電線挿通部の結束バンド組付構造
【課題】結束バンドの先端部を樋状の電線挿通部とワイヤハーネスとの間に通しつつ電線挿通部のバンド挿通用の孔部に手探りでも容易に且つ確実に挿通させる。
【解決手段】樋状の電線挿通部2に結束バンド挿通用の孔部4を貫設し、電線挿通部の内面側に、孔部から電線挿通部の一側壁6の開口端6aにかけて漸次拡幅された裾広がりの結束バンド案内用のガイド溝3を設け、電線挿通部内に複数本の電線11を挿通した状態で、ガイド溝から孔部に結束バンド5の先端部5aを挿入する。電線挿通部2,32の突出先端側の開口端8aに近い側のガイド溝の一側面3c,33cを、孔部から一側壁の開口端6aにかけて前記突出先端側に向けて湾曲させた。ガイド溝の一側面3cを、ガイド溝の底面3eから電線挿通部の内面にかけて前記突出先端側に向けて傾斜させた。
【解決手段】樋状の電線挿通部2に結束バンド挿通用の孔部4を貫設し、電線挿通部の内面側に、孔部から電線挿通部の一側壁6の開口端6aにかけて漸次拡幅された裾広がりの結束バンド案内用のガイド溝3を設け、電線挿通部内に複数本の電線11を挿通した状態で、ガイド溝から孔部に結束バンド5の先端部5aを挿入する。電線挿通部2,32の突出先端側の開口端8aに近い側のガイド溝の一側面3c,33cを、孔部から一側壁の開口端6aにかけて前記突出先端側に向けて湾曲させた。ガイド溝の一側面3cを、ガイド溝の底面3eから電線挿通部の内面にかけて前記突出先端側に向けて傾斜させた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車に搭載される電気接続箱やハーネスプロテクタ等における電線挿通部にワイヤハーネスを結束バンドで締付固定させるための電線挿通部の結束バンド組付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動車に搭載される電気接続箱やハーネスプロテクタ等の電線挿通部に複数本の電線(ワイヤハーネス)を合成樹脂製の結束バンドで固定するために、種々の電線挿通部の結束バンド組付構造が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1(図示せず)には、ワイヤハーネスを挿通保護する合成樹脂製の樋形状のハーネスプロテクタの端部に、合成樹脂製の結束バンドを挿通させる矩形状のバンド挿通口を設けると共に、バンド挿通口に続くバンド挿入溝を設けたことが記載されている。
【0004】
また、特許文献2(図示せず)には、ワイヤハーネス同士を接続するコネクタ接続部を収容して位置決め支持する合成樹脂製のコネクタホルダに、凹状に湾曲した内面を有する二つのバンド挿通穴を設け、各バンド挿通穴に結束バンドを挿通してワイヤハーネスを結束固定させることが記載され、結束バンドは、帯状部の片面に鋸歯状の係止突起を有すると共に、基端側に挿通孔と内側の係止片とで成る矩形枠状の挿通係止部を有することが記載されている。
【0005】
また、特許文献3(図示せず)には、リレーボックスやヒューズボックス等といった電気接続箱の合成樹脂製の接続箱本体に円弧壁とその両側の一対の貫通孔とを設け、結束バンドの先端部を一方の貫通孔に挿入してUターンさせると共に、円弧壁の傾斜外面に沿って他方の貫通孔に手探りで挿入可能としたことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−174821号公報(図2)
【特許文献2】特開2010−265947号公報(図1,図5)
【特許文献3】特開2009−77484号公報(図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の電線挿通部の結束バンド組付構造にあっては、例えば樋状の電線挿通部に複数本の電線(ワイヤハーネス)を挿通した後、結束バンドの先端部を電線挿通部とワイヤハーネスとの間に通しつつ電線挿通部のバンド挿通用の孔部に挿通させる場合に、手探りで結束バンドの先端部をバンド挿通用の孔部に挿通させることが難しく、このバンド挿通作業を容易に且つ確実に行わせることが望まれていた。
【0008】
本発明は、上記した点に鑑み、樋状の電線挿通部に複数本の電線(ワイヤハーネス)を挿通した後、結束バンドの先端部を電線挿通部とワイヤハーネスとの間に通しつつ電線挿通部のバンド挿通用の孔部に挿通させる場合に、バンド挿通作業を手探りでも容易に且つ確実に行うことのできる電線挿通部の結束バンド組付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る電線挿通部の結束バンド組付構造は、樋状の電線挿通部に結束バンド挿通用の孔部が貫設され、該電線挿通部の内面側に、該孔部から該電線挿通部の一側壁の開口端にかけて漸次拡幅された裾広がりの結束バンド案内用のガイド溝が設けられ、該電線挿通部内に複数本の電線が挿通された状態で、該ガイド溝から該孔部に結束バンドの先端部が挿入されることを特徴とする。
【0010】
