説明

静電植毛ブラシ、画像形成装置、及び静電植毛ブラシの製造方法

【課題】帯電・除電、又は現像剤の供給・クリーニングを効率よく行い得る静電植毛ブラシ、画像形成装置、及び静電植毛ブラシの製造方法を提供する。
【解決手段】静電植毛ブラシは、電子写真方式の画像形成装置に使用される。静電植毛ブラシは、複数の植毛を所定長さの筋状の束にして形成した筋状植毛束が基材に接着剤14を介して複数設けられている。金属管13における複数の筋状植毛束であるブラシ毛15は、規則的な配列パターンを有して配されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンター、複写機、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置において例えば帯電・除電、又は現像剤の供給・クリーニング等に使用される静電植毛ブラシ、画像形成装置、及び静電植毛ブラシの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンター、複写機、ファクシミリ等の電子写真方式を採用する画像形成装置には、静電潜像担持体表面を帯電させる帯電用ブラシ、トナー像を転写材へ転写する転写用ブラシ、帯電した静電潜像担持体表面を除電する除電ブラシ、静電潜像担持体表面上の転写残トナーを除去する感光体クリーニング用ブラシ、現像装置における、現像剤担持体表面に現像剤を供給する現像剤供給用ブラシ、現像剤担持体表面の残現像剤を除去する現像剤担持体クリーニング用ブラシ等の各種画像形成装置用ブラシが設けられている。
【0003】
すなわち、この種の画像形成装置としては、従来、感光体等の像担持体の表面に帯電ローラ等の帯電部材を接触又は近接させた状態で帯電を行なう接触方式の帯電装置を備えたものが知られている。
【0004】
接触方式の帯電装置における帯電部材は、長期間の使用によって表面に異物が付着することによって抵抗値が変化してしまう傾向がある。つまり、像担持体上の転写残トナーや転写紙から発生する紙粉等の異物は、感光体クリーニング手段を通り抜け、その下流側に位置する帯電部材の表面に徐々に付着して行く。また、画像形成装置の機内に浮遊している紙粉、トナー及びほこり等も、徐々に帯電部材に付着する。この帯電部材に付着した異物が、長期間の使用によって帯電部材の抵抗値を変化させてしまうのである。このため、接触方式の帯電部材により像担持体の表面を帯電した場合には、帯電ムラ及び帯電不足等の帯電不良に起因した異常画像が発生してしまうことがあった。また、帯電部材の像担持体への接触により、像担持体の表面が削れるという現象も発生する。
【0005】
そこで、このような問題を回避するために、帯電部材等としてブラシを用いることにより、接触帯電等において、感光体の表面削れを防止し、長期的に均一な帯電が得られるようになっている。
【0006】
また、近年では、各種画像形成装置用ブラシとして、例えば、静電植毛ブラシが使用されるようになってきている。この静電植毛ブラシは、ブラシ毛の植毛の容易さから使用されるようになってきているものである。
【0007】
静電植毛法で静電植毛ブラシを製造する方法として、例えば、特許文献1に開示された技術がある。この特許文献1に開示された静電植毛ブラシの製造法を、図17(a)〜(f)に示す。
【0008】
まず、図17(a)に示すように、複数の長い毛を結着剤を用いて毛束100にする。次いで、図17(b)に示すように、上記毛束100を0.5〜0.7mmの長さにカットする。上記毛束100カットしたものを短パイル101と呼ぶ。次いで、図17(c)に示すように、基布111を用意し、この基布111にペースト状の接着剤112を塗布する。次いで、図17(d)に示すように、高圧静電界中に基布111と短パイル101とを配置する。これにより、短パイル101が静電吸引力によって基布111に引き寄せられる。そして、基布111の表面である接着剤塗布面に垂直に短パイル101が突き刺さる。次いで、基布111に塗布された接着剤112が凝固した後に、図17(e)に示すように、結着剤を除去して結着剤で束にされている短パイル101を解く。これにより各植毛102が寝る。次いで、図17(f)に示すように、基布111の裏面にスポンジ部材113を固定する。これにより、クリーニング部材120が完成する。
【0009】
上記特許文献1に示される静電植毛ブラシは、図18及び図19に示すように、クリーニング部材120の各植毛102は四方八方に広がって寝ている。その結果、図20に示すように、感光体ドラム130に対して各植毛102の中間部が接触し、感光体ドラム130と各植毛102との接触面積が大きくなる。このために、感光体ドラム130に付着した紙粉がクリーニング部材120をすり抜けることを確実に防止することができるようになっている。
【特許文献1】特開2007−33845号公報(平成19年2月8日公開)
【特許文献2】特許第3248708号公報(平成13年11月9日登録)
【特許文献3】特開2004−93589号公報(平成16年3月25日公開)
【特許文献4】特開2005−352335号公報(平成17年12月22日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1等に開示されている静電植毛ブラシは、図18に示すように、一束の植毛102を、例えば、千鳥格子状に配列させたものであるため、現像剤への接触性、現像剤の通過性、現像剤の保持性等の観点からすると、帯電・除電及び供給・クリーニング性能が不充分であるという問題を有している。
【0011】
そして、この問題に対して、特許文献2〜3においても、例えば図21に示すブラシローラ200が開示されているが、いずれも植毛群の密度及びブラシ立毛長さを管理するだけである。
【0012】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、帯電・除電、又は現像剤の供給・クリーニングを効率よく行い得る静電植毛ブラシ、画像形成装置、及び静電植毛ブラシの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の静電植毛ブラシは、上記課題を解決するために、電子写真方式の画像形成装置に使用される静電植毛ブラシであって、複数の植毛を所定長さの筋状の束にして形成した筋状植毛束が基材に接着剤を介して複数設けられていると共に、上記基材における複数の筋状植毛束は、規則的な配列パターンを有して配されていることを特徴としている。
【0014】
上記の発明によれば、静電植毛ブラシは、複数の植毛を所定長さの筋状の束にして形成した筋状植毛束が基材に接着剤を介して複数設けられたものからなっている。そして、基材における複数の筋状植毛束は、規則的な配列パターンを有して配されている。したがって、従来の点状の植毛群とは異なり、線状の植毛群で現像剤や静電潜像担持体等に接触し、帯電・除電、又は現像剤の供給・クリーニング等の目的に応じて、好ましい配列パターンにて植毛されているので、現像剤への接触能力、現像剤の搬送能力及び攪拌能力が、従来の点状の植毛群に比べて大きい。
【0015】
したがって、帯電・除電、又は現像剤の供給・クリーニングを効率よく行い得る静電植毛ブラシを提供することができる。
【0016】
本発明の静電植毛ブラシでは、前記基材における複数の筋状植毛束は、第1方向を向いた第1方向筋状植毛束と、該第1方向とは異なる第2方向を向いた第2方向筋状植毛束とを組み合わせて対にした一対筋状植毛束が、規則的な配列パターンを有しているとすることができる。
【0017】
これにより、第1方向筋状植毛束と第2方向筋状植毛束とを組み合わせて対にした一対筋状植毛束の規則的な配列パターンにより、帯電・除電、又は現像剤の供給・クリーニングを効率よく行うことができる。
【0018】
本発明の静電植毛ブラシでは、前記第1方向筋状植毛束と第2方向筋状植毛束とを組み合わせて対にした一対筋状植毛束は、各一端部同士が互いに接触しているとすることができる。
【0019】
これにより、一対筋状植毛束の各一端部同士が互いに接触していることによって、現像剤のすり抜けを防止できるので、漏れのない帯電・除電、クリーニングを行うことができると共に、現像剤の供給においては、供給量を増加することができる。
【0020】
本発明の静電植毛ブラシでは、前記第1方向筋状植毛束と第2方向筋状植毛束とを組み合わせて対にした一対筋状植毛束は、各両端部同士が互いに離れているとすることができる。
