説明

電磁弁

【課題】 従来の電磁弁は、可動コアに横孔を開ける必要があるため、可動コアに対する穴開け加工時に方向転換、再チャックが必要であり、高コストとなるという課題があった。また、圧力キャンセル通路が、電磁弁の外部に設置されるホースを通る構造であり、体格、コストの面で不利であるという課題があった。
【解決手段】 燃料タンク密閉システムに組み込まれる電磁弁3において、ハウジングの中空部を、ダイヤフラム27によって、流路孔29に連通するチャンバー室(バルブ内連通室31、バルブ外連通室32)と、ハウジングの外部から遮断された圧力キャンセル室33とに隔離している。そして、ハウジング内に形成される圧力キャンセル室33を、圧力キャンセル通路(複数の貫通孔73、貫通孔84、連通路77)を介して、流路孔29、入口ポート52や出口ポート54と連通するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁弁に関するもので、特に電磁弁に係わる。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来より、燃料タンクからの蒸発燃料(エバポガス)をキャニスタに導き、キャニスタ内に収納された吸着剤に蒸発燃料を吸着し、その後パージ制御弁を開弁している間に、キャニスタ内で吸着された蒸発燃料を内燃機関(エンジン)の吸気管内に吸気負圧を利用して導入(パージ)することで、蒸発燃料が大気中へ放出されるのを防止する蒸発燃料処理装置が知られている。
ここで、電磁弁の一例として、蒸発燃料処理装置に組み込まれる電磁弁が公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この電磁弁(従来例1)は、図6に示したように、ハウジング101のバルブシート102に着座可能な非磁性体製のバルブ103と、このバルブ103のバルブシート104に着座可能な非磁性体製のバルブ105と、軸線方向に延びる非磁性体製のシャフト106と、このシャフト106を介して、少なくともバルブ105と一体移動可能に連結した磁性体製の可動コア107、この可動コア107を摺動可能に支持する磁性体製の固定コア(ステータコア108、マグネチックプレート109)、および電力の供給を受けると可動コア107をステータコア108の吸引部側に引き寄せる磁力を発生するコイル110を有する電磁アクチュエータとを備えている。
【0004】
そして、ハウジング101とバルブ103との間には、バルブ103を開弁方向に付勢するスプリング111が設置されている。また、可動コア107とピース112との間には、バルブ105を閉弁方向に付勢するスプリング113が設置されている。バルブ105には、軸線方向に伸縮可能な蛇腹状円筒部を有するベローズ114が一体成形されている。このベローズ114の内部には、シャフト106の外周に嵌合したリテーナ115が収容されている。ベローズ114のアクチュエータ側に形成される環状の外周縁(フランジ)は、ハウジング101とマグネチックプレート109との間に挟み込まれている。 これにより、ベローズ114は、シャフト106およびリテーナ115の周囲を周方向に取り囲むようにハウジング101の中空部(バルブ室)内に収容されている。
【0005】
ところで、バルブ105は、ベローズ114の伸縮動作に対応して開閉動作を行うように構成されている。例えばバルブ105がバルブ103のバルブシート104から離脱する開弁動作時に、バルブ105の前後圧力差(ベローズ114の内外圧力差)が大きいと、ベローズ114が円滑に収縮できず、バルブ105が開弁しなくなってしまう。
そこで、電磁弁には、バルブ105の前後圧力差(ベローズ114の内外圧力差)をキャンセルする圧力キャンセル機構が設置されている。
【0006】
圧力キャンセル機構は、ベローズ114の内部空間とハウジング101の流体流路116とを圧力キャンセル通路で連通することで構成される。これにより、ベローズ114は、アクチュエータ側で開口した開口部を介して、ベローズ114の内部と外部との間で流体を出し入れすることで、軸線方向に円滑に伸縮動作を行う。したがって、バルブ105は、ベローズ114の変位に応じて開閉動作を行うことができる。
電磁弁の圧力キャンセル通路は、図6に示したように、ステータコア108の開口部121、可動コア107とステータコア108とのクリアランス122、スプリング室123、ピース112の連通孔124、ピース112の内部空間125、樹脂モールド126の圧力抜き孔、ホース127の内部流路等により構成される。
ここで、電磁弁は、ベローズ114の伸縮動作にダンパ効果の役割を与えて作動音を低減するという目的で、ベローズ114の内部空間から圧力キャンセル通路に至る流路断面積を途中で絞ることによって、ダンパ効果を持たせ、作動音を低減している。
【0007】
一方、電磁弁の他の例として、圧力キャンセル機構を備えた電磁式空気制御弁(電磁弁)が公知である(例えば、特許文献2参照)。
この電磁弁は、図7に示したように、弁本体201の弁座202に着座可能な弁体203と、この弁体203を支持する弁体支持部材204と、弁体203および弁体支持部材204と一体移動可能に連結した磁性体製の可動コア205、この可動コア205を摺動可能に支持する磁性体製の固定コア(ステータコア206、ハウジング207)、および電力の供給を受けると可動コア205をステータコア206の吸引部側に引き寄せる磁力を発生するコイル208を有する電磁アクチュエータとを備えている。
そして、弁体203と調整ネジ209との間には、弁体203、弁体支持部材204および可動コア205を開弁方向に付勢するスプリング211が設置されている。また、可動コア205とステータコア206との間には、弁体203、弁体支持部材204および可動コア205を閉弁方向に付勢するスプリング212が設置されている。
【0008】
電磁弁には、弁本体201の中空部を圧力キャンセル室213と空気流路214とに隔離した環状のダイヤフラム215が設置されている。このダイヤフラム215は、その中心に環状の中央部を有し、その外方に環状の外周部を備えるものである。
この電磁弁においては、ダイヤフラム215の中央部を、弁体203と可動コア205とで挟持し、ダイヤフラム215の外周部を、弁体203とハウジング207との当接部にて挟持して圧力キャンセル室213を形成することで、弁本体201の中空部内にダイヤフラム215を容易に組み付けることができる。
電磁弁の圧力キャンセル機構は、弁体支持部材204の圧力孔221、可動コア205の圧力孔222を介して、圧力キャンセル室213と空気流路214が連通している。弁体支持部材204の圧力孔221は、弁体支持部材204をその軸線方向に貫通する縦孔により構成されている。可動コア205の圧力孔222は、可動コア205の軸線方向に延びる有底の縦孔と、可動コア205の軸線方向に対して垂直な方向に延び、圧力キャンセル室213に臨む横孔により構成されている。
【0009】
[従来の技術の不具合]
ところが、特許文献1に記載の電磁弁(従来例1)においては、可動コア107の応答性を遅くするための構成であり、制御応答性を向上させたい場合にはそぐわない。
ベローズ114の内部空間の流体は、可動コア107とステータコア108との間の狭いクリアランス122を通って圧力キャンセル通路(スプリング室123、連通孔124、内部空間125、圧力抜き孔、ホース127の内部流路等からなる)へ行かなければいけない。また、圧力キャンセル通路が、電磁弁の外部に設置されるホース127を通る構造であり、体格、コストの面で不利であるという問題があった。
