説明

静電容量式センサ

【課題】出力特性の変動を低減することのできる静電容量式センサを提供する。
【解決手段】静電容量式センサは、外部から与えられた物理量に応じて可動する可動電極4,5と、可動電極4,5の一方面に対向して配置された上部固定板2aと、可動電極4,5の他方面に対向して配置された下部固定板2bと、可動電極4,5をフレーム部に対して揺動自在に支持するビーム部6a,6b,7a,7bと、上部固定板2aの可動電極4,5と対向する側に配置された固定電極20a,21aと、可動電極4,5と固定電極20a,21a間の静電容量の変化を検出する検出電極とを備え、可動電極4,5間にある中央部分のフレーム部である中央フレーム部22の一部または全部は、上部固定板2a及び下部固定板2bのうちの少なくとも1つと結合されていない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動電極と固定電極間の静電容量の変化を検出することにより、外部から与えられる物理量を検出する静電容量式センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、中央フレーム部の左右に重り部を設けた加速度センサが知られている(特許文献1参照)。この加速度センサは、ビーム軸を回転軸とした重り部の揺動に伴う可動電極と第1及び第2の固定電極間の静電容量の変化を差動検出することにより、重り部に印加された加速度を検出する。また、特許文献2には、圧力センサ及び加速度センサを一体化した静電容量型力学量センサが開示されている。さらに、特許文献3には、台座に対面する支持部の底面を、その底面形状の重心位置を中心として4分割した領域に分けて、そのうちの1つの領域にのみ、支持部の底面と台座とを接合する接合部を設けたマイクロ構造体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−127648号公報
【特許文献2】特開2007−064919号公報
【特許文献3】特開2006−302943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示される加速度センサは、ガラス/シリコン/ガラスの3層構造であるため、温度変化により出力特性が変動する問題がある。すなわち、ガラス−シリコン間の線膨張係数の違いにより、結合部において応力が発生する場合がある。このように応力が発生すると、ビーム部が変形することにより電極間距離が変わり、出力特性が変動する。
【0005】
特許文献2や3には、このような課題について開示も示唆もされていない。すなわち、出力特性の変動が問題となるのは、特許文献1に開示されるように、中央フレーム部の左右に重り部を設けた場合である。このような構成の加速度センサにおいて、出力特性の変動を低減する仕組みが必要である。
【0006】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、出力特性の変動を低減することのできる静電容量式センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、静電容量式センサであって、外部から与えられた物理量に応じて可動する可動電極と、前記可動電極の一方面に対向して配置された第1のガラス基板と、前記可動電極の他方面に対向して配置された第2のガラス基板と、前記可動電極をフレーム部に対して揺動自在に支持するビーム部と、前記第1のガラス基板の前記可動電極と対向する側に配置された固定電極と、前記可動電極と前記固定電極間の静電容量の変化を検出する検出電極とを備え、前記可動電極間にある中央部分のフレーム部である中央フレーム部の一部または全部は、前記第1のガラス基板及び前記第2のガラス基板のうちの少なくとも1つと結合されていないことを特徴とする。
【0008】
本発明は、静電容量式センサであって、外部から与えられた物理量に応じて可動する可動電極と、前記可動電極の一方面に対向して配置された第1のガラス基板と、前記可動電極の他方面に対向して配置された第2のガラス基板と、前記可動電極をフレーム部に対して揺動自在に支持するビーム部と、前記第1のガラス基板の前記可動電極と対向する側に配置された固定電極と、前記可動電極と前記固定電極間の静電容量の変化を検出する検出電極とを備え、前記可動電極の外周部分のフレーム部である外周フレーム部の一部または全部は、前記第1のガラス基板及び前記第2のガラス基板のうちの少なくとも1つと結合されていないことを特徴とする。
【0009】
