説明

電源装置

【課題】電圧平滑用のコンデンサにかかる電圧の変動を抑えることが可能な電源装置を提供することを目的とする。
【解決手段】バッテリ3の充電時、サーミスタ14により検出される周辺温度Tが閾値Tth1よりも小さくなると、電解コンデンサ11にかかる電圧の変動の最大値がMOSFETの耐圧を超えないように、Hブリッジ回路9のMOSFET20〜23を駆動し、交流電源2への電力供給時、サーミスタ14により検出される周辺温度Tが閾値Tth1よりも小さくなると、電解コンデンサ11にかかる電圧の変動の最大値がMOSFETの耐圧を超えないように、Hブリッジ回路8のMOSFET16〜19を駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流電源から供給される電力によりバッテリを充電する電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交流電源から供給される電力によりバッテリを充電する電源装置として、例えば、交流電源から供給される電力を、スイッチング素子をオン、オフさせることにより整流するとともにコンデンサにより平滑してバッテリに供給するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このように構成される電源装置では、交流電源から供給される電力の周波数成分(例えば、商用電源に流れる50kHz又は60kHzの電流の影響)によって、図7に示すように、コンデンサにかかる電圧Vcに変動Vp−pが発生する。この変動Vp−pは、コンデンサの容量や入力電力に依存しており、コンデンサの容量が低いほど大きくなり、入力電力が大きいほど大きくなる。また、コンデンサの容量は、図8に示すように、コンデンサの温度が低くなるほど減少する。図8に示すコンデンサの温度−容量増減度特性においては、−40℃のときのコンデンサの容量が20℃のときと比べて15%減少する。すなわち、低温時において、入力電力が最大になるように電源装置を動作させると、コンデンサにかかる電圧Vcの変動Vp−pが大きくなる。そのため、その変動Vp−pの最大値がスイッチング素子の耐圧Vmaxを超えないようにコンデンサの容量を大きくする必要があり、その分コストが増大するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−350456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、電圧平滑用のコンデンサにかかる電圧の変動を抑えることが可能な電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電源装置は、トランスと、交流電源に接続される第1の電力変換回路と、前記第1の電力変換回路と前記トランスの一次側巻線との間に設けられる第2の電力変換回路と、バッテリと前記トランスの二次側巻線との間に設けられる第3の電力変換回路と、前記第1の電力変換回路と前記第2の電力変換回路との間に設けられるコンデンサと、前記コンデンサの近傍に設けられる温度検出手段と、前記交流電源から供給される電力により前記バッテリを充電する場合、前記第1の電力変換回路に備えられる複数のスイッチング素子をオン、オフさせて前記コンデンサにかかる電圧を制御するとともに、前記第2の電力変換回路に備えられる複数のスイッチング素子をオン、オフさせて前記交流電源から前記コンデンサを介して前記第2の電力変換回路へ流れる電流を制御する制御回路とを備え、前記制御回路は、前記バッテリの充電時、前記温度検出手段により検出される温度が第1の閾値よりも小さいとき、そのときの前記コンデンサの容量において前記コンデンサにかかる電圧の変動の最大値が前記スイッチング素子の耐圧を超えない電流が前記コンデンサを介して前記第2の電力変換回路に流れるように、前記第2の電力変換回路の各スッチング素子を駆動する。
【0007】
これにより、コンデンサにかかる電圧の変動を抑えてバッテリの充電を行うことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、交流電源からの電力によりバッテリを充電するための電源装置において、電圧平滑用のコンデンサにかかる電圧の変動を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態の電源装置を示す図である。
【図2】バッテリ充電時の制御回路の動作を示すフローチャートである。
