説明

非接触ICタグの製造方法

【課題】 ICチップの破損が生じることの少ない非接触ICタグを精度良く製造する製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の非接触ICタグの製造方法は、アンテナパターン2の端部にICチップ3を実装したインレットベース11Aに対して、ICチップ嵌め込み用開口10aと光学認識用開口10bを形成した中間シート10を、前記光学認識用開口10bとインレットベース11Aのアンテナパターン2を監視しながら、当該ICチップ嵌め込み用開口10aに前記インレットベースのICチップ3を位置合わせして嵌め込みし、かつ中間シート10をラミネートし、次いで、インレットベース11Aのアンテナパターン2表面に表面保護シート4をラミネートする工程と、単位の非接触ICタグ1の輪郭をダイカッタにより打ち抜きする工程と、により製造することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触ICタグの製造方法に関する。平面状の非接触ICタグはICチップ部分が突出した高さを有するので、非接触ICタグ相互間、または他の物品との衝突によりICチップの破損をまねき易い。そこで、ICチップ部分を包囲する穴開きシートをベースフィルムと表面保護シートの中間に挿入することが提案されている。
本発明はこのようなIC保護構造を有する非接触ICタグを精度良く、かつ効率的に製造する方法に関するものである。従って、本発明の技術分野は非接触ICタグの製造や利用の分野となる。
【背景技術】
【0002】
非接触ICタグは、情報を記録して保持し非接触で外部装置と交信し情報交換できるので、運送や物流等における認識媒体として、あるいは商品の品質管理、在庫管理等の各種目的に多用されるようになってきている。
しかし、非接触型ICタグを物流ラベルとして利用する場合、物流の際に外部から不可避的な応力が加えられる場合が多い。特にICチップ部分が衝撃を受けると致命的な損傷を受けてしまう。そこで、従来からICチップ部分を保護する構造が考えられているが、複雑な構造となり安価かつ高精度に非接触ICタグを製造できない問題がある。
【0003】
非接触ICタグの避けられない構造上の問題として、ICチップの厚みが、基材等と比較して遥かに大きい問題がある。ICチップは小サイズ化が図られ薄片化しているが、近年のICチップでも、0.2mm〜2mm角以内の平面サイズと100μm〜500μm程度の厚みを有する。したがって、基材面にアンテナパターンを形成してICチップを実装後、表面保護シートを被覆して平坦化しても、当該ICタグラベルを積み上げした場合はICチップ部分は嵩高となる。
【0004】
ICチップが損傷を受ける場合として、この積み上げ状態が考えられる。非接触ICタグを使用する際は、数枚ないし十数枚を積み上げることがよくある。使い易くするためにはラベルの向きを揃えるのが通常である。そうすると必然的にICチップ部分が上下に整列して重なり合うことになる。その状態で上面から重量のある物体をラベル上に載せると、上下位置関係にあるいずれかのICチップ相互間が衝撃を受けて、シリコン結晶であるICチップの破壊が生じる。この場合は未使用状態でICタグの不良が疑われる。
その他の原因として、硬質の被着体に貼着されたICタグが硬質の他の物体に衝突する場合にも、突出しているICチップ部分が最も衝撃を受け易い問題がある。
ICチップに不具合を生じる原因は、これらの原因のみではないが、厚みのあるICチップ3が金属等の堅い構造材料に接触または衝突した際に破損しやすいのは事実と考えられる。
【0005】
参考のために、実際の非接触ICタグの形態を、図5に示す。非接触ICタグ1は、ベースフィルム11面にアンテナパターン2を形成し、捲線コイル状のアンテナパターン2の両端部2a,2bにICチップ3を装着している。図5のものは透明なベースフィルム11にラミネートされた金属箔をフォトエッチングして、アンテナパターン2を形成したもので、被着体に貼着する面側から見た図である。コイル状アンテナの一端は基材の背面をとおる導通部材7にかしめ具等を用いて接続し、ICチップ3に接続するアンテナパターンの端部2aに通じるようにしている。
ICチップ3は両端部2a,2bに対して導電性接着剤等によりそのパッドが接続するようにされている。図示してないがICチップ3の周囲に厚み調整パターンを設ける場合もある。しかし、アンテナ用金属箔は20μm〜35μm程度の厚みであって、ICチップ3の厚みに相応するものではなく、保護機能としては不十分である。
【0006】