【0010】
また、特許文献2に記載の電磁弁(従来例2)においては、可動コア205に横孔を開ける必要があるが、横孔は可動コア205の軸方向孔(中心孔)に対して垂直な径方向に形成されているため、可動コア205に対する穴開け加工時に方向転換、再チャックが必要であり、高い製造コストがかかってしまうという問題があった。
また、可動コア205の奥側に圧力キャンセル通路が開いていないが、磁気回路の効率を上げるために可動コア205と固定コア(ステータコア206、ハウジング207)との間の隙間(クリアランス)を図7よりも小さくした場合、バルブ作動時に奥側の流体(エア、油等)が小さいクリアランスを通って圧力キャンセル室213に流れ込む必要があるので、ダンパ効果が発生してしまい、コイル208への通電を開始してから弁体203が実際に開き始めるまでの経過時間(開弁応答時間)が増加してしまうという問題があった。
【0011】
上記の問題を解消するという目的で、可動コア205の中心の通路を可動コア205の弁体側(図示下端側)の空間と奥側の空間とを連通するように可動コア205をその軸線方向に貫通する貫通孔とする構造が考えられるが、圧力キャンセル通路との両立をさせるためには、上記同様横孔を開けることによるコストアップを避けることができないという問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006−258135号公報
【特許文献2】特開平11−13604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、低コストで、圧力キャンセル構造を構成することのできる電磁弁を提供することにある。また、バルブ部材の制御応答性(開弁応答性または閉弁応答性)を向上させることのできる電磁弁を提供することにある。また、圧力キャンセル機構の体格を小型化(コンパクト化)して車両等への搭載性を向上することのできる電磁弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載の発明(電磁弁)は、流体が流れる流路をその軸線方向に往復移動して開閉するバルブ部材と、電力の供給を受けると可動コアを引き寄せる磁力を発生するコイルを有するアクチュエータとを備えている。
アクチュエータは、コイルに発生する磁力によって軸線方向に移動してバルブ部材を(開弁方向または閉弁方向に)駆動する可動コアを有している。
電磁弁は、バルブ部材と可動コアとの間に設置された中間部材と、バルブ部材、可動コアおよび中間部材を一体移動可能に連結する連結部材と、バルブ部材、可動コア、中間部材および連結部材を往復移動可能に収容するハウジングとを備えている。
【0015】
ハウジングは、アクチュエータとの間に、流路に連通する中空部を有している。
バルブ部材または中間部材は、ハウジングの中空部内を、流路と連通可能なチャンバー室と外部に対して遮断されたキャンセル室と(からなる2つの部屋(空間))に区画形成する区画形成手段(例えば膜状のダイヤフラムまたは蛇腹状のベローズ等)を有している。
区画形成手段は、その(中央部を)軸線方向(膜厚方向、前後方向、区画形成方向、肉厚方向、板厚方向、蛇腹方向、筒方向、中心線方向)に貫通する貫通孔を有している。
中間部材は、可動コアとの間に連通路を有している。この連通路は、区画形成手段の貫通孔およびチャンバー室を介して、流路とキャンセル室とを連通する。
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、区画形成手段に、チャンバー室に連通する貫通孔を形成し、且つ中間部材と可動コアとの間に、貫通孔およびチャンバー室を介して、流路とキャンセル室とを連通する連通路を形成することにより、キャンセル室と流路とを連通することで、バルブ部材の前後圧力差(および区画形成手段の前後圧力差)をキャンセルする圧力キャンセル通路の途中を絞ることなく、また、可動コアへの加工を追加することなく、キャンセル室と流路との間で流体を流通させることが可能となる。
これにより、低コストで(コストアップすることなく)、バルブ部材(または区画形成手段)の前後圧力差をキャンセルする圧力キャンセル構造を構成することができる。
【0017】
また、バルブ部材、区画形成手段および中間部材を、ハウジングの内部に往復移動可能に収容したことにより、圧力キャンセル通路がハウジングの外部のホースを通る構造ではなく、ハウジングの内部に形成される。これにより、従来の技術と比べて、圧力キャンセル機構の体格を小型化(コンパクト化)できるので、電磁弁全体の体格を小型化することができる。これにより、例えば車両に対する電磁弁の搭載性を向上することができる。
また、可動コアと固定コアとの間に形成されるクリアランスと比べて大きい圧力キャンセル通路を通ることができるので、バルブ部材を軸線方向に往復移動させる際に移動速度が遅くなるダンパー効果が発生することはなく、バルブ部材の制御応答性(開弁応答性または閉弁応答性)を最大限早くすることが可能となる。なお、キャンセル室の流体も速やかに流通させることができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、貫通孔とチャンバー室と連通路とからなる3つの空間(通路)が、流体が流れる流路とキャンセル室とを連通する圧力キャンセル通路を構成する。
請求項3に記載の発明によれば、可動コアおよびバルブ部材に対して、中間部材が別体部品で構成されている。これにより、可動コアを磁性体で形成(製造)し、中間部材を非磁性体で形成(製造)することができる。
請求項4に記載の発明によれば、流路の開口周縁に着座可能な弁体(例えばゴムバルブ)、およびこの弁体を支持(保持)する(有底)筒状の弁体支持部材(例えばバルブホルダー)を有するバルブ部材を備えている。
弁体は、弁体支持部材の外周に固定されている。
ここで、ハウジング(例えばバルブケース)に形成される流路(孔)の開口周縁に環状のバルブシートが設けられている場合、弁体は、ハウジングに対して相対移動可能に設置されて、バルブシートに対して着座、離脱して流路(孔)を閉鎖、開放する。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、中間部材が当接する当接面で開口し、この開口側から軸線方向の奥側まで延びる圧入孔を有する可動コアを備えている。
中間部材は、可動コアの圧入孔と同一軸線上に位置し、且つ(中間部材の中央部を)軸線方向に貫通する第1挿通孔を有している。
弁体支持部材は、可動コアの圧入孔および中間部材の第1挿通孔と同一軸線上に位置し、且つ(弁体支持部材の中央部を)軸線方向に貫通する第2挿通孔を有している。
請求項6に記載の発明によれば、圧入孔に圧入される基部、第1挿通孔の孔径および第2挿通孔の孔径よりも外径が小さく、第1、第2挿通孔をその軸線方向に貫通する軸部、および第1、第2挿通孔の孔径よりも外径が大きい鍔部を有する連結部材を備えている。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、可動コアの軸線方向に貫通して可動コアの軸線方向の前後空間を連通する軸方向孔を有している。
中間部材は、可動コアの圧入孔と同一軸線上に位置し、且つ(中間部材の中央部を)軸線方向に貫通する(十字状の)第1挿通孔を有している。
