説明

露光ヘッド、画像形成装置

【課題】有機ELと遮光部材の間に光透過性基板を配した露光ヘッドにおいて、ゴーストの発生を抑制することを可能とする技術を提供する。
【解決手段】有機ELおよび当該有機ELを封止する封止部材が配されるシリコン基板と、シリコン基板の有機ELおよび封止部材を覆うとともに、有機ELの発光する光が透過する光透過性基板と、有機ELに開口する開口部を有し、有機ELから光透過性基板を透過して開口部に入射する光が通過する孔が配されるとともに、孔の方向から見て開口部がシリコン基板より小さくシリコン基板の内側に配される遮光部材と、遮光部材の孔を通過する光を結像する光学系と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、有機ELが発光した光を結像光学系により結像する露光ヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、LED(Light Emitting Diode)が形成されたLEDチップに対してレンズを配置し、発光素子(LED)からの光を光学系によって結像する露光ヘッドが記載されている。また、この露光ヘッドでは、対向する発光素子以外からの光が光学系に入射すると、いわゆるゴーストが引き起こされるおそれがある。特許文献1では、これを抑制するために、発光素子から光学系に向けて貫通する孔(導光孔)を有する遮光部材が、発光素子と光学系との間に配置されている。この遮光部材の孔は、発光素子に向けて開口する開口部を有しており、有機ELからの射出光はこの開口部から入って孔を通過した後に、光学系へと入射する。こうして、開口部に入射しない光の結像光学系への入射を制限することで、ゴーストの発生が抑制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−029106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のようなLEDチップに代えて、有機EL(Electro-Luminescence)を発光素子として形成したシリコン基板等を用いることが考えられる。ただし、有機ELは水分等により特性が劣化するため、有機ELを封止部材で封止して外気から遮断する必要がある。さらには、封止が破れないように、有機ELおよび封止部材をガラス基板等の光透過性基板で覆っておくことが好適である。つまり、この場合、有機ELおよび封止部材はガラス基板によって覆われており、有機ELの射出光は封止部材および光透過性基板を透過して、遮光部材の孔の開口へと入射する。
【0005】
しかしながら、このような構成では、遮光部材の孔の開口部に向けて進行する迷光が、シリコン基板の側方をすり抜けるようにして光透過性基板を透過した後に、当該開口部に入射してしまい、ゴーストを引き起こすおそれがあった。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、有機ELと遮光部材の間に光透過性基板を配した露光ヘッドにおいて、ゴーストの発生を抑制することを可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明にかかる露光ヘッドは、上記目的を達成するために、有機ELおよび当該有機ELを封止する封止部材が配されるシリコン基板と、シリコン基板の有機ELおよび封止部材を覆うとともに、有機ELの発光する光が透過する光透過性基板と、有機ELに開口する開口部を有し、有機ELから光透過性基板を透過して開口部に入射する光が通過する孔が配されるとともに、孔の方向から見て開口部がシリコン基板より小さくシリコン基板の内側に配される遮光部材と、遮光部材の孔を通過する光を結像する光学系と、を備えることを特徴としている。
【0008】
また、この発明にかかる画像形成装置は、上記目的を達成するために、有機ELおよび当該有機ELを封止する封止部材が配されるシリコン基板、シリコン基板の有機ELおよび封止部材を覆うとともに有機ELの発光する光が透過する光透過性基板、有機ELに開口する開口部を有し有機ELから光透過性基板を透過して開口部に入射する光が通過する孔が配されるとともに孔の方向から見て開口部がシリコン基板より小さくシリコン基板の内側に配される遮光部材、および遮光部材の孔を通過する光を結像する光学系を有する露光ヘッドと、露光ヘッドの光学系が結像した光によって潜像が形成される潜像担持体と、を備えることを特徴としている。
【0009】
このように構成された発明(露光ヘッド、画像形成装置)では、シリコン基板に配された有機ELおよび封止部材は光透過性基板により覆われている。そして、有機ELから光透過性基板を透過した光は、遮光部材の孔を通過した後に光学系により結像される。そのため、上述と同様の理由により、遮光部材の孔の開口部に向けて進行する迷光が、シリコン基板の側方をすり抜けるようにして光透過性基板を透過した後に、当該開口部に入射してしまい、ゴーストを引き起こすおそれがあった。これに対してこの発明では、遮光部材の孔の方向から見て当該孔の開口部がシリコン基板より小さくシリコン基板の内側に配される。そのため、遮光部材の孔の開口部に向けて進行する迷光の多くは、このシリコン基板により反射されて、光透過性基板に入射しない。こうして、この発明では、ゴーストの発生を抑制することが可能となっている。
