説明

電磁信号源の位置特定

第1の複数のロケーションにおいてスキャニングを行うことにより、信号源位置データを生成するステップであって、信号源位置データは、前記信号源の少なくとも1つの位置の推定を表すステップと、信号検出システムを用いて第2の複数のロケーションにおいてスキャニングを行うことにより、信号検出データを生成するステップであって、信号検出データは、第2の複数のロケーションにおいて信号源から受信した信号に関連するステップと、信号検出データに基づいて信号源位置データを処理することによって、信号源位置データにおける推定誤差を修正するステップと、処理された信号源位置データを出力するステップとを含む、複数の電磁信号源のロケーションを推定する方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電磁信号源のロケーションを推定するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電磁信号源の一例は、電波形態での電磁放射の送信および受信によってデバイスと無線通信するために使用される、Wi−Fi基地局(ワイヤレスアクセスポイント)等のワイヤレスアクセスポイントである。他の電磁信号源には、例えば、光(赤外線)通信装置および様々な種類の電磁/無線ビーコンが含まれ得る。
【0003】
電磁信号源のロケーションを推定することが望まれる場合がある。一例では、ワイヤレスアクセスポイント(WAP)、携帯電話のマスト、および他の電磁信号源のロケーションおよび他の特性の詳細が決定される。次に、ユーザーが操作するデバイスによって、デバイスで検出された電磁信号(WAP無線周波数信号等)の特性を測定することができ、ユーザーのロケーションは、以前に決定されたロケーションおよび他のデータを参照して計算することができる。例えば、Wi−Fi機能を持つスマートフォンは、隣接するWAPの識別および信号強度を決定することが可能であり、スマートフォン(従ってユーザー)のロケーションを決定するために、問題となっているWAPの既知のロケーションに基づいて、三角測量を実行することができる。明らかに、信号源(WAP)のロケーションの推定が優れているほど、結果的に生じるユーザーのロケーションの推定も優れたものとなる。
【0004】
ある特定の例では、車両を乗り回す範囲内で、ワイヤレスアクセスポイント(WAP)のロケーションを決定するために、「ウォードライビング」が用いられる。車両中のグローバルポジショニングシステム(GPS)または類似のユニットが、車両のロケーションを記録し、信号検出機器(例えば、高指向性アンテナおよびWi−Fiインターフェース回路を含む)が、WAPの相対位置および他の特性を識別する。次に、WAPの絶対位置が、2つの情報を用いて決定され得る。類似のプロセスを、同じ効果を得るために、小型機器を人が持ち歩く「ウォーウォーキング」によって達成することができる。
【0005】
ウォードライビングは、WAPおよび他の信号源の位置が決定され得る精度に限界を抱えている。信号の伝搬は、環境要因に影響を受け、マルチパス伝搬および信号減衰等の影響は、人が信号源からより遠くへ離れていくに従って、より顕著となり得る。道路上の車両とWAP基地局(通常、道路から離れた建物内に設置されている)との間の必要距離が、WAPのロケーション測定において多大な不正確さを引き起こす可能性があり、他のWAPは、遠く離れていては、全く検出されない場合がある。これらの要因により、ウォードライビングから得られるデータを用いるロケーションサービスの精度が低下し得る。
【0006】
ウォーウォーキングでは、検出機器をWAPにより近づけ、建物の内部にさえ持っていくことが可能であるが、建物の内部に一旦入ると、GPS衛星との見通し線が失われるために、通常、GPS受信機が機能しなくなる。
【0007】
従って、ウォードライビングおよびウォーウォーキングは共に、WAPのロケーションの推定精度に限界を抱えており、場合によっては、GPSまたは類似のポジショニングシステムの失敗により、ロケーションを全く決定することができない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の局面は、複数の電磁信号源(ワイヤレスアクセスポイント等)のロケーションを推定する方法であって、第1の複数のロケーションにおいてスキャニングを行う(例えば、携帯電話またはラップトップ等のハンドヘルドまたは他のスキャナーを用いて)ことにより、信号源位置データを生成するステップであって、信号源位置データは、1つまたは複数の前記信号源の位置の推定を表すステップと;信号検出システム(Wi−Fiトランシーバー等)を用いて第2の複数のロケーション(第1の複数のロケーションとは異なる)においてスキャニングを行うことにより、信号検出データを生成するステップであって、信号検出データは、第2の複数のロケーションにおいて信号源から受信した信号に関連する(かつ、例えば、受信した信号強度およびWAP基地局の識別子に関するデータを含む)ステップと;信号検出データに基づいて信号源位置データを処理することによって、信号源位置データにおける推定誤差を修正するステップと;処理された信号源位置データを出力する(例えばデータベースに保存するために)ステップと、を含む方法を提供する。ある実施形態においては、信号源位置データは、それぞれの(各)信号源の位置の推定を表す。
【0009】
信号源位置データには、例えば、ワイヤレスアクセスポイント(WAP)の二次元または三次元座標およびそれらの識別子、または他の電磁信号源およびそれらの識別子が含まれ、信号強度、位置精度の推定等のさらなる情報が含まれ得る。この方法は、任意の適切なデバイスまたはロケーションにおいて、例えば、スキャニング動作を実行し得る携帯電話機または他のデバイス、および/またはリモートサーバーシステムにおいて実行され得る。具体的には、処理ステップは、同じプロセッサ、コンピュータ、マイクロコントローラまたは他のデバイスによって実行できるが、必ずしもその必要はなく、個々の処理ステップは、必要に応じて、細分化され、異なるプロセッサに分配されてもよい。
【0010】
第2組のロケーションにおいて(例えば、ウォードライビングではアクセスできないエリアにおいてWAP基地局により近接して)、Wi−Fiインターフェース等の信号検出システムを用いて2回目のスキャニングを行うことにより、信号源のロケーションの推定を、第2組のロケーションにおいてGPS様の機能性を設ける必要なしに、修正することができる。この修正は、ある特定の信号源の位置推定を、あらゆる場合において向上させるわけではないかもしれないが、信号源の推定は、全体として概ね向上する。もちろん、この傾向に反し得る信号源およびスキャニングロケーションの特定の環境および構成が存在し得る(例えば、信号ブラックスポットにおけるスキャニング、マルチパス効果等の極端な伝搬効果等による)。
【0011】
好ましくは、信号検出データには、信号強度、MACアドレス(適切であれば、ネットワークデバイスに関する)または信号源、信号品質等に関連する他の識別子の内の少なくとも1つが含まれる。好ましくは、信号源位置データを処理するステップは、到着時刻(TOA)、到着時間差(TDOA)、到来角(AOA)、および受信信号強度(RSS)のアルゴリズムの内の少なくとも1つを信号検出データに適用するステップを含む。
【0012】
信号源位置データを処理するステップは、好ましくは、信号検出データを用いることにより、第2の複数のロケーションの位置を推定するステップをさらに含む。第2の複数のロケーション(すなわち、第2組のスキャンが行われた場所)の位置推定は、例えば、スキャニングデバイスを操作している人に提示されることが可能で、それによって、目視または他のチェックを行うことが可能となる(そして、推定されたスキャニングロケーションは、例えば、推定されたロケーションが、壁の内側にないこと、または他のアクセス不可能および明らかに不適当なロケーションではないことをチェックするために、例えば、他のデータと相互参照され得る)。
【0013】
この方法は、第2の複数のロケーションに関する情報を表すロケーション情報データを受信するステップをさらに含んでいてもよく、信号源位置データを処理するステップは、ロケーション情報データを用いることにより、第2の複数のロケーションの位置を推定するステップをさらに含んでいてもよい。例えば、ロケーション情報データは、前記第2の複数のロケーションの少なくとも1つの位置のユーザー推定を含んでいてもよい。ロケーション情報データは、電磁信号源の内の少なくとも1つの位置のユーザー推定を含んでいてもよい。好ましくは、この方法は、ハンドヘルドユニット等のユーザー入力装置を介して、ロケーション情報データを入力するステップをさらに含み得る。この方法は、第2の複数のロケーションの推定を可能にする、または向上させるデータをユーザーから受信するステップを含み得る。この方法は、動作、方向または高度に関連するパラメーターを測定する1つまたは複数の追加のセンサー、例えば、磁力計、加速度計、気圧計の1つまたは複数からデータを受信するステップを含み得る。
