説明

電話回線を用いた緊急通報システム

【課題】利用者以外からの着信で緊急通報装置を起動させる誤動作の回避を可能とし、更に、付添い人が不在の場合の緊急通報が必要な事態の判定を可能にする。
【解決手段】一つは通報モード設定ボタン18を備え、着信で緊急通報装置10を起動させる機会を限定する。他の一つは発信者番号照合により再着信を判定する通報判定制御部22を備え、同一の利用者からの再着信判定を確実にする。通報モード設定ボタン18の操作時に、緊急通報装置10では、通報判定制御部22が着信を受けた際に発信者が所定時間の不応答を判断して呼放棄したことを呼放棄検出24で検出する。その後の基準時間内の再着信を再着信判定25で判定し、呼放棄と再着信とを複数回繰り返すことで、緊急通報判定26が緊急通報の必要性を判定して緊急通報装置10を起動できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話回線を用いて遠隔操作で緊急通報を行う方式に関するものである。
【背景技術】
【0002】
宅内に設置され、緊急事態などをセンサで検出の際、または、緊急通報ボタン操作の際、電話回線を用いて外部に通報する通報システムが種々開発されている。緊急事態には、不法侵入者、火災等の非常事態、または自宅療養されている方、介護を要する高齢者の方などの容態の急変等が含まれる。これらの通報システムは、更に、通常、外部から利用者が電話により通報システムを遠隔操作で起動し、例えば監視カメラ、要看護者などから得られる所定のデータを通報システムから収集する機能を有している。また、上述した通報システムは、宅内に設置する場合、通常は既設の電話機および/またはファクシミリ装置等の通信装置が接続された電話回線に、これら通信装置と共に接続されている。
【0003】
従来、電話回線を用いて外部から通報システムを呼出しし、通報データを取出す技術として、例えば特開2002−27131号公報(以後、特許文献1)が開示されている。この技術では、電話機、ファクシミリ装置等の他の通信装置と同一の電話回線に接続されている場合でも、これら通信装置の動作を確保しつつ選択的に着信動作をさせることができ、かつ、自らが有する諸機能を作動させることができる。
【0004】
この特許文献1に開示される通報装置は、電話回線に着呼を受付けの際、所定回数以内の呼出し信号による鳴動の後に直ちに電話回線が切断されるいわゆる「呼放棄」があったことと、この呼放棄の後で予め設定された基準時間内に「再着信」したことと、の双方の満足を条件として、通報装置への通常の着信動作を開始する。
【0005】
例えば、図4に示される緊急通報装置100では、通報判定制御部200が、着信の際に呼放棄検出タイマ103で着信のため受ける呼出信号を計数し、二回計数する前に電話回線の発信側から切断信号を受けた際に呼放棄検出201を作動させる。通報判定制御部200では、呼放棄検出201の機能が連続着信検出タイマ104を起動して所定時間内に着信を受けた際に連続着信検出202の機能により再着信を検出する。通報判定制御部200は、呼放棄と再着信との両者を検出した場合、検出電話回線接続制御部102を介して通報制御部101に所定の通報制御を開始させる。
【0006】
この構成により、最初の着信から途中で電話回線を切断せず鳴動動作を連続して行う場合には、電話機での留守番電話機能、ファクシミリ装置の自動切替え機能などが作動できるのみならず、比較的短時間で通報装置を起動することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−27131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の従来技術では、連続着信検出タイマの所定時間を数十秒等の比較的短時間に設定することによって、呼放棄した利用者以外の者がこの所定時間内に偶然にも外部から電話をかけてくる可能性を十分に低く抑えて利用者以外の発呼に起因する通報装置の着信動作への移行を有効に防止できるとしている。しかしながら、電気通信事業者の運営する交換網でトラフィックが輻輳するなどの原因により再着信が検出できない場合、または、比較的短時間の設定時間内に別の着信があって通報装置を誤作動させる機会は皆無でない。また、一回の呼放棄に対する再着呼が通報装置を起動しているが、通常発呼の際でも、無意識に呼放棄した後、再発呼する利用者はあり得る。