【0010】
また、シリコン基板に配されて有機ELを駆動する駆動回路を備えるように構成しても良い。このように、有機ELと駆動回路をシリコン基板に集積することで、駆動回路を構成する部材をシリコン基板以外に設ける必要が無く、露光ヘッドの省スペース化を図ることが容易になる。
【0011】
このとき、より具体的には、駆動回路および有機ELをシリコン基板に積層しても良い。さらには、有機ELを駆動するための信号を駆動回路に与える配線がシリコン基板に配されてもよい。
【0012】
また、光学系の結像倍率の絶対値は1未満であるように構成しても良い。後述するように、このように構成した場合、駆動回路を大きく形成して、駆動回路の駆動能力を容易に向上させることが可能となる。
【0013】
また、光透過性基板としてはガラス基板を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用可能なラインヘッドの一例を示す図。
【図2】図1のラインヘッドにおける発光素子の配置を示す図。
【図3】光軸方向から見たチップの部分平面図。
【図4】長手方向LGDから見たチップの幅方向断面を部分的に示す図。
【図5】実施形態の効果を説明する図。
【図6】ラインヘッドを適用可能な画像形成装置の一例を示す図。
【図7】図6の装置の電気的構成を示すブロック図。
【図8】チップの変形例を示す図。
【図9】チップの変形例を示す図。
【図10】発光素子グループを構成する発光素子の配列態様の変形例を示す図。
【図11】結像光学系と発光素子グループの配置関係の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明を適用可能なラインヘッドの一例を示す図であり、特にラインヘッド29の断面(図2に示すA−A線断面)を長手方向LGDから見た場合を部分的に示している。図1の破線で示すように、ラインヘッド29は、チップCPに形成された発光素子からの光を結像光学系LS1、LS2で結像して、感光体ドラム表面等の被露光面ESにスポットSPを形成するものである。また、図2は、図1のラインヘッドにおける発光素子の配置を示す図であり、特に発光素子Eが形成されたチップCPを支持するヘッド基板293の構成を光軸方向Doaから見た場合を部分的に示している。なお、図1および後に説明する図では、ガラス等の光透過製材料で構成された部材の断面に対してドットのハッチングが適宜施されている。また、図2では、ヘッド基板293に配置された部材以外の部材(LS1、LS2、D1)が一点・二点鎖線で示されているが、これは発光素子Eと各部材(LS1、LS2、D1)との対応関係を理解しやすくするために記載したものである。
【0016】
また、ラインヘッド29は、長手方向LGDに長尺で幅方向LTDに短尺な全体構成を備える。そこで、図1および後に説明する図面では必要に応じて、ラインヘッド29の長手方向LGDおよび幅方向LTDを示す。また、結像光学系LS1、LS2の光軸方向Doaについても適宜示すものとする。ここで、光軸方向Doaは、結像光学系LS1、LS2の光軸OAに平行であって、チップCPに形成された発光素子が光を射出する方向とする。なお、これらの方向LGD、LTD、Doaは互いに直交もしくは略直交している。また、以下では必要に応じて、光軸方向Doaの矢印側を「表」あるいは「上」と表現し、光軸方向Doaの矢印と反対側を「裏」「下」あるいは「底」と表現する。
【0017】
また、後述するとおり、同ラインヘッド29を画像形成装置に適用するにあたっては、ラインヘッド29は、主走査方向MDに直交もしくは略直交する副走査方向SDに移動する被露光面ES(感光体ドラム表面)に対して露光を行なうものであり、しかも、被露光面ESの主走査方向MDはラインヘッド29の長手方向LGDに平行もしくは略平行であり、被露光面ESの副走査方向SDはラインヘッド29の幅方向LTDに平行もしくは略平行である。そこで、必要に応じて、長手方向LGD・幅方向LTDと併せて、主走査方向MD・副走査方向SDも図示することとする。
【0018】
ラインヘッド29は、チップCPを支持するヘッド基板や、レンズLS1、LS2が形成されたレンズアレイLA1、LA2を具備する。チップCPでは、発光素子ピッチPeで長手方向LGDに2行千鳥状に並ぶ複数(16個)の発光素子Eがグループ化されて発光素子グループEGが構成されるとともに、複数(3個)の発光素子グループEGが長手方向LGDに所定ピッチ(Dg×2)で直線的に並んでいる。また、複数のチップCPが長手方向LGDに2行千鳥状に並んで、ガラス製のヘッド基板293の裏面293−tに固定されている。その結果、ヘッド基板293の裏面293−tには、複数の発光素子グループEGが長手方向LGDにピッチDgで2行千鳥状かつ離散的に並んでおり、発光素子グループEGの各発光素子Eからの光はヘッド基板293を透過して、ヘッド基板表面293−hから射出される。
【0019】
ヘッド基板293の表面293−hには、幅方向LTDの両側にスペーサーAS1が配置されており、これらスペーサーAS1にレンズアレイLA1が幅方向LTDに架設されている。このレンズアレイLA1の裏面には、発光素子グループEGの配置に対応して、複数のレンズLS1が長手方向LGDに2行千鳥で並んでいる。これにより、1個の発光素子グループEGに対して、1枚のレンズLS1が対向することとなる。ちなみに、レンズLS1は、発光素子グループEGに対して凸の形状を有し、樹脂で形成される。