【0014】
ロケーション情報データは、第2の複数の位置の少なくとも1つの推定を向上し得る。一例では、ユーザーは、読み取りが不正確であると思われる場合に、隣接するGPS(もし利用可能であれば)または他のポジショニングシステムの読み取りに修正を入力できる。ユーザーはまた(あるいは代替的に)、高さ等の追加の基準データ(これは、例えば、GPSおよび類似のシステムにおいて高さの読み取りの相対的な不正確さを克服できる)を入力することができる。高さは、ユーザーが位置する建物の階層数の形態で、最も簡単に入力されてもよく、階層数は、例えば、平均/ユニバーサルな階の高さ(5メートル、10メートル、またはそれらの間のどこか等)に階層数を乗算し、そのロケーションの高さデータに加えることにより、相対的かつ概算的に高さに変換することができる、あるいは、より正確な結果を得るために、問題の建物またはロケーションに関するより詳細な情報を用いることにより、高さに変換することができる。
【0015】
信号源位置データを処理するステップは、追加的または代替的に、信号源に適用する環境要因を表す環境モデルに応じて信号検出データを処理するステップをさらに含み得る。これにより、様々な環境要因(建物の人口密度、様々な構造上の特徴の有無、壁の厚さ、表面の反射性等)を考慮することが可能となり、それによって、推定の精度を向上させることができる。この場合、この方法は、好ましくは、環境モデルの選択を表す環境モデル選択データおよび環境モデルの少なくとも1つのパラメーターの選択を表す環境モデルパラメーターデータの内の少なくとも1つを受信するステップと、環境モデル選択データおよび環境モデルパラメーターデータの内の前記少なくとも1つに応じて、信号検出データを処理するステップとをさらに含む。
【0016】
この方法は、ユーザー入力装置を介して、環境モデル選択データおよび環境モデルパラメーターデータの内の前記少なくとも1つを入力するステップをさらに含み得る。代替的に、選択データまたはパラメーターデータは、例えば、適切な知識、経験またはトレーニングを持つ調査員またはシステムオペレーターによって調査が行われた後に、他の場所に入力されてもよい。別の実施形態では、モデルまたはモデルパラメーターは、(ある適切な程度までは)自動的に得られ得る(例えば、検出装置によって、または例えば推定されたスキャニングロケーションを関連する地理データと相互参照することによって)。
【0017】
異なる環境モデルが、特定の測定可能な要因に基づいて適用され得る。例えば、スキャニングロケーションが屋内または屋外であるかに基づいて、別の環境モデルを適用してもよい(例えば、Stanford University Interim(SUI)モデル等)。
【0018】
基本的に、本明細書に記載される処理ステップに用いられる適切なデータはどれでも、スキャニングサイトにおいて(例えばハンドヘルドデバイスを用いて)、またはリモートから(スキャニングプロセスと同時に、または後の時間/日付で)、ある適切な程度までは、ユーザーによって入力され得る。
【0019】
さらに、信号源位置データを処理するステップは、好ましくは、信号検出データに基づいて、信号源の新しい推定を表すさらなる信号源位置データを生成するステップをさらに含む。さらなる信号源データ(例えば、WAP基地局の最新の推定座標のリスト)は、例えば、信号源のロケーションの以前および現在の推定の目視比較が可能となるように表示され得る。前述同様に、新しい推定データは、例えば、新しく推定されたロケーションが妥当であることをチェックするために、相互参照され得る。
【0020】
好ましくは、この方法は、信号源位置データおよびさらなる信号源位置データを処理することにより、信号源位置データに対する適切な調整を決定するステップをさらに含む。適切な調整を決定するために、例えば最小二乗推定方法を含む、任意の適切なプロセスを使用し得る。
【0021】
この方法はまた、信号検出データを処理することにより、第1の複数のロケーションにおいて検出されなかった追加の信号源のロケーションを推定するステップと、追加の信号源位置データを信号源位置データに追加するステップとをさらに含んでいてもよい。従って、スキャニングの第2のフェーズ(第2組のロケーションにおける)は、例えば、スキャニングの第1のフェーズにおいて(第1組のロケーションにおいて)発見されなかった信号源(WAP基地局等)を明らかにし得る。
【0022】
第1の複数のロケーションにおいてスキャニングを行うステップは、好ましくは、第1の複数のロケーションにおいてスキャニングを行うことにより、初期信号検出データを生成するステップであって、初期信号検出データは、第1の複数のロケーションにおいて信号源から受信した信号に関連するステップと、位置推定データを生成するために、第1のスキャニング位置データに基づいて初期信号検出データを処理するステップであって、第1のスキャニング位置データは、第1の複数のロケーションの各々の位置を表すステップとを含む。従って、源の位置の推定を容易にするために、信号源を、両方のフェーズにおいて使用することができる。
【0023】
第1の複数のロケーションにおいてスキャニングを行うステップは、(上記の)信号検出システムを用いることにより、初期信号検出データを生成するステップを含み得る。あるいは、必要に応じて、別の信号検出システムを使用してもよい。例えば、スキャニングの第1のフェーズに関しては、より高機能の車両搭載機器を使用してもよいが、スキャニングの第2のフェーズに関しては、より低機能ではあるが、より移動性の高い機器を使用してもよい。
【0024】
この方法は、第1の複数のロケーションの各々においてポジショニングシステム(これは、例えばGPSまたはAGPS、GLONASS、Beidou−2またはGallileo等のグローバルナビゲーション衛星システムである絶対ポジショニングシステムであり得る)を用いることにより、第1のスキャニング位置データを生成するステップをさらに含み得る。このポジショニングには、例えば、GPS/AGPSデバイス、セルタワーに基づく三角測量、慣性センサー、GIS、または2つ以上のこのようなサブシステムを組み合わせたハイブリッドシステムが含まれ得る。あるいは、例えば、スキャニング機器のオペレーターによるデータ入力を用いた手作業の方法を用いてもよい。例えば、各ロケーションの位置を規定するために、従来の印刷された地図を用いてもよい。ロケーションを決定するための他のプロセスは、必要に応じて、もちろん可能である。ユーザーインターフェースを設けることにより、ユーザーが、データを入力することが可能となり、それによって、GPS用のGPS支援データ等(推定位置、時間、天体位置表等)のポジショニングシステムの性能を有効にする、または向上させることができる。この方法は、動作、方向または高度に関連するパラメーターを測定する1つまたは複数の追加のセンサー、例えば、磁力計、加速度計、気圧計の1つまたは複数からデータを受信するステップを含み得る。
【0025】
ポジショニングシステムは、通常、第2の複数のロケーションにおいてよりも、第1の複数のロケーションにおいてより効果的であり得る。ポジショニングシステムは、さらに、第2の複数のロケーションの内の少なくとも1つにおいて動作不可能である場合がある(あるいは、実際には、第2の複数のロケーションの25%、50%、75%、80%、90%または95%を上回って動作不可能である場合がある)。例えば、第2の複数のロケーションは、部分的(例えば、25%、50%、75%、80%、90%または95%を上回って)または完全に屋内の場合があり、GPSおよび他の絶対/グローバルポジショニングシステムの効果的な動作が妨げられる。
【0026】
逆に、信号検出システムは、通常、第1の複数のロケーションにおいてよりも、第2の複数のロケーションにおいてより効果的であり得る。信号検出システムは、例えば、部分的に(25%、50%、75%、80%、90%または95%を上回る等)または完全に屋内または壁によって遮られていないといった、例えば、信号源に比較的近接した場合、または検出システムと信号源との間に減衰材料が存在しない場合にのみ機能する(または最も効果的に機能する)。例えば車両の通行を可能にする等の要件に拘束される第1の複数のロケーションは、一般的に、効果的な検出を可能にするには、(大部分の)信号源から離れすぎているかもしれない。
【0027】
この方法は、信号検出システムを用いて、さらなる複数のロケーションにおいてスキャニングを行うことにより、さらなる信号検出データを生成するステップと、さらなる信号検出データに基づいて信号源位置データをさらに処理するステップとをさらに含み得る。従って、位置推定の精度をさらに改善するために、スキャニングの第2のフェーズを、1回、2回、3回あるいはそれ以上の回数繰り返すことができる。
【0028】
