説明

電源回路遮断装置

【課題】メンテナンス作業者への負担を極力低減させつつ、メンテナンス作業時におけるさらなる安全性を確保することが可能な電源回路遮断装置を提供する。
【解決手段】直列接続された複数のバッテリを並設したバッテリ集合体の回路遮断を行うサービスプラグ10であって、ハウジング33内に配置され隣接するバッテリにそれぞれ接続される一組のバスバー35a,35bと、バスバー35a,35b間を電気的に断接可能なスイッチプラグ32と、ハウジング33に形成されバッテリ側面の樹脂枠部に係止可能な爪部52を有する係止片51と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車やハイブリッドカー等の車両に搭載される電源の回路を遮断する電源回路遮断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
環境にやさしい自動車として、電気自動車やハイブリッドカーが増加している。このような車両には、複数のバッテリを重ね合わせたバッテリ集合体からなる電源装置が搭載されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0003】
このような電気自動車やハイブリッドカー等の車両に搭載される電源装置は、ガソリンエンジン車等の電源回路に較べて大容量であるため、電気系統等のメンテナンスや修理時には電源回路遮断装置によって電源装置と負荷との間の電源回路を遮断して作業安全性を確保している(例えば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−48515号公報
【特許文献2】特開2007−317400号公報
【特許文献3】特開2009−187813号公報
【特許文献4】特開2009−289431号公報
【特許文献5】特開2005−142107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電源装置は、複数のバッテリを直列に接続したものであり、電源装置の総両極端子間は高電圧である。このため、電源回路遮断装置によって電源装置と負荷との間の電源回路を遮断しても、メンテナンス作業を行う場合には、電源装置そのもの(総両極端子)に接触しないように十分な注意を払わなければならず、メンテナンス作業者の負担が大きかった。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、メンテナンス作業者への負担を極力低減させつつ、メンテナンス作業時におけるさらなる安全性を確保することが可能な電源回路遮断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 直列接続された複数の電池セルを並設した電池集合体の回路遮断を行う電源回路遮断装置であって、
ハウジング内に配置され隣接する前記電池セルにそれぞれ接続される一組のバスバーと、
前記バスバー間を電気的に断接可能なスイッチ部と、
前記ハウジングに形成され前記電池セル側面の樹脂枠部に係止可能な係止手段と、を備えていることを特徴とする電源回路遮断装置。
【0008】
この電源回路遮断装置によれば、電池集合体における隣接する電池セルにバスバーを接続し、これらのバスバー間をスイッチ部で断接するものであるので、スイッチ部でバスバー間を遮断すれば、電池集合体の総両極間の開回路電圧をゼロにすることができる。したがって、電池集合体から電力が供給される負荷のメンテナンスや修理を行うために、電池集合体と負荷とを切り離す際の安全性を大幅に高めることができ、作業者の負担を極力少なくすることができる。
また、電池セルに接続されるバスバーを備えたものであるので、従前装置での余長部分をケース等によって保護しなければならないワイヤハーネスを不要とすることができ、部品点数の削減及び構造の簡略化による低コスト化を図ることができ、また、リサイクル性を高めることができる。
しかも、係止手段によって電池セル側面の樹脂枠部に係止して取り付けられるので、スイッチ部の操作時の外力が樹脂枠部で受け止められる。よって、操作時の外力の電池セルとバスバーとの接続箇所への付与を防止することができ、操作時の外力による電池セルのダメージをなくすことができる。
【0009】
(2) (1)の電源回路遮断装置であって、前記係止手段は、前記ハウジングに突設されて前記電池セル側面の前記樹脂枠部に形成された係止穴に係止する爪部からなることを特徴とする電源回路遮断装置。
