電源システム及び画像形成装置
【課題】スイッチング電源の電力消費を抑える。
【解決手段】トランス23と、整流平滑回路27とを有し、通常出力モードにおいて第一出力電圧である24V出力をするスイッチング電源20と、前記第一出力電圧である24Vを第二出力電圧である5.05Vに降圧するDC−DCコンバータ35と、通常出力モードと低出力モードとオフモードとに切り換え制御する制御装置80と、前記オフモード時に前記制御装置80の電源となるコンデンサC7と、を備え、前記制御装置80は、通常出力モードと低出力モード以外において充電が必要な場合に、前記スイッチング電源80の出力を前記第三出力電圧である5.05V出力にして前記コンデンサC7を充電させる。
【解決手段】トランス23と、整流平滑回路27とを有し、通常出力モードにおいて第一出力電圧である24V出力をするスイッチング電源20と、前記第一出力電圧である24Vを第二出力電圧である5.05Vに降圧するDC−DCコンバータ35と、通常出力モードと低出力モードとオフモードとに切り換え制御する制御装置80と、前記オフモード時に前記制御装置80の電源となるコンデンサC7と、を備え、前記制御装置80は、通常出力モードと低出力モード以外において充電が必要な場合に、前記スイッチング電源80の出力を前記第三出力電圧である5.05V出力にして前記コンデンサC7を充電させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源システム及びそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、スタンバイ中、主電源制御部がスイッチング電源の出力トランスを発振停止させ、この主電源制御部への電力供給を二次電池が行うことにより、省電力化を図ったものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−87734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、スイッチング電源の更なる省電力化が求められている。特許文献1のものは、スタンバイ中に二次電池を充電する際も、出力トランスを24Vの出力にしており、電力を無駄に消費していた。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、スイッチング電源の電力消費を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一の発明は、一次側の発振により二次側に電圧を誘起させるトランスと、誘起された電圧を整流平滑化する整流平滑回路とを有し、通常出力モードにおいて第一出力電圧を出力するスイッチング電源と、前記スイッチング電源の出力側にあって、前記第一出力電圧を第二出力電圧に降圧する降圧回路と、前記スイッチング電源を、前記通常出力モードと、出力電圧が第一出力電圧より低い第三出力電圧となる低出力モードと、前記トランスの一次側の発振を停止させるオフモードと、に切り換え制御する制御装置と、前記通常出力モード時に前記降圧回路の出力により充電されて、前記オフモード時に前記制御装置の電源となる蓄電部と、を備え、前記制御装置は、前記通常出力モードと前記低出力モード以外において充電が必要な場合に、前記スイッチング電源の出力を前記第三出力電圧にして前記蓄電部を充電させる。
【0007】
この電源システムは、通常出力モードと低出力モード以外において充電が必要な場合に、スイッチング電源を第三出力電圧にして、蓄電部を充電する。そのため、スイッチング電源を、第三出力電圧より電圧の高い第一出力電圧にして充電する場合に比べて、電力消費を抑えることが可能である。
【0008】
第二の発明は、第一の発明に記載の電源システムであって、前記制御装置は、オフモード中に充電が必要な場合に、前記スイッチング電源の出力を前記第三出力電圧にして前記蓄電部を充電させる。このようにすれば、オフモード中、蓄電部を充電状態に保つことが可能であり、制御装置に電力を安定供給できる。
【0009】
第三の発明は、第一の発明又は第二の発明に記載の電源システムであって、前記制御装置は、通常出力モードからオフモードに切り換わるときに、充電が必要な場合に、前記スイッチング電源の出力を前記第三出力電圧にして前記蓄電部を充電させる。このようにすれば、蓄電部が充電された状態でオフモードに移行するので、オフモード中、蓄電部の充電状態を長時間維持できる。
【0010】
第四の発明は、第二の発明又は第三の発明に記載の電源システムであって、前記蓄電部に対する充電経路に、前記降圧回路から前記蓄電部に充電電流を供給する第一経路と、前記スイッチング電源から前記降圧回路を経由せず前記蓄電部に充電電流を直接供給する第二経路が設けられ、前記蓄電部に対する充電経路を切り換える切換部と、オフモード中に充電が必要な場合及び通常出力モードからオフモードに切り換わるときに充電が必要な場合のうち少なくともいずれか一方の場合に、前記切換部に切換信号を与えることで、前記充電経路を前記第二経路とする切換制御部と、を備える。
【0011】
この電源システムは、オフモード中に充電が必要な場合及び通常出力モードからオフモードに切り換わるときに充電が必要な場合のうち、少なくともいずれか一方の場合には、蓄電部に対する充電経路が、降圧回路を経由しない第二経路に切り換えられる。従って、蓄電部の充電中、降圧回路で無駄な電力を消費することがない。
【0012】
第五の発明は、第四の発明に記載の電源システムであって、前記通常出力モードからオフモードに切り換わるときに前記蓄電部を充電する場合において、前記切換制御部は、前記スイッチング電源の出力電圧が前記第一出力電圧から前記第三出力電圧に低下した時点で、前記切換部に切換信号を与えて、前記充電経路を前記第一経路から前記第二経路に切り換える。
【0013】
一般に、蓄電部の耐圧は概ね十数V程度であるので、耐圧を超える電圧が加わると、劣化を早め製品寿命を短くする恐れがある。この電源システムは、スイッチング電源の出力電圧が第一出力電圧から第三出力電圧に低下した時点で、充電経路を切り換えるようにしているから、蓄電部に耐圧を超える高電圧が加わる恐れがない。
【0014】
第六の発明は、第五の発明に記載の電源システムであって、前記スイッチング電源の出力電圧を検出する出力電圧検出部を備え、前記切換制御部は、前記出力電圧検出部により検出される前記スイッチング電源の出力電圧が前記第三出力電圧に低下することを条件に、前記切換部に切換信号を与えて、前記充電経路を前記第一経路から前記第二経路に切り換える。
【0015】
先に説明したように蓄電部保護の観点から、充電経路の切り換えは、スイッチング電源の出力電圧が第一出力電圧から第三出力電圧に低下した時点で行うことが好ましい。このようなタイミングで充電経路を切り換える方法として、例えば、スイッチング電源の出力電圧が第一出力電圧から前記第三出力電圧に低下するのに必要な時間を計算などによって予想しておき、予想時間が過ぎてから、切り換えるようにすればよい。しかし、スイッチング電源の出力電圧が、計算通りに下がる保証はないので、上記方法の場合、一定のマージンを持たせる必要があり、充電経路の切り換えタイミングが、スイッチング電源の出力電圧が第三出力電圧まで下がった時刻より遅れる。この点、この電源システムでは、スイッチイグ電源の出力電圧を検出するようにしているので、充電経路の切り換え操作を、スイッチング電源の出力電圧が第三出力電圧に低下した時点で、直に実行できる。そのため、上記のように時間を計って、充電経路を切り換える方法に比べて、蓄電部を早期に充電できる。
【0016】
第七の発明は、第四の発明ないし第六の発明のいずれか一項に記載の電源システムであって、前記降圧回路をオフする停止回路を備え、前記切換制御部は、前記充電経路を第一経路から第二経路に切り換える時に、前記停止回路に停止信号を与えて前記降圧回路をオフする。この電源システムでは、第二経路で蓄電部の充電が行われる間、降圧回路はオフされる。そのため、降圧回路での電力消費がなく省電力化できる。
【0017】
第8の発明は、第1の発明ないし第7の発明のいずれか一項に記載の電源システムであって、前記蓄電部の電圧を検出する充電電圧検出部を備える。この電源システムでは、蓄電部の電圧レベルから、蓄電部に充電の必要があるかどうかを適切に判断できる。
【0018】
第9の発明は、第1の発明ないし第8の発明のいずれか一項に記載の電源システムであって、前記第三出力電圧は前記第二出力電圧と同電圧か、それ以下である。この電源システムでは、降圧回路の入力電圧が出力電圧と同電圧か、それ以下になるので、降圧回路での電力ロスが小さくなる。
【0019】
第10の発明は、請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の電源システムと、前記電源システムのスイッチング電源から前記第一出力電圧にて電力供給され、印刷処理を実行する高電圧系部品と、前記電源システムの降圧回路から前記第二出力電圧にて電力供給され、前記高電圧系部品を制御する第一低電圧系部品と、前記電源システムの降圧回路から前記第二出力電圧にて電力供給され、印刷データを受信する通信処理を行う第二低電圧系部品とを備え、前記第二低電圧系部品が前記印刷データを受信すると、前記第一低電圧系部品が前記高電圧系部品を制御して受信した前記印刷データを印刷する印刷処理を実行する画像形成装置であって、前記通常出力モードでは、前記スイッチング電源から前記高電圧系部品に対して前記第一出力電圧にて電力が供給され、前記降圧回路から前記第一低電圧系部品及び前記第二低電圧系部品に対して前記第二出力電圧にて電力が供給され、前記低出力モードでは、前記スイッチング電源から前記高圧系部品に対する電力供給は停止する一方、前記降圧回路から前記第一低電圧系部品及び前記第二低電圧系部品へは前記第二出力電圧にて電力が供給され、前記オフモードでは、前記高電圧系部品と前記第一、第二低電圧系部品の双方に対する電力の供給が停止する。このものでは、画像形成装置の電源部分における電力消費を抑えることが可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、スイッチング電源の電力消費を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態1において、プリンタの構成を示すブロック図
【図2】電源システムにおける電源装置の回路図
【図3】電源システムにおける制御装置側の回路図
【図4】分圧比と目標出力電圧との関係を示す図
【図5】各モードについてスイッチング電源等の出力電圧をまとめた図
【図6a】コンデンサの充電特性を示す図
【図6b】コンデンサの放電特性を示す図
【図7】モードの移行パターンを示す図
【図8】実施形態2における電源システムの制御装置側の回路図
【図9】電源システムにおける電源装置の回路図
【図10】スイッチング電源の出力電圧の波形図(24Vから5Vに下がる過程を示す)
【図11】実施形態3における電源システムの制御装置側の回路図
【発明を実施するための形態】
【0022】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図7によって説明する。
1.プリンタの説明
図1はプリンタ(本発明の「画像形成装置」の一例)1の電気的構成を示すブロック図である。プリンタ1は、印刷部2と、通信部3aと、画像メモリ3bと、電源システムSとを備えている。電源システムSは、電源装置10と制御装置80とから構成されている。電源装置10はプリンタ1の電源となるものであり、印刷部2、通信部3a、画像メモリ3b及び制御装置80に対して電力を供給する。
【0023】
印刷部2は、感光ドラム2a、感光ドラム2aの表面を帯電させる帯電プロセスを実行する帯電器2b、感光ドラム2aの表面に静電潜像を形成する露光プロセスを実行する露光装置2c、感光ドラム2aの表面に形成された静電潜像に現像剤を付着させて現像剤像を形成する現像プロセスを実行する現像器2d、記録媒体に現像剤像を転写する転写プロセスを実行する転写器2e、記録媒体上に転写された現像剤像を定着させる定着プロセスを実行する定着器2f等から構成されている。
【0024】
印刷部2は帯電プロセス、露光プロセス、現像プロセス、転写プロセス、定着プロセスを実行して、記録媒体上に印刷データを印刷する印刷処理を実行するものである。通信部3aはPC等の情報端末装置との間で通信を行うものであり、情報端末装置から印刷指示や印刷データを受信する機能を担う。画像メモリ3bは、情報端末装置から受信した印刷データを一時記憶するものである。
【0025】
上記プリンタ1は、通信部3aが情報端末装置から印刷指示を受けて印刷データを受信すると、制御装置80のメインブロックB1が、印刷部2に帯電プロセス、露光プロセス、現像プロセス、転写プロセス、定着プロセスからなる印刷処理を実行させることで、記録媒体に印刷データを印刷させる。尚、印刷部2の動作電圧は24Vであるのに対して、通信部3a、画像メモリ3b及び制御装置80の動作電圧は3.3Vである。また、印刷部2が本発明の「高電圧系部品」の一例であり、制御装置80のメインブロックB1が本発明の「第一低電圧系部品」の一例であり、通信部3aが本発明の「第二低電圧系部品」の一例である。
【0026】
2.回路構成の説明
まず、図2を参照して電源システムSにおける電源装置10の構成について説明する。電源装置10は、スイッチング電源20と、DC−DCコンバータ(本発明の「降圧回路」の一例)35と、DC−DCコンバータ45と、を備える。スイッチング電源20は、整流平滑回路21と、トランス23と、FET(電界効果トランジスタ)25と、整流平滑回路27と、電圧検出回路29と、FET25をスイッチング制御する制御IC50とを備える。
【0027】
整流平滑回路21は、いわゆるコンデンサインプット型であり、AC電源15の交流電圧(例えば、220V)を整流するブリッジダイオードD1と、整流後の電圧を平滑化するコンデンサC1とから構成されている。そして、整流平滑回路21の出力側には、トランス23が設けられていて、交流電圧を整流平滑化した入力電圧Vin(例えば、約DC322V)が、入力ラインLinを通じてトランス23の一次コイルN1に印加される構成となっている。
【0028】
FET25はNチャンネルのMOSFETであり、ドレインDを一次コイルN1に接続すると共に、ソースSを接地している。そして、FET25のゲートGは、制御IC50の出力ポートOUTに接続されている。以上のことから、制御IC50が出力ポートOUTを通じてゲートGにオンオフ信号(PWM信号)を出力すると、FET25はオンオフ動作する。これにより、トランス23の一次側が発振して、トランス23の二次コイルN2に電圧を誘起させる構成となっている。
【0029】
また、トランス23の一次側には電圧発生回路26が設けられている。電圧発生回路26は、トランス23の一次側に設けられた補助コイルN3に誘起される電圧を、ダイオードD2とコンデンサC2により平滑化するものである。この電圧発生回路26は、概ね20Vの電圧を発生し、制御IC50の電源となる。
【0030】
整流平滑回路27はトランス23の二次側に設けられていて、ダイオードD3とコンデンサC3とからなる。整流平滑回路27はトランス23の二次コイルN2に誘起された電圧を整流平滑化する。これにより、スイッチング電源20は、出力ラインLo1を通じて出力電圧Vo1を出力する。また、整流平滑回路27の出力側には、電圧検出回路29が設けられている。
【0031】
電圧検出回路29はスイッチング電源20の出力電圧Vo1を検出する機能と、出力電圧Vo1の目標値を変更する機能を有するものであって、一対の検出抵抗R1、R2と、分圧比変更回路32と、シャントレギュレータRE1と、シャントレギュレータRE1と直列接続された発光ダイオードLED1と、から構成されている。
【0032】
