説明

電源装置

【課題】シリーズレギュレータとスイッチングレギュレータとを切り換えて動作させる電源装置において、その切り換え動作を迅速かつ円滑に行うことができるようにした。
【解決手段】この発明は、制御回路3が、シリーズレギュレータ1とスイッチングレギュレータ2との動作を切り換えるようになっている。また、制御回路3は、シリーズレギュレータ1の動作時には、スイッチングレギュレータ2の回路のうち、発振器22を動作状態にして比較回路23からはパルスが生成されるようにし、この際に発振器22の発振周波数は通常動作時よりも相対的に低下させる。また、このときには、プリドライブ回路14の動作は停止され、スイッチング素子であるMOSトランジスタ25、26はその動作が停止するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に関し、特に、シリーズレギュレータとスイッチングレギュレータとを備え、これらを負荷の大きさに応じて切り換えて動作させる電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電源装置としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
この電源装置は、共通の出力端子に電圧を出力するシリーズレギュレータと、その共通の出力端子に電圧を出力するスイッチングレギュレータと、負荷電流の大きさに応じてそのシリーズレギュレータとそのスイッチングレギュレータとを切り換えて動作させる切換制御部とを含んでいる。
【0003】
そして、切換制御部は、シリーズレギュレータからスイッチングレギュレータへの切り換え時に、シリーズレギュレータとスイッチングレギュレータの同時動作期間を設け、この同時動作期間内では、スイッチングレギュレータの能力を通常より弱めるようにしている。
このような構成からなる従来の電源装置によれば、シリーズレギュレータとスイッチングレギュレータの切り換え時に、出力電圧の安定化を図ることができる。
【特許文献1】特開2005−130622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の電源装置では、シリーズレギュレータとスイッチングレギュレータとの切り換え動作時に、その動作を迅速かつ円滑に行えないという不具合が考えられる。
そこで、本発明の目的は、上記の点に鑑み、シリーズレギュレータとスイッチングレギュレータとを切り換えて動作させる電源装置において、その切り換え動作を迅速かつ円滑に行うことができる電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決し本発明の目的を達成するために、各発明は、以下のような構成からなる。
すなわち、第1の発明は、出力電圧を基準電圧を用いて比較し、この比較出力で制御部を動作させて共通の出力端子に出力する出力電圧を所定値に制御するシリーズレギュレータと、出力電圧を基準電圧を用いて比較し、この比較出力と発振器の出力とを用いて所定のパルスを生成し、このパルスに基づいてスイッチング素子をオンオフ制御することで、共通の出力端子に出力する出力電圧を所定値に制御するスイッチングレギュレータと、前記シリーズレギュレータと前記スイッチングレギュレータとを負荷の大きさに応じて切り換えて動作させる制御回路と、を備え、前記制御回路は、前記シリーズレギュレータの動作時には、前記スイッチングレギュレータに前記パルスを生成せ、その際に前記発振器の発振周波数を通常動作時よりも相対的に低下させるようになっている。
【0006】
第2の発明は、第1の発明において、前記制御回路は、前記シリーズレギュレータの動作時には、前記生成されるパルスに基づく前記スイッチング素子のオンオフ動作を停止させるようになっている。
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記スイッチングレギュレータは、入力電圧をオンオフするスイッチング素子と、出力電圧を基準電圧と比較し、その比較結果に応じた誤差信号を出力する誤差増幅器と、所定の発振周波数で発振し、その発振周波数が可変できる発振器と、前記誤差増幅器の誤差信号と前記発振器の発振出力とに基づき、前記誤差信号の大小に応じたパルスを発生する比較回路と、比較回路から出力されるパルスに基づいて前記スイッチング素子をオンオフさせるプリドライブ回路と、を備えている。
【0007】
