説明

電流負荷駆動回路、集積回路装置、電子機器及び駆動方法

【課題】電流負荷の電流変化等に起因する悪影響を低減できる電流負荷駆動回路等の提供。
【解決手段】電流負荷駆動回路は、基準電流に基づいて基準電圧を生成して出力する電流電圧変換回路と、基準電圧に基づいて電流負荷に流れる電流を生成する電圧電流変換回路と、電圧電流変換回路又は電流電圧変換回路を制御する制御回路を含む。制御回路は、電流負荷に流れる電流がオフからオン又はオンからオフに変化する遷移期間における遷移開始後の第1の期間と、第1の期間に続く第2の期間とで、電流負荷に流れる電流の電流変化率が異なるように、電圧電流変換回路又は電流電圧変換回路を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流負荷駆動回路、集積回路装置、電子機器及び駆動方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)や有機エレクトルミネッセンス(有機EL素子)などの電流負荷を駆動する回路としては、特開2003−202830号公報に開示される従来技術が知られている。この従来技術では、オペアンプを用いた駆動トランジスタのゲート制御により、有機EL素子などの電流負荷に流れる電流を制御している。
【0003】
しかしながら、この従来技術では、電流負荷に流れる電流がオフからオン又はオンからオフになる遷移期間で発生する電磁誘導によるノイズの低減については、考慮されていなかった。このため、このノイズが、他のデバイスの動作等に悪影響を及ぼしてしまうという課題があった。
【特許文献1】特開2003−202830号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の幾つかの態様によれば、電流負荷の電流変化等に起因する悪影響を低減できる電流負荷駆動回路、集積回路装置、電子機器及び駆動方法等を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、電流負荷を駆動する電流負荷駆動回路であって、基準電流に基づいて基準電圧を生成して出力する電流電圧変換回路と、前記基準電圧に基づいて前記電流負荷に流れる電流を生成する電圧電流変換回路と、前記電圧電流変換回路又は前記電流電圧変換回路を制御する制御回路とを含み、前記制御回路は、前記電流負荷に流れる電流がオフからオン又はオンからオフに変化する遷移期間における遷移開始後の第1の期間と、前記第1の期間に続く第2の期間とで、前記電流負荷に流れる電流の時間に対する変化量である電流変化率が異なるように、前記電圧電流変換回路又は前記電流電圧変換回路を制御する電流負荷駆動回路に関係する。
【0006】
本発明の一態様によれば、基準電流に基づいて基準電圧が生成され、生成された基準電圧に基づき生成された電流を、電流負荷に流すことができる。また遷移期間における遷移開始後の第1の期間とそれに続く第2の期間とで、電流負荷に流れる電流の変化率が異なるように制御されるため、電流負荷の電流変化等に起因する悪影響の低減等が可能になる。
【0007】
また本発明の一態様では、前記制御回路は、前記第1の期間での電流変化率の方が、前記第2の期間での電流変化率よりも小さくなるように、前記電圧電流変換回路又は前記電流電圧変換回路を制御してもよい。
【0008】
このようにすれば、遷移開始後の第1の期間において、電流負荷の急激な電流変化を抑えることができ、ノイズ低減等が可能になる。
【0009】
また本発明の一態様では、前記制御回路は、前記第2の期間に続く第3の期間での電流変化率の方が、前記第2の期間での電流変化率よりも小さくなるように、前記電圧電流変換回路又は前記電流電圧変換回路を制御してもよい。
【0010】
このようにすれば、第2の期間に続く第3の期間において、電流負荷の急激な電流変化を抑えることができ、ノイズ低減等が可能になる。
【0011】
また本発明の一態様では、前記電圧電流変換回路又は前記電流電圧変換回路は、複数のユニットトランジスタにより構成され、前記電流負荷に流れる電流を設定するための電流設定トランジスタを含み、前記制御回路は、前記電流負荷に流れる電流がオフからオンに変化するオン遷移期間に設定された前記第1の期間では、前記電流設定トランジスタの前記複数のユニットトランジスタのうち電流供給能力が小さな複数の第1タイプのトランジスタを順次にオフからオンにし、前記オン遷移期間に設定された前記第2の期間では、前記複数のユニットトランジスタのうち前記第1タイプのトランジスタよりも電流供給能力が大きな複数の第2タイプのトランジスタを順次にオフからオンにしてもよい。
【0012】
このようにすれば、オン遷移期間の第1の期間において、電流供給能力が小さな複数の第1タイプのトランジスタが順次にオフからオンになるため、第1の期間での電流負荷の急激な電流変化等を抑えることが可能になる。
【0013】
また本発明の一態様では、前記電圧電流変換回路又は前記電流電圧変換回路は、複数のユニットトランジスタにより構成され、前記電流負荷に流れる電流を設定するための電流設定トランジスタを含み、前記制御回路は、前記電流負荷に流れる電流がオンからオフに変化するオフ遷移期間に設定された前記第1の期間では、前記電流設定トランジスタの前記複数のユニットトランジスタのうち電流供給能力が小さな複数の第1タイプのトランジスタを順次にオンからオフにし、前記オフ遷移期間に設定された前記第2の期間では、前記複数のユニットトランジスタのうち前記第1タイプのトランジスタよりも電流供給能力が大きな複数の第2タイプのトランジスタを順次にオンからオフにしてもよい。
【0014】
このようにすれば、オフ遷移期間の第1の期間において、電流供給能力が小さな複数の第1タイプのトランジスタが順次にオフからオンになるため、第1の期間での電流負荷の急激な電流変化等を抑えることが可能になる。
【0015】
また本発明の一態様では、前記制御回路は、前記電流負荷に流れる最大電流を制限する最大電流制限モードが設定された場合には、前記複数の第2タイプのトランジスタのうちの少なくとも1つのトランジスタを常時オフに設定してもよい。
【0016】
このようにすれば、複数の第2タイプのトランジスタのうちの少なくとも1つのトランジスタを常時オフに設定するだけで、電流負荷の最大電流を制限することが可能になる。
【0017】
また本発明の一態様では、前記電圧電流変換回路又は前記電流電圧変換回路は、複数のユニットトランジスタにより構成され、前記電流負荷に流れる電流を設定するための電流設定トランジスタを含み、前記制御回路は、前記第1の期間では、長い第1の時間間隔で前記電流設定トランジスタの前記複数のユニットトランジスタのうちの第1のトランジスタ群を順次にオフからオン又はオンからオフにし、前記第2の期間では、前記第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔で前記複数のユニットトランジスタのうちの第2のトランジスタ群を順次にオフからオン又はオンからオフにしてもよい。
【0018】
このようにすれば、遷移期間の第1の期間において、長い第1の時間間隔で、電流設定トランジスタを構成する第1のトランジスタ群が順次にオフからオン又はオンからオフになるため、第1の期間での電流負荷の急激な電流変化等を抑えることが可能になる。
【0019】
また本発明の一態様では、前記電流電圧変換回路は、第1のカレントミラー回路を構成するセンス側の第1のトランジスタとミラー側の第2のトランジスタのうち、前記第1のトランジスタにより構成され、前記電圧電流変換回路は、前記第1のカレントミラー回路のミラー側の前記第2のトランジスタと、前記第1のカレントミラー回路の出力電流に応じた入力電流が入力される第2のカレントミラー回路を構成するセンス側の第3のトランジスタ及びミラー側の第4のトランジスタとにより構成されてもよい。
【0020】
このようにすれば、第1、第2のトランジスタのゲートの共通接続ノードである電圧経路において、第1、第2のカレントミラー回路の全体を分割することが可能になり、寄生素子の悪影響等を低減することが可能になる。
【0021】
また本発明の一態様では、前記制御回路は、前記第2のトランジスタの電流供給能力を制御することで、前記電流負荷に流れる電流を制御してもよい。
【0022】
このようにすれば、第2のトランジスタの電流供給能力を制御することで、第3、第4のトランジスタに流れる電流を制御し、電流負荷に流れる電流を制御できるようになる。
【0023】
また本発明の一態様では、前記電流電圧変換回路は、第1のカレントミラー回路を構成するセンス側の第1のトランジスタ及びミラー側の第2のトランジスタと、前記第1のカレントミラー回路の出力電流に応じた入力電流が入力される第2のカレントミラー回路を構成するセンス側の第3のトランジスタとにより構成され、前記電圧電流変換回路は、前記第2のカレントミラー回路を構成するミラー側の第4のトランジスタにより構成されてもよい。