【図3】(a)はコンデンサ温度とコンデンサ容量との関係を示す図である。(b)はコンデンサ容量と入力電力との関係を示す図である。
【図4】交流電源への電力供給時の制御回路の動作を示すフローチャートである。
【図5】バッテリ充電時の制御回路の他の動作を示すフローチャートである。
【図6】交流電源への電力供給時の制御回路の他の動作を示すフローチャートである。
【図7】電解コンデンサにかかる電圧の変動を示す図である。
【図8】電解コンデンサの温度−容量増減度特性の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の実施形態の電源装置を示す図である。
図1に示す電源装置1は、交流電源(商用電源)2から供給される電力によりバッテリ3を充電したりバッテリ3から供給される電力により交流電源2側に電力供給したりする双方向の充電器であって、フィルタ4と、コイル5〜7と、Hブリッジ回路8(第1の電力変換回路)と、Hブリッジ回路9(第2の電力変換回路)と、Hブリッジ回路10(第3の電力変換回路)と、電解コンデンサ11(コンデンサ)と、電解コンデンサ12と、トランス13と、サーミスタ14(温度検出手段)と、制御回路(マイコン)15とを備える。なお、本実施形態の電源装置1は、例えば、交流電源2から供給される電力により電気自動車などの車両に搭載されるバッテリ3を充電するための充電器として使用されてもよい。
【0011】
コイル5の一方端はフィルタ4を介して交流電源2の一方端に接続され、コイル6の一方端はフィルタ4を介して交流電源2の他方端に接続されている。
Hブリッジ回路8は、いわゆるPFC(Power factor correction)回路であって、MOSFET16〜19を備え、MOSFET16、17の接続点がコイル5の他方端に接続され、MOSFET18、19の接続点がコイル6の他方端に接続されている。
【0012】
電解コンデンサ11は、Hブリッジ回路8とHブリッジ回路9との間に設けられている。
サーミスタ14は、常時一定電圧がかかっており、電解コンデンサ11の近傍に設けられている。
【0013】
Hブリッジ回路9は、MOSFET20〜23備え、MOSFET20、21の接続点がトランス13の一次側巻線の一方端に接続され、MOSFET22、23の接続点がトランス13の一次側巻線の他方端に接続されている。
【0014】
Hブリッジ回路10は、MOSFET24〜27を備え、MOSFET24、25の接続点がトランス13の二次側巻線の一方端に接続され、MOSFET26、27の接続点がトランス13の二次側巻線の他方端に接続されている。
【0015】
コイル7及び電解コンデンサ12は、Hブリッジ回路10とバッテリ3との間に設けられている。
交流電源2から供給される電力によりバッテリ3を充電する場合、制御回路15は、Hブリッジ回路8のMOSFET16、19とMOSFET17、18とを交互にオン、オフさせる。これにより、交流電源2からフィルタ4及びコイル5、6を介して供給される電力が整流されるとともに、電解コンデンサ11にかかる電圧Vcが制御される。また、制御回路15は、Hブリッジ回路9のMOSFET20、23とMOSFET21、22とを交互にオン、オフさせる。これにより、Hブリッジ回路9に入力される電力が交流に変換されトランス13の一次側巻線に伝えられる。そして、トランス13の一次側巻線から二次側巻線に伝わる電力はHブリッジ回路10のMOSFET24〜27のそれぞれのボディダイオード、コイル7、及び電解コンデンサ12により整流及び平滑されてバッテリ3に供給される。すなわち、バッテリ3の充電時、Hブリッジ回路8は電解コンデンサ11にかかる電圧を制御し、Hブリッジ回路9は電解コンデンサ11を介してHブリッジ回路9に入力される電流を制御する。
【0016】
バッテリ3から供給される電力により交流電源2側に電力供給する場合、制御回路15は、Hブリッジ回路10のMOSFET24、27とMOSFET25、26とを交互にオン、オフさせる。これにより、電解コンデンサ12及びコイル7を介してバッテリ3から供給される電力が交流に変換されトランス13の二次側巻線に伝えられる。トランス13の二次側巻線から一次側巻線に伝わる電力はHブリッジ回路9のMOSFET20〜23のそれぞれのボディダイオード及び電解コンデンサ11により整流及び平滑されてHブリッジ回路8に伝えられる。また、制御回路15は、Hブリッジ回路8のMOSFET16、19とMOSFET17、18とを交互にオン、オフさせる。これにより、Hブリッジ回路8に入力される電力が交流に変換されコイル5、6及びフィルタ4を介して交流電源2に供給される。すなわち、交流電源2側に電力供給時、Hブリッジ回路10は電解コンデンサ11にかかる電圧を制御し、Hブリッジ回路8は電解コンデンサ11を介してHブリッジ回路8へ入力される電流を制御する。
