説明

電線配索体、バスバモジュール、及び、電源装置

【課題】電線取出片に引っ張られる力が加えられた場合においても、電線配索溝部を塞ぐ蓋部が開かないようにできる電線配索体、バスバモジュール、及び、電源装置を提供する。
【解決手段】プレート6は、1又は複数の電線5を収容する溝状の第2収容部64と、第2収容部64に第1のヒンジ91を介して連設され、この第2収容部64の溝開口を塞ぐように第2収容部64に被せられる蓋部67と、蓋部67に第2のヒンジ92を介して連設され、第2収容部64から取り出された電線5を支持する電線取出片96と、を有する。そして、第2のヒンジ92の回動軸が、第1のヒンジ91の回動軸と直交するように設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド自動車や電気自動車などに用いられる電源装置、この電源装置を構成するバスバモジュール、及び、このバスバモジュールを構成する電線配索体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、電動モータを用いて走行する電気自動車や、エンジンと電動モータとを併用して走行するハイブリッド自動車などの各種車両には、前記電動モータの動力源として、特許文献1に示すような電源装置が搭載されている。このような電源装置は、一端に正の電極(以下正極と記す)、他端に負の電極(以下負極と記す)が設けられた複数の電池を該正極と該負極とが交互に隣り合うように配列してなる電池集合体と、この電池集合体の前記電極が設けられた面に重ねられるバスバモジュールと、で構成されている。
【0003】
このような電源装置で用いられるバスバモジュールの一例を、図7〜図9に示す。これら各図に示されたバスバモジュール101は、図示しない電池集合体の互いに隣り合う前記電池の電極同士を接続することでこれら複数の電池を直列に接続する複数のバスバ103と、各バスバ103に重ねられるとともに各電池の電極に接続されて前記電池の電圧を検出するために用いられる複数の端子104と、各端子104に取り付けられた(接続された)複数の電線105と、これら複数のバスバ103、複数の端子104及び複数の電線105を収容する、電線配索体としてのプレート106と、を備えている。なお、図7、図8では、前記複数の電線105を省略している。また、図7、図8の矢印Xは、複数の電池の配列方向を示している。
【0004】
プレート106は、複数の第1収容部160と、複数の電線配索溝部としての第2収容部164と、複数の第3収容部168と、複数の蓋部167と、を備えている。
【0005】
第1収容部160は、矩形状の底壁部と該底壁部の周縁から垂直に立設された周壁部とからなる略器形状に形成されており、その内側にバスバ103及び端子104を収容する。また、複数の第1収容部160は、それらの長手方向が前記複数の電池の配列方向(矢印X方向)に沿うようにして一列に並べられている。また、隣接する第1収容部160同士が互いに連結されている。
【0006】
第2収容部164は、断面略コ字となる溝状に形成されており、その内側に複数の電線105を収容する。複数の第2収容部164は、それらの長手方向が上記配列方向(矢印X方向)に沿うようにして一列に且つ互いに近接されて並べられている。複数の第2収容部164からなる列は、複数の第1収容部160からなる列と間隔をあけて平行に配置されている。また、複数の第1収容部160と複数の第2収容部164とは樋状に形成された複数の第3収容部によって連通されている。
【0007】
蓋部167は、矩形板状に形成されており、第2収容部164の溝開口198を塞ぐように該第2収容部164に被せられる。蓋部167は、幅方向(長手方向(矢印X方向)と直交する方向(矢印Y方向))に沿って相対する両縁部(長辺部)のうち一方の縁部が第1のヒンジ191を介して、第2収容部164に連設されている。蓋部167は、第1のヒンジ191を回動中心として開閉可能に第2収容部164に設けられている。
【0008】
また、蓋部167における他方の縁部には、第2収容部164の外面に設けられた爪受部193に係止されるロック爪194が設けられている。ロック爪194は爪受部193に係止されることにより、蓋部167が第2収容部164に被せられた(即ち、閉じられた)状態を保持する。
【0009】