第4の発明は、第3の発明において、前記制御回路は、前記シリーズレギュレータの動作時には、前記発振器を動作させて前記比較回路からパルスを発生させ、この際に前記発振器の発振周波数を通常動作時よりも相対的に低下させ、かつ、前記プリドライブ回路の動作を停止状態にさせるようになっている。
第5の発明は、出力電圧を基準電圧を用いて比較し、この比較出力で制御部を動作させて共通の出力端子に出力する出力電圧を所定値に制御するシリーズレギュレータと、出力電圧を基準電圧を用いて比較し、この比較出力と発振器の出力とを用いて所定のパルスを生成し、このパルスに基づいてスイッチング素子をオンオフ制御することで、共通の出力端子に出力する出力電圧を所定値に制御するスイッチングレギュレータと、前記シリーズレギュレータと前記スイッチングレギュレータとを負荷の大きさに応じて切り換えて動作させる制御回路と、を備え、前記制御回路は、前記シリーズレギュレータの動作時には、前記スイッチングレギュレータの構成回路のうち、バイアスで動作が制御できる所定の回路については、バイアスを通常動作時よりも低減させて供給させ、待機状態にさせるようになっている
第6の発明は、第5の発明において、前記制御回路は、前記シリーズレギュレータの動作時には、前記発振器の発振周波数を通常動作時よりも相対的に低下させるようになっている。
【0008】
第7の発明は、第5または第6の発明において、前記スイッチングレギュレータは、入力電圧をオンオフするスイッチング素子と、出力電圧を基準電圧と比較し、その比較結果に応じた誤差信号を出力する誤差増幅器と、所定の発振周波数で発振し、その発振周波数が可変できる発振器と、前記誤差増幅器の誤差信号と前記発振器の発振出力とに基づき、前記誤差信号の大小に応じたパルスを発生する比較回路と、比較回路から出力されるパルスに基づいて前記スイッチング素子をオンオフさせるプリドライブ回路と、を備えている。
【0009】
第8の発明は、第7の発明において、前記制御回路は、前記シリーズレギュレータの動作時には、前記誤差増幅器および前記比較回路の各電流源のバイアス電圧を通常動作時よりも低減させて待機状態にさせ、前記発振器の発振周波数を通常動作時よりも相対的に低下させ、かつ、前記発振器のプリドライブ回路の動作を停止させるようになっている。
このような構成からなる本発明によれば、シリーズレギュレータからスイッチングレギュレータへの動作の切り換え時に、スイッチングレギュレータは迅速かつ円滑にその動作を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明の電源装置の第1実施形態の構成について、図1を参照して説明する。
この第1実施形態に係る電源装置は、図示のように、シリーズレギュレータ1と、スイッチングレギュレータ2と、シリーズレギュレータ1とスイッチングレギュレータ2の動作を制御する制御回路3と、共通の出力端子4と、を備えたものである。
【0011】
そして、この第1実施形態は、負荷の大きさに応じて、シリーズレギュレータ1とスイッチングレギュレータ2との切り換え動作が行われるようになっている。
また、この第1実施形態は、シリーズレギュレータ1の動作時には、スイッチングレギュレータ2側では、誤差増幅器21、発振器(OSC)22、および比較回路23が動作して比較回路23からは所定のパルスが生成され、この際に発振器22の発振周波数を通常動作時よりも相対的に低下させるようになっている。
【0012】
さらに この第1実施形態は、そのシリーズレギュレータ1の動作時には、プリドライブ回路14の動作は停止され、スイッチング素子であるMOSトランジスタ25、26はその動作が停止するようになっている。
ここで、この第1実施形態は、図示のように、スイッチングレギュレータ2を構成するコイルL1と、シリーズレギュレータ1とスイッチングレギュレータ2に兼用されるコンデンサC1と、抵抗R1、R2からなり出力電圧VOUTを検出するための出力電圧検出回路とを含み、これらは外付けとなっている。
【0013】
シリーズレギュレータ1は、出力電圧を基準電圧を用いて比較し、この比較出力で制御部を動作させて共通の出力端子4に出力する出力電圧VOUTを所定値に制御するようになっている。
このため、シリーズレギュレータ1は、誤差増幅器11とP型のMOSトランジスタ12とを備え、その動作時に、出力電圧VOUTが所定値になるようにMOSトランジスタ12の導通制御を連続的に行うようになっている。
【0014】
誤差増幅器11は、出力電圧VOUTを検出した検出電圧を基準電圧VRF1と比較し、その差に応じた誤差信号を生成して出力するようになっている。