【0017】
図2は、本実施形態の電源装置1におけるバッテリ3の充電開始時の制御回路15の動作を示すフローチャートである。
まず、制御回路15は、サーミスタ14にかかる電圧に基づいて電解コンデンサ11の周囲温度Tを求める(ステップS11)。例えば、制御回路15は、サーミスタ14にかかる電圧と温度との関係を示すマップを使用して、サーミスタ14にかかる電圧に対応する周囲温度Tを求めるようにしてもよい。
【0018】
次に、制御回路15は、周囲温度Tが閾値Tth1(第1の閾値)(例えば、−40℃)より小さいか否かを判断する(ステップS12)。なお、閾値Tth1は、電解コンデンサ11へ最大電力が入力されている場合において、電解コンデンサ11にかかる電圧の変動の最大値がHブリッジ回路8の16〜19やHブリッジ回路9のMOSFET20〜23の耐圧を超えてしまうおそれがあるときの電解コンデンサ11の温度とする。
【0019】
周囲温度Tが閾値Tth1より大きいと判断した場合(ステップS12がNo)、制御回路15は、電源装置1からバッテリ3へ最大電力が供給されるようにHブリッジ回路8、9を駆動させてバッテリ3を充電する(ステップS13)(通常状態)。
【0020】
一方、周囲温度Tが閾値Tth1より小さいと判断した場合(ステップS12がYes)、制御回路15は、周囲温度T及びバッテリ3にかかる電圧VbによりHブリッジ回路9のMOSFET20〜23のそれぞれのデューティを求める(ステップS14)。制御回路15は、例えば、図3(a)に示すような電解コンデンサ11の周囲温度Tと電解コンデンサ11の容量Cとの関係を示す温度−容量マップを使用して、周囲温度Tのときの電解コンデンサ11の容量Cを求める。次に、制御回路15は、例えば、図3(b)に示すような電解コンデンサ11の容量Cと入力電力Pin(電解コンデンサ11にかかる電圧Vcの変動の最大値がMOSFETの耐圧を超えることなく電解コンデンサ11に入力することが可能な電力)との関係を示す容量−入力電力マップを使用して、温度−容量マップにより求めた電解コンデンサ11の容量Cに対応する入力電力Pinを求める。次に、制御回路15は、その求めた入力電力Pinが交流電源2から電源装置1へ入力されるように、電源装置1の出力電流Ioutを求める。次に、制御回路15は、その求めた出力電流Ioutが電源装置1から出力されるように、バッテリ3にかかる電圧Vbに基づいて電源装置1の出力電圧Voutを求める。そして、制御回路15は、その求めた出力電圧Voutが電源装置1から出力されるようにHブリッジ回路9のMOSFET20〜23のそれぞれのデューティを求める。
【0021】
次に、制御回路15は、電解コンデンサ11の周囲温度Tが閾値Tth2(第2の閾値)(例えば、20℃)以上になるまで、ステップS14で求めたデューティに基づいてHブリッジ回路9のMOSFET20、23とMOSFET21、22とを交互にオン、オフさせるとともに、Hブリッジ回路9のMOSFET20〜23のオン、オフのタイミングや入力電力などに基づいて、Hブリッジ回路8のMOSFET16、19とMOSFET17、18とを交互にオン、オフさせる(ステップS15〜S17)(パワーセーブ状態)。なお、閾値Tth2は、電解コンデンサ11へ最大電力が入力されていても、電解コンデンサ11にかかる電圧の変動の最大値がHブリッジ回路8のMOSFET16〜19やHブリッジ回路9のMOSFET20〜23の耐圧を超えてしまうおそれがないときの電解コンデンサ11の温度とする。
【0022】
そして、周囲温度Tが閾値Tth2以上になると(ステップS17がYes)、制御回路15は、電源装置1からバッテリ3へ最大電力が出力されるようにHブリッジ回路8、9を駆動させてバッテリ3を充電する(ステップS13)(通常状態)。
【0023】
これにより、バッテリ3の充電開始時において、電解コンデンサ11にかかる電圧の変動Vp−pの最大値がMOSFETの耐圧を超えてしまいそうな温度まで電解コンデンサ11の周囲温度Tが低下していても、変動Vp−pの最大値がMOSFETの耐圧を超えないようにHブリッジ回路8、9を駆動させてバッテリ3を充電することができる。
【0024】