上記構成により、手探り作業であっても結束バンドの先端部が裾広がり(末広がり)のガイド溝の幅広の開口部分で容易に且つ確実に拾われてガイド溝に沿って孔部に案内される。電線挿通部の他側壁には孔部の延長上(バンド突出方向)に結束バンド挿通用の切欠部を設けることが、複数本の電線を確実に締め付ける上で好ましい。電線挿通部は電気接続箱やハーネスプロテクタ等に設けられる。
【0011】
請求項2に係る電線挿通部の結束バンド組付構造は、請求項1記載の電線挿通部の結束バンド組付構造において、前記電線挿通部の突出先端側の開口端に近い側の前記ガイド溝の一側面が、前記孔部から前記一側壁の開口端にかけて該突出先端側に向けて湾曲したことを特徴とする。
【0012】
上記構成により、結束バンドの先端部が電線挿通部の突出方向先端側からガイド溝の湾曲状の(電線挿通方向に湾曲した)一側面に沿って孔部にスムーズ且つ確実に案内される。
【0013】
請求項3に係る電線挿通部の結束バンド組付構造は、請求項2記載の電線挿通部の結束バンド組付構造において、前記ガイド溝の一側面が、前記ガイド溝の底面から前記電線挿通部の内面にかけて前記突出先端側に向けて傾斜したことを特徴とする。
【0014】
上記構成により、電線挿通部の突出方向先端側からガイド溝の湾曲状の(電線挿通方向に湾曲した)一側面に沿う結束バンドの先端部が、ガイド溝の底面から鈍角的な開角度で傾斜した該一側面で底面側に案内されて、底面に沿って孔部にスムーズ且つ確実に案内される(ガイド溝からの結束バンドの先端部の離脱が防止される)。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、樋状の電線挿通部に複数本の電線を挿通した後、結束バンドの先端部を電線挿通部と複数本の電線との間に通しつつ電線挿通部のバンド挿通用の孔部に挿通させる場合に、結束バンドの先端部を裾広がりのガイド溝の幅広の開口部分で容易に且つ確実に拾うことができるから、バンド挿通作業を手探りでも容易に且つ確実に行うことができる。これにより、電線挿通部への複数本の電線の固定作業を効率良く行って、電線挿通部を有する電気接続箱やハーネスプロテクタ等の組立作業性を高めることができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、作業者が電線挿通部の突出先端側から作業性良く結束バンドをガイド溝の湾曲状の一側面に沿って孔部にスムーズ且つ確実に挿入することができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、結束バンドの先端部をガイド溝の傾斜状の一側面に沿ってガイド溝の底面側に案内して、ガイド溝からの結束バンドの離脱を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る電線挿通部の結束バンド組付構造の第一の実施形態を示す斜視図である。
【図2】同じく電線挿通部の結束バンド組付構造を上下反転して示す斜視図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】同じく電線挿通部の結束バンド組付構造を示す上方視斜視図である。
【図5】電線挿通部の結束バンド組付構造を有する電気接続箱の一形態を示す側面図である。
【図6】結束バンドでワイヤハーネスを締付固定した状態を示す図5のB−B相当断面図である。
【図7】本発明に係る電線挿通部の結束バンド組付構造の第二の実施形態を示す下方視斜視図である。
【図8】同じく電線挿通部の内面側を示す平面図である。
【図9】電線挿通部の結束バンド組付構造の外面側を示す上方視斜視図である。
【図10】図9のE−E断面図である。
【図11】結束バンドでワイヤハーネスを締付固定した状態を示す電気接続箱組立状態の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜図6は、本発明に係る電線挿通部の結束バンド組付構造の第一の実施形態を示すものである。
【0020】
図1の如く、この電線挿通部の結束バンド組付構造は、合成樹脂製の電気接続箱本体1の樋状の電線導出壁(電線導出部ないし電線挿通部)2の内面2aに結束バンド案内用の裾広がり(末広がり)のガイド溝3を周方向に設け、ガイド溝3の幅狭の先端部分3aを電線導出壁2の結束バンド挿通用の孔部4(図2)に連通させ、末広がりのガイド溝3によって合成樹脂製の結束バンド5(図6)の先端部5aを手探り作業でも孔部4に簡単且つ確実に案内させるようにしたものである。
【0021】
電線導出壁2は半割状の湾曲状(断面略半円状)の壁部であり、図1,図2(上下を反転した図)の如く、断面略半円状の電線導出壁2の略半周(略1/4円周)の範囲で電線導出壁2の一側壁部6の下端から上壁部8の頂部にかけてガイド溝3が形成され、ガイド溝3は一側壁部6の下端(下部開口端6a)側で最も幅広に形成され(幅広部を符号3bで示す)、頂部側に向かうにつれて漸次テーパ湾曲状に幅狭に形成されて、バンド挿通用のスリット状の孔部4の直近において最も幅狭となっている(幅狭部を符号3aで示す)。
【0022】