このため、誤差増幅器11は、その−入力端子にソフトスタート回路10の出力電圧または基準電圧VRF1が供給され、その+入力端子に出力電圧VOUTを抵抗R1、R2で分圧した検出電圧が供給されるようになっている。誤差増幅器11の出力はMOSトランジスタ12のゲートに供給されるようになっている。
【0015】
また、誤差増幅器11は、電流源回路13を含み、制御回路3が電流源回路13のバイアス電圧を制御することで、誤差増幅器11の動作が制御されるようになっている。MOSトランジスタ12のソースには入力電圧VDDが印加され、そのドレインが共通の出力端子4に接続されている。
スイッチングレギュレータ2は、出力電圧を基準電圧を用いて比較し、この比較出力で制御部を動作させて共通の出力端子4に出力する出力電圧VOUTを所定値に制御するようになっている。
【0016】
このため、スイッチングレギュレータ2は、図示のように、誤差増幅器21と、発振器(OSC)22と、比較回路23と、プリドライブ回路24と、P型のMOSトランジスタ25と、N型のMOSトランジスタ26と、コイルL1と、コンデンサC1とを備え、その動作時に、出力電圧VOUTが所定値になるように入力電圧VDDをオンオフ制御するようになっている。
【0017】
誤差増幅器21は、出力電圧VOUTを検出した検出電圧を基準電圧VRF1と比較し、その差に応じた誤差信号を生成して出力するようになっている。
このため、誤差増幅器21は、その+入力端子に基準電圧VRF1が供給され、その−入力端子に出力電圧VOUTを抵抗R1、R2で分圧した検出電圧が供給されるようになっている。誤差増幅器21の出力は比較回路23の+入力端子に供給されるようになっている。
【0018】
発振器22は、所定の発振周波数で発振するとともに、後述のように制御回路3によって、その発振周波数が可変制御できるようになっている。また、発振器22の発振出力は、比較回路23の−入力端子に供給されるようになっている。
比較回路23は、誤差増幅器21からの誤差出力と発振器22からの発振出力とに基づき、所定のPWM波を生成し、この生成されたPWM波をプリドライブ回路24に出力するようになっている。すなわち、比較回路23は、誤差増幅器21からの誤差信号の大小に応じて、そのパルス幅が異なる所定のパルスを生成して出力するようになっている。
【0019】
誤差増幅器21と比較回路23は、それぞれ電流源回路27、28を含み、その電流源回路27、28に所定のバイアス電圧が常時印加されることで、常時動作状態になるように構成されている。
プリドライブ回路24は、比較回路23からのパルスに基づき、MOSトランジスタ25、26をそれぞれオンオフ動作させるオンオフ信号を生成するようになっている。また、プリドライブ回路24は、後述のように制御回路3によって、その動作が起動または停止するようになっている。
【0020】
MOSトランジスタ25とMOSトランジスタ26とは、プリドライブ回路24からのオンオフ信号に応じて一方がオンのときには他方がオフとなり、入力電圧VDDをオンオフ制御するようになっている。
コイルL1とコンデンサC1とは、出力端子4から出力されるスイッチングレギュレータ2の出力電圧VOUTを平滑化するようになっている。
【0021】
制御回路3は、起動信号S1に基づき、シリーズレギュレータ1またはスイッチングレギュレータ2の何れか一方を起動させるようになっている。
また、制御回路3は、シリーズレギュレータ1またはスイッチングレギュレータ2の起動後には、動作切り換え号S2に従って、シリーズレギュレータ1とスイッチングレギュレータ2との動作を切り換えるようになっている。この動作の切り換えは、負荷の大きさに応じて行う。
【0022】
さらに、制御回路3は、シリーズレギュレータ1の動作時には、スイッチングレギュレータ2側では、誤差増幅器21および比較回路23は動作状態のままであるので、発振器22を動作状態にして比較回路23からはパルスが生成されるようにし、この際に発振器22の発振周波数を通常動作時よりも相対的に低下させるようになっている。また、このときには、プリドライブ回路14の動作は停止され、MOSトランジスタ25、26はその動作が停止するようになっている。
【0023】
次に、図1に示す発振器22の具体的な回路などについて、図2を参照しながら説明する。
この発振器22は、図2に示すように、充電回路221と、基準電圧選択回路222と、比較回路223と、MOSトランジスタ224と、出力端子225とを備え、出力端子225から発振出力を取り出すようになっている。
