説明

静圧回転軸及び支持装置

【課題】コンパクトな構成ながら軸線ズレを抑制できる静圧回転軸及びそれを用いた支持装置を提供する。
【解決手段】軸線ズレが生じると、第1の絞り部の圧力伝達媒体の流れ方向下流側にある大径円筒状の静圧面LSPと支持面LHPとのスキマΔL’は、第2の絞り部の下流側にある小径円筒状の静圧面SSPと小径円筒状の支持面SHPとのスキマΔS’より広く、小径円筒状の静圧面SSPが圧力伝達媒体より受ける単位面積当たりの力FSは、大径円筒状の静圧面LSPが圧力伝達媒体より受ける単位面積当たりの力FLより大きくなるため、ズレ量に応じて増大するその力の差分(FS−FL)により、大径円筒状の静圧面LSPと大径円筒状の支持面LHPとのスキマと、小径円筒状の静圧面SSPと小径円筒状の支持面SHPとのスキマが等しくなる方向に、前記静圧回転軸SRSを移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静圧回転軸及びそれを用いた支持装置に関し、特に圧力伝達媒体を用いて移動可能に支持される静圧回転軸及びそれを用いた支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学素子やその成形用型に対して、切削加工や研磨加工等を施すことができる加工機が知られている。かかる加工機においては、ワークを支持する作業テーブルを高精度に回転させるために静圧回転軸を用いた支持装置が設けられている。ここで、光学素子等に高精度な加工を行うためには、静圧回転軸の軸線の傾きや軸線のズレを抑えることが重要となる。これに対し、非特許文献1には、半径方向の力と軸線方向の力とを支持することができ、且つ軸線傾きを自律的に補正することができる流体静圧回転ベアリングが開示されている。
【非特許文献1】「A hydrostatic rotary bearing with angled surface self−compensation」 Precision Engineering 27(2003) p.125−139
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、非特許文献1の流体静圧回転ベアリングは、一対のテーパ静圧面に対して圧力伝達媒体の圧力を局所的に変化させることで、半径方向の力と軸線方向の力とを支持し、或いは軸線傾きを自律的に補正している。即ち、非特許文献1の流体静圧回転ベアリングは、テーパ静圧面の上流側に円筒状の絞りを有しており、径方向の変位に対して圧力伝達媒体の流量が制御されて復元力を発揮するようになっている。しかるに、非特許文献1の流体静圧回転ベアリングは、軸線がずれたときに、比較的小さな復元力しか発生しないので、装置が大型である割には半径方向の剛性が弱いという問題がある。
【0004】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、コンパクトな構成ながら軸線ズレを抑制できる静圧回転軸及びそれを用いた支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の静圧回転軸は、
固定部材の支持面に対して圧力伝達媒体により回転可能に支持される静圧回転軸において、
それぞれ前記支持面に対向する、大径円筒状の静圧面と、前記大径円筒状の静圧面に対し同軸であり且つそれより小径の小径円筒状の静圧面とを有し、
前記固定部材と前記静圧回転軸との間には、前記大径円筒状の静圧面とそれに対向する前記支持面との間において供給される圧力伝達媒体の流量を制限する第1の絞り部と、前記小径円筒状の静圧面とそれに対向する前記支持面との間において供給される圧力伝達媒体の流量を制限する第2の絞り部と、が設けられており、
前記固定部材の軸線に対し前記静圧回転軸の回転軸線が一致している場合と比較し、前記固定部材の軸線に対し前記静圧回転軸の回転軸線がずれたときは、大径スキマ拡大角度領域において、前記第1の絞り部の絞りが縮小する領域を形成し、ここを通過する前記圧力伝達媒体の流量が減少すると共に、小径スキマ縮小角度領域において、前記第2の絞り部の絞りが拡大する領域を形成し、ここを通過する前記圧力伝達媒体の流量が増大し、且つ大径スキマ縮小角度領域において、前記第1の絞り部の絞りが拡大する領域を形成し、ここを通過する前記圧力伝達媒体の流量が増大すると共に、小径スキマ拡大角度領域において、前記第2の絞り部の絞りが縮小する領域を形成し、ここを通過する前記圧力伝達媒体の流量が減少し、前記大径スキマ拡大角度領域と前記小径スキマ縮小角度領域、及び前記大径スキマ縮小角度領域と前記小径スキマ拡大角度領域とは、それぞれ前記固定部材の軸線を中心とし且つそれに直交する面上への投影において、少なくとも一部が共通な角度領域となることを特徴とする。
【0006】
