説明

静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】被転写体からの定着前トナーの脱落に起因する画像形成装置内の汚染を防ぐことのできる静電荷像現像用トナーの提供。
【解決手段】エステルワックスと融解温度の異なる2種以上のポリオレフィンワックスと結着樹脂と着色剤とを含むトナー母粒子と、Ce元素を含む金属酸化物粒子とシリカ粒子とを含む外添剤と、を含有し、前記エステルワックスの含有量をw1と、前記ポリオレフィンワックスのうち最も低い融解温度を示すポリオレフィンワックスの含有量をw2と、前記ポリオレフィンワックスのうち最も高い融解温度を示すポリオレフィンワックスの含有量をw3と、前記金属酸化物粒子の含有量をa1と、前記シリカ粒子の含有量をa2としたとき、w1/a1が1.0以上10.0以下であり、w2/a2が0.5以上5.0以下であり、w3/a2が0.5以上5.0以下である静電荷像現像用トナー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いたフルカラー画像形成装置として種々の方式が知られている。モノクロプリントとフルカラープリントを同じ生産性にて出力できる点から、特に高速機(具体的には、A4紙で60枚/分以上の画像形成が可能な装置)においてはいわゆるタンデム方式が主流となりつつある。
タンデム方式では、複数個の現像器(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、黒の4個の現像器)と各々の現像器に対応した感光体を配置し、中間転写体を経由して用紙などの被転写体にトナー像を転写するか又は被転写体にトナー像を直接転写することでフルカラー画像を形成するものである。しかしながら、特に直接転写の場合には、被転写体の種類によりトナーと被転写体との付着力が異なり、トナーの被転写体への付着力が十分でない場合には、画像形成工程における上流から下流に被転写体が搬送される間にトナーが被転写体から脱落して、下流側の現像器や用紙搬送経路がトナーで汚染されることがある。特に搬送速度の速い高速機ではこの傾向は顕著となる。
【0003】
静電荷像保持体へのトナーの固着及び静電荷像保持体の不均一な削れを防ぎ、装置の高速化に適用しても長期にわたって高品位な画像が得られる静電荷像現像用トナーの提供を目的として、特定の粒径と形状係数を満足する無機微粉体、樹脂微粒子及び金属酸化物粒子を有する静電荷像現像用トナーが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、帯電付与部材へのトナーの融着がなく、感光体、現像剤担持体等へのフィルミング現象が発生せず、長期連続印刷時に画像濃度低下が少なく、カブリやスジの生じない良好な画像が得られる耐久性に優れた非磁性一成分現像用トナーの提供を目的として、平均一次体積粒径20nm以下の第一無機微粒子と、平均一次体積粒径30nm〜1μmの第二無機微粒子と、酸化セリウムを必須成分としさらに他の希土類元素化合物の少なくとも一つを含む粒子、とを含有してなることを特徴とする非磁性一成分現像用が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
また、複写時のスミア、オフセットおよびフィルミングの発生を防止し、トナーの流動性や帯電性に優れた静電荷像現像用トナーの提供を目的として、少なくともポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、バインダー樹脂および着色剤からなる静電荷像現像用トナーであって、平均一次粒径が0.03〜3μmの無機微粒子Aおよび疎水化処理された平均一次粒径が0.005〜0.02μmの無機微粒子Bが外添されていることを特徴とする静電荷像現像用トナーが開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0006】
また、ヒートローラーのクリーニング機構を不要とし、耐オフセット性に優れ、ヒートローラーのトナー汚れが無く、定着性が良好な熱定着用トナーの提供を目的として、融点と含有量が特定の範囲にある2種以上のワックスを含有し外添剤による表面被覆率が45〜150%であることを特徴とする熱定着用トナーが開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
【特許文献1】特開平10−3179号公報
【特許文献2】特開2001−265051号公報
【特許文献3】特開平10−268552号公報
【特許文献4】特開2001−305780号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、被転写体からの定着前トナーの脱落に起因する、画像形成装置内のトナーによる汚染を防ぐことのできる静電荷像現像用トナー、並びに、この静電荷像現像用トナーを用いた静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本願の請求項1に係る発明は、エステルワックスと融解温度の異なる2種以上のポリオレフィンワックスと結着樹脂と着色剤とを含むトナー母粒子と、Ce元素を含む金属酸化物粒子とシリカ粒子とを含む外添剤と、を含有し、前記エステルワックスの含有量をw1と、前記ポリオレフィンワックスのうち最も低い融解温度を示すポリオレフィンワックスの含有量をw2と、前記ポリオレフィンワックスのうち最も高い融解温度を示すポリオレフィンワックスの含有量をw3と、前記金属酸化物粒子の含有量をa1と、前記シリカ粒子の含有量をa2としたとき、w1/a1が1.0以上10.0以下であり、w2/a2が0.5以上5.0以下であり、w3/a2が0.5以上5.0以下である静電荷像現像用トナーである。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記エステルワックスの含有量w1がトナー母粒子100質量部に対し0.1質量部以上2.0質量部以下である請求項1に記載の静電荷像現像用トナーである。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記エステルワックスの含有量w1と前記ポリオレフィンワックスの総含有量w4とがw1<w4の関係を満たす請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナーである。
【0011】
請求項4に係る発明は、前記エステルワックスの含有量w1と前記ポリオレフィンワックスの総含有量w4との比w4/w1が、1.1以上10.0以下ある請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーである。
【0012】
請求項5に係る発明は、前記ポリオレフィンワックスの融解温度が80℃以上170℃以下であり、最も低い融解温度を示すポリオレフィンワックスの融解温度と最も高い融解温度を示すポリオレフィンワックスの融解温度との差が、10℃以上50℃以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーである。
【0013】
請求項6に係る発明は、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを少なくとも含む静電荷像現像剤である。
【0014】
請求項7に係る発明は、画像形成装置に着脱可能に装着され、前記画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するためのトナーを収容し、前記トナーが請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーであるトナーカートリッジである。
【0015】
請求項8に係る発明は、画像形成装置に着脱可能に装着され、現像剤保持体を少なくとも備え、請求項6に記載の静電荷像現像剤を収容するプロセスカートリッジである。
【0016】
請求項9に係る発明は、潜像保持体と、前記潜像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記潜像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記潜像保持体の表面に形成された静電潜像を請求項6に記載の静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記潜像保持体の表面に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写手段と、前記被転写体に転写されたトナー像を前記被転写体に定着する定着手段と、転写後の前記潜像保持体表面の残留トナーを除去するクリーニング手段と、を少なくとも備える画像形成装置である。
【0017】
請求項10に係る発明は、前記現像手段が前記潜像保持体表面に前記静電荷像現像剤を供給する現像剤保持体を少なくとも備え、前記現像剤保持体は、回転しながら前記潜像保持体表面に前記静電荷像現像剤を供給する筒状部材であり、前記静電荷像現像剤を供給する際の前記現像剤保持体の周速が1000mm/s以上である請求項9に記載の画像形成装置である。
【0018】
請求項11に係る発明は、前記被転写体に前記トナー像が転写されてから前記被転写体に前記トナー像が定着されるまでに、前記被転写体の前記トナー像が転写された面とは反対の面側から前記トナー像の転写された面側に向かう法線方向と重力方向とのなす角が0°以上90°以下となるように前記被転写体を搬送する経路を有する請求項9又は請求項10に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明によれば、被転写体からの定着前トナーの脱落に起因する、画像形成装置内のトナーによる汚染を防ぐことのできる静電荷像現像用トナーを得ることができる。
【0020】
請求項2に係る発明によれば、定着前トナーの脱落をさらに防止することができる。
【0021】
請求項3に係る発明によれば、定着前トナーの脱落をさらに防止することができる。
【0022】
請求項4に係る発明によれば、定着前トナーの脱落をさらに防止することができる。
【0023】
請求項5に係る発明によれば、定着前トナーの脱落をさらに防止することができる。
【0024】
請求項6に係る発明によれば、被転写体からの定着前トナーの脱落に起因する、画像形成装置内のトナーによる汚染を防ぐことのできる静電荷像現像剤を得ることができる。
【0025】
請求項7に係る発明によれば、被転写体からの定着前トナーの脱落に起因する、画像形成装置内のトナーによる汚染を防ぐことのできる静電荷像現像用トナーの供給を容易にするトナーカートリッジを得ることができる。
【0026】
請求項8に係る発明によれば、被転写体からの定着前トナーの脱落に起因する、画像形成装置内のトナーによる汚染を防ぐことのできる静電荷像現像剤の取り扱いを容易にし、種々の構成の画像形成装置への適応性を高めることができる。
【0027】
請求項9に係る発明によれば、被転写体からの定着前トナーの脱落に起因する、画像形成装置内のトナーによる汚染を防ぐことのできる画像形成装置を得ることができる。
【0028】
請求項10に係る発明によれば、高速で画像を形成しつつ、被転写体からの定着前トナーの脱落に起因する、画像形成装置内のトナーによる汚染を防ぐことができる。
【0029】
請求項11に係る発明によれば、画像形成装置の設計の自由度を確保しつつ、被転写体からの定着前トナーの脱落に起因する、画像形成装置内のトナーによる汚染を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置の実施形態について詳細に説明する。
