説明

電源制御装置

【課題】
本発明が解決しようとしている課題は、入出力処理量が変化する計算機システムにおいて、入出力装置の電源制御を上位装置で行わなくとも、未使用の入出力装置に対してサーバとのセッションを維持したまま、自動的に電源切断を行い、且つ入出力装置の起動回数を少なくする事によりシステムの消費電力を削減することである。
【解決手段】
サーバと入出力装置間に、入出力処理の監視と、入出力装置の電源制御を行う機能と、入出力装置のインタフェース情報の保持と、サーバへの応答を代行する機能と、入出力装置の電源切断時にインタフェース情報を保持し、電源投入時に動作状態を復元する機能を持つ入出力中継装置を仲介することにより、サーバとのセッションを維持したまま入出力装置の電源切断を可能とし、消費電力の削減を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計算機システムおいて、非動作中の入出力装置の電源切断を行い、消費電力を削減する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、企業の計算機システムにかけるコストが削減されるとともに、企業における環境対策に対する取り組みが注目され、消費電力削減によるCO2排出量の削減など、環境対策が課題となっている。その為、計算機システムを構成するサーバや入出力装置は、消費電力等のランニングコストについても削減を求められている。
【0003】
計算機システムの消費電力を削減する方法として、使用していない入出力装置に対して電源切断を行うことで消費電力の削減を実現する。しかし、サーバと入出力装置間のプロトコルによっては、サーバと入出力装置間でインタフェース情報を保つよう動作しており、入出力装置の電源を正常に切断しようとすると、サーバから入出力装置に対して、明示的にオフラインを指示し、インタフェースの解放を必要とするものがある。
【0004】
このようなシステムで入出力装置のみ電源切断、投入し、消費電力を削減しようとすれば、上位装置より、あらかじめ決められたスケジュール条件をもとに入出力装置にオフラインを指示し、電源制御をおこない、運用を自動化する方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−322161
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記の方法では、あらかじめ決められたスケジュールで電源投入および切断を実施しており、日々の入出力処理量の変化に対して、効率的な消費電力の削減を実現するのは難しい。また、どういったスケジュールで電源制御を行うかは、導入時に入出力処理量を予測し決定する為、計算機システム構成や処理内容変更の度に見直しを行う必要がある。
【0007】
本発明が解決しようとしている課題は、入出力処理量が変化する計算機システムにおいて、入出力装置の電源制御を上位装置で行わなくとも、未使用の入出力装置に対してサーバとのセッションを維持したまま、自動的に電源切断を行うことである。
【0008】
また、本発明が解決しようとしている他の課題は、前記入出力装置通信インタフェース上で電源制御可能な装置と電源制御専用のインタフェースを持つ装置があり、両方の入出力装置の電源制御を自動的に行うことである。
【0009】
また、本発明が解決しようとしている他の課題は、複数の入出力装置を持つシステムにおいて、その電源投入の回数を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の課題を解決する為に、請求項1記載の発明では、ノード間の通信の中継制御を行う入出力中継装置が、入出力装置の通信内容を監視し、当該ノードのインタフェース情報の変更を抽出、更新、保持し、前記当該ノードが電源切断可能な状態であるか否かを判定し、電源切断可能な状態の判定が一定時間続いたとき前記当該ノードに電源切断を指示し、前記当該ノードが電源切断状態にあって、他ノードからの通信が発生したときに前記当該ノードに代わりBUSY状態であることを他ノードに応答するとともに、前記当該ノードに電源投入を指示し、前記当該ノードの電源投入完了後、前記インタフェース情報を前記当該ノードに送出し、前記当該ノードの動作状態を電源切断前の状態に復元する。
【0011】
また、請求項2記載の発明では、入出力装置の電源制御専用インタフェースの有無により、通信インタフェース部もしくは専用電源制御インタフェース部を介して、電源切断信号および電源投入信号を送出する。
【0012】
また、請求項3記載の発明では、前記当該ノードが電源切断状態にあって、他ノードから前記当該ノードに対する通信が発生したとき、あらかじめ定めておいた代替ノード情報を参照し、前記当該ノードに代替ノードが設定されているとき、前記当該ノードに電源投入信号を送出する代わりに、前記当該ノードへの通信を前記代替ノードへ振替える。
【発明の効果】
【0013】
前記のように構成することにより、非動作状態の入出力装置を自動的に電源切断し、また、入出力装置の電源投入回数を減らし、消費電力と処理待ち時間を削減する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例における全体構成図
【図2】本発明の実施例における電源切断フローチャート
【図3】本発明の実施例における電源切断時動作フローチャート
【図4】本発明の実施例におけるインタフェース情報
【図5】本発明の実施例における振替処理動作フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の提供形態について、図面を参照し、以下の実施例にて説明する。
【実施例1】
【0016】
