説明

電源制御装置、撮像装置、電源制御方法、及び電源制御プログラム、並びに記録媒体

【課題】ストロボユニットに装着された電池ユニットに応じて電源制御を行って安全性を向上させる。
【解決手段】ストロボユニット10は電池ユニット1に接続され、電池ユニットから充電を受けて動作する。このストロボユニットは所定の充電電圧に達するまでの充電時間が互いに異なる複数の充電動作モードを備えている。システム制御回路11は電池ユニットがストロボユニットに接続された際、電池ユニットから所定の識別情報が得られたか否かを判定して、その判定結果に応じて充電動作モードのうち一つを選択充電動作モードとして選択する。そして、システム制御回路は選択充電動作モードによって電池ユニットからストロボユニットへの充電を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源制御装置、この電源制御装置が用いられる撮像装置、電源制御方法、及び電源制御プログラム、並びに記録媒体に関し、特に、デジタルカメラ等の撮像装置に用いられる電源制御装置、電源制御方法、及び電源制御プログラム、並びに記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電源装置(単に電源ともいう)の一つとして電池(バッテリー)が知られている。そして、近年、電池を内蔵して通信機能を備える電池ユニットが知られている。この種の電池ユニットでは、例えば、電池容量、電池電圧、放電電流量、及び電池温度等を電池情報(電池データ)として、当該電池ユニットが装着される電子機器(本体機器ともいう)へ送信することが可能となっている。
【0003】
つまり、この種の電池ユニットでは、通信機能を有するマイコンIC(以下、電池側マイコンと呼ぶ)等を内蔵している。そして、電池ユニットを電子機器に装着した際、電池側マイコンが、電子機器に内蔵されたマイコンIC(以下、本体側マイコンと呼ぶ)と接続される。これによって、電池側マイコンから本体側マイコンに上記の電池情報を送るようにしている。そして、本体側マイコンにおいては、受信した電池情報をディスプレイ等の表示部に表示している。
【0004】
ところで、上述のような通信機能を備える電池ユニットを、電子機器の一つであるストロボユニット等に用いる場合、電池ユニットに備えられた電池は消耗品であることを考慮する必要がある。
【0005】
そして、撮像チャンスを逃さないためには、ユーザは予備に電池ユニットを購入することが多い。この場合、予備の電池ユニットには、電池情報として送信される通信内容が規定の仕様を満たさない所謂規格外の電池ユニットも存在する。
【0006】
このような規格外の電池ユニットを装着してストロボユニットを動作させると、正確な電池情報が得られないことになる。さらに、規格外の電池ユニットには内蔵する電池自体に安全性を欠くものもある。このため、ストロボユニットに対して正常な電圧の供給が行われないばかりでなく、ストロボユニット自体が故障する可能性がある。
【0007】
このような不都合を回避するため、従来、ストロボユニット又は撮像装置に電池ユニットを装着した際、撮像装置側で当該電池ユニットに付与された特殊なIDコード(識別情報)の照合を行うようにしたものがある。
【0008】
そして、当該照合によって、電池ユニットが規格外の電池ユニットであるか否かについて判定を行うようにしている。ここでは、装着された電池ユニットが規格外の電池であると判定すると、撮像装置は当該電池ユニットの使用を禁止するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
一方、撮像装置においてストロボユニットは、電池電圧を発光可能な電圧まで昇圧してコンデンサにエネルギーを貯める充電を行って、発光動作に至る。ストロボユニット用の電池ユニットにおいて、前述した規格外の電池ユニットが使用された際に、連続発光が行われた場合等に過大な放電電流が流れて、電池ユニット自体が発熱することがある。そして、場合によっては電池ユニット自体又はストロボユニットが故障する可能性がある。
【0010】
このような不都合を回避するため、例えば、ストロボユニットに装着された電池ユニットの判定を行って、ストロボ充電回路の作動を切換える電源制御装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005−285567号公報
【特許文献2】特開2000−10159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、特許文献1に記載の撮像装置では、撮像装置に規格外の電池ユニットが装着されると、この規格外の電池ユニットの使用を一律に禁止するようにしている。しかしながら、規格外の電池ユニットといっても種々のものがあり、例えば、前述の通信不整合である規格外の電池ユニットが撮像装置に装着された場合には、撮像装置に障害が発生する可能性は低い。
【0013】
従って、前述の通信不整合である規格外の電池ユニットが撮像装置に装着された場合には、一律に撮像装置の動作を禁止することは望ましくない。そして、このような規格外の電池ユニットを電源として使用する際には、撮像装置において十分な管理体制のもとに安全性を向上させ、撮像装置に影響を与えないようにすることが望ましい。
【0014】
例えば、通信不整合である規格外の電池ユニットをストロボユニットの充電に用いる際には、規定外の電池ユニットであることを検出すると、電池ユニットの放電電流を抑制する充電動作を行うようにすればよい。
【0015】
前述の特許文献2に記載の撮像装置では、撮像装置に装着される電池ユニットの種別に応じてストロボ充電回路の作動を切換えるようにしている。しかしながら、ここでは、電池ユニットの内部抵抗に応じた負荷特性によって電池ユニットの種別の判定を行っているだけである。
【0016】
よって、特許文献2に記載の撮像装置では、前述のような通信不整合の規格外電池ユニットが撮像装置に装着された際にその安全性を考慮して使用することは困難である。
【0017】
従って、本発明の目的は、ストロボユニット等の電子機器に装着された電源に応じて電源制御を行ってその安全性を向上することのできる電源制御装置、撮像装置、電源制御方法、及び電源制御プログラム、並びに記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の目的を達成するため、本発明による電源制御装置は、電源に接続され、前記電源から充電を受けて動作する電子機器を制御するための電源制御装置において、所定の充電電圧に達するまでの充電時間が互いに異なる複数の充電動作モードを備えており、前記電源が前記電子機器に接続された際、前記電源から予め規定された識別情報が得られたか否かを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果に応じて前記充電動作モードのうち一つを選択充電動作モードとして選択するモード選択手段と、前記選択充電動作モードによって前記電源から前記電子機器への充電を行う充電実行手段とを有することを特徴とする。
