説明

非極性窒化ガリウム薄膜における転位の低減

【課題】非極性のa平面窒化ガリウム薄膜において、螺旋転位密度を減少する方法を提供する。
【解決手段】以下の工程を行う。(a)非極性a平面窒化ガリウム薄膜上に誘電性再成長マスク堆積する102(b)堆積された該マスクをパターン化する104(c)選択的な再成長を行い108、該パターン化マスクに基づく過剰成長を達成する109この方法において、上記非極性a平面窒化ガリウム薄膜は、シード層を含み得る。この方法により、a−GaNシード層を使用するLEO法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、米国特許法第119条第(e)項のもとで、以下の同時係属中の、同一人に譲渡された米国仮特許出願番号60/372,909(発明の名称「NON−POLAR GALLIUM NITRIDE BASED THIN FILMS AND HETEROSTRUCTURE MATERIALS」、2002年4月15日出願、Michael D.Craven,Stacia Keller,Steven P.DenBaars,Tal Margalith,James S.Speck,Shuji Nakamura,およびUmesh K.Mishara、代理人文書番号30794.95−US−P1)の利益を主張する。この出願は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
本願は、以下の同時係属中の、同一人に譲渡された米国特許出願に関する:
出願番号−−/−−−,−−−、発明の名称「NON−POLAR(AL,B,IN,GA)N QUANTUM WELL AND HETEROSTRUCTURE MATERIALS AND DEVICES」、本願と同日に出願、Michael D.Craven、Stacia Keller、Steven P. DenBaars、Tal Margalith、James S.Speck、Shuji NakamuraおよびUmesh K.Mishra、代理人文書番号30794.101−US−U1);ならびに
出願番号−−/−−−,−−−、発明の名称「NON−POLAR A−PLANE GALLIUM NITRIDE THIN FILMS GROWN BY METALORGANIC CHEMICAL VAPOR DEPOSITION」、本願と同日に出願、Michael D.CravenおよびJames S.Speck、代理人文書番号30794.100−US−U1);
これらの出願の両方が、本明細書中に参考として援用される。
【0003】
(1.発明の分野)
本発明は、半導体材料、方法、およびデバイスに関し、そしてより具体的には、非極性窒化ガリウム(GaN)薄層における転位低減に関する
(2.関連技術の説明)
(注:本願は、多数の異なる特許、出願および/または刊行物を、1つ以上の参照番号によって、本明細書全体に示されるように参照する。これらの異なる刊行物の、これらの参照番号に従った順序にしたリストは、以下の「参考文献」の表題の節に見出され得る。これらの刊行物の各々は、本明細書中に参考として援用される)。
【0004】
現在の窒化物ベースのデバイスは、極性[0001]c方向に沿って成長したヘテロ構造を用い、成長方向に対して平行な強い静電場の形成を生じる。参考文献1〜7を参照のこと。「一体型(built−in)」静電場は、c−平面(0001)窒化物構造内の表面および界面における分極不連続性に関連する一定のシート電荷により生じる。
【0005】
これらの分極誘導性電場は、現在の最新技術の光電子窒化物デバイスおよび電子窒化物デバイスの性能に影響を与える。例えば、分極場は、量子井戸(QW)構造における電子およびホールの波動関数を空間的に分離し、それによって、QWベースのデバイス(例えば、レーザーダイオードおよび発光ダイオード(LED))におけるキャリアの再結合効率を減少させる。さらに、分極場は、窒化物ヘテロ構造を用いるトランジスタ構造において大きな可動シート電荷密度を誘導する。全分極における不連続性は、対応する界面または表面において一定のシート電荷の形成を生じる。
【0006】
非極性ウルツ窒化物半導体フィルムのエピタキシャル成長は、窒化物の量子構造における分極誘導性電場の効果を排除する有望な手段を提供する。上記の関連の出願において、非極性
【0007】
【数1】