【0031】
<静電荷像現像用トナー>
本実施形態に係る静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」と称することがある。)は、エステルワックスと融解温度の異なる2種以上のポリオレフィンワックスと結着樹脂と着色剤とを含むトナー母粒子と、Ce元素を含む金属酸化物粒子(以下、「Ce粒子」と称することがある。)とシリカ粒子とを含む外添剤と、を含有し、前記エステルワックスの含有量をw1と、前記ポリオレフィンワックスのうち最も低い融解温度を示すポリオレフィンワックスの含有量をw2と、前記ポリオレフィンワックスのうち最も高い融解温度を示すポリオレフィンワックスの含有量をw3と、前記金属酸化物粒子の含有量をa1と、前記シリカ粒子の含有量をa2としたとき、w1/a1が1.0以上10.0以下であり、w2/a2が0.5以上5.0以下であり、w3/a2が0.5以上5.0以下である静電荷像現像用トナーである。
【0032】
本実施形態において、ワックス及び外添剤の「含有量」とは、トナー母粒子100質量部に対する各成分の質量基準に基づく含有量(単位:質量部)をいう。
【0033】
特に、高速機において被転写体に転写後のトナーが、定着前に被転写体から脱落して搬送経路を汚染する課題について鋭意検討した結果、本発明者等は、トナー母粒子と外添剤との付着性、及び、トナー粒子と感光体との付着性を制御することにより、転写後に脱落するトナー量の低減が可能であることを見出し本発明に至った。
【0034】
そのメカニズムについては必ずしも明確ではないものの、上記のように付着性を制御することで、転写後に被転写体から脱落するトナーを、予め被転写体へ転写させないようにすることができ、その結果として定着前トナーの脱落を防止できるものと考えられる。さらに詳細には以下の機構が働いているものと推測される。
【0035】
本実施形態に係るトナーは、ワックスとしてエステルワックス及び融解温度の異なる2種以上のポリオレフィンワックスを含有し、外添剤としては、少なくともCe粒子とシリカ粒子とを含有する。
外添剤として添加されるシリカ粒子は、トナーの流動性を制御するとともに被転写体、及び感光体との静電的及び非静電的付着性を制御する上で重要である。現像等のストレスにより、シリカ粒子のトナー母粒子への埋まりこみが起きると付着性が変動しやすくなるため、埋まりこみが起こりにくくなるよう制御することが重要である。
トナー母粒子の表面にポリオレフィンワックスが露出することにより、シリカ粒子の埋まりこみを抑制することができる。このとき融解温度の異なる2種以上のポリオレフィンワックスを用いることにより、相対的に低融解温度のワックスにより機械的なストレスによる埋まりこみが防止され、相対的に高融解温度のワックスにより熱的なストレスによる埋まりこみが防止される。
【0036】
しかしながら、ポリオレフィンワックスをトナー母粒子に含有させることによるシリカ粒子の埋まりこみ防止効果を付与した場合には、シリカ粒子のトナーからの脱離が発生しやすくなる。それによってトナーの静電的付着力が変化し、定着前トナーの被転写体からの脱落を引き起こしやすくなる。即ち、上記のシリカ粒子の埋まりこみ防止効果では定着前トナーの脱落を効果的に防ぐことが困難である。
シリカ粒子の埋まりこみ防止効果に加え、トナーの抵抗を調整することにより被転写体から脱落しやすいトナーをあらかじめ被転写体に転写しないよう調整することが重要である。Ce粒子を外添剤として存在させることにより、トナーの抵抗を調整する必要がある。
【0037】
しかしながら、Ce粒子がトナー表面全体に存在する場合には、トナーの抵抗が低下し転写効率が低下してしまう。被転写体から脱落しやすいシリカ粒子の脱離したトナーに、Ce粒子が選択的に存在するのが好ましい。Ce元素を含んだ金属酸化物は比重がチタニアやアルミナ等の金属酸化物と比べて高いため、Ce粒子はトナー母粒子に含有される結着樹脂との付着性が弱い。そのため、トナー中にCe粒子が遊離した状態で存在しやすくなる。トナー母粒子中にエステルワックスが含有されており、且つ、シリカ粒子の脱離等でトナー表面にエステルワックスが露出した場合には、エステルワックスにCe粒子が付着しやすいため、結果としてシリカ粒子の被覆の少ないトナー母粒子に選択的にCe粒子が付着する。選択的にCe粒子を付着させることで、シリカ粒子の脱離したトナーが選択的に転写されにくくなる。その結果として、転写後の被転写体からのトナーの脱落を防止できるものと考えられる。
【0038】
すなわち、シリカ粒子の埋まりこみによる静電的/非静電的付着性の変化防止と、シリカ粒子の脱離したトナーへの選択的な金属酸化物粒子の付着をおこなうことで、被転写体からの定着前トナーの脱落に起因する、画像形成装置内のトナーによる汚染が防止されるものと考えられる。
【0039】
本実施形態に係るトナーにおいては、エステルワックスの含有量をw1と、ポリオレフィンワックスのうち最も低い融解温度を示すポリオレフィンワックスの含有量をw2と、ポリオレフィンワックスのうち最も高い融解温度を示すポリオレフィンワックスの含有量をw3と、Ce粒子の含有量をa1と、シリカ粒子の含有量をa2としたとき、w1/a1が1.0以上10.0以下であり、w2/a2が0.5以上5.0以下であり、w3/a2が0.5以上5.0以下であることが必要である。
【0040】
w1/a1が10.0より大きい場合には、Ce粒子に対しエステルワックスが過剰であるため、シリカが脱離したトナー以外のトナーにもCe粒子が付着する。そのため、選択的なCe粒子の付着形態が得られず、転写後のトナーの脱落防止の効果が十分でない場合がある。
w1/a1が1.0未満の場合には、トナー中の遊離のCe粒子の量が増加するため、トナーの転写性が悪化したり、カブリが悪化したりする場合がある。
【0041】
w2/a2又はw3/a2が5.0より大きい場合には、ポリオレフィンワックスのトナー母粒子表面における露出量が過剰となり、エステルワックスの表面露出を妨げるため、転写後のトナーの脱落防止の効果が十分でない場合がある。
w2/a2又はw3/a2が0.5未満の場合には、シリカ粒子のトナー母粒子への埋まりこみ防止効果が十分でないため、転写後のトナーの脱落防止の効果が十分でない場合がある。
【0042】
本実施形態に係るトナーにおいて、w1/a1、w2/a2及びw3/a2の好ましい範囲は、各々1.2以上8.0以下、0.7以上4.5以下及び0.7以上4.5以下であり、さらに好ましくは各々1.4以上7.0以下、0.8以上4.0以下及び0.8以上4.0以下である。
【0043】
次に、本実施形態に係るトナーを構成するトナー母粒子及び外添剤について説明する。
【0044】
[トナー母粒子]
本実施形態に係るトナー母粒子は、エステルワックスと、融解温度の異なる2種以上のポリオレフィンワックスと、結着樹脂と、着色剤と、を含み、その他、トナーの帯電性能を制御するための帯電制御剤や、トナーのフラッシュ定着を容易にする赤外線吸収剤等の添加剤を必要に応じて含んでいてもよい。
【0045】
−エステルワックス−
本実施形態に係るトナー母粒子は、少なくとも1種のエステルワックスを含む。
エステルワックスとしては、公知の天然または合成のエステルワックスを用いることができ、高級脂肪酸と1価アルコールのエステル、または高級脂肪酸と多価アルコールのエステル等を用いることができる。
エステルワックスの具体例としては、例えば、高級脂肪酸として、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、オレイン酸等が挙げられ、アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の1価アルコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、ペンタエリスリトール等の多価アルコールが挙げられ、これらの脂肪酸とアルコールを用いたエステル化合物を好適に用いることができる。また前記エステル化合物を主成分とする天然ワックスを用いてもよく、具体的には、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、ホホバ油、木ろう、蜜ろう、イボタワックス、ラノリン、モンタン酸エステルワックス等が挙げられる。
エステルワックスの融解温度としては、60℃以上110℃以下が好ましく、65℃以上100℃以下がさらに好ましく、70℃以上95℃以下が特に好ましい。
【0046】
エステルワックスの含有量w1としては、トナー母粒子100質量部に対して0.1質量部以上2.0質量部以下が好ましく、0.2質量部以上1.8質量部以下がさらに好ましく、0.3質量部以上1.6質量部以下が特に好ましい。0.1質量部未満では、トナー母粒子へのCe粒子の付着が十分でなく、転写後のトナーの脱落が十分に防止されない。2.0質量部より多い場合には、トナー母粒子表面におけるポリオレフィンワックスの露出を阻害するため、シリカ粒子の埋まりこみの効果が得られずに転写後のトナーの脱落が十分に防止されない。
【0047】
−ポリオレフィンワックス−
本実施形態に係るトナー母粒子は、融解温度の異なる2種以上のポリオレフィンワックスを含む。
ポリオレフィンワックスに用いるオレフィンモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、あるいは不飽和結合の位置を異にするこれらの異性体、さらには3−メチル−1−ブテン、3−メチル−2−ペンテン、3−プロピル−5−メチル−2−ヘキセン等のアルキル基よりなる分岐鎖を有するオレフィンモノマーを用いることができる。
また、未変性のポリオレフィンワックスの他、空気中の酸素で酸化した酸化型ポリオレフィンワックスや、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸又はフマル酸等のカルボン酸によって変性された酸変性ポリオレフィンワックス、スチレン系化合物等をグラフトさせたスチレン系モノマー変性ポリオレフィンワックスなどの変性ポリオレフィンワックスを用いても良い。
【0048】
ポリオレフィンワックスの融解温度としては、80℃以上170℃以下が好ましく、90℃以上165℃以下がさらに好ましく、100℃以上160℃以下が特に好ましい。また、最も低い融解温度を示すポリオレフィンワックスの融解温度と最も高い融解温度を示すポリオレフィンワックスの融解温度との差は、10℃以上50℃以下が好ましく、12℃以上45℃以下がさらに好ましく、15℃以上40℃以下が特に好ましい。ポリオレフィンワックスの融解温度が80℃以上170℃以下であり、且つ、最も低い融解温度を示すポリオレフィンワックスの融解温度と最も高い融解温度を示すポリオレフィンワックスの融解温度との差を10℃以上50℃以下とすることにより、定着前トナーの脱落がさらに防止される。
【0049】
本実施形態において、融解温度の測定には、示差走査熱量計(島津製作所社製:DSC−60A)(以下、「DSC」と略記する。)を用い、室温(30℃)から200℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行った時のJIS K−7121に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めることができる。
【0050】
本実施形態において、ポリオレフィンワックスの含有量w2及びw3としては、トナー母粒子100質量部に対してそれぞれ0.2質量部以上5.0質量部以下が好ましく、0.4質量部以上4.5質量部以下がさらに好ましく、0.6質量部以上4.0質量部以下が特に好ましい。
