説明

電話装置

【課題】利便性を向上することのできる電話装置を提供する。
【解決手段】所定のグループ内で共有の共有電話番号と該グループ内の各メンバー固有の固有電話番号とを着信できる電話装置11において、使用者に通知するメッセージを表示する表示部13を備え、固有電話番号の着信に応答しなかった際に非応答を通知するメッセージを表示部13に表示するとともに、共有電話番号の着信に応答しなかった際に非応答を通知するメッセージを表示部13に表示しないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不在時の非応答を通知するメッセージを表示できる電話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電話装置は特許文献1に開示されている。この電話装置は所定のグループ内の各メンバーに備えられ、グループ内で共有される共有電話番号を着信可能になっている。共有電話番号に着信があるとグループ内のすべての電話装置が呼出し音を鳴動し、いずれかの電話装置により応答すると他の電話装置は発信可能な状態になる。これにより、グループ内で不在者があっても応答することができ、顧客等に対して応対することができる。
【0003】
これらの電話装置は一般に着信があると着信履歴を格納し、不在等により着信に応答しなかった場合は「不在時着信あり」等の非応答を通知するメッセージが表示部にポップアップ表示される。使用者はポップアップされたメッセージを見て着信履歴を確認し、発呼者にダイヤルすることにより非応答に対して応答することができる。
【特許文献1】特開2003−87835号公報(第3頁−第9頁、第1図)
【特許文献2】特開2005−184373号公報(第2頁−第3頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、共有電話番号の着信があった際に不在であってもグループ内の他の者が応答するため着信履歴を確認して応答する必要がない。このため、使用者はメッセージを消去して応答が不要な着信履歴を確認するため煩わしく感じ、電話装置の利便性が悪い問題があった。
【0005】
本発明は、使用者に煩わしさを感じさせず、利便性を向上できる電話装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、所定のグループ内で共有の共有電話番号と該グループ内の各メンバー固有の固有電話番号とを着信できる電話装置において、使用者に通知するメッセージを表示する表示部を備え、前記固有電話番号の着信に応答しなかった際に非応答を通知するメッセージを前記表示部に表示するとともに、前記共有電話番号の着信に応答しなかった際に非応答を通知するメッセージを前記表示部に表示しないことを特徴としている。
【0007】
この構成によると、固有電話番号に着信があると着信履歴が格納される。着信時に使用者が不在していた場合は非応答を通知するメッセージが表示部に表示され、使用者はメッセージを見ることにより着信履歴を確認してダイヤルすることにより非応答に対して応答することができる。共有電話番号に着信があるとグループ内の各電話装置は呼び出し音が鳴動され、いずれかのメンバーにより応答が行われる。この時、使用者が不在で応答しなかった場合でも非応答を通知するメッセージが表示部に表示されない。
【0008】
また本発明は、外線用の電話番号と内線用の電話番号とを着信できる電話装置において、使用者に通知するメッセージを表示する表示部を備え、外線用の電話番号の着信に応答しなかった際に非応答を通知するメッセージを前記表示部に表示するとともに、内線用の電話番号の着信に応答しなかった際に非応答を通知するメッセージを前記表示部に表示しないことを特徴としている。
【0009】
この構成によると、外線用の電話番号に着信があると着信履歴が格納される。着信時に使用者が不在していた場合は非応答を通知するメッセージが表示部に表示され、使用者はメッセージを見ることにより着信履歴を確認してダイヤルすることにより非応答に対して応答することができる。内線用の電話番号に着信があると、使用者が不在で応答しなかった場合でも非応答を通知するメッセージが表示部に表示されない。
【0010】
また本発明は、外線と内線とを着信できる電話装置において、使用者に通知するメッセージを表示する表示部を備え、外線からの着信に応答しなかった際に非応答を通知するメッセージを前記表示部に表示するとともに、内線からの着信に応答しなかった際に非応答を通知するメッセージを前記表示部に表示しないことを特徴としている。
【0011】
この構成によると、発信者の情報を識別して外線から発信された着信があると着信履歴が格納される。着信時に使用者が不在していた場合は非応答を通知するメッセージが表示部に表示され、使用者はメッセージを見ることにより着信履歴を確認してダイヤルすることにより非応答に対して応答することができる。内線から発信された着信があると、使用者が不在で応答しなかった場合でも非応答を通知するメッセージが表示部に表示されない。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、固有電話番号、外線用の電話番号或いは外線からの着信に応答しなかった際に非応答を通知するメッセージを表示部に表示するので、使用者は応答する必要性の高い不在時の着信に対してメッセージを見てダイヤルすることにより非応答に対して応答することができる。また、共有電話番号、内線用の電話番号或いは内線からの着信に応答しなかった際に非応答を通知するメッセージを表示部に表示しないので、使用者は応答する必要性の低い着信に対してメッセージの消去や着信履歴の確認操作を行う必要がない。従って、使用者に煩わしさを感じさせず、電話装置の利便性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は第1実施形態の電話装置を含む電話システム50の構成を示すブロック図である。本実施形態の電話装置はVoIP電話装置11、21、31から成っている。会社等の敷地内に設置されたルータ1はインターネット網2に接続される。インターネット網2にはIPセントレックスの通信業者が有するセントレックスサーバ(不図示)がルータ(不図示)を介して接続されている。