弁体支持部材は、可動コアの圧入孔および中間部材の第1挿通孔と同一軸線上に位置し、且つ(弁体支持部材の中央部を)軸線方向に貫通する第2挿通孔を有している。
請求項8に記載の発明によれば、連結部材の軸線方向に貫通して連結部材の軸線方向の前後空間を連通する中心孔、可動コアの軸方向孔に圧入される基部、第1、第2挿通孔の孔径よりも外径が小さく、第1、第2挿通孔をその軸線方向に貫通する軸部、および第1、第2挿通孔の孔径よりも外径が大きい鍔部を有している。
【0021】
請求項9に記載の発明によれば、可動コアを摺動可能に支持すると共に、コイルの内周側に磁路を形成する固定コア、可動コアに対して、バルブ部材を流路を閉じる側へ付勢するスプリング、およびこのスプリングを収容するスプリング室を有するアクチュエータを備えている。
中心孔は、チャンバー室とスプリング室とを連通している。
ここで、磁気回路の効率を上げるために可動コアと固定コアとの間のクリアランスを小さくした場合であっても、弁体作動時に可動コアの奥側の流体(エア、油等)が小さいクリアランスを通る必要がなく、大きい中心孔を通ることができるので、バルブ部材を軸線方向に往復移動させる際に移動速度が遅くなるダンパー効果が発生することはなく、バルブ部材の制御応答性(開弁応答性または閉弁応答性)を最大限早くすることが可能となる。なお、キャンセル室の流体も速やかに流通させることができる。
【0022】
請求項10に記載の発明によれば、アクチュエータとの間に中空部を形成するハウジングを、内部に可動コアを収容する(有底)筒状のソレノイドケースと、内部にバルブ部材を収容する筒状のバルブケースとからなる2つの分割ケースにより構成している。
なお、ソレノイドケースは、例えば絶縁性を有する樹脂材または金属材によって一体的に構成されて、バルブケースの周囲を周方向に取り囲む筒状の周壁部を有している。
バルブケースは、例えば絶縁性を有する樹脂材または金属材によって一体的に構成されて、ソレノイドケースとの結合部が気密シールされている。
【0023】
請求項11に記載の発明によれば、例えば弾性変形が可能なゴム系弾性体(合成ゴム)によって環状の区画形成手段を形成しても良い。そして、環状の区画形成手段の外周端縁は、ソレノイドケースとバルブケースとの間に挟み込まれて保持(支持)されている。また、環状の区画形成手段の内周端縁は、中間部材とバルブ部材との間に挟み込まれて保持(支持)されている。
請求項12に記載の発明によれば、可動コアを摺動可能に支持すると共に、コイルの内周側に磁路を形成する固定コア(例えばステータコア)を有するアクチュエータを備えている。
なお、そのアクチュエータに、コイルの外周側に磁路を形成する固定コア(例えばヨーク)を追加しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】蒸発燃料処理装置(燃料タンク密閉システム)を示した構成図である(実施例1)。
【図2】電磁タンク密閉弁に適用された電磁弁を示した断面図である(実施例1)。
【図3】(a)は(b)のA−A断面図で、(b)は電磁弁の主要構造を示した断面図である(実施例1)。
【図4】(a)はリングカラーを示した正面図で、(b)は(a)のB−B断面図である(実施例1)。
【図5】電磁タンク密閉弁に適用された電磁弁を示した断面図である(実施例2)。
【図6】電磁弁の主要構造を示した断面図である(従来例1)。
【図7】電磁弁を示した断面図である(従来例2)。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
本発明は、低コストで、圧力キャンセル構造を構成するという目的、また、バルブ部材の制御応答性(開弁応答性または閉弁応答性)を向上させるという目的、また、圧力キャンセル機構の体格を小型化(コンパクト化)して車両等への搭載性を向上するという目的を、膜状のダイヤフラムまたは蛇腹状のベローズに、チャンバー室に連通する貫通孔を形成し、且つ中間部材と可動コアとの間に、貫通孔およびチャンバー室を介して、流路とキャンセル室とを連通する連通路を形成することにより、キャンセル室と流路とを連通すると共に、バルブ部材、ダイヤフラムおよび中間部材を、ハウジングの内部に往復移動可能に収容したことで実現した。
【実施例1】
【0026】
[実施例1の構成]
図1ないし図4は本発明の実施例1を示したもので、図1は蒸発燃料処理装置を示した図で、図2および図3は電磁タンク密閉弁に適用された電磁弁を示した図で、図4はリングカラーを示した図である。
【0027】
本実施例の蒸発燃料処理装置は、燃料タンク1とキャニスタ2との間に設置された電磁弁3を閉弁することで燃料タンク1を密閉可能な燃料タンク密閉システムを備えている。この燃料タンク密閉システムは、内燃機関(エンジン)と電動機(モータ)とを動力源として走行するハイブリッド自動車等の車両に搭載されている。
燃料タンク密閉システムは、燃料タンク1、キャニスタ2、電磁弁3、パージ制御弁4、エアフィルタ5およびキャニスタ制御弁6を備え、エンジンの各気筒毎の燃焼室に連通する吸気管7に接続されている。
【0028】
ここで、エンジンとして、複数の気筒を有する多気筒ガソリンエンジンが採用されている。但し、多気筒ガソリンエンジンに限定されず、単気筒ガソリンエンジンを適用しても構わない。
エンジンは、エアクリーナ(内燃機関のエアクリーナ)で濾過された清浄な吸気とインジェクタより噴射された燃料との混合気を燃焼室内で燃焼させて得られる熱エネルギーによりエンジン出力を発生するものである。
エンジンには、エアクリーナを通過した吸気が流れる吸気通路を形成する吸気管7、および燃焼室から排出された排気ガスが流れる排気通路を形成する排気管(図示せず)が接続されている。なお、吸気管7内には、エンジンの各気筒毎の燃焼室内に連通する吸気通路内を流れる吸気の流量を調整する吸気絞り弁(スロットル弁)8が設けられている。
【0029】
燃料タンク1は、接続配管11を介して、キャニスタ2の入口ポートと連通している。なお、接続配管11の途中には、電磁弁3が設けられている。燃料タンク1には、燃料タンク1内の圧力(タンク内圧)を検出する圧力センサ(タンク内圧センサ:図示せず)が設けられている。
キャニスタ2は、接続配管12を介して、吸気管7のパージガス導入ポートと連通している。この接続配管12は、スロットル弁8よりも吸入空気流方向の下流側(エンジンの吸気ポート側)に接続されている。なお、接続配管12の途中には、蒸発燃料(エバポガス、パージガス)のパージ量を調整するためのパージ制御弁(パージ・コントロール・バルブ)4が設けられている。
【0030】
キャニスタ2内には、蒸発燃料を吸着する吸着体(例えば活性炭等)13が収納されている。このキャニスタ2の大気開放孔には、大気に開放された大気開放配管14が接続されている。この大気開放配管14の外気導入ポートには、キャニスタ2内に流入する空気を濾過するエアフィルタ5が設けられている。このエアフィルタ5は、大気開放配管14の入口部(大気開放孔)から流入する空気は通過可能であるが、空気に混入した異物を捕捉して、吸気管7内への異物の侵入を防止するものである。
大気開放配管14の途中には、必要に応じてキャニスタ2の大気開放孔を閉塞するキャニスタ制御弁6が設けられている。このキャニスタ制御弁6は、常開型の電磁式開閉弁であるキャニスタ・コントロール・バルブである。
【0031】