また、一部の蓋部167における他方の縁部には、第2収容部164内に配索された電線105を取り出すための、略矩形状の切り欠き部195が複数個設けられている。通常、電線105は、一列に並べられた複数の第2収容部164のうち端に配置された第2収容部の端開口199から取り出されるが、例えば、車両に設けられる電源装置の配設位置などによっては、中央付近に配置された第2収容部164から取り出すことで、車両内における電線105の配索が容易になる場合などがあり、そのため、このような切り欠き部195が設けられる。
【0010】
この切り欠き部195の底縁(即ち、切り欠き部195の開口と対向する縁部)には、第2のヒンジ192を介して、電線取出片196が連設されている。電線取出片196は、第2のヒンジ192を回動中心として、回動可能に蓋部167に設けられている。この電線取出片196には、第2収容部164から切り欠き部195を通じて取り出された複数の電線105が、拘束部材としてのテープ197によって取り付けられる。これにより、電線取出片196は、複数の電線105が所定の方向(図8の奥から手前に向かう方向、図9の矢印Z方向)に沿うように支持する。
【0011】
このように、上述したバスバモジュール101では、複数の電線105が、蓋部167で溝開口198が塞がれた第2収容部164内に収容されて配索されることにより、他の部材との接触や外部からの衝撃などから保護されて、複数の電線105の断線や短絡などの不具合を防ぐことができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2009−43637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記バスバモジュール101(即ち、プレート106)は、第1のヒンジ191と第2のヒンジ192とが、X方向(図9の手前−奥方向)に沿って互いに平行に設けられているので、通常であれば、複数の電線105は、図9(a)に示すように、第2収容部164に収容されるところ、蓋部167に設けられた切り欠き部195から取り出された複数の電線105が引っ張られたときに、電線取出片196にも図9の矢印Z方向に沿って上方に引っ張られる力F1が加わり、そのため、この力F1によって蓋部167に第1のヒンジ191を回動中心として図中反時計回りに回転させる力F2(即ち、蓋部167を第1のヒンジ191を回動中心としてめくり上げる力)が生じて、蓋部167が開いてしまう恐れがあった。そして、蓋部167が開いてしまうことにより、図9(b)に示すように、電線105が第2収容部164と蓋部167との間に挟まったり(電線の噛み込み)、図9(c)に示すように電線105が第2収容部164の外にはみ出してしまったりして、複数の電線105を保護できなくなるという問題があった。
【0014】
そこで、本発明は、上記のような問題点に着目し、電線取出片に引っ張られる力が加えられた場合においても、電線配索溝部を塞ぐ蓋部が開かないようにできる電線配索体、バスバモジュール、及び、電源装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に記載された発明は、上記目的を達成するために、1又は複数の電線を収容する溝状の電線配索溝部と、前記電線配索溝部に第1のヒンジを介して回動可能に連設され、前記電線配索溝部の溝開口を塞ぐように前記電線配索溝部に被せられる蓋部と、前記蓋部に第2のヒンジを介して回動可能に連設された電線取出片と、を有する電線配索体において、前記第2のヒンジの回動軸が、前記第1のヒンジの回動軸と直交するように設けられていることを特徴とする電線配索体である。
【0016】
請求項2に記載された発明は、上記目的を達成するために、複数の電池で構成された電池集合体の各電池を互いに接続する複数のバスバと、前記複数のバスバを介して前記各電池に接続される複数の電線と、前記複数の電線を収容する電線配索体と、を有するバスバモジュールにおいて、前記電線配索体として、請求項1に記載の電線配索体を有していることを特徴とするバスバモジュールである。
【0017】
請求項3に記載された発明は、上記目的を達成するために、複数の電池で構成された電池集合体と、前記電池集合体に重ねて取り付けられるとともに前記各電池を互いに接続するバスバモジュールと、を有する電源装置において、前記バスバモジュールとして、請求項2に記載のバスバモジュールを有していることを特徴とする電源装置である。
【発明の効果】
【0018】