【0024】
このようにすれば、第3、第4のトランジスタのゲートの共通接続ノードである電圧経路において、第1、第2のカレントミラー回路の全体を分割することが可能になり、寄生素子の悪影響等を低減することが可能になる。
【0025】
また本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載の電流負荷駆動回路を含む集積回路装置に関係する。
【0026】
また本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載の電流負荷駆動回路を含み、前記電流負荷の駆動トランジスタとなる前記第4のトランジスタが、前記電流負荷を接続するための電流負荷接続用I/Oセルに配置される集積回路装置に関係する。
【0027】
このようにすれば、電流負荷接続用I/Oセルの配置エリアを有効活用して、駆動トランジスタとなる第4のトランジスタをレイアウト配置できるようになる。
【0028】
また本発明の他の態様では、前記駆動トランジスタが、前記電流負荷接続用I/Oセルの高耐圧領域に配置されてもよい。
【0029】
このようにすれば、第4のトランジスタの静電破壊等を防止できる。
【0030】
また本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載の電流負荷駆動回路を含み、前記第1のカレントミラー回路の前記第2のトランジスタと、前記第2のカレントミラー回路の前記第3のトランジスタ及び前記第4のトランジスタが、前記電流負荷を接続するための電流負荷接続用I/Oセルに配置される集積回路装置に関係する
このようにすれば、電流負荷接続用I/Oセルの配置エリアを有効活用して、第1のカレントミラー回路の第2のトランジスタと、第2のカレントミラー回路の第3、第4のトランジスタをレイアウト配置できるようになる。
【0031】
また本発明の他の態様では、前記第1のカレントミラー回路の前記第1のトランジスタが、電流源を接続するための電流源接続用I/Oセルに配置され、前記第1のトランジスタのゲートに接続され電圧経路となる信号配線により、前記電流源接続用I/Oセルと前記電流負荷接続用I/Oセルとが接続されてもよい。
【0032】
このようにすれば、電圧経路となる信号配線により、電流源接続用I/Oセルと電流負荷接続用I/Oセルを接続できるため、寄生素子の悪影響等を低減することが可能になる。
【0033】
また本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載の電流負荷駆動回路を含み、前記第1のカレントミラー回路の前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタと、前記第2のカレントミラー回路の前記第3のトランジスタが、電流源を接続するための電流源接続用I/Oセルに配置され、前記第2のカレントミラー回路の前記第4のトランジスタが、前記電流負荷を接続するための電流負荷接続用I/Oセルに配置される集積回路装置に関係する。
【0034】
このようにすれば、電流源接続用I/Oセルの配置エリアを有効活用して、第1のカレントミラー回路の第1、第2のトランジスタと第2のカレントミラー回路の第3のトランジスタをレイアウト配置し、電流負荷接続用I/Oセルの配置エリアを有効活用して、第2のカレントミラー回路の第4のトランジスタをレイアウト配置できるようになる。
【0035】
また本発明の他の態様では、前記第3のトランジスタのゲートに接続され電圧経路となる信号配線により、前記電流源接続用I/Oセルと前記電流負荷接続用I/Oセルとが接続されてもよい。
【0036】
このようにすれば、電圧経路となる信号配線により、電流源接続用I/Oセルと電流負荷接続用I/Oセルを接続できるため、寄生素子の悪影響等を低減することが可能になる。
【0037】
また本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載された集積回路装置を含む電子機器に関係する。
【0038】
また本発明の他の態様は、電流負荷を駆動する駆動方法であって、基準電流に基づいて基準電圧を生成し、生成された前記基準電圧に基づいて前記電流負荷に流れる電流を生成し、前記電流負荷に流れる電流がオフからオン又はオンからオフに変化する遷移期間における遷移開始後の第1の期間と、前記第1の期間に続く第2の期間とで、前記電流負荷に流れる電流の時間に対する変化量である電流変化率が異なるように、前記電流負荷に流れる電流を制御する駆動方法に関係する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0040】
1.電流負荷駆動回路
図1に本実施形態の電流負荷駆動回路の構成例を示す。この電流負荷駆動回路は、制御回路10と電流電圧変換回路20と、電圧電流変換回路22を含む。なお、本実施形態の電流負荷駆動回路は図1に構成に限定されず、その接続関係を変更したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。また以下では、電流負荷が発光ダイオードである場合を例にとり説明するが、本実施形態の駆動回路の駆動対象は発光ダイオードには限定されず、例えば有機EL素子等の種々の電流負荷に適用できる。
【0041】
電流電圧変換回路(I/V変換回路)20は、基準電流IRに基づいて基準電圧VRを生成して出力する。具体的には電流電圧変換回路20は、電流源(基準電流源)ISに流れる基準電流IRを基準電圧VRに変換(電流電圧変換)して、電圧電流変換回路22に出力する。
【0042】
電圧電流変換回路(V/I変換回路)22は、生成された基準電圧VRに基づいて発光ダイオードLED(広義には電流負荷)に流れる電流ILを生成する。具体的には電圧電流変換回路22は、電流電圧変換回路20からの基準電圧VRを電流ILに変換(電流電圧変換)し、変換により得られた電流ILがLEDに流れることで、LEDが発光するようになる。
【0043】
制御回路10は電圧電流変換回路22を制御する。例えば電圧電流変換回路22は、LEDに流れる電流ILを設定するための電流設定トランジスタを有する。そしてこの電流設定トランジスタは複数のユニットトランジスタにより構成される。制御回路10は、これらの複数のユニットトランジスタのオン・オフ制御を行うことで、電流設定トランジスタの電流供給能力(ベータ)を制御し、LEDに流れる電流ILを制御する。
【0044】
なお図1では制御回路10が電圧電流変換回路22を制御する場合について示しているが、後述するように制御回路10が電流電圧変換回路20を制御するようにしてもよい。この場合には電流電圧変換回路20が、複数のユニットトランジスタにより構成される電流設定トランジスタを有し、制御回路10は、これらの複数のユニットトランジスタのオン・オフ制御を行うことで、電流設定トランジスタの電流供給能力を制御し、LEDに流れる電流ILを制御する。
【0045】
そして本実施形態では制御回路10は、LED(電流負荷)のオン・オフの遷移期間における第1の期間と、第2の期間とで、LEDに流れる電流の電流変化率が異なるように、電圧電流変換回路22(又は電流電圧変換回路20)を制御する。具体的には、例えば第1の期間での電流変化率の方が第2の期間での電流変化率よりも小さくなるように電圧電流変換回路22(又は電流電圧変換回路20)を制御する。或いは、制御回路10は、第2の期間と、第3の期間とで、LEDに流れる電流の電流変化率が異なるように制御する。例えば第3の期間での電流変化率が第2の期間での電流変化率よりも小さくなるように制御する。
【0046】
ここで遷移期間(過渡応答期間)は、LEDに流れる電流(駆動トランジスタ)がオフからオン又はオンからオフに変化する期間である。また第1の期間は、例えば遷移開始後(遷移開始直後)の期間であり、第2の期間は第1の期間に続く期間であり、第3の期間は第2の期間に続く期間である。また電流変化率は、例えばLED(電流負荷)に流れる電流の時間に対する変化量(離散的な変化量)である。
【0047】
図1の構成によれば、電流電圧変換回路20が、基準電流IRに基づいて基準電圧VRを生成して、電圧電流変換回路22が、生成された基準電圧VRに応じた電流ILを生成し、この電流ILがLEDに流れる。従って、基準電流IRに応じた電流ILをLEDに流すことが可能になる。また基準電圧VRが出力される配線は、電圧経路であるため、集積回路装置上で引き回すことが可能になる。従って、例えば1つの基準電流IRを用いて、複数の電流負荷を駆動することも可能になる。また電流負荷のオン・オフの遷移期間における第1の期間と、第2の期間とで、電流負荷に流れる電流の変化率が異なるように制御されるため、電流が急激に流れることに起因するノイズ等を低減できる。