本実施例では、燃料タンク密閉システムを搭載したハイブリッド自動車がモータで走行中は、吸気管7の吸気通路内に負圧が発生しないので、キャニスタ2内の吸着体13が吸着した蒸発燃料を吸気管7の吸気通路内に送り込むことができない。したがって、キャニスタ2内の吸着体13が蒸発燃料を吸着し過ぎてオーバーフローするのを防止するために、燃料タンク1とキャニスタ2との間に設置した電磁弁3を閉弁(全閉)して燃料タンク1を封鎖(密閉)する。
【0032】
また、燃料タンク密閉システムでは、燃料タンク1に燃料を給油する時、開口スイッチ(図示せず)等が設けられた給油口開口レバー(図示せず)を運転者(ドライバー)が操作することで、燃料タンク密閉システムを制御するエンジン制御ユニット(電磁弁制御装置:電子制御装置:ECU)に開口信号が入力され、開口信号を入力したECUは、電磁弁3を開弁(全開)する。これにより、燃料タンク1とキャニスタ2とを接続する接続配管11が連通するので、燃料タンク1の圧力を大気圧まで低下でき、燃料給油口のキャップを開口しても、燃料タンク1から燃料給油口を通して蒸発燃料が外気(大気)に放出するのを防止できる。
【0033】
次に、本実施例の電磁弁3の詳細を図1ないし図4に基づいて説明する。
電磁弁3は、蒸発燃料処理装置の一種である燃料タンク密閉システムに組み込まれている。なお、蒸発燃料処理装置とは、燃料タンク1内で蒸発気化(揮発)した蒸発燃料をキャニスタ2を経由して吸気管7の吸気通路内へ吸気負圧を利用して導入(パージ)することで、蒸発燃料が大気中へ放出されることを防止する蒸発燃料処理システムのことである。
【0034】
電磁弁3は、燃料タンク密閉システムの接続配管11の途中に結合されたハウジングを備えている。このハウジングは、バルブアッシーを内蔵する合成樹脂製のバルブケース(第1モールド樹脂ケース)21と電磁アクチュエータを内蔵する合成樹脂製のソレノイドケース(第2モールド樹脂ケース)22とからなる2つの分割ケースによって構成されている。
電磁弁3は、バルブケース21の結合端面とソレノイドケース22の結合端面とを接合した状態で、バルブケース21とソレノイドケース22とをかしめ固定または締結固定することで、各ケースに内蔵されるバルブアッシーと電磁アクチュエータとが結合一体化される。
【0035】
バルブアッシーは、バルブケース21、バルブ部材(ゴムバルブ23、バルブホルダー24)、カラープレート25、シャフト26およびダイヤフラム27を備えている。
バルブケース21には、ゴムバルブ23が着座可能な円環状のバルブシート(弁座)28が形成されている。このバルブシート28の内部には、蒸発燃料が通り抜ける流路孔29が形成されている。
【0036】
バルブケース21は、電磁アクチュエータおよびソレノイドケース22との間に、流路孔29に連通する中空部(内部空間)を備えている。この中空部は、ダイヤフラム27によって、流路孔29に連通するチャンバー室(バルブ内連通室31、バルブ外連通室32)と、電磁弁3の外部環境に対して気密的に遮断された圧力キャンセル室33とからなる2つの部屋(空間)に隔離(区画形成)されている。また、ハウジングの中空部内には、ゴムバルブ23、バルブホルダー24、カラープレート25およびシャフト26が往復移動可能に収容されている。
【0037】
電磁アクチュエータは、ソレノイドケース22、ソレノイドコイル34、外部接続用コネクタ35、可動コア(ムービングコア)36、リターンスプリング37、コイル内周側固定コア(ステータコア41、42、磁気抵抗部44)、コイル外周側固定コア(ヨーク45)およびストッパ46を備えている。
ソレノイドケース22には、バルブ部材の移動方向に対して垂直な半径方向の外部側に向かって延びる円筒状の流路管(入口パイプ)51が設けられている。この入口パイプ51の内部には、バルブシート28の流路孔29に連通し、チャンバー室よりもガス流方向の上流側に位置する流体流路(入口ポート)52が形成されている。
【0038】
一方、バルブケース21には、バルブ部材の移動方向と同一方向の外部側に向かって延びる円筒状の流路管(出口パイプ)53が設けられている。この出口パイプ53の内部には、流路孔29に連通し、流路孔29よりもガス流方向の下流側に位置する流体流路(出口ポート)54が形成されている。
なお、本実施例のハウジング(バルブケース21、ソレノイドケース22)、バルブアッシー(ゴムバルブ23、バルブホルダー24、カラープレート25、シャフト26、ダイヤフラム27)の詳細は、後述する。
【0039】
電磁アクチュエータは、通電されると周囲に磁束を発生するソレノイドコイル34と、このソレノイドコイル34と外部回路(外部電源や外部制御回路:ECU)との接続を行うための外部接続用コネクタ35と、磁性体製の可動コア(ムービングコア)36と、移動体(バルブ部材、シャフト26、ムービングコア36)を閉弁方向に付勢するリターンスプリング37と、ソレノイドコイル34の内周側に磁路を形成する磁性体製のコイル内周側固定コア(ステータコア41、42、磁気抵抗部44)と、ソレノイドコイル34の外周側に磁路を形成する磁性体製のコイル外周側固定コア(ヨーク45)と、ステータコア41、42の内部に嵌合保持されたストッパ46とを備えている。
【0040】
ソレノイドコイル34は、電力の供給を受けると(電流印加または通電されると)、ムービングコア36をステータコア41、42の磁気吸引部側に引き寄せる磁力を発生する磁束発生手段(磁力発生手段)である。ソレノイドコイル34が通電されると、ムービングコア36、ステータコア41、42およびヨーク45等を磁束が集中して通る磁気回路が形成される。
ソレノイドコイル34は、磁力によってゴムバルブ23、バルブホルダー24、シャフト26およびムービングコア36を閉弁方向へ駆動するものである。ソレノイドコイル34は、絶縁性を有する合成樹脂製のコイルボビン(図示せず)に、絶縁皮膜を施した導線を複数回巻装したソレノイドコイルである。
【0041】
ソレノイドコイル34は、ボビンに巻装されたコイル部、およびこのコイル部より引き出された一対のコイル端末リードを有している。
一対のコイル端末リードは、外部接続用コネクタ35のターミナル(外部接続端子)55を介して、外部回路(外部電源や外部制御回路:ECU)と接続されている。なお、ソレノイドコイル34の外周部、およびソレノイドコイル34の各コイル端末リードと各ターミナル55との導通接合部(接続部)は、絶縁性を有する合成樹脂(モールド樹脂材)製のソレノイドケース22によって被覆されて保護されている。
ソレノイドケース22の外周部は、一対のターミナル55の先端を露出して収容する外部接続用コネクタ35のコネクタケースを形成している。
【0042】
ムービングコア36は、ソレノイドコイル34が通電されると励磁(磁化)される磁性金属(例えば鉄等の強磁性材料)よりなる。
ムービングコア36は、ソレノイドコイル34への通電に伴って形成される磁気回路の一部を構成する磁性移動体であって、ステータコア41、42内をその軸線方向に往復摺動可能な可動コア(プランジャ)である。このムービングコア36は、リターンスプリング37の付勢力によってバルブ部材およびシャフト26と共に、バルブケース21のバルブシート側へ付勢される。また、ムービングコア36には、リターンスプリング37の第1コイル端部を保持するスプリング座部が設けられている。
また、ムービングコア36は、カラープレート25の端面と当接する当接面、およびこの当接面で開口し、この開口側から奥側まで軸線方向に真っ直ぐに延びる凹部を有している。この凹部は、ムービングコア36の中心軸線上に形成されて、シャフト26の基部を圧入する軸方向孔(圧入孔)47を有している。