上記問題を解決するため、ICチップの周囲に構造体(穴開きシート)を挿入することが提案されていたが、ICチップと当該穴開きシートの開口を精度良く位置合わせする方法がなく、量産することが困難であった。
そこで、本発明は、新規なICタグの製造方法を提案するものである。本発明に直接関連する先行技術を検出することができない。特許文献1は、ICタグラベルの製造方法に関するが、フラット(平面)なICタグラベルの実現を課題としている。
特許文献2は、本願の先願にかかり、穴開き構造体を挿入した非接触ICタグについて提案している。また、特許文献3は、「ラミネート方法」を記載しているが、本願に直接に関係するものではない。
【0007】
【特許文献1】特開2003−67708号公報
【特許文献2】特願2005−051036
【特許文献3】特開2005−14478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
開口が形成された穴開きシートをICチップの保護部材として、非接触ICタグの層構成中に挿入することは提案されているが、当該非接触ICタグを効率的に量産する製造方法は提案されていない。ICチップを当該穴開きシートの開口に精度高く嵌め込みしてラミネートすることに困難を伴うからである。
そこで、本願出願人は上記課題を解決する製造方法を鋭意研究して、本発明の完成に至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明の要旨は、ICチップの破損防止構造を有する非接触ICタグを連続して製造する製造方法であって、以下の(1)〜(7)の工程、
(1)プラスチックフィルムに金属箔をラミネートしたウェブ状のベースフィルムの、該金属箔をエッチングして、アンテナパターンを連続的に形成する工程、(2)前記各アンテナパターンの端部にICチップを実装してインレットベースを完成する工程、(3)前記インレットベースのICチップとは反対側面に、粘着剤層付き剥離紙ウェブを圧着して貼り付けする工程、(4)前記インレットベースのICチップ側に積層する中間シートであって、当該各ICチップ嵌め込み用開口と光学認識用開口を等間隔に、かつ連続的にダイカットして形成したウェブ状中間シートを準備する工程、(5)粘着剤層付き剥離紙ウェブを貼り付けした前記インレットベースに対して、前記ウェブ状中間シートの光学認識用開口とインレットベースのアンテナパターンを監視しながら、前記ICチップ嵌め込み用開口に前記インレットベースのICチップを位置合わせして嵌め込みし、かつ中間シートをラミネートする工程、(6)中間シート面に、さらに表面保護シートをラミネートする工程、(7)単位の非接触ICタグが、前記剥離紙面に等間隔で残るように、各単位の非接触ICタグの輪郭をダイカッタにより打ち抜きした後、非接触ICタグ以外の切除片を除去する工程、を有することを特徴とする非接触ICタグの製造方法、にある。
【発明の効果】
【0010】
本発明の製造方法によれば、IC保護用の中間シートに、ICチップ嵌め込み用開口と光学認識用開口が形成されているので、当該光学認識用開口を認識しながらIC破損防止構造を有する非接触ICタグを高精度で効率良く製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、IC破損防止構造を有する非接触ICタグの製造方法に関するが、以下、図面を参照して説明する。図1は、本発明製造方法による非接触ICタグの例を示す概略平面図、図2は、同断面図、図3は、製造工程のフローチャート、図4は、製造工程の要部説明図、である。
【0012】
本製造方法により製造されるIC破損防止構造を有する非接触ICタグ1は、図1の平面図のように、アンテナパターン2とその両端部2a,2bに装着されたICチップ3を有している。アンテナ回路の一部は短絡を防止するため、導通部材7によりベースフィルム11の裏面を通って、アンテナパターン2の端部2aに接続している。以上の構成は通常の非接触ICタグと同様のものである。なお、アンテナパターン2は、図のようにコイル状のものに限らず、ダイポール型アンテナであってもよいものである。
IC破損防止構造を有する非接触ICタグ1の特徴は、ICチップ3の周囲を包囲するようにICチップ嵌め込み用開口10aを形成した中間シート10がインレットベース11Aと表面保護シート4の間に挿入されていることにある。なお、インレットベースとは、ベースフィルム11にアンテナパターン2を形成し、ICチップ3を装着したまでの状態のベースフィルムを意味するものとする。
【0013】
開口10aは円形が好ましいが矩形状であってもよい。要するに全体としてICチップ3を囲む形状であれば構わない。ただし、円形の場合は穴の周囲にかかる応力が分散されるので、紙等の弱い材料であっても穴の周囲から破れが生じることは少ない。