【0019】
本発明による撮像装置は、上記の電源制御装置を備えるストロボユニットが装着され、前記モード選択手段によって前記選択充電動作モードとして前記第2の充電動作モードが選択された際、前記第2の充電動作モードである旨を告知するモード告知手段を有することを特徴とする。
【0020】
また、本発明による撮像装置は、上記の電源制御装置を備えるストロボユニットが装着され、前記モード選択手段によって前記選択充電動作モードとして前記第2の充電動作モードが選択された際、前記第1の充電動作モードにおける連続撮影可能時間よりもその連続撮影可能時間を短く設定する撮影設定手段を有することを特徴とする。
【0021】
本発明による電源制御方法は、電源に接続され、前記電源から充電を受けて動作する電子機器を制御するための電源制御方法において、前記電子機器には所定の充電電圧に達するまでの充電時間が互いに異なる複数の充電動作モードが備えられており、前記電源が前記電子機器に接続された際、前記電源から予め規定された識別情報が得られたか否かを判定する判定ステップと、前記判定手段による判定結果に応じて前記充電動作モードのうち一つを選択充電動作モードとして選択するモード選択ステップと、前記選択充電動作モードによって前記電源から前記電子機器への充電を行う充電実行ステップとを有することを特徴とする。
【0022】
本発明による電源制御プログラムは、電源に接続され、前記電源から充電を受けて動作する電子機器を制御するための電源制御プログラムにおいて、前記電子機器には所定の充電電圧に達するまでの充電時間が互いに異なる複数の充電動作モードが備えられており、コンピュータに、前記電源が前記電子機器に接続された際、前記電源から予め規定された識別情報が得られたか否かを判定する判定ステップと、前記判定手段による判定結果に応じて前記充電動作モードのうち一つを選択充電動作モードとして選択するモード選択ステップと、前記選択充電動作モードによって前記電源から前記電子機器への充電を行う充電実行ステップとを実行させることを特徴とする。
【0023】
本発明による記録媒体は、上記の電源制御プログラムが格納されたコンピュータに読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明によれば、電源から予め規定された識別情報が得られたか否かに応じて充電動作モードを選択するようにしている。そして、電子機器に接続された電源から識別情報が得られたか否かが判定されるまで、充電が行われない結果、正規品以外の電源が電子機器に装着されても、過大な電流が電子機器に印加されることがないという効果がある。よって、電子機器に装着された電源に応じて電源制御を行い、その安全性を向上させることができることになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態による電源制御装置の一例を有する発光装置の一例を示す図である。
【図2】図1に示すカメラ一例の構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示すストロボユニットにおける充電を説明するための図であり、(a)は第1の例(通常充電動作モード)を説明するための図、(b)は第2の例(充電抑制動作モード)を説明するための図である。
【図4】図1に示すシステム制御回路において昇圧回路の発振制御を行った際の充電電圧を説明するための図であり、(a)は図3(a)に対応する図、(b)は図3(b)に対応する図である。
【図5】図1に示す電池ユニットがストロボユニットに装着された場合のシステム制御回路における制御を説明するためのフローチャートである。
【図6】図1に示す表示回路に表示される電池情報の一例を示す図である。
【図7】図1に示す表示回路に表示される通信不能告知の例を示す図であり、(a)は通信不能告知の一例を示す図、(b)は通信不能告知の他の例を示す図である。
【図8】図2に示すカメラにストロボユニットが装着された際のシステム制御回路の制御を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態による電源制御装置の一例が用いられた撮像装置について図面を参照して説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施の形態による電源制御装置の一例を有する発光装置(例えば、ストロボユニット)の一例を示す図である。
【0028】
図1を参照して、図示のストロボユニット(電子機器)10は、デジタルカメラ(以下、単にカメラと呼ぶ)100等の撮像装置に装着される。そして、このストロボユニット10には電池ユニット(電源又は電源ユニット)1が接続される。電池ユニット1は、通信機能を有しており、ここでは、正規品である電池ユニット1がストロボユニット10に装着されている。
【0029】
電池ユニット1は、電池セル2と電池制御回路3とを備えている。電池セル2は電池制御回路3に接続されている。そして、電池セル2の正極及び負極は電池制御回路3を介して外部端子に接続され、外部端子によって電池セル2はストロボユニット10に接続されることになる。
【0030】
電池制御回路3は、例えば、ワンチップマイクロコンピュータ(マイコンIC)等の制御回路である。図示はしないが、電池制御回路3は通信機能部と電池残容量を監視する残容量検出部を有している。そして、電池制御回路3は、電池セル2に関する様々な電池情報(電源情報ともいう)を取得して記録する。
【0031】
電池制御回路3は、これら電池情報を電池側送信データとしてストロボユニット10に送信するとともに、後述するように、ストロボユニット10から種々のストロボ側送信データを受ける。つまり、電池制御回路3はストロボユニット10と相互通信を行う通信機能を有している。
【0032】
また、電池制御回路3は電池セル2の認証機能を有しており、この認証機能によって、例えば、暗号化されたIDコード(識別情報)を、後述するようにしてストロボユニット10に送信する。
【0033】
電池ユニット1をストロボユニット10に接続する際には、電池ユニット1をストロボユニット10の電池室(図示せず)に挿入すると、電池ユニット1とストロボユニット10とが接続される。そして、電池ユニット1からストロボユニット10に電力の供給が行われるとともに、後述するようにして、電池情報がストロボユニット10に与えられる。