【0014】
セントレックスサーバは交換器の機能を備えている。セントレックスサーバはIPパケットで送信される発呼要求の信号を受信すると、発呼先に応じて発呼信号を送信する。発呼先は、インターネット網2に接続されるVoIP電話装置11、21、31、51や、セントレックスゲートウェイ4を介してインターネット網2に接続される公衆電話網5の加入者電話装置(通常の電話装置)6等から成る。
【0015】
セントレックスゲートウェイ4は複数配設され、それぞれ市外局番が異なる地域の局に接続されている。セントレックスサーバは最適な経路となるセントレックスゲートウェイ4を選択する。尚、セントレックスサーバは発呼先が警察署(110)や消防署(119)等の特番の場合には接続を拒否する。
【0016】
一方、ルータ1にはLAN(構内)ゲートウェイ10、複数のVoIP電話装置11、21、31及びSIPサーバ41が接続されている。また、他のルータ1にも同様にVoIP電話装置51が接続される。VoIP電話装置51はインターネット網2を介してVoIP電話装置11、21、31及びSIPサーバ41に接続可能になっている。
【0017】
LANゲートウェイ10は会社と同一市外局番である地域内の局にインターネット網2を介することなく直接接続される。LANゲートウェイ10は地域内の公衆電話網5を介して加入者電話装置6と接続され、音声データとIPパケットの変換を行う。
【0018】
VoIP電話装置11、21、31は、操作部12、表示部13、メモリ14及び制御回路15を備えている。操作部12はテンキーや各種操作キー等の操作スイッチを有し、通話操作や設定操作等を行う。表示部13は液晶パネル等のディスプレイから成り、通話や設定等に係る情報を表示する。メモリ14は各種モード状態等のデータや、VoIP電話装置11、21、31を動作させるプログラムが記憶される。制御部15はメモリ14に記憶したプログラムに基づいて各部を制御する。
【0019】
SIPサーバ41は制御回路41a及びメモリ41bを備えている。制御回路41aはSIPサーバ41の各部を制御する。メモリ41bは構内の内線電話番号のデータ等を記憶する。
【0020】
上記構成の電話システム50において、一のVoIP電話装置11から同一市外局番の地域に発信すると、LANゲートウェイ10を介して地域内の局に接続され、相手先の加入者電話装置6に接続される。VoIP電話装置11から異なる市外局番の地域に発信すると、ルータ1、インターネット網2、ルータ3、セントレックスゲートウェイ4を介して地域外の局に接続され、相手先の加入者電話装置6に接続される。
【0021】
また、VoIP電話装置11、21、31は構内の内線番号を発信及び着信可能になっている。一のVoIP電話装置11から内線の電話番号を発信するとSIPサーバ41が電話交換を行い、例えば、VoIP電話21に接続される。
【0022】
各VoIP電話装置11、21、31はそれぞれに固有の固有電話番号で着信できるとともに、構内や部署内等の所定のグループ内で共有の共有電話番号を着信することができる。外線若しくは内線から固有電話番号に着信があるとSIPサーバ41が電話交換を行って所定のVoIP電話装置11、21、31に接続して呼び出し音を鳴動する。構外の外線やグループ外の内線から共有電話番号に着信があるとSIPサーバ41が電話交換を行い、グループ内のVoIP電話装置11、21、31に接続してこれらの呼び出し音を鳴動する。グループ内の他のメンバーが応答するとSIPサーバ41により接続が切断される。
【0023】
図2はVoIP電話装置11、21、31の着信時の詳細な動作を示すフローチャートである。着信があるとステップ#11で着信履歴のデータがメモリ14に格納される。これにより、操作部12の操作によってメモリ14からデータを呼出し、表示部13に着信履歴を表示して確認することができる。ステップ#12では着信に対して応答したか否かが判断される。応答した場合は着信時の処理を終了する。応答していない場合はステップ#13に移行する。
【0024】
ステップ#13ではSIPサーバ41からの指示により着信が停止されたか否かが判断される。発呼者により発信が停止された場合やグループ内の他の者による応答時にSIPサーバ41から着信の停止が指示される。ステップ#14では固有電話番号に着信したか否かが判断される。共有電話番号に着信があった場合は着信時の処理を終了する。固有電話番号に着信した場合は、「不在時着信あり」等の不在時の着信に非応答であることを通知するメッセージを表示部13にポップアップ表示して着信時の処理を終了する。
【0025】
本実施形態によると、固有電話番号の着信に応答しなかった際に非応答を通知するメッセージを表示部13に表示するので、使用者は応答する必要性の高い不在時の着信に対してメッセージを見てダイヤルすることにより非応答に対して応答することができる。また、共有電話番号の着信に応答しなかった際に非応答を通知するメッセージを表示部13に表示しない。共有電話番号の着信時は多くの場合グループ内の他のメンバーが応答していると考えられるため、使用者は応答する必要性の低い着信に対してメッセージの消去や着信履歴の確認操作を行う必要がない。従って、使用者に煩わしさを感じさせず、VoIP電話装置11、21、31の利便性を向上することができる。
【0026】