【0048】
図2に電流電圧変換回路20、電圧電流変換回路22の具体的な構成例を示す。なお電流電圧変換回路20、電圧電流変換回路22は図2の構成に限定されるものではなく、その接続関係を変更したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。例えば第1、第2のカレントミラー回路の間に別のカレントミラー回路を設けてもよい。即ち電流電圧変換回路20は、少なくとも基準電流を基準電圧に変換する機能を有すればよく、電圧電流変換回路22は、少なくとも基準電圧に基づいてLEDに流れる電流を生成する機能を有すればよい。
【0049】
図2では、センス側のトランジスタT1とミラー側のトランジスタT2により第1のカレントミラー回路31が構成される。具体的にはP型のトランジスタT1は、VDD(広義には第2の電源)と電流源ISとの間に設けられ、そのゲート及びドレインがノードN1に接続される。P型のトランジスタT2は、そのソースにVDDが供給され、そのゲートにノードN1が接続される。このようにトランジスタT1、T2はゲートが共通接続される。
【0050】
またセンス側のトランジスタT3とミラー側のトランジスタT4により第2のカレントミラー回路32が構成される。この第2のカレントミラー回路32は、第1のカレントミラー回路31の出力電流IBに応じた入力電流が入力される。そして当該入力電流のミラー電流ILがLEDに流れ、LEDが点灯するようになる。具体的にはN型のトランジスタT3は、電流IBの出力ノードとVSS(広義には第1の電源)との間に設けられ、そのゲート及びドレインがノードN2に接続される。N型のトランジスタT4は、そのソースにVSSが供給され、そのゲートにノードN2が接続される。このようにトランジスタT3、T4はゲートが共通接続される。またトランジスタT4は、LEDの駆動トランジスタとして機能する。
【0051】
例えばトランジスタT1に対するトランジスタT2のベータ比をβ12とし、トランジスタT3に対するトランジスタT4のβ比をβ34とする。すると、IB=β12×IRとなり、IL=β34×IBになるため、IL=β12×β34×IRになる。従って、ベータ比β12、β34、を設定することで、電流源ISに流れる電流IRの(β12×β34)倍の電流ILをLED(トランジスタT4)に流すことが可能になる。
【0052】
そして図2では電流電圧変換回路20は、第1のカレントミラー回路31を構成するセンス側のトランジスタT1とミラー側のトランジスタT2のうち、トランジスタT1により構成される。一方、電圧電流変換回路22は、第1のカレントミラー回路31のミラー側のトランジスタT2と、第2のカレントミラー回路32を構成するセンス側のトランジスタT3及びミラー側のトランジスタT4により構成される。
【0053】
そして制御回路10は、例えば電圧電流変換回路22を制御することで、LEDに流れる電流ILを制御する。具体的には、電流設定トランジスタであるトランジスタT2の電流供給能力(ベータ、ゲート幅)を制御することで、電流ILを制御する。
【0054】
例えば図2において、電流IRが流れる経路や、電流IBが流れる経路や、電流ILが流れる経路は電流経路である。一方、トランジスタT1、T2のゲートを接続するノードN1の経路や、トランジスタT3、T4のゲートを接続するノードN2の経路は電圧経路である。
【0055】
上述のIR、IB、ILの電流経路では、内部配線の長さが長くなると、内部配線に伴う寄生抵抗や寄生容量により回路の動作特性が低下する。一方、ノードN1、N2の電圧経路では、その経路の終端は極めて高い抵抗値で終端されているとみなせるので、経路に寄生する抵抗の影響はほとんど無視することができ、内部配線の長さが長くなっても回路の動作特性が低下するおそれはほとんどない。
【0056】
そこで図2では、第1、第2のカレントミラー回路31、32の分割位置(分離位置)を、ノードN1等の電圧経路に設定している。このようにすれば、後述するようにこのノードN1の信号配線を集積回路装置上で引き回した場合にも、電流経路の配線を引き回す場合に比べて、回路の動作特性の悪化を最小限に抑えることが可能になる。
【0057】
さて本実施形態では、制御回路10は、第2のカレントミラー回路32のトランジスタT2(電流設定トランジスタ)の電流供給能力を制御することで、LEDに流れる電流ILを制御している。
【0058】
なおトランジスタT2ではなくトランジスタT4を電流設定トランジスタとしてその電流供給能力を制御してもよい。或いはトランジスタT3やT1を電流設定トランジスタとしてその電流供給能力を制御することも可能である。但しトランジスタT1を電流設定トランジスタにすると、基準電流IRも変化してしまうため、後述するように共通の基準電流を用いて複数の電流負荷を駆動する場合に、各電流負荷毎に個別の大きさの電流を設定することが難しくなる。またトランジスタT4は、トランジスタサイズが大きく、高耐圧のトランジスタで構成されることが望ましいため、トランジスタT4を電流設定トランジスタにすると、回路面積が大きくなってしまうなどの問題がある。またトランジスタT3を電流設定トランジスタとすると、電流制御が若干複雑になるという問題がある。
【0059】
図3に、トランジスタT2等の電流設定トランジスタの具体的な構成例を示す。図3では電流設定トランジスタは、複数のユニットトランジスタTA1〜TA4、TB1〜TB4、TC1〜TC4により構成される。これらのユニットトランジスタTA1〜TC4は、VDD(第2の電源)とノードN1との間に並列に設けられている。即ちこれらのP型のユニットトランジスタTA1〜TC4の並列接続によりT2等の電流設定トランジスタが構成される。
【0060】
具体的には図3では、トランジスタTA1のゲートとノードN1の間に、トランスファーゲートTGA1(スイッチ素子)が設けられている。また、そのドレインがトランジスタTA1のゲートに接続されるプルアップ用のP型のトランジスタTUA1が設けられている。
【0061】
そして制御回路10からのスイッチ信号Q1がHレベル(アクティブ)になると、トランスファーゲートTGA1がオンになる。これによりトランジスタTA1のゲートとノードN1が電気的に接続され、TA1が第1のカレントミラー回路31のミラー側トランジスタとして機能するようになる。即ちノードN1に出力される基準電圧VRに応じた電流がトランジスタTA1に流れるようになる。なお、この時、プルアップ用のトランジスタTUA1はオフになっている。
【0062】
一方、制御回路10からのスイッチ信号Q1がLレベル(非アクティブ)になると、トランスファーゲートTGA1がオフになり、トランジスタTA1のゲートとノードN1が電気的に非接続になる。またプルアップ用のトランジスタTUA1がオンになるため、トランジスタTA1のゲートはVDDの電位に固定され、トランジスタTA1がオフ状態に設定される。
【0063】
このように図3では、スイッチ信号Q1がHレベルになると、トランジスタTA1のゲートとノードN1が接続され、TA1がミラー側トランジスタとして機能するようになる。一方、スイッチ信号Q1がLレベルになると、トランジスタTA1のゲートとノードN1が非接続になり、TA1はミラー側トランジスタとして機能しなくなる。このときプルアップ用のトランジスタTUA1によりトランジスタTA1のゲートがVDDに設定されるため、TA1のゲート電位が不安定になって不要な電流が流れてしまう事態を防止できる。
【0064】
また図3では、トランスファーゲートTGA1は、電流経路ではなく電圧経路に設けられている。従って、トランスファーゲートTGA1の寄生抵抗が回路動作に悪影響を及ぼすことがないという利点もある。
【0065】
図3に示す他のトランジスタTA2〜TA4、TB1〜TB4、TC1〜TC4においても、そのゲートとノードN1の間にトランスファーゲートTGA2〜TGA4、TGB1〜TGB4、TGC1〜TGC4が設けられる。また、そのゲートにプルアップ用のトランジスタTUA2〜TUA4、TUB1〜TUB4、TUC1〜TUC4が接続される。そしてこれらのトランスファーゲートTGA2〜TGC4、プルアップ用のトランジスタTUA2〜TUC4は、制御回路10からのスイッチ信号Q2〜Q12により、トランスファーゲートTGA1、プルアップ用のトランジスタTUA1と同様に制御される。
【0066】
