説明

非塩基性メラニン凝集ホルモン受容体−1アンタゴニスト

本発明は、式Iによる化合物、並びにその全ての立体異性体、溶媒和物、プロドラッグおよび医薬的に許容される形態を提供する。さらに、本発明は、少なくとも1つの式(I)による化合物および、適宜、少なくとも1つのさらなる治療薬を含有する医薬組成物を提供する。最後に、本発明は、治療上有効な用量の式(I)(ここでR1、R1a、R1b、A、R3、R4、R5、R5bおよびR6は本明細書に記載の通りである)による化合物を投与することによる、MCHR-1調節疾患または障害、例えば、肥満症、糖尿病、うつ病もしくは不安症などを患っている患者の治療方法を提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メラニン凝集ホルモン受容体−1調節疾患または障害の治療に有用な化合物、並びに該化合物を含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景技術)
いくつかの系の薬理学的および遺伝学的証拠により、食物摂取および体重のモジュレーターとしてのメラニン凝集ホルモン受容体−1(以降「MCHR1」)の役割が裏付けられる。MCHの中枢投与は、ラットおよびマウスの両者において食物摂取および体重を増加させる。MCHの慢性的なICV注入は、マウスにおいて食物摂取の増大および最終的には肥満を引き起こす一方、MCHペプチドアンタゴニストの注入は、MCH-誘導性食物摂取を阻止し、食餌誘導性肥満マウスにおいて体重減少および摂食減少をもたらす。
【0003】
MCHペプチドと受容体の両方の発現は、栄養状態によって調節される。MCH mRNAは、食欲過剰の肥満マウス(ob/ob)、および絶食動物の両者において上方制御される。MCHペプチド遺伝子の標的破壊は、食欲の減退および痩せをもたらす。MCHR1遺伝子の破壊は、痩せ、代謝変化、および軽度の過食を伴った過剰運動を引き起こす。反対に、MCHペプチドの過剰発現は、過食症、肥満症および糖尿病をもたらす。小分子MCHR1アンタゴニストは、経口投与および腹腔内投与の両方の後に、げっ歯類の体重および摂食のモデルにおいて体重減少を引き起こすことが示されている(非特許文献1)。
【0004】
多くの非ペプチドMCHR1アンタゴニストが開示されている。各々についての属の範囲は、MCHR1アゴニストとしてのリガント認識に必要とされる基準に関する共通の認識を表している。 MCHR1の特許公開による最近の概説によって、以下の記載によるこれらの構造の共通性が強調された(非特許文献2)。これらの属のファルマコフォアモデルは、アンタゴニストリガンドの塩基性アミン中心と、受容体のアスパラギン酸123との間で推定される予め必要な静電相互作用を常に想定しており、おそらくそれは、MCHペプチドアゴニストのアルギニン14とMCHR1受容体のアスパラギン酸123の間の必須な相互作用を模倣すると考えられる(非特許文献3)。しかしながら、この塩基性アミンをMCHR1アンタゴニストに組み入れることにより、オフターゲットのイオンチャネルおよび生体アミン受容体への結合の可能性が実質的に増大する。
【0005】
本明細書において発明者らは、特許文献1に記載の塩基性アミン部分を非塩基性極性官能基で置換することにより得られる、一連の新規な高親和性選択的MCHR1アンタゴニストについて記載する。さらに、この構造的改変は、他の生体アミン受容体への結合ならびに心臓におけるHERG受容体への結合の予期せぬ切断をもたらす。リガンド占有は致死性不整脈の発症に関連していることから、HERG受容体に対する親和性の低下/消滅は特に重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第03/033476号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Eur. J. Pharmacol., 438:129-135 (2002), Nat. Med., 8:825-830 (2002), Eur. J. Pharmacol., 497:41-47 (2004)
【非特許文献2】“Ubiquitous throughout the MCH patent literature are molecules consisting of a central scaffold to which linkers to an aryl or heteroaryl group and a basic amino functionality are attached” (T. J. Kowalski and M. D. MacBriar, Expert Opin. Invest. Drugs, 13:1113-1122 (2004))
【非特許文献3】T. Ulven, J. Med. Chem., 48:5684-5697 (2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、メラニン凝集ホルモン受容体−1調節疾患または障害の治療に有用な式Iを有する化合物、並びに該化合物を含有する医薬組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の概要)
本発明は、以下の式Iを有する化合物、肥満症の治療にそれを用いる方法、および式Iの化合物を含有する医薬組成物に関する。本発明の化合物は以下:
【化1】

[式中、
Aは、NまたはCR2であり;
R1、R1bおよびR1aは同一または異なって、各々独立して、H、ハロ、低級アルキル、シクロアルキル、CF3、アルコキシまたはチオアルコキシから選択され;
R2は、Hまたは低級アルキルであり;
R3は、H、ハロ、低級アルキル、シクロアルキル、CF3、低級アルコキシ、チオアルコキシ、またはCNであり;
R4は、-OHまたは-G-D-Znであり;
R5およびR5bは同一または異なって、各々独立してH、ハロ、または低級アルキルから選択され;
nは、1から3であり;
Gは、OまたはSであり;
Dは、直結、低級アルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルおよび
【化2】

(式中、Xは-O-、-S-、-SO-または-SO2-である)からなる群から選択され;
Zは、水素、ヒドロキシル、ポリハロアルキル、低級アルキル、低級アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、OCONR6R7、CN、CONR8R9、SOR10、SO2R11、NR12COR13、NR14CO2R15、COR16、5から6員ヘテロアリール、または独立して-O-、-S-、-SO-もしくは-SO2-である2個以下のヘテロ原子を含有する4から6-員ヘテロシクロアルキルであり;
R6、R7、R8、R9、R12およびR14は同一または異なって、各々独立して、H、低級アルキルもしくはシクロアルキルから選択されるか、あるいはR6とR7および/またはR8とR9はそれらが結合する原子と一緒になって4から7員環を形成してもよく;そして、
R10、R11 R13、R15およびR16は同一または異なって、各々独立して、低級アルキルまたはシクロアルキルから選択される]
のとおり記載され、その医薬的に許容される塩、溶媒和物、およびプロドラッグを含有する。
【0010】
本発明のいくつかの実施態様において、R4は-G-D-Znであり、Dは低級アルキルである。
【0011】
本発明のいくつかの実施態様において、ZはCOR16、-OH、ジオキシラニル、またはCF3である。
【0012】
本発明のいくつかの実施態様において、R3はメトキシである。
【0013】
本発明のいくつかの実施態様において R1はClである。
【0014】
本発明のいくつかの実施態様において、R1a、R1b、R5、およびR5bはHである。
【0015】
本発明のいくつかの実施態様において、R4は-G-D-Zn; Dは低級アルキルであり; Zは-OH、ジオキシラニル、またはCF3であり; R3はメトキシであり; R1はClであり; そしてR1a、R1b、R5、およびR5bはHである。
【0016】
本発明のいくつかの実施態様において、上記の式Iを有する少なくとも1つの化合物、および少なくとも1つの医薬的に許容される希釈剤または担体を含有する医薬組成物を提供する。
【0017】
本発明のいくつかの実施態様において、治療上有効な用量の式Iに記載の化合物を、他の治療薬(例えば以下に記載のもの)と適宜組み合わせて投与することによる、MCHR-1調節疾患または障害、例えば、肥満症、糖尿病、うつ病または不安症などを患っている患者の治療方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(定義)
他に断りのない限り、単独または別の基の一部として本明細書で用いられる用語「低級アルキル」は、1から8個の炭素を含む直鎖および分枝鎖の両方の炭化水素を含み、単独または別の基の一部として本明細書で用いられる用語「アルキル」および「アルカ(alk)」は、ノルマル鎖(normal chain)中に1から20個の炭素、好ましくは1から10個の炭素、より好ましくは1から8個の炭素を含む直鎖および分枝鎖の両方の炭化水素、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t-ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、4,4-ジメチルペンチル、オクチル、2,2,4-トリメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、その様々な分枝鎖異性体など、並びに、1から4個の置換基、例えばハロ(例えばF、Br、ClもしくはI)またはCF3、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリール(アリール)もしくはジアリール、アリールアルキル、アリールアルキルオキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルキルオキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アシル、アルカノイル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、シクロヘテロアルキル、アリールヘテロアリール、アリールアルコキシカルボニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルコキシ、アリールオキシアルキル、アリールオキシアリール、アルキルアミド、アルカノイルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ニトロ、シアノ、チオール、ハロアルキル、トリハロアルキルおよび/またはアルキルチオを含むそれらの基を含む。
【0019】
他に断りのない限り、単独または別の基の一部として本明細書で用いられる用語「シクロアルキル」または「低級シクロアルキル」は、1から3個の環(そのいずれか1つは適宜、スピロ置換シクロアルキルであってよい)を含有する飽和または部分飽和(1または2個の二重結合を有する)環状炭化水素基(環を形成する計3から20個の炭素、好ましくは環を形成する計3から10個の炭素を含有し、単環式アルキル、二環式アルキルおよび三環式アルキルなどが含まれる)を含み、これはアリールについて記載したように1または2個の芳香環に縮合していてよく、これにはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシルおよびシクロドデシル、シクロヘキセニル、
【化3】

が挙げられ、その基のいずれも、1から4個の置換基、例えばハロゲン、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、シクロアルキル、アルキルアミド、アルカノイルアミノ、オキソ、アシル、アリールカルボニルアミノ、ニトロ、シアノ、チオールおよび/またはアルキルチオ、および/またはアルキル置換基のいずれかで適宜置換され得る。
【0020】
他に断りのない限り、単独または別の基の一部として本明細書で用いられる用語「シクロアルコキシ」または「低級シクロアルコキシ」は、環中に酸素を含有する4-、5-または6-員飽和環を表し、
【化4】

および、
【化5】

を含み、それは適宜、シクロアルキルについて記載した、1または2個のいずれかの置換基で置換されていてよい。
【0021】
単独または別の基の一部として、本明細書で用いられる用語「ヘテロシクロアルキル」は、飽和または不飽和であり得る無置換または置換された安定な4から7-員単環式環系を表し、それは窒素、酸素または硫黄から選択される1から4個のヘテロ原子と共に炭素原子から成り、その中で該窒素および硫黄ヘテロ原子は適宜酸化されていてよく、該窒素ヘテロ原子は適宜四級化されていてよい。該ヘテロ環は、安定な構造をもたらす、いずれのヘテロ原子または炭素原子でも結合し得る。そのようなヘテロ環基の例としては、限定はされないが、ピペリジニル、ピペラジニル、オキソピペラジニル、オキソピペリジニル、オキソピロリジニル、オキソアゼピニル、アゼピニル、ピロリル、ピロリジニル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、ピラゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、テトラヒドロピラニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、オキサジアゾリルおよび、Katritzky, A.R. and Rees, C.W., eds., Comprehensive Heterocyclic Chemistry: The Structure, Reactions, Synthesis and Uses of Heterocyclic 化合物, Pergamon Press, New York, NY (1984); and Katritzky, A.R., Rees, C.W., Scriven, E.F., eds., Comprehensive Heterocyclic Chemistry II: A Review of the Literature 1982-1995, Elsevier Science, Inc., Tarrytown, NY (1996);およびその中の引用文献に記載されている他のヘテロ環が挙げられる。該ヘテロシクロアルキルは、F、Br、ClもしくはI、またはCF3、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリール(アリール) もしくはジアリール、アリールアルキル、アリールアルキルオキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルキルオキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アシル、アルカノイル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、シクロヘテロアルキル、アリールヘテロアリール、アリールアルコキシカルボニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルコキシ、アリールオキシアルキル、アリールオキシアリール、アルキルアミド、アルカノイルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ニトロ、シアノ、チオール、ハロアルキル、トリハロアルキルおよびまたは/アルキルチオのうちの少なくとも1つで適宜置換されていてよい。
【0022】
単独または別の基の一部として本明細書で用いられる用語「アルカノイル」は、カルボニル基に結合したアルキルを言う。
【0023】
単独または別の基の一部として本明細書で用いられる用語「ハロゲン」または「ハロ」は、塩素、臭素、フッ素、およびヨウ素を言い、塩素またはフッ素が好ましい。
【0024】
用語「金属イオン」とは、アルカリ金属イオン(例えばナトリウム、カリウムまたはリチウム)およびアルカリ土類金属イオン(例えばマグネシウムおよびカルシウム)、並びに亜鉛およびアルミニウムを言う。
【0025】
単独または別の基の一部としての本明細書における用語「アリール」とは、単環式または二環式芳香環、例えば、フェニル、置換フェニルなど、並びに縮合する基、例えば、ナフチル、フェナントレニルなどを言う。従って、アリール基は、少なくとも6個の原子を有する環を少なくとも1つ、最大5個、その中には最大22個の原子を、隣接した炭素原子または適切なヘテロ原子の間の共鳴二重結合と共に含む。アリール基は、1個以上の基(限定はされないがハロゲン、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、カルバモイル、アルキルオキシカルボニル、ニトロ、アルケニルオキシ、トリフルオロメチル、アミノ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シアノ、アルキルS(O)m(m=0、1、2)、またはチオール、および/または本明細書に記載のいずれかのアルキル置換基が含まれる)で適宜置換されていてよい。
【0026】
他に断りのない限り、単独または別の基の一部として本明細書で用いられる用語「ヘテロアリール」とは、1、2、3または4個のヘテロ原子(例えば窒素、酸素または硫黄)を含む5-または6-員芳香環を言う。そのような環は、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルに縮合していてよく、Katritzky, A.R. and Rees, C.W., eds. Comprehensive Heterocyclic Chemistry: The Structure, Reactions, Synthesis and Uses of Heterocyclic Compounds, Pergamon Press, New York, NY (1984); and Katritzky, A.R., Rees, C.W., Scriven, E.F., eds., Comprehensive Heterocyclic Chemistry II: A Review of the Literature 1982-1995, Elsevier Science, Inc., Tarrytown, NY (1996); およびその中の引用文献に記載されている可能なN-オキシドを含む。さらに、本明細書に定義される「ヘテロアリール」は、1個以上の置換基(例えば、上記の「置換アルキル」および「置換アリール」の定義に含まれる置換基)で適宜置換されていてよい。ヘテロアリール基の例としては、以下:
【化6】