検出抵抗R1、R2は、出力ラインLo1とグランド間において直列接続されている。分圧比変更回路32は、抵抗R3とトランジスタ33とから構成されている。抵抗R3は、抵抗R1、R2の接続点に一端を接続する一方、他端をトランジスタ33のコレクタCに接続している。
【0033】
トランジスタ33は、NPNトランジスタであり、エミッタEをグランドに接続している。また、トランジスタ33のベースBは、抵抗R8を介して制御装置80の出力ポートP6に接続されている(図3参照)。
【0034】
分圧比変更回路32は、トランジスタ33のオンオフにより、検出抵抗の分圧比Kを変更する機能を果たす。すなわち、トランジスタ33がオンすると、分圧比KはR23/(R1+R23)になる。これに対して、トランジスタ33がオフすると、分圧比KがR2/(R1+R2)となる(図4参照)。尚、R23は、抵抗R2と抵抗R3の合成抵抗である。
【0035】
シャントレギュレータRE1は、シャントレギュレータRE1の内部に設けられた基準電圧Vr(一例として2.5V)と、スイッチング電源20の出力電圧Vo1を分圧比Kにて分圧した分圧電圧Vg(g点の電圧)とのレベル差に応じた電流を流す。
【0036】
これにより、発光ダイオードLED1に電流が流れ、発光ダイオードLED1は基準電圧と分圧電圧Vgとのレベル差に応じた光量の光信号を出力する。そして、発光ダイオードLED1は、制御IC50のフィードバックポートFBに接続されたフォトトランジスタPT1と共に、フォトカプラを構成している。
【0037】
そのため、発光ダイオードLED1の光信号はフォトトランジスタPT1にて電気信号に戻される。これにて、シャントレギュレータRE1の基準電圧Vrに対する分圧電圧Vgのレベル差を示す信号(以下、フィードバック信号)が、制御IC50のフィードバックポートFBにフィードバックされる構成となっている。
【0038】
また、スイッチング電源20の出力ラインLo1は、図2に示すように分岐点J1にて2分岐している。そして、分岐したライン上にはDC−DCコンバータ35が設けられている。
【0039】
DC−DCコンバータ35は、スイッチング電源20の出力する24Vの出力電圧Vo1を降圧して、5.15Vの出力電圧Vo2を出力するものであって、FET37と、平滑回路39と、コンパレータ41と、トランジスタ43と、検出抵抗R6、R7と、コンデンサC6を備えた構成となっている。
【0040】
FET37は、PチャンネルのMOSFETであり、ソースSを入力側(スイッチング電源20の出力側)に接続し、ドレインDを出力側(平滑回路39側)に接続している。平滑回路39は、チョークコイル40と、コンデンサC5と、ダイオードD5とから構成されている。コンデンサC5は出力ラインLo2とグランドとの間に設けられ、また、ダイオードD5は、出力ラインLo2とグランドとの間において、グランドから出力ラインLo2への向きが順方向となるように接続されている。平滑回路39は、FET37通過後の電圧波形を平滑化するものである。
【0041】
また、FET37のゲートGには、抵抗R4を介してトランジスタ43のコレクタCが接続されている。トランジスタ43は、NPNトランジスタであり、エミッタEをグランドに接続している。また、トランジスタ43のベースBは、抵抗R5を介してコンパレータ41の出力端子に接続されている。
【0042】
コンパレータ41は2つの入力端子を備えており、プラス側の入力端子には、シャントレギュレータRE2を介して基準電圧が与えられている。一方、マイナス側の入力端子には、検出抵抗R6、R7の中間接続点に接続されている。検出抵抗R6、R7は、出力ラインLo2とグランドとの間に設けられていて、DC−DCコンバータ35の出力電圧Vo2を抵抗比により分圧して検出するものである。尚、検出抵抗R7にはコンデンサC6が並列接続されていて、コンパレータ41にヒステリシスを持たせている。
【0043】
DC−DCコンバータ35の回路動作を説明すると、出力電圧Vo2を抵抗比により分圧した電圧値が基準電圧を下回る場合には、コンパレータ41の出力はHighレベルになるので、トランジスタ43及びFET37はいずれもオンする。これにより、FET37のオン時間が長くなり、出力電圧Vo2は上昇し、目標値に向かう。
【0044】
一方、出力電圧Vo2を抵抗比により分圧した電圧値が基準電圧を上回る場合には、コンパレータ41の出力はLowレベルになるので、トランジスタ43及びFET37はいずれもオフする。これにより、FET37のオン時間が短くなり、出力電圧Vo2は下降し目標値に向かう。
【0045】
また、DC−DCコンバータ35の出力ラインLo2は、図2に示すように分岐点J2にて更に分岐している。そして、分岐したラインにはDC−DCコンバータ45が設けられている。DC−DCコンバータ45は、DC−DCコンバータ35と同様の回路構成であり、DC−DCコンバータ35の出力する5.15Vの出力電圧Vo2を降圧して、3.3Vの出力電圧Vo3を出力する。
【0046】
制御IC50は、電圧発生回路26に接続される電源ポートVccと、抵抗R9、ツェナーダイオードD6を介して入力ラインLinに接続される高電圧入力ポートVHと、電圧検出回路29からのフィードバック信号が入力されるフィードバックポートFBと、出力ポートOUTと、制御装置80から出力される制御パルス信号Sr1が入力される制御入力ポートENの5つのポートを備えている。
【0047】
制御IC50はPWMコンパレータ(図略)と三角波を発振する発振回路(図略)を備えており、フィードバックポートFBにフィードバック信号が入力されると、フィードバック信号に応じたPWM信号を生成し、出力ポートOUTを通じてFET25のゲートGに出力する。これにより、スイッチング電源20の出力電圧Vo1が目標電圧になるように制御される。
【0048】
また、制御IC50は、次に説明する制御装置80から出力される制御パルス信号Sr1に基づいてFET25のスイッチング制御(オンオフ制御)を停止、再開する機能を担う。
【0049】
次に、図3を参照して電源システムSにおける制御装置80側の構成について説明する。制御装置80は、プリンタ1の印刷部2を制御するメインブロックB1と、スイッチング電源20のモードを制御するモード制御ブロックB2とから構成されている。また、モード制御ブロックB2には、計時部90、内部メモリ95が設けられている。
【0050】
メインブロックB1の電源ポートP1は、DC−DCコンバータ45の出力ラインLo3に接続されており、DC−DCコンバータ45から3.3Vの出力電圧Vo3が印加される構成となっている。
【0051】
一方、モード制御ブロックB2の電源ポートP2は、DC−DCコンバータ35側に接続されている。具体的に説明すると、DC−DCコンバータ35の出力ラインLo2には、ダイオードD7を介してコンデンサ(蓄電用の電気二重層キャパシタ)C7が接続されている。そして、コンデンサC7とダイオードD7の接続点から中継ラインL1が引き出されている。尚、コンデンサC7が本発明の「蓄電部」の一例である。
【0052】
中継ラインL1上にはDC−DCコンバータ83が設けられていて、DC−DCコンバータ35からの出力電圧Vo2を3.3Vに降圧して、モード制御ブロックB2の電源ポートP2に入力させる構成となっている。
【0053】
また、モード制御ブロックB2には、2つの入力ポートP3、P4と、2つの出力ポートP5、P6が設けられている。入力ポートP3には切換スイッチSW2が接続されている。この切換スイッチSW2は、スイッチング電源20のモードを、出力モードとオフモードに切り換える手動スイッチである。
【0054】
入力ポートP4には、充電電圧検出回路87から出力される検出信号(コンパレータCPより出力される2値信号)が、入力される構成となっている。充電電圧検出回路(本発明の「充電電圧検出部」の一例)87はコンデンサC7の充電電圧Vchを検出する検出抵抗R11、R12と、検出抵抗R11、R12により検出された電圧値を基準値と比較して出力するコンパレータCPと、基準電圧生成用の分圧抵抗R13、R14とから構成されている。
【0055】
コンパレータCPは、充電電圧Vchが基準電圧を上回っている場合には、Highレベルの検出信号をモード制御ブロックB2のポートP4に出力し、充電電圧Vchが基準電圧を下回っている場合には、Lowレベルの検出信号をポートP4に出力する。
【0056】
出力ポートP5は、制御IC50の制御入力ポートENに対して、制御パルス信号Sr1を出力するポートである。具体的に説明すると、中継ラインL1には、発光ダイオードLED2が接続されている。発光ダイオードLED2は、アノードを中継ラインL1に接続する一方、カソードをNPNトランジスタ85のコレクタCに抵抗R10を介して接続している。
【0057】
トランジスタ85のエミッタEはグランドに接続されると共に、トランジスタ85のベースBはモード制御ブロックB2の出力ポートP5に接続されている。そして、発光ダイオードLED2は、制御IC50の制御入力ポートENに接続されたフォトトランジスタPT2と共に、フォトカプラを構成している。
【0058】
以上のことから、出力ポートP5より出力された制御パルス信号Sr1は、発光ダイオードLED2とフォトトランジスタPT2によって光伝送され、制御IC50の制御入力ポートENに入力される構成となっている。また、出力ポートP6は、抵抗R8を介して、分圧比変更回路32のトランジスタ33のベースBに接続されている。
【0059】
3.モード制御ブロックB2によるモード制御の説明
(3−1)出力モード⇔オフモード間におけるモード移行
電源システムSのスイッチング電源20には、図5に示すように、出力モードとオフモードが設けられている。出力モードは、トランス23の一次側を発振させて、スイッチング電源20を出力状態にするモードである。一方、オフモードは、トランス23の発振を停止させてスイッチング電源20の出力を停止させるモードである。
【0060】
制御装置80のモード制御ブロックB2は、制御IC50に対して、制御パルス信号Sr1を出力することによって、スイッチング電源20を出力モードからオフモードへ、又はオフモードから出力モードへ移行操作できる。
【0061】
これは、出力モード時に、制御パルス信号Sr1を受信すると、制御IC50は電源ポートVccをハイインピーダンス状態に制御して、FET25に対するスイッチング制御を停止する。これにより、トランス23の一次側の発振が停止するので、スイッチング電源20は出力停止状態となり、オフモードとなる。
【0062】
一方、オフモード時に、制御パルス信号Sr1を受信すると、制御IC50は電源ポートVccのハイインピーダンス状態を解除して、FET25に対するスイッチング制御を再開し、出力ポートOUTからFET25に対してオンオフ信号を出力する。これにより、FET25がオンオフしてトランス23の一次側の発振がするので、スイッチング電源20は出力状態となり、オフモードから出力モードに移行する。
【0063】
(3−2)通常出力モード⇔低出力モード間におけるモード移行
下記(1)式にて示すように、スイッチング電源20の出力電圧Vo1の目標値は、電圧検出回路29における検出抵抗の分圧比Kの逆数に比例する。そのため、分圧比Kを小さくすると、出力電圧Vo1の目標値は大きくなり、分圧比Kを大きくすると、出力電圧Vo1の目標値は小さくなる。
【0064】
Vo1=Vr/K・・・・・・・・・・・・(1)式
K1=R23/(R1+R23)・・・・・(2)式
K2=R2/(R1+R2)・・・・・・・(3)式
尚、Vo1はスイッチング電源の出力電圧、VrはシャントレギュレータRE1の基準電圧、Kは電圧検出回路29における検出抵抗の分圧比、R23はR2とR3の合成抵抗を指す。
【0065】
そのため、モード制御ブロックB2からHigh/Lowいずれかの第一制御信号Sr2を分圧比変更回路32に対して出力して分圧比Kの値を変更することによりスイッチング電源20の出力電圧Vo1を切り換えることが可能であり、スイッチング電源20を通常出力モードと低出力モードとの間で移行操作できる。
【0066】
具体的に説明すると、モード制御ブロックB2からHighレベルの第一制御信号Sr2が出力されている時、トランジスタ33はオンするので、上記(2)式のように分圧比Kは「K1」になる。これに対して、Lowレベルの第一制御信号Sr2が出力されている時、トランジスタ33はオフするため、上記(3)式のように分圧比Kは「K2」となる。
【0067】
そして、分圧比K1と分圧比K2の大小関係は「K1」<「K2」となる。そのため、モード制御ブロックB2からHighレベルの第一制御信号Sr2を出力すると、スイッチング電源20の出力電圧Vo1の目標値は「高電圧(24V)」となる(通常出力モード)。そして、通常出力モードでは、DC−DCコンバータ35、45は、図5に示すようにそれぞれ5.15V出力、3.3V出力となる。
【0068】
尚、スイッチング電源20の「24V」出力が本発明の「第一出力電圧」に対応し、DC−DCコンバータ35の「5.15V」出力が、本発明の「第二出力電圧」に対応している。
【0069】
一方、モード制御ブロックB2からLowレベルの第一制御信号Sr2を出力すると、出力電圧Vo1の目標値は「低電圧(5.05V)」となる(低出力モード)。そして、低出力モードでは、DC−DCコンバータ35、45は、図5に示すようにそれぞれ5.0V出力、3.3V出力となる。尚、スイッチング電源20の「5.05V」出力が、本発明の「第三出力電圧」に対応している。
【0070】
また、低出力モードにおいて、DC−DCコンバータ35の入出力間で0.05Vの電圧差があるのは、FET37とコイル40の抵抗成分で、0.05V程度の電圧降下があるためである。
【0071】
そして、これら通常出力、低出力、オフの3つのモードは、図7に示すように印刷処理、印刷指示待ち、電源オフに各々対応しており、プリンタ1の使用状況によって、モードチェンジされる構成となっている(詳細は、次の動作説明にて説明する)。
【0072】
4.電源システムSの動作説明
(4−1)AC電源15の投入から通常出力モードへの移行
電源スイッチSW1(図2参照)が投入されると、入力ラインLinに対して、交流電圧を整流平滑化した入力電圧Vinが印加される。これにより、制御IC50の高電圧入力ポートVHに入力電圧Vinが印加され、制御IC50は起動する。
【0073】
制御IC50は起動後、FET25のゲートGに対するオンオフ信号(PWM信号)の出力を開始する。これにより、FET25がオン、オフを繰り返す状態になるので、スイッチング電源20のトランス23の一次側が発振を開始し、トランス23の二次側に電圧が誘起される(発振開始)。
【0074】
そして、制御IC50はオンオフ信号の出力開始からいわゆるソフトスタート制御を実行する。そのため、スイッチング電源20の出力電圧Vo1はゆっくりと上昇してゆく。そして、スイッチング電源20の出力電圧Vo1が所定レベルを超えると、制御IC50はフィードバック制御に切り換え、それ以降はフィードバックポートFBに入力されるフィードバック信号に基づいたPWM出力を行う。
【0075】
そして、電源投入時には、モード制御ブロックB2からHighレベルの第一制御信号Sr2が出力され、トランジスタ33はオン状態となる。そのため、分圧比Kが「K1」となり、出力電圧Vo1の目標電圧は「24V」となる。
【0076】
以上のことから、スイッチング電源20の「24V」出力となる。そして、DC−DCコンバータ35は、スイッチング電源20の出力電圧「24V」を降圧して「5.15」V出力になり、また、DC−DCコンバータ45は、更に、出力電圧「5.15V」を降圧して「3.3V」出力になる(通常出力モード)。
【0077】