このように図3では、制御回路10は、スイッチ信号Q1〜Q12により、電流設定トランジスタを構成するユニットトランジスタTA1〜TC4のゲートとノードN1の間の接続・非接続を制御する。これにより、電流設定トランジスタに流れる電流IBを設定して、LEDの駆動電流ILを制御できる。
【0067】
即ち、TA1〜TC4のうちノードN1にそのゲートが接続されるユニットトランジスタの個数が増えると、電流設定トランジスタであるT2の電流供給能力が増加し、電流IBが増える。そして図2のトランジスタT3とT4の間のベータ比をβ34とすると、IL=β34×IBの関係が成り立つ。従って、トランジスタT2の電流供給能力が増加し、電流IBが増えると、LEDの駆動電流ILも増えることになる。逆に、ノードN1にそのゲートが接続されるユニットトランジスタの個数が減り、トランジスタT2の電流供給能力が減少し、電流IBが減ると、LEDの駆動電流ILも減ることになる。
【0068】
そして図3では、電流設定トランジスタを構成する複数のユニットトランジスタとして、第1タイプのトランジスタTA1〜TA4及びTC1〜TC4と、第2タイプのトランジスタTB1〜TB4が設けられる。
【0069】
ここで第1タイプのトランジスタTA1〜TA4及びTC1〜TC4は、第2タイプのトランジスタTB1〜TB4よりも電流供給能力(ベータ)が小さなトランジスタになっている。例えばTA1〜TA4及びTC1〜TC4の方がTB1〜TB4よりもゲート幅(W)が小さくなっている。
【0070】
なお、電流設定トランジスタを構成するユニットトランジスタの個数や種類は、図3に限定されない。例えばユニットトランジスタの個数を図3よりも多くしたり、少なくしたり、第1タイプ及び第2タイプの一方のタイプのトランジスタのみを設けるなどの種々の変形実施が可能である。
【0071】
例えば図4に電流設定トランジスタを構成するユニットトランジスタのレイアウト配置例を示す。図4に示すように第1タイプのトランジスタTA1〜TA4は、D1方向(第1の方向)に沿って並んで配置される。第2タイプのトランジスタTB1〜TB4は、TA1〜TA4のD1方向の領域に、D1方向に沿って並んで配置される。またD1方向に直交する方向をD2方向(第2の方向)とし、D1方向、D2方向の反対方向をD3方向(第3の方向)、D4方向(第4の方向)とした場合に、第1タイプのトランジスタTC1〜TC4は、TA1〜TA4のD2方向であってTB1〜TB4のD3方向の領域に、D1方向に沿って並んで配置される。
【0072】
また図4では、第1タイプのトランジスタのゲート幅の総和が、1つの第2タイプのトランジスタのゲート幅と等しくなっている。具体的には、トランジスタTA1、TA2、TA3、TA4のゲート幅を、各々、WA1、WA2、WA3、WA4とし、TB1〜TB4の各トランジスタのゲート幅をWBとした場合に、WB=WA1+WA2+WA3+WA4が成り立つ。なおトランジスタTC1、TC2、TC3、TC4のゲート幅WC1、WC2、WC3、WC4は、各々、トランジスタTA4、TA3、TA2、TA1のゲート幅WA4、WA3、WA2、WA1と等しくなっている。
【0073】
図4に示すように、第1タイプのトランジスタTA1〜TA4、TC1〜TC4のゲート幅WA1〜WA4、WC1〜WC4は、第2タイプのトランジスタTB1〜TB4のゲート幅WBよりも小さくなっており、電流供給能力が小さくなっている。
【0074】
なおゲート長などの他の素子パラメータを用いてユニットトランジスタの電流供給能力を異ならせてもよい。また、全てのユニットトランジスタの電流供給能力を同じにする変形実施も可能である。
【0075】
例えばLEDに流れる電流ILがオフからオンになる期間(駆動トランジスタTRがオフからオンになる期間)をオン遷移期間とし、オンからオフになる期間をオフ遷移期間とする。
【0076】
この場合に制御回路10は、オン遷移期間における第1の期間では、電流供給能力が小さな第1タイプのトランジスタTA1〜TA4を順次にオフからオンにする。例えばTA1、TA2、TA3、TA4の順にオフからオンにする。具体的にはTA1をオフからオンにした後、TA2をオフからオンにし、次にTA3をオフからオンにし、その後にTA4をオフからオンにする。
【0077】
またオン遷移期間における第2の期間では、電流供給能力が大きな第2タイプのトランジスタTB1〜TB4を順次にオフからオンにする。例えばTB1、TB2、TB3、TB4の順にオフからオンにする。
【0078】
そしてオン遷移期間における第3の期間では、電流供給能力が小さな第1タイプのトランジスタTC1〜TC4を順次にオフからオンにする。例えばTC1、TC2、TC3、TC4の順にオフからオンにする。
【0079】
また制御回路10は、オフ遷移期間における第1の期間では、電流供給能力が小さな第1タイプのトランジスタTC4〜TC1を順次にオンからオフにする。例えばTC4、TC3、TC2、TC1の順にオンからオフにする。
【0080】
またオフ遷移期間における第2の期間では、電流供給能力が大きな第2タイプのトランジスタTB4〜TB1を順次にオンからオフにする。例えばTB4、TB3、TB2、TB1の順にオンからオフにする。
【0081】
そしてオフ遷移期間における第3の期間では、電流供給能力が小さな第1タイプのトランジスタTA4〜TA1を順次にオンからオフにする。例えばTA4、TA3、TA2、TA1の順にオンからオフにする。
【0082】
2.動作
次に本実施形態の電流負荷駆動回路の動作について図5を用いて更に詳細に説明する。図5は、LEDに流れる電流波形IWVとスイッチ信号Q1〜Q12の波形例を示している。
【0083】
図5に示すようにオン遷移期間TONの第1の期間T1Rでは、スイッチ信号Q1〜Q4が順次にLレベル(広義には非アクティブ)からHレベル(広義にはアクティブ)になる。これにより電流供給能力が小さな第1タイプのトランジスタTA1〜TA4が順次にオフからオンになり、A1に示すようにLEDに流れる電流が小さな電流変化率で増加する。即ち図4に示すようにトランジスタTA1〜TA4のゲート幅WA1〜WA4は短いため、これらの各トランジスタがオフからオンになったときの電流変化量は小さく、第1の期間T1Rでの電流変化率は小さくなる。
【0084】
またオン遷移期間TONの第2の期間T2Rでは、スイッチ信号Q5〜Q8が順次にLレベルからHレベルになる。これにより電流供給能力が大きな第2タイプのトランジスタTB1〜TB4が順次にオフからオンになり、A2に示すようにLEDに流れる電流が大きな電流変化率で増加する。即ち図4に示すようにトランジスタTB1〜TB4のゲート幅WBは長いため、これらの各トランジスタがオフからオンになったときの電流変化量は大きく、第2の期間T2Rでの電流変化率は大きくなる。
【0085】
またオン遷移期間TONの第3の期間T3Rでは、スイッチ信号Q9〜Q12が順次にLレベルからHレベルになる。これにより、電流供給能力が小さな第1タイプのトランジスタTC1〜TC4が順次にオフからオンになり、A3に示すようにLEDに流れる電流が小さな電流変化率で増加する。即ち図4に示すようにトランジスタTC1〜TC4のゲート幅WC1〜WC4は短いため、これらの各トランジスタがオフからオンになったときの電流変化量は小さく、第3の期間T3Rでの電流変化率は小さくなる。
【0086】
またオフ遷移期間TOFFの第1の期間T1Fでは、スイッチ信号Q12〜Q9が順次にHレベルからLレベルになる。これにより電流供給能力が小さな第1タイプのトランジスタTC4〜TC1が順次にオンからオフになり、A4に示すようにLEDに流れる電流が小さな電流変化率で減少する。
【0087】
またオフ遷移期間TOFFの第2の期間T2Fでは、スイッチ信号Q8〜Q5が順次にHレベルからLレベルになる。これにより電流供給能力が大きな第2タイプのトランジスタTB4〜TB1が順次にオンからオフになり、A5に示すようにLEDに流れる電流が大きな電流変化率で減少する。
【0088】
またオフ遷移期間TOFFの第3の期間T3Fでは、スイッチ信号Q4〜Q1が順次にHレベルからLレベルになる。これにより、電流供給能力が小さな第1タイプのトランジスタTA4〜TA1が順次にオンからオフになり、A6に示すようにLEDに流れる電流が小さな電流変化率で減少する。
【0089】
以上に説明した本実施形態によれば、A1、A4に示す第1の期間T1R、T1Fでの電流変化率と、A2、A5に示す第2の期間T2R、T2Fでの電流変化率が異なっている。具体的には、第1の期間T1R、T1Fでの電流変化率の方が第2の期間T2R、T2Fに比べて小さくなっている。またA3、A5に示す第3の期間T3R、T3Fでの電流変化率と、A2、A5に示す第2の期間T2R、T2Fでの電流変化率も異なっている。具体的には、第3の期間T3R、T3Fでの電流変化率の方が第2の期間T2R、T2Fに比べて小さくなっている。