請求項1、2、3に記載された発明によれば、電線配索体において、電線取出片と蓋部とを連設する第2のヒンジの回動軸が、蓋部と電線配索溝部とを連設する第1のヒンジの回動軸と直交するように設けられているので、電線取出片に引っ張られる力が加えられた場合でも、蓋部に、第1のヒンジを回動中心として該蓋部をめくり上げるように回転させる力が生じることがなくなり、そのため、電線配索溝部を塞ぐ蓋部が開かないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態の電源装置を示す斜視図である。
【図2】図1の電源装置が備えるバスバモジュールの平面図である。
【図3】図2のバスバモジュールの部分拡大図である。
【図4】図2のバスバモジュールの組立時において、第2収容部に蓋部を被せる前の斜視図である。
【図5】図2のバスバモジュールの組立時において、第2収容部に蓋部を被せた後の斜視図である。
【図6】図2のバスバモジュールの組立時において、電線取出片を蓋部67に重ねて配置した斜視図である。
【図7】従来のバスバモジュールの平面図である。
【図8】図7のバスバモジュールにおいて、第2収容部に蓋部を被せた後の平面図である。
【図9】図8のA−A線に沿う断面図であって、(a)は、複数の電線が第2収容部に収容されている状態を示す図であり、(b)は、電線が第2収容部と蓋部との間に挟まった状態を示す図であり、(c)は、電線が第2収容部からはみ出した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の電源装置の一実施形態を、図1〜図6を参照して説明する。なお、説明の便宜上、各図において、矢印X、矢印Y、及び、矢印Zを用いて、各部材の配設方向などを示す。これら矢印X、矢印Y、及び、矢印Zは互いに直交している。
【0021】
図1に示す電源装置10は、電池集合体2と、この電池集合体2に重ねて取り付けられるバスバモジュール1と、を備えている。この電源装置10は、電池モータを用いて走行する電気自動車や、エンジンと電動モータを併用して走行するハイブリッド自動車などに搭載され、前記電動モータに動力を供給するものである。
【0022】
上記電池集合体2は、一方向(図1の矢印X方向)に沿って一列に配列され且つ互いに固定された複数の電池20で構成されている。各電池20は、直方体状の電池本体21と、この電池本体21の1つの面の一端及び他端からそれぞれ突出して設けられた一対の電極22、23と、を備えている。一対の電極22、23のうち一方の電極22は正極22であり、他方の電極23は負極23である。一対の電極22、23は、それぞれ、導電性の金属により円柱状に形成されている。各電池20は、電池本体21における一対の電極22、23が設けられた面が同一方向(図1上方)に向けられるとともに隣り合う電池20の電池本体21が互いに接するように、且つ、1つの電池20の正極22と該1つの電池20に隣接する他の電池20の負極23とが交互に隣り合うように(つまり、矢印X方向に沿って、正極22、負極23、正極22、負極23、…、の順で)配列されている。
【0023】
上記バスバモジュール1は、前述した複数の電池20を直列に接続する。バスバモジュール1は、図2、図3に示すように、複数のバスバ3と、複数の端子4と、複数の電線5と、複数の電線配索体としてのプレート6と、を備えている。
【0024】
バスバ3は、電池集合体2の互いに隣り合う電池20の正極22と負極23とに取り付けられることでこれら各電池20を直列に接続する。バスバ3は、導電性の金属板にプレス加工が施されるなどして得られるものであり、略長方形板状の金属板に、互いに隣り合う電池20の正極22及び負極23が通される一対の孔3aが設けられている。これら一対の孔3aは、バスバ3の長手方向に沿って、互いに隣り合う電池20の正極22及び負極23と同じ間隔をあけて配置されている。また、前記バスバ3は、前記孔3aに通された正極22及び負極23にナット(図示なし)が螺合されることで、電池20に取り付けられる(固定される)とともに、該正極22及び該負極23に電気的に接続される。
【0025】
端子4は、対応するバスバ3に重ねて配置されて、該バスバ3を介して互いに隣り合う電池20の正極22及び負極23に接続される。端子4は、導電性の金属板にプレス加工が施されるなどして得られるものであり、バスバ接続部41と、電線取付部42と、を備えている。
【0026】