こと。
【0010】
この電源回路遮断装置によれば、ハウジングの爪部を電池セル側面の樹脂枠部の係止穴に係止させることにより、専用のブラケット等を用いることなく、極めて容易に、樹脂枠部に取り付けることができる。
【0011】
(3) (1)または(2)の電源回路遮断装置であって、前記スイッチ部は、前記バスバー間を導接させた状態で前記電池集合体の主回路を開閉させるインターロックスイッチを備えることを特徴とする電源回路遮断装置。
【0012】
この電源回路遮断装置によれば、メンテナンスや修理時に、インターロックスイッチがオフ状態にされて主回路が開状態となるので、作業安全性をさらに高めることができる。
【0013】
(4) (3)の電源回路遮断装置であって、前記バスバー間を導接する接続端子を備えて前記ハウジングに嵌合するスイッチプラグと、該スイッチプラグに回動自在に取り付けられ前記スイッチプラグの前記ハウジングへの完全嵌合により回動されるレバーとを備え、
前記インターロックスイッチは、前記レバーの回動操作により作動することを特徴とする電源回路遮断装置。
【0014】
この電源回路遮断装置によれば、スイッチプラグをハウジングへ完全に嵌合させないとレバーを回動させてインターロックスイッチを操作することができないので、スイッチプラグのハウジングへの不完全な嵌合状態でのインターロックスイッチの操作を禁止することができ、安全性を高めることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る電源回路遮断装置よれば、メンテナンス作業者への負担を極力低減させつつ、メンテナンス作業時におけるさらなる安全性を確保することが可能な電源回路遮断装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態に係るサービスプラグを備えたバッテリ集合体の斜視図である。
【図2】図1の要部を示す拡大斜視図である。
【図3】サービスプラグの斜視図である。
【図4】サービスプラグのバッテリへの取付側から視た斜視図である。
【図5】サービスプラグの断面図である。
【図6】サービスプラグに設けられたバスバーの斜視図である。
【図7】サービスプラグの操作の仕方を説明する斜視図である。
【図8】サービスプラグの操作の仕方を説明する斜視図である。
【図9】サービスプラグの操作の仕方を説明する斜視図である。
【図10】サービスプラグの取付位置の変更例を示すバッテリ集合体の斜視図である。
【図11】参考例に係るサービスプラグを説明するバッテリ集合体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本実施形態に係るサービスプラグを備えたバッテリ集合体の斜視図、図2は図1の要部を示す拡大斜視図、図3はサービスプラグの斜視図、図4はサービスプラグのバッテリへの取付側から視た斜視図、図5はサービスプラグの断面図、図6はサービスプラグに設けられたバスバーの斜視図、図7〜9はサービスプラグの操作の仕方を説明する斜視図である。
図1に示すように、サービスプラグ(電源回路遮断装置)10が設置されるバッテリ集合体(電池集合体)11は、電気自動車やハイブリッドカーなどの車両の電源装置として搭載されるもので、複数の角型のバッテリ(電池セル)13を2列に並設して構成されている。これらのバッテリ13は、それぞれの端子15が上面に配置されており、これらの端子15の列に、樹脂製のバッテリ接続プレート17が装着されている。
【0018】
図2に示すように、バッテリ接続プレート17は、複数のバスバー装着部19を有しており、これらのバスバー装着部19には、導電性の金属板からなるバスバー21が嵌め込まれている。これらのバスバー21に形成された一対の接続孔には、重ね合わされて隣接されたバッテリ13の端子15がそれぞれ挿し込まれている。そして、バッテリ13の端子15にナット(図示略)を締結することにより、端子15がバッテリ接続プレート17のバスバー21によって導通接続されている。
【0019】
バッテリ集合体11では、全てのバッテリ13が直列接続され、その総+極端子15a及び総−極端子15bが各種の負荷に接続されて電力が供給される。
上記構成のバッテリ集合体11には、例えば、配列された中間部分において互いに隣接するバッテリ13A,13Bの端子15に、バスバー21に代えて、バッテリ集合体11の回路遮断を行うサービスプラグ(電源回路遮断装置)10が取り付けられている。