【0009】
更に、上述の従来技術では、通報装置の通報データが発信者に向けて送出されるので、発信者の電話機でデータを聴取/記録、または発信側の通報受信装置で受信することになる。一方、自宅療養者が一人きりかつ急病等で緊急通報装置を操作することができない事態が想定される。この場合、ワイヤレスリモートスイッチ等を含む押しボタンなどの操作による緊急通報が行えない。また、このような状態では当事者は着信電話にも応答できない。
【0010】
上述するように、外部から電話回線を用いてこの電話回線に接続される緊急通報システムを起動する場合、本緊急通報システムの利用者以外からの着信に起因して緊急通報装置を起動させる誤動作は免れない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による緊急通報システムは、電気通信事業者の電話回線に接続され、前記電話回線に着信して所定時間内に電話回線が切断された呼放棄着信と、当該呼放棄着信後で予め設定された基準時間内に再度着信した再着信と、の双方を満足したことを通報開始条件として装置の通報動作を開始する緊急通報装置に関する。
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明による一つの緊急通報システムは、通報モード設定ボタンを備えることである。すなわち、本発明による緊急通報システムは、通報モード設定ボタン操作の際のみ、電話回線から緊急通報装置を起動できることを特徴とする。
【0013】
他の一つは、電気通信事業者により付与される電話番号と発信者番号通知サービスを利用して再着呼を確認することである。すなわち、本発明による緊急通報システムは、呼放棄着信の際に発信者番号を記録し、呼放棄着信後の着信でその発信者番号を照合して再着信を確認し、更に、連続する複数回の呼放棄着信と再着信とを計数して所定数に達した際に所定の通報先を呼出しすることを特徴とする。
【0014】
通報モード設定ボタンを設けて通報モードを切り替えることにより、呼放棄着信検出のための所定時間は適切な長時間に設定可能である。更に、緊急通報装置から発信者に通報指示を確実に受付したことをメッセージ通知し、かつ、その後、緊急通報装置から電話回線を介して所定の通報先を呼出しして通報データをその通報先に送出することができる。
【0015】
更に、本発明による緊急通報システムは、呼放棄着信の際に発信者番号を記録して照合し、連続する再着信を確認すると共に、所定数に達した際に、所定の通報先を呼出ししているので、本システムの利用を限定して通報先へ確実な通報ができる。すなわち、その利用者以外からの誤動作の回避を可能にしている。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、通報モード設定ボタンを設けて操作した際に外部から電話回線を用いて上記緊急通報装置呼出しの着信があった場合のみ、緊急通報装置の通報動作が開始されるので、利用者以外からの着信により緊急通報装置を誤動作させる機会を低減させることができる。
【0017】
また、発信者番号の照合一致で再着信を確認し、更に複数回の連続する一致を判定しているので、緊急通報装置の呼出し判定を確実にすることができると共に、利用者以外からの着信により緊急通報装置を誤動作させる機会を確実に回避できる。更に、通報モード設定ボタンと連続複数回の発信者番号照合との組合せにより、緊急通報装置の呼出しに対して、より一層の誤作動防止に効果がある。
【0018】
また、通報モード設定ボタンによる切替え設定は、呼放棄着信検出のための所定時間を適切な長時間に設定できるので、自宅療養者が一人きりかつ急病等で緊急通報装置を操作することができない事態でも、緊急通報装置での無応答が検出できる。従って、緊急通報を所定の通報先に確実に届けることができる。
【0019】
更に、緊急通報装置から発信者に通報指示を確実に受付したことをメッセージ通知し、かつ、その後、緊急通報装置から電話回線を介して所定の通報先を呼出しして通報データをその通報先に送出することができる。この構成により、本発明による緊急通報システムは、自宅療養者が一人きりかつ急病等で緊急通報装置を操作することができない事態であっても、呼放棄着信検出のための適切な所定時間の設定により、不要な長時間呼出しを回避できるのみならず、所定の呼放棄手順により通報先に確実に通報可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例1に係る緊急通報装置の実施の一形態を機能ブロックで示す説明図である。