当該中間シート10の厚みによりICチップ3の突出高さが減少するため、ICチップ3が他のICタグのICチップ3と接触したり、または他の硬質の物体に衝突する頻度を減少でき、衝突した際の衝撃を緩和できるものである。中間シート10の大きさは、その製造工程から非接触ICタグ1と同等の面積サイズとなる。
【0014】
開口10aの大きさは、ICチップ3を包囲する(嵌め込みする)大きさである必要があり、ICチップ3の平面サイズにも関係するが一辺が1mm未満のICチップの場合、通常円形の開口の場合で、直径が2mmから5mm程度、正方形の開口でも、一辺が2mmから5mm程度に小さいことが好ましい。あまり穴が大きくては尖った物体に対して衝撃緩和効果を生じないからである。
【0015】
IC破損防止構造を有する非接触ICタグ1の断面構造は、図2のようになる。
ベースフィルム11のアンテナ面に、中間シート10を積層し、さらに当該中間シート面に表面保護シート4をラミネートしている。表面保護シート4は、通常は非接触ICタグ1の全体を被覆して保護するようにされている。図示の都合上、接着剤層5bとアンテナパターン2の間は隙間が空いているうようにされているが、実際はアンテナパターン2またはベースフィルム11との間は密着しているものである。ベースフィルム11の被着体側となる面には粘着剤層5cと剥離紙6を有している。
当該粘着剤層5cは、一般的にはセパ紙と呼ばれる離型面を有する剥離紙6にあらかじめ粘着剤層5cを塗工しておき、これを非接触ICタグ1のベースフィルム11に貼着させる場合が多い。このような非接触ICタグ1は粘着剤層5cにより物品に貼着するラベル状のものである。
【0016】
中間シート10は、図2の場合は例としてプラスチックフィルムとすることができ、プラスチックフィルムである中間シート10のアンテナパターン面側には接着剤層5bが塗布されている。中間シート10は、前記のようにICチップ嵌め込み用開口10aを有し、当該穴の中心にICチップ3が位置するように、ベースフィルム11と表面保護シート4の間に挿入されている。
【0017】
中間シート10の厚みは、ICチップ3と同等の厚みを有するのが好ましい。近年のICチップが、100μmから200μmの厚みのものが多いことからすると、同等の厚み(100μm〜200μm)が好ましいことになる。しかし、ICチップ3と同等の厚みでなくても、ICチップ3の1/4程度以上の厚みを有する場合にも一定な効果が得られる。したがって、ICチップの厚みが200μmであれば、50μmから200μm、好ましくは100μmから200μm程度の厚みを有すれば顕著なチップ破損防止効果を奏することができる。中間シート10がICチップと同等の厚みを持たない場合でも、他のICタグとの間には表面保護シート4やベースフィルム11が間に入ることになるので、ICチップ相互間が直接衝突するような衝撃を緩和できるからである。
ただし、現状のICチップ3の厚みでは、50μm未満の中間シート10の厚みではICチップ破損防止効果としては不十分となる。
【0018】
本発明の非接触ICタグの製造方法は、シート状ウェブを用いて連続的に製造する方法であるが、図3のフローチャートの工程で製造できる。以下、図3および図4の製造工程要部説明図を参照して説明する。
【0019】
まず、図3のフローチャートのようにベースフィルム11を準備する(S1)。
ベースフィルム11としては、プラスチックフィルムに金属箔をラミネートしたウェブ状のベースフィルムを使用する。プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましく使用できるが後述する各種の材料も使用できる。
金属箔は、アンテナパターンの導電層を形成するためのもので、通常は銅箔やアルミニウム箔の20μm〜35μm程度の厚みのものが使用される。
【0020】
このベースフィルム11の金属箔に対して、印刷レジストを用いてアンテナパターン用レジスト印刷を行う(S2)。感光性レジストとフォトマスクを用いる方法であってもよいが、印刷によるのが量産性およびコスト的な利点がある。次に、ベースフィルム11の金属箔をエッチング液で腐蝕してアンテナパターン2を連続的に形成する(S3)。
その後、各アンテナパターン2の端部2a,2bにICチップ3を実装してインレットベース11Aを完成する(S4、図4(A))。
【0021】
前記インレットベース11AのICチップ3とは反対側面に、別工程により準備した粘着剤層付き剥離紙ウェブ9(図4(B))を圧着して貼り付けする(S5、図4(C))。この工程は、両面粘着テープの片面側の剥離紙を除去しながら、インレットベース11Aの下面側に貼り付けする工程で行うこともできる。