さらなるある実施形態においては、第1または第2の(または、さらなる)複数のスキャニングロケーションにおいて、第2の(または、さらなる)信号検出システムを用いることによって、(第1の)信号検出システムを補完し、さらに、ロケーションの推定精度を向上させることができる。スキャニングの第1、第2および(任意の)さらなるフェーズは、実質的に同時期(同じ日、または同じ週等)に実施される必要は必ずしもない。
【0029】
この方法は、信号源位置データを処理することにより、信号源のマップを表すマップデータを生成するステップをさらに含み得る。「マップ」という用語は、好ましくは、少なくとも1つの地理的または他のロケーションを符号化および/または識別するデータを含むデータセットを意味する。マップは、例えば、各記録が信号源の二次元または三次元座標を提供する記録のセットでもよく、割り当てられた名称または識別子等の信号源に関するさらなるデータも含んでいてもよい。マップは、コンピュータ可読信号または媒体で具体化されてもよいし、あるいは、例えば、人間が読める形式の(例えば、従来の地理的な図面に重ね合わせられた)信号源の物理的表示でもよい。マップは、例えばGISファイル規格等の適切な任意のフォーマットで符号化され得る。
【0030】
信号源は、無線通信ネットワークにおける基地局等のワイヤレスアクセスポイントであり得る。信号源は、Wi−FiまたはWi−Max基地局、GSM(登録商標)または他のセルラー通信タワー、無線送信機またはビーコン、または他の任意の適切な電磁信号源であり得る。信号源は、例えば、一方向(単純な送信機等)または双方向(ネットワークノード等)通信を促進し得る。
【0031】
信号検出データ、信号源位置データおよび処理された信号源位置データの内の少なくとも1つが、ワイヤレスアクセスポイントを介して送信され得る。これにより、例えば、計算能力および記憶が限られたハンドヘルドデバイスと、リモートサーバーおよびデータベースとのデータ処理の分配を容易にすることができる。あるいは、全ての処理およびスキャニングの機能を、同じデバイスを用いて実行してもよい。
【0032】
スキャニングの少なくとも一部は、通常、ハンドヘルド携帯デバイスを用いて実行される。例えば、スキャニングの第2のフェーズ(第2の複数のロケーションにおける)、および任意でスキャニングの第1のフェーズ(第1の複数のロケーションにおける)もまた、特定の適用を目的にカスタマイズされた、適切に構成された携帯電話、ラップトップまたはハンドヘルドデバイス等の適切に装備されたハンドヘルドデバイスを用いて実行してもよい。
【0033】
追加的または代替的に、スキャニングの少なくとも一部は、車両に搭載された携帯デバイスを用いて実行されてもよい。例えば、少なくともスキャニングの第1のフェーズは、ハンドヘルドデバイスと比較して向上した能力および選択性を有する可能性のある車両搭載デバイスを用いて(例えば、方向アンテナを用いて)、実行されてもよい。
【0034】
この方法は、処理された信号源位置データを保存するステップと;ユーザーデバイス(携帯電話または他の携帯デバイス等)からユーザーロケーションリクエストを受信するステップであって、ユーザーロケーションリクエストは、ユーザーデバイスに関連した信号検出システム(Wi−Fi受信機等)から得られたデータを含むステップと;ユーザーロケーションリクエストデータに基づいて、保存された信号源位置データを処理することにより、ユーザーデバイスのロケーションの推定を表すユーザーロケーションデータを生成するステップと;ユーザーロケーションデータを出力するステップとをさらに含み得る。
【0035】
従って、上記の方法は、ユーザーロケーションサービスと一体化することができる。ユーザーロケーション方法は、ユーザーデバイスのロケーションを推定する際の支援を行うために、ユーザーデバイスまたはリモートサーバー(あるいは、例えばインターネットを介して)において、追加のシステムを使用してもよい。例えば、ユーザーデバイスにおける内蔵GPS受信機を使用してもよい。
【0036】
この方法は、ユーザーロケーションサービスを提供できない、またはユーザーロケーションサービスの精度が閾値を下回る1つまたは複数のロケーションを識別するステップと、前記識別されたロケーションにおいてユーザーロケーションサービスを提供する、またはその精度を向上させるために、1つまたは複数のさらなる電磁信号源の位置特定を行うステップとを含み得る。新しい信号源は、次に、さらなる第2組のロケーションにおいてスキャンされる。
【0037】
上記の方法のいずれにおいても、スキャニングは、例えば、徒歩で、車両を用いて、またはその両者によって、複数のロケーション間(第1の複数のロケーション間、および/または第2の複数のロケーション間等)を移動しているユーザーによって実行され得る。ユーザーは、いかなるタイプのハードウェアともやり取りを行うことにより、上記(または以下)の他の方法ステップのいずれをも容易にし得る。
【0038】
本発明の別の局面においては、複数の電磁信号源のロケーションを推定する方法であって、信号源位置データを入力するステップであって、信号源位置データは、第1の複数のロケーションにおけるスキャニングによって得られた前記信号源の1つまたは複数の位置の推定を表すステップと;信号検出データを入力するステップであって、信号検出データは、第2の複数のロケーションにおいて信号源から受信した信号に関連するステップと;信号検出データに基づいて、信号源位置データを処理することにより、信号源位置データにおける推定誤差を修正するステップと;処理された信号源位置データを出力するステップとを含む方法が提供される。この方法は、例えば、ネットワークまたは他の通信リンクを介して、スキャニングロケーションにおけるユーザーデバイスと通信するために動作可能なサーバー用のコンピュータコードに関連した特定の適用を見いだし得る。
【0039】
本発明のさらなる局面においては、前述のような方法を携帯ユニットに実行させるコンピュータプログラムコードを用いてプログラムされた携帯ユニットが提供される。
【0040】
本発明のさらに別の局面においては、上述のような方法を携帯ユニットに実行させるコンピュータプログラムコードを用いてプログラムされたサーバーが提供される。
【0041】
図面を参照して上に記載した本発明の実施形態は、コンピュータ機器によって行われる方法、およびコンピュータ機器も含むが、本発明は、プログラム命令、特に、キャリア上またはキャリア中の、本発明のプロセスを実行するために適合している、またはコンピュータを本発明のコンピュータ機器として動作させる、プログラム命令にも拡大適用される。プログラムは、部分的にコンパイルされた形式または本発明によるプロセスの実施での使用に適した他の任意の形式等の、ソースコード、オブジェクトコード、コード中間ソースの形式でもよい。キャリアは、プログラム命令を携行可能などのような構成要素またはデバイスでもよい。
【0042】
例えば、キャリアは、例えばCD−ROMまたは半導体ROMであるROM、または例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、またはフラッシュメモリである磁気記録媒体、光学メモリ等の記憶媒体を含み得る。さらに、キャリアは、電気または光ケーブルを介して、あるいは、無線で、または他の手段を用いて運搬され得る電気または光信号等の伝達可能なキャリアでもよい。ケーブルによって直接運搬され得る信号においてプログラムが具体化される場合には、キャリアは、このようなケーブル、あるいは他のデバイスまたは手段によって構成され得る。
【0043】
本発明の様々な局面および実施形態を別々に上に記載したが、本発明の局面および特徴のいずれも、適切であれば、他のどのような局面、実施形態または特徴とも併せて用いることができる。例えば、機器の特徴は、適切であれば、方法の特徴と置き換えることができる。
【0044】
本発明の実施形態例を、以下の図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】Wi−Fiワイヤレスアクセスポイント(WAP)信号源を用いた、ユーザーデバイスの位置特定を行うためのシステムの概略図である。
【図2】図1のシステムで使用するための、ワイヤレスアクセスポイント(WAP)の位置の位置特定を行うためのプロセスを示すフローチャートである。
【図3】図2のプロセスに従った、建物内の1組のワイヤレスアクセスポイント(WAP)のスキャニングの第1のフェーズの図である。
【図4】図2のプロセスにおけるスキャニングの第1のフェーズ後の、図3のWAPの推定位置の図である。
【図5】図3の建物内の1組のワイヤレスアクセスポイント(WAP)のスキャニングの第2のフェーズの図である。
【図6】図5に示したスキャニングの第2のフェーズ中のスキャナーの推定位置の図である。
【図7】図5のプロセスにおけるスキャニングの第2のフェーズ後の、図3のWAPの推定位置の図である。
【図8】ワイヤレスアクセスポイント(WAP)の位置を三角測量するプロセスの図である。
【図9】少なくとも図2のプロセスの第1のフェーズでの使用に適した専用スキャナーシステムの模式図である。
【図10】図2のプロセスの第1および第2のフェーズでの使用に適したハンドヘルドユニットの模式図である。
