説明

非晶質シンバスタチン・カルシウムとその製造方法

非晶質ジヒドロキシ・オープンアシッド・シンバスタチン・カルシウム、および非晶質シンバスタチン・カルシウムの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
当該出願は、2003年4月1日に提出された米国仮出願第60/459,352号の利益を主張し、上記文献の開示の全体を本明細書中に援用する。
本発明の分野
本発明は、非晶質シンバスタチン・カルシウムと、非晶質シンバスタチン・カルシウムを得るための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
シンバスタチンは、8-アシル部分が2,2-ジメチルブチリルである、ロバスタチンの合成類似体である。シンバスタチンは、化学的に2,2-ジメチルブタン酸(4R,6R)-6-[2(1S,2S,6R,8S,8aR)-1,2,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-2,6-ジメチル]-l-[2-テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-6-オキソ-2H-ピラン-2-yl)エチル]-1-ナフタレニル・エステルと表される(CAS登録番号79902-63-9)。シンバスタチンの化学構造は以下のとおりである:
【0003】
【化1】

【0004】
シンバスタチンは、いくつかの市場においてZOCOR(登録商標)として現在市販されている。シンバスタチンの製造は、米国特許第4,444,784号に最初に記載された。そのプロセスは、ロバスタチンの脱アシル化後のそれに続く2,2-ジメチルブチリル部分のアシル化を含む。シンバスタチンは、米国特許第4,582,915号および同第4,820,850号で記載のように、ロバスタチン・エステル部分のアルファ・アルキル化によって同様に製造される。
【0005】
シンバスタチンもロバスタチンもスタチン・ファミリーのメンバーであり、強力な抗高コレステロール血症薬である。それらは共に、メバロン酸の形成を触媒する酵素3-ヒドロキシ-3-メチル-グルタリル補酵素Aレダクターゼ(「HMG-CoAレダクターゼ」)を抑制し、それによりコレステロールの生合成を抑制する。同様に、それらは血中に循環しているLDLコレステロールを除去する細胞LDLレセプターの数を増加させ、それにより血中コレステロール・レベルを下げる。シンバスタチンは、ロバスタチンと比べてより強力なHMG-CoAレダクターゼ阻害剤である。
【0006】
シンバスタチンもロバスタチンも、3-ヒドロキシ・ラクトン環型、またはジヒドロキシ・オープンアシッド(open acid)型のいずれかで存在しうる。ラクトン化型はHMG-CoAレダクターゼの活性阻害剤でないが、ジヒドロキシ・オープンアシッド型はHMG-CoAレダクターゼの活性阻害剤である。対応するラクトン化型へのジヒドロキシ・オープンアシッド型の分子内縮合は、酸性条件下(例えば、pHが約pH4以下である胃において)生じる。不活性なラクトンの生体内の量を制限するために、ジヒドロキシ・オープンアシッド型のシンバスタチンを製造することが望ましい。
【0007】
WO00/53566は、ジヒドロキシ・オープンアシッド・シンバスタチン型の結晶質カルシウム塩、およびその製造、特に対応するX線粉末回折、熱重量分析、示差走査熱量測定、および固体13C-NMR分光検査データによって特徴づけられる水和カルシウム塩、を開示する。
【0008】
WO00/53566は、結晶質ジヒドロキシ・オープンアシッド・シンバスタチン・カルシウム塩水和物を製造するための2つの合成方法を開示する。1つ目の合成方法は、無機塩基、例えば水酸化ナトリウムと水、または水と有機溶媒中、シンバスタチン・ラクトン型を加水分解し、そしてCa(OAc)2H2Oで加水分解シンバスタチンを処理して目的の塩を形成した後に目的物の沈殿することによる。2つ目の合成方法は、(出発物質として)ジヒドロキシ・オープンアシッド・シンバスタチンのアンモニウム塩をCa(OAc)2H2Oと組み合わせてシンバスタチン・カルシウム塩の結晶質水和物型を得ることによる。ラクトン化シンバスタチンを出発物質として使う場合、ジヒドロキシ・オープン・シンバスタチン型から始めることは必要とされている加水分解ステップを回避する。WO00/53566は、結晶質水和シンバスタチン・カルシウム塩の徐放剤形をさらに開示する。
【0009】
WO02/20457は、水和および無水型を含むシンバスタチン・カルシウム塩の5つの多型結晶質型の製造および特徴づけを開示する。これらの異なる多型結晶質型は、X線粉末回折、熱重量分析、示差走査熱量測定、および個体13C-NMR分光検査法によって特徴づけされる。WO02/20457は、多型結晶質シンバスタチン・カルシウム塩I、II、III、IV、およびV型を作製する方法をさらに開示する。WO02/20457は、カルシウム1モルにつき2.8〜3.6モルの水を含むI型と、異なる乾燥方法を使うことによって達成される各々異なる水和度を有するII、III、IV、およびV型を開示する。
薬物の非晶質型を使うことに多くの利点があるかもしれない。最も重要な利点の2つは、高い溶解度と生物学的利用能である。非晶質ジヒドロキシ・オープンアシッド・シンバスタチン・カルシウム塩を製造する継続的必要性が存在する。
【発明の開示】
【0010】
本発明の概要
本発明は、ジヒドロキシ・オープンアシッド・シンバスタチンの非晶質カルシウム塩を提供する。
本発明は、非晶質シンバスタチン・カルシウムを提供する。前記非晶質型は、図1で示されるX線粉末回折パターン、図2で示される(1.5%wt〜2%wtであるかもしれない)熱重量分析減量曲線によって測定される乾燥することによる喪失、および図3で示される示差走査熱量曲線から成る群から選ばれる1以上の特徴によって特徴づけられうる。
【0011】
他の側面によると、本発明は、1.0%wt未満の水を含んでいる無水の非晶質シンバスタチン・カルシウムを提供する。他の側面によると、前記非晶質シンバスタチン・カルシウムは、最大約4%wtの水、一般に約1.8%〜約2.4%wtの水を含んでいるかもしれない。
【0012】
同様に、本発明は、以下のステップ:
a) ジヒドロキシ・オープンアシッド・シンバスタチンの塩を、水と水非混和性有機溶媒との混合物と混ぜ合わせ、ここで、上記混合物が無機相と有機相を形成し;
b) カルシウム含有化合物を上記混合物に加え;そして
c) 上記有機相から非晶質シンバスタチン・カルシウムを分離する、
を含む非晶質シンバスタチン・カルシウムの製造方法を提供する。
【0013】