ここで、「スキマ」とは、前記固定部材の軸線に直交する任意の面上において、この軸線から支持面に引いた直線に沿った支持面と静圧面の距離を、その支持面の場所におけるスキマという。「大径スキマ拡大領域」とは、前記固定部材の軸線に対し前記静圧回転軸の回転軸線が一致している場合と比較し、前記固定部材の軸線に対し前記静圧回転軸の回転軸線がずれたときに、前記大径円筒状の静圧面とそれに対向する前記支持面とのスキマが増大する領域をいい、「大径スキマ縮小領域」とは、それとは逆にスキマが減少する領域をいうものとする。従って、「大径スキマ拡大角度領域」とは、「大径スキマ拡大領域」が前記固定部材の軸線に直交する任意の面上において、この軸線を頂点として成す角度の領域をいい、径方向の位置と軸線方向の位置は問わないものとし、「大径スキマ縮小角度領域」とは、「大径スキマ縮小領域」が前記固定部材の軸線に直交する任意の面上において、この軸線を頂点として成す角度の領域をいい、径方向の位置と軸線方向の位置は問わないものとする。
【0007】
更に、「小径スキマ拡大領域」とは、前記固定部材の軸線に対し前記静圧回転軸の回転軸線が一致している場合と比較し、前記固定部材の軸線に対し前記静圧回転軸の回転軸線がずれたときに、前記小径円筒状の静圧面とそれに対向する前記支持面とのスキマが増大する領域をいい、「小径スキマ縮小領域」とは、それとは逆にスキマが減少する領域をいうものとする。従って、「小径スキマ拡大角度領域」とは、「小径スキマ拡大領域」が前記固定部材の軸線に直交する任意の面上において、この軸線を頂点として成す角度の領域をいい、径方向の位置と軸線方向の位置は問わないものとし、「小径スキマ縮小角度領域」とは、「小径スキマ縮小領域」が前記固定部材の軸線に直交する任意の面上において、この軸線を頂点として成す角度の領域をいい、径方向の位置と軸線方向の位置は問わないものとする。
【0008】
本発明の静圧回転軸の作用効果を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一例にかかる静圧回転軸を備えた支持装置の断面図である。図2は、図1の構成におけるII部を拡大して示す図であり、図3(a)は、図1の構成をIII-III線で切断して矢印方向に見た図であり、図3(b)は、図1の構成の絞り部付近を切断して示す図である。
【0009】
図1において、固定部材FMは、その上面に円管部CYを形成している。一方、固定部材FMの上方に配置された静圧回転軸SRSは、その下面に円周方向に延在する溝部GRを形成している。円管部CYを溝部GRに収容するようにして、固定部材FMに対して静圧回転軸SRSが配置されている。ここで、円管部CYの外周面が大径円筒状の支持面LHPを構成し、円管部CYの内周面が小径円筒状の支持面SHPを構成する。一方、溝部GRの、大径円筒状の支持面LHPに対向する側面が大径円筒状の静圧面LSPを構成し、溝部GRの、小径円筒状の支持面SHPに対向する側面が小径円筒状の静圧面SSPを構成する。固定部材FMの内部には、外部の圧力伝達媒体の供給源(不図示)に接続され、圧力伝達媒体を供給する供給路DPが形成されており、更に圧力伝達媒体は、供給路DPに接続され円管部CYの軸線方向に延在する開口OPを介して、円管部CYの上部から吐出するようになっている。
【0010】
図2において、静圧回転軸SRSの溝部GRの底面には、静圧回転軸SRSと同軸の環状突起(凸部)APが形成されている。一方、固定部材FMの円管部CYの頂面には、円筒部材CYと同軸の環状溝(凹部)AGが形成されている。環状突起APは、環状溝AGにスキマを介在させつつ収容されるようにして取り付けられている。環状溝AGの底面において、開口OPが開口している。ここで、環状溝AGの外方側面AGOと環状突起APの外周側面APOとの間を第1の絞り部とし、環状溝AGの内方側面AGIと環状突起APの内周側面APIとの間を第2の絞り部とする。
【0011】
静圧回転軸SRSの軸線と、固定部材FMの円管部CYの軸線とが一致している場合において(図2で示す点線の状態)、第1の絞り部を通過する圧力伝達媒体の流量と、第2の絞り部を通過する圧力伝達媒体の流量とはほぼ等しく、また大径円筒状の静圧面LSPと大径円筒状の支持面LHPとのスキマΔLと、小径円筒状の静圧面SSPと小径円筒状の支持面SHPとのスキマΔSはほぼ等しく(ΔL≒ΔS)なっている。従って、小径円筒状の静圧面SSPが圧力伝達媒体より受ける単位面積当たりの力FSと、大径円筒状の静圧面LSPが圧力伝達媒体より受ける単位面積当たりの力FLとが略等しく(FS≒FL)なるため、軸線のズレを引き起こすことがない。
【0012】
ここで、静圧回転軸SRSの軸線と、固定部材FMの円管部CYの軸線とがずれた場合を考える。まず、図3に示す断面図で、固定部材FMに対して、静圧回転軸SRSが水平方向左方にずれたものとする。このとき、図3(b)において垂直線Vを挟んで、左側の第1の絞り部(環状溝AGの外方側面AGOと環状突起APの外周側面APOとの間;絞り縮小領域ともいう)が狭くなり、右側の第1の絞り部(絞り拡大領域ともいう)が広くなる。一方、垂直線Vを挟んで右側の第2の絞り部(環状溝AGの内方側面AGIと環状突起APの内周側面APIとの間;絞り拡大領域ともいう)が広くなり、右側の第2の絞り部(絞り縮小領域ともいう)が狭くなる。
【0013】