ガイド溝3の前側の一側面3cは湾曲状に形成され、側面3cの裾部が電線導出壁3の先端(前端ないし前部開口端8a)に向けて湾曲し、且つ一側面3cとガイド溝3の底面3eとの交線9よりも一側面3cと電線導出壁2の内面2aとの交線10が前方に位置し、底面3eと一側面3cとの開角度が鈍角となるように一側面3cが前下がりに傾斜している。ガイド溝3の後側の他側面3dは湾曲状というよりも電線導出壁2の周方向に略直線状に延び、他側面3dとガイド溝3の底面3e又は電線導出壁2の内面2aとの交差角は略直角である。
【0023】
図1の如く、複数本の電線(ワイヤハーネス)11を電線導出壁2の内面2aに沿って挿通させ、ガイド溝3がワイヤハーネス11で覆われて見えない状態で、矢印a〜cの如くガイド溝3の下端の広い入口部分(開口部分)3bで結束バンド5(図6)の先端部5aが手探りでもスムーズ且つ確実に拾われてガイド溝3内に挿入され、電線導出壁2とワイヤハーネス11の外周面との間を通ってガイド溝3の幅狭な終端部分3aからバンド挿通用の孔部4(図2)にスムーズに案内されて孔部4から外部に導出される。
【0024】
図1,図2の如く、孔部4を通る周方向の延長線上(バンド挿通方向)において電線導出壁2の他側壁部7の下端から上向きにバンド案内用のスリット状の切欠部12が設けられている。電線導出壁2の基端は接続箱本体1に一体に続き、電線導出壁2の内面2aは接続箱本体1の内面1aに湾曲状に滑らかに続き、電線導出壁2内の空間は接続箱本体1内の空間に連通している。
【0025】
図3(図2のA−A断面図)の如く、ガイド溝3は電線導出壁2の一方の半周部(一側壁6と上壁8の右半部)を外側に膨出させて形成され、一方の半周部と他方の半周部(他側壁7と上壁8の左半部)とは段差状に連続し、段差部13(図4)にバンド挿通用の孔部4が設けられ、孔部4は電線導出壁2の厚み方向に短辺部4a(図4)を有し、電線導出壁2の長手(前後)方向に長辺部4bを有している。
【0026】
図4の如く、電線導出壁2の外面にはテープ巻きずれ防止用のリブ14が設けられ、リブ14の後方に電線導出壁2の径方向外向きの膨出壁15が位置し、膨出壁15の上端に孔部4が開口し、孔部4の周方向の延長上に切欠部12が位置している。膨出壁15の前端壁15aは前下がりに傾斜し、後端壁15bは電線導出壁2の基端側にほぼ直交し、電線導出壁2の基端側は接続箱本体(主体部)1側に続いている。
【0027】
図5の如く、電線導出壁2を有する接続箱本体(フレーム)1には下部開口から上向きに接続ブロック16が挿着された後、合成樹脂製のロアカバー17や不図示のアッパカバーが装着される。接続ブロック16は絶縁樹脂製のブロック本体にリレーやヒューズ等の電気部品やバスバー等を装着して成り、これら電気部品等に接続された複数本の電線11a(図1)がワイヤハーネス11としてフレーム1の電線導出壁2から外部に導出される。
【0028】
ロアカバー17は電線導出壁2の下側に対向して板状の電線支持壁18を有し、電線支持壁18もテープずれ防止用のリブ19を有している。テープ巻きは防水のために行われる。電線導出壁2と電線支持壁18とで電線導出部の全体が構成される。接続ブロック16はフレーム1の内側に係止手段で係止され、ロアカバー17とアッパカバーとはフレーム1の外側に各係止手段19で係止される。フレーム1は上下に貫通した収容空間を有している。フレーム1と上下の各カバー17と接続ブロック16とで電気接続箱20が構成される。
【0029】
図6に図5のB−B断面を示す如く、結束バンド5の先端部5aはロアカバー17の組付前に矢印Cの如くワイヤハーネス11の外周面11bに沿ってフレーム1の電線導出壁2の一方の側壁部(一側壁)6の内側のガイド溝3に挿入されて孔部4から外部に突出し、次いで矢印Dの如く電線導出壁2の他方の側壁部7の切欠部12を通って電線導出壁2の内側に入り、結束バンド5の基端の枠状の係止部5bに挿入されて係止部5bの内側の係止爪で帯部5cの鋸歯状の突起が係止される。図6で結束バンド5の不要な先端部分5aは切断されている。
【0030】
電線導出部2にワイヤハーネス11を結束バンド5で締付固定した状態でロアカバー17がフレーム1に装着される。ワイヤハーネス11の外周面11bは電線導出壁2の孔部4と切欠部12との間の湾曲状の壁部分21の内周面に密着し、壁部分21の外周面に沿って結束バンド5の内面が密着し、その状態でワイヤハーネス11が結束バンド5の緊迫力で壁部分21に押し付けられて固定される。
【0031】
図7〜図11は、本発明に係る電線挿通部の結束バンド組付構造の第二の実施形態を示すものである。第二の実施形態は第一の実施形態と基本的に同じであり、電線導出壁32の大きさ形状が少し異なる(電気接続箱すなわちフレーム31の種類が異なる)ものである。
【0032】
図7,図9の如く、フレーム31の電線導出壁(電線導出部ないし電線挿通部)32は断面半円状ではなく略矩形状の樋状に形成され、左右の垂直な側壁部36,37と上側の傾斜状の上壁部38とを有している。図7,図8の如く、電線導出壁32の一側壁部36の下端(開口端)36aから上壁部38にかけて内面側にガイド溝33が設けられ、ガイド溝33の下端は幅広な開口33bをなし、ガイド溝33の上端33aは幅狭に形成され、スリット状のバンド挿通用の孔部34に連通している。
【0033】