好ましくは、前記シンバスタチン塩は、アルカリ土類金属塩およびアンモニウム塩から成る群から選ばれる。好ましくは、前記アルカリ土類金属塩は、ナトリウム塩またはカリウム塩から成る群から選ばれる。
【0014】
好ましくは、水非混和性有機溶媒は、エーテル、エステル、芳香族炭化水素、およびハロゲン化炭化水素から成る群から選ばれる。好ましくは、前記エーテルは、式R1-O-R2{式中、R1がC1-4アルキルであり、かつ、R2がC1-4アルキルである。}によって表される。好ましくは、前記エステルは、式R1-CO2-R2{式中、R1がC1-4アルキルであり、かつ、R2がC1-4アルキルである。}によって表される。好ましい前記芳香族炭化水素は、C1-4アルキル、ヒドロキシまたはハロゲンから成る群から選ばれる1または2つの基によって場合により置換されうる6〜10個の炭素原子を含んでいる単環または二環式芳香環系である。好ましくは、前記ハロゲン化炭化水素は、1〜4個のハロゲン原子によって置換されるC1-4アルキル基である。好ましくは、前記ハロゲン原子は塩素である。より好ましくは、前記エーテルはジエチルエーテルであり、前記エステルは酢酸エチルであり、前記芳香族炭化水素はトルエンであり、そして前記ハロゲン化炭化水素はジクロロメタンである。
【0015】
前記カルシウム含有化合物は、無機または有機カルシウム塩のいずれかである。好ましくは、前記カルシウム塩は、塩化カルシウム、臭化カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、および2-エチル-ヘキサノアート・カルシウムから成る群から選ばれる。
【0016】
前記分離ステップは、留去か沈殿によって実施されうる。好ましくは、前記沈殿は、アセトン、アセトニトリル、メタノール、およびヘキサンから成る群から選ばれるアンチソルベント(antisolvent)を加えることによって実施される。最も好ましくは、前記沈殿はアセトニトリルを加えることによって実施される。
【0017】
他の側面によると、本発明は、以下のステップ:
a) シンバスタチンの塩を、水と水非混和性有機溶媒の混合物と混ぜ合わせ、ここで、上記混合物が無機相と有機相を形成し;
b) 酸を上記無機相に加え;
c) 上記無機相から上記有機相を分離し;
d) カルシウム含有化合物を上記有機相に加え;そして
e) 上記有機相から非晶質シンバスタチン・カルシウムを分離する、
を含む非晶質シンバスタチン・カルシウムの製造方法を提供する。
【0018】
好ましくは、前記シンバスタチン塩は、アルカリ土類金属塩およびアンモニウム塩から成る群から選ばれる。好ましくは、前記アルカリ土類金属塩は、ナトリウム塩またはカリウム塩から成る群から選ばれる。
前記酸は、無機酸か有機酸である。前記酸は、臭化水素酸(HBr)硫酸(H2SO4)、塩酸、リン酸(H3PO4)、プロピオン酸、および酢酸から成る群から選ばれる。より好ましくは、前記酸は塩酸である。
【0019】
好ましくは、水非混和性有機溶媒は、エーテル、エステル、芳香族炭化水素、およびハロゲン化炭化水素から成る群から選ばれる。好ましくは、前記エーテルは、式R1-O-R2{式中、R1がC1-4アルキルであり、かつ、R2がC1-4アルキルである。}によって表される。好ましくは、前記エステルは、式R1-CO2-R2{式中、R1がC1-4アルキルであり、かつ、R2がC1-4アルキルである。}によって表される。好ましい前記芳香族炭化水素は、C1-4アルキル、ヒドロキシまたはハロゲンから成る群から選ばれる1または2つの基によって場合により置換されうる6〜10個の炭素原子を含んでいる単環または二環式芳香環系である。好ましくは、前記ハロゲン化炭化水素は、1〜4個のハロゲン原子によって置換されるC1-4アルキル基である。好ましくは、前記ハロゲン原子は塩素である。より好ましくは、前記エーテルはジエチルエーテルであり、前記エステルは酢酸エチルであり、前記芳香族炭化水素はトルエンであり、そして前記ハロゲン化炭化水素はジクロロメタンである。
【0020】
好ましくは、前記カルシウム含有化合物は、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、または有機酸のカルシウム塩から成る群から選ばれる。前記有機酸は、好ましくは酢酸および2-エチルヘキサン酸から選ばれる。
【0021】
前記分離ステップは、留去か沈殿によって実施されうる。好ましくは、前記沈殿は、アセトン、アセトニトリル、メタノール、およびヘキサンから成る群から選ばれるアンチソルベント(antisolvent)を加えることによって実施される。最も好ましくは、前記沈殿はアセトニトリルを加えることによって実施される。
【0022】
他の側面によると、本発明は以下のステップ:
a) シンバスタチン・ラクトンを、水と水混和性有機溶媒の混合物と混ぜ合わせ;
b) シンバスタチン・ラクトンを加水分解して、シンバスタチンのカルシウム塩を形成し;そして
c) 非晶質シンバスタチン・カルシウムを分離する、
を含む非晶質シンバスタチン・カルシウムの製造方法を提供する。
【0023】
好ましくは、水混和性有機溶媒は、シンバスタチン・カルシウムのための良好な溶媒であり、好ましくは、エタノールとテトラヒドロフランから成る群から選ばれる。
【0024】
好ましくは、加水分解ステップは、水酸化カルシウムによって実施される。
【0025】
好ましくは、分離ステップは留去によって実施されうる。より好ましくは、分離ステップは沈殿によって実施される。より好ましくは、前記沈殿は、アセトン、アセトニトリル、メタノール、および水から成る群から選ばれるアンチソルベントを加えることによって実施される。最も好ましくは、前記沈殿は水を加えることによって実施される。
【0026】
他の側面によると、本発明は、以下のステップ:
a) 水中、シンバスタチン・ラクトンのスラリーを準備し;
b) 上記シンバスタチン・ラクトンを加水分解して、シンバスタチンのカルシウム塩を形成し;そして
c) 非晶質シンバスタチン・カルシウムを分離する、
を含む非晶質シンバスタチン・カルシウムの製造方法を提供する。
【0027】
好ましくは、分離ステップは濾過によって実施される。
好ましくは、工程段階の全てが窒素下、および/または抗酸化剤の存在下で実施される。好ましい抗酸化剤は、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)である。
非晶質シンバスタチン・カルシウムを乾燥させる好ましい方法は、窒素下、真空オーブンで実施される。より好ましくは、乾燥ステップは、約20℃〜約50℃の温度で実施される。