【0024】
充電回路221は、図示のように、電流源I1と、MOSトランジスタTR1と、MOSトランジスタTR2、TR3と、切り換えスイッチSW1、SW2と、コンデンサC2、C3と、を備えている。
電流源I1は、MOSトランジスタTR1に所定の電流を流すようになっている。MOSトランジスタTR1は、MOSトランジスタTR2、TR3のゲートにそれぞれ供給する所定電圧を発生するようになっている。すなわち、MOSトランジスタTR1、TR2、TR3はミラー関係にあり、MOSトランジスタTR2、TR3にはMOSトランジスタTR1に流れる電流に比例する電流が流れるようになっている。
【0025】
そして、そのMOSトランジスタTR2、TR3と、切り換えスイッチSW1と、切り換えスイッチSW2と、コンデンサC2、C3とは、電源とグランドとの間に直列に接続されている。このため、切り換えスイッチSW1、SW2の切り換え動作により、コンデンサC2はMOSトランジスタTR2に流れる定電流により充電され、コンデンサC3はMOSトランジスタTR3に流れる定電流により充電されるようになっている。そして、この充電電圧は、比較回路223の+入力端子に供給されるようになっている。
【0026】
ここで、MOSトランジスタTR1、TR2、TR3のサイズは、TR1=TR2、TR2>TR3の関係にあり、MOSトランジスタTR2の方がMOSトランジスタTR3よりも大きな電流が流せるようになっている。また、コンデンサC2、C3の容量値は、C2<C3の関係にある。
切り換えスイッチSW1、SW2は、図1に示す制御回路3によって切り換え制御が行われるようになっている。
【0027】
基準電圧選択回路222は切り換えスイッチSW3を備え、この切り換えスイッチSW3の切り換え動作によって、基準電圧VRF2と基準電圧VRF3とを選択的に比較回路223の−入力端子に供給するようになっている。ここで、基準電圧VRF2と基準電圧VRF3は、VRF2<VRF3の関係にある。
切り換えスイッチSW3は、図1に示す制御回路3によって切り換え制御が行われるようになっている。
【0028】
比較回路223は、切り換えスイッチSW1〜SW3の各切り換え接点がA側に接続されるときに、MOSトランジスタTR2によるコンデンサC2の充電電圧を基準電圧VRF2と比較し、その充電電圧が基準電圧VRF2以上になったときにHレベルの信号を出力し、MOSトランジスタ224をオンしてコンデンサC2の電荷を放電するようになっている。このときには、出力端子225からは発振周波数がf1からなる三角波が出力されて、図1に示す比較回路23に供給される。
【0029】
また、比較回路223は、切り換えスイッチSW1〜SW3の各切り換え接点がB側に接続されるときに、コンデンサC3の充電電圧を基準電圧VRF3と比較し、その充電電圧が基準電圧VRF3以上になったときにHレベルの信号を出力し、MOSトランジスタ224をオンしてコンデンサC3の電荷を放電するようになっている。このときには、出力端子225からは発振周波数がf2からなる三角波が出力されて、図1に示す比較回路23に供給される。
【0030】
このように、図2からなる発振器22では、切り換えスイッチSW1〜SW3の各切り換え接点がA側に接続されるときには、出力端子225からは発振周波数がf1からなる三角波が出力される。一方、切り換えスイッチSW1〜SW3の各切り換え接点がB側に接続されるときには、出力端子225からは発振周波数がf2からなる三角波が出力される。そして、その発振周波数f1とf2は、f1>f2の関係にある。
【0031】
次に、このような構成からなる電源装置の第1実施形態について、その動作例を説明する。
この電源装置の起動時には、制御回路3に起動信号S1が入力される。これにより、制御回路3は、シリーズレギュレータ1またはスイッチングレギュレータ2のいずれか一方を動作させる。
【0032】
制御回路3は、シリーズレギュレータ1を起動させる場合には、電流源回路13に所定のバイアス電圧を供給して誤差増幅器11を動作させる。一方、スイッチングレギュレータ2を起動させる場合には、図2の発振器22の切り換えスイッチSW1〜SW3の各切り換え接点をA側に倒し、発振器22を通常動作の周波数f1で発振させ、かつ、プリドライブ回路24を動作させる。
【0033】
これにより、シリーズレギュレータ1またはスイッチングレギュレータ2のいずれか一方が起動される。