w2とw3との比(質量基準)としては、1:3から3:1が好ましく、2.5:1から1:2.5がさらに好ましく、2:1から1:2が特に好ましい。
ポリオレフィンワックスの総含有量w4としては、トナー母粒子100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下が好ましく、1質量部以上8質量部以下がさらに好ましく、1.5質量部以上6質量部以下が特に好ましい。
【0051】
本実施形態においては、トナー母粒子は、エステルワックス及びポリオレフィンワックス以外の公知のワックスをさらに含有してもよい。
上記以外の公知のワックスとしては、天然ワックス、合成ワックスなどを広く用いることができる。例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の炭化水素系ワックス、モンタン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸、リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩、ステアロン、ラウロン等のジアルキルケトン、長鎖アルキルアルコール、脂肪族アミン等を用いることができる。
【0052】
−エステルワックスとポリオレフィンワックスとの関係−
本実施形態において、エスエルワックスの含有量w1とポリオレフィンワックスの総含有量w4とがw1<w4の関係を満たすことにより、定着前トナーの脱落がさらに防止される。具体的には、エステルワックスの含有量w1とポリオレフィンワックスの総含有量w4との比w4/w1が、1.1以上10.0以下が好ましく、1.5以上9.5以下がさらに好ましく、2.0以上9.0以下が特に好ましい。
【0053】
−結着樹脂-
本実施形態に係るトナー母粒子は、結着樹脂を含有する。
本実施形態で使用される結着樹脂は特に限定されるものではなく、各種の天然又は合成高分子物質よりなる熱可塑性樹脂を用いることができる。例えば、スチレンとアクリル酸またはメタクリル酸との共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリエーテルポリオール樹脂等が単独又は混合して用いられる。これら結着樹脂の中でも、低エネルギーで定着できる点でポリエステル樹脂を含有していることが好ましい。
【0054】
−着色剤−
本実施形態に係るトナー母粒子は、着色剤を含有する。
本実施形態で使用される着色剤は特に限定されるものではなく、公知のものを用いることができ、シアントナーの場合においては、着色剤として、例えば、C.I.ピグメントブルー1、同2、同3、同4、同5、同6、同7、同10、同11、同12、同13、同14、同15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:6、同16、同17、同23、同60、同65、同73、同83、同180、C.I.バットシアン1、同3、同20等や、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルーの部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC等のシアン顔料、C.I.ソルベントシアン79、162等のシアン染料などを用いることができる。
また、マゼンタトナーの場合においては、例えばC.I.ピグメントレッド1、同2、同3、同4、同5、同6、同7、同8、同9、同10、同11、同12、同13、同14、同15、同16、同17、同18、同19、同21、同22、同23、同30、同31、同32、同37、同38、同39、同40、同41、同48、同49、同50、同51、同52、同53、同54、同55、同57、同58、同60、同63、同64、同68、同81、同83、同87、同88、同89、同90、同112、同114、同122、同123、同163、同184、同202、同206、同207、同209等、ピグメントバイオレット19等のマゼンタ顔料や、C.I.ソルベントレッド1、同3、同8、同23、同24、同25、同27、同30、同49、同81、同82、同83、同84、同100、同109、同121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ベーシックレッド1、同2、同9、同12、同13、同14、同15、同17、同18、同22、同23、同24、同27、同29、同32、同34、同35、同36、同37、同38、同39、同40等のマゼンタ染料等、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ロータミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどを用いることができる。
イエロートナーの場合においては、例えばC.I.ピグメントイエロー2、同3、同15、同16、同17、同74、同97、同180、同185、同139等のイエロー顔料などを用いることができる。
また、ブラックトナーにおいては、その着色剤として、例えば、カーボンブラック、活性炭、チタンブラック、鉄粉、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、Mn含有の非磁性粉などを用いることができる。さらに、イエロー、マゼンタ、シアン、レッド、グリーン、ブルー顔料を混合した顔料ブラックトナーでもよい。
【0055】
着色剤の含有量は、その種類にもよるが、トナー母粒子100質量部に対し、1.5質量部以上20質量部以下が好ましく、2.0質量部以上18質量部以下がさらに好ましく、2.5質量部以上15質量部以下が特に好ましい。
【0056】
−帯電制御剤−
本実施形態に係るトナー母粒子は、帯電制御剤を含有してもよい。
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものを用いることがで
き、例えば、正帯電性の帯電制御剤として、ニグロシン染料、トリブチルベンジルアンモ
ニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラ
フルオロボレート等の四級アンモニウム塩、およびこれらの類似体であるホスホニウム塩
等のオニウム塩、およびこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料;高級脂肪酸の金
属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキ
サイド等のジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート等のジオルガノスズボレー
ト類;グアニジン化合物、イミダゾール化合物、アミノアクリル系樹脂などが挙げられる

また、負帯電性の帯電制御剤としては、トリメチルエタン系染料、サリチル酸の金属錯
塩、ベンジル酸の金属錯塩、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、
金属錯塩アゾ系染料、アゾクロムコンプレックス等の重金属含有酸性染料、カリックスア
レン型のフェノール系縮合物、環状ポリサッカライド、カルボキシル基および/またはス
ルホニル基を含有する樹脂、等が好ましく用いられる。これらの帯電制御剤は、1種単独
で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。
【0057】
−赤外線吸収剤−
本実施形態におけるトナーをフラッシュ定着用として用いる場合には、本実施形態に係るトナー母粒子は、赤外線吸収剤を含有してもよい。
本実施形態で使用される赤外線吸収剤としては、800μm以上1200μm以下の波長域に吸収ピークを有するものであれば公知のものを用いることができる。
赤外光吸収剤をトナー母粒子に含ませることで、フラッシュ定着の際、上記波長領域の照射光を吸収して発熱し、トナーが効率よく溶融される。赤外光吸収剤としては、公知の赤外光吸収剤(赤外線吸収剤)を用いることができ、例えば酸化インジウム系金属酸化物、酸化スズ系金属酸化物、酸化亜鉛系金属酸化物、スズ酸カドミウム、特定のアミド化合物、ランタノイド系化合物、シアニン化合物、メロシアニン化合物、ベンゼンチオール系金属錯体、メルカプトフェノール系金属錯体、芳香族ジアミン系金属錯体、ジイモニウム化合物、アミニウム化合物、ニッケル錯体化合物、フタロシアニン系化合物、アントラキノン系化合物、ナフタロシアニン系化合物等が挙げられる。さらに、カーボンブラック、チタンブラック、フェライト、マグネタイト、炭化ジルコミウム等の黒色顔料等も用いることができる。これらは単独で用いても、混合して用いてもよい。
【0058】
具体的な赤外光吸収剤としては、ニッケル金属錯体系赤外光吸収剤(三井化学社製:SIR−130、SIR−132)、ビス(ジチオベンジル)ニッケル(みどり化学社製:MIR−101)、ビス[1,2−ビス(p−メトキシフェニル)−1,2−エチレンジチオレート]ニッケル(みどり化学社製:MIR−102)、テトラ−n−ブチルアンモニウムビス(シス−1,2−ジフェニル−1,2−エチレンジチオレート)ニッケル(みどり化学社製:MIR−1011)、テトラ−n−ブチルアンモニウムビス[1,2−ビス(p−メトキシフェニル)−1,2−エチレンジチオレート]ニッケル(みどり化学社製:MIR−1021)、ビス(4−tert−1,2−ブチル−1,2−ジチオフェノレート)ニッケル−テトラ−n−ブチルアンモニウム(住友精化社製:BBDT−NI)、シアニン系赤外光吸収剤(富士フィルム社製:IRF−106、IRF−107)、シアニン系赤外光吸収剤(山本化成社製、YKR2900)、アミニウム、ジイモニウム系赤外光吸収剤(長瀬ケムテック社製:NIR−AM1、IM1)、イモニウム化合物(日本カーリット社製:CIR−1080、CIR−1081)、アミニウム化合物(日本カーリット社製:CIR−960、CIR−961)、アントラキノン系化合物(日本化薬社製:IR−750)、アミニウム系化合物(日本化薬社製:IRG−002、IRG−003、IRG−003K)、ポリメチン系化合物(日本化薬社製:IR−820B)、ジイモニウム系化合物(日本化薬社製:IRG−022、IRG−023)、ジアニン化合物(日本化薬社製:CY−2、CY−4、CY−9)、可溶性フタロシアニン(日本触媒社製:TX−305A)、ナフタロシアニン(山本化成社製:YKR5010、山陽色素社製:サンプル1)、無機材料系(信越化学社製:イッテルビウムUU−HP、住友金属社製:インジュームチンオキサイド)等が挙げられる。
【0059】
赤外光吸収剤の添加量は、その種類にもよるが、一般に、トナー母粒子100質量部に対して0.2質量部以上5.0質量部以下程度である。
【0060】
トナー母粒子は、混練粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法等の公知の製造法により製造することができる。
【0061】
[外添剤]
本実施形態に係る外添剤は、Ce粒子とシリカ粒子とを含む。
【0062】
−Ce粒子−
Ce粒子は、公知の製法で作製することができる。例えば、バストネサイト精鉱を原料とし、不純物を除去して炭酸塩とした後、焼結し、粉砕及び分級をおこなって所望の粒径のCe粒子を得ることができる。また、セリウム塩の水溶液にアンモニア水などの塩基を添加して中和し、沈殿物を析出させた後、耐圧容器中で加熱、結晶化させることで酸化セリウム粒子を作製する湿式製法を用いても良い。
天然の鉱石を原料とする場合にはセリウム以外の元素として、ランタン、プラセオジム、ネオジム等の希土類元素を含んでいても良いが、酸化セリウムの含有量が40%以上であることが好ましい。