図4は、本実施形態の電源装置1における交流電源2側への電力供給開始時の制御回路15の動作を示すフローチャートである。
まず、制御回路15は、サーミスタ14にかかる電圧に基づいて電解コンデンサ11の周囲温度Tを求める(ステップS21)。
【0025】
次に、制御回路15は、周囲温度Tが閾値Tth1よりも小さいか否かを判断する(ステップS22)。
周囲温度Tが閾値Tth1よりも大きいと判断した場合(ステップS22がNo)、制御回路15は、電源装置1から交流電源2へ最大電力が供給されるようにHブリッジ回路8、10を駆動させて交流電源2側に電力供給する(ステップS23)(通常状態)。
【0026】
一方、周囲温度Tが閾値Tth1よりも小さいと判断した場合(ステップS22がYes)、制御回路15は、周囲温度T及びフィルタ4にかかる電圧VfによりHブリッジ回路8のMOSFET16〜19のそれぞれのデューティを求める(ステップS24)。制御回路15は、例えば、図3(a)に示すような電解コンデンサ11の周囲温度Tと電解コンデンサ11の容量Cとの関係を示す温度−容量マップを使用して、周囲温度Tのときの電解コンデンサ11の容量Cを求める。次に、制御回路15は、例えば、図3(b)に示すような電解コンデンサ11の容量Cと入力電力Pin(電解コンデンサ11にかかる電圧Vcの変動の最大値がMOSFETの耐圧を超えることなく電解コンデンサ11に入力することが可能な電力)との関係を示す容量−入力電力マップを使用して、温度−容量マップにより求めた電解コンデンサ11の容量Cに対応する入力電力Pinを求める。次に、制御回路15は、その求めた入力電力Pinがバッテリ3から電源装置1へ入力されるように、電源装置1の出力電流Ioutを求める。次に、制御回路15は、その求めた出力電流Ioutが電源装置1から出力されるように、フィルタ4にかかる電圧Vfに基づいて電源装置1の出力電圧Voutを求める。そして、制御回路15は、その求めた出力電圧Voutが電源装置1から出力されるようにHブリッジ回路8のMOSFET16〜19のそれぞれのデューティを求める。
【0027】
次に、制御回路15は、電解コンデンサ11の周囲温度Tが閾値Tth2以上になるまで、ステップS24で求めたデューティによりHブリッジ回路8のMOSFET16、19とMOSFET17、18とを交互にオン、オフさせるとともに、Hブリッジ回路8のMOSFET16〜19のオン、オフのタイミングなどに基づいて、Hブリッジ回路10のMOSFET24、27とMOSFET25、26とを交互にオン、オフさせる(ステップS25〜S27)(パワーセーブ状態)。
【0028】
そして、周囲温度Tが閾値Tth2以上になると(ステップS27がYes)、制御回路15は、電源装置1から交流電源2へ最大電力が出力されるようにHブリッジ回路8、10を駆動させて交流電源2側に電力供給する(ステップS23)(通常状態)。
【0029】
これにより、交流電源2への電力供給開始時において、電解コンデンサ11にかかる電圧の変動Vp−pの最大値がMOSFETの耐圧を超えてしまいそうな温度まで電解コンデンサ11の周囲温度Tが低下していても、変動Vp−pの最大値がMOSFETの耐圧を超えないようにHブリッジ回路8、10を駆動させて交流電源2へ電力を供給することができる。
【0030】
図5は、本実施形態の電源装置1におけるバッテリ3の充電開始時の制御回路15の他の動作を示すフローチャートである。
まず、制御回路15は、サーミスタ14にかかる電圧に基づいて電解コンデンサ11の周囲温度Tを求める(ステップS31)。
【0031】
次に、制御回路15は、周囲温度Tが閾値Tth1よりも小さいか否かを判断する(ステップS32)。
周囲温度Tが閾値Tth1よりも大きいと判断した場合(ステップS32がNo)、制御回路15は、電源装置1からバッテリ3へ最大電力が供給されるようにHブリッジ回路8、9を駆動させてバッテリ3を充電する(ステップS33)(通常状態)。
【0032】
一方、周囲温度Tが閾値Tth1よりも小さいと判断した場合(ステップS32がYes)、制御回路15は、周囲温度T及びバッテリ3にかかる電圧VbによりHブリッジ回路9のMOSFET20〜23のそれぞれのデューティを求める(ステップS34)。このときのデューティの求め方は、上述のデューティの求め方と同様である。
【0033】
次に、制御回路15は、ステップS34で求めたデューティによりHブリッジ回路9を駆動させるとともに、Hブリッジ回路9のMOSFET20〜23のオン、オフのタイミングや入力電力などに基づいて、Hブリッジ回路8のMOSFET16、19とMOSFET17、18とを交互にオン、オフさせる(ステップS35)。