【0020】
さらに、レンズアレイLA1の表面には、幅方向LTDの両側にスペーサーAS2が配置されており、これらスペーサーAS2にレンズアレイLA2が幅方向LTDに架設されている。このレンズアレイLA2の裏面には、発光素子グループEGの配置に対応して、複数のレンズLS2が長手方向LGDに2行千鳥で並んでいる。これにより、1個の発光素子グループEGに対して、1枚のレンズLS2が対向することとなる。ちなみに、レンズLS2は、発光素子グループEGに対して凸の形状を有し、樹脂で形成される。
【0021】
また、ラインヘッド29は、ヘッド基板293とレンズアレイLA1との間に遮光部材295を具備する。この遮光部材295は、光軸方向Doaに並ぶ5枚の遮光平板FP1〜FP5を有している。より具体的には、遮光部材295では、幅方向LTDに間隔を空けてヘッド基板表面293−hに配置された2つのスペーサーが設けられており、これらのスペーサーの上に遮光平板FP1が架設されている。さらに、遮光部材295では、幅方向LTDに間隔を空けて遮光平板FP1表面に配置された2つのスペーサーが設けられ、これらのスペーサーの上に遮光平板FP2が架設されるとともに、同様に他の遮光平板FP3〜FP5もスペーサーを介して積み上げられている。
【0022】
遮光平板FP1には、レンズLS1、LS2の光軸OAを中心とする円形状を有して、光軸方向Doaに貫通する導光孔D1が、発光素子グループEG毎に形成されている。こうして、遮光平板FP1には、発光素子グループEGの配置に対応して、複数の導光孔D1が長手方向LGDに2行千鳥で並ぶ。また、同様に、その他の遮光平板FP2〜FP5それぞれに対しても、発光素子グループEGの配置に対応して、導光孔D2〜D5が長手方向LGDに2行千鳥で並ぶ。なお、ヘッド基板293に最近接の導光孔D1の径は、その他の導光孔D2〜D5の径よりも小さい。
【0023】
こうして、光軸方向Doaに一列に並ぶ導光孔D1〜D5およびレンズLS1、LS2が、各発光素子グループEGに対向する。したがって、発光素子グループEGの各発光素子Eが射出した光のうち、導光孔D1〜D5を通過した光がレンズLS1、LS2に入射して結像される。なお、結像光学系LS1、LS2は反転・縮小の結像倍率を有する(つまり、結像倍率は負の値で絶対値が1未満である)。
【0024】
以上が、ラインヘッド29の概略構成である。続いて、図3および図4を用いて、ラインヘッド29が備えるチップCPの詳細構成について説明する。ここで、図3は、光軸方向から見たチップの部分平面図である。また、図4は、長手方向LGDから見たチップの幅方向断面を部分的に示す図である。なお、図3では、チップCPに配置された部材以外の部材(D1)が一点・二点鎖線で示されているが、これはチップCPに形成された発光素子Eと各部材(D1)との対応関係を理解しやすくするために記載したものである。
【0025】
チップCPは、長手方向LGDに長さL1で幅方向LTDに幅L2(<L1)の長方形状を有するシリコン基板SSを備えている。このシリコン基板SSに対しては、発光素子Eとしての有機EL、発光素子Eを駆動する駆動回路DC、駆動回路DCにデータを転送する転送回路TC、および駆動回路と転送回路TCを接続する配線WL等が、半導体プロセスによって集積形成されている。
【0026】
より具体的には、シリコン基板SSでは、3組の発光素子グループEGが長手方向LGDに並べて形成されている。これら発光素子グループEGの各発光素子Eは、いわゆるトップエミッション型の有機ELであり、等しいもしくは略等しい発光スペクトルで発光する。そして、シリコン基板SSには、有機ELである発光素子Eを水分等から遮断するために、発光素子Eを封止する封止薄膜SLが形成されている。このとき封止薄膜SLとシリコン基板SSとの間からの水分の浸入等を防ぐため、発光素子Eの周囲には一定の余裕を持って封止薄膜SLを形成することが好ましい。具体的には、0.5[mm]〜2[mm]程度の余裕が適当である。なお、本実施形態のように、複数の発光素子グループEGを離散的に並べることで、チップCPの端から発光素子グループEGまでの距離を確保することができ、発光素子グループEGからチップCPの端の間に十分な余裕を持って封止薄膜SLを設けることができる。
【0027】
また、シリコン基板SSでは、発光素子Eに重なるように配置された駆動回路DCが、各発光素子Eの下層に形成されている(すなわち、発光素子Eと駆動回路DCが積層されている)。言い換えれば、駆動回路DCを発光素子ピッチPeで長手方向LGDに2行千鳥状に並べたものが、発光素子グループEGの下層に形成されている。こうして、幅方向LTDに長い短冊状の駆動回路DCが、各発光素子Eから幅方向LTDの外側に延設される。このように、トップエミッション型の有機ELを発光素子Eとして用いることで、駆動回路DCの真上に発光素子Eを形成することができる。そのため、駆動回路DCの配置領域を確保するために各発光素子Eの間隔を空ける必要が無く、各発光素子Eを高密度に配置することが可能となる。なお、この駆動回路DCは、発光素子Eを駆動するトランジスターや、トランジスターの入力端子にかかる電圧を保持するコンデンサーで構成されたものである。