図8の如く、ガイド溝33の後側の側面33dは電線導出壁32の周(幅)方向に直線的に延び、且つガイド溝33の底面33eに直交し、ガイド溝33の前側の側面33cは電線導出壁32の前部開口端38aに向けて前向きに湾曲し、且つ底面33eから前下がりの傾斜面となっている(図7では図示の角度上、側面33cは直線的に見えるが実際は図8の側面33cの如く湾曲している)。
【0034】
前例の図1の矢印a〜cと同様に、前側の湾曲状で且つ前下がりの傾斜状の側面33cによって、電線導出壁32の前側(矢印a方向)からも径方向横側(矢印bc方向)からもスムーズに結束バンド5(図11)の先端部5aをガイド溝33に挿入させることができる。フレーム31に近づく程、結束バンド5の挿入作業はフレーム31の垂直な外壁に邪魔されて難しくなるが、それを避けて特に電線導出壁32の前側(矢印a方向)からガイド溝33に作業性良く結束バンド5の先端部5aを挿入することができる。
【0035】
図7,図9の如く、電線導出壁32の他側壁部37にバンド案内用の切欠部42が設けられ、図9の如く、電線導出壁32の外面にテープずれ防止用のリブ44が設けられている。最後尾のリブ44aの後側に隣接して電線導出壁32に外向きの膨出壁部45が形成され、膨出壁部45の側端に孔部34が開口している。孔部34の周方向の延長上に切欠部42が位置している。
【0036】
図10の如く、電線導出壁32のガイド溝33を有する一側壁部36は外向きに傾斜し、切欠部42を有する他側壁部37は垂直に位置し、両側壁部36,37に続く上壁部38は中央で段差状に交差して段差部43に孔部34が開口している。
【0037】
図11(ロアカバー37の装着状態を示す)の如く、フレーム31にロアカバー47を装着する前に、結束バンド5の先端部5aが電線導出壁32のガイド溝33から孔部34に挿通され、さらに孔部34から一方の低い上壁部38aと側壁部37とで成る屈曲状の壁部分51の外側を経て切欠部42に挿通され、結束バンド5の基端の係止部5bに挿通係止され、ワイヤハーネス11が壁部分51の内面に結束バンド5で締め付け固定される。結束バンド5の係止部5bはロアカバー47内に収容される。
【0038】
なお、上記各実施形態においては、電気接続箱20,50のフレーム1,31に樋状(正確には逆樋状)の電線導出壁2,32を設けたが、例えば、バンド挿通用の裾広がりのガイド溝3,33を有する樋状の電線導出壁2,32をフレーム1,31ではなくロアカバー17,47に設けることも可能である。また、上記各実施形態においては、フレーム1と接続ブロック16と上下のカバー17とで電気接続箱20を構成したが、例えば上カバーと下カバーと下カバー内に装着される電気部品等で電気接続箱を構成し、下カバー(接続箱本体)にバンド挿通用の裾広がりのガイド溝(3,33)を有する樋状の電線導出壁(2,32)を設けることも可能である。
【0039】
また、上記実施形態においては、接続箱本体1,31に電線導出壁2,32を設けたが、例えば接続箱本体に代えて合成樹脂製の矩形樋状のハーネスプロテクタの端部又は長手方向中間部の壁部(電線導出壁)の内面にバンド挿通用の裾広がりのガイド溝(3,33)を設け、ガイド溝に続くバンド挿通用の孔部(4,34)を壁部(電線導出壁)に設けることも可能である。
【0040】
この場合も接続箱本体1,31におけると同様に、ワイヤハーネス11をハーネスプロテクタに挿通させた状態で、結束バンド5の先端部5aをワイヤハーネス11の外周面とハーネスプロテクタの電線導出壁との間でガイド溝(3,33)に挿通させ、孔部(4,34)から外部に導出させて、ワイヤハーネス11を電線導出壁(2,32)に結束バンド5で締め付け固定させる。バンド案内(挿通)用の切欠部12,42は設けた方が好ましが、電線導出壁2,32の高さが低い場合等は切欠部12,42を設けないことも可能である(これは接続箱本体の電線導出壁においても同様である)。接続箱本体1,31やハーネスプロテクタ等を箱状体と総称することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係る電線挿通部の結束バンド組付構造は、樋状の電線挿通部に複数本の電線(ワイヤハーネス)を挿通した後、結束バンドの先端部を電線挿通部とワイヤハーネスとの間に通しつつ電線挿通部のバンド挿入孔に挿通させる場合に、バンド挿通作業を手探りでも容易に且つ確実に行わせるために利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
2,32 電線導出壁(電線挿通部)
3,33 ガイド溝
3c,33c 一側面
3e,33e 底面
4,34 孔部
5 結束バンド
5a 先端部
6,36 一側壁
6a,36a 開口端
8a,38a 開口端
11 ワイヤハーネス(複数本の電線)