好ましくは、本発明は、少なくとも約96%〜約99%の純度をもつ非晶質シンバスタチン・カルシウムを提供する。好ましくは、全不純物含有量が、HPLCにより約1%未満である。
【0028】
本発明は、1.0%wt未満の水を含んでいる無水の非晶質シンバスタチン・カルシウム、または最大約4%wtの水、一般に約1.8%〜約2.4%wtの水を含んでいる非晶質シンバスタチン・カルシウムを提供する。
本発明は、ジヒドロキシ・オープンアシッド・シンバスタチンの非晶質カルシウム塩、ならびに医薬担体と医薬希釈剤から成る群から選ばれる少なくとも1つの化合物を含んでいる医薬製剤を提供する。
【0029】
本発明の詳細な説明
「HMG-CoAレダクターゼの阻害剤」は、3-ヒドロキシル・ラクトン環、または対応のジヒドロキシ・オープンアシッドとして存在しうるスタチンを表す。用語「ジヒドロキシ・オープンアシッド・スタチン」はその最も広い態様において、ジヒドロキシ・オープンアシッド・スタチンの非晶質カルシウム塩、またはその医薬として許容される塩を含む。ジヒドロキシ・オープンアシッド・スタチンは、ロバスタチンおよびシンバスタチン;好ましくは、シンバスタチンを含む。
別段の指定のない限り、%は%wtであり、どちらもwt/wtの%を表す。%wtの水は、水の重量/(水を含めた)非晶質シンバスタチン・カルシウムの重量を表す。
【0030】
本明細書中において:
−「アンチソルベント」は、結晶形成のための沈殿を誘発するために使われる溶媒を表し;
−「非混和性」は、相互溶液を形成する能力がないことを表す;例えば、石油と水;
−「混和性」は、相互溶液を形成する能力を表す;例えば、水とエタノール;
−「結晶質の固体」は、無限の3次元配列を形成する、固体の規則正しい結晶のパッキングを表し、結晶質の固体はX線および電子(例えばXRPD)の独特の結晶化度回折を証明する;
−「非晶質」は、長距離秩序がない固相を特徴とするイオンおよび分子系の両方に見られる材料の状態を表す;多くの場合、非晶質固体は準安定状態にあって、熱力学が結晶化の最終的な発生を必要とする;そして
−「水和物」は、異なる数の水分子を伴う薬物分子の結晶を表す。
−「スラリー」は、液体中で攪拌した粒子を含むことを意図する。
【0031】
スタチンのジヒドロキシ・オープンアシッド型は、生物学的に活性な形である。しかし、スタチンは、体内でその活性代謝産物、ヒドロキシ酸型に変換されるラクトン型で患者に一般に投与される。ラクトン型だけが医学的興味のある物であるので、酸型はラクトン化と呼ばれる過程によってラクトン型に変換される。ラクトン化の過程は開いたジヒドロキシ酸型を閉じたラクトン型に変換する平衡反応である。ラクトン化が平衡過程であるので、ラクトン産物の高い収率を得るために、いくつかの手段が等式のラクトン側へ平衡を移すために使用されなければならない。この平衡等式は以下のとおり示されることができる:
【0032】
【化2】

【0033】
1つの態様によると、本発明はジヒドロキシ・オープンアシッド・シンバスタチンの非晶質カルシウム塩を提供する。
非晶質型の2つの重要な利点は、高い溶解度と生物学的利用能である。
他の態様によると、本発明は、それによってX線粉末回折パターン(すなわち、XRPD)および形態学によりシンバスタチンのそのようなカルシウム塩が非晶質であることを証明する、シンバスタチンの非晶質カルシウム塩を提供する。シンバスタチン・カルシウム塩のこの特別な結晶質水和型は、X線粉末回折(XRPD)、図2の非晶質型の典型的なTGAサーモグラムで示されるように熱重量分析(TGA)によって測定される1.5%wt〜2%wtでありうる乾燥重量減少、および示差走査熱量測定(DSC)によって特徴づけられた。
【0034】
他の態様によると、本発明は、それによってその非晶質型が図1で示されるX線粉末回折パターンによって特徴づけられる、シンバスタチンの非晶質カルシウム塩を提供する。
他の態様によると、本発明は、それによってその非晶質型が図2で示される熱重量分析曲線によって特徴づけられる、シンバスタチンの非晶質カルシウム塩を提供する。
他の態様によると、本発明は、それによりその非晶質型が図3で示される示差走査熱量測定によって特徴づけられる、シンバスタチンの非晶質カルシウム塩を提供する。
【0035】
他の態様によると、本発明は、無水であるかまたは水を含みうるジヒドロキシ・オープンアシッド・シンバスタチンの非晶質カルシウム塩を提供する。
好ましくは、無水の非晶質シンバスタチン・カルシウムは、1.0%未満wtの水のを含んでいる。他の側面によると、非晶質シンバスタチン・カルシウムは、最大約4%wtの水を、一般に約1.8%wt〜約2.4%wtの水を含んでいるかもしれない。
本発明は、非晶質シンバスタチン・カルシウムの製造方法をさらに提供する。
【0036】
他の態様によると、本発明は、水と水非混和性有機溶媒の混合物と混ぜ合わせ、続いてカルシウム含有化合物の追加する、シンバスタチンの塩(好ましくは、ジヒドロキシ・オープンアシッド・シンバスタチンのアルカリ土類金属またはアンモニウム塩、好ましくは上記アルカリ土類金属塩がナトリウム塩かカリウム塩から成る群から選ばれる)から開始する非晶質シンバスタチン・カルシウムの製造方法を提供する。好ましくは、水非混和性有機溶媒は、エーテル(例えば、ジエチルエーテル)、エステル(例えば、酢酸エチル)、芳香族炭化水素(例えば、トルエン)、およびハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン)から成る群から選ばれうる。好ましくは、前記エーテルは、式R1-O-R2{式中、R1がC1-4アルキルであり、かつ、R2がC1-4アルキルである。}によって表される。好ましくは、前記エステルは、式R1-CO2-R2{式中、R1がC1-4アルキルであり、かつ、R2がC1-4アルキルである。}によって表される。好ましくは、前記芳香族炭化水素は、C1-4アルキル、ヒドロキシルまたはハロゲンから選ばれる1または2の基によって場合により置換されうる6〜10個の炭素原子を含む単環また二環式芳香環系である。好ましくは、ハロゲン化炭化水素は、1〜4個のハロゲン原子によって置換されるC1-4アルキル基である。好ましくは、ハロゲン原子は塩素である。好ましいカルシウム含有化合物は、無機または有機カルシウム塩であり、好ましくは塩化カルシウム、臭化カルシウム、酢酸カルシウム、2-エチル-ヘキサノアート・カルシウム、酸化カルシウム、および水酸化カルシウムである。相が分離され、そして非晶質シンバスタチン・カルシウムが有機相から留去または沈殿によって製造される。沈殿は、アンチソルベントである有機溶媒の追加によって達成されることができる。前記アンチソルベントは、アセトン、アセトニトリル、メタノール、およびヘキサンを含む。最も好ましくは、アセトニトリルが使われる。