また、本発明において、前記第1のガラス基板及び前記第2のガラス基板のうちの少なくとも1つと結合されていない島を前記外周フレーム部とは別に設け、前記島が前記ビーム部を支持してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、出力特性の変動を低減することのできる静電容量式センサを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態における加速度センサの分解斜視図である。
【図2】第1実施形態における加速度センサのセンサチップの下面図である。
【図3】第1実施形態における加速度センサの断面図である。
【図4】従来の加速度センサの構成図であり、(a)はA−A断面図、(b)はシリコン層上面図、(c)は固定電極の上面図、(d)はシリコン層下面図である。
【図5】第1実施形態における加速度センサの構成図であり、(a)はA−A断面図、(b)は上面図である。
【図6】第2実施形態における加速度センサの構成図であり、(a)はA−A断面図、(b)は下面図である。
【図7】第3実施形態における加速度センサの構成図であり、(a)はA−A断面図、(b)は上面図、(c)は下面図である。
【図8】第4実施形態における加速度センサの構成図であり、(a)はA−A断面図、(b)は上面図である。
【図9】第5実施形態における加速度センサの構成図であり、(a)はA−A断面図、(b)は下面図である。
【図10】第6実施形態における加速度センサの構成図であり、(a)はA−A断面図、(b)は上面図、(c)は下面図である。
【図11】第7実施形態における加速度センサの構成図であり、(a)はA−A断面図、(b)は上面図、(c)は下面図である。
【図12】第8実施形態における加速度センサの構成図であり、(a)はA−A断面図、(b)は上面図である。
【図13】第9実施形態における加速度センサの構成図であり、(a)はA−A断面図、(b)は下面図である。
【図14】第10実施形態における加速度センサの構成図であり、(a)はA−A断面図、(b)は上面図、(c)は下面図である。
【図15】第11実施形態における加速度センサの構成図であり、(a)はA−A断面図、(b)は上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
(第1実施形態)
本発明の実施形態における加速度センサは、特許文献1に開示される加速度センサを改善したものである。以下、図面に従って、本加速度センサの構成を詳細に説明する。
【0014】
〔加速度センサの構成〕
第1実施形態における加速度センサは、図1に示すように、シリコンSOI基板により形成されたセンサチップ1の上下面が上部固定板2aと下部固定板2bにより挟持された構成となっている。センサチップ1は、2つの矩形枠3a,3bを有するフレーム部3と、矩形枠3a,3bの側壁部に対し隙間をあけた状態で矩形枠3a,3b内に配置された矩形形状の2つの可動電極4,5とを備えている。また、センサチップ1は、可動電極4の表面の対向する2辺の略中央部と矩形枠3aの側壁部とを連結することにより可動電極4をフレーム部3に対し揺動自在に支持するビーム部6a,6bと、可動電極5の表面の対向する2辺の略中央と矩形枠3bの側壁部とを連結することにより可動電極5をフレーム部3に対し揺動自在に支持するビーム部7a,7bとを備えている。さらに、センサチップ1は、フレーム部3,可動電極4,及び他の検出電極に対し離間配置された検出電極8a,8bと、フレーム部3、可動電極5、及び他の検出電極に対し離間配置された検出電極9a,9bと、検出電極8bと検出電極9a間のフレーム部3表面に形成された接地電極10とを備えている。検出電極8a,8b及び検出電極9a,9bは、それぞれ、後述する固定電極20a,20b及び固定電極21a,21bと電気的に接続されている。
【0015】
本実施形態では、図2に示すように、検出電極8aと検出電極8b間、検出電極9aと検出電極9b間、検出電極8a,8bとフレーム部3間、検出電極9a,9bとフレーム部3間、検出電極8a,8bと可動電極4間、及び検出電極9a,9bと可動電極5間には隙間が形成されている。このような構成によれば、各検出電極が電気的に絶縁されるようになるので、各検出電極の寄生容量や検出電極間のクロストークを低減し、高精度な容量検出を行うことが可能になる。なお、これらの隙間や矩形枠3a,3b内は外部と隔離され、密封されている。
【0016】
可動電極4の裏面のビーム部6a,6bを結ぶ直線を境界線とした一方側には、図2に示すように、補強部材16により区画された第1の凹部としての凹部11a,11b,11c,11dが形成されている。また、可動電極4の裏面のビーム部6a,6bを結ぶ直線を境界線とした他方側には、第2の凹部としての凹部12が形成されている。同様に、可動電極5の裏面のビーム部7a,7bを結ぶ直線を境界線とした一方側には、図2に示すように、補強部材16により区画された第1の凹部としての凹部13a,13b,13c,13dが形成されている。また、可動電極5の裏面のビーム部7a,7bを結ぶ直線を境界線とした他方側には、第2の凹部としての凹部14が形成されている。