この通常出力モードでは、電源装置10によってプリンタ1の各部品に電力供給される。すなわち、印刷部2には、出力ラインLo1を通じて、スイッチング電源20から電力が供給される(電源電圧24V)。また、通信部3a、画像メモリ3b及び制御装置80のメインブロックB1には、DC−DCコンバータ35、45を介して、スイッチング電源20から電力が供給される(電源電圧3.3V)。また、制御装置80のモード制御ブロックB2には、DC−DCコンバータ35、83を介してスイッチング電源20から電力が供給される(電源電圧3.3V)。従って、プリンタ1は印刷可能な状態、すなわち、PC等の情報端末装置から印刷指示を受信し、印刷指示に応じた印刷処理を実行できる状態となる。
【0078】
また、通常出力モード中、コンデンサC7には、第一経路(出力ラインLo2、ダイオードD7を経由する経路)U1を通じてDC−DCコンバータ35から充電電流が供給されるので、コンデンサC7は充電されてゆく。
【0079】
(4−2)通常出力モードから低出力モードへの移行
制御装置80のモード制御ブロックB2は、通常出力モード時において、電源スイッチSW1の投入後のウォーミングアップ動作完了、印刷処理終了、またはプリンタ1に設けられた操作部(図示せず)のユーザによる操作終了を契機として印刷指示や操作部操作の待ち時間を計測しており、待ち時間が設定時間Tw1に達すると、スイッチング電源20のモードを通常出力モードから低出力モードに移行させる。
【0080】
具体的には、モード制御ブロックB2は、出力ポートP6よりLowレベルの第一制御信号Sr2を出力する。すると、トランジスタ33はオフする。これにより、電圧検出回路29の検出抵抗の分圧比Kが「K1」から「K2」に切り換る結果、出力電圧Vo1の目標電圧は「5.05V」となる。
【0081】
以上のことから、スイッチング電源20は「5.05V」出力となる。そして、DC−DCコンバータ35は、「5.0V」出力になり、また、DC−DCコンバータ45は「3.3V」出力になる(低出力モード)。
【0082】
この低出力モードでは、通常出力モードと同様に、制御装置80のメインブロックB1や通信部3a、画像メモリ3bには、DC−DCコンバータ35、45を介してスイッチング電源20から電力が供給される(電源電圧3.3V)。また、制御装置80のモード制御ブロックB2には、DC−DCコンバータ35、83を介してスイッチング電源20から電力が供給される(電源電圧3.3V)。
【0083】
一方、低出力モードにおいて、スイッチング電源20の出力電圧Vo1は「5.05V」であり、印刷部2の動作電圧24Vを下回るので、印刷部2にする電力供給は停止状態になる。従って、低出力モード中、プリンタ1は、通信処理や通信処理にて受信した印刷データを画像メモリ3bに書き込む処理は可能なものの、印刷部2は全停止する。
【0084】
尚、低出力モード中、コンデンサC7には、第一経路U1を通じてDC−DCコンバータ35から充電電流が供給される。そのため、コンデンサC7は、通常出力モードと同様に低出力モード中も充電される。
【0085】
(4−3)低出力モードからオフモードへの移行
制御装置80のモード制御ブロックB2は、低出力モードに移行したのを契機として、印刷指示や操作部操作の待ち時間を計測しており、プリンタ1が印刷指示を受けないまま待ち時間が設定時間Tw2に達すると、電源システムSのモードを低出力モードからオフモードに移行させる。具体的には、モード制御ブロックB2は、出力ポートP5より制御パルス信号Sr1を出力する。すると、制御パルス信号Sr1は、フォトカプラを介して光伝送され、制御IC50の制御入力ポートENに入力される。
【0086】
これにより、制御IC50が、出力ポートOUTをハイインピーダンス状態に制御するため、トランス23の一次側の発振が停止する。そのため、スイッチング電源20は出力を停止し、電源システムSはオフモードに移行する。
【0087】
そして、オフモード中、スイッチング電源20とDC−DCコンバータ35、45はいずれも出力停止状態になるから、印刷部2や制御装置80のメインブロックB1、通信部3a、画像メモリ3bに対する電力供給は全てストップする。一方、制御装置80のモード制御ブロックB2は、コンデンサC7から電力供給されるため動作状態となる。尚、オフモード中、モード制御ブロックB2は、入力ポートP3、P4のポートレベルをチェックして、切換スイッチSW2の操作の有無、コンデンサC7の充電状態を確認する。
【0088】
(4−4)オフモードから通常出力モードへの移行
オフモードは予め設定された設定時間Tw3継続される。そして、設定時間Tw3が過ぎると、制御装置80のモード制御ブロックB2は、制御パルス信号Sr1を出力する。これにより、制御IC50は電源ポートVccのハイインピーダンス状態を解除してオンオフ信号の出力を再開する。その結果、FET25がオンオフ動作してトランス23の発振が再開する。
【0089】
また、モード制御ブロックB2は、制御パルス信号Sr1の出力と並行して、Highレベルの第一制御信号Sr2を出力してトランジスタ33をオンさせる。これにより、分圧比Kが「K1」に設定され、出力電圧Vo1の目標電圧は「24V」になる。かくして、スイッチング電源20は、オフモードから通常出力モードに切り換える。
【0090】
このように、電源システムSは、PC等の情報端末装置などから印刷指示がない状態が続いたり操作部がユーザによって操作されない状態が続いたりすると、図7にて実線で示すように、通常出力モード→低出力モード→オフモード→通常出力モードの順にモードチェンジする状態を繰り返す状態となる。そして、印刷指示があると、通常出力モード中であればそのまま印刷処理を行い、低出力モード中であれば通常出力モードへ移行して印刷処理を行う。そして、印刷処理の完了後、印刷指示のない状態が設定時間Tw1続くと、再びモードチェンジする状態を繰り返す。
【0091】
(4−5)切換スイッチSW2の操作によるモード移行
次に、モードチェンジを繰り返す状態から切換スイッチSW2がユーザにより操作されると、制御装置80のモード制御ブロックB2は、トランジスタ85に制御パルス信号Sr1を出力する。すると、制御パルス信号Sr1は、フォトカプラを介して光伝送され、制御IC50の制御入力ポートENに入力される。これにより、制御IC50が、FET25に対するオンオフ信号(PWM信号)の出力を、出力状態から停止状態に、又は停止状態から出力状態に切り換える。
【0092】
そのため、切換スイッチSW2操作時のモードが出力モード(通常出力モード、低出力モード)であれば、スイッチング電源20は、オフモードにモード移行する。また、切換スイッチ操作時のモードがオフモードである場合には、出力モード(通常出力モード、低出力モードのいずれか)にモード移行する。
【0093】
5.通常出力モードと低出力モード以外において充電が必要な場合に行われる充電動作
(5−1)オフモード中の充電動作
制御装置80のモード制御ブロックB2は、オフモードに移行したのを契機として、計時部90に、オフモードの開始時刻(コンデンサC7の放電開始時刻)t01から時間を計測させる。一方、モード制御ブロックB2の内部メモリ95には、コンデンサC7の最大使用時間(満充電から充電要になるまでの時間)である第一リミットタイムTp1が予め記憶されている(図6a参照)。尚、満充電とは、コンデンサC7に電荷が十分に蓄えられた状態(充電量がほぼ100%)を指す。
【0094】
そして、計時部90の計測時間T1が第一リミットタイムTp1に達すると、制御装置80のモード制御ブロックB2は、このままコンデンサC4が放電していくと充電電圧Vchが低下してDC−DCコンバータ83が3.3Vを維持できなくなってしまうために充電が必要と判断する。そして、モード制御部B2は充電が必要であると判断すると、制御パルス信号Sr1を出力する。これにより、制御IC50は電源ポートVccのハイインピーダンス状態を解除してオンオフ信号の出力を再開する。その結果、FET25がオンオフ動作してトランス23の発振が再開される。
【0095】
また、モード制御ブロックB2は、制御パルス信号Sr1を出力と並行して、Lowレベルの第一制御信号Sr2を出力してトランジスタ33をオフさせる。これにより、分圧比Kが「K2」に設定され、出力電圧Vo1の目標電圧が「5.05」になる。
【0096】
以上のことからスイッチング電源20の出力電圧Vo1は「5.05V」になる。また、DC−DCコンバータ35の出力電圧Vo2は「5.0V」になる。そして、コンデンサC7には、第一経路U1を通じてDC−DCコンバータ35から充電電流が供給される。これにて、コンデンサC7は充電される。
【0097】
このように、電源システムSでは、オフモード中に充電が必要な場合、スイッチング電源20の出力電圧Vo1を「5.05V」にして、コンデンサC7を充電する。そのため、スイッチング電源20の出力電圧Vo1を「24V」にして充電をする場合に比べて、ロスが小さく、電力消費を抑えることが可能である。
【0098】
また、計測時間T1が第一リミットタイムTp1に達する前であっても、コンデンサC7の充電電圧Vchが低下して、充電電圧検出回路87のコンパレータCPからLowレベルの検出信号が出力された場合には、上記と同様にスイッチング電源20の出力電圧Vo1を「5.05V」にして、コンデンサC7を充電する。このようにすることで、オフモード中、DC−DCコンバータ83が3.3Vを維持できなくなる前に、コンデンサC7を確実に充電できる。そのため、制御装置80のモード制御ブロックB2に電力を安定供給できる。
【0099】
そして、モード制御ブロックB2は、上記充電によりコンデンサC7が満充電に至ると、出力ポートP5より制御パルス信号Sr1を出力する。すると、制御パルス信号Sr1は、フォトカプラを介して光伝送され、制御IC50の制御入力ポートENに入力される。これにより、制御IC50が、出力ポートOUTをハイインピーダンスに制御する結果、トランス23の発振が停止する。そのため、スイッチング電源20は出力を停止し、通常のオフモードに戻る。
【0100】
(5−2)通常出力モードからオフモードに切り換わるときの充電動作
先に説明したように、スイッチング電源20は、切換スイッチSW2の操作により、通常出力モードからオフモードに移行する。そして、通常出力モードからオフモードに移行するときに、コンデンサC7が満充電に達していない場合に、制御装置80のモード制御ブロックB2は、充電が必要と判断する。そして、モード制御ブロックB2は、充電が必要であると判断すると、出力ポートP6からLowレベルの第一制御信号Sr2を出力してトランジスタ33をオフさせる。
【0101】
これにより、スイッチング電源20の出力電圧Vo1は「5.05V」となり、また、DC−DCコンバータ35の出力電圧Vo2は「5.0V」となる。そして、コンデンサC7は、第一経路U1を通じて、DC−DCコンバータ35から充電電流が供給され、充電される。そして、充電完了後、モード制御ブロックB2は、出力ポートP5から制御パルス信号Sr1を出力して、スイッチング電源20をオフモードにモード移行させる。
【0102】
このように、通常出力モードからオフモードに切り換わる時に充電が必要な場合には、スイッチング電源20の出力電圧Vo1を「5.05V」に切り換えてコンデンサC7を充電する。そのため、切り換えをせず、出力電圧Vo1が「24V」の状態で充電する場合に比べて、電力消費を抑えることが可能である。
【0103】
尚、コンデンサC7が満充電に達しているか否かの判断は、次のように行われる。すなわち、モード制御ブロックB2は、計時部90によって、通常出力モードの開始時刻to2(コンデンサC7に対する充電開始時)から時刻の計測を開始させる。その一方、モード制御ブロックB2の内部メモリ95には、コンデンサC7の充電必要時間(充電開始から満充電になるまでの時間)である第二リミットタイムTp2が予め記憶されている(図6b参照)。
【0104】
そして、モード制御ブロックB2は、計時部90による計測時間T2が第二リミットタイムTp2に達する前に、通常出力モードからオフモードへのモード移行指示(具体的には、切換スイッチSW2の操作)があると、満充電に達してしないと判断する。
【0105】
また、モード制御ブロックB2は、計時部90による計測時間T2が第二リミットタイムTp2に達した後、モード移行指示があった場合、満充電に達していると判断する。この場合、モード制御ブロックB2は、モード移行指示に従って、スイッチング電源20を通常出力モードからオフモードにモード移行させる。
【0106】
6.効果説明
以上説明したように、本電源システムSでは、オフモード中、トランス23の発振を停止させるようにしたので、電力消費を抑えることが可能である。
【0107】
また、通常出力モードと低出力モード以外において充電が必要な場合、具体的には、オフモード中に充電が必要な場合と、通常出力モードからオフモードに切り換わる時に充電が必要な場合は、スイッチング電源20の出力電圧Vo1を「5.05V」にして、コンデンサC7を充電する。従って、スイッチング電源20の出力電圧Vo1を「24V」にして充電する場合に比べて、電力消費を抑えることが可能である。
【0108】
また、本実施形態では、低出力モード時におけるスイッチング電源20の出力電圧Vo1は「5.05V」であるのに対して、DC−DCコンバータ35の通常出力モード時の出力電圧Vo2は「5.15V」であり、出力電圧Vo1が出力電圧Vo2に比べて小さい。そのため、低出力モード時に、DC−DCコンバータ35のFET37はオフせず、常時オン状態となる。そのため、FET37がオンオフすることにより発生するロスをほぼゼロに出来る。
【0109】
<実施形態2>
本発明の実施形態2を図8〜図10によって説明する。実施形態1では、コンデンサC7に対する充電経路として、DC−DCコンバータ35の出力ラインLo2、ダイオードD7を経由する第一経路U1を示した。実施形態2は、コンデンサC7に対する充電経路を、第一経路U1と第二経路U2の2経路にした点が実施形態1と相違している。
【0110】
図8に示すように、第二経路U2は、スイッチング電源20の出力ラインLo1と、コンデンサC7の出力端子Qを直接接続するものであり、スイッチング電源20から、DC−DCコンバータ35を経由することなく、コンデンサC7に対して充電電流を直接供給できる。係る第二経路U2上にはトランジスタ(本発明の「切換部」の一例)100が設けられている。トランジスタ100はPNPトランジスタであり、エミッタEをスイッチング電源20の出力ラインLo1に対して接続する一方、コレクタCをコンデンサC7の出力端子Qに接続している。
【0111】
そして、トランジスタ100のベースBには抵抗R15を介して、トランジスタ(本発明の「切換部」の一例)101のコレクタCが接続されている。トランジスタ101は、NPNトランジスタであり、エミッタEをグランドに接続している。そして、トランジスタ101のベースBは、抵抗R16を介して、モード制御ブロックB2の出力ポートP7に接続されている。
【0112】
また、実施形態2では、図9に示すように、DC−DCコンバータ35に対して停止回路105を設けている。停止回路105は、トランジスタ106と抵抗R17とから構成されている。トランジスタ106はNPNトランジスタであり、コレクタCをトランジスタ43のベースBに接続する一方、エミッタEをグランドに接続している。そして、トランジスタ106のべースBは、抵抗R17を介してモード制御ブロックB2の出力ポートP7に接続されている。また、DC−DCコンバータ45にも、DC−DCコンバータ35に設けた停止回路105と同じ停止回路(図略)が設けられている。
【0113】
そして、実施形態2では、オフモード中に充電が必要な場合(具体的には、計時部90の計測時間T1が第一リミットタイムTp1に達した場合、または、充電電圧検出回路87のコンパレータCPからLowレベルの検出信号が出力された場合)に、モード制御ブロックB2は、出力ポートP5から制御パルス信号Sr1を出力すると共に、出力ポートP6からLowレベルの第一制御信号Sr2を出力してトランジスタ33をオフさせる。これにより、分圧比Kが「K2」に設定される。これにより、出力電圧Vo1の目標電圧が「5.05」になり、スイッチング電源20の出力電圧Vo1は「5.05V」となる。