a平面GaN膜(本明細書中で、a−GaNと呼ばれる)は、金属有機化学蒸着(MOCVD)によって、
【0008】
【数2】


r平面サファイア基板上で成長された。参考文献13を参照のこと。しかし、これらの膜に存在するスレッディング転位密度は、約2.6×1010cm−2であると決定されている。
【0009】
非極性窒化物層の利点を十分に理解するために、エピタキシャル膜の質の改良が必要であり、特に、転位密度の低減が必要である。詳細には、これらの膜の結晶の質を改良することは、分極誘導性電場を伴わずに作動する高性能窒化物デバイスの実現に必須である。
【0010】
種々の技術が示されているが、転位の低減は、横方向に過剰成長した極性GaN膜において広範に研究されている。参考文献8〜11を参照のこと。種々の横方向過剰成長技術により得られる低転位密度基板は、窒化物ベースのオプトエレクトロニクスの顕著な性能、もっとも注目すべきは、長寿命の持続波InGaNレーザーダイオードを直接的に担っている。参考文献12を参照のこと。
【0011】
横方向過剰成長技術は、従来技術において周知である。例えば横方向過剰成長技術は、極性c平面(0001)GaN膜の転位低減について徹底的に研究されている。特定の過剰成長技術としては、横方向エピタキシャル過剰成長(LEO)(これはまた、エピタキシャル横方向過剰成長(ELOまたはELOG)としても公知である)、およびPENDEO(登録商標)エピタキシーが上げられる。これらのプロセスの間の差に関わらず、転位の低減は、一般的な機構、主に、マスクブロッキングおよび転位湾曲によって達成される。参考文献11および19を参照のこと。
【0012】
しかし、本発明は、GaN膜のためのこれらの方法の新規な適用である。詳細には、本発明は、a−GaNシード層を使用するLEO法を記載し、これはスレッディング転位低減を達成する。低転位密度a−GaNは、高性能分極誘導性場を含まない(Al,B,In,Ga)Nベースのデバイスのための緩衝層として使用され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
非極性のa平面窒化ガリウム薄膜において、螺旋転位密度を減少する方法であって、以下の工程
(a)非極性a平面窒化ガリウム薄膜上に誘電性再成長マスク堆積する工程;
(b)堆積された該マスクをパターン化する工程;および
(c)選択的な再成長を行い、該パターン化マスクに基づく過剰成長を達成する工程、
を包含する、方法。
(項目2)
上記非極性a平面窒化ガリウム薄膜がシード層を含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
上記堆積する工程が、プラズマ増強化学蒸着(PECVD)によって、上記非極性a平面窒化ガリウム薄膜上に誘電性再成長マスクを堆積する工程を包含する、項目1に記載の方法。
(項目4)
上記堆積されたマスクが、種々の結晶学的方向に方向付けられた長く狭いストライプの開口部でパターン化される、項目1に記載の方法。
(項目5)
上記過剰成長が、横方向過剰成長した、ストライプを形成した窒化ガリウムを含む、項目1に記載の方法。
(項目6)
上記行う工程は、上記窒化ガリウムの選択的な再成長を行い、パターン化マスクに基づく過剰成長を達成する工程を包含し、そして上記窒化ガリウムが、垂直な成長方向に対して垂直な方向でマスク中で横方向過剰成長する前に、該マスク中の開口部を通って垂直に初めに成長する、項目1に記載の方法。
(項目7)
上記横方向過剰成長領域が、上記マスク中の開口部を通って垂直に成長する領域と比較して、減少した転位密度を含む、項目6に記載の方法。
(項目8)
上記転位が、成長フィルムへの垂直方向の転位の広がりをブロックするマスクによって過剰成長領域が減少される、項目7に記載の方法。
(項目9)
上記転位が、垂直な成長から横方向成長までの移行を介して転位の屈曲によって過剰成長領域が減少される、項目7に記載の方法。
(項目10)
上記過剰成長が、横方向エピタキシャルな過剰成長を使用して行われる、項目1に記載の方法。
(項目11)
上記過剰成長が、以下:片持ちばりエピタキシー、二重横方向エピタキシャル過剰成長(double lateral epitaxial overgrowth:二重LEO)およびSiNナノマスキングからなる群から選択される方法を使用して行われる、項目1に記載の方法。
(項目12)
項目1に記載の方法を使用して作製されたデバイス。
(発明の要旨)
非極性
【0014】
【数3】