【0017】
本実施形態では、第1の凹部と第2の凹部を別体として形成したが、例えば第1の凹部を前記境界線を超えて他方側に拡大することにより第1の凹部と第2の凹部を一体として形成してもよい。また、第1の凹部の形状は、図2に示す三角形状に限定されることはなく、第2の凹部と同様の矩形形状としてもよい。さらに、第2の凹部を形成する位置は、図3に示すように、可動電極の重心位置Oとビーム部がなす角度θが45度になることによりx方向とz方向の検出感度が等価になる位置であれば特に限定されることはない。境界線からより遠い側に第2の凹部を形成すれば、回転モーメントがより大きくなるので、加速度センサの検出感度を高めることができる。
【0018】
可動電極4,5の上部固定板2a及び下部固定板2bと対向する面には、図3に示すように(図3では可動電極4についてのみ図示)、シリコン又はシリコン酸化膜により形成された複数の突起部15a〜15gが形成されている。このような突起部15a〜15gを形成することにより、可動電極4,5に測定レンジを超える大きな加速度が印加された場合であっても、可動電極4,5は対向する上部固定板2a及び下部固定板2bに直接衝突しないので、センサチップ1を破損を抑制できる。本実施形態では、可動電極4,5の上部固定板2a及び下部固定板2bと対向する面に突起部を形成したが、上部固定板2a及び下部固定板2bの可動電極4,5と対向する面に同様の突起部を形成するようにしてもよい。
【0019】
上部固定板2aはガラス基板により形成され、その可動電極4と対向する表面側には、ビーム部6aとビーム部6bを結ぶ直線を境界線として固定電極20a,20bが設けられている。同様に、上部固定板2aの可動電極5と対向する表面側には、ビーム部7aとビーム部7bを結ぶ直線を境界線として固定電極21a,21bが設けられている。上部固定板2aの検出電極8a,8b,9a,9b及び接地電極10に対向する位置にはスルーホール22a〜22eが形成され、このスルーホール22a〜22eを介して固定電極20a,20b及び固定電極21a,21bにそれぞれ接続された検出電極8a,8b及び検出電極9a,9bと接地電極10の出力が取り出されるようになっている。下部固定板2bはガラス基板により形成され、その可動電極4,5の裏面と対向する面側には、可動電極4,5の裏面に対し間隔をあけてアルミニウム系合金等の固定電極20a,20b,21a,21bと同材料により形成された付着防止膜23a,23bが配置されている。このような付着防止膜23a,23bを設けることにより、可動電極4,5が動作時に下部固定板2bに付着することを防止できると共に、過大衝撃時でも可動電極4,5と下部固定板2bが直接接触しないため衝撃を緩和できる。
【0020】
〔加速度センサの動作〕
次に、第1実施形態における加速度センサの動作を説明する。この加速度センサは、以下のようにしてセルフテストを行うと共にx方向及びz方向の加速度を検出する。
【0021】
〔セルフテスト〕
可動電極4を動作させる場合は、固定電極20a又は固定電極20bと可動電極4間に吸引力を発生させる。同様に、可動電極5を動作させる場合は、固定電極21a又は固定電極21bと可動電極5間に吸引力を発生させる。付着防止膜23a,23bと可動電極4,5との間に吸引力を発生させて同様な動作確認を行ってもよい。これにより、可動電極4,5が揺動することにより固定電極20a,20bと可動電極4間及び固定電極21a,21bと可動電極5との間の静電容量が変化するので、加速度センサが正常に動作するか否かを確認できる。
【0022】
〔x方向の加速度検出〕
可動電極4にx方向の加速度が印加された場合、可動電極4と固定電極20a,20b間の静電容量C1,C2はそれぞれ以下に示す数式(1),(2)のようになる。数式(1),(2)中、パラメータC0は、可動電極4にx方向の加速度が印加されていない状態での可動電極4と固定電極20a,20b間の静電容量を示す。
【0023】
C1=C0−ΔC …(1)
C2=C0+ΔC …(2)
同様に、可動電極5にx方向の加速度が印加された場合、可動電極5と固定電極21a,21b間の静電容量C3,C4はそれぞれ以下に示す数式(3),(4)のようになる。数式(3),(4)中、パラメータC0は、可動電極5にx方向の加速度が印加されていない状態での可動電極5と固定電極21a,21b間の静電容量を示す。
【0024】
C3=C0−ΔC …(3)