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車に搭載される電気接続箱やハーネスプロテクタ等における電線挿通部にワイヤハーネスを結束バンドで締付固定させるための電線挿通部の結束バンド組付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動車に搭載される電気接続箱やハーネスプロテクタ等の電線挿通部に複数本の電線(ワイヤハーネス)を合成樹脂製の結束バンドで固定するために、種々の電線挿通部の結束バンド組付構造が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1(図示せず)には、ワイヤハーネスを挿通保護する合成樹脂製の樋形状のハーネスプロテクタの端部に、合成樹脂製の結束バンドを挿通させる矩形状のバンド挿通口を設けると共に、バンド挿通口に続くバンド挿入溝を設けたことが記載されている。
【0004】
また、特許文献2(図示せず)には、ワイヤハーネス同士を接続するコネクタ接続部を収容して位置決め支持する合成樹脂製のコネクタホルダに、凹状に湾曲した内面を有する二つのバンド挿通穴を設け、各バンド挿通穴に結束バンドを挿通してワイヤハーネスを結束固定させることが記載され、結束バンドは、帯状部の片面に鋸歯状の係止突起を有すると共に、基端側に挿通孔と内側の係止片とで成る矩形枠状の挿通係止部を有することが記載されている。
【0005】
また、特許文献3(図示せず)には、リレーボックスやヒューズボックス等といった電気接続箱の合成樹脂製の接続箱本体に円弧壁とその両側の一対の貫通孔とを設け、結束バンドの先端部を一方の貫通孔に挿入してUターンさせると共に、円弧壁の傾斜外面に沿って他方の貫通孔に手探りで挿入可能としたことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−174821号公報(図2)
【特許文献2】特開2010−265947号公報(図1,図5)
【特許文献3】特開2009−77484号公報(図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の電線挿通部の結束バンド組付構造にあっては、例えば樋状の電線挿通部に複数本の電線(ワイヤハーネス)を挿通した後、結束バンドの先端部を電線挿通部とワイヤハーネスとの間に通しつつ電線挿通部のバンド挿通用の孔部に挿通させる場合に、手探りで結束バンドの先端部をバンド挿通用の孔部に挿通させることが難しく、このバンド挿通作業を容易に且つ確実に行わせることが望まれていた。
【0008】
本発明は、上記した点に鑑み、樋状の電線挿通部に複数本の電線(ワイヤハーネス)を挿通した後、結束バンドの先端部を電線挿通部とワイヤハーネスとの間に通しつつ電線挿通部のバンド挿通用の孔部に挿通させる場合に、バンド挿通作業を手探りでも容易に且つ確実に行うことのできる電線挿通部の結束バンド組付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る電線挿通部の結束バンド組付構造は、樋状の電線挿通部に結束バンド挿通用の孔部が貫設され、該電線挿通部の内面側に、該孔部から該電線挿通部の一側壁の開口端にかけて漸次拡幅された裾広がりの結束バンド案内用のガイド溝が設けられ、該電線挿通部内に複数本の電線が挿通された状態で、該ガイド溝から該孔部に結束バンドの先端部が挿入されることを特徴とする。
【0010】
上記構成により、手探り作業であっても結束バンドの先端部が裾広がり(末広がり)のガイド溝の幅広の開口部分で容易に且つ確実に拾われてガイド溝に沿って孔部に案内される。電線挿通部の他側壁には孔部の延長上(バンド突出方向)に結束バンド挿通用の切欠部を設けることが、複数本の電線を確実に締め付ける上で好ましい。電線挿通部は電気接続箱やハーネスプロテクタ等に設けられる。
【0011】
請求項2に係る電線挿通部の結束バンド組付構造は、請求項1記載の電線挿通部の結束バンド組付構造において、前記電線挿通部の突出先端側の開口端に近い側の前記ガイド溝の一側面が、前記孔部から前記一側壁の開口端にかけて該突出先端側に向けて湾曲したことを特徴とする。
【0012】
上記構成により、結束バンドの先端部が電線挿通部の突出方向先端側からガイド溝の湾曲状の(電線挿通方向に湾曲した)一側面に沿って孔部にスムーズ且つ確実に案内される。
【0013】
請求項3に係る電線挿通部の結束バンド組付構造は、請求項2記載の電線挿通部の結束バンド組付構造において、前記ガイド溝の一側面が、前記ガイド溝の底面から前記電線挿通部の内面にかけて前記突出先端側に向けて傾斜したことを特徴とする。
【0014】
上記構成により、電線挿通部の突出方向先端側からガイド溝の湾曲状の(電線挿通方向に湾曲した)一側面に沿う結束バンドの先端部が、ガイド溝の底面から鈍角的な開角度で傾斜した該一側面で底面側に案内されて、底面に沿って孔部にスムーズ且つ確実に案内される(ガイド溝からの結束バンドの先端部の離脱が防止される)。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、樋状の電線挿通部に複数本の電線を挿通した後、結束バンドの先端部を電線挿通部と複数本の電線との間に通しつつ電線挿通部のバンド挿通用の孔部に挿通させる場合に、結束バンドの先端部を裾広がりのガイド溝の幅広の開口部分で容易に且つ確実に拾うことができるから、バンド挿通作業を手探りでも容易に且つ確実に行うことができる。