【0028】
また、発光素子グループEGの幅方向LTD両側には、長手方向LGDに延びる転送回路TCが形成されており、各駆動回路DCと転送回路TCが配線WLによって電気的に接続される。さらに、シリコン基板には外部との信号のやり取りのために端子TMが形成されている。したがって、端子TMから入力されてきたデータを転送回路TCが配線WLを介して駆動回路DCに与えると、駆動回路DCがこのデータに応じて発光素子Eを発光させる。
【0029】
以上のように構成されたシリコン基板SSは、ガラス製のヘッド基板293(ガラス基板)の裏面にCOG(chip on glass)によって接合される。このように、ヘッド基板293にシリコン基板SSを接合することで、ヘッド基板293によってシリコン基板SSの変形が抑えられ、シリコン基板SSの変形によって発光素子Eの封止が破れることを抑制できる。特に、ヘッド基板293にシリコン基板SSの変形抑制機能を担わせることで、当該機能のためにカバーガラス等の部材を別途設ける必要がなく、ラインヘッド29全体の薄型化を図ることができる。さらには、ヘッド基板293に設けた配線と、シリコン基板SSに設けた配線の電極を容易に接続できるといった利点もある。なお、ヘッド基板293にシリコン基板SSを接合した構成では、ヘッド基板293を基準にしてシリコン基板SSの発光素子Eを位置決めすることができるが、この利点を積極的に活かすにあたってはヘッド基板293の厚みを0.3[mm]〜1.5[mm]として、ヘッド基板293の強度を保つことが好適である。
【0030】
そして、この実施形態では、シリコン基板SSに形成された発光素子グループEGに開口する導光孔D1の開口部と、シリコン基板SSとの関係が次のように設定されている。つまり、光軸方向Doa(導光孔D1の方向)から見て、導光孔D1の開口部がシリコン基板SSよりも小さく、導光孔D1の開口部の全体がシリコン基板SSの内側に位置している。換言すれば、光軸方向Doaから見て、導光孔D1の開口部の径Rdは、シリコン基板SSの長辺の長さL1および短辺の長さL2よりも短く、導光孔D1の開口部全体から外側にシリコン基板SSがはみ出している。そして、このように構成した結果、次のような効果が奏される。
【0031】
図5は、実施形態の効果を説明する図であり、ラインヘッド29の幅方向LTDの断面を部分的に示したものである。同図の下段に示す「比較形態」では、シリコン基板SSの長さL2が導光孔D1の開口部の径Rdよりも小さく、光軸方向Doaから見て、導光孔D1の開口部がシリコン基板SSの外側にはみ出している。その結果、導光孔D1の開口部に向けて進行する迷光LTが、シリコン基板SSの側方をすり抜けるようにしてヘッド基板293を透過した後に、当該開口部に入射してしまっている。したがって、この迷光LTが結像光学系LS1、LS2に入射すると、ゴーストが引き起こされるおそれがある。これに対してこの実施形態では、光軸方向Doa(導光孔D1の方向)から見て導光孔D1の開口部がシリコン基板SSより小さくシリコン基板SSの内側に配置されている。そのため、図5の「実施形態」に示すように、遮光部材の導光孔D1の開口部に向けて進行する迷光LTの多くは、このシリコン基板SSにより反射されて、ヘッド基板293に入射しない。こうして、この実施形態では、ゴーストの発生を抑制することが可能となっている。
【0032】
また、上記実施形態では、発光素子E(有機EL)と駆動回路DCをシリコン基板SSに集積しているため、駆動回路DCを構成する部材をシリコン基板SS以外に設ける必要が無く、ラインヘッド29の省スペース化を図ることが容易になる。
【0033】
また、上記実施形態では、結像光学系の結像倍率の絶対値は1未満である。そのため、駆動回路DCの能力向上を図ることが容易となっている。つまり、隣り合う2つの発光素子EのピッチPeと、これらの発光素子Eが発光して形成される2つのスポットSPのピッチPspと、結像光学系の結像倍率βとは、Pe/|β|=Pspを満たすが、|β|<1の条件下では、Pe>Pspが成立する。すなわち、発光素子EのピッチPeはスポットSPのピッチPspより大きい。このことは、比較的大きなピッチPeで発光素子Eを配置しても高解像度を得られることを意味する。したがって、高解像度を維持しつつも、発光素子Eに対して設けられる駆動回路DCの配列ピッチも同様に大きくとることができ、駆動回路DCを大型化して、駆動回路DCの能力向上を図ることが容易となっている。
【0034】
画像形成装置の構成
続いて、上記実施形態で説明したラインヘッド29を適用可能な画像形成装置の一例について説明する。図6は上述したラインヘッドを適用可能な画像形成装置の一例を示す図である。また、図7は図6の装置の電気的構成を示すブロック図である。この画像形成装置1は、互いに異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーション2Y(イエロー用)、2M(マゼンタ用)、2C(シアン用)および2K(ブラック用)を備えている。そして、画像形成装置1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能となっている。