【0034】
次に、制御回路15は、サーミスタ14にかかる電圧に基づいて電解コンデンサ11の周囲温度Tを求める(ステップS36)。
次に、制御回路15は、電解コンデンサ11の周囲温度Tが閾値Tth2以上であるか否かを判断する(ステップS37)。
【0035】
周囲温度Tが閾値Tth2以上でないと判断した場合(ステップS37がNo)、制御回路15は、ステップS34に戻る。
一方、周囲温度Tが閾値Tth2以上であると判断した場合(ステップS37がYes)、制御回路15は、電源装置1からバッテリ3へ最大電力が供給されるようにHブリッジ回路8、9を駆動させてバッテリ3を充電する(ステップS33)(通常状態)。
【0036】
これにより、バッテリ3の充電開始時において、電解コンデンサ11にかかる電圧の変動Vp−pの最大値がMOSFETの耐圧を超えてしまいそうな温度まで電解コンデンサ11の周囲温度Tが低下していても、変動Vp−pの最大値がMOSFETの耐圧を超えないようにHブリッジ回路8、9を駆動させてバッテリ3を充電することができる。
【0037】
また、周囲温度Tが閾値Tth2以上でない場合、繰り返し、周囲温度T及びバッテリ3にかかる電圧VbによりHブリッジ回路9のMOSFET20〜23のそれぞれのデューティを求めてHブリッジ回路8、9を駆動する構成であるため、電解コンデンサ11の温度上昇とともに電解コンデンサ11を介してHブリッジ回路9に入力可能な電流も増加させることができる。そのため、図2に示すフローチャートのように、電解コンデンサ11を介してHブリッジ回路9に入力される電流が一定の場合に比べて、電解コンデンサ11の温度を早く閾値Tth2まで上昇させることができるので、バッテリ3の充電時間の短縮を図ることができる。
【0038】
図6は、本実施形態の電源装置1における交流電源2側への電力供給開始時の制御回路15の他の動作を示すフローチャートである。
まず、制御回路15は、サーミスタ14にかかる電圧に基づいて電解コンデンサ11の周囲温度Tを求める(ステップS41)。
【0039】
次に、制御回路15は、周囲温度Tが閾値Tth1よりも小さいか否かを判断する(ステップS42)。
周囲温度Tが閾値Tth1よりも大きいと判断した場合(ステップS42がNo)、制御回路15は、電源装置1から交流電源2へ最大電力が供給されるようにHブリッジ回路8、9を駆動させて交流電源2側に電力供給する(ステップS43)(通常状態)。
【0040】
一方、周囲温度Tが閾値Tth1よりも小さいと判断した場合(ステップS42がYes)、制御回路15は、周囲温度T及びフィルタ4にかかる電圧VfによりHブリッジ回路8のMOSFET16〜19のそれぞれのデューティを求める(ステップS44)。このときのデューティの求め方は、上述のデューティの求め方と同様である。
【0041】
次に、制御回路15は、ステップS44で求めたデューティで求めたデューティによりHブリッジ回路8を駆動させるとともに、Hブリッジ回路8のMOSFET16〜19のオン、オフのタイミングなどに基づいて、Hブリッジ回路10のMOSFET24、27とMOSFET25、26とを交互にオン、オフさせる(ステップS45)。
【0042】
次に、制御回路15は、サーミスタ14にかかる電圧に基づいて電解コンデンサ11の周囲温度Tを求める(ステップS46)。
次に、制御回路15は、電解コンデンサ11の周囲温度Tが閾値Tth2以上であるか否かを判断する(ステップS47)。
【0043】
周囲温度Tが閾値Tth2以上でないと判断した場合(ステップS47がNo)、制御回路15は、ステップS44に戻る。
一方、周囲温度Tが閾値Tth2以上であると判断した場合(ステップS47がYes)、制御回路15は、電源装置1から交流電源2へ最大電力が供給されるようにHブリッジ回路8、10を駆動させて交流電源2へ電力を供給する(ステップS43)(通常状態)。
【0044】
これにより、交流電源2側への電力供給開始時において、電解コンデンサ11にかかる電圧の変動Vp−pの最大値がMOSFETの耐圧を超えてしまいそうな温度まで電解コンデンサ11の周囲温度Tが低下していても、変動Vp−pの最大値がMOSFETの耐圧を超えないようにHブリッジ回路8、10を駆動させて交流電源2側に電力供給することができる。
【0045】