【図11】図2のプロセスによって生成されたデータを用いた、ユーザーデバイスの位置特定を行うためのシステムの概略である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
電磁信号源を位置特定するための方法およびシステムを、ユーザーデバイスで受信した信号を上記の方法およびシステムを用いて以前に収集したデータと相互参照することによってユーザーデバイスの位置特定を行うシステムに対するある特定の(ただし、排他的ではない)適用と共に記載する。従って、固定の電磁信号源のロケーションが推定される。固定の電磁信号源のロケーション推定の誤差が修正される。その結果得られる固定の電磁信号源のロケーションは、後に、(通常移動性の)ユーザーデバイスを位置特定するための基準点として使用される。
【0047】
ある特定の実施形態では、無線技術に基づくポジショニングシステムにおけるワイヤレスアクセスポイント(WAP)またはワイヤレスビーコンのロケーション(位置座標等)を動的に決定することに関連する方法が記載される。主に、本明細書に記載される無線規格は、Wi−Fiであり、ポジショニングシステムは、Wi−Fiに基づいたシステムであるが、この方法は、Bluetooth(登録商標)および無線周波数(RF)等の他の関連規格および他のシステムに、同様に適用することができる。さらに、この方法は、モバイル通信(例えば、GSMおよびCDMA等)、Wi−Max等の他の通信技術において、基地局のロケーションの決定に適用することもできる。
【0048】
Wi−Fiに基づいたポジショニングシステムにおいては、WAPの座標/ロケーションが、他の信号処理アルゴリズムと共に用いられ、それによって、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)におけるユーザーのロケーションが推定される。ここで、ユーザーは、WLAN内で移動してもよいし、あるいは不動でもよく、内蔵式または外部のWi−Fi機能を備えた任意のデバイスを有し得る。このデバイスは、セントラルサーバーと、例えばMacアドレス、信号強度、それらの座標等のWi−Fiシステムパラメーターなどのパラメーターとを交換するためにインターネットに接続する機能も有し得る。一例は、インターネットに接続するために内蔵Wi−Fiを用いる携帯電話を持つユーザーである。従って、このポジショニング方法では、ユーザーのロケーションの精度は、それぞれのWLANにおけるWAPの既知の位置精度に大きく依存する。
【0049】
上記のウォードライビングおよびウォーウォーキングは、WAPの位置を決定および/またはマッピングするためのある技術である。
【0050】
図1は、Wi−Fiワイヤレスアクセスポイント(WAP)信号源を用いた、ユーザーデバイスの位置特定を行うためのシステム例の概略図である。ユーザーデバイス102は、ユーザー(図示せず)によって操作され、Wi−Fiアダプター(これも図示せず)を含む。複数のワイヤレスアクセスポイント(WAP)104、106、108、110、112は、2つの建物114、116内のユーザーのすぐ近くの場所に位置する。信号減衰、送信能力の限界および他の要因ゆえに、WAP104、106、110、112のみが、ユーザーデバイス102のWi−Fiアダプターによって検出され得る。WAP108は、ユーザーデバイス102によって検出されない。GSM(携帯電話)マスト118および他のものもまた、存在する場合があり、これらおよび他の電磁信号源の特性もまた、測定され、ロケーション発見システムにおいて使用され得る。
【0051】
ユーザーデバイス102は、信号強度、入射角等の信号品質の観点から、またはMACアドレスまたはWAPの送信に関連する他の識別子等の信号によって運ばれるデータの観点から、信号の特定の特性を測定できる。
【0052】
このシステムは、様々な信号特性を処理し、それらの特性をデータベース中のデータと比較する。より詳細に以下に記載するように、ロケーションシステムは、関連性のあるWAP104、106、110、112の一部または全てに関連する保存データを用いて、ユーザーデバイス102および結果的にユーザーの位置をも三角測量(または別の方法で決定)できる。
【0053】
ウォードライビングおよびウォーウォーキング両方の方法の欠点を、マルチフェーズのプロセスを用い、かつ建物の内部および困難な(例えば、多くの障害物がある)環境において、WAPのロケーション座標を正確に決定するための動的かつ自己修正式の再帰的手法を用いて、実質的に克服することができる方法およびシステムを以下に記載する。WAPのロケーション座標のサーチおよび決定は、以降、それぞれ「スキャニング」および「マッピング」と呼ぶ。
【0054】
図2は、図1のシステムで使用するための、ワイヤレスアクセスポイント(WAP)の位置の位置特定を行うためのプロセスを示すフローチャートである。
【0055】
プロセスの最初のフェーズであるステップS200において、信号源(WAPからの信号)が、第1組のロケーションにおいて、スキャンされる。例えば、携帯電話、スマートフォンまたは他のデバイス等のハンドヘルドデバイスを用いて、建物の外または内側(本実施形態では)で、様々なスキャニングプロセスを用いることができる。代替のある実施形態では、ウォードライビングの手順を実行する車両の経路から第1組のロケーションが形成される。上記および以下に(例えば、図7に関連して)説明するように、スキャニングプロセス中に収集されたデータを用いて、信号源(WAP)の位置の推定が生成される。これらの推定位置は、次に、保存(ステップS202において)される。スキャニングの第1のフェーズにおいては、WAPの位置は、通常(ただし、必ずではない)、GPSまたはAGPS等のグローバルまたは絶対ポジショニングシステムの出力を、WAP信号強度(再度、より詳細に以下に記載する)を用いて、三角測量等の相対ポジショニングシステムの結果と組み合わせることによって推定される。別の実施形態においては、第1組の推定位置は、例えば、スキャニングが行われ、デバイスのユーザーインターフェースを直接用いて処理ソフトウェアへとユーザーによって入力された建物またはエリアのマップまたは設計図から単に集めてもよい。従って、このような場合、「スキャニング」という用語は、かなり広義に解釈され得る。
【0056】
プロセスの第2のフェーズであるステップS204においては、信号源(WAP信号)が、第2組のロケーションで再びスキャンされる。ある好適な実施形態では、第2組のロケーションは、フェーズ1においてウォードライビングによって少し離れてスキャンされた建物の概ね内部またはそれらの間で作用するスキャニングの経路である。他の実施形態では、スキャニングは自動化され、同じまたは異なるように構成されたウォードライビング機構によって実行され得る。スキャニングロケーションは、「現場の」オペレーターによって選択されてもよく、あるいはフェーズ1で収集された結果の分析結果として(例えば、スキャニング環境と、建物およびそれらの内部の他の構造とに関連する地理的および/または商業的データに関連して、リアルタイムで、またはスキャニング操作前に決定されてもよい。スキャニング結果は、ステップS206において記録される。
【0057】
より詳細に以下に記載するように、ユーザーは、第2組のロケーションの位置の自身の推定も記録してもよいし、あるいは、自動で得られた(例えばGPSによって)位置の推定に修正(適切である場合は)を入力してもよく、適用する環境モデルの選択および/またはそのようなモデルに使用するパラメーターも入力してもよい(より詳細に以下に説明するように)。ユーザーは、データを入力することにより、GPS用のGPS支援データ等(推定位置、時間、天体位置表等)の基準ポジショニングシステムの性能を有効にする、または向上させることもできる。ユーザーは、第2組のロケーションの一部または全ての位置をマップから入力し得る。第2組のロケーションの一部または全ての位置を入力する能力は、第1の複数のロケーションの推定ロケーションの誤差から生じた誤差を修正し得る点で特に有用となり得る。
【0058】
ステップS208において、第1組の推定WAPロケーション(または携帯電話マスト等の他の信号源のロケーション)は、スキャニングプロセスの第2のフェーズの結果を用いて処理および修正される。このプロセスを、より詳細に以下に記載する。修正された推定は、次に、ステップS210において出力される。
【0059】
第1の実施形態では、マッピングプロセスを実行するユーザーまたはユーザーのグループが、Wi−Fi機能、および好ましくは、GPS/AGPS、セルタワーに基づくポジショニング等の他のポジショニングシステム機能を備えた小型の消費者デバイス(携帯スマートフォン、ラップトップ等)または高度な電子機器(カスタマイズされたコンピュータデバイス、増幅器、アンテナ等)を有する。これらのデバイスは、例えば、加速度計、磁力計等の、ポジショニングにおいて助けとなり得る追加のセンサーを有していてもよい。これらのデバイスは、モバイルインターネットサービスプロバイダーゲートウェイによるなどの、Wi−Fi以外のインターネット接続機能も有していてもよい。