【0090】
即ちオン遷移期間TONやオフ遷移期間TOFFの遷移開始の直後においては、A1、A4に示すように電流量が小さく、電流がゆっくりと変化し、その後にA2、A5に示すように電流量が増える。またオン遷移期間TONやオフ遷移期間TOFFの遷移終了の直前においては、A3、A6に示すように電流量が小さくなる。即ち、電流波形IWVがS字波形になるような電流制御を行っている。このようにすることで、LEDに対して急激に電流が流れることで発生するEMIノイズを低減することができ、他のデバイスの誤動作等を防止できる。即ち、LEDに急激な電流が流れると、電流負荷駆動信号線に隣接する信号線に対して、電磁誘導が発生し、当該信号線に大きなノイズが発生するおそれがあるが、本実施形態によれば、このようなノイズを十分に低減できる。
【0091】
例えば、このような急激な電流変化を緩和するために、コンデンサ等の容量負荷を電流負荷駆動信号線の近傍に配置する手法も考えられる。しかしながら、この手法では、コンデンサ等を別に実装しなければならないため、高コスト化や実装の繁雑化等を招く。またコンデンサ等の容量負荷では、CR波形になるため、図5に示すようなS字電流制御は実現できない。このため、急激な電流変化によるノイズを十分に低減することができないという問題がある。
【0092】
例えば図6(A)、図6(B)にLEDのアノード電流の測定結果を示す。図6(A)は本実施形態の手法を用いない比較例の手法の例であり、図6(B)は本実施形態の手法の例である。図6(A)、図6(B)では、LEDのアノード側と電源との間にShunt抵抗を挿入し、LEDに流入する電流を、Shunt抵抗の両端の電位差として測定している。
【0093】
図5のようなS字電流制御を行わない比較例の手法では、図6(A)のB1に示すような急激な電流変動が生じているが、本実施形態の手法を用いることで、図6(B)のB2に示すように急激な電流変動がほぼ消滅している。B2に示すような緩やかな電流変動であれば、隣接信号線にノイズが発生するのを防止でき、適切なEMI対策を実現できる。
【0094】
なお本実施形態の電流制御手法は図5に限定されない。例えば図7に他の電流制御手法による電流波形IWVの例を示す。
【0095】
図7では、C1に示すようにオン遷移期間TONの開始直後(電流の立ち上がり直後)の第1の期間T1Rでの電流変化率は小さくなっているが、C2、C3に示すように、それに続く第2、第3の期間T2R、T3Rでの電流変化率は小さくなっていない。またC4に示すようにオフ遷移期間TOFFの開始直後(電流の立ち下がり直後)の第1の期間T1Fでの電流変化率は小さくなっているが、C5、C6に示すように、それに続く第2、第3の期間T2F、T3Fでの電流変化率は小さくなっていない。
【0096】
即ち、図6(A)等で説明したノイズの多くは、オン遷移期間TONやオフ遷移期間TOFFの開始直後における急激な電流変化を原因として発生する。従って、C1、C4に示すようにこの開始直後の期間での電流変化率を小さくすることで、このようなノイズの多くを低減できる。そして、C2、C3、C5、C6での電流変化率を大きくすることで、LEDに所望電流が流れるまでの時間を短くすることが可能になる。
【0097】
なお図4で説明したようにトランジスタTA1〜TA4のゲート幅の総和であるWA1+WA2+WA3+WA4は、TB1〜TB4の各トランジスタのゲート幅WBと等しくなっている。従って、C7のタイミングでスイッチ信号Q9〜Q12を一斉にHレベル(アクティブ)にして、トランジスタTC1〜TC4を一斉にオンにすることで、C3に示す第3の期間T3Rでの電流変化率を、C2に示す第2の期間T2Rでの電流変化率と等しくすることが可能になる。同様にC8のタイミングでスイッチ信号Q1〜Q4を一斉にLレベル(非アクティブ)にして、トランジスタTC1〜TC4を一斉にオフにすることで、C6に示す第3の期間T3Fでの電流変化率を、C5に示す第2の期間T2Fでの電流変化率と等しくすることが可能になる。
【0098】
図8は、最大電流の制限モードでの電流波形IWVの例である。例えばLEDにフルに電流が流れるのが望ましくない場合があり、この場合にはLEDに流れる最大電流を制限するモードに設定する。この最大電流制限モードに設定されると、制御回路10は、複数の第2タイプのトランジスタTB1〜TB4のうちの少なくとも1つのトランジスタを常時オフに設定する。
【0099】
例えば図8のE1では、最大電流制限モードにより、スイッチ信号Q6、Q7、Q8により制御される第2タイプのトランジスタTB2、TB3、TB4が、常時オフに設定される。そしてスイッチ信号Q5がHレベルになってトランジスタTB1がオンになった後は、次にスイッチ信号Q9がHレベルになってトランジスタTC1がオンになる。このようにトランジスタTB2〜TB4がオンにならないことで、E2に示すように第2の期間T2Rでの総電流変化量が小さくなる。これによりE3に示すようにLEDに流れる最大電流を制限でき、図5に比べて最大電流を小さくすることが可能になる。
【0100】
この場合に本実施形態では、トランジスタTB1〜TB4のうち、常時オフにするトランジスタの個数を可変に設定できるようにしている。このようにすることで、ユーザが所望する大きさの最大電流に設定できるようになり、ユーザの利便性を向上できる。
【0101】
なお本実施形態の電流制御手法は図5、図7、図8に限定されず、種々の変形実施が可能である。例えばオン遷移期間TON及びオフ遷移期間TOFFのいずれか一方のみで、図5に示すようなS字電流制御や、図7に示すような遷移期間開始直後での電流の低減制御(以下、遷移開始時電流制御と呼ぶ)を行うようにしてもよい。
【0102】
また図5、図7、図8では、図4に示すようにユニットトランジスタの電流供給能力を異ならせることで、S字電流制御や遷移開始時電流制御を実現しているが、本実施形態はこれに限定されない。例えば図9に示すように、ユニットトランジスタのオン・オフの時間間隔を異ならせることで、S字電流制御や遷移開始時電流制御を実現してもよい。
【0103】
図9では制御回路10は、第1の期間T1R、T1Fでは、長い第1の時間間隔IT1で複数のユニットトランジスタのうちの第1のトランジスタ群を順次にオフからオン又はオンからオフにする。一方、第2の期間T2R、T2Fでは、第1の時間間隔IT1よりも短い第2の時間間隔IT2で複数のユニットトランジスタのうちの第2のトランジスタ群を順次にオフからオン又はオンからオフにする。
【0104】
具体的には例えばトランジスタTA1〜TA4、TB1〜TB4、TC1〜TC4として、同じ電流供給能力(ゲート幅等)のトランジスタを用いる。
【0105】
そして図9のF1に示すようにオン遷移期間TONの第1の期間T1Rでは、長い第1の時間間隔IT1で、トランジスタTA1〜TA4(第1のトランジスタ群)を順次にオフからオンにする。一方、図9のF2に示すようにオン遷移期間TONの第2の期間T2Rでは、短い第2の時間間隔IT2で、トランジスタTB1〜TB4(第2のトランジスタ群)を順次にオフからオンにする。
【0106】
また図9のF3に示すようにオフ遷移期間TOFFの第1の期間T1Fでは、長い第1の時間間隔IT1で、トランジスタTC4〜TC1(第1のトランジスタ群)を順次にオンからオフにする。一方、図9のF4に示すようにオフ遷移期間TOFFの第2の期間T2Fでは、短い第2の時間間隔IT2で、トランジスタTB4〜TB1(第2のトランジスタ群)を順次にオンからオフにする。
【0107】
このようにすれば、同じ電流供給能力のユニットトランジスタを用いて、図5、図7、図8と同様のS字電流制御や遷移開始時電流制御を実現できる。なお図4に示すようなユニットトランジスタの電流供給能力を異ならせ手法と、図9に示すようなユニットトランジスタのオン・オフの時間間隔を異ならせる手法を組み合わせる変形実施も可能である。
【0108】
3.制御回路
図10(A)に制御回路10の構成例を示す。図10(A)の制御回路10は、第1、第2、第3の双方向シフトレジスタ(アップダウンカウンタ)11、12、13を含む。
【0109】
第1の双方向シフトレジスタ11は、トランジスタTA1〜TA4のオン・オフ制御のためのスイッチ信号Q1〜Q4を出力する。第2の双方向シフトレジスタ12は、トランジスタTB1〜TB4のオン・オフ制御のためのスイッチ信号Q5〜Q8を出力する。第3の双方向シフトレジスタ13は、トランジスタTC1〜TC4のオン・オフ制御のためのスイッチ信号Q9〜Q12を出力する。
【0110】