などが挙げられる。
【0027】
他に断りのない限り、単独または別の基の一部として本明細書で用いられる用語「低級アルコキシ」、「アルコキシ」、「アリールオキシ」または「アラルコキシ」には、酸素原子に結合したいずれか上記のアルキル、アラルキルまたはアリール基が含まれる。
【0028】
他に断りのない限り、単独または別の基の一部として本明細書で用いられる用語「低級アルキルチオ」、「アルキルチオ」、「アリールチオ」または「アラルキルチオ」には、硫黄原子に結合したいずれか上記のアルキル、アラルキルまたはアリール基が含まれる。
【0029】
本明細書で用いられる用語「ポリハロアルキル」とは、2から9個、好ましくは2から5個のハロ置換基(例えばFまたはCl、好ましくはF)を含む上記の「アルキル」基、例えばCF3CH2、CF3またはCF3CF2CH2を言う。
【0030】
本明細書で用いられる用語「ポリハロアルキルオキシ」とは、2から9個、好ましくは2から5個のハロ置換基(例えばFまたはCl、好ましくはF)を含む上記の「アルコキシ」または「アルキルオキシ」基、例えばCF3CH2O、CF3OまたはCF3CF2CH2Oを言う。
【0031】
用語「プロドラッグ」は、用語「プロドラッグエステル」および用語「プロドラッグエーテル」の両方を包含する。本明細書で用いられる用語「プロドラッグエステル」は、当業者に公知の方法を用いて、式Iの化合物の1個以上のヒドロキシルを、アルキル、アルコキシもしくはアリール置換アシル化剤またはリン酸化剤のいずれかと反応させて、アセテート、ピバレート、メチルカーボネート、ベンゾエート、アミノ酸エステル、ホスフェートなどを生成させることによって形成されるエステルおよびカーボネートを含む。
【0032】
そのようなプロドラッグエステルの例としては、
【化7】

が挙げられる。
【0033】
用語「プロドラッグエーテル」は、ホスフェートアセタール(phosphate acetal)およびO-グルコシドの両方を含む。そのようなプロドラッグエーテルの代表的な例としては、
【化8】

が挙げられる。
【0034】
(詳細な説明)
本発明は、以下の式I:
【化9】

[式中、
Aは、NまたはCR2であり;
R1、R1bおよびR1aは同一または異なって、各々独立して、H、ハロ、低級アルキル、シクロアルキル、CF3、アルコキシまたはチオアルコキシから選択され;
R2は、Hまたは低級アルキルであり;
R3は、H、ハロ、低級アルキル、シクロアルキル、CF3、低級アルコキシ、チオアルコキシ、またはCNであり;
R4は、-OHまたは-G-D-Znであり;
R5およびR5bは同一または異なって、各々独立して、H、ハロまたは低級アルキルから選択され;
nは、1から3であり;
Gは、OまたはSであり;
Dは、直結、低級アルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルおよび
【化10】

