説明

青紫色レーザー感光性組成物、並びにそれを用いた画像形成材料、画像形成材、及び画像形成方法

【課題】 青紫色レーザーに高感度であり、仮支持フィルム上に形成された感光性組成物層の保存安定性が良好で、かつ十分な露光可視画性を有する青紫色レーザー感光性組成物、画像形成材料、画像形成材及びその画像形成方法を提供する。
【解決手段】 (A)エチレン性不飽和化合物、(B)光重合開始剤、及び(D)ロイコ色素を含有する青紫色レーザー感光性組成物であって、該感光性組成物中に(C)ハロゲン化アルキル化合物を含み、且つ、390〜430nmの波長の青紫色レーザー光で露光したときの感度S1(mJ/cm2)と該組成物層を仮支持フィルム上に形成した状態で
20〜25℃の温度域に3ヶ月間保管した後の感度S2(mJ/cm2)との比S1/S
2が0.7以上1.4以下であり、且つS1が0.1以上100以下であることを特徴とする青紫色レーザー感光性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板、液晶表示素子、プラズマディスプレイ、大規模集積回路、薄型トランジスタ、半導体パッケージ、カラーフィルター、有機エレクトロルミネッセンス等における導体回路や電極加工基板等の形成のためのエッチングレジストやメッキレジスト等に使用される青紫色レーザー感光性組成物であって、特に、390〜430nmの波長域の青紫色レーザー光による直接描画に好適に用いられる青紫色レーザー感光性組成物、並びにそれを用いた画像形成材料、画像形成材、及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プリント配線板、液晶表示素子、プラズマディスプレイ、大規模集積回路、薄型トランジスタ、半導体パッケージ、カラーフィルター、有機エレクトロルミネッセンス等における導体回路や電極加工基板等の形成に用いられる感光性組成物として、ネガ型感光性組成物としては、代表的には、エチレン性不飽和化合物、光重合開始剤、及びカルボキシル基含有樹脂等のアルカリ可溶性樹脂からなり、光照射によりエチレン性不飽和化合物が重合、硬化してアルカリ現像液に不溶性となる組成物、ポリビニルフェノール樹脂等のフェノール性水酸基含有樹脂と該樹脂の架橋剤、或いは、エポキシ基含有レゾール樹脂等の酸架橋性基含有樹脂と、ハロメチル化s−トリアジン誘導体等の光酸発生剤とからなり、光照射により光酸発生剤の発生する酸により架橋してアルカリ現像液に不溶性となる組成物、等が知られ、又、ポジ型感光性組成物としては、代表的には、アルコキシ基等の酸分解性基含有ポリビニルフェノール樹脂等の酸分解性基含有樹脂と、ハロメチル化s−トリアジン誘導体等の光酸発生剤とからなり、光照射による光酸発生剤の発生する酸により分解してアルカリ現像液に可溶性となる組成物等が知られている。
【0003】
そして、導体回路や電極加工基板等の形成には、これらの感光性組成物からなる層を仮支持フィルム上に形成し、その感光性組成物層表面を被覆フィルムで覆ったドライフィルムレジスト材を、その被覆フィルムを剥離して被加工基板上に積層した画像形成材、又は、被加工基板上に直接に感光性組成物層を形成して必要に応じてその上に保護層を設けた画像形成材、のその感光性組成物層を、回路や電極パターンが描かれたマスクフィルムを通して画像露光した後、マスクフィルムを剥離し、更に仮支持フィルム、又は保護層が設けられている場合にはその保護層、等を剥離し、ネガ型においては非画像部としての非露光部を、ポジ型においては非画像部としての露光部を、アルカリ現像液により溶解除去することにより回路パターンに対応したレジスト画像を形成し、このレジスト画像をレジストとして被加工基板をエッチング加工或いはメッキ加工等した後、レジスト画像を除去することにより、被加工基板にマスクフィルムに描かれた回路や電極パターンを形成するリソグラフィー法が広く用いられている。
【0004】
更に、近年、露光光源にレーザー光を用いることにより、マスクフィルムを用いずに、コンピューター等のデジタル情報から直接画像を形成するレーザー直接描画法が、生産性のみならず、解像性や位置精度等の向上も図れることから注目されるに到り、それに伴い、リソグラフィー法においてもレーザー光の利用が盛んに研究されている。そのレーザー光としては、紫外から赤外領域までの種々の光源が知られているが、画像露光に利用できるレーザー光としては、出力、安定性、感光能力、及びコスト等の点から、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムネオンレーザー、YAGレーザー、及び半導体レーザー等の可視から赤外領域の光を発するものが主力となっており、例えば、波長488nmのアルゴンイオンレーザー、波長532nmのFD−YAGレーザーを用いたリソグラフィー法は既に実用化に到っており、又、プリント配線基板用途で365nmのUVレーザーに対応する
材料も市販されている。
【0005】
しかしながら、従来の感光性組成物は、レーザー光による直接描画法においては、未だ感度が必ずしも充分とは言えず、又、可視レーザー光においては、感光性組成物は、黄色灯下でのセーフライト性に劣り、赤色灯照明のような暗室環境下での作業が必要であるという制約があり、これに対して、近年のレーザー技術の著しい進歩により、黄色灯照明のような明室環境下での作業が可能な、青紫色領域で安定的に発振できる半導体レーザーが利用できるようになったものの、その出力は他の可視領域等に比して低いこともあって、感光性組成物の感度面での改良の余地が残るばかりか、特に感光性組成物層の膜厚が厚い状態で用いられるレジスト材においては得られる画像の高解像性、矩形性等に対応し得てはおらず、直接描画法においてはもとよりリソグラフィー法においても実用化できるレベルには達していないのが現状である。
【0006】
一方、感光性組成物として、例えば、青紫色領域における感度等の向上を企図して、芳香環に少なくとも1つのビニル基を有し、そのo−位及びp−位の少なくとも1つが硫黄原子で置換されている化合物を増感剤とし、重合開始剤としてのチタノセン系化合物とを組み合わせた平版印刷版用の光重合性組成物(例えば、特許文献1参照。)等も提案されているものの、これら感光性組成物も、レジスト材としては、特にドライフィルムレジスト材を経て被加工基板上に形成された感光性組成物層においては膜厚が10μm以上と厚く、更に、プリント配線板などの製造工程であるメッキ工程においては、近年の配線線幅の微小化に伴い、メッキ厚を厚くすることが求められていることもあって、青紫色領域における感度は、依然として改良の余地を残すものであり、一方、高感度とすると室温保存時の感度が低下するという問題があった。
【0007】
また、被加工基板が露光工程を経たことを視認するため十分な露光可視画性を有することが感光性組成物層に求められ、有機ハロゲン化合物とロイコ色素との組み合わせにより露光可視画性を有するドライフィルムレジスト用の光重合性組成物(例えば、特許文献2参照。)が開示されているが、青紫色領域においては感度及び保存安定性が不十分であった。
【特許文献1】特開2002−169282号公報。
【特許文献2】特開平02−48664号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前述の従来技術に鑑みてなされたものであって、青紫色レーザーに高感度であり、仮支持フィルム上に形成された感光性組成物層の保存安定性が良好で、かつ十分な露光可視画性を有する青紫色レーザー感光性組成物、画像形成材料、画像形成材及びその画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ロイコ色素とハロゲン化アルキル化合物を含有する青紫色レーザー感光性組成物において、特定の環境条件下での保存前後の感度について特定の条件を満足させることにより、好ましくは具体的には355〜450nmに吸収極大を有する増感色素を含有し、重合開始剤としてヘキサアリールビイミダゾール系化合物を含有することにより上記目的を達成することを見出し本発明に到達した。即ち、本発明の要旨は、
(A)エチレン性不飽和化合物、(B)光重合開始剤、及び(D)ロイコ色素を含有する青紫色レーザー感光性組成物であって、該感光性組成物中に(C)ハロゲン化アルキル化合物を含み、且つ、390〜430nmの波長の青紫色レーザー光で露光したときの感度S1(mJ/cm2)と該組成物層を仮支持フィルム上に形成した状態で20〜25℃の