いま、例えばシリーズレギュレータ1が起動されてその起動が完了すると、シリーズレギュレータ1は動作モードになり、制御回路3は電流源回路13に所定のバイアス電圧を供給するので、シリーズレギュレータ1は動作状態を継続する。このため、シリーズレギュレータ1の出力電圧が出力端子4から出力される。
【0034】
このシリーズレギュレータ1の動作モード時には、スイッチングレギュレータ2側は非動作モードとなるが、このときには、スイッチングレギュレータ2の各部は以下のような動作状態になるように、制御回路3により各部が制御される。
すなわち、スイッチングレギュレータ2の非動作モード時には、誤差増幅器21および比較回路23はそれぞれ動作状態にある。また、図2の発振器22の切り換えスイッチSW1〜SW3の各切り換え接点をB側に倒し、発振器22を通常動作の周波数f1よりも低い周波数Ff2で発振させる。そして、プリドライブ回路24は、その動作を停止状態とする。
【0035】
このため、スイッチングレギュレータ2の非動作モード時には、比較回路23からはパルスが出力されるが、プリドライブ回路24は動作が停止状態にあるので、MOSトランジスタ25、26は動作することがない。
また、比較回路23から出力されるパルスは、通常動作時(スイッチングレギュレータ2の動作モード時)に比べて、その単位時間あたりのオン時間が短くなるので、発振周波数を低下させない場合に比べて電力消費の低減化を図ることができる。
【0036】
次に、スイッチングレギュレータ2が、上記のように非動作モードから動作モード時に移行する場合について説明する。
このときには、スイッチングレギュレータ2の各部は以下のような動作状態になるように、制御回路3により各部が制御される。
すなわち、スイッチングレギュレータ2を非動作モードから動作モードに切り換える際には、誤差増幅器21および比較回路23はそれぞれ動作状態にある。また、発振器22は周波数f2で発振しているので、比較回路23からはパルスが出力されている。そこで、まず、プリドライブ回路24を動作状態にする。これにより、スイッチングレギュレータ2は、発振器22の周波数はf2であるものの、仮の動作モードに移行できる。
【0037】
その後、図2の発振器22の切り換えスイッチSW1〜SW3の各切り換え接点をA側に倒し、発振器22を通常動作の周波数f1で発振させる。これにより、スイッチングレギュレータ2は、発振器22の周波数がf1からなる本来の動作モードに移行できる。
このため、スイッチングレギュレータ2が非動作モードから動作モードに移行する場合には、迅速かつ円滑に移行することができる。
【0038】
以上のように、この第1実施形態では、シリーズレギュレータ1の動作時に、スイッチングレギュレータ2の比較回路23はパルスの出力状態にあり、この際に発振器22は通常動作の周波数f1よりも低い周波数f2で発振している状態にある。
このため、第1実施形態によれば、シリーズレギュレータ1からスイッチングレギュレータ2への動作の切り換え時に、スイッチングレギュレータ2は迅速かつ円滑にその動作に移行できる。
【0039】
また、この第1実施形態では、シリーズレギュレータ1の動作時には、スイッチングレギュレータ2は次の動作に迅速かつ円滑に移行するためにその待機をするが、その待機中は、上記のように各部を動作させたので、その消費電力を低減できる。
(第2実施形態)
本発明の電源装置の第2実施形態の構成について、図3を参照して説明する。
【0040】
この第2実施形態に係る電源装置は、図示のように、シリーズレギュレータ1と、スイッチングレギュレータ2Aと、シリーズレギュレータ1とスイッチングレギュレータ2Aの動作を制御する制御回路3Aと、共通の出力端子4と、を備えたものである。
そして、この第2実施形態は、負荷の大きさに応じて、シリーズレギュレータ1とスイッチングレギュレータ2Aとの切り換え動作を行なうようになっている。
【0041】
また、この第2実施形態は、シリーズレギュレータ1の動作時には、スイッチングレギュレータ2A側では、その構成回路のうち、バイアス(バイアス電圧)で動作が制御できる誤差増幅器21および比較回路23については、そのバイアスを通常動作時よりも低減して供給させ、必要なときに直ちに動作するように待機状態にさせるようになっている。
さらに、この第2実施形態では、シリーズレギュレータ1の動作時には、スイッチングレギュレータ2A側では、発振器22を動作状態とするが、その発振周波数を通常動作時よりも相対的に低下させるようになっている。また、このときには、プリドライブ回路14の動作を停止状態として、スイッチング素子であるMOSトランジスタ25、26はその動作が停止するようになっている。