【0021】
これにより、一対筋状植毛束の各両端部同士が互いに離れていることによって、現像剤の供給において供給量を制御することができる。
【0022】
本発明の静電植毛ブラシでは、前記第1方向筋状植毛束と第2方向筋状植毛束とを組み合わせて対にした一対筋状植毛束が、正方格子配列に配された規則的な配列パターンを有しているとすることができる。
【0023】
これにより、一対筋状植毛束による正方格子配列に配された規則的な配列パターンによって、連続的な帯電・除電、又は現像剤の供給・クリーニングを行うことができる。
【0024】
本発明の静電植毛ブラシでは、前記第1方向筋状植毛束と第2方向筋状植毛束とを組み合わせて対にした一対筋状植毛束が、千鳥格子配列に配された規則的な配列パターンを有しているとすることができる。
【0025】
これにより、一対筋状植毛束による千鳥格子配列に配された規則的な配列パターンによって、現像剤の移動が効率的かつ連続的にて行われるようになる。したがって、現像剤の帯電・除電に好ましい。
【0026】
本発明の静電植毛ブラシでは、前記基材における複数の筋状植毛束は、前記一対筋状植毛束と、該一対筋状植毛束とは行方向に対して線対称となる線対称一対筋状植毛束とが、交互に、正方格子配列又は千鳥格子配列に配された規則的な配列パターンを有していることが好ましい。
【0027】
これにより、例えばローラブラシの回転による現像剤の移動方向に対して、第1方向筋状植毛束と第2方向筋状植毛束との開いた一対筋状植毛束と閉じた一対筋状植毛束とが組み合わされているので、現像剤の供給性とすり抜け性との両方の機能を有するものとなる。
【0028】
本発明の静電植毛ブラシでは、前記第1方向を向いた第1方向筋状植毛束と、該第1方向とは異なる第2方向を向いた第2方向筋状植毛束とは、格子の縦方向の軸に対して線対称となっているとすることができる。
【0029】
これにより、第1方向筋状植毛束と第2方向筋状植毛束とが格子の縦方向の軸に対して線対称となっているので、例えばローラブラシの回転による現像剤の移動に際して、現像剤を一方に偏ることなく均等に移動させることができる。
【0030】
本発明の静電植毛ブラシでは、前記第1方向を向いた第1方向筋状植毛束と、該第1方向とは異なる第2方向を向いた第2方向筋状植毛束とは、格子の縦方向の軸に対して非線対称となっているとすることができる。
【0031】
これにより、第1方向筋状植毛束と第2方向筋状植毛束とが格子の縦方向の軸に対して非線対称となっているので、例えばローラブラシの回転による現像剤の移動に際して、一方に現像剤を寄せたい場合に、一方に偏らせて移動させることができる。
【0032】
本発明の静電植毛ブラシでは、前記基材における複数の筋状植毛束は、第1方向を向いた第1方向筋状植毛束と、該第1方向とは異なる複数の第N方向(Nは2以上の整数)を向いた第N方向筋状植毛束との各一端部同士が互いに接触して一組となった放射筋状植毛束が、千鳥格子配列又は正方格子配列に配された規則的な配列パターンを有しているとすることができる。
【0033】
このような配列パターンにおいても、帯電・除電、又は現像剤の供給・クリーニングを効率よく行うことができる。
【0034】
本発明の静電植毛ブラシでは、前記基材における複数の筋状植毛束は、第1方向を向いた第1方向筋状植毛束と、該第1方向とは異なる第2方向を向いた第2方向筋状植毛束とが、各行毎に、かつ千鳥格子配列に配された規則的な配列パターンを有しているとすることができる。
【0035】
これにより、現像剤の通過性及び現像剤の接触性に優れた配列パターンを提供することができる。
【0036】
本発明の静電植毛ブラシでは、前記基材における複数の筋状植毛束は、各筋状植毛束が、同じ第1方向を向く、規則的な配列パターンを有しているとすることができる。
【0037】
これにより、各筋状植毛束が、同じ第1方向を向くので、現像剤を一方向に搬送したい場合に好ましいものとなる。
【0038】
本発明の静電植毛ブラシでは、前記基材における複数の筋状植毛束は、各筋状植毛束が、同じ第1方向を向き、かつ正方格子配列に配された規則的な配列パターンを有しているとすることができる。
【0039】
これにより、繰り返しにより、現像剤を一方向に連続して搬送することができる。
【0040】
本発明の静電植毛ブラシでは、前記前記正方格子配列又は千鳥格子配列に配された規則的な配列パターンでは、基材の幅方向に垂直な方向かつ前方から見たときに、隣接する格子の互いに対向する両筋状植毛束同士は、互いに重なり合っていることが可能である。
【0041】
これにより、筋状植毛束が、現像剤や静電潜像担持体に接触する確率を高めることができる。
【0042】
本発明の静電植毛ブラシでは、前記基材における複数の筋状植毛束は、第1方向を向いた第1方向筋状植毛束と、該第1方向とは異なる第2方向を向いた第2方向筋状植毛束とが設けられていると共に、上記第1方向筋状植毛束及び第2方向筋状植毛束は、基材の幅における中央位置に現像剤を集めるように、基材の幅における中央位置を境界として左右にそれぞれの正方格子配列に配された規則的な配列パターン、又は千鳥格子配列に配された規則的な配列パターンを有しているとすることができる。
【0043】
これにより、基材の幅における中央位置に現像剤を効率よく集めることができる。また、対向物である現像剤や静電潜像担持体に損傷を与えないようにすることができる。
【0044】
本発明の静電植毛ブラシでは、前記基材における複数の筋状植毛束は、第1方向を向いた第1方向筋状植毛束と、該第1方向とは異なる第2方向を向いた第2方向筋状植毛束とが設けられていると共に、上記第1方向筋状植毛束及び第2方向筋状植毛束は、基材の幅方向における両側に現像剤を搬送するように、基材の幅における中央位置を境界として左右にそれぞれの正方格子配列に配された規則的な配列パターン、又は千鳥格子配列に配された規則的な配列パターンを有していることが可能である。
【0045】
これにより、基材の幅方向における両側に現像剤を効率よく搬送することができる。また、対向物である現像剤や静電潜像担持体に損傷を与えないようにすることができる。
【0046】
本発明の静電植毛ブラシは、前記基材が円柱形状にてなるロール型ブラシであるとすることができる。
【0047】
これにより、本発明の静電植毛ブラシを、画像形成装置においてよく用いられるブラシとして使用することができる。
【0048】
本発明の静電植毛ブラシは、前記基材が平板にてなるバー型ブラシであるとすることができる。
【0049】
これにより、本発明の静電植毛ブラシを、バー型ブラシとしても使用することができる。
【0050】
本発明の静電植毛ブラシは、前記画像形成装置の静電潜像担持体を帯電させる帯電ブラシであるとすることができる。
【0051】
これにより、本発明の静電植毛ブラシを、静電潜像担持体の帯電ブラシに使用することができる。
【0052】
本発明の静電植毛ブラシは、前記画像形成装置の静電潜像担持体における転写後に残存する現像剤を除去するクリーニング用ブラシであるとすることができる。
【0053】
これにより、本発明の静電植毛ブラシを、画像形成装置の静電潜像担持体における転写後に残存する現像剤を除去するクリーニング用ブラシに使用することができる。
【0054】
本発明の静電植毛ブラシは、前記画像形成装置の静電潜像担持体における転写後に残存する現像剤を除去するクリーニング用ブラシよりも静電潜像担持体の上流側に設けられたプレクリーニング用ブラシであるとすることができる。
【0055】
これにより、本発明の静電植毛ブラシを、クリーニング用ブラシよりも静電潜像担持体の上流側に設けられたプレクリーニング用ブラシに使用することができる。
【0056】
本発明の静電植毛ブラシは、前記画像形成装置における静電潜像担持体の現像を中間転写体へ転写し、その中間転写体から記録媒体への転写後に残存する中間転写体の現像剤を除去するクリーニング用ブラシであるとすることができる。
【0057】
これにより、本発明の静電植毛ブラシを、画像形成装置の中間転写体における転写後に残存する現像剤を除去するクリーニング用ブラシに使用することができる。
【0058】
本発明の静電植毛ブラシは、前記画像形成装置における静電潜像担持体の現像を中間転写体へ転写し、その中間転写体から記録媒体への転写後に残存する中間転写体の現像剤を除去するクリーニング用ブラシよりも中間転写体の上流側に設けられたプレクリーニング用ブラシであるとすることができる。