a−平面GaN薄膜の横方向エピタキシャル過剰成長は、GaN膜におけるスレッディング転位を低減する。第1に、薄いパターン化誘電性マスクが、シード層に適用される。第2に、選択的エピタキシャル再成長が実施されて、パターン化マスクを基礎として横方向過剰成長ベースが達成される。再成長の際、GaN膜は、最初に、誘電性マスク中の開口部を通って垂直方向に成長し、その後、この垂直成長方向に対して垂直の方向でこのマスクを横方向に過剰成長させる。スレッディング転位は、(1)成長中の膜に向かう垂直方向の転位の伝達をブロックするマスク、および(2)垂直から横方向への成長の移行による転位の湾曲によって、過剰成長領域において低減される。
【0015】
ここで、図面が参照される。図面において、類似の参照番号は、全体にわたって、対応する部品を表す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の好ましい実施形態に従う、平面ヘテロエピタキシャル「シード」層の横方向過剰成長によるa−GaNにおけるスレッディング転位密度を低減するための工程を示すフローチャートである。
【図2】図2は、a−GaN LEOワゴンホイールパターンの半分を示す平面走査電子顕微鏡(SEM)画像写真である。
【図3】図3(a)、(b)および(c)は、それぞれ、
【数4】


に対して平行に配向された3つのストライプの傾けられた図を含む一連のSEM画像である。
【図4】図4(a)、(b)および(c)は、
【数5】


ストライプの断面TEM画像である。
【図5】図5(a)、(b)および(c)は、
【数6】


に対して平行に配向されたストライプの平面多色CL画像であり、一方、図5(d)は、図5(a)、(b)および(c)の結晶学的配向を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(発明の詳細な説明)
以下の好ましい実施形態の説明において、添付の図面に対して参照がなされる。この図面は、本明細書の一部を形成し、そしてこの図面において、例として、本発明が実施され得る特定の実施形態が説明され得る。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用され得、そして構造的変化がなされ得ることが、理解されるべきである。
【0018】
(概説)
本発明は、a−GaNにおけるスレッディング転位密度を、平面ヘテロエピタキシャル「シード」層の横方向過剰成長によって低減する。横方向過剰成長技術は、2つのMOCVD成長(最初のヘテロエピタキシャル成長および横方向過剰成長を構成する再成長)の間の処理工程を必要とする。第1に、薄いパターン化された誘電性マスクが、シード層に適用される。再成長の際、GaNは、最初に、この誘電性マスク中の開口部を通って垂直に成長し、その後、この垂直成長方向に対して垂直の方向で、このマスクを横方向に過剰成長させる。適切なマスクおよび再成長条件を用いて、転位密度が、このマスク中の開口部を通って垂直に成長した領域と比較して、横方向過剰成長領域において低減される。転位は、(1)成長中の膜に向かう垂直方向の転位の伝達をブロックするマスク、および(2)垂直から横方向への成長の移行による転位の湾曲によって、過剰成長領域において低減される。
【0019】
(プロセス工程)
図1は、本発明の好ましい実施形態に従う、平面ヘテロエピタキシャル「シード」層の横方向過剰成長によるa−GaNにおけるスレッディング転位密度を低減するための工程を示すフローチャートである。
【0020】
ブロック100は、同時係属中の、同一人に譲渡された米国仮特許出願番号60/372,909(発明の名称「NON−POLAR GALLIUM NITRIDE BASED THIN FILMS AND HETEROSTRUCTURE MATERIALS」、2002年4月15日出願、Michael D.Craven,Stacia Keller,Steven P.DenBaars,Tal Margalith,James S.Speck,Shuji Nakamura,およびUmesh K.Mishara、代理人文書番号30794.95−US−U1)、ならびに同時係属中の、同一人に譲渡された米国特許出願番号−−/−−−,−−−、発明の名称「NON−POLAR A−PLANE GALLIUM NITRIDE THIN FILMS GROWN BY METALORGANIC CHEMICAL VAPOR DEPOSITION」、本願と同日に出願、Michael D.CravenおよびJames S.Speck、代理人文書番号30794.100−US−U1)(これらの出願の両方は、本明細書中で参考として援用される)に記載されるように、MOCVDによって、
【0021】
【数7】