更に、図3(a)において垂直線Vを挟んで、左側の大径円筒状の静圧面LSPと大径円筒状の支持面LHPとの間(大径スキマ拡大領域ともいう)におけるスキマは、左側の小径円筒状の静圧面SSPと小径円筒状の支持面SHPとの間(小径スキマ縮小領域ともいう)におけるスキマより大きくなる。一方、垂直線Vを挟んで、右側の大径円筒状の静圧面LSPと大径円筒状の支持面LHPとの間(大径スキマ縮小領域ともいう)におけるスキマは、右側の小径円筒状の静圧面SSPと小径円筒状の支持面SHPとの間(小径スキマ拡大領域ともいう)におけるスキマより小さくなる。
【0014】
従って、軸線ズレが生じると、図2に示すように、第1の絞り部の絞り縮小領域を通過する圧力伝達媒体の流量は、第2の絞り部の絞り拡大領域を通過する圧力伝達媒体の流量より少なくなる。又、第1の絞り部の圧力伝達媒体の流れ方向下流側にある(上流側にあってもよい)大径スキマ拡大領域における大径円筒状の静圧面LSPと大径円筒状の支持面LHPとのスキマΔL’は、第2の絞り部の下流側にある(上流側にあってもよい)小径スキマ縮小領域における小径円筒状の静圧面SSPと小径円筒状の支持面SHPとのスキマΔS’より広く(ΔL’>ΔS’)なっている。それにより、小径スキマ縮小領域における小径円筒状の静圧面SSPが圧力伝達媒体より受ける単位面積当たりの力FSは、大径スキマ拡大領域における大径円筒状の静圧面LSPが圧力伝達媒体より受ける単位面積当たりの力FLより大きくなる(FS>FL)ため、ズレ量に応じて増大するその力の差分(FS−FL)により、大径円筒状の静圧面LSPと大径円筒状の支持面LHPとのスキマと、小径円筒状の静圧面SSPと小径円筒状の支持面SHPとのスキマが等しくなる方向に、前記静圧回転軸SRSを移動させることとなり、軸線ズレを抑制することができる。尚、図3(a)において、静圧回転軸SRSの軸線に直交している平面である紙面上に投影された垂直線Vの左の角度範囲αは、軸線を頂点とした「大径スキマ拡大角度領域」でありかつ「小径スキマ縮小角度領域」でもあり、右の角度範囲βは「大径スキマ縮小角度領域」でありかつ「小径スキマ拡大角度領域」である。即ち、図3(a)の例では、大径スキマ拡大角度領域と、小径スキマ縮小角度領域とが、固定部材FMの軸線と直交する面上への投影において完全に共通となっている(角度αの範囲)が、少なくとも一部が共通な角度領域であれば足りる。
【0015】
更に、図2の断面と180度位相が異なる断面では、逆の作用が生じている。図示していないが、第1の絞り部の絞り拡大領域を通過する圧力伝達媒体の流量は、第2の絞り部の絞り縮小領域を通過する圧力伝達媒体の流量より多くなる。又、第1の絞り部の圧力伝達媒体の流れ方向下流側にある(上流側にあってもよい)大径スキマ縮小領域における大径円筒状の静圧面LSPと大径円筒状の支持面LHPとのスキマは、第2の絞り部の下流側にある(上流側にあってもよい)小径スキマ拡大領域における小径円筒状の静圧面SSPと小径円筒状の支持面SHPとのスキマより狭くなっている。それにより、小径スキマ拡大領域における小径円筒状の静圧面SSPが圧力伝達媒体より受ける単位面積当たりの力FSは、大径スキマ縮小領域における大径円筒状の静圧面LSPが圧力伝達媒体より受ける単位面積当たりの力FLより小さくなる(FS<FL)ため、ズレ量に応じて増大するその力の差分(FL−FS)により、大径円筒状の静圧面LSPと大径円筒状の支持面LHPとのスキマと、小径円筒状の静圧面SSPと小径円筒状の支持面SHPとのスキマが等しくなる方向に、前記静圧回転軸SRSを移動させることとなり、軸線ズレを抑制することができる(図3(a)参照)。尚、図3(a)の例では、大径スキマ縮小角度領域と、小径スキマ拡大角度領域とが、固定部材FMの軸線と直交する面上への投影において完全に共通となっている(角度βの範囲)が、少なくとも一部が共通な角度領域であれば足りる。
【0016】
以上より明らかであるが、静圧回転軸SRSが、固定部材FMに対して軸線ズレを生じた場合における復元力は、180度位相の位置で同じ方向に作用することになり、より大きな復元力を得ることができる。特に、非特許文献1の構成に比較すると、本発明の場合は絞りが2つ設けられ、それらは一方が増大すれば他方が減少するというように差動的に作用するので、同じ外形寸法であれば2倍の径方向の剛性を得ることができるという利点がある。
【0017】
請求項2に記載の静圧回転軸は、請求項1に記載の発明において、前記静圧回転軸は、前記大径円筒状の静圧面を外周に形成し、前記小径の小径円筒状の静圧面を内周に形成し、更に端部に凹部を形成した円管部を有し、前記固定部材は、前記凹部に対応した凸部を有し、前記凸部と前記凹部とをスキマを空けて対向させることによって、前記第1の絞り部と前記第2の絞り部とが形成され、前記圧力伝達媒体は前記凸部と前記凹部との間に供給されることを特徴とするので、請求項1に記載の発明の作用効果を発揮できる。
【0018】