【0037】
他の態様によると、本発明は、水と水非混和性有機溶媒の混合物と混ぜ合わせ、続いてカルシウム含有化合物の追加する、シンバスタチンの塩(好ましくは、ジヒドロキシ・オープンアシッド・シンバスタチンのアルカリ土類金属またはアンモニウム塩、好ましくは上記アルカリ土類金属塩がナトリウム塩かカリウム塩から成る群から選ばれる)から開始する非晶質シンバスタチン・カルシウムの製造方法を提供する。好ましくは、水非混和性有機溶媒は、エーテル(例えば、ジエチルエーテル)、エステル(例えば、酢酸エチル)、芳香族炭化水素(例えば、トルエン)、およびハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン)から成る群から選ばれうる。好ましくは、前記エーテルは、式R1-O-R2{式中、R1がC1-4アルキルであり、かつ、R2がC1-4アルキルである。}によって表される。好ましくは、前記エステルは、式R1-CO2-R2{式中、R1がC1-4アルキルであり、かつ、R2がC1-4アルキルである。}によって表される。好ましくは、前記芳香族炭化水素は、C1-4アルキル、ヒドロキシルまたはハロゲンから選ばれる1または2の基によって場合により置換されうる6〜10個の炭素原子を含む単環また二環式芳香環系である。好ましくは、ハロゲン化炭化水素は、1〜4個のハロゲン原子によって置換されるC1-4アルキル基である。好ましくは、ハロゲン原子は塩素である。水相は無機または有機酸の添加によって酸性にされる。前記酸は、臭化水素酸(HBr)、硫酸(H2SO4)、塩酸、リン酸(H3PO4)、プロピオン酸、および酢酸から成る群から選ばれ、より好ましくは塩酸(HCl)である。あらゆる意見に制約されることなく、酸の添加がジヒドロキシ・オープンアシッド・シンバスタチンの塩を、ジヒドロキシ・オープンアシッド・シンバスタチンとして有機相に入るのを余儀なくすると思われる。相が分離され、ジヒドロキシ・オープンアシッド・シンバスタチを含む有機相が水酸化カルシウム、酸化カルシウム、または有機酸のカルシウム塩(例えば、酢酸カルシウム、2-エチル-ヘキサノアート・カルシウム)によって処理されて、ジヒドロキシ・オープンアシッド・シンバスタチンのカルシウム塩を形成する。非晶質シンバスタチン・カルシウム塩は、留去または沈殿によって製造される。沈殿は、アセトン、アセトニトリル、メタノール、またはヘキサンから成る群から選ばれる有機溶媒によって例示されるアンチソルベントの添加によって達成されることができる。最も好ましいアンチソルベントはアセトニトリルである。
【0038】
さらに他の態様によると、シンバスタチン・ラクトンは、水と水混和性有機溶媒の混合物中に溶解される。好ましくは、水混和性有機溶媒は、エタノール、テトラヒドロフランなどを含む。シンバスタチン・ラクトンは、水酸化カルシウムで加水分解されて、ジヒドロキシ・オープンアシッド・シンバスタチンのカルシウム塩を形成する。非晶質シンバスタチン・カルシウムは、留去または沈殿によって製造される。沈殿はアンチソルベントの添加によって達成されることができる。好ましくは、アンチソルベントは、アセトン、アセトニトリル、メタノール、水などを含む。最も好ましくは、アンチソルベントは水である。
【0039】
さらに他の態様によると、シンバスタチンは、水中、スラリーとして水酸化カルシウムによって加水分解される。非晶質シンバスタチン・カルシウムは、濾過によって製造される。好ましくは、工程段階は、窒素下、および/または抗酸化剤の存在下で実行される。より好ましくは、前記抗酸化剤は、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)である。好ましくは、その製造されたシンバスタチン・カルシウム産物は、制御された温度において窒素下、真空オーブン中で乾かされる。より好ましくは、前記温度は、約20℃〜約50℃である。
【0040】
製造された非晶質シンバスタチン・カルシウムは、少なくとも約96%〜約99%の純度がある。好ましくは、全不純物含量は、HPLCにより約1%未満である。
製造された非晶質シンバスタチン・カルシウムは、1.0%wt未満の水を含む無水であるか、または最大約4%wtの水まで、一般に水の約1.8%〜約2.4%wtの水を含むかもしれない。
製造された非晶質シンバスタチン・カルシウムは、窒素下、密閉された容器内での保存の間は室温で安定である。
【0041】
非晶質シンバスタチン・カルシウムの分析のための分析方法の説明
不純物含量の測定
HPLC方法Aをジヒドロキシ・オープンアシッド・シンバスタチンのカルシウム塩の不純物含量を測定するために使用した。その手順は以下のとおり要約される:
a) アセトニトリル:蒸留水(v/v=1:1)希釈剤中にサンプル(すなわち、(シンバスタチン・ヒドロキシ酸)2・Ca塩)を溶かし;
b) 上記サンプル溶液(約10 μl)を75.0 mm×4.6 mmの5 μm RP-18 HPLCカラムに注入し;
c) 下記の概要に従って0.1%のリン酸(A)とアセトニトリル(B)の混合物を用いてカラムを勾配溶出し;
d) UV検出器および適当な記録装置を用いて240 nmの波長において各々の不純物の量を計測し;そして
e) 2.0 μg/mlの濃度のシンバスタチン・ヒドロキシ酸アンモニウム塩標準試薬を参照して各々の不純物の量を計算する。
【0042】
【表1】

【0043】
この方法において、シンバスタチン・ヒドロキシ酸は約12.8分の保持時間を有する。
【0044】
ジヒドロキシ・オープンアシッド・シンバスタチンのカルシウム塩の測定
HPLC方法Bをジヒドロキシ・オープンアシッド・シンバスタチンのカルシウム塩を測定するために使用した。その手順は以下のとおり要約される:
a) アセトニトリル:蒸留水(1:1)希釈剤中にサンプル((シンバスタチン・ヒドロキシ酸)2Ca塩)を溶かし;
b) 上記サンプル溶液(約10 μl)を75.0 mm×4.6 mmの5 μm RP-18 HPLCカラムに注入し;
c) 下記の概要に従って0.1%のリン酸(A)とアセトニトリル(B)の混合物を用いて2.0 ml/分で勾配溶出し;
d) UV検出器および適当な記録装置を用いて240 nmの波長において各々の不純物の量を計測し;そして
e) 200 μg/mlの濃度のシンバスタチン・ヒドロキシ酸アンモニウム塩標準試薬を参照したアッセイを計算する。
【0045】
【表2】

【0046】
この方法において、シンバスタチン・ヒドロキシ酸は約6.9分の保持時間を有する。
【0047】
カルシウム含有物定量