バスバ接続部41は、バスバ3に重ねられて該バスバ3と電気的に接続される部位であり、略正方形板状に形成されるとともに、その中央部には、1つの孔41aが設けられている。バスバ接続部41の各辺の長さは、バスバ3の短辺の長さと略同一又は若干短くされている。孔41aは、バスバ3の一対の孔3aの一方と重ねられて、電池20の正極22又は負極23が通される。バスバ接続部41は、バスバ3に重ねられた状態で上記ナットによって電池20に取り付けられる。
【0027】
電線取付部42は、バスバ接続部41の1つの辺から平行に延設された、略矩形板状片部である。電線取付部42の先端部分には、後述する電線5の一端5Aの絶縁被覆で被覆された部分を固定する一対の電線かしめ片43が設けられている。電線取付部42の中央部分には、後述する電線5の一端5Aにおいて露出した芯線を圧着して該芯線と電気的に接続する一対の圧着片44が設けられている。孔41aと一対のかしめ片43と一対の圧着片44とは、直線状に並べられた配置となっている。
【0028】
端子4には、電線取付部42の一対の電線かしめ片43及び一対の圧着片44によって、電線5の一端5Aが取り付けられる。つまり、電線5は、端子4に電気的に接続されており、そして、バスバ3を介して各電池20の正極22及び負極23に接続されている。
【0029】
また、端子4は、当該端子4に接続された電線5を介して、図示しないECU(Electronic Control Unit)が備える電圧検出回路に接続される。そして、該ECUが、電圧検出回路によって検出された各電池20における一対の電極22、23との電位差(電圧)に基づいて、各電池20の残量や充放電状態などを検出する。即ち、端子4は、電圧の検出に用いられる電圧検出端子として機能する。
【0030】
電線5は、導電性の芯線と該芯線を被覆した絶縁被覆とを有する周知の被覆電線である。電線5は、その一端5Aにおいて、絶縁被覆が皮剥きされて芯線が露出している。電線5の一端5Aは、端子4に電気的に接続され、電線5の他端5Bは図示しないECUが備える電圧検出回路などに接続される。
【0031】
プレート6は、例えば、合成樹脂などを用いて互いに一体に成形された、複数の第1収容部60と、複数の電線配索溝部としての第2収容部64と、複数の第3収容部68と、複数の蓋部67と、電線取出片96と、を備えている。
【0032】
第1収容部60は、上記バスバ3と略同一形状の略長方形板状の底壁部61と該底壁部61の周縁から垂直に立設された周壁部62とで構成されており、略器形状に形成されている。底壁部61には、バスバ3の一対の孔3aと重なる一対の孔(図示なし)が設けられている。この底壁部61の内面(即ち、周壁部62で囲われる面)には、順次、バスバ3及び端子4が重ねられる。つまり、第1収容部60の内側には、バスバ3及び端子4が1つずつ収容される。そして、各電池20の正極22又は負極23は、底壁部61の一対の孔及びバスバ3の孔3aを順次通され、さらに、正極22又は負極23のどちらか一方は、端子4の孔4aを通される。また、複数の第1収容部60は、それらの長手方向が前記複数の電池20の配列方向(矢印X方向)に沿うようにして一列に並べられており、互いに連結部材63によって連結されている。
【0033】
連結部材63は、断面C字形状の半円筒形状で且つ弾性変形可能に形成されており、その一対の両縁部が、互いに隣り合う第1収容部60における相対する周壁部62にそれぞれ連設されている。連結部材63は、弾性変形することにより、隣接する第1収容部60間の距離を近づけたり離したりして、各電池20やプレート6などの形状誤差を吸収し、これにより、電源装置10の組立性を向上させることができる。
【0034】
第2収容部64は、長尺の矩形板状の底壁部65と、該底壁部65の幅方向に相対する両縁部から垂直に立設した一対の側壁部66、66と、からなる断面略コ字の溝状(樋形状)に形成されており、その内側に複数の電線5を収容する。複数の第2収容部64は、それらの長手方向が矢印X方向に沿うようにして一列に並べられている。複数の第2収容部64からなる列は、複数の第1収容部60からなる列と矢印X方向に直交する方向(矢印Y方向)に沿って間隔をあけて平行に配置されている。
【0035】
第3収容部68は、樋状に形成されており、第1収容部60と第2収容部64とを連通するように矢印Y方向に沿って設けられている。第3収容部68は、相対する第1収容部60の底壁部61と第2収容部64の底壁部65とを連結する底壁部69と、該底壁部69の相対する一対の縁部から立設され、かつ、互いに向き合う第1収容部60の周壁部62と第2収容部64の側壁部66とを連結する一対の連結壁部70と、によって構成されている。第3収容部68内には、端子4の電線取付部42及び電線5の一端5Aが配置される。