これにより、電線挿通部への複数本の電線の固定作業を効率良く行って、電線挿通部を有する電気接続箱やハーネスプロテクタ等の組立作業性を高めることができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、作業者が電線挿通部の突出先端側から作業性良く結束バンドをガイド溝の湾曲状の一側面に沿って孔部にスムーズ且つ確実に挿入することができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、結束バンドの先端部をガイド溝の傾斜状の一側面に沿ってガイド溝の底面側に案内して、ガイド溝からの結束バンドの離脱を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る電線挿通部の結束バンド組付構造の第一の実施形態を示す斜視図である。
【図2】同じく電線挿通部の結束バンド組付構造を上下反転して示す斜視図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】同じく電線挿通部の結束バンド組付構造を示す上方視斜視図である。
【図5】電線挿通部の結束バンド組付構造を有する電気接続箱の一形態を示す側面図である。
【図6】結束バンドでワイヤハーネスを締付固定した状態を示す図5のB−B相当断面図である。
【図7】本発明に係る電線挿通部の結束バンド組付構造の第二の実施形態を示す下方視斜視図である。
【図8】同じく電線挿通部の内面側を示す平面図である。
【図9】電線挿通部の結束バンド組付構造の外面側を示す上方視斜視図である。
【図10】図9のE−E断面図である。
【図11】結束バンドでワイヤハーネスを締付固定した状態を示す電気接続箱組立状態の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜図6は、本発明に係る電線挿通部の結束バンド組付構造の第一の実施形態を示すものである。
【0020】
図1の如く、この電線挿通部の結束バンド組付構造は、合成樹脂製の電気接続箱本体1の樋状の電線導出壁(電線導出部ないし電線挿通部)2の内面2aに結束バンド案内用の裾広がり(末広がり)のガイド溝3を周方向に設け、ガイド溝3の幅狭の先端部分3aを電線導出壁2の結束バンド挿通用の孔部4(図2)に連通させ、末広がりのガイド溝3によって合成樹脂製の結束バンド5(図6)の先端部5aを手探り作業でも孔部4に簡単且つ確実に案内させるようにしたものである。
【0021】
電線導出壁2は半割状の湾曲状(断面略半円状)の壁部であり、図1,図2(上下を反転した図)の如く、断面略半円状の電線導出壁2の略半周(略1/4円周)の範囲で電線導出壁2の一側壁部6の下端から上壁部8の頂部にかけてガイド溝3が形成され、ガイド溝3は一側壁部6の下端(下部開口端6a)側で最も幅広に形成され(幅広部を符号3bで示す)、頂部側に向かうにつれて漸次テーパ湾曲状に幅狭に形成されて、バンド挿通用のスリット状の孔部4の直近において最も幅狭となっている(幅狭部を符号3aで示す)。
【0022】
ガイド溝3の前側の一側面3cは湾曲状に形成され、側面3cの裾部が電線導出壁3の先端(前端ないし前部開口端8a)に向けて湾曲し、且つ一側面3cとガイド溝3の底面3eとの交線9よりも一側面3cと電線導出壁2の内面2aとの交線10が前方に位置し、底面3eと一側面3cとの開角度が鈍角となるように一側面3cが前下がりに傾斜している。ガイド溝3の後側の他側面3dは湾曲状というよりも電線導出壁2の周方向に略直線状に延び、他側面3dとガイド溝3の底面3e又は電線導出壁2の内面2aとの交差角は略直角である。
【0023】
図1の如く、複数本の電線(ワイヤハーネス)11を電線導出壁2の内面2aに沿って挿通させ、ガイド溝3がワイヤハーネス11で覆われて見えない状態で、矢印a〜cの如くガイド溝3の下端の広い入口部分(開口部分)3bで結束バンド5(図6)の先端部5aが手探りでもスムーズ且つ確実に拾われてガイド溝3内に挿入され、電線導出壁2とワイヤハーネス11の外周面との間を通ってガイド溝3の幅狭な終端部分3aからバンド挿通用の孔部4(図2)にスムーズに案内されて孔部4から外部に導出される。
【0024】
図1,図2の如く、孔部4を通る周方向の延長線上(バンド挿通方向)において電線導出壁2の他側壁部7の下端から上向きにバンド案内用のスリット状の切欠部12が設けられている。電線導出壁2の基端は接続箱本体1に一体に続き、電線導出壁2の内面2aは接続箱本体1の内面1aに湾曲状に滑らかに続き、電線導出壁2内の空間は接続箱本体1内の空間に連通している。
【0025】
図3(図2のA−A断面図)の如く、ガイド溝3は電線導出壁2の一方の半周部(一側壁6と上壁8の右半部)を外側に膨出させて形成され、一方の半周部と他方の半周部(他側壁7と上壁8の左半部)とは段差状に連続し、段差部13(図4)にバンド挿通用の孔部4が設けられ、孔部4は電線導出壁2の厚み方向に短辺部4a(図4)を有し、電線導出壁2の長手(前後)方向に長辺部4bを有している。
【0026】