【0034】
ストロボユニット10はカメラ100に着脱可能であり、システム制御回路11を備えている。そして、システム制御回路11はストロボユニット10全体を制御する。システム制御回路11は、例えば、その内部にROM、RAM、A/Dコンバータ、及びD/Aコンバータ等を備えるマイクロコンピュータである。
【0035】
システム制御回路11は、後述するように、電池ユニット1との通信制御を行い、IDコードについて判定を行う。そして、システム制御回路11はIDコードに応じた充電動作モードに基づいた充電制御を実行する。
【0036】
いま、ストロボユニット10の電池室に電池ユニット1が挿入されると、電池セル2の正極は定電圧回路12及びスイッチ部(スイッチ手段)13に接続される。また、電池セル2の負極はストロボユニット10のGND(接地端子:図1においてC端子)に接続される。そして、電池ユニット1の通信端子はシステム制御回路11のB端子に接続される。
【0037】
定電圧回路12は、電池ユニット1の出力電圧をシステム制御回路11の動作条件に合致する電圧に変換する。そして、定電圧回路12の出力電圧はシステム制御回路1のA端子に駆動電圧として与えられる。また、定電圧回路12の出力電圧は昇圧回路15の電源電圧としても用いられる。
【0038】
図示のように、スイッチ部13は、システム制御回路11のD端子に接続され、システム制御回路11から与えられるスイッチング信号(パルス信号)によってオンオフ制御される。
【0039】
スイッチ部13がオフしている場合には、電池ユニット1は電源安定用コンデンサ14及び昇圧回路15と切断された状態にある。つまり、スイッチ部13がオンした場合に、電池ユニット1から昇圧回路15等に電力供給が行われることになる。
【0040】
なお、スイッチ部13は、電力遮断の機能を有する電気素子であり、例えば、FET又はトランジスタで構成されている。
【0041】
昇圧回路15は、電池ユニット1から供給される電力(以下、電池電力と呼ぶ)を昇圧するDC−DCコンバータ回路で構成され、後述する主コンデンサ26を充電するための回路である。そして、昇圧回路15はシステム制御回路11のE端子とF端子に接続され、後述するようにして、システム制御回路11によって制御される。
【0042】
図示のように、昇圧回路15は発振トランス16を有しており、当該発振トランス16の一次側巻線にスイッチング素子であるFET17が接続される。図示のFET17はデプレッション形のNチャンネルFETであり、そのドレイン端子が発振トランス17の一次側巻線に接続されている。
【0043】
そして、FET17のソース端子が電池ユニット1の負極に接続されている。FET17のゲート端子にはゲート端子抵抗18が接続され、このゲート端子抵抗18は電池ユニット1の負極に接続されている。
【0044】
システム制御回路11は、E端子からスイッチング信号をFET17のゲート端子に与えて、FET17をオンオフ制御し、これによって、昇圧回路15の発振動作を制御する。
【0045】
発振トランス16の二次側巻線には、ダイオード19及びNPNトランジスタ21と抵抗20、22、及び23とによって構成される電流検出回路が配置されている。
【0046】
この電流検出回路において、発振トランス16の二次側巻線にはダイオード19のカソード端子が接続され、ダイオード19のアノード端子にはNPNトランジスタ21のエミッタ端子が接続されている。さらに、ダイオード19のアノード端子は抵抗20を介して電池ユニット1の負極に接続され、NPNトランジスタ21のベース端子は電池ユニット1の負極に接続されている。
【0047】
抵抗23は、システム制御回路11のF端子に接続され、抵抗22は定電圧回路12の出力側に接続されている。そして、抵抗22及び23の接続点にNPNトランジスタ21のコレクタ端子が接続されている。
【0048】
上記の電流検出回路は、発振トランス15の二次側巻線における発振電流の監視(検出)を行って、発振電流を入力電流としてシステム制御回路11に与える。抵抗23を介してシステム制御回路11のF端子に与えられる入力電流に応じて、システム制御回路11は、昇圧回路15の発振動作を監視する。そして、システム制御回路11はE端子から出力するスイッチング信号を制御して、昇圧回路15における発振制御動作を決定する。
【0049】
ところで、図示のストロボユニット10においては、例えば、発光素子としてキセノン管27が用いられており、キセノン管27の発光可能な電圧は200V〜350Vである。よって、前述のように、昇圧回路15によって電池電圧を昇圧して高電圧としている。
【0050】
昇圧回路15の二次側巻線にはダイオード24のアノード端子が接続され、このダイオード24によって昇圧回路15における出力高圧の整流が行われる。ダイオード24のカソード端子は、充電検出回路25、主コンデンサ26の正極、及び閃光放電管(ここでは、キセノン管)27の正極に接続されている。そして、充電検出回路25、主コンデンサ26の負極、及び閃光放電管27の負極は電池ユニット1の負極に接続されている。
【0051】
主コンデンサ26は、閃光放電管27で要する放電エネルギーを電荷として蓄積する。そして、閃光放電管27で、主コンデンサ26に蓄積された電荷を放電して発光する(ストロボ発光)。
【0052】
充電検出回路25は、主コンデンサ26に充電された電荷(つまり、充電電圧)を検出するための回路である。充電検出回路25は、システム制御回路11のG端子に充電電圧に比例した電圧を充電検出電圧として出力する。システム制御回路11は、充電検出電圧を監視して、予め設定された充電閾値電圧に達すると、昇圧回路15の発振停止を行って充電を停止する。
【0053】
閃光放電管27には閃光制御回路28が接続されており、閃光制御回路28によって閃光放電管27における放電電流が制御される。この閃光制御回路28は、システム制御回路11のH端子に接続されている。システム制御回路11は、H端子から閃光制御回路28に発光開始信号及び発行停止信号を選択的に与えて、閃光放電管27による発光を制御する。
【0054】
図示の例では、システム制御回路11には、スイッチ検出回路29がI端子によって接続されるとともに、表示回路30(表示手段)がJ端子によって接続されている。さらに、システム制御回路11にはK端子によってEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)31が接続されている。
【0055】