【0060】
ユーザーは、例えば、何らかのオペレーティングシステムを持つ、または持たず、マイクロコントローラ、GPS/AGPSおよびWi−Fiハードウェア機能を有する消費者モバイル機器で実行されるSatsis独占的ソフトウェアを装備していてもよい。基本的に、スキャニングの複数のフェーズを含む、本明細書に記載されるスキャニングおよびマッピングプロセスの全ては、必要に応じて上記のハードウェアを用いた、このようなソフトウェアを用いて実行できる。選択されたソフトウェアは、必要に応じて、位置座標、建物のタイプ、スキャニングを行う階などの高さ情報、都市または地方の場所のタイプ等の、スキャニング/マッピングが行われているエリア/場所に関する情報を記録するために、ユーザーの入力を用いることも可能であり得る。
【0061】
図3は、図2のプロセスに従った、建物内の1組のワイヤレスアクセスポイント(WAP)のスキャニングの第1のフェーズの図である。
【0062】
図3において、建物300は、6つのWAP302、304、306、308、310、312を含む。9つのスキャニングサイト320、322、324、326、328、330、332、334、336は、建物の周囲を囲むように選択されるが、実際には、これは、全ての辺よりも少ない数の辺の周囲にあってもよく、例えば、建物の一つまたは二つの辺に沿ってのみ存在してもよい(例えば、アクセスのしやすさに応じて)。例えば、建物のサイズおよび環境の複雑性に応じて、より多くの、またはより少ないWAPを見つけることができ、より多くの、およびより少ないスキャン(および対応するスキャニングロケーション)を用い得ることが分かるであろう。
【0063】
WAP(円で示される)は、典型的な建物内の異なる場所に配置される。本実施形態では、Wi−FiおよびGPS/AGPS機能を有するスマートフォン等の消費者デバイスを持つ上記のユーザーは、建物の周囲全体にわたる外側の異なる場所(長方形の箱で示される)からこの建物をスキャンできる。各場所で、ユーザーは、信号強度、可視WAPのMACアドレス、信号品質等のWi−FiスキャニングパラメーターおよびGPS/AGPSによるユーザー自身の位置を記録する。ユーザーは、建物の高さおよびタイプ、スキャニング場所に近い物理的な信号障害物の数およびタイプ等の、観察および/または予備的知識による他の有用な環境固有データも記録し得る。ユーザーは、利用可能であれば、ポジショニングを補助するために、デバイス上または内部の追加のセンサーからデータを記録してもよい。例えば、彼らは、磁力計から受信したヘディングデータ、気圧計からの高さ情報等を記録し得る。
【0064】
前述のように、セルタワーに基づく三角測量、慣性センサー、ユーザー位置入力、GIS等、またはこれらの技術を組み合わせた任意のハイブリッドシステム等の、GPSおよびその変形型を除く他のいかなる位置システムまたは方法を用いることよっても、ユーザーの位置を位置特定し得る。
【0065】
図3から分かるように、多数のWAPが、外側の2つ以上の場所からスキャンされ得る。例えば、WAP302、304は、3つのロケーションからスキャンされ、WAP310、312は、2つのロケーションからスキャンされ、WAP308は、1つのロケーションからスキャンされている。WAP306は、建物内の中心のロケーションであること、および外側のスキャニングロケーションからの信号の可視性に欠けることから、いずれのロケーションからもスキャンされない。
【0066】
スキャニングプロセスからの記録は、様々な信号処理アルゴリズムを用いて、デバイスにインストールされたソフトウェアによって共に処理され、それによって、異なる場所におけるユーザーロケーションと、可視ワイヤレスアクセスポイントとの距離の決定と、その後の、これらのWAPのマップの作成とが行われる。
【0067】
Wi−Fiまたは他の同等のシステムを用いたポジショニングを可能にする距離測定アルゴリズムが複数存在する。例えば、アルゴリズムには、到着時刻(TOA)、到着時間差(TDOA)、到来角(AOA)、受信信号強度(RSS)等が含まれる。ソフトウェア、モバイル機器およびWAPの技術的能力に応じて、RSSに基づく距離測定アルゴリズムが通常用いられるが、必要に応じて、他のアルゴリズムも用いることができる。
【0068】
RSSアルゴリズムにおいて、受信機(ユーザー)におけるWi−Fi信号の強度(電力)が、電波源(WAP)からの信号の送信強度との比較で測定され、自由空間における以下の数学的方程式によって得られる:
【0069】
【数1】

【0070】
式中、Pは受信電力であり、Pは送信電力であり、GおよびGは、それぞれ、受信機および送信機アンテナ利得であり、λは信号波長であり、dは、源と受信機との距離である。この方程式は、伝搬利得(PG)に関しては、
【0071】
【数2】

【0072】
として、そして、デシベル形式では、
【0073】
【数3】

【0074】
として表すことも可能である。
自由空間モデル(方程式)は、信号伝搬の不確実性ゆえに、変更を行うことなく現実世界の環境に簡単に適用することはできない。Wi−Fi信号伝搬は、信号減衰および表面反射(マルチパス効果)、建物のタイプ、移動物体および人々、送信周波数、アンテナの高さおよび偏波等の多くの要因に影響を受け得る。
【0075】
しかしながら、異なる環境および信号伝搬挙動のモデル化を試みる様々なモデルが存在し、それらによって、受信機と源との距離が決定される。例えば、異なる屋内環境に関する信号挙動を予測するために利用可能なモデルがある。屋内モデルの1つは、以下の方程式によって表現される:
【0076】
【数4】

【0077】
式中、X、nおよびdは、異なる屋内環境で異なり、経験的に決定され得るパラメーターである。例えば、典型的なハード分割されたオフィス環境に関する、X、nおよびdの値は、それぞれ、7.0、3.0および100である。
【0078】
ユーザー入力は、環境のタイプを選択し、次に、メモリに保存された上記のパラメーターの特定の値(例えば、ユーザーまたは他のオペレーターによる以前の入力)を使用するために提供され得る。あるいは、ユーザー入力が利用可能でなければ、デフォルト値をソフトウェア構成から選択できる。
【0079】
例えば屋外環境に対して利用可能なモデルもある。Stanford University Interim(SUI)モデルと呼ばれる、そのようなモデルの1つは、以下の方程式によって表現される:
【0080】
【数5】

【0081】
PLは、経路損失として記載され、他のパラメーターは、屋内モデルに関して説明したのと同様に、すなわち(例えば)、ユーザー入力によって、またはソフトウェア構成から処理され得る。
【0082】
利用可能なモデルのいずれかを用いて全ての距離が一旦決定されると、可視WAPを一つずつマッピングするために、そこからユーザーがスキャンを行った場所の基準ロケーション座標と共にそれらの処理が行われる。ある特定のWAPに関する測定(記録)の数に応じて、これらのWAPをマッピングするための様々な方法が利用可能である。1つの方法である三角測量を、図8に関連して以下に記載する。
【0083】
図4は、図2のプロセスにおけるスキャニングの第1のフェーズ後の、図3のWAPの推定位置の図である。
【0084】
図4では、WAP402、404、406、408、410、412の実際のロケーションが、実線の円で示され、推定ロケーションWAP’は、WAP402、404、408、410、412にそれぞれ対応する、重ね合わせられた、点線の円452、454、458、460、462によって示される。スキャニングの第1のフェーズでは対応する実際のWAP406は見つからなかったので、WAP’推定456は存在しない。
【0085】
WAP406は、建物の外側の9つのスキャニングロケーションのいずれにおいても、その信号可視性ゆえにマッピングされないことが再度分かる。マッピングされたWAPの精度は、スキャニング距離、環境のモデリング、ユーザー位置の精度、1つのWAPに関する建物の外側からのスキャン(測定)数、並びに各WAPに関連したそれらの場所の配置等の多くの要因に左右される。
【0086】
図5は、図3の建物内の1組のワイヤレスアクセスポイント(WAP)のスキャニングの第2のフェーズの図である。建物500において、6つのWAP502、504、506、508、510、512が再度示されている。5つの新しいスキャンサイト520、522、524、526、528が、建物の内部で、WAP間に散在(可能であれば)するように選択されている。
【0087】