r平面サファイア基板上における、非極性
【0022】
【数8】


a平面GaN薄膜の成長を表す。ヘテロエピタキシャル成長した非極性
【0023】
【数9】


a平面GaN薄膜は、本発明の横方向過剰成長のための「シード層」を含む。
【0024】
ブロック102は、非極性
【0025】
【数10】


a平面GaNフィルム上に、プラズマ増強化学的蒸着堆積(PECVD)を介して誘電性再成長マスク(dielectric regrowth mask)を堆積させる工程を示す。好ましい実施形態において、このマスクは、200ナノメートル(nm)のSiOから構成されるが、これに限定されない。
【0026】
ブロック104は、堆積されたマスクをパターン化する工程を表し、ここで、このパターンは、従来の光リソグラフィー技術および緩衝化されたフッ化水素酸を用いる湿式エッチングを使用してSiOに移される。好ましくは、堆積されたマスクは、種々の結晶学的方向で配向された長く、狭いストライプ開口部によりパターン化される。
【0027】
マスクをパターン化した後、ブロック106は、溶媒を使用してサンプルを洗浄する工程を表す。
【0028】
ブロック108は、選択的エピタキシャル再成長を実施して、パターン化されたマスクに基づく横方向過剰成長を達成する工程を表し、ここで、窒化ガリウムは、初期はマスクにおける開口部を通って垂直に成長し、その後、垂直な成長方向に対して垂直な方向でマスクを横方向に過剰成長させる。転位密度は、マスクにおける開口部を通って垂直に成長する領域と比較して、垂直に過剰成長した領域において減少される。さらに成長フィルムへの垂直方向での転位の広がりをブロックするマスクによって、および、垂直から横方向への成長の移行による転位の屈曲によって、転位は過剰成長領域において減少される。
【0029】
好ましくは、ブロック108は、サファイア基板上でのヘテロエピタキシャル成長に使用される条件と同じ反応器条件(すなわち、約1100℃成長温度。約1300V/III速度、および約0.1気圧(atm)成長圧力)を使用するが、改変された条件が使用され得る。
【0030】
ブロック110は、得られる横方向過剰成長を表し、ここで、この横方向過剰成長は、基礎となるマスクパターンによって決定されるように、ストライプを形成した横方向に過剰成長したGaNを含む。過剰成長ストライプ形態学は、マスクストライプの結晶学的配向に依存する。例えば、
【0031】
【数11】


に対して整列されたストライプは、矩形の断面を有し、そして、過剰成長領域においてかなりの転位の減少を示す。
【0032】
この方法を使用して製造され得る可能なデバイスとしては、レーザーダイオード(LD)、発光ダイオード(LED)、共鳴空洞LED(RC−LED)、垂直空洞表面発光レーザー(VCSEL)、高電子移動度トランジスタ(HEMT)、ヘテロ接合双極トランジスタ(HBT)、ヘテロ接合場効果トランジスタ(HFET)、ならびにUV光検出器および近UV光検出器が挙げられる。
【0033】
(実験結果)
横方向エピタキシャル過剰成長が、非極性
【0034】
【数12】


a平面GaNフィルムの螺旋転位(threading dislocation)密度を首尾良く減少させたという実験結果が、見出された。この節では、形態学および欠損減少の結晶学的ストライプ配向に対する依存性を報告する。
【0035】
[0001]および
【0036】
【数13】