温度域に3ヶ月間保管した後の感度S2(mJ/cm2)との比S1/S2が0.7以上
1.4以下であり、且つS1が0.1以上100以下であることを特徴とする青紫色レーザー感光性組成物に存する。
【0010】
更に、本発明の他の要旨は、仮支持フィルム上に上記の感光性組成物の層が形成されてなる感光性画像形成材料、被加工基板上に上記感光性画像形成材料がその感光性組成物層側で積層されてなる感光性画像形成材、及び上記感光性画像形成材の感光性組成物層を波長390〜430nmのレーザー光で走査露光し現像処理して画像を現出させることを特徴とする画像形成方法、に存する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の青紫色レーザー感光性組成物は、高感度で保存安定性が良好であり、かつ青紫色レーザー光で走査露光した時、十分な露光可視画性を有するとともに、本発明によれば、かかるレジスト画像を形成可能な画像形成材、画像形成材料、及びその画像形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、これらの内容に特定されない。
[1]感度及び保存安定性
本発明の青紫色レーザー感光性組成物は、390〜430nmの波長の青紫色レーザー光で露光したときの感度S1が0.1mJ/cm2以上、好ましくは0.3mJ/cm2以上であり、100mJ/cm2以下、好ましくは50mJ/cm2以下、更に好ましくは30mJ/cm2以下である。また、該組成物層を仮支持フィルム上に形成した状態で20
〜25℃の温度域に3ヶ月間保管した後の感度をS2(mJ/cm2)としたとき、S1
/S2が0.7以上、好ましくは0.8以上、更に好ましくは0.9以上であり、1.4以下、好ましくは1.2以下、更に好ましくは1.1以下である。
【0013】
S1が小さすぎると通常画像形成を行う場所で使用される黄色灯下において、感光しやすくなり、レジスト画像の解像性が低下する。また、S1が大きすぎると露光に長時間を要するため、生産性が悪くなる。
S1/S2が小さすぎると該感光性組成物を室温で長期保存したときに感度の低下が大きく、レジスト画像の密着性が悪くなる。また、S1/S2が大きすぎると室温保存後の感度上昇が大きく、解像性が低下する。
【0014】
なお、感度S1及びS2の測定は下記の方法により行う。
[1−1]感度S1の測定方法
(1)仮支持フィルム上に形成された膜厚が20μmの青紫色レーザー感光性組成物を
該感光性組成物層側で被加工基板上に積層した画像形成材を青紫色レーザーを用いて20μmのライン・アンド・スペースの画像を何段階かの露光量にて描画し、次いで仮支持フ
ィルムを剥離した後、25℃の0.7%炭酸ナトリウム水溶液を現像液とし自動現像機を用いて後述の(3)のブレークポイントの1.75倍の現像時間で現像する。
【0015】
(2)得られたレジスト画像のライン幅を光学顕微鏡もしくは走査電子顕微鏡にて測定し、最も20μmに近い値のライン幅を得た露光量を感度S1とする。
(3)仮支持フィルム上に形成された膜厚が20μmの青紫色レーザー感光性組成物を
該感光性組成物層側で被加工基板上に積層した非露光の画像形成材を、上記(1)と同じ現像液を用いて、上記(1)の感度S1の測定と同様の現像条件にて自動現像機を用いて現像し、完全に感光性組成物層が除去されるまでの時間をブレークポイントとする。
[1−2]感度S2の測定方法
感度S1の測定に用いたのと同じ画像形成材料を室温(20〜25℃の温度域)に3ヶ月間保存した後、上記の感度S1の測定と同じ露光方法及び露光条件にて露光した後、上記感度S1の測定と同じ現像液及び現像条件にて現像し、得られたレジスト画像のライン幅を上記S1の測定と同様に光学顕微鏡もしくは走査電子顕微鏡にて測定し、最も20μmに近い値のライン幅を得た露光量を感度S2とする。
尚、本発明の青紫色レーザー感光性組成物の組成物層を仮支持フィルム上に形成した状態で3ヶ月保管する場合は、20〜25℃の温度域で保管する。この様な温度域での保管は通常室温にて行われる。
[2]構成成分
本発明の青紫色レーザー感光性組成物は、(A)エチレン性不飽和化合物、(B)光重合開始剤、(C)ハロゲン化アルキル化合物及び(D)ロイコ色素を必須成分として含有する。但し、(C)のハロゲン化アルキル化合物は、(B)の光重合開始剤を兼ねていてもよい。また、要すれば(E)増感色素、(F)カルボキシル基含有重合体、その他の構成成分を加えることが出来る。
【0016】
以下、各成分について説明する。
[2−1](A)エチレン性不飽和化合物
本発明における(A)成分のエチレン性不飽和化合物は、青紫色レーザー感光性組成物が活性光線の照射を受けたときに、後述する(B)成分の光重合開始剤を含む光重合開始系の作用により付加重合し、場合により架橋、硬化するようなラジカル重合性のエチレン性不飽和結合を分子内に少なくとも1個有する化合物である。
【0017】
そのエチレン性不飽和化合物としては、エチレン性不飽和結合を分子内に1個有する化合物、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和カルボン酸、及びそのアルキルエステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、スチレン等であってもよいが、重合性、架橋性、及びそれに伴う露光部と非露光部の現像液溶解性の差異を拡大できる等の点から、エチレン性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物であるのが好ましく、又、その不飽和結合が(メタ)アクリロイルオキシ基に由来するアクリレート化合物が特に好ましい。
【0018】
エチレン性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物としては、代表的には、不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル類、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリイソシアネート化合物とのウレタン(メタ)アクリレート類、及び、(メタ)アクリル酸又はヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリエポキシ化合物とのエポキシ(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
【0019】
そのエステル類としては、具体的には、例えば、前記の如き不飽和カルボン酸と、エチレングリコール、ポリエチレングリコール(付加数2〜14)、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(付加数2〜14)、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ノナメチレングリコール、トリメチロールエタン、テトラメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、及びそれらのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の脂肪族ポリヒドロキシ化合物との反応物、具体的には、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)ア
クリレート、ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加トリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールプロピレンオキサイド付加トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート等、及び同様のクロトネート、イソクロトネート、マレエート、イタコネート、シトラコネート等が挙げられる。
【0020】
