説明

電源回路および電源システム

【課題】スタンバイ電源無しで外部機器によって電源がオン/オフされるスレーブモードおよびスレーブモードの電源回路をオン/オフするマスタモードを備えた電源回路を提供する。
【解決手段】スタンバイ回路である制御部16に電源を供給するサブトランス14にモード切換スイッチ13を設ける。制御部16にリレー駆動電圧を外部出力するトリガ出力端子17を設け、且つ、電源リレー12に外部からリレー駆動電圧を入力するトリガ入力端子18を設ける。モード切換スイッチ13をオンすると制御部16が常時動作し、電源オンコマンドに応じて自装置の電源リレー12をオンするとともにトリガ出力端子17からリレー駆動電圧を出力して他装置もオンする(マスタモード)。モード切換スイッチ13をオフすると制御部16が動作せずトリガ入力端子18から入力されるリレー駆動電圧により(他装置の制御によって)電源がオンされる(スレーブモード)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、外部機器により電源がオン/オフされ、または、外部機器の電源を併せてオン/オフする電源回路および電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電源回路を図1(A)、(B)に示す。同図(A)は最も古典的な回路構成である。この電源回路は電源プラグ110と電源トランス(メイントランス)113との間に電源スイッチ112を有する構成であり、電源スイッチ113の手動操作によって電源トランス113の一次側への電源供給がオン/オフされる。
【0003】
一方、同図(B)は、特許文献1等に記載の構成であり、赤外線リモコン等の外部機器により電源をオン/オフできる構成を備えたものである。電源プラグ120とメイントランス126との間には電源リレー123のリレー接点(NO接点)123Aが挿入されている。外部機器による操作で電源をオン/オフするためのスタンバイ回路としてサブトランス124、制御部125、リレー123を有している。サブトランスは直接電源プラグ120に接続されており、電源プラグ120がコンセントに差し込まれているとき常時通電している。したがってサブトランス124の二次側に接続されている制御部125は常時動作しており、赤外線リモコン装置などの外部機器からのコマンドを受信できる状態になっている。制御部125は、外部機器から電源オンのコマンドを受信すると、リレー123のリレーコイル123Bに電流を流し、リレー接点123Aをオンする。これにより、メイントランス126に電流が流れ、メイントランス126の二次側に接続されている負荷回路が動作する。
【0004】
【特許文献1】特開2000−197268号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記図1(A)の電源回路を内蔵した機器は、外部機器による電源オン/オフができないため、所望のときに機器を使用したい場合には電源スイッチ112を入れたままにしておかなければならず、電力の消費が膨大である。また、上記図1(B)の電源回路も、サブトランス124によって制御部125が常時オンしているためいわゆるスタンバイ電力を消費するという問題点があり、また、このスタンバイ回路としてサブトランス124、電源リレー123、制御部125等が余計に必要になるという問題点があった。
【0006】
この発明は、スタンバイ電源無しで外部機器によって電源がオン/オフされるスレーブモードおよびスレーブモードの電源回路をオン/オフするマスタモードを備えた電源回路、および、このような電源回路を複数接続した電源システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、電源と負荷回路との間に挿入された電源リレーと、外部機器から電源オンコマンドを受信したとき電源リレー駆動電圧を発生し、この電源リレー駆動電圧を前記電源リレーに供給する制御部と、前記電源リレー駆動電圧を更に外部に出力する電源出力端子と、前記制御部と電源との接続をオン/オフするモード切換スイッチと、前記電源リレーを駆動する電源リレー駆動電圧を外部から入力するための電源入力端子と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
この発明の電源回路において、モード切換スイッチをオンすると制御部が動作し、外部機器からの電源オンコマンドに対応してリレー駆動電圧を発生する。このリレー駆動電圧が自装置の電源リレーをオンするとともに、電源出力端子から外部に出力される。この動作モードをマスタモードと呼ぶ。