Ce粒子の体積平均粒子径としては、100nm以上2000nm以下が好ましく、200nm以上1800nm以下がさらに好ましく、300nm以上1600nm以下が特に好ましい。
Ce元素を含んだ金属酸化物は高比重であるため、Ce粒子の結着樹脂への付着性が弱く、Ce粒子はトナー表面に露出したワックスと付着する傾向にある。このため、トナー母粒子中のワックスを制御することでトナーとCe粒子との付着性を制御しやすい。
【0063】
本実施形態において、体積平均粒子径の測定は、例えばレーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(マイクロトラックMT3300II:日機装社製)を用いて測定することができる。
【0064】
Ce粒子の含有量a1としてはトナー母粒子100質量部に対して0.02質量部以上1.5質量部以下が好ましく、0.04質量部以上1.2質量部以下がさらに好ましく、0.06質量部以上1.0質量部以下が特に好ましい。
【0065】
本実施形態に係るトナーは、Ce粒子以外のその他の金属酸化物粒子を外添剤として含んでいてもよい。その他の金属酸化物粒子としては、例えば、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化ジルコニウム等が挙げられる。また、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム等の複合酸化物を用いても良い。
【0066】
−シリカ粒子−
シリカ粒子としては、例えば気相法などの公知の製法で作製されたシリカ粒子を用いることができ、帯電性制御、付着性制御の観点から、少なくとも平均1次粒径が5nm以上50nm以下のシリカ粒子を含んでいることが好ましい。またシリカ粒子表面はシラン系カップリング剤、シリコーンオイル等の処理剤により疎水化処理をされていることが好ましい。
シラン系カップリング剤としては、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、トリメチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレア、tert−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3.4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等や、それらの一部の水素原子をフッ素原子に変えた、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシルトリエトキシシラン、3−ヘプタフルオロイソプロポキシプロピルトリエトキシシランなどのフッ素系シラン化合物、水素原子の一部をアミノ基で置換したアミノ系シラン化合物等を挙げることができる。
シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、環状ジメチルシリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、メチルスチリル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等を用いることができる。
シリカ粒子の含有量a2としてはトナー母粒子100質量部に対して0.2質量部以上5.0質量部以下が好ましく、0.3質量部以上4.0質量部以下がさらに好ましく、0.4質量部以上3.0質量部以下が特に好ましい。
【0067】
本実施形態に係るトナーは、シリカ粒子及びCe粒子以外の公知の有機粒子または無機粒子を外添剤として含んでいてもよい。有機粒子としては、例えばスチレン系重合体、(メタ)アクリル系重合体、エチレン系重合体などのビニル系重合体や、エステル系、メラミン系、アミド系、アリルフタレート系などの各種重合体、フッ化ビニリデンなどのフッ素系重合体、高級アルコールからなる有機粒子を添加してもよい。
無機粒子としては、前記金属酸化物粒子、シリカ粒子に加えて、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素等を添加しても良い。
上記外添剤は、ヘンシェルミキサー等の公知の混合機により充分混合し、トナー母粒子に外添させることができる。
【0068】
[トナーの特性]
本実施形態におけるトナーの体積平均粒子径は4μm以上12μm以下の範囲であることが望ましく、より望ましくは4.5μm以上11μm以下の範囲であり、さらに望ましくは5μm以上10μm以下の範囲である。体積平均粒子径が4μmより小さいと、帯電分布が広がるため、背景へのかぶりや現像器からのトナーこぼれ等が生じやすくなる。また4μmより小さいと、格段にクリーニング性が困難となる場合がある。体積平均粒子径が12μmより大きいと、解像度が低下するため、十分な画質が得られなくなり、近年の高画質要求を満たすことが困難となる場合がある。
トナー粒子の体積平均粒子径の測定法としては、例えばコールターマルチサイザー−II型を用いて測定することができる。具体的には、分散剤として界面活性剤中に、測定試料を0.5mg以上50mg以下加え、これを電解液100ml以上150ml以下の中に添加する。この測定試料を懸濁させた電解液を超音波分散器で1分間分散処理を行い、アパーチャー径が100μmのアパーチャーを用いて、粒径が2.0μm以上60μm以下の範囲の粒子の粒度分布を測定する。測定する粒子数は50,000とする。得られた粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、小粒径側から体積累積分布を引いて、累積50%となる粒径を体積平均粒子径とする。
【0069】
<静電荷像現像剤>
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーを少なくとも含むものである。
本実施形態に係るトナーは、そのまま一成分現像剤として、あるいは二成分現像剤として用いられる。二成分現像剤として用いる場合にはキャリアと混合して使用される。
【0070】
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアを用いることができる。例えばフェライト、マグネタイト等の磁性酸化物表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリアが挙げられる。
使用するのに好ましいキャリアは、例えば平均粒径が20μm以上100μm以下が好ましく、30μm以上80μm以下がより好ましい。キャリアは芯材となる磁性酸化物に、公知の方法、例えば流動床によるスプレードライ方式、ロータリドライ方式、万能攪拌機による液浸乾燥法等により、樹脂をコーティングすることにより得ることができる。
芯材表面を被覆するために用いられる樹脂としては、各種の樹脂を用いることが可能である。例えばフッ素系樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素アクリル樹脂、アクリル・スチレン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂・ポリエステル樹脂・エポキシ樹脂・アルキッド樹脂・ウレタン樹脂等で変性した変性シリコーン樹脂および架橋型のフッ素変性シリコーン樹脂等が挙げられる。また必要に応じてカーボンブラックや酸化チタン等の導電性粒子を添加することにより電気抵抗を調整しても良い。また帯電制御剤等を添加しても良い。
【0071】
前記二成分現像剤における、本実施形態に係るトナーと上記キャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100程度の範囲が望ましく、3:100乃至20:100程度の範囲がより望ましい。
【0072】
<画像形成装置>
次に、本実施形態に係る画像形成装置について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、潜像保持体と、前記潜像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記潜像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記潜像保持体の表面に形成された静電潜像を本実施形態に係る静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記潜像保持体の表面に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写手段と、前記被転写体に転写されたトナー像を前記被転写体に定着させる定着手段と、転写後の前記潜像保持体表面の残留トナーを除去するクリーニング手段と、を少なくとも備えるものである。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主用部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0073】
なお、本実施形態に係る画像形成装置において、例えば前記現像手段を含む部分が、画像形成装置本体に対して脱着可能なカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよく、該プロセスカートリッジとしては、現像剤保持体を少なくとも備え、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容する本実施形態に係るプロセスカートリッジが好適に用いられる。
【0074】
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態に係る画像形成装置の一例である4連タンデム方式のフルカラー画像形成装置を示す概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定めた距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置本体に対して脱着可能なプロセスカートリッジであってもよい。
【0075】
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの図面における上方には、各ユニットを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、図における左から右方向に互いに離間して配置された駆動ローラ22および中間転写ベルト20内面に接する支持ローラ24に巻回されて設けられ、第1ユニット10Yから第4ユニット10Kに向う方向に走行されるようになっている。尚、支持ローラ24は、図示しないバネ等により駆動ローラ22から離れる方向に付勢されており、両者に巻回された中間転写ベルト20に予め定めた張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の像保持体側面には、駆動ローラ22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収容されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーが供給可能である。
【0076】
上述した第1乃至第4ユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1ユニット10Yについて代表して説明する。尚、第1ユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2乃至第4ユニット10M、10C、10Kの説明を省略する。
【0077】