【0114】
そして、モード制御ブロックB2は更に、出力ポートP7からHighレベルの第二制御信号Sr3を出力する。すると、トランジスタ101がオンするため、ベース電位が下がり、トランジスタ100がオンする。これにより、第二経路U2が閉路状態になることから、コンデンサC7は、第二経路U2を通じてスイッチング電源20から充電電流が供給され、充電される。
【0115】
また、出力ポートP7から出力された第二制御信号Sr3は、DC−DCコンバータ35の停止回路105と、DC−DCコンバータ45の停止回路(図略)に入力される。すると、停止回路105のトランジスタ106がオンする結果、トランジスタ43のベース電位がゼロボルトに下がり、トランジスタ43はオフ状態になる。そのため、コンデンサC7を充電中、DC−DCコンバータ35は停止状態となり、出力電圧Vo2はゼロボルトになる。また、DC−DCコンバータ45も同様に停止状態となり、出力電圧Vo3はゼロボルトとなる。尚、モード制御ブロックB2が本発明の「切換制御部」の一例に相当する。また、モード制御ブロックB2の出力する第二制御信号Sr3が、本発明の「切換信号」及び「停止信号」に相当している。
【0116】
以上説明したように、実施形態2では、オフモード中に充電が必要な場合に、DC−DCコンバータ35を経由させず、スイッチング電源20側から、コンデンサC7を直接充電させるようにした。そのため、DC−DCコンバータ35側で無駄な電力を消費することがなく、消費電力を下げることが可能となる。しかも、実施形態2では、オフモード中にコンデンサC7を充電する場合に、DC−DCコンバータ35、45をいずれも停止させるようにしているから、無駄な電力を一層節約することが出来る。
【0117】
また、モード制御ブロックB2は、通常出力モードからオフモードに移行する場合において、コンデンサC7を充電する必要がある場合(その時点でコンデンサC7が満充電でない場合)には、まず、出力ポートP6よりLowレベルの第一制御信号Sr2を出力する。すると、トランジスタ33はオフする。これにより、分圧比Kが「K1」から「K2」に切り換わる結果、出力電圧Vo1の目標電圧は「5.05V」となる。
【0118】
これにより、スイッチング電源20の出力電圧Vo1が目標値「5.05V」になるように、FET25のPWM値(オンデューティ)が制御IC50により、コントロールされる。従って、スイッチング電源20の出力電圧Vo1は、通常出力モード時の24Vから下がってゆく。
【0119】
そして、モード制御ブロックB2は、計時部90によって、第一制御信号Sr2の出力時刻to3から時間の計測を開始させる。その一方、モード制御ブロックB2の内部メモリ95には、スイッチング電源20の出力電圧が24Vから5Vに低下するのに必要な第三リミットタイムTp3が予め記憶されている(図10参照)。
【0120】
そして、モード制御ブロックB2は、計時部90による計測時間T3が第三リミットタイムTp3に達すると、出力ポートP7からHighレベルの第二制御信号Sr3を出力する。すると、トランジスタ101がオンするため、ベース電位が下がり、トランジスタ100がオンする。これにより、第二経路U2が閉路されることから、コンデンサC7は第二経路U2を通じてスイッチング電源20から充電電流が供給され、充電される。
【0121】
また、出力ポートP7から出力された第二制御信号Sr3は、DC−DCコンバータ35の停止回路105と、DC−DCコンバータ45の停止回路(図略)に入力されるので、コンデンサC7が第二経路U2を通じて充電される間、両回路35、45は停止状態になる。
【0122】
このように、通常出力モードからオフモードへの移行時に、コンデンサC7に対する充電経路の切り換え操作を、スイッチング電源20の出力電圧Vo1が「5V」に低下してから行うことで、コンデンサC7を保護できる。というのも、コンデンサC7の耐圧は概ね十数V程度であり、耐圧を超える電圧が加わると、劣化を早め製品寿命を短くしてしまうからである。
【0123】
<実施形態3>
本発明の実施形態3を図11によって説明する。実施形態3は、実施形態2に対して自動切換回路110を設けたものである。自動切換回路110は、コンパレータ115と、一対の検出抵抗R17、R18と、から構成されている。コンパレータ115は、2つの入力端子を備えており、プラス側の入力端子には、基準電圧Vrefが印加されている。
【0124】
一方、コンパレータ115のマイナス側の入力端子は、検出抵抗R17、R18の中間接続点に接続されている。検出抵抗R17、R18は、スイッチング電源20の出力ラインLo1とグランドとの間に設けられていて、スイッチング電源20の出力電圧Vo1を抵抗比により分圧して検出するものである。そして、コンパレータ115の出力端子は抵抗R16を介してトランジスタ101のベースBに接続されている。
【0125】
上記コンパレータ115は、スイッチング電源20の出力電圧Vo1が「5V」を上回っている場合には、トランジスタ101のベースBにLowレベルの第三制御信号Sr4を出力し、出力電圧Vo1が「5V」を下回ると、トランジスタ101のベースBに、Highレベルの第三制御信号Sr4を出力する。
【0126】
そのため、出力電圧Vo1が「5V」を上回る状態から下回る状態になると、トランジスタ101がオフ状態からオン状態に、自動的に切り換わる。その結果、トランジスタ100がオン状態となって第二経路U2が閉路されることから、第二経路U2からコンデンサC7に対して充電電流が供給可能となる。
【0127】
従って、実施形態3では、コンデンサC7に対する充電経路の切り換え操作を、出力電圧Vo1が「5V」に下がった時点で、直に実行できる。そのため、コンデンサC7を早期に充電できる。尚、検出抵抗R17と検出抵抗R18が、本発明の「出力電圧検出部」の一例であり、コンパレータ115が本発明の「切換制御部」の一例である。また、トランジスタ100とトランジスタ101が本発明の「切換部」の一例であり、また「第三制御信号Sr4」が本発明の「切換信号」の一例である。
【0128】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0129】
(1)実施形態1〜実施形態3では、電源システムSを、プリンタに使用する例を挙げたが、電気機器であれば、適用可能であり、電源システムSの用途はプリンタに限定されない。例えば、テレビやビデオなどの家電製品に広く使用できる。また、実施形態1〜実施形態3では、電子写真式のプリンタを例示したが、インクジェット式のプリンタへの適用も可能である。
【0130】
(2)実施形態1〜実施形態3では、トランス23をスイッチングする半導体スイッチング素子としてFET(電界効果トランジスタ)を例示したが、バイポーラトランジスタを使用してもよい。
【0131】
(3)実施形態1〜実施形態3では、制御装置80の構成例としてメインブロックB1と、モード制御ブロックB2の2つの機能ブロックを備えたものを例示した。制御装置80は、少なくともモード制御ブロックB2を備えていればよく、例えば、メインブロックB1を制御装置80とは別構成としてよい。
【0132】
(4)実施形態1では、通常出力モードからオフモードに切り換わるときに、充電が必要であるかの判断基準として、コンデンサC7が満充電であるかどうかを例に挙げた。充電が必要かどうかの判断基準は、満充電を基準とするものに限定されない。例えば、満充電から充電量が一定量低い閾値レベルを設定し、閾値レベルを超えていれば、仮に満充電に達していなくても、充電の必要なしと判断してもよい。
【0133】
(5)実施形態1〜3では、オフモード中、コンデンサC7から制御装置80のモード制御ブロックB2に電力を供給して、オフモード中、モード制御ブロックB2だけを動作状態にする例を示した。そして、オフモードから通常出力モードへの移行は設定時間Tw3の経過により行うことにした。上記の他にも、例えば、オフモード中、コンデンサC4から、モード制御部B2と通信部3aに電力を供給するようにしておき、情報端末装置からの印刷指示をトリガーにして、オフモードから通常モードに移行してもよい。また、プリンタ1に対してユーザ操作用の操作部(図略)を設けると共に、操作部にも電力を供給しておき、ユーザが操作部を操作することをトリガーにして、オフモードから通常出力モードに移行するようにしてもよい。尚、オフモード中、モード制御ブロックB2に加えて、通信部3aや操作部に電力を供給する場合には、蓄電部であるコンデンサC7の容量を大きくする、又はコンデンサC7に替えて小型のバッテリを搭載するなどの対応が必要となる。
【0134】
(6)実施形態2では、切換部として2つのトランジスタ100、101より構成された回路を、第二経路U2側に設置したものを例示した。切換部は、コンデンサC7に対する充電経路を第一経路から第二経路へ切り換え可能なものであればよく、例えば、第一経路U1と第二経路U2の双方にスイッチを設けてオンオフを交互にするようにしてもよい。また、スイッチを構成する回路構成も実施形態2の構成に限定されない。
【0135】
(6)実施形態2では、モード制御ブロックB2の出力する第二制御信号Sr3を、トランジスタ101のベースBと、停止回路150の双方に入力する構成を例示した。すなわち、第二制御信号Sr3が、コンデンサC7に対する充電経路を切り換える切換信号と、DC−DCコンバータ35を停止させる停止信号を兼ねる例を示した。DC−DCコンバータ35を停止させる停止信号は、充電経路を第二経路U2に切り換える時に出力されるものであればよく、第二制御信号Sr3とは別の信号にしてもよい。
【0136】
(7)実施形態1〜3では、低出力モードにおけるスイッチング電源20の出力電圧Vo1を「5.05V(第三出力電圧)」とし、通常出力モードにおけるDC−DCコンバータ35の出力電圧Vo2を「5・15V(第二出力電圧)」としたものを例示した。低出力モードにおけるスイッチング電源20の出力電圧Vo1は、通常出力モードにおけるDC−DCコンバータ35の出力電圧Vo2と同電圧、すなわち「5.15V」にしてもよい。
【符号の説明】
【0137】
1…プリンタ(本発明の「画像形成装置」の一例)
2…印刷部(本発明の「高電圧系部品」の一例)
3a…通信部(本発明の「第二低電圧系部品」の一例)
10…電源装置
20…スイッチング電源
21…整流平滑回路
23…トランス
25…FET(本発明の「半導体スイッチング素子」の一例)
26…電圧発生回路
27…整流平滑回路
29…出力電圧検出回路
32…分圧比変更回路
35…DC−DCコンバータ(本発明の「降圧回路」の一例)
45…DC−DCコンバータ
50…制御IC
80…制御装置
87…充電電圧検出回路(本発明の「充電電圧検出部」の一例)
90…計時部
95…内部メモリ
100…トランジスタ(本発明の「切換部」の一例)
101…トランジスタ(本発明の「切換部」の一例)
110…自動切換出回路
115…コンパレータ(本発明の「切換制御部」の一例)
B1…メインブロック(本発明の「第一低電圧部品」の一例)
B2…モード制御ブロック(本発明の「制御装置」の一例、「切換制御部」の一例)
C7…コンデンサ(本発明の「蓄電部」の一例)
S…電源システム
Sr1…制御パルス信号
Sr2…第一制御信号
Sr3…第二制御信号(本発明の「切換信号」の一例)
Sr4…第三制御信号(本発明の「切換信号」の一例)
R17、R18…検出抵抗(本発明の「出力電圧検出部」の一例)
U1…第一経路
U2…第二経路
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源システム及びそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、スタンバイ中、主電源制御部がスイッチング電源の出力トランスを発振停止させ、この主電源制御部への電力供給を二次電池が行うことにより、省電力化を図ったものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−87734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、スイッチング電源の更なる省電力化が求められている。特許文献1のものは、スタンバイ中に二次電池を充電する際も、出力トランスを24Vの出力にしており、電力を無駄に消費していた。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、スイッチング電源の電力消費を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一の発明は、一次側の発振により二次側に電圧を誘起させるトランスと、誘起された電圧を整流平滑化する整流平滑回路とを有し、通常出力モードにおいて第一出力電圧を出力するスイッチング電源と、前記スイッチング電源の出力側にあって、前記第一出力電圧を第二出力電圧に降圧する降圧回路と、前記スイッチング電源を、前記通常出力モードと、出力電圧が第一出力電圧より低い第三出力電圧となる低出力モードと、前記トランスの一次側の発振を停止させるオフモードと、に切り換え制御する制御装置と、前記通常出力モード時に前記降圧回路の出力により充電されて、前記オフモード時に前記制御装置の電源となる蓄電部と、を備え、前記制御装置は、前記通常出力モードと前記低出力モード以外において充電が必要な場合に、前記スイッチング電源の出力を前記第三出力電圧にして前記蓄電部を充電させる。
【0007】
この電源システムは、通常出力モードと低出力モード以外において充電が必要な場合に、スイッチング電源を第三出力電圧にして、蓄電部を充電する。そのため、スイッチング電源を、第三出力電圧より電圧の高い第一出力電圧にして充電する場合に比べて、電力消費を抑えることが可能である。
【0008】
第二の発明は、第一の発明に記載の電源システムであって、前記制御装置は、オフモード中に充電が必要な場合に、前記スイッチング電源の出力を前記第三出力電圧にして前記蓄電部を充電させる。このようにすれば、オフモード中、蓄電部を充電状態に保つことが可能であり、制御装置に電力を安定供給できる。
【0009】
第三の発明は、第一の発明又は第二の発明に記載の電源システムであって、前記制御装置は、通常出力モードからオフモードに切り換わるときに、充電が必要な場合に、前記スイッチング電源の出力を前記第三出力電圧にして前記蓄電部を充電させる。このようにすれば、蓄電部が充電された状態でオフモードに移行するので、オフモード中、蓄電部の充電状態を長時間維持できる。
【0010】
第四の発明は、第二の発明又は第三の発明に記載の電源システムであって、前記蓄電部に対する充電経路に、前記降圧回路から前記蓄電部に充電電流を供給する第一経路と、前記スイッチング電源から前記降圧回路を経由せず前記蓄電部に充電電流を直接供給する第二経路が設けられ、前記蓄電部に対する充電経路を切り換える切換部と、オフモード中に充電が必要な場合及び通常出力モードからオフモードに切り換わるときに充電が必要な場合のうち少なくともいずれか一方の場合に、前記切換部に切換信号を与えることで、前記充電経路を前記第二経路とする切換制御部と、を備える。
【0011】
この電源システムは、オフモード中に充電が必要な場合及び通常出力モードからオフモードに切り換わるときに充電が必要な場合のうち、少なくともいずれか一方の場合には、蓄電部に対する充電経路が、降圧回路を経由しない第二経路に切り換えられる。従って、蓄電部の充電中、降圧回路で無駄な電力を消費することがない。
【0012】