【0042】
ここで、この第2実施形態は、図示のように、スイッチングレギュレータ2Aを構成するコイルL1と、シリーズレギュレータ1とスイッチングレギュレータ2Aに兼用されるコンデンサC1と、抵抗R1、R2からなり出力電圧VOUTを検出するための出力電圧検出回路とを含み、これらは外付けとなっている。
なお、この第2実施形態は、図1に示す第1実施形態と共通する構成要素を含むので、その共通する構成要素については、同一符号を付してその説明はできるだけ省略する。
【0043】
シリーズレギュレータ1は、図1に示すシリーズレギュレータ1と同様に、誤差増幅器11と、P型のMOSトランジスタ12とを備えている。誤差増幅器11は、電流源回路13を含み、制御回路3Aが電流源回路13のバイアス電圧を制御することで、誤差増幅器11の動作が制御されるようになっている。
スイッチングレギュレータ2Aは、出力電圧を基準電圧を用いて比較し、この比較出力で制御部を動作させて共通の出力端子4に出力する出力電圧VOUTを所定値に制御するようになっている。
【0044】
このため、スイッチングレギュレータ2Aは、図示のように、誤差増幅器21と、発振器22と、比較回路23と、プリドライブ回路24と、P型のMOSトランジスタ25と、N型のMOSトランジスタ26と、コイルL1と、コンデンサC1とを備え、その動作時に、出力電圧VOUTが所定値になるように入力電圧VDDをオンオフ制御するようになっている。
【0045】
誤差増幅器21および比較回路23は、図1の誤差増幅器21および比較回路23と同様に構成されるが、制御回路3Aがそれらに含まれる電流源回路27A、28Aのバイアス電圧をそれぞれ制御することで、誤差増幅器21および比較回路23の各動作が個別に制御されるようになっている点が異なる。
発振器22は、図1の発振器22と同様に構成されるが、制御回路3Aによりその発振周波数が制御される点でその動作が異なる。
【0046】
プリドライブ回路24は、図1のプリドライブ回路24と同様に構成されるが、制御回路3Aによりその動作が制御される点で異なる。
制御回路3Aは、起動信号S1に基づき、シリーズレギュレータ1またはスイッチングレギュレータ2Aの何れか一方を起動させるようになっている。
また、制御回路3Aは、シリーズレギュレータ1またはスイッチングレギュレータ2Aの起動後には、動作切り換え号S2に従って、シリーズレギュレータ1とスイッチングレギュレータ2Aとの動作を切り換えるようになっている。この動作の切り換えは、負荷の大きさに応じて行う。
【0047】
さらに、制御回路3Aは、シリーズレギュレータ1の動作時には、スイッチングレギュレータ2Aの構成回路のうち、バイアス(バイアス電圧)で動作が制御できる誤差増幅器21および比較回路23については、そのバイアスを通常動作時よりも低減して供給させ、直ちに動作状態に移行できるようになっている。
また、制御回路3Aは、シリーズレギュレータ1の動作時には、スイッチングレギュレータ2A側では、発振器22を動作状態とするが、その発振周波数を通常動作時よりも相対的に低下させるようになっている。また、このときには、プリドライブ回路24の動作を停止状態として、MOSトランジスタ25、26はその動作を停止させるようになっている。
【0048】
次に、このような構成からなる電源装置の第2実施形態について、その動作例を説明する。
この電源装置の起動時には、制御回路3Aに起動信号S1が入力される。これにより、制御回路3Aは、シリーズレギュレータ1またはスイッチングレギュレータ2Aのいずれか一方を動作させる。
【0049】
制御回路3Aは、シリーズレギュレータ1を起動させる場合には、電流源回路13に所定のバイアス電圧を供給して誤差増幅器11を動作させる。
一方、スイッチングレギュレータ2Aを起動させる場合には、電流源回路27A、28Aに所定のバイアス電圧を順次供給し、差動増幅器21および比較回路23を順次動作状態にする。さらに、図2の発振器22の切り換えスイッチSW1〜SW3の各切り換え接点をA側に倒し、発振器22を通常動作の周波数f1で発振させ、かつ、プリドライブ回路24を動作状態にさせる。
【0050】
これにより、シリーズレギュレータ1またはスイッチングレギュレータ2Aのいずれか一方が起動される。
いま、例えばシリーズレギュレータ1が起動されてその起動が完了すると、シリーズレギュレータ1は動作モードになり、制御回路3は電流源回路13に所定のバイアス電圧を供給するので、シリーズレギュレータ1は動作状態を継続する。このため、シリーズレギュレータ1の出力電圧が出力端子4から出力される。