【0059】
これにより、本発明の静電植毛ブラシを、クリーニング用ブラシよりも中間転写体の上流側に設けられたプレクリーニング用ブラシに使用することができる。
【0060】
本発明の静電植毛ブラシは、前記画像形成装置の静電潜像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布用ブラシであるとすることができる。
【0061】
これにより、本発明の静電植毛ブラシを、画像形成装置の静電潜像担持体に潤滑剤を塗布する滑剤塗布用ブラシとして使用することができる。
【0062】
本発明の静電植毛ブラシは、画像形成装置の静電潜像担持体における転写後に残存する現像剤を帯電するクリーナレス帯電ブラシであるとすることができる。
【0063】
これにより、本発明の静電植毛ブラシを、画像形成装置の静電潜像担持体における転写後に残存する現像剤を帯電するクリーナレス帯電ブラシに使用することができる。
【0064】
本発明の静電植毛ブラシは、前記画像形成装置の現像装置における、担持した現像剤を静電潜像担持体に転写して現像を行う現像ローラに現像剤を供給する現像剤供給用ブラシであるとすることができる。
【0065】
これにより、本発明の静電植毛ブラシを、現像剤供給用ブラシに使用することができる。
【0066】
本発明の静電植毛ブラシは、前記画像形成装置の現像装置における、担持した現像剤を静電潜像担持体に転写して現像を行う現像ローラにおける現像剤転写後の残余の現像剤を除去する現像ローラクリーニング用ブラシであるとすることができる。
【0067】
これにより、本発明の静電植毛ブラシを、現像ローラにおける現像剤転写後の残余の現像剤を除去する現像ローラクリーニング用ブラシに使用することができる。
【0068】
本発明の静電植毛ブラシは、前記画像形成装置の現像装置における、担持した現像剤を静電潜像担持体に転写して現像を行う現像ローラに向けて現像剤を搬送・攪拌する現像剤搬送・攪拌用ブラシであるとすることができる。
【0069】
これにより、本発明の静電植毛ブラシを、現像ローラに向けて現像剤を搬送・攪拌する現像剤搬送・攪拌用ブラシに使用することができる。
【0070】
本発明の画像形成装置は、上記課題を解決するために、上記記載の静電植毛ブラシを備えていることを特徴としている。
【0071】
これにより、帯電・除電、又は現像剤の供給・クリーニングを効率よく行い得る静電植毛ブラシを備えた画像形成装置を提供することができる。
【0072】
本発明の静電植毛ブラシの製造方法は、上記課題を解決するために、上記記載の静電植毛ブラシを製造するための静電植毛ブラシの製造方法であって、基材に接着剤をブラシ毛の規則的な配列パターンとなるように塗布する工程と、上記接着剤を塗布した基材に対して所定長さの複数のブラシ毛を対向配置させた状態で静電界を印加する工程とを含むことを特徴としている。
【0073】
上記の発明によれば、静電植毛ブラシを製造する場合には、基材に接着剤をブラシ毛の規則的な配列パターンとなるように塗布し、次いで、接着剤を塗布した基材に対して所定長さの複数のブラシ毛を対向配置させた状態で静電界を印加する。これにより、ブラシ毛が接着剤に突き刺さり、接着剤に突き刺さらなかったブラシ毛は、静電界の印加解除により基材から落下する。
【0074】
この結果、規則的な配列パターンを有する静電植毛ブラシを効率よく、容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0075】
本発明の静電植毛ブラシは、以上のように、複数の植毛を所定長さの筋状の束にして形成した筋状植毛束が基材に接着剤を介して複数設けられていると共に、上記基材における複数の筋状植毛束は、規則的な配列パターンを有して配されているものである。
【0076】
また、本発明の画像形成装置は、以上のように、上記記載の静電植毛ブラシを備えているものである。
【0077】
また、本発明の静電植毛ブラシの製造方法は、以上のように、基材に接着剤をブラシ毛の規則的な配列パターンとなるように塗布する工程と、上記接着剤を塗布した基材に対して所定長さの複数のブラシ毛を対向配置させた状態で静電界を印加する工程とを含む方法である。
【0078】
それゆえ、帯電・除電、又は現像剤の供給・クリーニングを効率よく行い得る静電植毛ブラシ、画像形成装置、及び静電植毛ブラシの製造方法を提供するという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0079】
本発明の一実施形態について図1ないし図16に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0080】
図2は、本実施の形態の静電植毛ブラシが使用される画像形成装置における画像形成部の構造を模式的に示す正面図である。
【0081】
尚、画像形成装置は、画像形成装置が備えるスキャナにて読み込まれたデータや、画像形成装置に接続された外部機器(例えば、パーソナルコンピュータ等の画像処理装置)からのデータを画像として出力するものである。
【0082】
図2に示すように、画像形成部30は、感光体ドラム1と、帯電ブラシ2と、露光装置3と、現像装置10と、転写ブラシ4と、搬送ベルト5と、クリーニング装置20と、図示しない除電手段とを備えており、感光体ドラム1の周囲に、回転方向に沿って、帯電ブラシ2、露光装置3、現像装置10、転写ブラシ4及び搬送ベルト5、クリーニング装置20、及び除電手段をこの順序で配置した構成となっている。
【0083】
感光体ドラム1は、画像形成装置における静電潜像担持体となるものであり、円柱形状を有している。
【0084】
帯電ブラシ2は、感光体ドラム1と物理的に接触して、感光体ドラム1の表面を一様に所定の電位まで帯電させるためのものである。帯電ブラシ2は、感光体ドラム1と互いの回転軸を平行にして隣接対向して設置されている。
【0085】
露光装置3は、帯電ブラシ2によって帯電された感光体ドラム1の表面を、例えばパーソナルコンピュータ等の画像処理装置からのデータに基づき、レーザ光等により露光して、感光体ドラム1の表面に静電潜像を形成させるためのものである。露光装置3として、例えば半導体レーザや発光ダイオードを用いることができる。
【0086】
現像装置10は、現像ローラ11と現像剤供給ブラシ12とを備えており、感光体ドラム1の表面にトナーを含む現像剤を供給し、感光体ドラム1の表面に形成された静電潜像を現像剤像として顕像化するためのものである。
【0087】
現像ローラ11は、感光体ドラム1と物理的に接触して、現像剤供給ブラシ12から供給される現像剤を感光体ドラム1の表面に供給するためのものである。現像ローラ11は、円柱形状を有しており、感光体ドラム1と互いの回転軸を平行にして隣接対向するように設置されている。
【0088】
現像剤供給ブラシ12は、現像ローラ11と物理的に接触して、現像ローラ11に現像剤を供給するためのものであり、現像剤を保持すると共に、現像剤を現像ローラ11の表面に供給する。現像剤供給ブラシ12は、円柱形状の基材にブラシ毛を起毛したロール型ブラシである。尚、ブラシ毛については、後述する。現像剤供給ブラシ12は、現像ローラ11の回転軸方向と円柱形状の基材の軸方向とを互いに平行にして、現像ローラ11に隣接対向するように設置されている。
【0089】
搬送ベルト5は、感光体ドラム1の表面に現像剤像が形成された後に、PPC(Plain Paper Copy)用紙等の記録媒体6を感光体ドラム1に運搬するためのものである。
【0090】
転写ブラシ4は、感光体ドラム1の表面の現像剤像を、記録媒体6に転写するためのものである。転写ブラシ4は、板金に、板金と接する面を底面とした見かけ上直方体のブラシ体を貼り付けた固定型ブラシである。転写ブラシ4は、例えば、パイル織り生地からなり、板金の上にブラシ毛を板金の面方向に垂直な方向に起毛したものである。転写ブラシ4は、板金の面方向と記録媒体6の面方向とを平行にして、搬送ベルト5を間に挟んで感光体ドラム1と隣接対向するように設置されている。
【0091】
クリーニング装置20は、クリーニングブラシ21と、固体潤滑剤供給装置22と、クリーニングブレード23とを備えており、感光体ドラム1の表面に残留した現像剤や紙粉等を除去するためのものである。
【0092】