我々は、ジヒドロキシ・オープンアシッド・シンバスタチンのカルシウム塩のカルシウム含有量を測定するためにCu-ISE方法による錯滴定を使用した。その手順は以下のとおり要約される:
a) テトラヒドロフラン:ホウ酸ナトリウム・バッファーpH=10(1:1)混合物中にサンプル((シンバスタチン・ヒドロキシ酸)2Ca塩)を溶かし;
b) 上記サンプル溶液に、0.1 mol/lの濃度で正確に4.000 mlの2-アンモニウム銅チトリプレックス(登録商標)溶液を加え;そして
c) 0.1モル/lのチトリプレックス溶液を用いて滴定して、終了点を決定する。
【0048】
水分の測定
我々は、ジヒドロキシ・オープンアシッド・シンバスタチンのカルシウム塩の水分を測定するためにカールフィッシャー滴定法を使用した。具体的には、((シンバスタチン・ヒドロキシ酸)2Ca塩)の水分含量を、テトラヒドロフラン:メタノール(1:1)混合物中、カールフィッシャー法によって測定した。
【0049】
X線粉末回折パターンの測定
X線粉末回折パターンを以下の条件に従って取得した:
器具 ARL-X'TRA-030粉末回折計
レントゲン管 銅陽極(波長=1.5406 A)
検出器 ARLペルチャー検出器
電圧 45 KV
電流 40 mA
角度範囲 2シータ=4〜40度
ステップサイズ 0.05度
カウント時間 1秒
ステップ走査速度 3.00度/分
【0050】
熱重量分析
熱重量分析減量曲線を、以下の条件に従って取得した:
器具 Mettler Toledo TGA/SDTA 851e
加熱間隔 30〜250℃
加熱速度 10℃/分
雰囲気 N2(50 ml/分)
サンプル容器 穴の開いた蓋のついた150 μlの酸化Al鍋
【0051】
示差走査熱量測定
示差走査熱量曲線を、以下の条件に従って取得した:
器具 Mettler Toledo DSC822e
加熱間隔 25〜250℃
加熱速度 5℃/分
雰囲気 窒素(80 ml/分)
保有者 穴の開いた蓋のついた40 μlのAl鍋
本発明の他の態様が以下の実施例からより完全に理解される。これらの実施例は、本発明の説明を目的とするものであり、どのような形においても本発明の範囲を制限しない。
【実施例】
【0052】
実施例1
シンバスタチン・アンモニウム塩(11.3グラム、0.025モル)を、ジエチルエーテル(150 cm3)と水(100 cm3)の混合物中に懸濁した。塩酸水溶液(11 cm3、10%溶液)を上記混合物に加えて、その水相の酸性度(すなわち、pH)をpH4〜pH5に調整した。前記混合物を、窒素下、室温で10分間攪拌して、2つの相を分離させた。水酸化カルシウム(0.93グラム、0.0125モル)をシンバスタチン・ヒドロキシ酸を含む有機相に加えた。その混合物を30分間攪拌して、その溶液を45℃でロータリーエバポレーターを用いて乾燥するように留去して、非晶質シンバスタチン・カルシウムを得た。
収量:11.37グラム(100%);アッセイ:96.1%。
【0053】
実施例2
シンバスタチン・ラクトン(83.6グラム、0.20モル)を、エタノール(1,200 cm3)と水(120 cm3)の混合物中に溶かした。水酸化カルシウム(14.8グラム、0.2モル)を、上記溶液に加えて、その混合物を窒素下、還流温度で1時間攪拌した。前記反応混合物を加熱しながら濾過して過剰な水酸化カルシウムを取り除いた。水(1,200 cm3)を濾液に加えて、産物を沈殿させた。得られたスラリーを、0〜5℃に冷やして、2時間この温度で攪拌した。前記沈殿物をまとめて、水で洗浄し、そして45℃の真空オーブンで24時間乾燥させて、非晶質シンバスタチン・カルシウムを得た。
収量:56.4グラム(62%);アッセイ:98.3%;カルシウム含量:4.2%;水分含量:2.3%。
【0054】
実施例3
シンバスタチン・ラクトン(83.6グラム、0.2モル)を、テトラヒドロフラン(1,200 cm3)と水(120 cm3)の混合物中に溶かした。水酸化カルシウム(14.8グラム、0.2モル)を前記溶液に加えて、その混合物を窒素下、室温で1時間攪拌した。前記反応混合物を濾過して過剰な水酸化カルシウムを取り除いた。濾液をロータリーエバポレーターによって、乾燥するように留去した。固形残渣を、乳鉢ですり潰して、真空オーブン中、45℃で24時間乾燥させて、非晶質シンバスタチン・カルシウムを得た。
収量:84.7グラム(93%);アッセイ:99.6%;カルシウム含量:4.2%;水分含量:1.8%。
【0055】
実施例4
シンバスタチン・アンモニウム塩(11.3グラム、0.025モル)を、水(100 cm3)と酢酸エチル(150 cm3)の混合物中に懸濁した。塩化カルシウム(1.52グラム、0.0137モル)を前記混合物に加え、そしてその混合物を0.5時間攪拌した。2相(すなわち、無機相および有機相)を互いに分離した。前記有機相をロータリーエバポレーターによって乾燥するように留去した。固形残渣を乳鉢ですり潰して、真空オーブン中、45℃で24時間乾燥させて、非晶質シンバスタチン・カルシウムを得た。
収量:10.7グラム(94%);アッセイ:96.2%。
【0056】
実施例5
シンバスタチン・アンモニウム塩(11.3グラム、0.025モル)を、水(100 cm3)と酢酸エチル(150 cm3)の混合物中に懸濁した。水酸化カルシウム(1.02グラム、0.0138モル)を前記混合物に加え、そしてその混合物を0.5時間攪拌した。2相(すなわち、無機相および有機相)を分離した。前記有機相をロータリーエバポレーターによって乾燥するように留去した。固形残渣を乳鉢ですり潰して、真空オーブン中、45℃で24時間乾燥させて、非晶質シンバスタチン・カルシウムを得た。
収量:10.7グラム(94%);アッセイ:96.9%。
【0057】
実施例6
水酸化カルシウム(0.49グラム、0.006モル)とBHT(0.01グラム)を水(74 cm3)中に懸濁し、そして78〜82℃に加熱した。シンバスタチン・ラクトン(5.0グラム、0.012モル)を前記スラリーに加え、そしてこの温度で11.5時間攪拌した。沈殿物をまとめて、水(20cm3)、アセトニトリル(20cm3)と水(20cm3)で洗浄した。真空オーブン中、窒素下において室温で24時間乾燥させて、非晶質シンバスタチン・カルシウムを得た。
収量:4.97グラム(91.4%);アッセイ:96.5%。
【0058】
実施例7