【0051】
このシリーズレギュレータ1の動作モード時には、スイッチングレギュレータ2A側は非動作モードとなるが、このときには、スイッチングレギュレータ2Aの各部は以下のような動作状態になるように、制御回路3Aにより各部が制御される。
すなわち、スイッチングレギュレータ2Aの非動作モード時には、電流源回路27A、28Aのバイアス電圧を通常動作よりも低減させ、誤差増幅器21および比較回路23を非動作状態であっても直ちに動作状態に移行できるように、待機状態とする。
【0052】
また、図2の発振器22の切り換えスイッチSW1〜SW3の各切り換え接点をB側に倒し、発振器22を通常動作の周波数f1よりも低い周波数Ff2で発振させる。しかし、プリドライブ回路24は、その動作を停止状態とする。
このため、スイッチングレギュレータ2Aの非動作モード時には、誤差増幅器21、比較回路23、およびプリドライブ回路24は停止状態(非動作状態)にあるので、MOSトランジスタ25、26は動作することがない。
【0053】
次に、スイッチングレギュレータ2Aが、上記のように非動作モードから動作モードに移行する場合について説明する。
このときには、スイッチングレギュレータ2Aの各部は以下のような動作状態になるように、制御回路3Aにより各部が制御される。
すなわち、スイッチングレギュレータ2Aを非動作モードから動作モード時に切り換える際には、誤差増幅器21および比較回路23はいずれもバイアス電圧が通常動作よりも低減させた状態にあるので、非動作状態であっても直ちに動作状態に移行できる待機状態にある。また、このときには、発振器22は通常動作の周波数f1よりも低い周波数f2で発振している。さらに、プリドライブ回路24は非動作状態にある。
【0054】
そこで、電流源回路27A、28Aに所定のバイアス電圧を順次供給し、差動増幅器21および比較回路23を順次動作状態にする。さらに、プリドライブ回路24を動作状態にする。これにより、スイッチングレギュレータ2Aは、発振器22の周波数はf2であるものの、仮の動作モードに移行できる。
その後、図2の発振器22の切り換えスイッチSW1〜SW3の各切り換え接点をA側に倒し、発振器22を通常動作の周波数f1で発振させる。これにより、スイッチングレギュレータ2Aは、発振器22の周波数がf1からなる本来の動作モードに移行できる。
【0055】
このため、スイッチングレギュレータ2Aが非動作モードから動作モードに移行する場合には、迅速かつ円滑に移行することができる。
以上のように、この第2実施形態では、シリーズレギュレータ1の動作時に、誤差増幅器21および比較回路23はいずれもバイアス電圧が通常動作よりも低減させた状態にあり、非動作状態であっても直ちに動作状態に移行できる待機状態にある。また、このときには、発振器22は通常動作の周波数f1よりも低い周波数f2で発振している。
【0056】
このため、第2実施形態によれば、シリーズレギュレータ1からスイッチングレギュレータ2Aへの動作の切り換え時に、スイッチングレギュレータ2Aは迅速かつ円滑にその動作に移行できる。
また、この第2実施形態では、シリーズレギュレータ1の動作時には、スイッチングレギュレータ2Aは次の動作に迅速かつ円滑に移行するためにその待機をするが、その待機中は、上記のように各部を動作させたので、その消費電力を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の電源装置の第1実施形態の構成を示す図である。
【図2】図1の発振器の構成を示す回路図である。
【図3】本発明の電源装置の第2実施形態の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1・・・シリーズレギュレータ、2、2A・・・スイッチングレギュレータ、3、3A・・・制御回路、4・・・出力端子、11、21・・・誤差増幅器、22・・・発振器、23・・・比較回路、24・・・プリドライブ回路、25、26・・・MOSトランジスタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力電圧を基準電圧を用いて比較し、この比較出力で制御部を動作させて共通の出力端子に出力する出力電圧を所定値に制御するシリーズレギュレータと、