図4の如く、電線導出壁2の外面にはテープ巻きずれ防止用のリブ14が設けられ、リブ14の後方に電線導出壁2の径方向外向きの膨出壁15が位置し、膨出壁15の上端に孔部4が開口し、孔部4の周方向の延長上に切欠部12が位置している。膨出壁15の前端壁15aは前下がりに傾斜し、後端壁15bは電線導出壁2の基端側にほぼ直交し、電線導出壁2の基端側は接続箱本体(主体部)1側に続いている。
【0027】
図5の如く、電線導出壁2を有する接続箱本体(フレーム)1には下部開口から上向きに接続ブロック16が挿着された後、合成樹脂製のロアカバー17や不図示のアッパカバーが装着される。接続ブロック16は絶縁樹脂製のブロック本体にリレーやヒューズ等の電気部品やバスバー等を装着して成り、これら電気部品等に接続された複数本の電線11a(図1)がワイヤハーネス11としてフレーム1の電線導出壁2から外部に導出される。
【0028】
ロアカバー17は電線導出壁2の下側に対向して板状の電線支持壁18を有し、電線支持壁18もテープずれ防止用のリブ19を有している。テープ巻きは防水のために行われる。電線導出壁2と電線支持壁18とで電線導出部の全体が構成される。接続ブロック16はフレーム1の内側に係止手段で係止され、ロアカバー17とアッパカバーとはフレーム1の外側に各係止手段19で係止される。フレーム1は上下に貫通した収容空間を有している。フレーム1と上下の各カバー17と接続ブロック16とで電気接続箱20が構成される。
【0029】
図6に図5のB−B断面を示す如く、結束バンド5の先端部5aはロアカバー17の組付前に矢印Cの如くワイヤハーネス11の外周面11bに沿ってフレーム1の電線導出壁2の一方の側壁部(一側壁)6の内側のガイド溝3に挿入されて孔部4から外部に突出し、次いで矢印Dの如く電線導出壁2の他方の側壁部7の切欠部12を通って電線導出壁2の内側に入り、結束バンド5の基端の枠状の係止部5bに挿入されて係止部5bの内側の係止爪で帯部5cの鋸歯状の突起が係止される。図6で結束バンド5の不要な先端部分5aは切断されている。
【0030】
電線導出部2にワイヤハーネス11を結束バンド5で締付固定した状態でロアカバー17がフレーム1に装着される。ワイヤハーネス11の外周面11bは電線導出壁2の孔部4と切欠部12との間の湾曲状の壁部分21の内周面に密着し、壁部分21の外周面に沿って結束バンド5の内面が密着し、その状態でワイヤハーネス11が結束バンド5の緊迫力で壁部分21に押し付けられて固定される。
【0031】
図7〜図11は、本発明に係る電線挿通部の結束バンド組付構造の第二の実施形態を示すものである。第二の実施形態は第一の実施形態と基本的に同じであり、電線導出壁32の大きさ形状が少し異なる(電気接続箱すなわちフレーム31の種類が異なる)ものである。
【0032】
図7,図9の如く、フレーム31の電線導出壁(電線導出部ないし電線挿通部)32は断面半円状ではなく略矩形状の樋状に形成され、左右の垂直な側壁部36,37と上側の傾斜状の上壁部38とを有している。図7,図8の如く、電線導出壁32の一側壁部36の下端(開口端)36aから上壁部38にかけて内面側にガイド溝33が設けられ、ガイド溝33の下端は幅広な開口33bをなし、ガイド溝33の上端33aは幅狭に形成され、スリット状のバンド挿通用の孔部34に連通している。
【0033】
図8の如く、ガイド溝33の後側の側面33dは電線導出壁32の周(幅)方向に直線的に延び、且つガイド溝33の底面33eに直交し、ガイド溝33の前側の側面33cは電線導出壁32の前部開口端38aに向けて前向きに湾曲し、且つ底面33eから前下がりの傾斜面となっている(図7では図示の角度上、側面33cは直線的に見えるが実際は図8の側面33cの如く湾曲している)。
【0034】
前例の図1の矢印a〜cと同様に、前側の湾曲状で且つ前下がりの傾斜状の側面33cによって、電線導出壁32の前側(矢印a方向)からも径方向横側(矢印bc方向)からもスムーズに結束バンド5(図11)の先端部5aをガイド溝33に挿入させることができる。フレーム31に近づく程、結束バンド5の挿入作業はフレーム31の垂直な外壁に邪魔されて難しくなるが、それを避けて特に電線導出壁32の前側(矢印a方向)からガイド溝33に作業性良く結束バンド5の先端部5aを挿入することができる。
【0035】
図7,図9の如く、電線導出壁32の他側壁部37にバンド案内用の切欠部42が設けられ、図9の如く、電線導出壁32の外面にテープずれ防止用のリブ44が設けられている。最後尾のリブ44aの後側に隣接して電線導出壁32に外向きの膨出壁部45が形成され、膨出壁部45の側端に孔部34が開口している。孔部34の周方向の延長上に切欠部42が位置している。
【0036】
図10の如く、電線導出壁32のガイド溝33を有する一側壁部36は外向きに傾斜し、切欠部42を有する他側壁部37は垂直に位置し、両側壁部36,37に続く上壁部38は中央で段差状に交差して段差部43に孔部34が開口している。
【0037】
