説明

露光装置、及びそれを用いたデバイスの製造方法

【課題】大型のマスクの交換を効率良く実施し、かつ、次の露光処理に使用されるマスクに対する異物の付着を防止することが可能な露光装置を提供する。
【解決手段】複数の原版M、MPを保管するストッカと、原版Mを原版ステージ3に向けて搬送する搬送路7とを有し、原版ステージ3に載置する原版Mを交換するための原版交換装置6を備える露光装置1であって、搬送路7は、原版ステージ3上に向けて設置された直線路であり、原版交換装置6は、搬送路7に吊設された、原版Mを保持するハンド11を有する台車9と、搬送路7の直下に設置された待機室8とを備え、第1の原版Mを使用した第1回目の露光処理の間に、第2回目の露光処理で使用される第2の原版MPを、予めストッカから待機室8に搬送し、待機室8で待機させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置、及びそれを用いたデバイスの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
露光装置は、半導体デバイスや液晶表示装置等の製造工程であるリソグラフィ工程において、原版(レチクル、又はマスク)のパターンを、投影光学系を介して感光性の基板(表面にレジスト層が形成されたウエハやガラスプレート等)に転写する装置である。この露光装置は、基板に転写するパターンの種類により、逐一、原版を所望のパターンが形成されたものに交換する。しかしながら、従来の露光装置では、原版を載置する原版ステージにおいて、露光処理に使用した原版を一旦収納する前に、次の露光処理に使用する原版を原版ステージに搬送することができないため、原版の交換時間が長い。そこで、原版の交換時間を短縮するために、例えば、特許文献1は、レチクルの搬送路に、レチクルを一時的に保管する保管手段(保管庫)を備えた露光装置を開示している。特許文献1によれば、原版の交換動作が保管庫と原版ステージとの間のみで実施可能であるため、高速で原版の交換を行うことができる。
【0003】
また、露光装置は、内部に各種駆動する機構を持つため、異物発生を完全に無くすことが難しく、原版に異物が付着する可能性が高くなる。したがって、原版の交換時に異物が付着するのを防止するため、カセットに原版を収納した状態のまま原版ステージ近傍まで原版を搬送したり、原版を受け渡す際の待機位置を原版ステージと同様の雰囲気とし、原版の交換動作を速めたりする露光装置が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3287058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、液晶表示装置用のガラス基板に対して露光処理を施す露光装置のように、原版であるマスクが大型化すると、回転ハンドを用いてマスクを交換する場合に装置内で干渉領域が増加するため、装置全体が大型化し、更に装置費用も膨大となる。一方、マスクローダを用いてマスクを交換する場合も、マスクを保管する場所とマスクステージとの間が離れてマスクローダが大型化し、マスクの交換時間が長くなる。これに対して、マスクローダを使用する場合に、マスクステージ近傍でマスクを待機させる場所を設けると、待機中にマスクに異物が付着する可能性がある。更に、この場合、カセットを保持、及び開閉可能な機構を設けると、装置全体の大きさが更に増すことになる。
【0006】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、大型のマスクの交換を効率良く実施し、かつ、次の露光処理に使用されるマスクに対する異物の付着を抑止することが可能な露光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、複数の原版を保管するストッカと、原版を原版ステージに向けて搬送する搬送路とを有し、原版ステージに載置する原版を交換するための原版交換装置を備える露光装置であって、搬送路は、原版ステージ上に向けて設置された直線路であり、原版交換装置は、搬送路に吊設された、原版を保持するハンドを有する台車と、搬送路の直下に設置された待機室とを備え、第1の原版を使用した第1回目の露光処理の間に、第2回目の露光処理で使用される第2の原版を、予めストッカから待機室に搬送し、待機室で待機させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、原版交換装置において、第1の原版を使用した第1回目の露光処理が終了する前に、次の露光処理に使用される第2の原版を待機室に予め準備しておくので、原版の交換時間が短縮され、露光処理動作の停止時間を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る露光装置の構成を示す概略図である。
【図2】マスク交換装置の台車を拡大した斜視図である。
【図3】マスクの交換手順を示す概略図である。
【図4】マスク交換装置の台車の側面図である。