(式中、Xは、-O-、-S-、-SO-または-SO2-、例えば、該環は、1,3-ジオキサラン(dioxalane)、1,3-ジチオラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオフェン-1-オキシド、スルホラン、1,4-オキサチアン、1,4-オキサチアン-1-オキシド、1,4-オキサチアン-1,1-ジオキシド、1,3-ジチアン、1,4-ジチアン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、1,3-オキサチオラン、1,3-オキサチオラン-1-オキシド、1,3-オキサチオラン-1,1-ジオキシドである)からなる群から選択され;
Zは、水素、ヒドロキシル、ポリハロアルキル、低級アルキル、低級アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、OCONR6R7、CN、CONR8R9、SOR10、SO2R11、NR12COR13、NR14CO2R15、COR16、独立して-O-、-S-、-SO-もしくは-SO2-である2個以下のヘテロ原子を含有する5から6員ヘテロアリール、もしくは4から6-員ヘテロシクロアルキルであり;
R6、R7、R8、R9、R12およびR14は同一または異なって、各々独立してH、低級アルキルまたはシクロアルキルから選択されるか、あるいはR6とR7および/またはR8とR9はそれらが結合する原子と一緒になって4から7員環を形成してもよく;そして、
R10、R11 R13、R15およびR16は同一または異なって、各々独立して低級アルキルまたはシクロアルキルから選択される]
を有する化合物、並びにその医薬的に許容される塩、溶媒和物、およびプロドラッグを提供する。
【0035】
本発明のいくつかの実施態様によると、少なくとも1つの本明細書に記載の式Iを有する化合物、および少なくとも1つの医薬的に許容される希釈剤または単体を含有する医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は適宜、本明細書に記載の、抗肥満薬; 抗糖尿病薬、食欲抑制薬; コレステロール/脂質低下薬、およびHDL増加薬(HDL-raising agent)からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる治療薬を含んでよい。
【0036】
本発明はまた、少なくとも1つの式Iを有する化合物と、本明細書に記載の抗肥満薬; 抗糖尿病薬、食欲抑制薬; コレステロール/脂質低下薬、およびHDL増加薬からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる治療薬を含む、医薬の組み合わせを提供する。
【0037】
本発明の一実施態様によると、該抗糖尿病薬は、インスリン分泌促進薬、インスリン抵抗性改善薬(insulin sensitizer)、グルコキナーゼ阻害剤、グルココルチコイドアンタゴニスト、フルクトース1,6-ビスホスファターゼ阻害剤、AMPキナーゼ活性化剤、インクレチンモジュレーター、グルコシダーゼ阻害剤、アルドース還元酵素阻害剤、PPARγアゴニスト、PPARαアゴニスト、PPARδアンタゴニストもしくはアゴニスト、PPARα/γデュアルアゴニスト、11-β-HSD-1阻害剤、ジペプチジルペプチダーゼIV(DP4)阻害剤、SGLT2阻害剤、インスリン、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、GLP-1アゴニスト、およびPTP-1B阻害剤からなる群から選択される。
【0038】
本発明の一実施態様によると、さらなる治療薬は、メラノコルチン受容体(MC4R)アゴニスト、カンナビノイド受容体モジュレーター、成長ホルモン分泌促進因子受容体(GHSR)アンタゴニスト、ガラニン受容体モジュレーター、オレキシンアンタゴニスト、CCKアゴニスト、GLP-1アゴニスト、プレ-プログルカゴン-由来ペプチド; NPY1もしくはNPY5アンタゴニスト; NPY2およびNPY4モジュレーター; コルチコトロピン(orticotropin)放出因子アゴニスト、ヒスタミン受容体-3(H3)モジュレーター、aP2阻害剤、PPARγモジュレーター、PPARλモジュレーター、アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)阻害剤、11-β-HSD-1阻害剤、アディノペクチン受容体モジュレーター(adinopectin receptor modulator); β3アドレナリンアゴニスト、甲状腺受容体βモジュレーター、リパーゼ阻害剤、セロトニン受容体アゴニスト、モノアミン再取り込み阻害剤もしくは放出剤、食欲低下薬、CNTF阻害剤、BDNF阻害剤、DGAT阻害剤、レプチン、レプチン受容体モジュレーター、およびカンナビノイド-1受容体アンタゴニストからなる群から選択される抗肥満薬である。
【0039】
本発明の一実施態様によると、治療上有効な量の少なくとも1つの式Iによる化合物を単独で、あるいは本明細書に記載のものから選択される1つ以上のさらなる抗肥満薬と組み合わせて投与することを含む、治療を必要とする患者における肥満症の治療方法を提供する。
【0040】
本発明の一実施態様によると、治療上有効な量の少なくとも1つの式Iによる化合物を単独で、あるいは本明細書に記載されている1つ以上のさらなる抗糖尿病薬と組み合わせて投与することを含む、治療を必要とする患者における糖尿病、特にII型糖尿病の治療方法を提供する。
【0041】
本発明の一実施態様によると、治療上有効な量の少なくとも1つの式Iによる化合物を投与することを含む、患者におけるうつ病の治療方法を提供する。
【0042】
本発明の一実施態様によると、治療上有効な量の式Iを有する化合物を投与することを含む、治療と必要とする患者における不安症の治療方法を提供する。
【0043】
式Iの化合物は塩として存在することができ、それもまた本発明の範囲内である。医薬的に許容される(すなわち、無毒性で、生理学的に許容される)塩が好ましい。例えば、式Iの化合物が少なくとも1つの塩基性中心(basic center)を有する場合、それらは酸付加塩を形成することができる。これらは、例えば、鉱酸(例えば硫酸、リン酸またはハロゲン化水素酸)などの強無機酸によってか、炭素数1から4個のアルカンカルボン酸(例えば、無置換であるかまたは例えばクロロ酢酸のようなハロゲンにより置換されている酢酸)、飽和または不飽和のジカルボン酸(例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸もしくはテレフタル酸)、ヒドロキシカルボン酸(例えばアスコルビン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸もしくはクエン酸)、アミノ酸(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸、リジンもしくはアルギニン)または安息香酸といった有機カルボン酸によってか、あるいは無置換であるか例えばハロゲンにより置換されている(C1-C4)アルキルまたはアリールスルホン酸(例えばメチル-もしくはp-トルエン-スルホン酸)などの有機スルホン酸によって形成される。対応する酸付加塩はまた、必要に応じ、さらなる存在する塩基性中心を有して形成することができる。少なくとも1つの酸性基(例えばCOOH)を有する式Iの化合物もまた、塩基と塩を形成することができる。塩基との適切な塩は、例えば、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩などの金属塩(例えばナトリウム、カリウムまたはマグネシウム塩)、あるいはアンモニアまたはモルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピロリジン、モノ、ジもしくはトリ-低級アルキルアミン(例えばエチル、tert-ブチル、ジエチル、ジイソプロピル、トリエチル、トリブチルもしくはジメチル-プロピルアミン)、またはモノ、ジもしくはトリヒドロキシ低級アルキルアミン(例えばモノ、ジもしくはトリエタノールアミン)などの有機アミンとの塩である。対応する内部塩がさらに形成され得る。医薬的な使用には適切でないが、例えば、式Iの遊離化合物またはそれらの医薬的に許容される塩の単離または精製に用いることができる塩もまた含まれる。
【0044】
塩基性基を含む式Iの化合物の好ましい塩としては、一塩酸塩(monohydrochloride)、硫酸水素塩、メタンスルホン酸塩、リン酸塩、硝酸塩または酢酸塩が挙げられる。
【0045】
酸性基を含む式Iの化合物の好ましい塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩およびマグネシウム塩、並びに医薬的に許容される有機アミン塩が挙げられる。
【0046】
本発明の化合物の全ての立体異性体は、混合物または純粋もしくは実質的に純粋な形態のいずれかであると意図される。本発明の化合物は、R置換基のうちのいずれか1つを含有するいずれかの炭素原子に、不斉中心を有することができる。従って、式Iの化合物は、エナンチオマーもしくはジアステレオマーの形態、またはそれらの混合物として存在することができる。該製造方法には、出発物質としてラセミ体、エナンチオマーまたはジアステレオマーを用いることができる。ジアステレオマーもしくはエナンチオマーの生成物を製造する場合、それらは、通常の方法、例えばクロマトグラフィーもしくは分別結晶により分離することができる。
【0047】
本発明の化合物は、限定はされないが、代謝障害および摂食障害ならびに代謝障害に関連する症状(例えば、肥満症、糖尿病、動脈硬化症、高血圧症、多嚢胞性卵巣疾患、循環器疾患、変形性関節症、皮膚科疾患、グルコース止血障害(impaired glucose hemostasis)、インスリン抵抗性、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、胆石症(choletithiasis)、脂質異常症の症状(dislipidemic conditions)、神経性過食症および心因性摂食障害); 睡眠障害; ならびに精神疾患(例えばうつ病、不安症、統合失調症、薬物乱用、認知亢進(cognition-enhancement)およびパーキンソン病)を含む、様々な症状および障害の治療のために、哺乳類、好ましくはヒトに投与することができる。
【0048】
本発明に記載の化合物は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(例えば、タクリン)、ムスカリン受容体-1アゴニスト(例えば、ミラメリン)、ニコチンアゴニスト、グルタミン酸受容体(AMPAおよびNMDA)モジュレーター、および向神経薬(neurotropic agent)(例えば、ピラセタム、レベチラセタム)のような認知増強薬(cognition-enhancing agent)の効果を高めるために用いられ得る。本発明の化合物と組み合わせて用いるアルツハイマー病および認知障害の治療のための適切な治療薬(therapies)の例としては、ドネペジル、タクリン、レバスチグライン(revastigraine)、5HT6、γセクレターゼ阻害剤、βセクレターゼ阻害剤、SKチャネル遮断薬、Maxi-K遮断薬、およびKCNQs遮断薬が挙げられる。
【0049】
本発明に記載の化合物は、パーキンソン病の治療に用いられる薬剤の効果を高めるために用いられ得る。パーキンソン病の治療のために用いられる薬剤の例としては: COMT阻害剤を伴うもしくは伴わないレバドパ(levadopa)、抗グルタミン酸薬(アマンタジン、リルゾール)、α-2アドレナリンアンタゴニスト(例えばイダゾキサン)、オピエートアンタゴニスト(例えばナルトレキソン)、他のドーパミンアゴニストまたはトランスポーターモジュレーター(例えばロピニロール、またはプラミペキソール)、あるいは神経栄養因子(例えばグリア由来神経栄養因子(GDNF))が挙げられる。
【0050】
本発明の化合物は、経口剤形で投与することができる。該医薬組成物の剤形には、顆粒剤、粉末剤、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、エマルジョン剤、懸濁剤などのような経口剤形、ならびに、注射剤(例えば、皮下、静脈内、筋肉内および腹腔内注射剤)、点滴、外用剤形(例えば、点鼻薬製剤、経皮製剤、軟膏剤など)、および坐薬(例えば、直腸坐薬および膣坐薬)などのような非経口剤形が含まれる。
【0051】
これらの剤形は、製薬過程で通常用いられる公知の技術により製造することができる。具体的な製造方法は以下のとおりである。
【0052】
例えば、賦形剤 (例えば、ラクトース、スクロース、デンプン、マンニトールなど)、崩壊剤(例えば、炭酸カルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウムなど)、結合剤(例えば、α-デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロースなど)、および滑沢剤(例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール6000など)を活性成分に添加し、得られた組成物を圧縮して、経口剤形を製造する。味の遮蔽または腸での崩壊もしくは徐放のために、必要であれば、圧縮した生成物を公知の技術によりコーティングする。用いることができるコーティング剤としては、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリオキシエチレングリコール、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、およびEudragit(Rohm & Haas, Germany, メタクリル-アクリル共重合体)が挙げられる。
【0053】
注射剤は一般的に、以下の方法により製造することができる。活性成分を水性ベヒクル(例えば、蒸留水、生理食塩水、リンガー溶液など)または油性ベヒクル(例えば、オリーブ油、ゴマ油、綿実油、コーン油などのような植物油、もしくはプロピレングリコール)に、分散剤(例えば、Tween 80 (Atlas Powder, U.S.A.)、HCO 60 (日光ケミカルズ)、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなど)、保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル、ベンジルアルコール、クロロブタノール、フェノールなど)、等張化剤(isotonizing agent)(例えば、塩化ナトリウム、グリセロール、ソルビトール、グルコース、転化糖など)および他の添加剤とともに溶解、懸濁、または乳化させる。必要に応じて、可溶化剤(例えば、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、クロロプロカイン塩酸塩など)および他の添加剤もまた加えることができる。
【0054】
外用剤形は、活性成分を、固体、半固体もしくは液体組成物に加工することにより製造することができる。例えば、そのままか、あるいは賦形剤(例えば、ラクトース、マンニトール、デンプン、微結晶セルロース、スクロースなど)、増粘剤(例えば、天然ガム、セルロース誘導体、アクリルポリマーなど)などとの混合物のいずれかの形態の活性成分を粉末に加工して、固体組成物を製造する。液体組成物は、上記の注射剤と実質的に同様の方法で製造することができる。半固体組成物は、好ましくは含水(hydrous)もしくは油性のゲル形態または軟膏剤形態で提供される。これらの組成物は適宜、pH調整剤(例えば、炭酸、リン酸、クエン酸、塩酸、水酸化ナトリウムなど)、および保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸エステル、クロロブタノール、塩化ベンザルコニウムなど)、その他の添加剤を含み得る。
【0055】
坐薬は、活性成分を、固体、半固体もしくは液体にかかわらず油性もしくは水性の組成物に加工することにより製造することができる。用いることができる油脂性基材(oleaginous base)としては、例えば、高級脂肪酸グリセリド[例えば、カカオバター、Witepsols (Dinamit-Nobel)など]、中鎖脂肪酸[例えば、Migriols (Dinamit-Nobel)など]、植物油(例えば、ゴマ油、大豆油、綿実油など)などが挙げられる。水溶性基材としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどが挙げられる。親水性基材としては、例えば、天然ガム、セルロース誘導体、ビニルポリマー、およびアクリルポリマーなどが挙げられる。
【0056】
本発明の医薬組成物の用量は、それぞれの活性成分に推奨される用量を基準にして適切に決定され、また、レシピエント、レシピエントの年齢および体重、現在の臨床状態、投与期間(administration time)、剤形、投与方法、および活性成分の組み合わせ、他の因子に応じて適切に選択することができる。例えば、成人に対するインスリン感受性賦活薬の用量は、0.01〜10 mg/kg 体重(好ましくは0.05〜10 mg/kg 体重、より好ましくは0.05〜5 mg/kg 体重)の範囲の臨床経口用量、または0.005〜10 mg/kg 体重(好ましくは0.01〜10 mg/kg 体重、より好ましくは0.01〜1 mg/kg 体重)の範囲の臨床非経口用量から選択することができる。組み合わせて用いるための困難な作用機序を有する他の活性成分もまた、それぞれの推奨される臨床用量範囲により選択される範囲で用いることができる。
【0057】
本発明の医薬組成物における活性成分の割合は、レシピエント、レシピエントの年齢および体重、現在の臨床状態、投与期間、剤形、投与方法、および活性成分の組み合わせ、他の因子に応じて適切に選択することができる。
【0058】
(組み合わせ)
本発明は、治療上有効な量の式Iの化合物のうち少なくとも1つを、単独であるいは医薬担体または希釈剤と組み合わせて、活性成分として含有する医薬組成物をその範囲に包含する。適宜、本発明の化合物を、単独で、前述の疾患の治療において有用な他の適切な治療薬: 抗肥満薬; 抗糖尿病薬、食欲抑制薬; コレステロール/脂質低下薬、HDL増加薬、認知増強薬、神経変性の治療に用いられる薬剤、呼吸器疾患の治療に用いられる薬剤、 腸疾患の治療に用いられる薬剤、抗炎症薬; 抗不安薬; 抗うつ薬; 抗高血圧薬; 強心配糖体; および抗腫瘍薬などと組み合わせて用いることができる。
【0059】
本発明の医薬の組み合わせは、生理学的に許容される担体、賦形剤、結合剤、希釈剤などと一緒または単独のいずれかの各々の活性成分と混合することによって、組み合わせてまたは別個に製剤化することができる。活性成分を独立して製剤化する場合、各々の製剤は、希釈剤などを用いて即座に混合して投与することができるか、互いに独立して、同じ対象に同時または時間差のいずれかで投与することができる。故に、そのような他の治療薬は、本発明に従って、メラニン凝集ホルモン受容体(MCHR)アンタゴニストの投与の前、同時、後に投与してもよい。
【0060】
本発明の化合物と組み合わせて用いるのに適した抗肥満薬の例としては、メラノコルチン受容体(MC4R)アゴニスト、カンナビノイド受容体モジュレーター、成長ホルモン分泌促進因子受容体(GHSR)アンタゴニスト、ガラニン受容体モジュレーター、オレキシンアンタゴニスト、CCKアゴニスト、GLP-1アゴニスト、および他のプレ-プログルカゴン-由来ペプチド: NPY1もしくはNPY5アンタゴニスト、NPY2およびNPY4モジュレーター、コルチコトロピン放出因子アゴニスト、ヒスタミン受容体-3(H3)モジュレーター、aP2阻害剤、PPARγモジュレーター、PPARλモジュレーター、アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)阻害剤、11-β-HSD-1阻害剤、アディノペクチン受容体モジュレーター; β3アドレナリンアゴニスト、例えばAJ9677(武田/大日本)、L750355(Merck)、またはCP331648(Pfizer)あるいは米国特許第5,541,204号、第5,770,615号、第5,491,134号、第5,776,983号および第5,488,064号に開示の他の公知のβ3アゴニスト、甲状腺受容体βモジュレーター、例えばWO 97/21993(U. Cal SF)、WO 99/00353(KaroBio)およびWO 00/039077(KaroBio)に開示の甲状腺受容体リガンド、リパーゼ阻害剤、例えば オーリスタットまたはATL-962(Alizyme)、セロトニン受容体アゴニスト(例えば、BVT-933(Biovitrum))、モノアミン再取り込み阻害剤もしくは放出剤、例えばフェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フルボキサミン、フルオキセチン、パロキセチン、セルトラリン、クロルフェンテルミン、クロホレックス(cloforex)、クロルテルミン(clortermine)、ピシロレクス(picilorex)、シブトラミン、デキサンフェタミン(dexamphetamine)、フェンテルミン、フェニルプロパノールアミンまたはマジンドール、食欲低下薬、例えばトピラメート(Johnson & Johnson)、CNTF(毛様体神経栄養因子)/アクソカイン(Axokine)(登録商標)(Regeneron)、BDNF(脳由来神経栄養因子)、レプチンおよびレプチン受容体モジュレーター、あるいはカンナビノイド-1受容体アンタゴニスト、例えばSR-141716(Sanofi)またはSLV-319(Solvay)、ならびにDGAT阻害剤、例えばWO 2006/134317 (A1) (Astra Zeneca)、WO 2006/044775 (A2) (Bayer)、WO 2006/06019020 (A1) (三共)、WO 2006/082010 (A1) (Roche)、WO 2004/047755 (A2) (日本たばこ、Tularik)、およびWO 2005/0727401 (A2) (Amgen, 日本たばこ)に開示のものが挙げられる。
【0061】
本発明の化合物と組み合わせて用いるのに適した抗糖尿病薬の例としては: インスリン分泌促進薬またはインスリン抵抗性改善薬が挙げられ、それには、ビグアナイド、スルホニル尿素、グルコシダーゼ阻害剤、アルドース還元酵素阻害剤、PPARγアゴニスト(例えばチアゾリジンジオン)、PPARαアゴニスト(例えばフィブリン酸誘導体)、PPARδアンタゴニストもしくはアゴニスト、PPARα/γデュアルアゴニスト、11-β-HSD-1阻害剤、ジペプチジルペプチダーゼIV(DP4)阻害剤、SGLT2阻害剤(ダパグリフロジン(dapagliflozin)およびセルグリフロジン(serglifozin)など)、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、および/またはメリグリチニド、並びにインスリン、および/またはグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、GLP-1アゴニスト、および/またはPTP-1B阻害剤(タンパク質チロシンホスファターゼ-1B阻害剤)が含まれ得る。
【0062】
該抗糖尿病薬は、経口抗高血糖薬、好ましくはメトホルミンまたはフェンホルミンのようなビグアナイド、またはその塩、好ましくはメトホルミンHClであり得る。該抗糖尿病薬がビグアナイドである場合、本発明の化合物は、ビグアナイドに対して約0.001:1〜約10:1、好ましくは約0.01:1〜約5:1の範囲内の重量比で用いられ得る。
【0063】
該抗糖尿病薬はまた、好ましくは、グリブリド(グリベンクラミドとしても知られる)、グリメピリド(米国特許第4,379,785号に開示)、グリピジド、グリクラジドまたはクロルプロパミドのようなスルホニル尿素、β-細胞のATP依存性チャネルに作用する他の公知のスルホニル尿素または他の抗高血糖薬であってもよく、グリブリドおよびグリピジドが好ましく、それらは同一または別個の経口剤形で投与され得る。該経口抗糖尿病薬はまた、アカルボース(米国特許第4,904,769号に開示)またはミグリトール(米国特許第4,639,436号に開示)のようなグルコシダーゼ阻害剤であってもよく、それらは同一または別個の経口剤形で投与され得る。
【0064】
本発明の化合物は、チアゾリジンジオン経口抗糖尿病薬のようなPPARγアゴニスト、または他のインスリン抵抗性改善薬(NIDDM患者においてインスリン感受性効果を有する)、例えばロシグリタゾン(SKB)、ピオグリタゾン(武田)、三菱のMCC-555(米国特許第5,594,016号に開示)、Glaxo-WellcomeのGL-262570、エングリタゾン(CP-68722, Pfizer)もしくはダルグリタゾン(CP-86325, Pfizer)、イサグリタゾン(MIT/J&J)、JTT-501(JPNT/P&U)、L-895645(Merck)、R-119702(三共/WL)、NN-2344(Dr. Reddy/NN)、またはYM-440(山之内)と組み合わせて用いてもよく、ロシグリタゾンおよびピオグリタゾンが好ましい。
【0065】
本発明の化合物は、PPARα/γデュアルアゴニスト、例えばMK-767/KRP-297 (Merck/キョーリン; K. Yajima, et al., Am. J. Physiol. Endocrinol. Metab., 284:E966-E971 (2003)に記載)、AZ-242(テサグリタザル; Astra-Zeneca; B. Ljung, et al., J. Lipid Res., 43:1855-1863 (2002)に記載); マルグリタザー(muraglitazar); または米国特許第6,414,002号に記載の化合物とともに用いてもよい。
【0066】
本発明の化合物は、抗高脂血症薬、または動脈硬化症の治療に用いる薬剤と組み合わせて用いてもよい。抗高脂血症薬(hypolipidemic agent)の例はHMG CoA還元酵素阻害剤であり、これには、限定はされないが、米国特許第3,983,140号に開示のメバスタチンと関連化合物、米国特許第4,231,938号に開示のロバスタチン(メビノリン)と関連化合物、米国特許第4,346,227号に開示のようなプラバスタチンと関連化合物、米国特許第4,448,784号および第4,450,171号に開示のシンバスタチンと関連化合物が含まれる。本明細書で用いられ得る他のHMG CoA還元酵素阻害剤としては、限定はされないが、米国特許第5,354,772号に開示のフルバスタチン、米国特許第5,006,530号および第5,177,080号に開示のセリバスタチン、米国特許第4,681,893号、第5,273,995号、第5,385,929号および第5,686,104号に開示のアトルバスタチン、米国特許第5,011,930号に開示のピタバスタチン(日産/三共のニスバスタチン(NK-104)またはイタバスタチン(itavastatin))、米国特許第5,260,440号に開示の塩野義-Astra/Zeneca ロスバスタチン(visastatin (ZD-4522))、および米国特許第5,753,675号に開示の関連するスタチン化合物、米国特許第4,613,610号に開示のメバロノラクトン誘導体のピラゾールアナログ、PCT出願WO 86/03488に開示のメバロノラクトン誘導体のインデンアナログ、米国特許第4,647,576号に開示の6-[2-(置換-ピロール-1-イル)-アルキル)ピラン-2-オンとその誘導体、SearleのSC-45355(a 3-置換 ペンタン二酸誘導体)ジクロロ酢酸、PCT出願WO 86/07054に開示のメバロノラクトンのイミダゾールアナログ、フランス特許第2,596,393号に開示の3-カルボキシ-2-ヒドロキシ-プロパン-ホスホン酸誘導体、欧州特許出願第0221025号に開示の2,3-二置換ピロール、フランおよびチオフェン誘導体、米国特許第4,686,237号に開示のメバロノラクトンのナフチルアナログ、米国特許第4,499,289号に開示のようなオクタヒドロナフタレン、欧州特許出願第0142146A2号に開示のメビノリン(ロバスタチン)のケトアナログ、並びに米国特許第5,506,219号および第5,691,322号に開示のキノリンおよびピリジン誘導体が挙げられる。さらに、本明細書における使用に適しており、HMG CoA還元酵素の阻害に有用なホスフィン酸化合物は、GB 2205837に開示されている。
【0067】
本明細書における使用に適したスクアレン合成酵素阻害剤としては、限定はされないが、米国特許第5,712,396号に開示のα-ホスホノ-スルホネート、Biller et al., J. Med. Chem., 31, 1869-1871 (1998)により開示のもの(イソプレノイド(ホスフィニル-メチル)ホスホネートを含む)、並びに、例えば米国特許第4,871,721号および第4,924,024号およびBiller, S.A. et al., Current Pharmaceutical Design, 2:1-40 (1996)に開示の他の公知のスクアレン合成酵素阻害剤が挙げられる。
【0068】
さらに、本明細書における使用に適した他のスクアレン合成酵素阻害剤として、P. Ortiz de Montellano et al., J. Med. Chem., 20:243-249 (1977)により開示のテルペノイドピロホスフェート、Corey and Volante, J. Am. Chem. Soc., 98:1291-1293 (1976)により開示のファルネシルジホスフェートアナログAおよびプレスクアレンピロホスフェート(PSQ-PP)アナログ、McClard, R.W. et al., J. Am. Chem. Soc., 109:5544 (1987)により報告されたホスフィニルホスホネート、およびCapson, T.L., Ph.D. dissertation, June, 1987, Dept. Med. Chem. U of Utah, Abstract, Table of Contents, pp. 16, 17, 40-43, 48-51, Summaryにより報告されたシクロプロパンが挙げられる。
【0069】
本明細書における使用に適した他の抗高脂血症薬として、限定はされないが、フィブリン酸誘導体、例えばフェノフィブラート、ゲムフィブロジル、クロフィブラート、ベザフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラートなど、プロブコールおよび米国特許第3,674,836号に開示の関連化合物(プロブコールおよびゲムフィブロジルが好ましい)、胆汁酸捕捉剤(sequestrant)、例えばコレスチラミン、コレスチポールおよびDEAE-セファデックス(SECHOLEX, POLICEXIDE)およびコレスタゲル(cholestagel)(三共/Geltex)、並びにリポスタビル(Rhone-Poulenc)、エーザイE-5050(N-置換エタノールアミン誘導体)、イマニキシル(HOE-402)、テトラヒドロリプスタチン(THL)、イスチグマスタニルホスホリルコリン(istigmastanylphos-phorylcholine)(SPC, Roche)、アミノシクロデキストリン(田辺製薬)、味の素AJ-814(アズレン誘導体)、メリナミド(住友)、Sandoz 58-035、American Cyanamid CL-277,082およびCL-283,546 (二置換ウレア誘導体)、ニコチン酸(ナイアシン)、アシピモックス、アシフラン、ネオマイシン、p-アミノサリチル酸、アスピリン、米国特許第4,759,923号に開示のようなポリ(ジアリルメチルアミン)誘導体、四級アミンポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド )および米国特許第4,027,009号に開示のようなイオネン、並びに他の公知の血清コレステロール低下薬が挙げられる。
【0070】
他の抗高脂血症薬は、例えばDrugs of the Future, 24:9-15 (1999), (Avasimibe); Nicolosi et al., ”The ACAT inhibitor, Cl-1011 is effective in the prevention and regression of aortic fatty streak area in hamsters”, Atherosclerosis (Shannon, Irel.), 137(1):77-85 (1998); Ghiselli, G., ”The pharmacological profile of FCE 27677: a novel ACAT inhibitor with potent hypolipidemic activity mediated by selective suppression of the hepatic secretion of ApoB100-containing lipoprotein”, Cardiovasc. Drug Rev., 16(1):16-30 (1998); Smith, C. et al., ”RP 73163: a bioavailable alkylsulfinyl-diphenylimidazole ACAT inhibitor”, Bioorg. Med. Chem. Lett., 6(1):47-50 (1996); Krause et al., ”ACAT inhibitors: physiologic mechanisms for hypolipidemic and anti-atherosclerotic activities in experimental animals”, Inflammation: Mediators Pathways, CRC, Boca Raton, Fla., publ., Ruffolo, Robert R., Jr.; Hollinger, Mannfred A., eds., pp. 173-198 (1995); Sliskovic et al., ”ACAT inhibitors: potential anti-atherosclerotic agents”, Curr. Med. Chem., 1(3):204-225 (1994); Stout et al., ”Inhibitors of acyl -CoA:cholesterol O-acyl transferase (ACAT) as hypocholesterolemic agents. 6. The first water-soluble ACAT inhibitor with lipid-regulating activity. Inhibitors of acyl-CoA:cholesterol acyltransferase (ACAT). 7. Development of a series of substituted N- phenyl -N'-[(1-phenylcyclopentyl)- methyl]ureas with enhanced hypocholesterolemic activity”, Chemtracts: Org. Chem., 8(6):359-362 (1995)に開示のもの、またはTS-962(大正製薬株式会社)、並びにF-1394、CS-505、F-12511、HL-004、K-10085およびYIC-C8-434などといったACAT阻害剤(抗アテローム性動脈硬化活性も有する)であってよい。
【0071】
抗高脂血症薬は、MD-700 (大正製薬株式会社)およびLY295427(Eli Lilly)のようなLDL受容体活性の上方制御剤であり得る。該抗高脂血症薬は、コレステロール吸収阻害剤、好ましくはSchering-PloughのSCH48461(エゼチミブ)並びにAtherosclerosis, 115:45-63 (1995)およびJ. Med. Chem., 41:973 (1998)に開示のものであり得る。
【0072】
他の脂質薬(lipid agent)または脂質調節薬は、コレステリル転送タンパク阻害剤(CETP)、例えば、PfizerのCP-529,414、並びにWO/0038722とEP 818448 (Bayer)およびEP 992496に開示のもの、およびPharmaciaのSC-744とSC-795、並びにCETi-1およびJTT-705であり得る。
【0073】
該抗高脂血症薬は、Drugs of the Future, 24:425-430 (1999)に開示のような回腸Na+/胆汁酸共輸送体阻害剤であり得る。本発明の組み合わせで用いられ得るATPクエン酸リアーゼ阻害剤としては、例えば米国特許第5,447,954号に開示のものが挙げられ得る。
【0074】
他の脂質薬としてはまた、WO 00/30665に開示のようなフィトエストロゲン化合物(単離された大豆タンパク質、大豆タンパク質濃縮物または大豆粉を含む)、並びに、イソフラボン(ゲニステイン、ダイゼイン、グリシテインもしくはエコールなど)、またはWO 2000/015201に開示のフィトステロール、フィトスタノールもしくはトコトリエノール); EP 675714に開示のようなβ-ラクタムコレステロール吸収阻害剤; HDL上方制御剤、例えばLXRアゴニスト、PPARα-アゴニストおよび/またはFXRアゴニスト; EP 1022272に開示のようなLDL異化促進剤; DE 19622222に開示のようなナトリウム-プロトン交換阻害剤; 米国特許第5,698,527号およびGB 2304106に開示のようなLDL受容体インデューサーまたはステロイド配糖体; WO 94/15592に開示の、β-カロテン、アスコルビン酸、α-トコフェロールまたはレチノール並びにビタミンCのような抗酸化剤、および葉酸、葉酸塩(folate)、ビタミンB6、ビタミンB12およびビタミンEなどの抗ホモシステイン剤; WO 97/35576に開示のイソニアジド; WO 97/48701に開示のコレステロール吸収阻害剤、HMG-CoA合成酵素阻害剤、またはラノステロールデメチラーゼ阻害剤; 脂質異常症の治療のためのPPARδアゴニスト; あるいはWO 2000/050574に開示のステロール調節エレメント結合タンパク質-I (SREBP-1)、例えば、セラミドのようなスフィンゴ脂質、または中性スフィンゴミエリナーゼ(neutral sphingomyelenase)(N-SMase)もしくはそのフラグメントが挙げられる。好ましい抗高脂血症薬はプラバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、ピタバスタチンおよびロスバスタチン、並びにナイアシンおよび/またはコレスタゲル(cholestagel)である。
【0075】
本発明の化合物は、抗高血圧薬と組み合わせて用いられ得る。本発明の化合物と組み合わせて用いるのに適した抗高血圧薬の例としては、βアドレナリン遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬(L-型および/またはT-型; 例えば、ジルチアゼム、ベラパミル、ニフェジピン、アムロジピンおよびミベフラジル(mybefradil))、利尿薬(例えば、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、フルメチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンドロフルメチアジド、メチルクロロチアジド、トリクロルメチアジド、ポリチアジド、ベンゾチアジド、エタクリン酸トリクリナフェン、クロルタリドン、フロセミド、ムソリミン(musolimine)、ブメタニド、トリアムトレン(triamtrenene)、アミロライド、スピノロラクトン)、レニン阻害剤、ACE阻害剤(例えば、カプトプリル、ゾフェノプリル、フォシノプリル、エナラプリル、セラノプリル(ceranopril)、シラゾプリル(cilazopril)、デラプリル、ペントプリル、キナプリル、ラミプリル、リシノプリル)、AT-1受容体アンタゴニスト(例えば、ロサルタン、イルベサルタン、バルサルタン)、ET受容体アンタゴニスト(例えば、シタクスセンタン、アトルセンタン(atrsentan)および米国特許第5,612,359号および第6,043,265号に開示の化合物)、デュアルET/AIIアンタゴニスト(例えば、WO 00/01389に開示の化合物)、中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、バソペプシダーゼ(vasopepsidase)阻害剤(デュアルNEP-ACE阻害剤)(例えば、オマパトリラトおよびゲモパトリラト)、および硝酸薬(nitrate)が挙げられる。
【0076】
MCHR1アンタゴニストは、肥満に関連する他の疾患(睡眠障害など)の治療に有用であり得る。従って、本発明に記載の化合物は、睡眠障害の治療のための治療薬(therapeutics)と組み合わせて用いられ得る。本発明の化合物と組み合わせて用いられる睡眠障害の治療のための適切な治療薬の例としては、メラトニンアナログ、メラトニン受容体アンタゴニスト、ML 1 B アゴニスト、GABA受容体モジュレーター; NMDA受容体モジュレーター、ヒスタミン-3(H3)受容体モジュレーター、ドーパミンアゴニストおよびオレキシン受容体モジュレーターが挙げられる。
【0077】
MCHR1アンタゴニストは、薬物乱用または嗜癖障害を軽減または改善し得る。従って、カンナビノイド受容体モジュレーターと嗜癖障害の治療に用いられる薬剤との組み合わせは、必要用量を減らし得るか、あるいは現在の嗜癖障害治療薬の効果を向上させ得る。薬物乱用または嗜癖障害の治療に用いられる薬剤の例は: 選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、メサドン、ブプレノルフィン、ニコチンおよびブプロピオンである。
【0078】
MCHR1アンタゴニストは、不安症またはうつ病を軽減し得る; 従って、本発明に記載の化合物は、抗不安薬または抗うつ薬と組み合わせて用いられ得る。本発明の化合物と組み合わせて用いるのに適した抗不安薬の例としては、ベンゾジアゼピン(例えば、ジアゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、クロラゼプ酸、ハラゼパムおよびプラゼパム)、5HT1A受容体アゴニスト(例えば、ブスピロン、フレシノキサン、ゲピロンおよびイプサピロン)、およびコルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニストが挙げられる。
【0079】
本発明の化合物と組み合わせて用いるのに適した抗うつ薬の類の例としては、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(第三級アミンおよび第二級アミンの三環系)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)(フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチンおよびセルトラリン)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)(イソカルボキサジド、フェネルジン、トラニルシプロミン、セレギリン)、可逆的モノアミンオキシダーゼ阻害剤(RIMA)(モクロベミド)、セロトニンおよびノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)(ベンラファキシン)、コルチコトロピン放出因子(CRF)受容体アンタゴニスト、α-アドレノセプターアンタゴニスト、および非定型抗うつ薬(ブプロピオン、リチウム、ネファゾドン、トラゾドンおよびおよびビロキサジン)が挙げられる。
【0080】
MCHR1アンタゴニストと通常の抗精神病薬の組み合わせはまた、精神病または躁病の治療において、症状の軽減を強め得る。さらに、そのような組み合わせは、迅速な症状の軽減を可能にし、抗精神病薬を用いた長期的な治療の必要性を減少させ得る。そのような組み合わせはまた、有効な抗精神病薬の必要用量を減少させ、結果的に、長期的な抗精神病治療の典型的な運動機能障害の発現の可能性を減少させ得る。
【0081】
本発明の化合物と組み合わせて用いるのに適した抗精神病薬の例としては、フェノチアジン(クロルプロマジン、メソリダジン、チオリダジン、アセトフェナジン、フルフェナジン、ペルフェナジンおよびトリフルオペラジン)、チオキサンチン(クロルプロチキセン、チオチキセン)、ヘテロ環ジベンゾアゼピン(クロザピン、オランゼピン(olanzepine)およびアリピプラゾール)、ブチロフェノン(ハロペリドール)、ジフェニルブチルピペリジン(ピモジド)およびインドロン(indolone)(モリンドロン(molindolone))などの抗精神病薬の類が挙げられる。本発明の化合物との組み合わせにおいて治療価値の可能性を有する他の抗精神病薬としては、ロキサピン、スルピリドおよびリスペリドンが挙げられる。
【0082】
本発明の化合物と通常の抗精神病薬との組み合わせはまた、躁病についての上記のとおり、統合失調症の治療に対する治療効果を高め得る。ここで用いられる統合失調症には、妄想型、解体型、緊張型、非定型型(undifferentiated)および残遺型統合失調症、統合失調症様障害、統合失調感情障害、妄想性障害、短期の精神病障害および特定されない精神障害が含まれる。本発明の化合物と組み合わせて用いるのに適した抗精神病薬の例としては、上記の抗精神病薬、並びにドーパミン受容体アンタゴニスト、ムスカリン受容体アゴニスト、5HT2A受容体アンタゴニストおよび5HT2A/ドーパミン受容体アンタゴニストもしくは部分的アゴニスト(例えば、オランゼピン、アリピプラゾール、リスペリドン、ジプラシドン)が挙げられる。
【0083】
(製造方法)
AがNである式Iの化合物は、スキーム1に概説される反応順序により製造され得る。製造される式Iの特定の分子に応じて、R4を式Iのコア構造の集合前に完全に完了するか、集合後に合成するかのいずれかが可能である。市販であるか当業者により容易に製造され得る化合物1を、POCl3とそれに続くヒドロキシルアミンによる連続した処理後に、化合物2に変換することができる。塩基(例えばナトリウムメトキシド)を含有する溶媒(例えばメタノール)中でメルカプト酢酸メチルと共に化合物2を加熱することによって、化合物3を製造することができる。適宜THFを含有する溶媒(例えば、MeOH水もしくはEtOH水)中で、塩基(例えばLiOH、NaOHもしくはKOH)による化合物3の加水分解によって、化合物4を製造することができる。標準的なアミドカップリング試薬(例えばHATU (O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウム PF6)、PyBroP、EDC、またはDCC)を用いて、溶媒(例えばDMF、CH2Cl2、THF)中において、塩基(例えばEt3NまたはEtN(iPr)2)の存在下で、化合物4と化合物7を縮合させることにより、化合物8を製造することができる。
【0084】
化合物7は、市販のニトロフェノールまたはニトロチオフェノールから、フェノール性OHまたはSH官能基を保護基(P-基)でマスキングすることにより化合物6を製造し、続いてニトロ部分をNH2に還元することによって得ることができる。該P-基は、式Iの化合物のR4 であるか、または順序における後の段階で、当業者に公知の変換を用いて除去されてR4で置換される一過性の(transient)基のいずれかであることができる。P-基は、弱塩基(例えば炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、炭酸カリウム)の存在下、溶媒(例えばDMF、THF、MeCNまたはそれらの水性混合液)中で、1〜24時間、アルキル化剤(例えばアルキルハライド、トシレートもしくはメシレートまたはエポキシド)、またはアシル化剤(例えば酸無水物(anhydride))とともに20〜170℃の範囲の温度で化合物5を加熱することによって導入することができる。H2雰囲気下、溶媒(例えばエタノールまたは酢酸エチル)中でのPd触媒水素化、あるいは金属促進還元(metal promoted reduction)(例えば鉄/HClまたは塩化すず)により、化合物6を還元して化合物7を製造することができる。
【0085】
P-基がR4に相当する場合、式Iの化合物は、WO 2007/011286に記載のとおり、NaNO2およびHOAcで化合物8を処理することによって直接製造することができる。別法としては、NaNO2およびHOAcによる化合物8の処理によって化合物9を得る。化合物9は、P-基(例えば、P-基がメチルである場合、CH2Cl2におけるBBr3)が除去されて、フェノールまたはチオフェノール10が生成される。その後、塩基(例えば炭酸カリウム)の存在下、溶媒(例えばDMF、THF、MeCNまたはそれらの水性混合液)中で、50〜150℃で1〜24時間、「活性化D-Zn」成分によって10をアルキル化することにより、式Iの化合物が生成される。該「活性化D-Zn」は、エポキシドであるかまたは、脱離基に共有結合したZn-Dであり得て、そのどちらも市販されているか、当業者により容易に製造される。
【化11】