上記のように、マッピングの第2のフェーズにおいて、スキャニングポイントは、マッピングを行っているユーザーが、通常GPS/AGPSの可用性を持たない建物内部に位置している。この場合、これらの5つの場所におけるユーザーの座標は、Wi−Fiポジショニング技術を用いて得られる。Wi−Fiポジショニングは、建物内のそれぞれの場所におけるマッピングされた(上記のようなスキャニングの第1のフェーズを用いて)、および他の利用可能なWAPの座標を使用する。例えば、場所524にいるユーザーは、WAP504、508、512を用いることによって、フェーズ1に関連して上記に記載したような、Wi−Fi信号強度を用いた距離測定、ユーザー入力および三角測量による等の環境モデリング等の他の信号処理アルゴリズムと共に、フェーズ1でマッピングされたWAP座標を使用することによって自身の位置特定を行う。
【0088】
ユーザー(または例えば中心のロケーションで受信した調査データを処理している他のオペレーター)は、第2組のロケーションの位置の自身の推定を入力するため、または位置の自動で得られた推定に修正(適切な場合には)を入力するため(例えば、利用可能で、かつ使用されている場合には、明らかに間違った、または過度に不正確なGPSの読み取りを修正するため)の設備を持つ。ユーザーは、データを入力することにより、利用可能で、かつ使用されている場合には、GPS用のGPS支援データ等(推定位置、時間、天体位置表等)の基準ポジショニングシステムの性能を有効にし得る、または向上し得る。ユーザーは、具体的には、高さ、または他の寸法をより正確に推定できるように、認識された高さ、または他の測定(建物における階層数等)を記録し得る。ある特定のロケーションに関してベースライン高さhが利用可能である場合には(例えば、地形図から得られたデータを用いて)、高さ推定hは、h+h×sとして計算することができ、式中、hは、階ごとの推定高さ(例えば、全体的または局所的平均に基づいて、またはスキャニングロケーションにおける建物に関する特定の知識を利用して)であり、sは、階層数(イギリスの用語で、0は地上階であり、1は1階である等)である。例えば、慣性(またはディファレンシャル)ポジショニングを用いたある実施形態では、ユーザーは、必要に応じて、慣性ポジショニングシステムの校正を可能にするために、データ(または絶対)値を入力できる。
【0089】
ユーザーは、具体的には、適用する環境モデルおよび/またはそのようなモデルと共に使用するパラメーターの選択も入力し得る(一部の可能な環境モデルおよびそれらのパラメーターの説明は以下を参照)。環境(および他のデータ)の選択は、例えば、ドロップダウンメニューまたはユーザーインターフェースにおける他の入力装置(ユーザーが携行するハンドヘルドデバイスで実行される対話型アプリケーション等)を用いて行われ得る。
【0090】
例えば、三角測量を可能にする十分なポイントまたはユーザーによって提供される位置推定がない場合は、加重平均等の他の可能な方法を用いて(必要であれば、後の段階でデータを処理するスキャナーユーザーまたはオペレーターによる手動入力を含む)、スキャニングロケーションの「最も妥当な推測」を得ることができる。
【0091】
スキャニングの第2のフェーズ中に、6つのWAP502、504、506、508、510、512の全てが、スキャニングを行っているユーザーに近いこと、および信号を減衰させる厚みのある構造壁が一般的に存在しないこと(例えば)を理由に、建物の内部からスキャンされる。多くのWAPが2つ以上の場所からスキャンされ得ることが分かる。例えば、WAP508は、ロケーション522、524、526、528からスキャンされる。フェーズ1に類似して、各場所において、ユーザーは、信号強度、可視WAPのMACアドレス、信号品質等のWi−Fiスキャニングパラメーター、およびユーザー自身の位置を再度記録する。ユーザーはまた、建物の高さおよびタイプ、スキャニング場所に近い物理的信号障害物の数およびタイプ等の、他の有用な環境固有データを、観察および/または予備知識から記録してもよい。ユーザーはまた、利用可能であれば、ヘディングを提供できる磁力計、高さ情報を提供できる気圧計等のポジショニングを補助するためのデバイス上の追加のセンサーからデータを記録してもよい。
【0092】
図6は、上記のプロセスに従った、図5に示したスキャニングの第2のフェーズ中のスキャナーの推定位置の図である。前述同様に、建物600内の6つのWAP602、604、606、608、610、612が示されている。例えば信号伝搬に影響を与える上記の要因に基づいて様々な度合で実際のスキャンサイトとは異なるスキャンサイト’620、622、624、626、628におけるスキャナーの推定位置も示されている。
【0093】
デバイスがインターネット接続を有するさらなるある実施形態では、ユーザーの座標は、セントラルウェブサーバーを用いて、Wi−Fiパラメーターをそれと交換することによっても獲得できる。この場合、セントラルウェブサーバーは、内部データベースによって、または他のインターネットリソースからユーザーのロケーションを提供するように動作可能である。場合によっては、ユーザーは、GPS/AGPS座標、並びにもし利用可能であれば他の任意のポジショニング技術も用いることができる。ユーザーは、マッピングプロセスを支援するために、座標、環境タイプ等(フェーズIに関して上記に説明したように)の情報も処理ソフトウェアに入力することができる。
【0094】
5つのスキャニングロケーションの全てからのスキャニングによって形成された記録は、Wi−Fi信号強度を用いた距離測定、ユーザー入力を用いた環境モデリング、三角測量等の異なる信号処理アルゴリズムを用いて、デバイスのソフトウェアで共に処理され、それによって、建物内部のWAPが(通常、より正確に)マッピングされる。
【0095】
図7は、図5のプロセスにおけるスキャニングの第2のフェーズ後の、図3のWAPの推定位置の模式図である。図7では、WAP702、704、706、708、710、712の実際のロケーションが、実線の円で示されており、推定ロケーションWAP’は、それぞれWAP702、704、706、708、710、712に対応する、重ね合わせられた、点線の円752、754、756、758、760、762によって示されている。
【0096】
この仮定例では、WAPの位置の推定は、WAP704(および推定WAP’754)に関する等の個々のケースにおいては、第1のフェーズ(図4に示されるような)に関しては、推定の精度が劣り得るものの、概して向上することが言える。フェーズIIは、フェーズIではマッピングされなかった、マッピングされたWAPも有する(例えばWAP706)。
【0097】
スキャニングポイントにおけるユーザーの座標(フェーズI後に、Wi−Fiポジショニングから内部で得られた)は、ユーザーの座標(GPS/AGPSを用いて外部で得られた)と比較して、正確ではない場合があるが、マッピング精度およびマッピングされたWAPの対象範囲の全体的な向上は、WAPに対するスキャニング/マッピングを行っているユーザーの近さと、その結果、フェーズIに関して上に説明した屋内信号伝搬モデルを適用することによって信号伝搬経路をより正確に予測することによってユーザーとWAPとの距離を測定できることとによって、マッピングの第2のフェーズ後に増加する。
【0098】
このマッピングプロセス全体は、WAPのマッピングされた座標において改善が見られ得る限り何度でも、対象範囲およびある程度の精度の向上のために、後続のフェーズまで延長することができる。このプロセスは、基本的にフェーズIIのものと同じであり、例えば、ある特定のサイトが特に困難な環境にあると見なされる場合(例えば、最初のスキャニングデータの検討後)には、建物の内部または外側で、以前のサイトをより多くのスキャニングロケーションを用いて再スキャンするために、反復することができる。
【0099】
図8は、ワイヤレスアクセスポイント(WAP)の位置を三角測量(二次元で)するプロセスの図である。これは、WAPの位置を推定するための可能な方法の一つである。図8では、3つのスキャニングサイト802、804、806が示されており、各々が、隣接領域808において、WAPからの信号を検出している。WAP/領域808は、各々のスキャニングサイト802、804、806から距離d、d、dだけ離れた場所にある。各サイト802、804、806は、距離dに位置する全ての点の軌跡を表す円によって囲まれている。
【0100】
ここでは、d、d、dは、上記の利用可能な距離測定モデルのいずれかから得られ、以下の方程式において、サイト802、804、806のロケーション座標と共に使用される:
【0101】
【数6】

【0102】
式中、dは距離であり、xおよびyは、WAP7のxおよびy座標であり、xsiおよびysiは、iが、1、2、・・・、nである、場所のxおよびy座標である。3つの方程式が形成され、領域808におけるWAPのxおよびy座標について解かれる。これらの方程式は、最小二乗法等の任意の利用可能な方法を用いて解くことができる。
【0103】
図8に示されるように、領域808におけるWAPのマッピングされた座標は、3つの円(サイトとWAPとの間の推定距離の軌跡)が重なり合う場所である。円同士は、距離d、d、dの測定/推定における誤差、およびスキャニングサイト802、804、806の基準(または推定)座標において起こり得る誤差が原因で、一点において重なり合わない。