【0035】
この画像形成装置では、ホストコンピューターなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリーなどを有するメインコントローラーMCに与えられると、このメインコントローラーMCはエンジンコントローラーECに制御信号を与えるとともに画像形成指令に対応するビデオデータVDをヘッドコントローラーHCに与える。このとき、メインコントローラーMCは、ヘッドコントローラーHCから水平リクエスト信号HREQを受け取る毎に、主走査方向MDに1ライン分のビデオデータVDをヘッドコントローラーHCに与える。また、ヘッドコントローラーHCは、メインコントローラーMCからのビデオデータVDとエンジンコントローラーECからの垂直同期信号Vsyncおよびパラメーター値とに基づき、各色の画像形成ステーション2Y、2M、2C、2Kそれぞれのラインヘッド29を制御する。これによって、エンジン部ENGが所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシート状の記録媒体RMに画像形成指令に対応する画像を形成する。
【0036】
各画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kは、トナー色を除けばいずれも同じ構造および機能を有している。そこで、図6では、図を見やすくするために、画像形成ステーション2Cを構成する各部品にのみ符号を付し、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kに付すべき符号については記載を省略する。また、以下の説明では、図6に付した符号を参照して画像形成ステーション2Cの構造および動作を説明するが、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kの構造および動作も、トナー色が異なることを除けば同じである。
【0037】
画像形成ステーション2Cには、シアン色のトナー像がその表面に形成される感光体ドラム21が設けられている。感光体ドラム21は、その回転軸が主走査方向MD(図6の紙面に対して垂直な方向)に平行もしくは略平行となるように配置されており、図6中矢印D21の方向に所定速度で回転駆動される。これにより、感光体ドラム21の表面が、主走査方向MDに直交もしくは略直交する副走査方向SDに移動することとなる。
【0038】
感光体ドラム21の周囲には、感光体ドラム21表面を所定の電位に帯電させるコロナ帯電器である帯電器22と、感光体ドラム21表面を画像信号に応じて露光することで静電潜像を形成するラインヘッド29と、該静電潜像をトナー像として顕像化する現像器24と、第1スクイーズ部25と、第2スクイーズ部26と、転写後の感光体ドラム21の表面をクリーニングするクリーニングユニットとが、それぞれこれらの順に感光体ドラム21の回転方向D21(図6では、時計回り)に沿って配設されている。
【0039】
この実施形態では、帯電器22は2つのコロナ帯電器221、222で構成されており、感光体ドラム21の回転方向D21においてコロナ帯電器221がコロナ帯電器222に対して上流側に配置されており、2つのコロナ帯電器221、222により2段階で帯電されるように構成されている。各コロナ帯電器221、222は同一構成であり、感光体ドラム21の表面に接触しないものであり、スコロトロン帯電器である。
【0040】
そして、コロナ帯電器221、222により帯電された感光体ドラム21表面に対して、ラインヘッド29がビデオデータVDに基づいて静電潜像を形成する。つまり、ヘッドコントローラーHCがラインヘッド29にビデオデータVDを送信すると、このビデオデータVDに応じた駆動信号の供給を受けて、駆動回路DCが各発光素子Eを発光させる。これにより、感光体ドラム21表面が露光されて、画像信号に対応した静電潜像が形成される。なお、ラインヘッド29の具体的構成は、既に述べたとおりである。
【0041】
こうして形成された静電潜像に対して現像器24からトナーが付与されて、静電潜像がトナーにより現像される。この画像形成装置1の現像器24は、現像ローラー241を有している。この現像ローラー241は円筒状の部材であり、鉄等金属製の内芯の外周部に、ポリウレタンゴム、シリコンゴム、NBR、PFAチューブなどの弾性層を設けたものである。この現像ローラー241は現像用モーターに接続され、図6紙面において反時計回りに回転駆動されて感光体ドラム21に対してウィズ回転する。また、この現像ローラー241は図示を省略する現像バイアス発生部(定電圧電源)と電気的に接続されており、適当なタイミングで現像バイアスが印加されるように構成されている。
【0042】
また、この現像ローラー241に対して液体現像剤を供給するためにアニロックスローラーが設けられており、アニロックスローラーを介して現像剤貯留部から現像ローラー241へ液体現像剤が供給される。このようにアニロックスローラーは現像ローラー241に対して液体現像剤を供給する機能を有する。このアニロックスローラーは、液体現像剤を担持し易いように表面に微細且つ一様に彫刻された螺旋溝などによる凹部パターンが形成されたローラーである。現像ローラー241と同様に、金属の芯金にウレタン、NBRなどのゴム層を巻き付けたものや、PFAチューブを被せたものなどが用いられる。また、アニロックスローラーは現像用モーターに接続されて回転する。