【図2】図1における緊急通報装置の動作手順の概略を実施例2としてフローチャートで示す説明図である。
【図3A】図1における緊急通報装置の詳細な動作手順を実施例3としてフローチャートで示す説明図である。
【図3B】図1における緊急通報装置の詳細な動作手順の図3Aに続く実施例3をフローチャートで示す説明図である。
【図4】従来の緊急通報装置に係る一例を機能ブロックで示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
本発明による緊急通報システムは、電気通信事業者の電話回線に接続され、電話回線に着信して所定時間内に電話回線が切断された呼放棄着信と当該呼放棄着信後で予め設定された基準時間内に再度着信した再着信との双方を満足したことを通報開始条件として通報動作を開始する緊急通報装置に関する。
【0023】
本発明の主要目的は、利用者以外からの着信により緊急通報装置を誤動作させる機会を低減させることができることにある。
【0024】
そのため、本発明による緊急通報システムは、通報モード設定ボタンを備え、通報モード設定ボタン操作の際には、呼放棄着信検出のための所定時間を予め適切な長時間に設定することができるので、不応答を確認した再着呼を受付けする。更に、緊急通報システムは、緊急通報装置から発信者に通報指示を確実に受付したことをメッセージ通知し、かつ緊急通報装置から電話回線を介して所定の通報先を呼出しして通報データをその通報先に送出することを特徴とする。
【0025】
更に、その基本はその利用者以外からの誤接続の回避を可能にすることである。そのため、本発明による緊急通報システムでは、呼放棄着信の際に受付けする発信者番号を記憶し、その発信者番号の一致により再着信を確認する。更に、呼放棄の再着信が複数回連続することにより、初めて緊急通報装置が起動される。
【0026】
上述した構成により、自宅療養者が一人きりかつ急病等で緊急通報装置を操作することができない事態でも、所定の通報先に確実に通報可能な緊急通報システムを提供することができる。
【0027】
以下の実施例で、緊急通報システムを、機能ブロック図及びフローチャートを参照して説明する。しかし、ブロック機能の分散/併合または手順の入替えなどの変更は本発明の趣旨、明細書で説明され特許請求の範囲に記載される機能などを満たす限り自由であり、本発明が下記説明により限定されるものではない。
【実施例1】
【0028】
実施例1に係る緊急通報システムについて、図1を参照して説明する。
【0029】
図示される緊急通報システムにおける緊急通報装置10は、一方に電気通信事業者の電話回線を接続し、他方に電話機30を接続する。緊急通報装置10は、警報センサ11、通報先等メモリ12、通報データ送出部13、発信者番号メモリ14、呼放棄検出タイマ15、再着信判定タイマ16、連続受信カウンタ17、通報モード設定ボタン18、メッセージ送出装置19、通報制御部20、電話回線接続制御部21、および、通報判定制御部22を有する。通報判定制御部22は発信者番号照合23、呼放棄検出24、再着信判定25、および、緊急通報判定26、それぞれの機能を有する。
【0030】
警報センサ11は、宅内、病人などでの異常、異変を検出しその情報データを通報データ送出部13に通報制御部20を介して通知するセンサ、および通報先を呼出すボタンなどを含む。通報先等メモリ12は、通報先の情報として電話番号等を予め記憶する。通報データ送出部13は、通報先に通報する通報データを例えば警報センサ11から受けて随時記録し、通報制御部20の制御で記録した通報データを電話回線に電話回線接続制御部21を介して送出する。
【0031】