C4=C0+ΔC …(4)
従って、検出電極8a,8b及び検出電極9a,9bを介して静電容量C1〜C4を検出し、ASIC等を利用して静電容量C1と静電容量C2の差分値CA(=C1−C2)と静電容量C3と静電容量C4の差分値CB(=C3−C4)を算出する。そして、算出した差分値CAと差分値CBの和(±4ΔC)をX出力として出力する。これにより、静電容量の変化から可動電極4,5に加えられたx方向の加速度を検出できる。
【0025】
〔z方向の加速度検出〕
可動電極4にz方向の加速度が印加された場合、可動電極4と固定電極20a,20b間の静電容量C1,C2はそれぞれ以下に示す数式(5),(6)のようになる。数式(5),(6)中、パラメータC0は、可動電極4にz方向の加速度が印加されていない状態での可動電極4と固定電極20a,20b間の静電容量を示す。
【0026】
C1=C0+ΔC …(5)
C2=C0−ΔC …(6)
同様に、可動電極5にz方向の加速度が印加された場合、可動電極5と固定電極21a,21b間の静電容量C3,C4はそれぞれ以下に示す数式(7),(8)のようになる。数式(7),(8)中、パラメータC0は、可動電極5にz方向の加速度が印加されていない状態での可動電極5と固定電極21a,21b間の静電容量を示す。
【0027】
C3=C0−ΔC …(7)
C4=C0+ΔC …(8)
従って、検出電極8a,8b及び検出電極9a,9bを介して静電容量C1〜C4を検出し、ASIC等を利用して静電容量C1と静電容量C2の差分値CA(=C1−C2)と静電容量C3と静電容量C4の差分値CB(=C3−C4)を算出する。そして、算出した差分値CAと差分値CBの和(±4ΔC)をZ出力として出力する。これにより、静電容量の変化から可動電極4,5に加えられたz方向の加速度を検出できる。
【0028】
〔出力特性変動の低減〕
次に、出力特性の変動を低減するための構成について説明する。
【0029】
図4は、従来の加速度センサの構成図であり、(a)はA−A断面図、(b)はシリコン層上面図、(c)は固定電極20a,20b,21a,21bの上面図、(d)はシリコン層下面図である。既に説明した通り、従来は、温度変化により出力特性が変動する問題があった。すなわち、ガラス−シリコン間の線膨張係数の違いにより、結合部30において応力が発生する場合がある。このように応力が発生すると、ビーム部6a,6b,7a,7bが変形することにより電極間距離が変わり、出力特性が変動する。
【0030】
そこで、本実施形態では、図5に示すように、中央フレーム部32の上部に間隙32aを設け、中央フレーム部32が上部固定板2aと結合しないようにしている。中央フレーム部32とは、可動電極4と5の間にある中央部分のフレームである。これにより、中央フレーム部32の結合部において発生する応力を小さくすることができる。なお、図5では、中央フレーム部32の上部の全部が上部固定板2aと結合しない構成を例示しているが、中央フレーム部32の上部の一部が上部固定板2aと結合しない構成を採用してもよい。
【0031】
以上のように、第1実施形態における加速度センサでは、中央フレーム部32が上部固定板2aと結合しないようにしている。これにより、中央フレーム部32の結合部において発生する応力を小さくすることができるので、出力特性の変動を低減することが可能となる。
【0032】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態を第1実施形態と異なる点のみ説明する。
【0033】
図6は、第2実施形態における加速度センサの構成図であり、(a)はA−A断面図、(b)は下面図である。この図に示すように、第2実施形態では、中央フレーム部32の下部に間隙32bを設け、中央フレーム部32が下部固定板2bと結合しないようにしている。これにより、中央フレーム部32の結合部において発生する応力を小さくすることができる。なお、図6では、中央フレーム部32の下部の全部が下部固定板2bと結合しない構成を例示しているが、中央フレーム部32の下部の一部が下部固定板2bと結合しない構成を採用してもよい。
【0034】
以上のように、第2実施形態における加速度センサでは、中央フレーム部32が下部固定板2bと結合しないようにしている。これにより、中央フレーム部32の結合部において発生する応力を小さくすることができるので、出力特性の変動を低減することが可能となる。
【0035】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態を第1〜第2実施形態と異なる点のみ説明する。
【0036】