に沿って整列されたストライプは、最も好ましいa平面GaN LEOストライプ配向であり、良く整えられた(well−behaved)対称的な形態学を保有する。マスクブロッキングを介する螺旋転位減少を、最適な矩形断面を有する
【0037】
【数14】


ストライプに対する透過電子顕微鏡(TEM)によって観察した。カソードルミネセンス(CL)研究は、ウィンドウ領域と比較して過剰成長領域に対して増加した発光を示した。これらのストライプの横方向過剰成長の程度は、垂直c平面サイドウォールの反体の極性に起因して非対称的であった。逆に、螺旋転位は、同時に存在する曲がったかつ垂直な
【0038】
【数15】


面を保有する[0001]ストライプの対称的な過剰成長領域に広がった。
【0039】
ストライプの形態学をJEOL 6300TM場放射走査電子顕微鏡(FE−SEM)を使用し、5kVで操作して観察した。横方向過剰成長の微小構造を、JEOL 2000FXTM透過電子顕微鏡(FE−SEM)を使用し200kVで操作して、断面において研究した。カソードルミネセンス(CL)画像を、室温でJEOL 6300TM FE−SEMに装着されたGatan MonoCLTMを使用して得、そして横方向過剰成長ストライプからのルミネセンスの空間マップを提供した。
【0040】
横方向に過剰成長したc平面GaNについて示されるように、マスクストライプ開口部の結晶学的配向は、これゆえに、横方向過剰成長の特徴を形成する面を記載する。参考文献14を参照のこと。横方向に過剰成長したa−GaNの配向依存性を調査するために、SiOマスクを「ワゴンホイール」設計を形成する矩形マスク開口部(ウィンドウ)の任意のアレイによりパターン化した。ワゴンホイールパターンを作製するウィンドウは、5μm幅および5°間隔で配向し、その結果、結晶学的マスク配向の範囲は、単一のMOCVD成長を実行することで分析し得た。この実験設計は、線形マスク開口部から横方向に過剰成長したc−平面GaNの初期調査に使用した設計と類似する。参考文献14および15を参照のこと。
【0041】
図2は、a−GaN LEOワゴンホイールパターンの半分を示す平面図操作電子顕微鏡(SEM)画像モンタージュである。この角度は、0°がGaN c−軸[0001]に対応するワゴンホイールパターンへの参照を容易にするように含まれる。(c−GaN表面に対して)a−GaN表面の減少した対称性は、図2に示されるストライプ配向依存性において明らかである。この図は、単一のワゴンホイールパターンの180°図である。主に、この平面図SEM画像は、横方向過剰成長が、全ての可能なストライプ配向に対して生じたことを示す。より近くで検査する際に、3つのストライプ配向は、切子面にされたサイドウォールを伴うことなく均一の形態学を有し:[0001]に対して平行、GaN c−軸から45°離れている、およびGaN c−軸に対して垂直方向(
【0042】
【数16】


方向に対して平行)。c−軸から45°離れて配向したストライプは、
【0043】
【数17】


ストライプとして指標とされる。なぜなら、この結晶学的方向は、c−軸との角度を46.8°にするためである。図2は、[0001]から
【0044】
【数18】


まで変化したストライプ配向のように、ストライプ幅が、最大幅がc−軸から70°離れて整列したストライプに達するまで増加したことを示す。この最大に達した後に、ストライプ幅は、
【0045】
【数19】


に達するまで減少した。特定の結晶学的指標付けは、c−GaNと比較して、このフィルム/基板系の減少した対称性に起因して、この説明全体を通して一致して使用されることに留意のこと。
【0046】
a−GaN LEO形態学に対するストライプ配向の効果を明確に観察するために、さらなる斜視図が必要である。図3(a)、(b)および(c)は、それぞれ[0001]、
【0047】
【数20】