【0043】
リターンスプリング37は、ムービングコア36とストッパ46との間に形成されるスプリング収容室56内に伸縮自在に収容されている。このリターンスプリング37は、ムービングコア36に対して、バルブ部材(ゴムバルブ23、バルブホルダー24等)をバルブシート28側へ向かって付勢する付勢力(バネ荷重、スプリング力)を発生するバルブ付勢手段(バルブスプリング)である。
また、リターンスプリング37は、ムービングコア36のスプリング座部とストッパ46のスプリング座部との間に渦巻き状に巻装されたコイルを有している。
リターンスプリング37のコイルの軸線方向の一方側には、ムービングコア36のスプリング座部に接触する円環状の第1コイル端部が設けられている。
リターンスプリング37のコイルの軸線方向の他方側には、ストッパ46のスプリング座部に接触する円環状の第2コイル端部が設けられている。
【0044】
コイル内周側固定コアおよびコイル外周側固定コアよりなる磁気固定子は、ソレノイドコイル34が通電されると励磁(磁化)される磁性金属(例えば鉄等の強磁性材料)よりなる磁性固定体である。
コイル内周側固定コアは、ムービングコア36をその軸線方向に摺動可能に支持するステータコア41、42を備えている。このステータコア42は、ソレノイドコイル34の軸線方向の一端側を覆う円環状のフランジ43を有する円筒状の第1固定コア、この第1固定コアの円筒部と同一軸線上に設置される円筒状の第2固定コア、および2つの第1、第2固定コア間の磁束の流れを低減する磁気抵抗部44を磁性材により一体的に設けた一体部品である。
【0045】
磁気抵抗部44は、2つの第1、第2固定コアを連結する薄肉部によって構成されている。
ヨーク45は、ソレノイドコイル34の軸線方向の一端側を覆う円環状の底部、およびソレノイドコイル34の外周側を覆うスリーブを有している。
ストッパ46は、ゴムバルブ23、ムービングコア36およびシャフト26等よりなる可動部材の軸線方向の移動距離を規制する規制部として機能する。このストッパ46は、ステータコア41の中心部に形成された嵌合孔内部に嵌め込まれている。また、ストッパ46には、リターンスプリング37の第2コイル端部を保持するスプリング座部が設けられている。
【0046】
次に、本実施例のバルブケース21の詳細を図1ないし図4に基づいて説明する。
バルブケース21は、合成樹脂によって一体的に形成されている。このバルブケース21は、電磁アクチュエータのソレノイドケース22およびステータコア42のフランジ43との間に形成される中空部を有している。
バルブケース21には、シールゴム等のシール材57を挟んでソレノイドケース22の結合端面に気密的に結合される第1フランジ61が設けられている。また、ソレノイドケース22には、バルブケース21の第1フランジ61に対向する第2フランジ62が設けられている。
【0047】
バルブケース21には、第1フランジ61の内周部から軸線方向と平行な方向のコイル側に突出した部分円筒状の突出壁(インナスリーブ)63が一体的に形成されている。また、ソレノイドケース22には、バルブケース21のインナスリーブ63の周囲を円周方向に部分的に取り囲む周壁(アウタスリーブ)64が一体的に形成されている。
ソレノイドケース22には、ステータコア42のフランジ43の外周部を被覆するようにアウタスリーブ64の内周面からムービングコア36側に突出した円環状の内周突条65が円周方向全体(全周)に形成されている。
【0048】
ここで、バルブケース21の出口パイプ53内には、出口ポート(キャニスタ側流路)54が形成されている。また、ソレノイドケース22の入口パイプ51内には、入口ポート(タンク側流路)52が形成されている。
バルブケース21には、ゴムバルブ23が着座可能な円環状のバルブシート(弁座)28が形成されている。このバルブシート28の内部には、蒸発燃料が通り抜ける流路孔29が形成されている。なお、バルブシート28は、流路孔29の開口周縁に設けられている。
流路孔29は、バルブケース21のインナスリーブ63に形成された切欠き(流体通過口)66、チャンバー室(バルブ内連通室31、バルブ外連通室32)を介して、入口ポート52と連通している。また、流路孔29は、バルブケース21の中空部と出口ポート54とを連通すると共に、ゴムバルブ23により開閉される。
【0049】
次に、本実施例のバルブ部材(ゴムバルブ23、バルブホルダー24)の詳細を図1ないし図4に基づいて説明する。
ゴムバルブ23は、円環状のゴム系弾性体(例えばフッ素ゴムまたはシリコンゴム等の合成ゴム)によって構成されて、バルブシート28に着座して流路孔29を閉鎖するシールバルブである。このゴムバルブ23は、常閉型の電磁式開閉弁の弁体である。また、ゴムバルブ23は、バルブホルダー24のバルブスリーブ71の先端外周に固定されている。
ゴムバルブ23の開弁時には、バルブケース21のバルブシート28より離脱(離座)して流路孔29を開放する。これにより、燃料タンク1とキャニスタ2とが接続配管11を介して連通する。
ゴムバルブ23の閉弁時には、バルブシート28に着座して流路孔29を閉鎖する。これにより、燃料タンク1とキャニスタ2との連通状態が遮断され、燃料タンク1が密閉化される。
【0050】
バルブホルダー24は、絶縁性を有する合成樹脂(モールド樹脂材)によって有底円筒状(カップ状)に形成されている。このバルブホルダー24は、チャンバー室(バルブ内連通室31)の周囲を円周方向に取り囲むと共に、軸線方向に平行な方向に真っ直ぐに延びるバルブスリーブ71を備えている。
バルブスリーブ71は、バルブケース21のバルブシート28とダイヤフラム27との間に形成されるチャンバー室を、流路孔29に常時連通するバルブ内連通室31と流路孔29に開弁時に連通するバルブ外連通室32とに隔離(区画形成)する。
バルブスリーブ71の一端側(図示上端側)は開口し、他端側(図示下端側)は閉塞している。
【0051】
バルブスリーブ71の他端側には、バルブ内連通室31の他端側を閉塞する円板状の閉塞部72が設けられている。この閉塞部72は、バルブスリーブ71よりも板厚が大きい。また、閉塞部72には、この閉塞部72をその軸線(板厚)方向に貫通する複数(4つ)の貫通孔73が形成されている。
また、閉塞部72の中央部には、シャフト26の突出軸部が挿通する1つの挿通孔74が形成されている。
なお、複数の貫通孔73は、バルブホルダー24の軸線方向と平行な方向に延びる円形孔であって、挿通孔74の周囲を円周方向に等間隔で設けられている。これらの貫通孔73は、バルブ内連通室31を介して、流路孔29および出口ポート54に常時連通している。
また、挿通孔74は、バルブホルダー24の中心軸線方向に延びる円形孔であって、圧入孔47と同一軸線上に位置し、且つ軸線方向に貫通する第2挿通孔である。この挿通孔74内には、シャフト26の突出軸部が嵌め込まれている。
【0052】
バルブホルダー24は、閉塞部72の中央部(挿通孔74の開口周縁)に、シャフト26の鍔部に係止される被係止部75を備えている。
このように、バルブホルダー24がシャフト26の鍔部に係止されることで、ゴムバルブ23、バルブホルダー24およびカラープレート25がムービングコア36と一体移動可能に連結される。
また、閉塞部72の貫通孔73の周囲には、カラープレート25との間にダイヤフラム27の内周端縁を挟み込む係止部(対向部)76が設けられている。
【0053】