次に、前記インレットベース11AのICチップ3側に積層する中間シートであって、当該各ICチップ嵌め込み用開口10aと光学認識用開口10bを距離Lを置いて形成し、かつこの2つの開口セットを等間隔に、かつ連続的にダイカットして形成したウェブ状中間シート10を準備する(S6、図4(D))。
【0022】
粘着剤層付き剥離紙ウェブ9を貼り付けした前記インレットベース11Aに対して、ウェブ状中間シート10の光学認識用開口10bとインレットベース11Aのアンテナパターン2を監視しながら、前記ICチップ嵌め込み用開口10aに前記インレットベース11AのICチップ3を位置合わせして嵌め込みし、かつ中間シート10をラミネートする(S7、図4(E))。この際、2台のパターン認識装置(センサー)を使用し、1台は中間シート10の光学認識用開口10bを監視し、他の1台はインレットベース11Aのアンテナパターン2を監視するようにする。それにより双方のウェブの進行を制御して、ICチップ嵌め込み用開口10aに対しICチップ3の位置が合致するようにする。
光学認識用開口10bを設けず、ICチップ嵌め込み用開口10a自体を制御マークとしてパターン認識装置で直接監視することも考えられるが、光の反射を読み取りする汎用的な光学センサでは、2mm〜3mm程度の小さな開口では読み取りできない場合が生じるので、別途光学認識用開口10bを設けるのが好ましい。
【0023】
続いて、インレットベース11Aのアンテナパターン2表面に表面保護シート4(図4(F))をラミネートする(S8、図4(G))。表面保護シート4に個々のICタグに対応するような印刷パターンや個別情報が設けられている場合は、位置合わせ制御が必要になるが、無地とか単純な地模様のような場合は位置合わせの必要はない。
その後、単位の非接触ICタグをロータリーダイカッタにより打ち抜きする。剥離紙6面に単位の非接触ICタグ1が等間隔で残るように、各非接触ICタグの輪郭をダイカッタにより打ち抜きする。非接触ICタグ以外の輪郭部等の切除片15は除去する。粘着剤層5cは切除片15側に移るので、非接触ICタグ1周囲の剥離紙6面には残らない。
この際、前記光学認識用開口10bが、図4(G)のように、切除片15内に残るように形成すれば、非接触ICタグ1に当該形跡が残らなくなるので好ましい。
【0024】
<中間シートの材質に関する実施形態>
中間シート10の材質には、以下に挙げる紙基材やプラスチックフィルムの単体または複合体を使用することができる。
(1)紙基材
上質紙やコート紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙やラテックスまたはメラミン樹脂含浸紙を使用できる。
(2)プラスチックフィルムは幅広く各種のものを使用でき、以下に挙げる単独フィルムあるいはそれらの複合フィルムを、打ち抜き等して使用できる。
ポリエチレンテレフタレート(PET)、PET−G(テレフタル酸−シクロヘキサンジメタノール−エチレングリコール共重合体)、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリスチレン系、ABS、ポリアクリル酸エステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、等である。
【0025】
<その他の材質に関する実施形態>
(1)ベースフィルム
プラスチックフィルムを幅広く各種のものを使用でき、以下に挙げる単独フィルムあるいはそれらの複合フィルムを使用できる。
ポリエチレンテレフタレート(PET)、PET−G(テレフタル酸−シクロヘキサンジメタノール−エチレングリコール共重合体)、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリスチレン系、ABS、ポリアクリル酸エステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、等である。
【0026】
(2)表面保護シート
プラスチックフィルムや紙基材を幅広く各種のものを使用できる。プラスチックフィルムとしては、上記に挙げたものを使用でき、紙基材としては、以下のもの等を使用できる。表面にプリンター印字をする場合は、上質紙、コート紙等の紙基材が特に好ましい。
その他に、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、ラテックスやメラミン含浸紙、等を使用できる。
【0027】
(3)接着剤、粘着剤