第1ユニット10Yは、潜像保持体として機能する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を予め定めた電位に帯電させる帯電ローラ2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yよって露光して静電潜像を形成する露光装置3、静電潜像に帯電したトナーを供給して静電潜像を現像する現像装置(現像手段)4Y、現像したトナー像を中間転写ベルト20上に転写する1次転写ローラ5Y(1次転写手段)、および1次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段)6Yが順に配設されている。
尚、1次転写ローラ5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各1次転写ローラに印加する転写バイアスを可変する。
【0078】
以下、第1ユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。まず、動作に先立って、帯電ローラ2Yによって感光体1Yの表面が帯電される。
感光体1Yは、導電性の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電潜像が感光体1Yの表面に形成される。
【0079】
静電潜像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
このようにして感光体1Y上に形成された静電潜像は、感光体1Yの走行に従って予め定めた現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電潜像が、現像装置4Yによって可視像(トナー像)化される。
【0080】
現像装置4Y内には、本実施形態に係るイエロートナーが収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体)上に保持されている。そして感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー像が形成された感光体1Yは、引続き予め定めた速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー像が予め定めた1次転写位置へ搬送される。
【0081】
感光体1Y上のイエロートナー像が1次転写へ搬送されると、1次転写ローラ5Yに予め定めた1次転写バイアスが印加され、感光体1Yから1次転写ローラ5Yに向う静電気力がトナー像に作用され、感光体1Y上のトナー像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性と逆極性である。
一方、感光体1Y上に残留したトナーはクリーニング装置6Yで除去されて回収される。
【0082】
また、第2ユニット10M以降の1次転写ローラ5M、5C、5Kに印加される1次転写バイアスも、第1ユニットに準じて制御されている。
こうして、第1ユニット10Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4ユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が重ねられて多重転写される。
【0083】
第1乃至第4ユニットを通して4色のトナー像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト20内面に接する支持ローラ24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された2次転写ローラ(2次転写手段)26とから構成された2次転写部へと至る。一方、記録紙(被転写体)Pが供給機構を介して2次転写ローラ26と中間転写ベルト20とが圧接されている隙間に予め定めたタイミングで給紙され、予め定めた2次転写バイアスが支持ローラ24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性と同極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー像が記録紙P上に転写される。尚、この際の2次転写バイアスは2次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
【0084】
この後、記録紙Pは定着装置(定着手段)28へと送り込まれトナー像が加熱され、色重ねしたトナー像が溶融されて、記録紙P上へ定着される。カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
【0085】
<プロセスカートリッジ、トナーカートリッジ>
図2は、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容するプロセスカートリッジの好適な一例を示す概略構成図である。プロセスカートリッジ200は、感光体107とともに、帯電ローラ108、現像装置111、感光体クリーニング装置(クリーニング手段)113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を取り付けレール116を用いて組み合わせ、そして一体化したものである。なお、図2において符号300は被転写体を表す。
そして、このプロセスカートリッジ200は、転写装置112と、定着装置115と、図示しない他の構成部分とから構成される画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。
【0086】
図2で示すプロセスカートリッジでは、帯電ローラ108、現像装置111、クリーニング装置(クリーニング手段)113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を備えているが、これら装置は選択的に組み合わせることが可能である。本実施形態に係るプロセルカートリッジでは、感光体107のほかには、帯電ローラ108、現像装置111、感光体クリーニング装置(クリーニング手段)113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117から構成される群から選択される少なくとも1種を備えるものであってもよい。
【0087】
次に、本実施形態に係るトナーカートリッジについて説明する。本実施形態に係るトナーカートリッジは、画像形成装置に着脱可能に装着され、少なくとも、前記画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するためのトナーを収納するトナーカートリッジにおいて、前記トナーを既述した本実施形態に係るトナーとしたものである。なお、本実施形態に係るトナーカートリッジには少なくともトナーが収容されていればよく、画像形成装置の機構によっては、例えば現像剤が収容されてもよい。
【0088】
従って、トナーカートリッジの着脱が可能な構成を有する画像形成装置においては、本実施形態に係るトナーを収納したトナーカートリッジを利用することにより、本実施形態に係るトナーを容易に現像装置に供給することができる。
【0089】
なお、図1に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kの着脱が可能な構成を有する画像形成装置であり、現像装置4Y、4M、4C、4Kは、各々の現像装置(色)に対応したトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収納されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジを交換することができる。
【0090】
[第二実施形態]
【0091】
図3は、第二実施形態に係る画像形成装置である4連タンデム方式のフルカラー画像形成装置を示す概略構成図である。
【0092】
この画像形成装置210は、切断可能な連続用紙から成る記録媒体(被転写体)212に画像を形成する装置であり、画像形成装置210の機体内へ挿入された記録媒体212は巻掛ローラ214,216に巻き掛けられ、機体内を横切るように形成された搬送路を一定速度で搬送される。記録媒体212の搬送路の下方側には、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)各色のトナー像を形成する画像形成部218A,218B,218C,218Dが前記搬送路に沿って略等間隔で配置されている。
【0093】
画像形成部218A〜218Dは形成するトナー像の色以外は同一の構成であり、軸線が記録媒体212の搬送方向と直交するように配置された感光体ドラム220を備え、感光体ドラム220の周囲には、感光体ドラム220を帯電させるための帯電器222、帯電された感光体ドラム220上にLED光を照射して静電潜像を形成する露光装置224、感光体ドラム220上の静電潜像形成部位に所定色のトナーを供給して静電潜像を現像することで感光体ドラム220上に所定色のトナー像を形成させる現像器226、記録媒体212の搬送路を挟んで感光体ドラム220と対向配置された転写器228、感光体ドラム220を除電する除電器230、感光体ドラム220上の残留トナーを除去するためのクリーナブレード232及びクリーナブラシ234が各々配置されて構成されている。
【0094】
現像器226は、軸線が感光体ドラム220と平行に配置され、回転しながら感光体ドラム220の表面に現像剤を供給する筒状の現像剤保持体227を3基備える。現像剤保持体227が感光体ドラム220に現像剤を供給する際の現像剤保持体227の周速は、1000mm/s以上に設定されている。
画像形成装置210は本実施形態に係るトナーを用いるため、記録媒体212からの定着前トナーの脱落に起因する画像形成装置210内の汚染が生ずることなく、高速での画像形成が実施される。
【0095】
カラー印刷時には、画像形成部218A〜218Dは、帯電器222、露光装置224及び現像器226により感光体ドラム220の周面上に互いに異なる色のトナー像を形成した後に、形成したトナー像を転写器228によって記録媒体212に転写する。各画像形成部218A〜218Dにおける帯電・露光(静電潜像形成)・現像(トナー像形成)・転写の一連のプロセスは、各画像形成部218A〜218Dで形成したトナー像が記録媒体212上で互いに重なり合うように実行タイミングが制御される。これにより、記録媒体212上にフルカラーのトナー像が形成されることになる。
【0096】
また、モノクロ印刷時には、ブラック用の画像形成部218Dが駆動され、帯電器222、露光装置224及び現像器226により感光体ドラム220の周面上にブラックのトナー像を形成した後、トナー像を転写器228によって記録媒体212に転写することで、記録媒体212上にブラックのトナー像が形成されることになる。
【0097】
記録媒体212の搬送路は、画像形成部218A〜218Dの配設位置の下流側で巻掛ローラ238、240によって搬送方向が反転され、巻掛ローラ240と後段の巻掛ローラ242の間の区間では、記録媒体212は水平に近い角度で斜め下方へ搬送される。巻掛ローラ240,242の間の区間の搬送路の上方にはフラッシュ定着ユニット246が配設されている。
【0098】
一方、巻掛ローラ242の後段には巻掛ローラ256,258が順に配置されており、フラッシュ定着ユニット246からのフラッシュ光が照射されることでトナー像が定着された記録媒体212は、巻掛ローラ256,258に案内されて画像形成装置210の機体外へ排出される。
【0099】