【図5】本発明の露光装置における露光処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面等を参照して説明する。なお、本実施形態の露光装置は、レンズ及び大型凹面鏡を備え、原版であるマスクのパターンをガラス基板上に投影露光する反射型投影光学系を採用したミラースキャン型の露光装置である。
【0011】
まず、本発明の露光装置の構成について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る露光装置の構成を示す概略図である。露光装置1は、まず、不図示の光源を有する照明光学系2と、マスクMを載置するマスクステージ(原版ステージ)3と、投影光学系4と、基板Pを載置する基板ステージ5とを備える。露光装置1は、マスクMに形成されたパターン(例えば、TFT回路等)を感光剤(フォトレジスト)が塗布された基板P上へ投影転写するものである。なお、以下の各図において、投影光学系4の光軸に対して平行に、即ち鉛直方向にZ軸を取り、該Z軸に垂直な平面内で走査露光時のマスクM及び基板Pの走査方向にY軸を取り、該Y軸に直交する非走査方向にX軸を取って説明する。
【0012】
光源は、露光光となる光線を射出するものであり、超高圧水銀ランプ等で構成される。照明光学系2は、不図示の光学素子を備え、入射された光線をマスクM上に集光する。マスクステージ3は、マスクMを吸着保持するための不図示の吸着部を有し、マスクMを載置、及び保持しつつ移動可能なステージ装置である。マスクステージ3は、照明光学系2に対してマスクMを走査駆動するように構成され、Y軸方向に長いストロークを有し、X軸方向にマスクMの位置を微小調整するに適当なストロークを有する。投影光学系4は、マスクMを透過して入射した露光光を、内部に設置された反射鏡で偏光特性を変化させつつ、マスクMの照射領域に描画されたパターン像を基板P上に結像させる。ここで、投影光学系4は、例えば、台形ミラー、凸面鏡、及び凹面鏡等を介してマスクMのパターンの像を基板P上に形成し、基板P上での投影領域は、所定形状(例えば、円弧形状)に設定される。更に、基板ステージ5は、基板Pを載置、及び保持しつつ、XYZの3次元方向に移動可能なステージ装置である。基板ステージ5に保持された基板Pとマスクステージ3に保持されたマスクMとは、投影光学系4を介して共役な位置関係に配置される。
【0013】
また、露光装置1は、投影光学系4の近傍に、本発明の特徴であるマスク交換装置(原版交換装置)6を備える。マスク交換装置6は、基板Pに結像されるパターン像の変更等により、マスクステージ3上のマスクMを交換するための原版搬送装置である。マスク交換装置6は、露光装置1内でマスクMを保管する不図示のマスクストッカ(ストッカ)と、該マスクストッカとマスクステージ3との間でマスクMを搬送するローダ7と、マスクMを一旦待機させる待機室8とを備える。マスクストッカは、複数枚のマスクMを同時に保管可能な保管棚であり、複数枚のマスクMを、間隔を空けてZ方向に並べて収納する。このとき、マスクストッカは、複数のパターン像に対応するために複数のマスクMを一時収納する。ここで、マスクストッカは、マスクM周辺の空調機構やマスクMをケースに収納することによって、マスクMへの異物の付着を防止する。ローダ7は、マスクMをX軸方向に移動可能とする台車9を2台備えた搬送路(直線路)である。本実施形態では、2台の台車9は、ローダ7の下部を互いに直線的に移動するものとし、以下、ローダ7に対して待機室8側に位置するものを第1台車9aとし、マスクステージ3側に位置するものを第2台車9bとして説明する。なお、第1及び第2台車9a、9bは、それぞれ単独で移動するものではなく、後述する同一の可動部10で一体化して移動するものとする。
【0014】
図2は、第1台車9aを拡大した斜視図である。第1台車9aは、マスクMを把持するハンド11と、該ハンド11に固定され、L型の板材で形成された2箇所の庇部12とを備える。ハンド11は、マスクMを把持自在とすると共に、第1台車9aに設置されたZ方向に駆動可能な上下機構により、上下移動が可能である。庇部12は、待機室8の上部を覆う蓋としての作用と、搬送時におけるマスクMの外部との衝突を防止する作用と、更には、搬送時におけるマスクMの表面への異物の付着を防止する作用とを有する。なお、第2台車9bの構成は、前述の第1台車9aの構成において、庇部12を備えなくてもよい。また、第2台車9bは、搬送時の衝突防止、及び異物付着防止を目的として、庇部12を備えてもよい。待機室8は、ハンド11のマスクMを把持した部分を収容可能とし、Z方向の上部のみ開放した箱部である。また、待機室8は、マスクステージ3へのマスクMの搬送時間の短縮を考慮し、ローダ7の直下で、かつ、可能な限りマスクステージ3の近傍に設置することが望ましい。
【0015】