カラープレート25は、合成樹脂または金属等の非磁性体製の中間部材であって、ゴムバルブ23、バルブホルダー24、シャフト26およびムービングコア36に対して別体部品で構成されている。このカラープレート25は、ダイヤフラム27を介して、バルブホルダー24の閉塞部72の端面に当接し、且つムービングコア36の当接面に直接当接した状態で、シャフト26によってゴムバルブ23、バルブホルダー24およびムービングコア36と一体移動可能に連結されている。
カラープレート25は、ムービングコア36の当接面との間に、流路孔29と圧力キャンセル室33とを連通する十字状の連通路77を有している。この連通路77は、カラープレート25の中心軸線上に位置し、カラープレート25の中心軸線方向に真っ直ぐに延びる軸方向通路と、カラープレート25の中心軸線に対して垂直な半径方向の外径側に向かって延びる複数の径方向通路とからなる。
【0054】
なお、連通路77の中心部には、シャフト26が挿通する挿通孔78が形成されている。また、挿通孔78は、圧入孔47および挿通孔74と同一軸線上に位置し、且つ軸線方向に貫通する第1挿通孔である。
また、連通路77の各径方向部分は、カラープレート25に設けられる、隣接する扇状の隔壁(ブロック)79間に形成される。また、連通路77の各径方向通路は、隣接する扇状の隔壁79と隔壁(ブロック)80との間に形成される。
カラープレート25の各隔壁79、80は、バルブホルダー24の係止部76との間にダイヤフラム27の内周端縁を挟み込むことができるように円周方向に等間隔で設けられている。
【0055】
シャフト26は、ゴムバルブ23、バルブホルダー24、カラープレート25およびムービングコア36を一体移動可能に連結する合成樹脂または金属等の非磁性体製の連結部材である。
シャフト26は、バルブアッシーおよびムービングコア36の中心軸線上に設置されて、ムービングコア36の中心軸線方向に真っ直ぐに延びる軸方向部と、この軸方向部の一端に設けられて、バルブホルダー24の被係止部75を係止する鍔部(係止部、フランジ)81とを備えている。この鍔部81の外径は、バルブホルダー24の挿通孔74およびカラープレート25の挿通孔78の孔径よりも大きい。
【0056】
シャフト26の軸方向部には、バルブホルダー24の挿通孔74およびカラープレート25の挿通孔78をその軸線方向に貫通する突出軸部82が設けられている。この突出軸部82の外径は、バルブホルダー24の挿通孔74およびカラープレート25の挿通孔78の孔径よりも小さい。
シャフト26の軸方向部の他端側には、ムービングコア36の端面で開口した圧入孔47に圧入される基部(圧入部、嵌合軸部)83が設けられている。この基部83の外径は、圧入孔47の孔径よりも僅かに大きい。
【0057】
ダイヤフラム27は、その中央部を軸線方向(膜厚方向)に貫通する貫通孔84を有する弾性変形部を有し、ゴム系弾性体(合成ゴム)によって薄膜円環状に形成されている。このダイヤフラム27は、ハウジングの中空部内に弾性変形自在に収容されている。
ここで、中空部は、バルブケース21のバルブシート28の端面とインナスリーブ63の内周面とソレノイドケース22の内周突条65の内周面とムービングコア36の先端外周面とで囲まれた空間である。
ダイヤフラム27は、ハウジングの中空部を、流路孔29に連通するチャンバー室(バルブ内連通室31、バルブ外連通室32)と、バルブケース21の外部に対して遮断された圧力キャンセル室33とに区画形成している。
【0058】
バルブ内連通室31は、流路孔29に臨む開口部を有する有底円筒状のバルブホルダー24のバルブスリーブ71の内部に形成されている。
バルブ外連通室32は、バルブホルダー24のバルブスリーブ71の周囲を円周方向に取り囲むように設けられている。また、バルブ外連通室32は、バルブホルダー24のバルブスリーブ71の外周面とバルブケース21のインナスリーブ63の内周面との間に形成されている。
圧力キャンセル室33は、圧力キャンセル通路を介して、チャンバー室(バルブ内連通室31、バルブ外連通室32)および流路孔29と連通している。
なお、圧力キャンセル通路は、バルブホルダー24に設けられる複数の貫通孔73、ムービングコア36の当接面とカラープレート25の各隔壁79との間に形成される連通路77(軸方向通路、径方向通路)、ダイヤフラム27の中央部を貫通する貫通孔84等によって構成されて、チャンバー室(バルブ内連通室31、バルブ外連通室32)と圧力キャンセル室33とを連通する。
【0059】
ダイヤフラム27の弾性変形部の外周側には、弾性変形部よりも厚肉の外周端縁(外周部)が設けられている。このダイヤフラム27の外周端縁は、バルブケース21およびソレノイドケース22とダイヤフラム27との間の隙間を気密シールする外周シール部85である。この外周シール部85は、バルブケース21のインナスリーブ63とソレノイドケース22の内周突条65との間に挟み込まれた状態で、バルブケース21およびソレノイドケース22に保持固定されている。
ダイヤフラム27の弾性変形部の内周側には、弾性変形部よりも厚肉の内周端縁(内周部)が設けられている。このダイヤフラム27の内周端縁は、ダイヤフラム27との間の隙間を気密シールする内周シール部86である。この内周シール部86は、バルブホルダー24の係止部76とカラープレート25の各隔壁79との間に挟み込まれた状態で、バルブホルダー24およびカラープレート25に保持固定されている。
【0060】
[実施例1の作用]
次に、本実施例の燃料タンク密閉システムに組み込まれる電磁弁3の作用を図1ないし図4に基づいて簡単に説明する。
【0061】
電磁アクチュエータのソレノイドコイル34への通電が停止している場合、バルブホルダー24はムービングコア36と共にリターンスプリング37の付勢力(スプリング力)によってバルブシート28に押し付けられて、バルブホルダー24に支持されたゴムバルブ23がバルブシート28に着座している。このとき、入口ポート52から流路孔29および出口ポート54への蒸発燃料の流通が遮断されるので、燃料タンク1が密閉化される。
【0062】
電磁アクチュエータのソレノイドコイル34へ駆動信号が印加されて、ソレノイドコイル34に電流が流れると、ムービングコア36、ステータコア41、42およびヨーク45に磁束が流れる。これにより、ムービングコア36がステータコア41、42の磁気吸引部との間に、ムービングコア36をステータコア41、42側に引き寄せる力である磁気吸引力(磁力)が発生する。
この磁気吸引力がリターンスプリング37の付勢力を上回ると、ムービングコア36がバルブホルダー24と共にステータコア41、42の磁気吸引部に向かって移動を開始する。
【0063】
このように、ムービングコア36が磁気吸引部に向かって移動すると、バルブホルダー24に支持されたゴムバルブ23がバルブシート28から離脱(離座)し、入口ポート52から流路孔29および出口ポート54への蒸発燃料の流通が許可される。
したがって、燃料タンク1内で蒸発気化(揮発化)した蒸発燃料が接続配管11の上流側部内を通って電磁弁3内に流入する。そして、蒸発燃料は、入口ポート52→バルブ外連通室32→流路孔29→出口ポート54を通って接続配管11の下流側部内に流入して、キャニスタ2内の吸着体13に吸着される。
【0064】
[実施例1の効果]