なお、本実施形態に係る画像形成装置210は記録媒体212の片面にのみ画像を記録する構成であるが、本実施形態に係る画像形成装置210を2台用意すると共に、記録媒体212の表裏を反転する反転器を用意し、1台目の画像形成装置210によって一方の面にのみ画像が記録されて排出された記録媒体212が、反転器によって表裏反転された後に2台目の画像形成装置210の機体内に送り込まれるように、2台の画像形成装置210及び反転器を配置すれば、記録媒体212の両面に画像を記録することも可能である。
【0100】
フラッシュ定着の際の光エネルギーとしては、単色のトナー画像に対しフラッシュ定着を行なう場合(以下、「単色光定着」と称することがある。)には、1J/cm以上3J/cm以下程度の範囲内とすることが好ましく、4色のトナー画像を積層した状態でフラッシュ定着を行なう場合(以下、「4色一括光定着」と称することがある。)には、2J/cm以上7J/cm以下程度の範囲内とすることが好ましい。
光エネルギーが、単色光定着において1J/cm未満、4色一括光定着において2J/cm未満の場合には良好に定着できない場合がある。一方、単色光定着において3J/cmを超える場合や、4色一括光定着において7J/cmを超える場合には、トナーの印字欠陥であるボイドや、記録媒体の焦げ等が発生する場合がある。
【0101】
フラッシュ定着に際し用いられるフラッシュ定着器としては、赤外光ランプや、キセノンランプ、ネオンランプ、アルゴンランプ、クリプトンランプ等、近赤外域の赤外光を照射することができる光源(ランプ)を利用でき、用いるランプは1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
【0102】
画像形成装置210は、画像形成部218A〜218Dにおいて記録媒体212にトナー像が形成(転写)されてから、フラッシュ定着ユニット246により記録媒体212にトナー像が定着されるまでに、記録媒体212のトナー像が転写された面とは反対の面側からトナー像の転写された面側に向かう法線方向(図3中、矢印A)と、重力方向(図3中、矢印B)と、のなす角θが0°以上90°以下となるように記録媒体212を搬送する経路を有する。画像形成装置210は本実施形態に係るトナーを用いるため、画像形成装置210の設計の自由度を確保しつつ、記録媒体212からの定着前トナーの脱落に起因する画像形成装置210内のトナーによる汚染を生ずることがない。
【実施例】
【0103】
以下、実施例および比較例を挙げ、本実施形態をより具体的に詳細に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0104】
[実施例1]
(エステルワックス1の作製)
ペンタエリスリトールとステアリン酸との脱水反応によりペンタエリスリトールテトラステアリン酸ワックスを作製し、エステルワックス1とした。融解温度は81℃であった。
【0105】
(Ce粒子1の作製)
バストネサイト精鉱を原料とし、不純物を除去して炭酸塩とした後、焼結し、粉砕及び分級をおこなうことにより体積平均粒子径0.8μmのCe粒子1を得た。
【0106】
<トナー1の作製>
(シアントナー母粒子1の作製)
ポリエステル樹脂1(ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物/エチレンオキシド付加物、テレフタル酸、トリメリット酸を主成分とするポリエステル樹脂)
89.6質量部
シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3:大日精化社製) 4.0質量部
帯電制御剤(4級アンモニウム塩:クラリアント社製:PSY) 1.0質量部
赤外線吸収剤(ジイモニウム系化合物、日本化薬社製:IRG−022)
0.8質量部
エステルワックス1 0.8質量部
オレフィンワックス1(ポリエチレンワックス;東洋ペトロライト社製:
ポリワックス1000、融解温度113℃) 2.0質量部
オレフィンワックス2(ポリプロピレンワックス;三洋化成社製:550−P、
融解温度152℃) 1.8質量部
【0107】
上記組成をヘンシェルミキサーにより粉体混合し、これを設定温度100℃のエクストルーダーにより熱混練し、冷却後、粗粉砕、微粉砕及び分級を行い、体積平均粒子径D50が7.8μmのシアントナー母粒子1を得た。
【0108】
(シアントナー1の作製)
シアントナー母粒子1 100質量部
疎水性シリカ粒子(日本アエロジル社製:商品名RA200H) 1.0質量部
Ce粒子1 0.2質量部
【0109】
上記組成をヘンシェルミキサーにより混合しシアントナー1を得た。シアントナー1の体積平均粒子径は7.8μmであった。
同様に着色剤を変更しマゼンタトナー1(着色剤:C.I.ピグメントレッド122:大日精化社製)、イエロートナー1(着色剤:C.I.ピングメントイエロー74:クラリアント社製)、黒トナー1(着色剤:カーボンブラック;キャボット社製:REGAL 330)を作製した。マゼンタトナー1、イエロートナー1及び黒トナー1の体積平均粒子径D50は、7.8μmであった。
なお、各トナーのw1/a1は4.0、w2/a2は2.0、w3/a2は1.8、w4/w1は4.8であった。
さらにシリコーン樹脂コートキャリア(体積平均粒子径50μm)とシアントナー1とをキャリア:トナーを95:5(質量比)で混合し、シアン現像剤1を作製した。シアントナー1と同様にしてマゼンタ現像剤1、イエロー現像剤1及び黒現像剤1を作製した。
【0110】
(評価方法)
富士ゼロックス社製490/980CCFPSに現像剤保持体(現像ロール)の周速が可変可能な改造機を用い、上記トナー及び現像剤を用いて画像形成装置内の汚染の有無の評価をおこなった。なお現像ロールの周速は1100mm/sとした。また、4色の現像が終わった直後において、用紙の法線方向と、重力方向と、のなす角θは0°とした。
25℃、60%RHの環境において上記改造機にて、画像密度40%(各色10%)の画像をA4換算で20万枚出力した後、用紙搬送路の汚れを下記基準に基づき評価した。その後、評価が◎のものについては、さらに10万枚出力して評価を行った。なお用紙は日本製紙社製NPiフォーム55を用いた。20万枚で△までが許容できるレベルである。得られた結果を表1に示す。
【0111】
◎ :目視で汚染が全く確認できないレベルである
○ :目視でごくわずかな汚染が確認できるもののほとんど目立たないレベルである
△ :目視でわずかな汚染が観察されるが許容できるレベルである
× :汚染が目立ち、許容できないレベルである。
×× :汚染が顕著に目立つレベルである。
【0112】
[実施例2]
<トナー2の作製>
(シアントナー母粒子2の作製)
ポリエステル樹脂1 90.8質量部
シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3:大日精化社製) 4.0質量部
帯電制御剤(4級アンモニウム塩:クラリアント社製:PSY) 1.0質量部
赤外線吸収剤(ジイモニウム系化合物:日本化薬社製:IRG−022) 0.8質量部
エステルワックス1 1.8質量部
オレフィンワックス1(ポリエチレンワックス;東洋ペトロライト社製:
ポリワックス1000、融解温度113℃) 0.8質量部
オレフィンワックス2(ポリプロピレンワックス;三洋化成社製:550−P、
融解温度152℃) 0.8質量部
【0113】
上記組成をヘンシェルミキサーにより粉体混合し、これを設定温度100℃のエクストルーダーにより熱混練し、冷却後、粗粉砕、微粉砕及び分級を行い、体積平均粒子径D50が7.8μmのシアントナー母粒子2を得た。
【0114】
(シアントナー2の作製)
シアントナー母粒子2 100質量部
疎水性シリカ粒子(日本アエロジル社製:商品名RA200H) 0.5質量部
Ce粒子1 0.4質量部
上記組成をヘンシェルミキサーにより混合しシアントナー2を得た。シアントナー2の体積平均粒子径は7.8μmであった。
さらに実施例1においてシアントナー1をシアントナー2に変更した以外は同様にして、シアン現像剤2を作製した。
さらに、シアントナー2及びシアン現像剤2の場合と同様にしてマゼンタトナー2、イエロートナー2及び黒トナー2、並びにマゼンタ現像剤2、イエロー現像剤2及び黒現像剤2を作製した。
なお、各トナーのw1/a1は4.5、w2/a2は1.6、w3/a2は1.6、w4/w1は0.89であった。
得られたトナー及び現像剤を用い、実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表1に示す。
【0115】
[実施例3]
<トナー3の作製>
(シアントナー母粒子3の作製)
ポリエステル樹脂1 89.6質量部
シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3 :大日精化社製) 4.0質量部
帯電制御剤(4級アンモニウム塩:クラリアント社製:PSY) 1.0質量部
赤外線吸収剤(ジイモニウム系化合物:日本化薬社製:IRG−022) 0.8質量部
エステルワックス1 0.8質量部
オレフィンワックス1(ポリエチレンワックス;東洋ペトロライト社製:
ポリワックス1000、融解温度113℃) 2.0質量部
オレフィンワックス3(ポリエチレンワックス;クラリアント社製:PE130、
融解温度122℃) 1.8質量部
【0116】
上記組成をヘンシェルミキサーにより粉体混合し、これを設定温度100℃のエクストルーダーにより熱混練し、冷却後、粗粉砕、微粉砕及び分級を行い、体積平均粒子径D50が7.8μmのシアントナー母粒子3を得た。
【0117】
(シアントナー3の作製)
実施例1においてシアントナー母粒子1をシアントナー母粒子3に変更した以外は同様にして体積平均粒子径7.8μmのシアントナー3を得た。
さらに実施例1においてシアントナー1をシアントナー3に変更した以外は同様にして、シアン現像剤3を作製した。
さらに、シアントナー3及びシアン現像剤3の場合と同様にしてマゼンタトナー3、イエロートナー3及び黒トナー3、並びにマゼンタ現像剤3、イエロー現像剤3及び黒現像剤3を作製した。
なお、各トナーのw1/a1は4.0、w2/a2は2.0、w3/a2は1.8、w4/w1は4.8であった。
得られたトナー及び現像剤を用い、実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表1に示す。
【0118】
[実施例4]
<トナー4の作製>
(シアントナー母粒子4の作製)
ポリエステル樹脂1 89.6質量部
シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3 :大日精化社製) 4.0質量部
帯電制御剤(4級アンモニウム塩:クラリアント社製:PSY) 1.0質量部
赤外線吸収剤(ジイモニウム系化合物:日本化薬社製:IRG−022) 0.8質量部
エステルワックス1 0.8質量部
オレフィンワックス4(ポリエチレンワックス;東洋ペトロライト社製:
ポリワックス600、融解温度94℃) 2.0質量部
オレフィンワックス2(ポリプロピレンワックス;三洋化成社製:550−P、
融解温度152℃) 1.8質量部
【0119】
上記組成をヘンシェルミキサーにより粉体混合し、これを設定温度100℃のエクストルーダーにより熱混練し、冷却後、粗粉砕、微粉砕及び分級を行い、体積平均粒子径D50が7.8μmのシアントナー母粒子4を得た。
【0120】
(シアントナー4の作製)
実施例1においてシアントナー母粒子1をシアントナー母粒子4に変更した以外は同様にして体積平均粒子径7.8μmのシアントナー4を得た。
さらに実施例1においてシアントナー1をシアントナー4に変更した以外は同様にして、シアン現像剤4を作製した。