【0043】
現像剤貯留部に貯留される液体現像剤は、従来一般的に使用されている、Isopar(商標:エクソン)を液体キャリアとした低濃度(1〜2wt%)かつ低粘度の常温で揮発性を有する揮発性液体現像剤ではなく、高濃度かつ高粘度の、常温で不揮発性樹脂中へ顔料などの着色剤を分散させた平均粒径1μmの固形子を、有機溶媒、シリコンオイル、鉱物油又は食用油等の液体溶媒中へ分散剤とともに添加し、トナー固形分濃度を約20%とした高粘度(30〜10000mPa・s程度)の液体現像剤が用いられる。
【0044】
上記のようにして、液体現像剤が供給された現像ローラー241はアニロックスローラーと同時に回転すると共に、感光体ドラム21の表面とは同方向に移動するように回転して現像ローラー241の表面に担持された液体現像剤を現像位置に搬送する。なお、トナー像を形成するため、現像ローラー241の回転方向は、その表面が感光体ドラム21の表面と同方向に移動するようにウィズ回転する必要があるが、アニロックスローラーに対しては、逆方向、或いは、同方向、どちらに移動する構成であってもよい。
【0045】
また、現像器24では、この現像ローラー241の回転方向において現像位置の上流側直前にトナー圧縮コロナ発生器242が現像ローラー241に対向して配置されている。このトナー圧縮コロナ発生器242は現像ローラー241の表面の帯電バイアスを増加させる電界印加手段であり、定電流電源で構成されたトナーチャージ発生部(図示省略)と電気的に接続されている。そして、トナー圧縮コロナ発生器242に対してトナーチャージバイアスが与えられると、現像ローラー241によって搬送される液体現像剤のトナーに対して、このトナー圧縮コロナ発生器242と近接する位置で電界が印加され、帯電、圧縮が施される。なお、このトナー帯電、圧縮には、電解印加によるコロナ放電に代えて、接触して帯電させるコンパクションローラーを用いてもよい。
【0046】
また、このように構成された現像器24は感光体ドラム21上の潜像を現像する現像位置と感光体ドラム21から離れた退避位置との間で往復可能となっている。したがって、現像器24が退避位置に移動して位置決めされると、その間、シアン用の画像形成ステーション2Cでは、感光体ドラム21への新たな液体現像剤の供給は停止される。
【0047】
感光体ドラム21の回転方向D21において現像位置の下流側に、第1スクイーズ部25が配置されるとともに、さらに第1スクイーズ部25の下流側に第2スクイーズ部26が配置されている。これらのスクイーズ部25、26にはスクイーズローラー251、261がそれぞれ設けられている。そして、スクイーズローラー251が第1スクイーズ位置で感光体ドラム21の表面と当接しながらメインモーターからの回転駆動力を受けて回転してトナー像の余剰現像剤を除去する。また、感光体ドラム21の回転方向D21において第1スクイーズ位置の下流側の第2スクイーズ位置でスクイーズローラー261が感光体ドラム21の表面と当接しながらメインモーターからの回転駆動力を受けて回転してトナー像の余剰液体キャリアやカブリトナーを除去する。また、本実施形態ではスクイーズ効率を高めるために、スクイーズローラー251、261に対して図示省略するスクイーズバイアス発生部(定電圧電源)が電気的に接続されており、適当なタイミングでスクイーズバイアスが印加されるように構成されている。なお、本実施形態では2つのスクイーズ部25、26を設けているが、スクイーズ部の個数や配置などはこれに限定されるものではなく、例えば1個のスクイーズ部を配置してもよい。
【0048】
これらのスクイーズ位置を通過してきたトナー像は転写部3の中間転写体31に1次転写される。この中間転写体31は、その表面、より詳しくはその外周面にトナー像を一時的に担持可能な像担持体としての無端状ベルトであり、複数のローラー32、33、34、35および36に掛け渡されている。これらのうちローラー32はメインモーターに連結されて、中間転写体31を図6の矢印方向D31に周回駆動するベルト駆動ローラーとして機能している。なお、本実施形態では、記録紙RMとの密着性を高めて記録紙RMへのトナー像の転写性を高めるために、中間転写体31の表面に弾性層を設け、当該弾性層の表面にトナー像が担持されるように構成されている。
【0049】
ここで、中間転写体31を掛け渡されたローラー32ないし36のうち、メインモーターにより駆動されるのは上記したベルト駆動ローラー32のみであり、他のローラー33ないし36は駆動源を有しない従動ローラーである。また、ベルト駆動ローラー32は、ベルト移動方向D31において一次転写位置TR1の下流側、かつ後述する二次転写位置TR2の上流側で中間転写体31を巻き掛けている。
【0050】