図7は、第3実施形態における加速度センサの構成図であり、(a)はA−A断面図、(b)は上面図、(c)は下面図である。この図に示すように、第3実施形態では、中央フレーム部32の上部及び下部に間隙32a及び32bを設け、中央フレーム部32が上部固定板2a及び下部固定板2bと結合しないようにしている。これにより、中央フレーム部32の結合部において発生する応力を小さくすることができる。
【0037】
以上のように、第3実施形態における加速度センサでは、中央フレーム部32が上部固定板2a及び下部固定板2bと結合しないようにしている。これにより、中央フレーム部32の結合部において発生する応力を小さくすることができるので、出力特性の変動を低減することが可能となる。
【0038】
(第4実施形態)
以下、第4実施形態を第1〜第3実施形態と異なる点のみ説明する。
【0039】
図8は、第4実施形態における加速度センサの構成図であり、(a)はA−A断面図、(b)は上面図である。この図に示すように、第4実施形態では、外周フレーム部31の上部に間隙31aを設け、外周フレーム部31の一部が上部固定板2aと結合しないようにしている。外周フレーム部31とは、可動電極4の外周部分のフレームであって、ビーム部6aの付根に位置するフレームである。また、外周フレーム部33の上部に間隙33aを設け、外周フレーム部33の全部が上部固定板2aと結合しないようにしている。外周フレーム部33とは、可動電極5の外周部分のフレームであって、ビーム部7bの付根に位置するフレームである。これにより、外周フレーム部31及び33の結合部において発生する応力を小さくすることができる。
【0040】
なお、図8では、外周フレーム部31の上部の一部が上部固定板2aと結合しない構成を例示しているが、外周フレーム部31の上部の全部が上部固定板2aと結合しない構成を採用してもよい。このように全部を結合しない構成にすると、気密を確保することはできないが、より発生応力を小さくすることができる。
【0041】
また、図8では、外周フレーム部33の上部の全部が上部固定板2aと結合しない構成を例示しているが、外周フレーム部33の上部の一部が上部固定板2aと結合しない構成を採用してもよい。このように一部を結合しない構成にすると、発生応力を小さくする効果は低減するが、気密を確保することができる。
【0042】
以上のように、第4実施形態における加速度センサでは、外周フレーム部31,33が上部固定板2aと結合しないようにしている。これにより、外周フレーム部31,33の結合部において発生する応力を小さくすることができるので、出力特性の変動を低減することが可能となる。
【0043】
(第5実施形態)
以下、第5実施形態を第1〜第4実施形態と異なる点のみ説明する。
【0044】
図9は、第5実施形態における加速度センサの構成図であり、(a)はA−A断面図、(b)は下面図である。この図に示すように、第5実施形態では、外周フレーム部31の下部に間隙31bを設け、外周フレーム部31の一部が下部固定板2bと結合しないようにしている。また、外周フレーム部33の下部に間隙33bを設け、外周フレーム部33の全部が下部固定板2bと結合しないようにしている。これにより、外周フレーム部31及び33の結合部において発生する応力を小さくすることができる。
【0045】
なお、図9では、外周フレーム部31の下部の一部が下部固定板2bと結合しない構成を例示しているが、外周フレーム部31の下部の全部が下部固定板2bと結合しない構成を採用してもよい。また、外周フレーム部33の下部の全部が下部固定板2bと結合しない構成を例示しているが、外周フレーム部33の下部の一部が下部固定板2bと結合しない構成を採用してもよい。
【0046】
以上のように、第5実施形態における加速度センサでは、外周フレーム部31,33が下部固定板2bと結合しないようにしている。これにより、外周フレーム部31,33の結合部において発生する応力を小さくすることができるので、出力特性の変動を低減することが可能となる。
【0047】
(第6実施形態)
以下、第6実施形態を第1〜第5実施形態と異なる点のみ説明する。
【0048】
図10は、第6実施形態における加速度センサの構成図であり、(a)はA−A断面図、(b)は上面図、(c)は下面図である。この図に示すように、第6実施形態では、外周フレーム部31の上部及び下部に間隙31a及び31bを設け、外周フレーム部31が上部固定板2a及び下部固定板2bと結合しないようにしている。また、外周フレーム部33の上部及び下部に間隙33a及び33bを設け、外周フレーム部33が上部固定板2a及び下部固定板2bと結合しないようにしている。これにより、外周フレーム部31及び33の結合部において発生する応力を小さくすることができる。
【0049】