例えば図5のオン遷移期間TONでは、第1、第2、第3の双方向シフトレジスタ11、12、13が、Q1からQ12へと向かうDIR1方向でのデータのシフト動作(カウントアップ動作)を行う。これにより図5に示すように、オン遷移期間TONではスイッチ信号Q1〜Q12が順次にLレベルからHレベルに変化し、A1、A2、A3に示すような電流制御が実現される。
【0111】
一方、オフ遷移期間TOFFでは、第1、第2、第3の双方向シフトレジスタ11、12、13が、Q12からQ1へと向かうDIR2方向でのデータのシフト動作(カウントダウン動作)を行う。これにより図5に示すように、オフ遷移期間TOFFではスイッチ信号Q12〜Q1が順次にHレベルからLレベルに変化し、A4、A5、A6に示すような電流制御が実現される。
【0112】
また第2の双方向シフトレジスタ12には、最大電流の設定信号LIMITが入力される。この設定信号LIMITにより、図8のE1に示すように常時オフになるトランジスタが設定される。例えば設定信号LIMITにより、トランジスタTB1〜TB4のうち常時オフになるトランジスタの個数が設定され、これにより最大電流が可変に制御される。例えば第2の双方向シフトレジスタ12は、制御信号LIMITにより、常時オフになるトランジスタの個数が1個に設定された場合には、例えば信号Q8をLレベル(非アクティブ)に固定し、2個に設定された場合には信号Q7、Q8をLレベルに固定する。また3個に設定された場合には信号Q6、Q7、Q8をLレベルに固定し、4個に設定された場合には信号Q5、Q6、Q7、Q8をLレベルに固定する。
【0113】
図10(B)に双方向レジスタ(アップダウンカウンタ)の回路構成例を示す。例えば初段のフリップフロップDF1の出力は、セレクタSL2の第1の入力端子を介して2段目のフリップフロップDF2に入力される。2段目のフリップフロップDF2の出力は、セレクタSL3の第1の入力端子を介して3段目のフリップフロップDF3に入力される。3段目のフリップフロップDF3の出力は、セレクタSL4の第1の入力端子を介して4段目のフリップフロップDF4に入力される。
【0114】
一方、2段目のフリップフロップDF2の出力は、セレクタSL1の第2の入力端子を介して初段のフリップフロップDF1に入力される。なおセレクタSL1の第1の入力端子は例えばVDDに設定される。3段目のフリップフロップDF3の出力は、セレクタSL2の第2の入力端子を介して2段目のフリップフロップDF2に入力される。4段目のフリップフロップDF4の出力は、セレクタSL3の第2の入力端子を介して3段目のフリップフロップDF3に入力される。
【0115】
そしてセレクタSL1〜SL4は、方向設定信号DRに基づいて第1、第2の入力端子のいずれか一方を選択して、出力信号を出力する。例えばオン遷移期間TONでは、セレクタSL1〜SL4は第1の入力端子側を選択する。これにより図10(A)の方向DIR1でのシフト動作が可能になる。一方、オフ遷移期間TOFFでは、セレクタSL1〜SL4は第2の入力端子側を選択する。これにより図10(A)の方向DIR2でのシフト動作が可能になる。
【0116】
4.第2の構成例
図11に電流電圧変換回路20、電圧電流変換回路22の第2の構成例を示す。図11では、電流電圧変換回路20は、第1のカレントミラー回路31を構成するセンス側のトランジスタT1及びミラー側のトランジスタT2と、第2のカレントミラー回路32を構成するセンス側のトランジスタT3により構成される。一方、電圧電流変換回路22は、第2のカレントミラー回路32を構成するミラー側のトランジスタT4により構成される。
【0117】
そして制御回路10は、電圧電流変換回路22又は電流電圧変換回路20を制御することで、LEDに流れる電流ILを制御する。具体的には、電流設定トランジスタであるトランジスタT4又はT2の電流供給能力を制御することで電流ILを制御する。
【0118】
このように図11では、第1、第2のカレントミラー回路31、32の分割位置(分離位置)を、ノードN2の電圧経路に設定している。このようにすれば、ノードN2の信号配線を集積回路装置上で引き回した場合にも、電流経路の配線を引き回す場合に比べて、回路の動作特性の悪化を最小限に抑えることが可能になる。
【0119】
図12に、トランジスタT4を電流設定トランジスタとした場合の具体的な構成例を示す。図12に示すようにトランジスタT4は、複数のユニットトランジスタTA1〜TA4、TB1〜TB4、TC1〜TC4により構成される。
【0120】
そして図12においても、図3と同様に、トランジスタTA1〜TA4、TB1〜TB4、TC1〜TC4に対応して、そのゲートとノードN2の間にトランスファーゲートTGA1〜TGA4、TGB1〜TGB4、TGC1〜TGC4が設けられる。また、そのゲートにプルダウン用のトランジスタTWA1〜TWA4、TWB1〜TWB4、TWC1〜TWC4が接続される。そしてこれらのトランスファーゲートTGA1〜TGC4、プルダウン用のトランジスタTWA1〜TWC4は、制御回路10からのスイッチ信号Q2〜Q12により制御される。
【0121】
5.集積回路装置
次に本実施形態の電流負荷駆動回路を適用した集積回路装置について説明する。
【0122】
図13に、本実施形態の電流負荷駆動回路を半導体基板上に形成して集積回路装置を構成した場合の例を示す。この集積回路装置は、LED(電流負荷)を接続するための電流負荷接続用のI/Oセル(出力回路)60を含む。そして電流負荷の駆動トランジスタであるトランジスタT4は、この電流負荷接続用のI/Oセル60に配置される。例えばトランジスタT4はI/Oセル60の高耐圧領域に配置される。
【0123】
具体的には図13では、第1のカレントミラー回路31のトランジスタT2と、第2のカレントミラー回路32のトランジスタT3及びT4が、I/Oセル60に配置される。またI/Oセル60にはパッドP2(電流負荷接続用端子)も設けられている。
【0124】
また図13の集積回路装置は、第1のカレントミラー回路31のトランジスタT1が配置されるI/Oセル50(入力回路)を含むことができる。このI/Oセル50は、例えば外部の電流源ISを接続するための電流源接続用のI/Oセルであり、電流源ISを接続するためのパッドP1(電流源接続用端子)が設けられている。
【0125】
図14に本実施形態の集積回路装置のレイアウト配置例を示す。図14に示すように電流源ISを接続するためのI/Oセル50が、集積回路装置のI/O領域に配置されている。また、赤用のLEDR、G用のLEDG、B用のLEDBを接続するためのI/Oセル60R、60G、60Bが、集積回路装置のI/O領域に配置されている。そして図14では、電圧経路となる信号配線N1Lにより、I/Oセル50と、電流負荷接続用のI/Oセル60R、60G、60Bが接続されている。
【0126】
ここで信号配線N1Lは、図13のトランジスタT1のゲートに接続されるノードN1の信号配線であり、電圧経路となる配線である。即ち図13では、第1のカレントミラー回路31と第2のカレントミラー回路32の全体をI/Oセル50とI/Oセル60で分割し、その分割位置を、第1のカレントミラー回路31の電圧経路上であるノードN1に設定している。
【0127】
例えば図13のIR、IB、ILの電流経路では、内部配線の長さが長くなると、内部配線に伴う寄生抵抗や寄生容量により回路の動作特性が低下する。一方、ノードN1、N2の電圧経路では、極めて高い抵抗値で終端されているとみなせるので、経路に寄生する抵抗の影響はほとんど無視することができ、回路の動作特性が低下するおそれはほとんどない。
【0128】
そこで図13では、第1、第2のカレントミラー回路31、32の分割位置を、ノードN1等の電圧経路に設定している。そして図14に示すように、このノードN1の信号配線N1Lにより、I/Oセル50とI/Oセル60R、60G、60Bとを接続する。このようにすれば、回路の動作特性の悪化を最小限に抑えながら、第1、第2のカレントミラー回路31、32により実現される電流負荷駆動回路を、ゲートアレイ等の集積回路装置に実装できるようになる。
【0129】
特に図13、図14では、第1、第2のカレントミラー回路31、32のトランジスタとして、I/Oセル50、60(60R、60G、60B)に配置されるトランジスタを有効利用している。従って、集積回路装置のコア回路を無駄に使用することなく、第1、第2のカレントミラー回路31、32による電流負荷駆動回路を実現できる。即ち、第1、第2のカレントミラー回路31、32の各トランジスタが設けられるI/Oセル50、60を用意するだけで、LEDの駆動コントローラの機能を集積回路装置に持たせることが可能になる。
【0130】