以上のように、本実施例の燃料タンク密閉システムに組み込まれる電磁弁3においては、ハウジングの中空部、つまりバルブケース21のバルブシート28の端面と電磁アクチュエータのステータコア42のフランジ43の端面との間に形成される中空部を、ダイヤフラム27の弾性変形部によって、流路孔29に連通するチャンバー室(バルブ内連通室31、バルブ外連通室32)と、ハウジングの外部から遮断された圧力キャンセル室33とに隔離している。
バルブホルダー24の閉塞部72に、その軸線(板厚)方向に貫通する複数の貫通孔73を形成している。そして、ダイヤフラム27の中央部に、チャンバー室(バルブ内連通室31、バルブ外連通室32)に連通する貫通孔84を形成し、且つカラープレート25の各隔壁79とムービングコア36の当接面との間に、複数の貫通孔73、貫通孔84およびチャンバー室(バルブ内連通室31、バルブ外連通室32)を介して、流路孔29と圧力キャンセル室33とを連通する連通路77を形成している。
【0065】
これによって、ハウジング内に形成される圧力キャンセル室33が、圧力キャンセル通路(複数の貫通孔73、貫通孔84、連通路77)を介して、流路孔29、入口ポート52や出口ポート54と連通することにより、圧力キャンセル室33と流路孔29とを連通することで、バルブ部材(ゴムバルブ23、バルブホルダー24)の前後圧力差(およびダイヤフラム27の前後圧力差)をキャンセルする圧力キャンセル通路(複数の貫通孔73、貫通孔84、連通路77)の途中を絞ることなく、また、ムービングコア36への加工を追加することなく、圧力キャンセル室33と流路孔29との間で蒸発燃料等の流体を流通させることが可能となる。
これにより、低コストで(コストアップすることなく)、バルブ部材(ゴムバルブ23、バルブホルダー24)またはダイヤフラム27の前後圧力差をキャンセルする圧力キャンセル構造を構成することができる。
【0066】
また、ムービングコア36の外周とコイル内周側固定コア(ステータコア41、42、磁気抵抗部44)の内周との間に形成されるクリアランスと比べて通路断面積の大きい圧力キャンセル通路を流通させることができるので、バルブ部材(ゴムバルブ23、バルブホルダー24)を軸線方向に往復移動させる際に移動速度が遅くなるダンパー効果が発生することはなく、バルブ部材の制御応答性(開弁応答性または閉弁応答性)を最大限早くすることが可能となる。なお、圧力キャンセル室33内の流体も速やかに流通(通気)させることができる。
また、バルブ部材(ゴムバルブ23、バルブホルダー24)、ダイヤフラム27およびカラープレート25を、ハウジング(バルブケース21、ソレノイドケース22)の内部に往復移動可能に収容したことにより、圧力キャンセル通路がハウジングの外部のホース127を通る構造ではなく、ハウジングの内部に形成される。これにより、従来の技術と比べて、圧力キャンセル機構の体格を小型化(コンパクト化)できるので、電磁弁3全体の体格を小型化することができる。これにより、例えばハイブリッド自動車等の車両に対する電磁弁の搭載性を向上することができる。
【実施例2】
【0067】
図5は本発明の実施例2を示したもので、電磁タンク密閉弁に適用された電磁弁を示した図である。
【0068】
本実施例の電磁弁3には、バルブ部材(ゴムバルブ23、バルブホルダー24)、カラープレート25および電磁アクチュエータのムービングコア36を一体移動可能に連結するシャフト26が設けられている。
ここで、電磁アクチュエータは、ソレノイドコイル34、外部接続用コネクタ35、可動コア(ムービングコア)36、リターンスプリング37、コイル内周側固定コア(ステータコア41、42、磁気抵抗部44)、コイル外周側固定コア(ヨーク45)およびストッパ46を備えている。また、コイル内周側固定コア(ステータコア41、42、磁気抵抗部44)の内部、つまりムービングコア36とストッパ46との間に形成されるスプリング収容室56内には、リターンスプリング37が伸縮自在に収容されている。
【0069】
ムービングコア36には、その中心軸線方向に貫通してムービングコア36の軸線方向の前後空間を連通する軸方向孔91が形成されている。この軸方向孔91の軸線方向の一端側には、シャフト26の基部83を圧入する圧入孔47が形成されている。
バルブホルダー24には、軸方向孔91、圧入孔47および挿通孔78と同一軸線上に位置し、且つ軸線方向に貫通する挿通孔74が形成されている。
カラープレート25には、軸方向孔91および圧入孔47と同一軸線上に位置し、且つ軸線方向に貫通する挿通孔78が形成されている。
シャフト26は、挿通孔74の孔径よりも外径が大きい鍔部81と、挿通孔74の孔径よりも外径が小さく、挿通孔74および挿通孔78をその軸線方向に貫通する突出軸部82と、シャフト26の軸線方向に貫通してシャフト26の中心軸線方向の前後空間を連通する中心孔92、軸方向孔91の圧入孔47に圧入される基部83とを備えている。
シャフト26の中心孔92は、チャンバー室(バルブ内連通室31、バルブ外連通室32)とスプリング収容室56とを連通している。
【0070】
以上のように、本実施例の燃料タンク密閉システムに組み込まれる電磁弁3においては、磁気回路の効率を上げるためにムービングコア36の外周とコイル内周側固定コア(ステータコア41、42、磁気抵抗部44)の内周との間のクリアランスを小さくした場合であっても、電磁弁3の作動時にムービングコア36の奥側の流体(エア、油等)が小さいクリアランスを通る必要がなく、クリアランスと比べて通路断面積の大きい中心孔92を通ることができるので、ゴムバルブ23およびバルブホルダー24を軸線方向に往復移動させる際に移動速度が遅くなるダンパー効果が発生することはなく、ゴムバルブ23およびバルブホルダー24の制御応答性(開弁応答性または閉弁応答性)を最大限早くすることが可能となる。なお、圧力キャンセル室33内の流体を実施例1よりも速やかに流通させることができる。
【0071】
[変形例]
本実施例では、本発明の電磁弁を、例えばハイブリッド自動車等の車両の燃料タンク密閉システムに組み込まれた電磁弁3、特に電磁タンク密閉弁に適用しているが、これに限定する必要はなく、蒸発燃料処理装置に組み込まれるパージ制御弁4やキャニスタ制御弁6等の他の電磁弁(電磁制御弁)に適用しても良い。なお、流体としては、エア(空気)や蒸発燃料等の気体だけでなく、気相冷媒等の気体、水、燃料、オイルや液相冷媒等の液体、あるいは気液二相状態の流体を使用することができる。また、コイルへの電圧値または電流値を増加する程、バルブ部材のリフト量が大きく、または小さくなるようにしても良い。この場合には、バルブ部材が電磁式流量制御弁の弁体として機能する。
【0072】
本実施例では、本発明の電磁弁を、電磁アクチュエータのソレノイドコイル34の磁力によってムービングコア(可動コア)36が軸線方向の奥側(図示下側)に引き寄せられた際に、ムービングコア36の動作に連動するバルブ部材が開弁するタイプ(常閉型)の電磁制御弁に適用したが、本発明の電磁弁を、アクチュエータのコイルの磁力によって可動コアが軸線方向の奥側(一方側または他方側)に引き寄せられた際に、可動コアの動作に連動するバルブ部材が閉弁するタイプ(常開型)の電磁制御弁に適用しても良い。
本実施例では、バルブ部材を、ゴムバルブ(弁体)23とバルブホルダー(弁体支持部材)24とによって構成しているが、バルブ(弁体)単体のみでバルブ部材を構成しても良い。
【0073】