シンバスタチン・アンモニウム塩(160グラム、0.353モル)を、酢酸エチル(1,400 cm3)と水(1,400 cm3)の混合物中、スラリーにした。塩酸水溶液(147 cm3、10%溶液)を前記混合物に加えて、その水相の酸性度をpH3〜pH4に調整した。前記混合物を窒素下、室温で10分間攪拌した。2相(すなわち、有機相および無機相)を分離した。水相(すなわち、無機相)を、再び酢酸エチル(700 cm3)で抽出した。シンバスタチン・ヒドロキシ酸を含む1つに合わせた有機相に、水酸化カルシウム(13.1グラム、0.177モル)を加えた。その反応混合物を室温で1時間攪拌して、そして濾過して過剰な水酸化カルシウムを取り除いた。アセトニトリル(1,710 cm3)を0〜5℃で濾液に加えて、産物を沈殿させた。沈殿物をまとめて、アセトニトリル(280 cm3)、水(280 cm3)とアセトニトリル(280cm3)で洗浄した。前記洗浄した沈殿物を、真空オーブン中、45℃で24時間乾燥させて、非晶質シンバスタチン・カルシウムを得た。
収量:144グラム(89.7%);アッセイ:97.3%.
【0059】
シンバスタチンの医薬組成物
結晶の固体化学は、有機溶媒が結晶に組み込まれるかどうか断定することができない。同様に、結晶の溶媒和が生じるかもしれない様式は予測不能である。化合物が有機溶媒の溶媒和型として存在するかどうかの予測を可能にする法則が存在していない。
【0060】
医薬としてに有用な化合物の新しい溶媒和型の発見は、医薬製品の性能特性を改善する機会を提供するかもしれない。それが、製剤科学者が設計のために利用可能にする材料、例えば目的とした放出特性、または他の所望の特性を有する薬物の医薬剤形、のレパートリーを増やす。有用な化合物の新しい溶媒和結晶質型の発見によってこのレパートリーが増えた場合、明らかに有利である。
【0061】
本発明は、シンバスタチンの非晶質型に関する。シンバスタチンの異なる結晶形は、例えば挽かれた固体の流動性を含む、異なる物理的性質を有するかもしれない。流動性は、材料をシンバスタチンへと処理する間の扱いやすさに影響する。粉末化合物の粒子が容易に互いにすれ違わない場合、製剤の専門家は錠剤またはカプセル製剤を開発するのに、例えばコロイド状二酸化ケイ素、滑石、デンプンまたは第三リン酸カルシウムのような流動促進剤の使用を必要とするかもしれない、その事実を考慮しなくてはならない。
【0062】
シンバスタチンの異なる型の他の重要な物理的性質は、水性流体中のその分解速度に関係する。それは経口投与される有効成分が患者の血流に達することができる速度に上限を課すので、患者の胃液中の有効成分の分解速度が治療上の因果関係をもちうる。分解速度は、シロップ剤、エリキシル剤、および他の液体薬剤を処方するのに考慮すべき事でもある。同様に、化合物の固形型は、圧縮における挙動およびその保存安定性に影響するかもしれない。
有効成分に加えて、本発明のシンバスタチン医薬組成物は、1種類以上の賦形剤を含むかもしれない。賦形剤は、種々の目的のために組成物に加えられる。
【0063】
希釈剤は、固形医薬組成物の体積を増やし、そして上記組成物を含む医薬剤形の患者および介護者による扱いをより容易にする。固形組成物のための希釈剤は、例えば微細結晶性セルロース(例えば、Avicel(登録商標))、超微粒セルロース、ラクトース、デンプン、アルファ化デンプン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、糖、デキストラート(dextrates)、デキストリン、デキストロース、第二リン酸カルシウム二水和物、第三リン酸カルシウム、カオリン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、マンニトール、ポリメタクリレート(例えば、Eudragit(登録商標))、塩化カリウム、粉末セルロース、塩化ナトリウム、ソルビトール、および滑石を含む。
【0064】
錠剤のような剤形に圧縮される固形医薬組成物は、その機能が圧縮後に有効成分と他の賦形剤を結び付けるのを助けることを含む賦形剤を含むかもしれない。固形医薬組成物のための結合剤は、アラビアゴム、アルギン酸、カルボマー(例えば、carbopol)、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グアールガム、硬化植物油、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、Klucel(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、Methocel(登録商標))、液状グルコース、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、マルトデキストリン、メチルセルロース、ポリメタクリレート、ポビドン(例えば、Kollidon(登録商標)、Plasdone(登録商標))、アルファ化デンプン、アルギン酸ナトリウム、およびデンプンを含む。
【0065】
患者の胃における圧縮した固形医薬組成物の分解速度は、組成物への崩壊剤の添加によって早められる。崩壊剤は、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース・カルシウム、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム(例えば、Ac-Di-Sol(登録商標)、Primellose(登録商標))、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロース・ナトリウム、クロスポビドン(例えば、Kollidon(登録商標)、Polyplasdone(登録商標))、グアールガム、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、メチルセルロース、微細結晶性セルロース、ポラクリリン・カリウム、粉末セルロース、アルファ化デンプン、アルギン酸ナトリウム、グリセリン・デンプン・ナトリウム(例えば、Explotab(登録商標))、およびデンプンを含む。
【0066】
流動促進剤は、非圧縮固形組成物の流動特性を改善して、そして投薬の正確度を改善するために加えられうる。流動促進剤として働く賦形剤は、コロイド状二酸化シリコン、三ケイ酸マグネシウム、粉末セルロース、デンプン、滑石、および三塩基性リン酸カルシウムを含む。
【0067】
錠剤のような剤形が粉末組成物の圧縮成形によって作成される場合、その組成物はポンチ(punch)と金型(dye)からの圧力にさらされる。いくつかの賦形剤および有効成分は、ポンチおよび金型の表面に付着する傾向があり、それは生産物に圧痕形成および他の表面凹凸をもたらす可能性がある。潤滑剤は、癒着を減らし、そして金型からの生産物の容易な放出するために組成物に加えられることができる。潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリン、パルミトステアリン酸グリセリン、硬化ヒマシ油、硬化植物油、鉱油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸、滑石、およびステアリン酸亜鉛を含む。