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態の電話装置は第1実施形態と同様に構成され、VoIP電話装置11、21、31は着信時の処理が異なっている。図3は本実施形態のVoIP電話装置11、21、31の着信時の処理を示すフローチャートである。前述の図2に示す第1実施形態のフローチャートに対してステップ#14以外は同一であるため説明を省略する。
【0027】
ステップ#14では外線用の電話番号に着信したか否かが判断される。内線用の電話番号に着信があった場合は着信時の処理を終了する。外線用の電話番号に着信した場合は、不在時の着信に非応答であることを通知するメッセージを表示部13にポップアップ表示して着信時の処理を終了する。
【0028】
本実施形態によると、外線電話用の電話番号に着信があった場合は、発呼者は顧客等の社外の者である場合が多いため不在時の着信に対して応答する必要性が高い。使用者は応答する必要性の高い不在時の着信に対してメッセージを見てダイヤルすることにより非応答に対して応答することができる。また、内線電話用の電話番号に着信があった場合は、発呼者は同じ構内や社内の者であるため不在時の着信に対して応答しなくても大きな問題は発生しない。このため、使用者は応答する必要性の低い着信に対してメッセージの消去や着信履歴の確認操作を行う必要がない。従って、使用者に煩わしさを感じさせず、VoIP電話装置11、21、31の利便性を向上することができる。
【0029】
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態の電話装置は第1、第2実施形態と同様に構成され、VoIP電話装置11、21、31は着信時の処理が異なっている。図4は本実施形態のVoIP電話装置11、21、31の着信時の処理を示すフローチャートである。前述の図2に示す第1実施形態のフローチャートに対してステップ#14以外は同一であるため説明を省略する。
【0030】
ステップ#14では発呼者を識別する識別情報を制御部15の制御により検知し、外線から発信された着信か否かが判断される。内線から発信された着信であった場合は着信時の処理を終了する。外線から発信された着信であった場合は、不在時の着信に非応答であることを通知するメッセージを表示部13にポップアップ表示して着信時の処理を終了する。
【0031】
本実施形態によると、第2実施形態と同様に、外線からの着信の場合は、発呼者は顧客等の社外の者である場合が多いため不在時の着信に対して応答する必要性が高い。使用者は応答する必要性の高い不在時の着信に対してメッセージを見てダイヤルすることにより非応答に対して応答することができる。また、内線からの着信の場合は、発呼者は同じ構内や社内の者であるため不在時の着信に対して応答しなくても大きな問題は発生しない。このため、使用者は応答する必要性の低い着信に対してメッセージの消去や着信履歴の確認操作を行う必要がない。従って、使用者に煩わしさを感じさせず、VoIP電話装置11、21、31の利便性を向上することができる。
【0032】
尚、第1〜第3実施形態において、VoIP電話装置11、21、31について説明しているが、VoIPを使用しない電話装置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、不在時の非応答を通知するメッセージを表示できる電話装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施形態の電話装置を有するVoIP電話システムの構成を示すブロック図
【図2】本発明の第1実施形態の電話装置の着信時の動作を示すフローチャート
【図3】本発明の第2実施形態の電話装置の着信時の動作を示すフローチャート
【図4】本発明の第3実施形態の電話装置の着信時の動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0035】
1、3 ルータ
2 インターネット網
4 セントレックスゲートウェイ
5 公衆回線網
6 加入者電話装置
10 LANゲートウェイ
11、21、31、51 VoIP電話装置
12 操作部
13 表示部
14、41b メモリ
15、41a 制御部
41 SIPサーバ
50 電話システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のグループ内で共有の共有電話番号と該グループ内の各メンバー固有の固有電話番号とを着信できる電話装置において、使用者に通知するメッセージを表示する表示部を備え、前記固有電話番号の着信に応答しなかった際に非応答を通知するメッセージを前記表示部に表示するとともに、前記共有電話番号の着信に応答しなかった際に非応答を通知するメッセージを前記表示部に表示しないことを特徴とする電話装置。
【請求項2】
外線用の電話番号と内線用の電話番号とを着信できる電話装置において、使用者に通知するメッセージを表示する表示部を備え、外線用の電話番号の着信に応答しなかった際に非応答を通知するメッセージを前記表示部に表示するとともに、内線用の電話番号の着信に応答しなかった際に非応答を通知するメッセージを前記表示部に表示しないことを特徴とする電話装置。
【請求項3】
外線と内線とを着信できる電話装置において、使用者に通知するメッセージを表示する表示部を備え、外線からの着信に応答しなかった際に非応答を通知するメッセージを前記表示部に表示するとともに、内線からの着信に応答しなかった際に非応答を通知するメッセージを前記表示部に表示しないことを特徴とする電話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−88868(P2007−88868A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−275777(P2005−275777)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】