また、周囲温度Tが閾値Tth2以上でない場合、繰り返し、周囲温度T及びフィルタ4にかかる電圧VfによりHブリッジ回路8のMOSFET16〜19のそれぞれのデューティを求めてHブリッジ回路8、10を駆動する構成であるため、電解コンデンサ11の温度上昇とともに電解コンデンサ11を介してHブリッジ回路8に入力可能な電流も増加させることができる。そのため、図4に示すフローチャートのように、電解コンデンサ11を介してHブリッジ回路8に入力される電流が一定の場合に比べて、電解コンデンサ11の温度を早く閾値Tth2まで上昇させることができるので、交流電源2への電力供給時間の短縮を図ることができる。
【0046】
このように、本実施形態の電源装置1では、電解コンデンサ11の周囲温度が閾値Tth1よりも小さいとき、そのときの電解コンデンサ11の容量において電解コンデンサ11にかかる電圧Vcの変動Vp−pの最大値がMOSFETの耐圧を超えない電力が電解コンデンサ11を介してHブリッジ回路8やHブリッジ回路9に流れるように、Hブリッジ回路8、9を駆動してバッテリ3を充電したり、Hブリッジ回路8、10を駆動して交流電源2側に電力供給したりする。そのため、電解コンデンサ11にかかる電圧Vcの変動Vp−pを抑えてバッテリ3の充電や交流電源2への電力供給を行うことができるので、電解コンデンサ11の容量を大きくする必要がなく、体格やコストの増大を抑えることができる。
【0047】
なお、上記実施形態では、交流電源2から得られる電力によりバッテリ3を充電したり、バッテリ3から得られる電力により交流電源2側に電力供給したりする構成であるが、交流電源2から得られる電力によりバッテリ3を充電する構成のみにしてもよい。このように構成する場合は、Hブリッジ回路8のMOSFET16、18やHブリッジ回路10のMOSFET24〜27をダイオードに置き換えることができる。バッテリ3から得られる電力により交流電源2側に電力供給する構成のみにしてもよい。このような構成にする場合は、Hブリッジ回路9のMOSFET20〜23をダイオードに置き換えることができる。
【0048】
また、上記実施形態では、Hブリッジ回路8〜10に備えられる各スイッチング素子として全てMOSFETを使用しているが、IGBTやバイポーラトランジスタにダイオードを並列接続させたものを使用してもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、バッテリ3の充電や交流電源2への電力供給開始時に、上述の各フローチャートの動作を実行する構成であるが、バッテリ3の充電中や交流電源2への電力供給中の任意のタイミングに、上述の各フローチャートの動作を実行するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 電源装置
2 交流電源
3 バッテリ
4 フィルタ
5〜7 コイル
8〜10 ブリッジ回路
11、12 電解コンデンサ
13 トランス
14 サーミスタ
15 制御回路



【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスと、
交流電源に接続される第1の電力変換回路と、
前記第1の電力変換回路と前記トランスの一次側巻線との間に設けられる第2の電力変換回路と、
バッテリと前記トランスの二次側巻線との間に設けられる第3の電力変換回路と、
前記第1の電力変換回路と前記第2の電力変換回路との間に設けられるコンデンサと、
前記コンデンサの近傍に設けられる温度検出手段と、
前記交流電源から供給される電力により前記バッテリを充電する場合、前記第1の電力変換回路に備えられる複数のスイッチング素子をオン、オフさせて前記コンデンサにかかる電圧を制御するとともに、前記第2の電力変換回路に備えられる複数のスイッチング素子をオン、オフさせて前記交流電源から前記コンデンサを介して前記第2の電力変換回路へ流れる電流を制御する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、前記バッテリの充電時、前記温度検出手段により検出される温度が第1の閾値よりも小さいとき、そのときの前記コンデンサの容量において前記コンデンサにかかる電圧の変動の最大値が前記スイッチング素子の耐圧を超えない電流が前記コンデンサを介して前記第2の電力変換回路に流れるように、前記第2の電力変換回路の各スッチング素子を駆動することを特徴とする電源装置。
【請求項2】
トランスと、
交流電源に接続される第1の電力変換回路と、