以上のように、第6実施形態における加速度センサでは、外周フレーム部31,33が上部固定板2a及び下部固定板2bと結合しないようにしている。これにより、外周フレーム部31,33の結合部において発生する応力を小さくすることができるので、出力特性の変動を低減することが可能となる。
【0050】
(第7実施形態)
以下、第7実施形態を第1〜第6実施形態と異なる点のみ説明する。
【0051】
図11は、第7実施形態における加速度センサの構成図であり、(a)はA−A断面図、(b)は上面図、(c)は下面図である。この図に示すように、第7実施形態では、中央フレーム部32の上部及び下部に間隙32a及び32bを設け、中央フレーム部32が上部固定板2a及び下部固定板2bと結合しないようにしている。また、外周フレーム部31の上部及び下部に間隙31a及び31bを設け、外周フレーム部31が上部固定板2a及び下部固定板2bと結合しないようにしている。さらに、外周フレーム部33の上部及び下部に間隙33a及び33bを設け、外周フレーム部33が上部固定板2a及び下部固定板2bと結合しないようにしている。これにより、中央フレーム部32、外周フレーム部31及び33の結合部において発生する応力を小さくすることができる。
【0052】
以上のように、第7実施形態における加速度センサでは、中央フレーム部32及び外周フレーム部31,33が上部固定板2a及び下部固定板2bと結合しないようにしている。これにより、中央フレーム部32及び外周フレーム部31,33の結合部において発生する応力を小さくすることができるので、出力特性の変動を低減することが可能となる。
【0053】
(第8実施形態)
以下、第8実施形態を第1〜第7実施形態と異なる点のみ説明する。
【0054】
図12は、第8実施形態における加速度センサの構成図であり、(a)はA−A断面図、(b)は上面図である。この図に示すように、第8実施形態では、外周フレーム部31,33とは別に島34,35を設け、島34,35がビーム部6a,7bを支持している。島34,35の上部には間隙34a,35aを形成し、島34,35と上部固定板2aとを結合しない構造となっている。
【0055】
以上のように、第8実施形態における加速度センサでは、上部固定板2aと結合されていない島34,35を外周フレーム部31,33とは別に設け、島34,35がビーム部6a,7bを支持するようにしている。これにより、ビーム部6a,7bの近傍において発生する応力を小さくすることができるので、出力特性の変動を低減することが可能となる。また、外周フレーム31,33に間隙を設ける必要がないので、気密を確保することができる。
【0056】
(第9実施形態)
以下、第9実施形態を第1〜第8実施形態と異なる点のみ説明する。
【0057】
図13は、第9実施形態における加速度センサの構成図であり、(a)はA−A断面図、(b)は下面図である。この図に示すように、第9実施形態では、外周フレーム部31,33とは別に島34,35を設け、島34,35がビーム部6a,7bを支持している。島34,35の下部には間隙34b,35bを形成し、島34,35と下部固定板2bとを結合しない構造となっている。
【0058】
以上のように、第9実施形態における加速度センサでは、下部固定板2bと結合されていない島34,35を外周フレーム部31,33とは別に設け、島34,35がビーム部6a,7bを支持するようにしている。これにより、ビーム部6a,7bの近傍において発生する応力を小さくすることができるので、出力特性の変動を低減することが可能となる。また、外周フレーム31,33に間隙を設ける必要がないので、気密を確保することができる。
【0059】
(第10実施形態)
以下、第10実施形態を第1〜第9実施形態と異なる点のみ説明する。
【0060】
図14は、第10実施形態における加速度センサの構成図であり、(a)はA−A断面図、(b)は上面図、(c)は下面図である。この図に示すように、第10実施形態では、外周フレーム部31,33とは別に島34,35を設け、島34,35がビーム部6a,7bを支持している。島34,35の上部には間隙34a,35aを形成し、島34,35と上部固定板2aとを結合しない構造となっている。また、島34,35の下部には間隙34b,35bを形成し、島34,35と下部固定板2bとを結合しない構造となっている。
【0061】
以上のように、第10実施形態における加速度センサでは、上部固定板2a及び下部固定板2bと結合されていないフレーム部3から突出した島34,35を外周フレーム部31,33とは別に設け、島34,35がビーム部6a,7bを支持するようにしている。これにより、ビーム部6a,7bの近傍において発生する応力を小さくすることができるので、出力特性の変動を低減することが可能となる。また、外周フレーム31,33に間隙を設ける必要がないので、気密を確保することができる。
