価に構成することができる。
【0135】
なお、実施例18に係る電力供給手段10を、図9に示す電力供給手段10b、図18に示す電力供給手段10cに置き換えることができる。また、実施例18に係る複数の直列回路は、実施例1、実施例3から実施例5で示す複数の直列回路に適用することができる。
【実施例19】
【0136】
図29は本発明の実施例19の電流均衡化装置の構成図である。図29に示す実施例19は、図28に示す実施例18に対して、ダイオードD6のアノードと2次巻線Nsの他端とコンデンサC1(C2〜C4)に直流電源VRSを接続し、リセット電流をダイオードD6と直流電源VRSとに流すようにしたことを特徴とする。
【0137】
実施例19の電流均衡化装置によれば、逆方向電圧Vr1は、主回路の2次巻線Nsの巻線電圧によって変化し、特に主回路の2次巻線Nsの電圧(VNS)が負になったときに逆方向電圧Vr1は最大になる。
【0138】
実施例19では、スイッチング素子Q1がオンして、トランスTの2次巻線Nsの電圧が正電圧から反転して負電圧が発生した場合には、2次巻線Nsから電圧源VRSとダイオードD6を介してバランストランスT1(T2〜T4)にリセット電流が流れる。
【0139】
このとき、コンデンサC1に直列接続されているダイオードD1の逆方向電圧Vr1は
Vr1=VC1+VC2+・・・・VCN−N・VRS+N・Vf ‥(2)
となる。
【0140】
即ち、ダイオードD5,D6、直流電源VRSを追加する前の回路では、式(1)に示すように、−N・VNSであり、VNSは負電圧となるので、−N・VNSが正電圧となり、逆方向電圧Vrが大きくなる。
【0141】
これに対して、実施例19では、ダイオードD5,D6、直流電源VRSを追加した後の回路において、式(2)に示すように、−N・VRSであり、VRSは正電圧であるので、小さい逆方向電圧Vr1で済む。即ち、直流電源VRSの電圧分だけ逆方向電圧を低く抑えることができる。従って、バランストランスT1(T2〜T4)に接続されたダイオードD1(D2〜D4)の耐圧が低くできる。
【0142】
また、直流電源VRSを負荷LD1〜LD4の電圧VLD1〜VLDNの平均値より小さい値に設定することで、バランストランスに直列接続されたダイオードに印加される逆方向電圧を非常に小さくできる。
【0143】
従って、LEDユニットのLEDの直列数を増やせるので、バランストランスの数が少なくでき、LEDユニットの並列数を増加できるので、主トランスの数(主回路の数)を減らすことができる。このため、回路全体で大幅にコストを低減でき、安価なLED駆動装置を構成できる。
【0144】
なお、実施例19に係る電力供給手段10を、図9に示す電力供給手段10b、図18に示す電力供給手段10cに置き換えることができる。また、実施例19に係る複数の直列回路は、実施例1、実施例3から実施例5で示す複数の直列回路に適用することができる。
【実施例20】
【0145】
図30は本発明の実施例20の電流均衡化装置の構成図である。図30に示す実施例20は、図29に示す実施例19に対して、直流電源VRSの代わりに2次巻線Ns2の両端にダイオードD7とコンデンサC7との直列回路を設け、2次巻線Ns2の電圧をダイオードD7とコンデンサC7とで整流平滑して直流電圧を得るようにしたことを特徴とする。
【0146】
図30に示す実施例20は、図29に示す実施例19に対して、電力供給手段10の代わりに図18に示す電力供給手段10cを用い、トランスTの代わりにトランスTaを用いている。トランスTaは、1次巻線Npと、直列に接続された2次巻線Ns1と2次巻線Ns2とを有する。
【0147】
2次巻線Ns1の一端と2次巻線Ns2の一端とには、ダイオードD7のアノードが接続され、ダイオードD7のカソードはコンデンサC7を介して2次巻線Ns2の他端とコンデンサC1(C2〜C4)に接続されている。ダイオードD7のカソードとコンデンサC7の一端とはダイオードD6のアノードに接続され、ダイオードD6のカソードはバランストランスT1(T2〜T4)に接続されている。ダイオードD5のアノードは、2次巻線Ns1の他端に接続され、ダイオードD5のカソードは、バランストランスT1(T2〜T4)に接続されている。
【0148】
2次巻線Ns1の他端とダイオードD5のアノードとは、ダイオードD10のカソードに接続され、ダイオードD10のアノードは、抵抗Rsの一端とコンデンサC10の一端とに接続されている。コンデンサC10の他端は2次巻線Ns2の他端とコンデンサC1(C2〜C4)とに接続されている。
【0149】
以上の構成の実施例20によれば、スイッチング素子QLがオンからオフになると、トランスTの2次巻線Nsの電圧が正電圧から反転して負電圧が発生した場合には、コンデンサC7とダイオードD6を介してバランストランスT1(T2〜T4)にリセット電流が流れる。
【0150】
即ち、実施例20では、ダイオードD7とコンデンサC7とで直流電源VRSを生成しているので、実施例19と同様に、小さい逆方向電圧Vr1で済む。即ち、逆方向電圧の発生を低く抑えることができる。従って、バランストランスT1(T2〜T4)に接続されたダイオードD1(D2〜D4)の耐圧が低くできる。