請求項3に記載の静圧回転軸は、請求項1又は2に記載の発明において、前記第1の絞り部は、前記大径円筒状の静圧面より前記圧力伝達媒体の流れ方向上流側に配置され、前記第2の絞り部は、前記小径円筒状の静圧面より前記圧力伝達媒体の流れ方向上流側に配置されていることを特徴とするので、前記圧力伝達媒体の流量を前記静圧面に到達する手前で調節するために、その影響を静圧面全体に効果的に発揮させて復元力として用いることができる。
【0019】
請求項4に記載の静圧回転軸は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、少なくとも前記静圧面を形成する部材がセラミックから形成されていることを特徴とする。
【0020】
従来の静圧面を形成する部材の材料は、鋳鉄やステンレス材料が一般的である。これに対し、本発明のように前記静圧面を形成する部材にセラミック材料を用いると、ヤング率が高く変形がしにくいというセラミックの特性により、軸線方向の剛性や傾き剛性を発生するために必要な前記静圧面と前記支持面との間のスキマが外力で変わる恐れが少ないので、高負荷でも安定した高剛性を発揮できる。また、部品加工の際も加工歪みや内部応力などで変形することが殆ど無いので、部品形状精度を高く仕上げることが金属材料よりも容易であるから、結果として前記静圧面と前記支持面との間のスキマを精密に制御でき、高剛性の静圧回転軸の製作を容易に行える。さらに、セラミック材料は線膨張係数が鋼材よりも小さいので、温度変化においても部品寸法が安定しており、温度変化による前記静圧面と前記支持面との間のスキマ変化が小さいことから、環境に関わらず安定した性能を発揮できる。また、セラミック材料は比重が鋼材の半分以下と軽量であるので、回転駆動する場合にモーターの負荷が小さくて済み、従ってモーターの容量を小さくでき、コストと発熱を抑えることが出来る。また、サーボによる回転制御を行う際には、慣性力が小さく高速レスポンスが可能となるので制御特性が良く、より高精度な回転制御を行える。
【0021】
セラミック材料の中でも、アルミナや窒化珪素、サイアロンは破壊じん性が高く、割れたり欠けたりしにくいのでより好ましいが、特に窒化珪素やサイアロンの破壊じん性値は6.0と高く、しかも室温における線膨張係数がアルミナの数分の1、従来の鋼材との比較においては約1/10である1.3×10−6と著しく小さいので、温度変化による材料の膨縮がほとんどなく、従って静圧面のスキマの変化や回転テーブル上に固定した工具やワークなどの位置の変動もないので、高い回転精度と工具やワークの高い位置精度を実現でき、セラミック材料の中でも特に好ましい。また、窒化珪素やサイアロンの比重は3.3であり、アルミナの3.6に対して10%近く小さいので、それだけ軽い部品を作ることができ、その材料を用いた本発明にかかる静圧回転軸は、サーボ回転駆動における駆動エネルギーの削減とレスポンスの高速化による高精度化が、より達成できて有利である。
【0022】
請求項5に記載の静圧回転軸は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、前記圧力伝達媒体は、液体であることを特徴とする。油や水などの液体であると粘度が高く圧縮弾性がほとんどないので、本発明の絞り効果による流量調節の効果を発揮しやすく好ましいが、空気などの気体であってもよい。
【0023】
請求項6に記載の支持装置は、固定部材と、前記固定部材に対して圧力伝達媒体により回転可能に支持される静圧回転軸と、を有する支持装置において、
前記固定部材は、大径円筒状の支持面と、前記大径円筒状の静圧面に対し同軸であり且つそれより小径の小径円筒状の支持面とを有し、
前記静圧回転軸は、前記大径円筒状の支持面に対向した大径円筒状の静圧面と、前記小径円筒状の支持面に対向し、前記大径円筒状の静圧面に対し同軸であり且つそれより小径の小径円筒状の静圧面とを有し、
前記固定部材と前記静圧回転軸との間には、前記大径円筒状の静圧面と前記大径円筒状の支持面との間において供給される圧力伝達媒体の流量を制限する第1の絞り部と、前記小径円筒状の静圧面と前記小径円筒状の支持面との間において供給される圧力伝達媒体の流量を制限する第2の絞り部と、が設けられており、
前記固定部材の軸線に対し前記静圧回転軸の回転軸線が一致している場合と比較し、前記固定部材の軸線に対し前記静圧回転軸の回転軸線がずれたときは、大径スキマ拡大角度領域において、前記第1の絞り部の絞りが縮小する領域を形成し、ここを通過する前記圧力伝達媒体の流量が減少すると共に、小径スキマ縮小角度領域において、前記第2の絞り部の絞りが拡大する領域を形成し、ここを通過する前記圧力伝達媒体の流量が増大し、且つ大径スキマ縮小角度領域において、前記第1の絞り部の絞りが拡大する領域を形成し、ここを通過する前記圧力伝達媒体の流量が増大すると共に、小径スキマ拡大角度領域において、前記第2の絞り部の絞りが縮小する領域を形成し、ここを通過する前記圧力伝達媒体の流量が減少し、前記大径スキマ拡大角度領域と前記小径スキマ縮小角度領域、及び前記大径スキマ縮小角度領域と前記小径スキマ拡大角度領域とは、それぞれ前記固定部材の軸線を中心とし且つそれに直交する面上への投影において、少なくとも一部が共通な角度領域となることを特徴とする。本発明の作用効果は、請求項1に記載の発明と同様である。