発信者番号メモリ14は、通報判定制御部22の制御を受け、電話回線から着信の都度、受付けする発信者番号を記録する。呼放棄検出タイマ15は通報判定制御部22の制御を受けて所定の時間を計測し、通報判定制御部22はその時間以内に切断信号を受付けした際に呼放棄着信を検出する。この所定時間は、電話回線から着信のため受付けする呼出し信号を計数することとしてもよい。呼放棄検出タイマ15は、通報モード設定ボタン18の操作有無により、設定時間を変化させることができる。通報モード設定ボタン18の操作有の場合には無応答を検出のため比較的長時間である一方、操作なしの場合には着信から短時間での応答が見込まれるので、比較的短時間に設定される。
【0032】
再着信判定タイマ16も通報判定制御部22の制御を受けて所定の時間を計測し、通報判定制御部22が呼放棄着信後の比較的短時間で設定された基準時間以内に続けて着信を受けたことを再着信と判定する。この基準時間は、電話回線が経由する電話網のトラフィック輻輳を考えて設定されることが望ましい。連続受信カウンタ17は、通報判定制御部22の制御を受けて呼放棄着信と再着信とが連続する場合にその数を計測する。
【0033】
通報モード設定ボタン18は、本発明の主要な特徴であり、留守にする場合に操作して電話回線から通報先を呼出しする通報モードに設定できる。このボタン操作により、自宅療養者が一人きりかつ急病等の場合に緊急通報装置を作動させる押しボタン操作ができない事態でも、外線からの呼出しで異常を検知し所定の通報先に通報できる。
【0034】
メッセージ送出装置19は、通報モード設定ボタン18で通報モードに設定の場合、緊急通報が判定された際に発信者に緊急通報装置10が起動したことを、音声メッセージ、所定の信号などを電話回線の発信者側に送出して通知する。
【0035】
通報制御部20は、従来の各種条件による通報先への通報機能を有する上、電話回線接続制御部21を介してまたは直接、通報判定制御部22からの制御を受けて通報データ送出部13から所定の通報データを通報先へ電話回線を介して送出する。
【0036】
電話回線接続制御部21は、通常、電話回線と電話機30とを直接接続すると共に回線状態を監視する。また、電話回線接続制御部21は、通報制御部20または通報判定制御部22からの制御を受け、通報データ送出部13、メッセージ送出装置19、または電話機30を電話回線に接続すると共に、電話回線に通報先等メモリ12に記憶された通報先等のダイヤルで発信することにより予め設定された通報先に緊急通報装置10または電話機30を接続することができる。
【0037】
通報判定制御部22は、通報モード設定ボタン18が操作されている場合、発信者番号照合23、呼放棄検出24、再着信判定25、および緊急通報判定26それぞれの機能を有して緊急通報発生の必要性を判定し、電話回線接続制御部21を介して通報制御部20を駆動し、所定の手順を実行させる。
【0038】
発信者番号照合23は、着信を受付けの際にその発信者番号を発信者番号メモリ14に記憶するが、既に記憶されている場合には照合し、一致で再着信判定25に通知し、不一致では記憶を更新する。呼放棄検出24は、着信で呼放棄検出タイマ15を起動し、所定の時限以内で切断される呼放棄を検出する一方、時限到達の際には電話回線接続制御部21に着信を通知して所定動作に移行する。通報モード設定ボタン18が操作されている場合の時限には着信に対する応答不能状態を検出できるように少なくとも数回の呼出信号による鳴動時間が設定される。この時限到達の際には、例えば自動応答後の短時間の留守番サービスに続いてこの電話回線の解放処理が実行される。
【0039】
再着信判定25は、呼放棄検出で再着信判定タイマ16を起動し、所定の基準時間以内の着信でその発信者番号が発信者番号メモリ14の記憶と同一の場合に再着信と判定する一方、時限到達の際には接続中の電話回線の解放処理を行う。緊急通報判定26は、再着信判定25での再着信との判定の都度、連続受信カウンタ17の計数を一つ進め、所定数に到達の際に緊急通報と判定して電話回線接続制御部21に通知すると共に、緊急通報装置10は所定の緊急通報処理を開始する。再着信判定には発信者番号の照合があるので、極端に短時間を設定する必要はない。
【0040】
すなわち、通報判定制御部22は電話回線接続制御部21を介して通報制御部20に緊急通報判定を通知するので、通報制御部20が電話回線にメッセージ送出装置19を接続して例えば緊急通報装置が起動したことをメッセージ送出装置19から音声で通知する。通報制御部20は、メッセージを例えば2回繰り返し送出した後に通報先等メモリ12から通報先ダイヤル番号を読み出し、発信者と接続の電話回線を解放した後に自動ダイヤル発信して通報先を呼出し、この電話回線に通報データ送出部13を接続して所定の通報データを送出する。この際の通報データには、通報データ送出部13に記録されたデータに加えて、外部から緊急事態を発見して通知した旨のメッセージが追加される。