【0104】
上記の二次元例は、必要に応じて、三次元へと拡大され得ることが理解されるであろう。通常、WAPの三次元位置を記録することは必要とされないが(単に、2次元位置のみ)、3次元のロケーションが必要であれば、関連の変更を行うことが可能であることが理解されるであろう。
【0105】
図9は、少なくとも図2のプロセスの第1のフェーズでの使用に適した専用スキャナーシステムの模式図である。このスキャナーは、ハンドヘルドユニット(これは、図10に関連して以下に記載するユニットと同じユニットでもよいし、そうでなくともよい)に優先して、上記の実施形態の一部または全てにおいて使用され得る。
【0106】
図9において、専用スキャナーシステム(ウォードライビング装備等)には、指向性アンテナ902(方向Wi−Fiアンテナ等)、アンテナからの信号を増幅するための増幅器904、スキャナーシステム900の基準座標を提供するためのGPS(またはAGPSまたは他の類似のユニット)906、アンテナ902、増幅器904、GPSユニット906のいずれかまたは全てからのデータの制御および/または処理および/または受信を行うためのコンピュータ908、スキャナーシステムの制御、関連データの入力および結果の表示を行うためのユーザーインターフェース910、およびスキャニングプロセスによって作成された記録を保存するためのデータ記憶装置912が含まれる。代替のある実施形態においては、ネットワークインターフェースユニット(図示せず)が設けられることにより、通信ネットワークを介してデータを送信および/または受信することが可能となり、それによって、例えば記憶装置912の必要性を除去し得る遠隔制御および/またはデータ収集が例えば可能となる。
【0107】
図10は、図2のプロセスの第1および第2のフェーズでの使用に適したハンドヘルドユニットの模式図である。
【0108】
ハンドヘルドユニットには、Wi−Fiインターフェース1002、GPSまたはAGPSユニット1004、ネットワークインターフェース1006(これは、スキャナーの完全に局所的な操作に関しては、場合により存在しなくともよい)、プロセッサ(またはマイクロコントローラまたは他のコンピュータ化されたデバイス)1008、ユーザーインターフェース1010およびデータ記憶装置1012が含まれる。このユニットは、図9に関連して上に記載したデバイスと比較して、選択性、信号増幅および/または処理能力または記憶容量が少ないが、一方で、よりポータブルで、その結果、スキャニングを必要とするいずれのWAPに対してもより近く接触することがより簡単な場合がある。さらなるある実施形態においては、ハンドヘルドユニットは、例えばスキャニングの第2のフェーズの間のみ使用される場合には、GPS/AGPSユニット1004の省略または動作の停止を行ってもよい。
【0109】
さらなるある実施形態では、図9に関連して上に記載したスキャナーシステム900と図10に関連して上に記載したハンドヘルドユニット1000との両方の特徴を混合させたスキャナーユニットが設けられてもよい。
【0110】
図11は、図2のプロセスによって生成されたデータを用いた、ユーザーデバイスの位置特定を行うためのシステムの概略である。
【0111】
図11では、ユーザーデバイス1100(例えば、上記のハンドヘルドデバイス1000または他の任意のデバイス等)、電気通信網(携帯電話ネットワーク等)1102、ロケーションサーバー1104およびWAPロケーションデータベース1106(これは、ロケーションサーバー1104と一体化され得る)が示されている。
【0112】
使用する際は、ユーザーが、ユーザーデバイス110にロケーションリクエスト1150を電気通信網1102へと送信させる(例えば、携帯電話のサービスを利用して)。リクエスト1150には、通常、付近のWAPから検出された信号の特性等(上記のフェーズIおよびIIに関して上に記載したようなもの等)の、ユーザーデバイス1100で受信されたデータが含まれ得る。従って、リクエスト1150には、例えば、付近のWAPの信号強度およびMACアドレス(および/またはセルタワー信号等)の詳細が含まれ得る。
【0113】
リクエスト1152(通常、最初のリクエスト1150と同じ)は、ネットワーク1102からロケーションサーバー1104へと渡される。ロケーションサーバー1104は、次に、リクエスト1152を処理し、その際に、WAPルックアップリクエスト1154を用いて、ロケーションデータベース1106に問い合わせを行い、それによって、ロケーションリクエスト1152に関連するWAPデータを指定する。次に、データベース1106は、リクエストされたデータ1156をサーバー1104へと戻す。サーバーは、受信したリクエストデータ1152と併せてデータ1156の処理を完了し、それによって、ロケーションデータ1158の形態でユーザーデバイス1100に送り返されるロケーション推定が生成される。ネットワークは、ロケーションデータ1160(通常、データ1158と同じ)をユーザーデバイス1100へと転送する。ユーザーデバイスは、次に、ロケーションデータ1160を処理することにより、ロケーション推定の読み出し(そして、例えば表示)を行うことができる。
【0114】
図11に関して上に記載したシステムは、例えば上記のフェーズIおよびIIと併せて、最初の「発見」フェーズにおいて使用することもできる。サーバー1104は、例えば、追加的または代替的にソフトウェアを作動させることによって、スキャニングデータを処理して上記の様々な推定を生成し得る。
【0115】
幾つかの応用では、さらなる電磁信号源(例えば、Bluetoothビーコン)の位置特定を行うことによって、1つまたは複数のロケーションにおいてユーザーデバイスに提供されるロケーションデータの精度を向上させることが有利である場合には、スキャニングの第2のフェーズ中に得られたデータを用いることにより、1つまたは複数のロケーションを決定し得る。さらなる電磁信号源は、次に、それによって決定されたロケーションにおいて提供され得る。本発明によるスキャニングのさらなるフェーズは、次に、新しく配置された電磁信号源の周囲の複数のロケーションにおいて行われ得る。
【0116】
例えば、ユーザーデバイスに対して完全にローカル接続であるロケーションシステム(例えば、ユーザーデバイスにおける全ての関連データおよび処理能力を含む)、および種類の豊富な様々な異なるネットワーク(例えば、1つまたは電気通信網に限定されない)を介して通信するデバイスを含む、上記の位置ロケーションシステムの他の適用がもちろん可能であることが理解されるであろう。
【0117】
要約すれば、マルチフェーズの自己修正式マッピングプロセスを用いて、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)におけるワイヤレスアクセスポイント(WAP)の位置座標を決定する方法を記載した。WAPは、通常、各WLANにおけるWi−Fiアクセスポイントであるが、別のWi−Fiに基づいた位置システムの他のWAPでもよい。この方法およびシステムは、例えば消費者モバイル機器において完全に実現され得る、または同じ目的を達成するために、リモートコンポーネントおよびソフトウェア(Wi−Fi、携帯電話または他のネットワーク等の何らかの通信ネットワークの形態を介して接続されたセントラルサーバー等)に依存し得る。
【0118】
本発明を特定の実施形態に関連して上に記載したが、変更形態が本発明の精神および範囲内に存在することが当業者には明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電磁信号源のロケーションを推定する方法であって、
第1の複数のロケーションにおいてスキャニングを行うことにより、信号源位置データを生成するステップであって、前記信号源位置データは、前記信号源の1つまたは複数の位置の推定を表すステップと、
信号検出システムを用いて第2の複数のロケーションにおいてスキャニングを行うことにより、信号検出データを生成するステップであって、前記信号検出データは、前記第2の複数のロケーションにおいて前記信号源から受信した信号に関連するステップと、
前記信号検出データに基づいて前記信号源位置データを処理することによって、前記信号源位置データにおける推定誤差を修正するステップと、