本実施例では、ハウジングの中空部内を、流路孔29と連通可能なチャンバー室(バルブ内連通室31、バルブ外連通室32)と、電磁弁3の外部環境に対して気密的に遮断されたキャンセル室33とからなる2つの部屋(空間)に区画形成する区画形成(シール)手段として、膜状のダイヤフラム27を採用しているが、ハウジングの中空部内を、流路と連通可能なチャンバー室と外部に対して遮断されたキャンセル室とからなる2つの部屋(空間)に区画形成する区画形成(シール)手段として、蛇腹状のベローズを採用しても良い。
【符号の説明】
【0074】
3 電磁弁
21 バルブケース(ハウジング、第1モールド樹脂ケース)
22 ソレノイドケース(ハウジング、第2モールド樹脂ケース)
23 ゴムバルブ(バルブ部材)
24 バルブホルダー(バルブ部材)
25 カラープレート(中間部材、カラー部材)
26 シャフト(連結部材)
27 ダイヤフラム(区画形成手段)
28 バルブシート
29 流路孔(流路)
31 バルブ内連通室(チャンバー室)
32 バルブ外連通室(チャンバー室)
33 圧力キャンセル室
34 ソレノイドコイル
36 ムービングコア(可動コア)
37 リターンスプリング
41 ステータコア(コイル内周側固定コア)
42 ステータコア(コイル内周側固定コア)
43 フランジ
44 磁気抵抗部(コイル内周側固定コア)
45 ヨーク(コイル外周側固定コア)
46 ストッパ
47 ムービングコアの圧入孔
52 ソレノイドケースの入口ポート(流路)
54 バルブケースの出口ポート(流路)
73 バルブホルダーの貫通孔
74 バルブホルダーの挿通孔(第2挿通孔)
75 バルブホルダーの被係止部
76 バルブホルダーの係止部(対向部)
77 カラープレートの連通路
78 カラープレートの挿通孔(第1挿通孔)
79 カラープレートの隔壁
81 シャフトの鍔部
82 シャフトの突出軸部
83 シャフトの基部
84 ダイヤフラムの貫通孔
85 ダイヤフラムの外周シール部
86 ダイヤフラムの内周シール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)流体が流れる流路をその軸線方向に往復移動して開閉するバルブ部材と、
(b)電力の供給を受けると磁力を発生するコイル、およびこのコイルに発生する磁力によって軸線方向に移動して前記バルブ部材を駆動する可動コアを有するアクチュエータと
を備えた電磁弁において、
前記バルブ部材と前記可動コアとの間に設置された中間部材と、
前記バルブ部材、前記可動コアおよび前記中間部材を一体移動可能に連結する連結部材と、
前記バルブ部材、前記可動コア、前記中間部材および前記連結部材を往復移動可能に収容するハウジングとを備え、
前記ハウジングは、前記アクチュエータとの間に、前記流路に連通する中空部を有し、 前記バルブ部材または前記中間部材は、前記中空部内を、前記流路と連通可能なチャンバー室と外部に対して遮断されたキャンセル室とからなる2つの部屋に区画形成する区画形成手段を有し、
前記区画形成手段は、その軸線方向に貫通する貫通孔を有し、
前記中間部材は、前記可動コアとの間に、前記貫通孔および前記チャンバー室を介して、前記流路と前記キャンセル室とを連通する連通路を有していることを特徴とする電磁弁。
【請求項2】
請求項1に記載の電磁弁において、
前記貫通孔と前記チャンバー室と前記連通路とからなる3つの空間は、前記流路と前記キャンセル室とを連通する圧力キャンセル通路を構成することを特徴とする電磁弁。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電磁弁において、
前記中間部材は、前記可動コアおよび前記バルブ部材に対して別体部品で構成されていることを特徴とする電磁弁。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載の電磁弁において、
前記バルブ部材は、前記流路の開口周縁に着座可能な環状の弁体、およびこの弁体を支持する筒状の弁体支持部材を有し、
前記弁体は、前記弁体支持部材の外周に固定されていることを特徴とする電磁弁。
【請求項5】
請求項4に記載の電磁弁において、
前記可動コアは、前記中間部材が当接する当接面で開口し、この開口側から軸線方向の奥側まで延びる圧入孔を有し、
前記中間部材は、前記圧入孔と同一軸線上に位置し、且つ軸線方向に貫通する第1挿通孔を有し、
前記弁体支持部材は、前記圧入孔および前記第1挿通孔と同一軸線上に位置し、且つ軸線方向に貫通する第2挿通孔を有していることを特徴とする電磁弁。
【請求項6】
請求項5に記載の電磁弁において、
前記連結部材は、前記圧入孔に圧入される基部、前記第1挿通孔の孔径および前記第2挿通孔の孔径よりも外径が小さく、前記第1、第2挿通孔をその軸線方向に貫通する軸部、および前記第1、第2挿通孔の孔径よりも外径が大きい鍔部を有していることを特徴とする電磁弁。
【請求項7】
請求項4に記載の電磁弁において、
前記可動コアは、その軸線方向に貫通して前記可動コアの軸線方向の前後空間を連通する軸方向孔を有し、
前記中間部材は、前記圧入孔と同一軸線上に位置し、且つ軸線方向に貫通する第1挿通孔を有し、
前記弁体支持部材は、前記圧入孔および前記第1挿通孔と同一軸線上に位置し、且つ軸線方向に貫通する第2挿通孔を有していることを特徴とする電磁弁。
【請求項8】
請求項7に記載の電磁弁において、
前記連結部材は、その軸線方向に貫通して前記連結部材の軸線方向の前後空間を連通する中心孔、前記軸方向孔に圧入される基部、前記第1挿通孔の孔径および前記第2挿通孔の孔径よりも外径が小さく、前記第1、第2挿通孔をその軸線方向に貫通する軸部、および前記第1、第2挿通孔の孔径よりも外径が大きい鍔部を有していることを特徴とする電磁弁。
【請求項9】
請求項8に記載の電磁弁において、
前記アクチュエータは、前記可動コアを摺動可能に支持すると共に、前記コイルの内周側に磁路を形成する固定コア、前記可動コアに対して、前記バルブ部材を前記流路を閉じる側へ付勢するスプリング、およびこのスプリングを収容するスプリング室を有し、
前記中心孔は、前記チャンバー室と前記スプリング室とを連通していることを特徴とする電磁弁。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のうちのいずれか1つに記載の電磁弁において、
前記ハウジングは、内部に前記可動コアを収容する筒状のソレノイドケース、および内部に前記バルブ部材を収容する筒状のバルブケースを有し、
前記ソレノイドケースは、前記バルブケースの周囲を周方向に取り囲む筒状の周壁部を有していることを特徴とする電磁弁。
【請求項11】
請求項10に記載の電磁弁において、
前記区画形成手段は、前記ソレノイドケースと前記バルブケースとの間に挟み込まれて保持される外周端縁、および前記中間部材と前記バルブ部材との間に挟み込まれて保持される内周端縁を有していることを特徴とする電磁弁。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のうちのいずれか1つに記載の電磁弁において、
前記アクチュエータは、前記可動コアを摺動可能に支持すると共に、前記コイルの内周側に磁路を形成する固定コアを有していることを特徴とする電磁弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−113401(P2013−113401A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261616(P2011−261616)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】