【実施例2】
【0041】
次に、図2に図1を併せ参照して、本発明の主要機能を実施例2としてフローチャートで説明する。
【0042】
すなわち、通報モード設定ボタン18が既に操作されており通報モードに設定(手順S1)され、発信者番号メモリ14、呼放棄検出タイマ15、再着信判定タイマ16、および連続受信カウンタ17が初期化(手順S2)されている状態で手順は開始される。
【0043】
着信あり(手順S3のYES)の場合、通報判定制御部22は、発信者番号を受付けして発信者番号メモリ14に記録するが、既に記憶されている場合には照合(手順S4)する。そして、通報判定制御部22は、照合一致の場合に連続した同一発信者番号(手順S5のYES)として再着信と判定し、その回数を計測(手順S6)する。
【0044】
通報判定制御部22は、手順S5が「NO」で同一発信者番号でない場合、また、手順S6に続き、計測回数が所定数値に未到達(手順S7のNO)の場合、従来同様、呼放棄の検出(手順S8のYES)でかつ再着信と判定(手順S9のYES)の場合には上記手順S3に戻り次の着信を待つ。
【0045】
上記手順S7が「YES」で計測回数が所定数値に到達の場合には、通報判定制御部22は、電話回線接続制御部21を介して通報制御部20に通報制御を起動させ、発信者番号メモリ14、呼放棄検出タイマ15、再着信判定タイマ16、および連続受信カウンタ17を初期化(手順S10)する。通報制御部20は、電話回線接続制御部21に指示してメッセージ送出装置19を電話回線に接続し、例えば「通報装置を起動し、通報先へ通報します」との音声メッセージを発信者番号元へ送信した後、その電話回線を解放して自動ダイヤル発信により通報先を呼出し、この電話回線に通報データ送出部13を接続替え(手順S11)する。この結果、発信者はこの呼で緊急通報装置が起動されたことを知ることができる。
【0046】
上記手順S8,9が「NO」で呼放棄検出または再着信判定の何れかができなかった場合、緊急通報装置10は、発信者番号メモリ14、呼放棄検出タイマ15、再着信判定タイマ16、および連続受信カウンタ17を初期化して復旧(手順S12)する。
【実施例3】
【0047】
次に、図3A、図3Bのフローチャートに図1のブロック図を併せ参照して、緊急通報装置10の動作手順の一形態を実施例3として詳細に説明する。
【0048】
緊急通報装置10に着信の受付けあり(手順S21のYES)の際に通報モード設定ボタン18の操作による通報モード設定あり(手順S22のYES)の場合で通報判定制御部22は、発信者番号を受付けして発信者番号メモリ14に記録する。しかし、既に記憶されている場合には発信者番号照合23が受付けと記録との発信者番号を照合(手順S23)する。そして、通報判定制御部22は、一致の場合に同一発信者番号の連続受信(手順S24のYES)として連続受信カウンタ17を一つ加算(手順S25)し、その回数を緊急通報判定26が計測する。
【0049】
通報判定制御部22は、緊急通報判定26で計測値が所定数値到達(手順S26のYES)を判定の際に、電話回線接続制御部21を介して通報制御部20に通報制御を起動させ、発信者番号メモリ14、呼放棄検出タイマ15、再着信判定タイマ16、および連続受信カウンタ17を初期化(手順S27)する。通報制御部20は、電話回線接続制御部21に指示してメッセージ送出装置19を電話回線に接続し、発信者番号元へ例えば「通報装置を起動し、通報先へ通報します」との音声メッセージを送信(手順S28)する。通報制御部20は、その後に発信側から切断を受付けするので、その電話回線を解放(手順S29)して通報先メモリ12から通報先のダイヤル番号を読み出し、自動ダイヤル発信により通報先を呼出しする。通報制御部20は、通報先の応答でこの電話回線に通報データ送出部13を接続して通報データを送信(手順S30)する。
【0050】