さらに、シアントナー4及びシアン現像剤4の場合と同様にしてマゼンタトナー4、イエロートナー4及び黒トナー4、並びにマゼンタ現像剤4、イエロー現像剤4及び黒現像剤4を作製した。
なお、各トナーのw1/a1は4.0、w2/a2は2.0、w3/a2は1.8、w4/w1は4.8であった。
得られたトナー及び現像剤を用い、実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表1に示す。
【0121】
[比較例1]
<トナー5の作製>
(シアントナー5の作製)
シアントナー母粒子1 100質量部
疎水性シリカ粒子(日本アエロジル社製:商品名RA200H) 1.0質量部
上記組成をヘンシェルミキサーにより混合し体積平均粒子径7.8μmのシアントナー5を得た。
さらに実施例1においてシアントナー1をシアントナー5に変更した以外は同様にして、シアン現像剤5を作製した。
さらに、シアントナー5及びシアン現像剤5の場合と同様にしてマゼンタトナー5、イエロートナー5及び黒トナー5並びにマゼンタ現像剤5、イエロー現像剤5及び黒現像剤5を作製した。
なお、各トナーのw1/a1はa1=0のため計算できず、w2/a2は2.0、w3/a2は1.8、w4/w1は4.8であった。
得られたトナー及び現像剤を用い、実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表1に示す。
【0122】
[比較例2]
<トナー6の作製>
(シアントナー6の作製)
シアントナー母粒子1 100質量部
疎水性シリカ粒子(日本アエロジル社製:商品名RA200H) 1.0質量部
Ce粒子1 0.9質量部
上記組成をヘンシェルミキサーにより混合し体積平均粒子径7.8μmのシアントナー6を得た。
さらに実施例1においてシアントナー1をシアントナー6に変更した以外は同様にして、シアン現像剤6を作製した。
さらに、シアントナー6及びシアン現像剤6の場合と同様にしてマゼンタトナー6、イエロートナー6及び黒トナー6、並びにマゼンタ現像剤6、イエロー現像剤6及び黒現像剤6を作製した。
なお、各トナーのw1/a1は0.89、w2/a2は2.0、w3/a2は1.8、w4/w1は4.8であった。
得られたトナー及び現像剤を用い、実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表1に示す。
【0123】
[比較例3]
<トナー7の作製>
(シアントナー母粒子5の作製)
ポリエステル樹脂1 88.8質量部
シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3 :大日精化社製) 4.0質量部
帯電制御剤(4級アンモニウム塩:クラリアント社製:PSY) 1.0質量部
赤外線吸収剤(ジイモニウム系化合物:日本化薬社製:IRG−022) 0.8質量部
エステルワックス1 2.2質量部
オレフィンワックス1(ポリエチレンワックス;東洋ペトロライト社製:
ポリワックス1000、融解温度113℃) 1.4質量部
オレフィンワックス2(ポリプロピレンワックス;三洋化成社製:550−P、
融解温度152℃) 1.8質量部
【0124】
上記組成をヘンシェルミキサーにより粉体混合し、これを設定温度100℃のエクストルーダーにより熱混練し、冷却後、粗粉砕、微粉砕及び分級を行い、体積平均粒子径D50が7.8μmのシアントナー母粒子5を得た。
【0125】
(シアントナー7の作製)
実施例1においてシアントナー母粒子1をシアントナー母粒子5に変更した以外は同様にして体積平均粒子径7.8μmのシアントナー7を得た。
さらに実施例1においてシアントナー1をシアントナー7に変更した以外は同様にして、シアン現像剤7を作製した。
さらに、シアントナー7及びシアン現像剤7の場合と同様にしてマゼンタトナー7、イエロートナー7及び黒トナー7、並びにマゼンタ現像剤7、イエロー現像剤7及び黒現像剤7を作製した。
なお、各トナーのw1/a1は11.0、w2/a2は1.4、w3/a2は1.8、w4/w1は1.5であった。
得られたトナー及び現像剤を用い、実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表1に示す。
【0126】
[比較例4]
<トナー8の作製>
(シアントナー母粒子6の作製)
ポリエステル樹脂1 91.0質量部
シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3 :大日精化社製) 4.0質量部
帯電制御剤(4級アンモニウム塩:クラリアント社製:PSY) 1.0質量部
赤外線吸収剤(ジイモニウム系化合物:日本化薬社製:IRG−022) 0.8質量部
エステルワックス1 1.2質量部
オレフィンワックス1(ポリエチレンワックス;東洋ペトロライト社製:
ポリワックス1000、融解温度113℃) 0.6質量部
オレフィンワックス2(ポリプロピレンワックス;三洋化成社製:550−P、
融解温度152℃) 1.4質量部
【0127】
上記組成をヘンシェルミキサーにより粉体混合し、これを設定温度100℃のエクストルーダーにより熱混練し、冷却後、粗粉砕、微粉砕及び分級を行い、体積平均粒子径D50が7.8μmのシアントナー母粒子6を得た。
【0128】
(シアントナー8の作製)
シアントナー母粒子6 100質量部
疎水性シリカ粒子(日本アエロジル社製:商品名RA200H) 1.3質量部
Ce粒子1 0.2質量部
上記組成をヘンシェルミキサーにより混合し体積平均粒子径7.8μmのシアントナー8を得た。
さらに実施例1においてシアントナー1をシアントナー8に変更した以外は同様にして、シアン現像剤8を作製した。
さらに、シアントナー8及びシアン現像剤8の場合と同様にしてマゼンタトナー8、イエロートナー8及び黒トナー8、並びにマゼンタ現像剤8、イエロー現像剤8及び黒現像剤8を作製した。
なお、各トナーのw1/a1は6.0、w2/a2は0.46、w3/a2は1.1、w4/w1は1.7であった。
得られたトナー及び現像剤を用い、実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表1に示す。
【0129】
[比較例5]
<トナー9の作製>
(シアントナー母粒子7の作製)
ポリエステル樹脂1 88.2質量部
シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3 :大日精化社製) 4.0質量部
帯電制御剤(4級アンモニウム塩:クラリアント社製:PSY) 1.0質量部
赤外線吸収剤(ジイモニウム系化合物:日本化薬社製:IRG−022) 0.8質量部
エステルワックス1 0.8質量部
オレフィンワックス1(ポリエチレンワックス;東洋ペトロライト社製:
ポリワックス1000、融解温度113℃) 3.2質量部
オレフィンワックス2(ポリプロピレンワックス;三洋化成社製:550−P、
融解温度152℃) 2.0質量部
【0130】
上記組成をヘンシェルミキサーにより粉体混合し、これを設定温度100℃のエクストルーダーにより熱混練し、冷却後、粗粉砕、微粉砕及び分級を行い、体積平均粒子径D50が7.8μmのシアントナー母粒子7を得た。
【0131】
(シアントナー9の作製)
シアントナー母粒子7 100質量部
疎水性シリカ粒子(日本アエロジル社製:商品名RA200H) 0.6質量部
Ce粒子1 0.3質量部
上記組成をヘンシェルミキサーにより混合し体積平均粒子径7.8μmのシアントナー9を得た。
さらに実施例1においてシアントナー1をシアントナー9に変更した以外は同様にして、シアン現像剤9を作製した。
さらに、シアントナー9及びシアン現像剤9の場合と同様にしてマゼンタトナー9、イエロートナー9及び黒トナー9、並びにマゼンタ現像剤9、イエロー現像剤9及び黒現像剤9を作製した。
なお、各トナーのw1/a1は2.7、w2/a2は5.3、w3/a2は3.3、w4/w1は6.5であった。
得られたトナー及び現像剤を用い、実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表1に示す。
【0132】
[比較例6]
<トナー10の作製>
(シアントナー母粒子8の作製)
ポリエステル樹脂1 91.1質量部
シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3 :大日精化社製) 4.0質量部
帯電制御剤(4級アンモニウム塩:クラリアント社製:PSY) 1.0質量部
赤外線吸収剤(ジイモニウム系化合物:日本化薬社製:IRG−022) 0.8質量部
エステルワックス1 1.4質量部
オレフィンワックス1(ポリエチレンワックス;東洋ペトロライト社製:
ポリワックス1000、融解温度113℃) 1.2質量部
オレフィンワックス2(ポリプロピレンワックス;三洋化成社製:550−P、
融解温度152℃) 0.5質量部
【0133】
上記組成をヘンシェルミキサーにより粉体混合し、これを設定温度100℃のエクストルーダーにより熱混練し、冷却後、粗粉砕、微粉砕及び分級を行い、体積平均粒子径D50が7.8μmのシアントナー母粒子8を得た。
【0134】
(シアントナー10の作製)
シアントナー母粒子8 100質量部
疎水性シリカ粒子(日本アエロジル社製:商品名RA200H) 1.1質量部
Ce粒子1 0.3質量部
上記組成をヘンシェルミキサーにより混合し体積平均粒子径7.8μmのシアントナー10を得た。
さらに実施例1においてシアントナー1をシアントナー10に変更した以外は同様にして、シアン現像剤10を作製した。
さらに、シアントナー10及びシアン現像剤10の場合と同様にしてマゼンタトナー10、イエロートナー10及び黒トナー10、並びにマゼンタ現像剤10、イエロー現像剤10及び黒現像剤10を作製した。
なお、各トナーのw1/a1は4.7、w2/a2は1.1、w3/a2は0.45、w4/w1は1.2であった。
得られたトナー及び現像剤を用い、実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表1に示す。
【0135】
[比較例7]
<トナー11の作製>
(シアントナー母粒子9の作製)
ポリエステル樹脂1 88.0質量部
シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3 :大日精化社製) 4.0質量部
帯電制御剤(4級アンモニウム塩:クラリアント社製:PSY) 1.0質量部
赤外線吸収剤(ジイモニウム系化合物:日本化薬社製:IRG−022) 0.8質量部
エステルワックス1 0.9質量部
オレフィンワックス1(ポリエチレンワックス;東洋ペトロライト社製:
ポリワックス1000、融解温度113℃) 1.7質量部
オレフィンワックス2(ポリプロピレンワックス;三洋化成社製:550−P、
融解温度152℃) 3.6質量部
【0136】
上記組成をヘンシェルミキサーにより粉体混合し、これを設定温度100℃のエクストルーダーにより熱混練し、冷却後、粗粉砕、微粉砕及び分級を行い、体積平均粒子径D50が7.8μmのシアントナー母粒子9を得た。
【0137】
(シアントナー11の作製)
シアントナー母粒子9 100質量部
疎水性シリカ粒子(日本アエロジル社製:商品名RA200H) 0.7質量部
Ce粒子1 0.4質量部
上記組成をヘンシェルミキサーにより混合し体積平均粒子径7.8μmのシアントナー11を得た。
さらに実施例1においてシアントナー1をシアントナー11に変更した以外は同様にして、シアン現像剤11を作製した。
さらに、シアントナー11及びシアン現像剤11の場合と同様にしてマゼンタトナー11、イエロートナー11及び黒トナー11、並びにマゼンタ現像剤11、イエロー現像剤11及び黒現像剤11を作製した。