転写部3は一次転写バックアップローラー37を有しており、一次転写バックアップローラー37は中間転写体31を挟んで感光体ドラム21と対向して配設されている。感光体ドラム21と中間転写体31とが当接する一次転写位置TR1では、感光体ドラム21の外周面が中間転写体31と当接して一次転写ニップ部NP1cを形成している。そして、感光体ドラム21上のトナー像が中間転写体31の外周面(一次転写位置TR1において下面)に転写される。こうして画像形成ステーション2Cにより形成されたシアン色のトナー像が中間転写体31に転写される。同様に、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kでもトナー像の転写が実行されることで、各色のトナー像が中間転写体31上に順次重ね合わされ、フルカラーのトナー像が形成される。一方、モノクロトナー像が形成される際には、ブラック色に対応した画像形成ステーション2Kのみにおいて、中間転写体31へのトナー像転写が行われる。
【0051】
こうして中間転写体31に転写されたトナー像は、ベルト駆動ローラー32への巻き掛け位置を経由して二次転写位置TR2に搬送される。この二次転写位置TR2では、中間転写体31を巻き掛けられたローラー34に対して二次転写部4の二次転写ローラー42が中間転写体31を挟んで対向配置されており、中間転写体31表面と転写ローラー42表面とが互いに当接して二次転写ニップ部NP2を形成している。すなわち、ローラー34は二次転写バックアップローラーとして機能している。バックアップローラー34の回転軸は、例えばバネのような弾性部材である押圧部345によって弾性的に、かつ中間転写体31に対して近接・離間移動自在に支持されている。
【0052】
二次転写位置TR2においては、中間転写体31上に形成された単色あるいは複数色のトナー像が、一対のゲートローラー51から搬送経路PTに沿って搬送される記録媒体RMに転写される。また、トナー像が二次転写された記録媒体RMは、二次転写ローラー42から搬送経路PT上に設けられた定着ユニット7へ送出される。定着ユニット7では、記録媒体RMに転写されたトナー像に熱や圧力などが加えられて記録媒体RMへのトナー像の定着が行われる。こうして、記録媒体RMに所望の画像を形成することができる。
【0053】
その他
以上のように、上記実施形態では、ラインヘッド29が本発明の「露光ヘッド」に相当し、感光体ドラム21が本発明の「潜像担持体」に相当する。また、封止薄膜SLが本発明の「封止部材」に相当し、シリコン基板SSが本発明の「シリコン基板」に相当し、ヘッド基板293が本発明の「光透過性基板」に相当し、導光孔D1が本発明の「孔」に相当し、遮光部材295が本発明の「遮光部材」に相当し、結像光学系LS1、LS2が本発明の「光学系」に相当する。また、駆動回路DCが本発明の「駆動回路」に相当し、配線WLが本発明の「配線」に相当する。
【0054】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。そこで、チップCPの構成を、図8あるいは図9に示すものに変形することもできる。ここで、図8、図9はチップの変形例を示す図であり、長手方向LGDから見たチップの幅方向断面を部分的に示している。図8および図9に示す変形例では、COG等の不図示の接合手段によってシリコン基板SSがカバーガラス294に接合されており、これらシリコン基板SSとカバーガラス294で1つのチップCPが構成されている。そして、図8に示す変形例では、カバーガラス294の表面をヘッド基板裏面293−hに接合することで、ヘッド基板293によりチップCPを支持している。また、図9に示す変形例では、シリコン基板SSの裏面293−tをヘッド基板表面293−hに接合することで、ヘッド基板293によりチップCPを支持している。
【0055】
また、発光素子グループEGを構成する発光素子Eの配列態様についても、種々の変形が可能であり、例えば図10の(A)や(B)に示すように変形することができる。ここで、図10は、発光素子グループを構成する発光素子の配列態様の変形例を示す図である。同図では、長手方向LGDに直線状に並ぶ6個の発光素子Eからなるもの(発光素子行)を幅方向LTDに4組設けて、1個の発光素子グループEGが構成されている。また、図10の(A)では、発光素子グループEGから幅方向LTDの両側に外れた位置に駆動回路DCが形成されている。一方、図10の(B)では、駆動回路DCが2つのパートに分けられている。具体的には、発光素子Eに駆動信号を供給する大型トランジスターTrとそれ以外のパートに駆動回路DCが分割されている。そして、大型トランジスターTrは発光素子Eに積層される一方、大型トランジスターTr以外のパートは発光素子グループEGから幅方向LTDに外れた位置に配置されている。
【0056】
また、図11に示すように、結像光学系LS1、LS2の光軸OAに対して発光素子グループEGを幅方向LTDの外側に偏心させても良い。ここで、図11は、結像光学系と発光素子グループの配置関係の変形例を示す図である。具体的には、図11では、発光素子グループEGの幾何重心を通るシリコン基板SSの法線GCが、光軸OAに対して幅方向LTDの外側に偏心量Δdだけ偏心している。その結果、幅方向LTDに2つのシリコン基板SSが離間するために、各シリコン基板SSを大きくして、駆動回路DCを形成する領域を十分に確保することができる。その結果、駆動回路DCを大型化して、駆動回路DCの能力向上を図ることができる。
【0057】