スイッチ検出回路29は、ストロボユニット10の外装に配置された各スイッチ(図示せず)の状態を検出して、スイッチ操作状態情報をシステム制御回路11に与える。例えば、後述する使用可否選択スイッチのスイッチ操作状態情報が、スイッチ検出回路29からシステム制御回路11に与えられる。そして、システム制御回路11は、このスイッチ操作状態情報に応じて使用可否選択スイッチの操作状態を判定する。
【0056】
表示回路30は、ストロボユニット10の外装に配置された液晶ディスプレイ(LCD又はTFT)およびLED等の表示部であり、システム制御回路11は表示回路30に各種情報を表示する。例えば、表示回路30には、ストロボ撮像に関する情報及び電池情報等が表示される。
【0057】
EEPROM31は、電気的にデータの書換えが可能な不揮発性ROMであり、各種設定及びカメラ100に対する情報は、このEEPROM31に記録される。
【0058】
図2は、図1に示すカメラ100の一例の構成を示すブロック図である。なお、図示のカメラ100は、例えば、一眼レフレックス方式のデジタルカメラである。
【0059】
図2を参照して、図1で説明したストロボユニット10は接続端子119によってカメラ100に接続される。カメラ100には、撮像レンズ200がレンズ接続端子103によって装着される。撮像レンズ200はカメラ100に対して着脱可能であって、絞り機能を備えている。
【0060】
カメラ100には、カメラ100全体を制御するシステム制御回路101が備えられている。このシステム制御回路101は、例えば、ROM、RAM、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、及び時計機能を有するマイクロコンピュータである。
【0061】
システム制御回路101は、ストロボユニット10との通信制御を行うとともに、ストロボユニット10が電池ユニット1から受けた電池情報に応じて各充電動作モードに係る処理及び制御を実行する。
【0062】
さらに、カメラ100には、測距制御部102が備えられ、測距制御部102は撮像レンズ200のフォーカシングを制御する。例えば、測距制御部102は測距センサ(図示せず)を備え、測距センサで得られた複数の測距点に基づいて焦点調節を行う。また、測距制御部102は、システム制御回路101によって求められた絞り値(Av値)に応じて撮像レンズ200の絞りを開閉・制御する。
【0063】
なお、測距制御部102は、撮像レンズ200の焦点調節及び絞り開閉を、レンズ接続端子103を介して行う。また、レンズ接続端子103は、例えば、数本のライン接続によって構成され、電源供給、レンズ情報、及びレンズ駆動制御等の送受に介在する。
【0064】
カメラ100には露光制御部104が備えられている。露光制御部104は測光センサ(図示せず)を有し、シャッター105の動作を制御する。露光制御部104は、システム制御回路101によって求められたシャッター秒時(Tv値)に基づいて、フォーカルプレンシャッターであるシャッター105の先幕及び後幕を開閉・制御する。
【0065】
図示のように、システム制御回路101には、撮像制御回路111が接続されている。この撮像制御回路111は、システム制御回路101の制御下で、タイミング発生回路108、D/A変換器110、及び画像表示メモリ113を制御する。つまり、撮像制御回路111は、画像データの取得タイミング、画像データの表示、及び画像データの記録を制御することになる。
【0066】
タイミング発生回路108は、撮像素子106、A/D変換器107、及びD/A変換器110にクロック信号又は制御信号を与えて、タイミング制御を実行する。
【0067】
撮像レンズ200から入射した光学像は、撮像素子106上に結像されて、ここで、電気信号(アナログ画像信号)に変換される。ここでは、撮像素子106として、例えば、CCD(Charge Coupled Device)センサ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサが用いられている。
【0068】
撮像素子106から出力されたアナログ画像信号は、A/D変換器107によってデジタル画像信号に変換されて、画像処理部109に与えられる。画像処理部109は、デジタル画像信号に対して所定の画素補間処理及び色変換処理等を行って、画像データとして撮像制御回路111に与える。また、画像処理部109は、画像データメモリ114から読み出された画像データに対して画素補間処理及び色変換処理等を行う。
【0069】
撮像制御回路111は、画像データを一旦画像表示メモリ113に表示用画像データとして書き込む。そして、この表示用画像データは、撮像制御回路111によってD/A変換器110でアナログ画像データに変換されて、カメラ100の背面に配置された情報表示部112で表示される。図示の例では、情報表示部は、TFT型カラーLCD(Liquid Crystal Display)である。
【0070】
なお、情報表示部112は撮像後の画像確認に用いられる他、システム制御回路101から送られる各種情報(例えば、ストロボユニット10の情報告知)を表示する。
【0071】
上述のようにして得られた撮像後の画像データは、当該画像データに付帯する撮像情報とともに、撮像制御回路111によって画像データメモリ114に格納される。この画像データメモリ114は、所定枚数の画像を格納するのに十分な記憶容量を有している。
【0072】
図示のように、システム制御回路101には、シャッタースイッチ115、操作スイッチ116、撮像情報表示部117、及び不揮発性メモリ(例えば、EEPROM)118が接続されている。
【0073】
シャッタースイッチ115が操作されると、システム制御回路101は撮像開始を発動する。このシャッタースイッチ115は、シャッターボタン(図示せず)の操作途中(半押し)でオンとなるスイッチSW1と、シャッターボタンの操作完了(全押し)でオンとなるスイッチSW2とを有している。
【0074】
シャッタースイッチSW2のオンによって、システム制御回路101の制御下で、撮像素子106からアナログ画像信号が読み出される。そして、画像処理部109による処理を経て、画像データが画像データメモリ114に書き込まれることになる。つまり、シャッタースイッチSW2のオンによって、システム制御回路101は一連の撮像処理の動作開始を指示することになる。
【0075】
操作スイッチ116は、カメラ100の外装に設置されており、操作スイッチ116によって撮像条件、撮像の結果得られた画像データの編集・閲覧がシステム制御回路101に指示される。
【0076】
撮影情報表示部117はシャッタースイッチ115の近傍において視認し易い位置に設置されている。そして、撮影情報表示部117にはシステム制御回路101におけるプログラムの実行に応じたカメラ100の動作状態が、文字及びアイコン等で表示される。