クリーニングブラシ21は、感光体ドラム1と物理的に接触して、感光体ドラム1の表面に残留した現像剤や紙粉等を除去するためのものである。また、クリーニングブラシ21は、例えば、固体潤滑剤塗布ブラシとしての機能を兼ねており、固体潤滑剤供給装置22から供給される固体潤滑剤を、感光体ドラム1の表面に塗布するためのものである。クリーニングブラシ21は、円柱形状の基材にブラシ毛を起毛したロール型ブラシであり、感光体ドラム1の回転軸方向と円柱形状の基材の軸方向とを互いに平行にして、感光体ドラム1に隣接対向するように設置されている。
【0093】
クリーニングブレード23は、感光体ドラム1の表面に残留した現像剤や紙粉等を物理的に掻き落とすためのものである。クリーニングブレード23は、感光体ドラム1の回転方向に沿って、クリーニングブラシ21の後側に備えられ、感光体ドラム1の表面に残留した現像剤や紙粉等を均一に除去するために、感光体ドラム1の法線方向に対して鋭角に摺接している。
【0094】
固体潤滑剤供給装置22は、クリーニングブラシ21及びクリーニングブレード23によるクリーニング効率を高くするためのものである。固体潤滑剤供給装置22は、固体潤滑剤を、クリーニングブラシ21を介して、感光体ドラム1の表面に塗布する。また、固体潤滑剤供給装置22は、クリーニングブラシ21に固体潤滑剤が均一に塗布されるように、クリーニングブラシ21のシャフトの軸方向に広がった略四角柱の形状を有している。固体潤滑剤供給装置22は、クリーニングブラシ21の表面全体に固体潤滑剤が行き渡るように、クリーニングブラシ21と隣接対向して設置されている。使用する固体潤滑剤としては、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
【0095】
除電手段は、感光体ドラム1の表面を除電するためのものである。除電手段としては、例えば除電ブラシ等が挙げられる。
【0096】
上記構成の画像形成装置において、画像を形成する動作を、図2に基づいて説明すると、以下の通りである。
【0097】
感光体ドラム1の表面は、帯電ブラシ2と接触することにより、均一に帯電する。表面が帯電された感光体ドラム1は、露光装置3によって、データに基づき露光され、感光体ドラム1の表面に静電潜像が形成される。そして、現像装置10の現像ローラ11により、感光体ドラム1の表面に現像剤が供給され、感光体ドラム1の表面の静電潜像が、現像されて顕像化される。続いて、搬送ベルト5によって記録媒体6が感光体ドラム1へ運搬され、転写ブラシ4によって、感光体ドラム1の表面の現像剤像が、記録媒体6に転写される。転写後の感光体ドラム1は、固体潤滑剤が表面に塗布されたクリーニングブラシ21によって、表面に固体潤滑剤が塗布され、残留した現像剤や紙粉等が、クリーニングブラシ21及びクリーニングブレード23によって除去される。最後に図示しない除電手段により、感光体ドラム1の表面が除電される。このようなサイクルで画像形成は行われる。
【0098】
次に、本実施の形態の特徴である現像剤供給ブラシ12について、図1、図3〜図10に基づいて以下に説明する。
【0099】
本実施の形態の現像剤供給ブラシ12は、図1に示すように、例えば、ロール型ブラシとなっており、このロール型ブラシは芯材となるアルミ管等の基材としての金属管13に接着剤14を塗布し、この接着剤14にブラシ毛15を静電植毛したものからなっている。尚、本実施の形態の現像剤供給ブラシ12は、金属管13等の金属シャフトにブラシ毛15を植毛したロール型ブラシからなっているが、必ずしもこれに限らず、例えば、弾性体にブラシ毛15を植毛したロール型ブラシであってもよい。また、本発明では、静電植毛ブラシは、必ずしもロール型ブラシに限らず、基材が平板にてなるバー型ブラシであってもよい。この場合、平板としては、例えば、金属板、樹脂板等の平板の他、又はフィルムや弾性体の板であってもよい。
【0100】
本実施の形態では、ブラシ毛15は、複数の植毛を所定長さの筋状の束にして形成した筋状植毛束を金属管13に接着剤14を介して複数設けられていると共に、この複数の筋状植毛束は、規則的な配列パターンを有して配されている。この規則的な配列パターンは、ブラシ毛15の機能に応じて各種のものが存在する。
【0101】
すなわち、本実施の形態の現像剤供給ブラシ12は、現像剤を現像ローラ11に供給するためのブラシであるので、例えば、図1に示すブラシ毛15の配列パターンを有している。この図1に示すブラシ毛15の配列パターンは、平面的には、展開図である図3(a)に示すように、第1方向を向いた第1方向筋状植毛束15aと、該第1方向とは異なる第2方向を向いた第2方向筋状植毛束15bとが、各行毎に、かつ千鳥格子配列に配された規則的な配列パターンとなっている。また、図3(a)に示すブラシ毛15の配列パターンは、現像剤供給ブラシ12の回転方向に対する下流側の各一端部同士が互いに接触している。したがって、この図3(a)に示すブラシ毛15の配列パターンは、現像剤供給ブラシ12の回転方向に対する下流側が閉じたV字状になっている。
【0102】
この結果、図4(a)に示すように、現像装置10内に収容されたトナーを含む現像剤がV字状のブラシ毛15でかき寄せられるので、現像剤がブラシ毛15で保持されながら回転方向に移動され、現像ローラ11に供給される。そして、図3(a)に示すブラシ毛15の配列パターンは、V字状のブラシ毛15が、千鳥格子配列に配されているので、第1行目におけるV字状のブラシ毛15・15の間においてかき寄せられなかった現像剤は、第2行目におけるV字状のブラシ毛15によってかき寄せられる。また、この場合、回転方向の各列の現像剤に対して、1列置きに各行にて現像剤をかき寄せる。したがって、各行での現像剤のかき寄せ量が多くなりすぎるのを防止することができ、抵抗を増大することなく現像剤のかき寄せを行うことができる。また、現像剤がブラシ毛15の間を通過するので、通過時の現像剤の撹乱により現像剤の摩擦帯電を良好なものとすることもできる。尚、この効果を確実に得るためには、回転方向に平行な方向から見たときに、千鳥格子配列されたV字状の各ブラシ毛15が、現像ローラ11の幅方向において、互いに隙間無く配設されていることが好ましい。
【0103】
ここで、現像剤のかき寄せ量を制御するために、例えば、図3(b)に示すように、第1方向筋状植毛束15aと第2方向筋状植毛束15bとを組み合わせて対にした一対筋状植毛束を、逆ハの字状として、各両端部同士が互いに離れているとすることができる。これにより、図4(b)に示すように、現像剤のかき寄せ量を制御して、ブラシ毛15に多量の現像剤が係合し、現像剤供給ブラシ12の供給の抵抗になるのを防止することができる。
【0104】
尚、第1方向筋状植毛束15aと第2方向筋状植毛束15bとの間の間隔、及び第1方向筋状植毛束15aと第2方向筋状植毛束15bとの間のなす角度については、回転抵抗、及び現像剤のかき寄せ量に応じて適宜設定することができる。また、第1方向筋状植毛束15a及び第2方向筋状植毛束15bは、それぞれ、所定長さを有しているが、この長さは、例えば、0.5〜2mmが好ましい。さらに、第1方向筋状植毛束15a及び第2方向筋状植毛束15bの所定長さについて、各長さは同じである方が、各列毎の現像剤のかき寄せ量が等しくなる点で好ましい。しかし、必ずしもこれに限らず、第1方向筋状植毛束15a及び第2方向筋状植毛束15bの各長さが互いに異なるとすることも可能である。これにより、現像剤のかき寄せ方向及び現像剤のかき寄せ量を制御することが可能となる。
【0105】
一方、本実施の形態では、ブラシ毛15は、必ずしも第1方向筋状植毛束15aと第2方向筋状植毛束15bとが、各行毎に、かつ千鳥格子配列に配されている必要はなく、例えば、図5(a)(b)に示すように、第1方向筋状植毛束15aと第2方向筋状植毛束15bとを組み合わせて対にした一対筋状植毛束が、正方格子配列に配された規則的な配列パターンを有しているとすることも可能である。これによっても、現像剤の供給機能を満たすことができる。
【0106】