【0020】
図3から図5に示すように、サービスプラグ10は、プラグ本体31と、このプラグ本体31に着脱されるスイッチプラグ(スイッチ部)32とを備えている。
プラグ本体31は、合成樹脂製のハウジング33と、このハウジング33に保持された一組のバスバー35a,35bとを有している。
【0021】
図6に示すように、バスバー35a,35bは、銅または銅合金等の導電性金属板に折り曲げ加工等を施すことにより形成されたものである。このバスバー35a,35bは、上下に延在するバスバー本体37の上端から側方へ屈曲された上板部38と、この上板部38の先端から下方へ屈曲された側板部39と、この側板部39の先端から側方へ屈曲された固定片部41とを有している。
固定片部41には、バッテリ13の端子15よりも僅かに大径の接続孔43が形成されており、この接続孔43には、バッテリ13の端子15が挿通される。
【0022】
また、バスバー35a,35bには、それぞれバスバー本体37における互いの近接側の側部に、接続片45が形成されており、それぞれの接続片45は互いに対向して平行に配置されている。
上記のバスバー35a,35bは、互いに並列にハウジング33に保持され、このハウジング33によってバスバー本体37、上板部38及び側板部39の外面側が覆われている。
【0023】
また、プラグ本体31には、ハウジング33の両側部からバッテリ13の装着側へ突出する一組の係止片(係止手段)51が形成されている。これらの係止片51には、先端部に、外側方へ突出する爪部(係止手段)52が形成されている。
さらに、プラグ本体31には、バッテリ側と反対の後部に、嵌合部55が形成されており、この嵌合部55には、スイッチプラグ32が嵌合可能とされている。嵌合部55には、その内部に、バスバー35a,35bのそれぞれの接続片45が収容されている。
【0024】
スイッチプラグ32には、平面視がコ字状に形成された接続端子57が内蔵されており、プラグ本体31の嵌合部55にスイッチプラグ32を嵌合させると、バスバー35a,35bの接続片45を、その外側から挟持するようにスイッチプラグ32の接続端子57が装着される。これにより、バスバー35a,35b同士が接続端子57を介して導通接続される。
【0025】
つまり、サービスプラグ10は、プラグ本体31の嵌合部55がスイッチ部とされ、スイッチプラグ32を挿抜させることにより、接続端子57によってバスバー35a,35b間が電気的に断接される。
【0026】
また、図7に示すように、プラグ本体31は、インターロックスイッチ61を備えている。このインターロックスイッチ61は、バッテリ集合体11の主回路を開閉させるスイッチである。このインターロックスイッチ61がオン状態となると主回路に設けられたリレー(図示略)によって主回路が閉回路となり、バッテリ集合体11の電力が各種の負荷へ供給される。また、インターロックスイッチ61がオフ状態となると主回路に設けられたリレーによって主回路が開回路となり、各種の負荷へのバッテリ集合体11の電力の供給が遮断される。
【0027】
このインターロックスイッチ61は、嵌合部55の側部に設けられて上方へ突出されており、その内部には、一対の端子(図示略)が設けられている。また、このインターロックスイッチ61には、その上部に、挿し込み孔63が形成されている。
【0028】
スイッチプラグ32は、レバー65を備えている。このレバー65は、スイッチプラグ32に対して水平方向の軸線を中心として回動可能に連結されている。このレバー65は、図8に示すように、スイッチプラグ32をプラグ本体31の嵌合部55へ完全に嵌合させた状態で、図9に示すように、上方へ向かって回動可能となる。つまり、このレバー65は、スイッチプラグ32の側部から水平方向に突出された支持軸67を中心として回動可能に連結されている。そして、このレバー65を上方へ向かって回動させると、このレバー65が鉛直に配置される。
【0029】
支持軸67は、左右の幅寸法が小さくされて上下に細長い形状に形成されている。また、レバー65には、スイッチプラグ32の支持軸67が挿通される溝部69が形成されており、この溝部69は、支持軸67の左右の幅寸法よりも僅かに大きくかつ支持軸67の幅寸法と直交する高さ寸法よりも小さくされている。これにより、支持軸67を中心としてレバー65を上方へ回動させ、このレバー65を鉛直に配置すると、溝部69内において支持軸67が移動可能とされる。したがって、レバー65を鉛直に配置させると、このレバー65は、下方へ移動可能となる。