【0024】
請求項7に記載の支持装置は、請求項6に記載の発明において、前記静圧回転軸は、前記大径円筒状の静圧面を外周に形成し、前記小径の小径円筒状の静圧面を内周に形成し、更に端部に凹部を形成した円管部を有し、前記固定部材は、前記凹部に対応した凸部を有し、前記凸部と前記凹部とをスキマを空けて対向させることによって、前記第1の絞り部と前記第2の絞り部とが形成され、前記圧力伝達媒体は前記凸部と前記凹部との間に供給されることを特徴とする。本発明の作用効果は、請求項2に記載の発明と同様である。
【0025】
請求項8に記載の支持装置は、請求項6又は7に記載の発明において、前記第1の絞り部は、前記大径円筒状の静圧面より前記圧力伝達媒体の流れ方向上流側に配置され、前記第2の絞り部は、前記小径円筒状の静圧面より前記圧力伝達媒体の流れ方向上流側に配置されていることを特徴とする。本発明の作用効果は、請求項3に記載の発明と同様である。
【0026】
請求項9に記載の支持装置は、請求項6乃至8のいずれかに記載の発明において、少なくとも前記静圧面を形成する部材がセラミックから形成されていることを特徴とする。本発明の作用効果は、請求項4に記載の発明と同様である。
【0027】
請求項10に記載の支持装置は、請求項6乃至9のいずれかに記載の発明において、前記圧力伝達媒体は、液体であることを特徴とする。本発明の作用効果は、請求項5に記載の発明と同様である。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、コンパクトな構成ながら軸線ズレを抑制できる静圧回転軸及びそれを用いた支持装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図4は、本実施の形態にかかる静圧回転軸(及び旋回テーブルの支持装置)を備えた5軸加工機10の斜視図である。かかる静圧回転軸は加工機のみならず、高精度な測定を行う計測器等にも用いることができる。図1において、床F上に4本(3本のみ図示)の脚11aで支持されたアクティブエアマウント11は、振動の伝達を抑制する抑制手段であり、床の振動をベース12に伝達しない機能を有する。
【0030】
アクティブエアマウント11上に支持されたベース12には、支持面を有する部材である一対のスライドレール13が形成され、スライドレール13の対向する支持面13aの間には、Z軸方向に移動可能に静圧スライド20が設けられ、静圧スライド20上に回転可能に旋回テーブルの支持装置30が設けられている。尚、静圧スライド20はスライドレール13に対し、旋回テーブルは静圧スライド20に対し、それぞれ油を圧力伝達媒体として静圧で支持されている。
【0031】
更に、ベース12上において、一対のサポートブロック15上に掛け渡されたレール15aには、X軸方向に移動可能にスライドテーブル16が設けられ、スライドテーブル16上のレール16aには、Y軸方向に移動可能にスライドテーブル17が設けられ、スライドテーブル17上に回転可能に旋回テーブル18が設けられている。尚、スライドテーブル16はレール15aに対し、スライドテーブル17はレール16aに対し、旋回テーブル18はスライドテーブル17に対し、それぞれ油を圧力伝達媒体として静圧で支持されている。
【0032】
図5は、本実施の形態にかかる旋回テーブルの支持装置30の軸線方向断面図である。図5において、円盤状のベース31が、図5では不図示の静圧スライド20の上面に取り付けられている。ベース31の上面に、円管部32が配置され、不図示のボルトにより固定されている。円管部32の上方には旋回テーブルTが配置され、旋回テーブルTの下面には、互いに同軸に配置された円管状の外スリーブ39と、円管状の内スリーブ33が取り付けられている。尚、外スリーブ39の内周面を大径円筒状の静圧面LSPとし、それに対向する円管部32の外周面を大径円筒状の支持面LHPとする。又、内スリーブ33の外周面を小径円筒状の静圧面SSPとし、それに対向する円管部32の内周面を小径円筒状の支持面SHPとする。
【0033】
テーブルTに対してスペースを空けて対向した円管部32の上面には、環状溝(凹部)32aが形成されており、スキマを介在させて環状溝32aに収容されるようにして、2つのスリーブ39,33と同軸に環状突起(凸部)38がテーブルTの下面に形成されている。ここで、環状溝32aの外方側面と環状突起38の外周側面との間を第1の絞り部とし、環状溝32aの内方側面と環状突起38の内周側面との間を第2の絞り部とする。かかる構成は、基本的に図2に示す形状と同様である。尚、旋回テーブルTと、ベース31に取り付けられ外スリーブ39を覆う円筒カバーCCとの間には、油の流出を防止するシールSが配置されている。
【0034】
内スリーブ33の下端から半径方向内方に突出したフランジ部33aに支持されるようにして、第1ロータ部材34Aが配置されている。第1ロータ部材34Aの上面には第1ロータ間座35Aが配置され、第1ロータ間座35Aの上面には第2ロータ部材34Bが配置されている。第1ロータ部材34A、第1ロータ間座35A、第2ロータ部材34Bは、不図示のボルトで内スリーブ33に固定されており、一体的に静圧回転軸SRSを形成している。