【0009】
モード切換スイッチがオフされると動作部は動作せず、自装置のみでは電源リレーをオンできなくなる。この動作モードをスレーブモードと呼ぶ。スレーブモードの電源回路の電源入力端子に上記マスタモードの他の電源回路の電源出力端子を接続する。これにより、マスタモードの電源回路(マスタ電源回路)がオンしたとき、すなわち制御部がリレー駆動電圧を発生したとき、このリレー駆動電圧が電源出力端子−電源入力端子を介してスレーブモードの電源回路(スレーブ電源回路)の電源リレーを駆動する。これにより、マスタ電源回路の制御部のみで、マスタ電源回路を含む複数の電源回路をオンすることができる。なおこの発明では電源オンのみに言及しているが、電源オフについても同様である。
【0010】
請求項2の発明は、上記発明において、前記電源入力端子と並列に、該電源入力端子から入力された電圧を外部に出力するスルー端子を備えたことを特徴とする。
【0011】
スルー端子は電源入力端子から入力された電圧をそのまま外部に出力する。電源入力端子にリレー駆動電圧が入力されているスレーブ電源回路のスルー端子に、他のスレーブ電源回路の電源入力端子を接続することにより、この他のスレーブ電源回路をマスタ電源回路に直接接続したのと同じ動作をさせることができる。これにより、電源回路のデイジーチェーン接続が可能になる。
【0012】
請求項3の発明は、前記電源入力端子と前記電源リレーとの間に、外部トリガ制御部をさらに備え、前記制御部は、前記電源入力端子に電源リレー駆動電圧が入力され且つ所定の条件が満たされたとき、トリガ禁止信号を前記外部トリガ制御部に対して出力し、前記外部トリガ制御部は、前記トリガ禁止信号が入力されたとき、前記電源入力端子と前記電源リレーとの電気的接続を、前記電源リレー駆動電圧が停止するまで遮断することを特徴とする。
【0013】
この構成により、スレーブモードで動作している機器であっても、装置の動作に異常が発生した場合等に、マスク機器の機能に依らず自装置の制御部の機能で電源をオフすることができる。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の電源回路を複数台用い、そのうちの少なくとも1台のモード切換スイッチをオンしてマスタ電源回路とし、他の電源回路のモード切換スイッチをオフしてスレーブ電源回路とし、前記マスタ電源回路の電源出力端子と、前記スレーブ電源回路の電源入力端子とを電気的に接続したことを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明は、上記発明において、前記スレーブ電源回路の少なくとも1つを請求項2に記載の電源回路で構成し、該スレーブ電源回路のスルー端子に他のスレーブ電源回路の電源入力端子を接続したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明の電源回路は、制御部が動作し電源リレー駆動電圧を発生するマスタモードと、電源入力端子を介して外部からリレー駆動電圧の供給を受けるスレーブモードとを切り換えることができるため、複数の電源回路をマスタモードとスレーブモードで組み合わせることにより、1つの制御部で複数の電源回路を連動してオン/オフすることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図面を参照してこの発明の実施形態について説明する。
図2はこの発明の実施形態である電源回路を示す図である。この電源回路は、たとえばオーディオアンプ、FMチューナ、DVDプレーヤなど複数の機器を組み合わせて使用されるいわゆるコンポーネントの電子機器のそれぞれに内蔵される電源回路である。
【0018】
電源回路は、電源コンセントから商用電源を取り込むプラグ10を備えている。プラグ10の一方(ホット側)はヒューズ11、電源リレーである一次リレー12(リレー接点12A)を介してメイントランス15に接続されるとともに、ヒューズ11、モード切換スイッチ13を介してサブトランス14に接続されている。プラグ10の他方(接地側)はメイントランス15およびサブトランス14に直接接続されている。
【0019】
一次リレー12は、リレー接点12Aおよびリレーコイル12Bからなっている。リレー接点12Aは常開接点であり、リレーコイル12Bに電流が流れないときオフ(開)しており、リレーコイル12Bに電流が流れたときのみオン(閉)する。一次リレー12(リレー接点12A)がオンすることにより、メイントランス15に商用電源が供給され、メイントランス15の二次側に整流回路22を介して接続されている負荷回路に電力が供給される。