【0077】
なお、不揮発性メモリ118には、電源供給が断たれた場合等を考慮して、撮像条件等の設定情報が記録される。例えば、不揮発性メモリ118には、ストロボユニット10との通信によって得られた各種情報(例えば、電池情報)が記録される。
【0078】
前述のように、カメラ100は接続端子119によってストロボユニット10と接続されるが、ストロボユニット10とカメラ100との通信は、特定コードの通信プロトコルによって行われる。そして、ストロボユニット10に関する充電情報(例えば、充電動作モード)、カメラ100の絞り情報等が特定コードによってストロボユニット10とカメラ100との間で送受される。
【0079】
なお、電池情報はこの特定コードに含まれている。また、ストロボユニット10とカメラ100との通信は、無線通信形態で行うようにしてもよい。
【0080】
図3は、図1に示すストロボユニット10における充電を説明するための図である。そして、図3(a)は第1の例(通常充電動作モード)を説明するための図、図3(b)は第2の例(充電抑制動作モード)を説明するための図である。
【0081】
まず、図1及び図3(a)を参照して、いま、スイッチ部13がオンであるとする。システム制御回路11が、E端子からスイッチング信号として、駆動パルス幅Xtのパルス信号をFET17のゲート端子に与える。これによって、E端子がハイレベル(H)である駆動パルス幅Xtの時間、FET17がオンすることになる。
【0082】
FET17のオンによって、電池ユニット1の正極からスイッチ部13を介して発振トランス16の一次側巻線(a端子−b端子)、FET17のドレイン端子、及びソース端子を通って電流が流れる(昇圧回路15の一次電流)。
【0083】
この際、発振トランス16の一次側巻線の流れる電流(一次電流)は、駆動パルス幅Xtと電池ユニット1の電池電圧とによって決定される。図3(a)に示すように、一次電流の電流値は、E端子がハイレベルとなった後、除々に増加して、その最大値(ピーク値)はI1A(アンペア)であるとする。また、一次電流は、駆動パルス幅Xtに対応する時間XμSの間流れることになる。なお、一次電流の電流値は発振トランス16が磁気飽和しない電流値に設定されている。
【0084】
システム制御回路11から出力されるパルス信号がロウレベル(L)となってFET17がオフとなると、FET17がオンの時間において発振トランス16に蓄えられたエネルギーが放出される。これによって、発振トランス16の二次側巻線(つまり、c端子からd端子)に電流(二次電流)が流れる。
【0085】
二次電流は、発振トランス16のd端子、ダイオード24、主コンデンサ26、抵抗20、ダイオード19、及び発振トランス16のc端子の方向に流れ、電流ループが形成される。
【0086】
二次電流は、FET17がオフされた直後においては、その最大値(ピーク値)は、例えば、I2mA(ミリアンペア)であり、二次電流の電流値は徐々に低減する。そして、二次電流が抵抗20を流れることによって抵抗20に生ずる電圧に応じて、NPNトランジスタ21がオンする。
【0087】
これによって、定電圧回路12の出力電圧は、抵抗22を介してNPNトランジスタ21のコレクタ端子に印加されて、NPNトランジスタ21のコレクタ端子とエミッタ端子との間に電流が流れる。従って、システム制御回路11のF端子はロウレベル(L)となる。
【0088】
システム制御回路11から出力されるパルス信号の一周期によって、発振トランス16のエネルギーが放出されて、二次電流が低下すると、抵抗20に電流が流れなくなる。その結果、NPNトランジスタ21がオフする。NPNトランジスタ21がオフすると、システム制御回路11のF端子はハイレベルとなって、次の発振に備えることになる。
【0089】
続いて、図1及び図3(b)を参照すると、いま、システム制御回路11がE端子からFET17のゲート端子に駆動パルス幅Ytのパルス信号を与える。これによって、FET17がオンして、電池ユニット1の正極からスイッチ部13を介して発振トランス16のa端子、b端子、FET17のドレイン端子、及びソース端子を介して電流が流れる(昇圧回路15の一次電流)。
【0090】
この際、発振トランス16の一次電流は駆動パルス幅Ytと電池ユニット1の電源電圧によって決定される。いま、図3(b)に示すように、その一次電流の最大値はI1´A(アンペア)であるとする。なお、I1’A(アンペア)はI1A(アンペア)よりも低い値に設定されているものとする。
【0091】
システム制御回路11から出力されるパルス信号がロウレベル(L)となって、FET17がオフすると、FET17がオンの時間において発振トランス16に蓄えられたエネルギーが放出される。これによって、発振トランス16のc端子からd端子に二次電流が流れる。
【0092】
この二次電流は、発振トランス16のd端子、ダイオード24、主コンデンサ26、抵抗20、ダイオード19、及び発振トランス16のc端子の方向に流れて、電流ループを形成する。そして、FET17がオフされた直後において、二次電流の最大値はI2´mA(ミリアンペア)となり、徐々に電流値は低下する。なお、I2´mA(ミリアンペア)はI2mA(ミリアンペア)よりも低い。
【0093】
この二次電流によって抵抗20に電圧が発生して、これによって、NPNトランジスタ21がオンする。その結果、定電圧回路12の出力電圧が抵抗22を介してNPNトランジスタ21のコレクタ端子に印加されて、コレクタ端子とエミッタ端子との間に電流が流れる。従って、システム制御回路11のF端子はロウレベル(L)となる。
【0094】
システム制御回路11から出力されるパルス信号の一周期で発振トランス16のエネルギーが放出され、二次電流が低下すると、抵抗20に電流が流れなくなってNPNトランジスタ21がオフする。このため、システム制御回路11のF端子はハイレベル(H)となり、次の発振に備えることになる。
【0095】
なお、次の発振までの時間(デューティー)を長くすれば、一次電流を抑えることができる。
【0096】
このようにして、システム制御回路11によって、昇圧回路15における発振時間を制御すれば、電池ユニット1の電流である一次電流を抑制することができる。
【0097】
図4は、図1に示すシステム制御回路11において昇圧回路15の発振制御を行った際の充電電圧を説明するための図である。そして、図4(a)は図3(a)に対応する図であり、図4(b)は図3(b)に対応する図である。
【0098】
図4(a)及び(b)に示すように、主コンデンサ26に蓄積される電荷によって生じる充電電圧は、所定の充電電圧CVまで上昇して、この充電電圧CVが保持される。ここでは、充電電圧CVに到達するまでの時間を充電時間CTとする。