更に、そのエステル類として、前記の如き不飽和カルボン酸と、ヒドロキノン、レゾルシン、ピロガロール、ビスフェノールF、ビスフェノールA等の芳香族ポリヒドロキシ化合物、或いはそれらのエチレンオキサイド付加物やグリシジル基含有化合物付加物との反応物、具体的には、例えば、ヒドロキノンジ(メタ)アクリレート、レゾルシンジ(メタ)アクリレート、ピロガロールトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAビス〔オキシエチレン(メタ)アクリレート〕、ビスフェノールAビス〔トリオキシエチレン(メタ)アクリレート〕、ビスフェノールAビス〔ペンタオキシエチレン(メタ)アクリレート〕、ビスフェノールAビス〔ヘキサオキシエチレン(メタ)アクリレート〕、ビスフェノールAビス〔グリシジルエーテル(メタ)アクリレート〕等、又、前記の如き不飽和カルボン酸と、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等の複素環式ポリヒドロキシ化合物との反応物、具体的には、例えば、トリス(2―ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート等、又、不飽和カルボン酸と多価カルボン酸とポリヒドロキシ化合物との反応物、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸とフタル酸とエチレングリコールとの縮合物、(メタ)アクリル酸とマレイン酸とジエチレングリコールとの縮合物、(メタ)アクリル酸とテレフタル酸とペンタエリスリトールとの縮合物、(メタ)アクリル酸とアジピン酸とブタンジオールとグリセリンとの縮合物等が挙げられる。
【0021】
又、そのウレタン(メタ)アクリレート類としては、具体的には、例えば、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタントリ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物と、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4―トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、リジンメチルエステルトリイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、1,6,11―ウンデカトリイソシアネート、1,3,6―ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8―ジイソシアネート−4―イソシアネートメチルオクタン等の脂肪族ポリイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ジメチルシクロヘキサンジイソシアネート、4,4’―メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート、p―フェニレンジイソシアネート、2,4―トリレンジイソシアネート、2,6―トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4’―ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,5―ナフタレンジイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニルメタン)、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート等の芳香族ポ
リイソシアネート、イソシアヌレート等の複素環式ポリイソシアネート、等のポリイソシアネート化合物との反応物等が挙げられる。
【0022】
又、そのエポキシ(メタ)アクリレート類としては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、又は前記の如きヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物と、(ポリ)エチレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)テトラメチレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)ペンタメチレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)ネオペンチルグリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)ヘキサメチレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル、(ポリ)ソルビトールポリグリシジルエーテル等の脂肪族ポリエポキシ化合物、フェノールノボラックポリエポキシ化合物、ブロム化フェノールノボラックポリエポキシ化合物、(o―,m―,p―)クレゾールノボラックポリエポキシ化合物、ビスフェノールAポリエポキシ化合物、ビスフェノールFポリエポキシ化合物等の芳香族ポリエポキシ化合物、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2―ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等の複素環式ポリエポキシ化合物、等のポリエポキシ化合物との反応物等が挙げられる。
【0023】
又、その他のエチレン性不飽和化合物として、前記以外に、例えば、エチレンビス(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、フタル酸ジアリル等のアリルエステル類、ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物類等が挙げられる。以上のエチレン性不飽和化合物は、それぞれ単独で用いられても2種以上が併用されてもよい。
以上の(A)成分のエチレン性不飽和化合物として、本発明においては、エステル(メタ)アクリレート類、又は、ウレタン(メタ)アクリレート類が好ましく、エステル(メタ)アクリレート類が特に好ましく、そのエステル(メタ)アクリレート類の中でも、ポリアルキレンオキサイド基を有し、(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有するエステル(メタ)アクリレート類、或いはビスフェノールAのポリアルキレンオキサイド付加物等のポリアルキレンオキサイド基を有し、(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有するエステル(メタ)アクリレート類が殊更好ましい。さらにここで用いられるポリアルキレンオキサイド基のアルキレンとしてはエチレンやプロピレン基であることが好ましく、メッキレジストに用いる場合等は剥離性や解像性の点からエチレンとプロピレンが混合されていることがより好ましく、この混合とは、(A)成分のエチレン性不飽和化合物同一分子中であっても良いし、異分子中であっても良い。
[2−2](B)光重合開始剤
本発明における(B)成分の光重合開始剤は、青紫色領域の光を照射されたときに、該波長域の光を効率的に吸収し活性ラジカルを発生するか若しくは、後述する(E)成分の増感色素との共存下で光照射されたときに、増感色素の光励起エネルギーを受け取って活性ラジカルを発生し、前記(A)成分のエチレン性不飽和化合物を重合に到らしめるラジカル発生剤であって、例えば、ヘキサアリールビイミダゾール系化合物、チタノセン系化合物、ハロメチル化s−トリアジン誘導体、ハロメチル化1,3,4−オキサジアゾール誘導体、ジアリールヨードニウム塩、有機硼素酸塩、及び有機過酸化物等が挙げられる。中で、光重合性組成物としての感度、基板に対する密着性、及び保存安定性等の面から、ヘキサアリールビイミダゾール系化合物、チタノセン系化合物、及び有機硼素酸塩が好ましく、ヘキサアリールビイミダゾール系化合物が特に好ましい。
【0024】
そのヘキサアリールビイミダゾール系化合物としては、具体的には、例えば、2,2’―ビス(o―メトキシフェニル)―4,4’,5,5’―テトラフェニルビイミダゾール、2,2’―ビス(p―メトキシフェニル)―4,4’,5,5’―テトラフェニルビイミダゾール、2,2’―ビス(フルオロフェニル)―4,4’,5,5’―テトラフェニルビイミダゾール、2,2’―ビス(o―クロロフェニル)―4,4’,5,5’―テト