さらに、このように発光素子グループEGを偏心させた上で、反転特性を有する結像光学系LS1、LS2を用いることで、各スポットSPの間の距離Δspを縮めることができる。そのため、次のような効果が得られる。つまり、画像形成装置では、スポットSPにより露光された部分は、幅方向LTD(副走査方向SD)下流側の現像位置にまで搬送されてトナー現像を受ける。このとき、スポットSPにより露光してからトナー現像までの時間(露光現像時間)が、各スポットSP間で大きく異なると、付着するトナー量が異なるなどの印字ムラが引き起こされるおそれがある。これに対して、各スポットSPの間の距離Δspを縮めることで、各スポットSP間における露光現像時間の差を小さくして、このような印字ムラの発生を抑制することが可能となっている。
【0058】
また、図11の構成は、上記以外に次のような効果も奏する。つまり、副走査方向SDにおいて異なる位置にある各結像光学系によって、主走査方向MDに平行なライン状の潜像を形成する場合、副走査方向SDの上流側の結像光学系LS1、LS2でスポットSPを形成し、それから所定時間ΔT後に副走査方向SDの下流側の結像光学系LS1、LS2でスポットSPを形成することで、各スポットSPで露光された部分を主走査方向MDに平行に並べる。このとき、所定時間ΔTの間に感光体ドラム21表面の速度が変動することで、ライン潜像に段差が生じてしまう。これに対して、各スポットSP間の距離Δspを縮めることによって、時間ΔTを短縮して感光体ドラム21表面の速度変動に起因したライン潜像の段差を抑制することができる。
【0059】
また、ラインヘッド29が、感光体ドラム21に対して副走査方向SDにずれて取り付けられたような場合には、感光体ドラム21の表面が円筒形状であるために、各結像光学系から感光体ドラム21表面までの距離が異なってしまう。その結果、各結像光学系が形成するスポットSPの大きさも異なってしまい、このことが形成画像の濃度差を引き起こすおそれがある。これに対して、各スポットSP間の距離Δspを縮めることによって、スポットSPの大きさの差異を抑えて、このような濃度差を抑制することが可能となる。
【0060】
遮光部材の295の構成は上記のように複数の遮光平板FP1〜FP5を積み上げた構成に限られず、種々の変形が可能である。したがって、1枚の厚板状の部材に光軸方向Doaに貫通する導光孔を穿設して、この厚板状部材を遮光部材295として用いても良い。
【0061】
また、ラインヘッド29を構成する各部(ヘッド基板293、レンズLS1、LS2等)の材料等は上記のものに限られず、上記以外の材料を用いることができる。
【符号の説明】
【0062】
22…感光体ドラム、 29…ラインヘッド、 293…ヘッド基板、 295…遮光部材、 OA…光軸、 FP1〜FP5…遮光平板、 D1〜D5…導光孔、 LS1、LS2…レンズ、 CP…チップ SS…シリコン基板、 DC…駆動回路、 WL…配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機ELおよび前記有機ELを封止する封止部材が配されるシリコン基板と、
前記シリコン基板の前記有機ELおよび前記封止部材を覆うとともに、前記有機ELの発光する光が透過する光透過性基板と、
前記有機ELに開口する開口部を有し、前記有機ELから前記光透過性基板を透過して前記開口部に入射する光が通過する孔が配されるとともに、前記孔の方向から見て前記開口部が前記シリコン基板より小さく前記シリコン基板の内側に配される遮光部材と、
前記遮光部材の前記孔を通過する光を結像する光学系と、
を備えることを特徴とする露光ヘッド。
【請求項2】
前記シリコン基板に配されて前記有機ELを駆動する駆動回路を備える請求項1に記載の露光ヘッド。
【請求項3】
前記駆動回路および前記有機ELを前記シリコン基板に積層する請求項2に記載の露光ヘッド。
【請求項4】
前記有機ELを駆動するための信号を前記駆動回路に与える配線が前記シリコン基板に配される請求項2または3に記載の露光ヘッド。
【請求項5】
前記光学系の結像倍率の絶対値は1未満である請求項2ないし4のいずれか一項に記載の露光ヘッド。
【請求項6】
前記光透過性基板はガラス基板である請求項1ないし5のいずれか一項に記載の露光ヘッド。
【請求項7】
有機ELおよび前記有機ELを封止する封止部材が配されるシリコン基板、前記シリコン基板の前記有機ELおよび前記封止部材を覆うとともに前記有機ELの発光する光が透過する光透過性基板、前記有機ELに開口する開口部を有し前記有機ELから前記光透過性基板を透過して前記開口部に入射する光が通過する孔が配されるとともに前記孔の方向から見て前記開口部が前記シリコン基板より小さく前記シリコン基板の内側に配される遮光部材、および前記遮光部材の前記孔を通過する光を結像する光学系を有する露光ヘッドと、
前記露光ヘッドの前記光学系が結像した光によって潜像が形成される潜像担持体と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−86520(P2012−86520A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237543(P2010−237543)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】