図11(ロアカバー37の装着状態を示す)の如く、フレーム31にロアカバー47を装着する前に、結束バンド5の先端部5aが電線導出壁32のガイド溝33から孔部34に挿通され、さらに孔部34から一方の低い上壁部38aと側壁部37とで成る屈曲状の壁部分51の外側を経て切欠部42に挿通され、結束バンド5の基端の係止部5bに挿通係止され、ワイヤハーネス11が壁部分51の内面に結束バンド5で締め付け固定される。結束バンド5の係止部5bはロアカバー47内に収容される。
【0038】
なお、上記各実施形態においては、電気接続箱20,50のフレーム1,31に樋状(正確には逆樋状)の電線導出壁2,32を設けたが、例えば、バンド挿通用の裾広がりのガイド溝3,33を有する樋状の電線導出壁2,32をフレーム1,31ではなくロアカバー17,47に設けることも可能である。また、上記各実施形態においては、フレーム1と接続ブロック16と上下のカバー17とで電気接続箱20を構成したが、例えば上カバーと下カバーと下カバー内に装着される電気部品等で電気接続箱を構成し、下カバー(接続箱本体)にバンド挿通用の裾広がりのガイド溝(3,33)を有する樋状の電線導出壁(2,32)を設けることも可能である。
【0039】
また、上記実施形態においては、接続箱本体1,31に電線導出壁2,32を設けたが、例えば接続箱本体に代えて合成樹脂製の矩形樋状のハーネスプロテクタの端部又は長手方向中間部の壁部(電線導出壁)の内面にバンド挿通用の裾広がりのガイド溝(3,33)を設け、ガイド溝に続くバンド挿通用の孔部(4,34)を壁部(電線導出壁)に設けることも可能である。
【0040】
この場合も接続箱本体1,31におけると同様に、ワイヤハーネス11をハーネスプロテクタに挿通させた状態で、結束バンド5の先端部5aをワイヤハーネス11の外周面とハーネスプロテクタの電線導出壁との間でガイド溝(3,33)に挿通させ、孔部(4,34)から外部に導出させて、ワイヤハーネス11を電線導出壁(2,32)に結束バンド5で締め付け固定させる。バンド案内(挿通)用の切欠部12,42は設けた方が好ましが、電線導出壁2,32の高さが低い場合等は切欠部12,42を設けないことも可能である(これは接続箱本体の電線導出壁においても同様である)。接続箱本体1,31やハーネスプロテクタ等を箱状体と総称することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係る電線挿通部の結束バンド組付構造は、樋状の電線挿通部に複数本の電線(ワイヤハーネス)を挿通した後、結束バンドの先端部を電線挿通部とワイヤハーネスとの間に通しつつ電線挿通部のバンド挿入孔に挿通させる場合に、バンド挿通作業を手探りでも容易に且つ確実に行わせるために利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
2,32 電線導出壁(電線挿通部)
3,33 ガイド溝
3c,33c 一側面
3e,33e 底面
4,34 孔部
5 結束バンド
5a 先端部
6,36 一側壁
6a,36a 開口端
8a,38a 開口端
11 ワイヤハーネス(複数本の電線)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樋状の電線挿通部に結束バンド挿通用の孔部が貫設され、該電線挿通部の内面側に、該孔部から該電線挿通部の一側壁の開口端にかけて漸次拡幅された裾広がりの結束バンド案内用のガイド溝が設けられ、該電線挿通部内に複数本の電線が挿通された状態で、該ガイド溝から該孔部に結束バンドの先端部が挿入されることを特徴とする電線挿通部の結束バンド組付構造。
【請求項2】
前記電線挿通部の突出先端側の開口端に近い側の前記ガイド溝の一側面が、前記孔部から前記一側壁の開口端にかけて該突出先端側に向けて湾曲したことを特徴とする請求項1記載の電線挿通部の結束バンド組付構造。
【請求項3】
前記ガイド溝の一側面が、前記ガイド溝の底面から前記電線挿通部の内面にかけて前記突出先端側に向けて傾斜したことを特徴とする請求項2記載の電線挿通部の結束バンド組付構造。
【請求項1】
樋状の電線挿通部に結束バンド挿通用の孔部が貫設され、該電線挿通部の内面側に、該孔部から該電線挿通部の一側壁の開口端にかけて漸次拡幅された裾広がりの結束バンド案内用のガイド溝が設けられ、該電線挿通部内に複数本の電線が挿通された状態で、該ガイド溝から該孔部に結束バンドの先端部が挿入されることを特徴とする電線挿通部の結束バンド組付構造。
【請求項2】
前記電線挿通部の突出先端側の開口端に近い側の前記ガイド溝の一側面が、前記孔部から前記一側壁の開口端にかけて該突出先端側に向けて湾曲したことを特徴とする請求項1記載の電線挿通部の結束バンド組付構造。
【請求項3】
前記ガイド溝の一側面が、前記ガイド溝の底面から前記電線挿通部の内面にかけて前記突出先端側に向けて傾斜したことを特徴とする請求項2記載の電線挿通部の結束バンド組付構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−228079(P2012−228079A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93968(P2011−93968)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]