ラフェニルビイミダゾール、2,2’―ビス(o―クロロフェニル)―4,4’,5,5’―テトラ(p―メチルフェニル)ビイミダゾール、2,2’―ビス(o―クロロフェニル)―4,4’,5,5’―テトラ(p―メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’―ビス(o―クロロフェニル)―4,4’,5,5’―テトラ(o,p―ジメトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’―ビス(o,p―ジクロロフェニル)―4,4’,5,5’―テトラ(p―メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’―ビス(o―クロロフェニル)―4,4’,5,5’―テトラ(p―エトキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’―ビス(o―クロロフェニル)―4,4’,5,5’―テトラ(p―クロロフェニル)ビイミダゾール、2,2’―ビス(o―クロロフェニル)―4,4’,5,5’―テトラ(o,p―ジクロロフェニル)ビイミダゾール、2,2’―ビス(o,p―ジクロロフェニル)―4,4’,5,5’―テトラ(o,p―ジクロロフェニル)ビイミダゾール、2,2’―ビス(o―クロロフェニル)―4,4’,5,5’―テトラ(p―フルオロフェニル)ビイミダゾール、2,2’―ビス(o―クロロフェニル)―4,4’,5,5’―テトラ(o,p―ジブロモフェニル)ビイミダゾール、2,2’―ビス(o―ブロモフェニル)―4,4’,5,5’―テトラ(o,p―ジクロロフェニル)ビイミダゾール、2,2’―ビス(o―ブロモフェニル)―4,4’,5,5’―テトラ(p―ヨードフェニル)ビイミダゾール、2,2’―ビス(o―ブロモフェニル)―4,4’,5,5’―テトラ(o―クロロ−p―メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’―ビス(o―クロロフェニル)―4,4’,5,5’―テトラ(p―クロロナフチル)ビイミダゾール等が挙げられる。中で、ヘキサフェニルビイミダゾール化合物が好ましく、そのイミダゾール環上の2,2’―位に結合したベンゼン環のo―位がハロゲン原子で置換されたものが更に好ましく、そのイミダゾール環上の4,4’,5,5’―位に結合したベンゼン環が無置換、又は、ハロゲン原子或いはアルコキシカルボニル基で置換されたものが特に好ましい。
【0025】
有機ホウ素酸塩としては、公知のものが使用可能であるが、例えば、有機ホウ素アンモニウム錯体、有機ホウ素ホスホニウム錯体、有機ホウ素スルホニウム錯体或いは有機ホウ素オキソスルホニウム錯体、有機ホウ素ヨードニウム錯体、有機ホウ素遷移金属配位錯体等が挙げられ、その有機ホウ素アニオンとしては、例えば、n−ブチル−トリフェニルホウ素アニオン、n−ブチル−トリス(2,4,6−トリメチルフェニル)ホウ素アニオン、n−ブチル−トリス(p−メトキシフェニル)ホウ素アニオン、n−ブチル−トリス(p−フルオロフェニル)ホウ素アニオン、n−ブチル−トリス(m−フルオロフェニル)ホウ素アニオン、n−ブチル−トリス(3−フルオロ−4−メチルフェニル)ホウ素アニオン、n−ブチル−トリス(2,6−ジフルオロフェニル)ホウ素アニオン、n−ブチル−トリス(2,4,6−トリフルオロフェニル)ホウ素アニオン、n−ブチル−トリス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ホウ素アニオン、n−ブチル−トリス(p−クロロフェニル)ホウ素アニオン、n−ブチル−トリス(2,6−ジフルオロ−3−ピロリルフェニル)ホウ素アニオン等のアルキル−トリフェニルホウ素アニオンが好ましく、また対カチオンとしてはアンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン等のオニウム化合物が好ましく、テトラアルキルアンモニウム等の有機アンモニウムカチオンが特に好ましい。
【0026】
チタノセン系化合物としては、公知のものが使用可能であるが、例えば、ジシクロペンタジエニルチタニウムジクロライド、ジシクロペンタジエニルチタニウムビスフェニル、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,4−ジフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,6−ジフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,4,6−トリフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)、ジ(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムビス(2,6−ジフルオロフェニル)、ジ(メチルシクロペンタジエニ
ル)チタニウムビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス〔2,6−ジフルオロ−3−(1−ピロリル)フェニル〕等が挙げられる。中で、ジシクロペンタジエニル構造とビフェニル構造を有するチタン化合物が好ましく、ビフェニル環のo−位がハロゲン原子で置換されたものが特に好ましい。
[2−3](C)ハロゲン化アルキル化合物
本発明における(C)成分のハロゲン化アルキル化合物は、青紫色領域の光を照射されたときに、該波長域の光を効率的に吸収するか若しくは、後述する(E)成分の増感色素との共存下で光照射されたときに、増感色素の光励起エネルギーを受け取って、後述する(D)成分のロイコ色素を発色させる化合物であって、前述の(B)成分、光重合開始剤を兼ねていても良い。
【0027】
そのハロゲン化アルキル化合物としては、2−トリクロロメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−クロロフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(α−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(β−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−(p−クロロフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−(α−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−(β−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−クロロスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−メチルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−(p−クロロスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−(p−メチルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール等のハロアルキルオキサジアゾール類;
フェニルトリクロロメチルスルホン、p−メチルフェニルトリクロロメチルスルホン、p−クロロフェニルトリクロロメチルスルホン、p−ニトロフェニルトリクロロメチルスルホン、フェニルトリブロモメチルスルホン、p−メチルフェニルトリブロモメチルスルホン、p−クロロフェニルトリブロモメチルスルホン、p−ニトロフェニルトリブロモメチルスルホン、3,4−ジブロモスルホラン等のハロアルキルスルホン類;
2,4,6−トリス(モノクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシ−m−ヒドロキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−エトキシカルボニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−
トリアジン、2−フェニルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンジルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン等のハロアルキル−s−トリアジン類;
ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、四臭化炭素、ヨードホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1,1,2−トリブロモエタン、1,1,2,2−テトラブロモエタン、1,2,3−トリブロモプロパン、1,2,3,4−テトラブロモブタン、ヘキサクロロシクロペンタジエン、ジブロモヘキサン、1−クロロ−2−ヨードエタン、1−ブロモ−2−クロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;
2,2,2−トリクロロエタノール、2,2,2−トリブロモエタノール、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、2,3−ジクロロ−1−プロパノール、1,3−ジブロモ−2−プロパノール、2,3−ジブロモ−1−プロパノール、トリクロロ−tert−ブタノール、1,4−ジクロロ−2−ブタノール、1,4−ジブロモ−2−ブタノール等のハロゲン化アルコール類;
1,1−ジクロロ−2−プロパノン、1,3−ジクロロ−2−プロパノン、ヘキサクロロアセトン、ヘキサブロモアセトン、1,1,3,3−テトラクロロアセトン、1,1,1−トリクロロアセトン、3−クロロ−2−ブタノン、3,4−ジブロモ−2−ブタノン、ジブロモシクロヘキサン等のハロアルキルケトン類;
2−ブロモエチルメチルエーテル、2,3−ジクロロ−1,4−ジオキサン、2,3−ジクロロテトラヒドロフラン、ジ(2−ブロモエチル)エーテル、2−ブロモエチルエチルエーテル、1,2−ジクロロエチルエチルエーテル等のハロアルキルエーテル類;
酢酸−2−ブロモエチルエステル、ブロモ酢酸エチルエステル、2−ブロモプロピオン酸メチルエステル、3−ブロモプロピオン酸メチルエステル、2,3−ジクロロプロピオン酸メチルステル、トリクロロ酢酸エチルエステル、トリクロロ酢酸トリクロロエチルエステル等のハロゲン化カルボン酸エステル類;
2−クロロアセトアミド、2,2−ジクロロアセトアミド、トリクロロアセトアミド、2,3−ジブロモプロピオンアミド、2,3−ジクロロプロピオンアミド、N−(2−クロロエチル)アセトアミド等のハロゲン化アミド類等を挙げることができる。
【0028】
ハロゲン化アルキル化合物としては、2個以上のハロゲン原子を含有する化合物が好ましく、特に好ましくは1個の炭素原子上に2個以上のハロゲン原子を有する化合物である。
これらのうち好ましいハロゲン化アルキル化合物は、ハロアルキルオキサジアゾール類、ハロアルキルスルホン類、ハロアルキル−s−トリアジン類であり、特に好ましくは2−トリクロロメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−クロロフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシ−m−ヒドロキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、トリブロモメチルフェニルスルホン、3,4−ジブロモスルホランである。
【0029】
これらハロゲン化アルキル化合物は単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
[2−4](D)ロイコ色素
本発明のロイコ色素は活性光線が照射された場合に前述のハロゲン化アルキル化合物の作用により、発色する化合物であり、容易に酸化しうる水素原子を含有している化合物若しくは、発色化合物に酸化し得るロイコ様化合物である。
【0030】
具体的には、例えばロイコクリスタルバイオレット、ロイコマラカイトグリーン、トリス(p−ジエチルアミノフェニル)メタン、トリス(p−ジメチルアミノ−o−メチルフェニル)メタン、トリス(p−ジエチルアミノ−o−メチルフェニル)メタン、ビス(p−ジブチルアミノフェニル)−〔p−(2−シアノエチル)メチルアミノフェニル〕メタン、ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−2−キノリルメタン、トリス(p−ジプロピルアミノフェニル)メタン等のアミノトリアリールメタン類;
3,6−ビス(ジエチルアミノ)−9−フェニルキサンテン、3−アミノ−6−ジメチルアミノ−2−メチル−9−(o−クロロフェニル)キサンテン等のアミノキサンテン類;
3,6−ビス(ジエチルアミノ)−9−(o−エトキシカルボニルフェニル)チオキサンテン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)チオキサンテン等のアミノチオキサンテン類;3,6−ビス(ジエチルアミノ)−9,10−ジヒドロ−9−フェニルアクリジン、3,6−ビス(ベンジルアミノ)−9,10−ジヒドロ−9−メチルアクリジン等のアミノ−9,10−ジヒドロアクリジン類;
3,7−ビス(ジエチルアミノ)フェノキサジン等のアミノフェノキサジン類;
3,7−ビス(エチルアミノ)フェノチアジン等のアミノフェノチアジン類;
3,7−ビス(ジエチルアミノ)−5−ヘキシル−5,10−ジヒドロフェナジン等のアミノジヒドロフェナジン類;
ビス(p−ジメチルアミノフェニル)アニリノメタン等のアミノフェニルメタン類;
4−アミノ−4′−ジメチルアミノジフェニルアミン、4−アミノ−α,β−ジシアノヒドロケイ皮酸メチルエステル等のアミノヒドロケイ皮酸類;
1−(2−ナフチル)−2−フェニルヒドラジン等のヒドラジン類;
1,4−ビス(エチルアミノ)−2,3−ジヒドロアントラキノン等のアミノ−2,3−ジヒドロアントラキノン類;
N,N−ジエチル−p−フェネチルアニリン等のフェネチルアニリン類等を挙げることができる。
【0031】
これらのうち好ましくは、アミノトリアリールメタン類であり、特に好ましくはロイコクリスタルバイオレット、ロイコマラカイトグリーンである。
これらロイコ色素は単独で用いても、2種以上を併用しても良い。
本発明の青紫色レーザー感光性組成物は、青紫色領域の光に対する感度を向上させる目的で下記(E)成分増感色素を含有することが好ましい。
[2−5](E)増感色素
本発明において、好ましいとする青紫色レーザー感光性組成物を構成する(E)成分の増感色素は、355〜430nmの波長域に吸収極大を有するものであって、390〜430nmの波長域の青紫領域の光を効率的に吸収すると共に、その光励起エネルギーを前記(B)成分の光重合開始剤に伝え、該光重合開始剤を分解させ、前記(A)成分のエチレン性不飽和化合物の重合を誘起する活性ラジカルを発生させる増感機能を有する光吸収色素である。尚、ここで、吸収極大波長は、増感色素をテトラヒドロフランに溶解し、吸収波長を測定した際の極大値を示す波長であり、355〜430nmの波長域にある吸収極大波長が、極大波長の最長波長であるのが好ましい。
【0032】
その増感色素としては、公知のものが使用可能であるが、画像形成露光光源を青紫レーザーとする場合は例えば、(i) 特開2000−10277号公報、特開2004−198446号明細書等に記載の下記式を基本骨格とするジアミノベンゾフェノン系化合物、(i
i)特開2004−198446明細書等に記載の下記式を基本骨格とするアミノフェニル−ベンゾイミダゾール/ベンゾオキサゾール/ベンゾチアゾール系化合物、(iii) 特願2003−424180号明細書等に記載の下記式を基本骨格とするスルホニルイミノ系化合物、(iv)特願2003−392404号明細書等に記載の下記式を基本骨格とするアミノカルボスチリル系化合物、(v) 特開2002−169282号公報、特開2004−191938号明細書等に記載の下記式を基本骨格とするメロシアニン系化合物、(vi)特開2002−268239号公報等に記載の下記式を基本骨格とするチアゾリデンケトン系化合物、(vii) 特願2003−291606号明細書等に記載の下記式を基本骨格とするイミド系化合物、(viii)下記式を基本骨格とするベンゾイミダゾール/ベンゾオキサゾール/ベンゾチアゾール系化合物、(ix)下記式を基本骨格とするトリアゾール系化合物、(x) 下記式を基本骨格とするシアノスチリル系化合物、(xi)下記式を基本骨格とするスチルベン系化合物、(xii) 下記式を基本骨格とするオキサジアゾール/チアジアゾール系化合物、(xiii)下記式を基本骨格とするピラゾリン系化合物、(xiv) 下記式を基本骨格とするクマリン系化合物、(xv)特願2004−218915号明細書等に記載の下記式を基本骨格とするトリフェニルアミン系化合物、(xvi) 特願2003−340924号明細書等に記載の下記式を基本骨格とするアクリドン系化合物、(xvii)特願2003−435312号明細書等に記載の下記式を基本骨格とするカルバゾール系化合物等が挙げられる。