【0020】
モード切換スイッチ13は、マスタモードとスレーブモードを切り換えるスイッチである。マスタモードとは外部から入力される電源オンコマンドによって自ら電源(一次リレー12)をオン/オフし、さらに他の電源回路もオン/オフするモードであり、スレーブモードとは他の電源回路から供給されるリレー駆動電圧により電源がオン/オフ制御されるモードである。モード切換スイッチ13がオンされるとマスターモードとなり、モード切換スイッチ13がオフされるとスレーブモードとなる。
【0021】
マスタモードではサブトランス14が常時通電され、サブトランス14の二次側にせい整流回路23を介して接続されている制御部16が常に動作している。また、スレーブモードではサブトランス14に電流が流れないため、制御部16は動作しない。
【0022】
制御部16は、一次リレーを駆動するためのリレー駆動電源回路、赤外線リモコンからの電源オン/オフコマンド等を含む各種コマンドを受信するリモコン受光部等を有している。制御部16は、赤外線リモコン装置から電源オンコマンドを受信したときリレー駆動電源回路を動作させてリレー駆動電圧を発生する。リレー駆動電源回路は、複数の一次リレーを同時に駆動する電流容量を有する回路である。制御部16の電圧出力端子は、リレーコイル12Bに接続されているとともに、トリガ出力端子(Power Trigger Out)17に接続されている。一次リレー12は、制御部16からリレー駆動電圧が供給されることによりオンし、リレー接点12Aを閉じる。
【0023】
また、リレーコイル12Bに並列にトリガ入力端子(Power Trigger In)18およびトリガスルー端子(Power Trigger Through)19が接続されている。トリガ入力端子18は、他の電源回路からリレー駆動電圧を入力するための端子であり、トリガスルー端子19は、トリガ入力端子18から入力されたリレー駆動電圧をさらに他の電源回路に出力するための端子である。トリガ入力端子18からリレー駆動電圧が供給された場合も、内部の制御部16からリレー駆動電圧が供給された場合と同様に一次リレー12がオンしてリレー接点12Aを閉じる。
【0024】
なお、制御部16は、電源オン/オフコマンド以外に、負荷回路を制御するコマンドを受信するが、このようなコマンドを受信したとき、制御部16は、そのコマンドに対応した制御を負荷回路に対して行う。また、制御部16は、装置(特に負荷回路)の動作を監視しており、動作に異常(たとえば過電流や温度の異常上昇など)が発生したとき、リレーコイル12Bに対するリレー駆動電圧の供給を停止し、異常な状態での動作を停止させる。
【0025】
なお、制御部16の+端子からリレーコイル12Bの+端子に至る経路にダイオード20が挿入され、トリガ入力端子18の+端子からリレーコイル12Bの+端子に至る経路にダイオード21が挿入されている。ダイオード20は、トリガ入力端子18から入力されたリレー駆動電圧が制御部16に回り込まないように規制するものである。ダイオード21は、制御部16の出力したリレー駆動電圧がトリガ入力端子18に回り込まないように規制するものである。
【0026】
上述したように、本実施形態の電源回路を内蔵する電子機器は、他の電子機器と組み合わせて使用されるものである。組み合わされる電子機器のうち少なくとも1台がマスタとして動作し、他の機器がスレーブとして動作する。
【0027】
図3は、図2に示した電源回路を内蔵した電子機器A,B,Cを接続した電子機器システムの例を示す図である。このうち電子機器Aが、モード切換スイッチ13がオンされており、マスタとして動作する。他の電子機器B,Cは、モード切換スイッチ13がオフされており、スレーブとして動作する。マスタである電子機器Aのトリガ出力端子(Power Trigger Out)17がスレーブである電子機器Bのトリガ入力端子(Power Trigger In)18に接続され、電子機器Bのトリガスルー端子(Power Trigger Through)19がもう1台のスレーブである電子機器Cのトリガ入力端子(Power Trigger In)18に接続されている。
【0028】
この接続形態で電子機器Aの制御部16に対して電源オンコマンドが入力されると、制御部16は、リレー駆動電源回路を起動してリレー駆動電圧を発生する。この駆動電圧は自装置(電子機器A)のリレーコイル12Bに供給されて電子機器A(負荷回路)の電源をオンするとともに、トリガ出力端子17を介して外部出力される。外部出力されたリレー駆動電圧は、電子機器Bのトリガ入力端子18に入力され、さらに、電子機器Bのトリガスルー端子19から再出力されて電子機器Cのトリガ入力端子18に入力される。