第五の発明は、第四の発明に記載の電源システムであって、前記通常出力モードからオフモードに切り換わるときに前記蓄電部を充電する場合において、前記切換制御部は、前記スイッチング電源の出力電圧が前記第一出力電圧から前記第三出力電圧に低下した時点で、前記切換部に切換信号を与えて、前記充電経路を前記第一経路から前記第二経路に切り換える。
【0013】
一般に、蓄電部の耐圧は概ね十数V程度であるので、耐圧を超える電圧が加わると、劣化を早め製品寿命を短くする恐れがある。この電源システムは、スイッチング電源の出力電圧が第一出力電圧から第三出力電圧に低下した時点で、充電経路を切り換えるようにしているから、蓄電部に耐圧を超える高電圧が加わる恐れがない。
【0014】
第六の発明は、第五の発明に記載の電源システムであって、前記スイッチング電源の出力電圧を検出する出力電圧検出部を備え、前記切換制御部は、前記出力電圧検出部により検出される前記スイッチング電源の出力電圧が前記第三出力電圧に低下することを条件に、前記切換部に切換信号を与えて、前記充電経路を前記第一経路から前記第二経路に切り換える。
【0015】
先に説明したように蓄電部保護の観点から、充電経路の切り換えは、スイッチング電源の出力電圧が第一出力電圧から第三出力電圧に低下した時点で行うことが好ましい。このようなタイミングで充電経路を切り換える方法として、例えば、スイッチング電源の出力電圧が第一出力電圧から前記第三出力電圧に低下するのに必要な時間を計算などによって予想しておき、予想時間が過ぎてから、切り換えるようにすればよい。しかし、スイッチング電源の出力電圧が、計算通りに下がる保証はないので、上記方法の場合、一定のマージンを持たせる必要があり、充電経路の切り換えタイミングが、スイッチング電源の出力電圧が第三出力電圧まで下がった時刻より遅れる。この点、この電源システムでは、スイッチイグ電源の出力電圧を検出するようにしているので、充電経路の切り換え操作を、スイッチング電源の出力電圧が第三出力電圧に低下した時点で、直に実行できる。そのため、上記のように時間を計って、充電経路を切り換える方法に比べて、蓄電部を早期に充電できる。
【0016】
第七の発明は、第四の発明ないし第六の発明のいずれか一項に記載の電源システムであって、前記降圧回路をオフする停止回路を備え、前記切換制御部は、前記充電経路を第一経路から第二経路に切り換える時に、前記停止回路に停止信号を与えて前記降圧回路をオフする。この電源システムでは、第二経路で蓄電部の充電が行われる間、降圧回路はオフされる。そのため、降圧回路での電力消費がなく省電力化できる。
【0017】
第8の発明は、第1の発明ないし第7の発明のいずれか一項に記載の電源システムであって、前記蓄電部の電圧を検出する充電電圧検出部を備える。この電源システムでは、蓄電部の電圧レベルから、蓄電部に充電の必要があるかどうかを適切に判断できる。
【0018】
第9の発明は、第1の発明ないし第8の発明のいずれか一項に記載の電源システムであって、前記第三出力電圧は前記第二出力電圧と同電圧か、それ以下である。この電源システムでは、降圧回路の入力電圧が出力電圧と同電圧か、それ以下になるので、降圧回路での電力ロスが小さくなる。
【0019】
第10の発明は、請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の電源システムと、前記電源システムのスイッチング電源から前記第一出力電圧にて電力供給され、印刷処理を実行する高電圧系部品と、前記電源システムの降圧回路から前記第二出力電圧にて電力供給され、前記高電圧系部品を制御する第一低電圧系部品と、前記電源システムの降圧回路から前記第二出力電圧にて電力供給され、印刷データを受信する通信処理を行う第二低電圧系部品とを備え、前記第二低電圧系部品が前記印刷データを受信すると、前記第一低電圧系部品が前記高電圧系部品を制御して受信した前記印刷データを印刷する印刷処理を実行する画像形成装置であって、前記通常出力モードでは、前記スイッチング電源から前記高電圧系部品に対して前記第一出力電圧にて電力が供給され、前記降圧回路から前記第一低電圧系部品及び前記第二低電圧系部品に対して前記第二出力電圧にて電力が供給され、前記低出力モードでは、前記スイッチング電源から前記高圧系部品に対する電力供給は停止する一方、前記降圧回路から前記第一低電圧系部品及び前記第二低電圧系部品へは前記第二出力電圧にて電力が供給され、前記オフモードでは、前記高電圧系部品と前記第一、第二低電圧系部品の双方に対する電力の供給が停止する。このものでは、画像形成装置の電源部分における電力消費を抑えることが可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、スイッチング電源の電力消費を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態1において、プリンタの構成を示すブロック図
【図2】電源システムにおける電源装置の回路図
【図3】電源システムにおける制御装置側の回路図
【図4】分圧比と目標出力電圧との関係を示す図
【図5】各モードについてスイッチング電源等の出力電圧をまとめた図
【図6a】コンデンサの充電特性を示す図
【図6b】コンデンサの放電特性を示す図
【図7】モードの移行パターンを示す図
【図8】実施形態2における電源システムの制御装置側の回路図
【図9】電源システムにおける電源装置の回路図
【図10】スイッチング電源の出力電圧の波形図(24Vから5Vに下がる過程を示す)
【図11】実施形態3における電源システムの制御装置側の回路図
【発明を実施するための形態】
【0022】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図7によって説明する。
1.プリンタの説明
図1はプリンタ(本発明の「画像形成装置」の一例)1の電気的構成を示すブロック図である。プリンタ1は、印刷部2と、通信部3aと、画像メモリ3bと、電源システムSとを備えている。電源システムSは、電源装置10と制御装置80とから構成されている。電源装置10はプリンタ1の電源となるものであり、印刷部2、通信部3a、画像メモリ3b及び制御装置80に対して電力を供給する。
【0023】
印刷部2は、感光ドラム2a、感光ドラム2aの表面を帯電させる帯電プロセスを実行する帯電器2b、感光ドラム2aの表面に静電潜像を形成する露光プロセスを実行する露光装置2c、感光ドラム2aの表面に形成された静電潜像に現像剤を付着させて現像剤像を形成する現像プロセスを実行する現像器2d、記録媒体に現像剤像を転写する転写プロセスを実行する転写器2e、記録媒体上に転写された現像剤像を定着させる定着プロセスを実行する定着器2f等から構成されている。
【0024】
印刷部2は帯電プロセス、露光プロセス、現像プロセス、転写プロセス、定着プロセスを実行して、記録媒体上に印刷データを印刷する印刷処理を実行するものである。通信部3aはPC等の情報端末装置との間で通信を行うものであり、情報端末装置から印刷指示や印刷データを受信する機能を担う。画像メモリ3bは、情報端末装置から受信した印刷データを一時記憶するものである。
【0025】
上記プリンタ1は、通信部3aが情報端末装置から印刷指示を受けて印刷データを受信すると、制御装置80のメインブロックB1が、印刷部2に帯電プロセス、露光プロセス、現像プロセス、転写プロセス、定着プロセスからなる印刷処理を実行させることで、記録媒体に印刷データを印刷させる。尚、印刷部2の動作電圧は24Vであるのに対して、通信部3a、画像メモリ3b及び制御装置80の動作電圧は3.3Vである。また、印刷部2が本発明の「高電圧系部品」の一例であり、制御装置80のメインブロックB1が本発明の「第一低電圧系部品」の一例であり、通信部3aが本発明の「第二低電圧系部品」の一例である。
【0026】
2.回路構成の説明
まず、図2を参照して電源システムSにおける電源装置10の構成について説明する。電源装置10は、スイッチング電源20と、DC−DCコンバータ(本発明の「降圧回路」の一例)35と、DC−DCコンバータ45と、を備える。スイッチング電源20は、整流平滑回路21と、トランス23と、FET(電界効果トランジスタ)25と、整流平滑回路27と、電圧検出回路29と、FET25をスイッチング制御する制御IC50とを備える。
【0027】
整流平滑回路21は、いわゆるコンデンサインプット型であり、AC電源15の交流電圧(例えば、220V)を整流するブリッジダイオードD1と、整流後の電圧を平滑化するコンデンサC1とから構成されている。そして、整流平滑回路21の出力側には、トランス23が設けられていて、交流電圧を整流平滑化した入力電圧Vin(例えば、約DC322V)が、入力ラインLinを通じてトランス23の一次コイルN1に印加される構成となっている。
【0028】
FET25はNチャンネルのMOSFETであり、ドレインDを一次コイルN1に接続すると共に、ソースSを接地している。そして、FET25のゲートGは、制御IC50の出力ポートOUTに接続されている。以上のことから、制御IC50が出力ポートOUTを通じてゲートGにオンオフ信号(PWM信号)を出力すると、FET25はオンオフ動作する。これにより、トランス23の一次側が発振して、トランス23の二次コイルN2に電圧を誘起させる構成となっている。
【0029】
また、トランス23の一次側には電圧発生回路26が設けられている。電圧発生回路26は、トランス23の一次側に設けられた補助コイルN3に誘起される電圧を、ダイオードD2とコンデンサC2により平滑化するものである。この電圧発生回路26は、概ね20Vの電圧を発生し、制御IC50の電源となる。
【0030】
整流平滑回路27はトランス23の二次側に設けられていて、ダイオードD3とコンデンサC3とからなる。整流平滑回路27はトランス23の二次コイルN2に誘起された電圧を整流平滑化する。これにより、スイッチング電源20は、出力ラインLo1を通じて出力電圧Vo1を出力する。また、整流平滑回路27の出力側には、電圧検出回路29が設けられている。
【0031】
電圧検出回路29はスイッチング電源20の出力電圧Vo1を検出する機能と、出力電圧Vo1の目標値を変更する機能を有するものであって、一対の検出抵抗R1、R2と、分圧比変更回路32と、シャントレギュレータRE1と、シャントレギュレータRE1と直列接続された発光ダイオードLED1と、から構成されている。
【0032】
検出抵抗R1、R2は、出力ラインLo1とグランド間において直列接続されている。分圧比変更回路32は、抵抗R3とトランジスタ33とから構成されている。抵抗R3は、抵抗R1、R2の接続点に一端を接続する一方、他端をトランジスタ33のコレクタCに接続している。
【0033】
トランジスタ33は、NPNトランジスタであり、エミッタEをグランドに接続している。また、トランジスタ33のベースBは、抵抗R8を介して制御装置80の出力ポートP6に接続されている(図3参照)。
【0034】
分圧比変更回路32は、トランジスタ33のオンオフにより、検出抵抗の分圧比Kを変更する機能を果たす。すなわち、トランジスタ33がオンすると、分圧比KはR23/(R1+R23)になる。これに対して、トランジスタ33がオフすると、分圧比KがR2/(R1+R2)となる(図4参照)。尚、R23は、抵抗R2と抵抗R3の合成抵抗である。
【0035】
シャントレギュレータRE1は、シャントレギュレータRE1の内部に設けられた基準電圧Vr(一例として2.5V)と、スイッチング電源20の出力電圧Vo1を分圧比Kにて分圧した分圧電圧Vg(g点の電圧)とのレベル差に応じた電流を流す。
【0036】
これにより、発光ダイオードLED1に電流が流れ、発光ダイオードLED1は基準電圧と分圧電圧Vgとのレベル差に応じた光量の光信号を出力する。そして、発光ダイオードLED1は、制御IC50のフィードバックポートFBに接続されたフォトトランジスタPT1と共に、フォトカプラを構成している。
【0037】
そのため、発光ダイオードLED1の光信号はフォトトランジスタPT1にて電気信号に戻される。これにて、シャントレギュレータRE1の基準電圧Vrに対する分圧電圧Vgのレベル差を示す信号(以下、フィードバック信号)が、制御IC50のフィードバックポートFBにフィードバックされる構成となっている。
【0038】
また、スイッチング電源20の出力ラインLo1は、図2に示すように分岐点J1にて2分岐している。そして、分岐したライン上にはDC−DCコンバータ35が設けられている。
【0039】
DC−DCコンバータ35は、スイッチング電源20の出力する24Vの出力電圧Vo1を降圧して、5.15Vの出力電圧Vo2を出力するものであって、FET37と、平滑回路39と、コンパレータ41と、トランジスタ43と、検出抵抗R6、R7と、コンデンサC6を備えた構成となっている。
【0040】
FET37は、PチャンネルのMOSFETであり、ソースSを入力側(スイッチング電源20の出力側)に接続し、ドレインDを出力側(平滑回路39側)に接続している。平滑回路39は、チョークコイル40と、コンデンサC5と、ダイオードD5とから構成されている。コンデンサC5は出力ラインLo2とグランドとの間に設けられ、また、ダイオードD5は、出力ラインLo2とグランドとの間において、グランドから出力ラインLo2への向きが順方向となるように接続されている。平滑回路39は、FET37通過後の電圧波形を平滑化するものである。
【0041】
また、FET37のゲートGには、抵抗R4を介してトランジスタ43のコレクタCが接続されている。トランジスタ43は、NPNトランジスタであり、エミッタEをグランドに接続している。また、トランジスタ43のベースBは、抵抗R5を介してコンパレータ41の出力端子に接続されている。
【0042】
コンパレータ41は2つの入力端子を備えており、プラス側の入力端子には、シャントレギュレータRE2を介して基準電圧が与えられている。一方、マイナス側の入力端子には、検出抵抗R6、R7の中間接続点に接続されている。検出抵抗R6、R7は、出力ラインLo2とグランドとの間に設けられていて、DC−DCコンバータ35の出力電圧Vo2を抵抗比により分圧して検出するものである。尚、検出抵抗R7にはコンデンサC6が並列接続されていて、コンパレータ41にヒステリシスを持たせている。
【0043】
DC−DCコンバータ35の回路動作を説明すると、出力電圧Vo2を抵抗比により分圧した電圧値が基準電圧を下回る場合には、コンパレータ41の出力はHighレベルになるので、トランジスタ43及びFET37はいずれもオンする。これにより、FET37のオン時間が長くなり、出力電圧Vo2は上昇し、目標値に向かう。
【0044】
一方、出力電圧Vo2を抵抗比により分圧した電圧値が基準電圧を上回る場合には、コンパレータ41の出力はLowレベルになるので、トランジスタ43及びFET37はいずれもオフする。これにより、FET37のオン時間が短くなり、出力電圧Vo2は下降し目標値に向かう。
【0045】
また、DC−DCコンバータ35の出力ラインLo2は、図2に示すように分岐点J2にて更に分岐している。そして、分岐したラインにはDC−DCコンバータ45が設けられている。DC−DCコンバータ45は、DC−DCコンバータ35と同様の回路構成であり、DC−DCコンバータ35の出力する5.15Vの出力電圧Vo2を降圧して、3.3Vの出力電圧Vo3を出力する。
【0046】
制御IC50は、電圧発生回路26に接続される電源ポートVccと、抵抗R9、ツェナーダイオードD6を介して入力ラインLinに接続される高電圧入力ポートVHと、電圧検出回路29からのフィードバック信号が入力されるフィードバックポートFBと、出力ポートOUTと、制御装置80から出力される制御パルス信号Sr1が入力される制御入力ポートENの5つのポートを備えている。
【0047】
制御IC50はPWMコンパレータ(図略)と三角波を発振する発振回路(図略)を備えており、フィードバックポートFBにフィードバック信号が入力されると、フィードバック信号に応じたPWM信号を生成し、出力ポートOUTを通じてFET25のゲートGに出力する。これにより、スイッチング電源20の出力電圧Vo1が目標電圧になるように制御される。