前記第1の電力変換回路と前記トランスの一次側巻線との間に設けられる第2の電力変換回路と、
バッテリと前記トランスの二次側巻線との間に設けられる第3の電力変換回路と、
前記第1の電力変換回路と前記第2の電力変換回路との間に設けられるコンデンサと、
前記コンデンサの近傍に設けられる温度検出手段と、
前記バッテリから供給される電力により前記交流電源側に電力供給する場合、前記第3の電力変換回路に備えられる複数のスイッチング素子をオン、オフさせて前記コンデンサにかかる電圧を制御するとともに、前記第1の電力変換回路に備えられる複数のスイッチング素子をオン、オフさせて前記バッテリから前記コンデンサを介して前記第1の電力変換回路へ流れる電流を制御する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、前記交流電源側に電力供給する時、前記温度検出手段により検出される温度が前記第1の閾値よりも小さいとき、そのときの前記コンデンサの容量において前記コンデンサにかかる電圧の変動の最大値が前記スイッチング素子の耐圧を超えない電流が前記コンデンサを介して前記第1の電力変換回路に流れるように、前記第1の電力変換回路の各スイッチング素子を駆動する
ことを特徴とする電源装置。
【請求項3】
トランスと、
交流電源に接続される第1の電力変換回路と、
前記第1の電力変換回路と前記トランスの一次側巻線との間に設けられる第2の電力変換回路と、
バッテリと前記トランスの二次側巻線との間に設けられる第3の電力変換回路と、
前記第1の電力変換回路と前記第2の電力変換回路との間に設けられるコンデンサと、
前記コンデンサの近傍に設けられる温度検出手段と、
前記交流電源から供給される電力により前記バッテリを充電する場合、前記第1の電力変換回路に備えられる複数のスイッチング素子をオン、オフさせて前記コンデンサにかかる電圧を制御するとともに、前記第2の電力変換回路に備えられる複数のスイッチング素子をオン、オフさせて前記交流電源から前記コンデンサを介して前記第2の電力変換回路へ流れる電流を制御し、前記バッテリから供給される電力により前記交流電源側に電力供給する場合、前記第3の電力変換回路に備えられる複数のスイッチング素子をオン、オフさせて前記コンデンサにかかる電圧を制御するとともに、前記第1の電力変換回路に備えられる複数のスイッチング素子をオン、オフさせて前記バッテリから前記コンデンサを介して前記第1の電力変換回路へ流れる電流を制御する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、前記バッテリの充電時、前記温度検出手段により検出される温度が第1の閾値よりも小さいとき、そのときの前記コンデンサの容量において前記コンデンサにかかる電圧の変動の最大値が前記スイッチング素子の耐圧を超えない電流が前記コンデンサを介して前記第2の電力変換回路に流れるように、前記第2の電力変換回路の各スッチング素子を駆動し、前記交流電源側に電力供給する時、前記温度検出手段により検出される温度が前記第1の閾値よりも小さいとき、そのときの前記コンデンサの容量において前記コンデンサにかかる電圧の変動の最大値が前記スイッチング素子の耐圧を超えない電流が前記コンデンサを介して前記第1の電力変換回路に流れるように、前記第1の電力変換回路の各スイッチング素子を駆動する
ことを特徴とする電源装置。
【請求項4】
請求項1または3の何れか1項に記載の電源装置であって、
前記制御回路は、前記バッテリの充電時、前記温度検出手段により検出される温度が第1の閾値よりも小さいとき、前記温度検出手段により検出される温度が前記第1の閾値よりも高い第2の閾値以上になるまで、前記コンデンサにかかる電圧の変動の最大値が前記スイッチング素子の耐圧を超えない一定の電流が前記コンデンサを介して前記第2の電力変換回路に流れるように、前記第2の電力変換回路の各スイッチング素子を駆動する
ことを特徴とする電源装置。
【請求項5】
請求項2または3の何れか1項に記載の電源装置であって、
前記制御回路は、前記交流電源側に電力供給する時、前記温度検出手段により検出される温度が第1の閾値よりも小さいとき、前記温度検出手段により検出される温度が前記第2の閾値以上になるまで、前記コンデンサにかかる電圧の変動の最大値が前記スイッチング素子の耐圧を超えない一定の電流が前記コンデンサを介して前記第1の電力変換回路に流れるように、前記第1の電力変換回路の各スイッチング素子を駆動する
ことを特徴とする電源装置。
【請求項6】
請求項3に記載の電源装置であって、