【0033】
尚、下記式において、X及びZは各々独立して、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、又はC−Rを表し、Yは任意の連結基を表し、nは1以上の整数である。又、基本骨格を示す下記式の化合物はそれぞれ、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、アルケニルオキシ基、アルケニルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、カーバメート基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホン酸エステル基、飽和若しくは不飽和の複素環基等の置換基を有していてもよく、これらの置換基は更に置換基を有していてもよく、又、複数の置換基同士が互いに結合して環状構造を形成していてもよい。
【0034】
【化1】

【0035】
また、本発明の青紫色レーザー感光性組成物においては、塗膜形成性及びアルカリ現像性を向上させる目的で下記(F)成分のカルボキシル基含有重合体を用いることができる。
[2−6](F)カルボキシル基含有重合体
本発明において、(F)成分のカルボキシル基含有重合体は、基板上への感光性組成物の層としての形成性、及び現像性の向上等を目的とするものであり、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸〔尚、本発明において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」又は/及び「メタクリル」を意味するものとする。〕、クロトン酸、イソクロトン酸、マ
レイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸単量体と、これらと共重合可能なビニル化合物単量体との共重合体が挙げられるが、不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
【0036】
又、共重合可能なビニル化合物単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−又はi−プロピル(メタ)アクリレート、n−又はi−又はt−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;
ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;
スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン等のα−置換アルキルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン等の核置換アルキルスチレン、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、ジヒドロキシスチレン等の核置換ヒドロキシスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、ジブロモスチレン等の核置換ハロゲン化スチレン等のスチレン類;
及びグリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル等の他のビニル化合物類等が挙げられる。
【0037】
尚、(F)成分のカルボキシル基含有重合体は、酸価が100〜300mg・KOH/g、ポリスチレン換算の 重量平均分子量が20,000〜150,000であるのが好
ましい。
本発明において、青紫色レーザー感光性組成物を構成する前記(A)成分のエチレン性不飽和化合物、前記(B)成分の光重合開始剤、(C)ハロゲン化アルキル化合物、(D)ロイコ色素の各含有割合は、感光性組成物の(A)成分100重量部に対して、通常(B)成分が0.05〜100重量部、(C)成分が0.01〜100重量部、(D)成分が0.01〜100重量部、好ましくは(B)成分が0.5〜80重量部、(C)成分が0.1〜80重量部、(D)成分が0.05〜50重量部である。
【0038】
また、該感光性組成物が(E)成分の増感色素及び/又は(F)成分のカルボキシル基含有重合体を含有する場合、(A)成分100重量部に対して、通常(E)成分が0.05〜100重量部、(F)成分が0.1〜500重量部であり、好ましくは(E)成分が0.05〜50重量部、(F)成分が1〜40重量部である。(E)成分の増感色素は、(C)成分のハロゲン化アルキル化合物1重量部に対して、通常0.1〜100重量部であり、好ましくは0.5〜50重量部、更に好ましくは1〜20重量部である。
【0039】
尚、本発明において、青紫色レーザー感光性組成物層は、前記(A)〜(F)成分の外に、光重合開始能力の向上等を目的とした水素供与性化合物、重合禁止剤や酸化防止剤、可塑剤、着色剤、密着付与剤、表面張力改質剤、安定剤、連鎖移動剤、消泡剤、難燃剤、溶剤、界面活性剤等を、必要に応じて含有していてもよい。
[3]感光性画像形成材料、感光性画像形成材及び画像形成方法
本発明の青紫色レーザー感光性組成物は、通常、前記成分を適当な溶剤に溶解或いは分散させた塗布液として、仮支持フィルム上に塗布し乾燥させ、必要に応じて形成された感光性組成物層表面を被覆フィルムで覆うことにより、所謂ドライフィルムレジスト材等としての、本発明の感光性画像形成材料とされ、その画像形成材料の感光性組成物層側を、
被覆フィルムを剥離して、被加工基板上に積層することにより、又は、前記各成分を適当な溶剤に溶解或いは分散させた塗布液として、被加工基板上に直接に塗布し乾燥させることにより、被加工基板上に本発明の青紫色レーザー感光性組成物の層が形成された本発明の感光性画像形成材とされ、その画像形成材の感光性組成物層を、350〜430nmの波長域を含む光源又は青紫色レーザー光により露光し、好ましくは、波長390〜430nmのレーザー光により走査露光し、現像処理してネガ画像を現出させる画像形成方法としての使用形態に好適に用いられる。
【0040】
そのドライフィルムレジスト材等としての画像形成材料として用いられる場合における仮支持フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等の従来公知のフィルムが用いられる。その際、それらのフィルムが画像形成材料の作成時に必要な耐溶剤性や耐熱性などを有しているものであるときは、それらの仮支持フィルム上に直接に感光性組成物塗布液を塗布し乾燥させて本発明の画像形成材料を作成することができ、また、それらのフィルムが耐溶剤性や耐熱性の低いものであっても、例えば、ポリテトラフルオロエチレンフィルムや離型性を有するフィルム上に先ず感光性組成物層を形成した後、その層上に耐溶剤性や耐熱性などの低い仮支持フィルムを積層し、しかる後、離型性を有するフィルムを剥離することにより、本発明の画像形成材料を作成することもできる。
【0041】
また、塗布液に用いられる溶剤としては、使用成分に対して十分な溶解度を持ち、良好な塗膜性を与えるものであれば特に制限はないが、例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のプロピレングリコール系溶剤、酢酸ブチル、酢酸アミル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル−2−ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル等のエステル系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブタノール、ヘプタノール、ヘキサノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の高極性溶剤、或いはこれらの混合溶剤、更にはこれらに芳香族炭化水素を添加したもの等が挙げられる。溶剤の使用割合は、感光性組成物の総量に対して、通常、重量比で1〜20倍程度の範囲である。
【0042】