【0048】
また、制御IC50は、次に説明する制御装置80から出力される制御パルス信号Sr1に基づいてFET25のスイッチング制御(オンオフ制御)を停止、再開する機能を担う。
【0049】
次に、図3を参照して電源システムSにおける制御装置80側の構成について説明する。制御装置80は、プリンタ1の印刷部2を制御するメインブロックB1と、スイッチング電源20のモードを制御するモード制御ブロックB2とから構成されている。また、モード制御ブロックB2には、計時部90、内部メモリ95が設けられている。
【0050】
メインブロックB1の電源ポートP1は、DC−DCコンバータ45の出力ラインLo3に接続されており、DC−DCコンバータ45から3.3Vの出力電圧Vo3が印加される構成となっている。
【0051】
一方、モード制御ブロックB2の電源ポートP2は、DC−DCコンバータ35側に接続されている。具体的に説明すると、DC−DCコンバータ35の出力ラインLo2には、ダイオードD7を介してコンデンサ(蓄電用の電気二重層キャパシタ)C7が接続されている。そして、コンデンサC7とダイオードD7の接続点から中継ラインL1が引き出されている。尚、コンデンサC7が本発明の「蓄電部」の一例である。
【0052】
中継ラインL1上にはDC−DCコンバータ83が設けられていて、DC−DCコンバータ35からの出力電圧Vo2を3.3Vに降圧して、モード制御ブロックB2の電源ポートP2に入力させる構成となっている。
【0053】
また、モード制御ブロックB2には、2つの入力ポートP3、P4と、2つの出力ポートP5、P6が設けられている。入力ポートP3には切換スイッチSW2が接続されている。この切換スイッチSW2は、スイッチング電源20のモードを、出力モードとオフモードに切り換える手動スイッチである。
【0054】
入力ポートP4には、充電電圧検出回路87から出力される検出信号(コンパレータCPより出力される2値信号)が、入力される構成となっている。充電電圧検出回路(本発明の「充電電圧検出部」の一例)87はコンデンサC7の充電電圧Vchを検出する検出抵抗R11、R12と、検出抵抗R11、R12により検出された電圧値を基準値と比較して出力するコンパレータCPと、基準電圧生成用の分圧抵抗R13、R14とから構成されている。
【0055】
コンパレータCPは、充電電圧Vchが基準電圧を上回っている場合には、Highレベルの検出信号をモード制御ブロックB2のポートP4に出力し、充電電圧Vchが基準電圧を下回っている場合には、Lowレベルの検出信号をポートP4に出力する。
【0056】
出力ポートP5は、制御IC50の制御入力ポートENに対して、制御パルス信号Sr1を出力するポートである。具体的に説明すると、中継ラインL1には、発光ダイオードLED2が接続されている。発光ダイオードLED2は、アノードを中継ラインL1に接続する一方、カソードをNPNトランジスタ85のコレクタCに抵抗R10を介して接続している。
【0057】
トランジスタ85のエミッタEはグランドに接続されると共に、トランジスタ85のベースBはモード制御ブロックB2の出力ポートP5に接続されている。そして、発光ダイオードLED2は、制御IC50の制御入力ポートENに接続されたフォトトランジスタPT2と共に、フォトカプラを構成している。
【0058】
以上のことから、出力ポートP5より出力された制御パルス信号Sr1は、発光ダイオードLED2とフォトトランジスタPT2によって光伝送され、制御IC50の制御入力ポートENに入力される構成となっている。また、出力ポートP6は、抵抗R8を介して、分圧比変更回路32のトランジスタ33のベースBに接続されている。
【0059】
3.モード制御ブロックB2によるモード制御の説明
(3−1)出力モード⇔オフモード間におけるモード移行
電源システムSのスイッチング電源20には、図5に示すように、出力モードとオフモードが設けられている。出力モードは、トランス23の一次側を発振させて、スイッチング電源20を出力状態にするモードである。一方、オフモードは、トランス23の発振を停止させてスイッチング電源20の出力を停止させるモードである。
【0060】
制御装置80のモード制御ブロックB2は、制御IC50に対して、制御パルス信号Sr1を出力することによって、スイッチング電源20を出力モードからオフモードへ、又はオフモードから出力モードへ移行操作できる。
【0061】
これは、出力モード時に、制御パルス信号Sr1を受信すると、制御IC50は電源ポートVccをハイインピーダンス状態に制御して、FET25に対するスイッチング制御を停止する。これにより、トランス23の一次側の発振が停止するので、スイッチング電源20は出力停止状態となり、オフモードとなる。
【0062】
一方、オフモード時に、制御パルス信号Sr1を受信すると、制御IC50は電源ポートVccのハイインピーダンス状態を解除して、FET25に対するスイッチング制御を再開し、出力ポートOUTからFET25に対してオンオフ信号を出力する。これにより、FET25がオンオフしてトランス23の一次側の発振がするので、スイッチング電源20は出力状態となり、オフモードから出力モードに移行する。
【0063】
(3−2)通常出力モード⇔低出力モード間におけるモード移行
下記(1)式にて示すように、スイッチング電源20の出力電圧Vo1の目標値は、電圧検出回路29における検出抵抗の分圧比Kの逆数に比例する。そのため、分圧比Kを小さくすると、出力電圧Vo1の目標値は大きくなり、分圧比Kを大きくすると、出力電圧Vo1の目標値は小さくなる。
【0064】
Vo1=Vr/K・・・・・・・・・・・・(1)式
K1=R23/(R1+R23)・・・・・(2)式
K2=R2/(R1+R2)・・・・・・・(3)式
尚、Vo1はスイッチング電源の出力電圧、VrはシャントレギュレータRE1の基準電圧、Kは電圧検出回路29における検出抵抗の分圧比、R23はR2とR3の合成抵抗を指す。
【0065】
そのため、モード制御ブロックB2からHigh/Lowいずれかの第一制御信号Sr2を分圧比変更回路32に対して出力して分圧比Kの値を変更することによりスイッチング電源20の出力電圧Vo1を切り換えることが可能であり、スイッチング電源20を通常出力モードと低出力モードとの間で移行操作できる。
【0066】
具体的に説明すると、モード制御ブロックB2からHighレベルの第一制御信号Sr2が出力されている時、トランジスタ33はオンするので、上記(2)式のように分圧比Kは「K1」になる。これに対して、Lowレベルの第一制御信号Sr2が出力されている時、トランジスタ33はオフするため、上記(3)式のように分圧比Kは「K2」となる。
【0067】
そして、分圧比K1と分圧比K2の大小関係は「K1」<「K2」となる。そのため、モード制御ブロックB2からHighレベルの第一制御信号Sr2を出力すると、スイッチング電源20の出力電圧Vo1の目標値は「高電圧(24V)」となる(通常出力モード)。そして、通常出力モードでは、DC−DCコンバータ35、45は、図5に示すようにそれぞれ5.15V出力、3.3V出力となる。
【0068】
尚、スイッチング電源20の「24V」出力が本発明の「第一出力電圧」に対応し、DC−DCコンバータ35の「5.15V」出力が、本発明の「第二出力電圧」に対応している。
【0069】
一方、モード制御ブロックB2からLowレベルの第一制御信号Sr2を出力すると、出力電圧Vo1の目標値は「低電圧(5.05V)」となる(低出力モード)。そして、低出力モードでは、DC−DCコンバータ35、45は、図5に示すようにそれぞれ5.0V出力、3.3V出力となる。尚、スイッチング電源20の「5.05V」出力が、本発明の「第三出力電圧」に対応している。
【0070】
また、低出力モードにおいて、DC−DCコンバータ35の入出力間で0.05Vの電圧差があるのは、FET37とコイル40の抵抗成分で、0.05V程度の電圧降下があるためである。
【0071】
そして、これら通常出力、低出力、オフの3つのモードは、図7に示すように印刷処理、印刷指示待ち、電源オフに各々対応しており、プリンタ1の使用状況によって、モードチェンジされる構成となっている(詳細は、次の動作説明にて説明する)。
【0072】
4.電源システムSの動作説明
(4−1)AC電源15の投入から通常出力モードへの移行
電源スイッチSW1(図2参照)が投入されると、入力ラインLinに対して、交流電圧を整流平滑化した入力電圧Vinが印加される。これにより、制御IC50の高電圧入力ポートVHに入力電圧Vinが印加され、制御IC50は起動する。
【0073】
制御IC50は起動後、FET25のゲートGに対するオンオフ信号(PWM信号)の出力を開始する。これにより、FET25がオン、オフを繰り返す状態になるので、スイッチング電源20のトランス23の一次側が発振を開始し、トランス23の二次側に電圧が誘起される(発振開始)。
【0074】
そして、制御IC50はオンオフ信号の出力開始からいわゆるソフトスタート制御を実行する。そのため、スイッチング電源20の出力電圧Vo1はゆっくりと上昇してゆく。そして、スイッチング電源20の出力電圧Vo1が所定レベルを超えると、制御IC50はフィードバック制御に切り換え、それ以降はフィードバックポートFBに入力されるフィードバック信号に基づいたPWM出力を行う。
【0075】
そして、電源投入時には、モード制御ブロックB2からHighレベルの第一制御信号Sr2が出力され、トランジスタ33はオン状態となる。そのため、分圧比Kが「K1」となり、出力電圧Vo1の目標電圧は「24V」となる。
【0076】
以上のことから、スイッチング電源20の「24V」出力となる。そして、DC−DCコンバータ35は、スイッチング電源20の出力電圧「24V」を降圧して「5.15」V出力になり、また、DC−DCコンバータ45は、更に、出力電圧「5.15V」を降圧して「3.3V」出力になる(通常出力モード)。
【0077】
この通常出力モードでは、電源装置10によってプリンタ1の各部品に電力供給される。すなわち、印刷部2には、出力ラインLo1を通じて、スイッチング電源20から電力が供給される(電源電圧24V)。また、通信部3a、画像メモリ3b及び制御装置80のメインブロックB1には、DC−DCコンバータ35、45を介して、スイッチング電源20から電力が供給される(電源電圧3.3V)。また、制御装置80のモード制御ブロックB2には、DC−DCコンバータ35、83を介してスイッチング電源20から電力が供給される(電源電圧3.3V)。従って、プリンタ1は印刷可能な状態、すなわち、PC等の情報端末装置から印刷指示を受信し、印刷指示に応じた印刷処理を実行できる状態となる。
【0078】
また、通常出力モード中、コンデンサC7には、第一経路(出力ラインLo2、ダイオードD7を経由する経路)U1を通じてDC−DCコンバータ35から充電電流が供給されるので、コンデンサC7は充電されてゆく。
【0079】
(4−2)通常出力モードから低出力モードへの移行
制御装置80のモード制御ブロックB2は、通常出力モード時において、電源スイッチSW1の投入後のウォーミングアップ動作完了、印刷処理終了、またはプリンタ1に設けられた操作部(図示せず)のユーザによる操作終了を契機として印刷指示や操作部操作の待ち時間を計測しており、待ち時間が設定時間Tw1に達すると、スイッチング電源20のモードを通常出力モードから低出力モードに移行させる。
【0080】
具体的には、モード制御ブロックB2は、出力ポートP6よりLowレベルの第一制御信号Sr2を出力する。すると、トランジスタ33はオフする。これにより、電圧検出回路29の検出抵抗の分圧比Kが「K1」から「K2」に切り換る結果、出力電圧Vo1の目標電圧は「5.05V」となる。
【0081】
以上のことから、スイッチング電源20は「5.05V」出力となる。そして、DC−DCコンバータ35は、「5.0V」出力になり、また、DC−DCコンバータ45は「3.3V」出力になる(低出力モード)。
【0082】
この低出力モードでは、通常出力モードと同様に、制御装置80のメインブロックB1や通信部3a、画像メモリ3bには、DC−DCコンバータ35、45を介してスイッチング電源20から電力が供給される(電源電圧3.3V)。また、制御装置80のモード制御ブロックB2には、DC−DCコンバータ35、83を介してスイッチング電源20から電力が供給される(電源電圧3.3V)。
【0083】
一方、低出力モードにおいて、スイッチング電源20の出力電圧Vo1は「5.05V」であり、印刷部2の動作電圧24Vを下回るので、印刷部2にする電力供給は停止状態になる。従って、低出力モード中、プリンタ1は、通信処理や通信処理にて受信した印刷データを画像メモリ3bに書き込む処理は可能なものの、印刷部2は全停止する。
【0084】
尚、低出力モード中、コンデンサC7には、第一経路U1を通じてDC−DCコンバータ35から充電電流が供給される。そのため、コンデンサC7は、通常出力モードと同様に低出力モード中も充電される。
【0085】
(4−3)低出力モードからオフモードへの移行
制御装置80のモード制御ブロックB2は、低出力モードに移行したのを契機として、印刷指示や操作部操作の待ち時間を計測しており、プリンタ1が印刷指示を受けないまま待ち時間が設定時間Tw2に達すると、電源システムSのモードを低出力モードからオフモードに移行させる。具体的には、モード制御ブロックB2は、出力ポートP5より制御パルス信号Sr1を出力する。すると、制御パルス信号Sr1は、フォトカプラを介して光伝送され、制御IC50の制御入力ポートENに入力される。
【0086】
これにより、制御IC50が、出力ポートOUTをハイインピーダンス状態に制御するため、トランス23の一次側の発振が停止する。そのため、スイッチング電源20は出力を停止し、電源システムSはオフモードに移行する。
【0087】
そして、オフモード中、スイッチング電源20とDC−DCコンバータ35、45はいずれも出力停止状態になるから、印刷部2や制御装置80のメインブロックB1、通信部3a、画像メモリ3bに対する電力供給は全てストップする。一方、制御装置80のモード制御ブロックB2は、コンデンサC7から電力供給されるため動作状態となる。尚、オフモード中、モード制御ブロックB2は、入力ポートP3、P4のポートレベルをチェックして、切換スイッチSW2の操作の有無、コンデンサC7の充電状態を確認する。
【0088】
(4−4)オフモードから通常出力モードへの移行
オフモードは予め設定された設定時間Tw3継続される。そして、設定時間Tw3が過ぎると、制御装置80のモード制御ブロックB2は、制御パルス信号Sr1を出力する。これにより、制御IC50は電源ポートVccのハイインピーダンス状態を解除してオンオフ信号の出力を再開する。その結果、FET25がオンオフ動作してトランス23の発振が再開する。
【0089】
また、モード制御ブロックB2は、制御パルス信号Sr1の出力と並行して、Highレベルの第一制御信号Sr2を出力してトランジスタ33をオンさせる。これにより、分圧比Kが「K1」に設定され、出力電圧Vo1の目標電圧は「24V」になる。かくして、スイッチング電源20は、オフモードから通常出力モードに切り換える。
【0090】
このように、電源システムSは、PC等の情報端末装置などから印刷指示がない状態が続いたり操作部がユーザによって操作されない状態が続いたりすると、図7にて実線で示すように、通常出力モード→低出力モード→オフモード→通常出力モードの順にモードチェンジする状態を繰り返す状態となる。そして、印刷指示があると、通常出力モード中であればそのまま印刷処理を行い、低出力モード中であれば通常出力モードへ移行して印刷処理を行う。そして、印刷処理の完了後、印刷指示のない状態が設定時間Tw1続くと、再びモードチェンジする状態を繰り返す。