【0062】
(第11実施形態)
以下、第11実施形態を第1〜第10実施形態と異なる点のみ説明する。
【0063】
図15は、第11実施形態における加速度センサの構成図であり、(a)はA−A断面図、(b)は上面図である。この図に示すように、第11実施形態では、中央フレーム部32の上部に間隙32aを設け、中央フレーム部32が上部固定板2aと結合しないようにしている。また、外周フレーム部31,33とは別に島34,35を設け、島34,35がビーム部6a,7bを支持している。島34,35の上部には間隙34a,35aを形成し、島34,35と上部固定板2aとを結合しない構造となっている。
【0064】
以上のように、第11実施形態における加速度センサでは、中央フレーム部32が上部固定板2aと結合しないようにしている。また、上部固定板2aと結合されていない島34,35を外周フレーム部31,33とは別に設け、島34,35がビーム部6a,7bを支持するようにしている。これにより、中央フレーム部32の結合部において発生する応力を小さくすることができるとともに、ビーム部6a,7bの近傍において発生する応力を小さくすることができるので、出力特性の変動を低減することが可能となる。また、外周フレーム31,33に間隙を設ける必要がないので、気密を確保することができる。
【0065】
なお、以上では好適な実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、図15では、中央フレーム部32の上部と島34,35の上部に間隙32a,34a,35aを設けることとしているが、中央フレーム部32の下部と島34,35の下部に間隙を設けることも可能である。
【0066】
また、ここでは、静電容量式センサの一例として加速度センサを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、抵抗の変化により圧力を検出する圧力センサ等についても同様に本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0067】
2a 上部固定板(第1のガラス基板)
2b 下部固定板(第2のガラス基板)
4,5 可動電極
3 フレーム部
31,33 外周フレーム部
32 中央フレーム部
6a,6b,7a,7b ビーム部
8a,8b,9a,9b 検出電極
20a,20b,21a,21b 固定電極
34,35 島

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から与えられた物理量に応じて可動する可動電極と、
前記可動電極の一方面に対向して配置された第1のガラス基板と、
前記可動電極の他方面に対向して配置された第2のガラス基板と、
前記可動電極をフレーム部に対して揺動自在に支持するビーム部と、
前記第1のガラス基板の前記可動電極と対向する側に配置された固定電極と、
前記可動電極と前記固定電極間の静電容量の変化を検出する検出電極とを備え、
前記可動電極間にある中央部分のフレーム部である中央フレーム部の一部または全部は、前記第1のガラス基板及び前記第2のガラス基板のうちの少なくとも1つと結合されていないことを特徴とする静電容量式センサ。
【請求項2】
外部から与えられた物理量に応じて可動する可動電極と、
前記可動電極の一方面に対向して配置された第1のガラス基板と、
前記可動電極の他方面に対向して配置された第2のガラス基板と、
前記可動電極をフレーム部に対して揺動自在に支持するビーム部と、
前記第1のガラス基板の前記可動電極と対向する側に配置された固定電極と、
前記可動電極と前記固定電極間の静電容量の変化を検出する検出電極とを備え、
前記可動電極の外周部分のフレーム部である外周フレーム部の一部または全部は、前記第1のガラス基板及び前記第2のガラス基板のうちの少なくとも1つと結合されていないことを特徴とする静電容量式センサ。
【請求項3】
前記第1のガラス基板及び前記第2のガラス基板のうちの少なくとも1つと結合されていない島を前記外周フレーム部とは別に設け、前記島が前記ビーム部を支持することを特徴とする請求項1または2記載の静電容量式センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−3034(P2013−3034A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136081(P2011−136081)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】