【0030】
レバー65には、その一側部に、下方側に穴部を有するショート端子部71を一体に有している。このショート端子部71には、その内部に、ショート端子(図示略)が内蔵されており、このショート端子が穴部内に配置されている。
【0031】
鉛直に配置させたレバー65を下方へ移動させると、ショート端子部71がインターロックスイッチ61に近接した後、インターロックスイッチ61がショート端子部71内に嵌合する。これにより、インターロックスイッチ61の挿し込み孔63に、ショート端子部71のショート端子が挿入され、インターロックスイッチ61内の一対の端子が導通される。
【0032】
上記構造のサービスプラグ10は、バッテリ集合体11の所定位置における互いに隣接するバッテリ13間に取り付けられる。
このサービスプラグ10をバッテリ集合体11へ取り付けるには、まず、スイッチプラグ32を取り外してプラグ本体31だけとした状態で、所定位置において互いに隣接するバッテリ13A,13Bの端子15がバスバー35a,35bの固定片部41の接続孔43に挿通するように、バッテリ集合体11へ配設する。
【0033】
次に、プラグ本体31をバッテリ集合体11の側面へ押し付けると、プラグ本体31の係止片51がバッテリ集合体11を構成するバッテリ13の側面の樹脂枠部13aに形成された係止穴50へ入り込み、この係止穴50の縁部に、係止片51の爪部52が係止する。これにより、サービスプラグ10のプラグ本体31がバッテリ集合体11に取り付けられる。なお、このとき、バスバー35a,35bの固定片部41は、バッテリ13の端子15に締結されていないので、プラグ本体31をバッテリ集合体の側面に押し付けても、端子15に外力が付与されることはない。
【0034】
次に、固定片部41の接続孔43に挿通されたバッテリ13の端子15にナットを締結することにより、端子15にバスバー35a,35bを締結する。
このようにして、バッテリ13にプラグ本体31を取り付けたら、このプラグ本体31の嵌合部55にスイッチプラグ32を挿し込んで嵌合させる。
【0035】
プラグ本体31の嵌合部55に対してスイッチプラグ32を挿し込むと、プラグ本体31には、スイッチプラグ32の押し込み力が押圧力として作用する。この押圧力は、プラグ本体31が取り付けられているバッテリ13の樹脂枠部13aで受け止められる。したがって、この押圧力がバスバー35a,35bを介してバッテリ13の端子15に作用することがなく、端子15を構成する極柱が応力を受ける不具合もない。
【0036】
上記のように、プラグ本体31の嵌合部55にスイッチプラグ32を嵌合させると、スイッチプラグ32内に設けられた接続端子57が、バスバー35a,35bの固定片部41を、その外側から挟持するように装着され、バスバー35a,35b同士が接続端子57を介して導通接続される。これにより、バッテリ集合体11の全てのバッテリ13が直列に接続されて電源回路が形成され、バッテリ集合体11の総+極端子15a及び総−極端子15bに接続された各種の負荷への電力供給が可能な状態となる。なお、この時点では、インターロックスイッチ61がオフ状態であるので、リレーによって主回路が開回路となっており、各種の負荷への電力供給は依然として遮断された状態となっている。
【0037】
この状態から、レバー65を回動させて鉛直に配置させ、さらに、このレバー65を下方へ押し込むと、ショート端子部71がインターロックスイッチ61に近接されて、インターロックスイッチ61がショート端子部71内に嵌合する。これにより、インターロックスイッチ61の挿し込み孔63に、ショート端子部71のショート端子が挿入され、インターロックスイッチ61内の一対の端子が導通されてインターロックスイッチ61がオン状態となってリレーによって主回路が閉回路となり、バッテリ集合体11の電力が各種の負荷へ供給される。また、インターロックスイッチ61とショート端子部71とが嵌合することにより、スイッチプラグ32がプラグ本体31に対して固定された状態となり、プラグ本体31からスイッチプラグ32が脱落するような不具合もなくされる。
【0038】
次に、負荷側のメンテナンスや修理を行うべく、バッテリ集合体11を負荷から切り離す場合の手順について説明する。