【0086】
スキーム2は、AがNである式Iの化合物の製造の別法を説明する。化合物11は、当業者に公知の標準的なアミド形成条件を用いた条件下においてベンジルアミンと化合物4を縮合させることにより、容易に製造される。WO 2007/011286に記載のとおり、NaNO2およびHOAcによる化合物11の処理によって化合物12を製造することができる。化合物13は、溶媒(例えばエタノールと酢酸エチルの混合液)中において、Pd/H2を用いた脱ベンジル化により、化合物12から製造され得る。溶媒(例えばジオキサン)中において、塩基(例えばリン酸三カリウム(tribasic potassium phosphate)の存在下、100〜160℃の温度で最大36時間加熱することによる、化合物14を用いた13の酸化銅(II)触媒アリール化の後、必要であれば、P-基をR4に変換することによって、式Iの化合物を製造することができる。
【0087】
Xがボレートである化合物14は、市販されているか、対応するハライド14のn-BuLi媒介リチウムハロゲン交換の後、ホウ酸メチルを用いてトラップすることにより得ることができる。Xがハロゲンである化合物14は、フェノールまたはチオフェノール部分の保護によって化合物15から得る。化合物15は、市販されているか、あるいは芳香族求電子置換反応による市販の芳香族化合物からの標準的な変換により容易に製造することができる。必要に応じて、P-基 15は、R4か、その保護された成分(例えば対応するメチルエーテル)であってよく、それは、スキーム1の概説のとおり、脱保護後に続いて目的のR4付加物に合成される。
【化12】