に対して平行に配向した3つのストライプの曲がった図による一連のSEM画像である。ここで、これらの画像は、図2における0°、45°、および90°の配向標識に対応する(そして、55μmに相当するスケールバーを有する)。
【0048】
使用される成長条件について、[0001]および
【0049】
【数21】


のストライプは、曲がったサイドウォールおよび垂直なサイドウォールの種々の組み合わせを有した。特に、対称的な形態学を[0001]ストライプについて観察し、一方、
【0050】
【数22】


ストライプは、1つの微小切子面垂直
【0051】
【数23】


サイドウォールおよび1つの曲がった
【0052】
【数24】


サイドウォールを有する非対称的な形態学を有した。[0001]ストライプは、
【0053】
【数25】


平面の同じ結晶学的ファミリーからの同時に存在する垂直面および曲がった面を有した。逆に、
【0054】
【数26】


ストライプは、垂直な(0001)基礎平面サイドウォールを有する矩形断面を有した。全体的に、[0001]配向および
【0055】
【数27】


ストライプ配向は、均一で対称的な形態学を生じた。
【0056】
図4(a)、(b)および(c)は、
【0057】
【数28】


ストライプの断面TEM画像であり、ここで、図4(a)は、非対称的な過剰成長領域における螺旋転位減少を示す。図4(a)において破線四角によって規定されるマスク縁部領域の拡大図が、図4(b)
【0058】
【数29】


ストライプおよび図4(c)
【0059】
【数30】


ストライプについて示される。この転位線は、ウィンドウ領域から[0001]に沿って整列したストライプに対する過剰成長領域へ屈曲し、この間、転位屈曲は、
【0060】
【数31】


ストライプについては観察されない。図4(a)、(b)および(c)は、種々の回折条件での明瞭場画像である:図4(a)g=
【0061】
【数32】


、図4(b)g=0006、および図4(c)g=
【0062】
【数33】


。画像化されたストライプは、平行なストライプパターン(および、ワゴンホイールパターンではない)からのもであるが、類似の形態学をマスクストライプパターンに関わらず観察した。
【0063】
螺旋転位(threading dislocation:TD)の減少は、図4(a)に断面TEM画像に示されるように、
【0064】
【数34】


に沿って整列したLEOストライプについて観察された。転位が、図4(b)に示されるよに、横方向の過剰成長の方向へ屈曲することが観察されないので、マスクブロッキングは、主な転位減少機構である。
【0065】
【数35】


ストライプと異なり、図4(c)は、転位が[0001]に沿って整列するストライプの過剰成長領域へと広がったことを示す。この転位屈曲の正確な起源は、未だ未知であるが、[0001]ストライプ方向について曲げられた面の安定性は、重要な役割を果す。
【0066】
TD減少に加えて、図4(a)は、
【0067】
【数36】


ストライプに対する横方向過剰成長速度における非対称を明らかにする。極性のc平面サイドウォールの存在は、この非対称を説明する。ストライプ方向に対して垂直な極性軸で、1つのサイドウォールは、+c平面またはGa−面であり、一方、反対のサイドウォールは、−c平面またはN−面である。予期されるように、Ga−面サイドウォールは、成長条件に依存して約10倍N−面サイドウォールよりも速く成長する。rサファイア上のa−GaNの極性は、収束性ビーム電子回折測定を使用して以前に測定されたことが記載される。参考文献13を参照のこと。極性は、
【0068】
【数37】


ストライプの横方向過剰成長にこのような有意な効果を有するので、図2および3において観察される非対称な形態学が、構造の低い対称性に関連し得る。
【0069】
極性GaNに対する横方向過剰成長の非対称性のさらなる証拠は、[0001]、
【0070】
【数38】