以下、図1〜図4を用いて、本発明の第一の実施形態による入出力中継装置の構成について説明する。
【0017】
最初に図1を用いて、本実施例における全体構成を説明する。
【0018】
図1は、本発明の第1の実施形態による入出力中継装置を使用した計算機システム全体構成を示すブロック図である。
【0019】
本実施例における入出力中継装置を使用した計算機システムは、サーバ100〜101と、入出力中継装置200と、入出力装置300〜304で構成される。入出力中継装置200は、通信インタフェース部210と、制御部220と、通信インタフェース部230と、電源操作インタフェース部240を備えており、制御部220は非動作判定情報221、インタフェース情報222、振替設定情報223を保持している。
【0020】
但し、電源操作インタフェース部240は、入出力装置が通信インタフェースと電源操作インタフェースとを独立して構成されている場合に必要となる回路であり、例えば、通信インタフェース部230がTCP/IPを使ったネットワークなどであり、データ通信と電源制御信号の送出とが共に通信インタフェース230上で行われる場合には、制御部220からの電源制御信号は電源制御インタフェース部240ではなく、データ通信の一部として、通信インタフェース部230を介して送信する。入出力装置に電源操作インタフェースがない場合、電源操作インタフェース部240は不要である。また、入出力装置が複数の電源操作インタフェースを持つ場合にも、制御可能である。
【0021】
サーバ100〜101は、入出力装置300〜304に対して入力および出力の通信を行おうとする計算機である。
【0022】
入出力装置300〜304は、サーバからの入力、出力指示に対して動作する入出力装置であり、磁気ディスク装置、磁気テープ装置、プリンタ装置、ファイルサーバ、HTTPサーバなどに代表される。
【0023】
入出力装置300〜302は通信インタフェースから電源操作可能な入出力装置であり、入出力装置303〜304は、通信インタフェースとは別に電源操作用のインタフェースを必要とする入出力装置である。
【0024】
通信インタフェース部210は、光信号、電気信号などによりサーバ100および101とデータ通信を行うインタフェースである。
【0025】
通信インタフェース部230は、光信号、電気信号などにより入出力装置300〜304とのデータ通信を行うインタフェースである。
【0026】
電源操作インタフェース部240は、制御部220からの指示に従い入出力装置303および304の電源制御を行う電源操作インタフェースである。
【0027】
制御部220は、通信インタフェース部210および通信インタフェース部230を介して、サーバ100〜101と入出力装置300〜304との通信を中継、監視し、条件に従って入出力装置300〜304を電源制御する回路である。尚、入出力装置毎には使用者により、あらかじめ電源切断処理を実行するまでの待ち時間が与えられる。
【0028】
次に、図2〜図4を用いて制御部220の電源制御の動作を説明する。
【0029】
図2は、制御部220が入出力装置300の電源を投入状態から切断するときを例にとり、動作詳細をフローチャートに示す。
【0030】
ステップS10において、制御部220は入出力装置300に対する通信が一定時間以上行われていないことを判定し、無通信状態が一定時間に満たなければ、一定時間を越えるまで判定を繰り返す。ここで言う一定時間は入出力装置毎に、あらかじめ使用者があたえておく。
【0031】
ステップS11において、制御部220は、保持している非動作判定情報221と直前の動作コマンドおよび応答の状態の比較を行い本無通信状態で電源を切断してよいかの判定を行う。ここで、非動作判定情報221との比較を行う主たる理由は、入出力装置の停止状態が、例えばプリンタの場合は紙切れなど、人手介入待ちの状態を電源制御の対象から除外するためである。なお、非動作判定情報221は、不一致の装置種別毎、機種毎に個別に定めるべきものであり、例えばプリンタであれば、ページ内のデータを完成し、用紙の排出を行うCLEAR PRINTERといったページ出力を完結させるコマンドがあり、直前のコマンドがこのCLEAR PRINTERの正常終了を条件とすることができる。
【0032】
ステップS12において、制御部220は、入出力装置300が、電源切断可能であるものとして、通信インタフェース部230を介して入出力装置300の電源切断を指示する。入出力装置301および302は同様の手順で電源切断を実施し、入出力装置303および304は、ステップS12において制御部220は、電源操作インタフェース部240を介して電源切断を指示する。
【0033】
図3は、サーバ100が電源切断状態の入出力装置300に対し入出力を実行しようとした場合の、制御部220の動作の詳細を示すフローチャートである。
【0034】
図4は、入出力装置がプリンタ装置である場合のインタフェース情報222の構造を示す図である。
【0035】
ステップS20において、制御部220はサーバ100に対して、入出力装置300に代わってBUSY等、サーバに処理を待たせるよう代理で応答する。ここで、BUSY等の応答を代理で行う理由は、入出力装置300の電源投入に掛かる時間でサーバの入出力がタイムアウトを起こし異常終了することを防止するためである。
【0036】
ステップS21において、制御部220は入出力装置300に対して電源操作インタフェース部240を介して電源投入を指示する。
【0037】
ステップS22において、制御部220は入出力装置300の電源投入が完了したかどうかを判定し、完了していなければ処理を繰り返す。
【0038】