【0088】
スキーム3は、AがCR2である式Iの化合物の一般的な合成経路を概説する。化合物18は、化合物17と市販の化合物16とのPd触媒カップリングによって製造することができる。化合物17は市販されているか、あるいは当業者によって容易に製造される。化合物19は、連続的な、溶媒(例えばTHF)中でのn-ブチルリチウム媒介メタル化、それに続く溶媒(例えばTHF)中での適当なN,N-ジメチルアルキルカルボキサミドまたはDMFへの添加、その後の酸水溶液による加水分解により化合物18から製造することができる。それに続いて、溶媒(例えばメタノールもしくはエタノール)中で1〜4日間加熱還流した後、化合物19とヒドラジンを縮合させることにより、化合物20を得ることができる。P-基がR4である場合、溶媒(例えばジオキサン)中において、塩基(例えばリン酸三カリウム)の存在下、100〜160℃の温度で最大36時間加熱することにより、酸化銅が化合物20と化合物14(ここでXはハロゲンである)とのカップリングを促進して、式Iの化合物が得られる。別法として、酸化銅(II)生成物21の脱保護、それに続いて、スキーム1に前述したような遊離フェノールまたはチオフェノール22のアルキル化によって、式Iの化合物が得られる。
【化13】

【0089】
(略語)
以下の略語が本明細書において用いられる。
Ph = フェニル
Bn = ベンジル
t-Bu = 三級ブチル
Me = メチル
Et = エチル
TMS = トリメチルシリル
TBS = tert-ブチルジメチルシリル
THF = テトラヒドロフラン
Et2O = ジエチルエーテル
EtOAc = 酢酸エチル
DMF = ジメチルホルムアミド
MeOH = メタノール
EtOH = エタノール
i-PrOH = イソプロパノール
HOAcまたはAcOH = 酢酸
TFA = トリフルオロ酢酸
i-Pr2NEt = ジイソプロピルエチルアミン
Et3N = トリエチルアミン
DMAP = 4-ジメチルアミノピリジン
NaBH4 = 水素化ホウ素ナトリウム
n-BuLi = n-ブチルリチウム
Pd/C = パラジウム炭素
KOH = 水酸化カリウム
NaOH = 水酸化ナトリウム
LiOH = 水酸化リチウム
K2CO3 = 炭酸カリウム
NaHCO3 = 炭酸水素ナトリウム
Ar = アルゴン
N2 = 窒素
min = 分
hまたはhr = 時間
L = リットル
mL = ミリリットル
μL = マイクロリットル
g = グラム
mg = ミリグラム
mol = モル
mmol = ミリモル
meq = ミリ当量
RT = 室温
satまたはsat'd = 飽和
aq. = 水性(または水溶液)
TLC = 薄層クロマトグラフィー
HPLC = 高速液体クロマトグラフィー
LC/MS = 高速液体クロマトグラフィー/質量分析
MSまたはMass Spec = 質量分析
NMR = 核磁気共鳴
mp = 融点
【実施例】
【0090】
(実施例)
以下の実施例1から9は、限定はされないが、本発明のいくつかの好ましい実施態様をよりよく説明する。
【0091】
実施例1
6-(4-クロロフェニル)-3-(4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-3-メトキシフェニル)-チエノ[3,2-d][1,2,3]トリアジン-4(3H)-オン
【化14】

A. 3-アミノ-5-(4-クロロフェニル)チオフェン-2-カルボン酸
【化15】

表題の化合物を、特許出願WO 2007/011286に記載の方法に従って製造した。
【0092】
B. 1-(4-アミノ-2-メトキシフェノキシ)-2-メチルプロパン-2-オール
【化16】

表題の化合物を、米国仮出願第60/730,453号に記載の方法に従って製造した。
【0093】
C. 3-アミノ-5-(4-クロロフェニル)-N-(4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド
【化17】

実施例1のパートAに記載のアミド(298 mg, 1.17 mmol)/NMP(6.0 mL)溶液に、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)(571 mg, 1.50 mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチル-アミン(0.64 mL, 3.67 mmol)を添加し、得られた溶液を室温で2時間撹拌した。次いで、パートBに記載のアニリン(257 mg, 1.22 mmol)/CH2Cl2(2.0 mL)溶液を添加し; その後すぐに、撹拌した混合液を、80℃で4.5時間加熱した。室温に冷却した後、水(75 mL)を添加し、続いて飽和NaHCO3(15 mL)を添加し、その後、EtOAc(3x50 mL)で水性混合物(aqueous mixture)(pH〜9)を抽出した。有機抽出物を合わせて水洗(50 mL)し、乾燥させ(-Na2SO4)て減圧濃縮した。粗生成物をクロマトグラフィー(SiO2 230-400メッシュ, 1:4 CH2Cl2/EtOAc)処理して、目的のアミド(332 mg, 63.2%収率)を黄色の固形物として得た: MS (エレクトロスプレー, +イオン) m/z 447 (M+H)。
【0094】
D. 6-(4-クロロフェニル)-3-(4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-3-メトキシフェニル)-チエノ[3,2-d][1,2,3]トリアジン-4(3H)-オン
【化18】

AcOH(7.4 mL)および水(1.50 mL)中のパートCに記載のアニリド(272 mg, 0.61 mmol)溶液に、NaNO2(44.0 mg, 0.64 mmol)を添加した。該混合液を室温で1.2時間撹拌した後、水(50 mL)に注ぎ入れた。1M NaOHの添加によりpHを9に調整した後、該懸濁液を室温で終夜おいた。得られた沈殿物を濾過により集め、水洗し、乾燥させて、表題の化合物(264 mg, 95%収率)を茶色がかった固形物として得た: MS (エレクトロスプレー, +イオン) m/z 458 (M+H)。 1H NMR δ (CD2Cl2) 7.84 (s, 1H), 7.69 (d, J= 8.8 Hz, 2H), 7.47 (d, J= 8.8, 2H), 7.13 (m, 2H), 7.02 (d, J= 8.8 Hz, 1H), 3.86 (s, 2H, 重複), 3.85 (s, 3H, 重複), 1.31 (s, 6H)。
【0095】
実施例 2
6-(4-クロロフェニル)-3-(3-メトキシ-4-(2-オキソプロポキシ)フェニル)チエノ[3,2-d][1,2,3]トリアジン-4(3H)-オン
【化19】

A. 2-メトキシ-4-ニトロフェニルアセテート
【化20】

CH2Cl2(10 mL)中の4-ニトログアイアコール(1.00 g, 5.91 mmol)およびピリジン(0.52 mL, 7.10 mmol)の溶液に、塩化アセチル(0.50 mL, 7.10 mmol)を室温で添加した後、該混合液を室温で30分間撹拌した。該混合液を1M HCl(2x5 mL)で洗浄して乾燥させ(-Na2SO4)、濃縮して目的のアセテート(1.24 g, 定量的)を淡黄色の固形物として得た: MS (エレクトロスプレー, +イオン) m/z 212 (M+H)。
【0096】
B. 4-アミノ-2-メトキシフェニルアセテート
【化21】

パートAで製造した2-メトキシ-4-ニトロフェニルアセテート(99.2 mg, 0.47 mmol)/EtOAc(4.5 mL)溶液に、パラジウム炭素(33.0 mg, 5%乾燥ベース(dry basis), Degussa type: 50%水分含量)を添加した。該懸濁液を3時間水素化し(1気圧、バルーン)、セライトを通して濾過し、該濾過ケーキをMeOH(5x10 mL)ですすいだ。合わせた濾過物をエバポレートして、目的のアニリン(84.8 mg, 定量的)を茶色の油状物として得た: MS (エレクトロスプレー, +イオン) m/z 182 (M+H)。
【0097】
C. 4-(3-アミノ-5-(4-クロロフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド)-2-メトキシフェニルアセテート
【化22】

実施例1、パートAで製造した3-アミノ-5-(4-クロロフェニル)チオフェン-2-カルボン酸(104 mg, 0.41 mmol)/NMP(1.8 mL)溶液に、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)(195 mg, 0.51 mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.22 mL, 1.26 mmol)を添加した。得られた溶液を室温で2.3時間撹拌した後、実施例2のパートBで製造したアニリン(84.3 mg, 0.465 mmol)/1,2-ジクロロエタン(0.8 mL + 0.4 mLのすすぎ)溶液を添加した。撹拌しながら80℃で16時間加熱した後、該反応液を室温に冷却し、その後、まず水(30 mL)で希釈し、次いで飽和NaHCO3(5.5 mL)で希釈した。水性混合物(pH〜9)をEtOAc(3x30 mL)で抽出した後、有機抽出物を合わせて水洗し(20 mL)、乾燥させ(-Na2SO4)、エバポレートした。該粗生成物をクロマトグラフィー(SiO2 230-400メッシュ, 9/1 CH2Cl2/エーテル)で処理して、目的のアミド(118.2 mg, 69%収率)を黄色の固形物として得た: MS (エレクトロスプレー, +イオン) m/z 417 (M+H)。
【0098】
D. 4-(6-(4-クロロフェニル)-4-オキソチエノ[3,2-d][1,2,3]トリアジン-3(4H)-イル)-2-メトキシフェニルアセテート
【化23】

AcOH(3.4 mL)および水(0.7 mL)中の実施例2のパートCのアニリド(115 mg, 0.28 mmol)の撹拌した溶液に、NaNO2(21 mg, 0.30 mmol)を添加した後、室温で2時間撹拌を続けた。該反応混合液を水(25 mL)に注ぎ入れ; その後すぐに、1M K2CO3の添加によって水性混合物のpHを8に調整した。得られた沈殿物を濾過により集め、水洗し、乾燥させて表題の化合物(111.5 mg, 94%収率)を茶色の固形物として得た: MS (エレクトロスプレー, +イオン) m/z 428 (M+H)。
【0099】
E. 6-(4-クロロフェニル)-3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チエノ[3,2-d][1,2,3]トリアジン-4(3H)-オン
【化24】