本明細書で接着剤という場合は、溶剤型や重合型、紫外線硬化型、エマルジョン型、熱溶融型等の各種のものをいい、いわゆる粘着剤型のものをも含むものとする。いずれであっても、双方の材料間を接着すれば目的を達成できるからである。
また、本明細書で粘着剤という場合は、徐々に粘度が顕著に上昇することなく、いつまでも中間的なタック状態を保つものをいうものとする。
接着剤、粘着剤の樹脂組成物としては、天然ゴム系、ニトリルゴム系、エポキシ樹脂系、酢酸ビニルエマルジョン系、アクリル系、アクリル酸エステル共重合体系、ポリビニルアルコール系、フェノール樹脂系、等の各種材料を使用できる。
【実施例1】
【0028】
非接触ICタグのベースフィルム11として、厚み38μmの透明2軸延伸PETフィルムに25μm厚のアルミニウム箔をドライラミネートしたベースフィルム11(幅70mm)を使用した。この連続状ベースフィルム11に対して印刷レジストを用いてアンテナパターンを連続的にスクリーン印刷した。乾燥後、エッチングして、アンテナパターン2を連続的に有するベースフィルム11が得られた。
なお、1つのアンテナパターン2は外形が、ほぼ45mm×76mmの大きさとなるようにし、アンテナパターン2の繰り返しピッチは、90mmとなるようにした。
【0029】
上記ベースフィルム11のアンテナコイル両端部2a,2bに、平面サイズが1.0mm角、厚み300μmであって、スパイク状バンプを有するICチップ3をフェイスダウンの状態で熱圧をかけて装着した。これにより、インレットベース11Aが完成した。
インレットベース11AのICチップ3とは反対側面に、幅70mmの両面テープをラミネートした。当該両面テープは粘着剤層付き剥離紙ウェブ9に相当するもので、基材の両面に粘着剤層が塗工されその両面が剥離紙で保護されている形態になっている。両面テープの片面側の剥離紙を除去しながら、インレットベース11Aにラミネートした。
【0030】
次に、中間シート10用のフィルムとして、幅70mm、厚み150μmのPETフィルムを使用した。ICチップ3の厚みの1/2に相当する厚みのものである。当該中間シート10に対して、ICチップ嵌め込み用開口10aと光学認識用開口10bの2つの開口を組みにして、ロータリダイカッタにより90mmのピッチで連続的に打ち抜きして形成した。ICチップ嵌め込み用開口10aは、直径5.0mmの円形とし、光学認識用開口10bは長辺が5mm、短辺が3mmの矩形状とし、長辺が中間シート10の幅方向と平行になるようにした。なお、ICチップ嵌め込み用開口10aと光学認識用開口10bの中心間のウェブに平行する距離L(図4(D)参照)が26mmとなるようにしたが、これはICチップ嵌め込み用開口10aの中心にICチップ3を嵌め込みした際に、光学認識用開口10bが隣接するICタグ間の切り取り部分(切除片)内に位置するようにしたものである。
【0031】
双方の開口10a,10bを形成したウェブ状中間シート10とインレットベース11AをICタグ加工機を用いてラミネートした(図4(E)参照)。
その際、光学認識用開口10bを1台の反射光読み取り式パターン認識装置(センサ)を用いて監視し、インレットベース11Aのアンテナパターン2のエッジ部分を他方の反射光読み取り式パターン認識装置(センサ)を用いて監視し、制御装置により両ウェブの送り量を調製しながら、ICチップ嵌め込み用開口10aの中心にICチップ3が位置するようにし、中間シート10側に接着剤を塗工しながらラミネートした。
【0032】
さらに幅70mm、厚み40μmの表面保護シート(コート紙)4を、上記中間シート10の上にポリエステル系ホットメルト接着剤シートを介して積層し熱プレスした。
最後に、図4(G)のように、個々の非接触ICタグ1の輪郭を形成するため、ロータリダイカッタを用いて打ち抜きした。ダイカッタは、表面保護シート4からベースフィルム11までを切断し、剥離紙6を切断しないように、刃先を調製したものを使用した。
単位の非接触ICタグラベル1は、幅54mm×長さ86mmとなった。切除片15は剥離除去した。
【実施例2】
【0033】
アンテナパターン2の形成とICチップ3の実装までは、実施例1と同一の材料を使用し、同一の工程によりインレットベース11Aを完成した。ただし、1つのアンテナパターン2は外形が、ほぼ45mm×76mmの大きさとなるようにした。
インレットベース11AのICチップ3とは反対側面に、剥離紙ウェブ9である幅70mmの両面テープを、実施例1と同様にしてラミネートした。
【0034】
次に、中間シート10として、幅70mm、厚み75μmのPETフィルムを使用した。ICチップ3の厚みの1/4に相当するものである。当該中間シート10に対して、ICチップ嵌め込み用開口10aと光学認識用開口10bの2つの開口を組みにして、ロータリダイカッタにより90mmのピッチで連続的に打ち抜きして形成した。