【0099】
図4(a)及び(b)において、所定の充電電圧CVに到達するまでの到達時間CTは、昇圧回路15の一次電流によって異なり、一次電流の最大値を低くすると、到達時間、つまり、充電時間CTは長くなる。
【0100】
従って、図3(b)で説明したようにして、昇圧回路15の一次電流を低くすると、図4(b)に示すように、所定の充電電圧CVに達するまでの充電時間CTは、図4(a)に示す充電時間CTよりも長くなる。
【0101】
図5は、図1に示す電池ユニット1がストロボユニット10に装着された場合のシステム制御回路11における制御を説明するためのフローチャートである。
【0102】
図1及び図5を参照して、いま、電池ユニット1がストロボユニット10に装着されると、システム制御回路11は電池装着モードを実行する(ステップS501)。電池装着モードとなると、システム制御回路11は、電池ユニット1の判定が終了するまで、スイッチ部13をオフとする(充電ラインスイッチオフ:ステップS502)。そして、システム制御回路11は、電池ユニット1に予め規定された通信情報(初期通信情報と呼ぶ)を送信する(ステップS503)。この初期通信情報には、例えば、予め定められた特定のIDコード又は暗号化コードが含まれている。
【0103】
この初期通信情報に応答して、電池制御回路3は、電池ユニット1に係るIDコード(識別情報)を返答通信情報としてシステム制御回路11に送る。システム制御回路11は、例えば、返答通信情報、つまり、IDコードが正常であるか否かについてチェックする(ステップS504)。言い換えると、システム制御回路11は、正常なIDコードが得られたか否かについて判定することになる。
【0104】
返答通信情報が正常であると判定すると(ステップS504において、YES)、システム制御回路11は、電池ユニット1が正規品であるとする(ステップS505)、そして、システム制御回路11は、電池制御回路3に対して電池情報(電池データともいう)の要求を行う(ステップS506)。
【0105】
当該要求に応答して、電池制御回路3は、予め規定された通信コードによって電池情報をシステム制御回路11に送信する。これによって、システム制御回路11は電池ユニット1に関する電池情報を取得して(ステップS507)、システム制御回路11の内蔵メモリに記録する(メモリストック:ステップS508)。
【0106】
続いて、システム制御回路11は、スイッチ部13をオンして、充電ラインを昇圧回路15に接続する(ステップS509)。
【0107】
システム制御回路11には、複数の充電動作モードが規定されている。そして、システム制御回路11は、上述のステップS504で説明した判定結果に応じて、複数の充電動作モードのうち一つを選択充電動作モードとして選択する。
【0108】
前述のように、電池ユニット1が正規品であると判定すると、システム制御回路11は、選択充電動作モードとして通常充電動作モード(第1の充電動作モード)を選択する。そして、システム制御回路11は電池情報を表示回路30に表示する(ステップS510)。
【0109】
なお、当該通常充電動作モードにおいては、図3(a)で説明したようにして、システム制御回路11は充電制御を行うことになる。
【0110】
図6は、図1に示す表示回路30に表示される電池情報の一例を示す図である。ここでは、電池情報がバッテリー情報として表示され、電池マーク61によって電池セル2の電池残量が示される。そして、電池セル2の消耗に合わせて電池マーク61の残量が変化する。
【0111】
さらに、図示の例では、バッテリー情報として、残容量の割合(%)が示されるとともに、電池電圧、電池温度、及び電池劣化度が示されている。
【0112】
再び図1及び図5を参照して、返答通信情報が正常でない、つまり、不整合であると判定すると(ステップS504において、NO)、システム制御回路11は、電池2が規格外の電池であるとする(ステップS511)。そして、システム制御回路11は、表示回路30に通信不能告知表示を行う(ステップS512)。
【0113】
図7は、図1に示す表示回路30に表示される通信不能告知の例を示す図である。そして、図7(a)は通信不能告知の一例を示す図であり、図7(b)は通信不能告知の他の例を示す図である。
【0114】
図7(a)においては、システム制御回路11は、表示回路30に電池マーク61の枠のみを表示して、これによって電池ユニット1と通信が不能であることを表す。さらに、システム制御回路11は、電池ユニット1との通信不整合によって電池情報を得ることができないいので、表示回路30に「バッテリーと通信できません」との文言を表示して、ユーザへの告知を行う。
【0115】
一方、図7(b)においては、図7(a)に示す表示に加えて、システム制御回路11は、表示回路30に「このバッテリーを使用しますか?」の文言を表示するとともに、「はい」「いいえ」で示す選択ボタン62及び63を表示する。なお、この選択ボタン62及び63は、前述の使用可否選択スイッチとして機能することになる。
【0116】
以下の説明では、システム制御回路11は、図7(b)に示す画面表示を行うものとして説明する。
【0117】
システム制御回路11は、図7(b)に示す画面において、選択ボタン62及び63のいずれが選択されたかを監視している(ステップS513)。つまり、システム制御回路11は、電池ユニット1の使用可否選択を監視している。
【0118】
いま、ユーザが「はい」の選択ボタン62を選択すると(ユーザ入力)、つまり、ユーザが使用可を選択すると(ステップS513において、YES)、システム制御回路11は、当該選択結果をEEPROM31に記録する(ステップS514)。そして、システム制御回路11はスイッチ部13をオンして(ステップS515)、充電ラインを昇圧回路15に接続する。
【0119】
その後、システム制御回路11は、充電抑制動作モード(第2の充電動作モード)へ移行する(ステップS516)。つまり、ここでは、電池ユニット1が規格外の電池ユニットであると判定しており、この場合、システム制御回路11は、選択充電動作モードとして充電抑制動作モード(第2の充電動作モード)を選択する。なお、この充電抑制動作モードは、図3(b)で説明したように、一次電流を抑えて充電制御を行う充電動作モードである。
【0120】
一方、ユーザが「いいえ」の選択ボタン63を選択すると(ユーザ入力)、つまり、使用不可であると(ステップS513において、NO)、システム制御回路11は、当該選択結果をEEPROM31に記録する(ステップS517)。そして、システム制御回路11は、選択充電動作モードとして充電動作停止モードを選択する(ステップS518)。この充電動作停止モードにおいては、システム制御回路11は充電制御を実行しない。