実施例2のパートDのトリアジノン(95.0 mg, 0.22 mmol)を、〜1M HCl/CH2Cl2、MeOH、MeOAc(0.8 mLのAcClを10 mLの4/1 CH2Cl2/MeOHに0℃で添加し、室温で20分間撹拌して製造した)で3時間処理した。得られた溶液を減圧濃縮した後、該残渣を繰り返し、CH2Cl2(3x4 mL)に溶解させて共エバポレートし、いずれの残留溶媒をも除去した。該残渣を終夜減圧下で乾燥させた後、目的のフェノール(83.1 mg, 97%収率)を茶色の固形物として得た: MS (エレクトロスプレー, +イオン) m/z 386 (M+H)。
【0100】
F. 6-(4-クロロフェニル)-3-(3-メトキシ-4-(2-オキソプロポキシ)フェニル)チエノ[3,2-d][1,2,3]トリアジン-4(3H)-オン
【化25】

クロロアセトン(5.0 μL, 0.06 mmol)を、MeCN(1.5 mL)の実施例2のパートEで製造したフェノール(15.4 mg, 0.04 mmol)およびCsCO3(40.0 mg, 0.12 mmol)の撹拌した懸濁液に80℃で添加した。80℃で2.3時間撹拌した後、該反応液を室温に冷却し、CH2Cl2(20 mL)で希釈し、水洗した(8.0 mL)。水性洗浄液の逆抽出後、CH2Cl2で洗浄し(2x10 mL)、有機層を合わせて乾燥させ(-Na2SO4)、エバポレートした。該粗生成物をクロマトグラフィー(SiO2 230-400メッシュ, 9/1CH2Cl2/エーテル)で処理して、表題の化合物(16.6 mg, 94%収率)を黄色の固形物として得た: MS (エレクトロスプレー, +イオン) m/z 442 (M+H)。
【0101】
実施例 3
6-(4-クロロフェニル)-3-(4-(2-ヒドロキシプロポキシ)-3-メトキシフェニル)チエノ[3,2-d][1,2,3]トリアジン-4(3H)-オン
【化26】

メタノール(3.0 mL)およびTHF(1.5 mL)中の実施例2のパートFで製造したメチルケトン(15.6 mg, 0.035 mmol)の撹拌した懸濁液を、室温で6時間、NaBH4(1.8 mg, 0.05 mmol)と共に撹拌し; その後すぐに、さらなる量のNaBH4(1.8 mg, 0.05 mmol)を添加した。さらに2.6時間撹拌した後、該混合液を0℃に冷却し、リン酸バッファー(8 mL, 0.5M KKH2PO4)で希釈した。該水性混合物を、十分なH3PO4を添加してpHを3に下げた後、室温で2時間撹拌し、次いでCH2Cl2(3x20 mL)で抽出した。有機抽出物を合わせて乾燥させ(-Na2SO4)、濃縮した。該粗生成物をクロマトグラフィー(SiO2 230-400メッシュ, 3/2 CH2Cl2/EtOAc)で処理して、目的の最終生成物(15.1 mg, 96%収率)を黄色の固形物として得た: MS (エレクトロスプレー, +イオン) m/z 444 (M+H); 1H NMR δ (CDCl3) 7.75 (s, 1H), 7.69 (d, J= 8.6 Hz, 2H), 7.51 (d, J= 8.6, 2H), 7.21 (dd, J= 8.4, 2.6 Hz, 1H), 7.18 (d, J= 2.6 Hz 1H), 7.06 (d, J= 8.4 Hz, 1H), 4.27 (m, 1H), 4.09 (dd, J= 9.2, 2.7 Hz, 1H), 3.92 (s, 3H), 3.86 (t, J= 9.2 Hz, 1H, 重複), 1.29 (d, J= 6.6 Hz, 3H)。
【0102】
実施例 4
6-(4-クロロフェニル)-3-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メトキシフェニル)チエノ[3,2-d][1,2,3]トリアジン-4(3H)-オン
【化27】

MeCN(1.5 mL)および2-(2-ブロモエトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン(12 μL, 0.08 mmol)中の実施例2、パートEのフェノール(15.0 mg, 0.039 mmol)、CsCO3(38.0 mg, 0.12 mmol)の撹拌した懸濁液を、80℃で12時間加熱した。室温に冷却後、該混合液をCH2Cl2(20 mL)で希釈し、水洗(8.0 mL)した。水性洗浄物の逆抽出後、CH2Cl2(2x10 mL)で洗浄し、有機層を合わせて乾燥させ(-Na2SO4)、減圧下でエバポレートしてクルードなピラニルエーテルを得た。CH2Cl2、MeOHおよびMeOTMSの混合液中の〜1M HCl(0.5 mLのTMSClを0℃で予め添加した3.2 mLの5:3 CH2Cl2/MeOHを室温で50分間撹拌することにより調製した)に、粗生成物を溶解させて、1時間撹拌することにより、エーテルを除去した。揮発物の除去後、CH2Cl2(3x4 mL)と共エバポレートして、該残渣をクロマトグラフィー (SiO2 230-400メッシュ, 95/5 CH2Cl2/エーテル)で処理して、表題の化合物(11.0 mg, 66%収率)を黄色の固形物として得た: MS (エレクトロスプレー, +イオン) m/z 430 (M+H); ); 1H NMR δ (CD2Cl2, 30℃) 7.78 (s, 1H), 7.64 (d, J= 8.4 Hz, 2H), 7.42 (d, J= 8.4, 2H), 7.09 (m, 2H), 6.99 (d, J= 7.9 Hz, 1H), 4.10 (t, J= 4.5 Hz, 1H), 3.86 (t, J= 4.5 Hz, 1H), 3.81 (s, 3H)。
【0103】
実施例 5
6-(4-クロロフェニル)-3-(4-(2-シクロプロピル-2-ヒドロキシエトキシ)-3-メトキシフェニル)チエノ[3,2-d][1,2,3]トリアジン-4(3H)-オン
【化28】

A. 6-(4-クロロフェニル)-3-(4-(2-シクロプロピル-2-オキソエトキシ)-3-メトキシフェニル)チエノ[3,2-d][1,2,3]トリアジン-4(3H)-オン
【化29】

MeCN(1.4 mL)中の実施例2、パートEで製造したフェノール(14.4 mg, 0.037 mmol)、CsCO3(37.0 mg, 0.11 mmol)および2-シクロプロピル-2-オキソエチル 4-メチルベンゼンスルホネート(16.0 mg, 0.063 mmol)(Tetrahedron Lett., 33:7647 (1992))の撹拌した懸濁液を、80℃で3.3時間加熱した。室温に冷却後、該混合液をCH2Cl2で希釈し(20 mL)、水洗した(8.0 mL)。該水層をCH2Cl2(2x10 mL)で逆抽出し; その後すぐに、有機層を合わせて乾燥させ(-Na2SO4)、エバポレートした。該粗生成物をクロマトグラフィー(SiO2 230-400メッシュ, 95/5 CH2Cl2/エーテル)で処理して、表題の化合物(15.5 mg, 89%収率)を黄色の固形物として得た: MS (エレクトロスプレー, +イオン) m/z 468 (M+H)。
【0104】
B. 6-(4-クロロフェニル)-3-(4-(2-シクロプロピル-2-ヒドロキシエトキシ)-3-メトキシフェニル)チエノ[3,2-d][1,2,3]トリアジン-4(3H)-オン
【化30】

MeOH(3.0 mL)およびTHF(1.0 mL)中の実施例5のパートAで製造したケトン(14.4 mg, 0.031 mmol)の撹拌した懸濁液に、室温でNaBH4(1.5 mg, 0.04 mmol)を添加した後、該混合液を室温で3.7時間撹拌し、その後さらなるNaBH4(1.5 mg, 0.04 mmol)を添加した。該反応液を10時間撹拌し、0℃に冷却してリン酸バッファー水溶液(8 mLの0.5M KKH2PO4をH3PO4でpH 3に調整した)の添加によりクエンチした。該水性混合物を室温で3時間撹拌し、その後CH2Cl2(3x25 mL)で抽出した。有機抽出物を合わせて乾燥させ(-Na2SO4)、濃縮した。減圧下で乾燥させた後、目的のアルコール(14.2 mg, 98%収率)を茶色がかった固形物として単離した: MS (エレクトロスプレー, +イオン) m/z 470 (M+H); 1H NMR δ (CD2Cl2, 25℃) 7.79 (s, 1H), 7.64 (d, J= 8.8 Hz, 2H), 7.42 (d, J= 8.8, 2H), 7.08 (m, 2H), 7.00 (d, J= 8.3 Hz, 1H), 4.15 (dd, J= 9.9, 2.8 Hz, 1H), 3.77 (dd, J= 9.9, 8.3 Hz, 1H), 3.80. (s, 3H), 3.27 (dt, J= 2.8, 8.3 Hz ,1H), 0.91. (m, 1H),. 0.49 (m, 2H), 0.35 (m, 1H), 0.26 (m, 1H)。
【0105】
実施例 6
6-(4-クロロフェニル)-3-(3-メトキシ-4-(((4R,5R)-2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メトキシ)フェニル)チエノ[3,2-d][1,2,3]トリアジン-4(3H)-オン
【化31】

A. ((4R,5R)-2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メタノール
【化32】

市販の2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキソラン-4-カルボン酸 (4S,5R)-メチル(2.5 g, 14.4 mmol)/CH2Cl2(50 ml)溶液に、0℃で、1M LiAlH4/THF(35.9 ml, 35.9 mmol)を添加した。室温で終夜撹拌した後、0℃に冷却し、EtOAc(5.0 mL)を添加した。室温で30分間撹拌を続けた後、水(50 mL)を添加し; その後すぐに、該水性混合物をEtOAc(2x100 mL)で抽出した。有機抽出物を合わせて飽和NaClで洗浄し、乾燥させ(-Na2SO4)、濃縮した。粗生成物をクロマトグラフィー(SiO2 230-400メッシュ, ヘキサン〜85/15ヘキサン/EtOAc)で処理して、目的のアルコール(1.18 g, 56%収率)を澄明な液状物として得た: 1H NMR δ (CDCl3) 4.02 (m, 1H), 3.81 (dd, J= 12.1, 2.8 Hz, 1H), 3.65 (m, 1H), 3.60 (dd, J= 12.1, 4.4 Hz, 1H), 1.43 (s, 1H), 1.40 (s, 3H), 1.29 (d, J= 6.1 Hz,3H)。
【0106】
B. ((4R,5R)-2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル 4-メチルベンゼンスルホネート
【化33】

CH2Cl2(100 ml)中の、実施例6のパートAで製造したアルコール(434 mg, 2.97 mmol)、Et3N(0.83 ml, 5.94 mmol)、DMAP(50 mg, 2.97 mmol)および塩化トシル(623 mg, 327 mmol)の溶液を、室温で30分間撹拌した。該反応混合液を濃縮して、得られた黄色の残渣をクロマトグラフィー(SiO2 230-400メッシュ, ヘキサン〜85:15 ヘキサン/EtOAcを用いたグラジエント溶出)で処理して、目的のトシレート(804 mg, 89%収率)を澄明な液状物として溶出した: MS (エレクトロスプレー, +イオン) m/z 301 (M+H)。
【0107】
C. 6-(4-クロロフェニル)-3-(3-メトキシ-4-(((4R,5R)-2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メトキシ)フェニル)チエノ[3,2-d][1,2,3]トリアジン-4(3H)-オン
【化34】

実施例6のパートBで製造したトシレート(20.0 mg, 0.067 mmol)を、MeCN(1.4 ml)中の実施例2、パートEで製造したフェノール(13.5 mg, 0.035 mmol)およびCsCO3(70.0 mg, 0.22 mmol)の撹拌した懸濁液に80℃で添加した後、該混合液を80℃で48時間撹拌した。室温に冷却した後、該混合液をCH2Cl2(20 mL)で希釈して水洗(8.0 mL)した。該水性洗浄物をCH2Cl2(2x10 mL)で逆抽出した。有機層を合わせて乾燥させ(-Na2SO4)、エバポレートした。粗生成物をクロマトグラフィー(SiO2 230-400メッシュ, 9:1 CH2Cl2/エーテル)で処理して、アセトニド(11.5 mg, 64%収率)をオレンジ色の固形物として溶出した: MS (エレクトロスプレー, +イオン) m/z 514 (M+H)。
【0108】
実施例 7
6-(4-クロロフェニル)-3-(4-((2R,3R)-2,3-ジヒドロキシブトキシ)-3-メトキシフェニル)チエノ[3,2-d][1,2,3]トリアジン-4(3H)-オン
【化35】

実施例6のパートCで製造したアセトニド(10.4 mg, 0.02 mmol)を、CH2Cl2、MeOHおよびMeOTMSの〜1M HCl混合液(0.5 mLのTMSClを0℃で予め添加した3.2 mLの5:3 CH2Cl2/MeOHを、室温で50分間撹拌することにより製造した)中において、室温で1時間撹拌した。揮発物をエバポレートした後、CH2Cl2/MeOH(3x4 mL)と共エバポレートして、いずれの残留揮発性成分をも除去した。揮発性でない残渣をクロマトグラフィー(SiO2 230-400メッシュ, 95/5 CH2Cl2/MeOH)で処理して、目的のジオール(8.1 mg, 84%収率)を茶色がかった固形物として溶出した: MS (エレクトロスプレー, +イオン) m/z 474 (M+H); 1H NMR δ (CD2Cl2 + CD3OD滴, 30℃) 7.91 (s, 1H), 7.75 (d, J= 8.4 Hz, 2H), 7.52 (d, J= 8.4, 2H), 7.19 (m, 2H), 7.09 (d, J= 8.8 Hz, 1H), 4.19 (dd, J= 9.7, 3.5 Hz, 1H), 4.27 (dd, J= 9.7, 6.6 Hz, 1H), 3.94. (m, 1H, 重複), 3.92 (s, 3H), 3.80. (m, 1H),. 1.27 (d, J= 6.2 Hz, 3H)。
【0109】
実施例 8
6-(4-クロロフェニル)-3-(3-メトキシ-4-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル)チエノ[3,2-d][1,2,3]トリアジン-4(3H)-オン
【化36】