また、図6(a)に示すように、第1方向筋状植毛束15aと第2方向筋状植毛束15bとを逆V字状(又はV字状)の一対筋状植毛束と、この一対筋状植毛束とは行方向に対して線対称となる線対称一対筋状植毛束とが、交互に、つまり、各行及び各列毎に、正方格子配列に配された規則的な配列パターンを有しているとすることが可能である。同様に、図6(b)に示すように、第1方向筋状植毛束15aと第2方向筋状植毛束15bとを逆ハの字状(又はハの字状)の一対筋状植毛束と、この一対筋状植毛束とは行方向に対して線対称となる線対称一対筋状植毛束とが、交互に、つまり、各行及び各列毎に、正方格子配列に配された規則的な配列パターンを有しているとすることが可能である。これにより、各行及び各列毎に、滑らかな現像剤供給を行うことができる。尚、図6(a)(b)では、一対筋状植毛束と線対称一対筋状植毛束とが、交互に、つまり、各行及び各列毎に、正方格子配列に配された規則的な配列パターンとなっているが、必ずしもこれに限らず、一対筋状植毛束と線対称一対筋状植毛束とが、交互に、つまり、各行及び各列毎に、千鳥格子配列に配された規則的な配列パターンとなっていてもよい。これによっても同様の効果を得ることができる。
【0107】
また、図7に示すように、第1方向を向いた第1方向筋状植毛束15aと、この第1方向とは異なる第2方向を向いた第2方向筋状植毛束15bとが、各行毎に、かつ千鳥格子配列に配された規則的な配列パターンを有しているとすることが可能である。この配列パターンでは、現像剤が蛇行して移動するので、現像剤供給ブラシ12上で現像剤を均一に供給することができるメリットがある。
【0108】
尚、上記の説明では、現像剤の供給用に使用される現像剤供給ブラシ12のブラシ毛15について説明したが、必ずしもこれに限らない。例えば、記録媒体6への転写後に、感光体ドラム1に残存している現像剤を除去するクリーニングブラシ21、又は図示しない中間転写体に残存している現像剤を除去するクリーニングブラシに適用することが可能である。さらに、現像装置10の現像ローラ11から感光体ドラム1に転写した後の現像剤を除去する図示しない現像剤ローラクリーニング用ブラシに適用することが可能である。
【0109】
この理由は、現像剤供給ブラシ12における現像剤の供給作用と、クリーニングブラシ21等における現像剤の剥離機能とは、いずれも現像剤を逃がさず、供給又は剥離するという点で共通するためである。
【0110】
この場合には、上述した図3(a)(b)、図5(a)(b)、図6(a)(b)及び図7、図9(a)(b)、図10(a)(b)に示す配列パターンを用いることができる。この配列パターンでは、現像剤を移動させる力が大きいので、感光体ドラム1のクリーニングブラシ21、又は図示しない例えば転写ベルト等の中間転写体のクリーニングブラシとして好適に用いることができる。
【0111】
ここで、上記構成の現像剤供給ブラシ12のブラシ毛15における植毛方法について図8(a)(b)に基づいて説明する。
【0112】
本実施の形態では、ブラシ毛15は、静電植毛方法を用いている。したがって、ブラシ毛15を現像剤供給ブラシ12に植毛するときには、図8(a)に示すように、金属管13に接着剤14をブラシ毛15の配列パターンとなるように塗布する。この接着剤14の塗布方法については、例えば、スクリーン印刷や、インクジェット方式による塗布が可能である。
【0113】
次いで、所定の立毛長さにしたブラシ毛15の群をこの接着剤14の対向位置に配置し、高圧静電界を印加する。これにより、図8(b)に示すように、ブラシ毛15が静電吸引力によって金属管13に引き寄せられ、金属管13の表面である接着剤14の塗布面に垂直にブラシ毛15が突き刺さる。
【0114】
次いで、高圧静電界を解除すると、接着剤14に突き刺ったブラシ毛15以外のものは下側に落下するので、接着剤14に突き刺ったブラシ毛15だけが残る。これにより、配列パターン化されたブラシ毛15が完成する。この結果、規則的な配列パターンを有する静電植毛ブラシを効率よく、容易に製造することができる。
【0115】
なお、本発明の静電植毛ブラシは、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0116】
例えば、本実施の形態では、現像剤の供給用に使用される現像剤供給ブラシ12のブラシ毛15及びクリーニングブラシ21について説明したが、必ずしもこれに限らず、他の用途にも使用できる。
【0117】
例えば、本発明の静電植毛ブラシは、感光体ドラム1の帯電に用いられる帯電ブラシ2、又は近年のクリーナレスの感光体ドラム1における現像剤の帯電ブラシに適用することも可能である。
【0118】
感光体ドラム1の帯電に用いる帯電ブラシ2に使用する場合には、図3(a)(b)、図5(b)、図6(b)、図7、図9(a)(b)、及び図10(b)に示す配列パターンを使用することができる。すなわち、図3(a)では、現像剤供給ブラシ12の回転方向に対する下流側が閉じたV字状になっているが、必ずしもこれに限らず、例えば、図9(a)に示すように、現像剤供給ブラシ12の回転方向に対する上流側が閉じ、かつ下流側が開いた逆V字状として使用することが可能である。同様に、図3(b)では、現像剤供給ブラシ12の回転方向に対する下流側の間隔が狭い逆ハの字状になっているが、必ずしもこれに限らず、例えば、図9(b)に示すように、現像剤供給ブラシ12の回転方向に対する上流側の間隔が狭くなったハの字状となったものを使用することが可能である。
【0119】
また、図5(b)では、現像剤供給ブラシ12の回転方向に対する下流側の間隔が狭い逆ハの字状になっているが、必ずしもこれに限らず、例えば、図10(b)に示すように、現像剤供給ブラシ12の回転方向に対する上流側の間隔が狭くなったハの字状としたものを使用することが可能である。
【0120】
尚、これらの場合、回転方向に平行な方向から見た場合に、ブラシ毛15が感光体ドラム1の幅方向に漏れなく配されていることが好ましい。これにより、ブラシ毛15にて、感光体ドラム1の全ての領域を帯電させることができる。
【0121】
すなわち、正方格子配列又は千鳥格子配列に配された規則的な配列パターンでは、基材の幅方向に垂直な方向かつ前方から見たときに、隣接する格子の互いに対向する両筋状植毛束同士は、互いに重なり合っているとすることができる。
【0122】
これにより、筋状植毛束が、現像剤や感光体ドラム1に接触する確率を高めることができる。
【0123】
一方、近年、クリーナレスの感光体ドラム1が出現している。このクリーナレスの感光体ドラム1は、記録媒体6や中間転写体への現像剤の転写後に、感光体ドラム1に残存している現像剤を除去するために、従来、クリーニングブラシ21が使用されていたが、現像剤の再利用、クリーニング装置20を小さくして画像形成装置を小型化する、及びクリーニングブレード23を用いることによる感光体ドラム1の表面の劣化防止等の観点から、クリーニングブラシ21に代えて、帯電ブラシを用いて、現像剤を帯電し、かつ散らして現像ローラ11で回収するものである。
【0124】
この場合には、現像剤がブラシ毛15に確実に接触すると共に、現像剤が撹乱されることが要求される。
【0125】
そこで、クリーナレスの感光体ドラム1における現像剤の帯電ブラシにおいても同様に、図3(a)(b)、図5(b)、図6(b)、図7、図9(a)(b)、及び図10(b)に示す配列パターンを使用することが可能である。この配列パターンでは、図11(a)(b)に示すように、現像剤がブラシ毛15に確実に接触すると共に、現像剤がブラシ毛15の間すり抜けるので、現像剤が撹乱されることがわかる。
【0126】
また、静電植毛ブラシの他の用途として、現像剤の搬送用にも使用することができる。例えば、現像装置10の内部においては、現像装置10の内部に収容された現像剤を現像剤供給ブラシ12及び現像ローラ11側に送るために、図示しないスクリュータイプの攪拌機が用いられている場合が多い。本実施の形態では、このスクリュータイプの攪拌機の代用品として、本実施の形態のブラシ毛15を備えた静電植毛ブラシを用いることが可能である。この本実施の形態のブラシ毛15を備えた静電植毛ブラシを用いることによって、従来のスクリュータイプの攪拌機よりも対向物に対して傷を付けない等のメリットがある。この結果、現像装置10の内部に収容された現像剤にダメージを与えないというメリットがある。尚、上記対向物に対して傷を付けない等のメリットについては、感光体ドラム1等のデリケートな部分でも感光体ドラム1の表面を損傷せずに、現像剤の搬送が可能となる点が挙げられる。
【0127】