前記処理された信号源位置データを出力するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記信号源位置データを処理するステップは、前記信号検出データを用いることにより、前記第2の複数のロケーションの位置を推定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の複数のロケーションに関する情報を表すロケーション情報データを受信するステップをさらに含み、前記信号源位置データを処理するステップは、前記ロケーション情報データを用いることにより、前記第2の複数のロケーションの位置を推定するステップをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ロケーション情報データは、前記第2の複数のロケーションの少なくとも1つの位置のユーザー推定を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ユーザー入力装置を介して前記ロケーション情報データを入力するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記信号源位置データを処理するステップは、前記信号源に適用する環境要因を表す環境モデルに応じて前記信号検出データを処理するステップをさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
環境モデルの選択を表す環境モデル選択データおよび前記環境モデルの少なくとも1つのパラメーターの選択を表す環境モデルパラメーターデータの内の少なくとも1つを受信するステップと、前記環境モデル選択データおよび前記環境モデルパラメーターデータの内の前記少なくとも1つに応じて、前記信号検出データを処理するステップとをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ユーザー入力装置を介して、前記環境モデル選択データおよび環境モデルパラメーターデータの内の少なくとも1つを入力するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記信号源位置データを処理するステップが、前記信号検出データに基づいて、前記信号源の新しい推定を表すさらなる信号源位置データを生成するステップをさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記信号源位置データおよび前記さらなる信号源位置データを処理することにより、前記信号源位置データに対する適切な調整を決定するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記信号検出データを処理することにより、前記第1の複数のロケーションにおいて検出されなかった追加の信号源のロケーションを推定するステップと、追加の信号源位置データを前記信号源位置データに追加するステップとをさらに備えた、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の複数のロケーションにおいてスキャニングを行うステップが、
前記第1の複数のロケーションにおいてスキャニングを行うことにより、初期信号検出データを生成するステップであって、前記初期信号検出データは、前記第1の複数のロケーションにおいて前記信号源から受信した信号に関連するステップと、
前記位置推定データを生成するために、第1のスキャニング位置データに基づいて前記初期信号検出データを処理するステップであって、前記第1のスキャニング位置データは、前記第1の複数のロケーションの各々の位置を表すステップと、
を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の複数のロケーションにおいてスキャニングを行うステップが、前記信号検出システムを用いることにより、前記初期信号検出データを生成するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の複数のロケーションの各々においてポジショニングシステムを用いることにより、前記第1のスキャニング位置データを生成するステップをさらに含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ポジショニングシステムは、通常、前記第2の複数のロケーションにおいてよりも、前記第1の複数のロケーションにおいてより効果的である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記信号検出システムは、通常、前記第1の複数のロケーションにおいてよりも、前記第2の複数のロケーションにおいてより効果的である、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
信号検出システムを用いて、さらなる複数のロケーションにおいてスキャニングを行うことにより、さらなる信号検出データを生成するステップと、前記さらなる信号検出データに基づいて前記信号源位置データをさらに処理するステップとをさらに含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記信号源位置データを処理することにより、前記信号源のマップを表すマップデータを生成するステップをさらに含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記信号源が、無線通信ネットワークにおける基地局等のワイヤレスアクセスポイントである、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記信号検出データ、前記信号源位置データおよび前記処理された信号源位置データの少なくとも1つが、前記ワイヤレスアクセスポイントを介して送信される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記スキャニングの少なくとも一部が、ハンドヘルド携帯デバイスを用いて実行される、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記スキャニングの少なくとも一部が、車両に搭載された携帯デバイスを用いて実行される、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記処理された信号源位置データを保存するステップと、
ユーザーデバイスからユーザーロケーションリクエストを受信するステップであって、前記ユーザーロケーションリクエストは、前記ユーザーデバイスに関連する信号検出システムから得られたデータを含むステップと、
前記ユーザーロケーションリクエストデータに基づいて、前記保存された信号源位置データを処理することにより、前記ユーザーデバイスのロケーションの推定を表すユーザーロケーションデータを生成するステップと、
前記ユーザーロケーションデータを出力するステップと、
をさらに含む、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記スキャニングが、複数のロケーション間を移動しているユーザーによって実行される、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
複数の電磁信号源のロケーションを推定する方法であって、
信号源位置データを入力するステップであって、前記信号源位置データは、第1の複数のロケーションにおけるスキャニングによって得られた前記信号源の1つまたは複数の位置の推定を表すステップと、
信号検出データを入力するステップであって、前記信号検出データは、第2の複数のロケーションにおいて前記信号源から受信した信号に関連するステップと、
前記信号検出データに基づいて、前記信号源位置データを処理することにより、前記信号源位置データにおける推定誤差を修正するステップと、
前記処理された信号源位置データを出力するステップと、
を含む方法。
【請求項26】
請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムコードを明白に具体化するコンピュータ可読媒体。
【請求項27】
請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法を携帯ユニットに実行させるコンピュータプログラムコードを用いてプログラムされた携帯ユニット。
【請求項28】
請求項25に記載の方法を前記携帯ユニットに実行させるコンピュータプログラムコードを用いてプログラムされたサーバー。
【請求項29】
実質的に図1〜11を参照して本明細書に記載したような方法。
【請求項30】
実質的に図1〜11を参照して本明細書に記載したような装置。

【図8】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2013−515952(P2013−515952A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545453(P2012−545453)
【出願日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【国際出願番号】PCT/GB2010/052206
【国際公開番号】WO2011/077166
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(512073552)センスウェア・リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】SENSEWHERE LIMITED
【Fターム(参考)】