前記制御回路は、前記バッテリの充電時、前記温度検出手段により検出される温度が第1の閾値よりも小さいとき、前記温度検出手段により検出される温度が前記第1の閾値よりも高い第2の閾値以上になるまで、前記コンデンサにかかる電圧の変動の最大値が前記スイッチング素子の耐圧を超えない一定の電流が前記コンデンサを介して前記第2の電力変換回路に流れるように、前記第2の電力変換回路の各スイッチング素子を駆動し、前記交流電源側に電力供給する時、前記温度検出手段により検出される温度が第1の閾値よりも小さいとき、前記温度検出手段により検出される温度が前記第2の閾値以上になるまで、前記コンデンサにかかる電圧の変動の最大値が前記スイッチング素子の耐圧を超えない一定の電流が前記コンデンサを介して前記第1の電力変換回路に流れるように、前記第1の電力変換回路の各スイッチング素子を駆動する
ことを特徴とする電源装置。
【請求項7】
請求項1または3または4または6の何れか1項に記載の電源装置であって、
前記制御回路は、前記バッテリの充電時、前記温度検出手段により検出される温度が第1の閾値よりも小さいとき、前記温度検出手段により検出される温度が前記第1の閾値よりも高い第2の閾値以上になるまで、前記コンデンサにかかる電圧の変動の最大値が前記スイッチング素子の耐圧を超えずに徐々に増加する電流が前記コンデンサを介して前記第2の電力変換回路に流れるように、前記第2の電力変換回路の各スイッチング素子を駆動する
ことを特徴とする電源装置。
【請求項8】
請求項2または3または5または6の何れか1項に記載の電源装置であって、
前記制御回路は、前記交流電源側に電力供給する時、前記温度検出手段により検出される温度が第1の閾値よりも小さいとき、前記温度検出手段により検出される温度が前記第2の閾値以上になるまで、前記コンデンサにかかる電圧の変動の最大値が前記スイッチング素子の耐圧を超えずに徐々に増加する電流が前記コンデンサを介して前記第1の電力変換回路に流れるように、前記第1の電力変換回路の各スイッチング素子を駆動する
ことを特徴とする電源装置。
【請求項9】
請求項3または6の何れか1項に記載の電源装置であって、
前記制御回路は、前記バッテリの充電時、前記温度検出手段により検出される温度が第1の閾値よりも小さいとき、前記温度検出手段により検出される温度が前記第1の閾値よりも高い第2の閾値以上になるまで、前記コンデンサにかかる電圧の変動の最大値が前記スイッチング素子の耐圧を超えずに徐々に増加する電流が前記コンデンサを介して前記第2の電力変換回路に流れるように、前記第2の電力変換回路の各スイッチング素子を駆動し、前記交流電源側に電力供給する時、前記温度検出手段により検出される温度が第1の閾値よりも小さいとき、前記温度検出手段により検出される温度が前記第2の閾値以上になるまで、前記コンデンサにかかる電圧の変動の最大値が前記スイッチング素子の耐圧を超えずに徐々に増加する電流が前記コンデンサを介して前記第1の電力変換回路に流れるように、前記第1の電力変換回路の各スイッチング素子を駆動する
ことを特徴とする電源装置。
【請求項10】
請求項1または3または4または6または7または9の何れか1項に記載の電源装置であって、
前記制御回路は、前記バッテリの充電開始時において、前記温度検出手段により検出される温度が第1の閾値よりも小さいか否かを判断する
ことを特徴とする電源装置。
【請求項11】
請求項2または3または5または6または8または9の何れか1項に記載の電源装置であって、
前記交流電源側の電力供給開始時において、前記温度検出手段により検出される温度が第1の閾値よりも小さいか否かを判断する
ことを特徴とする電源装置。
【請求項12】
請求項3または6または9の何れか1項に記載の電源装置であって、
前記制御回路は、前記バッテリの充電開始時において、前記温度検出手段により検出される温度が第1の閾値よりも小さいか否かを判断するとともに、前記交流電源側の電力供給開始時において、前記温度検出手段により検出される温度が第1の閾値よりも小さいか否かを判断する
ことを特徴とする電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−120394(P2012−120394A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270146(P2010−270146)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】