【0151】
なお、実施例20に係る電力供給手段10cを、図9に示す電力供給手段10bに置き換えることができる。また、実施例18に係る複数の直列回路は、実施例1、実施例3から実施例5で示す複数の直列回路に適用することができる。
【実施例21】
【0152】
図31は本発明の実施例21の電流均衡化装置の構成図である。図31に示す実施例21は、電力供給手段10を有し、トランスTaの2次巻線Ns1の一端はバランストランスT1(T2〜T4)に接続され、2次巻線Ns2の一端には、ダイオードD10のアノードが接続され、ダイオードD10のカソードはコンデンサC10を介して2次巻線Ns2の他端に接続されている。ダイオードD10のカソードとコンデンサC10の一端はコンデンサC1〜C4に接続されている。2次巻線Ns1の他端はコンデンサC10及びコンデンサC1〜C4に接続されている。
【0153】
実施例21では、2次巻線Ns1にバランストランスT1(T2〜T4)とダイオードD1(D2〜D4)を直列に接続した複数の直列回路を接続し、2次巻線Ns2にダイオードD10とコンデンサC10とで構成される電圧源を直列に接続したことにより、バランストランスT1(T2〜T4)に接続したトランスTaの2次巻線Ns1,Ns2の巻数を小さくできる。即ち、上記式(1)の−N・VNSのVNSの電圧を小さくすることで、バランストランスT1(T2〜T4)に接続するダイオードD1(D2〜D4)の逆方向電圧を小さくできる。
【0154】
また、図19に示した電流均衡化装置では、負荷LD1はLED1a−LED1eのLEDユニット、負荷LD2はLED2a−LED2eのLEDユニット、負荷LD3はLED3a−LED3eのLEDユニット、負荷LD4はLED4a−LED4eのLEDユニットであり、バランストランスT1(T2〜T4)により定電流バランスされた電圧源はコンデンサC1〜C4の電圧であり、これらは、トランスTの2次巻線Nsの正電圧整流からなる。
【0155】
トランスTの2次巻線Nsの負電圧整流は、ダイオードD10とコンデンサC10とからなる電圧源を構成する。それぞれの負荷LD1(LD2〜LD4)は、コンデンサC1(C2〜C4)とコンデンサC10との直列回路に接続される。
【0156】
図19に示した電流均衡化装置のように、2次巻線Nsが1つでも、上述したように、正電圧整流と負電圧整流とに分けることで、バランストランスT1(T2〜T4)に接続されたダイオードD1(D2〜D4)の逆方向電圧を半分にすることができる。従って、バランストランスT1(T2〜T4)に接続されたダイオードD1(D2〜D4)の耐圧を低くできる。
【産業上の利用可能性】
【0157】
本発明は、例えば液晶ディスプレイのバックライトとして使用されるLEDを点灯させるためのLED点灯装置やLED照明に適用可能である。
【符号の説明】
【0158】
10,10a,10b,10c 電力供給手段
13 ローサイドドライバ
15 ハイサイドドライバ
Vin,VRS 直流電源
Q1,QL,QH スイッチング素子
D1,D2,D3,D4,D5,D6,D7,D10,DL,DH ダイオード
Cri 電流共振コンデンサ
T,Ta,T1〜T4 トランス
Np,N1〜N4 1次巻線
Ns,Ns1,Ns2,S1〜S4 2次巻線
Vref 基準電源
LD1〜LD4 負荷
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交番電流を出力する電力供給手段と、
前記電力供給手段の出力に接続され且つ1以上の巻線と1以上の整流素子と1以上の負荷とが直列に接続される複数の直列回路とを備え、
前記複数の直列回路のそれぞれを流れる電流が、前記1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化することを特徴とする電流均衡化装置。
【請求項2】
前記負荷が整流特性を有することを特徴とする請求項1記載の電流均衡化装置。
【請求項3】
前記交番電流が、正弦波状の半波電流であることを特徴とする請求項1又は2記載の電流均衡化装置。
【請求項4】
前記電力供給手段は、電圧源とスイッチとリアクトルと前記リアクトルと電圧共振する容量素子とを備え、前記電圧源に前記スイッチと前記リアクトルとが直列に接続され、前記スイッチがオン期間に前記リアクトルにエネルギーを蓄え、前記スイッチがオフ期間に前記リアクトルに蓄えたエネルギーを交番電流として出力し、前記容量素子は、供給する交番電流がゼロになった後に前記リアクトルと電圧共振するように接続され、電圧共振期間に前記複数の直列回路の前記1以上の巻線の励磁電流のリセットが完了した後に前記スイッチをオンさせることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電流均衡化装置。
【請求項5】
前記電力供給手段は、正弦波状の交番電流を供給するための直列共振回路と電圧源と複数のスイッチとを備え、前記複数の直列回路に供給する正弦波状の半波電流がゼロになり、前記1以上の巻線のリセットが完了した後に前記複数の直列回路に電流を供給している期間にオンしている前記スイッチをオフさせることを特徴とする請求項3記載の電流均衡化装置。