更に、露光装置1は、ユーザーによるマスクM及び基板Pの選択、露光処理枚数、若しくは露光処理順等の設定に基づいて、露光装置1の各構成要素の動作を制御する不図示の制御部を有する。制御部は、CPUや記憶装置等を備えたコンピュータ、若しくはシーケンサ等で構成される制御手段であり、設置場所は、露光装置1の内部、及び外部を問わない。なお、以下に説明するマスク交換装置6よるマスクMの搬送動作は、上記記憶装置に保存されたプログラム、若しくは上記シーケンサに保存されたシーケンスにより実行されるものとする。
【0016】
次に、マスク交換装置6によるマスクの交換方法について説明する。まず、制御部は、ユーザーの設定に基づいて、露光処理に使用されるマスクMを決定し、不図示の搬送装置にマスクストッカからマスクMを取出させ、搬送装置は、取出したマスクMをローダ7に受け渡し可能な位置まで搬送する。次に、ローダ7は、台車9に設置されたハンド11でマスクMを保持することにより、マスクMを受け取る。その後、ローダ7は、台車9をX方向に駆動してマスクステージ3にマスクMを受け渡し、マスクMは、マスクステージ3上に載置される。なお、マスクMをマスクステージ3から引き上げる際には、制御部は、上述した手順の逆の動作を実行させる。ここで、露光装置1は、通常運用では、常に露光処理動作を実施している。一般に、露光処理間のマスク交換動作中は、露光装置1が露光処理を実施できないため、可能な限りマスク交換時間を短縮させ、露光処理時間を増加させることが望ましい。しかしながら、従来の露光装置では、一旦マスクMをマスクストッカに引き上げ、その後、次の露光処理に採用するマスクMを搬送するので、多くの時間がかかる。そこで、本実施形態では、露光装置1の稼動中のマスク交換動作を、以下の方法で行う。
【0017】
図3は、マスク交換装置6によるマスクの交換手順を示す概略図である。なお、以下の説明において、第1回目の露光処理に採用されるマスクM(第1の原版)に対して、第2回目の露光処理に採用されるマスク(第2の原版)を、マスクMPと表記する。まず、マスク交換装置6において、第1台車9aは、マスクMをマスクステージ3上に載置する。そして、露光装置1は、マスクステージ3を投影光学系4上の基準位置まで移動し、第1回目の露光処理を実施する。その間、第1及び第2台車9a、9bを吊設した可動部10は、一旦待機室8側に移動して、第2回目の露光処理で採用するマスクMPの搬送準備に備える。このとき、マスクMPは、マスクストッカから第1台車9aの受渡位置まで搬送され、第1台車9aのハンド11が保持する。そして、ローダ7は、マスクMPを保持した第1台車9aを待機室8上まで移動させ、第1台車9aのハンド11を下降させることにより、マスクMPを待機室8内に収容する。その後、第1及び第2台車9a、9bは、第1回目の露光処理が終了する直前まで待機する(図3(a))。
【0018】
次に、まず、第1回目の露光処理終了直前、例えば、最終の基板Pの露光処理中に、第1台車9aは、ハンド11を上昇させて移動体勢に入り、その後、ローダ7は、第2台車9bがマスクステージ3上に位置するまで可動部10を移動させる(図3(b))。次に、第2台車9bは、マスクステージ3上のマスクMを受け取り、ハンド11を上昇させて移動体勢に入る。その後、ローダ7は、マスクMPを保持した第1台車9aをマスクステージ3上に位置するまで可動部10を移動させ、第1台車9aは、マスクMPをマスクステージ3上に載置する(図3(c))。次に、ローダ7は、第2台車9bでマスクMを保持しつつ、可動部10を待機室8側へ移動させる(図3(d))。ここで、露光装置1は、第2回目の露光処理を開始し、第2台車9bからマスクストッカへマスクMを受け渡す。
【0019】
次に、待機室8の作用について説明する。図4は、マスクMを保持したハンド11が、待機室8内に収容された場合の第1台車9aの概略側面図である。なお、図4において、待機室8内を可視化するため、待機室8のみ断面図とする。図4(a)に示すように、待機室8は、ハンド11に設置された2箇所の庇部12により、マスクMの収容時は、内部が閉空間となる。また、待機室8は、側面に送風手段であるファンフィルターユニット13を備え、該ファンフィルターユニット13により内部空間に対して清浄な空気を供給する。この供給により、待機室8内における露光処理の障害となるゴミ等の異物を極力排除することができる。したがって、マスクMが長時間待機室8内に待機した状態に置かれても、マスクMに対する異物の付着を防止することが可能となる。なお、ファンフィルターユニット13は、待機室8内に清浄な空気を供給することができれば、特にその構成を限定するものではなく、例えば、フィルタのみを待機室8の側面に隣設し、別の場所に設置された送風機からダクトを介して送風しても良い。この場合、待機室8に設置するフィルタの構造が単純化されるので、待機室8をマスクステージ3に対してより近傍に配置することができる。
【0020】