ICチップ嵌め込み用開口10aは、直径2.5mmの円形とし、光学認識用開口10bは長辺が10mm、短辺が5mmの矩形状とし、長辺が中間シート10の幅方向と平行になるようにした。
なお、ICチップ嵌め込み用開口10aと光学認識用開口10bの中心間のウェブに平行する距離L(図4(D)参照)が26mmとなるようにし、光学認識用開口10bが隣接するICタグの切り取り部分(切除片)内に位置するようにした。
【0035】
以降の加工も実施例1と同様にして行い、幅70mm、厚み40μmの表面保護シート(コート紙)4を、上記中間シート10の上にポリエステル系ホットメルト接着剤シートを介して積層し熱プレスした。最後に、図4(G)のように、個々の非接触ICタグの輪郭を形成するため、ロータリダイカッタを用いて打ち抜きした。単位の非接触ICタグラベル1は、幅54mm×長さ84mmとなった。切除片15は剥離除去した。
【0036】
上記実施例1と実施例2の非接触ICタグ1と、従来品の非接触ICタグと、を同一の条件で各種の使用試験をしたが、実施例の非接触ICタグ1では、ICチップが破壊して生じる不具合が顕著に減少することが認められた。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明方製造方法による非接触ICタグの例を示す概略平面図である。
【図2】同断面図である。
【図3】製造工程のフローチャートである。
【図4】製造工程の要部説明図である。
【図5】従来の非接触ICタグの形態を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
1 非接触ICタグ
2 アンテナパターン
3 ICチップ
4 表面保護シート
5a,5b 接着剤層
5c 粘着剤層
6 剥離紙
7 導通部材
9 剥離紙ウェブ
10 中間シート
11 ベースフィルム
11A インレットベース


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICチップの破損防止構造を有する非接触ICタグを連続して製造する製造方法であって、以下の(1)〜(7)の工程、
(1)プラスチックフィルムに金属箔をラミネートしたウェブ状のベースフィルムの、該金属箔をエッチングして、アンテナパターンを連続的に形成する工程、
(2)前記各アンテナパターンの端部にICチップを実装してインレットベースを完成する工程、
(3)前記インレットベースのICチップとは反対側面に、粘着剤層付き剥離紙ウェブを圧着して貼り付けする工程、
(4)前記インレットベースのICチップ側に積層する中間シートであって、当該各ICチップ嵌め込み用開口と光学認識用開口を等間隔に、かつ連続的にダイカットして形成したウェブ状中間シートを準備する工程、
(5)粘着剤層付き剥離紙ウェブを貼り付けした前記インレットベースに対して、前記ウェブ状中間シートの光学認識用開口とインレットベースのアンテナパターンを監視しながら、前記ICチップ嵌め込み用開口に前記インレットベースのICチップを位置合わせして嵌め込みし、かつ中間シートをラミネートする工程、
(6)中間シート面に、さらに表面保護シートをラミネートする工程、
(7)単位の非接触ICタグが、前記剥離紙面に等間隔で残るように、各単位の非接触ICタグの輪郭をダイカッタにより打ち抜きした後、非接触ICタグ以外の切除片を除去する工程、
を有することを特徴とする非接触ICタグの製造方法。
【請求項2】
前記光学認識用開口が切除片内に位置するように形成することを特徴とする請求項1記載の非接触ICタグの製造方法。
【請求項3】
前記ICチップ嵌め込み用開口が、直径2mm〜5mmの円形であることを特徴とする請求項1記載の非接触ICタグの製造方法。
【請求項4】
前記光学認識用開口が、長辺5mm〜10mm、短辺3mm〜5mmの長方形であることを特徴とする請求項1記載の非接触ICタグの製造方法。
【請求項5】
前記中間シートの厚みが、100μm以上であって、200μm以下であることを特徴とする請求項1記載の非接触ICタグの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−193395(P2007−193395A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−8236(P2006−8236)
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】