【請求項6】
前記交番電流を平滑化した電流が前記負荷に供給されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の電流均衡化装置。
【請求項7】
前記複数の直列回路に流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段で検出された電流検出値と基準値とを比較する比較手段と、
前記比較手段の出力に応じて前記交番電流を制御する制御回路と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の電流均衡化装置。
【請求項8】
前記複数の直列回路に並列に接続され且つ前記電力供給手段の出力と第1整流素子とが直列に接続された第1直列回路と、
前記複数の直列回路に並列に接続された第2整流素子と、
を有することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の電流均衡化装置。
【請求項9】
前記第2整流素子には直流電源が直列に接続され、前記第2整流素子と前記直流電源との直列回路が前記複数の直列回路に並列に接続されることを特徴とする請求項8記載の電流均衡化装置。
【請求項10】
前記直流電源は、前記電力供給手段の出力を整流平滑して直流電圧を得る整流平滑回路からなることを特徴とする請求項9記載の電流均衡化装置。
【請求項11】
前記複数の直列回路に並列に接続され且つ前記電力供給手段の出力両端に接続され、第1整流素子と第1容量素子とが直列に接続された第2直列回路を有することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の電流均衡化装置。
【請求項12】
1以上の巻線と1以上の整流素子と1以上の負荷とが直列に接続される複数の直列回路のそれぞれに流れる交番電流を、前記1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化することで、前記1以上の負荷に流れる電流を均衡化することを特徴とするマルチ負荷の電流均衡化方法。
【請求項13】
商用交流電源からの交流電力を任意の交番電力に変換して交番電流を供給する電力変換装置と、
前記電力変換装置の出力に接続され且つ1以上の巻線と1以上の整流素子と1以上のLED負荷とが直列に接続される複数の直列回路のそれぞれと前記1以上のLED負荷とを流れる電流が、前記1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化する電流均衡化装置と、
を備えることを特徴とするLED照明器具。
【請求項14】
LCDセルと、
商用交流電源からの交流電力を任意の交番電力に変換して交番電流を供給する電力変換装置の出力に接続され且つ1以上の巻線と1以上の整流素子と前記LCDセルを光らせる1以上のLED負荷とが直列に接続される複数の直列回路のそれぞれと前記1以上のLED負荷とを流れる電流が、前記1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化する電流均衡化装置と、
を備えることを特徴とするLCD B/Lモジュール。
【請求項15】
LCDセルと、
商用交流電源からの交流電力を任意の交番電力に変換して交番電流を供給する電力変換装置と、
前記電力変換装置の出力に接続され且つ1以上の巻線と1以上の整流素子と前記LCDセルを光らせる1以上のLED負荷とが直列に接続される複数の直列回路のそれぞれと前記1以上のLED負荷とを流れる電流が、前記1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化する電流均衡化装置と、
を備えることを特徴とするLCD表示機器。
【請求項1】
交番電流を出力する電力供給手段と、
前記電力供給手段の出力に接続され且つ1以上の巻線と1以上の整流素子と1以上の負荷とが直列に接続される複数の直列回路とを備え、
前記複数の直列回路のそれぞれを流れる電流が、前記1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化することを特徴とする電流均衡化装置。
【請求項2】
前記負荷が整流特性を有することを特徴とする請求項1記載の電流均衡化装置。
【請求項3】
前記交番電流が、正弦波状の半波電流であることを特徴とする請求項1又は2記載の電流均衡化装置。
【請求項4】
前記電力供給手段は、電圧源とスイッチとリアクトルと前記リアクトルと電圧共振する容量素子とを備え、前記電圧源に前記スイッチと前記リアクトルとが直列に接続され、前記スイッチがオン期間に前記リアクトルにエネルギーを蓄え、前記スイッチがオフ期間に前記リアクトルに蓄えたエネルギーを交番電流として出力し、前記容量素子は、供給する交番電流がゼロになった後に前記リアクトルと電圧共振するように接続され、電圧共振期間に前記複数の直列回路の前記1以上の巻線の励磁電流のリセットが完了した後に前記スイッチをオンさせることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電流均衡化装置。