なお、各トナーのw1/a1は2.3、w2/a2は2.4、w3/a2は5.1、w4/w1は5.9であった。
得られたトナー及び現像剤を用い、実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表1に示す。
【0138】
[実施例5]
<トナー12の作製>
(シアントナー母粒子10の作製)
ポリエステル樹脂1 90.1質量部
シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3 :大日精化社製) 4.0質量部
帯電制御剤(4級アンモニウム塩:クラリアント社製:PSY) 1.0質量部
赤外線吸収剤(ジイモニウム系化合物:日本化薬社製:IRG−022) 0.8質量部
エステルワックス1 0.3質量部
オレフィンワックス4(ポリエチレンワックス;東洋ペトロライト社製:
ポリワックス600、融解温度94℃) 2.0質量部
オレフィンワックス2(ポリプロピレンワックス;三洋化成社製:550−P、
融解温度152℃) 1.8質量部
【0139】
上記組成をヘンシェルミキサーにより粉体混合し、これを設定温度100℃のエクストルーダーにより熱混練し、冷却後、粗粉砕、微粉砕及び分級を行い、体積平均粒子径D50が7.8μmのシアントナー母粒子10を得た。
【0140】
(シアントナー12の作製)
実施例1においてシアントナー母粒子1をシアントナー母粒子10に変更した以外は同様にして体積平均粒子径7.8μmのシアントナー12を得た。
さらに実施例1においてシアントナー1をシアントナー12に変更した以外は同様にして、シアン現像剤12を作製した。
さらに、シアントナー12及びシアン現像剤12の場合と同様にしてマゼンタトナー12、イエロートナー12及び黒トナー12、並びにマゼンタ現像剤12、イエロー現像剤12及び黒現像剤12を作製した。
なお、各トナーのw1/a1は1.5、w2/a2は2.0、w3/a2は1.8、w4/w1は13であった。
得られたトナー及び現像剤を用い、実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表1に示す。
【0141】
[実施例6]
<トナー13の作製>
(シアントナー母粒子11の作製)
ポリエステル樹脂1 88.5質量部
シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3 :大日精化社製) 4.0質量部
帯電制御剤(4級アンモニウム塩:クラリアント社製:PSY) 1.0質量部
赤外線吸収剤(ジイモニウム系化合物:日本化薬社製:IRG−022) 0.8質量部
エステルワックス1 1.9質量部
オレフィンワックス4(ポリエチレンワックス;東洋ペトロライト社製:
ポリワックス600、融解温度94℃) 2.0質量部
オレフィンワックス2(ポリプロピレンワックス;三洋化成社製:550−P、
融解温度152℃) 1.8質量部
【0142】
上記組成をヘンシェルミキサーにより粉体混合し、これを設定温度100℃のエクストルーダーにより熱混練し、冷却後、粗粉砕、微粉砕及び分級を行い、体積平均粒子径D50が7.8μmのシアントナー母粒子11を得た。
【0143】
(シアントナー13の作製)
実施例1においてシアントナー母粒子1をシアントナー母粒子11に変更した以外は同様にして体積平均粒子径7.8μmのシアントナー13を得た。
さらに実施例1においてシアントナー1をシアントナー13に変更した以外は同様にして、シアン現像剤13を作製した。
さらに、シアントナー13及びシアン現像剤13の場合と同様にしてマゼンタトナー13、イエロートナー13及び黒トナー13、並びにマゼンタ現像剤13、イエロー現像剤13及び黒現像剤13を作製した。
なお、各トナーのw1/a1は9.5、w2/a2は2.0、w3/a2は1.8、w4/w1は2.0であった。
得られたトナー及び現像剤を用い、実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表1に示す。
【0144】
[実施例7]
<トナー14の作製>
(シアントナー母粒子12の作製)
ポリエステル樹脂1 92.2質量部
シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3 :大日精化社製) 4.0質量部
帯電制御剤(4級アンモニウム塩:クラリアント社製:PSY) 1.0質量部
赤外線吸収剤(ジイモニウム系化合物:日本化薬社製:IRG−022) 0.8質量部
エステルワックス1 1.0質量部
オレフィンワックス4(ポリエチレンワックス;東洋ペトロライト社製:
ポリワックス600、融解温度94℃) 0.5質量部
オレフィンワックス2(ポリプロピレンワックス;三洋化成社製:550−P、
融解温度152℃) 0.5質量部
【0145】
上記組成をヘンシェルミキサーにより粉体混合し、これを設定温度100℃のエクストルーダーにより熱混練し、冷却後、粗粉砕、微粉砕及び分級を行い、体積平均粒子径D50が7.8μmのシアントナー母粒子12を得た。
【0146】
(シアントナー14の作製)
実施例1においてシアントナー母粒子1をシアントナー母粒子12に変更した以外は同様にして体積平均粒子径7.8μmのシアントナー14を得た。
さらに実施例1においてシアントナー1をシアントナー14に変更した以外は同様にして、シアン現像剤14を作製した。
さらに、シアントナー14及びシアン現像剤14の場合と同様にしてマゼンタトナー14、イエロートナー14及び黒トナー14、並びにマゼンタ現像剤14、イエロー現像剤14及び黒現像剤14を作製した。
なお、各トナーのw1/a1は5.0、w2/a2は0.5、w3/a2は0.5、w4/w1は1.0であった。
得られたトナー及び現像剤を用い、実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表1に示す。
【0147】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】第一実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】本実施形態に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
【図3】第二実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0149】
1Y、1M、1C、1K、107、220 感光体(潜像保持体)
2Y、2M、2C、2K、108、222 帯電ローラ(帯電器)
3、224 露光装置
4Y、4M、4C、4K、111、226 現像装置(現像手段)
6Y、6M、6C、6K、113 感光体クリーニング装置(クリーニング手段)
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
20 中間転写ベルト
26 2次転写ローラ(転写手段)
28、115 定着装置(定着手段)
200 プロセスカートリッジ
P、212、300 記録紙(被転写体)
246 フラッシュ定着ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エステルワックスと融解温度の異なる2種以上のポリオレフィンワックスと結着樹脂と着色剤とを含むトナー母粒子と、Ce元素を含む金属酸化物粒子とシリカ粒子とを含む外添剤と、を含有し、
前記エステルワックスの含有量をw1と、前記ポリオレフィンワックスのうち最も低い融解温度を示すポリオレフィンワックスの含有量をw2と、前記ポリオレフィンワックスのうち最も高い融解温度を示すポリオレフィンワックスの含有量をw3と、前記金属酸化物粒子の含有量をa1と、前記シリカ粒子の含有量をa2としたとき、w1/a1が1.0以上10.0以下であり、w2/a2が0.5以上5.0以下であり、w3/a2が0.5以上5.0以下である静電荷像現像用トナー。
【請求項2】
前記エステルワックスの含有量w1がトナー母粒子100質量部に対し0.1質量部以上2.0質量部以下である請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項3】
前記エステルワックスの含有量w1と前記ポリオレフィンワックスの総含有量w4とがw1<w4の関係を満たす請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項4】
前記エステルワックスの含有量w1と前記ポリオレフィンワックスの総含有量w4との比w4/w1が、1.1以上10.0以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項5】
前記ポリオレフィンワックスの融解温度が80℃以上170℃以下であり、最も低い融解温度を示すポリオレフィンワックスの融解温度と最も高い融解温度を示すポリオレフィンワックスの融解温度との差が、10℃以上50℃以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを少なくとも含む静電荷像現像剤。
【請求項7】
画像形成装置に着脱可能に装着され、前記画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するためのトナーを収容し、前記トナーが請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーであるトナーカートリッジ。
【請求項8】
画像形成装置に着脱可能に装着され、現像剤保持体を少なくとも備え、請求項6に記載の静電荷像現像剤を収容するプロセスカートリッジ。
【請求項9】
潜像保持体と、前記潜像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記潜像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記潜像保持体の表面に形成された静電潜像を請求項6に記載の静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記潜像保持体の表面に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写手段と、前記被転写体に転写されたトナー像を前記被転写体に定着する定着手段と、転写後の前記潜像保持体表面の残留トナーを除去するクリーニング手段と、を少なくとも備える画像形成装置。
【請求項10】
前記現像手段が前記潜像保持体表面に前記静電荷像現像剤を供給する現像剤保持体を少なくとも備え、前記現像剤保持体は、回転しながら前記潜像保持体表面に前記静電荷像現像剤を供給する筒状部材であり、前記静電荷像現像剤を供給する際の前記現像剤保持体の周速が1000mm/s以上である請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記被転写体に前記トナー像が転写されてから前記被転写体に前記トナー像が定着されるまでに、前記被転写体の前記トナー像が転写された面とは反対の面側から前記トナー像の転写された面側に向かう法線方向と重力方向とのなす角が0°以上90°以下となるように前記被転写体を搬送する経路を有する請求項9又は請求項10に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−85681(P2010−85681A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−254241(P2008−254241)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】