上記手順S24,26が「NO」で、発信者番号が不一致または計測値が所定数値に未達の場合、通報判定制御部22の呼放棄検出24が呼放棄検出タイマ15に測定開始(手順S31)を指示する。そして、呼放棄検出24は、呼放棄検出タイマ15の所定値到達以前(手順S32のNO)で、発信側からの切断あり(手順S33のYES)を呼放棄着信として検出する。通報モード設定ボタン18の操作における呼放棄検出タイマ15は応答できない状態を検知するため、例えば3,4回の着信音を鳴動させるだけの適切な長さの時間が必要である。加えて、ワン切りまたはいたずらなどによる着信時間の極端に短い着信が連続することによる誤通報防止に対応する手段を講じることができる。
【0051】
通報判定制御部22は、呼放棄着信の検出により再着信判定25により再着信判定タイマ16を起動して計測を開始すると共に呼放棄検出タイマ15を初期化(手順S34)する。再着信判定タイマ16の所定値未到達(手順S35のNO)で着信あり(手順S36のYES)の場合、再着信判定25が連続する再着信を判定して再着信判定タイマ16を初期化(手順S37)し、上記手順S23に手順を戻して連続受信を判定する手順を繰り返す。
【0052】
上記手順S22が「NO」で通報モードが未設定の場合には、周知の各種着信処理(手順S40)が実行される。上記手順S32が「YES」で呼放棄検出タイマ15の所定値を越えた場合には、不在等の応答不能状態として呼放棄検出タイマ15を初期化(手順S41)し、留守番電話応答などの所定の着信処理(手順S42)を実行する。上記手順S35が「YES」で再着信判定タイマ16の所定値に到達の場合には再着信判定タイマ16を初期化(手順S43)して所定の解放処理(手順S44)を実行する。
【0053】
上記説明では、一つの電話回線を接続して同一電話回線への再着信を対象にしているので、緊急通報のための接続替えが必要であるが、別の電話回線を接続可能であれば、利用者からの切断を待たずに通報先を呼出し手順が採用可能である。この場合、通報データを発信者にも送ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、通報モード設定ボタンを設けることで、電話回線からのシステム起動をボタン操作中に限定し、通報データの入手可能な状態を手動で制限することができる。また、発信者番号の照合と複数繰り返しの回数による判定はシステムの誤起動をほとんど皆無にできる。このように、電気通信事業者の電話回線を利用してシステムに着信させ、そのシステムから情報またはデータを得るような場合に利用することができる。更に、両者を併用することが、その確実性を向上させる。
【0055】
また、電話回線からのシステム起動により、所定の通報先にダイヤル発信して接続先を切替え可能にすることにより、複数の電話回線を有する交換装置の転送システムに利用可能である。更に、通報装置が複数外線を有する電話交換装置に接続される場合、通報装置利用者が外部から発信し、発信者が予め転送先を通報装置に設定することにより転送させることができるので、その通報装置を転送装置として活用することができる。
【0056】
以上、実施形態および実施例を参照して本願発明を詳細に説明したが、本願発明は上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本願発明の構成および詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解できる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0057】
10 緊急通報装置
11 警報センサ
12 通報先等メモリ
13 通報データ送出部
14 発信者番号メモリ
15 呼放棄検出タイマ
16 再着信判定タイマ
17 連続受信カウンタ
18 通報モード設定ボタン
19 メッセージ送出装置
20 通報制御部
21 電話回線接続制御部
22 通報判定制御部
23 発信者番号照合
24 呼放棄検出
25 再着信判定
26 緊急通報判定