ステップS23において、制御部220は入出力装置300の動作状態を復元する。ここで、動作状態を復元する理由は、入出力装置300は、サーバ100から、動作状態を指定され動作しているが、電源を切断し、再投入したために、これまでの動作情報が失われているためで、再投入後も、正しく動作させるためには、電源切断直前の状態に正確に状態を戻す必要があるためである。動作状態の復元のため、制御部220は保持しているインタフェース情報222に蓄積された情報に従い、コマンド及びデータを入出力装置300に発行する。
【0039】
ここで、インタフェース情報222は、サーバ100から指示される入出力装置300に対する設定情報群であり、入出力装置300の機種毎に予め項目をきめておく。例えばプリンタ装置であれば、動作情報は、動作モード(半角モード、全角モードの別)、データエラー抑止(抑止、許可の別)、FCB情報(FORMS CONTROL BUFFER:ページ内の印字行数や用紙サイズ等の設定情報)、文字パターン情報などからなる。制御部220は通常時、サーバ100と入出力装置300との通信を監視し続け、インタフェース情報222に定義されるコマンドの発行が行われた場合、続いて送信されるデータ内容を元に、インタフェース情報222を更新する。このように、制御部220はインタフェース情報222と、入出力装置300の状態が常に一致するように動作する。
【0040】
次に、図5を用いて、制御部220が電源切断状態にある入出力装置301に対して発生した入出力を、電源投入状態にある同種の入出力装置302に振替える手順を説明する。
【0041】
ステップS30において、制御部220は入出力装置301に対する振替設定情報223を参照し、振替先が入出力装置302であることを確認する。
【0042】
ステップS31において、制御部220は振替先となる同種の入出力装置302の非動作判定情報221を確認し、非動作判定情報が一致すれば、振替処理可能と判断する。一致しなければ振替負荷と判断し処理を終了する。
【0043】
ステップS32において、制御部220はインタフェース情報222をもとに入出力装置302のインタフェース情報を退避する。
【0044】
ステップS33において、制御部220は、インタフェース情報222をもとに入出力装置301のインタフェース情報を入出力装置302に復元する。
【0045】
ステップS34において、制御部220は、入出力装置302にて入出力処理を実行する。
【0046】
ステップS35において、制御部220はインタフェース情報222をもとに入出力装置302の動作状態を復元する。
【0047】
上記の手順により、本来入出力装置301で実行する入出力処理を非動作状態の入出力装置302に振替処理することにより、入出力装置301の電源投入回数を1回減らすことができ消費電力を削減する。
【符号の説明】
【0048】
100・・・サーバ
200・・・入出力中継装置
210・・・通信インタフェース部
220・・・制御部
221・・・非動作判定情報
222・・・インタフェース情報
223・・・振替設定情報
230・・・通信インタフェース部
240・・・電源操作インタフェース部
300・・・入出力装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
種々の入出力装置および種々のコンピュータであるノードが接続された通信システムにおいて、前記ノードが接続されるインタフェース部と、前記ノード間の通信の中継制御を行う制御部とを備える通信中継装置であって、入出力装置の通信内容を監視し、当該ノードのインタフェース情報および非動作判定情報の変更を抽出し、インタフェース情報および非動作判定情報を更新、保持する監視手段と、前記非動作判定情報をもとに、前記当該ノードが電源切断可能な状態であるか否かを判定する判定手段と、前記当該ノードが電源投入状態にあって、前記判定手段により電源切断可能な状態の判定が一定時間続いたとき前記当該ノードに前記インタフェース部を介して電源切断信号を送出し、前記当該ノードが電源切断状態にあって、他ノードから前記当該ノードに対する通信が発生したときに前記当該ノードに代わりBUSY状態であることを他ノードに応答するとともに、前記当該ノードに前記インタフェース部を介して電源投入信号を送出し、前記当該ノードの電源投入完了後、前記インタフェース情報を前記当該ノードに送出し、前記当該ノードの動作状態を電源切断前に復元する電源制御手段とを備えることを特徴とする入出力中継装置。
【請求項2】
前記請求項1に示す電源制御方法および装置であって、前記電源制御手段は、前記ノードへの専用電源制御インタフェース部を備え、電源切断信号および電源投入信号を、前記インタフェース部を介して送出する代わりに、前記専用電源制御インタフェース部を介してノードの電源投入および電源投入を指示することを特徴とする入出力中継装置。
【請求項3】
前記請求項1または請求項2に示す電源制御方法および装置であって、前記当該ノードが電源切断状態にあって、他ノードから前記当該ノードに対する通信が発生したとき、あらかじめ定めておいた代替ノード情報を参照し、前記当該ノードに代替ノードが設定されているとき、前記当該ノードに前記インタフェース部または専用電源制御インタフェース部を介して電源投入信号を送出する代わりに、前記当該ノードへの通信を前記代替ノードへ振替えることを特徴とする入出力中継装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−81465(P2011−81465A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−231103(P2009−231103)
【出願日】平成21年10月5日(2009.10.5)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】