すなわち、本実施の形態のブラシ毛15は、現像剤の搬送力が大きいので、現像剤搬送に好適に用いることができる。この場合の、規則的な配列パターンとしては、前述した図3(a)(b)、図5(a)(b)、図6(a)(b)、図7、図9(a)(b)、及び図10(a)(b)の全ての配列パターンを使用することができる。また、これらの他に、例えば、図12(a)に示すように、各筋状植毛束が、同じ第1方向を向き、かつ正方格子配列に配された規則的な配列パターンや、図12(b)に示すように、各筋状植毛束が、同じ第1方向を向き、かつ千鳥格子配列に配された規則的な配列パターンを使用することが可能である。これらの図12(a)(b)に示す配列パターンは、現像剤を例えば右、又は左に移動できるので、効率的に、現像剤を片側に寄せる等の搬送が可能である。また、格子配列に配された規則的な配列パターンとすることにより、繰り返しの配列パターンによって、現像剤を一方向に連続して搬送することができる。
【0128】
また、現像剤搬送のためのブラシ毛15の配列パターンとしては、さらに、例えば、図13に示すように、第1方向を向いた第1方向筋状植毛束15aと、この第1方向とは異なる第2方向を向いた第2方向筋状植毛束15bと、これら第1方向及び第2方向とは異なる第3方向を向いた第3方向筋状植毛束15cとの各一端部同士が互いに接触して一組となった放射筋状植毛束が、千鳥格子配列に配された規則的な配列パターンを有しているとすることが可能である。
【0129】
この図13に示す配列パターンでは、第1方向筋状植毛束15aと、第2方向筋状植毛束15bと、第3方向筋状植毛束15cとが互いに120度の均等な内角度を有して一端部で接触したものとなっている。この配列パターンにおいても、現像剤を効率的に搬送することができる。
【0130】
尚、上記の説明では、第1方向筋状植毛束15aと第2方向筋状植毛束15bと第3方向筋状植毛束15cとの3種の筋状植毛束が放射状に広がるものであるが、本発明においては、基材における複数の筋状植毛束は、第1方向を向いた第1方向筋状植毛束と、該第1方向とは異なる複数の第N方向(Nは2以上の整数)を向いた第N方向筋状植毛束との各一端部同士が互いに接触して一組となった放射筋状植毛束が、千鳥格子配列に配された規則的な配列パターンを有しているとすることが可能である。
【0131】
また、放射筋状植毛束が、千鳥格子配列に配された規則的な配列パターンを有していることに限らず、基材における複数の筋状植毛束は、第1方向を向いた第1方向筋状植毛束と、該第1方向とは異なる複数の第N方向(Nは2以上の整数)を向いた第N方向筋状植毛束との各一端部同士が互いに接触して一組となった放射筋状植毛束が、正方格子配列に配された規則的な配列パターンを有しているとすることも可能である。これにより、同様に、供給量増加等の効果を得ることができる。
【0132】
以上の結果、本実施の形態の静電植毛ブラシを機能的に整理すると、次のことが言える。
【0133】
すなわち、供給ブラシやクリーニングブラシ等の現像剤保持、供給、剥離系のブラシ毛15においては、図14(a)(b)(c)に示すように、現像剤の保持性と、現像剤の剥離性と、供給量の制御性とが要求される。
【0134】
現像剤の保持性においては、図14(a)に示すように、ブラシ毛が回転方向に向かってV字状となっている、つまり第1方向筋状植毛束15aと第2方向筋状植毛束15bとが、回転方向に向かって開いている方が、現像剤を保持する点で好ましい。この現像剤の保持量は、現像剤の供給量に繋がる。
【0135】
また、現像剤の剥離性については、図14(b)に示すように、ブラシ毛が回転方向に向かってV字状となっている、つまり第1方向筋状植毛束15aと第2方向筋状植毛束15bとが、回転方向に向かって開いている方が、現像剤を逃がさず保持し、剥離できる点で好ましい。
【0136】
さらに、供給量の制御性については、図14(c)に示すように、第1方向筋状植毛束15aの長さLl及び第2方向筋状植毛束15bの長さL2、第1方向筋状植毛束15aの傾きθl及び第2方向筋状植毛束15bの傾きθ2、並びに第1方向筋状植毛束15aと第2方向筋状植毛束15bとの間隔Wを変化させることによって、現像剤の供給量を制御することができる。
【0137】
ここで、上記第1方向筋状植毛束15aの長さLl及び第2方向筋状植毛束15bの長さL2、第1方向筋状植毛束15aの傾きθl及び第2方向筋状植毛束15bの傾きθ2等について、図14(c)に示す第1方向筋状植毛束15a及び第2方向筋状植毛束15bの寸法について説明する。
【0138】
すなわち、図14(c)に示す第1方向筋状植毛束15a及び第2方向筋状植毛束15bにおいては、第1方向筋状植毛束15aの長さLl及び第2方向筋状植毛束15bの長さL2は、0.5mm以上かつ10mm以下が好ましい。また、第1方向筋状植毛束15aの傾きθl及び第2方向筋状植毛束15bの傾きθ2は、0〜70度が好ましい。さらに、第1方向筋状植毛束15aと第2方向筋状植毛束15bとの間隔は、0.5mm以上が好ましい。さらに、第1方向筋状植毛束15a及び第2方向筋状植毛束15bの筋状植毛束の幅は、0.5mm以上かつ5mm以下であることが好ましい。また、第1方向筋状植毛束15a及び第2方向筋状植毛束15bの配置密度は、1〜200束/cmであることが好ましい。
【0139】
次に、例えば、クリーナレス用帯電ブラシ、又はクリーニングブラシ21の上流側に設けられた図示しないプレクリーニングブラシ等の帯電・撹乱系のブラシ毛15においては、図15(a)(b)(c)に示すように、現像剤の通過性と、現像剤との接触性と、現像剤の撹乱性とが要求される。また、図示しない例えば転写ベルト等の中間転写体において中間転写体用クリーニングブラシの上流側に設けられた図示しない中間転写体用プレクリーニングブラシ等の帯電・撹乱系のブラシ毛15においても同様に、現像剤の通過性と、現像剤との接触性と、現像剤の撹乱性とが要求される。
【0140】
現像剤の通過性においては、図15(a)に示すように、ブラシ毛が回転方向に向かって逆V字状、つまり第1方向筋状植毛束15aと第2方向筋状植毛束15bとが、回転方向に向かって開いているよりも尖頭状態になっている方が、現像剤を受け流す点で好ましい。また、第1方向筋状植毛束15aと第2方向筋状植毛束15bとを組み合わせて対にした一対筋状植毛束においては、現像剤がすり抜けるスペースがあることが好ましい。
【0141】
また、現像剤との接触性においては、図15(b)に示すように、第1方向筋状植毛束15aと第2方向筋状植毛束15bとを組み合わせて対にした一対筋状植毛束が、正方格子配列に配された規則的な配列パターンを有しているよりも千鳥格子配列に配された規則的な配列パターンを有している方が、現像剤が確実に接触する点で好ましい。
【0142】
さらに、現像剤の撹乱性においては、図15(c)に示すように、第1方向筋状植毛束15aと第2方向筋状植毛束15bとを組み合わせて対にした一対筋状植毛束が、正方格子配列に配された規則的な配列パターンを有しているよりも千鳥格子配列に配された規則的な配列パターンを有している方が、現像剤の移動範囲が増える点で好ましい。
【0143】
次に、例えば、現像剤を所望の方向に搬送するためのブラシ毛15においては、図16(a)に示すように、片側に搬送する場合と、図16(b)に示すように、両側に搬送する場合と、図16(c)に示すように、中央に集める場合とがある。
【0144】
すなわち、図16(a)では、基材における複数の筋状植毛束は、各筋状植毛束が、同じ第1方向を向き、かつ正方格子配列又は千鳥格子配列に配された規則的な配列パターンを有しているとすることができる。
【0145】
これにより、繰り返しにより、現像剤を一方向に連続して搬送することができる。また、千鳥格子配列に配された規則的な配列パターンにより、現像剤を一方向に搬送する場合に定量的に搬送し易くなる。
【0146】
また、図16(b)では、基材における複数の筋状植毛束は、第1方向を向いた第1方向筋状植毛束と、該第1方向とは異なる第2方向を向いた第2方向筋状植毛束とが設けられていると共に、上記第1方向筋状植毛束及び第2方向筋状植毛束は、基材の幅方向における両側に現像剤を搬送するように、基材の幅における中央位置を境界として左右にそれぞれの正方格子配列に配された規則的な配列パターン、又は千鳥格子配列に配された規則的な配列パターンを有しているとすることができる。
【0147】
これにより、基材の幅方向における両側に現像剤を効率よく搬送することができる。また、対向物である現像剤や感光体ドラム1に損傷を与えないようにすることができる。
【0148】