【0036】
また、図3に示すように、一端5Aが前記第3収容部68に収容された電線5の他端5Bは、略90度曲げられて第2収容部64に収容される。また、一対の連結壁部70の底壁部69から離れた上端部には、それぞれ互いに近づくように突出した一対の上壁部71が設けられている。第3収容部68は、一対の上壁部71と底壁部69との間に端子4の電線取付部42及び電線5を保持して、該電線5が第3収容部68から飛び出すことを防止する。
【0037】
蓋部67は、矩形板状に形成されており、第2収容部64の溝開口98を塞ぐように該第2収容部64に被せられる。蓋部67の幅は、第2収容部64の溝開口98の幅より若干大きく形成されている。蓋部67は、幅方向(短手方向)に沿って相対する両縁部(長辺部)のうち一方の縁部の一部が第1のヒンジ91を介して、第2収容部64の一方の側壁部66における底壁部65から離れた側の上端に回動可能に連設されている。即ち、第1のヒンジ91の回動軸は矢印X方向に沿って設けられており、そして、蓋部67は、第1のヒンジ91を回動中心として開閉可能に第2収容部64に設けられている。蓋部67における他方の縁部には、第2収容部64の他方の側壁部66の外面に設けられた爪受部93に係止されるロック爪94が設けられている。ロック爪94は爪受部93に係止されることにより、蓋部67が第2収容部64に被せられた(即ち、閉じられた)状態を保持する。
【0038】
複数の蓋部67は、それぞれ第1のヒンジを介して対応する第2収容部64に回動可能に連設されているとともに、それらの長手方向がX方向に沿うようにして一列に並べられている。また、一部の蓋部67は、該一部の蓋部67に隣接する他の蓋部67との間に、第2収容部64から電線を取り出すための間隔95を設けるようにして配置されている。この間隔95は、第2収容部64の溝開口98における蓋部67が被さらない部分でもある。
【0039】
電線取出片96は、略T字板状に形成されており、T字の縦棒に相当する部分の端末が、第2のヒンジ92を介して、蓋部67における間隔95に面する縁部(短辺部)79に回動可能に連設されている。即ち、第2のヒンジ92の回動軸は矢印Y方向に沿って設けられており、そして、電線取出片96は、第2のヒンジ92を回動中心として回動可能に設けられている。電線取出片96には、第2収容部64から間隔95を通じて取り出された複数の電線5が、拘束部材としてのテープ97によって取り付けられる(即ち、固定される)。これにより、電線取出片96は、複数の電線5が所定の方向(本実施形態においては、矢印X方向)に沿うように支持する。
【0040】
複数のプレート6は、矢印X方向に沿って一列に並べられて、図示しない連結部によって互いに連結されている。さらに、この複数のプレート6からなる列が矢印Y方向に沿って間隔をあけて2つ並べられて互いに連結されている。つまり、図1に示すように、矢印Y方向に沿って間隔をあけて、複数の第2収容部64からなる列、複数の第1収容部60からなる列、複数の第1収容部60からなる列、及び、複数の第2収容部からなる列、が順次平行に並べられて配置されている。また、互いに連結されたこれら複数のプレート6は、全体としての平面形状が、電池集合体2の電極22、23が設けられた上面2aと略等しい略長方形に形成されていて、この上面2aに重ねられる。
【0041】
次に、上述したバスバモジュール1の組立方法を、図4〜図6を参照して説明する。
【0042】
まず、図4に示すように、プレート6の第1収容部60に、バスバ3と、予め電線5が取り付けられた端子4と、を順次収容するとともに、端子4に取り付けられた電線5を第2収容部64内に収容する。そして、図5に示すように、各蓋部67を、第1のヒンジ91を回動中心として回動させて、第2収容部64の溝開口98を塞ぐように第2収容部64に被せて、爪受部93とロック爪94とを係止させる。そして、蓋部67と該蓋部67に隣接する他の蓋部67との間に設けられた間隔95から一部の電線5を取り出して、この間隔95に面する蓋部67の縁部79に設けられた電線取出片96にテープ97で固定する。そして、図6に示すように、第2のヒンジ92を回動中心として電線取出片96を回動させて、電線取出片96に固定された複数の電線5が矢印X方向に沿うように、電線取出片96を蓋部67に重ねて配置する。このようにして、バスバモジュール1は組み立てられる。