【0035】
一方、ベース31の上面に、第1ステータ部材36Aが配置されている。第1ステータ部材36Aの上面には第1ステータ間座37Aが配置され、第1ステータ間座37Aの上面には、第1ステータ部材36Aとの間に第1ロータ部材34Aの内周側を挟む形で、第2ステータ部材36Bが配置されている。第2ステータ部材36Bの上面には第2ステータ間座37Bが配置され、第2ステータ間座37Bの上面には、第2ステータ部材36Bとの間に第2ロータ部材34Bの内周側を挟む形で、第3ステータ部材36Cが配置されている。
【0036】
第1ステータ間座37Aの軸線方向厚さは、第1ロータ部材34Aの厚さより厚く、その差が、後述する第1ロータ部材34Aにおける第1の静圧面SP1と第1の支持面HP1とのスキマ及び第2の静圧面SP2と第2の支持面HP2とのスキマの和に等しくなる。又、第2ステータ間座37Bの軸線方向厚さは、第2ロータ部材34Bの厚さより厚く、その差が、同様に第2ロータ部材34Bにおける第1の静圧面SP1と第1の支持面HP1とのスキマ及び第2の静圧面SP2と第2の支持面HP2とのスキマの和に等しくなる。第1ステータ部材36A、第1ステータ間座37A、第2ステータ部材36B、第2ステータ間座37B、第3ステータ部材36Cは、不図示のボルトでベース31に固定されている。
【0037】
第1ステータ部材36A、第1ステータ間座37A、第2ステータ部材36B、第2ステータ間座37B、第3ステータ部材36Cは、それぞれ上面に周溝を形成し、ここにO−リングOGを配置することで、相互の接触面からの油の漏れだしを防止している。
【0038】
又、第1ステータ部材36A、第2ステータ部材36Bは、中央開口を有するそれぞれ同一形状の円盤状であって、第1ステータ間座37A、第2ステータ間座37Bの外径より外側であって、且つ第1ロータ部材34A、第2ロータ部材34Bの内径より内側の位置に、油の供給孔36a、36bをそれぞれ形成しているが、第3ステータ部材36Cには、油の供給孔は形成されていない。各供給孔36a、36bは、周方向に等間隔で複数本形成されており、油の供給孔36aは、O−リングOGによって油の漏れだしを防止された形で、ベース31の上面の周溝31cにより互いに連結され、且つベース31に形成された油路31aに連通している。尚、第1ステータ部材36A、第1ステータ間座37A、第2ステータ部材36B、第2ステータ間座37B、第3ステータ部材36C、ベース31,円管部32により固定部材FMを構成する。
【0039】
一方、第1ロータ部材34A、第2ロータ部材34Bは、中央開口を有するそれぞれ同一形状の円盤状であって、第1ロータ間座35Aの内径より内側であって、且つ第1ステータ部材36A、第2ステータ部材36B、第3ステータ部材36Cの外径より外側の位置に、油の排出孔34a、34bをそれぞれ形成している。油の排出孔34aから排出された油は、内スリーブ33の下方の空間に収集され、ベース31に形成された排出路31bを介して外部へと排出される。
【0040】
更に、図5において、第1ステータ部材36Aの上面が第2の支持面HP2となり、ここに内周側から延在し且つその中間位置と外端位置で周方向両方向に延在する溝UGが形成されている。更に、第2ステータ部材36Bの下面が第1の支持面HP1となり、ここに内周側から延在し且つその中間位置と外端位置で周方向両方向に延在する溝LGが形成されている。
【0041】
又、第2ステータ部材36Bの上面が第2の支持面HP2となり、ここに内周側から延在し且つその中間位置と外端位置で周方向両方向に延在する溝UGが形成されている。更に、第3ステータ部材36Cの下面が第1の支持面HP1となり、ここに内周側から延在し且つその中間位置と外端位置で周方向両方向に延在する溝LGが形成されている。
【0042】
一方、第1ステータ部材36Aの上面である第2の支持面HP2に対応する、第1ロータ部材34Aの下面が第2の静圧面SP2を形成し、第2ステータ部材36Bの下面である第1の支持面HP1に対応する、第1ロータ部材34Aの上面が第1の静圧面SP1を形成する。又、第2ステータ部材36Bの上面である第2の支持面HP2に対応する、第2ロータ部材34Bの下面が第2の静圧面SP2を形成し、第3ステータ部材36Cの下面である第1の支持面HP1に対応する、第2ロータ部材34Bの上面が第1の支持面SP1を形成する。尚、静圧面SP1,SP2及び支持面HP1,HP2は、それぞれ静圧回転軸SRSの回転軸線に直交する方向に延在している。
【0043】
円管部32には、軸線方向に貫通し環状溝32aに開口する開口32bが複数個形成されている。開口32bは、O−リングOGによって油の漏れだしを防止された形で、ベース31に形成された油路31aに連通している。従って、外部の供給源(不図示)より油路31a、開口32bを通って供給された油が、上述した第1の絞り部と第2の絞り部とを介して、円管部32と、スリーブ39,33との間に供給されるようになっている。
【0044】