一方、待機室8内では、図4(a)に示すように、ハンド11がマスクMを保持した状態で待機しているが、待機室8を、図4(b)に示すように、待機室8内の底部に載置部14を設置し、マスクMを一旦載置部14に載置する構成としても良い。この場合、マスクを交換する際には、台車9が、マスクステージ3に載置された露光処理後のマスクMを一旦マスクストッカに受け渡し、次に、待機室8内の載置部14に載置されたマスクMPをマスクステージ3に搬送する。これにより、ローダ7に対して台車9を複数台設置する必要がないので、単純な装置構成となり、費用効果がある。更に、この場合、台車9がマスクを保持している時間が短いので、露光装置1内の不具合等で装置の電源を落とした後の復帰処理を行う際に、ローダ7の駆動軸の原点復帰等における初期化を実施しやすい。
【0021】
次に、本発明の露光装置による露光処理の流れを、上記のマスク交換方法に関連させて説明する。図5は、マスク交換方法に関連した露光処理の流れを示すフローチャートである。まず、第1回目の露光処理として、マスクMを使用して露光処理を開始し(ステップS101)、最終基板Pに対する露光処理を実施した後(ステップS102)、露光処理が終了する(ステップS103)。この露光処理と並行して、本実施形態では、制御部は、次の露光工程を登録した後(ステップS104)、マスク交換装置6に対して、マスクMPの準備を指示し(ステップS105)、マスクMPを待機室8に待機させる(ステップS106)。そして、ステップS102における最終基板Pに対する露光処理の開始を受けて、制御部は、ローダ7を駆動させてマスクMPを保持した第1台車9aをマスクステージ3に向けて移動させる(ステップS107)。その後、制御部は、第1台車9aを第1回目の露光処理が終了するまで待機させる(ステップS108)。次に、第1回目の露光処理が終了した後に、制御部は、マスク交換装置6に対して、マスクステージ3上に載置されたマスクMを受け取り、引き続きマスクMPをマスクステージ3に載置するように指示する(ステップS109、S110)。マスクステージ3にマスクMPを載置した後、制御部は、第1回目の露光処理後の処理(基板Pの搬送等)が終了したことを確認し(ステップS111)、次の露光処理工程の露光準備(ステップS112)、及びマスクMの回収指示を行う(ステップS113)。以後、第3回目以降の露光処理がある場合は、制御部は、上記ステップS101からS113の処理を繰り返す。なお、図5では、マスクMPの駆動開始時期(ステップS107)を最終基板Pの露光処理開始(ステップS102)と一致させているが、第1回目の露光処理の終了時期を予め予測可能な場合がある。この場合、予測した終了時期に基づいて、マスクMPを保持した第1台車9aが待機するために必要な時間だけ、ローダ7を前倒しして駆動させても良く、これにより、マスクMPが待機室8の外にいる時間を最小限とすることができる。更に、ローダ7が前倒しで駆動するので、マスク交換時間も早くなる。ここで、第1回目の露光処理の終了時期を予測する方法として、最終基板Pの露光処理前に、ある1枚の基板Pに対する露光時間を予め制御部が記憶し、その露光時間に基づいて、制御部が最終基板Pの露光時間を算出すれば良い。
【0022】
以上のように、本発明の露光装置によれば、マスク交換装置6において、マスクMの露光処理終了前に、マスクステージ3の近傍に設置された待機室8で次の露光処理に使用されるマスクMPを予め準備する。これにより、マスクの交換時間が短縮され、露光処理動作の停止時間を低減させることができる。また、待機室8をマスクステージ3の近傍に設置し、かつ、直線搬送路であるローダ7を採用したことにより、マスクが大型となる場合でも、マスクの交換を省スペースで効率良く実施できる。なお、マスクMPが待機室8にて待機する時間は、マスクMの露光予定枚数に依存するが、予め全ての処理枚数を予測するのは難しいので、1つの露光処理の終了を待たずにマスクMPの搬送を開始し、長時間マスクMPを待機室8に待機させる場合もある。この場合も、待機室8が、ローダ7にマスクの受け渡しを行うことが可能な範囲の直近で、かつ、マスクステージ3の近傍に設置されることは、マスクの交換時間の短縮に最適である。
【0023】
(デバイスの製造方法)
次に、本発明の一実施形態のデバイス(半導体デバイス、液晶表示デバイス等)の製造方法について説明する。半導体デバイスは、ウエハに集積回路を作る前工程と、前工程で作られたウエハ上の集積回路チップを製品として完成させる後工程を経ることにより製造される。前工程は、前述の露光装置を使用して感光剤が塗布されたウエハを露光する工程と、ウエハを現像する工程を含む。後工程は、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)と、パッケージング工程(封入)を含む。液晶表示デバイスは、透明電極を形成する工程を経ることにより製造される。透明電極を形成する工程は、透明導電膜が蒸着されたガラス基板に感光剤を塗布する工程と、前述の露光装置を使用して感光剤が塗布されたガラス基板を露光する工程と、ガラス基板を現像する工程を含む。本実施形態のデバイス製造方法によれば、従来よりも高品位のデバイスを製造することができる。
【0024】
(その他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0025】