まず、サービスプラグ10のレバー65を把持し、このレバー65を上方へ引き上げると、ショート端子部71がインターロックスイッチ61から引き離されて、インターロックスイッチ61がショート端子部71から外れる。これにより、インターロックスイッチ61の挿し込み孔63からショート端子部71のショート端子が引き抜かれ、インターロックスイッチ61内の一対の端子の導通が解除されてインターロックスイッチ61がオフ状態となってリレーによって主回路が開回路となり、バッテリ集合体11の電力の各種の負荷への供給が遮断される。
この状態では、全てのバッテリ13が直列接続されているため、バッテリ集合体11の総+極端子15aと総−極端子15bとの間の開回路電圧は高電圧の状態となっている。
【0039】
レバー65を回動させて水平に配置させ、プラグ本体31から離間する方向へ引っ張ると、プラグ本体31の嵌合部55からスイッチプラグ32が引き抜かれ、スイッチプラグ32内に設けられた接続端子57が、バスバー35a,35bの接続片45から外れ、バスバー35a,35b同士の導通状態が解除される。これにより、バッテリ集合体11は、その直列接続の中間部分で回路が遮断され、バッテリ集合体11の総+極端子15aと総−極端子15bとの間の開回路電圧がゼロとなる。
【0040】
このように、プラグ本体31の嵌合部55からスイッチプラグ32を引き抜くと、プラグ本体31には、スイッチプラグ32の引き抜き力が引張力として作用する。この引張力は、係止片51の爪部52が係止されているバッテリ13の樹脂枠部13aで受け止められる。したがって、この引張力がバスバー35a,35bを介してバッテリ13の端子15に作用することがなく、端子15を構成する極柱が負荷を受けるような不具合もない。
その後、このバッテリ集合体11の総+極端子15a及び総−極端子15bと負荷へ繋がる配線とを外し、負荷に対するメンテナンスや修理を行う。
【0041】
このように、上記実施形態に係る電源回路遮断装置であるサービスプラグによれば、バッテリ集合体11における隣接するバッテリ13A,13Bにバスバー35a,35bを接続し、これらのバスバー35a,35b間を接続端子57で断接するものであるので、接続端子57を外してバスバー35a,35b間を遮断すれば、バッテリ集合体11の総+極端子15aと総−極端子15bとの間の開回路電圧をゼロにすることができる。したがって、バッテリ集合体11から電力が供給される負荷のメンテナンスや修理を行うために、バッテリ集合体11と負荷とを切り離す際の安全性を大幅に高めることができ、作業者の負担を極力少なくすることができる。
【0042】
また、バッテリ13に接続されるバスバー35a,35bを備えたものであるので、余長部分をケース等によって保護しなければならないワイヤハーネスを不要とすることができ、部品点数の削減及び構造の簡略化による低コスト化を図ることができ、また、リサイクル性を高めることができる。
【0043】
しかも、係止穴50の縁部に、係止手段である係止片51の爪部52を係止させることにより、バッテリ13の側面の樹脂枠部13aに係止して取り付けられるので、スイッチプラグ32の着脱等の操作時の外力が樹脂枠部13aで受け止められる。これにより、操作時の外力のバッテリ13とバスバー35a,35bとの接続箇所への付与を防止することができ、操作時の外力によるバッテリ13のダメージをなくすことができる。
【0044】
また、プラグ本体31のハウジング33の係止片51の爪部52をバッテリ13の側面の樹脂枠部13aの係止穴50へ係止させることにより、専用のブラケット等を用いることなく、極めて容易に、樹脂枠部13aに取り付けることができる。
また、メンテナンスや修理時に、インターロックスイッチ61がオフ状態にされて主回路が開状態となるので、作業安全性をさらに高めることができる。
【0045】
しかも、スイッチプラグ32をプラグ本体31のハウジング33の嵌合部55へ完全に嵌合させないとレバー65を回動させてインターロックスイッチ61を操作することができないので、プラグ本体31のハウジング33へのスイッチプラグ32の不完全な嵌合状態でのインターロックスイッチ61の操作を禁止することができ、安全性を高めることができる。
【0046】