【0091】
(4−5)切換スイッチSW2の操作によるモード移行
次に、モードチェンジを繰り返す状態から切換スイッチSW2がユーザにより操作されると、制御装置80のモード制御ブロックB2は、トランジスタ85に制御パルス信号Sr1を出力する。すると、制御パルス信号Sr1は、フォトカプラを介して光伝送され、制御IC50の制御入力ポートENに入力される。これにより、制御IC50が、FET25に対するオンオフ信号(PWM信号)の出力を、出力状態から停止状態に、又は停止状態から出力状態に切り換える。
【0092】
そのため、切換スイッチSW2操作時のモードが出力モード(通常出力モード、低出力モード)であれば、スイッチング電源20は、オフモードにモード移行する。また、切換スイッチ操作時のモードがオフモードである場合には、出力モード(通常出力モード、低出力モードのいずれか)にモード移行する。
【0093】
5.通常出力モードと低出力モード以外において充電が必要な場合に行われる充電動作
(5−1)オフモード中の充電動作
制御装置80のモード制御ブロックB2は、オフモードに移行したのを契機として、計時部90に、オフモードの開始時刻(コンデンサC7の放電開始時刻)t01から時間を計測させる。一方、モード制御ブロックB2の内部メモリ95には、コンデンサC7の最大使用時間(満充電から充電要になるまでの時間)である第一リミットタイムTp1が予め記憶されている(図6a参照)。尚、満充電とは、コンデンサC7に電荷が十分に蓄えられた状態(充電量がほぼ100%)を指す。
【0094】
そして、計時部90の計測時間T1が第一リミットタイムTp1に達すると、制御装置80のモード制御ブロックB2は、このままコンデンサC4が放電していくと充電電圧Vchが低下してDC−DCコンバータ83が3.3Vを維持できなくなってしまうために充電が必要と判断する。そして、モード制御部B2は充電が必要であると判断すると、制御パルス信号Sr1を出力する。これにより、制御IC50は電源ポートVccのハイインピーダンス状態を解除してオンオフ信号の出力を再開する。その結果、FET25がオンオフ動作してトランス23の発振が再開される。
【0095】
また、モード制御ブロックB2は、制御パルス信号Sr1を出力と並行して、Lowレベルの第一制御信号Sr2を出力してトランジスタ33をオフさせる。これにより、分圧比Kが「K2」に設定され、出力電圧Vo1の目標電圧が「5.05」になる。
【0096】
以上のことからスイッチング電源20の出力電圧Vo1は「5.05V」になる。また、DC−DCコンバータ35の出力電圧Vo2は「5.0V」になる。そして、コンデンサC7には、第一経路U1を通じてDC−DCコンバータ35から充電電流が供給される。これにて、コンデンサC7は充電される。
【0097】
このように、電源システムSでは、オフモード中に充電が必要な場合、スイッチング電源20の出力電圧Vo1を「5.05V」にして、コンデンサC7を充電する。そのため、スイッチング電源20の出力電圧Vo1を「24V」にして充電をする場合に比べて、ロスが小さく、電力消費を抑えることが可能である。
【0098】
また、計測時間T1が第一リミットタイムTp1に達する前であっても、コンデンサC7の充電電圧Vchが低下して、充電電圧検出回路87のコンパレータCPからLowレベルの検出信号が出力された場合には、上記と同様にスイッチング電源20の出力電圧Vo1を「5.05V」にして、コンデンサC7を充電する。このようにすることで、オフモード中、DC−DCコンバータ83が3.3Vを維持できなくなる前に、コンデンサC7を確実に充電できる。そのため、制御装置80のモード制御ブロックB2に電力を安定供給できる。
【0099】
そして、モード制御ブロックB2は、上記充電によりコンデンサC7が満充電に至ると、出力ポートP5より制御パルス信号Sr1を出力する。すると、制御パルス信号Sr1は、フォトカプラを介して光伝送され、制御IC50の制御入力ポートENに入力される。これにより、制御IC50が、出力ポートOUTをハイインピーダンスに制御する結果、トランス23の発振が停止する。そのため、スイッチング電源20は出力を停止し、通常のオフモードに戻る。
【0100】
(5−2)通常出力モードからオフモードに切り換わるときの充電動作
先に説明したように、スイッチング電源20は、切換スイッチSW2の操作により、通常出力モードからオフモードに移行する。そして、通常出力モードからオフモードに移行するときに、コンデンサC7が満充電に達していない場合に、制御装置80のモード制御ブロックB2は、充電が必要と判断する。そして、モード制御ブロックB2は、充電が必要であると判断すると、出力ポートP6からLowレベルの第一制御信号Sr2を出力してトランジスタ33をオフさせる。
【0101】
これにより、スイッチング電源20の出力電圧Vo1は「5.05V」となり、また、DC−DCコンバータ35の出力電圧Vo2は「5.0V」となる。そして、コンデンサC7は、第一経路U1を通じて、DC−DCコンバータ35から充電電流が供給され、充電される。そして、充電完了後、モード制御ブロックB2は、出力ポートP5から制御パルス信号Sr1を出力して、スイッチング電源20をオフモードにモード移行させる。
【0102】
このように、通常出力モードからオフモードに切り換わる時に充電が必要な場合には、スイッチング電源20の出力電圧Vo1を「5.05V」に切り換えてコンデンサC7を充電する。そのため、切り換えをせず、出力電圧Vo1が「24V」の状態で充電する場合に比べて、電力消費を抑えることが可能である。
【0103】
尚、コンデンサC7が満充電に達しているか否かの判断は、次のように行われる。すなわち、モード制御ブロックB2は、計時部90によって、通常出力モードの開始時刻to2(コンデンサC7に対する充電開始時)から時刻の計測を開始させる。その一方、モード制御ブロックB2の内部メモリ95には、コンデンサC7の充電必要時間(充電開始から満充電になるまでの時間)である第二リミットタイムTp2が予め記憶されている(図6b参照)。
【0104】
そして、モード制御ブロックB2は、計時部90による計測時間T2が第二リミットタイムTp2に達する前に、通常出力モードからオフモードへのモード移行指示(具体的には、切換スイッチSW2の操作)があると、満充電に達してしないと判断する。
【0105】
また、モード制御ブロックB2は、計時部90による計測時間T2が第二リミットタイムTp2に達した後、モード移行指示があった場合、満充電に達していると判断する。この場合、モード制御ブロックB2は、モード移行指示に従って、スイッチング電源20を通常出力モードからオフモードにモード移行させる。
【0106】
6.効果説明
以上説明したように、本電源システムSでは、オフモード中、トランス23の発振を停止させるようにしたので、電力消費を抑えることが可能である。
【0107】
また、通常出力モードと低出力モード以外において充電が必要な場合、具体的には、オフモード中に充電が必要な場合と、通常出力モードからオフモードに切り換わる時に充電が必要な場合は、スイッチング電源20の出力電圧Vo1を「5.05V」にして、コンデンサC7を充電する。従って、スイッチング電源20の出力電圧Vo1を「24V」にして充電する場合に比べて、電力消費を抑えることが可能である。
【0108】
また、本実施形態では、低出力モード時におけるスイッチング電源20の出力電圧Vo1は「5.05V」であるのに対して、DC−DCコンバータ35の通常出力モード時の出力電圧Vo2は「5.15V」であり、出力電圧Vo1が出力電圧Vo2に比べて小さい。そのため、低出力モード時に、DC−DCコンバータ35のFET37はオフせず、常時オン状態となる。そのため、FET37がオンオフすることにより発生するロスをほぼゼロに出来る。
【0109】
<実施形態2>
本発明の実施形態2を図8〜図10によって説明する。実施形態1では、コンデンサC7に対する充電経路として、DC−DCコンバータ35の出力ラインLo2、ダイオードD7を経由する第一経路U1を示した。実施形態2は、コンデンサC7に対する充電経路を、第一経路U1と第二経路U2の2経路にした点が実施形態1と相違している。
【0110】
図8に示すように、第二経路U2は、スイッチング電源20の出力ラインLo1と、コンデンサC7の出力端子Qを直接接続するものであり、スイッチング電源20から、DC−DCコンバータ35を経由することなく、コンデンサC7に対して充電電流を直接供給できる。係る第二経路U2上にはトランジスタ(本発明の「切換部」の一例)100が設けられている。トランジスタ100はPNPトランジスタであり、エミッタEをスイッチング電源20の出力ラインLo1に対して接続する一方、コレクタCをコンデンサC7の出力端子Qに接続している。
【0111】
そして、トランジスタ100のベースBには抵抗R15を介して、トランジスタ(本発明の「切換部」の一例)101のコレクタCが接続されている。トランジスタ101は、NPNトランジスタであり、エミッタEをグランドに接続している。そして、トランジスタ101のベースBは、抵抗R16を介して、モード制御ブロックB2の出力ポートP7に接続されている。
【0112】
また、実施形態2では、図9に示すように、DC−DCコンバータ35に対して停止回路105を設けている。停止回路105は、トランジスタ106と抵抗R17とから構成されている。トランジスタ106はNPNトランジスタであり、コレクタCをトランジスタ43のベースBに接続する一方、エミッタEをグランドに接続している。そして、トランジスタ106のべースBは、抵抗R17を介してモード制御ブロックB2の出力ポートP7に接続されている。また、DC−DCコンバータ45にも、DC−DCコンバータ35に設けた停止回路105と同じ停止回路(図略)が設けられている。
【0113】
そして、実施形態2では、オフモード中に充電が必要な場合(具体的には、計時部90の計測時間T1が第一リミットタイムTp1に達した場合、または、充電電圧検出回路87のコンパレータCPからLowレベルの検出信号が出力された場合)に、モード制御ブロックB2は、出力ポートP5から制御パルス信号Sr1を出力すると共に、出力ポートP6からLowレベルの第一制御信号Sr2を出力してトランジスタ33をオフさせる。これにより、分圧比Kが「K2」に設定される。これにより、出力電圧Vo1の目標電圧が「5.05」になり、スイッチング電源20の出力電圧Vo1は「5.05V」となる。
【0114】
そして、モード制御ブロックB2は更に、出力ポートP7からHighレベルの第二制御信号Sr3を出力する。すると、トランジスタ101がオンするため、ベース電位が下がり、トランジスタ100がオンする。これにより、第二経路U2が閉路状態になることから、コンデンサC7は、第二経路U2を通じてスイッチング電源20から充電電流が供給され、充電される。
【0115】
また、出力ポートP7から出力された第二制御信号Sr3は、DC−DCコンバータ35の停止回路105と、DC−DCコンバータ45の停止回路(図略)に入力される。すると、停止回路105のトランジスタ106がオンする結果、トランジスタ43のベース電位がゼロボルトに下がり、トランジスタ43はオフ状態になる。そのため、コンデンサC7を充電中、DC−DCコンバータ35は停止状態となり、出力電圧Vo2はゼロボルトになる。また、DC−DCコンバータ45も同様に停止状態となり、出力電圧Vo3はゼロボルトとなる。尚、モード制御ブロックB2が本発明の「切換制御部」の一例に相当する。また、モード制御ブロックB2の出力する第二制御信号Sr3が、本発明の「切換信号」及び「停止信号」に相当している。
【0116】
以上説明したように、実施形態2では、オフモード中に充電が必要な場合に、DC−DCコンバータ35を経由させず、スイッチング電源20側から、コンデンサC7を直接充電させるようにした。そのため、DC−DCコンバータ35側で無駄な電力を消費することがなく、消費電力を下げることが可能となる。しかも、実施形態2では、オフモード中にコンデンサC7を充電する場合に、DC−DCコンバータ35、45をいずれも停止させるようにしているから、無駄な電力を一層節約することが出来る。
【0117】
また、モード制御ブロックB2は、通常出力モードからオフモードに移行する場合において、コンデンサC7を充電する必要がある場合(その時点でコンデンサC7が満充電でない場合)には、まず、出力ポートP6よりLowレベルの第一制御信号Sr2を出力する。すると、トランジスタ33はオフする。これにより、分圧比Kが「K1」から「K2」に切り換わる結果、出力電圧Vo1の目標電圧は「5.05V」となる。
【0118】
これにより、スイッチング電源20の出力電圧Vo1が目標値「5.05V」になるように、FET25のPWM値(オンデューティ)が制御IC50により、コントロールされる。従って、スイッチング電源20の出力電圧Vo1は、通常出力モード時の24Vから下がってゆく。
【0119】
そして、モード制御ブロックB2は、計時部90によって、第一制御信号Sr2の出力時刻to3から時間の計測を開始させる。その一方、モード制御ブロックB2の内部メモリ95には、スイッチング電源20の出力電圧が24Vから5Vに低下するのに必要な第三リミットタイムTp3が予め記憶されている(図10参照)。
【0120】
そして、モード制御ブロックB2は、計時部90による計測時間T3が第三リミットタイムTp3に達すると、出力ポートP7からHighレベルの第二制御信号Sr3を出力する。すると、トランジスタ101がオンするため、ベース電位が下がり、トランジスタ100がオンする。これにより、第二経路U2が閉路されることから、コンデンサC7は第二経路U2を通じてスイッチング電源20から充電電流が供給され、充電される。
【0121】
また、出力ポートP7から出力された第二制御信号Sr3は、DC−DCコンバータ35の停止回路105と、DC−DCコンバータ45の停止回路(図略)に入力されるので、コンデンサC7が第二経路U2を通じて充電される間、両回路35、45は停止状態になる。
【0122】
このように、通常出力モードからオフモードへの移行時に、コンデンサC7に対する充電経路の切り換え操作を、スイッチング電源20の出力電圧Vo1が「5V」に低下してから行うことで、コンデンサC7を保護できる。というのも、コンデンサC7の耐圧は概ね十数V程度であり、耐圧を超える電圧が加わると、劣化を早め製品寿命を短くしてしまうからである。
【0123】
<実施形態3>
本発明の実施形態3を図11によって説明する。実施形態3は、実施形態2に対して自動切換回路110を設けたものである。自動切換回路110は、コンパレータ115と、一対の検出抵抗R17、R18と、から構成されている。コンパレータ115は、2つの入力端子を備えており、プラス側の入力端子には、基準電圧Vrefが印加されている。
【0124】
一方、コンパレータ115のマイナス側の入力端子は、検出抵抗R17、R18の中間接続点に接続されている。検出抵抗R17、R18は、スイッチング電源20の出力ラインLo1とグランドとの間に設けられていて、スイッチング電源20の出力電圧Vo1を抵抗比により分圧して検出するものである。そして、コンパレータ115の出力端子は抵抗R16を介してトランジスタ101のベースBに接続されている。
【0125】
上記コンパレータ115は、スイッチング電源20の出力電圧Vo1が「5V」を上回っている場合には、トランジスタ101のベースBにLowレベルの第三制御信号Sr4を出力し、出力電圧Vo1が「5V」を下回ると、トランジスタ101のベースBに、Highレベルの第三制御信号Sr4を出力する。
【0126】
そのため、出力電圧Vo1が「5V」を上回る状態から下回る状態になると、トランジスタ101がオフ状態からオン状態に、自動的に切り換わる。その結果、トランジスタ100がオン状態となって第二経路U2が閉路されることから、第二経路U2からコンデンサC7に対して充電電流が供給可能となる。