MeCN(1.4 mL)中の実施例2、パートEで製造したフェノール(9.0 mg, 0.023 mmol)、2-(トリフルオロメチル)オキシラン(25.0 μL, 0.29 mmol)およびCsCO3(76.0 mg, 0.23 mmol)の撹拌した懸濁液を、密閉したフラスコで18時間、82℃で加熱した。室温に冷却した後、該混合液をCH2Cl2(30 mL)で希釈し、水洗(10.0 mL)し; その後すぐに、該水性洗浄物をCH2Cl2(2x10 mL)で逆抽出した。有機層を合わせて乾燥させ(-Na2SO4)、エバポレートした。該粗生成物をクロマトグラフィー(SiO2 230-400メッシュ, 9/1 CH2Cl2/エーテル)で処理して、表題の化合物(6.6 mg, 57%収率)を黄色がかった固形物として溶出した: MS (エレクトロスプレー, +イオン) m/z 498 (M+H); 1H NMR δ (CD2Cl2, 30℃) 7.88 (s, 1H), 7.73 (d, J= 8.8 Hz, 2H), 7.51 (d, J= 8.8, 2H), 7.21 (m, 2H), 7.13 (m, 1H), 4.40 (m, 1H), 4.36 (dd, J= 10.1, 3.5 Hz, 1H), 4.27 (dd, J= 10.1, 6.6 Hz, 1H), 3.92 (s, 3H), 3.39 (d, J= 5.7 Hz, 1H, -OH)。
【0110】
実施例 9
2-(4-クロロフェニル)-6-(4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-3-メトキシフェニル)-チエノ[2,3-d]ピリダジン-7(6H)-オン
【化37】


A. 1-(4-ブロモ-2-メトキシフェノキシ)-2-メチルプロパン-2-オール
【化38】

MeCN(90 ml)およびH2O(10.00 ml)中の4-ブロモ-2-メトキシフェノール(5 g, 24.63 mmol)、NaKH2PO4一水和物(3.23 g, 23.40 mmol)および2,2-ジメチルオキシラン(3.02 g, 41.9 mmol)の混合液を、スチールボンベ(steel bomb)中で4時間、150℃で撹拌した。 室温に冷却した後、該混合液を飽和NaHCO3溶液(80 ml)で希釈し、EtOAc(80 ml)で抽出した。該EtOAc抽出物をNa2SO4で乾燥させ、濃縮した。該粗生成物を、シリカゲルカラム(120 g)でヘキサン〜30% EtOAc/ヘキサンの範囲の10分グラジエントを用いて、ISCOクロマトグラフィーにより精製し、1-(4-ブロモ-2-メトキシフェノキシ)-2-メチルプロパン-2-オール(6.25 g, 22.72 mmol, 92%収率)を澄明な油状物として溶出した。t = 2.24分でのLC MS. (m + Na = 297 ) Phenomenex S5 C18 4.6X30 mm カラム/ 5 mL/分で2分かけて水-MeOH-TFA 90:10:0.1〜10:90:0.1のグラジエント、グラジエントの最後に1分のホールド. 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 1.33 (s, 6 H), 3.79 (s, 2 H), 3.84 (s, 3 H), 6.77 (d, J=8.31 Hz, 2 H), 7.01 (s, 1 H), 7.26 (s, 1 H).
【0111】
B. 5-(4-クロロフェニル)チオフェン-2-カルボン酸
【化39】

窒素下の、DMF(40 ml)中の5-ブロモチオフェン-2-カルボン酸エチル(1.0 g, 4.25 mmol)、4-クロロフェニルボロン酸(0.998 g, 6.38 mmol)、2.0 M NaHCO3水溶液(6.38 ml, 12.76 mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.492 g, 0.425 mmol)の混合液を、WO 2007/011284に記載のとおり、密閉チューブの中で、窒素下において、100℃で18時間撹拌した。次いで、該反応液を室温に冷却し、飽和NaHCO3水溶液(40 ml)で希釈し、EtOAc(40 ml)で抽出した。該EtOAc抽出物を-Na2SO4で乾燥させて、濃縮した。該粗生成物を、シリカゲルカラム(120 g)でヘキサン〜30% EtOAcの範囲の10分グラジエントを用いて、ISCOクロマトグラフィーにより精製し、5-(4-クロロフェニル)チオフェン-2-カルボン酸エチル(1.05 g, 3.94 mmol, 93%収率)を白色の固形物として溶出した。t = 2.70分でのLC MS. (m+H = 267 ) Phenomenex S5 C18 4.6X30 mm カラム/ 5 mL/分で2分かけて水-MeOH-TFA 90:10:0.1〜10:90:0.1のグラジエント、グラジエントの最後に1分のホールド. 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm 1.39 (t, J=7.18 Hz, 3 H), 4.37 (q, J=7.22 Hz, 2 H), 7.43 - 7.51 (m, 3 H), 7.71 (d, J=8.56 Hz, 2 H), 7.78 (d, J=4.03 Hz, 1 H).
【0112】
5-(4-クロロフェニル)チオフェン-2-カルボン酸エチル(1.05 g, 3.94 mmol)、メタノール(40 ml)および1.0 M NaOH水溶液(15.75 ml, 15.75 mmol)の混合液を6時間、還流で撹拌した。室温に冷却した後、該反応液を濃HClでpH 3に酸性化し、EtOAc(60 ml)で抽出した。該EtOAc層を-Na2SO4で乾燥させ、濃縮し、5-(4-クロロフェニル)チオフェン-2-カルボン酸(902 mg, 3.78 mmol, 96%収率)をオフホワイト色の固形物として得た。t =2.44分でのLC MS. (m+H = 240 ) Phenomenex S5 C18 4.6X30 mm カラム/ 5 mL/分で2分かけて水-MeOH-TFA 90:10:0.1〜10:90:0.1のグラジエント、グラジエントの最後に1分のホールド. 1H NMR (400 MHz, DMSO) δ ppm 7.36 - 7.97 (m, 6 H), 13.19 (s, 1 H).
【0113】
C. (4-クロロフェニル)チエノ[3,2-d]ピリダジン-7(6H)-オン
【化40】

5-(4-クロロフェニル)チオフェン-2-カルボン酸(890 mg, 3.73 mmol)/無水THF(40 ml)溶液に、1.6 M n-ブチルリチウム/ヘキサン(5.83 ml, 9.32 mmol)溶液を、N2下、-78℃で添加した。該反応液を3時間かけて0℃に昇温させた後、すぐに該溶液を-78℃に冷却し、その後DMF(2.89 ml, 37.3 mmol)を添加した。該混合液を-50℃で2時間撹拌した後、該反応液を1 N HCl水溶液(20 ml)でクエンチし、その後EtOAc(40 ml)で抽出した。該EtOAc抽出物をNa2SO4で乾燥させ、濃縮して薄茶色の固形物を得た。該茶色の固形物をMeOH(20 ml)に溶解させた後、ヒドラジン(0.351 ml, 11.19 mmol)を添加し、次いで濃HCl(1 ml)を添加した。該混合液を2日間、還流で撹拌し; その後すぐに室温に冷却した後、該混合液を飽和NaHCO3溶液(15 ml)で希釈した。得られた沈殿物を濾過により集め、水洗およびEtOAcで洗浄して、乾燥させて、2-(4-クロロフェニル)チエノ[3,2-d]ピリダジン-7(6H)-オン(860 mg, 3.28 mmol, 87%収率)を茶色の固形物として得た。t = 2.25分でのLC MS. (m+H = 263 ) Phenomenex S5 C18 4.6X30 mm カラム/ 5 mL/分で2分かけて水-MeOH-TFA 90:10:0.1〜10:90:0.1のグラジエント、グラジエントの最後に1分のホールド. 1H NMR (400 MHz, DMSO) δ ppm 7.59 (d, J=8.56 Hz, 2 H), 7.88 (d, J=8.56 Hz, 2 H), 7.99 (s, 1 H), 8.40 (s, 1 H), 12.99 (s, 1 H)
【0114】
D. 2-(4-クロロフェニル)-6-(4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-3-メトキシフェニル)-チエノ[2,3-d]ピリダジン-7(6H)-オン
【化41】

ジオキサン(4 ml)中の1-(4-ブロモ-2-メトキシフェノキシ)-2-メチルプロパン-2-オール(157 mg, 0.571 mmol)、2-(4-クロロフェニル)チエノ[2,3-d]ピリダジン-7(6H)-オン(150 mg, 0.571 mmol)、(1R,2R)-N1,N2-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジアミン(24.36 mg, 0.171 mmol)、K3PO4(0.142 ml, 1.713 mmol)および酸化銅(24.51 mg, 0.171 mmol)の混合液を、密閉チューブにおいて、N2下、130℃で24時間撹拌した。LC-MS分析により生成物がないことを確認した後、さらなる部の酸化銅(24.51 mg, 0.171 mmol)を該混合液に添加し、次いでそれを密閉チューブにおいて、N2下、130℃でさらに24時間撹拌した。LC-MS分析により、生成物への25%のみの変換が示された後、別の当量の酸化銅(I)およびジメチルシクロヘキサン-1,2-ジアミンを添加した。該混合液を、密閉チューブにおいて、N2下、150℃で8時間撹拌した。室温に冷却した後、LC-MS分析により生成物への変換が45%であることが示された。該混合液をCH2Cl2(40 ml)で希釈した後、濾過により無機固体を除去した。該CH2Cl2濾過物を、飽和NaHCO3溶液(3 x 40 ml)で洗浄し、-Na2SO4で乾燥させて濃縮した。該粗生成物を、2つのシリカゲルカラム(2 x 4.0 g)で、ヘキサン〜100%酢酸エチルの範囲の10分グラジエントを用いて、ISCOクロマトグラフィーにより精製し、ある程度純粋な生成物を溶出した。MeOHによる滴定の後、2-(4-クロロフェニル)-6-(4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-3-メトキシフェニル)チエノ[2,3-d]ピリダジン-7(6H)-オン(101 mg, 0.221 mmol, 38.7%収率)を薄茶色の固形物として得た。t = 2.52分でのLC MS. (m+H = 457 ) Phenomenex S5 C18 4.6X30 mm カラム/ 5 mL/分で2分かけて水-MeOH-TFA 90:10:0.1〜10:90:0.1のグラジエント、グラジエントの最後に1分のホールド. 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 1.36 (s, 6 H), 3.89 (d, J=3.78 Hz, 5 H), 7.00 (d, J=8.56 Hz, 1 H), 7.17 - 7.24 (m, 2
H), 7.42 - 7.54 (m, 3 H), 7.66 (d, J=8.31 Hz, 2 H), 8.31 (s, 1 H).
【0115】
プロドラッグは、溶解性および曝露(exposure)を向上させるために、選抜された第二級および第三級アルコールで製造された。該第三級アルコールのグリシンエステルの製造を実施例10および11に例示する。
【0116】
実施例 10
1-(4-(6-(4-クロロフェニル)-4-オキソチエノ[3,2-d][1,2,3]トリアジン-3(4H)-イル)-2-メトキシフェノキシ)-2-メチルプロパン-2-イル 2-アミノアセテート
【化42】

A. 1-(4-(6-(4-クロロフェニル)-4-オキソチエノ[3,2-d][1,2,3]トリアジン-3(4H)-イル)-2-メトキシフェノキシ)-2-メチルプロパン-2-イル 2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)アセテート
【化43】

CH2Cl2(9.0 mL)中の、実施例1のパートDで製造したアルコール(230 mg, 0.50 mmol)、4-ピロリジノピリジン(114 mg, 0.75 mmol)およびBOC-Gly-OH(264 mg, 1.51 mmol)の撹拌した懸濁液に、42℃で、N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド(0.23 mL, 1.51 mmol)を1時間かけて添加した。42℃で2.5時間撹拌した後、さらなるBOC-Gly-OH(264 mg, 1.51 mmol)を添加し、続いてさらなるN,N'-ジイソプロピルカルボジイミド(0.23 mL, 1.51 mmol)を1時間かけてゆっくりと添加した。42℃で1時間撹拌を続け; その後すぐに、該混合液を室温に冷却した後、ヒドラジン一水和物(150 μL, 3.09 mmol)を添加した。さらに1時間撹拌した後、該反応混合液を0℃に冷却し、濾過した。該濾過物を、冷1M HCl(3x20 mL)および冷2% NaHCO3(3x20 mL)で連続的に洗浄した後、乾燥させ(-Na2SO4)、減圧濃縮した。該残渣をクロマトグラフィー(SiO2 230-400メッシュ, 9:1 CH2Cl2/エーテル)処理して、目的のエステル(296 mg, 96%収率)を黄色の固形物として得た: MS (エレクトロスプレー, +イオン) m/z 615 (M+H)。
【0117】
B. 1-(4-(6-(4-クロロフェニル)-4-オキソチエノ[3,2-d][1,2,3]トリアジン-3(4H)-イル)-2-メトキシフェノキシ)-2-メチルプロパン-2-イル 2-アミノアセテート
【化44】

パートBに記載のBOC化グリシン酸エステル(glycinate ester)(295 mg, 0.48 mmol)を、1:2 TFA/ CH2Cl2(13.5 mL)によって、室温で20分間処理した。減圧下で揮発物を除去した後、該残留TFAをCH2Cl2(3x8 mL)と共エバポレートして除去し、減圧下で20分間乾燥させた。CH2Cl2(70 mL)に溶解させた後、該溶液を冷5% NaHCO3(3x30 mL)で洗浄し、乾燥させ(-Na2SO4)、濃縮して、目的の遊離アミン(228 mg, 92%収率)を、赤みを帯びた固形物として得た: MS (エレクトロスプレー, +イオン) m/z 515 (M+H). )。 1H NMR δ (CDCl3) 7.85 (s, 1H), 7.69 (d, J= 8.8 Hz, 2H), 7.49 (d, J= 8.8, 2H), 7.18 (m, 2H), 7.04 (d, J= 8.4 Hz, 1H), 4.25 (s, 2H), 3.90 (s, 3H), 3.34 (s, 2H) 1.63 (s, 6H).
【0118】
実施例 11
【化45】