【0121】
このようにして、システム制御回路11は、ストロボユニット10に装着される電池ユニット1から送られた返答通信情報を判定するまで、充電制御を実行しないようにする。そして、電池ユニット1が規格外品か正規品であるかに応じて、その充電制御を異ならせるようにしている。
【0122】
例えば、電池ユニット1が規格外品である場合には、システム充電を抑制する充電抑制モードによって充電制御を行うことになるので、電池ユニット1が規格外品であっても、ストロボユニット10に障害が生じる恐れが少なくなる。その結果、電池ユニット1の安全性を向上させることができることになる。
【0123】
このように、電池ユニット1が規格外品である場合には、ユーザの選択に応じて使用可能として、当該電池ユニット1を使用する場合においても充電の際の一次電流を抑える充電抑制動作モードを行うようにする。これによって、ストロボユニット10に不測の事態が生じることを極力防止することができる。その結果、電池ユニット1の安全性が向上することになる。
【0124】
続いて、ストロボ10に通信不整合の電池ユニット1、つまり、規格外品が挿入されている際のカメラ100の動作について説明する。
【0125】
図8は、図2に示すカメラ100にストロボユニット10が装着された際のシステム制御回路101の制御を説明するためのフローチャートである。
【0126】
図1、図2、及び図8を参照して、いま、ストロボユニット10がカメラ100に装着されると、システム制御回路101はストロボ装着モードを実行する(ステップS801)。ストロボ装着モードとなると、システム制御回路101は、ストロボユニット10に対して予め規定された通信情報を送信する(ステップS802)。この通信情報は、所定のIDコードを含んでいる。ストロボユニット10との通信は、予め定められた通信プロトコルによって実行される。
【0127】
当該通信情報に対してストロボユニット10から返答通信情報があり、システム制御回路101は返答通信情報を受信すると、当該返答通信情報の内容をチェックする(ステップS803)。なお、当該返答通信情報には、ストロボユニット10に装着された電池ユニット1が正規品であるか否かを示す情報が含まれている。
【0128】
ストロボユニット10に正規品の電池ユニット1が装着されていると(ステップS503において、YES)、システム制御回路101はストロボユニット10における選択充電動作モードは通常充電動作モードであると判定する(ステップS804)。そして、システム制御回路101は、通常充電動作モードであることを示すストロボ情報を、システム制御回路101の内蔵メモリに記録する(ステップS805)。
【0129】
その後、システム制御回路101は、ストロボ情報に応じて通常動作モード(通常動作シーケンス)で動作する(ステップS806)。
【0130】
一方、ストロボユニット10で規定外の電池ユニット1が使用されると判定すると(ステップS803において、NO)、システム制御回路101はストロボユニット10では選択充電動作モードとして充電抑制動作モードが選択されていると判定する(ステップS807)。
【0131】
そして、システム制御回路101は、充電抑制動作モードであることを示すストロボ情報を、システム制御回路101の内蔵メモリに記録する(ステップS808)。その後、システム制御回路101はストロボ情報を情報表示部112又は撮像情報表示部117に表示して告知を行う(ステップS809)。
【0132】
当該告知では、「ストロボ充電抑制中」「ストロボ側電池の通信ができない状態です」等の文言が表示される。または、ストロボアイコンを点滅させる等して、ユーザに充電抑制モードであることを知らせるようにしてもよい。
【0133】
その後、システム制御回路101は充電抑制動作モードに合致する動作モード(抑制動作モード)でカメラ100を動作させる(ステップS810)。
【0134】
この抑制動作モードでは、ストロボ充電時間に合わせて、連続撮影可能時間(一般的には撮影コマ速)が変更された撮影シーケンスが行われる。例えば、通常動作モードではコマ速が10コマ/秒ある場合、システム制御回路101は、抑制動作モードでは5コマ/秒に連続撮影時間を変化させる。つまり、充電抑制動作モードにおいては、ストロボユニット10において充電に要する充電時間が長くなっているので、ストロボユニット10の充電能力に合わせて撮影コマ速を変化させることになる(この場合、連続撮影可能時間を短くする)。
【0135】
以上のように、この実施の形態においては、ストロボユニット10に装着される電池ユニット1に応じてストロボユニット10の充電動作を制御している。そして、規定外の電池ユニット1がストロボユニット10に装着された場合においても、当該規格外の電池ユニット1を安全に使用できるようにしている。
【0136】
さらには、規定外の電池ユニット1が装着されたストロボユニット10がカメラ100に装着された場合には、規格外の電池ユニット1に対応してカメラ100の動作を制御するようにしている。
【0137】
なお、上述の実施の形態では、ストロボユニット10において、充電抑制動作モードの際には、昇圧回路15を制御して充電時間を長くするようにしたが、例えば、電池ユニット1の放電電流を切換える負荷切換えスイッチを設けて制御を行うようにしてもよい。
【0138】
さらに、上述の実施の形態では、ストロボユニット10が装着されるカメラ100を例に挙げて説明したが、電池等の各種バッテリーが装着される電子機器等であれば同様にしてこの電源制御装置を用いることができる。
【0139】
上述の説明から明らかなように、上記の実施の形態では、ストロボユニット10のシステム制御回路11が、判定手段、モード選択手段、及び充電実行手段として機能することになる。また、システム制御回路11及び表示回路30が告知手段として機能することになる。そして、システム制御回路11はスイッチ部13をオンオフ制御するスイッチ制御手段として機能する。
【0140】
このように、上述の実施の形態では、システム制御回路11、表示回路30、及びスイッチ部13によって電源制御装置が構成されることになる。
【0141】
また、上記の実施の形態では、カメラ100のシステム制御回路101と情報表示部112又は撮像情報表示部117とがモード告知手段として機能し、システム制御回路101が撮影設定手段として機能することになる。
【0142】
以上、本発明について実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
【0143】