【0127】
従って、実施形態3では、コンデンサC7に対する充電経路の切り換え操作を、出力電圧Vo1が「5V」に下がった時点で、直に実行できる。そのため、コンデンサC7を早期に充電できる。尚、検出抵抗R17と検出抵抗R18が、本発明の「出力電圧検出部」の一例であり、コンパレータ115が本発明の「切換制御部」の一例である。また、トランジスタ100とトランジスタ101が本発明の「切換部」の一例であり、また「第三制御信号Sr4」が本発明の「切換信号」の一例である。
【0128】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0129】
(1)実施形態1〜実施形態3では、電源システムSを、プリンタに使用する例を挙げたが、電気機器であれば、適用可能であり、電源システムSの用途はプリンタに限定されない。例えば、テレビやビデオなどの家電製品に広く使用できる。また、実施形態1〜実施形態3では、電子写真式のプリンタを例示したが、インクジェット式のプリンタへの適用も可能である。
【0130】
(2)実施形態1〜実施形態3では、トランス23をスイッチングする半導体スイッチング素子としてFET(電界効果トランジスタ)を例示したが、バイポーラトランジスタを使用してもよい。
【0131】
(3)実施形態1〜実施形態3では、制御装置80の構成例としてメインブロックB1と、モード制御ブロックB2の2つの機能ブロックを備えたものを例示した。制御装置80は、少なくともモード制御ブロックB2を備えていればよく、例えば、メインブロックB1を制御装置80とは別構成としてよい。
【0132】
(4)実施形態1では、通常出力モードからオフモードに切り換わるときに、充電が必要であるかの判断基準として、コンデンサC7が満充電であるかどうかを例に挙げた。充電が必要かどうかの判断基準は、満充電を基準とするものに限定されない。例えば、満充電から充電量が一定量低い閾値レベルを設定し、閾値レベルを超えていれば、仮に満充電に達していなくても、充電の必要なしと判断してもよい。
【0133】
(5)実施形態1〜3では、オフモード中、コンデンサC7から制御装置80のモード制御ブロックB2に電力を供給して、オフモード中、モード制御ブロックB2だけを動作状態にする例を示した。そして、オフモードから通常出力モードへの移行は設定時間Tw3の経過により行うことにした。上記の他にも、例えば、オフモード中、コンデンサC4から、モード制御部B2と通信部3aに電力を供給するようにしておき、情報端末装置からの印刷指示をトリガーにして、オフモードから通常モードに移行してもよい。また、プリンタ1に対してユーザ操作用の操作部(図略)を設けると共に、操作部にも電力を供給しておき、ユーザが操作部を操作することをトリガーにして、オフモードから通常出力モードに移行するようにしてもよい。尚、オフモード中、モード制御ブロックB2に加えて、通信部3aや操作部に電力を供給する場合には、蓄電部であるコンデンサC7の容量を大きくする、又はコンデンサC7に替えて小型のバッテリを搭載するなどの対応が必要となる。
【0134】
(6)実施形態2では、切換部として2つのトランジスタ100、101より構成された回路を、第二経路U2側に設置したものを例示した。切換部は、コンデンサC7に対する充電経路を第一経路から第二経路へ切り換え可能なものであればよく、例えば、第一経路U1と第二経路U2の双方にスイッチを設けてオンオフを交互にするようにしてもよい。また、スイッチを構成する回路構成も実施形態2の構成に限定されない。
【0135】
(6)実施形態2では、モード制御ブロックB2の出力する第二制御信号Sr3を、トランジスタ101のベースBと、停止回路150の双方に入力する構成を例示した。すなわち、第二制御信号Sr3が、コンデンサC7に対する充電経路を切り換える切換信号と、DC−DCコンバータ35を停止させる停止信号を兼ねる例を示した。DC−DCコンバータ35を停止させる停止信号は、充電経路を第二経路U2に切り換える時に出力されるものであればよく、第二制御信号Sr3とは別の信号にしてもよい。
【0136】
(7)実施形態1〜3では、低出力モードにおけるスイッチング電源20の出力電圧Vo1を「5.05V(第三出力電圧)」とし、通常出力モードにおけるDC−DCコンバータ35の出力電圧Vo2を「5・15V(第二出力電圧)」としたものを例示した。低出力モードにおけるスイッチング電源20の出力電圧Vo1は、通常出力モードにおけるDC−DCコンバータ35の出力電圧Vo2と同電圧、すなわち「5.15V」にしてもよい。
【符号の説明】
【0137】
1…プリンタ(本発明の「画像形成装置」の一例)
2…印刷部(本発明の「高電圧系部品」の一例)
3a…通信部(本発明の「第二低電圧系部品」の一例)
10…電源装置
20…スイッチング電源
21…整流平滑回路
23…トランス
25…FET(本発明の「半導体スイッチング素子」の一例)
26…電圧発生回路
27…整流平滑回路
29…出力電圧検出回路
32…分圧比変更回路
35…DC−DCコンバータ(本発明の「降圧回路」の一例)
45…DC−DCコンバータ
50…制御IC
80…制御装置
87…充電電圧検出回路(本発明の「充電電圧検出部」の一例)
90…計時部
95…内部メモリ
100…トランジスタ(本発明の「切換部」の一例)
101…トランジスタ(本発明の「切換部」の一例)
110…自動切換出回路
115…コンパレータ(本発明の「切換制御部」の一例)
B1…メインブロック(本発明の「第一低電圧部品」の一例)
B2…モード制御ブロック(本発明の「制御装置」の一例、「切換制御部」の一例)
C7…コンデンサ(本発明の「蓄電部」の一例)
S…電源システム
Sr1…制御パルス信号
Sr2…第一制御信号
Sr3…第二制御信号(本発明の「切換信号」の一例)
Sr4…第三制御信号(本発明の「切換信号」の一例)
R17、R18…検出抵抗(本発明の「出力電圧検出部」の一例)
U1…第一経路
U2…第二経路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次側の発振により二次側に電圧を誘起させるトランスと、誘起された電圧を整流平滑化する整流平滑回路とを有し、通常出力モードにおいて第一出力電圧を出力するスイッチング電源と、
前記スイッチング電源の出力側にあって、前記第一出力電圧を第二出力電圧に降圧する降圧回路と、
前記スイッチング電源を、前記通常出力モードと、出力電圧が第一出力電圧より低い第三出力電圧となる低出力モードと、前記トランスの一次側の発振を停止させるオフモードと、に切り換え制御する制御装置と、
前記通常出力モード時に前記降圧回路の出力により充電されて、前記オフモード時に前記制御装置の電源となる蓄電部と、を備え、
前記制御装置は、前記通常出力モードと前記低出力モード以外において充電が必要な場合に、前記スイッチング電源の出力を前記第三出力電圧にして前記蓄電部を充電させる電源システム。
【請求項2】
前記制御装置は、オフモード中に充電が必要な場合に、前記スイッチング電源の出力を前記第三出力電圧にして前記蓄電部を充電させる請求項1に記載の電源システム。
【請求項3】
前記制御装置は、通常出力モードからオフモードに切り換わるときに、充電が必要な場合に、前記スイッチング電源の出力を前記第三出力電圧にして前記蓄電部を充電させる請求項1又は請求項2に記載の電源システム。
【請求項4】
前記蓄電部に対する充電経路に、前記降圧回路から前記蓄電部に充電電流を供給する第一経路と、前記スイッチング電源から前記降圧回路を経由せず前記蓄電部に充電電流を直接供給する第二経路が設けられ、
前記蓄電部に対する充電経路を切り換える切換部と、
オフモード中に充電が必要な場合及び通常出力モードからオフモードに切り換わるときに充電が必要な場合のうち、少なくともいずれか一方の場合に、前記切換部に切換信号を与えることで、前記充電経路を前記第二経路とする切換制御部と、を備える請求項2又は請求項3に記載の電源システム。
【請求項5】
前記通常出力モードからオフモードに切り換わるときに前記蓄電部を充電する場合において、
前記切換制御部は、前記スイッチング電源の出力電圧が前記第一出力電圧から前記第三出力電圧に低下した時点で、前記切換部に切換信号を与えて、前記充電経路を前記第一経路から前記第二経路に切り換える請求項4に記載の電源システム。
【請求項6】
前記スイッチング電源の出力電圧を検出する出力電圧検出部を備え、
前記切換制御部は、前記出力電圧検出部により検出される前記スイッチング電源の出力電圧が前記第三出力電圧に低下することを条件に、前記切換部に切換信号を与えて、前記充電経路を前記第一経路から前記第二経路に切り換える請求項5に記載の電源システム。
【請求項7】
前記降圧回路をオフする停止回路を備え、
前記切換制御部は、前記充電経路を第一経路から第二経路に切り換える時に、前記停止回路に停止信号を与えて前記降圧回路をオフする請求項4ないし請求項6のいずれか一項に記載の電源システム。
【請求項8】
前記蓄電部の電圧を検出する充電電圧検出部を備える請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の電源システム。
【請求項9】
前記第三出力電圧は前記第二出力電圧と同電圧か、それ以下である請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の電源システム。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の電源システムと、
前記電源システムのスイッチング電源から前記第一出力電圧にて電力供給され、印刷処理を実行する高電圧系部品と、
前記電源システムの降圧回路から前記第二出力電圧にて電力供給され、前記高電圧系部品を制御する第一低電圧系部品と、
前記電源システムの降圧回路から前記第二出力電圧にて電力供給され、印刷データを受信する通信処理を行う第二低電圧系部品とを備え、前記第二低電圧系部品が前記印刷データを受信すると、前記第一低電圧系部品が前記高電圧系部品を制御して受信した前記印刷データを印刷する印刷処理を実行する画像形成装置であって、
前記通常出力モードでは、前記スイッチング電源から前記高電圧系部品に対して前記第一出力電圧にて電力が供給され、前記降圧回路から前記第一低電圧系部品及び前記第二低電圧系部品に対して前記第二出力電圧にて電力が供給され、
前記低出力モードでは、前記スイッチング電源から前記高圧系部品に対する電力供給は停止する一方、前記降圧回路から前記第一低電圧系部品及び前記第二低電圧系部品へは前記第二出力電圧にて電力が供給され、
前記オフモードでは、前記高電圧系部品と前記第一、第二低電圧系部品の双方に対する電力の供給が停止する画像形成装置。
【請求項1】
一次側の発振により二次側に電圧を誘起させるトランスと、誘起された電圧を整流平滑化する整流平滑回路とを有し、通常出力モードにおいて第一出力電圧を出力するスイッチング電源と、
前記スイッチング電源の出力側にあって、前記第一出力電圧を第二出力電圧に降圧する降圧回路と、
前記スイッチング電源を、前記通常出力モードと、出力電圧が第一出力電圧より低い第三出力電圧となる低出力モードと、前記トランスの一次側の発振を停止させるオフモードと、に切り換え制御する制御装置と、
前記通常出力モード時に前記降圧回路の出力により充電されて、前記オフモード時に前記制御装置の電源となる蓄電部と、を備え、
前記制御装置は、前記通常出力モードと前記低出力モード以外において充電が必要な場合に、前記スイッチング電源の出力を前記第三出力電圧にして前記蓄電部を充電させる電源システム。
【請求項2】
前記制御装置は、オフモード中に充電が必要な場合に、前記スイッチング電源の出力を前記第三出力電圧にして前記蓄電部を充電させる請求項1に記載の電源システム。
【請求項3】
前記制御装置は、通常出力モードからオフモードに切り換わるときに、充電が必要な場合に、前記スイッチング電源の出力を前記第三出力電圧にして前記蓄電部を充電させる請求項1又は請求項2に記載の電源システム。
【請求項4】
前記蓄電部に対する充電経路に、前記降圧回路から前記蓄電部に充電電流を供給する第一経路と、前記スイッチング電源から前記降圧回路を経由せず前記蓄電部に充電電流を直接供給する第二経路が設けられ、
前記蓄電部に対する充電経路を切り換える切換部と、
オフモード中に充電が必要な場合及び通常出力モードからオフモードに切り換わるときに充電が必要な場合のうち、少なくともいずれか一方の場合に、前記切換部に切換信号を与えることで、前記充電経路を前記第二経路とする切換制御部と、を備える請求項2又は請求項3に記載の電源システム。
【請求項5】
前記通常出力モードからオフモードに切り換わるときに前記蓄電部を充電する場合において、
前記切換制御部は、前記スイッチング電源の出力電圧が前記第一出力電圧から前記第三出力電圧に低下した時点で、前記切換部に切換信号を与えて、前記充電経路を前記第一経路から前記第二経路に切り換える請求項4に記載の電源システム。
【請求項6】
前記スイッチング電源の出力電圧を検出する出力電圧検出部を備え、
前記切換制御部は、前記出力電圧検出部により検出される前記スイッチング電源の出力電圧が前記第三出力電圧に低下することを条件に、前記切換部に切換信号を与えて、前記充電経路を前記第一経路から前記第二経路に切り換える請求項5に記載の電源システム。
【請求項7】
前記降圧回路をオフする停止回路を備え、
前記切換制御部は、前記充電経路を第一経路から第二経路に切り換える時に、前記停止回路に停止信号を与えて前記降圧回路をオフする請求項4ないし請求項6のいずれか一項に記載の電源システム。
【請求項8】
前記蓄電部の電圧を検出する充電電圧検出部を備える請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の電源システム。
【請求項9】
前記第三出力電圧は前記第二出力電圧と同電圧か、それ以下である請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の電源システム。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の電源システムと、
前記電源システムのスイッチング電源から前記第一出力電圧にて電力供給され、印刷処理を実行する高電圧系部品と、
前記電源システムの降圧回路から前記第二出力電圧にて電力供給され、前記高電圧系部品を制御する第一低電圧系部品と、
前記電源システムの降圧回路から前記第二出力電圧にて電力供給され、印刷データを受信する通信処理を行う第二低電圧系部品とを備え、前記第二低電圧系部品が前記印刷データを受信すると、前記第一低電圧系部品が前記高電圧系部品を制御して受信した前記印刷データを印刷する印刷処理を実行する画像形成装置であって、
前記通常出力モードでは、前記スイッチング電源から前記高電圧系部品に対して前記第一出力電圧にて電力が供給され、前記降圧回路から前記第一低電圧系部品及び前記第二低電圧系部品に対して前記第二出力電圧にて電力が供給され、
前記低出力モードでは、前記スイッチング電源から前記高圧系部品に対する電力供給は停止する一方、前記降圧回路から前記第一低電圧系部品及び前記第二低電圧系部品へは前記第二出力電圧にて電力が供給され、
前記オフモードでは、前記高電圧系部品と前記第一、第二低電圧系部品の双方に対する電力の供給が停止する画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−105379(P2012−105379A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249101(P2010−249101)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]