【0068】
着香料および調味料は、剤形をより患者の口に合うようにする。本発明の組成物に含まれうる医薬品のための一般的な着香料および調味料は、マルトール、バニリン、エチルバニリン、メントール、クエン酸、フマル酸エチルマルトール、および酒石酸を含む。
【0069】
同様に、組成物は、それらの外観を改善して、および/または患者の生産物と単位投与量レベルの識別を容易にするために、いずれかの医薬として許容される着色剤を使って着色されるかもしれない。
使用する賦形剤および量の選定は、経験、および標準的な手順と当該技術分野における参考文献の考慮に基づいて製剤科学者によって容易に決定されうる。
【0070】
本発明の固形組成物は、粉末、顆粒、集合体、および圧縮組成物を含む。投与量は、経口、口腔、直腸、(皮下、筋肉内、および静脈内を含む)腸管外、吸入、ならびに点眼投与に好適な投与量を含む。あらゆる任意の症例において最も好適な経路は治療される症状の性質および重さに依存するが、本発明の最も好ましい経路は経口である。投与量は単位剤形で都合よく提供され、そして医薬の技術分野で周知の方法のいずれかによって製造される。
引用された刊行物の開示事項はそれらの全体を本明細書中に援用する。しかし、本発明の範囲が先に記載の特定の態様に限られていないことは理解されるべきである。本発明は、特に記載したもの以外で実施されることができ、それでも添付した要求項の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】非晶質シンバスタチン・カルシウムのX線粉末回折(XRPD)パターン。
【図2】非晶質シンバスタチン・カルシウムの熱重量分析(TG)減量曲線。
【図3】非晶質シンバスタチン・カルシウムの示差走査熱量測定(DSC)曲線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジヒドロキシ・オープンアシッド・シンバスタチンの非晶質シンバスタチン・カルシウム塩。
【請求項2】
図1で示されるX線粉末回折パターン、熱重量分析によって測定される約1.5%wt〜約2%wtの重量減少、および図3で示される示差走査熱量曲線から成る群から選ばれるデータを特徴とする、請求項1に記載の非晶質シンバスタチン・カルシウム。
【請求項3】
前記非晶質シンバスタチン・カルシウムが、図1で示されるX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項2に記載の非晶質シンバスタチン・カルシウム。
【請求項4】
前記非晶質シンバスタチン・カルシウムが、熱重量分析によって測定される約1.5%wt〜約2%wtの重量減少を特徴とする、請求項2に記載の非晶質シンバスタチン・カルシウム。
【請求項5】
前記非晶質シンバスタチン・カルシウムが、図2で示される熱重量分析曲線を特徴とする、請求項4に記載の非晶質シンバスタチン・カルシウム。
【請求項6】
前記非晶質シンバスタチン・カルシウムが、図3で示される示差走査熱量曲線を特徴とする、請求項2に記載の非晶質シンバスタチン・カルシウム。
【請求項7】
前記非晶質シンバスタチン・カルシウムが無水である、請求項1に記載の非晶質シンバスタチン・カルシウム。
【請求項8】
前記非晶質シンバスタチン・カルシウムが1.0%wt未満の水を含む、請求項7に記載の非晶質シンバスタチン・カルシウム。
【請求項9】
前記非晶質シンバスタチン・カルシウムが最大で約4%の水を含む、請求項1に記載の非晶質シンバスタチン・カルシウム。
【請求項10】
前記非晶質シンバスタチン・カルシウムが約1.8%〜約2.4%の水を含む、請求項9に記載の非晶質シンバスタチン・カルシウム。
【請求項11】
以下のステップ:
a)シンバスタチンの塩を、水および水非混和性有機溶媒の混合物と混ぜ合わせ、ここで、上記混合物が無機相と有機相を形成し;
b)カルシウム含有化合物を上記混合物に加え;そして
c)上記有機相から非晶質シンバスタチン・カルシウムを分離する、
を含む非晶質シンバスタチン・カルシウムの製造方法。
【請求項12】
以下のステップ:
a)シンバスタチンの塩を、水および水非混和性有機溶媒の混合物と混ぜ合わせ、ここで上記混合物が無機相と有機相を形成し;
b)酸を上記無機相に加え;
c)上記無機相から上記有機相を分離し;
d)カルシウム含有化合物を上記有機相に加え;そして
e)上記有機相から非晶質シンバスタチン・カルシウムを分離する、
を含む非晶質シンバスタチン・カルシウムの製造方法。
【請求項13】
前記シンバスタチンの塩が、アルカリ土類金属塩およびアンモニウム塩から成る群から選ばれる、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記シンバスタチンの塩が、ジヒドロキシ・オープンアシッド・シンバスタチン塩である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記アルカリ土類金属塩がナトリウム塩またはカリウム塩である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記水非混和性有機溶媒が、エーテル、エステル、芳香族炭化水素、およびハロゲン化炭化水素から成る群から選ばれる、請求項11〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記エーテルが、式R1-O-R2{式中、R1がC1-4アルキルであり、かつ、R2がC1-4アルキルである。}によって表される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記エステルが、式R1-CO2-R2{式中、R1がC1-4アルキルであり、かつ、R2がC1-4アルキルである。