内スリーブ33に対し、ホルダHDを介して、永久磁石MGとエンコーダスケールESを取り付けている。一方、第3ステータ部材36Cの上面において、永久磁石MGに対向する位置にコイルCLを配置すると共に、エンコーダスケールESに対向して、読み取りヘッドRHを配置している。外部からコイルCLに交流電流を供給すると、コイルCLと永久磁石MGとの間に磁力が生じ、静圧回転軸SRSは固定部材FMに対して回転する。このとき、エンコーダスケールESを、読み取りヘッドRHで読みとることで回転角度が検出されるため、その信号を用いることでフィードバック回転制御を行うことができる。
【0045】
本実施の形態によれば、ベース31の油路31aに対して外部の供給源より、圧力伝達媒体として油を供給すると、かかる油は供給孔36a、36bを通り、第1の静圧面SP1と第1の支持面HP1との間、及び第2の静圧面SP2と第2の支持面HP2との間でそれぞれ所定の油圧を発生させ、その油圧により固定部材FMに対して静圧回転軸SRSを非接触で支持し、もって軸線方向力を支持すると共に静圧回転軸SRSの軸線の傾きに対する抗力(復元力ともいう)を与えることができる。特に、溝UG、LGを介して、油が静圧面と支持面との間に均一に分散するので、圧力分布の偏りを抑制できる。第1の静圧面SP1と第1の支持面HP1との間、及び第2の静圧面SP2と第2の支持面HP2との間を通過した油は、排出孔34b、34aを通って、ベース31に形成された排出路31bを介して外部へと排出されることとなる。
【0046】
又、ベース31の油路31aに対して外部の供給源より供給された油は、図1〜3を参照して説明したように、円管部32の内周面と、スリーブ39,33の周面との間に送られて、その間で油圧を発生することで半径方向の力を支持することができ、且つ固定部材FMに対する静圧回転軸SRSの軸線ズレを防止できる。かかる静圧面と支持面との間を通過した油は、同様に内スリーブ33の下方の空間に収集され、排出路31bを介して外部へと排出されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明にかかる静圧回転軸の一例を示す断面図である。
【図2】図1の矢印IIで示す部位を拡大して示す図である。
【図3】図1の構成をIII-III線で切断して矢印方向に見た図である。
【図4】本実施の形態にかかる静圧回転軸(及び旋回テーブルの支持装置)を備えた5軸加工機10の斜視図である。
【図5】本実施の形態にかかる旋回テーブルの支持装置30の軸線方向断面図である。
【符号の説明】
【0048】
10 5軸加工機
11 アクティブエアマウント
12 ベース
13 スライドレール
15 サポートブロック
16 スライドテーブル
17 スライドテーブル
18 旋回テーブル
20 静圧スライド
30 支持装置
31 ベース
31a 油路
31b 排出路
31c 周溝
32 円管部
32a 環状溝
32b 開口
33 内スリーブ
33a フランジ部
34A、34B ロータ部材
34a、34b 排出孔
35A ロータ間座
36A〜36C ステータ部材
36a、36b 供給孔
37A、37B ステータ間座
CA 中央開口
CL コイル
CS 円盤状空間
DP 配管
ES エンコーダスケール
FC 固定円板
FM 固定部材
HD ホルダ
HP1 第1の支持面
HP2 第2の支持面
LC 下部円板部
LG 溝
LS 大径シャフト
MG 永久磁石
OG リング
OR オリフィス
RH ヘッド
S シール
SA 供給孔
SP1 第1の静圧面
SP2 第2の静圧面
SRS 静圧回転軸
T 旋回テーブル
UC 上部円板部
UG 溝


【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材の支持面に対して圧力伝達媒体により回転可能に支持される静圧回転軸において、
それぞれ前記支持面に対向する、大径円筒状の静圧面と、前記大径円筒状の静圧面に対し同軸であり且つそれより小径の小径円筒状の静圧面とを有し、
前記固定部材と前記静圧回転軸との間には、前記大径円筒状の静圧面とそれに対向する前記支持面との間において供給される圧力伝達媒体の流量を制限する第1の絞り部と、前記小径円筒状の静圧面とそれに対向する前記支持面との間において供給される圧力伝達媒体の流量を制限する第2の絞り部と、が設けられており、
前記固定部材の軸線に対し前記静圧回転軸の回転軸線が一致している場合と比較し、前記固定部材の軸線に対し前記静圧回転軸の回転軸線がずれたときは、大径スキマ拡大角度領域において、前記第1の絞り部の絞りが縮小する領域を形成し、ここを通過する前記圧力伝達媒体の流量が減少すると共に、小径スキマ縮小角度領域において、前記第2の絞り部の絞りが拡大する領域を形成し、ここを通過する前記圧力伝達媒体の流量が増大し、且つ大径スキマ縮小角度領域において、前記第1の絞り部の絞りが拡大する領域を形成し、ここを通過する前記圧力伝達媒体の流量が増大すると共に、小径スキマ拡大角度領域において、前記第2の絞り部の絞りが縮小する領域を形成し、ここを通過する前記圧力伝達媒体の流量が減少し、前記大径スキマ拡大角度領域と前記小径スキマ縮小角度領域、及び前記大径スキマ縮小角度領域と前記小径スキマ拡大角度領域とは、それぞれ前記固定部材の軸線を中心とし且つそれに直交する面上への投影において、少なくとも一部が共通な角度領域となることを特徴とする静圧回転軸。