上記実施形態では、ローダ7は、可動部10に対して2台の台車9a、9bを備える構成としたが、例えば、1つの台車のみを備え、該1つの台車に複数のハンド11を備える構成としても良い。上記実施形態では、個別に台車9を駆動できるのでマスクの交換に自由度がある利点に対し、1つの台車9にハンド11を複数構成した場合は、ローダ7の構造が単純化するという利点がある。
【0026】
また、上記実施形態では、待機室8を設置し、ファンフィルターユニット13によりマスクMP周辺部の閉空間に清浄な空気を供給する構成としたが、追加機能として、閉空間内の温度調節が可能な温調手段を設置しても良い。露光装置1において、マスクMのパターンを露光する際は、露光性能にマスクMの温度も関わる。したがって、待機室8にて待機しているマスクMPの温度調節を行えば、マスクステージ3へ搬送するマスクMPを一定の温度とすることができるため、精度良く露光処理が実施できる。
【0027】
更に、通常、露光装置において、マスクMに付着した異物を検知するために、異物検査装置を設置している。この場合、待機室8にマスクMPが収容される前に、異物検査装置で検査を行っても良い。これにより、待機室8にマスクMPが収容される前に、予めマスクMPに異物が付着しているかどうかを検査できるので、異物の付着を可能な限り減らすことができる。
【符号の説明】
【0028】
1 露光装置
3 マスクステージ
6 マスク交換装置
7 ローダ
8 待機室
9 台車
10 可動部
11 ハンド
12 庇部
13 ファンフィルターユニット
14 載置部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の原版を保管するストッカと、前記原版を原版ステージに向けて搬送する搬送路とを有し、前記原版ステージに載置する前記原版を交換するための原版交換装置を備える露光装置であって、
前記搬送路は、前記原版ステージに向けて設置された直線路であり、
前記原版交換装置は、前記搬送路に吊設された、前記原版を保持するハンドを有する台車と、前記搬送路の直下に設置された待機室とを備え、第1の原版を使用した第1回目の露光処理の間に、第2回目の露光処理で使用される第2の原版を、予め前記ストッカから前記待機室に搬送し、前記待機室で待機させることを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記台車は、前記ハンドを鉛直方向に駆動可能とする上下機構を有し、
前記待機室は、前記上下機構により下降した前記ハンドにおける前記原版を把持した部分を収容可能なように、鉛直方向の上部が開放された箱部であることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記ハンドは、前記原版を把持した部分を前記待機室に収容した際、前記待機室の内部が閉空間となるように、前記待機室の上部を覆う庇部を有することを特徴とする請求項1及び2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記待機室は、内部に清浄な空気を送る送風手段を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項5】
前記待機室は、内部の空気を温度調節する温調手段を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項6】
前記待機室は、内部の底部に、前記原版を載置する載置部を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項7】
前記台車は、前記搬送路を駆動する同一の可動部に設置された第1台車と第2台車とから構成されてなり、
第1回目の露光処理が終了した後、前記第2台車は、前記原版ステージに載置された前記第1の原版を受け取り、前記第2台車が受け取った前記第1の原版を前記ストッカへ回収する前に、前記第1台車は、予め前記待機室に待機していた前記第2の原版を前記原版ステージに載置することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項8】
前記第1台車及び第2台車は、第1回目の露光処理が終了する前に、前記原版ステージに向けた移動を開始することを特徴とする請求項7に記載の露光装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の露光装置を用いて基板を露光する工程と、
前記基板を現像する工程と、
を有することを特徴とするデバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−47972(P2011−47972A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193896(P2009−193896)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】