【請求項5】
前記電力供給手段は、正弦波状の交番電流を供給するための直列共振回路と電圧源と複数のスイッチとを備え、前記複数の直列回路に供給する正弦波状の半波電流がゼロになり、前記1以上の巻線のリセットが完了した後に前記複数の直列回路に電流を供給している期間にオンしている前記スイッチをオフさせることを特徴とする請求項3記載の電流均衡化装置。
【請求項6】
前記交番電流を平滑化した電流が前記負荷に供給されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の電流均衡化装置。
【請求項7】
前記複数の直列回路に流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段で検出された電流検出値と基準値とを比較する比較手段と、
前記比較手段の出力に応じて前記交番電流を制御する制御回路と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の電流均衡化装置。
【請求項8】
前記複数の直列回路に並列に接続され且つ前記電力供給手段の出力と第1整流素子とが直列に接続された第1直列回路と、
前記複数の直列回路に並列に接続された第2整流素子と、
を有することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の電流均衡化装置。
【請求項9】
前記第2整流素子には直流電源が直列に接続され、前記第2整流素子と前記直流電源との直列回路が前記複数の直列回路に並列に接続されることを特徴とする請求項8記載の電流均衡化装置。
【請求項10】
前記直流電源は、前記電力供給手段の出力を整流平滑して直流電圧を得る整流平滑回路からなることを特徴とする請求項9記載の電流均衡化装置。
【請求項11】
前記複数の直列回路に並列に接続され且つ前記電力供給手段の出力両端に接続され、第1整流素子と第1容量素子とが直列に接続された第2直列回路を有することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の電流均衡化装置。
【請求項12】
1以上の巻線と1以上の整流素子と1以上の負荷とが直列に接続される複数の直列回路のそれぞれに流れる交番電流を、前記1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化することで、前記1以上の負荷に流れる電流を均衡化することを特徴とするマルチ負荷の電流均衡化方法。
【請求項13】
商用交流電源からの交流電力を任意の交番電力に変換して交番電流を供給する電力変換装置と、
前記電力変換装置の出力に接続され且つ1以上の巻線と1以上の整流素子と1以上のLED負荷とが直列に接続される複数の直列回路のそれぞれと前記1以上のLED負荷とを流れる電流が、前記1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化する電流均衡化装置と、
を備えることを特徴とするLED照明器具。
【請求項14】
LCDセルと、
商用交流電源からの交流電力を任意の交番電力に変換して交番電流を供給する電力変換装置の出力に接続され且つ1以上の巻線と1以上の整流素子と前記LCDセルを光らせる1以上のLED負荷とが直列に接続される複数の直列回路のそれぞれと前記1以上のLED負荷とを流れる電流が、前記1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化する電流均衡化装置と、
を備えることを特徴とするLCD B/Lモジュール。
【請求項15】
LCDセルと、
商用交流電源からの交流電力を任意の交番電力に変換して交番電流を供給する電力変換装置と、
前記電力変換装置の出力に接続され且つ1以上の巻線と1以上の整流素子と前記LCDセルを光らせる1以上のLED負荷とが直列に接続される複数の直列回路のそれぞれと前記1以上のLED負荷とを流れる電流が、前記1以上の巻線に生じる電磁力に基づき均衡化する電流均衡化装置と、
を備えることを特徴とするLCD表示機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公開番号】特開2010−225568(P2010−225568A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−106849(P2009−106849)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(000106276)サンケン電気株式会社 (982)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(000106276)サンケン電気株式会社 (982)
【Fターム(参考)】
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