また、図10に示すように、本実施形態のサービスプラグ10によれば、バッテリ接続プレート17等の部品を変更することなく、総+極端子15aと総−極端子15bとの間の中間位置において、隣接するバッテリ13A,13Bのいずれの位置にも容易に装着することができる。
【0047】
ここで、本発明の更なる優位性を説明するため、図11に参考例を示す。
図11は参考例に係る電源回路遮断装置を備えたバッテリ集合体の斜視図である。
複数のバッテリ1を配列させたバッテリ集合体2には、その端部に設けられたブラケット3の板金部分に、サービスプラグ4が設けられている。このサービスプラグ4には、ワイヤハーネス5が接続されており、このワイヤハーネス5は、バッテリ1の配列の中間部分において互いに隣接するバッテリ1A,1Bの端子6に接続されている。各バッテリ1の端子6の列には、樹脂製のバッテリ接続プレート7が装着されており、ワイヤハーネス5は、このバッテリ接続プレート7に一体に形成されるプロテクタ部に収容されて保護される。
【0048】
上記のような構造では、サービスプラグ4とワイヤハーネス5を接続するバッテリ1A,1Bの端子6との距離が離れているので、ワイヤハーネス5の長さが長くなる。このため、このワイヤハーネス5を収容して保護するバッテリ接続プレート7のプロテクタ部も大きくなってしまう。しかも、サービスプラグ4とワイヤハーネス5を接続するバッテリ1A,1Bの端子6との距離が離れると、バッテリ1の寸法公差が蓄積されるため、ワイヤハーネス5に余長を持たせなければならず、ワイヤハーネス5をさらに長くしなければならなくなる。また、サービスプラグ4の取付位置が変更されると、ワイヤハーネス5の長さや配線ルートが変更となり、その変更に合わせてバッテリ接続プレート7も成形し直さなければならなくなる。
【0049】
これに対して、本実施形態では、バスバー35a,35bをバッテリ13の端子15に接続し、バッテリ13の樹脂枠部13aに取り付けるので、ワイヤハーネス5を不要とし、また、バッテリ接続プレート17の形状の簡略化が図れ、低コスト化を図ることができる。また、バッテリ13の寸法公差を考慮することもなく、しかも、バッテリ集合体11への取付位置を極めて容易に変更することができ、また、取付位置を変更しても、バッテリ接続プレート17などを成形し直す必要もない。
【符号の説明】
【0050】
10 サービスプラグ(電源回路遮断装置)
11 バッテリ集合体(電池集合体)
13 バッテリ(電池セル)
13a 樹脂枠部
32 スイッチプラグ(スイッチ部)
33 ハウジング
35a,35b バスバー
50 係止穴
52 爪部(係止手段)
57 接続端子
61 インターロックスイッチ
65 レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列接続された複数の電池セルを並設した電池集合体の回路遮断を行う電源回路遮断装置であって、
ハウジング内に配置され隣接する前記電池セルにそれぞれ接続される一組のバスバーと、
前記バスバー間を電気的に断接可能なスイッチ部と、
前記ハウジングに形成され前記電池セル側面の樹脂枠部に係止可能な係止手段と、を備えていることを特徴とする電源回路遮断装置。
【請求項2】
前記係止手段は、前記ハウジングに突設されて前記電池セル側面の前記樹脂枠部に形成された係止穴に係止する爪部からなることを特徴とする請求項1に記載の電源回路遮断装置。
【請求項3】
前記スイッチ部は、前記バスバー間を導接させた状態で前記電池集合体の主回路を開閉させるインターロックスイッチを備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電源回路遮断装置。
【請求項4】
前記バスバー間を導接する接続端子を備えて前記ハウジングに嵌合するスイッチプラグと、該スイッチプラグに回動自在に取り付けられ前記スイッチプラグの前記ハウジングへの完全嵌合により回動されるレバーとを備え、
前記インターロックスイッチは、前記レバーの回動操作により作動することを特徴とする請求項3に記載の電源回路遮断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−186016(P2012−186016A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48329(P2011−48329)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】