【0029】
電子機器Bではトリガ入力端子18に入力されたリレー駆動電圧がリレーコイル12Bに供給されて電子機器B(負荷回路)の電源をオンする。電子機器Cにおいても同様に、トリガ入力端子18に入力されたリレー駆動電圧がリレーコイル12Bに供給されて電子機器C(負荷回路)の電源をオンする。
【0030】
なお、図3の実施形態では、1台のマスタ機器に2台のスレーブ機器を接続しているが、スレーブ機器の台数は2台に限定されない。また、図3では、下流のスレーブ機器が上流のスレーブ機器のトリガスルー端子に接続されるデイジーチェーン接続となっているが、マスタ機器に複数のスレーブ機器を直接(並列に)接続する形態にしてもよい。その場合にはマスタ機器にトリガ出力端子17を複数設けるかトリガ出力端子17からの配線を分岐させればよい。
【0031】
図4は、図2の電源回路にメイントランス15から制御部16に電源を供給する経路を付加した電源回路の構成図である。この図において、図2の電源回路と同一構成の部分は同一番号を付して説明を省略する。
【0032】
この図の電源回路では、メイントランス15のホット側とサブトランス14のホット側がダイオード24を介して接続されている。ダイオード24はメイントランス15側からサブトランス14側に向けて順方向に挿入されている。また、モード切換スイッチ13が、図2の電源回路と同様に、プラグ10とサブトランス14との間に挿入されたスイッチ13A、および、制御部16とダイオード20(リレーコイル12B)との間に挿入されたスイッチ13Bの2つのスイッチが連動する2連スイッチで構成されている。すなわち、スイッチ13の切り換えでスレーブモードが選択されたとき、電源プラグ10とサブトランス14との間が遮断されるとともに、制御部16とリレーコイル12Bとの間も遮断される。
【0033】
以上の構成でも、図2の構成と同様に、スレーブモード時にはサブトランス14に電流が流れないため、制御部16が常時動作することはない。しかし、トリガ入力端子18からマスタ機器のリレー駆動電圧が入力されることによりメイントランス15が通電されると、ダイオード24を介して制御部16に電力が供給され、負荷回路のオンと並行して制御部16もオンする。これにより、スレーブモードであっても、メイントランス15が通電されて装置が動作するとき、制御部16によるコマンド(たとえばボリウム制御コマンド等)の受信が可能になる。この場合でも、制御部16が出力するリレー駆動電圧はスイッチ13Bがオフしていることによりリレーコイル12Bに供給されないため、外部機器からのリレー駆動電圧が停止したときこの機器の電源もオフされ、スレーブ機器として動作する。
【0034】
また、制御部16がオンすることにより、このスレーブ機器のトリガ出力端子17にリレー駆動電圧が現れるため、上位のスレーブ機器のトリガ出力端子17を下位のスレーブ機器のトリガ入力端子18に接続するデイジーチェーン接続が可能になる。なお、この場合には、トリガスルー端子19は不要である。
【0035】
図5は、この発明の電源回路の他の実施形態を示す図である。図2に示した電源回路と同一構成の部分は同一番号を付して説明を省略する。なお、メイントランス15′は中間タップ付きの二次側コイルを有し、整流回路22′は全波整流のダイオードブリッジおよび±12V、±5Vの定電圧レギュレータを有する構成になっているが、基本的な動作は図2に示したメイントランス15、整流回路22′と同様である。また、サブトランス14に接続されている整流回路23′も全波整流のダイオードブリッジおよび+12V、+5Vの定電圧レギュレータを有する構成になっているが、基本的な動作は図2に示した整流回路23と同様である。
以下、図5の電源回路において、図2に示した電源回路と相違する箇所について説明する。
【0036】
メイントランス15のホット側とサブトランス14の整流回路23のホット側がダイオード24(24A,24B)を介して接続されている。ダイオード24はメイントランス15側からサブトランス14側に向けて順方向に挿入されている。
【0037】
この構成により、図2の構成と同様に、スレーブモード時にはサブトランス14に電流が流れないため、制御部16が常時動作することはない。しかし、マスタ機器からリレー駆動電圧が入力されることによりメイントランス15が通電されると、ダイオード24を介して制御部16に電力が供給され、負荷回路のオンと並行して制御部16もオンする。これにより、スレーブモードであっても、メイントランス15が通電されて装置が動作するとき、制御部16によるコマンド(たとえばボリウム制御コマンド等)の受信が可能になる。