また、図16(c)では、基材における複数の筋状植毛束は、第1方向を向いた第1方向筋状植毛束と、該第1方向とは異なる第2方向を向いた第2方向筋状植毛束とが設けられていると共に、上記第1方向筋状植毛束及び第2方向筋状植毛束は、基材の幅における中央位置に現像剤を集めるように、基材の幅における中央位置を境界として左右にそれぞれの正方格子配列に配された規則的な配列パターン、又は千鳥格子配列に配された規則的な配列パターンを有しているとすることができる。
【0149】
これにより、基材の幅における中央位置に現像剤を効率よく集めることができる。また、対向物である現像剤や静電潜像担持体に損傷を与えないようにすることができる。
【0150】
最後に、本実施の形態で用いたブラシ毛15の材質について説明する。
【0151】
まず、本実施の形態におけるブラシ毛15としては、例えば、フィラメント糸、紡績糸等を使用することができる。フィラメント糸は長繊維糸であり、断面が円柱状であり、ある強度が高い糸である。また、紡績糸は短繊維糸であり、綿花を紡いで糸にしたものが原型であり、強度が低い。紡績糸をブラシ毛15として使用したブラシは、例えば、記録媒体の搬送における紙粉除去ブラシや、画像形成装置の隙間から現像剤が飛散して漏れるのを防ぐためのシールブラシ等の特殊な用途で使用される。現像剤供給ブラシ12、帯電ブラシ2、クリーニングブラシ21は、感光体ドラム1の表面に摺接させた状態で使用される。そのため、ブラシ毛が紡績糸であると、ブラシ毛が切れるおそれがある。よって、現像剤供給ブラシ12、帯電ブラシ2、クリーニングブラシ21のブラシ毛15は、フィラメント糸であることが好ましい。
【0152】
フィラメント糸のブラシ毛15として使用する糸としては、6−ナイロン、12−ナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン、アラミド等の合成樹脂からなるもの、又はこれらの2種以上からなる混合物等から製造される糸が挙げられ、用途に合わせて、最適な材料が選定される。
【0153】
また、ブラシ毛15に導電性を付与する場合には、コア部が非導電層であり、外層部が導電層として2重構造のものを用いることができる。外層部を導電層にする方法は特に限定されないが、例えば、外層部に導電性材料を練り込む方法等が挙げられる。導電性材料としては、カーボン、ニッケル等の金属、酸化錫等の金属酸化物の粉が用いることできる。また、ブラシ毛15に導電性を付与する場合として、ブラシ毛15全体に導電剤を分散させた全分散型や内層が導電性で外層が絶縁性を有するコア/シェル型の2重構造のものを用いることも可能である。そして、これら各種形態は、用途に応じて適宜選択して使用することができる。
【0154】
尚、ブラシ毛15に導電性を付与する場合には、接着剤14についても、カーボン等を添加することにより、導電性を付与することが好ましい。接着剤14の導電性又は絶縁性についても用途に応じて適宜選択して使用することができる。
【0155】
また、ブラシ毛15の断面形状は、円形又は楕円形であってもよいし、多角形の角が丸くなった形状であってもよい。尚、ブラシ毛の断面形状コーナーの丸み(アール)があることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0156】
本発明の静電植毛ブラシは、複数の筋状植毛束が規則的な配列パターンを有して配されている。このため、本発明の静電植毛ブラシは、プリンターや複写機やファクシミリ機等の画像形成装置等に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】本発明における静電植毛ブラシの実施の一形態を示すものであり、現像剤供給ブラシを示す斜視図である。
【図2】上記静電植毛ブラシが適用される画像形成装置の画像形成部を示す全体構成図である。
【図3】(a)は各一端部同士が互いに接触する第1方向筋状植毛束と第2方向筋状植毛束とを千鳥格子配列に配した規則的な配列パターンを示す図であり、(b)は各一端部同士が互いに離れた第1方向筋状植毛束と第2方向筋状植毛束とを千鳥格子配列に配した規則的な配列パターンを示す図である。
【図4】(a)(b)は、図3(a)(b)の配列パターンにおける現像剤の移動状態を示す図である。
【図5】(a)は各一端部同士が互いに接触する第1方向筋状植毛束と第2方向筋状植毛束とを正方格子配列に配した規則的な配列パターンを示す図であり、(b)は各一端部同士が互いに離れた第1方向筋状植毛束と第2方向筋状植毛束とを正方格子配列に配した規則的な配列パターンを示す図である。
【図6】(a)は各一端部同士が互いに接触する第1方向筋状植毛束と第2方向筋状植毛束との一対筋状植毛束と、該一対筋状植毛束とは行方向に対して線対称となる線対称一対筋状植毛束とを、交互に、正方格子配列に配した規則的な配列パターンを示す図であり、(b)は各一端部同士が互いに離れた第1方向筋状植毛束と第2方向筋状植毛束との一対筋状植毛束と、該一対筋状植毛束とは行方向に対して線対称となる線対称一対筋状植毛束とを、交互に、正方格子配列に配した規則的な配列パターンを示す図である。
【図7】第1方向筋状植毛束と第2方向筋状植毛束とを、各行毎に、かつ千鳥格子配列に配した規則的な配列パターンを示す図である。
【図8】(a)(b)は、静電植毛ブラシの製造方法を示す断面図である。
【図9】(a)(b)は、図3(a)(b)の配列パターンを、各一端部同士の互いに接触する方向を回転方向に対して逆にした配列パターンを示す図である。
【図10】(a)(b)は、図5(a)(b)の配列パターンを、各一端部同士の互いに接触する方向を回転方向に対して逆にした配列パターンを示す図である。
【図11】(a)(b)は、図9(a)(b)の配列パターンにおける現像剤の移動状態を示す図である。
【図12】(a)は各筋状植毛束を、同じ第1方向を向き、かつ正方格子配列に配した規則的な配列パターンを示す図であり、(b)は各筋状植毛束を、同じ第1方向を向き、かつ千鳥格子配列に配した規則的な配列パターンを示す図である。
【図13】第1方向を向いた第1方向筋状植毛束と、該第1方向とは異なる複数の第N方向(Nは2以上の整数)を向いた第N方向筋状植毛束との各一端部同士が互いに接触して一組となった放射筋状植毛束を、千鳥格子配列に配した規則的な配列パターンを示す図である。
【図14】(a)(b)(c)は、クリーニングブラシ及び現像剤供給ブラシに要求される現像剤の保持性、剥離性、供給量の制御性を示す図である。
【図15】(a)(b)(c)は、帯電及び撹乱系ブラシに要求される現像剤の通過性、接触性、撹乱性を示す図である。
【図16】(a)(b)(c)は、現像剤の搬送性を示す図である。
【図17】(a)〜(f)は、従来の静電植毛ブラシの製造方法を示す断面図である。
【図18】上記従来の静電植毛ブラシの配列パターンを示す図である。
【図19】上記静電植毛ブラシの構造を示す断面図である。
【図20】上記静電植毛ブラシの使用状態を示す断面図である。
【図21】従来の他の静電植毛ブラシを示す正面図である。
【符号の説明】
【0158】
1 感光体ドラム
2 帯電ブラシ
4 転写ブラシ
10 現像装置
11 現像ローラ
12 現像剤供給ブラシ
13 金属管(基材)
14 接着剤
15 ブラシ毛
15a 第1方向筋状植毛束
15b 第2方向筋状植毛束
15c 第3方向筋状植毛束
20 クリーニング装置
21 クリーニングブラシ
23 クリーニングブレード
30 画像形成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真方式の画像形成装置に使用される静電植毛ブラシであって、
複数の植毛を所定長さの筋状の束にして形成した筋状植毛束が基材に接着剤を介して複数設けられていると共に、
上記基材における複数の筋状植毛束は、規則的な配列パターンを有して配されていることを特徴とする静電植毛ブラシ。
【請求項2】
前記基材における複数の筋状植毛束は、第1方向を向いた第1方向筋状植毛束と、該第1方向とは異なる第2方向を向いた第2方向筋状植毛束とを組み合わせて対にした一対筋状植毛束が、規則的な配列パターンを有していることを特徴とする請求項1記載の静電植毛ブラシ。
【請求項3】
前記第1方向筋状植毛束と第2方向筋状植毛束とを組み合わせて対にした一対筋状植毛束は、各一端部同士が互いに接触していることを特徴とする請求項2記載の静電植毛ブラシ。
【請求項4】