出力電圧を基準電圧を用いて比較し、この比較出力と発振器の出力とを用いて所定のパルスを生成し、このパルスに基づいてスイッチング素子をオンオフ制御することで、共通の出力端子に出力する出力電圧を所定値に制御するスイッチングレギュレータと、
前記シリーズレギュレータと前記スイッチングレギュレータとを負荷の大きさに応じて切り換えて動作させる制御回路と、を備え、
前記制御回路は、前記シリーズレギュレータの動作時には、前記スイッチングレギュレータに前記パルスを生成せ、その際に前記発振器の発振周波数を通常動作時よりも相対的に低下させるようになっていることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記制御回路は、
前記シリーズレギュレータの動作時には、前記生成されるパルスに基づく前記スイッチング素子のオンオフ動作を停止させるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記スイッチングレギュレータは、
入力電圧をオンオフするスイッチング素子と、
出力電圧を基準電圧と比較し、その比較結果に応じた誤差信号を出力する誤差増幅器と、
所定の発振周波数で発振し、その発振周波数が可変できる発振器と、
前記誤差増幅器の誤差信号と前記発振器の発振出力とに基づき、前記誤差信号の大小に応じたパルスを発生する比較回路と、
比較回路から出力されるパルスに基づいて前記スイッチング素子をオンオフさせるプリドライブ回路と、
を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記制御回路は、
前記シリーズレギュレータの動作時には、前記発振器を動作させて前記比較回路からパルスを発生させ、この際に前記発振器の発振周波数を通常動作時よりも相対的に低下させ、かつ、前記プリドライブ回路の動作を停止状態にさせるようになっていることを特徴とする請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
出力電圧を基準電圧を用いて比較し、この比較出力で制御部を動作させて共通の出力端子に出力する出力電圧を所定値に制御するシリーズレギュレータと、
出力電圧を基準電圧を用いて比較し、この比較出力と発振器の出力とを用いて所定のパルスを生成し、このパルスに基づいてスイッチング素子をオンオフ制御することで、共通の出力端子に出力する出力電圧を所定値に制御するスイッチングレギュレータと、
前記シリーズレギュレータと前記スイッチングレギュレータとを負荷の大きさに応じて切り換えて動作させる制御回路と、を備え、
前記制御回路は、前記シリーズレギュレータの動作時には、前記スイッチングレギュレータの構成回路のうち、バイアスで動作が制御できる所定の回路については、バイアスを通常動作時よりも低減させて供給させ、待機状態にさせるようになっていることを特徴とする電源装置。
【請求項6】
前記制御回路は、
前記シリーズレギュレータの動作時には、前記発振器の発振周波数を通常動作時よりも相対的に低下させるようになっていることを特徴とする請求項5に記載の電源装置。
【請求項7】
前記スイッチングレギュレータは、
入力電圧をオンオフするスイッチング素子と、
出力電圧を基準電圧と比較し、その比較結果に応じた誤差信号を出力する誤差増幅器と、
所定の発振周波数で発振し、その発振周波数が可変できる発振器と、
前記誤差増幅器の誤差信号と前記発振器の発振出力とに基づき、前記誤差信号の大小に応じたパルスを発生する比較回路と、
比較回路から出力されるパルスに基づいて前記スイッチング素子をオンオフさせるプリドライブ回路と、
を備えていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の電源装置。
【請求項8】
前記制御回路は、
前記シリーズレギュレータの動作時には、前記誤差増幅器および前記比較回路の各電流源のバイアス電圧を通常動作時よりも低減させて待機状態にさせ、前記発振器の発振周波数を通常動作時よりも相対的に低下させ、かつ、前記発振器のプリドライブ回路の動作を停止させるようになっていることを特徴とする請求項7に記載の電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−159371(P2007−159371A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−355213(P2005−355213)
【出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】