また図13、図14では、基準電流に基づき生成された基準電圧VRが、I/Oセル50から信号配線N1Lを介してI/Oセル60R、60G、60Bに伝達される。従って、基準電圧VRを生成する図1の電流電圧変換回路20を、I/Oセル60R、60G、60Bで共用できる。そして3色の各LEDR、LEDG、LEDBに流れる電流(最大電流)については、I/Oセル60R、60G、60Bの配置トランジスタで実現される電圧電流変換回路22により個別に制御できる。即ち、例えば赤用のLEDRだけを、他のG用、B用のLEDG、LEDBよりも明るく点灯させるなどの制御が可能になり、ユーザの利便性を向上できる。
【0131】
図15にI/Oセル60のレイアウト配置例を示す。図15のI/Oセル60は、高耐圧領域と低耐圧領域を有し、この高耐圧領域に、LEDの駆動トランジスタであるトランジスタT4が配置される。一方、第1のカレントミラー回路31のトランジスタT2や第2のカレントミラー回路32のトランジスタT3は、例えI/Oセル60の低耐圧領域に配置される。
【0132】
即ち駆動トランジスタT4は、そのドレインがパッドP2に接続される。従って、静電気等に対する耐性が高いトランジスタであることが望ましい。この点、図15では、例えばN型のオープンドレイのトランジスタと同様に、駆動トランジスタT4が高耐圧領域に配置されるため、静電気等に対する耐性を高めることができる。また、トランジスタT2、T3等を、I/Oセル60に配置することで、集積回路装置のコア回路を無駄に使用することなく電流負荷駆動回路を実現できる。
【0133】
次に本実施形態の集積回路装置の種々の変形実施例について図16、図17、図18を用いて説明する。
【0134】
図16の第1の変形例は、図11の第2の構成例を集積回路装置に適用した場合の例である。例えば図13では、ノードN1の電圧経路上で第1、第2のカレントミラー回路31、32をレイアウト的に分割しているが、図16では、ノードN2の電圧経路上で分割している。
【0135】
具体的には図16では、第1のカレントミラー回路31のトランジスタT1及びT2と、第2のカレントミラー回路32のトランジスタT3が、I/Oセル50に配置される。そしてI/Oセル60には駆動トランジスタT4が配置される。そして図16の場合には、トランジスタT3のゲートに接続され電圧経路となる信号配線により、電流源接続用のI/Oセル50と電流負荷接続用のI/Oセル60(60R、60G、60B)とが接続されることになる。図16においても、分割位置を電圧経路上に設定しているため、回路の動作特性の劣化を最小限に抑えながら、第1、第2のカレントミラー回路31、32により実現される電流負荷駆動回路を集積回路装置に実装できるようになる。
【0136】
なお図16の場合にも、第2のカレントミラー回路32の駆動トランジスタT4が、図15に示すI/Oセル60の高耐圧領域に配置されることになる。
【0137】
図17の第2の変形例では、トランジスタT1のゲートとドレインの間に静電保護用の抵抗素子RPを設けている。このような抵抗素子RPを設けることで、パッドP1からの静電気により、トランジスタT1、T2のゲートが破壊されてしまう事態を防止できる。
【0138】
例えば比較例の手法として、静電保護用の抵抗素子RPを、基準電流IRの電流経路上に設ける手法も考えられる。しかしながら、この手法では、第1のカレントミラー回路31の入力電流である基準電流IRが抵抗素子RPに流れてしまうため、抵抗素子RPが原因となって回路特性が悪化してしまう。
【0139】
これに対して図17では、抵抗素子RPはこのような電流経路上に設けられていない。従って、回路特性の悪化を防止しながら、第1のカレントミラー回路31のトランジスタT1、T2の静電破壊も防止できるという利点がある。
【0140】
なお静電保護用の抵抗素子RPは例えば、I/Oセル50内に形成される静電保護用の不純物層(例えばN+の拡散層)などにより実現できる。
【0141】
図18の第3の変形例では、集積回路装置内に設けられた抵抗素子RSにより電流源を実現している。具体的には、電源VSSが供給されるパッドPVSSと、第1のカレントミラー回路31のトランジスタT1のドレインとの間に、電流源用の抵抗素子RSを設ける。このようにすることで、外部に電流源が無い場合にも、抵抗素子RSを用いた簡易的な電流源により、第1のカレントミラー回路31に入力される基準電流IRを生成できるようになる。また、この場合には、電流源接続用のI/Oセル50を設ける必要はなく、例えばトランジスタT1を集積回路装置の内部コア回路のトランジスタにより実現してもよい。
【0142】
また、抵抗素子RSは、トランジスタT1とトランジスタT2のゲートの電源VSSに対する静電保護用の抵抗として機能するため、抵抗素子RSに静電保護用の機能を持たせてもよい。
【0143】
6.電子機器
図19に本実施形態の集積回路装置100を用いた電子機器の構成例を示す。図19は、電子機器が、スキャナーや、スキャナー機能を有するプリンタである場合の構成例である。但し本実施形態はこれに限定されず、LEDや有機EL素子等の電流負荷が用いられる種々の電子機器に適用できる。
【0144】
図19において、集積回路装置100はLEDコントローラ機能を有し、LEDを駆動する。この集積回路装置100には本実施形態の電流負荷駆動回路が設けられている。操作部110は、ユーザが各種の入力を行うためのものであり、例えば操作ボタンやタッチパネルディスプレイにより実現される。CPU(処理部)120は電子機器の全体を制御するものであり、集積回路装置100は例えばCPU120の制御の下で種々の処理を行う。RAM130はCPU120や集積回路装置100のワーク領域となるメモリである。CCDコントローラ(撮像コントローラ)140は、CCD(ラインセンサ)の制御を行うものであり、CCDに対して種々の制御信号を出力したり、CCDで読み取られた画像信号のアナログフロントエンド回路として機能する。
【0145】
図19の電子機器では、例えばラインセンサであるCCDにより原稿画像を読み取る際に、LEDが点灯する。そして原稿からの反射光をCCDで検知することで、カラーの画像データを取得する。
【0146】
このような原稿画像の読み取りの際におけるLEDの点灯時に、LEDに急激な電流が流れることによるノイズがCCDに伝達されると、読み取り画像の品質が低下する。
【0147】
この点、本実施形態の電流制御手法によれば、S字電流制御等を行うことで、ノイズの発生を大幅に低減できる。従って、このようなノイズを原因とする読み取り画像の品質低下を効果的に防止できる。
【0148】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語(電流負荷、第1の電源、第2の電源等)と共に記載された用語(LED、VSS、VDD等)は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本発明の範囲に含まれる。また電流負荷駆動回路、集積回路装置、電子機器の構成・動作や、電流制御手法等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】本実施形態の電流負荷駆動回路の構成例。
【図2】電流電圧変換回路、電圧電流変換回路の構成例。
【図3】電流設定トランジスタの具体的な構成例。
【図4】ユニットトランジスタのレイアウト配置例。
【図5】本実施形態の電流制御手法により実現される電流波形の例。
【図6】図6(A)、図6(B)はLEDに流れる電流の測定結果の例。
【図7】本実施形態の電流制御手法により実現される電流波形の他の例。
【図8】本実施形態の電流制御手法により実現される電流波形の他の例。
【図9】本実施形態の電流制御手法により実現される電流波形の他の例。
【図10】図10(A)、図10(B)は制御回路の構成例。
【図11】電流電圧変換回路、電圧電流変換回路の第2の構成例。
【図12】電流設定トランジスタの具体的な構成例。
【図13】本実施形態を適用した集積回路装置の例。
【図14】本実施形態を適用した集積回路装置の例。
【図15】I/Oセルのレイアウト配置例。
【図16】本実施形態を適用した集積回路装置の変形例。
【図17】本実施形態を適用した集積回路装置の変形例。
【図18】本実施形態を適用した集積回路装置の変形例。
【図19】電子機器の構成例。
【符号の説明】
【0150】
LED 発光ダイオード(電流負荷)、T1〜T4 トランジスタ、
TA1〜TA4、TB1〜TB4、TC1〜TC4 ユニットトランジスタ、
10 制御回路、11 第1の双方向シフトレジスタ、
12 第2の双方向シフトレジスタ、13 第3の双方向シフトレジスタ、
20 電流電圧変換回路、22 電圧電流変換回路、
31 第1のカレントミラー回路、32 第2のカレントミラー回路、