【請求項2】
前記静圧回転軸は、前記大径円筒状の静圧面を外周に形成し、前記小径の小径円筒状の静圧面を内周に形成し、更に端部に凹部を形成した円管部を有し、
前記固定部材は、前記凹部に対応した凸部を有し、
前記凸部と前記凹部とをスキマを空けて対向させることによって、前記第1の絞り部と前記第2の絞り部とが形成され、前記圧力伝達媒体は前記凸部と前記凹部との間に供給されることを特徴とする請求項1に記載の静圧回転軸。
【請求項3】
前記第1の絞り部は、前記大径円筒状の静圧面より前記圧力伝達媒体の流れ方向上流側に配置され、前記第2の絞り部は、前記小径円筒状の静圧面より前記圧力伝達媒体の流れ方向上流側に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の静圧回転軸。
【請求項4】
少なくとも前記静圧面を形成する部材がセラミックから形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の静圧回転軸。
【請求項5】
前記圧力伝達媒体は、液体であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の静圧回転軸。
【請求項6】
固定部材と、前記固定部材に対して圧力伝達媒体により回転可能に支持される静圧回転軸と、を有する支持装置において、
前記固定部材は、大径円筒状の支持面と、前記大径円筒状の静圧面に対し同軸であり且つそれより小径の小径円筒状の支持面とを有し、
前記静圧回転軸は、前記大径円筒状の支持面に対向した大径円筒状の静圧面と、前記小径円筒状の支持面に対向し、前記大径円筒状の静圧面に対し同軸であり且つそれより小径の小径円筒状の静圧面とを有し、
前記固定部材と前記静圧回転軸との間には、前記大径円筒状の静圧面と前記大径円筒状の支持面との間において供給される圧力伝達媒体の流量を制限する第1の絞り部と、前記小径円筒状の静圧面と前記小径円筒状の支持面との間において供給される圧力伝達媒体の流量を制限する第2の絞り部と、が設けられており、
前記固定部材の軸線に対し前記静圧回転軸の回転軸線が一致している場合と比較し、前記固定部材の軸線に対し前記静圧回転軸の回転軸線がずれたときは、大径スキマ拡大角度領域において、前記第1の絞り部の絞りが縮小する領域を形成し、ここを通過する前記圧力伝達媒体の流量が減少すると共に、小径スキマ縮小角度領域において、前記第2の絞り部の絞りが拡大する領域を形成し、ここを通過する前記圧力伝達媒体の流量が増大し、且つ大径スキマ縮小角度領域において、前記第1の絞り部の絞りが拡大する領域を形成し、ここを通過する前記圧力伝達媒体の流量が増大すると共に、小径スキマ拡大角度領域において、前記第2の絞り部の絞りが縮小する領域を形成し、ここを通過する前記圧力伝達媒体の流量が減少し、前記大径スキマ拡大角度領域と前記小径スキマ縮小角度領域、及び前記大径スキマ縮小角度領域と前記小径スキマ拡大角度領域とは、それぞれ前記固定部材の軸線を中心とし且つそれに直交する面上への投影において、少なくとも一部が共通な角度領域となることを特徴とする支持装置。
【請求項7】
前記静圧回転軸は、前記大径円筒状の静圧面を外周に形成し、前記小径の小径円筒状の静圧面を内周に形成し、更に端部に凹部を形成した円管部を有し、
前記固定部材は、前記凹部に対応した凸部を有し、
前記凸部と前記凹部とをスキマを空けて対向させることによって、前記第1の絞り部と前記第2の絞り部とが形成され、前記圧力伝達媒体は前記凸部と前記凹部との間に供給されることを特徴とする請求項6に記載の支持装置。
【請求項8】
前記第1の絞り部は、前記大径円筒状の静圧面より前記圧力伝達媒体の流れ方向上流側に配置され、前記第2の絞り部は、前記小径円筒状の静圧面より前記圧力伝達媒体の流れ方向上流側に配置されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の支持装置。
【請求項9】
少なくとも前記静圧面を形成する部材がセラミックから形成されていることを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の支持装置。
【請求項10】
前記圧力伝達媒体は、液体であることを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の支持装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−52794(P2006−52794A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−235203(P2004−235203)
【出願日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】