【0043】
次に、上述したバスバモジュール1における本発明に係る作用について説明する。
【0044】
バスバモジュール1において、第2収容部64は、第1のヒンジ91を介して回動可能に連設された蓋部67によって溝開口98が塞がれている。この第2収容部64内には複数の電線5が配索されている。これら複数の電線5のうち、一部の電線5が、蓋部67と他の蓋部67との間に設けられた間隔95から取り出されており、他の一部の電線5が第2収容部64の端開口99から取り出されている。そして、この間隔95から取り出された一部の電線5は、間隔95に面する蓋部67の縁部79に第2のヒンジ92を介して回動可能に連設された電線取出片96に固定されている。また、電線取出片96は、一部の電線5が矢印X方向に沿うように配置されている。
【0045】
そして、一部の電線5が引っ張られたときに、電線取出片96にも矢印X方向に沿って引っ張られる力が働くが、電線取出片96を蓋部67に連設する第2のヒンジ92の回動軸が、蓋部67の回動中心となる第1のヒンジ91の回動軸と直交して設けられているので、蓋部67に対して、第2のヒンジ92が設けられた縁部79から蓋部67をめくり上げる力が生じるものの、第1のヒンジ91を回動中心として蓋部67をめくり上げるように回転させる力が生じることはなく、そのため、蓋部67が開いてしまうことを防ぐことができる。また、図5に示すように、電線取出片96によって、一部の電線5を上方に向かう方向(矢印Z方向)に沿うように取り出した場合においても、上記と同様の作用となる。
【0046】
以上より、本発明によれば、プレート6において、電線取出片96と蓋部67とを連設する第2のヒンジ92の回動軸が、蓋部67と第2収容部64とを連設する第1のヒンジ91の回動軸と直交するように設けられているので、電線取出片96に引っ張られる力が加えられた場合でも、蓋部67に、第1のヒンジ91を回動中心として該蓋部67をめくり上げるように回転させる力が生じることがなくなり、そのため、第2収容部64を塞ぐ蓋部67が開かないようにできる。したがって、複数の電線5を、第2収容部64内に確実に収容して他の部材との接触や外部からの衝撃などから保護でき、複数の電線5の断線や短絡などの不具合を防ぐことができる。
【0047】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 バスバモジュール
3 バスバ
4 端子
5 電線
6 プレート(電線配索体)
10 電源装置
20 電池
60 第1収容部
64 第2収容部(電線配索溝部)
67 蓋部
68 第3収容部
91 第1のヒンジ
92 第2のヒンジ
96 電線取出片
98 溝開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の電線を収容する溝状の電線配索溝部と、前記電線配索溝部に第1のヒンジを介して回動可能に連設され、前記電線配索溝部の溝開口を塞ぐように前記電線配索溝部に被せられる蓋部と、前記蓋部に第2のヒンジを介して回動可能に連設された電線取出片と、を有する電線配索体において、
前記第2のヒンジの回動軸が、前記第1のヒンジの回動軸と直交するように設けられている
ことを特徴とする電線配索体。
【請求項2】
複数の電池で構成された電池集合体の各電池を互いに接続する複数のバスバと、前記複数のバスバを介して前記各電池に接続される複数の電線と、前記複数の電線を収容する電線配索体と、を有するバスバモジュールにおいて、
前記電線配索体として、請求項1に記載の電線配索体を有していることを特徴とするバスバモジュール。
【請求項3】
複数の電池で構成された電池集合体と、前記電池集合体に重ねて取り付けられるとともに前記各電池を互いに接続するバスバモジュールと、を有する電源装置において、
前記バスバモジュールとして、請求項2に記載のバスバモジュールを有していることを特徴とする電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−67012(P2011−67012A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−215510(P2009−215510)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】