また、その塗布方法としては、従来公知の方法、例えば、回転塗布、ワイヤーバー塗布、スプレー塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ロール塗布、ブレード塗布、スクリーン塗布、及びカーテン塗布等を用いることができる。その際の塗布量は、乾燥膜厚として、通常、0.1〜100μm、好ましくは0.5〜70μmの範囲である。なお、その際の乾燥温度としては、例えば、30〜150℃程度、好ましくは40〜110℃程度、乾燥時間としては、例えば、5秒〜60分間程度、好ましくは10秒〜30分間程度が採られる。
【0043】
このようにして形成される感光性組成物よりなる感光性組成物層の厚さには特に制限はないが、通常乾燥膜厚で好ましくは0.1μm以上、より好ましくは5μm以上、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。特に本発明の青紫色レーザー感光性組成物によれば、乾燥膜厚で10μm以上、例えば10〜50μmの感光性組成
物層であっても高い感度及び良好な保存安定性を達成することができる。
【0044】
なお、本発明において、光重合性のネガ型画像形成材にあっては、前述の如くして前記被加工基板上に形成された本発明の青紫色レーザー感光性組成物からなる感光性組成物層上に、光重合性組成物の酸素による重合禁止作用を防止するための酸素遮断層等の保護層が形成されていても良い。
その酸素遮断層を構成するものとしては、水、又は、水とアルコールやテトラヒドロフラン等の水混和性有機溶剤との混合溶剤に可溶の水溶性高分子であって、例えば、ポリビニルアルコール、及びその部分アセタール化物、4級アンモニウム塩等によるそのカチオン変性物、スルホン酸ナトリウム等によるそのアニオン変性物等の誘導体、ポリピニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
【0045】
それらの中で、酸素遮断性等の面から、ポリビニルアルコール及びその誘導体が好ましく、また、感光性レジスト材層との密着性等の面から、ポリビニルピロリドンやビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体等のビニルピロリドン系重合体が好ましく、本発明における酸素遮断層としては、ポリビニルアルコール或いはその誘導体100重量部に対して、ポリビニルピロリドン系重合体を、好ましくは1〜20重量部、更に好ましくは3〜15重量部混合した混合物として用いるのが好ましい。
【0046】
また、酸素遮断層としては、保存性付与等の面から、琥珀酸等の有機酸やエチレンジアミンテトラ酢酸等の有機酸塩等を含有するのが好ましく、また、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン性、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアニオン性、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性等の界面活性剤、消泡剤、色素、可塑剤、pH調整剤等を含有していても良く、それらの合計含有割合は、10重量%以下であるのが好ましく、5重量%以下であるのが更に好ましい。
【0047】
前記酸素遮断層は、水又は水と水混和性有機溶剤との混合溶剤の溶液として、前述の感光性組成物層と同様の塗布法によって形成され、その塗布量は、乾燥膜厚として、1〜10g/m2の範囲とするのが好ましく、1.5〜7g/m2の範囲とするのが更に好ましい。
本発明の青紫色レーザー感光性組成物で形成される感光性組成物層は、350〜430nmの波長域を含む光源又は青紫色レーザー光による露光、特にレーザー光により走査露光した後、現像処理することによりレジスト画像が形成される。
【0048】
ここで、350〜430nmの波長域を含む光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯等のランプ光源が挙げられる。また、レーザー露光光源としては、例えば、He−Neレーザー、アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、He−Cdレーザー、半導体レーザー、ルビーレーザー等が挙げられるが、特に、波長域390〜430nmの青紫色領域のレーザー光を発生する光源が好ましく、特に限定されるものではないが、具体的には、中心波長405nmを発振する窒化インジウムガリウム半導体レーザー等が挙げられる。
【0049】
また、レーザー光による走査露光を行う場合、その走査露光方法も、特に限定されるものではないが、例えば、平面走査露光方式、外面ドラム走査露光方式、内面ドラム走査露光方式等が挙げられ、レーザーの版面での出力光強度を、好ましくは1〜100mW、更に好ましくは3〜70mW、発振波長を、好ましくは390〜430nm、更に好ましくは400〜420nm、ビームスポット径を、好ましくは0.5〜30μm、更に好ましくは1〜20μm、走査速度を、好ましくは50〜500m/秒、更に好ましくは100
〜400m/秒、走査密度を、好ましくは2,000dpi以上、更に好ましくは4,000dpi以上として、走査露光する。
【0050】
また、露光後の現像処理は、アルカリ成分を含有する水性現像液を用いて行われ、好ましくはアルカリ成分と界面活性剤とを含有する水性現像液を用いて行われる。
そのアルカリ成分としては、例えば、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム、珪酸アンモニウム、メタ珪酸ナトリウム、メタ珪酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、第二燐酸ナトリウム、第三燐酸ナトリウム、第二燐酸アンモニウム、第三燐酸アンモニウム、硼酸ナトリウム、硼酸カリウム、硼酸アンモニウム等の無機アルカリ塩、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、モノブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン等の有機アミン化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムハイドロキシド等の第4級アンモニウム塩等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が0.1〜5重量%程度の濃度で用いられる。
【0051】
また、界面活性剤としては、例えば、そのノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類、ペンタエリスリット脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンペンタエリスリット脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ソルビット脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類等が、また、そのアニオン性界面活性剤としては、アルキルスルホン酸塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類、脂肪族アルコール硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩類等が、また、そのカチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩類、イミダゾリン誘導体類、アミン塩類等が、また、両性界面活性剤としては、ベタイン型化合物類、イミダゾリウム塩類、イミダゾリン類、アミノ酸類等が、それぞれ挙げられる。中で、ノニオン性、アニオン性、又は両性界面活性剤が好ましく、特に両性界面活性剤、就中、ベタイン型化合物類が好ましい。なお、前記界面活性剤は、好ましくは0.0001〜20重量%、更に好ましくは0.0005〜10重量%、特に好ましくは0.001〜5重量%の濃度で用いられる。
【0052】
更に、現像液には、例えば、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコール等の有機溶剤を必要に応じて含有させることができる。また、現像液のpHは、9〜14とするのが好ましく、11〜14とするのが更に好ましい。
なお、現像処理は、通常、前記現像液に画像形成材を浸漬するか、画像形成材に前記