50 電流源接続用のI/Oセル、60 電流負荷接続用のI/Oセル、
100 集積回路装置、110 操作部、120 CPU、130 RAM、
140 CCDコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流負荷を駆動する電流負荷駆動回路であって、
基準電流に基づいて基準電圧を生成して出力する電流電圧変換回路と、
前記基準電圧に基づいて前記電流負荷に流れる電流を生成する電圧電流変換回路と、
前記電圧電流変換回路又は前記電流電圧変換回路を制御する制御回路と、
を含み、
前記制御回路は、
前記電流負荷に流れる電流がオフからオン又はオンからオフに変化する遷移期間における遷移開始後の第1の期間と、前記第1の期間に続く第2の期間とで、前記電流負荷に流れる電流の時間に対する変化量である電流変化率が異なるように、前記電圧電流変換回路又は前記電流電圧変換回路を制御することを特徴とする電流負荷駆動回路。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御回路は、
前記第1の期間での電流変化率の方が、前記第2の期間での電流変化率よりも小さくなるように、前記電圧電流変換回路又は前記電流電圧変換回路を制御することを特徴とする電流負荷駆動回路。
【請求項3】
請求項2において、
前記制御回路は、
前記第2の期間に続く第3の期間での電流変化率の方が、前記第2の期間での電流変化率よりも小さくなるように、前記電圧電流変換回路又は前記電流電圧変換回路を制御することを特徴とする電流負荷駆動回路。
【請求項4】
請求項2又は3において、
前記電圧電流変換回路又は前記電流電圧変換回路は、
複数のユニットトランジスタにより構成され、前記電流負荷に流れる電流を設定するための電流設定トランジスタを含み、
前記制御回路は、
前記電流負荷に流れる電流がオフからオンに変化するオン遷移期間に設定された前記第1の期間では、前記電流設定トランジスタの前記複数のユニットトランジスタのうち電流供給能力が小さな複数の第1タイプのトランジスタを順次にオフからオンにし、
前記オン遷移期間に設定された前記第2の期間では、前記複数のユニットトランジスタのうち前記第1タイプのトランジスタよりも電流供給能力が大きな複数の第2タイプのトランジスタを順次にオフからオンにすることを特徴とする電流負荷駆動回路。
【請求項5】
請求項2又は3において、
前記電圧電流変換回路又は前記電流電圧変換回路は、
複数のユニットトランジスタにより構成され、前記電流負荷に流れる電流を設定するための電流設定トランジスタを含み、
前記制御回路は、
前記電流負荷に流れる電流がオンからオフに変化するオフ遷移期間に設定された前記第1の期間では、前記電流設定トランジスタの前記複数のユニットトランジスタのうち電流供給能力が小さな複数の第1タイプのトランジスタを順次にオンからオフにし、
前記オフ遷移期間に設定された前記第2の期間では、前記複数のユニットトランジスタのうち前記第1タイプのトランジスタよりも電流供給能力が大きな複数の第2タイプのトランジスタを順次にオンからオフにすることを特徴とする電流負荷駆動回路。
【請求項6】
請求項4又は5において、
前記制御回路は、
前記電流負荷に流れる最大電流を制限する最大電流制限モードが設定された場合には、前記複数の第2タイプのトランジスタのうちの少なくとも1つのトランジスタを常時オフに設定することを特徴とする電流負荷駆動回路。
【請求項7】
請求項2又は3において、
前記電圧電流変換回路又は前記電流電圧変換回路は、
複数のユニットトランジスタにより構成され、前記電流負荷に流れる電流を設定するための電流設定トランジスタを含み、
前記制御回路は、
前記第1の期間では、長い第1の時間間隔で前記電流設定トランジスタの前記複数のユニットトランジスタのうちの第1のトランジスタ群を順次にオフからオン又はオンからオフにし、前記第2の期間では、前記第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔で前記複数のユニットトランジスタのうちの第2のトランジスタ群を順次にオフからオン又はオンからオフにすることを特徴とする電流負荷駆動回路。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかにおいて、
前記電流電圧変換回路は、
第1のカレントミラー回路を構成するセンス側の第1のトランジスタとミラー側の第2のトランジスタのうち、前記第1のトランジスタにより構成され、
前記電圧電流変換回路は、
前記第1のカレントミラー回路のミラー側の前記第2のトランジスタと、前記第1のカレントミラー回路の出力電流に応じた入力電流が入力される第2のカレントミラー回路を構成するセンス側の第3のトランジスタ及びミラー側の第4のトランジスタとにより構成されることを特徴とする電流負荷駆動回路。
【請求項9】
請求項8において、
前記制御回路は、
前記第2のトランジスタの電流供給能力を制御することで、前記電流負荷に流れる電流を制御することを特徴とする電流負荷駆動回路。
【請求項10】
請求項1乃至7のいずれかにおいて、
前記電流電圧変換回路は、
第1のカレントミラー回路を構成するセンス側の第1のトランジスタ及びミラー側の第2のトランジスタと、前記第1のカレントミラー回路の出力電流に応じた入力電流が入力される第2のカレントミラー回路を構成するセンス側の第3のトランジスタとにより構成され、
前記電圧電流変換回路は、
前記第2のカレントミラー回路を構成するミラー側の第4のトランジスタにより構成されることを特徴とする電流負荷駆動回路。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の電流負荷駆動回路を含むことを特徴とする集積回路装置。
【請求項12】
請求項8乃至10のいずれかに記載の電流負荷駆動回路を含み、
前記電流負荷の駆動トランジスタとなる前記第4のトランジスタが、前記電流負荷を接続するための電流負荷接続用I/Oセルに配置されることを特徴とする集積回路装置。
【請求項13】
請求項12において、
前記駆動トランジスタが、前記電流負荷接続用I/Oセルの高耐圧領域に配置されることを特徴とする集積回路装置。
【請求項14】
請求項8又は9に記載の電流負荷駆動回路を含み、
前記第1のカレントミラー回路の前記第2のトランジスタと、前記第2のカレントミラー回路の前記第3のトランジスタ及び前記第4のトランジスタが、前記電流負荷を接続するための電流負荷接続用I/Oセルに配置されることを特徴とする集積回路装置。
【請求項15】
請求項14において、
前記第1のカレントミラー回路の前記第1のトランジスタが、電流源を接続するための電流源接続用I/Oセルに配置され、
前記第1のトランジスタのゲートに接続され電圧経路となる信号配線により、前記電流源接続用I/Oセルと前記電流負荷接続用I/Oセルとが接続されることを特徴とする集積回路装置。
【請求項16】
請求項10に記載の電流負荷駆動回路を含み、
前記第1のカレントミラー回路の前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタと、前記第2のカレントミラー回路の前記第3のトランジスタが、電流源を接続するための電流源接続用I/Oセルに配置され、
前記第2のカレントミラー回路の前記第4のトランジスタが、前記電流負荷を接続するための電流負荷接続用I/Oセルに配置されることを特徴とする集積回路装置。
【請求項17】
請求項16において、
前記第3のトランジスタのゲートに接続され電圧経路となる信号配線により、前記電流源接続用I/Oセルと前記電流負荷接続用I/Oセルとが接続されることを特徴とする集積回路装置。
【請求項18】
請求項11乃至17のいずれかに記載された集積回路装置を含むことを特徴とする電子機器。
【請求項19】
電流負荷を駆動する駆動方法であって、
基準電流に基づいて基準電圧を生成し、
生成された前記基準電圧に基づいて前記電流負荷に流れる電流を生成し、
前記電流負荷に流れる電流がオフからオン又はオンからオフに変化する遷移期間における遷移開始後の第1の期間と、前記第1の期間に続く第2の期間とで、前記電流負荷に流れる電流の時間に対する変化量である電流変化率が異なるように、前記電流負荷に流れる電流を制御することを特徴とする駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−118973(P2010−118973A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−291704(P2008−291704)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】