【0038】
制御部16とダイオード20(リレーコイル12B)との間にトリガスイッチ31が設けられるとともに、サブトランス15に給電され且つトリガ入力端子18からリレー駆動電圧が入力されていないときにトリガスイッチ31をオンするトリガスイッチ制御回路32が設けられている。
【0039】
スレーブモード時に他の機器からリレー駆動電圧が供給されてメイントランス15がオンした場合、上記ダイオード24の接続により制御部16がオンするが、スレーブモードでトリガ入力端子18からリレー駆動電圧が入力されているため、トリガスイッチ制御回路32の動作によりトリガスイッチ31はオンされない。これにより、制御部16からリレーコイル12Bにリレー駆動電圧が供給されないため、外部機器からのリレー駆動電圧が停止したときこの機器の電源もオフされ、スレーブ機器として動作する。
【0040】
トリガ出力端子17がメイントランス15の二次側に設けられている。メイントランス15、整流回路22の電流容量は、サブトランス14、整流回路23の電流容量よりも大きいため、この構成にすることにより、下流に複数のスレーブ機器が並列に接続されるという接続形態になっても、十分なリレー駆動電圧を供給することができる。
【0041】
制御部16は、負荷回路を含む装置の動作を監視し、異常を発見したときリレー駆動電圧の出力を停止するとともに、トリガ禁止信号(Trigger Inhibit)を出力する。また、トリガ入力端子18とダイオード21(リレーコイル12B)との間に外部トリガスイッチ回路40が挿入されるとともに、トリガ禁止信号が入力されると外部トリガスイッチ回路40をオフし、このオフ状態を保持する外部トリガ制御回路41が設けられている。これら外部トリガスイッチ回路40および外部トリガ制御回路41が、この発明の外部トリガ制御部に対応する。
【0042】
外部トリガスイッチ回路40は、トリガ入力端子18にエミッタが接続され、ダイオード22にコレクタが接続されたpnpトランジスタであるスイッチングトランジスタ50、トリガ入力端子18の電位を分圧してトランジスタ50のベースに供給する抵抗51、52、および、抵抗51に並列に接続されたスイッチ回路53を有している。スイッチ回路53は、ベース・エミッタ間にバイアス抵抗、ベース端子に分圧抵抗が接続されたpnpトランジスタからなっており、ベース電位が低下するとオンし、抵抗51を短絡する。
【0043】
外部トリガ制御回路41は、トリガ禁止信号を受けてオンするスイッチ回路42、スイッチ回路42がオンすることによってオンし、スイッチ回路42のオンを保持する第2のスイッチ回路43を有している。スイッチ回路42は、ベース・エミッタ間にバイアス抵抗、ベース端子に分圧抵抗が接続されたnpnトランジスタからなっており、ベース電位が上昇するとコレクタ・エミッタ間が導通する。第2のスイッチ回路43は、ベース・エミッタ間にバイアス抵抗、ベース端子に分圧抵抗が接続されたpnpトランジスタからなっており、ベース電位が低下するとオンし、トリガ入力端子18の電位をスイッチ回路42の分圧抵抗に印加する。
【0044】
スイッチ回路42のベースには制御部16のトリガ禁止信号端子、および、スイッチ回路43のコレクタが接続されている。また、スイッチ回路42のnpnトランジスタは、エミッタが接地されるとともに、コレクタはスイッチ回路53、スイッチ回路43のベースに共通に接続されている。
【0045】
初期状態ではスイッチ回路42はオフしているため、スイッチ回路43、53は、ベース・エミッタ間が同電位でありオフしている。このときにトリガ入力端子18からリレー駆動電圧が供給されると、外部トリガスイッチ40のスイッチングトランジスタ50のベースには、分圧抵抗51、52で分圧された電位が印加されてオンし、トリガ入力端子18のリレー駆動電圧は、ダイオード22を介してリレーコイル12Bに供給される。
【0046】
この状態で、制御部16がトリガ禁止信号を発生すると、このトリガ禁止信号がスイッチ回路42のベースに印加され、スイッチ回路42がオンする。スイッチ回路42がオンすると、スイッチ回路43、53のpnpトランジスタのベースは、分圧抵抗を介して接地され、ベース電位がエミッタ電位よりも低くなるためオンする。
【0047】
スイッチ回路53のオンにより、分圧抵抗51が短絡され、スイッチングトランジスタ50のベース電位がエミッタ電位とほぼ同電位となるため、スイッチングトランジスタ50がオフし、トリガ入力端子18のリレー駆動電圧がリレーコイル12Bに供給されなくなり、リレー接点12Aが開放してメイントランス15および負荷回路がオフされる。