前記第1方向筋状植毛束と第2方向筋状植毛束とを組み合わせて対にした一対筋状植毛束は、各両端部同士が互いに離れていることを特徴とする請求項2記載の静電植毛ブラシ。
【請求項5】
前記第1方向筋状植毛束と第2方向筋状植毛束とを組み合わせて対にした一対筋状植毛束が、正方格子配列に配された規則的な配列パターンを有していることを特徴とする請求項2,3又は4記載の静電植毛ブラシ。
【請求項6】
前記第1方向筋状植毛束と第2方向筋状植毛束とを組み合わせて対にした一対筋状植毛束が、千鳥格子配列に配された規則的な配列パターンを有していることを特徴とする請求項2,3又は4記載の静電植毛ブラシ。
【請求項7】
前記基材における複数の筋状植毛束は、前記一対筋状植毛束と、該一対筋状植毛束とは行方向に対して線対称となる線対称一対筋状植毛束とが、交互に、正方格子配列又は千鳥格子配列に配された規則的な配列パターンを有していることを特徴とする請求項2,3又は4記載の静電植毛ブラシ。
【請求項8】
前記第1方向を向いた第1方向筋状植毛束と、該第1方向とは異なる第2方向を向いた第2方向筋状植毛束とは、格子の縦方向の軸に対して線対称となっていることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の静電植毛ブラシ。
【請求項9】
前記第1方向を向いた第1方向筋状植毛束と、該第1方向とは異なる第2方向を向いた第2方向筋状植毛束とは、格子の縦方向の軸に対して非線対称となっていることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の静電植毛ブラシ。
【請求項10】
前記基材における複数の筋状植毛束は、第1方向を向いた第1方向筋状植毛束と、該第1方向とは異なる複数の第N方向(Nは2以上の整数)を向いた第N方向筋状植毛束との各一端部同士が互いに接触して一組となった放射筋状植毛束が、千鳥格子配列又は正方格子配列に配された規則的な配列パターンを有していることを特徴とする請求項1記載の静電植毛ブラシ。
【請求項11】
前記基材における複数の筋状植毛束は、第1方向を向いた第1方向筋状植毛束と、該第1方向とは異なる第2方向を向いた第2方向筋状植毛束とが、各行毎に、かつ千鳥格子配列に配された規則的な配列パターンを有していることを特徴とする請求項1記載の静電植毛ブラシ。
【請求項12】
前記基材における複数の筋状植毛束は、各筋状植毛束が、同じ第1方向を向く、規則的な配列パターンを有していることを特徴とする請求項1記載の静電植毛ブラシ。
【請求項13】
前記基材における複数の筋状植毛束は、各筋状植毛束が、同じ第1方向を向き、かつ正方格子配列に配された規則的な配列パターンを有していることを特徴とする請求項12記載の静電植毛ブラシ。
【請求項14】
前記正方格子配列又は千鳥格子配列に配された規則的な配列パターンでは、基材の幅方向に垂直な方向かつ前方から見たときに、隣接する格子の互いに対向する両筋状植毛束同士は、互いに重なり合っていることを特徴とする請求項5,6,7,10又は11記載の静電植毛ブラシ。
【請求項15】
前記基材における複数の筋状植毛束は、第1方向を向いた第1方向筋状植毛束と、該第1方向とは異なる第2方向を向いた第2方向筋状植毛束とが設けられていると共に、
上記第1方向筋状植毛束及び第2方向筋状植毛束は、基材の幅における中央位置に現像剤を集めるように、基材の幅における中央位置を境界として左右にそれぞれの正方格子配列に配された規則的な配列パターン、又は千鳥格子配列に配された規則的な配列パターンを有していることを特徴とする請求項1記載の静電植毛ブラシ。
【請求項16】
前記基材における複数の筋状植毛束は、第1方向を向いた第1方向筋状植毛束と、該第1方向とは異なる第2方向を向いた第2方向筋状植毛束とが設けられていると共に、
上記第1方向筋状植毛束及び第2方向筋状植毛束は、基材の幅方向における両側に現像剤を搬送するように、基材の幅における中央位置を境界として左右にそれぞれの正方格子配列に配された規則的な配列パターン、又は千鳥格子配列に配された規則的な配列パターンを有していることを特徴とする請求項1記載の静電植毛ブラシ。
【請求項17】
前記基材が円柱形状にてなるロール型ブラシであることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の静電植毛ブラシ。
【請求項18】
前記基材が平板にてなるバー型ブラシであることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の静電植毛ブラシ。
【請求項19】
前記画像形成装置の静電潜像担持体を帯電させる帯電ブラシであることを特徴とする請求項3,4,6,7,11又は14記載の静電植毛ブラシ。
【請求項20】
前記画像形成装置の静電潜像担持体における転写後に残存する現像剤を除去するクリーニング用ブラシであることを特徴とする請求項1〜9,11又は14のいずれか1項に記載の静電植毛ブラシ。
【請求項21】
前記画像形成装置の静電潜像担持体における転写後に残存する現像剤を除去するクリーニング用ブラシよりも静電潜像担持体の上流側に設けられたプレクリーニング用ブラシであることを特徴とする請求項1〜9,11又は14のいずれか1項に記載の静電植毛ブラシ。
【請求項22】
前記画像形成装置における静電潜像担持体の現像を中間転写体へ転写し、その中間転写体から記録媒体への転写後に残存する中間転写体の現像剤を除去するクリーニング用ブラシであることを特徴とする請求項1〜9,11又は14のいずれか1項に記載の静電植毛ブラシ。
【請求項23】
前記画像形成装置における静電潜像担持体の現像を中間転写体へ転写し、その中間転写体から記録媒体への転写後に残存する中間転写体の現像剤を除去するクリーニング用ブラシよりも中間転写体の上流側に設けられたプレクリーニング用ブラシであることを特徴とする請求項1〜9,11又は14のいずれか1項に記載の静電植毛ブラシ。
【請求項24】
前記画像形成装置の静電潜像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布用ブラシであることを特徴とする請求項3,4,6,7,11又は14記載の静電植毛ブラシ。
【請求項25】
画像形成装置の静電潜像担持体における転写後に残存する現像剤を帯電するクリーナレス帯電ブラシであることを特徴とする請求項3,4,6,7,11又は14記載の静電植毛ブラシ。
【請求項26】
前記画像形成装置の現像装置における、担持した現像剤を静電潜像担持体に転写して現像を行う現像ローラに現像剤を供給する現像剤供給用ブラシであることを特徴とする請求項1〜9,11,又は14のいずれか1項に記載の静電植毛ブラシ。
【請求項27】
前記画像形成装置の現像装置における、担持した現像剤を静電潜像担持体に転写して現像を行う現像ローラにおける現像剤転写後の残余の現像剤を除去する現像ローラクリーニング用ブラシであることを特徴とする請求項1〜9,11,又は14のいずれか1項に記載の静電植毛ブラシ。
【請求項28】
前記画像形成装置の現像装置における、担持した現像剤を静電潜像担持体に転写して現像を行う現像ローラに向けて現像剤を搬送・攪拌する現像剤搬送・攪拌用ブラシであることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の静電植毛ブラシ。
【請求項29】
請求項1〜28のいずれか1項に記載の静電植毛ブラシを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項30】
請求項1〜28のいずれか1項に記載の静電植毛ブラシを製造するための静電植毛ブラシの製造方法であって、
基材に接着剤をブラシ毛の規則的な配列パターンとなるように塗布する工程と、
上記接着剤を塗布した基材に対して所定長さの複数のブラシ毛を対向配置させた状態で静電界を印加する工程とを含むことを特徴とする静電植毛ブラシの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−276372(P2009−276372A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124557(P2008−124557)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(390026147)東英産業株式会社 (38)
【Fターム(参考)】