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気通信事業者の電話回線に接続され、前記電話回線に着信して所定時間内に電話回線が切断された呼放棄着信と、当該呼放棄着信後で予め設定された基準時間内に再度着信した再着信と、の双方を満足したことを通報開始条件として緊急通報装置の通報動作を開始する緊急通報システムにおいて、前記緊急通報装置に通報モード設定ボタンを備え、当該通報モード設定ボタンが操作状態で、かつ前記通報開始条件が得られた際に、前記緊急通報装置の前記通報動作を開始し、前記緊急通報装置の前記通報動作は、前記通報開始条件を満足させた発信側の前記電話回線に通報指示を受付けしたことをメッセージ通知し、かつ、前記緊急通報装置からの電話回線から通報先を呼出しして通報データを当該通報先に送出することを特徴とする緊急通報システム。
【請求項2】
請求項1に記載の緊急通報システムにおいて、前記呼放棄着信の際に発信者番号を記録し、呼放棄着信後の再着信でその発信者番号を照合して当該再着信を確認することを特徴とする緊急通報システム。
【請求項3】
請求項2に記載の緊急通報システムにおいて、前記緊急通報装置の前記通報動作は、連続する前記呼放棄着信と再着信とを計数し、所定数に達した際に開始することを特徴とする緊急通報システム。
【請求項4】
電気通信事業者の電話回線に接続され、前記電話回線に着信して所定時間内に電話回線が切断された呼放棄着信と、当該呼放棄着信後で予め設定された基準時間内に再度着信した再着信と、の双方を満足したことを通報開始条件として緊急通報装置の通報動作を開始する緊急通報システムにおいて、前記呼放棄着信の際に発信者番号を記録し、呼放棄着信後の再着信でその発信者番号を照合して当該再着信を確認することを特徴とする緊急通報システム。
【請求項5】
請求項4に記載の緊急通報システムにおいて、前記緊急通報装置の前記通報動作は、連続する前記呼放棄着信と再着信とを計数し、所定数に達した際に開始することを特徴とする緊急通報システム。
【請求項6】
電気通信事業者の電話回線に接続され当該電話回線に着信して所定時間内に電話回線が切断された呼放棄着信と当該呼放棄着信後で予め設定された基準時間内に再度着信した再着信との双方を満足したことを通報開始条件として通報先への通報動作を開始する緊急通報装置において、
通報モード設定ボタンと、
当該通報モード設定ボタンが操作状態でかつ前記通報開始条件が得られた際に、前記通報先への通報動作を開始する通報判定制御部と、
前記通報判定制御部から前記通報動作開始の指示を受けた際に前記通報開始条件を満足させた発信側の前記電話回線に通報指示を受付けしたことをメッセージ送出し、その後、当該電話回線を介して前記通報先を呼出しして接続し、通報データを送出する電話回線接続制御部と
を備えることを特徴とする緊急通報装置。
【請求項7】
請求項6に記載の緊急通報装置において、前記通報判定制御部が、前記呼放棄着信の際に発信者番号を記録し、呼放棄着信後の再着信でその発信者番号を照合して前記再着信を確認する手段を含むことを特徴とする緊急通報装置。
【請求項8】
請求項7に記載の緊急通報装置において、前記通報判定制御部が、連続する前記呼放棄着信と再着信とを計数し、所定数に達した際に前記通報動作を開始する手段を更に含むことを特徴とする緊急通報装置。
【請求項9】
電気通信事業者の電話回線に接続され当該電話回線に着信して所定時間内に電話回線が切断された呼放棄着信と当該呼放棄着信後で予め設定された基準時間内に再度着信した再着信との双方を満足したことを通報開始条件として通報先への通報動作を開始する緊急通報装置において、前記通報開始条件が得られた際に、前記通報先への通報動作を開始する通報判定制御部を備え、当該通報判定制御部が、前記呼放棄着信の際に発信者番号を記録し、呼放棄着信後の再着信でその発信者番号を照合して前記再着信を確認する手段を含むことを特徴とする緊急通報装置。
【請求項10】
請求項9に記載の緊急通報装置において、前記通報判定制御部が、連続する前記呼放棄着信と再着信とを計数し、所定数に達した際に前記通報動作を開始する手段を更に含むことを特徴とする緊急通報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−233156(P2010−233156A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81056(P2009−81056)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】