および
【0071】
【数39】


のLEOストライプの平面多色CL画像によって提供された。図5(a)、(b)および(c)は、[0001]、
【0072】
【数40】


および
【0073】
【数41】


に対して平行に配向されたストライプの平面多色CL画像であり、一方、図5(d)は、図5(a)、(b)および(c)に対して結晶学的方向を図示する。CL画像は、図3(a)、(b)および(c)におけるSEMによって画像化されたストライプに直接的に対応して、図5(a)〜(c)に示した(そして、55μmを示すスケールバーを有する)。各ストライプ方向内での斑点領域は、SiOマスクにおけるウィンドウを規定し、TDは、LEOストライプの上面に妨げられずに延びる。このCL特徴は、極性GaN LEOストライプに観察された。参考文献16〜18を参照のこと。斑点領域は、[0001]ストライプの全体の幅を横切って伸び、これは、このストライプの方向に対して横方向過剰成長領域への転位屈曲のTEM観察に対応する。図5(a)〜(c)に示される[0001]ストライプは、わずかな横方向過剰成長を有するにもかかわらず、同様の条件下で成長した幅広いストライプのCL測定は、図4(c)において観察される転位屈曲を確立した。
【0074】
【数42】


ストライプの過剰成長領域からの均一なルミネセンスは、これらの領域が相対的にTDを含まないことを確認する。
【0075】
【数43】


ストライプの横方向過剰成長速度に対する極性の効果がまた、明らかに観察される。
【0076】
要約すると、非極性
【0077】
【数44】


a平面GaNフィルムのLEOは、証明され、そしてTD密度の減少が達成された。低対称性のa−GaN表面は、結晶学的ストライプ整列に依存したLEOストライプ形態学を示した。2つの主な方向([0001]および
【0078】
【数45】


)は、均一な対称性ストライプ形態学を有することが観察され;
【0079】
【数46】


ストライプは、垂直なサイドウォールを有し、一方、[0001]ストライプは、同時に存在する垂直なサイドウォールおよび曲がったサイドウォールを有した。転位減少は、
【0080】
【数47】


ストライプ中で達成され、一方、転位は、[0001]ストライプの横方向過剰成長領域へと広がった。[0001]と
【0081】
【数48】


との間の方向(非対称性のストライプ形態学)が、観察された。非極性の横方向成長方向を有する[0001]ストライプを除いて、全てのストライプは、非対称性の横方向成長速度を示した。継続中の研究は、非極性GaN LEOの独特な構造的特性の調査を続ける。
【0082】
(参考文献)
以下の参考文献が、本明細書中に参考として援用される:
【0083】
【表1】

【0084】
【表2】

【0085】
【表3】


(結論)
これは、発明の好ましい実施形態の説明を結論付ける。以下は、本発明を達成するための、いくつかの代替の実施形態を記載する。
【0086】
横方向過剰成長技術の重大な局面は、誘電性のマスク特異性およびMOCVD再成長条件である。種々の誘電性材料、堆積技術およびパターン化方法を使用して、横方向過剰成長に有効なマスクを組みたて得る。さらに、マスクパターンの方向、設計および寸法を改変することは、後の横方向過剰成長の特性を最終的に決定する。転位減少を達成し、そしてマスクを完全に過剰成長するために横方向過剰成長の十分な制御は、必要であり、その結果、平面フィルムは再形成される。横方向過剰成長の特定の詳細(横方向〜垂直の成長速度比およびサイドウォール面の安定性を含む)は、MOCVD再成長条件によって制御される。MOCVD成長条件は、反応器に依存性であり、そして特定の反応器設計の間で変動し得る。成長温度、成長圧力、V/III比、前駆体フロー、および原料のような条件における基礎的なバリエーションが、本発明の可能な改変である。
【0087】
さらに、転位減少はまた、代替の過剰成長方法を使用して達成され得る。例えば、片持ちばりエピタキシー、二重横方向エピタキシャル過剰成長(double lateral epitaxial overgrowth:二重LEO)およびSiNナノマスキング技術は、横方向エピタキシャル過剰成長に対する代替として使用され得る。
【0088】
さらに、非極性のa平面GaN薄膜が、本明細書中に記載されるが、同じ技術が、非極性のm平面GaN薄膜に対して適用可能である。さらに、非極性のInN薄膜、AlN薄膜、およびAlInGaN薄膜が、GaN薄膜の代わりに使用され得る。
【0089】
最後に、サファイア基板以外の基板が、非極性GaN成長のために使用され得る。これらの基板としては、炭化ケイ素、窒化ガリウム、ケイ素、酸化亜鉛、窒化ホウ素、アルミン酸リチウム、ニオブ酸リチウム、ゲルマニウム、窒化アルミニウム、およびガリウム酸リチウムが挙げられる。
【0090】
要約すると、本発明は、螺旋転位減少を生じる非極性
【0091】
【数49】