A. 1-(4-(2-(4-クロロフェニル)-7-オキソチエノ[2,3-d]ピリダジン-6(7H)-イル)-2-メトキシフェノキシ)-2-メチルプロパン-2-イル 2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)アセテート
【化46】

CH2Cl2(10 ml)中の、実施例9で製造した2-(4-クロロフェニル)-6-(4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-3-メトキシフェニル)チエノ[2,3-d]ピリダジン-7(6H)-オン(100 mg, 0.219 mmol)、4-(ピロリジン-1-イル)ピリジン(32.4 mg, 0.219 mmol)およびboc-グリシン(192 mg, 1.094 mmol)の溶液に、N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド(0.170 ml, 1.094 mmol)を添加した。該混合液を還流で1時間撹拌し、次いで室温で18時間撹拌した。LC-MS分析により、目的の生成物、並びに第2のBoc-グリシンとの縮合から得られるイミドが確認された。ヒドラジン(0.343 ml, 10.94 mmol)を添加して室温で30分間撹拌することにより、後者の生成物を開裂して目的の生成物を再生成した。該反応液を飽和NaHCO3溶液(15 ml)で希釈し、CH2Cl2(20 ml)で抽出した。該CH2Cl2抽出物を-Na2SO4で乾燥させ、濃縮した。該粗生成物を、2つのシリカゲルカラム(2 x 12 g)で、ヘキサン〜100% 酢酸エチルの範囲の10分のグラジエントを用いて、ISCOクロマトグラフィーにより精製し、1-(4-(2-(4-クロロフェニル)-7-オキソチエノ[2,3-d]ピリダジン-6(7H)-イル)-2-メトキシフェノキシ)-2-メチルプロパン-2-イル 2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)アセテート(130 mg, 0.212 mmol, 97%収率)を薄茶色の固形物として溶出した。
【0119】
B. 1-(4-(2-(4-クロロフェニル)-7-オキソチエノ[2,3-d]ピリダジン-6(7H)-イル)-2-メトキシフェノキシ)-2-メチルプロパン-2-イル 2-アミノアセテート
【化47】

1-(4-(2-(4-クロロフェニル)-7-オキソチエノ[2,3-d]ピリダジン-6(7H)-イル)-2-メトキシフェノキシ)-2-メチルプロパン-2-イル 2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)アセテート(130 mg, 0.212 mmol)/CH2Cl2(10 ml)溶液に、トリフルオロ酢酸(3 ml, 38.9 mmol)を添加した。該反応液を室温で30分間撹拌し、濃縮して、CH2Cl2(15 ml)に再溶解させた。該CH2Cl2溶液を飽和NaHCO3(15 ml)で洗浄し、-Na2SO4で乾燥させ、濃縮した。該粗生成物を、シリカゲルカラム(12 g)で、ヘキサン〜100% EtOAcの10分のグラジエントを用いて、ISCOクロマトグラフィーにより精製して、極性の劣る不純物を溶出し; 目的の生成物を、1% NH4OH:9% MeOH:90% CH2Cl2で溶出した。CH2Cl2(15 ml)に溶解させて、1.0M HCl水溶液/MeOH溶液(3 ml)を-30℃で添加することにより、純粋な生成物を塩酸塩として単離して、HCl塩を得た。濾過および乾燥させた後、1-(4-(2-(4-クロロフェニル)-7-オキソチエノ[2,3-d]ピリダジン-6(7H)-イル)-2-メトキシフェノキシ)-2-メチルプロパン-2-イル 2-アミノアセテートの塩酸塩(82.49 mg, 0.160 mmol, 73.3%収率)を、オフホワイト色の固形物として得た。t = 2.28分でのLC MS. (m+H = 514) Phenomenex S5 C18 4.6X30 mm カラム/ 5 mL/分で2分かけて水-MeOH-TFA 90:10:0.1〜10:90:0.1のグラジエント、グラジエントの最後に1分のホールド. 1H NMR (400 MHz, DMSO) δ ppm 1.60 (s, 6 H), 3.76 (s, 2 H), 3.81 (s, 3 H), 4.24 (s, 2 H), 7.13 (s, 2 H), 7.25 (s, 1 H), 7.63 (d, J=8.56 Hz, 2 H), 7.93 (d, J=8.56 Hz, 2 H), 8.06 (s, 1 H), 8.57 (s, 1 H).
【0120】
(生物学的評価)
MCHR1活性の評価のための放射性リガンド結合アッセイ
変異した(E4Q, A5T) hMCHR1受容体を発現する、安定にトランスフェクトされたHEK-293細胞からの膜を、dounceホモジナイザーによる均質化および分画遠心法により調製した。結合実験は、10 mM MgCl2、2 mM EGTA、および0.1% BSA(結合バッファー)を含有する25 mM HEPES(pH 7.4)中において、総量0.2 mlで90分間インキュベートした0.5〜1.0 μgの膜タンパク質を用いて実施した。競合結合アッセイについては、0.06〜0.1 nM [Phe13, [125I]Tyr19]-MCHの存在下で、未標識の試験分子の濃度を増加させながら反応を行った。 反応を、1% BSAを含有する0.075 mlの結合バッファーを予めコーティングした96ウェル-GFC Unifilterプレートによる急速減圧濾過によって終了させ、0.01% TX-100を含有する0.4 mlのリン酸緩衝生理食塩水(pH 7.4)で3回洗浄した。フィルターを乾燥させ、0.05 mlのmicroscint 20を各ウェルに添加し、続いて、TopCount(商標)マイクロプレートシンチレーションカウンター(Packard)でのシンチレーション測定により、放射能を定量化した。阻害定数は、4つのパラメーターのロジスティック方程式(parameter logistic equation)を用いた非線形最小二乗法により決定した。
【表1】

【0121】
本発明は、詳細に説明された具体的な実施態様の観点において本明細書に記載されているけれども、そのような実施態様は本発明の一般的原理を例示する目的で提示するものであり、本発明は必ずしもそれに限定されるわけではないことが理解されるべきである。いずれの所定の物質、工程段階または化学式における、特定の改変および変化は、本発明の真の精神および範囲からはずれることなく当業者に容易に明らかとなり、全てのそのような改変および変化は、特許請求の範囲の範囲内であると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
Aは、NまたはCR2であり;
R1、R1bおよびR1aは同一または異なって、各々独立して、H、ハロ、低級アルキル、シクロアルキル、CF3、アルコキシ、およびチオアルコキシからなる群から選択され;
R2は、Hまたは低級アルキルであり;
R3は、H、ハロ、低級アルキル、シクロアルキル、CF3、低級アルコキシ、チオアルコキシ、またはCNであり;
R4は、-OHまたは-G-D-Znであり;
R5およびR5bは同一または異なって、各々独立して、H、ハロ、および低級アルキルからなる群から選択され;
nは、1から3であり;
Gは、OまたはSであり;
Dは、直結、低級アルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルおよび
【化2】

(式中、Xは-O-、-S-、-SO-または-SO2-である)からなる群から選択され;
Zは、水素、ヒドロキシル、ポリハロアルキル、低級アルキル、低級アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、OCONR6R7、CN、CONR8R9、SOR10、SO2R11、NR12COR13、NR14CO2R15、COR16、5-から6-員ヘテロアリール、または独立して-O-、-S-、-SO-もしくは-SO2-である2個以下のヘテロ原子を含有する4-から6-員ヘテロシクロアルキルであり;
R6、R7、R8、R9、R12およびR14は同一または異なって、各々独立して、H、低級アルキルおよびシクロアルキルからなる群から選択されるか、あるいはR6とR7および/またはR8とR9はそれらが結合する原子と一緒になって4-から7-員環を形成してもよく;そして、
R10、R11、R13、R15およびR16は同一または異なって、各々独立して、低級アルキル、およびシクロアルキルからなる群から選択される]
を有する化合物、またはその医薬的に許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ。
【請求項2】
R4が-G-D-Znである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Dが直結、低級アルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルおよび
【化3】

(式中、Xは-O-、-S-、-SO-または-SO2-であって、該環は、1,3-ジオキサラン、1,3-ジチオラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオフェン-1-オキシド、スルホラン、1,4-オキサチアン、1,4-オキサチアン-1-オキシド、1,4-オキサチアン-1,1-ジオキシド、1,3-ジチアン、1,4-ジチアン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、1,3-オキサチオラン、1,3-オキサチオラン-1-オキシド、もしくは1,3-オキサチオラン-1,1-ジオキシドである)
からなる群から選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Dが低級アルキルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
ZがCO2R16、-OH、ジオキシラニル、またはCF3である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
R3がアルコキシであり、R1がハロゲンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
R3がメトキシであり、R1がClであり、R1a、R1b、R5およびR5bがHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
R4が-G-D-Znであり; Dが低級アルキルであり; Zが-OH、ジオキシラニル、またはCF3であり; R3がメトキシであり; R1がClであり; そしてR1a、R1b、R5、およびR5bがHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
構造:
【化4】

【化5】

を有する請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
少なくとも1つの請求項1に記載の化合物またはそのプロドラッグもしくはそのプロドラッグの塩、および少なくとも1つの医薬的に許容される希釈剤もしくは担体を含む、医薬組成物。
【請求項11】
少なくとも1つのさらなる治療薬をさらに含む、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
少なくとも1つの請求項1に記載の化合物、および抗肥満薬、抗糖尿病薬、食欲抑制薬、コレステロール/脂質低下薬、およびHDL増加薬からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる治療薬を含む、医薬の組み合わせ。
【請求項13】
該さらなる治療薬が抗糖尿病薬である、請求項12に記載の医薬の組み合わせ。
【請求項14】
該抗糖尿病薬が、インスリン分泌促進薬、インスリン抵抗性改善薬、グルコキナーゼ阻害剤、グルココルチコイドアンタゴニスト、フルクトース1,6-ビスホスファターゼ阻害剤、AMPキナーゼ活性化剤、インクレチンモジュレーター、グルコシダーゼ阻害剤、アルドース還元酵素阻害剤、PPARγアゴニスト、PPARαアゴニスト、PPARδアンタゴニストもしくはアゴニスト、PPARα/γデュアルアゴニスト、11-β-HSD-1阻害剤、ジペプチジルペプチダーゼIV(DP4)阻害剤、SGLT2阻害剤、インスリン、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、GLP-1アゴニスト、およびPTP-1B阻害剤からなる群から選択される、請求項13に記載の医薬の組み合わせ。
【請求項15】
該さらなる治療薬が、メラノコルチン受容体(MC4R)アゴニスト、カンナビノイド受容体モジュレーター、成長ホルモン分泌促進因子受容体(GHSR)アンタゴニスト、ガラニン受容体モジュレーター、オレキシンアンタゴニスト、CCKアゴニスト、GLP-1アゴニスト、プレ-プログルカゴン-由来ペプチド; NPY1もしくはNPY5アンタゴニスト; NPY2およびNPY4モジュレーター; コルチコトロピン放出因子アゴニスト、ヒスタミン受容体-3(H3)モジュレーター、aP2阻害剤、PPARγモジュレーター、PPARλモジュレーター、アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)阻害剤、11-β-HSD-1阻害剤、アディノペクチン受容体モジュレーター; β3アドレナリンアゴニスト、甲状腺受容体βモジュレーター、リパーゼ阻害剤、セロトニン受容体アゴニスト、モノアミン再取り込み阻害剤もしくは放出剤、食欲低下薬、CNTF阻害剤、BDNF阻害剤、DGAT阻害剤、レプチン、レプチン受容体モジュレーター、およびカンナビノイド-1受容体アンタゴニストからなる群から選択される抗肥満薬である、請求項14に記載の医薬の組み合わせ。
【請求項16】
治療上有効な量の少なくとも1つの請求項1に記載の化合物を、単独であるいは1つ以上の抗肥満薬と組み合わせて投与することを含む、該治療を必要とする患者における肥満症の治療方法。
【請求項17】
該抗肥満薬が、メラノコルチン受容体(MC4R)アゴニスト、カンナビノイド受容体モジュレーター、成長ホルモン分泌促進因子受容体(GHSR)アンタゴニスト、ガラニン受容体モジュレーター、オレキシンアンタゴニスト、CCKアゴニスト、GLP-1アゴニスト、プレ-プログルカゴン-由来ペプチド; NPY1もしくはNPY5アンタゴニスト; NPY2およびNPY4モジュレーター; コルチコトロピン放出因子アゴニスト、ヒスタミン受容体-3(H3)モジュレーター、aP2阻害剤、PPARγモジュレーター、PPARλモジュレーター、アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)阻害剤、11-β-HSD-1阻害剤、アディノペクチン受容体モジュレーター; β3アドレナリンアゴニスト、甲状腺受容体βモジュレーター、リパーゼ阻害剤、セロトニン受容体アゴニスト、モノアミン再取り込み阻害剤もしくは放出剤、食欲低下薬、CNTF阻害剤、BDNF阻害剤、DGAT阻害剤、レプチン、レプチン受容体モジュレーター、およびカンナビノイド-1受容体アンタゴニストからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
治療上有効な量の少なくとも1つの請求項1に記載の化合物を、単独であるいは1つ以上のさらなる抗糖尿病薬と組み合わせて投与することを含む、該治療を必要とする患者における糖尿病の治療方法。
【請求項19】
該さらなる抗糖尿病薬が、インスリン分泌促進薬、インスリン抵抗性改善薬、グルコキナーゼ阻害剤、グルココルチコイドアンタゴニスト、フルクトース1,6-ビスホスファターゼ阻害剤、AMPキナーゼ活性化剤、インクレチンモジュレーター、グルコシダーゼ阻害剤、アルドース還元酵素阻害剤、PPARγアゴニスト、PPARαアゴニスト、PPARδアンタゴニストもしくはアゴニスト、PPARα/γデュアルアゴニスト、11-β-HSD-1阻害剤、ジペプチジルペプチダーゼIV(DP4)阻害剤、SGLT2阻害剤、インスリン、グルカゴン様ペプチド-1 (GLP-1)、GLP-1アゴニスト、およびPTP-1B阻害剤からなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
治療上有効な量の少なくとも1つの請求項1に記載の化合物を投与することを含む、患者におけるうつ病または不安症の治療方法。

【公表番号】特表2010−525077(P2010−525077A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506508(P2010−506508)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/061519
【国際公開番号】WO2008/134480
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】