}によって表される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記芳香族炭化水素が、C1-4アルキル、ヒドロキシル、またはハロゲンから選ばれる1つまたは2つの基によって場合により置換されうる6〜10個の炭素原子を含む単環式または二環式芳香環系である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記ハロゲン化炭化水素が、1〜4個のハロゲン原子によって置換されたC1-4アルキル基である、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記ハロゲン原子が塩素である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記エーテルがジエチルエーテルである、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記エステルが酢酸エチルである、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記芳香族炭化水素がトルエンである、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記ハロゲン化炭化水素がジクロロメタンである、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記カルシウム含有化合物が、無機酸および有機酸から成る群から選ばれる酸のカルシウム塩である、請求項11〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記無機酸のカルシウム塩が、塩化カルシウムおよび臭化カルシウムから成る群から選ばれる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記有機酸のカルシウム塩が、酢酸カルシウムおよび2-エチル-ヘキサノアート・カルシウムから成る群から選ばれる、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記カルシウム含有化合物が、酸化カルシウムおよび水酸化カルシウムを含む群から選ばれる、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記酸が無機酸または有機酸である、請求項12に記載の方法。
【請求項31】
前記無機酸が、臭化水素酸、硫酸、塩酸、およびリン酸から成る群から選ばれ、好ましくは塩酸である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記有機酸が、プロピオン酸および酢酸から成る群から選ばれる、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
以下のステップ:
a)シンバスタチン・ラクトンを、水および水混和性有機溶媒の混合物と混ぜ合わせ;
b)上記シンバスタチン・ラクトンを加水分解して、シンバスタチンのカルシウム塩を形成させ;そして
c)非晶質シンバスタチン・カルシウムを分離する、
を含む非晶質シンバスタチン・カルシウムの製造方法。
【請求項34】
前記水混和性有機溶媒が、エタノールおよびテトラヒドロフランから成る群から選ばれる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記加水分解ステップが水酸化カルシウムを使って実施される、請求項33または34に記載の方法。
【請求項36】
前記分離ステップが留去または沈殿によって実施される、請求項1〜35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
請求項11〜32のいずれか1項に記載の方法に依存する場合、前記沈殿が、アセトン、アセトニトリル、メタノール、および水から成る群から選ばれるアンチソルベント、好ましくはアセトニトリルを添加することによって実施される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
請求項33〜35のいずれか1項に記載の方法に依存する場合、前記沈殿が、アセトン、アセトニトリル、メタノール、および水から成る群から選ばれるアンチソルベント、好ましくは水を添加することによって実施される、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
以下のステップ:
a)水中、シンバスタチン・ラクトンのスラリーを準備し;
b)上記シンバスタチン・ラクトンを加水分解して、シンバスタチンのカルシウム塩を形成させ;そして
c)非晶質シンバスタチン・カルシウムを分離する、
を含む非晶質シンバスタチン・カルシウムの製造方法。
【請求項40】
前記ステップa〜c)を窒素下で実施する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記ステップa〜c)を抗酸化剤の存在下で実施する、請求項39または40に記載の方法。
【請求項42】
前記抗酸化剤がブチルヒドロキシトルエンである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記分離ステップが濾過によって実施される、請求項39〜42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
窒素下、真空オーブン中で非晶質シンバスタチン・カルシウムを乾かすステップをさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記乾燥ステップが、約20℃〜約50℃の温度で実施される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
請求項11〜45のいずれか1項に記載の方法によって製造された非晶質シンバスタチン・カルシウム。
【請求項47】
前記非晶質シンバスタチン・カルシウムが、少なくとも約96%〜約99%の純度をもつ、請求項46に記載の非晶質シンバスタチン・カルシウム。
【請求項48】
請求項1〜10、46、および47のいずれか1項に記載の非晶質シンバスタチン・カルシウム型を、ラクトン型に変換することによるシンバスタチン・ラクトンの製造方法。
【請求項49】
非晶質シンバスタチン・カルシウム型を、ラクトン型に変換するステップをさらに含む、請求項11〜45のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−522142(P2006−522142A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509559(P2006−509559)
【出願日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/009976
【国際公開番号】WO2004/089868
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(503037550)プラス ケミカルズ ベスローテン フェンノートシャップ (1)
【Fターム(参考)】