現像液をスプレーする等の公知の現像法により、好ましくは10〜50℃程度、更に好ましくは15〜45℃程度の温度で、5秒〜10分程度の時間で行われる。
【実施例】
【0053】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要
旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1〜2、比較例1〜3
光重合性組成物として、下記のエチレン性不飽和化合物(A1〜A2)、光重合開始剤(B1〜B2)、ハロゲン化アルキル化合物(C1)、ロイコ色素(D1)、増感色素(E1〜E2)、カルボキシル基含有重合体(F1)、及びその他成分(X1)を、表1に示す処方で下記の溶剤(Y1)に加えて、室温で攪拌して調液した塗布液を、仮支持フィルムとしてのポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み16μm)上に、75μmのアプリケーターを用いて乾燥膜厚が20μmとなる量で塗布し、1分風乾後、85℃のオーブンで90秒間乾燥し、形成された光重合性組成物層上に、被覆フィルムとしてのポリエチレンフィルム(厚み22μm)をラミネータを用いて積層し、ドライフィルムレジスト材を作製した。
<エチレン性不飽和化合物>
【0054】
【化2】

【0055】
<光重合開始剤>
(B1)2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール
(B2)ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム
<ハロゲン化アルキル化合物>
(C1)フェニルトリブロモスルホン
<ロイコ色素>
(D1)ロイコクリスタルバイオレット
<増感色素>
【0056】
【化3】

【0057】
<カルボキシル基含有重合体>
(F1)メタクリル酸/メチルメタクリレート/n−ブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/スチレン共重合体(重量%=20/35/10/10/15/10、重量平均分子量46,000)
<その他>
(X1)マラカイトグリーン
<溶剤>
(Y1)メチルエチルケトン
別に、厚み35μmの銅箔を貼り合わせたポリイミド樹脂の銅張積層基板(厚み1.5mm、大きさ250mm×200mm)の銅箔表面を、住友スリーエム社製「スコッチブライトSF」を用いてバフロール研磨し、水洗し、空気流で乾燥させて整面し、次いで、これをオーブンで80℃に予熱した後、その銅張積層板の銅箔上に、前記で得られたドライフィルムレジスト材を、そのポリエチレンフィルムを剥離しながらその剥離面で、ハンド式ロールラミネーターを用いて、ロール温度100℃、ロール圧0.3MPa、ラミネート速度1.5m/分でラミネートすることにより、銅張積層基板上に光重合性組成物層が形成されたレジスト画像形成材を製造した。
【0058】
得られた各レジスト画像形成材の光重合性組成物層を、以下に示す露光・現像条件下で露光、現像処理し、感度S1、S2、露光可視画性を調べ結果を表―1に示した。
<露光機>
発振波長407nm、定格光出力500mWの日亜化学工業社製、青色LDスロットモジュール「NDAV520E2」を用いて露光を行った。
<現像条件>
25℃で0.7重量%炭酸ナトリウム水溶液を用い、0.15MPaでスプレーすることにより現像した。
<ブレークポイント>
非露光の各レジスト画像形成材のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし、上記の現像条件にて非露光の光重合性組成物層が完全に溶解するまでの時間を調べた。
【0059】
<感度S1>
各レジスト画像形成材を上記露光機にて、0.01〜150mJ/cm2の範囲で適宜
露光量を変えて20μmの集合線(ライン/スペース=20μm/20μm)の露光パターンを走査露光した。露光後、20分経過してから、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離、除去し、ブレークポイントの1.75倍の現像時間にて上記現像条件で現像した。得られたパターン画像を光学顕微鏡で観察し、各露光量で集合線のトップ部分の線幅が最も20μmに近い状態となる露光量を感度S1とした。
<感度S2>
各ドライフィルムレジスト材を室温(20〜25℃)に3ヶ月間保管した後、上記感度S1を求めた方法と同様にして画像形成材を作製し、露光・現像し、得られたパターン画像を光学顕微鏡で観察し、各露光量で集合線のトップ部分の線幅が最も20μmに近い状態となる露光量を感度S2とした。
<露光可視画性>
感度S1を求める露光をした直後に、画像形成材の感光性組成物層の露光部分の発色の程度を目視により観察し、以下の基準にて評価した。
【0060】
A:露光部分と非露光部分のコントラストが明瞭であり、可視画性良好
B:露光部分と非露光部分のコントラストが不明瞭
C:露光部分と非露光部分のコントラストがなく、可視画性無し
【0061】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の 本発明の青紫色レーザー感光性組成物は、高感度で保存安定性が良好であり、かつ青紫色レーザー光で走査露光した時、十分な露光可視画性を有する。また、本発明によれば、かかるレジスト画像を形成可能な画像形成材、画像形成材料、及びその画像形成方法を提供することができる。従って、本発明の青紫色レーザー感光性組成物、画像形成材、画像形成材料、及びその画像形成方法は、プリント配線板、液晶表示素子、プラズマディスプレイ、大規模集積回路、薄型トランジスタ、半導体パッケージ、カラーフィルター、有機エレクトロルミネッセンス等における導体回路や電極加工基板等の形成のためのエッチングレジストやメッキレジスト等、幅広い分野において産業上の利用可能性は極めて高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エチレン性不飽和化合物、(B)光重合開始剤、及び(D)ロイコ色素を含有する青紫色レーザー感光性組成物であって、該感光性組成物中に(C)ハロゲン化アルキル化合物を含み、且つ、390〜430nmの波長の青紫色レーザー光で露光したときの感度S1(mJ/cm2)と該組成物層を仮支持フィルム上に形成した状態で20〜25℃
の温度域に3ヶ月間保管した後の感度S2(mJ/cm2)との比S1/S2が0.7以
上1.4以下であり、且つS1が0.1以上100以下であることを特徴とする青紫色レーザー感光性組成物。
【請求項2】
(E)355〜450nmに吸収極大を有する増感色素を含有する請求項1に記載の青紫色レーザー感光性組成物。
【請求項3】
該増感色素(E)がジアルキルアミノベンゼン系化合物、トリアリールアミン系化合物、アクリドン系化合物、イミダゾール系化合物、オキサゾール系化合物、及びチアゾール系化合物から選ばれる少なくとも1種以上の化合物を含有する請求項2に記載の青紫色レーザー感光性組成物。
【請求項4】
(B)光重合開始剤がヘキサアリールビイミダゾール系化合物である請求項1乃至3の何れか1項に記載の青紫色レーザー感光性組成物。
【請求項5】
仮支持フィルム上に、請求項1乃至4の何れか1項に記載の青紫色レーザー感光性組成物の層が形成されてなることを特徴とする青紫色レーザー感光性画像形成材料。
【請求項6】
被加工基板上に、請求項5に記載の青紫色レーザー感光性画像形成材料がその青紫色レーザー感光性組成物層側で積層されてなることを特徴とする青紫色レーザー感光性画像形成材。
【請求項7】
被加工基板上に積層された青紫色レーザー感光性画像形成材料における青紫色レーザー感光性組成物層の厚さが、10μm以上である請求項6に記載の青紫色レーザー感光性画像形成材。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の青紫色レーザー感光性画像形成材の青紫色レーザー感光性組成物層を、波長390〜430nmのレーザー光により走査露光し、現像処理して画像を現出させることを特徴とする画像形成方法。

【公開番号】特開2006−58478(P2006−58478A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−238693(P2004−238693)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】