【0048】
また、スイッチ回路43がオンすると、スイッチ回路42のpnpトランジスタのベースには、スイッチ回路43−分圧抵抗を介してトリガ入力端子18のリレー駆動電圧が印加されるため、スイッチ回路42はオンを維持する。これにより、制御部16のトリガ禁止信号が一旦発生すると、その後トリガ禁止信号が停止しても、トリガ入力端子18にリレー駆動電圧が供給されているかぎりスイッチ回路42、43、53はオンを維持し、リレー駆動電圧がリレーコイル12Bに供給されて負荷回路がオンすることはない。
【0049】
リレー駆動電圧の供給が停止されると、外部トリガスイッチ40、外部トリガ制御回路41の状態は初期状態に復帰する。
【0050】
なお、トリガスイッチ31およびトリガ制御回路32は、モード切換スイッチ13と連動する手動スイッチであってもよい。この場合、交流100Vの商用電圧と直流12Vの二次側電圧のアイソレートを確実に取る必要がある。
【0051】
なお、この実施形態では、制御部16は、負荷回路の過電流や異常温度上昇等を検知してトリガ禁止信号を発生するが、これ以外の要因(たとえばコマンド入力等)に基づいてトリガ禁止信号を発生するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】従来の電源回路の例を示す図
【図2】この発明の実施形態である電源回路の構成を示す図
【図3】上記実施形態の電源回路を内蔵した電子機器を含むシステムの構成を示す図
【図4】この発明の他の実施形態である電源回路の構成を示す図
【図5】この発明のさらに他の実施形態である電源回路の構成を示す図
【符号の説明】
【0053】
12…一次リレー
12A…リレー接点(常開接点)
12B…リレーコイル
13…モード切換スイッチ
17…トリガ出力端子(Power Trigger Out)
18…トリガ入力端子(Power Trigger In)
19…トリガスルー端子(Power Trigger Through)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と負荷回路との間に挿入された電源リレーと、
外部機器から電源オンコマンドが受信されたとき電源リレー駆動電圧を発生し、この電源リレー駆動電圧を前記電源リレーに供給する制御部と、
前記電源リレー駆動電圧を更に外部に出力する電源出力端子と、
前記制御部と電源との接続をオン/オフするモード切換スイッチと、
前記電源リレーを駆動する電源リレー駆動電圧を外部から入力するための電源入力端子と、
を備えた電源回路。
【請求項2】
前記電源入力端子と並列に、該電源入力端子から入力された電圧を外部に出力するスルー端子を備えた請求項1に記載の電源回路。
【請求項3】
前記電源入力端子と前記電源リレーとの間に、外部トリガ制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記電源入力端子に電源リレー駆動電圧が入力され且つ所定の条件が満たされたとき、トリガ禁止信号を前記外部トリガ制御部に対して出力し、
前記外部トリガ制御部は、前記トリガ禁止信号が入力されたとき、前記電源入力端子と前記電源リレーとの電気的接続を、前記電源リレー駆動電圧が停止するまで遮断する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電源回路。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電源回路を複数台用い、そのうちの少なくとも1台のモード切換スイッチをオンしてマスタ電源回路とし、他の電源回路のモード切換スイッチをオフしてスレーブ電源回路とし、
前記マスタ電源回路の電源出力端子と、前記スレーブ電源回路の電源入力端子とを電気的に接続した電源システム。
【請求項5】
前記スレーブ電源回路の少なくとも1つを請求項2に記載の電源回路で構成し、該スレーブ電源回路のスルー端子に他のスレーブ電源回路の電源入力端子を接続したことを特徴とする請求項4に記載の電源システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−154711(P2010−154711A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332470(P2008−332470)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】