a平面GaNシード層の横方向エピタキシャル過剰成長を記載する。第1に、薄いパターン化した誘電性マスクが、シード層に適用される。第2に、選択的なエピタキシャル再成長が行われ、パターン化マスクの横方向過剰成長が達成される。再成長の際に、GaNフィルムは、垂直な成長方向に対して垂直な方向においてマスクを横方向過剰成長する前に、最初に誘電性マスクの開口部を通って垂直に成長する。螺旋転位は、(1)成長フィルムに対して垂直な転位の広がりをブロックするマスクおよび(2)垂直から横方向までの成長の移行による転位の屈曲によって過剰成長領域を減少する。
【0092】
本発明の1つ以上の実施形態の上記説明は、例示および説明の目的で提供された。排他的であることも、本発明を開示された正確な形態に限定することも、意図されない。多くの改変およびバリエーションが、上記教示を考慮して、可能である。本発明の範囲は、この詳細な説明によって限定されるのではなく、本明細書に添付された特許請求の範囲によって限定されることが、意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非極性のIII窒化物薄膜において螺旋転位密度を減少する方法であって、
(a)該非極性のIII窒化物薄膜上に誘電性再成長マスクを堆積する工程;
(b)堆積された該マスクをパターン化する工程;および
(c)選択的な再成長を行う工程であって、該パターン化マスクに基づく過剰成長を達成する工程、
を包含する、方法。
【請求項2】
前記非極性のIII窒化物薄膜がシード層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記堆積されたマスクが、種々の結晶学的方向に方向付けられた長く狭いストライプの開口部でパターン化される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記過剰成長が、横方向過剰成長した、ストライプを形成したIII窒化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記行う工程は、前記III窒化物の選択的な再成長を行い、前記パターン化マスクに基づく過剰成長を達成する工程を包含し、そして該III窒化物が、垂直な成長方向に対して垂直な方向で該マスクを横方向過剰成長する前に、該マスク中の開口部を通って垂直に初めに成長する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記横方向過剰成長領域が、前記マスク中の開口部を通って垂直に成長する領域と比較して、減少した転位密度を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記転位が、成長フィルムへの垂直方向の転位の広がりをブロックするマスクによって前記過剰成長領域において減少される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記転位が、垂直な成長から横方向成長までの移行を介して転位の屈曲によって前記過剰成長領域において減少される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記過剰成長が、横方向エピタキシャルな過剰成長を使用して行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法を使用して製造されたデバイス。
【請求項11】
3.8×10cm−1以下の積層欠損密度を有する平滑な平坦な成長表面を有する非極性の窒化ガリウムフィルム上に成長した、1つ以上のデバイス層。
【請求項12】
2.6×1010cm−2以下の螺旋転位密度を有する平滑な平坦な成長表面を有する非極性の窒化ガリウムフィルム上に成長した、1つ以上のデバイス層。
【請求項13】
本明細書中に記載される発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−295994(P2009−295994A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−181100(P2009−181100)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【分割の表示】特願2003−586403(P2003−586403)の分割
【原出願日】平成15年4月15日(2003.4.15)
【出願人】(500025503)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (26)
【Fターム(参考)】