例えば、上記の実施の形態の機能を電源制御方法として、この電源制御方法を、ストロボユニット10が備えるコンピュータに実行させるようにしてもよい。さらに、上述の実施の形態の機能を有するプログラムを電源制御プログラムとして、この電源制御プログラムを、ストロボユニット10が備えるコンピュータに実行させるようにしてもよい。この際、電源制御方法及び電源制御プログラムは、少なくとも判定ステップ、モード選択ステップ、及び充電実行ステップを有することになる。
【0144】
また、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種のコンピュータに読み取り可能な記録媒体を介してシステム或いは装置に供給するようにしてもよい。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理ようにしてもよい。
【符号の説明】
【0145】
1 電池ユニット
2 電池
3 電池制御回路
10 ストロボユニット
11,101 システム制御回路
13 スイッチ部
15 昇圧回路
30 表示回路
100 カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源に接続され、前記電源から充電を受けて動作する電子機器を制御するための電源制御装置において、
所定の充電電圧に達するまでの充電時間が互いに異なる複数の充電動作モードを備えており、
前記電源が前記電子機器に接続された際、前記電源から予め規定された識別情報が得られたか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に応じて前記充電動作モードのうち一つを選択充電動作モードとして選択するモード選択手段と、
前記選択充電動作モードによって前記電源から前記電子機器への充電を行う充電実行手段とを有することを特徴とする電源制御装置。
【請求項2】
前記電源は通信機能を有する電源ユニットであり、
前記判定手段は、前記電源ユニットとの通信によって前記電源ユニットから前記識別情報を得るようにしたことを特徴とする請求項1記載の電源制御装置。
【請求項3】
前記判定手段によって前記識別情報が得られない判定されると、前記電源に関する電源情報として当該電源が正規品でない旨の表示を行う表示手段を有することを特徴とする請求項1又は2記載の電源制御装置。
【請求項4】
前記複数の充電動作モードとして、少なくとも第1及び第2の充電動作モードが規定され、前記第1の充電動作モードは前記第2の充電動作モードよりも前記充電時間が短なっており、
前記判定結果が前記識別情報を得られなかったことを示している際、前記モード選択手段は、前記選択充電動作モードとして前記第2の充電動作モードを選択することを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の電源制御装置。
【請求項5】
前記判定手段によって前記識別情報が得られないと判定されると、前記電源を使用するか否かを告知する告知手段を有し、
前記電源を使用する旨のユーザ入力があると、前記モード選択手段は、前記第2の充電動作モードを前記選択充電動作モードとして選択することを特徴とする請求項4記載の電源制御装置。
【請求項6】
前記電源と前記電子機器との接続をオンオフするスイッチ手段と、
前記判定手段による判定結果に応じて前記スイッチ手段を制御するスイッチ制御手段とを有することを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の電源制御装置。
【請求項7】
前記電子機器は、撮像装置で用いられるストロボユニットであることを特徴とする請求項4又は5記載の電源制御装置。
【請求項8】
請求項7記載の電源制御装置を備えるストロボユニットが装着され、
前記モード選択手段によって前記選択充電動作モードとして前記第2の充電動作モードが選択された際、前記第2の充電動作モードである旨を告知するモード告知手段を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
請求項7記載の電源制御装置を備えるストロボユニットが装着され、
前記モード選択手段によって前記選択充電動作モードとして前記第2の充電動作モードが選択された際、前記第1の充電動作モードにおける連続撮影可能時間よりもその連続撮影可能時間を短く設定する撮影設定手段を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
前記モード選択手段によって前記選択充電動作モードとして前記第2の充電動作モードが選択された際、前記第1の充電動作モードにおける連続撮影可能時間よりもその連続撮影可能時間を短く設定する撮影設定手段を有することを特徴とする請求項8記載の撮像装置。
【請求項11】
電源に接続され、前記電源から充電を受けて動作する電子機器を制御するための電源制御方法において、
前記電子機器には所定の充電電圧に達するまでの充電時間が互いに異なる複数の充電動作モードが備えられており、
前記電源が前記電子機器に接続された際、前記電源から予め規定された識別情報が得られたか否かを判定する判定ステップと、
前記判定手段による判定結果に応じて前記充電動作モードのうち一つを選択充電動作モードとして選択するモード選択ステップと、
前記選択充電動作モードによって前記電源から前記電子機器への充電を行う充電実行ステップとを有することを特徴とする電源制御方法。
【請求項12】
電源に接続され、前記電源から充電を受けて動作する電子機器を制御するための電源制御プログラムにおいて、
前記電子機器には所定の充電電圧に達するまでの充電時間が互いに異なる複数の充電動作モードが備えられており、
コンピュータに、
前記電源が前記電子機器に接続された際、前記電源から予め規定された識別情報が得られたか否かを判定する判定ステップと、
前記判定手段による判定結果に応じて前記充電動作モードのうち一つを選択充電動作モードとして選択するモード選択ステップと、
前記選択充電動作モードによって前記電源から前記電子機器への充電を行う充電実行ステップとを実行させることを特徴とする電源制御プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載の電源制御プログラムが格納されたコンピュータに読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−83810(P2013−83810A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223916(P2011−223916)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】